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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1343592 |
審判番号 | 不服2017-15965 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-10-27 |
確定日 | 2018-08-23 |
事件の表示 | 特願2014-180805号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月 8日出願公開、特開2015- 3082号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年8月31日に出願された特願2012-191599号(以下「原出願」という。)の一部を平成26年9月5日に新たな特許出願(特願2014-180805号)としたものであって、平成28年6月16日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月5日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月23日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月21日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月1日付けで、前記平成29年3月21日になされた手続補正が却下されるとともに同日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年10月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 なお、本願は、「タイヨーエレック株式会社」により出願されたが,平成29年3月31日付けで承継人を「サミー株式会社」とする出願人名義変更届の提出がなされた。 第2 平成29年10月27日になされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年10月27日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1) 本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件補正前の 「 【請求項1】 遊技進行過程において所定の特別遊技条件が成立すると、可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とする特別遊技を行う特別遊技実行手段と、 遊技進行に合わせて所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段と、 を備え、 記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う ことを特徴とする遊技機。」から、 本件補正後の 「 【請求項1】 遊技進行過程において所定の特別遊技条件が成立すると、可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とする特別遊技を行う特別遊技実行手段と、 遊技進行に合わせて所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段と、 を備え、 記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う、取り忘れ防止演出を発生可能であり、 初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とを有し、 前記初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、前記持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とが、一組の制御コマンドにより判断可能になっている ことを特徴とする遊技機。」に補正された(当審にて、補正箇所を明示するための下線を付した。)。 (2) 本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、以下の2つの補正事項1及び2からなる。 ア 補正事項1 本件補正前の「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う」との記載を、「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う、取り忘れ防止演出を発生可能であり」とするとともに、「初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とを有し」ていることを追加する補正。 イ 補正事項2 「前記初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、前記持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とが、一組の制御コマンドにより判断可能になっている」ことを追加する補正。 2 補正の適否 (1)新規事項について 上記1(2)の補正事項1及び2における「初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合」は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された「初当り…を祝う演出」を行い、「第1演出パターンや第3演出パターンが実行される場面」(【0096】)に対応する。そして、「第1演出パターン」及び「第3演出パターン」はそれぞれ、「記録媒体の排出を遊技者に促すための演出」及び「記録媒体に排出を強く促すための演出」を含む(【0085】)ので、上記1(2)の補正事項1における「取り忘れ防止演出を発生可能であ」ることは、当初明細書等に記載された「第1演出パターンや第3演出パターンが実行される」(【0096】)ことに対応する。 また、上記1(2)の補正事項1及び2における「持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合」は、当初明細書等に記載された「持ち球遊技を継続できることを祝う演出」を行い、「第2演出パターンが実行される場面」(【0096】)に対応する。 そして、上記1(2)の補正事項2における「…前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、…前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とが、一組の制御コマンドにより判断可能になっている」ことは、当初明細書等に記載の「サブ制御基板90は、大当り遊技終了指定コマンドに含まれる演出パターン指定コマンドで指定された演出パターンに従って大当り遊技終了演出を行う」(【0089】)ことに対応する。 したがって、上記1(2)の補正事項1及び2はいずれも、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。 (2)補正の目的について ア 補正事項1について 本件補正前の「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う」という発明特定事項については、記録媒体の取り忘れ防止用の演出を必ず行うものと解されるから、上記1(2)の補正事項1において、「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う、取り忘れ防止演出を発生可能であり」とし、「取り忘れ防止演出」を必ずしも「発生させない場合」を「有し」ていることは、本件補正前の前記発明特定事項を限定するとはいえない。 したがって、上記1(2)の補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。 そして、上記1(2)の補正事項1が、同法第17条の2第5項第1、3及び4号にそれぞれ掲げる請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。 イ 補正事項2について 上記1(2)の補正事項2は、「初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合」と「前記持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合」とが、「一組の制御コマンドにより判断可能になっている」という、いずれの演出を発生させるかの判断の態様を特定するものであって、本件補正前の「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を…行う」、すなわち、取り忘れ防止用の演出を行うか行わないかという事項とは概念的に異なった事項を特定するものである。また特に、「前記持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合」を「判断」することは、本件補正前の「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を…行う」ことを限定しているとはいえない。 したがって、上記1(2)の補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。 そして、上記1(2)の補正事項2が、同法第17条の2第5項第1、3及び4号にそれぞれ掲げる請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。 ウ 審判請求人の主張について 審判請求人は、平成29年10月27日提出の審判請求書の「3.同日付で行った補正の内容」において、「今回の補正は、補正の却下の決定にてご指摘頂いた点並びに最後の拒絶理由が解消されるように限定的に補正し特許請求の範囲を減縮したものである。よって、今回の補正事項は、特許法第17条の2第4項及び第5項にも違反せず…」と主張している。 上記主張の「限定的に補正し特許請求の範囲を減縮したもの」である点については、審判請求書の「3.同日付で行った補正の内容」の記載を参酌しても、その具体的な根拠が記載されていない。 そして、補正事項1及び2が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえないことは、上記ア及びイのとおりである。 したがって、審判請求人の主張を採用することはできない。 エ 補正の目的についてのむすび 上記アからウより、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。 以上より、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 独立特許要件についての検討 本件補正が目的外補正であることを理由として却下すべきであることは、上記2(2)で説示したとおりであるが、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、一応以下で検討することとする。 (1)本件補正発明 本件補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(当審にて、分説のための記号AからFを付した。以下「構成A」等という。)。 「 【請求項1】 A 遊技進行過程において所定の特別遊技条件が成立すると、可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とする特別遊技を行う特別遊技実行手段と、 B 遊技進行に合わせて所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段と、 を備え、 C 記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う、取り忘れ防止演出を発生可能であり、 D 初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とを有し、 E 前記初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、前記持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とが、一組の制御コマンドにより判断可能になっている F ことを特徴とする遊技機。」 (2)特許請求の範囲の記載についての検討 本件補正後の請求項1には、「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う、取り忘れ防止演出を発生可能であり」と記載されているが、本件補正発明の当該構成Cにおいて、「取り忘れ防止演出を発生可能であ」る主体(主語)が何であるかは明示されていない。 同様に、本件補正発明の構成Dにおいて、「初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる」主体、及び「持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない」主体、並びに本件補正発明の構成Eにおいて、「一組の制御コマンドにより判断可能」な主体のいずれも、本件補正後の請求項1には明示されていない。 