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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H04N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1344834
異議申立番号 異議2017-700779  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-10 
確定日 2018-09-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6079205号発明「画像形成システム,画像形成装置,およびサーバ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6079205号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?15、18?24〕、16、17について訂正することを認める。 特許第6079205号の請求項9?24に係る特許を維持する。 特許第6079205号の請求項1?8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6079205号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?17に係る特許についての出願は、平成24年12月18日に特許出願され、平成29年1月27日付けでその特許権の設定登録(特許公報発行日平成29年2月15日)がされた。
その特許について、平成29年8月10日に特許異議申立人小林幸男より特許異議の申立てがされた。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年10月27日 取消理由通知(起案日)
平成29年12月26日 意見書の提出及び訂正の請求(特許権者)
平成30年 3月22日 意見書の提出(特許異議申立人)

第2 訂正の適否
1.訂正請求の趣旨
特許権者による平成29年12月26日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、「特許第6079205号の明細書、特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?24について訂正することを求める。」というものである。

2.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。

2.1 請求項1?15からなる一群の請求項に係る訂正
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1から請求項8のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、前記サーバは、前記決定部を備え、前記画像形成装置は、前記印刷設定を含む前記特有情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記画像形成装置から送信された前記特有情報に基づいて、前記決定部にて前記変換条件を決定する、ことを特徴とする画像形成システム。」と記載されているのを、
「画像形成装置と、前記画像形成装置と通信を行うサーバとを備える画像形成システムにおいて、前記画像形成装置は、前記サーバに記憶されている画像データのうち、印刷対象の画像データの選択を受け付ける選択部と、前記選択部によって選択された画像データの送信を前記サーバに要求する要求部と、前記選択部によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件に従って前記サーバによって変換された画像データである変換データを、前記サーバから受信する受信部と、前記受信部にて受信した変換データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された変換データに基づいて印刷を行う印刷部と、印刷設定を入力する入力部と、を備え、前記印刷設定を含む特有情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記画像形成装置が有する前記特有情報であって、前記入力部によって入力された前記印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記変換条件を決定する決定部と、前記要求部によって送信が要求された画像データを前記変換条件に従って変換し、当該画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する生成部と、前記生成部が生成した変換データを、前記画像形成装置に送信する送信部と、を備える、ことを特徴とする画像形成システム。」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1から請求項9のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、前記画像形成装置は、前記決定部を備え、前記入力部にて入力された前記印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記決定部にて前記変換条件を決定し、決定した前記変換条件を前記サーバに送信する、ことを特徴とする画像形成システム。」と記載されているのを、
「画像形成装置と、前記画像形成装置と通信を行うサーバとを備える画像形成システムにおいて、前記画像形成装置は、前記サーバに記憶されている画像データのうち、印刷対象の画像データの選択を受け付ける選択部と、前記選択部によって選択された画像データの送信を前記サーバに要求する要求部と、前記選択部によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件に従って前記サーバによって変換された画像データである変換データを、前記サーバから受信する受信部と、前記受信部にて受信した変換データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された変換データに基づいて印刷を行う印刷部と、印刷設定を入力する入力部と、前記画像形成装置が有する特有情報であって、前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記変換条件を決定する決定部と、を備え、決定した前記変換条件を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記要求部によって送信が要求された画像データの画像サイズを前記変換条件に従って変換し、当該画像データから変換データを生成する生成部と、前記生成部が生成した変換データを、前記画像形成装置に送信する送信部と、を備える、ことを特徴とする画像形成システム。」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1から請求項10までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」と記載されているのを、「請求項9または請求項10に記載する画像形成システムにおいて、」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項12に「請求項1から請求項11までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」と記載されているのを、「請求項9から請求項11までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項13に「請求項1から請求項12までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」と記載されているのを、「請求項9から請求項12までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1から請求項13までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」と記載されているのを、「請求項9から請求項13までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項15に「請求項1から請求項14までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」と記載されているのを、「請求項9から請求項14までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項2を削除し、訂正後の請求項18に改め、「請求項1に記載する画像形成システム」と記載されているのを、「請求項9から請求項15までのいずれか1つに記載する画像形成システム」に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項3を削除し、訂正後の請求項19に改め、「請求項1または請求項2に記載する画像形成システム」と記載されているのを、「請求項9から請求項15、請求項18のいずれか1つに記載する画像形成システム」に訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項4を削除し、訂正後の請求項20に改め、「請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成システム」と記載されているのを、「請求項9から請求項15、請求項18、請求項19のいずれか1つに記載する画像形成システム」に訂正する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項5を削除し、訂正後の請求項21に改め、「請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成システム」と記載されているのを、「請求項9から請求項15および請求項18から請求項20のいずれか1つに記載する画像形成システム」に訂正する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項6を削除し、訂正後の請求項22に改め、「請求項5に記載する画像形成システム」と記載されているのを、「請求項21に記載する画像形成システム」に訂正する。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項7を削除し、訂正後の請求項23として、「請求項5または請求項6に記載する画像形成システム」と記載されているのを、「請求項21または請求項22に記載する画像形成システム」に訂正する。

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項8を削除し、訂正後の請求項24に改め、「請求項1から請求項7のいずれか1つに記載する画像形成システム」と記載されているのを、「請求項9から請求項15および請求項18から請求項23のいずれか1つに記載する画像形成システム」に訂正する。

2.2 請求項16に係る訂正
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項16の「自装置が有する特有情報であって、前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記サーバにて前記選択処理によって選択された画像データを変換させる条件である変換条件を決定する決定処理」を、「自装置が有する特有情報であって、前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記サーバにて前記選択処理によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件を決定する決定処理」に訂正する。

2.3 請求項17に係る訂正
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項17の「前記取得処理にて取得された前記特有情報に基づいて、前記画像形成装置によって選択された画像データを変換する条件である変換条件を決定する決定処理」を、「前記取得処理にて取得された前記特有情報に基づいて、前記画像形成装置によって選択された画像データの画像サイズを変換する条件である変換条件を決定する決定処理」に訂正する。

3.訂正の適否の判断
本件訂正請求による訂正の適否について検討する。以下、上記2.1(1)?(15)の訂正事項を「本件訂正1」?「本件訂正15」と、上記2.2(1)の訂正事項を「本件訂正16」と、上記2.3(1)の訂正事項を「本件訂正17」という。

3.1 訂正の目的について
(1)本件訂正1及び本件訂正2
ア 本件訂正1による訂正は、訂正前の請求項9について、請求項1の記載を引用する請求項9の記載を請求項1の記載を引用しない記載の訂正請求項9とするものである。また、本件訂正2による訂正は、訂正前の請求項10について、請求項1の記載を引用する請求項の記載を請求項1の記載を引用しない記載の訂正請求項10とするものである。

イ 加えて、本件訂正1による訂正は、訂正前の請求項9の受信部及び生成部における「画像データを」の記載を「画像データの画像サイズを」の記載の訂正請求項9とするものである。また、本件訂正2による訂正は、訂正前の請求項10の受信部及び生成部における「画像データを」の記載を「画像データの画像サイズを」の記載の訂正請求項10とするものである。

ウ 上記アの訂正は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を減少するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。また、上記イの訂正は、「画像データ」を限定するものといえるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
よって、本件訂正1及び本件訂正2による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)本件訂正3?本件訂正7
本件訂正3?本件訂正7による訂正は、訂正前の請求項11?15が引用している請求項の記載について、「請求項1から請求項8」を引用しない記載の訂正請求項11?15とする訂正である。
本件訂正3?本件訂正7による訂正は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を減少するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
よって、本件訂正3?本件訂正7による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(3)本件訂正8
本件訂正8による訂正は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
よって、本件訂正8による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(4)本件訂正9?本件訂正15
ア 本件訂正9?本件訂正15による訂正は、訂正前の請求項2?8を削除し、訂正前の請求項2?8の記載を、訂正前の請求項2?8の間における請求項の引用関係を変更せずに、訂正請求項18?24に変更する訂正である。

イ 加えて、本件訂正9?12、15による訂正は、訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項2?5、8について、訂正請求項9?15を引用する訂正請求項18?21、24とするものである。

ウ 上記アの訂正は、多数項を引用している請求項の上位請求項である訂正前の請求項1の削除によって、多数項を引用している請求項の引用請求項を減少すると共に、上記イの訂正は、請求項番号及び引用している請求項番号を変更するものといえるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
よって、本件訂正9?本件訂正15による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(5)本件訂正16及び本件訂正17
本件訂正16及び本件訂正17による訂正は、訂正前の請求項16及び17の決定処理における「画像データを」の記載を「画像データの画像サイズを」の記載の訂正請求項16及び17とするものである。
本件訂正16及び本件訂正17による訂正は、「画像データ」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
よって、本件訂正16及び本件訂正17による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(6)小括
したがって、本件訂正1?本件訂正17による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3.2 一群の請求項の訂正であるかについて
訂正前の請求項2?15は、訂正前の請求項1を引用するものであるため、連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?15に対応する訂正請求項1?15、18?24は、一群の請求項を構成する。
そして、本件訂正1?本件訂正15による訂正は、一群の請求項に対して請求されたものである。
よって、本件訂正1?本件訂正15による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第4項の規定に適合するものである。

3.3 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件訂正1、本件訂正2、本件訂正16及び本件訂正17による訂正は、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0042】、【0043】及び【0063】の記載に基づいて、訂正前の請求項9、10、16及び17の「画像データを」の記載を「画像データの画像サイズを」に訂正するものである。
したがって、本件訂正1、本件訂正2、本件訂正16及び本件訂正17による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてするものである。
よって、本件訂正1、本件訂正2、本件訂正16及び本件訂正17による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

3.4 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
本件訂正1?本件訂正17による訂正は、上記3.1のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、本件訂正1?本件訂正17による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

4.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?15、18?24〕、16、17について訂正を認める。

第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?24に係る発明(以下「本件発明1」?「本件特許24」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?24に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
ただし、符号9A?24Aは、当審において付与したものであり、以下それぞれ「構成9A」?「構成24A」という。
なお、請求項1?8は削除された。

【請求項1】 (削除)

【請求項2】 (削除)

【請求項3】 (削除)

【請求項4】 (削除)

【請求項5】 (削除)

【請求項6】 (削除)

【請求項7】 (削除)

【請求項8】 (削除)

(本件特許9)
【請求項9】
(9A)画像形成装置と、前記画像形成装置と通信を行うサーバとを備える画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置は、
(9B)前記サーバに記憶されている画像データのうち印刷対象の画像データの選択を受け付ける選択部と、
(9C)前記選択部によって選択された画像データの送信を前記サーバに要求する要求部と、
(9D)前記選択部によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件に従って前記サーバによって変換された画像データである変換データを、前記サーバから受信する受信部と、
(9E)前記受信部にて受信した変換データを記憶する記憶部と、
(9F)前記記憶部に記憶された変換データに基づいて印刷を行う印刷部と,
(9G)印刷設定を入力する入力部と、を備え、
(9H)前記印刷設定を含む特有情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
(9I)前記画像形成装置が有する前記特有情報であって、前記入力部によって入力された前記印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記変換条件を決定する決定部と、
(9J)前記要求部によって送信が要求された画像データを前記変換条件に従って変換し、当該画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する生成部と,
(9K)前記生成部が生成した変換データを、前記画像形成装置に送信する送信部と, を備え、
(9A)ことを特徴とする画像形成システム。

(本件特許10)
【請求項10】
(10A)画像形成装置と, 前記画像形成装置と通信を行うサーバとを備える画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置は、
(10B)前記サーバに記憶されている画像データのうち、印刷対象の画像データの選択を受け付ける選択部と、
(10C)前記選択部によって選択された画像データの送信を前記サーバに要求する要求部と、
(10D)前記選択部によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件に従って前記サーバによって変換された画像データである変換データを、前記サーバから受信する受信部と、
(10E)前記受信部にて受信した変換データを記憶する記憶部と,
(10F)前記記憶部に記憶された変換データに基づいて印刷を行う印刷部と,
(10G)印刷設定を入力する入力部と、
(10H)前記画像形成装置が有する特有情報であって、前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記変換条件を決定する決定部と、を備え、
(10I)決定した前記変換条件を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
(10J)前記要求部によって送信が要求された画像データの画像サイズを前記変換条件に従って変換し、当該画像データから変換データを生成する生成部と,
(10K)前記生成部が生成した変換データを、前記画像形成装置に送信する送信部とを備える、
ことを特徴とする画像形成システム。

(本件特許11)
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載する画像形成システムにおいて、
(11A)前記画像形成装置は、
前記サーバにファイルリスト要求を送信し、
前記サーバからファイルリストを受信し、
受信した前記ファイルリストに基づいて、印刷対象の画像データの選択を前記選択部にて受け付ける、ことを特徴とする画像形成システム。

(本件特許12)
【請求項12】
請求項9から請求項11までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(12A)前記変換条件には、前記変換データの画像サイズと、印刷設定の色指定と、が含まれる、ことを特徴とする画像形成システム。

(本件特許13)
【請求項13】
請求項9から請求項12までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(13A)前記変換条件には、前記変換データの画像サイズが含まれ、
前記決定部は、前記画像サイズを、前記印刷設定に含まれる解像度が低いほど小さいサイズに決定する、ことを特徴とする画像形成システム。

(本件特許14)
【請求項14】
請求項9から請求項13までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(14A)前記変換条件には、前記変換データの画像サイズが含まれ、
前記決定部は、前記印刷設定の色指定がモノクロの場合には、色指定がカラーの場合に比較して、前記画像サイズを小さいサイズに決定する、ことを特徴とする画像形成システム。

