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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1342619
審判番号 不服2017-2108  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-14 
確定日 2018-07-24 
事件の表示 特願2015-532979「無線LANシステムにおいて中継動作を行う方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月 3日国際公開、WO2014/051373、平成27年11月26日国内公表、特表2015-534366〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2013年(平成25年)9月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年9月29日 米国、2012年10月10日 米国、2013年4月26日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年2月25日付けで拒絶理由が通知され、同年5月31日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月19日付けで拒絶査定されたところ、平成29年2月14日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正されたものである。


第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成29年2月14日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
平成29年2月14日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成28年5月31日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「 【請求項1】
無線LAN(WLAN)システムのエンティティによって信号送信/受信を行う方法であって、前記方法は、
前記エンティティがリレーアクセスポイント(AP)であるか又はルートAPであるかを示す情報を含むフレームを、少なくとも一つのステーション(STA)に送信することを含み、
前記エンティティが前記リレーAPである場合に、前記フレームは、前記エンティティが連携している前記ルートAPの媒体アクセス制御(MAC)アドレスをさらに含む、方法。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を、本件補正に係る手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「 【請求項1】
無線LAN(WLAN)システムのエンティティによって信号送信/受信を行う方法であって、前記方法は、
前記エンティティがリレーアクセスポイント(AP)であるか又はルートAPであるかを示す情報を含むフレームを、非-APステーション(STA)に送信することを含み、
前記エンティティが前記リレーAPである場合に、前記フレームは、前記エンティティが連携している前記ルートAPの媒体アクセス制御(MAC)アドレスをさらに含み、前記エンティティは、前記リレーAP及びリレーSTAとして動作し、
前記エンティティは、連携過程に基づいて前記非-AP STAに連携され、
前記エンティティによって前記非-AP STAから受信されたMSDU(MAC Service Data Unit)は、前記エンティティによってA-MSDU(Aggregate-MSDU)フォーマットフレームのMAC PDU(MAC Protocol Data Unit)を介して、前記エンティティが連携している前記ルートAPに伝達される、方法。」(下線は、補正箇所を示す。)

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。


2.補正の適否
(1)新規事項の有無、シフト補正の有無、補正の目的要件
本件補正は外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内において成されたものであり、新規事項の追加に該当しないことは明らかである。

次に、本件補正がシフト補正に該当するか否かについて検討する。
本件補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについて判断された発明である本願発明(平成28年5月31日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明。当該発明は第3章で後述するように新規性を有さず、特別な技術的特徴を有していない。)は、無線LANシステムのエンティティによって信号送信/受信を行う方法であって、前記エンティティがリレーAPであるか又はルートAPであるかを示す情報を含むフレームを、少なくとも一つのステーションに送信し、前記エンティティが前記リレーAPである場合には、前記フレームは、前記エンティティが連携している前記ルートAPの媒体アクセス制御(MAC)アドレスをさらに含むというものである。
したがって、本願発明は無線LANシステムにおいて、リレーAPを設けることによりカバレッジ拡張し(明細書【0005】参照。)、また、リレーAPを設けることに伴い、リレーAPを正しく支援するためのプロトコルとして、エンティティがリレーAPであるか又はルートAPであるかを示す情報を含むフレームをステーションに送信し、かつリレーAPである場合に、連携しているルートAPのMACアドレスを前記フレームにさらに含むものであるといえる。
これに対して、本件補正により特定される、「前記エンティティによって前記非-AP STAから受信されたMSDU(MAC Service Data Unit)は、前記エンティティによってA-MSDU(Aggregate-MSDU)フォーマットフレームのMAC PDU(MAC Protocol Data Unit)を介して、前記エンティティが連携している前記ルートAPに伝達される」という補正事項は、例えば本願明細書の【0179】を参照すれば、前記非-AP STAから送信されるMSDUを、リレーAPによってA-MSDUフォーマットフレームのMAC PDUとしてルートAPに送信することによりフレームを集成して伝達することができ、リソースを効率的に用いることができるようにしたものといえる。
そうしてみると、本願発明と、上記補正により追加する技術事項とは、具体的な課題との関連性が低く、技術的関連性も高いということはできない。そして、上記技術事項が上記補正により追加されることにより、実質的に追加的な先行技術調査および判断が必要となるものである(特許・実用新案審査基準第2部第3章4.2審査の効率性に基づく審査対象の決定の(1)の(i)(ii)及び(2)を参照。)。したがって、上記補正は発明の特別な技術的特徴を変更する補正に該当し、本件補正発明は本件補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、特許法第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものではない。したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項(シフト補正)に規定する要件を満たしていない。