また、「一組の制御コマンド」が何から何に対するコマンドであるかも、本件補正後の請求項1には明示されていない。 そうすると、「一組の制御コマンド」が何から何へ送られ、何において当該コマンドにより判断可能で、何が各遊技演出を行い、何が取り忘れ防止演出を発生させたりさせなかったりするのかが不明である。 その結果、「制御コマンド」に如何なるコマンドが含まれるのか、その具体的内容が不明確であり、また、その具体的内容が不明確であるので、「一組の制御コマンド」がどのような態様をもって「一組」といえるのかも不明瞭である。 したがって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 本件補正が特許請求の範囲の記載要件違反に基づいた独立特許要件違反であることを理由として却下すべきであることは、上記で説示したとおりであるが、別の理由についても以下で補足的に検討する。 (3)先願発明1 原審の平成29年8月1日付けの補正の却下の決定で用いられた、本願の原出願の出願の日前の他の特許出願であって、原出願の出願の日後に出願公開がされた特願2012-145864号(以下「先願1」という。特開2014-8145号公報参照。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている(下線は当審にて付与した。)。 (記載事項) ア 「【0022】 次に、図1を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機の構成について説明する。図1に示すように、パチンコ遊技機1は、矩形状の外枠2と、この外枠2に開閉可能に枢着された前面枠3および前扉5を備えている。 ・・・略・・・ 【0028】 図2は、本実施形態のパチンコ遊技機の背面側の斜視図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面には、遊技盤4を裏側から押さえる枠体状の裏機構盤16が取り付けられている。 ・・・略・・・ 【0031】 また、裏機構盤16の略中央には、遊技盤4の裏側に装着された透明の裏カバー23が備えられており、この裏カバー23内に、演出制御基板25を収納した透明の演出制御基板ケース25aと、液晶制御基板26を収納した透明の液晶制御基板ケース26aとが設けられている。 ・・・略・・・ 【0033】 液晶制御基板ケース26aの下方には、主制御基板24を収納した透明な主制御基板ケース24aが設けられている。主制御基板24は、パチンコ遊技機1の動作を統括的に制御するものである。主制御基板24は、各種スイッチやセンサと接続されているため、これらの検知信号を受信して各種処理を行う。 ・・・略・・・ 【0041】 遊技盤4の中央部には開口が形成され、この開口内に液晶表示装置36の表示画面が配置される。液晶表示装置36は、種々の数字、キャラクタ等が描かれた図柄や背景画像、リーチ等の各種演出を遊技に応じて表示する表示器である。液晶表示装置36は、本発明の「表示手段」に相当する。 ・・・略・・・ 【0045】 始動入賞装置38の下方には、第1大入賞装置39aが配置されている。また、始動入賞装置38の右側には、第2大入賞装置39bが配置されている。大入賞装置39a、39bは、共に特別図柄の抽選に当選したとき、すなわち大当りとなったときに所定時間開放される入賞装置である。遊技球が大入賞装置39a、39bの内部にある大入賞口(図示省略)に入賞することにより、多くの賞球を獲得することが可能となる。 ・・・略・・・ 【0066】 演出制御基板25には、液晶制御基板26が接続されている。液晶制御基板26は、演出制御基板25からコマンドを受けて液晶表示装置36の表示制御を行うものである。 ・・・略・・・ 【0071】 上記の構成により液晶制御基板26は、演出制御基板25から送信された液晶制御コマンドに基づき画像処理を行い、液晶表示装置36に演出画像や動画を表示している。」 イ 「【0072】 [実施例1] 以下、本発明の実施例1について説明する。 ・・・略・・・ 【0082】 まず、「表示態様1」について説明する。これは、大当り1(初回のみ)の終了インターバル期間に実行される表示態様である。具体的には、当り遊技の終了と共に、「○○モード突入」という演出表示が行われ、この状態が13秒間継続する。 ・・・略・・・ 【0084】 その後、企業ロゴ表示、注意喚起表示が行われる。企業ロゴ表示は、企業ロゴが徐々に画面中央に現れる動画となっている(図7(a)参照)。この企業ロゴ表示は、5秒間行われる。一方、注意喚起表示は、球貸機に挿入されたプリペイドカードが排出される様子を示す動画となっている(図7(b)参照)。プリペイドカードの絵と共に、「プリペイドカードの取り忘れにご注意ください!」との文字情報が表示される。この注意喚起表示も5秒間行われる。 ・・・略・・・ 【0086】 注意喚起表示の表示期間が終了すると、確変遊技状態である「○○モード」の遊技が開始する。初めの2秒間は、装飾図柄が停止した状態で表示されるが、その後、図柄の変動が開始する。ここでは、当り遊技終了から図柄の変動開始前までの間が大当り終了インターバル期間であり、表示態様1の場合、その時間は25秒である。 【0087】 次に、「表示態様2」について説明する。これは、大当り1又は大当り2の終了インターバル期間に実行される表示態様である。当り遊技の終了と共に、「○○モード突入」という演出表示が行われ、この状態が23秒間継続する。大当り1又は大当り2が2回目以降の大当りとして発生した場合には、「○○モード継続」の演出表示となる。 【0088】 企業ロゴ表示、注意喚起表示は実行されず、確変遊技状態である「○○モード」に移行する。これ以降の装飾図柄の表示は、表示態様1の場合と同じである。また、大当り終了インターバルの時間も同じ25秒である。ここでは、企業ロゴ表示、注意喚起表示が行われない分、演出表示の時間が長く設定されている。」 ウ 「【0094】 まず、主制御手段(主制御基板24)は、タイマ管理処理を行う(ステップS10)。パチンコ遊技機1には、後述する特別図柄役物動作タイマの他、普図及び特図役物動作タイマ等の多数のタイマが用意されており、それぞれ遊技に関する時間を計時している。 ・・・略・・・ 【0106】 最後に、ステップS60では、主制御手段は、特別電動役物管理処理を行う。これは、特別図柄の抽選結果により特別電動役物(大入賞装置39a、39b)の動作を制御する処理である。 【0107】 詳細は後述するが、特別図柄が当り態様で停止した場合には、いわゆる大当りとなり、所定ラウンド数の大当り遊技が遊技者に付与される。後述するが、特別図柄管理処理(ステップS50)にて、特別図柄が外れ態様で停止した場合には、直ちに特別電動役物管理処理が終了となる。特別電動役物管理処理が終了すると、遊技管理処理も終了となる。 ・・・略・・・ 【0112】 ステップS601の判定が「NO」である場合、主制御手段は、条件装置作動フラグがONか否かを判定する(ステップS603)。条件装置作動フラグがONしている場合には、「YES」の判定となり、ステップS604に進む。一方、条件装置作動フラグがONしていない場合には、「NO」の判定となり、この処理を終了する。すなわち、ステップS604以降は、大当りが発生した場合の処理となる。 ・・・略・・・ 【0122】 次に、図11を参照して、特別電動役物管理処理の中で行われる特別電動役物作動開始処理について説明する。上述の通り、主制御手段は、特別電動役物動作ステータス判定(図9:ステップS604)にて、特電動作ステータスが01H(特電作動開始中)と判断された場合、この処理を行う。 ・・・略・・・ 【0126】 ステップS113では、主制御手段は、大当り種別とラウンド数に応じた特別電動役物作動時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。例えば、今回当選した当りが、「15ラウンド(確変付き)大当り」であった場合には、15の各ラウンドの特別電動役物作動時間を特別図柄役物動作タイマにセットする。その後、ステップS114に進む。 ・・・略・・・ 【0129】 最後に、主制御手段は、大入賞口開閉動作設定を行う(ステップS115)。具体的には、大当り種別とラウンド数に応じた大入賞口開閉動作設定テーブルと、特別電動役物作動タイマの値とを取得し、大入賞装置39の開閉扉の動作を設定する。その後、特別電動役物作動開始処理を終了する。 【0130】 次に、図12を参照して、特別電動役物管理処理の中で行われる特別電動役物動作中処理について説明する。上述の通り、主制御手段は、特別電動役物動作ステータス判定(図9:ステップS604)にて、特電動作ステータスが02H(特電作動中)と判断された場合、この処理を行う。 ・・・略・・・ 【0132】 ステップS122では、主制御手段は、大入賞口開閉動作設定を行う。上述の図11のステップS115と同じ処理であるので、詳細は省略する。その後、ステップS123に進む。 ・・・略・・・ 【0152】 以下では、図15を参照して、副制御側で行われるメイン処理について説明する。このメイン処理には、副制御手段(演出制御基板25)の起動時に行われる初期化処理が含まれる。 ・・・略・・・ 【0158】 ステップS155では、副制御手段は、受信コマンド解析処理を行う。詳細は後述するが、これは、受信した制御コマンドの種別を解析し、それに応じた各種設定を行うものである。その後、ステップS156に進む。 ・・・略・・・ 【0165】 ステップS161の判定が「YES」である場合、副制御手段は、受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドであるか否かを判定する(ステップS162)。「大当り開始インターバルコマンド」は、大当り開始処理の中で、主制御基板24から演出制御基板25に向けて送信される制御コマンドである(図10参照)。 ・・・略・・・ 【0167】 ステップS162の判定が「YES」である場合、副制御手段は、大当り開始時設定処理を行う(ステップS163)。 【0168】 以下、図17を参照して、受信コマンド解析処理の中で行われる大当り開始時設定処理について説明する。 【0169】 まず、副制御手段は、大当り開始前の遊技状態を記憶する(ステップS171)。遊技状態には、通常遊技状態、確変遊技状態(潜伏確変を含む)、時短遊技状態があるが、大当り遊技の開始前に、何れの遊技状態であったかを記憶領域に記憶する。その後、ステップS172に進む。 【0170】 ステップS172では、副制御手段は、大当り種別を記憶する。大当り種別には、大当り1?4があるが、抽選により当選した大当り種別を記憶領域に記憶する。その後、ステップS173に進む。 ・・・略・・・ 【0172】 図16に戻って、ステップS162の判定が「NO」である場合、副制御手段は、受信コマンドが大当り終了インターバルコマンドであるか否かを判定する(ステップS164)。「大当り終了インターバルコマンド」は、特別電動役物作動継続判定処理の中で、主制御基板24から演出制御基板25に向けて送信される制御コマンドである(図13参照)。 ・・・略・・・ 【0174】 ステップS164の判定が「YES」である場合、副制御手段は、大当り終了時設定処理を行う(ステップS165)。」 エ 「【0192】 [実施例2] 次に、本発明の実施例2について説明する。以下では、実施例1と異なる部分について説明する。 【0193】 まず、図20を参照して、実施例2の大当り種別と遊技状態について説明する。実施例2の大当りには、大当り1?4の4種類があり、それぞれ付与されるラウンド数や当り遊技終了後の遊技状態が異なる。また、大当り終了インターバルの時間やその際に表示される表示態様が異なる。 【0194】 まず、「大当り1」について説明する。これは、15ラウンドの確率変動付き大当りである。当り遊技の終了後には、遊技状態が通常遊技状態より大当り確率の高い確変遊技状態に移行し、普通電動役物の開放延長が行われる。大当り1は、獲得できる出玉も多く、4種類の大当りのうち最も利益の高い大当りである。 【0195】 大当り1では、大当り終了インターバルの時間が25秒に定められ、液晶表示装置36で表示態様1又は表示態様2が実行される(図20(a)参照)。なお、主制御基板24から送信される制御コマンドは、「F401h」である。 【0196】 次に、「大当り2」について説明する。これは、5ラウンドの確率変動付き大当りである。大当り1と比較して出玉は少ないが、当り遊技の終了後に確変遊技状態に移行し、普通電動役物の開放延長も行われる。大当り終了インターバルの時間、制御コマンド、表示態様1又は表示態様2が実行される点も大当り1の場合と同じである。 ・・・略・・・ 【0200】 大当り1、2、4の当り遊技の終了後は、大当り確率の点で通常遊技状態より有利な確変遊技状態となるので、大当り1、2、4は、本発明の「第2当り」に相当する。大当り4の終了後に注意喚起表示が行われるようにすることもできるが、実施例2では、ある程度の出玉が手元に残る上に有利な遊技状態に移行して、遊技者がしばらくの間、遊技球を借りることがなくなる大当り1、2の後に注意喚起表示が行われる。 