(本件特許15)
【請求項15】
請求項9から請求項14までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(15A)前記変換条件には、前記変換データの画像サイズが含まれ、
前記決定部は、前記画像サイズを、前記印刷設定に含まれる用紙サイズが小さいほど小さいサイズに決定する、ことを特徴とする画像形成システム。

(本件特許16)
【請求項16】
(16A)サーバと通信を行う画像形成装置において、
(16B)画像データを受信する受信部と、
(16C)印刷を行う印刷部と、
(16D)制御部と、
(16E)印刷設定を入力する入力部と、を備え、
前記制御部は、
(16F)前記サーバに記憶されている画像データのうち、印刷対象の画像データの選択を受け付ける選択処理と、
(16G)自装置が有する特有情報であって、前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記サーバにて前記選択処理によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件を決定する決定処理と、
(16H)前記選択処理によって選択された画像データの送信を要求する送信要求と、前記決定処理によって決定された前記変換条件とを、前記サーバに送信する要求送信処理と、
(16I)前記変換条件に従って前記サーバによって変換され、前記要求送信処理に応じて前記受信部が前記サーバから受信した画像データである変換データに基づいて、前記印刷部に印刷を行わせる印刷処理と、
を実行することを特徴とする画像形成装置。

(本件特許17)
【請求項17】
(17A)画像形成装置と通信を行うサーバにおいて、
(17B)画像データを送信する送信部と、
(17C)制御部と、を備え、
前記制御部は、
(17D)前記画像形成装置が有する特有情報であって、前記画像形成装置に入力された印刷設定が含まれる前記特有情報を取得する取得処理と、
(17E)前記取得処理にて取得された前記特有情報に基づいて、前記画像形成装置によって選択された画像データの画像サイズを変換する条件である変換条件を決定する決定処理と、
(17F)前記画像形成装置から送信が要求された画像データを前記変換条件に従って変換し、当該画像データから変換データを生成する生成処理と、
(17G)前記生成処理にて生成された変換データを、前記送信部にて前記画像形成装置に送信する送信処理と、
を実行することを特徴とするサーバ。

(本件特許18)
【請求項18】
請求項9から請求項15までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(18A)前記印刷設定には、画質情報が含まれることを特徴とする画像形成システム。

(本件特許19)
【請求項19】
請求項9から請求項15、請求項18のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(19A)前記入力部は、前記記憶部の空き容量に基づいて、入力される印刷設定の範囲を制限する
ことを特徴とする画像形成システム。

(本件特許20)
【請求項20】
請求項9から請求項15、請求項18、請求項19のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(20A)前記入力部は、前記印刷部のカラー画像の形成能力に基づいて、入力される印刷設定の範囲を制限することを特徴とする画像形成システム。

(本件特許21)
【請求項21】
請求項9から請求項15および請求項18から請求項20のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(21A)前記特有情報には、前記画像形成装置の能力に関する情報が含まれることを特徴とする画像形成システム。

(本件特許22)
【請求項22】
請求項21に記載する画像形成システムにおいて、
(22A)前記画像形成装置の能力に関する情報には、前記記憶部の空き容量が含まれることを特徴とする画像形成システム。

(本件特許23)
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載する画像形成システムにおいて,
(23A)前記画像形成装置の能力に関する情報には、前記印刷部のカラー画像の形成能力に関する情報が含まれることを特徴とする画像形成システム。

(本件特許24)
【請求項24】
請求項9から請求項15および請求項18から請求項23のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて、
(24A)前記決定部は 前記画像形成装置が有する前記特有情報に加え、前記サーバの画像データの変換能力に関する情報に基づいて、前記変換条件を決定することを特徴とする画像形成システム。


第4 特許異議の申立てについて

1.取消理由の概要
当審において、訂正前の請求項1?17に係る発明に対して平成29年10月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)取消理由1
請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるから、請求項1及び請求項1を引用する請求項2?8、11?15に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)取消理由2
請求項1?2、5、9?12、16?17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、取り消されるべきものである。
(3)取消理由3
請求項1?17に係る発明は、甲第1号証?甲第6号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、取り消されるべきものである。

[引用文献等一覧]
甲第1号証:特開2012-94113号公報
甲第2号証:特開2004-350076号公報
甲第3号証:特開2003-103860号公報
甲第4号証:特開2003-296230号公報
甲第5号証:特開平9-327947号公報
甲第6号証:特開2011-158946号公報

2.特許異議申立人の意見書における意見の概要
平成29年12月26日に特許権者から提出された意見書及び訂正の請求に対して、特許異議申立人より平成30年3月22日付けで提出された意見書における意見の概要は次のとおりである。

(1)訂正後の請求項9?12、16?18、21に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反しており、取り消されるべきものである。
(2)訂正後の請求項9、10、16、17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、または、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(例えば、甲第7号証?甲第10号証)に基づき容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反しており、取り消されるべきものである。
(3)訂正後の請求項11?15、18?24に係る発明は、甲第1号証?甲第6号証に記載された発明に基づき容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反しており、取り消されるべきものである。

[引用文献等一覧]
甲第7号証:特開2005-202723号公報
甲第8号証:特開2007-30354号公報
甲第9号証:特開2004-220354号公報
甲第10号証:特開2000-112687号公報


3.取消理由を検討する請求項について
3.1 取消理由1(特許法第36条第6項第1号の規定違反)について
本件訂正請求により、請求項1及び請求項1を引用する請求項2?8は削除されたから、請求項1及び請求項1を引用する請求項2?8に係る取消理由1は、対象となる請求項が存在しない。
また、本件訂正請求により、請求項11?15は、引用請求項から請求項1?8が削除され、請求項1を引用しない記載の請求項と訂正されたから、請求項1を引用する請求項11?15に係る取消理由1は、解消された。
したがって、取消理由1は解消された。

3.2 取消理由2(特許法第29条第1項第3号の規定違反)について
本件訂正請求により、請求項1?2、5は削除されたので、請求項1?2、5に係る取消理由2については、対象となる請求項が存在しない。
また、特許異議申立人は、意見書において、訂正後の請求項9?12、16?18、21に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定によりに違反しており、取り消されるべきものであると主張している。
そこで、訂正後の請求項9?12、16?18、21に係る発明(本件発明9?12、16?18、21)について、以下5.1で検討する。

3.3 取消理由3(特許法第29条第2項の規定違反)について
本件訂正請求により、請求項1?8は削除されたので、請求項1?8に係る取消理由3については、対象となる請求項が存在しない。
また、特許異議申立人は、意見書において、訂正後の請求項9?24に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明及び周知技術、または、甲第1号証?甲第6号証に記載された発明に基づき容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反しており、取り消されるべきものであると主張している。
そこで、訂正後の請求項9?24に係る発明(本件発明9?24)について、以下5.2で検討する。

4.甲各号証の記載及び甲各号証に記載された発明

4.1 甲第1号証
(1)甲第1号証の記載事項
甲第1号証(特開2012-94113号公報)には、「プリントシステム、印刷方法、プリントサーバ、制御方法、及びプログラム」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、説明のために、下線を当審において付与した。

ア「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルプリント制御を行うプリントシステム、印刷方法、プリントサーバ、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが印刷装置からサーバ上に一時蓄積された印刷データに対して印刷要求を行うことで当該印刷装置から印刷データの出力を可能にする所謂「プルプリント」の印刷システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、ユーザはアプリケーションからの印刷時に特定の印刷装置への出力ではなく、所望の印刷装置からの印刷データ出力を可能としている。
【0003】
また、ユーザの意図しない印刷出力がなされた場合の再印刷手段として、印刷装置上のパネルにクライアントPC上で動作しているプリンタドライバのUI(User Interface)を表示する。そして、このUIを操作することで再印刷設定と再印刷を指示するシステムの提案がなされている(例えば、特許文献2参照)。
(略)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法では、ユーザが印刷装置からサーバ上に一時蓄積された印刷データに対して印刷要求を行う際に、印刷設定情報の変更を指示することが困難である。サーバ上に一次蓄積される印刷データの形式は、印刷装置に依存したPDL(Page Description Language)であるため、印刷設定情報の変更の指示通りにPDLを編集しなければならない。具体例を示す。ユーザが印刷装置からサーバ上に一時蓄積された印刷データに対して印刷要求を行う際に、4ページを1ページに割り付けるような印刷設定(以後、4in1と称する)を指示したとする。このとき、サーバ上に一次蓄積される印刷データ、即ちPDLを4in1に適合するように変更する必要がある。もし、PDLが印刷装置の解像度に依存するラスタ形式であるなら、4in1を実現するためにラスタ画像を縮小することになるので、細線の消失等、品質上の様々な問題が生じる。また、PDLは多種多様な仕様が存在するので、それら複数のPDLに対応することは多大な労力を必要とする。そもそも、PDLの仕様が非公開であったら、PDLを変更することもできない。
【0006】
また、ユーザが印刷装置から印刷設定情報の変更を指示する方法として、印刷装置上のパネルにクライアントPC上で動作しているプリンタドライバのUIを表示する方法は、プルプリントシステムに適用するのが困難である。ユーザが、プルプリントを実行するためにクライアントPC上で印刷を指示する時点では、まだ出力対象の印刷装置は確定していないので、使用するプリンタドライバUIの機能は印刷装置に依存しない汎用的なものにならざるを得ない。そして、ユーザが印刷装置に赴き、印刷装置上のパネルを操作する時点で初めて出力対象の印刷装置が確定する。つまり、印刷装置上のパネルに表示するプルプリント用のプリンタドライバUIの機能は汎用的なものに過ぎない、即ち印刷装置固有の機能を使えないので、印刷設定可能な機能が限定されてしまう。
(略)
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ユーザが印刷装置からサーバ上に一時蓄積された印刷データに対して印刷要求を行う際に、印刷設定の変更を指示することが可能となる。しかも、印刷装置上で動作する印刷設定変更を指示するプログラムは、クライアントPCではなく、サーバ上にある印刷装置に適したプリンタドライバに印刷設定変更を依頼するため、適切な印刷設定変更が可能になる。」

イ「【発明を実施するための形態】
【0010】
[システム構成]
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る情報処理装置、プリントサーバ、アドレス管理サーバ、および印刷装置を適用可能なプリントシステムの構成の一例を示すシステム構成図である。図1の「事業所A」に示すように、本実施形態のプリントシステムは、1又は複数のクライアントPC100、1又は複数のプリントサーバ101、1又は複数の複合機102、アドレス管理サーバ103、1又は複数のログインサービスPC104、ディレクトリサービスサーバ105がローカルエリアネットワーク(LAN)106を介して接続される構成となっている。」

ウ「【0011】
クライアントPC100には、仮想プリンタドライバがインストールされている。この仮想プリンタドライバは、クライアント・アプリケーションから受け取ったデータに基づいて、特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブを生成し、プリントサーバ101へ送信する。なお、中間形式の印刷ジョブとは、フォーマットに関する共通仕様が一般に公開されており、かつ再編集が容易な形式の印刷データを意味する。例えば、EMFSPOOL形式(Enhanced Metafile Spool Format)、XPS(XML Paper Specification)などがある。本実施形態においては、EMFSPOOL形式を使って説明するが、XPSやPDFなど他の中間形式の印刷データであってもかまわない。
【0012】
プリントサーバ101は、受信した該印刷ジョブを所定の格納場所に保存する。また、プリントサーバ101は、ジョブ管理データベース(以後、ジョブ管理DBと呼ぶ)を備え、該印刷ジョブに関するメタデータを、ジョブ管理DBに記憶する。プリントサーバ101は、ジョブ管理DBに記憶しているメタデータから印刷ジョブ一覧情報(印刷ジョブ一覧データ)を生成し、複合機102へ転送する。プリントサーバ101は、ジョブ管理DBに記憶しているメタデータと複合機102から受信する印刷設定情報とを使って、印刷設定情報の更新を行い、複合機102へ更新した印刷設定情報を転送する。さらに、プリントサーバ101は、上記所定の格納場所に保存している印刷ジョブとジョブ管理DBに記録管理しているメタデータとからPDL(Printer DescriptionLanguage)データを生成し、複合機102へ転送する。」

エ「【0018】
[情報処理装置]
図2を用いて、図1に示したクライアントPC100、プリントサーバ101、アドレス管理サーバ103、ログインサービスPC104、ディレクトリサービスサーバ105に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成について説明する。図2は、図1に示したクライアントPC100、プリントサーバ101、アドレス管理サーバ103、ログインサービスPC104、ディレクトリサービスサーバ105に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0019】
図2において、CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202あるいは外部メモリ211からRAM203にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。また、入力コントローラ205は、キーボード209やマウス(不図示)等のポインティングデバイス等からの入力を制御する。
【0020】
ビデオコントローラ206は、モニタ210への表示を制御する。一般に、モニタ210は液晶ディスプレイやCRT等の表示器である。これらは必要に応じて管理者が使用するものである。メモリコントローラ207は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)、SSD(Solid State Drive)、SDメモリカード等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。通信I/Fコントローラ208は、ネットワーク(例えば、図1に示したLAN106)を介して外部機器と接続・通信し、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、モニタ210上での表示を可能としている。」

