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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H01L |
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管理番号 | 1343862 |
異議申立番号 | 異議2016-700492 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-05-31 |
確定日 | 2018-07-09 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5825650号発明「光半導体リフレクタ用エポキシ樹脂組成物、光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて得られる光半導体装置用リードフレーム、封止型光半導体素子ならびに光半導体装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5825650号の明細書、特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?13]について訂正することを認める。 特許第5825650号の請求項1?13に係る特許を取り消す。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5825650号の請求項1?13に係る特許についての出願は、平成27年10月23日付けでその特許権の設定登録がされ、同年12月2に特許掲載公報が発行されたところ、特許掲載公報の発行の日から6月以内である平成28年5月31日(同年6月1日特許庁受理)に特許異議申立人木平ゆう子(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1?13に対して特許異議の申立てがされた。 その後の手続の概要は、以下のとおりである。 平成28年10月 3日付け:取消理由通知書 平成28年11月28日付け:訂正請求書 平成28年11月28日付け:意見書(特許権者) 平成29年 3月 1日付け:意見書(特許異議申立人) 平成29年 8月22日付け:取消理由通知書(決定の予告) 平成29年10月18日付け:訂正請求書 平成29年10月18日付け:意見書(特許権者) 平成29年11月30日付け:意見書(特許異議申立人) 平成30年 1月 9日付け:審尋(特許権者に対して) 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 平成29年10月18日付けの訂正請求(以下「本件訂正請求」という。なお、特許法120条の5第7項の規定により、平成28年11月28日にされた先の訂正請求は取り下げられたものとみなす。)は、明細書、特許請求の範囲を訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?13について訂正することを求めるものであって、以下の訂正事項(a)?(i)からなる(以下、訂正事項(a)?(i)をまとめて「本件訂正」という。)。 (当審注:下線は、請求人が付したものである。) (1)訂正事項(a) 特許請求の範囲の請求項1に、「下記の(A)?(C)を含有することを特徴とする光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。」とあるのを、 「下記の(A)成分とともに白色顔料および無機質充填剤を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物であって、上記白色顔料が下記の(B)成分のみからなり、上記無機質充填剤が下記の(C)成分のみからなり、かつ上記(B)成分と(C)成分との混合割合が、体積比で、(C)/(B)=2?30であることを特徴とする光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。」に訂正する。 (2)訂正事項(b) 特許請求の範囲の請求項1に、「(C)無機質充填剤。」とあるのを、 「(C)溶融シリカ粉末。」に訂正する。 (3)訂正事項(c) 願書に添付した明細書の段落【0007】に、「上記目的を達成するために、本発明は、下記の(A)?(C)を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を第1の要旨とする。 (A)熱硬化性樹脂。 (B)バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVで、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下である、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの白色顔料。 (C)無機質充填剤。」とあるのを、 「上記目的を達成するために、本発明は、下記の(A)成分とともに白色顔料および無機質充填剤を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物であって、上記白色顔料が下記の(B)成分のみからなり、上記無機質充填剤が下記の(C)成分のみからなり、かつ上記(B)成分と(C)成分との混合割合が、体積比で、(C)/(B)=2?30である光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を第1の要旨とする。 (A)熱硬化性樹脂。 (B)バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVで、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下である、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの白色顔料。 (C)溶融シリカ粉末。」に訂正する。 (4)訂正事項(d) 願書に添付した明細書の段落【0012】に、「このように、本発明は、前記熱硬化性樹脂(A)と、特定のバンドギャップ(禁制帯)を有し、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下の特定の白色顔料(B)と、無機質充填剤(C)を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物である。」とあるのを、 「このように、本発明は、前記熱硬化性樹脂(A)とともに白色顔料および無機質充填剤を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物であって、上記白色顔料が、特定のバンドギャップ(禁制帯)を有し、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下の特定の白色顔料(B)のみからなり、上記無機質充填剤が溶融シリカ粉末(C)成分のみからなり、かつ上記(B)成分と(C)成分との混合割合が、体積比で、(C)/(B)=2?30である光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物である。」に訂正する。 (5)訂正事項(e) 願書に添付した明細書の段落【0013】に、「そして、上記白色顔料(B)と無機質充填剤(C)の合計含有割合が特定範囲であり、」とあるのを、 「そして、上記白色顔料(B)と溶融シリカ粉末(C)の合計含有割合が特定範囲であり、」に訂正する。 (6)訂正事項(f) 願書に添付した明細書の段落【0015】に、「本発明の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物(以下、「熱硬化性樹脂組成物」ともいう)は、例えば、先に述べたように、図1に示す光半導体装置あるいは後述の図2および図3に示す光半導体装置、図4に示す封止型光半導体素子の、リフレクタ4、11、15形成材料として用いられるものであって、熱硬化性樹脂(A成分)と、特定の白色顔料(B成分)と、無機質充填剤(C成分)とを用いて得られるものであり、通常、液状、あるいはシート状、粉末状、もしくはその粉末を打錠したタブレット状にしてリフレクタ4、11、15形成材料に供される。」とあるのを、 「本発明の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物(以下、「熱硬化性樹脂組成物」ともいう)は、例えば、先に述べたように、図1に示す光半導体装置あるいは後述の図2および図3に示す光半導体装置、図4に示す封止型光半導体素子の、リフレクタ4、11、15形成材料として用いられるものであって、熱硬化性樹脂(A成分)と、特定の白色顔料(B 成分)と、溶融シリカ粉末(C成分)とを特定の割合で用いて得られるものであり、通常、液状、あるいはシート状、粉末状、もしくはその粉末を打錠したタブレット状にしてリフレクタ4、11、15形成材料に供される。」に訂正する。 (7)訂正事項(g) 願書に添付した明細書の段落【0035】に、「〈C:無機質充填剤〉 上記A?B成分にとともに用いられる無機質充填剤(C成分)としては、例えば、石英ガラス粉末、タルク、溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等のシリカ粉末、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末等があげられる。中でも、線膨張係数の低減等の観点から、溶融シリカ粉末を用いることが好ましく、特に高充填性および高流動性という観点から、溶融球状シリカ粉末を用いることが好ましい。なお、無機質充填剤(C成分)は、上記特定の白色顔料(B成分)を除く。上記無機質充填剤(C成分)の粒径およびその分布に関しては、上記特定の白色顔料(B成分)の粒径およびその分布との組み合わせを、熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形等により成形する際のバリ等が最も低減するように配慮することが好ましい。具体的には、無機質充填剤(C成分)の平均粒径は、5?100μmであることが好ましく、特に好ましくは10?80μmである。なお、上記平均粒径は、前述と同様、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。」とあるのを、 「〈C:溶融シリカ粉末〉 上記A?B成分にとともに用いられる無機質充填剤としては、線膨張係数の低減等の観点から、溶融シリカ粉末(C成分)が用いられ、特に高充填性および高流動性という観点から、溶融球状シリカ粉末を用いることが好ましい。上記溶融シリカ粉末(C成分)の粒径およびその分布に関しては、上記特定の白色顔料(B成分)の粒径およびその分布との組み合わせを、熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形等により成形する際のバリ等が最も低減するように配慮することが好ましい。具体的には、溶融シリカ粉末(C成分)の平均粒径は、5?100μmであることが好ましく、特に好ましくは10?80μmである。なお、上記平均粒径は、前述と同様、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。」に訂正する。 (8)訂正事項(h) 願書に添付した明細書の段落【0036】に、「そして、上記無機質充填剤(C成分)の含有割合においては、上記特定の白色顔料(B成分)と無機質充填剤(C成分)の合計の含有割合が、熱硬化性樹脂組成物全体の10?90体積%となるように設定することが好ましい。」とあるのを、 「そして、上記溶融シリカ粉末(C成分)の含有割合においては、上記特定の白色顔料(B成分)と溶融シリカ粉末(C成分)の合計の含有割合が、熱硬化性樹脂組成物全体の10?90体積%となるように設定することが好ましい」に訂正する。 (9)訂正事項(i) 願書に添付した明細書の段落【0037】に、「さらに、上記特定の白色顔料(B成分)と無機質充填剤(C成分)の混合割合は、初期光反射率の観点から、体積比で、(C成分)/(B成分)=1?36であることが好ましく、特に好ましくは2?30である。」とあるのを、 「さらに、上記特定の白色顔料(B成分)と溶融シリカ粉末(C成分)の混合割合は、初期光反射率の観点から、体積比で、(C成分)/(B成分)=2?30に設定される。」に訂正する。 2 当審の判断 (1)訂正事項(a)及び(b)について ア 訂正の目的の適否 請求項1に係る訂正事項(a)は、白色顔料を(B)成分に限定し、無機質充填剤を(C)成分に限定し、かつ(B)成分と(C)成分の混合割合を体積比で(C)/(B)=2?30の範囲に限定するものであり、請求項1に係る訂正事項(b)は、無機質充填剤を(C)溶融シリカ粉末に限定するものであるから、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 新規事項追加の有無 願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)には、 「【0033】 〈B:特定の白色顔料〉 上記A成分とともに用いられる特定の白色顔料(B成分)としては、バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVである特定の白色顔料が用いられる。