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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08G 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08G 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08G |
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管理番号 | 1342978 |
異議申立番号 | 異議2017-700949 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-10-04 |
確定日 | 2018-06-28 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6106523号発明「化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6106523号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6106523号の請求項1に係る発明についての本件特許異議の申立てを却下する。 特許第6106523号の請求項2?4に係る発明についての特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6106523号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成25年5月17日に、出願人株式会社東洋クオリティワンにより出願された特許出願であり、平成29年3月10日に特許権の設定登録(請求項の数4)がなされた。その後、特許異議申立人岡林茂(以下、「申立人」という。)により、請求項1?4に係る本件特許について、甲第1?11号証を証拠方法として、特許法第36条第6項第1号、同第29条第1項第3号及び同第29条第2項に基づく取消理由を主張する特許異議の申立てがされた。その後、平成30年1月19日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同30年3月26日に意見書及び訂正請求書の提出があった。 なお、申立人に対する訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)に対しては、申立人からの応答はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1.請求の趣旨 平成30年3月26日に特許権者が行った訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、「特許第6106523号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4について訂正することを求める」ことを請求の趣旨とするものである。 2.訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、訂正箇所を分かりやすく対比するために、当審において下線を付与した。 (1)訂正事項1 請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項2に 「酸触媒の存在下で開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを調製し、前記2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるポリオールを準備することを特徴とする請求項1記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。」 と記載されているのを、 「ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、整泡剤および不活性ガスを用いて機械発泡によりポリウレタンフォームを製造する方法であって、 前記ポリオールとして、末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるものを用い、 前記ポリイソシアネートを、イソシアネートインデックス85ないし130の範囲で用い、 0℃、1気圧における体積換算で、前記不活性ガスの供給量を、前記ポリオール、ポリイソシアネート、触媒および整泡剤を含む液状原料の合計供給量に対して2倍から10倍とし、 酸性触媒の存在下で開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを調製し、前記2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上である前記ポリオールを準備することを特徴とする化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。」 に訂正する。 (3)訂正事項3 訂正前の特許請求の範囲の請求項3に 「ポリオール100質量部に対して1.0質量部未満の水を発泡剤として使用することを特徴とする請求項1または2に記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。」 と記載されているのを、 「ポリオール100質量部に対して1.0質量部未満の水を発泡剤として使用することを特徴とする請求項2に記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。」 に訂正する。 (4)訂正事項4 訂正前の特許請求の範囲の請求項4に 「発泡後のポリウレタンフォームをクラッシングすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。」 と記載されているのを、 「発泡後のポリウレタンフォームをクラッシングすることを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。」 に訂正する。 3.一群の請求項、訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)一群の請求項について 訂正事項1?4による本件訂正は、訂正前の請求項1?4を訂正するものであるところ、本件訂正前の請求項2?4は、訂正請求の対象である請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前の請求項1?4は特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項であって、訂正事項1?4による本件訂正は、同規定による一群の請求項ごとにされたものである。 (2)訂正事項1による訂正について 訂正事項1による訂正は、請求項1を削除するものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するし、また、この訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項2による訂正について 訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項2が請求項1を引用する記載であったのを、引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、この訂正は、請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。 また、この訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項3による訂正について 訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項3が、「請求項1または2」を引用していたのを、「請求項2」のみを引用するものとする訂正であるから、訂正事項3による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、この訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項4による訂正について 訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項4が、「請求項1ないし3」を引用していたのを、「請求項2又は3」を引用するものに限定する訂正であるので、訂正事項4による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、この訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)まとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1?4による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条4項に適合するとともに、同条9項において準用する同法126条5項及び6項に適合するものであるから、本件訂正を認める。 第3 本件発明 前記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1?4に係る発明は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、整泡剤および不活性ガスを用いて機械発泡によりポリウレタンフォームを製造する方法であって、 前記ポリオールとして、末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるものを用い、 前記ポリイソシアネートを、イソシアネートインデックス85ないし130の範囲で用い、 0℃、1気圧における体積換算で、前記不活性ガスの供給量を、前記ポリオール、ポリイソシアネート、触媒および整泡剤を含む液状原料の合計供給量に対して2倍から10倍とし、 酸性触媒の存在下で開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを調製し、前記2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上である前記ポリオールを準備することを特徴とする化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。 