オ「【0022】
[コントローラユニット]
図3を用いて、図1に示した複合機102を制御するコントローラユニットのハードウェア構成について説明する。図3は、図1に示した複合機102のコントローラユニットのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3において、コントローラユニット316は、画像入力デバイスとして機能するスキャナ314や、画像出力デバイスとして機能するプリンタ312と接続する。その一方で、コントローラユニット316は、LAN(例えば、図1に示したLAN106)や公衆回線(WAN)(例えば、PSTNまたはISDN等)と接続することで、画像データやデバイス情報の入出力を行う。コントローラユニット316において、CPU301は、システム全体を制御するプロセッサである。RAM302は、CPU301が動作するためのシステムワークメモリであり、プログラムを記録するためのプログラムメモリや、画像データを一時記録するための画像メモリでもある。ROM303は、システムのブートプログラムや各種制御プログラムが格納されている。ハードディスクドライブ(HDD)304は、システムを制御するための各種プログラム、画像データ等を格納する。
【0023】
操作部インタフェース(操作部I/F)307は、操作部(UI)308とのインタフェース部であり、操作部308に表示する画像データを操作部308に対して出力する。また、操作部I/F307は、操作部308から本システム使用者が入力した情報(例えば、ユーザ情報等)をCPU301に伝える役割をする。なお、操作部308はタッチパネルを有する表示部を備え、該表示部に表示されたボタンを、ユーザが押下(指等でタッチ)することにより、各種指示を行うことができる。ネットワークインタフェース(Network I/F)305は、ネットワーク(LAN)に接続し、データの入出力を行う。(略)
【0024】
イメージバスインタフェース(IMAGE BUS I/F)320は、システムバス309と画像データを高速で転送する画像バス315とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス315は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス315上には以下のデバイスが接続される。ラスタイメージプロセッサ(RIP)310は、例えば、PDLコード等のベクトルデータをビットマップイメージに展開する。(略)
【0025】
(略)プリンタ312は、ラスタイメージデータを用紙上の画像に変換する部分であり、その方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等がある。本発明が適用可能であれば、どの方式の装置を用いても構わない。プリント動作の起動は、CPU301からの指示によって開始する。なお、プリンタ312には、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きを選択できるように複数の給紙段を備え、それに対応した用紙カセットがある。」

カ「【0029】
以下、本実施形態のプルプリントの全体の流れについて説明する。図4は、本実施形態のプリントシステムにおけるプルプリント(どこでもプリント(登録商標))の全体の流れを説明する模式図である。(略)
【0030】
プリントサーバ101にて、プリントプロセッサ402は、仮想プリンタドライバ401から送信されてきたEMFSPOOL形式の印刷ジョブを読み取り、印刷ジョブのメタデータを生成する。そして、プリントプロセッサ402は、ジョブ管理サービス403へメタデータと印刷ジョブを送信する(1-3)。ジョブ管理サービス403は、プリントサーバ101上の所定の格納場所にEMFSPOOL形式の印刷ジョブを保存する。さらにジョブ管理サービス403は、メタデータをジョブ管理DB404(プリントサーバ101の外部記憶装置上に構築される)に登録する(1-4)。このとき、プリントサーバ101は、上記所定の格納場所に印刷ジョブを保存するだけで、印刷装置への送信は行わない。さらに、プリントサーバ101は、印刷ジョブの識別子とユーザ識別子をアドレス管理サーバ103上のアドレス管理サービス405へ登録するために送信する(1-5)。

【図4】



キ「【0035】
パネル・アプリケーション407は、アドレス管理サービス405からプリントサーバ101のアドレスを受信すると、取得したアドレスに基づいて、プリントサーバ101上のジョブ管理サービス403へ対し印刷ジョブ一覧を要求する(2-4)。これにより、パネル・アプリケーション407は、一覧要求送信手段を実現する。また、この印刷ジョブ一覧要求を受信することで、ジョブ管理サービス403は、一覧要求受信手段を実現する。ジョブ管理サービス403は、ジョブ管理DB404を参照して(2-5)、該ユーザ名に対応する印刷ジョブ一覧を生成し、パネル・アプリケーション407へ印刷ジョブ一覧を返信する(2-6)。これにより、一覧送信手段を実現する。また、この印刷ジョブ一覧を受信することで、パネル・アプリケーション407は、一覧受信手段を実現する。パネル・アプリケーション407は、ジョブ管理サービス403から印刷ジョブ一覧を受信すると、該印刷データ一覧を操作部308のUI上に表示する。」

ク「【0036】
そして、ユーザにより、印刷ジョブが選択され、印刷設定情報の変更指示、及び印刷指示がなされると、パネル・アプリケーション407は、該選択された印刷ジョブの印刷設定情報をジョブ管理サービス403に送信する(3-1)。これにより設定変更送信手段を実現する。また、この印刷設定情報の変更を受信することにより、ジョブ管理サービス403は、設定変更受信手段を実現する。ジョブ管理サービス403は、パネル・アプリケーション407から印刷設定情報を受信すると、ジョブ管理DB404を参照する(3-2)。そしてジョブ管理サービス403は、クライアントPCで設定された汎用的な印刷設定情報をパネル・アプリケーション407から受信した印刷設定情報に変更し、パネル・アプリケーション407へ変更した印刷設定情報を返信する(3-3)。これにより、設定送信手段を実現する。また、送信された印刷設定情報を受信することで、パネル・アプリケーション407は設定受信手段を実現する。パネル・アプリケーション407は送信した印刷設定情報と受信した印刷設定情報を比較し、印刷設定情報の変更が正しく機能したかどうか判定する。正しく機能しなかった場合は、パネル・アプリケーション407は、操作部308のUI上にその旨のメッセージを表示する。」

ケ「【0037】
そして、パネル・アプリケーション407は、改めてジョブ管理サービス403に対し印刷要求(出力指示)を行う(4-1)。これにより印刷要求送信手段を実現する。また、この印刷要求を受信することにより、ジョブ管理サービス403は、印刷要求受信手段を実現する。ジョブ管理サービス403は、パネル・アプリケーション407から印刷指示を受信すると、ジョブ管理DB404を参照して印刷に必要な情報を取得する(4-2)。そして、ジョブ管理サービス403は、該印刷指示に基づいて印刷処理を実行するために、ジョブ管理DB404から取得した情報に基づいて、EMFSPOOL形式の印刷ジョブを取得する。そして、その印刷ジョブに対するPDL変換処理等の指示をプリンタドライバへ行う(4-3)。ここでは、印刷要求を発行したプリンタのプリンタドライバに対してPDL変換処理が指示される。なお、本願ではプリントサーバに予め各デバイスのプリンタドライバがインストールされているものとして説明するが、それに限る必要はない。」

コ「【0038】
その後、プリンタドライバ408は、複合機102にPDLジョブを送信して複合機102で印刷する(4-4)。これにより、ジョブ送信手段を実現する。なお、ここでのPDLジョブとは、EMFSPOOL形式の印刷ジョブに対して、印刷可能なPDL形式に変換したジョブを指す。このPDL形式のジョブに変換することにより、複合機102にて出力が可能となる。」

サ「【0051】
メタデータは、図5の「1-3」行の「送信データ」列にある、GUID(Global Unique Identifier)、ジョブ名、ユーザ名、DEVMODE、仮想プリンタドライバの論理プリンタ名である。具体的には、図13(a)のようなXML形式で表現される。JobInfo要素のGuid属性には、本発明のプリントシステムにおいて一意となる印刷ジョブの識別子を記述する。JobInfo要素のJobName属性には、図4の1-1の過程で指定されたジョブの名前を記述する。JobInfo要素のUserName属性には、図4の1-1の過程で印刷を実行したユーザの名前を記述する。JobInfo要素のPrintQueueName属性には、図4の1-1の過程で使用された論理プリンタの名前を記述する。DocumentSettings要素のDevmodeSnapshot属性には、図4の1-1の過程で指定された最初のページの印刷設定情報(DEVMODE)を記述する。なお、DEVMODEはバイナリ形式なので、XMLで記述するためにBase64と呼ばれる手法によりテキスト化している。」

シ「【0074】
まず、パネル・アプリケーション407による印刷設定情報の変更確認及び印刷指示処理を説明する。SE900において、パネル・アプリケーション407の処理が開始する。なお、図8のSE812において、印刷ジョブ一覧表示画面(図15(c))を操作部308の表示部に表示するように制御している。

【図15】(c)


【0075】
SE901において、パネル・アプリケーション407は、印刷ジョブの選択とプリントするボタン1422の押下をユーザから受け付ける。すると、SE902において、パネル・アプリケーション407は、印刷設定情報の変更画面(図16(a))を操作部308の表示部に表示するように制御する。図16(a)の設定1431は、カラーモードの指定を意味し、モノクロとカラーのどちらかをチェックできる。図16(a)の設定1432は、両面・片面の指定を意味し、片面、両面(長辺綴じ)、両面(短辺綴じ)のうち1つの面付けを選択できる。図16(a)の設定1433は、ページ集約の指定を意味し、1in1、2in1、4in1、6in1、8in1、9in1、16in1のうち1つを選択できる。図16(a)の設定1434は、印刷部数の指定を意味し、1から9999までの値を指定できる。なお、図16(a)は、図15(c)において文書名「決算報告書」の印刷ジョブの選択を受け付けて、プリントするボタン1422の押下を受け付けた場合の印刷設定情報の変更例を示している。

【図16】(a)

【0076】
SE903において、パネル・アプリケーション407は、印刷設定情報の変更をユーザから受け付ける。ここでは、図16(a)の設定1432の両面・片面指定を、片面から両面(長辺綴じ)に変更したとする。SE904において、パネル・アプリケーション407は、印刷設定情報が変更されたかどうか判定する。印刷設定情報が変更されていない場合は、以後の印刷設定情報の変更確認処理をスキップし、SE911へ進む。印刷設定情報が変更された場合は、SE905へ進む。SE905において、パネル・アプリケーション407は、ジョブ管理サービス403へ印刷設定情報を送信する。この印刷設定情報は、図5の「3-1」行の「送信データ」列にある、GUID、部数、両面、カラーモード、ページ集約、複合機のモデル名である。」

ス「【0085】
[論理プリンタ作成処理]
(略)SC1002において、ジョブ管理サービス403は、図1の複合機102のモデル名をサポートしたプリンタドライバがプリントサーバ101上にインストールされているかどうか判定する。プリンタドライバがインストールされていない場合、SC1003へ進み、ジョブ管理サービス403は、図1の複合機102のモデル名をサポートしたプリンタドライバをプリントサーバ101上にインストールする。これにより、印刷ジョブを当該モデル名の複合機が出力可能な形式に変換可能となる。そして、SC1004へ進む。一方、SC1002でインストール済みと判定された場合は、SC1004へ進む。なお、この段階でインストール済みとなったプリンタドライバは、図4のプリンタドライバ408に相当する。」

セ「【0090】
まず、パネル・アプリケーション407による印刷指示処理を説明する。SE1100において、パネル・アプリケーション407の処理を開始する。SE1101において、パネル・アプリケーション407は、ジョブ管理サービス403へ印刷指示要求コマンドを送信する。このとき、パネル・アプリケーション407は、選択済みの印刷ジョブのGUIDと複合機102のモデル名も併せて送信する。」

ソ「【0092】
次にジョブ管理サービス403による印刷処理を説明する。SC1100において、ジョブ管理サービス403の処理を開始する。SC1101において、ジョブ管理サービス403は、パネル・アプリケーション407のSE1101から印刷指示コマンドを受信する。このとき、ジョブ管理サービス403は、印刷対象の印刷ジョブのGUIDと複合機102のモデル名も併せて受信する。SC1102において、ジョブ管理サービス403は、印刷実行変更のための論理プリンタを作成する。処理内容は、図9のSC902と同じである。詳細は図10で述べた通りである。SC1103において、ジョブ管理サービス403は、図4のジョブ管理DB404からSC1101で得たGUIDと一致するレコードを探索する。SC1104において、ジョブ管理サービス403は、探索して得られたレコードからEMFSPOOLのファイル名とDEVMODEとユーザトークンとを取得する。なお、ここで取得されるDEVMODEは、図16(a)を使って設定された印刷設定情報である。」

タ「【0093】
SC1105において、ジョブ管理サービス403は、SC1104で得たユーザトークンを使って、自身のスレッドを偽装する。スレッドを偽装している間、スレッドは図4のクライアント・アプリケーション400で印刷を実行したユーザのセキュリティコンテキストで実行される。SC1106において、ジョブ管理サービス403は、SC1102で得た論理プリンタに対し、SC1104で得たEMFSPOOLとDEVMODEをレンダリングして印刷処理を実行する。そして、ジョブ管理サービス403は、論理プリンタを構成するプリンタドライバはPDLを生成し、複合機102にPDLを送信する。SC1107において、ジョブ管理サービス403は、スレッドの偽装を解除する。SC1108において、ジョブ管理サービス403は、パネル・アプリケーション407へ印刷実行結果(成否)を返信する。SC1109で処理を終了する。」

(2)「プリントシステム」
上記(1)ア及びイには、「プリントサーバと複合機を含むプリントシステムがローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続される構成のプリントシステム」が記載されている。

(3)「プリントサーバ」
上記(1)エには、プリントシステムのプリントサーバ101は、「ネットワークを介して外部機器と接続・通信し、ネットワークでの通信制御処理を実行する通信I/Fコントローラ」と、「システムバスに接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御するCPU」とを備えることが記載されている。
そして、上記(1)カの「ジョブ管理サービス403」は、プリントサーバ101上で実行されるから、プリントサーバ101のCPU201が実行する処理であることは明らかである。

(4)「印刷ジョブ」、「PDLジョブ」
上記(1)ア及びウには、「サーバ上に一次蓄積される印刷データの形式は、印刷装置に依存したPDLである」こと、「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」は「フォーマットに関する共通仕様が一般に公開されており、かつ再編集が容易な形式の印刷データを意味する」こと、「本実施形態においては、EMFSPOOL形式を使って説明するが、XPSやPDFなど他の中間形式の印刷データであってもかまわない」ことが記載されている。
また、上記(1)ウには、「プリントサーバ101は、上記所定の格納場所に保存している印刷ジョブとジョブ管理DBに記録管理しているメタデータとからPDLデータを生成し、複合機102へ転送する」ことが記載されている。
ここで、上記(1)アの「PDL」、上記(1)ウの「PDLデータ」、上記(1)オの「PDLコード」、上記(1)コの「PDLジョブ」及び上記(1)タの「PDL」は、プリントサーバ101が印刷ジョブとメタデータとから生成した複合機が印刷可能な形式のジョブである「PDLジョブ」を意味するものと認められる。
よって、上記(1)ア及びウによれば、プリントサーバ101は、「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブを所定の格納場所に保存」すること、「複合機が印刷可能な形式のPDLジョブを複合機に送信」することが記載されている。

