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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C03C |
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管理番号 | 1342971 |
異議申立番号 | 異議2017-701162 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-12-07 |
確定日 | 2018-06-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6145183号発明「合わせガラス用中間膜及び合わせガラス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6145183号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第6145183号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6145183号の請求項1?11に係る特許についての出願は、平成22年12月24日(優先権主張 平成21年12月25日)を国際出願日とする特許出願である特願2010-550770号の一部を平成23年7月1日に新たな特許出願とした特願2011-147481号の一部を、さらに平成28年2月1日に新たな特許出願としたものであって、平成29年5月19日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1?11に係る特許について、同年12月7日付けで特許異議申立人株式会社クラレ(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成30年1月31日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年4月2日付けで意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人から同年5月11日付けで意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、 前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が2800以下であるポリビニルアルコールのアセタール化物であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である、合わせガラス用中間膜。」と記載されているのを、 「ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、 前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が2800以下であるポリビニルアルコールのアセタール化物であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、合わせガラス用中間膜。」 に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7に、 「前記第1の層の他方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である、請求項1?6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。」と記載されているのを、 「前記第1の層の他方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、請求項1?6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。」 に訂正する。 (2)訂正の目的の適否 ア 訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の「ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え」る「合わせガラス用中間膜」において、「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い」ことをさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の「前記第1の層の他方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え」る「請求項1?6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜」において、「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い」ことをさらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 (3)新規事項の有無 ア 訂正事項1について 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)の【0059】には、 「【0059】 合わせガラスの遮音性をより一層高めることができることから、第1の層2に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、第2,第3の層3,4に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多いことが好ましい。」と記載されており、訂正事項1は新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 イ 訂正事項2について 同様に訂正事項2についても、特許明細書等の【0059】に記載されており、新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (4)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1及び2は、いずれも、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (5)一群の請求項について 訂正前の請求項1?11は、互いに引用、被引用の関係にあるから一群の請求項であり、訂正事項1、2に係る訂正は、この一群の請求項について請求されたものと認められるから、特許法第120条の5第4項に適合する。 (6)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正を認める。 第3 特許異議の申立について 1 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明11」という。)は、その訂正特許請求の範囲の請求項1?11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、 前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が2800以下であるポリビニルアルコールのアセタール化物であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、合わせガラス用中間膜。 