【請求項3】 ポリオール100質量部に対して1.0質量部未満の水を発泡剤として使用することを特徴とする請求項2に記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。 【請求項4】 発泡後のポリウレタンフォームをクラッシングすることを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。」 第4 特許異議の申立て及び取消理由通知の概要 1.特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由 本件訂正前の請求項1?4に係る発明に対して、申立人が申立てていた特許異議の申立ての理由は、概略、本件特許の請求項1?4に係る発明についての特許は、次の(1)?(3)のとおりの取消理由により、取り消されるべきものであるというものであって、申立人は、特許異議申立書(以下、単に「申立書」という。)に添付して、証拠方法として下記(4)の甲第1号証?甲第11号証を提出した。 (1)取消理由1(サポート要件) 請求項1?4に係る本件特許は、特許請求の範囲の記載に不備があるため、特許法36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)取消理由2(甲第1号証に基づく新規性) 請求項1に係る発明は、甲第2、3、5?7号証を参酌するに、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1号第3号に該当し特許を受けることができない。よって、請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)取消理由3(甲第1号証を主たる引用文献とする進歩性) 請求項1に係る発明は、甲第2?8号証を参酌するに、甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に発明をすることができたものであるし、請求項2に係る発明は、甲第2?9号証を参酌するに、甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるし、請求項3に係る発明は、甲第2?10号証を参酌するに、甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるし、請求項4に係る発明は、甲第2?11号証を参酌するに、甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、いずれも、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、請求項1?4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (4)証拠方法 甲第1号証:特開2006-328324号公報 甲第2号証:三菱ケミカル「安全データシート(SDS)」、製品名:ポリテトラメチレンエーテルグリコール2000(PTMG2000)、検索日:2017年9月16日、印刷日:2017年9月16日 (https://www.m-chemical.co.jp/products/sds/__icsFiles/afieldfile/2017/03/30/PP-PTMG200-00001-01-00-00-00_JA.pdf) 甲第3号証:特開2011-144368号公報 甲第4号証:賀久基直著、活躍する三洋化成グループのパフォーマンス・ケミカルス 68「1級OH-PPGのポリウレタンへの応用」、三洋化成ニュースNo.443号掲載、発行日:2007年夏(甲第4号証の各頁のフッターには「三洋化成ニュース(項数)2007夏No.443」と記載されていることから、遅くとも2007年末日には発行されているものと認められる。)、検索日:2017年9月16日、印刷日:2017年9月16日 (https://www.sanyo-chemical.co.jp/pr/pdf/pk68.pdf) 甲第5号証:特開2006-117750号公報 甲第6号証:特開2002-214895号公報 甲第7号証:特開2012-82273号公報 甲第8号証:特開2008-106170号公報 甲第9号証:特許3943493号 甲第10号証:特開2006-8779号公報 甲第11号証:松平信孝ら編集、「ポリウレタン」(1968年6月30日、第11刷)、発行者 吉田全夫、発行所 槇書店、88?91頁 以下、それぞれ「甲1」?「甲11」ともいう。 なお、甲2は、2016年7月28日に作成されたものであり、本件特許の出願時には公知ではなかったことから、新規性(取消理由2)及び進歩性(取消理由3)の判断についての公知文献としての適格性を欠くので、これらの取消理由における証拠としては採用できない。 2.取消理由通知書に記載した取消理由 取消理由通知書で通知した取消理由は、1.で記載した取消理由1(サポート要件)及び取消理由3(甲1を主たる引用文献とする進歩性;取消理由通知における取消理由2)であるが、当該取消理由は、本件特許の請求項1、3及び4に係る発明のみを対象としており、また、証拠としては、甲1、3?5、8?11のみを採用した。 第5 当審の判断 以下に述べるように、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件発明1?4に係る発明についての本件特許を取り消すことはできない。 第5-1 取消理由通知書に記載した取消理由についての判断 取消理由通知書において通知した取消理由1(サポート要件)及び取消理由2(甲1を主たる引用文献とする進歩性)は、本件特許の請求項1、3及び4に係る発明を対象とするものであって、本件特許の請求項2に係る発明については、取消理由通知の対象ではなかった。 そして、訂正により、特許請求の範囲は、取消理由通知の対象とされていなかった、訂正前の請求項2に係る発明の発明特定事項を備えた本件発明2?4とされたことから、取消理由通知書において通知した取消理由1及び2によって、訂正後の本件発明2?4に係る特許を取り消すことはできない。 第5-2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立ての理由について 1.取消理由1(サポート要件)について (1)サポート要件について 特許請求の範囲の記載がサポート要件を満たすか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、本願明細書の発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明が解決しようとする課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし、当該発明が解決しようとする課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)本件発明2?4が解決しようとする課題について 本件特許明細書の記載によれば、化粧塗布用のフォームの材料として、従来から知られる湿式ポリウレタンは、その製造工程において、ポリマーを溶解させるためにジメチルホルムアミドを使用しているが、これは、環境への負荷が高いし、湿式ポリウレタンフォームは、液状ファンデーションを使用した場合、ファンデーションの多くがフォームの内部に入り込み、塗布に使用されずに、内部に取り込まれるファンデーションの量が多くなるという問題があった(【0003】)。 また、乾式ポリウレタンフォームの場合は、2官能より官能基数の大きいポリオールを使用し、発泡剤として水、補助発泡剤としてフロンなどの低沸点化合物を使用して発泡製造されるが、一般的に粗く、発泡剤として水を使用した場合得られたフォームはざらざらとして触感がよくないし、発泡剤である水を使用せずに補助発泡剤のみを用いて発泡させる場合、フロン等の補助発泡剤は環境面での負荷が高いし、炭化水素系の補助発泡剤は引火性を持つため製造設備の安全対策に大きな投資を必要とする等の問題があった(【0004】?【0006】)。 さらに、従来、水を発泡剤としてではなく、セルを連通化させるための破泡用の原料として機能させた吸水性ポリウレタンフォームの製造方法が知られているが、この方法では、化粧用スポンジパフに求められる柔軟で滑らかな風合いを持たせるには不十分であるし、連通化させることでセル内の開口部が大きくなるため、液状ファンデーションを塗布する際に、フォーム内部への液状ファンデーションの浸透量が多くなり、実際に化粧に使用できる液状ファンデーションの量が少なくなるという問題があった(【0008】)。 市販性品のNBRラテックスフォーム化粧塗布用スポンジムは、開口部の大きいセル構造で、液状ファンデーションがスポンジ内部に浸透しやすく、実際に使用できる液状ファンデーションの量が少なくなるという問題があるし、また、シリコーンフォームからなる液状ファンデーション塗布用スポンジは、独立気泡構造であるために、パウダリーファンデーションを塗布する際に、ファンデーションを構成する粒子がフォームの表面に堆積し、フォームでファンデーション表面を擦る際にファンデーション表面を押しつぶす結果となり、ファンデーション表面が固形化して取れなくなる、ケーキングという現象を起こす問題があった(【0009】?【0010】)。 本件発明2?4は、これら従来技術の化粧塗布用のフォームが有する問題を解決することを目的とするものであって、特許請求の範囲(第3で記載した請求項2?4)及び本件特許明細書の【0012】の記載によれば、本件発明2?4が解決しようとする課題は、「液状ファンデーションの浸み込みが少なく、パウダリーファンデーションのケーキングを起こさず、使用感が良好で、環境への負荷が小さい化粧塗布用ポリウレタンフォームを低コストで提供すること」であると認められる。 (以下、本件発明2?4が解決しようとする課題をまとめて、「本件発明の課題」という。) (3)本件発明の課題解決手段に関する本件特許明細書の記載 本件発明の課題解決手段に関し、本件特許明細書には、以下の記載がある。 「【0019】 本発明者らは、従来の化粧塗布用フォームの問題を解決するためには、発泡剤を極力少なくして、柔軟性が高いフォームを製造することが好ましいことを見出した。 【0020】 本発明においては、ポリウレタン原料に不活性ガスを混合・攪拌しながら強制的に導入する機械発泡を用いる。 ・・・ 【0022】 機械発泡時の不活性ガスの添加量は、0℃、1気圧における体積換算で、ポリウレタン原料の合計供給量に対して2倍から10倍とし、3倍から5倍とすることがより好ましい。 【0023】 不活性ガスの添加量が低いと、ポリウレタンフォームの密度が高くなり、風合いが硬くなる。ポリウレタン原料への不活性ガスの添加量が多すぎると、ガスだまりとなって吐出され、ボイドやピンホールの原因となる。ポリウレタン原料の合計供給量に対して不活性ガスの添加量が10倍を超えるとその傾向が出てくる。 【0024】 本発明におけるポリウレタン原料のうちポリオールは、末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを30質量%以上含有し、好ましくは50質量%以上含有する。 ・・・ 【0025】 一般的な乾式ポリウレタンフォームは、2官能より官能基数の大きいポリオールを使用し、発泡剤として水、補助発泡剤としてフロン、ジクロロメタン、炭化水素などの低沸点化合物を使用して発泡させる結果、得られるポリウレタンフォームは化粧塗布用スポンジパフとしては強度が十分でなく、ピンホールが発生して外観、使用感ともに悪くなる。また、ポリオールの官能基数が増えると、ポリウレタンフォームの引張強度が低下し、使用した時に破れを生じやすい。 【0026】 本発明においては、2官能のポリオールを全ポリオールの30質量%以上使用することにより、上記の問題を解決する。2官能のポリオールが全ポリオールの30質量%未満である場合、微細セルを含む低密度のフォームが得られず、フォームの密度が上昇し、硬度が高くなり、触感が悪くなる。 【0027】 機械発泡において、ポリオールの種類が、ポリウレタンフォームの発泡倍率に大きく寄与する。具体的には、ポリオールの反応性、粘度、ポリイソシアネートとの親和性が、ポリウレタンフォームの発泡倍率に影響を与える。エチレンオキサイドを含まないプロピレンオキサイドのみの付加重合体は反応性が低いため、ポリウレタンフォームのセルの安定性が低く、低密度化およびソフト化を実現することができない。セル形状を安定化させて低密度化およびソフト化するためには2官能の原料で末端水酸基の1級化率を70%程度以上に上げることが好ましく、ポリオール末端にエチレンオキサイドを付加重合させることが有効である。 【0028】 たとえば、酸性触媒(付加重合触媒)の存在下で、開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを調製し、この2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるポリオールを準備する。 【0029】 ポリオールの末端水酸基の1級化率を上げることで反応性が上がり、セルを保つことができるためフォームを低密度化することができる。開始剤にエチレンオキサイドを付加すれば末端水酸基の1級化率を上げることができる。ただし、エチレンオキサイド付加物は親水性が高く、水系のファンデーションを使用した場合に、膨潤して破れやすくなる。耐水性を向上させるためには、できるだけ分子中のエチレンオキサイド付加物の比率を下げることが好ましい。 【0030】 一般的にプロピレンオキサイドを付加重合する際にはアルカリ触媒を使用して重合させる。この場合、大部分のプロピレンオキサイドがβ開裂して末端が2級水酸基になり、1級水酸基は2%程度になる。末端水酸基の1級化比率を上げるためには、プロピレンオキサイドを付加重合させた後にエチレンオキサイドを付加重合させることが好ましい。末端水酸基の1級化率を確保し、かつエチレンオキサイドの付加比率を抑えることは難しい。 【0031】 これに対して特開2000-344881号公報に開示されているように、本発明での一例として、トリスペンタフルオロフェニルボランなどの酸性触媒の存在下で、開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させ、末端水酸基の1級化率を高めたものを製造し、さらにエチレンオキサイドを付加重合させ、末端水酸基の1級化率を70%以上、好ましくは90%以上にしたポリオールを使用することで、ポリウレタンフォームの耐水性を向上させることができる。」 「【0035】 本発明に係る化粧塗布用ポリウレタンフォームは、密度が60kg/m^(3)ないし300kg/m^(3)、アスカーF硬度が30°ないし70°、通気抵抗が2kPa・sec/mないし250kPa・sec/m、引張強度が50kPa以上である。このような化粧塗布用ポリウレタンフォームは、本発明の方法を用いて製造することができる。 【0036】 ポリウレタンフォームの密度はJIS K7222に準拠して測定する。ポリウレタンフォームは、密度が60kg/m^(3)未満であると、肌触りがざらついて使用感が悪くなったり、セルが荒くなったり、樹脂強度を保てず破れたりする。ポリウレタンフォームは、密度が300kg/m^(3)を超えると、硬くなって柔軟性がなくなり、パウダリーファンデーションを取る際に曲がらなくなるためにファンデーションを線状にしか取れなくなる。ポリウレタンフォームの密度を60?300kg/m^(3)とすることで、これらの問題を解消することができる。ポリウレタンフォームは、柔らかい感触と使用時に破れない引張強度とを両立させるためには、密度が70?200kg/m^(3)であることが好ましい。 【0037】 ポリウレタンフォームの硬さはアスカーF硬度計で測定する。・・・ポリウレタンフォームは、アスカーF硬度が70°を超えると、肌に追随しなくなるためファンデーションの均一な塗布が困難になる。ポリウレタンフォームは、柔らかい感触と復元感を両立させるためには、アスカーF硬度が40°?60°であることがより好ましい。 【0038】 ポリウレタンフォームの通気抵抗はカトーテック株式会社製KES-F8-AP1を用いて測定する。・・・ポリウレタンフォームは、通気抵抗が2kPa・sec/m未満であると、液状ファンデーションを浸透させやすくなる。ポリウレタンフォームは、通気抵抗が250kPa・sec/mを超えると、パウダリーファンデーションを塗布する際にケーキングを起こしやすくなる。ポリウレタンフォームの通気抵抗が2kPa・sec/mないし250kPa・sec/mであれば、液状ファンデーションの浸透量を少なくでき、パウダリーファンデーションの塗布時にケーキングを起こさないようにすることができる。 【0039】 ポリウレタンフォームの引張強度はJIS K6400-5に準拠して測定する。ポリウレタンフォームは、引張強度が50kPa未満であると、使用時に破れる可能性が高くなる。ポリウレタンフォームの引張強度は70kPa以上であることがより好ましい。 【0040】 上記範囲の密度、アスカーF硬度、通気抵抗、および引張強度が得られるように、原料の処方を調整してポリウレタンフォームを製造する。 【0041】 上記のように、ポリオール原料を特定し、さらに設備および製造条件を調整することにより、密度が60kg/m3?300kg/m^(3)、アスカーF硬度が30°?70°、通気抵抗が2kPa・sec/mないし250kPa・sec/m、引張強度が50kPa以上のポリウレタンフォームを製造することができる。 【0042】 セルを細かくすることで、化粧パフ用途で使用する場合肌触りをよくすることができる。セル径はJIS K6400-1に準じて測定することができ、好ましいセル径は250μm以下である。 【0043】 このようなポリウレタンフォームは、セルが細かく、通常の乾式ポリウレタンフォームのように完全な連続気泡状態になっていないため、液状ファンデーションを塗布する際にフォーム内部へのファンデーションの浸透を大きく低減することができる。 【0044】 フォームのセル構造と、通気抵抗および液状ファンデーションの浸透には相関性がある。湿式ポリウレタンフォームやNBRラテックスフォームは2kPa・sec/m未満の通気抵抗であり液状ファンデーションが浸透しやすい。一方、通気抵抗が250kPa・sec/mを超えると、パウダリーファンデーションを塗布する際にケーキングを起こしやすい。これに対し、機械発泡により製造される本発明のポリウレタンフォームは、通気抵抗が2kPa・sec/mないし250kPa・sec/mであり、浸透する液状ファンデーションの量を少なくできる。 ・・・ 【0047】 ポリオールは、末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000の2官能ポリオールを単独で使用するか、または前記2官能ポリオールが全ポリオールの30質量%以上、好ましくは50%質量以上の含有率となるように他のポリオールと混合する。・・・前記2官能ポリオールと他のポリオールとを混合する場合でも、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であれば、機械発泡に必要な起泡性および泡の安定性が得られる。」 「【実施例】 【0072】 実施例1?3および比較例1?5 種々のポリオールを含む原料を用い、円盤型のオークスミキサーを使用して機械発泡により化粧塗布用ポリウレタンフォームを製造し、不活性ガスの巻き込みやすさ、すなわちセル径の微細化、フォームの低密度化、フォームの破れやすさを調べ、化粧塗布用ポリウレタンフォームに適するポリオールを検討した。 【0073】 実施例1 酸性触媒(付加重合触媒)の存在下、官能基数2の開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて、末端水酸基の1級化率が約70%である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて、末端水酸基の1級化率が92%であり、数平均分子量が1400の2官能ポリオール(ポリオールA)を調製した。 