(5)「メタデータ」、「印刷設定情報」
上記(1)サには、プリントサーバ101のプリントプロセッサ402が生成する「メタデータは、GUID、ジョブ名、ユーザ名、DEVMODE、仮想プリンタドライバの論理プリンタ名である」こと、当該「DEVMODE」は「印刷設定情報(DEVMODE)」であることが記載されている。
また、上記(1)シには、複合機102の「パネル・アプリケーション407は、プリントサーバ101のジョブ管理サービス403へ印刷設定情報を送信する」こと、当該「印刷設定情報」は、「GUID、部数、両面、カラーモード、ページ集約、複合機のモデル名」であることが記載されている。

(6)「ジョブ管理サービス」
(6-1)上記(1)ウ及びカには、ジョブ管理サービス403は、「プリントサーバ101上の所定の格納場所に印刷ジョブを保存」し、「メタデータをジョブ管理DB404に登録する処理」を実行することが記載されている。
そして、上記(1)ウ及びカ、上記(4)並びに(5)を総合すると、ジョブ管理サービス403は、「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブを所定の格納場所に保存し、ジョブ管理DBに前記印刷ジョブのGUIDと印刷設定情報を登録する処理」を実行することが記載されている。

(6-2)上記(1)キには、ジョブ管理サービス403は、パネル・アプリケーション407から「印刷ジョブ一覧要求を受信する」ことで、「印刷ジョブ一覧を生成し」、パネル・アプリケーション407へ「印刷ジョブ一覧を返信する処理」を実行することが記載されている。
よって、上記(1)キには、ジョブ管理サービス403は、「前記印刷ジョブ一覧要求を受信することで、前記印刷ジョブ一覧を生成し、前記複合機へ前記印刷ジョブ一覧を返信する処理」を実行することが記載されている。

(6-3)上記(1)クには、ジョブ管理サービス403は、「パネル・アプリケーション407から印刷設定情報を受信」すると、ジョブ管理DB404に登録されている「印刷設定情報をパネル・アプリケーション407から受信した印刷設定情報に変更する処理」を実行することが記載されている。
よって、上記(1)ク、上記(5)及び上記(6-1)を総合すると、ジョブ管理サービス403は、「前記複合機から前記変更された印刷設定情報を受信し、前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報を受信した前記変更された印刷設定情報に変更する処理」を実行することが記載されている。

(6-4)上記(1)ケには、ジョブ管理サービス403は、「パネル・アプリケーション407から印刷指示を受信する」と「印刷ジョブを取得する」こと、「その印刷ジョブに対するPDL変換処理等の指示をプリンタドライバへ行う」ことが記載されている。
上記(1)ソには、ジョブ管理サービス403は、「印刷対象の印刷ジョブのGUIDと複合機のモデル名も併せて受信する」こと、「EMFSPOOLのファイル名とDEVMODE」を取得する。なお、ここで取得されるDEVMODEは、図16(a)を使って設定された印刷設定情報である」ことが記載されている。
上記(1)タには、ジョブ管理サービス403は、論理プリンタに対して、「EMFSPOOLとDEVMODEをレンダリングして印刷処理を実行する」ことが記載されている。
ここで、上記(4)及び(5)から、当該「EMFSPOOL」は「印刷ジョブ」であり、当該「DEVMODE」は「印刷設定情報」であると認められる。
そして、これらの記載を総合すると、ジョブ管理サービス403は、「前記複合機から前記印刷指示と前記印刷ジョブのGUIDと前記複合機のモデル名を受信すると、前記印刷ジョブに対するPDL変換処理の指示をプリンタドライバへ行い、前記印刷ジョブと前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報をレンダリングして印刷処理」を実行することが記載されている。

(7)「プリンタドライバ」
上記(1)コには、プリントサーバ101のプリンタドライバ408は、「複合機102にPDLジョブを送信して複合機102で印刷する」ことが記載されている。
上記(1)スには、プリンタドライバについて、「ジョブ管理サービス403は、図1の複合機102のモデル名をサポートしたプリンタドライバをプリントサーバ101上にインストールする。これにより、印刷ジョブを当該モデル名の複合機が出力可能な形式に変換可能となる」ことが記載されている。
上記(1)タには、「論理プリンタを構成するプリンタドライバはPDLを生成し、複合機102にPDLを送信する」ことが記載されている。
上記(1)コ、ス及びタを総合すると、プリントサーバ101のプリンタドライバ408は、「前記印刷ジョブを前記複合機が印刷可能な形式のPDLジョブに変換するPDL変換処理と、前記PDLジョブを前記複合機に送信する処理」を実行することが記載されている。

(8)「複合機」
上記(1)オには、プリントシステムの複合機102は、「システム全体を制御するCPU」及び「タッチパネルを有する表示部を備え、該表示部に表示されたボタンを、ユーザが押下することにより、各種指示を行うことができる操作部」を備えることが記載されている。
また、上記(1)オには、「ネットワーク(LAN)に接続し、データの入出力を行うネットワークインタフェース(Network I/F)305」、「画像データを一時記録するための画像メモリでもあるRAM302」、「PDLコード等のベクトルデータをビットマップイメージに展開するラスタイメージプロセッサ(RIP)310」及び「画像出力デバイスとして機能するプリンタ312」を備えることが記載されている。
ここで、上記(4)及び(7)から、当該「PDLコード等」はプリンタドライバが印刷ジョブをPDL変換処理したPDLジョブ」であって、ネットワークインタフェース305が当該「PDLジョブ」を受信すること、RAM302が当該「PDLジョブ」を一時記録すること、そして、プリンタ312が当該「PDLジョブ」に基づいたビットマップイメージを画像出力することも明らかである。
よって、上記(1)オ、上記(4)及び(7)を総合すると、複合機102は、「前記プリントサーバからPDLジョブを受信するネットワークインタフェース」、「前記PDLジョブを一時記録するRAM」及び「前記PDLジョブに基づいたビットマップイメージを出力するプリンタ」を備えることが記載されている。
また、上記(1)オには、「プリント動作の起動は、CPU301からの指示によって開始する」ことが記載されているから、複合機102のCPU301は、「プリンタへプリント動作の起動を指示する処理」を実行することが記載されている。

(9)「パネル・アプリケーション」
上記(1)オには、CPU301はシステム全体を制御するとあり、上記(1)キには、「パネル・アプリケーション407」は複合機102上で実行されることが記載されてから、複合機102のCPU301は、「パネル・アプリケーション」を実行することが記載されている。

(9-1)上記(1)キには、パネル・アプリケーション407は、「プリントサーバ101上のジョブ管理サービス403へ対し印刷ジョブ一覧を要求する」こと、受信した「印刷データ一覧を操作部308のUI上に表示する」ことが記載されている。
上記(1)シには、「印刷ジョブの選択とプリントするボタン1422の押下をユーザから受け付ける」ことが記載されている。
上記(1)キ及びシを総合すると、パネル・アプリケーション407は、「前記プリントサーバへ印刷ジョブ一覧を要求し、前記プリントサーバから前記印刷ジョブ一覧を受信すると、前記印刷ジョブ一覧を操作部に表示し、印刷ジョブの選択及び印刷指示をユーザから受け付ける処理」を実行することが記載されている。

(9-2)上記(1)シには、パネル・アプリケーション407は、「印刷設定情報の変更画面(図16(a))を操作部308の表示部に表示」し、「印刷設定情報の変更をユーザから受け付ける」こと、印刷設定情報が変更された場合は、「ジョブ管理サービス403へ印刷設定情報を送信する」処理を実行することが記載されている。上記(1)クには、「ユーザにより、印刷ジョブが選択され、印刷設定情報の変更指示、及び印刷指示がなされると、パネル・アプリケーション407は、該選択された印刷ジョブの印刷設定情報をジョブ管理サービス403に送信する」ことが記載されている。
上記(1)ク及びシを総合すると、パネル・アプリケーション407は、「印刷設定情報の変更画面を前記操作部に表示し、前記印刷設定情報の変更を受け付ける処理と、前記プリントサーバへ前記変更された印刷設定情報(GUID、部数、両面、カラーモード、ページ集約、複合機のモデル名)を送信する処理」を実行することが記載されている。

(9-3)上記(1)ケには、パネル・アプリケーション407は、「ジョブ管理サービス403に対し印刷要求(出力指示)を行う」ことが記載されている。
上記(1)セには、パネル・アプリケーション407は、「選択済みの印刷ジョブのGUIDと複合機102のモデル名も併せて送信する」ことが記載されている。
上記(1)ケ及びセを総合すると、パネル・アプリケーション407は、「前記プリントサーバへ前記印刷ジョブのGUIDと前記複合機のモデル名も併せた印刷指示を行う処理」を実行することが記載されている。


(10)甲第1号証に記載された発明
以上により、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明1」?「甲1発明3」という。)が記載されていると認められる。
なお、符号(1a)?(3g)は、当審において付与したものであり、以下、構成1a?構成3gと称する。

「甲1発明1」
(1a)プリントサーバと複合機を含むプリントシステムがローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続される構成のプリントシステムにおいて、
前記複合機は、
(1b)システム全体を制御するCPUと、
(1c)タッチパネルを有する表示部を備え、該表示部に表示されたボタンを、ユーザが押下することにより、各種指示を行うことができる操作部と、
(1d)前記プリントサーバからPDLジョブを受信するネットワークインタフェースと、
(1e)前記PDLジョブを一時記録するRAMと、
(1f)前記PDLジョブに基づいたビットマップイメージを出力するプリンタと、を備え、
前記複合機のCPUは、
パネル・アプリケーションを実行し、前記パネル・アプリケーションは、
(1g)前記プリントサーバへ印刷ジョブ一覧を要求し、前記プリントサーバから前記印刷ジョブ一覧を受信すると、前記印刷ジョブ一覧を操作部に表示し、印刷ジョブの選択及び印刷指示をユーザから受け付ける処理と、
(1h)印刷設定情報の変更画面を前記操作部に表示し、前記印刷設定情報の変更を受け付ける処理と、前記プリントサーバへ前記変更された印刷設定情報(GUID、部数、両面、カラーモード、ページ集約、複合機のモデル名)を送信する処理と、
(1i)前記プリントサーバへ前記印刷ジョブのGUIDと前記複合機のモデル名も併せた印刷指示を行う処理と、を実行し、
前記プリントサーバは、
(1j)ネットワークを介して外部機器と接続・通信し、ネットワークでの通信制御処理を実行する通信I/Fコントローラと、
(1k)システムバスに接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御するCPUと、を備え、
前記プリントサーバのCPUは、
ジョブ管理サービスを実行し、前記ジョブ管理サービスは、
(1l)特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブを所定の格納場所に保存し、ジョブ管理DBに前記印刷ジョブのGUIDと印刷設定情報を登録する処理と、
(1m)前記印刷ジョブ一覧要求を受信することで、前記印刷ジョブ一覧を生成し、前記複合機へ前記印刷ジョブ一覧を返信する処理と、
(1n)前記複合機から前記変更された印刷設定情報を受信し、前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報を受信した前記変更された印刷設定情報に変更する処理と、
(1o)前記複合機から前記印刷指示と前記印刷ジョブのGUIDと前記複合機のモデル名を受信すると、前記印刷ジョブに対するPDL変換処理の指示をプリンタドライバへ行い、前記印刷ジョブと前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報をレンダリングして印刷処理を実行し、
(1p)前記印刷ジョブを前記複合機が印刷可能な形式のPDLジョブに変換するPDL変換処理と、前記PDLジョブを前記複合機に送信する処理を実行するプリンタドライバと、
を備えるプリントシステム。

「甲1発明2」
(2a)プリントサーバと複合機を含むプリントシステムがローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続される構成のプリントシステムの複合機において、
前記複合機は、
(2b)システム全体を制御するCPUと、
(2c)タッチパネルを有する表示部を備え、該表示部に表示されたボタンを、ユーザが押下することにより、各種指示を行うことができる操作部と、
(2d)前記プリントサーバからPDLジョブを受信するネットワークインタフェースと、
(2e)前記PDLジョブに基づいたビットマップイメージを出力するプリンタと、を備え、
前記CPUは、
パネル・アプリケーションを実行し、前記パネル・アプリケーションは、
(2f)前記プリントサーバへ印刷ジョブ一覧を要求し、前記プリントサーバから前記印刷ジョブ一覧を受信すると、前記印刷ジョブ一覧を操作部に表示し、印刷ジョブの選択及び印刷指示をユーザから受け付ける処理と、
(2g)印刷設定情報の変更画面を前記操作部に表示し、前記印刷設定情報の変更を受け付ける処理と、前記プリントサーバへ前記変更された印刷設定情報(GUID、部数、両面、カラーモード、ページ集約、複合機のモデル名)を送信する処理と、
(2h)前記プリントサーバへ前記印刷ジョブのGUIDと前記複合機のモデル名も併せた印刷指示を行う処理と、を実行し、
(2i)前記CPUは、プリンタへプリント動作の起動を指示する処理と、を実行する複合機であって、
ここで、前記プリントサーバは、
(2j)特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブを所定の格納場所に保存し、ジョブ管理DBに前記印刷ジョブのGUIDと印刷設定情報を登録する処理と、
(2k)前記印刷ジョブ一覧要求を受信することで、前記印刷ジョブ一覧を生成し、前記複合機へ前記印刷ジョブ一覧を返信する処理と、
(2l)前記複合機から前記変更された印刷設定情報を受信し、前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報を受信した前記変更された印刷設定情報に変更する処理と
(2m)前記複合機から前記印刷指示と前記印刷ジョブのGUIDと前記複合機のモデル名を受信すると、前記印刷ジョブに対するPDL変換処理の指示をプリンタドライバへ行い、前記印刷ジョブと前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報をレンダリングして印刷処理と、
(2n)前記印刷ジョブを前記複合機が印刷可能な形式のPDLジョブに変換するPDL変換処理と、前記PDLジョブを前記複合機に送信する処理と、を実行する
プリントシステムの複合機。