このバンドギャップとは、その結晶のバンド構造における価電子帯の上端から、伝導帯の下端までの間のエネルギー差をいい、各単体、化合物およびそれらの結晶系に固有の値である。上記特定範囲のバンドギャップを有する特定の白色顔料(B成分)としては、具体的には、酸化亜鉛(バンドギャップ3.3eV、屈折率2.0)、酸化ジルコニウム(ZrO_(2))(バンドギャップ4?5eV、屈折率2.1)があげられる。さらに、硫化物としては、硫化亜鉛(ウルツ)(バンドギャップ3.9eV、屈折率2.4)があげられる。そして、長期耐光性のみならず初期光反射率の観点から、屈折率が2.0?3.0のものが好ましい。さらに、着色が少なく、化学的安定性、安全性、価格を含む入手容易性、および生産性の観点から、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム(ZrO_(2))が好ましく用いられ、酸化ジルコニウム、特に単斜晶の酸化ジルコニウムが好ましく用いられる。さらに、その中でも、流動性という観点から、平均粒径が0.01?50μmのものを用いることが好ましく、0.01?30μmのものを用いることがより好ましい。なお、上記平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。また、光反射率の観点から、白色顔料に含まれる不純物の中でもFe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下でなければならない。」 「【0035】 〈C:無機質充填剤〉 上記A?B成分にとともに用いられる無機質充填剤(C成分)としては、例えば、石英ガラス粉末、タルク、溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等のシリカ粉末、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末等があげられる。中でも、線膨張係数の低減等の観点から、溶融シリカ粉末を用いることが好ましく、特に高充填性および高流動性という観点から、溶融球状シリカ粉末を用いることが好ましい。なお、無機質充填剤(C成分)は、上記特定の白色顔料(B成分)を除く。上記無機質充填剤(C成分)の粒径およびその分布に関しては、上記特定の白色顔料(B成分)の粒径およびその分布との組み合わせを、熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形等により成形する際のバリ等が最も低減するように配慮することが好ましい。具体的には、無機質充填剤(C成分)の平均粒径は、5?100μmであることが好ましく、特に好ましくは10?80μmである。なお、上記平均粒径は、前述と同様、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。」 「【0037】 さらに、上記特定の白色顔料(B成分)と無機質充填剤(C成分)の混合割合は、初期光反射率の観点から、体積比で、(C成分)/(B成分)=1?36であることが好ましく、特に好ましくは2?30である。すなわち、B成分とC成分の混合割合が、上記範囲を外れ、体積比が小さすぎると、熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度が上昇して混練が困難になる傾向がみられ、体積比が大きすぎると、熱硬化性樹脂組成物の初期光反射率が低下する傾向がみられる。 【0038】 〈他の添加剤〉 そして、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、上記A?C成分以外に、必要に応じて、硬化促進剤、離型剤、シラン化合物を配合することができる。さらには、変性剤(可塑剤)、酸化防止剤、難燃剤、脱泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。」 との記載があり、当該記載によれば、本件明細書には、白色顔料(B成分)として酸化亜鉛、酸化ジルコニウム(ZrO_(2))及び硫化亜鉛(ウルツ)が用いられることが記載され、無機質充填剤として石英ガラス粉末、タルク、溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等のシリカ粉末、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末等が用いられることが記載され、その中に溶融シリカ粉末が含まれる。また、「特定の白色顔料(B成分)と無機質充填剤(C成分)の混合割合は、初期光反射率の観点から、体積比で、(C成分)/(B成分)=1?36であることが好ましく、特に好ましくは2?30である。」との記載がある。よって、訂正事項(a)及び(b)は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項(a)及び(b)は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、この訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、訂正事項(a)及び(b)は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項(c)ないし(i)について ア 訂正の目的の適否 訂正事項(c)ないし(i)は、本件明細書の段落0007、0012、0013、0015、0035、0036、及び0037の記載を、訂正事項(a)及び(b)に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるものであるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項追加の有無 訂正事項(c)ないし(i)は、本件明細書の段落0007、0012、0013、0015、0035、0036、及び0037の記載を、訂正事項(a)及び(b)に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるものであるから、上記(1)で検討したとおり、該訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項(c)ないし(i)は、本件明細書の段落0007、0012、0013、0015、0035、0036、及び0037の記載を、訂正事項(a)及び(b)に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるものであるから、該訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 エ 願書に添付した明細書の訂正にかかる請求項について 訂正事項(c)ないし(i)は、本件明細書の段落0007、0012、0013、0015、0035、0036、及び0037の記載を、訂正事項(a)及び(b)に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるものであるから、訂正事項(c)ないし(i)による明細書の訂正にかかる請求項は請求項1?13である。すなわち、訂正事項(c)ないし(i)は、訂正前の一群の請求項1?13の全ての請求項を対象とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。 (3)一群の請求項について 本件の請求項2?13に係る発明は、本件の請求項1に係る発明に従属するものである。 したがって、本件の請求項2?13は、上記訂正事項(a)及び(b)によって記載が訂正される本件の請求項1に連動して訂正されるものである。 よって、訂正前の請求項1?13に対応する訂正後の請求項1?13は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項[1?13]について訂正を認める。 第3 訂正発明 上記のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の訂正後の請求項1?13に係る発明は、請求項1?13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 下記の(A)成分とともに白色顔料および無機質充填剤を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物であって、上記白色顔料が下記の(B)成分のみからなり、上記無機質充填剤が下記の(C)成分のみからなり、かつ上記(B)成分と(C)成分との混合割合が、体積比で、(C)/(B)=2?30であることを特徴とする光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 (A)熱硬化性樹脂。 (B)バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVで、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下である、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの白色顔料。 (C)溶融シリカ粉末。 【請求項2】 上記(B)の屈折率が2.0?3.0である請求項1記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 【請求項3】 上記(B)が、酸化ジルコニウムである請求項1または2記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 【請求項4】 上記(B)および(C)の合計の含有割合が、熱硬化性樹脂組成物全体の10?90体積%であり、かつ(B)の含有割合が熱硬化性樹脂組成物全体の3?50体積%である請求項1?3のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 【請求項5】 厚み方向の片面のみに光半導体素子を搭載するための板状の光半導体装置用リードフレームであって、互いに隙間を隔てて配置される複数のプレート部を備えるとともに、上記隙間に、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて充填し、硬化してなるリフレクタが形成されてなることを特徴とする光半導体装置用リードフレーム。 【請求項6】 光半導体素子搭載領域を備え、それ自体の少なくとも一部で素子搭載領域の周囲を囲んだ状態でリフレクタが形成されてなる立体状の光半導体装置用リードフレームであって、上記リフレクタが、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とする光半導体装置用リードフレーム。 【請求項7】 上記リフレクタが、リードフレームの片面にのみ形成されている請求項6記載の光半導体装置用リードフレーム。 【請求項8】 上記リフレクタがトランスファー成形または射出成形により光半導体装置用リードフレームに形成されてなる請求項5?7のいずれか一項に記載の光半導体装置用リードフレーム。 【請求項9】 その片面に光半導体素子を搭載するための素子搭載領域を有するプレート部が、互いに隙間を隔てて配置され、上記素子搭載領域の所定位置に光半導体素子が搭載されてなる光半導体装置であって、上記隙間に、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて充填し、硬化してなるリフレクタが形成されてなることを特徴とする光半導体装置。 【請求項10】 光半導体素子搭載領域を備え、それ自体の少なくとも一部で素子搭載領域の周囲を囲んだ状態でリフレクタが形成されてなる光半導体装置用リードフレームの所定位置に光半導体素子が搭載されてなる光半導体装置であって、上記リフレクタが、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とする光半導体装置。 【請求項11】 リフレクタで囲まれた光半導体素子を含む領域をシリコーン樹脂にて樹脂封止されてなる請求項10載の光半導体装置。 【請求項12】 裏面に複数の接続用電極が形成されてなる光半導体素子の側面に請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物からなるリフレクタが形成され、上記光半導体素子上部の発光面あるいは受光面が封止層にて被覆されてなることを特徴とする封止型光半導体素子。 【請求項13】 配線回路基板の所定位置に、請求項12記載の封止型光半導体素子が、その接続用電極を介して搭載されてなる光半導体装置。」 (以下、順に「訂正発明1」?「訂正発明13」といい、「訂正発明1」?「訂正発明13」を合わせて「訂正発明」という。) 第4 取消理由(決定の予告)の概要 請求項1?13に係る特許に対して、当審が特許権者に通知した平成29年8月22日付け取消理由(決定の予告)の概要は以下のとおりである。 