次に本件補正が補正の目的要件を満たしているか検討する。
「少なくとも一つのステーション(STA)」を、「非-APステーション(STA)」に変更する補正は、ステーションが非-APであることを限定したものである。「少なくとも一つの」という記載が削除されたが、実質的に内容を変更するものとはいえない。したがって、当該補正は特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
「前記エンティティは、前記リレーAP及びリレーSTAとして動作し、前記エンティティは、連携過程に基づいて前記非-AP STAに連携され、前記エンティティによって前記非-AP STAから受信されたMSDU(MAC Service Data Unit)は、前記エンティティによってA-MSDU(Aggregate-MSDU)フォーマットフレームのMAC PDU(MAC Protocol Data Unit)を介して、前記エンティティが連携している前記ルートAPに伝達される」という記載を追加する補正は、エンティティが、リレーAP及びリレーSTAとして動作するという処理、連携過程に基づいて前記非-AP STAに連携されるという処理、及び、非-AP STAから受信されたMSDUを、A-MSDUフォーマットフレームのMAC PDUを介して、前記エンティティが連携している前記ルートAPに伝達する処理、という新たな処理を方法発明の構成要素として追加するものである。よって当該補正は特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とはいえず、請求項の削除、誤記の訂正、及び明りょうでない記載の釈明にも該当しない。
したがって、上記補正は補正の目的要件を満たしていない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定には違反しないが、同条第4項(シフト補正)、及び同条第5項(目的要件)の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


(2)独立特許要件について
上記(1)のとおり、本件補正は特許法第17条の2第4項(シフト補正)及び同条第5項(目的要件)の規定に違反するので却下すべきものであるが、更に進めて、仮に本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものか否かについて検討する。

[補正後の発明]
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項において、「補正後の発明」として認定したとおりである。

[引用発明]
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2007-165980号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

あ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、特に無線LAN(Local Area Network)に適用可能な無線通信装置、該無線通信装置の中継要否判断方法に関する。」

い.「【0011】
図1は、本発明の無線通信装置が用いられる無線システムの全体構成例である。このシステムでは、無線基地局である1台のアクセスポイントAP10に対して、3台の端末(STA12、STA13、STA14)が無線接続される。AP10は、基幹ネットワークと接続されている。端末STA11は、本発明に係る無線通信装置であり、AP10との接続を望んでいる。STA12とSTA13は、中継機能を持った端末であり、STA11と通信可能で、STA11から送信された信号をAP10に転送すると共に、AP10から信号をSTA11に転送する機能を備える。
【0012】
図2は、端末STA11の機能ブロック図である。STA11は、AP探索要求フレーム(ProbeRequest)を送信するProbeRequest送信部21、AP探索要求フレームに応答してAP10及びSTA12、STA13が送信したAP探索応答フレーム(ProbeResponse)を受信するProbeResponse受信部22、ProbeResponse受信部22で受信した各ProbeResponseの受信品質を測定する受信品質測定部23、受信品質測定部23における測定結果に基づいて、AP10と直接通信を行うか、AP10と直接通信を行わず中継端末を経由して通信を行うかを判断する中継要否判断部24を備える。中継要否判断部24には、中継要否判断に必要なデータである受信品質と伝送速度との関係を示すテーブルを保持するデータ保持部25が付属している。
【0013】
上述した構成において、以下、STA11の動作について説明する。まず、STA11がアクセスポイントおよび中継可能な無線端末を探索する動作について図3を用いて説明する。
【0014】
図3は、STA11がアクセスポイントおよび中継端末を探索する際のフレーム交換の様子を示すシーケンス図である。AP10が形成するBSS(Basic Service Set)のSSID(Service Set Identifier)は「SSID1」とし、AP10に接続する無線端末は、SSIDをSSID1にセットしたものであるとする。
【0015】
AP10との接続を要望しているSTA11は、SSIDを「SSID1」とセットしたAP探索要求フレーム(ProbeRequest)31をProbeRequest送信部21から送信する。このProbeRequest31を受信したAP10と中継機能を備えた無線端末STA12、STA13は、AP探索応答フレーム(ProbeResponse)32?34を送信する。ProbeResponse受信部22は、ProbeResponse32?34を受信する。なお、中継機能を備えていない無線端末STA14は、AP探索要求フレーム31を受信できたとしてもAP探索応答フレームを送信しない。
【0016】
無線LANの規格(IEEE802.11)では、ProbeResponseフレームのアドレスフィールドは3つあり、「宛先端末アドレス」、「送信元端末アドレス」、「BSSID識別子」を付加する。AP10、STA12、STA13が送信する各ProbeRespopnseフレーム32?34の宛先端末アドレスはSTA11のMACアドレスであり、送信元端末アドレスは、AP10、STA12、STA13のそれぞれのアドレスである。しかし、BSSID識別子は、BSSを形成するAP10のMACアドレスを記載するため、AP10、STA12、STA13が送信するProbeResponseフレーム32?34のBSSID識別子は、いずれもAP10のMACアドレスとなる。そこで、STA11は、BSSID識別子と送信元端末アドレスが一致しているときにAP10が送信したProbeResponseフレーム32と判断する。一方、BSSID識別子と送信元端末アドレスが一致していない場合は、AP10以外の無線端末が送信したProbeResponse33、34と判断する。この判断は、ProbeResponse受信部22で行う。」