【0201】 次に、図21を参照して、実施例2の受信コマンド解析処理の中で行われる大当り終了時設定処理について説明する。実施例1と比較すると、注意喚起表示を行うための条件が異なる。 【0202】 まず、副制御手段は、大当り種別が大当り1又は大当り2であるか否かを判定する(ステップS201)。大当り種別が大当り1又は大当り2である場合には、「YES」の判定となり、ステップS202に進む。一方、何れでもない場合(大当り3、4の場合)には、「NO」の判定となり、ステップS206に進む。 【0203】 ステップS201の判定が「YES」である場合、副制御手段は、大当り発生時は開放延長中であったか否かを判定する(ステップS202)。普通電動役物の開放延長が行われるのは、潜伏確変を除く確変遊技状態と時短遊技状態の場合である。 【0204】 大当り発生時、開放延長中であった場合には、今回、大当り1又は大当り2が2回目以降の当りとして発生したことになる。この場合、「YES」の判定となり、ステップS204に進む。一方、開放延長中でなかった場合には、今回、初めて大当り1又は大当り2に当選したことになる。この場合、「NO」の判定となり、ステップS203に進む。 【0205】 ステップS202の判定が「YES」である場合、副制御手段は、前回の大当り種別が大当り3であるか否かを判定する(ステップS204)。前回の大当りが大当り3である場合には、まだ注意喚起表示が行われていない。この場合、「YES」の判定となり、ステップS203に進む。 【0206】 一方、前回の大当りが大当り3でない場合、例えば、大当り1に連続して当選したような場合には、既に注意喚起表示が行われている。この場合、「NO」の判定となり、ステップS205に進む。 【0207】 次に、ステップS204の判定が「YES」である場合、又はステップS202の判定が「NO」である場合、副制御手段は、終了表示を設定する(ステップS203)。具体的には、終了表示として表示態様1が選択される。すなわち、まだ注意喚起表示が行われていない場合であるので、注意喚起表示を含む表示態様1が選択される。その後、大当り終了時設定処理を終了する。 【0208】 ステップS204の判定が「NO」である場合、副制御手段は、終了表示を設定する(ステップS205)。これは、注意喚起表示が既に行われている場合であるので、終了表示として表示態様2が選択される。その後、大当り終了時設定処理を終了する。 ・・・略・・・ 【0210】 実施例1では、大当り種別と表示済フラグの有無が注意喚起表示を行うか否かの条件であったが、実施例2では、その条件を大当り種別と大当り発生時の遊技状態(開放延長中か否か)とした。」 オ 「【図9】 」 カ 「【図21】 」 (認定事項) 上記エ【0192】には、「…実施例2…実施例1と異なる部分について説明する。」と記載されているから、実施例2について説明されていない部分に関しては、実施例1と同じであると認められるため、以下ではそのように解することとする。 キ 上記ア【0028】には、「パチンコ遊技機1の背面」と記載され、上記ア【0031】には、「演出制御基板25を収納した…演出制御基板ケース25aと、液晶制御基板26を収納した…液晶制御基板ケース26aとが設けられている。」と記載され、上記ア【0033】には、「主制御基板24を収納した…主制御基板ケース24aが設けられている。」と記載されているから、先願明細書等1には、パチンコ遊技機1は、主制御基板24と、演出制御基板25及び液晶制御基板26と、を備えることが記載されているといえる。 ク (ア)上記ウ【0112】には、「…ステップS604以降は、大当りが発生した場合の処理…」と記載され、上記オ【図9】から、「特別電動役物管理処理は、ステップS604以降に、特別電動役物作動開始処理、及び特別電動役物作動中処理を有している」ことが把握されるので、特別電動役物作動開始処理及び特別電動役物作動中処理は、大当りが発生した場合の処理である。 そして、上記ウ【0106】には、「…主制御手段は、特別電動役物管理処理を行う。」と記載され、上記ウ【0122】には、「…特別電動役物管理処理の中で行われる特別電動役物作動開始処理…主制御手段は…この処理を行う。」と記載され、上記ウ【0130】には、「…特別電動役物管理処理の中で行われる特別電動役物動作中処理…主制御手段は…この処理を行う。」と記載されているから、主制御手段は、特別電動役物管理処理の中で、大当りが発生した場合の処理として、特別電動役物作動開始処理及び特別電動役物動作中処理を行うといえる。 (イ)上記ウ【0122】には、「特別電動役物管理処理の中で行われる特別電動役物作動開始処理」と記載され、上記ウ【0126】には、「…主制御手段は、大当り種別とラウンド数に応じた特別電動役物作動時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。」と記載され、上記ウ【0129】には、「主制御手段は、大入賞口開閉動作設定を行う(ステップS115)…大当り種別とラウンド数に応じた大入賞口開閉動作設定テーブルと、特別電動役物作動タイマの値とを取得し、大入賞装置39の開閉扉の動作を設定する。」と記載されているから、主制御手段は、特別電動役物管理処理の中で行われる特別電動役物作動開始処理において、大当り種別とラウンド数に応じて大入賞装置39の開閉扉の動作を設定するといえる。 また、上記ウ【0130】には、「特別電動役物管理処理の中で行われる特別電動役物動作中処理」と記載され、上記ウ【0132】には、「…主制御手段は、大入賞口開閉動作設定を行う。…ステップS115と同じ処理である…」と記載されているから、主制御手段は、特別電動役物管理処理の中で行われる特別電動役物作動中処理においても、大当り種別とラウンド数に応じて大入賞装置39の開閉扉の動作を設定するといえる。 したがって、上記(ア)より、主制御手段は、特別電動役物管理処理の中で、大当りが発生した場合の処理として、大当り種別とラウンド数に応じて大入賞装置39の開閉扉の動作を設定するといえる。 (ウ)上記ア【0045】には、「大入賞装置39a、39bは…特別図柄の抽選に当選し…大当りとなったときに所定時間開放される…多くの賞球を獲得することが可能となる」と記載されている。 そして、実施例1について、上記ウ【0107】には、「特別図柄が当り態様で停止した場合には、いわゆる大当りとなり、所定ラウンド数の大当り遊技が遊技者に付与される。」と記載され、上記ウ【0170】には、「…大当り種別には、大当り1?4があるが、抽選により当選した大当り種別…」と記載されている。 また、実施例2について、上記エ【0193】には、「実施例2の大当りには、大当り1?4の4種類があり」と記載され、上記エ【0194】には、「…「大当り1」…これは、15ラウンドの確率変動付き大当りである。」と記載され、上記エ【0196】には、「…「大当り2」…これは、5ラウンドの確率変動付き大当りである。」と記載されている。 これらの記載を参照すれば、実施例2において、特別図柄の抽選に当選し大当りとなり、抽選により当選した大当り種別が大当り1又は大当り2であるとき、大入賞装置39a、39bが多くの賞球を獲得することが可能となるように所定時間開放される、大当り1又は大当り2の大当り遊技が付与されるといえる。 (エ)上記ウ【0106】に「主制御手段は、特別電動役物管理処理を行う。これは、特別図柄の抽選結果により…大入賞装置39a、39b…の動作を制御する処理である。」と記載されていること、及び上記(イ)より、主制御手段が、特別電動役物管理処理の中で、大当りが発生した場合の処理として、大当り種別とラウンド数に応じて大入賞装置39の開閉扉の動作を設定することを考慮すれば、上記(ウ)に記載の所定ラウンド数の大当り1又は大当り2の大当り遊技を付与するのが、主制御手段であることは記載されているに等しい事項である。 (オ)したがって、上記(ウ)及び(エ)より、先願明細書等1には、実施例2において、主制御手段は、特別図柄の抽選に当選し大当りとなり、抽選により当選した大当り種別が大当り1又は大当り2であるとき、大入賞装置39a、39bが多くの賞球を獲得することが可能となるように所定時間開放される、大当り1又は大当り2の大当り遊技を付与することが記載されているといえる。 ケ 上記ア【0041】には、「液晶表示装置36は…各種演出を遊技に応じて表示する…」と記載され、上記ア【0066】には、「液晶制御基板26は、演出制御基板25からコマンドを受けて液晶表示装置36の表示制御を行う…」と記載され、上記ア【0071】には、「…液晶制御基板26は、演出制御基板25から送信された液晶制御コマンドに基づき…液晶表示装置36に演出画像や動画を表示している。」と記載されているから、演出制御基板25と液晶制御基板26とは協働して、液晶表示装置36の表示制御を行っているといえるので、先願明細書等1には、演出制御基板25及び液晶制御基板26は、遊技に応じて各種演出を表示する液晶表示装置36の表示制御を行うことが記載されているといえる。 コ (ア)実施例2について、上記エ【0193】には、「実施例2の大当りには、大当り1?4の4種類があり」と記載され、上記エ【0195】には、「大当り1では…表示態様1又は表示態様2が実行される…」と記載され、上記エ【0196】には、「「大当り2」…表示態様1又は表示態様2が実行される…」と記載されているから、実施例2の大当り1又は大当り2では、表示態様1又は表示態様2が実行されるといえる。 したがって、実施例2の大当り1又は大当り2では、表示態様1が実行可能であるといえる。 (イ)そして、表示態様1に関して、実施例1についての記載として、上記イ【0082】には、「…「表示態様1」…これは…大当り1(初回のみ)の終了インターバル期間に実行される表示態様である。…当り遊技の終了と共に、「○○モード突入」という演出表示が行われ…」と記載され、上記イ【0084】には、「その後…注意喚起表示が行われる。…注意喚起表示は、球貸機に挿入されたプリペイドカードが排出される様子を示す動画となっている…プリペイドカードの絵と共に、「プリペイドカードの取り忘れにご注意ください!」との文字情報が表示される。」と記載され、上記イ【0086】には、「注意喚起表示の表示期間が終了…その後、図柄の変動が開始する。ここでは、当り遊技終了から図柄の変動開始前までの間が大当り終了インターバル期間であり…」と記載されているから、実施例2の表示態様1においても、初回のみの、当り遊技終了から図柄の変動開始前までの終了インターバル期間に、「○○モード突入」という演出表示が行われ、その後、球貸機に挿入されたプリペイドカードが排出される様子を示す動画と、プリペイドカードの絵と共に、「プリペイドカードの取り忘れにご注意ください!」との文字情報が表示される注意喚起表示が行われるといえる。 (ウ)また、表示態様2に関して、実施例1についての記載として、上記イ【0087】には、「…「表示態様2」…これは…終了インターバル期間に実行される…2回目以降の大当りとして発生した場合には、「○○モード継続」の演出表示となる。」と記載され、上記イ【0088】には、「…注意喚起表示は実行されず…」と記載されているから、実施例2の表示態様2においても、2回目以降の大当りとして発生した場合、「○○モード継続」の演出表示となり、注意喚起表示は実行されないといえる。 (エ)上記(ア)から(ウ)より、先願明細書等1には、実施例2において、球貸機に挿入されたプリペイドカードが排出される様子を示す動画と、プリペイドカードの絵と共に、「プリペイドカードの取り忘れにご注意ください!」との文字情報が表示される注意喚起表示を、大当り1又は大当り2の終了インターバル期間中に実行可能であり、初回のみ、「○○モード突入」という演出表示が行われ、前記注意喚起表示を行う表示態様1と、2回目以降の大当りとして発生した場合、「○○モード継続」の演出表示となり、注意喚起表示は実行されない表示態様2とを有していることが記載されているといえる。 サ (ア)実施例1について、上記ウ【0158】には、「…副制御手段は、受信コマンド解析処理を行う。」と記載され、上記ウ【0165】には、「…副制御手段は、受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドであるか否かを判定する(ステップS162)。」と記載され、上記ウ【0167】には、「ステップS162の判定が「YES」である場合…大当り開始時設定処理を行う(ステップS163)。」と記載されているから、実施例1において、副制御手段は、受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドである場合、大当り開始時設定処理を行うといえる。 (イ)また、実施例1について、上記ウ【0168】には、「…受信信コマンド解析処理の中で行われる大当り開始時設定処理…」と記載され、上記ウ【0169】には、「…副制御手段は、大当り開始前の遊技状態を記憶する…」と記載され、上記ウ【0170】には、「…副制御手段は…抽選により当選した大当り種別を…記憶する。」と記載されているから、副制御手段は、大当り開始時設定処理において、抽選により当選した大当り種別及び大当り開始前の遊技状態を記憶するといえる。 (ウ)したがって、上記(ア)及び(イ)より、実施例1において、副制御手段は、受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドである場合、抽選により当選した大当り種別及び大当り開始前の遊技状態を記憶する。 そして、実施例2については、副制御手段の大当り開始時設定処理に関して特段の記載がないので、実施例2においても、副制御手段は、受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドである場合、抽選により当選した大当り種別及び大当り開始前の遊技状態を記憶するといえる。 シ (ア)実施例1について、上記ウ【0158】には、「…副制御手段は、受信コマンド解析処理を行う。」と記載され、上記ウ【0172】には、「…副制御手段は、受信コマンドが大当り終了インターバルコマンドであるか否か判定する(ステップS164)。」と記載され、上記ウ【0174】には、「ステップS164の判定が「YES」である場合…大当り終了時設定処理を行う(ステップS165)。」と記載されているから、副制御手段は、受信コマンドが大当り終了インターバルコマンドである場合、大当り終了時設定処理を行うといえる。 そして、実施例2については、副制御手段の受信コマンド解析処理に関して特段の記載がないので、実施例2においても、副制御手段は、受信コマンドが大当り終了インターバルコマンドである場合、大当り終了時設定処理を行うといえる。 (イ)実施例2の大当り終了時設定処理に関して、上記エ【0201】には、「実施例2の…大当り終了時設定処理…」と記載され、上記エ【0202】には、「…副制御手段は…大当り種別が大当り1又は大当り2である場合には…ステップS202に進む。」と記載され、上記エ【0203】には、「副制御手段は、大当り発生時は開放延長中であったか否かを判定する(ステップS202)。」と記載され、上記エ【0204】には、「大当り発生時、開放延長中であった場合には…大当り1又は大当り2が2回目以降の当りとして発生した…この場合…ステップS204に進む。…開放延長中でなかった場合には…初めて大当り1又は大当り2に当選した…この場合…ステップS203に進む。」と記載され、上記エ【0205】には、「…副制御手段は…前回の大当りが大当り3である場合には…ステップS203に進む。」と記載され、上記エ【0206】には、「…大当り1に連続して当選したような場合には…ステップS205に進む。」と記載されている。 これらの記載を考慮しつつ、上記カ【図21】の大当り終了時設定処理のフローチャートを参照すれば、実施例2の大当り終了時設定処理において、副制御手段は、大当り種別及び大当り発生時は開放延長中であったか否かを判定することにより、初めて大当り1又は大当り2に当選した場合、ステップS203に進み、開放延長中に大当り1又は大当り2が2回目以降の当りとして発生した場合、ステップS205に進むといえる。 (ウ)また、上記エ【0207】には、「…副制御手段は、終了表示を設定する(ステップS203)。…表示態様1が選択される。」と記載され、上記【0208】には、「…副制御手段は、終了表示を設定する(ステップS205)。…表示態様2が選択される。」と記載されているから、上記(イ)より、実施例2の大当り終了時設定処理において、副制御手段は、大当り種別及び大当り発生時は開放延長中であったか否かを判定することにより、初めて大当り1又は大当り2に当選した場合には、表示態様1を選択し、開放延長中に大当り1又は大当り2が2回目以降の当りとして発生した場合には、表示態様2を選択するといえる。 (エ)ここで、上記ウ【0169】には、「遊技状態には、通常遊技状態、確変遊技状態(潜伏確変を含む)、時短遊技状態がある…」と記載され、上記エ【0203】には、「普通電動役物の開放延長が行われるのは、潜伏確変を除く確変遊技状態と時短遊技状態の場合である。」と記載され、上記エ【0210】には、「注意喚起表示を行うか否かの条件…実施例2では、その条件を大当り種別と大当り発生時の遊技状態(開放延長中か否か)とした。」と記載されているから、上記シ(エ)より、表示態様1では注意喚起表示を行い、表示態様2では注意喚起表示は実行されないことを勘案すれば、上記(ウ)より、実施例2の大当り終了時設定処理において、副制御手段は、初めて大当り1又は大当り2に当選し、表示態様1を選択する場合と、開放延長中に大当り1又は大当り2が2回目以降の当りとして発生し、表示態様2を選択する場合とを、大当り種別及び大当り発生時の遊技状態を条件として判定するといえる。 (オ)また、上記エ【0200】には、「…遊技者がしばらくの間、遊技球を借りることがなくなる大当り1、2…」と記載されているから、上記(エ)、シ(エ)及びス(ウ)より、先願明細書等1に記載の実施例2において、初めて大当り1又は大当り2に当選した初回のみ、「○○モード突入」という演出表示が行われ、前記注意喚起表示を行う表示態様1を選択する場合と、遊技者がしばらくの間、遊技球を借りることがなくなる大当り1又は大当り2が開放延長中に2回目以降の当りとして発生し、「○○モード継続」の演出表示となり、注意喚起表示は実行されない表示態様2を選択する場合とが、副制御手段により、受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドである場合に、抽選により当選した大当り種別及び大当り開始前の遊技状態が記憶され、受信コマンドが大当り終了インターバルコマンドである場合に、大当り種別及び大当り発生時の遊技状態を条件として判定されるといえる。 上記記載事項アからカ、及び上記認定事項キからシを総合すると、先願明細書等1には、 「a 特別図柄の抽選に当選し大当りとなり、抽選により当選した大当り種別が大当り1又は大当り2であるとき、大入賞装置39a、39bが多くの賞球を獲得することが可能となるように所定時間開放される、大当り1又は大当り2の大当り遊技を付与する主制御基板24と、 (記載事項ウ【0094】、認定事項キ、ク(オ)) b 遊技に応じて各種演出を表示する液晶表示装置36の表示制御を行う演出制御基板25及び液晶制御基板26と、 (認定事項キ、ケ) を備え、 (認定事項キ) c 球貸機に挿入されたプリペイドカードが排出される様子を示す動画と、プリペイドカードの絵と共に、「プリペイドカードの取り忘れにご注意ください!」との文字情報が表示される注意喚起表示を、大当り1又は大当り2の終了インターバル期間中に実行可能であり、 (認定事項コ(エ)) d 初めて大当り1又は大当り2に当選した初回のみ、「○○モード突入」という演出表示が行われ、前記注意喚起表示を行う表示態様1と、遊技者がしばらくの間、遊技球を借りることがなくなる大当り1又は大当り2が開放延長中に2回目以降の当りとして発生し、「○○モード継続」の演出表示となり、注意喚起表示は実行されない表示態様2とを有し、 (認定事項コ(エ)、シ(オ)) e 初めて大当り1又は大当り2に当選した初回のみ、「○○モード突入」という演出表示が行われ、前記注意喚起表示を行う表示態様1を選択する場合と、遊技者がしばらくの間、遊技球を借りることがなくなる大当り1又は大当り2が開放延長中に2回目以降の当りとして発生し、「○○モード継続」の演出表示となり、注意喚起表示は実行されない表示態様2を選択する場合とが、演出制御基板25により、受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドである場合に、抽選により当選した大当り種別及び大当り開始前の遊技状態が記憶され、受信コマンドが大当り終了インターバルコマンドである場合に、大当り種別及び大当り発生時の遊技状態を条件として判定される (記載事項ウ【0152】、認定事項シ(オ)) f パチンコ遊技機1。 (記載事項ア【0022】)」 の発明(以下「先願発明1」という。)が記載されていると認められる(なお、aからfは、本件補正発明のAからFに対応させて当審で付与した。)。 (4)対比・判断 本件補正発明と先願発明1とを対比する(なお、本件補正発明の構成AからFに対応して、当審で見出し(A)から(F)を付した。)。 (A)先願発明1における「特別図柄の抽選」が遊技の進行過程において行われることは明らかである。 そして、先願発明1における「特別図柄の抽選に当選し大当りとなり、抽選により当選した大当り種別が大当り1又は大当り2である」ことは、本件補正発明における「遊技進行過程において所定の特別遊技条件が成立する」ことに相当する。 また、先願発明1における「大入賞装置39a、39bが多くの賞球を獲得することが可能となるように所定時間開放される、大当り1又は大当り2の大当り遊技」は、本件補正発明における「可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とする特別遊技」に相当する。 したがって、先願発明1の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当する。 (B)先願発明1において、「遊技に応じて」いることは、本件補正発明において、「遊技進行に合わせて」いることに相当するから、各種演出を表示する液晶表示装置36の表示制御を行う演出制御基板25及び液晶制御基板26」は、本件補正発明における「遊技進行に合わせて所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段」に相当する。 したがって、先願発明1の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当する。 (C)先願発明1における「球貸機に挿入されたプリペイドカードが排出される様子を示す動画と、プリペイドカードの絵と共に、「プリペイドカードの取り忘れにご注意ください!」との文字情報が表示される注意喚起表示」は、本件補正発明における「取り忘れ防止用の演出」に相当する。 そして、先願発明1における「終了インターバル期間」は、注意喚起表示(取り忘れ防止用の演出)を実行可能であるから、本件補正発明における「終了デモ期間」に相当する。 したがって、先願発明1の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する。 (D)先願発明1において、「初めて大当り1又は大当り2に当選した初回のみ、「○○モード突入」という演出表示が行われ、前記注意喚起表示を行う表示態様1」は、本件補正発明において、「初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合」に相当する。 また、先願発明1において、「遊技者がしばらくの間、遊技球を借りることがなくなる大当り1又は大当り2が開放延長中に2回目以降の当りとして発生し、「○○モード継続」の演出表示となり、注意喚起表示は実行されない表示態様2」は、本件補正発明において、「持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合」に相当する。 したがって、先願発明1の構成dは、本件補正発明の構成Dに相当する。 (E)先願発明1における「大当り開始インターバルコマンド」及び「大当り終了インターバルコマンド」は、本件補正発明における「一組の制御コマンド」に相当する。 そして、先願発明1においては、「受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドである場合に、抽選により当選した大当り種別及び大当り開始前の遊技状態が記憶され」て、当該記憶された「大当り種別及び大当り発生時の遊技状態を条件として」、「受信コマンドが大当り終了インターバルコマンドである」ことを契機に「判定される」。 してみると、先願発明1においては、「大当り種別及び大当り開始前の遊技状態が記憶され」るための「大当り開始インターバルコマンド」と、当該記憶された「大当り種別及び大当り発生時の遊技状態を条件として」「判定」を開始するための「大当り終了インターバルコマンド」との両方(「一組の制御コマンド」)を受信することによって、「判定」が可能になっているといえる。 したがって、先願発明1の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する。 (F)先願発明1の構成fにおける「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明における「遊技機」に相当するから、先願発明1の構成fは、本件補正発明の構成Fに相当する。 以上より、本件補正発明と先願発明1とは、全ての点で一致し、相違するところはない。 したがって、本件補正発明と先願発明1とは同一である。 (5)審判請求人の主張について 審判請求人は、平成29年10月27日提出の審判請求書の「5.補正の却下の決定にてご指摘頂いた点(特許法第29条の2)について」において、概ね以下のとおり主張している。 「…本願発明…は…主引用発明{引用文献1(特願2012-145864号(特開2014-8145号))に係る発明}と比較し、<相違点>「前記初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、前記持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とが、一組の制御コマンドにより判断可能になっている」との点、で少なくとも相違する。」 