【請求項2】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が31.5モル%未満である、請求項1に記載の合せガラス用中間膜。 【請求項3】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が68モル%以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項4】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が31.5モル%未満、アセタール化度が68モル%以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項5】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が1700を超え、2700以下であるポリビニルアルコールのアセタール化物である、請求項1?4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項6】 前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が33モル%以下である、請求項1?5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項7】 前記第1の層の他方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、請求項1?6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項8】 前記第3の層中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が33モル%以下である、請求項7に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項9】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも多い、請求項7又は8に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項10】 前記第1?第3の層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂としてそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂を含み、 前記第1?第3の層に含まれている前記可塑剤としてそれぞれ、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含む、請求項7?9のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項11】 第1,第2の合わせガラス構成部材と、 前記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備え、 前記中間膜が、請求項1?10のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜である、合わせガラス。」 2 取消理由の概要 訂正前の請求項1?11に係る特許に対して通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証又は参考資料1?5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2?11に係る発明についても、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証又は参考資料1?5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。 甲第1号証:特表2008-532817号公報 甲第2号証:特開2001-48600号公報 参考資料1:特開平6-115980号公報 参考資料2:特開2003-252657号公報 参考資料3:JIS K 6728-1977「ポリビニルブチラール試験方法」(財)日本規格協会、昭和52年5月31日発行 参考資料4:特開平7-206483号公報 参考資料5:特開2000-191348号公報 甲第1号証及び甲第2号証については、以下「甲1」及び「甲2」、参考資料1?5については、以下「参1」?「参5」という。 3 甲号証等の記載 上記2の取消理由で通知した甲1、甲2及び参1?5は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)で証拠方法として提示された甲号証、申立書に記載された参考資料のすべてであり、そして、申立人は、平成30年5月11日付けで意見書を提出しており、そこで参考資料6?8(以下「参6」?「参8」という。)を追加している。そこで、以下の摘記においては、甲1及び下記の4(1)ウ「相違点の判断」で使用する追加された参6?8について記載する。 参考資料6:特開2007-331964号公報 参考資料7:特開2007-331959号公報 参考資料8:特開2001-316140号公報 (1)甲1について ア 本件特許に係る出願の優先日前に頒布された甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した(以下同じ)。 (甲1ア)「【0001】 本発明は、ポリマー中間層およびポリマー中間層を備えた多層ガラスパネルの分野に存在し、より詳しくは、本発明は多重熱可塑性シートを含むポリマー中間層の分野に存在する。 【背景技術】 【0002】 ポリ(ビニルブチラール)(PVB)は、安全ガラスまたはポリマー積層板などの光透過積層板における中間層として使用できる、ポリマーシートを製造する際に通常使用される。安全ガラスは、ガラスの2枚のシートの間に配置されたポリ(ビニルブチラール)シートを含む透明な積層板のことをしばしば意味する。」 (甲1イ)「【0009】 本明細書において使用される「可塑剤含有量」は、重量当たりの重量を基準として、樹脂100部当たり(phr)の部として測定できる。例えば、可塑剤の30gがポリマー樹脂の100gに添加された場合は、得られた可塑化ポリマーの可塑剤含有量は、30phrであることになる。」 (甲1ウ)「【0012】 ・・・。本明細書において使用される残留ヒドロキシル含有量は、ASTM1396に従って重量パーセントに基づいて測定される。」 (甲1エ)「【0026】 本発明の、およびこれらの出願において使用されている方法とは明らかに異なる、様々な実施形態において、本発明の2つの隣接ポリマーシートは、前述のように異なる可塑剤含有量を有し、それぞれが5mol%未満、4mol%未満、3mol%未満、2mol%未満、または1mol%未満の、残留アセテート含有量をさらに有する。これらの残留アセテート濃度は、どの組み合わせにおいても、上で与えられた残留ヒドロキシル含有量と結合されて、可塑剤含有量および残留ヒドロキシル含有量において記述された差を有しながら、殆ど、ないし全く残留アセテート含有量を有しない、本発明の2つのポリマーシートを形成することができる。本発明の多層中間層のさらなる実施形態は、3つ以上のポリマーシートを有する中間層を含み、追加のポリマーシートの1つまたはそれ以上が、5mol%未満、4mol%未満、3mol%未満、2mol%未満、または1mol%未満の、残留アセテート含有量を有する。」 (甲1オ)「【0050】 適切な任意の可塑剤を本発明のポリマー樹脂に添加して、ポリマーシートを形成するようにすることができる。・・・好ましい実施形態において、可塑剤は、トリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート)である。」 (甲1カ)「【0057】 多層中間層の製造は、ポリマーシートの3つの層を個別に製造し、次いで、単一の多層中間層を生み出すのに適した条件(圧力および熱など)下において、3つのシートを一緒に積層するなどの、当技術分野において知られている技法を用いることにより、達成することができる。」 (甲1キ)「【0066】 実施例 3GEH(トリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート))の様々な量を配合した、記録された残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルブチラール)シートおよびこれらのシートの厚さを表1に列挙する。これらのシートは、本発明の中間層を構成するために使用するか、または参照パネルを製造するための従来の中間層として使用する。すべてのシートにおいて、残留アセテート含有量は無視することができ、1mol%未満である。 【0067】 【表1】 従来の中間層および本発明の中間層の実施例を表2に示す。 【0068】 【表2】 【0069】 従来の合せガラス、すなわち参照パネルおよび前記参照パネルと比較して音響性能の改 善が目立つ中間層からなる合せガラスの実施例を表3に示す。 【0070】 【表3】 」 イ 甲1に記載された発明 上記(甲1キ)に記載された中間層番号7または8の実施例から、甲1に記載された発明を以下のとおりに認定する。 「シート1、シート2、シート3を順に積層させた合せガラス用の中間層であって、 シート2は、残留ヒドロキシル含有量が11.8%、3GEH含有量が72.9phrであるPVB10、シート1及び3は、残留ヒドロキシル含有量が18.5%、3GEH含有量が38phrであるPVB4であり、 すべてのシートにおいて、残留アセテート含有量は無視することができ、1mol%未満である、合せガラス用の中間層。」(以下「甲1発明A」という。) 「シート1、シート2、シート3を順に積層させた合せガラス用の中間層であって、 シート2は、残留ヒドロキシル含有量が11.8%、3GEH含有量が72.9phrであるPVB10、シート1及び3は、残留ヒドロキシル含有量が18.5%、3GEH含有量が35phrであるPVB3であり、 すべてのシートにおいて、残留アセテート含有量は無視することができ、1mol%未満である、合せガラス用の中間層。」(以下「甲1発明B」という。) (2)参6について 本件特許に係る出願の優先日前に頒布された参6には、以下の事項が記載されている。 (参6ア)「【請求項1】 遮音層と、前記遮音層を狭持する2層の保護層とからなる合わせガラス用中間膜であって、 前記遮音層は、アセチル化度が7モル%以下、ブチラール化度が68?82モル%のポリビニルブチラール100重量部に対して、可塑剤を45?75重量部含有し、 前記保護層は、アセチル化度が4モル%以下、ブチラール化度が60?75モル%かつ前記遮音層に含有されるポリビニルブチラールのブチラール化度以下であるポリビニルブチラール100重量部に対して、可塑剤を20?45重量部含有する ことを特徴とする合わせガラス用中間膜。」 (参6イ)「【0009】 本発明者らは、鋭意検討の結果、アセチル化度とブチラール化度とをそれぞれ一定の範囲とした遮音層と保護層とを用いてなる合わせガラス用中間膜は、水に濡れても白化することがなく、優れた遮音性を有するということを見出し、本発明を完成させるに至った。 これは、一定の範囲に限定することにより、遮音層に極めて大量の可塑剤を安定して含有させることができるため、遮音層の疎水性(親油性)が高くなることから、水の浸透を防止することができ、白化を抑制することができる。また、大量の可塑剤を安定して含有していることから、合わせガラス用中間膜全体として高い遮音性を発揮することができる。」 (参6ウ)「【0013】 上記遮音層を形成するポリビニルブチラールは、アセチル化度の上限が7モル%である。7モル%を超えると、疎水性が低くなり、白化の原因となる。好ましい下限は0.5モル%である。」 (参6エ)「【0023】 上記保護層を形成するポリビニルブチラールは、アセチル化度の上限が4モル%である。4モル%を超えると、合わせガラスの耐貫通性を充分に確保することが難しくなることがある。好ましい下限は0.5モル%である。」 (参6オ)「【表1】 」 (3)参7について 本件特許に係る出願の優先日前に頒布された参7には、以下の事項が記載されている。 (参7ア)「【請求項1】 遮音層と、前記遮音層を狭持する2層の保護層とからなる合わせガラス用中間膜であって、前記遮音層は、ポリビニルアルコールを炭素数が4又は5のアルデヒドによりアセタール化して得られる、アセチル化度が4?7モル%のポリビニルアセタール100重量部に対して、可塑剤を45?75重量部含有し、 前記保護層は、ブチラール化度が60?75モル%、アセチル化度が3モル%以下のポリビニルブチラール100重量部に対して、可塑剤を20?45重量部含有する ことを特徴とする合わせガラス用中間膜。」 (参7イ)「【0015】 上記遮音層を形成するポリビニルアセタールのアセチル化度の下限は4モル%、上限は7モル%である。4モル%未満であると、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることが困難となり、ブリードアウトの原因となったりすることがある。また、7モル%を超えると、遮音層の疎水性が低くなり、白化の原因となる。好ましい下限は5モル%である。」 (参7ウ)「【表1】 」 (4)参8について 本件特許に係る出願の優先日前に頒布された参8には、以下の事項が記載されている。 (参8ア)「【請求項1】ポリビニルアセタール樹脂(A)及びポリビニルアセタール樹脂(B)が混合されてなるポリビニルアセタール樹脂(C)、並びに、可塑剤からなる合わせガラス用中間膜であって、前記ポリビニルアセタール樹脂(A)は、平均重合度が1000?3000であり、前記ポリビニルアセタール樹脂(B)は、平均重合度が3000?5000であり、前記ポリビニルアセタール樹脂(A)と前記ポリビニルアセタール樹脂(B)との平均重合度差は、1500以上であり、前記ポリビニルアセタール樹脂(C)は、アセタール化度が60?85mol%、アセチル基量が8?30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上であり、前記可塑剤100重量部に前記ポリビニルアセタール樹脂(C)8重量部を溶解させた溶液の曇り点は、50℃以下であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。」 (参8イ)「【0033】上記アセチル基量が8mol%未満であると、樹脂と後述する可塑剤との相溶性が悪くなり、また、得られる樹脂のガラス転移温度が充分に低下せず、低温側における遮音性能が充分に向上しない。アセチル基量が30mol%を超えるポリビニルアセタール樹脂を得ようとすると、上述したPVAとアルデヒドとの反応性が著しく低下するので好ましくない。好ましくは、10?24mol%である。」 