「甲1発明3」
(3a)プリントサーバと複合機を含むプリントシステムがローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続される構成のプリントシステムのプリントサーバにおいて、
前記プリントサーバは、
(3b)前記複合機へPDLジョブを送信する通信I/Fコントローラと、
(3c)システムバスに接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御するCPUと、を備え、
前記プリントサーバのCPUは、
ジョブ管理サービスを制御し、前記ジョブ管理サービスは、
(3d)特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブを所定の格納場所に保存し、ジョブ管理DBに前記印刷ジョブのGUIDと印刷設定情報を登録する処理と、
(3e)前記複合機から前記変更された印刷設定情報を受信し、前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報を受信した前記変更された印刷設定情報に変更する処理と、
(3f)前記複合機から前記印刷指示と前記印刷ジョブのGUIDと前記複合機のモデル名を受信すると、前記印刷ジョブに対するPDL変換処理の指示をプリンタドライバへ行い、前記印刷ジョブと前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報をレンダリングして印刷処理を実行し、
(3g)前記印刷ジョブを前記複合機が印刷可能な形式のPDLジョブに変換するPDL変換処理と、前記PDLジョブを前記複合機に送信する処理を実行するプリンタドライバと、
を備えるプリントシステムのプリントサーバ。

4.2 甲第2号証
甲第2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーデジタル複写機など、画像データの展開されるページメモリを用いて各種の機能を実現する画像処理装置に関する。(略)
【0022】
上記発明によれば、カラー画像を扱う場合は、色別に画像データをページメモリ(104a)に格納するので、それだけページメモリ(104a)の容量不足が発生しやすく、本発明の適用が好適である。(略)
【0041】
また画像処理部102は、ページメモリ104aを用いて画像処理することにより各種の応用機能を実現する。たとえば、「8in1機能」、「4in1機能」、「オーバーレイ機能」、「スタンプ機能」などを実現する。「8in1機能」は1枚の転写紙を8つの領域に分割し、各領域に8枚の原稿を読み取って得た画像をそれぞれ縮小しレイアウトして印刷する機能である。「4in1機能」は、1枚の転写紙を4つの領域に分割し、各領域に4枚の原稿を読み取って得た画像をそれぞれ縮小しレイアウトして印刷する機能である。「オーバーレイ機能」は、2枚の原稿を読み取って得た画像同士を重ね合わせて1枚の画像に合成する機能である。「スタンプ機能」は、原稿を読み取って得た画像に、予め保存しておいた画像データや日付印に相当する画像データを重ね合わせて合成する機能である。(略)
【0044】
ページメモリ容量検知手段111は、電源オン時の立ち上げ処理で、ページメモリ104aが搭載される予定のアドレス空間の各所に所定のデータを書き込んだ後に読み出してこれらを照合する処理を実施し、搭載されているページメモリ104aの容量を検知するようになっている。(略)
【0046】
図4は、応用機能選択画面300の一例を示している。図示省略の操作画面において応用機能の選択釦を操作すると応用機能選択画面300が表示される。図4は、ページメモリ104aの容量が充分あってすべての機能1?機能9にかかわる選択釦301?309が選択可能に表示された状態を示している。(略)
【0049】
図5は、現在搭載されているページメモリ104aの容量で実施可能な機能にかかわる選択釦のみが表示された応用機能選択画面310の一例を示している。ユーザーは、表示されている機能1?機能5にかかわる選択釦301?305のいずれも操作できる。実施できない機能にかかわる選択釦306?309は表示されず、ユーザーはこれらを選択できない。」

以上の記載から、甲第2号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲2号証に記載の技術事項)
「画像処理装置において、(ア)カラー画像がモノクロ画像よりも画像サイズが大きく、(イ)「8in1機能」、「4in1機能」、「オーバーレイ機能」、「スタンプ機能」などの全ての機能を実行するために必要なメモリ容量があれば全ての機能に関わる選択釦を選択可能に表示し、全ての機能を実行するために必要なメモリ容量がなければページメモリの容量で実施可能な機能にかかわる選択釦のみを表示する技術」

4.3 甲第3号証
甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像印刷装置および方法、印刷媒体、並びにプログラムに関し、特に、インク切れやプリンタの印字ヘッドが故障した場合において、管理者は容易にその異常を知ることができ、また、ユーザはGUI(Graphical User Interface)画面を用いて編集した画像と同じ画像が印刷されたシールシートを得ることができるようにした画像印刷装置および方法、印刷媒体、並びにプログラムに関する。(略)
【0163】図26は、編集入力用モニタ31に表示される画像編集画面の例を示す図である。図26Aにおいて、画像編集画面130は、基本的に、編集対象画像を表示する画像表示欄131、ユーザが編集に使用する色を選択する色選択欄132、ユーザが操作することにより、入力ツール(書き込みツール)としてペンを選択するペンボタン133、ユーザが操作することにより、入力ツールとして文字スタンプを選択する文字スタンプボタン134、ユーザが操作することにより、入力ツールとして絵柄スタンプを選択する絵柄スタンプボタン135、および、ユーザが操作することにより、入力ツールとして消しゴムを選択する消しゴムボタン136により構成される。また、ステップS64において、CPU101により特殊印刷用のインクがあると判定されているので、色選択欄132には、ユーザが操作することにより、特殊印刷されるインクの色である金色を選択する金色選択ボタン132Aが表示される。(略)
【0169】また、ステップS64において、特殊印刷用のインクがないと判定した場合、CPU101は、ステップS71に進み、特殊色アイテムを非表示にして、図26Bに示すような画像編集画面を表示する。」

以上の記載から、甲第3号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲3号証に記載の技術事項)
「画像印刷装置において、特殊印刷用のインクがないことで特殊印刷用の画像形成能力がないと判断された場合、特殊色アイテムを非表示にする技術」

4.4 甲第4号証
甲第4号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク上のコンテンツを印刷するための印刷システム、及び、電子機器、記憶媒体に関する。(略)
【0008】そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされた印刷システム、及び、電子機器、記憶媒体であって、サーバに要求することによりサーバから送信されたネットワーク上のコンテンツをクライアント側の電子機器が印刷手段で印刷する場合に、当該クライアント側の電子機器の印刷手段の仕様に合ったものをサーバに送信させることにより、それぞれのクライアント側の電子機器の印刷手段に適した印刷を可能にすることを課題とする。(略)
【0066】次に、本実施の形態の印刷システムについて説明する。図9に、本実施の形態の印刷システム301の概念図を示す。本実施の形態の特定機能代行システム301では、図9に示すように、クライアントの印刷装置302と、中継サーバ303と、Webサイト304とが、WWWのネットワークを介して接続されている。この点、印刷装置302は、図1のファクシミリ装置1に相当するものである。また、中継サーバ303は、図1のWWWサーバ21に相当するものである。尚、図9では、中継サーバ303とWebサイト304とが一つずつ明記されているが、それぞれ複数有していてもかまわない。
【0067】そして、本実施の形態の印刷システム301では、図10?図17のフローチャートに従って動作することにより、中継サーバ303に要求することにより中継サーバ303から送信されたWWW上のコンテンツをクライアントの印刷装置302で印刷する場合に、当該クライアントの印刷装置302の仕様に合ったものを中継サーバ303に送信させており、当該クライアントの印刷装置302に適した印刷が可能である。すなわち、図10に示すように、S201において、クライアントが、WWW上のコンテンツをリクエストすると、S301において、中継サーバ303は、クライアントのリクエストを受け付ける。さらに、S202において、クライアントが、印刷情報(印刷装置302の仕様)を通知すると、S302において、中継サーバ303は、印刷情報(印刷装置302の仕様)を識別する。
【0068】この点、クライアントのリクエストや印刷情報は、URLを介して、サーバ303やコンテンツを特定し、HTTPのプロトコルで記載された「アドレス情報」や「仕様情報」として送信する。尚、それらの操作は、図4の操作キー270を用いて行われる。また、印刷情報(印刷装置302の仕様)には、例えば、解像度、用紙サイズ、カラー・モノクロ、メモリ容量、プリンタ記述言語、読取装置の有無などがある。
【0069】その後、中継サーバ303では、S303において、URLで指定されたコンテンツのデータをWebサイト304に要求し、S304において、Webサイト304から当該コンテンツのデータを取得すると、S305において、印刷情報(印刷装置302の仕様)に基づいて当該コンテンツのデータをレンダリング及びフォーマット変換し、S306において、印刷データとして、クライアントの印刷装置302に送信する。(略)
【0079】また、S324のプリンタ記述言語の選定について説明すると、S324のプリンタ記述言語の選定では、図17に示すように、S361において、クライアントの印刷装置302のプリンタ記述言語の一つを、印刷情報(印刷装置302の仕様)の一仕様要素を構成するプリンタ記述言語のリストから取り出し、S362において、中継サーバ303自身でサポートされたものであるか否かを判断する。ここで、中継サーバ303自身でサポートされたものであると判断した場合(S362:Yes)には、S363に進んで、当該プリンタ記述言語を変換言語として設定し、図13のS325に進む。一方、中継サーバ303自身でサポートされたものでないと判断した場合(S362:No)には、S364に進んで、印刷情報(印刷装置302の仕様)の一仕様要素を構成するプリンタ記述言語のリストのポインタを次に移動し、S365において、リスト内に次のデータがないか否かを判断する。ここで、リスト内に次のデータがあると判断した場合(S365:No)には、S361に戻って、上述した処理を繰り返す一方、リスト内に次のデータがないと判断した場合(S365:Yes)には、印刷不可として、図13のS325に進む。」

以上の記載から、甲第4号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲第4号証に記載の技術事項)
「ネットワーク上のコンテンツを印刷する印刷システムにおいて、印刷装置の仕様にはカラー・モノクロ、メモリ容量、プリンタ記述言語があり、中継サーバは取得したコンテンツのデータを前記印刷装置の仕様に基づいてレンダリング及びフォーマット変換して、印刷データとして印刷装置に送信する技術」

4.5 甲第5号証
甲第5号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像出力装置及びその方法に係り、特に、低解像度の出力画像を形成する低解像度モードと、高解像度の出力画像を形成する高解像度モードとを有する画像出力装置及びその方法に関するものである。(略)
【0051】ホストコンピュータ3000のユーザは、ダイアログボックス600をキーボード9や不図示のポインティングデバイスを操作することにより、所望の印刷条件を設定することができる。ユーザは、ダイアログボックスにより印刷の際の解像度を選択することができる。解像度には、「高解像度」、「中解像度」、「ドラフト」の3つのモードが含まれ、夫々ダイアログボックス600における「高解像(G)」、「中解像(M)」、「ドラフト」に対応する。この例においては、「高解像度」モードを通常モード、「ドラフト」モードをドラフトモード(低解像度モード)ともいう。なお、中解像度モードに関しては、ドラフトモードよりも解像度が高い点を除き、ドラフトモードと同様に処理するものとする。従って、以下では、説明の便宜上、中解像度モードに関しては省略する。(略)
【0061】ステップS802では、描画部504により、75dpiの画像を描画するために必要な容量の描画領域をRAM19上に確保し、そこに、ステップS803において、後続の制御コマンド(描画命令)に基づいて75dpiのビットマップ画像(印刷結果が75dpiの画像になるような画素数の画像)を描画する。(略)
【0063】一方、ステップS801において、通常モードであると判定した場合にはステップS807に進み、描画部504により、600dpiの画像を描画するために必要な容量の描画領域をRAM19上に確保し、そこに、ステップS808において、後続の制御コマンド(描画命令)に基づいて600dpiのビットマップ画像を描画する。」

以上の記載から、甲第5号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲第5号証に記載の技術事項)
「画像出力装置において、印刷設定に解像度に関する情報が含まれ、画像サイズを解像度が低いほど小さいサイズに決定する技術」