本件発明1ないし本件発明13は、本件特許の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 [引用文献等一覧] 甲4:特開2013-40343号公報(平成25年2月28日) (以下、周知例として) 甲1:特開2013-1776号公報(平成25年1月7日) 甲2:特開2008-270709号公報 甲5:特開2005-170719号公報 甲6:特開2012-227470号公報 特開2010-160471号公報 特開2013-79331号公報(平成25年5月2日) 特開2008-227166号公報 特開2011-225828号公報 第5 当審の判断 1 訂正発明1について (1)甲4の記載 甲4には以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。以下、同様。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 光反射用熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形により成形して、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるリフレクターを形成する工程を備え、 前記熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化触媒及び(D)白色顔料を含有し、前記(A)エポキシ樹脂及び前記(B)硬化剤の少なくとも一方が、オルガノシロキサン骨格を有する化合物を含む、リフレクターの製造方法。 ・・・(中略)・・・ 【請求項4】 前記(D)白色顔料が、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び無機中空粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を含む、請求項1?3のいずれか一項に記載の方法。 ・・・(中略)・・・ 【請求項6】 前記(D)白色顔料の配合量が、前記熱硬化性樹脂組成物全体に対して10?85体積%である、請求項1?5のいずれか一項に記載の方法。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、光反射用熱硬化性樹脂組成物、光半導体素子搭載用基板及びその製造方法、並びに光半導体装置に関する。」 「【発明の効果】 【0020】 本発明によれば、トランスファー成形時の離型性が十分に高く連続成形性に優れ、光半導体素子搭載用基板に必要とされる光学特性に優れる硬化物を形成可能である光反射用熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、このような樹脂組成物を用いることによって、信頼性の高い光半導体素子搭載用基板及び光半導体装置を製造することが可能となる。」 「【0079】 <(D)白色顔料> 本実施形態に係る(D)白色顔料は、公知のものを使用することができ、特に限定されない。白色顔料として、例えば、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び無機中空粒子が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上併用することができる。無機中空粒子としては、例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、シラス(白砂)が挙げられる。中でも、熱伝導性及び光反射特性の観点からは、白色顔料として、アルミナを用いることが好ましい。 【0080】 白色顔料の中心粒径は、0.1?50μmの範囲にあることが好ましい。この中心粒径が0.1μm未満であると粒子が凝集しやすく分散性が低下する傾向があり、50μmを超えると硬化物の光反射特性が十分に得られ難くなる。 【0081】 (D)白色顔料の配合量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、10?85体積%であることが好ましく、20?75体積%であることがより好ましい。この配合量が10体積%未満であると硬化物の光反射特性が十分に得られ難い傾向があり、85体積%を超えると熱硬化性樹脂組成物の成型性が低下する傾向がある。 【0082】 また、熱硬化性樹脂組成物が(D)白色顔料と共に後述する無機充填剤を含有する場合、(D)白色顔料と無機充填材との合計配合量が、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、10?85体積%であると、熱硬化性樹脂組成物の成形性をより一層向上することができる。 【0083】 <その他の成分> (無機充填材) 熱硬化性樹脂組成物は成形性を調整するために、無機充填材を含むことが好ましい。なお、無機充填剤として、上記白色顔料と同様のものを用いてもよい。無機充填材として、例えば、シリカ、酸化アンチモン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、アルミナ、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素が挙げられる。熱伝導性、光反射特性、成形性及び難燃性の点から、無機充填剤は、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる2種以上の混合物であることが好ましい。無機充填材の平均粒径は、白色顔料とのパッキング性を向上させる観点から、1?100μmであることが好ましく、1?40μmであることがより好ましい。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物における無機充填剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、1?1000質量部であることが好ましく、1?800質量部であることがより好ましい。」 「【0126】 」 「【0129】 表1から明らかなように、実施例1?6の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、オルガノシロキサン骨格を有する化合物を硬化剤として含有することにより、トラスファー成形時の離型性が十分に高く連続成形性に優れることが確認された。これに対し、比較例1?5の光反射用熱硬化性樹脂組成物では離型性が悪く連続成形できなかった。また、比較例6?7の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、初期の離型性は比較的良好であるものの、連続成形数が30ショット未満となり、連続成形が困難であった。これは離型剤の分散性が十分ではなく、離型性を低下させる金型汚れがショット毎に蓄積されて、少ないショット数で離型不可能となったためと考えられる。」 (2)甲4発明 上記(1)から、甲4には以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 「光半導体装置用の光反射用熱硬化性樹脂組成物であって、 (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化触媒及び(D)白色顔料を含有し、前記(A)エポキシ樹脂及び前記(B)硬化剤の少なくとも一方が、オルガノシロキサン骨格を有する化合物を含み、 前記(D)白色顔料が、酸化ジルコニウムである組成物。」 (3)対比 訂正発明1と甲4発明を対比すると、両者は 「下記の(A)、(B)を含有することを特徴とする光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 (A)熱硬化性樹脂 (B)酸化ジルコニウムである白色顔料。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 白色顔料について、訂正発明1では「バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVで、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下」と特定されているのに対し、甲4発明はそのような特定がされていない点。 [相違点2] 訂正発明1は「下記の(A)成分とともに白色顔料および無機質充填剤を含有」し、「上記白色顔料が(B)成分のみからなり、上記無機質充填剤が溶融シリカ粉末である(C)成分のみからなり、かつ上記(B)成分と(C)成分との混合割合が、体積比で、(C)/(B)=2?30である」のに対し、甲4発明はそのような特定がされていない点。 (4)検討 ア 相違点1について (ア)酸化ジルコニウムのバンドギャップが3.3?5.5eVの範囲内であることは、技術常識から明らかであり(例えば、特開2010-160471号公報【0118】表1の「酸化ジルコニウム」の欄参照)、相違点1のうち訂正発明1において「バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eV」と特定されている点は、実質的な相違点ではない。(イ)酸化ジルコニウム等の白色顔料について、Fe_(2)O_(3)の含有量が少ないもの、例えば当該含有量が0.01%以下のものを用いることは周知の技術である(例えば、甲2(【0068】、【0072】)に、光に対する反射特性の観点から白色系物質であることが好ましい熱伝導性フィラーについて、酸化鉄の含有量は好ましくは0.01質量%以下であることが記載され、甲5(【0002】、【0003】)に、白色度が極めて高いことが求められる酸化ジルコニウムの製造の際に、着色の原因となるFeを除去、低減する手段がとられることが記載されている。また、甲1(【0091】)に、白色顔料のジルコニアとして「第一希元素化学工業株式会社製UEP-100」が例示され、前記「UEP-100」は、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下であると認められる。)。 甲4発明は、光反射用熱硬化性樹脂組成物であるから、反射特性が良好な白色度の高い白色顔料を用いることは当業者が容易に普通に想到し得ることであり、上記周知の技術のように、酸化鉄の含有量が少ない酸化ジルコニウムを採用することは、当業者が容易になし得ることである。 (ウ)したがって、相違点1に係る訂正発明1の構成とすることは、周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。 イ 相違点2について (ア)白色顔料が(B)成分(酸化ジルコニウム)のみからなる点について 甲4の段落【0079】に「白色顔料として、例えば、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び無機中空粒子が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上併用することができる。」(下線は、当審で付与した。)とあるように、白色顔料として酸化ジルコニウムを単独で用いることが記載されている。 (イ)無機質充填剤を含有すること、及び無機質充填剤が(C)成分(溶融シリカ粉末)のみからなる点について 甲4(【0083】)には、成形性を調整するために無機充填材を含むことが好ましいことが記載されている。ここで、「無機充填材」は訂正発明1の「無機質充填剤」に相当する。 そして、甲4には、「無機充填材」として「溶融球状シリカ」のみが用いられた実施例が記載されている(段落0126の表1参照。)。ここで、「溶融球状シリカ」は訂正発明1の「溶融シリカ粉末」に相当する。 (ウ)(B)成分と(C)成分との混合割合について 甲4には、「【0081】(D)白色顔料の配合量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、10?85体積%であることが好ましく、20?75体積%であることがより好ましい。この配合量が10体積%未満であると硬化物の光反射特性が十分に得られ難い傾向があり、85体積%を超えると熱硬化性樹脂組成物の成型性が低下する傾向がある。」との記載がある。 甲1には、「【0054】アルミナは、近紫外線の光反射効果が高く、近紫外線による変質が小さい観点からも、白色顔料として特に好ましい。また、アルミナを白色顔料の主成分として用いることにより、後述する樹脂成形体用材料の熱伝導率を0.4以上3.0以下の範囲に制御することができる。アルミナの含有量を上記範囲とすることによって、反射率が十分に高く、かつ成形性のよい樹脂成形体用材料を得ることができる。アルミナの含有量が、樹脂成形体用材料全体量に対して40質量%未満であると十分な光反射効果が得られず、90質量%を超えると、材料の粘度が高くなるため成形が困難となる場合がある。」との記載がある。 特開2011-225828号公報には、以下の記載がある。 「【0029】 無機質充填剤として上記希土類元素酸化物以外に他の無機質充填剤を併用する場合、かかる他の無機質充填剤としては、通常樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、ガラス繊維、三酸化アンチモン等が挙げられる。