4 対比・判断 (1)本件発明1について ア 甲1発明Aとの対比 (ア)甲1発明Aの「シート2」は本件発明1の「第1の層」に、甲1発明Aの「シート1」又は「シート3」は本件発明1の「前記第1の層の一方の面に積層されて」いる「第2の層」に相当し、 甲1発明Aの「合せガラス用の中間層」は本件発明1の「合わせガラス用中間膜」に相当する。 (イ)甲1発明Aの「PVB」とは、摘記(甲1ア)よりポリビニルブチラールのことであり、本件発明1の「ポリビニルアセタール樹脂」に相当する。 甲1発明Aの「3GEH」は、摘記(甲1オ)より可塑剤のことであり、含有量を示すphrとは摘記(甲1イ)より樹脂の100gに対する重量部のことであるから、甲1発明Aの「3GEH含有量が72.9phrであるPVB10」は、本件発明1の「ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上」を満たし、さらに、甲1発明Aの「PVB4」は「3GEH含有量が38phrである」から、「PVB10」の3GEH含有量は「PVB4」より「22.5重量部以上多く」なっている。 (ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえれば、甲1発明Aの「3GEH含有量が72.9phrであるPVB10」の「シート1」と「3GEH含有量が38phrであるPVB4」の「シート1」又は「シート3」とを「積層」させたものは、本件発明1の「ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多」いものに相当する。 (エ)水酸基について 甲1発明Aにおける「残留ヒドロキシル含有量」は重量%であるため、モル%に換算する。 ポリビニルブチラールはポリビニルアルコールをブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られる。ポリビニルブチラールのモル%はビニル単位を基準に算出され、ビニルブチラール単位の分子量を計算すると142であるが、ポリビニルブチラール樹脂の生成の際に原料のビニルアルコール単位は2単位消費されるので、重量%からモル%への換算式では、2で割った値(71)をビニルブチラール単位の分子量として使用するのが一般常識である。 これを基に、甲1発明Aの「残留アセテート含有量は無視することができ、1mol%未満」との事項から残留アセテート含有量の最大を0.99モル%最小を0モル%とし、「残留ヒドロキシル含有量が18.5%」「であるPVB4」、「残留ヒドロキシル含有量が11.8%」「であるPVB10」について、モル%の残留ヒドロキシル含有量を計算すると、前者は約26.8?26.9モル%となり、後者は約17.8モル%となり、両者の差は、約9.0?9.1モル%となる。 してみれば、甲1発明Aの「シート2は、残留ヒドロキシル含有量が11.8%」「であるPVB10」、「シート1及び3は、残留ヒドロキシル含有量が18.5%」「であるPVB4であ」ることは、本件発明1の「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く」「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下であ」ることに相当する。 (オ)ポリビニルブチラールの残留アセテート含有量は、アセチル化度とほぼ等しいといえることから、甲1発明Aにおいて「すべてのシートにおいて、残留アセテート含有量は無視することができ、1mol%未満である」から、甲1発明Aの「シート2」の「PVB10」も「残留アセテート含有量は無視することができ、1mol%未満」であり、これは「アセチル化度が8モル%以下」といえる。 してみれば、本件発明1と甲1発明Aとは、 (一致点) 「ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、 前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下である、合わせガラス用中間膜。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂が、本件発明1では、重合度が「2800以下」であるポリビニルアルコールのアセタール化物であるのに対し、甲1発明Aのシート2のPVB10では、重合度がどの程度のポリビニルアルコールのアセタール化物であるのか不明である点。 (相違点2)本件発明1では、「前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い」のに対し、甲1発明Aでは「すべてのシートにおいて、残留アセテート含有量は無視することができ、1mol%未満」である点。 イ 甲1発明Bとの対比 甲1発明Bは、甲1発明Aの「シート1及び3は、残留ヒドロキシル含有量が18.5%、3GEH含有量が38phrであるPVB4」が「シート1及び3は、残留ヒドロキシル含有量が18.5%、3GEH含有量が35phrであるPVB3」となった発明であるから、上記アで説示した甲1発明Aとの対比と同様であり、本件発明1と甲1発明Aとの上記(一致点)並びに(相違点1)及び(相違点2)は、本件発明1と甲1発明Bとの(一致点)並びに(相違点1)及び(相違点2)となることから、以下、甲1発明A及び甲1発明Bをまとめて(以下「甲1発明AB」という。)判断することにする。 ウ 相違点の判断 事案に鑑み、相違点2から検討する。 申立人は、平成30年5月11日付けで意見書ともに上記参6?8を提出し、相違点2について、甲1に記載された発明において、参6?8に記載された事項を採用することは、当業者が容易になし得たことであると主張していることから、これについて検討する。 (ア)甲1発明ABのアセチル化度について 甲1発明ABにおいて、アセチル化度について「すべてのシートにおいて、残留アセテート含有量は無視することができ」ると特定されていることから、「シート2」と「シート1」及び「シート3」とのPVB(ポリビニルブチラール)のアセチル化度に大小関係はない(等しい)ものといえる。 (イ)甲1と参6?8との組み合わせ a 参6及び7について 参6の摘記(参6ア)及び(参6イ)、参7の摘記(参7ア)及び(参7イ)を参照するに、参6及び参7には、遮音層に十分な量の可塑剤を配合して遮音性を高めるためにアセチル化度の範囲を限定したこと(具体的には、参6の摘記(参6オ)からアセチル化度1?7モル%で可塑剤60?65重量部、参7の摘記(参7ウ)からアセチル化度5?7モル%で可塑剤60?65重量部)が記載されている。 一方、甲1発明ABの「シート2」(参6及び7の「遮音層」に相当)は、「3GEH含有量が72.9phr」であり、参6及び7の可塑剤の含有量と比較してすでに十分な量の可塑剤が含有されていることから、参6及び7の記載に鑑みて、さらに可塑剤を増やすべく「シート2」のポリビニルブチラールのアセチル化度を高める動機はなく、「シート2」のポリビニルブチラールのアセチル化度を「シート1」及び「シート3」のポリビニルブチラールのアセチル化度よりも多くすることが当業者が容易になしえたものとはいえない。 b 参8について 参8の摘記(参8ア)及び(参8イ)には、合わせガラス用中間膜に用いるポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量(一般に、アセチル化度とは、有機化合物の水素原子がアセチル基で置き換わる割合のことであるから、これらをアセチル化度とする)について、可塑剤との相溶性、PVAとアルデヒドとの反応性の点で8?30mol%とすることが記載されているが、上記のとおり甲1発明ABは「すべてのシートにおいて、残留アセテート含有量は無視することができ」ると特定されており、その残留アセテート含有量を増やすことができるとしても、摘記(甲1エ)を参照するに5mol%未満であり、参8のの記載に鑑みて8?30mol%まで増やすことには阻害要因があるといえる。 (ウ)相違点2のまとめ したがって、甲1発明ABにおいて、甲1及び参6?8の記載事項に鑑みて、上記相違点2を構成することが当業者が容易になしえたものとはいえない。また、その余の参考資料及び甲2の記載をみても、遮音性と合わせガラス用中間膜に用いる樹脂層間のアセチル化度の関係について記載したものはないことから、甲1発明ABにおいて、上記相違点2を構成することが当業者が容易になしえたものとはいえない。 エ 小括 よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明、並びに、甲2及び参1?8の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。 (2)本件発明2?11について 本件発明2?11は、上記1で記載したように、本件発明1を直接又は間接的に引用し、さらに限定した発明であるから、本件発明2?11についても、甲1に記載された発明及び甲2並びに参1?8の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。 5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由(特許異議申立書に記載した特許異議申立理由)によっては、本件請求項1ないし11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、 前記第1の層の一方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも22.5重量部以上多く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が2800以下であるポリビニルアルコールのアセタール化物であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、合わせガラス用中間膜。 【請求項2】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が31.5モル%未満である、請求項1に記載の合せガラス用中間膜。 【請求項3】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が68モル%以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項4】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が31.5モル%未満、アセタール化度が68モル%以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項5】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が1700を超え、2700以下であるポリビニルアルコールのアセタール化物である、請求項1?4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項6】 前記第2の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が33モル%以下である、請求項1?5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項7】 前記第1の層の他方の面に積層されており、かつポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低く、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、9.2モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率との差が、8.5モル%を超え、9.2モル%以下である場合には、前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも多い、請求項1?6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項8】 前記第3の層中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が33モル%以下である、請求項7に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項9】 前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第3の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも多い、請求項7又は8に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項10】 前記第1?第3の層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂としてそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂を含み、 前記第1?第3の層に含まれている前記可塑剤としてそれぞれ、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含む、請求項7?9のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項11】 第1,第2の合わせガラス構成部材と、 前記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備え、 前記中間膜が、請求項1?10のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜である、合わせガラス。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-06-13 |
出願番号 | 特願2016-16913(P2016-16913) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(C03C)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 頼通 |
特許庁審判長 |
大橋 賢一 |
特許庁審判官 |
山崎 直也 三崎 仁 |
登録日 | 2017-05-19 |
登録番号 | 特許第6145183号(P6145183) |
権利者 | 積水化学工業株式会社 |
発明の名称 | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス |
代理人 | 梶田 真理奈 |
代理人 | 田口 昌浩 |
代理人 | 特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所 |
代理人 | 森住 憲一 |
代理人 | 特許業務法人宮▲崎▼・目次特許事務所 |
代理人 | 田口 昌浩 |