【0074】 表1の配合になるように、ポリオール、架橋剤、整泡剤、アミン触媒(ウレタン反応触媒)、およびポリイソシアネートを準備した。これらの原料はいずれも液状である。発泡剤としての水は使用していない。 【表1】 ![]() 【0075】 ポリイソシアネート以外の原料を配合したものをオークスミキサーに連続的に供給し、窒素ガスを供給し、オークスミキサー内でポリイソシアネートと反応させながら吐出し、100℃で7分間キュアして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0076】 この際、上記の液状原料の合計供給量を0.6kg/分、窒素ガスの供給量を1.8L/分(0℃、1気圧における体積換算)とした。液状原料の比重を1として、(窒素ガスの供給量)/(液状原料の合計供給量)は3倍である。 【0077】 実施例2 アルカリ触媒の存在下、官能基数2の開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させ、さらにエチレンオキサイドを付加重合させて、末端水酸基の1級化率が80%であり、数平均分子量が2400であるポリオール(ポリオールB)を調製した。 【0078】 ポリオールAの代わりにポリオールBを用いた以外は、表1と同じ配合になるように原料を準備した。実施例1と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0079】 比較例1 アルカリ触媒の存在下、官能基数3の開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて、末端水酸基の1級化率が約2%であり、数平均分子量が3000のポリオール(ポリオールC)を調製した。 【0080】 ポリオールAの代わりにポリオールCを用いた以外は、表1と同じ配合になるように原料を準備した。実施例1と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0081】 比較例2 アルカリ触媒の存在下、官能基数2の開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて、末端水酸基の1級化率が約2%であり、数平均分子量が2000であるポリオール(ポリオールD)を調製した。 【0082】 ポリオールAの代わりにポリオールDを用いた以外は、表1と同じ配合になるように原料を準備した。実施例1と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0083】 比較例3 アルカリ触媒の存在下、官能基数3の開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させ、さらにエチレンオキサイドを付加重合させて、末端水酸基の1級化率が73%であり、数平均分子量が5000であるポリオール(ポリオールE)を調製した。 【0084】 ポリオールAの代わりにポリオールEを用いた以外は、表1と同じ配合になるように原料を準備した。実施例1と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0085】 比較例4 アルカリ触媒の存在下、官能基数3の開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させ、さらにエチレンオキサイドを付加重合させて、末端水酸基の1級化率が30%であり、数平均分子量が3300であるポリオール(ポリオールF)を調製した。 【0086】 ポリオールAの代わりにポリオールFを用いた以外は、表1と同じ配合になるように原料を準備した。実施例1と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0087】 実施例3 ポリオールの一部として、官能基数3で数平均分子量が5000のポリエーテルポリオールにアクリロニトリルをグラフト重合したポリマーポリオール(ポリマーポリオールA)を調製した。40質量部のポリオールA(実施例1で用いたもの)と、60質量部のポリマーポリオールAとを混合し、見かけの数平均分子量が3560、見かけの平均官能基数が2.6、末端水酸基の平均1級化率が55%である混合物(ポリオール混合物A)を準備した。 【0088】 ポリオールAの代わりにポリオール混合物1を用いた以外は、表1と同じ配合になるように原料を準備した。実施例1と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0089】 比較例5 20質量部のポリオールAと、80質量部のポリマーポリオールAとを混合し、見かけの数平均分子量が4280、見かけの平均官能基数が2.8、末端水酸基の平均1級化率が42%である混合物(ポリオール混合物B)を準備した。 【0090】 ポリオールAの代わりにポリオール混合物Bを用いた以外は、表1と同じ配合になるように原料を準備した。実施例1と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0091】 実施例1?3および比較例1?5で製造した化粧塗布用ポリウレタンフォームについて、発泡成形性、見かけ密度、引張強度、および平均セル径を評価した。結果を表2に示す。 【表2】 ![]() 【0092】 表2から以下のことがわかる。 比較例4および5のように末端水酸基の平均1級化率が低いポリオールを用いた場合、反応が遅いためセルの合一が発生しやすく、得られるポリウレタンフォームはセル径が大きくなり高密度になる。末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるポリオールを用いた場合、得られるポリウレタンフォームはセル径が小さく低密度化が可能である。 【0093】 ポリオールの合成に用いる開始剤に関して官能基数が2のものと3のものを対比すると、官能基数が2であるものを用いた場合、得られるポリウレタンフォームは引張強度が高くて破れにくくなる。ポリオールの合成に用いる開始剤の官能基数が2である実施例1および2を対比すると、末端水酸基の1級化率が92%と高い実施例1の方が、末端水酸基の1級化率が80%である実施例2よりも、ポリウレタンフォームの平均セル径を小さくできる。 【0094】 ポリオール混合物を用いた実施例3と比較例5を対比すると、実施例3で得られるポリウレタンフォームのほうが優れた物性を示す。即ち、実施例3のポリオール混合物は、末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000のポリオールを30質量%以上含み、末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるため、ポリウレタンフォームは平均セル径が小さく低密度である。 【0095】 実施例4?8および比較例6?9 円盤型のオークスミキサーを使用して機械発泡により化粧塗布用ポリウレタンフォームを製造する際に、ポリイソシアネート量(イソシアネートインデックス)または不活性ガス量が、ポリウレタンフォームの物性に与える影響を調査した。 【0096】 実施例4 ポリオールとしてポリオールAを用いた。表3の配合になるように、ポリオール、架橋剤、発泡剤としての水、整泡剤、アミン触媒(ウレタン反応触媒)、およびポリイソシアネートを準備した。実施例4は、発泡剤として水を用いた以外は実施例1と同様である。 【表3】 ![]() 【0097】 ポリイソシアネート以外の原料を配合したものをオークスミキサーに連続的に供給し、窒素ガスを供給し、オークスミキサー内でポリイソシアネートと反応させながら吐出し、100℃で7分間キュアして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0098】 この際、上記の液状原料の合計供給量を0.6kg/分、窒素ガスの供給量を1.8L/分(0℃、1気圧における体積換算)とした。液状原料の比重を1として、(窒素ガスの供給量)/(液状原料の合計供給量)は3倍である。 【0099】 実施例5 ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスを90とした以外は、実施例4と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0100】 実施例6 ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスを110とした以外は、実施例4と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0101】 実施例7 機械発泡時の液状原料の合計供給量を0.6kg/分、窒素ガスの供給量を1.4L/分とすることにより、(窒素ガスの供給量)/(液状原料の合計供給量)を2.3倍とした以外は、実施例4と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0102】 実施例8 機械発泡時の液状原料の合計供給量を0.6kg/分、窒素ガスの供給量を5.4L/分とすることにより、(窒素ガスの供給量)/(液状原料の合計供給量)を9.0倍とした以外は、実施例4と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0103】 比較例6 ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスを80とした以外は、実施例4と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0104】 比較例7 ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスを135とした以外は、実施例4と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0105】 比較例8 機械発泡時の液状原料の合計供給量を0.6kg/分、窒素ガスの供給量を1.0L/分とすることにより、(窒素ガスの供給量)/(液状原料の合計供給量)を1.7倍とした以外は、実施例4と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0106】 比較例9 機械発泡時の液状原料の合計供給量を0.6kg/分、窒素ガスの供給量を7.2L/分とすることにより、(窒素ガスの供給量)/(液状原料の合計供給量)を12.0倍とした以外は、実施例4と同様にして、化粧塗布用ポリウレタンフォームを作製した。 