4.6 甲第6号証
甲第6号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルプリントシステム、データ処理装置、データ処理プログラム、及び印刷装置に関する。(略)
【0054】
(3-2)プルプリント処理
PC30及びサーバ10に中間ファイル記憶処理を実行させた後、ユーザはそのPC30を携帯せずにプリンタ20の位置に移動する。プリンタ20は例えばプルプリントサービスを提供する店舗などの外部拠点に設置されたものであり、そのプリンタ20はユーザが想定していた印刷機能を備えない場合もありうる。このようなプリンタ20のいずれかで、ユーザが操作部23を操作してプルプリント要求を入力すると、サーバ10に記憶されている中間ファイルを当該プルプリント要求が入力されたプリンタ20に送信して実行するプルプリント処理が開始される。(略)
【0060】
S208では、プルプリントデーモン45は受信したジョブ選択情報によって示されるジョブ情報の中から一つを選択する。S208の実行が2回目以降である場合には、未だ選択していないジョブ情報を選択するものとする。
S209では、プルプリントデーモン45はS208で選択したジョブ情報に対応するファイル書き込みパスをジョブ情報テーブルから取得し、取得したファイル書き込みパスによって特定される中間ファイルから印刷設定を読み出す。
【0061】
S210では、プルプリントデーモン45は、読み出した印刷設定と、S202でプリンタ制御プログラム47から受信した機能情報48とを比較して、中間ファイルの印刷設定と当該プリンタ20の印刷機能とが整合するか否かを判断する。(略)
【0063】
S211では、プルプリントデーモン45は中間ファイルの印刷設定が当該プリンタ20の印刷機能と整合するように修正するための整合情報を生成する。
具体的には例えば、上述した「A4、両面、カラー」の例でいうと、プルプリントデーモン45は「両面印刷はできません。カラー印刷はできません」という情報を整合情報として生成する。つまり、本実施形態において整合情報とは、印刷設定に含まれている設定値のうちプルプリント要求が入力されたプリンタ20の印刷機能と整合しない設定値を示す情報であるといえる。(略)
【0066】
S215では、プリンタ制御プログラム47はユーザに修正情報を入力させる。
具体的には例えば、S213で操作部23に「両面印刷はできません。カラーの印刷はできません」という整合情報が表示されたとすると、ユーザは印刷設定がプリンタ20の印刷機能と整合するようにするために、「片面/両面」の設定値として「片面」を指定し、「カラー/モノクロ」の設定値として「モノクロ」を指定する。これにより、「片面/両面=片面、カラー/モノクロ=モノクロ」という修正情報が入力される。
【0067】
なお、上述した例は一例であり、例えば印刷設定でA3が設定されていてプリンタ20の印刷機能がA3に対応していない場合に、ページデータが表す画像を縮小してA4の被記録媒体に印刷するよう修正してもよいし、ページデータが表す画像をA4の被記録媒体2枚に分けて印刷するよう修正してもよい。(略)」

以上の記載から、甲第6号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲第6号証に記載の技術事項)
「プルプリントシステムの印刷装置において、プリンタのプリンタ制御プログラムは、印刷設定でA3が設定されていてプリンタの印刷機能がA3に対応していない場合に、ページデータが表す画像を縮小してA4の被記録媒体に印刷するよう修正する技術」

4.7 甲第7号証
甲第7号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷クライアントアプリケーションを有するクライアント端末と、印刷先プリンタを指定せず印刷可能なプリントサーバと、プルプリント機能を有するプリンタとがネットワークで接続されたネットワーク印刷システムに関する。(略)
【0054】
プリントサーバ411は、印刷クライアント端末401から送られてくるプルプリント印刷要求および通常印刷要求、プリンタから送られてくる印刷ジョブ情報要求およびプルプリント印刷データ取得要求の受信処理、印刷ジョブの生成、プルプリント専用プリントキュー413および通常印刷用プリントキュー414の管理を行うための印刷ジョブ管理手段412と、プルプリント専用プリントキュー413と通常印刷用プリントキュー414と、1つまたは複数のプリンタドライバ415とから構成される。(略)
【0059】
プリンタドライバ415はプルプリント時に使用され、RGBフルカラーで多値のビットマップデータである中間印刷データから、変倍処理、ハーフトーン処理、補色変換、2値化処理等によりイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の2値のラスター形式のビットマップデータに変換し、このビットマップデータからプリンタコマンドを生成する。(略)
【0103】
プリンタドライバパラメータ情報は、印刷元データがプリンタドライバによってプリンタコマンドに変換される際に必要なパラメータであり、用紙サイズ、マージン、印刷部数、印刷品位(解像度)やその他の印刷設定情報から構成される。(略)
【0119】
S706で対応するプリンタドライバ415が存在する場合は、S707でプルプリント印刷ジョブ情報1201の中間印刷データおよびプルプリント印刷データ取得情報1201のプリンタドライバパラメータ情報をプリンタドライバ411に送信し中間印刷データからプリンタコマンドを生成、生成したプリンタコマンドをプルプリント印刷データ取得要求発行元プリンタ403にネットワーク通信手段416を介して送信するS710。」

以上の記載から、甲第7号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲第7号証に記載の技術事項)
「プリントサーバとプリンタとがネットワークで接続されたネットワーク印刷システムにおいて、(ア)前記プリントサーバのプリンタドライバは、RGBフルカラーで多値のビットマップデータである中間印刷データから、変倍処理、ハーフトーン処理、補色変換、2値化処理等によりイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの2値のラスター形式のビットマップデータに変換し、このビットマップデータとプリンタドライバパラメータ情報からプリンタコマンドを生成し、生成したプリンタコマンドをプリンタに送信し、(イ)前記プリンタドライバパラメータ情報は、用紙サイズ、マージン、印刷部数、印刷品位(解像度)やその他の印刷設定情報から構成される技術」

4.8 甲第8号証
甲第8号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置から印刷対象データを取得して印刷する際に、他の画像形成装置での分散印刷を指定することが可能な画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記憶媒体に関するものである。(略)
【0019】
ネットワーク接続手段を備える一般的な情報処理装置(コンピュータ)により構成されるクライアントPC101のアプリケーションにて印刷が指示されるとクライアントPC101に導入されたプリンタドライバにて特定のプリンタに依存しないページ記述言語による汎用印刷データ(PDF:Portable Document Format、など)が作成されて、ネットワーク100を介してプリントサーバ102に格納される。(略)
【0058】(略)
続けてユーザが画像形成装置104(1)の操作部309が表示する画面から分散先プリンタ(X)を選択し、分散先プリンタ(X)での認証方法として、特定のユーザのユーザID、もしくはユーザの属するグループ、もしくは文書IDで認証する方法から認証方法を選択してから分散印刷を指示すると、印刷依頼処理部442がネットワーク100を介してプリントサーバ102の印刷要求処理部417と通信することにより、印刷要求処理部417が画像形成装置104(1)および分散先に指定された画像形成装置104(X)のプリンタドライバ情報を画像形成装置情報記憶部415より取得し、それぞれの画像形成装置用に登録されたプリンタドライバである印刷データ変換処理部418を起動する。起動された印刷データ変換処理部418は印刷データ情報記憶部412に記憶された該印刷データ情報を取得して汎用印刷データから該当の画像形成装置104に適したPDLデータを作成し、作成されたPDLデータを含む印刷データ情報は印刷データ送信処理部419により分散印刷を依頼した元の画像形成装置104(1)の印刷データ受信処理部443および分散先の画像形成装置104(X)の印刷データ受信処理部443に対して送信される。(略)
【0068】
印刷体裁情報504は、クライアントPC101や画像形成装置104から指定される、印刷用紙サイズ、色区分、印刷面などの印刷時のパラメータを格納するものであり、ここに設定された印刷体裁に従って汎用印刷データからPDLデータが作成される。」

以上の記載から、甲第8号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲第8号証に記載の技術事項)
「プリントサーバと画像形成装置とがネットワークで接続されたシステムにおいて、(ア)前記プリントサーバのプリンタドライバである印刷データ変換処理部は、汎用印刷データから該当の画像形成装置に適したPDLデータを作成し、作成されたPDLデータを含む印刷データ情報を依頼した元の画像形成装置に送信し、(イ)前記印刷体裁情報は、画像形成装置から指定される、印刷用紙サイズ、色区分、印刷面などの印刷時のパラメータであり、ここに設定された印刷体裁に従って汎用印刷データからPDLデータが作成される技術」

4.9 甲第9号証
甲第9号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷クライアントアプリケーションを有するクライアント端末と、印刷先プリンタを指定しないで印刷可能なプリントサーバと、プルプリント機能を有するプリンタとがネットワークで接続されたネットワーク印刷システムに関する。(略)
【0019】
ホームゲートウェイ402は、印刷ジョブ管理手段404、通常プリントキュー405、プル専用プリントキュー406、プリンタドライバ407、通信手段408から構成される。印刷ジョブ管理手段404はプリントキュー上の印刷ジョブの管理を行う。(略)
【0021】
通常、プリントキュー405は、クライアント401が出力先プリンタを選択してから印刷を要求するときに生成される印刷ジョブ情報を格納するためのプリントキューであり、プル専用プリントキュー406は、クライアント401が出力先プリンタを選択せずに印刷を要求するときに生成される印刷ジョブ情報を格納するためのプリントキューである。プリンタドライバ407は、クライアント401で生成された出力先プリンタに依存しない多値のビットマップデータを、出力先プリンタに依存したラスター形式の2値のビットマップデータに変換を行うものであり、ネットワークに接続されている全てのプリンタに対応したドライバが複数存在するものとする。又、ホームゲートウェイ402は通信手段408を介してネットワーク413に接続されている。(略)
【0027】
図6を用いて、本印刷システムにおいてプリンタからのジョブ取得要求時に発行される印刷ジョブ取得要求について説明する。印刷ジョブ取得要求は、プリンタ名領域601、ネットワークアドレス領域602、印刷設定情報領域603から構成される。
【0028】
プリンタ名領域601にはプリンタ名が書き込まれ、ネットワークアドレス領域602にはプリンタのネットワークアドレスが書き込まれ、印刷設定領域603には印刷品位、印刷用紙サイズ等の印刷設定情報が書き込まれる。(略)
【0039】
印刷ジョブ情報で指定された印刷データがクライアント401に存在しない場合、ステップ1006においてプリンタ403のメッセージ表示部に"印刷データが存在しません"等のメッセージを表示し、この処理を終了する。印刷データが存在する場合は、ステップ1005において、印刷ジョブ取得要求の印刷設定情報領域603に書き込まれた設定で、ドライバにより出力先プリンタに対応したデータに変換が行われ、ネットワーク413を介してプリンタ403より出力される。」

以上の記載から、甲第9号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲第9号証に記載の技術事項)
「プリントサーバとプリンタとがネットワークで接続されたネットワーク印刷システムにおいて、(ア)前記プリントサーバのプリンタドライバは、出力先プリンタに依存しない多値のビットマップデータを、印刷ジョブ取得要求の印刷設定情報の設定で、出力先プリンタに依存したラスター形式の2値のビットマップデータに変換を行い、プリンタに出力し、(イ)前記印刷設定情報は、印刷品位、印刷用紙サイズである技術」

4.10 甲第10号証
甲第10号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク環境にて用いられるもので、記録用紙等への画像出力を指示するホスト装置、および、そのホスト装置からの指示に従って画像出力を行う印刷装置に関するものである。(略)
【0015】このホスト装置10は、例えばパーソナルコンピュータまたはワークステーションからなるもので、記録用紙等への印刷出力を印刷装置20に対して指示するためのものである。そのために、ホスト装置10では、図5に示すように、プリントマネージャ11、プリンタドライバ12、プリント命令生成部13、プルプリント命令生成部14およびネットワークインタフェース(I/F)ドライバ15といった機能を有している。(略)
【0020】プリンタドライバ12は、例えばホスト装置10上で動作するアプリケーションプログラムからなるもので、印刷装置20での印刷出力が可能な種類のプリントデータを生成するものである。この生成は、例えば、WWWサーバ30から取得したドキュメント情報を、印刷装置20が対応する形式(種類)のプリントデータに変換することによって行うようにすればよい。
【0021】プリント命令生成部13は、プリントマネージャ11からプリント命令があると、これに応じてプリント命令のパケットを生成するものである。プリント命令のパケットは、図6(a)に示すように、プリント命令であることを識別するためのプリント命令識別子16a、プリントデータの印刷条件を特定するためのプリントパラメータ16bおよび印刷装置20での出力のためにプリンタドライバ12が生成したプリントデータ16cから構成されている。なお、プリントパラメータ16bが特定する印刷条件としては、例えば、印刷部数、いわゆるNup等の縮小印刷指定、いわゆるポスター印字等の拡大分割印刷指定、印字品質、印字解像度などがある。(略)
【0047】印字可能であれば、プリントマネージャ11は、そのドキュメント情報を印刷装置20に出力させるべく、プルプリント命令を発行する(S206)。一方、印字が不可能な場合には、プリントマネージャ11は、そのドキュメント情報をWWWサーバ30から取得して(S207)、プリンタドライバ12またはそのドキュメント情報に対応するアプリケーションプログラムにより、印刷装置20が印字可能なプリントデータへの変換処理を行って(S208)、そのプリントデータを印刷装置20に出力させるべく、プリント命令を発行する(S209)。」

以上の記載から、甲第10号証には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(甲第10号証に記載の技術事項)
「ホスト装置と印刷装置とがネットワークで接続されたネットワーク環境において、(ア)前記ホスト装置のプリンタドライバは、ドキュメント情報を印刷装置での印刷出力が可能な種類のプリントデータに変換し、プリントパラメータと変換したプリントデータから構成されるプリント命令のパケットを印刷装置に発行し、(イ)前記プリントパラメータが特定する印刷条件は、印刷部数、Nup等の縮小印刷指定、ポスター印字等の拡大分割印刷指定、印字品質、印字解像度などがある技術」

5 判断
5.1 特許法第29条第1項第3号(新規性)について
訂正後の請求項9?12、16?18、21に係る発明(本件発明9?12、16?18、21)の新規性について検討する。

5.1.1 本件発明9について

5.1.1.1 甲1発明1との対比
本件発明9と甲1発明1とを対比すると、以下のとおりである。

(1)「画像形成装置」、「サーバ」、「画像形成システム」
構成1aの「複合機」は、プリンタを備えるから、構成9Aの「画像形成装置」に相当する。
構成1aの「プリントサーバ」は、ローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続される構成において、複合機と通信を行うから、構成9Aの「サーバ」に相当する。
構成1aの「プリントシステム」は、プリントサーバと複合機を含むシステムであって、「複合機」によってビットマップイメージを出力するから、構成9Aの「画像形成システム」に相当する。