「…本願発明では、<相違点>となる構成を採用することで、「特別遊技実行手段」(本願実施例中での主制御基板70)から「遊技演出実行手段」(本願実施例中でのサブ制御基板90)に対して、「初当りであることを示す遊技演出を行い取り忘れ防止演出を発生させる」べきか「持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い取り忘れ防止演出を発生させない」べきかを、一組の制御コマンドで指示するのみで切り分けることができる。これにより、「遊技演出実行手段」(本願実施例中でのサブ制御基板90)側では、このような切り分けを行うための特別な処理を行う必要がなくなり、「特別遊技実行手段」(本願実施例中での主制御基板70)という遊技進行を制御する側での決定・指示に基づき従属的に動作すれば良くなるので、「遊技演出実行手段」(本願実施例中でのサブ制御基板90)側の開発難易度を下げることができるという効果を奏する。」 「主引用発明である引用文献1に係る発明は…表示態様1…とすべきか、表示態様2…とすべきかを、副制御手段側…で切り分けるための特別な処理…を行っている。これは、本願発明のように、「一組の制御コマンド」…に基づいて、このような切り分けができないためであり、その証拠に引用文献1の段落0074乃至0078(図5)に記載されているように、このような切り分けの対象となる大当り種別の大当り終了インターバルに関する制御コマンドが同一となっている。また、この点については、引用文献1の段落0192乃至0209(図20乃至21)に記載されている変形例においても同様である。」 上記主張については、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1には上記(1)に記載したとおり、「前記初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、前記持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とが、一組の制御コマンドにより判断可能になっている」と記載されるのみであり、制御コマンドが何から何に対して指示する制御コマンドであるかまで記載されていない。また、「遊技演出実行手段」側では、切り分けを行うための特別な処理を行う必要がなくなり、「特別遊技実行手段」という遊技進行を制御する側での決定・指示に基づき従属的に動作すれば良くなることも記載されていない。 そして、上記(4)における本件補正発明と先願発明1との一致点のとおり、先願発明1の構成eにおける「大当り開始インターバルコマンド」及び「大当り終了インターバルコマンド」は、本件補正発明の「一組の制御コマンド」に相当し、先願発明1の構成eにおいて、「演出制御基板25により、受信コマンドが大当り開始インターバルコマンドである場合に、抽選により当選した大当り種別及び大当り開始前の遊技状態が記憶され、受信コマンドが大当り終了インターバルコマンドである場合に、大当り種別及び大当り発生時の遊技状態を条件として判定される」ことは、本件補正発明の「一組の制御コマンドにより判断可能になっている」ことに相当している。 したがって、審判請求人の主張は請求項の記載に基づくものではなく、採用できない。 (6)小括 以上のとおり、本件補正発明は、先願発明1と同一の発明であり、しかも、本件補正発明の発明者が先願発明1の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の原出願の出願日において、本願の出願人が先願1の出願人と同一であるともいえないので、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 本件補正についてのむすび 本件補正は、上記2(2)のとおり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項の規定に違反しないものだとしても、本件補正発明は、上記3(2)及び上記3(6)のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年8月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(当審にて、分説のための記号を付した。)。 「 【請求項1】 A 遊技進行過程において所定の特別遊技条件が成立すると、可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とする特別遊技を行う特別遊技実行手段と、 B 遊技進行に合わせて所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段と、 を備え、 C’記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う F ことを特徴とする遊技機。」 第4 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 1.(新規性)この出願の平成28年8月5日提出の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の平成28年8月5日提出の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、原出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、原出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.(拡大先願)この出願の平成28年8月5日提出の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、原出願の出願の日前の特許出願であって、原出願の出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の先願2の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者が先願2に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また原出願の出願の時において、この出願の出願人が先願2の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 記 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について 引用文献1の段落0054?0059、図14、図20(b)には、大当たり終了演出処理において、カードの排出を報知する画像(図20(b))を画面6aに出力することが記載されており、これが補正後の請求項1に係る発明における「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特定遊技の終了デモ期間中に行うこと」に相当する。 理由3(進歩性)について 補正後の請求項1に係る発明は、先願2の段落0029、図9等に記載されている。 引用文献1 特開2011-45402号公報 先願2 特願2012-159802号(特開2014-18426号) 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について 引用文献1の段落0054?0059、図14、図20(b)には、大当たり終了演出処理において、カードの排出を報知する画像(図20(b))を画面6aに出力することが記載されており、これが補正後の請求項1に係る発明における「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特定遊技の終了デモ期間中に行うこと」に相当する。 理由3(進歩性)について 補正後の請求項1に係る発明は、先願2の段落0029、図9等に記載されている。 第5 原査定の理由2(進歩性)について 1 引用発明1 原査定の理由に用いられた、原出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2011-45402号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている(下線は当審にて付与した。)。 (記載事項) ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 遊技域に始動口を備え、該始動口に入球すると乱数値を発生させ、該乱数値により当否を判定し、当たりと判定した場合には、遊技者に有利な大当り遊技状態を発生させる遊技機において、 当該遊技機にて使用される遊技球の貸出料となる代金が記録されたカードを挿入可能なカードユニットと、 該カードユニットから前記カードを排出する際に操作するための排出指示手段と、 該カードユニットに前記カードが挿入されているか否かを判定するカード有無判定手段と、 当該遊技機が前記大当たり遊技状態にある場合に、前記カード有無判定手段が、前記カードユニットに前記カードが挿入されていると判定すると、前記排出指示手段を操作する旨を遊技者に促す報知動作を行なう排出報知手段と を備えたことを特徴とする遊技機。 ・・・略・・・ 【請求項3】 前記大当たり状態は、前記遊技域に形成された大入賞口を入球可能な状態にすることにより、前記大当たり状態ではない状態よりも、遊技者が賞球を容易に得られる状態であり、 前記排出報知手段が前記報知動作を行なう際には、前記賞球の遊技者への払出を中断させる賞球停止手段 を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。」 イ 「【0014】 以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。 [実施例1] 【0015】 図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。 外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。 ・・・略・・・ 【0021】 図3に示すように、パチンコ機50の裏側は、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。 また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。 ・・・略・・・ 【0025】 主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。 また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置9及び普通図柄表示装置7の表示、特別図柄保留記憶表示装置10及び普通図柄保留記憶表示装置8の点灯を制御する。 更に、主制御装置80は、遊技盤中継端子板74を介して大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普電役物ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。なお、普電役物とは普通電動役物を示す。 主制御装置80からの出力信号は、上記のほかにも試験信号端子や、図柄変動や大当たり等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールメインコンピュータに送られる。 ・・・略・・・ 【0029】 サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LEDや各種ランプを制御する。なお、音声出力に関しては、音量調整スイッチ83aにて音量を調節することができる。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67が接続されており、遊技者が演出ボタン67を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。 【0030】 サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。 演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、疑似図柄等の演出画像を画面6aに表示させる。」 ウ 「【0042】 図9?10に、主制御装置80のCPUにより実行される特別遊技処理のフローチャートを示す。本処理が起動されると、S300にて役物連続作動装置が作動中か否かを判定する。役物連続作動装置が作動していない場合(S300:no)は、本処理を終了(リターン)する。役物連続作動装置が作動している場合(S300:yes)は、大入賞口14が開放中か否かを判定する(S305)。大入賞口14が開放中であれば(S305:yes)、S330に移行し、大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。大入賞口14に10個入賞していない場合(S330:no)は、S335にて大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定し、終了していない場合(S335:no)は、本処理を終了する。大入賞口14に10個入賞している場合(S330:yes)または大入賞口14の開放時間が終了している場合(S335:yes)は、S340に進み、大入賞口14の閉鎖を設定する処理を行い(S340)、大当たりインターバル処理(S345)を実行して本処理を終了する。 