これら無機質充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は通常4?40μm、特には7?35μmが好ましい。 これらの中では、ケイ素、マグネシウム、チタン、亜鉛及びアルミニウムから選ばれる元素の酸化物が好ましい。特に、溶融シリカ、溶融球状シリカが成形性、流動性等の点で好適に用いられる。」 「【0036】 上記他の無機質充填剤の配合量は、全無機質充填剤量から希土類元素酸化物量を除いた残部量であり、全無機質充填剤の0?90質量%、好ましくは10?80質量%、より好ましくは20?70質量%である。この場合、白色顔料としての二酸化チタンを全無機質充填剤の1?30質量%、特に5?30質量%を含有することが好ましく、また溶融シリカ、溶融球状シリカを5?79質量%、特に10?65質量%含有することが好ましい。 【0037】 上記無機質充填剤の配合量は、有機樹脂100質量部に対し50?1000質量部、好ましくは100?900質量部、特に好ましくは200?850質量部である。 無機質充填剤配合量が少なすぎると、リフレクターの光反射率が低下し、発光半導体装置が十分な輝度を発揮できない場合がある。一方、無機質充填剤配合量が多すぎると、樹脂組成物の溶融粘度が増大により流動性が悪化し、リフレクターを成形する際に未充填等の不具合が発生する場合がある。」 これら甲4、甲1及び特開2011-225828号公報に記載されているように、リフレクターの樹脂材料に含有される白色顔料を含む無機質充填剤の含有量は、成形の観点及び光反射特性の観点から当業者が適宜決定し得るものであるといえる。 一方、本件発明4に関連して、本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。 「【0036】 そして、上記無機質充填剤(C成分)の含有割合においては、上記特定の白色顔料(B成分)と無機質充填剤(C成分)の合計の含有割合が、熱硬化性樹脂組成物全体の10?90体積%となるように設定することが好ましい。より好ましくは60?90体積%であり、特に好ましくは65?85体積%である。すなわち、上記合計の含有割合が少なすぎると、成形時に反りが発生する等の問題が生じる傾向がみられる。また、合計の含有割合が多すぎると、配合成分を混練する際、混練機に多大な負荷がかかり、混練が不可能となる傾向がみられ、結果、成形材料である熱硬化性樹脂組成物を作製することが困難となる傾向がみられる。 【0037】 さらに、上記特定の白色顔料(B成分)と無機質充填剤(C成分)の混合割合は、初期光反射率の観点から、体積比で、(C成分)/(B成分)=1?36であることが好ましく、特に好ましくは2?30である。すなわち、B成分とC成分の混合割合が、上記範囲を外れ、体積比が小さすぎると、熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度が上昇して混練が困難になる傾向がみられ、体積比が大きすぎると、熱硬化性樹脂組成物の初期光反射率が低下する傾向がみられる。」 よって、訂正発明1におけるB成分とC成分の含有割合は、成形の観点及び初期光反射率の観点から決められるものであり、甲4、甲1及び特開2011-225828号公報に記載されているのと同様に、成形の観点及び光反射特性の観点から当業者が適宜決定し得るものである。そして、訂正発明1の数値範囲とすることにより、当業者が予測し得ない格別の効果を奏するともいえない。 なお、特許権者は、平成29年10月18日付け意見書において、体積比(C/B)の臨界的意義は認められるものであると主張しているので、さらに検討する。 本件特許明細書の段落【0036】には、合計の含有割合が少なすぎると、成形時に反りが発生し、多すぎると混練が不可能となる傾向がみられると記載されており、段落【0037】には、体積比が小さすぎると混練が困難になる傾向がみられ、体積比が大きすぎると初期光反射率が低下する傾向がみられると記載されている。 これらの記載から、混練の困難性の観点については、体積比(C)/(B)だけでなく「合計の含有割合」あるいは白色顔料(B)又は無機質充填剤(C)の含有量も関係しているものといえる。 してみると、体積比(C)/(B)だけで混練の困難性の観点についての臨界的意義を論じることはできない。 また、本件特許明細書の段落【0034】には、熱硬化性樹脂組成物全体に対するB成分の含有割合が少なすぎると優れた初期光反射率が得られ難くなる傾向があると記載されており、段落【0037】には、体積比が大きすぎると初期光反射率が低下する傾向がみられると記載されている。 これらの記載から、初期光反射率の観点については、体積比(C)/(B)だけでなく熱硬化性樹脂組成物全体に対するB成分の含有割合も関係しているものといえる。 初期光反射率の観点について、平成29年10月18日付け意見書の 実験例の評価結果をみても、「体積比(C)/(B)=2?30」であれば、「合計の含有割合」あるいは白色顔料(B)又は無機質充填剤(C)の含有量にかかわらず初期光反射率85%以上であるとする評価結果は示されていない。 してみると、体積比(C)/(B)だけで初期光反射率の観点についての臨界的意義を論じることはできない。 さらに、当審は、体積比(C/B)の臨界的意義を明確に説明するよう、特許権者に対し平成30年1月9日に審尋をしたが、応答期間を経過しても回答がなかった。 したがって、体積比(C/B)の臨界的意義は認められるものではない。 (エ)以上のとおり、「白色顔料」である「酸化ジルコニウム」を単独で用い、「無機充填材」として「溶融球状シリカ」のみを用いることが甲4に記載されており、白色顔料を含む無機質充填剤の含有量は、成形の観点及び光反射特性の観点から当業者が適宜決定し得る事項といえるから、甲4発明において、相違点2に係る訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 ウ 小括 したがって、訂正発明1は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 訂正発明2について 酸化ジルコニウムの屈折率が2.0?3.3の範囲内であることは技術常識から明らかである(例えば、上記の特開2010-160471号公報【0118】表1の「酸化ジルコニウム」の欄参照)。 したがって、訂正発明2は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 訂正発明3について 甲4発明における白色顔料は、酸化ジルコニウムである。 したがって、訂正発明3は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 訂正発明4について 甲4には、以下の記載がある。 「【0081】(D)白色顔料の配合量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、10?85体積%であることが好ましく、20?75体積%であることがより好ましい。この配合量が10体積%未満であると硬化物の光反射特性が十分に得られ難い傾向があり、85体積%を超えると熱硬化性樹脂組成物の成型性が低下する傾向がある。 【0082】 また、熱硬化性樹脂組成物が(D)白色顔料と共に後述する無機充填剤を含有する場合、(D)白色顔料と無機充填材との合計配合量が、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、10?85体積%であると、熱硬化性樹脂組成物の成形性をより一層向上することができる。」 ここで、甲4の数値範囲は、訂正発明4において、特定されている「上記(B)および(C)の合計の含有割合が、熱硬化性樹脂組成物全体の10?90体積%であり、かつ(B)の含有割合が熱硬化性樹脂組成物全体の3?50体積%である」との数値範囲と共通する範囲があり、成形性や光反射特性の観点から当業者が適宜選択し得るものである。 訂正発明4におけるB成分とC成分の含有割合や(B)成分の含有割合についても、成形の観点及び初期光反射率の観点から決められるものであり、甲4、甲1及び特開2011-225828号公報に記載されているのと同様に、当業者が適宜決定し得るものであるといえる。そして、訂正発明4の数値範囲とすることにより、当業者が予測し得ない格別の効果を奏するともいえない。 したがって、訂正発明4は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 訂正発明5、6、7、9、10 リフレクタが形成された光半導体装置用リードフレームであって、板状のもの又は立体状のものは、いずれも周知である(例えば、板状のものについては、特開2008-227166号公報(【0024】?【0034】、図1、図2)及び特開2011-225828号公報(【0043】、【0046】、図2、図5)、立体状のものについては、甲4(【0101】、図1、図2)及び甲1(【0173】、図1)参照)。 甲4発明の組成物をこれら周知の光半導体装置用リードフレームのリフレクタの材料として用いることに困難性は認められない。 したがって、訂正発明5、6、7、9、10は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 訂正発明8について リフレクタの形成方法として、トランスファー成形や射出成形は周知である(例えば、甲4(【請求項1】、甲1(【0164】、【0175】)参照)。 したがって、訂正発明8は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 訂正発明11について リフレクタで囲まれた光半導体素子を含む領域をシリコーン樹脂で樹脂封止することは、周知の技術である(例えば、甲1(【0181】)、甲2(【0110】、【0111】)参照) したがって、訂正発明11は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 8 訂正発明12、13について 裏面に複数の接続用電極が形成されてなる光半導体素子の側面にリフレクタが形成され、上記光半導体素子上部の発光面あるいは受光面が封止層にて被覆されてなる光半導体装置は周知である(例えば、甲6の【0024】、図1参照)。 甲4発明の組成物を、当該周知の光半導体装置のリフレクタの材料として用いることに困難性は認められない。 したがって、訂正発明12、13は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、訂正発明1?13は、甲4発明、周知の技術及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明1?13に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、訂正発明1?13に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 光半導体リフレクタ用エポキシ樹脂組成物、光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて得られる光半導体装置用リードフレーム、封止型光半導体素子ならびに光半導体装置 【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば、光半導体素子から発する光を反射させる、リフレクタ(反射部)の形成材料となる光半導体リフレクタ用エポキシ樹脂組成物、光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて得られる光半導体装置用リードフレーム、封止型光半導体素子ならびに光半導体装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、光半導体素子を搭載してなる光半導体装置は、例えば、図1に示すように、第1のプレート部1と第2のプレート部2とからなる金属リードフレーム上に光半導体素子3が搭載され、上記光半導体素子3の周囲を囲むように、さらに第1のプレート部1と第2のプレート部2の間を埋めるように、樹脂材料からなる光反射用のリフレクタ4が形成されているという構成をとる。そして、上記金属リードフレームとリフレクタ4の内周面として形成される凹部5に搭載された光半導体素子3を、必要に応じて蛍光体を含有するシリコーン樹脂等の透明樹脂を用いて樹脂封止することにより封止樹脂層6が形成されている。図1において、7,8は金属リードフレームと光半導体素子3とを電気的に接続するボンディングワイヤーであり、必要に応じて設けられるものである。 【0003】 このような光半導体装置では、近年、上記リフレクタ4を、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂を用いて、例えば、トランスファー成形等により成形し製造している。