(2)「画像データ」、「変換データ」
構成1lの「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」は、プリントサーバの所定の格納場所に保存し、構成1gでユーザが選択し印刷指示を受けるものであるから、印刷対象となるものといえる。
そして、甲1発明1の「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」には、画像データを印刷する印刷ジョブが含まれることが想定されることから、本件発明9の「画像データ」と、甲1発明1の「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」とは、「印刷対象データ」である点で共通する。
また、構成1d、構成1e、構成1f及び構成1pの「PDLジョブ」は、構成1pのPDL変換処理によって生成される「複合機が印刷可能な形式のPDLジョブ」であり、変換処理されたものといえる。
そして、甲1発明1の「PDLジョブ」にも、画像データを印刷するPDLジョブが含まれることが想定されることから、本件発明9の「画像データから画像サイズが変換された変換データ」と、甲1発明1の「PDLジョブ」とは、「変換処理後データ」である点で共通する。
しかしながら、「印刷対象データ」及び「変換処理後データ」について、本件発明9は「画像データ」及び「画像データから画像サイズが変換された変換データ」であるのに対して、甲1発明1は「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」及び「複合機が印刷可能な形式のPDLジョブ」である点で相違する。

(3)「印刷設定」、「特有情報」
構成1h及び構成1nの「変更された印刷設定情報」は、複合機の「印刷設定情報の変更を受け付ける処理」によって受け付けられた情報であり、当該「変更された印刷設定情報」の中の「部数、両面、カラーモード、ページ集約」は、印刷ジョブの用紙への出力方法を指定する情報である。
よって、構成1hの「変更された印刷設定情報」の中の「部数、両面、カラーモード、ページ集約」は、構成9Gの「印刷設定」に相当する。
また、構成1h及び構成1iの「複合機のモデル名」は、「複合機が有する情報」といえるから、構成1hの「変更された印刷設定情報」は、構成9Hの「印刷設定を含む特有情報」に相当する。

(4)「変換条件」
構成1l及び構成1nにおいてジョブ管理DBに登録した「印刷設定情報」は、「GUID、部数、両面、カラーモード、ページ集約、複合機のモデル名」であり、印刷指示を受け付けた印刷対象データである「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」に対する構成1oの印刷処理に用いられる情報である。
ここで、構成1l及び構成1nの「印刷設定情報」と構成9D及び構成9Jの「画像サイズを変換させる条件である変換条件」とは、「印刷対象データ」を変換させる条件である「変換条件」である点で共通する。
しかしながら、「変換条件」について、本件発明9は「画像データの画像サイズを変換させる条件」であるのに対して、甲1発明1は「画像サイズを変換させる条件」であるか特定がない点で相違する。

(5)サーバの「決定部」
構成1kの「プリントサーバのCPU」が実行する「ジョブ管理サービス」は、構成1nの「前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報を受信した前記変更された印刷設定情報に変更する処理」を実行するものであって、当該「前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報」は構成1oの印刷処理に用いられるから、構成1nの「前記ジョブ管理DBに登録している印刷設定情報を受信した前記変更された印刷設定情報に変更する処理」は、構成1oの印刷処理に用いられる印刷設定情報を決定しているといえる。
よって、上記「変換条件」の相違を除いて、甲1発明1のサーバの「CPU」は、印刷対象データを変換条件させる条件である「変換条件」を決定するから、本件発明9の「決定部」に相当する。

(6)サーバの「生成部」
構成1pのプリントサーバの「プリンタドライバ」は、上記「印刷対象データ」である「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」に対してPDL変換処理を実行して、上記「変換処理後のデータ」である「複合機が印刷可能な形式のPDLジョブ」を生成するものである。
そして、構成9Jのサーバの「生成部」は、上記(2)の「印刷対象データ」である「印刷対象の画像データ」を前記変換条件に従って変換し「変換データ」を生成するものである。
よって、上記「印刷対象データ」、「変換処理後データ」及び「変換条件」の相違を除いて、本件発明9のサーバの「生成部」と、甲1発明1のプリントサーバの「プリンタドライバ」は、「印刷対象データ」から「変換処理後データ」を生成する「生成手段」である点で共通する。
しかしながら、「生成手段」について、上記「印刷対象データ」、「変換処理後データ」及び「変換条件」の相違に伴って、本件発明9は、「生成部」が「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」構成であるのに対して、甲1発明1はそのような構成を有していない点で相違する。

(7)サーバの「送信部」
構成1jのプリントサーバの「通信I/Fコントローラ」は、ネットワークでの通信制御処理を実行し、上記(2)で検討した「変換処理後データ」を送信することは明らかであるから、構成9Kの「送信部」に相当する。

(8)画像形成装置の「選択部」、「要求部」、「受信部」、「記憶部」、「印刷部」及び「入力部」
構成1bの「CPU」は、パネル・アプリケーションを実行し、該パネル・アプリケーションはプリントサーバへ印刷ジョブ一覧を要求し、印刷ジョブの選択及び印刷指示をユーザから受け付ける処理を実行するから、構成9Bの「選択部」及び構成9Cの「要求部」に相当する。
構成1dの「ネットワークインタフェース」は、PDLジョブを受信するから、構成9Dの「受信部」に相当する。
構成1eの「RAM」は、PDLジョブを一時記録するから、構成9Eの「記憶部」に相当する。
構成1fの「プリンタ」は、PDLジョブを展開したビットマップイメージを出力するから、構成9Fの「印刷部」に相当する。
構成1cの「操作部」は、印刷設定情報の変更を受け付けるから、構成9Fの「入力部」に相当する。

(9)一致点、相違点
以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
画像形成装置と、前記画像形成装置と通信を行うサーバとを備える画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置は、
前記サーバに記憶されている印刷対象データのうち印刷対象の印刷対象データの選択を受け付ける選択部と、
前記選択部によって選択された印刷対象データの送信を前記サーバに要求する要求部と、
前記選択部によって選択された印刷対象データを変換条件に従って前記サーバによって変換された印刷対象データである変換処理後データを、前記サーバから受信する受信部と、
前記受信部にて受信した変換処理後データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された変換処理後データに基づいて印刷を行う印刷部と、
印刷設定を入力する入力部と、を備え、
前記印刷設定を含む特有情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記画像形成装置が有する前記特有情報であって、前記入力部によって入力された前記印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記変換条件を決定する決定部と、
前記要求部によって送信が要求された印刷対象データを前記変換条件に従って変換し、当該印刷対象データから変換された変換処理後データを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した変換処理後データを、前記画像形成装置に送信する送信部と、 を備え、
ことを特徴とする画像形成システム。

(相違点9-1)
「印刷対象データ」及び「変換処理後データ」について、本件発明9は「画像データ」及び「画像データから画像サイズが変換された変換データ」であるのに対して、甲1発明1は「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」及び「複合機が印刷可能な形式のPDLジョブ」である点。

(相違点9-2)
「変換条件」について、本件発明9は、「画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件」であるのに対して、甲1発明1は、画像サイズを変換させる条件であるか特定がない点。

(相違点9-3)
「生成手段」について、上記「印刷対象データ」、「変換処理後データ」及び「変換条件」の相違に伴って、本件発明9では、「生成部」が「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」構成であるのに対して、甲1発明1は、そのような構成を有していない点。

5.1.1.2 判断
本件発明9と甲1発明1とは、上記のとおりの相違点を有するから、両者は同一であるとはいえない。

5.1.1.3 特許異議申立人の主張について
(1)特許異議申立人は、本件訂正1により訂正された事項について、平成30年3月22日付け意見書において、以下のとおり主張する。

ア 「甲1の段落0076には、XML形式の印刷設定情報にページ集約に関する情報が含まれていると記載されている(略)。そして、プリントサーバ101が、ページ集約の設定値を含むXML形式の印刷設定情報(略)に基づいてページ集約の設定値を含むDEVMODE(略)を決定し、当該DEVMODEとEMFSPOOLに基づいてPDL(略)を生成することが記載されているといえる。ここで、例えば、DEVMODEのページ集約として2in1が設定されていれば、用紙1ページに対して2ページ分の画像が印刷されるように画像サイズが縮小されたPDLが生成され、DEVMODEのページ集約として4in1が設定されていれば、用紙1ページに対して4ページ分の画像が印刷されるように画像サイズが縮小されたPDLが生成されることは明らかである(甲1の段落0005、0075)。よって(略)、甲1には、画像データの画像サイズを変換するための変換条件としてページ集約の設定値を含むDEVMODEが記載されている。」(平成30年3月22日付け意見書、第3頁第13行?第4頁第7行)

イ 「甲1には、ページ集約の設定値を含むDEVMODEに従ってPDLを生成することが記載されているため、変換データが画像データの画像サイズが変換されたものであることに相当することが開示されているといえる。」(同第4頁第10?13行)

ウ 「なお、甲1には、図16(a)を使ってカラーまたはモノクロを設定できることも記載されている。つまり、例えば、クライアントPC100が図4に示す(1-2)において送信した印刷ジョブがカラーのデータであっても、図16(a)においてモノクロが設定されれば、モノクロを含むDEVMODEに従って生成されたPDLが、画像データの画像サイズ(データ量)が変換されたものであることに相当することは明らかである。」(同第4頁第14?19行)

(2)上記特許異議申立人の主張について検討する。
(2-1)特許異議申立人が主張しているように、甲第1号証には、印刷設定情報に「カラーモード、ページ集約」が含まれること(上記4.1(1)シ【0076】)、「印刷設定情報の変更を受け付ける処理」はカラーモード及びページ集約の指定を受け付けること(同【0075】及び【図16】(a))は記載されている。
しかしながら、甲第1号証には、サーバの生成部である「プリンタドライバ」が実行するPDL変換処理は、「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」ことや、「プリンタドライバ」は、印刷設定情報に含まれる「カラーモード、ページ集約」に従って、「画像データを印刷する印刷ジョブ」の画像データの画像サイズを変換することは記載されていない。

(2-2)また、特許異議申立人は、上記(1)アの主張において、甲第1号証の段落0005(以下、「当該記載部分」という。)を引用しているので、この点を検討する。
当該記載部分は、【発明が解決しようとする課題】として、従来提案されている「所謂「プルプリント」の印刷システム」(【0002】)の課題を記載したものである(上記4.1(1)ア【0005】)。
そして、当該記載部分に記載された【発明が解決しようとする課題】は、「従来の方法では、ユーザが印刷装置からサーバ上に一時蓄積された印刷データに対して印刷要求を行う際に、印刷設定情報の変更を指示することが困難である」とし、具体例として、「ユーザが印刷装置からサーバ上に一時蓄積された印刷データに対して印刷要求を行う際に、4ページを1ページに割り付けるような印刷設定(以後、4in1と称する)を指示した」とき、「サーバ上に一次蓄積される印刷データ、即ちPDLが印刷装置の解像度に依存するラスタ形式であるなら、4in1を実現するためにラスタ画像を縮小することになるので、細線の消失等、品質上の様々な問題が生じる。また、PDLは多種多様な仕様が存在するので、それら複数のPDLに対応することは多大な労力を必要とする。そもそも、PDLの仕様が非公開であったら、PDLを変更することもできない」ことを課題とするものである。
即ち、当該記載部分は、プルプリントの印刷システムにおいて、サーバに一次蓄積される印刷データに対する印刷要求を行う際の印刷設定情報の変更を指示することの困難性を記載するものであり、且つ、具体例として、印刷装置の解像度に依存するラスタ形式である場合の「ラスタ画像を縮小すること」の課題を記載しているものである。
そして、当該記載部分には、印刷装置の解像度に依存するラスタ形式以外の印刷データについての記載はなく、甲第1号証の「プリンタドライバ」が「ページ集約」に従って印刷ジョブの画像データの画像サイズを変換することを明示するものではない。
他方、甲第1号証に記載された発明は、当該記載部分に記載された【発明が解決しようとする課題】を解決するために、上記4.1(4)及び(10)のとおり、プリントサーバは特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブを保存することとし、加えて、上記4.1(8)のとおり、複合機は「PDLコード等のベクトルデータをビットマップイメージに展開するラスタイメージプロセッサ(RIP)310」を備えることとしている。
このことからも、当該記載部分の記載から、プリントサーバが保存する印刷ジョブが、「印刷装置の解像度に依存するラスタ形式」であり、プリントサーバが「ラスタ画像を縮小する」ことが明らかとはいえない。
よって、甲第1号証の「プリンタドライバ」が「ページ集約」に従って「画像データを印刷する印刷ジョブ」の画像データの画像サイズを変換することを明らかにするものとはいえない。

(2-3)また、上記4.2?4.10のとおり、サーバと画像形成装置とがネットワークで接続されたネットワーク印刷システムにおいて、サーバの生成手段であるプリンタドライバが、「画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件」に従って、「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」構成は、甲第2号証?甲第10号証のいずれにも記載されておらず、当該構成が当業者にとって自明のものであるとも、周知技術であるともいえない。

(2-4)よって、甲1発明1において、「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」構成が明らかであるとはいえず、また、当業者において自明のものであるともいえないから、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

5.1.2 本件発明10について

5.1.2.1 甲1発明1との対比
本件発明10と甲1発明1とを対比すると、以下のとおりである。

(1)上記5.1.1.1(1)?(4)、(6)?(8)と同じ一致点及び相違点を有する。

(2)画像形成装置の「決定部」
上記5.1.1.1(5)のとおり、構成1nの「プリントサーバのCPU」が実行する「ジョブ管理サービス」は、構成1oの印刷処理に用いられる印刷設定情報を決定しているといえる。
よって、本件発明10と甲1発明1とは、上記「変換条件」の相違を除いて、「決定部」を備える点で共通する。
しかしながら、「決定部」について、本件発明10は画像形成装置が決定部を備え、前記決定部が決定した変換条件をサーバに送信する構成であるのに対して、甲1発明1はサーバが決定部を備える点で相違する。