う.【図1】及び【図3】として以下の図面が記載されている。


上記摘記事項並びにこの分野における技術常識を考慮すると、

a.上記あ.によれば、引用例1は無線LANに関するものである。

b.上記い.の【0011】及び図1によれば、引用例1は、基幹ネットワークに接続された「AP10」と、中継機能を有する「STA12」及び「STA13」を有している。そして、これら「AP10」、「STA12」及び「STA13」がデータを送受信していることは明らかである。

c.上記い.の【0015】、【0016】及び図3によれば、AP10、STA12及びSTA13は、「宛先端末アドレス」、「送信元端末アドレス」及び「BSSID識別子」を含むAP探索応答フレームをSTA11に送信している。また、「BSSID識別子」は「AP10のMACアドレス」である。

d.上記い.の【0016】によれば、STA11は、BSSID識別子と送信元端末アドレスが一致している場合はAP10が送信したProbeResponseフレーム32と判断し、一致していない場合はAP10以外の無線端末が送信したProbeResponse33、34と判断するから、STA11は、BSSID識別子と送信元端末アドレスから、AP探索応答フレームがAP10から送信されたものか否かを判断しているといえる。

したがって、引用例1には次のような発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(引用発明)
「 無線LANにおいて、基幹ネットワークに接続されたAP10、中継機能を有するSTA12及びSTA13によってデータを送受信する方法であって、
AP10、STA12及びSTA13は宛先端末アドレス、送信元端末アドレス及びBSSID識別子を含むAP探索応答フレームをSTA11に送信することを含み、ここで、前記BSSID識別子はAP10のMACアドレスであり、
STA11は、前記BSSID識別子と前記送信元端末アドレスから、AP探索応答フレームがAP10から送信されたものか否かを判断する、
方法。」


[対比]
補正後の発明と引用発明とを対比すると、

a.引用発明における「無線LAN」は、補正後の発明の「無線LAN(WLAN)システム」に相当する。引用発明における「STA12」及び「STA13」は中継機能を有するから、補正後の発明の「リレーアクセスポイント(リレーAP)」に相当する。また、引用発明における「AP10」は基幹ネットワークに接続されたアクセスポイントであるから、補正後の発明の「ルートAP」に相当する。そして、無線LANを構成する「STA12」、「STA13」及び「AP10」を無線LANの「エンティティ」と称することは任意である。

b.引用発明における「STA11」は中継機能を有さないSTAであるから、補正後の発明の「非-APステーション(STA)」に相当する。引用発明では、AP10、STA12及びSTA13、すなわちエンティティは宛先端末アドレス、送信元端末アドレス及びBSSID識別子を含むAP探索応答フレームをSTA11に送信しているのに対して、補正後の発明は、前記エンティティがリレーアクセスポイント(AP)であるか又はルートAPであるかを示す情報を含むフレームを、非-APステーション(STA)に送信しているが、「エンティティがフレームを非-APステーションに送信する」という点では、引用発明と補正後の発明は共通する。

c.引用発明では、送信元がAP10である場合には、送信されるAP探索応答フレームの送信元端末アドレスとBSSID識別子はともに自身(AP10)のMACアドレスとなるのに対して、送信元が中継機能を有するSTA12及びSTA13の場合は、送信されるAP探索応答フレームの送信元端末アドレスは自身(STA12、13)のアドレスとなり、BSSID識別子はAP10のMACアドレスとなる。したがって、送信元がAP10(「ルートAP」)の場合は、送信先端末アドレスとBSSID識別子として自身のMACアドレスだけを含むのに対して、送信元がSTA12及びSTA13(「リレーAP」)の場合には自身のMACアドレスに加えて、BSSID識別子としてAP10(「ルートAP」)のMACアドレスをさらに含むことになるから、引用発明は補正後の発明でいうところの「前記エンティティが前記リレーAPである場合に、前記フレームは、前記エンティティが連携している前記ルートAPの媒体アクセス制御(MAC)アドレスをさらに含」む構成を有しているといえる。

したがって、補正後の発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「 無線LAN(WLAN)システムのエンティティによって信号送信/受信を行う方法であって、前記方法は、
前記エンティティがフレームを、非-APステーション(STA)に送信することを含み、
前記エンティティがリレーAPである場合に、前記フレームは、前記エンティティが連携している前記ルートAPの媒体アクセス制御(MAC)アドレスをさらに含む、
方法。」