【0107】 実施例4?8および比較例6?9で製造した化粧塗布用ポリウレタンフォームについて、見かけ密度、引張強度、アスカーF硬度、平均セル径、通気抵抗、外観および使用感を評価した。結果を表4に示す。 【表4】 ![]() 【0108】 表4の実施例と比較例6、7とを対比すると、ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスが85?130の範囲であれば、スポンジパフとして必要な物性、セル径、使用感を達成できることがわかる。 【0109】 表4の実施例と比較例8、9とを対比すると、(窒素ガスの供給量)/(液状原料の合 計供給量)が2?10倍の範囲であれば、スポンジパフとして必要な物性、セル径、使用感を達成できることがわかる。 【0110】 実施例9?10および比較例10?12 本発明に係る化粧塗布用スポンジパフと、従来の化粧塗布用スポンジパフの性能を比較した。 【0111】 実施例9 実施例4で作製したポリウレタンフォームを厚さ8mmに裁断し、研磨加工して、化粧塗布用スポンジパフとして用いて試験を行った。 【0112】 実施例10 実施例4で作製したポリウレタンフォームをクラッシングした後、厚さ8mmに裁断し、研磨加工して、化粧塗布用スポンジパフとして用いて試験を行った。 【0113】 比較例10 市販されている湿式タイプのポリウレタンフォームからなる厚さ8mmの化粧塗布用スポンジパフを用いて試験を行った。 【0114】 比較例11 市販されているNBRラテックスフォームからなる厚さ8mmの化粧塗布用スポンジパフを用いて試験を行った。 【0115】 比較例12 市販されている、厚さ0.5mmのシリコーンフォームと厚さ7.5mmのNBRラテックスフォームを貼り合せた厚さ8mmの化粧塗布用スポンジパフを用いて試験を行った。 【0116】 図1に、実施例9の化粧塗布用スポンジパフを走査電子顕微鏡で100倍の倍率で撮影した写真を示す。図2に、実施例10の化粧塗布用スポンジパフを走査電子顕微鏡で100倍の倍率で撮影した写真を示す。図3に、比較例10の化粧塗布用スポンジパフを走査電子顕微鏡で100倍の倍率で撮影した写真を示す。図4に、比較例11の化粧塗布用スポンジパフを走査電子顕微鏡で100倍の倍率で撮影した写真を示す。 【0117】 図3に示すように、市販の湿式ポリウレタンフォームからなる化粧塗布用スポンジパフは、樹脂凝集型の珊瑚状構造をなしており、多数の貫通孔が開いた構造になっている。このようなスポンジパフを用いて液状ファンデーションを塗布した場合、液状ファンデーションがスポンジ内に容易に浸透するため、実際に肌に塗布されるよりも多量のファンデーションを使用しなくてはならなくなる。 【0118】 図4に示すように、市販のNBRラテックスフォームからなる化粧塗布用スポンジパフは、セル膜に大きな穴が開いた連続気泡構造となっている。 【0119】 図1に示す、本発明に係るポリウレタンフォームからなる化粧塗布用スポンジパフは、セル膜に開いた穴の大きさが図4と比較して小さい。このような化粧塗布用スポンジパフを用いた場合には、比較例10(湿式ポリウレタンフォーム)および比較例11(NBRラテックスフォーム)に比べて、浸透する液状ファンデーションの量を少なくすることができる。 【0120】 図2に示す、本発明に係るポリウレタンフォームからなる化粧塗布用スポンジパフは、発泡後にクラッシングを施しているため、セル膜に開いた穴の大きさが図1と比較してやや大きいが、図4と比較すると小さい。このような化粧塗布用スポンジパフを用いた場合にも、比較例10(湿式ポリウレタンフォーム)および比較例11(NBRラテックスフォーム)に比べて、浸透する液状ファンデーションの量を少なくすることができる。 【0121】 次に、実施例9?10および比較例10?12の化粧塗布用スポンジパフについて、表4と同様の、見かけ密度、アスカーF硬度、引張強度、通気抵抗および使用感の評価に加えて、耐摩耗性、液状化粧品残存率、液状化粧品浸み込み深さおよび耐ケーキング性を評価した。その結果を表5に示す。 【0122】 なお、耐摩耗性は下記の試験方法1、液状化粧品残存率と液状化粧品浸み込み深さは下記の試験方法2、耐ケーキング性は下記の試験方法3に従って評価した。 【0123】 試験方法1 実施例4で製造されたポリウレタンフォームのスキン面を使用し、そのスキン面に実施例9?10および比較例10?11の化粧塗布用スポンジパフでパウダリーファンデーションを取って塗り込む作業を1000回実施し、この試験を実施した後のスポンジパフの破損状態を調べた。 【0124】 試験方法2 実施例9?10および比較例10?11の化粧塗布用スポンジパフ上に液状ファンデーション約0.2gを滴下した。化粧塗布用スポンジパフに付着させた液状ファンデーションを、試験方法1と同様にポリウレタンフォームのスキン面に50回こすり付けた。滴下した液状ファンデーションの質量をM0、試験後にスポンジパフ中に残存した液状ファンデーションの質量をM1として、液状化粧品残存率R(%)を下記の式により求めた。 【0125】 R(%)=(M_(1)/M_(0))×100 この試験後に、液状ファンデーションが浸透した化粧塗布用スポンジパフを縦方向に裁断し、目視で観察される色の変化により液状ファンデーションが浸み込んだ位置を確認し、その断面に定規を押し当てて表面からの浸み込み深さ(mm)を計測した。 【0126】 試験方法3 実施例9?10および比較例10?12の化粧用スポンジパフで、各々10gのパウダリーファンデーションを取って肌に塗り込む作業を、パウダリーファンデーションがなくなるまで実施し、ケーキング現象が起きるかどうかを調べた。 【表5】 ![]() 【0127】 実施例9?10の化粧用スポンジパフを液状ファンデーションの塗布に用いた場合、スポンジパフの内部に残存して使用できなくなる液状ファンデーションの量(残存率および浸み込み深さ)を、比較例10?11の化粧用スポンジパフよりも低減できることが確認された。実施例9?10の化粧用スポンジパフをパウダリーファンデーションの塗布に用いた場合にも、ケーキングすることなく最後まで使用できた。使用感について、比較例11の化粧用スポンジパフはややザラツキを感じたが、実施例9?10、比較例10および比較例12の化粧用スポンジパフはザラツキを感じにくく心地よい風合いを持っていた。」 「 ![]() 」 (4)サポート要件についての判断 以下、上記(3)の本件特許明細書の記載から、本件特許出願時の技術常識を考慮して、(2)で記載した本件発明の課題が、本件発明(本件発明2?4)に特定される発明特定事項(課題解決手段)により解決できると、当業者が認識できるかについて検討する。 ア 本件発明において、「ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、整泡剤および不活性ガスを用いて機械発泡によりポリウレタンフォームを製造する方法」であって、「0℃、1気圧における体積換算で、前記不活性ガスの供給量を、前記ポリオール、ポリイソシアネート、触媒および整泡剤を含む液状原料の合計供給量に対して2倍から10倍」とする点の技術的意義について、以下の記載がある。 ・【0019】?【0023】、特に、【0023】には、本件発明の機械発泡での不活性ガスの添加量が、0℃、1気圧における体積換算で、ポリウレタン原料の合計供給量に対して2倍から10倍の範囲より低いと、ポリウレタンフォームの密度が高くなり、風合いが硬くなり、ポリウレタン原料への不活性ガスの添加量が多すぎると、ガスだまりとなって吐出され、ボイドやピンホールの原因となる旨の記載がある。 ・機械発泡時の、窒素ガス(不活性ガス)の供給量/液状原料の合計供給量の比を変更してポリウレタンフォームの物性に与える影響を調査した結果が、表4(【0107】)に記載され、【0109】には、「表4の実施例と比較例8、9とを対比すると、(窒素ガスの供給量)/(液状原料の合計供給量)が2?10倍の範囲であれば、スポンジパフとして必要な物性、セル径、使用感を達成できることがわかる。」と記載されている。 そして、これらの記載によれば、本件発明においては、不活性ガスの供給量/液状原料の合計供給量の比を2倍から10倍の範囲とすることで、ポリウレタンフォームの密度が高くなって風合いが硬くなるのが防止でき、また、ボイドやピンホールのない、使用感の良い化粧塗布用スポンジパフとなることが理解できる。 イ 本件発明において、「酸性触媒の存在下で開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを調製し、前記2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上である前記ポリオールを準備」して、「ポリオールとして、末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるものを用い」る点の技術的意義について以下の記載がある。 ・【0025】?【0026】には、一般的な乾式ポリウレタンフォームは、2官能より官能基数の大きいポリオールを使用し、発泡剤として水、補助発泡剤として低沸点化合物を使用して発泡させる結果、得られるポリウレタンフォームは化粧塗布用スポンジパフとしては強度が十分でなく、ピンホールが発生して外観、使用感ともに悪くなるし、ポリオールの官能基数が増えることでポリウレタンフォームの引張強度が低下し、使用した時に破れを生じやすくなるが、本件発明においては、2官能のポリオールを全ポリオールの30質量%以上使用することにより、かかる問題を解決できることが記載されている。 ・【0027】及び【0029】には、機械発泡において、ポリオールの種類が、ポリウレタンフォームの発泡倍率に大きく寄与するところ、2官能の原料でポリオール末端にエチレンオキサイドを付加重合させて、末端水酸基の1級化率を70%程度以上に上げることで、セル形状を安定化させて低密度化およびソフト化することができることが記載されている。 ・【0031】には、酸性触媒の存在下で、開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させ、末端水酸基の1級化率を高めたものを製造し、さらにエチレンオキサイドを付加重合させ、末端水酸基の1級化率を70%以上、好ましくは90%以上にしたポリオールを使用することで、(親水性の高いエチレンオキサイドの割合を低減でき、)ポリウレタンフォームの耐水性を向上させることができることが記載されている。 そして、これらの記載によれば、本件発明においては、特定のポリオールを採用することで、ポリウレタンフォームの引張強度が低下や、使用した時の破れ、ピンホールの発生による使用感低下等の問題がなく、ソフトで耐水性も向上した化粧塗布用スポンジパフとなることが理解できる。 ウ 本件発明において、「ポリイソシアネートを、イソシアネートインデックス85ないし130の範囲」とする点の技術的意義について以下の記載がある。 ・ポリイソシアネート量(イソシアネートインデックス)または不活性ガス量が、ポリウレタンフォームの物性に与える影響を調査した結果が、表4(【0107】)に記載されており、実施例4?8および比較例6?7の比較にから、【0108】には、「ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスが85?130の範囲であれば、スポンジパフとして必要な物性、セル径、使用感を達成できることがわかる。」と記載されている。 そして、これらの記載によれば、本件発明においては、ポリイソシアネートを、イソシアネートインデックス85ないし130の範囲とすることで、特に、使用感の点で優れた化粧塗布用スポンジパフとなることが理解できる。 エ また、本件発明の製造方法により得られる化粧塗布用ポリウレタンフォームの物性に関して、以下の記載がある。 ・【0035】及び【0041】には、本件発明の製造方法で得られる化粧塗布用ポリウレタンフォームは、「密度が60kg/m^(3)ないし300kg/m^(3)、アスカーF硬度が30°ないし70°、通気抵抗が2kPa・sec/mないし250kPa・sec/m、引張強度が50kPa以上」という物性(以下、「所定の物性」という。)であることが記載されている。 ・「密度が60kg/m^(3)ないし300kg/m^(3)」であることについて、【0036】には、密度が60kg/m^(3)未満であると、肌触りがざらついて使用感が悪くなったり、樹脂強度を保てず破れたりするし、密度が300kg/m^(3)を超えると、硬くなって柔軟性がなくなるが、ポリウレタンフォームの密度を60?300kg/m^(3)とすることで、これらの問題を解消することができることが記載されている。 ・「アスカーF硬度30°ないし70°」であることについて、【0037】には、肌に追随する硬さであって、柔らかい感触と復元感を両立させるものであることが記載されている。 ・「通気抵抗が2kPa・sec/mないし250kPa・sec/m」であることについて、【0038】には、通気抵抗が2kPa・sec/m未満であると、液状ファンデーションを浸透させやすくなり、250kPa・sec/mを超えると、パウダリーファンデーションを塗布する際にケーキングを起こしやすくなること、ポリウレタンフォームの通気抵抗が2kPa・sec/mないし250kPa・sec/mであれば、液状ファンデーションの浸透量を少なくでき、パウダリーファンデーションの塗布時にケーキングを起こさないようにすることができることが記載されている。 ・【0044】には、フォームのセル構造と、通気抵抗および液状ファンデーションの浸透には相関性があること、従来の湿式ポリウレタンフォームやNBRラテックスフォームは2kPa・sec/m未満の通気抵抗であり液状ファンデーションが浸透しやすいのに対し、本件発明の機械発泡により製造されるポリウレタンフォームは、通気抵抗が2kPa・sec/mないし250kPa・sec/mであり、浸透する液状ファンデーションの量を少なくできることが記載されている。 ・「引張強度が50kPa以上」であることについて、【0039】には、引張強度が50kPa未満であると、使用時に破れる可能性が高くなことが記載されている。 これらの記載によれば、「所定の物性」を備えた化粧塗布用ポリウレタンフォームは、使用感が良好で、液状ファンデーションの浸み込みが少なく、パウダリーファンデーションのケーキングを起こさない性能を有するものであることが理解できるところ、本件発明の製造方法により得られる化粧塗布用ポリウレタンフォームは、上記所定の物性を備えるものである。 そして、本件特許明細書には、実施例1として、「酸性触媒の存在下で開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオール」に相当する「ポリオールA」を調製し、当該2官能ポリオールを使用して、イソシアネートインデックス100のポリイソシアネートを使用し、さらに、触媒、整泡剤、および、液状原料の合計供給量に対して3倍の不活性ガスを用い、機械発泡によりポリウレタンフォームを製造する方法によって、上記所定の物性を満足する化粧塗布用ポリウレタンフォームが得られたことが記載されている(表2)。 また、上記ア及びウで記載したとおり、本件特許明細書には、上記記ポリオールAを使用し、不活性ガスの供給量及びイソシアネートインデックスを本件発明2で特定される範囲内で適宜変更した化粧塗布用ポリウレタンフォームが、上記所定の物性を満足することも示されている(表4)し、実施例3には、上記記ポリオールAを40質量部と官能基数3で数平均分子量が5000のポリエーテルポリオールにアクリロニトリルをグラフト重合したポリマーポリオール(ポリマーポリオールA)を40質量部を混合してなる、末端水酸基の平均1級化率が55%であるポリオール混合物Aからの化粧塗布用ポリウレタンフォームが、上記所定の物性を満足することも示されている(表2)。 さらには、本件発明3の構成を備える場合においても、上記所定の物性を満足することが、実施例4?8(表4)に示されているし、本件発明4の構成を備える場合においても、上記所定の物性を満足することが、実施例10に示されている(表5)。 オ 従来市販の化粧塗布用スポンジパフと本件発明の製造方法により得られる化粧塗布用ポリウレタンフォームとの比較 本件発明の製造方法で得られた化粧塗布用スポンジパフ(実施例9?10)と、従来の市販の化粧塗布用スポンジパフ(比較例10?12)の性能を比較した結果が表5に記載されており、この結果に関し、【0127】には、「実施例9?10の化粧用スポンジパフを液状ファンデーションの塗布に用いた場合、スポンジパフの内部に残存して使用できなくなる液状ファンデーションの量(残存率および浸み込み深さ)を、比較例10?11の化粧用スポンジパフよりも低減できることが確認された。実施例9?10の化粧用スポンジパフをパウダリーファンデーションの塗布に用いた場合にも、ケーキングすることなく最後まで使用できた。使用感について、比較例11の化粧用スポンジパフはややザラツキを感じたが、実施例9?10、比較例10および比較例12の化粧用スポンジパフはザラツキを感じにくく心地よい風合いを持っていた。」と記載されている。 そして、これらの記載によれば、市販の湿式タイプのポリウレタンフォーム、市販のNBRラテックスフォーム、市販のシリコーンフォームとNBRラテックスフォームを貼り合せたものの、いずれかからなるフォーム化粧塗布用スポンジパフでは、液状ファンデーションの漬みこみ、ケーキング、使用感のいずれかが劣る結果となるところ、本件発明の製造方法で得られた化粧塗布用ポリウレタンフォームからの化粧塗布用スポンジパフは、これら全ての性能に優れることが理解できる。 カ 以上のア?オで指摘した本件特許明細書の記載に接した当業者は、本件発明2?4の発明特定事項を満たす製造方法によって、液状ファンデーションの浸み込みが少なく、パウダリーファンデーションのケーキングを起こさず、使用感が良好な化粧塗布用ポリウレタンフォームが得られることを理解できる。また、本件発明の方法は、従来の湿式ポリウレタンフォームとは異なり、ポリウレタンポリマーを溶解するジメチルホルム等の有機溶媒は必要ないことから、環境への負荷が小さく、また、低コストであることが理解できる。 そうすると、本件特許明細書の記載から、当業者は、本件発明(本件発明2?4)に特定される発明特定事項を備えることで、上記本件発明の課題を解決できると認識できるといえる。 したがって、本件発明2?4は、サポート要件を満足するといえる。 2.取消理由3(甲1を主たる引用文献とする進歩性)について (1)甲1に記載された発明 甲1の請求項1には、 「有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、及び整泡剤(D)を分散混合させたポリウレタンフォーム形成性組成物を、更に不活性ガスを機械的攪拌によって混合分散させた後、発泡硬化させてなるポリウレタンフォームの製造方法において、 得られるポリウレタンフォームにおけるポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール成分の含有量が50?80質量%であり、 前記整泡剤(D)のケイ素含有量が5?20質量%、末端がアルキル基、数平均分子量が1,000?2,000のポリエーテル部を有するジメチルポリシロキサン-ポリエーテルブロック共重合体であることを特徴とする、前記ポリウレタンフォームの製造方法。」 の発明が記載されているところ、 甲1の【0019】には、 「本発明に用いられるポリオール(B)は、高分子ポリオールと鎖延長剤からなる。ここで高分子ポリオールとは、数平均分子量が500以上のポリオールをいい、鎖延長剤とは、数平均分子量500未満のポリオールをいう。」 と記載され、【0024】には、 「・・・高分子ポリオール成分は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリオール(B)における高分子ポリオールは、PTMGを70?95質量%含有していることが好ましく、更にPTMGと併用されるポリオールは、末端EO処理されたPPGが好ましい。」と記載されている。 (なお、「PTMG」は、甲1の【0005】に記載のとおり、「ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール」を意味する。) そして、甲1の請求項1に係る発明において、ポリオール(B)が高分子ポリオールと鎖延長剤からなり、高分子ポリオールが、PTMGと末端EO処理されたPPGとを併用したポリオールである実施態様に相当する場合として、甲1の実施例1?3(【0038】?【0048】、特に、【0046】のポリウレタンフォームの製造方法の記載、【0048】表3の実施例1-3の記載、【0044】表2のポリオールプレミックスの組成の記載、【0038】の表1の整泡剤の記載、【0041】のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの合成の記載)によれば、甲1には、次の発明が記載されているといえる。(なお、(i)?(v)は、合議体が便宜上付したものである。) 「以下の割合で配合した液温40℃のポリオールプレミックス(OH-1?OH-3)のいずれかと、液温40℃のポリイソシアネート(NCO-1)をポリイソシアネートインデックス105で混合し、1分間攪拌して乾燥空気を混入させた混合液を、金型(10cm×10cm×10cm、上部開放)に流し込み、次いで、混合液が注型された金型を120℃に調整した熱風オーブン中に30分放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させ、硬化したポリウレタンフォームを金型から取り外して、ポリウレタンフォームを製造する方法。 <ポリオールプレミックス(OH-1?OH-3)> (i)PTMG(ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール)系高分子ポリオールであるPTG-2000:850g (公称平均官能基数=2、数平均分子量=2,000のPTMG、保土谷化学工業製) (ii)非PTMG系高分子ポリオールGL-3000:100g (公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000、オキシエチレン基含有量=11%の末端オキシエチレンキャップ処理したポリ(オキシプロピレン)ポリオール、三洋化成工業製) (iii)鎖延長剤である1,4-BD:50g (1,4-ブタンジオール) (iv)触媒であるDOTDL:0.08g (ジオクチルチンジラウレート) (v)整泡剤であるF-341:OH-1は10g、OH-2は50g、OH-3は5g (信越化学工業製シリコン系整泡剤(ケイ素含有量8%、末端基 メチル基、ポリエーテル部の数平均分子量 1630)) <ポリイソシアネート(NCO-1)> 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた容量1Lの反応器に、MDI-1(MDI異性体混合物を1%含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI))を376gとPTG-2000を624g仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させて得られたもので、NCO-1のイソシアネート含量は10.0%である。」 (以下「甲1発明」という。) (2)本件発明2について ア 本件発明2と甲1発明との対比 甲1発明の「ポリオールプレミックス(OH-1?OH-3)」に含まれる(i)のPTG-2000、(ii)のGL-3000及び(iii)の鎖延長剤である1,4-BDは、いずれも、本件発明2の「ポリオール」に相当するところ、これらのうち、(i)のPTG-2000は、両末端に1級ヒドロキシ基を持つ直鎖状のエーテルグリコールであるから、末端水酸基の1級化率が100%である。 さらに、PTG-2000と併用する(ii)のGL-3000は、甲3の【0130】の記載によれば、末端水酸基の1級化率が74%であるところ、PTG-2000のモル量は0.425mol(配合量850g/数平均分子量2000=0.425mol)であり、GL-3000のモル量は0.033mol(配合量100g/数平均分子量3000≒0.033mol)であり、1,4-BDのモル量は0.56mol(配合量50g/分子量90=0.56mol)であるから、これらに基づき、PTG-2000とGL-3000と1,4-BDとからなるポリオールの末端水酸基の平均1級化率を算出すると、末端水酸基の平均1級化率=[(PTG-2000の1級化率×モル量)+(GL-3000の1級化率×モル量)+(1,4-BDの1級化率×モル量)]÷(PTG-2000のモル量+GL-3000のモル量+1,4-BDのモル量))=[(100×0.425)+(74×0.033)+(100×0.56)]÷(0.425+0.033+0.56)≒100.9÷1.018≒99.1%となる。 そうすると、(i)のPTG-2000、(ii)のGL-3000、及び、(iiiの)鎖延長剤である1,4-BDからなるポリオールは、「全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるポリオール」に該当する。 次に、甲1発明の「ポリイソシアネート(NCO-1)」は、本件発明1の「ポリイソシアネート」に相当するところ、甲1発明のポリイソシアネートインデックスは105であり、本件発明1の「85ないし130の範囲」と重複一致する。 さらに、甲1発明の「(iv)触媒であるDOTDL」、「(v)整泡剤であるF-341」、「乾燥空気」は、それぞれ、本件発明1の「触媒」、「整泡剤」、「不活性ガス」に相当するし、本件発明1のポリウレタンフォームの製造方法においては、温度や処理時間といった具体的な製造条件についての特定はないことから、甲1発明に特定される製造条件であっても良いと解される。 以上から、甲1発明の、「以下の割合で配合した液温40℃のポリオールプレミックス(OH-1?OH-3)のいずれかと、液温40℃のポリイソシアネート(NCO-1)をポリイソシアネートインデックス105で混合し、1分間攪拌して乾燥空気を混入させた混合液を、金型(10cm×10cm×10cm、上部開放)に流し込み、次いで、混合液が注型された金型を120℃に調整した熱風オーブン中に30分放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させ、硬化したポリウレタンフォームを金型から取り外して、ポリウレタンフォームを製造する方法」は、本件発明2の、「ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、整泡剤および不活性ガスを用いて機械発泡によりポリウレタンフォームを製造する方法」に相当する。 したがって、本件発明2と甲1発明は、 「ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、整泡剤および不活性ガスを用いて機械発泡によりポリウレタンフォームを製造する方法であって、 前記ポリオールとして、平均1級化率が50%以上である前記ポリオールを準備して用い、 前記ポリイソシアネートを、イソシアネートインデックス85ないし130の範囲で用いる、 ポリウレタンフォームの製造方法。」 である点で一致し、次の点において相違する。 <相違点1> ポリウレタンフォームの製造方法のために用いられる、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるポリオールについて、本件発明2では、 「酸性触媒の存在下で開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを調製し、前記2官能ポリオールを30質量%以上含有」すると特定されているのに対し、 甲1発明においては、 「(i)PTMG(ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール)系高分子ポリオールであるPTG-2000:850g(公称平均官能基数=2、数平均分子量=2,000のPTMG、保土谷化学工業製) (ii)非PTMG系高分子ポリオールGL-3000:100g (公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000、オキシエチレン基含有量=11%の末端オキシエチレンキャップ処理したポリ(オキシプロピレン)ポリオール、三洋化成工業製)(iii)鎖延長剤である1,4-BD:50g」からなるものであると特定されている点。 <相違点2> 本件発明2では、ポリウレタンフォームの製造方法について、「化粧塗布用」のポリウレタンフォームの製造方法と特定されているのに対して、甲1発明では、ポリウレタンフォームの用途について特定されていない点。 <相違点3> 本件発明2では、不活性ガスの供給量について、「0℃、1気圧における体積換算で、前記不活性ガスの供給量を、前記ポリオール、ポリイソシアネート、触媒および整泡剤を含む液状原料の合計供給量に対して2倍から10倍とする」と特定されているのに対し、甲1発明では、不活性ガスである空気の供給量は特定されていない点。 イ 相違点についての判断 相違点1に関し、申立人は甲9を提出し、甲1発明において、ポリオールを甲9の実施例2に記載されるようなポリオールに変更することが容易である旨主張している(申立書の23?26頁の項目3-7-2)。 ここで、甲9の実施例2(【0377】)の記載を検討すると、甲9の実施例2には、本件発明2の「酸触媒」に相当する「トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン」を使用して、原料として、数平均分子量(Mn)1000のポリプロピレングリコールを使用し、これにプロピレンオキサイド(PO)を反応させて、末端水酸基の1級化率は69%の付加物を得て、ついで、エチレンオキサイド(EO)を反応させて、末端水酸基の1級化率は86%の液状のポリプロピレングリコールEO付加物(Mn:2000)を得たことが記載されている。 