【0043】 S305において、大入賞口14が開放中ではないと判定された場合(S305:no)は、S310に移行し、インターバル中か否かを判定し、インターバル中ではない場合(S310:no)は、大当たり終了演出中か否かを判定する(S315)。大当たり終了演出中でない場合(S315:no)は、大当たり開始演出時間が経過したか否かを判定する(S320)。大当たり開始演出時間が経過した場合(S320:yes)は、大入賞口14の開放を設定する処理を実行(S325)して本処理を終了する。大当たり開始演出時間が経過していない場合(S320:no)は、そのまま本処理を終了する。 【0044】 S310でインターバル中であると判定された場合には、S350に移行して、大当たりインターバル時間が経過したか否かを判定する。経過していない場合(S350:no)は本処理を終了し、経過した場合(S350:yes)は、S355に進み、最終ラウンドか否かを判定する。最終ラウンドであれば(S355:yes)、S360にて大当たり終了演出処理を行なって、本処理を終了する。最終ラウンドでなければ(S355:no)、S365にて大入賞口開放処理を行なって、本処理を終了する。 ・・・略・・・ 【0046】 つまりこの特別遊技処理によれば、表面上、通常の遊技機において特別遊技中に行なわれる処理と同様の処理を行なっている。ただし、S325の大入賞口開放設定処理、S345の大入賞口閉鎖設定処理、S360の大当たり終了演出処理の各処理内が、本発明に係る内容となっている。 ・・・略・・・ 【0050】 図12に戻る。続くS525にて現在が10ラウンド目か否かを判定し、10ラウンド目であれば(S525:yes)、球貸し禁止信号を払出制御装置81に送信する処理を実行し(S530)、大入賞口開放処理を実行して(S535)、本処理を終了(リターン)する。なお、S505で5ラウンド目か10ラウンド目のいずれでもないと判定された場合、S510でカードフラグが1ではないと判定された場合、又はS525で10ラウンド目でないと判定された場合は、大入賞口開放処理を実行して(S535)、本処理を終了する。 ・・・略・・・ 【0054】 図14に、S360の大当たり終了演出処理のフローチャートを示す。本処理が起動されると、S600にてカードフラグが1か否かを判定する。カードフラグが1であれば(S600:yes)、S605にてカード排出要求信号1を払出制御装置81に送信する処理を行い、S610にてカード排出を報知する信号をサブ制御装置83に送信する処理を行い、S615にて大当たり終了演出開始処理を実行して、本処理を終了(リターン)する。カードフラグが1でなければ(S600:no)、S615に直行して大当たり終了演出開始処理を実行して、本処理を終了する。 【0055】 つまり大当たり終了演出処理によれば、カードフラグが1(CRユニット56にカードが挿入されている状態)の場合に、カード排出を払出制御装置81に要求し、カード排出を報知する要求をサブ制御装置83に送信する処理となっている。それ以外は従前の大当たり終了演出処理と同様である。 【0056】 図15に、サブ制御装置83のCPUにより実行されるカード排出報知処理のフローチャートを示す。本処理はタイマ割り込みにより繰り返し起動される。本処理が起動されると、まずS650にて、排出要求を報知中か否かを判定し、報知中であれば(S650:yes)、S655にて排出要求報知終了信号を受信したか否かを判定する。排出要求報知終了信号とは図11の主カード処理のS470で主制御装置80から送信される信号である。排出要求報知終了信号を受信した場合(S655:yes)は、排出要求終了処理を実行(S660)し、本処理を終了(リターン)する。排出要求報知終了信号を受信していない場合(S655:no)は、S665に移行し、インターバルコマンドを受信したか否かを判定する。インターバルコマンドとは図9の特別遊技処理のS345で主制御装置80から送信される信号である。インターバルコマンドを受信した場合(S665:yes)は、排出要求終了処理(S660)を実行してから、本処理を終了する。インターバルコマンドを受信していない場合(S665:no)は、そのまま本処理を終了する。 ・・・略・・・ 【0058】 排出要求報知信号を受信していない場合(S670:no)は、S680に移行し、カード排出報知信号を受信したか否かを判定する。カード排出報知信号とは図14の大当たり終了演出処理のS610で主制御装置80から送信される信号である。カード排出報知信号を受信した場合(S680:yes)は、排出報知処理を実行(S685)してから、本処理を終了する。排出報知処理では、図20(b)に示すような画像が画面6aに出力される。カード排出報知信号を受信していない場合(S680:no)は、そのまま本処理を終了する。 【0059】 つまりカード排出報知処理によれば、主制御装置80からの信号に基づいて、カードの排出を報知する画像(図20(b))を画面6aに出力したり(S685)、カードの排出を促す画像(図20(a))を画面6aに出力したり(S675)、該画像の出力を停止させたり(S660)する処理となっている。また、図20(a)は5ラウンド目で表示される画像となっており、10ラウンド目で表示される画像では左上に「ラウンド10」と表示される。」 エ 「【図9】 」 オ 「【図15】 」 カ 「【図20】 ・・・略・・・ 」 (認定事項) キ 上記イ【0021】には、「パチンコ機50の裏側には…主制御装置80…演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83…が設けられている。」と記載されているから、パチンコ機50は、主制御装置80と、演出図柄制御装置82及びサブ統合制御基板83と、を備えているといえる。 ク (ア)上記ア【請求項1】には、「…始動口に入球すると乱数値を発生させ、該乱数値により当否を判定し、当たりと判定した場合には、遊技者に有利な大当り遊技状態を発生させる遊技機…」と記載され、上記イ【0014】には、「…本発明の好適な実施形態…[実施例1]…」と記載され、上記イ【0015】には、「…パチンコ機50…」と記載されているので、【特許請求の範囲】に記載の遊技機の実施形態である実施例1のパチンコ機50は、始動口に入球すると乱数値を発生させ、該乱数値により当否を判定し、当たりと判定した場合には、遊技者に有利な大当り遊技状態を発生させるといえる。 (イ) ここで、上記ア【請求項1】には、「当該遊技機が前記大当たり遊技状態にある場合に…報知動作を行なう…」と記載され、上記ウ【0046】には、「…特別遊技中に行なわれる処理…の各処理内が、本発明に係る内容…」と記載されているので、実施例1における「特別遊技」が、【特許請求の範囲】における「大当たり遊技状態」に対応するといえる。 そして、上記ア【請求項3】に、「前記大当たり状態は…大入賞口を入球可能な状態にすることにより…遊技者が賞球を容易に得られる状態であり」と記載されていることに照らして、上記ウ【0042】に記載の「…特別遊技処理…」において、「…大入賞口開放処理を実行して…」いる(上記ウ【0050】)ことを考慮すれば、上記(ア)より、実施例1のパチンコ機50は、始動口に入球すると乱数値を発生させ、該乱数値により当否を判定し、当たりと判定した場合には、大入賞口を入球可能な状態にすることにより、遊技者が賞球を容易に得られる状態である特別遊技を発生させるといえる。 (ウ)また、上記イ【0025】には、「主制御装置80は…大入賞口14の開閉を制御し」と記載されているので、上記(イ)において「大入賞口を入球可能な状態にする」のは、「大入賞口14の開閉を制御し」ている「主制御装置80」であるといえる。 (エ)したがって、上記(イ)及び(ウ)より、引用文献1には、パチンコ機50において、始動口に入球すると乱数値を発生させ、該乱数値により当否を判定し、当たりと判定した場合には、主制御基板80が大入賞口14を入球可能な状態にすることにより、遊技者が賞球を容易に得られる特別遊技を発生させることが記載されているといえる。 ケ (ア)上記ウ【0042】には、「主制御装置80のCPUにより実行される特別遊技処理…」と記載され、上記ウ【0043】-【0044】には、「…大入賞口14が開放中ではない…場合…」、「…インターバル中である…場合…大当たりインターバル時間が…経過した場合…最終ラウンドであれば…大当たり終了演出処理を行なって…」と記載され、上記ウ【0046】には、「…この特別遊技処理によれば…特別遊技中に行われる処理…を行っている。」と記載されているから、主制御装置80は、大入賞口14が開放中ではなく特別遊技の最終ラウンドの大当たりインターバル時間が経過した場合、大当たり終了演出処理を行うといえる。 (イ)そして、上記ウ【0054】には、「S610にてカード排出を報知する信号をサブ制御装置83に送信する処理を行い、S615にて大当たり終了演出開始処理を実行して」と記載され、上記ウ【0055】には、「…大当たり終了演出処理によれば…、カードフラグが1(CRユニットにカードが挿入されている状態)の場合に…カード排出を報知する要求をサブ制御装置83に送信する処理…」と記載されていることに照らして、上記エ【図9】を参照すれば、CRユニットにカードが挿入されている状態の場合に、大当たり終了演出処理において、S610にてカード排出を報知する信号をサブ制御装置83に送信する処理が実行されるといえる。 (ウ)また、上記ウ【0056】には、「図15に、サブ制御装置83のCPUにより実行されるカード排出報知処理のフローチャート…」と記載され、上記オ【図15】から、「カード排出報知処理は、S685の排出報知処理を有している」ことが把握されるので、サブ制御装置83が、排出報知処理を実行するといえる。 そして、排出報知処理について、上記ウ【0058】には、「…カード排出報知信号とは…大当たり終了演出処理のS610で主制御装置80から送信される信号…カード排出報知信号を受信した場合…は、排出報知処理を実行(S685)して…」と記載されているから、サブ制御装置83は、大当たり終了演出処理のS610で主制御装置80から送信されるカード排出報知信号を受信した場合、排出報知処理を実行するといえる。 さらに、排出報知処理について、上記ウ【0058】 には、「排出報知処理では、図20(b)に示すような画像が画面6aに出力される。」と記載され、上記ウ【0059】には、「カードの排出を報知する画像(図20(b))」と記載され、上記カ【図20】(b)から、「山、雲及びキャラクターの画像並びに「FIN」の文字が表示されるとともに、「カードを排出します。取り忘れ注意!」と表示される」ことが把握されるから、サブ制御装置83は、大当たり終了演出処理のS610において主制御装置80から送信されるカード排出報知信号を受信した場合、山、雲及びキャラクターの画像並びに「FIN」の文字が表示されるとともに、「カードを排出します。取り忘れ注意!」と表示される、カードの排出を報知する画像を画面6aに出力するといえる。 (エ)上記(ア)から(ウ)より、CRユニットにカードが挿入されている状態の場合に、大入賞口14が開放中ではなく特別遊技の最終ラウンドのインターバル時間が経過した場合、山、雲及びキャラクターの画像並びに「FIN」の文字が表示されるとともに、「カードを排出します。取り忘れ注意!」と表示される、カードの排出を報知する画像を画面6aに出力するといえる。 (オ)ここで、上記(エ)における「カード」は、上記ア【請求項1】によれば、「遊技機にて使用される遊技球の貸出料となる代金が記録されたカード」である。 上記記載事項アからカ、及び認定事項キからケを総合すると、引用文献1には、 「a1 始動口に入球すると乱数値を発生させ、該乱数値により当否を判定し、当たりと判定した場合には、大入賞口14を入球可能な状態にすることにより、遊技者が賞球を容易に得られる特別遊技を発生させる主制御基板80と、(認定事項キ、ク(エ)) b1 主制御装置80から送信されてくるデータ及び主制御装置80が生成し出力する遊技の進行に関わるコマンドを受信し、それらを演出表示制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンドを演出図柄制御装置82に送信するサブ統合制御装置83、及びサブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンドに基づいて、演出画像を画面6aに表示させる演出図柄制御装置82と、 (記載事項イ【0025】、【0029】、【0030】、認定事項キ) を備え、 (認定事項キ) c1 CRユニットに遊技機にて使用される遊技球の貸出料となる代金が記録されたカードが挿入されている状態の場合に、大入賞口14が開放中ではなく特別遊技の最終ラウンドのインターバル時間が経過した場合、山、雲及びキャラクターの画像並びに「FIN」の文字が表示されるとともに、「カードを排出します。取り忘れ注意!」と表示される、カードの排出を報知する画像を画面6aに出力する (認定事項ケ(エ)(オ)) f1 パチンコ機50。 (記載事項イ【0015】)」 の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる(なお、a1からf1は、本願発明のAからFに対応させて当審で付与した。)