そして、上記熱硬化性樹脂には、従来から白色顔料として酸化チタンを配合し、上記光半導体素子3から発する光を反射させている(特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2011-258845号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上記のように白色顔料として酸化チタンを用いてリフレクタを形成した場合、初期の光反射率に関しては問題無く高い光反射率を実現しているが、経時的使用によりその光反射率が低下してしまうという問題があった。このように、長期にわたり高い光反射率を発揮する、すなわち長期にわたる耐光性という点においては未だ充分ではなく、この長期耐光性に関してさらなる向上が強く要望されている。 【0006】 本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高い初期光反射率のみならず、長期耐光性に優れた光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて得られる光半導体装置用リードフレーム、封止型光半導体素子ならびに光半導体装置の提供をその目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記目的を達成するために、本発明は、下記の(A)成分とともに白色顔料および無機質充填剤を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物であって、上記白色顔料が下記の(B)成分のみからなり、上記無機質充填剤が下記の(C)成分のみからなり、かつ上記(B)成分と(C)成分との混合割合が、体積比で、(C)/(B)=2?30である光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を第1の要旨とする。 (A)熱硬化性樹脂。 (B)バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVで、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下である、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの白色顔料。 (C)溶融シリカ粉末。 【0008】 そして、本発明は、厚み方向の片面のみに光半導体素子を搭載するための板状の光半導体装置用リードフレームであって、互いに隙間を隔てて配置される複数のプレート部を備えるとともに、上記隙間に、上記第1の要旨の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて充填し、硬化してなるリフレクタが形成されてなる光半導体装置用リードフレームを第2の要旨とする。また、本発明は、光半導体素子搭載領域を備え、それ自体の少なくとも一部で素子搭載領域の周囲を囲んだ状態でリフレクタが形成されてなる立体状の光半導体装置用リードフレームであって、上記リフレクタが、上記第1の要旨の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなる光半導体装置用リードフレームを第3の要旨とする。 【0009】 さらに、本発明は、その片面に光半導体素子を搭載するための素子搭載領域を有するプレート部が、互いに隙間を隔てて配置され、上記素子搭載領域の所定位置に光半導体素子が搭載されてなる光半導体装置であって、上記隙間に、上記第1の要旨の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて充填し、硬化してなるリフレクタが形成されてなる光半導体装置を第4の要旨とする。また、本発明は、光半導体素子搭載領域を備え、それ自体の少なくとも一部で素子搭載領域の周囲を囲んだ状態でリフレクタが形成されてなる光半導体装置用リードフレームの所定位置に光半導体素子が搭載されてなる光半導体装置であって、上記リフレクタが、上記第1の要旨の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなる光半導体装置を第5の要旨とする。 【0010】 そして、本発明は、裏面に複数の接続用電極が形成されてなる光半導体素子の側面に上記第1の要旨の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物からなるリフレクタが形成され、上記光半導体素子上部の発光面あるいは受光面が封止層にて被覆されてなる封止型光半導体素子を第6の要旨とする。また、本発明は、配線回路基板の所定位置に、上記第6の要旨の封止型光半導体素子が、その接続用電極を介して搭載されてなる光半導体装置を第7の要旨とする。 【0011】 本発明者らは、高い初期光反射率に加えて、長期耐光性に優れた光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を得るべく鋭意検討を重ねた。その研究の過程で、従来とは異なる視点から白色顔料を特定することを想起し、物性の一つであるバンドギャップに着目し、この物性に基づき、更なる研究を重ねた。その結果、白色顔料として、バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVの範囲内で、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下の特定の白色顔料を用いると、上記バンドギャップの範囲内であることにより、例えば、光半導体素子から発せられる光の吸収が抑制され、また白色顔料自体の着色も抑制されて、高い光反射率を維持することとなり、結果、高い初期光反射率のみならず、長期耐光性に優れたリフレクタ形成材料となりうる熱硬化性樹脂組成物が得られることを見出した。 【発明の効果】 【0012】 このように、本発明は、前記熱硬化性樹脂(A)とともに白色顔料および無機質充填剤を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物であって、上記白色顔料が、特定のバンドギャップ(禁制帯)を有し、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下の特定の白色顔料(B)のみからなり、上記無機質充填剤が溶融シリカ粉末(C)のみからなり、かつ上記(B)成分と(C)成分との混合割合が、体積比で(C)/(B)=2?30である光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物である。このため、高い初期光反射率のみならず、優れた長期耐光性をも備えるようになる。したがって、上記光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いてリフレクタを形成してなる光半導体装置では、信頼性の高い光半導体装置が得られる。 【0013】 そして、上記白色顔料(B)と溶融シリカ粉末(C)の合計含有割合が特定範囲であり、かつ白色顔料(B)の含有割合が特定範囲であると、より一層優れた長期耐光性を備えるようになる。 【図面の簡単な説明】 【0014】 【図1】光半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。 【図2】光半導体装置の他の構成を模式的に示す平面図である。 【図3】上記光半導体装置の他の構成を模式的に示す図2のX-X′矢視断面図である。 【図4】封止型光半導体素子の構成を模式的に示す断面図である。 【発明を実施するための形態】 【0015】 本発明の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物(以下、「熱硬化性樹脂組成物」ともいう)は、例えば、先に述べたように、図1に示す光半導体装置あるいは後述の図2および図3に示す光半導体装置、図4に示す封止型光半導体素子の、リフレクタ4,11,15形成材料として用いられるものであって、熱硬化性樹脂(A成分)と、特定の白色顔料(B成分)と、溶融シリカ粉末(C成分)とを特定の割合で用いて得られるものであり、通常、液状、あるいはシート状、粉末状、もしくはその粉末を打錠したタブレット状にしてリフレクタ4,11,15形成材料に供される。 【0016】 〈A:熱硬化性樹脂〉 上記熱硬化性樹脂(A成分)としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは併せて用いられる。 【0017】 上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、モノグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂等の含窒素環エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノール等のジグリシジルエーテル、ジアミノジフェニルメタンおよびイソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族および脂環式エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流であるビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらエポキシ樹脂の中でも、透明性および耐変色性に優れるという点から、脂環式エポキシ樹脂や、トリグリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌル環構造を有するものを単独でもしくは併せて用いることが好ましい。同様の理由から、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸、メチルナジック酸等のジカルボン酸のジグリシジルエステルも好適である。また、芳香環が水素化された脂環式構造を有する核水素化トリメリット酸、核水素化ピロメリット酸等のグリシジルエステル等もあげられる。 【0018】 上記エポキシ樹脂としては、常温で固形であっても液状であってもよいが、一般に、使用するエポキシ樹脂の平均エポキシ当量が90?1000のものが好ましく、また、固形の場合には、取り扱い性の利便性の観点から、軟化点が50?160℃のものが好ましい。すなわち、エポキシ当量が小さすぎると、熱硬化性樹脂組成物硬化物が脆くなる場合がある。また、エポキシ当量が大きすぎると、熱硬化性樹脂組成物硬化物のガラス転移温度(Tg)が低くなる傾向がみられるからである。 【0019】 熱硬化性樹脂(A成分)として上記エポキシ樹脂を用いる際には、通常、硬化剤が用いられる。上記硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、イソシアヌル酸誘導体系硬化剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらのなかでも、耐熱性および耐光性の観点から、酸無水物系硬化剤を用いることが好ましい。 【0020】 上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、およびその核水素化物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、シクロヘキサン-1,2,3-トリカルボン酸-2,3-無水物、およびその位置異性体、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸-3,4-無水物、およびその位置異性体、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。また、飽和脂肪鎖骨格、不飽和脂肪鎖骨格、またはシリコーン骨格の末端基、ないし、側鎖としてこれら酸無水物を有するオリゴマーも単独で、もしくは2種以上併せて、および、上記酸無水物と併せて用いることができる。これら酸無水物系硬化剤の中でも、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸を用いることが好ましい。さらに、酸無水物系硬化剤としては、無色ないし淡黄色の酸無水物系硬化剤が好ましい。また、上記酸無水物の加水分解物であるカルボン酸を併用してもよい。 【0021】 また、上記イソシアヌル酸誘導体系硬化剤としては、例えば、1,3,5-トリス(1-カルボキシメチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3-カルボキシプロピル)イソシアヌレート、1,3-ビス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。さらに、イソシアヌル酸誘導体系硬化剤としては、無色ないし淡黄色の硬化剤が好ましい。 【0022】 ここで、上記エポキシ樹脂と上記硬化剤との配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、硬化剤中におけるエポキシ基と反応可能な活性基(酸無水基あるいはカルボキシル基)が0.4?1.4当量となるよう設定することが好ましく、より好ましくは0.6?1.2当量である。すなわち、活性基が少なすぎると、熱硬化性樹脂組成物の硬化速度が遅くなるとともに、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が低くなる傾向がみられ、活性基が多すぎると耐湿性が低下する傾向がみられるからである。 