(相違点1)
一致点とした「前記エンティティがフレームを、非-APステーション(STA)に送信する」点に関し、補正後の発明の「フレーム」は「リレーアクセスポイント(AP)であるか又はルートAPであるかを示す情報を含む」のに対し、引用発明では特定がない点。

(相違点2)
補正後の発明は、エンティティがリレーAPである場合に「前記エンティティは、前記リレーAP及びリレーSTAとして動作」しているのに対して、引用発明では当該事項が明らかではない点。

(相違点3)
補正後の発明は「前記エンティティは、連携過程に基づいて前記非-AP STAに連携され」ているのに対して、引用発明では当該事項が明らかではない点。

(相違点4)
補正後の発明は「前記エンティティによって前記非-AP STAから受信されたMSDU(MAC Service Data Unit)は、前記エンティティによってA-MSDU(Aggregate-MSDU)フォーマットフレームのMAC PDU(MAC Protocol Data Unit)を介して、前記エンティティが連携している前記ルートAPに伝達される」との発明特定事項を有するのに対して、引用発明では当該発明特定事項を有していない点。


[判断]
上記相違点1について検討する。
引用発明では、AP10、STA12及びSTA13がSTA11に送信するAP探索応答フレームに「BSSID識別子」と「送信元端末アドレス」が含まれており、STA11は、当該「BSSID識別子」と「送信元端末アドレス」から、AP探索応答フレームがAP10から送信されたものか、あるいはSTA12又はSTA13から送信されたものかを判断している。
したがって、引用発明の「BSSID識別子」と「送信元端末アドレス」は、補正後の発明の「リレーアクセスポイント(AP)であるか又はルートAPであるかを示す情報」に相当するということができ、この点において実質的な相違はない。
よって、相違点1は実質的な相違点とはいえない。

上記相違点2について検討する。
引用発明におけるSTA12及びSTA13は中継機能を有するから、AP10とSTA11の両方に接続され中継動作を行うものである。その場合、STA12及びSTA13が、通常端末に接続されるAP10に対しては端末として振る舞い、通常APに接続されるSTA11に対してはAPのように振る舞う動作をすることは、例えば国際公開第2010/024207号([0030]?[0034]参照。)に記載されているように技術常識にすぎない。
そうしてみると、相違点2としたエンティティがリレーAP及びリレーSTAとして動作する構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項である。

上記相違点3について検討する。
無線LANにおいて、接続を行う際にアソシエーション(連携)処理を行うことは技術常識にすぎない(必要であれば、特開2012-160846号公報【0039】?【0040】、特開2012-76681号公報【0044】?【0046】参照。)ことから、引用発明を補正後の発明のようにエンティティが連携過程に基づいて非-AP STAに連携される構成とすることは格別困難な事項ではない。

上記相違点4について検討する。
無線LANにおいて、複数のMSDUからA-MSDU(Aggregate-MSDU)を生成して送信することは技術常識である(例えば、特表2011-503997号公報、「要約」【0001】【0007】【0012】【0013】【0022】参照。)。そうしてみると、引用発明も無線LANに係る発明であるから、リソースを効率的に用いることができるアグリゲーション技術を導入するために上記技術常識を引用発明に適用することは、当業者が容易に想到できた事項であり、中継機能を有するSTAにおいて集成(Aggregate)する構成とすることも、適宜成し得る事項である。したがって、引用発明にA-MSDUを用いる技術常識を採用することにより、相違点4とした本願発明の構成とすることは当業者が容易に成し得た事項である。

そして、補正後の発明が奏する効果も、引用発明及び技術常識から、容易に予測できる範囲内のものである。

よって、補正後の発明は、引用発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定によって、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。


3.結語
上記のとおり本件補正は特許法第17条の2第4項及び第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に本件補正がシフト補正の要件、及び補正の目的要件に違反していなかったとしても、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合せず、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。



第3 本願発明について

1.本願発明
平成29年2月14日付けでされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は上記「第2 補正の却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりのものである。


2.引用発明
引用発明は、上記「第2 補正の却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項で引用発明として認定したとおりである。


3.対比・判断
本願発明は補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。
そうしてみると、本願発明を引用発明と比較すると、上記「第2 補正の却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項で検討した相違点1の点で相違するものの、[判断]の項で検討したように相違点1は実質的な相違点とはいえないから、本願発明は引用発明と実質的に同一であるといえる。
また、実質的な相違点のない引用発明に基づいて、本願発明は当業者が容易に想到できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と実質的に同一の発明であるから、特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定に該当し特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-01 
結審通知日 2018-03-02 
審決日 2018-03-13 
出願番号 特願2015-532979(P2015-532979)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W)
P 1 8・ 575- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣川 浩▲高▼木 裕子  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 山本 章裕
川口 貴裕
発明の名称 無線LANシステムにおいて中継動作を行う方法及び装置  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  
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