。 2 対比 本願発明と引用発明1とを対比する(なお、本願発明の構成A、B、C’及びFに対応して、見出し(A)、(B)、(C’)及び(F)を付した。)。 (A)引用発明1において、「始動口に入球する」のが、遊技の進行過程においてであることは自明であるから、引用発明1における「始動口に入球すると乱数値を発生させ、該乱数値により当否を判定し、当たりと判定した」ことは、本願発明における「遊技進行過程において所定の特別遊技条件が成立する」ことに相当する。 そして、引用発明1における「大入賞口14を入球可能な状態にすることにより、遊技者が賞球を容易に得られる特別遊技」は、本願発明における「可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とする特別遊技」に相当するから、引用発明1における「主制御基板80」は、本願発明における「特別遊技実行手段」に相当する。 したがって、引用発明1の構成a1は、本願発明の構成Aに相当する。 (B)引用発明1において、「演出画像を画面6aに表示させる」ことは、本願発明において、「所定の遊技演出を行う」ことに相当する。 また、引用発明1における「主制御装置80が生成し出力する遊技の進行に関わるコマンド」は、「遊技の進行に関わる」ので、遊技の進行の過程において生成され出力されるものであることは明らかである。 そうすると、「サブ統合制御装置83」及び「演出図柄制御装置82」はそれぞれ、遊技の進行の過程において生成され出力される「コマンドを受信し、それらを演出表示制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンドを演出図柄制御装置82に送信」し、「受信したデータ及びコマンドに基づいて、演出画像を画面6aに表示させる」ので、引用発明1の「主制御装置80から送信されてくるデータ及び主制御装置80が生成し出力する遊技の進行に関わるコマンドを受信し、それらを演出表示制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンドを演出図柄制御装置82に送信するサブ統合制御装置83、及びサブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンドに基づいて、演出画像を画面6aに表示させる演出図柄制御装置82」と、本願発明の「遊技進行に合わせて所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段」とは、「遊技進行」において、「所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段」である点で本願発明と共通する。 (C’)引用発明1における「遊技機にて使用される遊技球の貸出料となる代金が記録されたカード」は、本願発明における「記録媒体」に相当する。 そして、引用発明1において、「「カードを排出します。取り忘れ注意!」と表示される」ことは、「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を」、「行う」ことに相当する。 また、引用発明1において、「大入賞口14が開放中ではなく特別遊技の最終ラウンドのインターバル時間が経過した場合」は、最終ラウンド後であるから、引用発明1における「山、雲及びキャラクターの画像並びに「FIN」の文字が表示される」ことは、「FIN」が「終了」を意味することも勘案すれば、「特別遊技の終了デモ」に相当する。 そうすると、引用発明1における「山、雲及びキャラクターの画像並びに「FIN」の文字が表示されるとともに、「カードを排出します。取り忘れ注意!」と表示される、カードの排出を報知する画像を画面6aに出力する」ことは、「山、雲及びキャラクターの画像並びに「FIN」の文字が表示される」のと同時に、「カードを排出します。取り忘れ注意!」と表示されているので、本願発明における「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に行う」ことに相当する。 したがって、引用発明1の構成c1は、本願発明の構成C’に相当する。 (F)引用発明1における「パチンコ機50」は、本願発明における「遊技機」に相当するから、引用発明1の構成f1は、本願発明の構成Fに相当する。 したがって、本願発明と引用発明1とは、 「 A 遊技進行過程において所定の特別遊技条件が成立すると、可変入賞口を 遊技者にとって有利な状態とする特別遊技を行う特別遊技実行手段と、 B’遊技進行において所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段と、 を備え、 C’記録媒体の取り忘れ防止用の演出を、前記特別遊技の終了デモ期間中に 行う F ことを特徴とする遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 遊技演出実行手段が行う所定の遊技演出について、本願発明では、「遊技進行に合わせて」「行う」のに対し、引用発明1では、そのように特定されていない点。 3 当審の判断 (1)相違点1について 遊技機に関する技術分野では、遊技進行に合わせて所定の遊技演出を行うことは、原出願の出願時において、ごく当たり前に実施される周知慣用の技術である(例えば、特開2012-115397号公報の【請求項1】には、「遊技の進行に伴って各種演出を制御する」ことが記載され、【0002】には、「従来、パチンコ機に代表される遊技機では…遊技の進行に応じて各種演出が行われる。」と記載されている。また、特開2012-148000号公報の【請求項1】には、「遊技の進行に応じて前記演出ユニットに実行させる演出を制御する」という記載がある。さらに、特開2012-75710号公報の【0094】には、「遊技の進行に伴って実行される各種演出を制御する」ことが記載されている。以下「周知技術1」という。)。 したがって、引用発明1における「演出画像を画面6aに表示させる」演出について、上記周知技術1を採用して、「遊技進行に合わせて」これを行うことは、当業者が容易に想到し得ることである。 4 審判請求人等の主張について 平成29年3月21日付けの意見書の「(3-2)本願発明と引用文献発明との対比」において、平成29年3月31日付けの出願人名義変更前の出願人(以下、当初出願人という。)は概ね、「…本願発明…は…引用文献1発明…と比較し、<相違点>「初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とを有する」との点、で少なくとも相違する。」と主張している。 当初出願人の主張について、本願発明は、上記第3に記載したとおりのものであり、当初出願人が主張する上記<相違点>に係る構成を有するものではない。 したがって、当初出願人の主張を採用することはできない。 5 原査定の理由2(進歩性)についてのむすび 以上より、本願発明は、当業者が引用文献1に記載された発明及び周知技術1に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第6 原査定の理由3(拡大先願)について 1 先願発明2 原査定の理由に用いられた、原出願の特許出願の日前の他の出願であって、原出願の出願後に出願公開がなされた特願2012-159802号(以下「先願2」という。特開2014-18426号公報参照。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等2」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付したものである。)。 (記載事項) ア 「【0009】 以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。 【0010】 (パチンコ機及び球貸機の全体的な説明) 図1は、パチンコ機1及び球貸機71を前面側から模式的に示した説明図である。また、図2は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。さらに、図3は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。加えて、図4は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。 球貸機71は、パチンコ機1(特に後述する払出制御装置28)と電気的に接続され、パチンコ機1における貸球の払い出しの可否を制御するものであって、パチンコ機1毎に隣設されている。そして、球貸機71の前面には、紙幣や硬貨を投入するための投入口72、残額を記憶したプリペイド媒体を挿入/排出するための出入口73、残額等を表示する球貸機表示部74、各種操作を行う操作部75等が設けられている。 ・・・略・・・ 【0012】 当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の略中央には、「0」?「9」の数字からなる装飾図柄を表示するための図柄表示部6が設けられている。さらに、図柄表示部6を囲むようにLEDを内蔵した種々の発光部材62、62・・を備えたセンター部材26が遊技盤2に設置されており、該センター部材26の左方には、遊技球が通過可能なゲート部材60が設けられている。加えて、遊技領域16におけるセンター部材26の下方には、遊技球が入賞可能な始動入賞口19と、一対の翼片を開閉動作可能に備えたチューリップ式電動役物17と、開閉可能な扉部材を有する大入賞装置18とが設置されている。なお、発光部材62、62・・の内の一部は、電動役物として構成されている。 ・・・略・・・ 【0015】 一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂「大当たり抽選」等)を実行するためのメイン制御装置30(図5に示す)、図柄表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置50(図5に示す)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置51(図5に示す)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置52(図5に示す)、及び表示制御装置50や音制御装置52等の動作を統合的に制御するサブ制御装置40(図5に示す)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。 【0016】 次に、パチンコ機1の制御機構について、図5をもとに説明する。図5は、パチンコ機1の制御機構を示したブロック図である。 メイン制御装置30には、「大当たり抽選」の実行とともに下記部材の動作を制御するメインCPU32、ROMやRAM等といった記憶手段33、タイマ34、及びインターフェイス35等が搭載されたメイン制御基板31が内蔵されている。そして、該メイン制御基板31は、インターフェイス35を介して、始動入賞口19やチューリップ式電動役物17、大入賞装置18、払出制御装置28、電源装置29、及び特別図柄表示部61等と接続されている。また、メイン制御基板31は、サブ制御装置40内に内蔵されたサブ統合基板41とも電気的に接続されている。 ・・・略・・・ 【0019】 サブ制御装置40には、サブ統合CPU42、記憶手段43、タイマ44、及びインターフェイス45等が搭載されたサブ統合基板41が内蔵されている。該サブ統合基板41は、インターフェイス45を介してメイン制御基板31と電気的に接続されているとともに、表示制御装置50、発光制御装置51、及び音制御装置52と電気的に接続されており、サブ統合CPU42は、後述するようにメイン制御基板31から大当たり抽選に係る信号を受信すると、その信号の内容に応じて各制御装置を制御し、スピーカ14やランプ部材15の動作や、図柄表示部6における装飾図柄の表示動作を制御するようになっている。さらに、サブ統合基板41には、インターフェイス45を介して、押しボタン25、及び保留表示部20等も接続されている。」 イ 「【0021】 そして、上記パチンコ機1における基本的な遊技動作について、以下簡略に説明する。 遊技者によってハンドル9が回動操作されると、発射装置10が作動し、発射通路13を介して遊技球が遊技領域16内へ打ち込まれる。そして、遊技領域16内を流下する遊技球が始動入賞口19又はチューリップ式電動役物17へ入賞すると、当該入賞がメインCPU32により検出される。すると、メインCPU32は、入賞検出のタイミングでcカウンタ及びdカウンタから1つの数値を取得するとともに、特別図柄表示部61において特別図柄を変動表示中であるか否か、及び保留情報の有無を確認する。そして、特別図柄表示部61において特別図柄が変動中でなく、且つ、保留情報が1つも存在しない場合、予め記憶手段33に設定されている大当たり判定用テーブルを参照し、今回取得したcカウンタの数値が所定の「大当たり数値(たとえば“0”又は“300”)」であるか否か、すなわち今回の「大当たり抽選」の結果が「大当たり」であるか否かを判定する。