【0023】 また、その目的および用途に応じて、上述の上記酸無水物系硬化剤およびイソシアヌル酸誘導体系硬化剤以外の他のエポキシ樹脂用硬化剤、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、上記酸無水物系硬化剤をアルコールで部分エステル化したもの等の硬化剤を、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なお、これら硬化剤を用いる場合においても、その配合割合は、上述のエポキシ樹脂と硬化剤との配合割合(当量比)に準じればよい。 【0024】 つぎに、上記熱硬化性樹脂(A成分)として上記シリコーン樹脂を用いる場合について述べる。上記シリコーン樹脂としては、少なくとも触媒を含有し、具体的には、触媒およびシリコーン樹脂を含有する。上記触媒は、例えば、シリコーン樹脂の反応を促進させてシリコーン樹脂を硬化させる硬化触媒であって、好ましくは、後述するシリコーン樹脂のヒドロシリル化反応を促進させてシリコーン樹脂をヒドロシリル付加により硬化させるヒドロシリル化触媒である。そして、上記触媒は、遷移金属を含有し、上記遷移金属としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金属元素、好ましくは、白金があげられる。具体的には、触媒としては、触媒が白金を含有する場合には、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸等の無機白金、例えば、白金-オレフィン錯体、白金-カルボニル錯体、白金-アセチルアセテート等の白金錯体等があげられ、好ましくは、白金錯体があげられる。より具体的には、白金錯体としては、例えば、白金-ビニルシロキサン錯体、白金-テトラメチルジビニルジシロキサン錯体、白金-カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金-オクタナル/オクタノール錯体等があげられる。なお、上記触媒は、後述のシリコーン樹脂と区別して配合される態様や、シリコーン樹脂を構成する成分としてシリコーン樹脂に含有される態様がある。 【0025】 上記触媒中の遷移金属の含有割合(濃度)は、シリコーン樹脂全体に対して、質量基準で、好ましくは0.1?500ppm、より好ましくは0.15?100ppm、さらに好ましくは0.2?50ppm、特に好ましくは0.3?10ppmである。 【0026】 上記シリコーン樹脂は、触媒によって反応が促進されて硬化する硬化性シリコーン樹脂であって、例えば、1段階硬化型シリコーン樹脂、2段階硬化型シリコーン樹脂等の熱硬化性シリコーン樹脂等があげられる。 【0027】 上記2段階硬化型シリコーン樹脂は、2段階の反応機構を有しており、1段階目の反応でBステージ化(半硬化)し、2段階目の反応でCステージ化(完全硬化)する熱硬化性シリコーン樹脂である。なお、上記Bステージとは、熱硬化性シリコーン樹脂が、溶剤に可溶なAステージと、完全硬化したCステージとの間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、溶剤に膨潤するが完全に溶解せず、加熱によって軟化するが溶融しない状態である。 【0028】 上記1段階硬化型シリコーン樹脂は、1段階の反応機構を有しており、1段階目の反応で完全硬化する熱硬化性シリコーン樹脂である。上記1段階硬化型シリコーン樹脂としては、例えば、特開2012-124428号公報に開示される付加反応硬化型ポリオルガノポリシロキサンがあげられる。具体的には、付加反応硬化型ポリオルガノポリシロキサンは、例えば、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物およびヒドロシリル基含有ケイ素化合物を含有する。 【0029】 上記エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物として、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサン、好ましくは、両末端ビニルポリジメチルシロキサンがあげられる。 【0030】 上記ヒドロシリル基含有ケイ素化合物として、例えば、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン、好ましくは、両末端ヒドロシリルポリジメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル封鎖メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー等があげられる。 【0031】 上記2段階硬化型シリコーン樹脂としては、例えば、縮合反応と付加反応との2つの反応系を有する縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂等があげられる。このような縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂は、触媒を含有しており、例えば、シラノール両末端ポリシロキサン、アルケニル基含有トリアルコキシシラン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第1の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂、 例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂、 例えば、両末端シラノール型シリコーンオイル、アルケニル基含有ジアルコキシアルキルシラン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第3の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂、 例えば、1分子中に少なくとも2個のアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサン、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒および硬化遅延剤を含有する第4の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂、 例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和炭化水素基と少なくとも2つのヒドロシリル基とを1分子中に併有する第1オルガノポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有する第2オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒およびヒドロシリル化抑制剤を含有する第5の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂、 例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和炭化水素基と少なくとも2つのシラノール基とを1分子中に併有する第1オルガノポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有する第2オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化抑制剤、および、ヒドロシリル化触媒を含有する第6の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂、 例えば、ケイ素化合物、および、ホウ素化合物またはアルミニウム化合物を含有する第7の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂、 例えば、ポリアルミノシロキサンおよびシランカップリング剤を含有する第8の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂等があげられる。 これら縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。 【0032】 上記縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂として、好ましくは、上記第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂があげられ、具体的には、特開2010-265436号公報等に詳細に記載されており、例えば、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、ビニルトリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、ジメチルポリシロキサン-co-メチルハイドロジェンポリシロキサン、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび白金-カルボニル錯体を含有する。具体的には、上記第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂を調製するには、例えば、まず、縮合原料であるエチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物およびエチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物と、縮合触媒とを一度に加え、ついで、付加原料であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを加え、その後、ヒドロシリル化触媒(付加触媒)を加えることにより調製することができる。 【0033】 〈B:特定の白色顔料〉 上記A成分とともに用いられる特定の白色顔料(B成分)としては、バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVである特定の白色顔料が用いられる。このバンドギャップとは、その結晶のバンド構造における価電子帯の上端から、伝導帯の下端までの間のエネルギー差をいい、各単体、化合物およびそれらの結晶系に固有の値である。上記特定範囲のバンドギャップを有する特定の白色顔料(B成分)としては、具体的には、酸化亜鉛(バンドギャップ3.3eV、屈折率2.0)、酸化ジルコニウム(ZrO_(2))(バンドギャップ4?5eV、屈折率2.1)があげられる。さらに、硫化物としては、硫化亜鉛(ウルツ)(バンドギャップ3.9eV、屈折率2.4)があげられる。そして、長期耐光性のみならず初期光反射率の観点から、屈折率が2.0?3.0のものが好ましい。さらに、着色が少なく、化学的安定性、安全性、価格を含む入手容易性、および生産性の観点から、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム(ZrO_(2))が好ましく用いられ、酸化ジルコニウム、特に単斜晶の酸化ジルコニウムが好ましく用いられる。さらに、その中でも、流動性という観点から、平均粒径が0.01?50μmのものを用いることが好ましく、0.01?30μmのものを用いることがより好ましい。なお、上記平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。また、光反射率の観点から、白色顔料に含まれる不純物の中でもFe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下でなければならない。 【0034】 上記特定の白色顔料(B成分)の配合割合は、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、好ましくは3?50体積%であり、より好ましくは5?30体積%である。すなわち、B成分の含有割合が少なすぎると、充分な光反射性、特に優れた初期光反射率が得られ難くなる傾向がみられる。B成分の含有割合が多すぎると、著しい増粘により混練等での熱硬化性樹脂組成物の作製に関して困難が生じる可能性がみられるからである。 【0035】 〈C:溶融シリカ粉末〉 上記A?B成分にとともに用いられる無機質充填剤としては、線膨張係数の低減等の観点から、溶融シリカ粉末(C成分)が用いられ、特に高充填性および高流動性という観点から、溶融球状シリカ粉末を用いることが好ましい。上記溶融シリカ粉末(C成分)の粒径およびその分布に関しては、上記特定の白色顔料(B成分)の粒径およびその分布との組み合わせを、熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形等により成形する際のバリ等が最も低減するように配慮することが好ましい。具体的には、溶融シリカ粉末(C成分)の平均粒径は、5?100μmであることが好ましく、特に好ましくは10?80μmである。なお、上記平均粒径は、前述と同様、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。 