そうすると、上記実施例2のポリプロピレングリコールEO付加物(Mn:2000)を製造する工程は、相違点1に係る本件発明2の発明特定事項である、「酸性触媒の存在下で開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを調製」する工程を満足する。 そこで、甲1発明のポリオールプレミックスに含まれるポリオールを、甲9の実施例2に記載のポリプロピレングリコールEO付加物に変更して、甲1発明を本件発明2の相違点1に係る構成を備えたものとすることが当業者にとって容易といえるかについて検討する。 まず、甲1発明のポリオールプレミックスの中、(i)PTMG(ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール)系高分子ポリオールであるPTG-2000を甲9の実施例2のポリオール(甲9では、「ポリエーテル」と記載。)に置き換えることが容易であるかについて検討すると、PTMGは、甲1の請求項1及び2にも記載されるとおり、甲1発明における必須の成分である。そして、甲1の【0005】?【0006】に記載のとおり、甲1発明は、機械的強度、耐久性、反発弾性等の物性が優れるポリウレタンフォームが得られるPTMGをメインのポリオールに用いてメカニカルフロス法によるポリウレタンフォームを製造する技術を開発することを目的としたものであるから、甲1発明のポリオールプレミックスの中、(i)のPTMG系高分子ポリオールであるPTG-2000をPTMGをPTMGではない甲9の実施例2に記載のポリオールに変更することには、阻害要因があるといえる。 また、甲9の実施例2のポリオールは、鎖延長剤ではないから、甲1発明の(iii)の鎖延長剤である1,4-BDを、甲9の実施例2に記載のポリオールに変更することを当業者は想定しない。 さらに、甲1発明の(ii)非PTMG系高分子ポリオールであるGL-3000(公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000、オキシエチレン基含有量=11%の末端オキシエチレンキャップ処理したポリ(オキシプロピレン)ポリオール、三洋化成工業製)を甲9の実施例2のポリオールに変更することが容易であるかについて検討する。 確かに、甲1の【0024】には、「ポリオール(B)における高分子ポリオールは、PTMGを70?95質量%含有していることが好ましく、更にPTMGと併用されるポリオールは、末端EO処理されたPPGが好ましい。」と記載されているから、甲1発明の「末端EO処理されたPPG」に相当する(ii)の非PTMG系高分子ポリオールGL-3000を、公知の甲9の実施例2のポリオールに変更すること自体は技術的には可能といえるし、その場合、末端EO処理されたPPGの含有量を、【0024】で示唆されるPTMGの好ましい含有量も加味して、30質量%程度とすることも可能とはいえる。 しかしながら、甲9には、「軟質ポリウレタンフォーム」の用途として、【0373】に、「家具用クッション、寝具用クッション、自動車用クッション、緩衝材、梱包材及び断熱材等に好適に用いられる。これらのうち家具用クッション、寝具用クッション及び自動車用クッションにさらに好適である」と記載されるのみで、「化粧塗布用ポリウレタンフォーム」の用途についての具体的な記載はない。 また、甲1に記載の「末端EO処理されたPPG」に相当するポリオールとして、甲9には、軟質ポリウレタンフォームに使用し得るポリオールである、実施例2に記載のポリオールのみならず、実施例1に、3官能である点で本件発明2の「2官能ポリオール」とは異なる、「液状のグリセリンPO・EO付加物(Mn:3000)」も記載されているところ、甲9では、この実施例1のポリオールから、ポリウレタンフォームが製造されている(【0379】の実施例1’)。一方、甲9の実施例2のポリオールからは、ポリウレタンフォームではなく、ポリウレタンエラストマーが製造されている(【0383】?【0384】の実施例2’)。 そうすると、仮に、当業者が、甲1発明において甲9を参照して、甲9に記載の軟質ポリウレタン用のポリオールを採用することを想到した場合であっても、まず、ポリウレタンフォームの製造に使用されている実施例1に記載のポリオールを採用するのが自然であって、ポリウレタンエラストマーの製造に使用される実施例2のポリオールを選択する積極的な動機付けはない。 一方、本件特許明細書の【0025】?【0026】には、一般的な乾式ポリウレタンフォームは、2官能より官能基数の大きいポリオールを使用しており、ポリオールの官能基数が増えることでポリウレタンフォームの引張強度が低下し、化粧塗布用に使用したときに破れを生じやすくなる旨、本件発明2の特定のポリオールを使用することにより、このような問題はない旨記載されている。また、本件発明2の製造方法は、「液状ファンデーションの浸み込みが少なく、パウダリーファンデーションのケーキングを起こさず、使用感が良好」という特性を有する化粧塗布用ポリウレタンフォームを提供できるという効果を奏するものであるところ(【0016】)、甲1、甲9をはじめ、申立人が提出した他の証拠を参酌しても、本件発明2の相違点1に係る構成を備えた本件発明2の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法とすることで、かかる特性を備え、化粧塗布用として特に好適なポリウレタンフォームを提供できるという優れた効果が奏されることは示唆されない。 すなわち、甲1、甲9をはじめ、申立人が提出したいずれの証拠の記載を参酌しても、甲1発明を相違点1に係る本件発明1の構成を備えたものとすることを当業者は導き出せないし、また、上記の優れた効果が奏されることも予測できない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、甲1、9を含め、申立人が提出したいずれの証拠の記載を参酌しても、本件発明2について、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明3及び4について 本件発明3及び4は、いずれも、請求項2を直接または間接的に引用する請求項に係るものであって、これらの本件発明は、甲1発明と、少なくとも上記相違点1?3の点で相違している。 そして、相違点1についての判断は、上記(2)のイで記載したとおりであるから、本件発明3及び4についても、本件発明2について検討したと同様の理由によって申立人が提出したいずれの証拠の記載を参酌しても、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおり、申立人の取消理由3の主張には理由がなく、取消理由3によっては、本件発明2?4についての特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項2?4に係る発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項2?4に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件訂正により本件特許の請求項1が削除された結果、同請求項1に係る発明についての本件特許異議の申立ては対象を欠くこととなったため、特許法120条の8第1項において準用する同法135条の規定により、請求項1に係る発明についての本件特許異議の申立ては、決定をもって却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、整泡剤および不活性ガスを用いて機械発泡によりポリウレタンフォームを製造する方法であって、 前記ポリオールとして、末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基の平均1級化率が50%以上であるものを用い、 前記ポリイソシアネートを、イソシアネートインデックス85ないし130の範囲で用い、 0℃、1気圧における体積換算で、前記不活性ガスの供給量を、前記ポリオール、ポリイソシアネート、触媒および整泡剤を含む液状原料の合計供給量に対して2倍から10倍とし、 酸性触媒の存在下で開始剤にプロピレンオキサイドを付加重合させて末端水酸基の1級化率が40%以上である2官能のポリプロピレングリコールを調製し、さらにエチレンオキサイドを付加させて末端水酸基の1級化率が70%以上で数平均分子量が1000?3000である2官能ポリオールを調製し、前記2官能ポリオールを30質量%以上含有し、全ポリオールの末端水酸基め平均1級化率が50%以上である前記ポリオールを準備することを特徴とする化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。 【請求項3】 ポリオール100質量部に対して1.0質量部未満の水を発泡剤として使用することを特徴とする請求項2に記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。 【請求項4】 発泡後のポリウレタンフォームをクラッシングすることを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-06-15 |
出願番号 | 特願2013-105501(P2013-105501) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(C08G)
P 1 651・ 121- YAA (C08G) P 1 651・ 537- YAA (C08G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小森 勇 |
特許庁審判長 |
岡崎 美穂 |
特許庁審判官 |
渕野 留香 近野 光知 |
登録日 | 2017-03-10 |
登録番号 | 特許第6106523号(P6106523) |
権利者 | 株式会社東洋クオリティワン |
発明の名称 | 化粧塗布用ポリウレタンフォームの製造方法 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 鵜飼 健 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 鵜飼 健 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 堀内 美保子 |