そして、「大当たり抽選」の結果、「大当たり」である(すなわち、大当たり判定用乱数から取得した数値が「大当たり数値」である)と、図6(b)に示す基本変動パターン決定テーブルを用い、dカウンタからの取得数値に対応する基本変動パターンを読み出す(変動時間決定用乱数から取得した数値をもとに図柄変動時間を決定する)。一方、「大当たり抽選」の結果、「外れ」である(すなわち、大当たり判定用乱数から取得した数値が「大当たり数値」以外の数値である)と、図6(a)に示す基本変動パターン決定テーブルを用い、dカウンタからの取得数値に対応する基本変動パターンを読み出す。その後、メインCPU32は、「大当たり抽選」の結果(「大当たり」であるか「外れ」であるか)、及び読み出した基本変動パターン(特に変動時間)の種類を示す情報を含んだ開始コマンドを作成するとともに、当該開始コマンドをサブ統合CPU42へと送信する。また、特別図柄表示部61において特別図柄を所定の態様で変動させるとともに、タイマ34による計時を開始する。そして、読み出した基本変動パターンの変動時間が経過すると、「大当たり抽選」の結果に対応する特別図柄を確定表示させる(「大当たり」の場合には大当たり特別図柄表示態様である“3”又は“7”で、「外れ」の場合には“-”で夫々確定表示させる)とともに、停止信号を含んだ停止コマンドをサブ統合CPU42へと送信する。 ・・・略・・・ 【0024】 そして、「大当たり抽選」の結果が「大当たり」であると、装飾図柄及び特別図柄の確定表示後、メインCPU32は、「大当たり状態」の開始を報知する開始デモ、大入賞装置18の扉部材の所定回数にわたる断続的な開成、及び「大当たり状態」の終了を報知する終了デモからなる「大当たり状態」を生起させる。 一方、「大当たり抽選」の結果が「外れ」であると、装飾図柄及び特別図柄の確定表示後、保留情報が存在する場合には、メインCPU32が、記憶している保留情報のうち最も古い保留情報について、特別図柄の変動を開始する直前に「大当たり抽選」の結果が「大当たり」であるか否かを判定するとともに図柄変動時間を決定し、開始コマンドを送信する等の上記同様の制御を実行するとともに、当該最も古い保留情報を保留情報記憶領域から削除する。また、保留情報が存在しない場合には、次の始動入賞口19又はチューリップ式電動役物17への遊技球の入賞をもって「大当たり抽選」及びその結果の判定等を実行する。 また、サブ統合CPU42は、上記装飾図柄及び特別図柄の変動/確定表示時、及び「大当たり状態」の生起中に、ランプ部材15、15・・や発光部材62、62・・を夫々遊技状態に応じた所定の点灯/点滅態様で発光させる。」 ウ 「【0029】 (プリペイド媒体の返却忘れの防止に係る制御の説明) ここで、本発明の要部となるプリペイド媒体の返却忘れの防止に係る制御について、詳細に説明する。 遊技者によるプリペイド媒体の返却忘れがどのような状況で起こりやすいかを考えると、まず大当たり状態が生起したことにより、貸し球を使わずとも賞球のみによって遊技を継続することが可能になったという状況が考えられる。そこで、パチンコ機1では、サブ統合CPU42による制御のもと、大当たり状態の終了時(すなわち終了デモ中)に、タイマ44によって計時しながら所定時間(たとえば2秒間)にわたり図柄表示部6に注意喚起メッセージ表示領域6aを設けるとともに、図9に示す如く注意喚起メッセージ表示領域6aに所定の注意喚起メッセージ表示(たとえば「カードの取り忘れにご注意下さい」等)65を表示する。すなわち、図柄表示部6を注意喚起手段として作動させ、遊技者に対してプリペイド媒体の返却忘れについて注意喚起する。また、注意喚起メッセージ表示65を表示している間、遊技者がより注意喚起メッセージ表示65へ注意を払うように、図柄表示部6における注意喚起メッセージ表示領域6a以外の表示領域6b、6bの輝度を、注意喚起メッセージ表示65そのものの輝度よりも低くする(つまり、注意喚起メッセージ表示領域6a以外の表示領域6b、6bを、注意喚起メッセージ表示65そのものよりも相対的に暗くする)。また、ランプ部材15、15・・や発光部材62、62・・のLEDを消灯する、若しくは、該LEDの明るさを少なくとも演出中において最も明るい状態よりも暗くして点灯/点滅させる。すなわち、サブ統合CPU42が明るさ調整手段47となり、図柄表示部6における各表示や表示領域の輝度、ランプ部材15におけるLEDの明るさ等を調整し、注意喚起メッセージ表示65を目立たせるようになっている。なお、注意喚起メッセージ表示65は、サブ制御装置40の記憶手段43に記憶されている。また、図9中の66は、注意喚起メッセージ表示領域6aの背景表示である。 【0030】 (本実施形態のパチンコ機による効果) 以上のような構成を有するパチンコ機1によれば、大当たり状態の終了時に、図柄表示部6に注意喚起メッセージ表示65を所定時間にわたって表示することにより、プリペイド媒体の返却忘れについて遊技者に注意喚起する。また、注意喚起メッセージ表示65を表示している間、図柄表示部6における注意喚起メッセージ表示領域6a以外の表示領域6b、6bの輝度を、注意喚起メッセージ表示65そのものの輝度よりも低くするとともに、ランプ部材15、15・・や発光部材62、62・・のLEDを消灯する、若しくは、LEDを少なくとも演出中において最も明るい状態よりも暗い明るさで点灯/点滅させることにより、遊技者の注意を図柄表示部6に表示されている注意喚起メッセージ表示65へ向けやすくしている。したがって、遊技者がプリペイド媒体の返却を忘れたまま席を離れてしまうといった事態を効果的に防止することができる。 また、図柄表示部6を注意喚起手段としており、注意喚起手段として別途専用の部材を設けていないため、部材の増加に伴う遊技として使用可能なスペースの低減等といった事態も生じない。」 (認定事項) エ 上記ア【0010】には、「…パチンコ機1…」と記載され、上記ア【0015】には、「…メイン制御装置30…サブ制御装置40…が設置されている。」と記載され、上記ア【0016】には、「メイン制御装置30には…メインCPU32…が搭載されたメイン制御基板31が内蔵されている。」と記載され、上記ア【0019】には、「サブ制御装置40には、サブ統合CPU42…が搭載されたサブ統合基板41が内蔵されている。」と記載されているから、パチンコ機1は、メインCPU32と、サブ統合CPU42と、を備えているといえる。 上記記載事項アからウ、及び上記認定事項エを総合すると、先願明細書等2には、 「 a2 遊技者によってハンドル9が回動操作させると、発射装置10が作動し、遊技球が遊技領域16内へ打ち込まれ、遊技領域16内を流下する遊技球が始動入賞口19又はチューリップ式電動役物17へ入賞すると、「大当たり抽選」の結果が「大当たり」であるか否かを判定し、「大当たり抽選」の結果が「大当たり」であると、開閉可能な扉部材を有する大入賞装置18の扉部材の所定回数にわたる断続的な開成をする「大当たり状態」を生起させるメインCPU32と、 (記載事項ア【0012】、【0015】、【0016】、記載事項イ【0021】、【0024】、認定事項エ) b2 ランプ部材や発光部材を夫々遊技状態に応じた所定の点灯/点滅態様で発光させるサブ統合CPU42と、 (記載事項ア【0015】、【0019】、記載事項イ【0024】、認定事項エ) を備え、 (認定事項エ) c2 「大当たり状態」の終了を報知する終了デモ中に、図柄表示部6に注意喚起メッセージ表示領域6aを設けるとともに、注意喚起メッセージ表示領域6aに、残額を記憶したプリペイド媒体の返却忘れについて遊技者に注意喚起する所定の注意喚起メッセージ表示(たとえば「カードの取り忘れにご注意下さい」等)65を表示する (記載事項ア【0010】、記載事項イ【0024】、記載事項ウ【0029】、【0030】) f2 パチンコ機1 (記載事項ア【0010】)」 の発明(以下「先願発明2」という。)が記載されていると認められる(なお、a2からf2は、本願発明のAからFに対応させて当審で付与した。)。 2 対比・判断 本願発明と先願発明2とを対比する(なお、本願発明の構成A、B、C’及びFに対応して、見出し(A)、(B)、(C’)及び(F)を付した。)。 (A)先願発明2において、「遊技者によってハンドル9が回動操作させると、発射装置10が作動し、遊技球が遊技領域16内へ打ち込まれ、遊技領域16内を流下する遊技球が始動入賞口19又はチューリップ式電動役物17へ入賞する」のが、遊技の進行過程においてであることは自明であるから、先願発明2における「遊技者によってハンドル9が回動操作させると、発射装置10が作動し、遊技球が遊技領域16内へ打ち込まれ、遊技領域16内を流下する遊技球が始動入賞口19又はチューリップ式電動役物17へ入賞すると、「大当たり抽選」の結果が「大当たり」であるか否かを判定し、「大当たり抽選」の結果が「大当たり」である」ことは、本願発明における「遊技進行過程において所定の特別遊技条件が成立する」ことに相当する。 そして、先願発明2における「開閉可能な扉部材を有する大入賞装置18の扉部材の」「開成」は、技術常識に照らして、「遊技者にとって有利な状態」であることは明らかであるから、先願発明2における「開閉可能な扉部材を有する大入賞装置18の扉部材の所定回数にわたる断続的な開成をする「大当たり状態」を生起させる」ことは、本願発明における「可変入賞口を遊技者によって有利な状態とする特別遊技を行う」ことに相当する。 したがって、先願発明2の構成a2は、本願発明の構成Aに相当する。 (B)先願発明2において、「遊技状態に応じ」ていることは、本願発明において、「遊技進行に合わせて」いることに相当するから、先願発明2における「ランプ部材や発光部材を夫々遊技状態に応じた所定の点灯/点滅態様で発光させるサブ統合CPU42」は、「遊技進行に合わせて所定の遊技演出を行う遊技演出実行手段」に相当する。 したがって、先願発明2の構成b2は、本願発明の構成Bに相当する。 (C’)先願発明2における「図柄表示部6に注意喚起メッセージ表示領域6aを設けるとともに、注意喚起メッセージ表示領域6aに、残額を記憶したプリペイド媒体の返却忘れについて遊技者に注意喚起する所定の注意喚起メッセージ表示(たとえば「カードの取り忘れにご注意下さい」等)65を表示する」ことは、本願発明における「記録媒体の取り忘れ防止用の演出を」「行う」ことに相当する。 そして、先願発明2における「「大当たり状態」の終了を報知する終了デモ中」は、本願発明における「前記特別遊技の終了デモ期間中」に相当する。 したがって、先願発明2の構成c2は、本願発明の構成C’に相当する。 (F)先願発明2における「パチンコ機1」は、本願発明における「遊技機」に相当するから、先願発明2の構成f2は、本願発明の構成Fに相当する。 以上より、本願発明と先願発明2とは全ての点で一致し、相違するところはない。 したがって、本願発明と先願発明2とは同一である。 3 審判請求人等の主張について 平成29年3月21日付けの意見書の「(3-2)本願発明と引用文献発明との対比」において、当初出願人は概ね、「…本願発明…は…引用文献2発明…と比較し、<相違点>「初当りであることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させる場合と、持ち球遊技を継続できることを示す遊技演出を行い前記取り忘れ防止演出を発生させない場合とを有する」との点、で少なくとも相違する。」と主張している。 当初出願人の主張について、本願発明は、上記第3に記載したとおりのものであり、当初出願人が主張する上記<相違点>に係る構成を有するものではない。 したがって、当初出願人の主張を採用することはできない。 4 原査定の理由3(拡大先願)についてのむすび 以上より、本願発明は、先願発明2と同一であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明2の発明者と同一ではなく、また、原出願の出願時に、本願の出願人が先願2の出願人と同一でもないので、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献1に記載された発明及び周知技術1に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、また、本願発明は、先願発明2と同一であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明2の発明者と同一ではなく、原出願の出願時に、本願の出願人が先願2の出願人と同一でもないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-06-25 |
結審通知日 | 2018-06-26 |
審決日 | 2018-07-09 |
出願番号 | 特願2014-180805(P2014-180805) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) P 1 8・ 121- Z (A63F) P 1 8・ 161- Z (A63F) P 1 8・ 572- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小河 俊弥 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
松川 直樹 倉持 俊輔 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 伊藤 温 |