【0036】 そして、上記溶融シリカ粉末(C成分)の含有割合においては、上記特定の白色顔料(B成分)と溶融シリカ粉末(C成分)の合計の含有割合が、熱硬化性樹脂組成物全体の10?90体積%となるように設定することが好ましい。より好ましくは60?90体積%であり、特に好ましくは65?85体積%である。すなわち、上記合計の含有割合が少なすぎると、成形時に反りが発生する等の問題が生じる傾向がみられる。また、合計の含有割合が多すぎると、配合成分を混練する際、混練機に多大な負荷がかかり、混練が不可能となる傾向がみられ、結果、成形材料である熱硬化性樹脂組成物を作製することが困難となる傾向がみられる。 【0037】 さらに、上記特定の白色顔料(B成分)と溶融シリカ粉末(C成分)の混合割合は、初期光反射率の観点から、体積比で、(C成分)/(B成分)=2?30に設定される。すなわち、B成分とC成分の混合割合が、上記範囲を外れ、体積比が小さすぎると、熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度が上昇して混練が困難になる傾向がみられ、体積比が大きすぎると、熱硬化性樹脂組成物の初期光反射率が低下する傾向がみられる。 【0038】 〈他の添加剤〉 そして、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、上記A?C成分以外に、必要に応じて、硬化促進剤、離型剤、シラン化合物を配合することができる。さらには、変性剤(可塑剤)、酸化防止剤、難燃剤、脱泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。 【0039】 上記硬化促進剤は、上記熱硬化性樹脂(A成分)がエポキシ樹脂の場合に用いることができ、硬化促進剤としては、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、トリ-2,4,6-ジメチルアミノメチルフェノール、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアミノベンゼン、N,N-ジメチルアミノシクロヘキサン等の3級アミン類、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスホエート、テトラフェニルホスホニウム-o,o-ジエチルホスホロジチオエート、テトラ-n-ブチルホスホニウム-o,o-ジエチルホスホロジチオエート等のリン化合物、トリエチレンジアンモニウム・オクチルカルボキシレート等の4級アンモニウム塩、有機金属塩類、およびこれらの誘導体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これら硬化促進剤の中では、3級アミン類、イミダゾール類、リン化合物を用いることが好ましい。その中でも、着色が少ない硬化物を得るためには、リン化合物を用いることが特に好ましい。 【0040】 上記硬化促進剤の含有量は、上記熱硬化性樹脂(A成分)に対して0.001?8重量%に設定することが好ましく、より好ましくは0.01?5重量%である。すなわち、硬化促進剤の含有量が少なすぎると、充分な硬化促進効果を得られない場合があり、また硬化促進剤の含有量が多すぎると、得られる硬化物に変色が生じる傾向がみられるからである。 【0041】 上記離型剤としては、各種離型剤が用いられるが、中でもエーテル結合を有する離型剤を用いることが好ましく、例えば、下記の一般式(1)で表される構造式を備えた離型剤があげられる。 【0042】 CH_(3)・(CH_(3))k・CH_(2)O(CHRm・CHRn・O)x・H ・・・(1) [式(1)中、Rm,Rnは水素原子または一価のアルキル基であり、両者は互いに同じであっても異なっていてもよい。また、kは1?100の正数であり、xは1?100の正数である。] 【0043】 上記式(1)において、Rm,Rnは水素原子または一価のアルキル基であり、好ましくはkは10?50の正数、xは3?30の正数である。より好ましくはRmおよびRnは水素原子であり、kは28?48の正数、xは5?20の正数である。すなわち、繰り返し数kの値が小さすぎると、離型性が低下し、また繰り返し数xの値が小さすぎると、分散性が低下するため、安定した強度と離型性が得られなくなる傾向がみられる。一方、繰り返し数kの値が大きすぎると、融点が高くなるため混練が困難となり、熱硬化性樹脂組成物の製造工程において困難を生じる傾向がみられ、繰り返し数xの値が大きすぎると、離型性が低下する傾向がみられるからである。 【0044】 上記離型剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体の0.001?3重量%の範囲に設定することが好ましく、0.01?2重量%の範囲に設定することがより好ましい。すなわち、離型剤の含有量が少なすぎたり、多すぎたりすると、硬化体の強度不足を招いたり、離型性の低下を引き起こす傾向がみられるからである。 【0045】 上記シラン化合物としは、シランカップリング剤やシランがあげられる。上記シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等があげられる。また、上記シランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエチルシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デジルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、加水分解性基を含むシロキサン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。 【0046】 上記変性剤(可塑剤)としては、例えば、シリコーン類、アルコール類等があげられる。 【0047】 上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物、ホスフィン系化合物等があげられる。 【0048】 上記難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、臭素系難燃剤、窒素系難燃剤、リン系難燃剤等があげられ、さらに三酸化アンチモン等の難燃助剤を用いることもできる。 【0049】 上記消泡剤としては、例えば、シリコーン系等の従来公知の消泡剤があげられる。 【0050】 〈熱硬化性樹脂組成物〉 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、上記A?C成分、さらには硬化促進剤および離型剤、ならびに必要に応じて用いられる各種添加剤を適宜配合した後、混練機等を用いて溶融混合し、ついで、これを冷却し固化して粉砕することにより粉末状の熱硬化性樹脂組成物を製造することができる。 【0051】 そして、上記得られた熱硬化性樹脂組成物を、例えば、トランスファー成形または射出成形することで得られる硬化物としては、その光反射率が、波長450?800nmにおいて80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。なお、上限は、通常100%である。具体的には、上記硬化物の波長450nmにおける光反射率が85?98%であることが好ましい。上記光反射率は、例えば、つぎのようにして測定される。すなわち、厚み1mmの熱硬化性樹脂組成物の硬化物を、所定の硬化条件、例えば、175℃×2分間の成形後、175℃×3時間の後硬化にて作製し、室温(25±10℃)にて上記範囲内の波長での上記硬化物の光反射率を分光光度計(例えば、日本分光社製の分光光度計V-670)を用いることにより測定することができる。 【0052】 本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いてなる光半導体装置は、例えば、つぎのようにして製造される。すなわち、金属リードフレームをトランスファー成形機の金型内に設置して上記熱硬化性樹脂組成物を用いてトランスファー成形によりリフレクタを形成する。このようにして、光半導体素子搭載領域の周囲を囲うように環状のリフレクタが形成されてなる光半導体装置用の金属リードフレームを作製する。ついで、上記リフレクタの内部の、金属リードフレーム上の光半導体素子搭載領域に光半導体素子を搭載し、光半導体素子と金属リードフレームとをボンディングワイヤーを用いて電気的に接続する。そして、上記光半導体素子を含むリフレクタの内側領域を、シリコーン樹脂等を用いて樹脂封止することにより封止樹脂層が形成される。このようにして、例えば、図1に示す立体状(カップ型)の光半導体装置が作製される。この光半導体装置は、前述のとおり、第1のプレート部1と第2のプレート部2とからなる金属リードフレームの第2のプレート部2上に光半導体素子3が搭載され、上記光半導体素子3の周囲を囲むように、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる光反射用のリフレクタ4が形成されているという構成をとる。そして、上記金属リードフレームとリフレクタ4の内周面とで形成される凹部5には、光半導体素子3を封止する透明性を有する封止樹脂層6が形成されている。この封止樹脂層6には必要に応じて蛍光体が含有されている。図1において、7,8は金属リードフレームと光半導体素子3とを電気的に接続するボンディングワイヤーである。 【0053】 なお、本発明において、上記図1の金属リードフレームに代えて各種基板を用いてもよい。上記各種基板としては、例えば、有機基板、無機基板、フレキシブルプリント基板等があげられる。また、上記トランスファー成形に変えて、射出成形によりリフレクタを形成してもよい。 【0054】 また、上記構成と異なる光半導体装置として、板状の光半導体装置用リードフレームを用いた、例えば、図2および図3(図2のX-X′矢視断面図)に示す光半導体装置があげられる。すなわち、この光半導体装置は、互いに間隔を設けて配置された金属リードフレーム10の厚み方向の片面の所定位置に光半導体素子3がそれぞれ搭載され、上記金属リードフレーム10間の隙間に本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる光反射用のリフレクタ11が形成されているという構成をとる。また、図3に示すように、金属リードフレーム10の隙間に本発明の熱硬化性樹脂組成物を充填し硬化してなるリフレクタ11が複数箇所形成されている。なお、図2および図3において、12は、上記光半導体素子3と金属リードフレーム10とを電気的に接続するボンディングワイヤーである。このような光半導体装置は、上記金属リードフレーム10をトランスファー成形機の金型内に設置してトランスファー成形により、間隔を設けて配置された金属リードフレーム10の隙間および金属リードフレーム10の光半導体素子3搭載面とは反対面に形成された凹部に、熱硬化性樹脂組成物を充填し、硬化させることによりリフレクタ11をそれぞれ形成する。ついで、上記金属リードフレーム10の所定位置となる光半導体素子搭載領域に光半導体素子3を搭載した後、光半導体素子3と金属リードフレーム10とをボンディングワイヤー12を用いて電気的に接続する。このようにして、図2および図3に示す光半導体装置が作製される。 【0055】 〈封止型光半導体素子〉 さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物をリフレクタ形成材料として用いた封止型光半導体素子を、図4に示す。すなわち、この封止型光半導体素子は、光半導体素子3の側面全面に本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる光反射用のリフレクタ15が形成され、さらに上記光半導体素子3の上部(発光面あるいは受光面)が封止層16にて被覆されているという構成をとる。図において、17は接続用電極(バンプ)である。また、上記封止層16はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂、あるいはガラスやセラミックス等の無機材料によって形成され、上記封止層16には蛍光体が含有されていてもよいし蛍光体が配合されていないものであってもよい。 【0056】 このような封止型光半導体素子は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、ダイシングテープ等の粘着面上にフリップチップタイプの光半導体(発光)素子3(例えば、青色LEDチップ等)を、その発光面とは反対面に設けられた接続用電極(バンプ)17を上記テープ面に埋め込んだ状態で一定の間隔を設けて配置する。ついで、圧縮成形機,トランスファー成形機,または射出成形機を用いて上記光半導体素子3の側面全面、さらには発光面を本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて包埋する。そして、乾燥機等により後加熱を行なうことにより、上記熱硬化性樹脂組成物の熱硬化反応を完了させて光半導体素子3の側面全面に本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる光反射用のリフレクタ15を形成する。つぎに、発光面上に形成されたリフレクタ15を研削して除去することにより発光面を露呈させ、この露呈した発光面上にシリコーン樹脂等の封止材を、周囲をダム材にて囲った状態で注型する、あるいはシート状の封止材を発光面に貼付して封止層16を形成する。つぎに、互いに光半導体素子3間の中央線をブレードダイサーを用いてダイシングすることにより個々の素子に個片化させる。そして、ダイシングテープを拡張延伸して粘着性を低減させ、ダイシングテープ上のリフレクタ15が形成された封止型の光半導体素子3同士を完全に分離,個片化させることにより、図4に示す封止型の光半導体素子3を製造することができる。 【0057】 このようにして得られる封止型の光半導体素子3を用いた構成の光半導体装置としては、例えば、配線回路基板の回路が形成された所定位置に、上記光半導体素子3の接続用電極17を介して搭載してなる構成を備えた光半導体装置があげられる。 【実施例】 【0058】 つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。 【0059】 まず、熱硬化性樹脂組成物の作製に先立って下記に示す各成分を準備した。 【0060】 [エポキシ樹脂] トリグリシジルイソシアヌレート(エポキシ当量100) 【0061】 [硬化性成分] 4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(酸無水物当量168) 【0062】 [白色顔料b1] 酸化亜鉛(バンドギャップ3.3eV、屈折率2.0、平均粒径2.9μm)(ハクスイテック社製、酸化亜鉛1種) [白色顔料b2] 酸化ジルコニウム(バンドギャップ4?5eV、屈折率2.1、平均粒径4.3μm、Fe_(2)O_(3)含有量0.001質量%、単斜晶)(第一稀元素化学工業社製、SG酸化ジルコニウム) [白色顔料b′] ルチル型酸化チタン(バンドギャップ3.0eV、屈折率2.7、単一粒子径0.2μm)(石原産業社製、CR-97) 【0063】 [無機質充填剤] 溶融球状シリカ粉末(平均粒径20μm) 【0064】 [硬化促進剤] テトラ-n-ブチルホスホニウムブロマイド 【0065】 [離型剤] C(炭素数)>14、エトキシ化アルコール/エチレンホモポリマー(丸菱油化工業社製、UNT750) [カップリング剤] 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-403) 【0066】 [実施例1?15、比較例1] 後記の表1?表3に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ニーダーで溶融混練(温度100?130℃)を行ない、熟成した後、室温(25℃)まで冷却して粉砕することにより目的とする粉末状の熱硬化性樹脂組成物を作製した。 【0067】 このようにして得られた実施例および比較例の熱硬化性樹脂組成物を用い、下記の方法に従って各種評価[初期光反射率、長期耐光性]の測定を行なった。その結果を後記の表1?表3に示す。 【0068】 [初期光反射率] 上記各熱硬化性樹脂組成物を用い、厚み1mmの試験片を所定の硬化条件(条件:175℃×2分間の成形+175℃×3時間キュア)にて作製し、この試験片(硬化物)を用いて、室温(25℃)での光反射率を測定した。なお、測定装置として日本分光社製の分光光度計V-670を使用して、波長450nmの光反射率を室温(25℃)にて測定した。 【0069】 [長期耐光性] 上記と同様にして作製した各試験片を用い、波長600nmの光反射率を室温(25℃)にて測定した。その後、その試験片を110℃のホットプレートで加熱した状態で、436nmの光を1W/cm^(2)の強さで15分間照射した後に、上記と同様にして波長600nmの光反射率を測定した(加速試験)。そして、上記加速試験前後での光反射率の低下度(加熱・光照射後の光反射率-加熱・光照射前の光反射率)を算出した。なお、測定には、上記と同様、日本分光社製の分光光度計V-670を使用した。上記光反射率の低下度において、実施例11?13,15に関しては、0を超えた値が測定・算出されたが、上記値は測定誤差であり、実質的には0以下になることから表中には「0」と記載した。 【0070】 【表1】 【0071】 【表2】 【0072】 【表3】 【0073】 上記結果から、特定の白色顔料を配合してなる実施例品は、高い初期光反射率のみならず、長期耐光性に関しても優れた結果が得られた。 【0074】 これに対して、バンドギャップが特定範囲を外れ小さい値である酸化チタンを用いた比較例1品は、初期光反射率に関しては実施例品と同程度の高い測定結果が得られたが、長期耐光性に劣る結果となった。 【0075】 [光半導体(発光)装置の作製] つぎに、上記実施例品である粉末を打錠したタブレット状の熱硬化性樹脂組成物を用いて、図1に示す構成の光半導体(発光)装置を製造した。すなわち、銅(銀メッキ)製の複数の対となった第1のプレート部1と第2のプレート部2を有する金属リードフレームをトランスファー成形機の金型内に設置し、上記熱硬化性樹脂組成物を用いてトランスファー成形(条件:175℃×2分間の成形+175℃×3時間キュア)を行なうことにより、図1に示す、金属リードフレームの所定位置にリフレクタ4を形成した。ついで、光半導体(発光)素子(大きさ:0.5mm×0.5mm)3を搭載し、この光半導体素子3と上記金属リードフレームをボンディングワイヤー7,8にて電気的に接続することにより、リフレクタ4と、金属リードフレームと、光半導体素子3とを備えたユニットを製造した。 【0076】 つぎに、上記金属リードフレームとリフレクタ4の内周面とで形成される凹部5に、シリコーン樹脂(信越シリコーン社製、KER-2500)を充填して上記光半導体素子3を樹脂封止(成形条件:150℃×4時間)することにより透明な封止樹脂層6を形成し、リフレクタごとにダイシングにより個片化し、図1に示す光半導体(発光)装置を作製した。得られた光半導体(発光)装置は、高い初期光反射率とともに、長期耐光性に優れたリフレクタ4を備えており、高信頼性を備えた良好なものが得られた。 【0077】 また、前述の図2および図3に示す光半導体装置、および、図4に示す封止型光半導体素子におけるリフレクタ11,15形成材料として、上記実施例品である粉末を打錠したタブレット状の熱硬化性樹脂組成物を用い、前述の製造方法に従って、図2および図3に示す光半導体装置、および、図4に示す封止型光半導体素子を作製した。得られた光半導体装置は、上記と同様、高信頼性を備えた良好なものが得られた。一方、上記得られた封止型光半導体素子を、配線回路基板の回路が形成された所定位置に、上記封止型光半導体素子の接続用電極を介して搭載することにより光半導体装置を作製した。得られた光半導体装置は、上記と同様、高信頼性を備えた良好なものが得られた。 【0078】 上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。 【産業上の利用可能性】 【0079】 本発明の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物は、光半導体装置に内蔵された光半導体素子から発する光を反射させるリフレクタの形成材料として有用である。 【符号の説明】 【0080】 1 第1のプレート部 2 第2のプレート部 3 光半導体素子 4,11,15 リフレクタ 5 凹部 6,封止樹脂層 7,8,12 ボンディングワイヤー 10 金属リードフレーム 16 封止層 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の(A)成分とともに白色顔料および無機質充填剤を含有する光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物であって、上記白色顔料が下記の(B)成分のみからなり、上記無機質充填剤が下記の(C)成分のみからなり、かつ上記(B)成分と(C)成分との混合割合が、体積比で、(C)/(B)=2?30であることを特徴とする光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 (A)熱硬化性樹脂。 (B)バンドギャップ(禁制帯)が3.3?5.5eVで、Fe_(2)O_(3)の含有量が0.01質量%以下である、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの白色顔料。 (C)溶融シリカ粉末。 【請求項2】 上記(B)の屈折率が2.0?3.0である請求項1記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 【請求項3】 上記(B)が、酸化ジルコニウムである請求項1または2記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 【請求項4】 上記(B)および(C)の合計の含有割合が、熱硬化性樹脂組成物全体の10?90体積%であり、かつ(B)の含有割合が熱硬化性樹脂組成物全体の3?50体積%である請求項1?3のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物。 【請求項5】 厚み方向の片面のみに光半導体素子を搭載するための板状の光半導体装置用リードフレームであって、互いに隙間を隔てて配置される複数のプレート部を備えるとともに、上記隙間に、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて充填し、硬化してなるリフレクタが形成されてなることを特徴とする光半導体装置用リードフレーム。 【請求項6】 光半導体素子搭載領域を備え、それ自体の少なくとも一部で素子搭載領域の周囲を囲んだ状態でリフレクタが形成されてなる立体状の光半導体装置用リードフレームであって、上記リフレクタが、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とする光半導体装置用リードフレーム。 【請求項7】 上記リフレクタが、リードフレームの片面にのみ形成されている請求項6記載の光半導体装置用リードフレーム。 【請求項8】 上記リフレクタがトランスファー成形または射出成形により光半導体装置用リードフレームに形成されてなる請求項5?7のいずれか一項に記載の光半導体装置用リードフレーム。 【請求項9】 その片面に光半導体素子を搭載するための素子搭載領域を有するプレート部が、互いに隙間を隔てて配置され、上記素子搭載領域の所定位置に光半導体素子が搭載されてなる光半導体装置であって、上記隙間に、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて充填し、硬化してなるリフレクタが形成されてなることを特徴とする光半導体装置。 【請求項10】 光半導体素子搭載領域を備え、それ自体の少なくとも一部で素子搭載領域の周囲を囲んだ状態でリフレクタが形成されてなる光半導体装置用リードフレームの所定位置に光半導体素子が搭載されてなる光半導体装置であって、上記リフレクタが、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とする光半導体装置。 【請求項11】 リフレクタで囲まれた光半導体素子を含む領域をシリコーン樹脂にて樹脂封止されてなる請求項10載の光半導体装置。 【請求項12】 裏面に複数の接続用電極が形成されてなる光半導体素子の側面に請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物からなるリフレクタが形成され、上記光半導体素子上部の発光面あるいは受光面が封止層にて被覆されてなることを特徴とする封止型光半導体素子。 【請求項13】 配線回路基板の所定位置に、請求項12記載の封止型光半導体素子が、その接続用電極を介して搭載されてなる光半導体装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-05-31 |
出願番号 | 特願2014-520092(P2014-520092) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZAA
(H01L)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 村井 友和 |
特許庁審判長 |
恩田 春香 |
特許庁審判官 |
近藤 幸浩 森 竜介 |
登録日 | 2015-10-23 |
登録番号 | 特許第5825650号(P5825650) |
権利者 | 日東電工株式会社 |
発明の名称 | 光半導体リフレクタ用エポキシ樹脂組成物、光半導体装置用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて得られる光半導体装置用リードフレーム、封止型光半導体素子ならびに光半導体装置 |
代理人 | 西藤 征彦 |
代理人 | 井▲崎▼ 愛佳 |
代理人 | 西藤 優子 |
代理人 | 西藤 征彦 |
代理人 | 西藤 優子 |
代理人 | 井▲崎▼ 愛佳 |