(3)一致点、相違点
以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
画像形成装置と、 前記画像形成装置と通信を行うサーバとを備える画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置が有する特有情報であって、前記前記画像形成装置の入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、変換条件を決定する決定部を備え、
前記画像形成装置は、
前記サーバに記憶されている印刷対象データのうち、印刷対象の印刷対象データの選択を受け付ける選択部と、
前記選択部によって選択された印刷対象データの送信を前記サーバに要求する要求部と、
前記選択部によって選択された印刷対象データを前記変換条件に従って前記サーバによって変換された印刷対象データである変換処理後データを、前記サーバから受信する受信部と、
前記受信部にて受信した変換処理後データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された変換処理後データに基づいて印刷を行う印刷部と、
印刷設定を入力する前記入力部と、を備え、
前記サーバは、
前記要求部によって送信が要求された印刷対象データを前記変換条件に従って変換し、当該印刷対象データから変換処理後データを生成する生成手段と、
前記生成部が生成した変換処理後データを、前記画像形成装置に送信する送信部とを備え、
ことを特徴とする画像形成システム。

(相違点10-1)
「印刷対象データ」及び「変換処理後データ」について、本件発明10は「画像データ」及び「画像データから画像サイズが変換された変換データ」であるのに対して、甲1発明1は「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」及び「複合機が印刷可能な形式のPDLジョブ」である点。

(相違点10-2)
「変換条件」について、本件発明10では、「画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件」であるのに対して、甲1発明1は、画像サイズを変換させる条件であるか特定がない点。

(相違点10-3)
「生成手段」について、上記「印刷対象データ」、「変換処理後データ」及び「変換条件」の相違に伴って、本件発明10では、「生成部」が「当該画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」構成であるのに対して、甲1発明1は、そのような構成を有していない点。

(相違点10-4)
「決定部」について、本件発明10は画像形成装置が決定部を備え、前記決定部が決定した変換条件をサーバに送信する構成であるのに対して、甲1発明1はサーバが決定部を備える点。

5.1.2.2 判断
本件発明10と甲1発明1とは、上記のとおりの相違点を有するから、両者は同一であるとはいえない。

5.1.2.3 特許異議申立人の主張について
(1)特許異議申立人は、本件訂正2により訂正された事項について、平成30年3月22日付け意見書において、以下のとおり主張する。

ア 「甲1における図13(b)のようなページ集約に関する設定値を含むXML形式の印刷設定情報が、訂正後の請求項10に係る本件特許発明の「画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件」に相当することは明らかである。」(平成30年3月22日付け意見書、第6頁第12?14行)

イ 「甲1には、(略)プリントサーバ101が、ページ集約の設定値を含むXML形式の印刷設定情報にしたがい、画像サイズが変換されたPDLを生成し、複合機102に送信することに相当することが開示されているといえる。」(同第7頁第11?17行)

ウ 「なお、甲1には、図16(a)を使ってカラーまたはモノクロを設定できることも記載されている。つまり、例えば、クライアントPC100が図4に示す(1-2)において送信した印刷ジョブがカラーのデータであっても、図16(a)においてモノクロが設定されれば、プリントサーバ101が、モノクロを含むXML形式の印刷設定情報にしたがい、画像サイズが変換されたPDLを生成し、複合機102に送信することに相当することが開示されているともいえる。」(同第7頁第18?23行)

(2)上記特許異議申立人の主張について検討する。
上記5.1.1.3(2)と同じ理由により、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

5.1.3 本件発明11?12、18、21について
本件の特許請求の範囲の請求項11?12、18、21は、直接又は間接的に請求項9又は10を引用しているから、本件発明11?12、18、21は、上記5.1.1.1(10)又は上記5.1.2.1(3)に記載したとおりの甲1発明1との相違点を有している。
よって、本件発明11?12、18、21は、本件発明9及び本件発明10と同様に、甲1発明1と相違点を有し、自明のものであるともいえないから、両者は同一であるとはいえない。

5.1.4 本件発明16について

5.1.4.1 甲1発明2との対比
本件発明16と甲1発明2とを対比すると、以下のとおりである。

(1)「画像形成装置」、「サーバ」
上記5.1.1.1(1)と同じ理由により、構成2aの「複合機」及び「プリントサーバ」は、構成16Aの「画像形成装置」及び「サーバ」に相当する。

(2)「受信部」、「印刷部」、「制御部」及び「入力部」
上記5.1.1.1(8)と同じ理由により、構成2dの「ネットワークインタフェース」、構成2eの「プリンタ」及び構成2cの「操作部」は、各々構成16Bの「受信部」、構成16Cの「印刷部」及び構成16Eの「入力部」に相当する。
また、構成2bの「CPU」は、システム全体を制御するから、構成16Dの「制御部」に相当する。

(3)上記5.1.1.1(2)?(4)と同じ一致点及び相違点を有する。

(4)「制御部」の「決定処理」
上記5.1.1.1(5)と同じ理由により、プリントサーバの実行する構成2kの「変更する処理」は、構成2lの印刷処理に用いられる印刷設定情報を決定する「決定処理」を実行するといえる。
よって、上記「変換条件」の相違を除いて、本件発明16は画像形成装置の制御部が「自装置が有する特有情報であって、前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記サーバにて前記選択処理によって選択された画像データを変換させる条件である変換条件を決定する決定処理」と「前記決定処理によって決定された前記変換条件とを、前記サーバに送信する要求送信処理」を実行するのに対して、甲1発明2は、サーバが「決定処理」を実行する点で相違する。

(5)「制御部」の「選択処理」及び「要求送信処理」
上記5.1.1.1(8)と同じ理由により、上記(4)の相違を除き、構成2fの「印刷ジョブの選択及び印刷指示をユーザから受け付ける処理」及び構成2hの「印刷指示を行う処理」は、構成16Fの「選択処理」及び構成16Hの「要求送信処理」に相当する。

(6)「制御部」の「印刷処理」
構成2iの複合機のCPUが実行する「プリンタへプリント動作の起動を指示する処理」は、印刷部に印刷を行わせる印刷処理といえる。

(7)一致点、相違点
以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
サーバと通信を行う画像形成装置において、
変換処理後データを受信する受信部と、
印刷を行う印刷部と、
制御部と、
印刷設定を入力する入力部と、を備え、
前記制御部は、
前記サーバに記憶されている印刷対象データのうち、印刷対象の印刷対象データの選択を受け付ける選択処理と、
前記選択処理によって選択された印刷対象データの送信を要求する送信要求を、前記サーバに送信する要求送信処理と、
変換条件に従って前記サーバによって変換され、前記要求送信処理に応じて前記受信部が前記サーバから受信した印刷対象データである変換処理後データに基づいて、前記印刷部に印刷を行わせる印刷処理と、
を実行することを特徴とする画像形成装置。

(相違点16-1)
「印刷対象データ」及び「変換処理後データ」について、本件発明16は「画像データ」及び「画像データから画像サイズが変換された変換データ」であるのに対して、甲1発明2は「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」及び「複合機が印刷可能な形式のPDLジョブ」である点。

(相違点16-2)
「変換条件」について、本件発明16では、「画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件」であるのに対して、甲1発明2は、画像サイズを変換させる条件であるか特定がない点。

(相違点16-3)
本件発明16は画像形成装置の制御部が「自装置が有する特有情報であって、前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて、前記サーバにて前記選択処理によって選択された画像データを変換させる条件である変換条件を決定する決定処理」と「前記決定処理によって決定された前記変換条件とを、前記サーバに送信する要求送信処理」を実行するのに対して、甲1発明2は、サーバが「決定処理」を実行する点。

5.1.4.2 判断
本件発明16と甲1発明2とは、上記のとおりの相違点を有するから、両者は同一であるとはいえない。

5.1.4.3 特許異議申立人の主張について
(1)特許異議申立人は、本件訂正16により訂正された事項について、平成30年3月22日付け意見書において、以下のとおり主張する。

「甲1には、複合機102が、図16(a)を使って入力された設定値(訂正後の請求項16に係る本件特許発明の「入力部」に相当)を含む“モデル名および図16(a)を使って設定された設定値”(訂正後の請求項16に係る本件特許発明の「前記画像形成装置が有する前記特有情報」に相当)に基づき、画像データの画像サイズを変換させる変換条件としてページ集約の設定値を含むXML形式の印刷設定情報(訂正後の請求項16に係る本件特許発明の「画像サイズを変換させる条件である変換条件」に相当)を決定し、プリントサーバ101がページ集約の設定値を含むXML形式の印刷設定情報にしたがい、画像サイズが変換されたPDLを生成し、複合機102が当該PDLをプリントサーバ101から受信して印刷することに相当することが開示されているといえる。」(平成30年3月22日付け意見書、第8頁第9?18行)

(2)上記特許異議申立人の主張について検討する。
上記5.1.1.3(2)と同じ理由により、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

5.1.5 本件発明17について

5.1.5.1 甲1発明3との対比
本件発明17と甲1発明3とを対比すると、以下のとおりである。

(1)「画像形成装置」、「サーバ」
上記5.1.1.1(1)と同じ理由により、構成3aの「複合機」及び「プリントサーバ」は、構成17Aの「画像形成装置」及び「サーバ」に相当する。

(2)「送信部」、「制御部」
上記5.1.1.1(7)と同じ理由により、構成3bの「通信I/Fコントローラは、構成17Bの「送信部」に相当する。
また、構成3cの「CPU」は、各デバイスやコントローラを統括的に制御するから、構成17Cの「制御部」に相当する。

(3)上記5.1.1.1(2)?(4)と同じ一致点及び相違点を有する。

(4)「制御部」の「決定処理」
構成3eのプリントサーバのCPUが実行する「前記ジョブ管理DBに登録している前記印刷設定情報を前記受信した印刷設定情報に変更する処理」は、構成3fの印刷処理に用いられる印刷設定情報を決定しているといえる。
よって、上記「変換条件」の相違を除いて、構成3eの処理は、印刷対象データを変換させる条件である「変換条件」を決定するから、構成17Eの「決定処理」に相当する。

(5)「制御部」の「取得処理」及び「送信処理」
構成3eの「印刷設定情報」は、複合機で入力された情報であって、印刷対象データである「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」に対するPDL変換処理に用いられる情報である。
よって、構成3eの「複合機から印刷設定情報(GUID、部数、両面、カラーモード、ページ集約、複合機のモデル名)を受信」する処理は、構成17Dの「取得処理」に相当する。
また、上記5.1.1.1(7)と同じ理由により、構成3gの「複合機に前記PDLジョブを送信する処理」は、構成17Gの「送信処理」に相当する。

(6)「制御部」の「生成処理」
また、上記5.1.1.1(6)と同じ理由により、上記「印刷対象データ」、「変換処理後データ」及び「変換条件」の相違を除いて、本件発明17のサーバの「生成処理」と、甲1発明3のプリントサーバの「プリンタドライバ」が実行する「印刷ジョブを前記複合機のモデル名の複合機が印刷可能な形式のPDLジョブに変換するPDL変換処理」は、「印刷対象データから変換処理後データを生成する生成処理」である点で共通する。
しかしながら、「生成処理」について、上記「印刷対象データ」、「変換処理後データ」及び「変換条件」の相違に伴って、本件発明17は、「生成処理」が「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する生成処理」であるのに対して、甲1発明3はそのような処理を有していない点で相違する。

(7)一致点、相違点
以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
画像形成装置と通信を行うサーバにおいて、
変換処理後データを送信する送信部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像形成装置が有する特有情報であって、前記画像形成装置に入力された印刷設定が含まれる前記特有情報を取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得された前記特有情報に基づいて、前記画像形成装置によって選択された印刷対象データを変換する条件である変換条件を決定する決定処理と、
前記画像形成装置から送信が要求された印刷対象データを前記変換条件に従って変換し、当該印刷対象データから変換処理後データを生成する生成処理と、
前記生成処理にて生成された変換処理後データを、前記送信部にて前記画像形成装置に送信する送信処理と、
を実行することを特徴とするサーバ。

(相違点17-1)
「印刷対象データ」及び「変換処理後データ」について、本件発明17は「画像データ」及び「画像データから画像サイズが変換された変換データ」であるのに対して、甲1発明3は「特定の複合機に依存しない中間形式の印刷ジョブ」及び「複合機が印刷可能な形式のPDLジョブ」である点。

(相違点17-2)
「変換条件」について、本件発明17は、「画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件」であるのに対して、甲1発明3は、画像サイズを変換させる条件であるか特定がない点。

(相違点17-3)
「生成処理」について、上記「印刷対象データ」、「変換処理後データ」及び「変換条件」の相違に伴って、本件発明17では、「生成処理」が「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する生成処理」であるのに対して、甲1発明3は、そのような処理を有していない点。

5.1.5.2 判断
本件発明17と甲1発明3とは、上記のとおりの相違点を有するから、両者は同一であるとはいえない。

5.1.5.3 特許異議申立人の主張について
(1)特許異議申立人は、本件訂正17により訂正された事項について、平成30年3月22日付け意見書において、以下のとおり主張する。

「甲1には、プリントサーバ101が、複合機102の図16(a)を使って入力された印刷設定が含まれるXML形式の印刷設定情報(訂正後の請求項17に係る本件特許発明の「特有情報」に相当)に基づき、画像データの画像サイズを変換させる変換条件としてページ集約の設定値を含むDEVMODE(訂正後の請求項17に係る本件特許発明の「画像データの画像サイズを変換させる変換条件」に相当)を決定し、当該ページ集約の設定値を含むDEVMODEにしたがい、画像サイズが変更されたPDL(訂正後の請求項17に係る本件特許発明の「変換データ」に相当)を生成し、複合機102に送信することに相当することが開示されているといえる。」(平成30年3月22日付け意見書、第9頁第6?14行)

(2)上記特許異議申立人の主張について検討する。
上記5.1.1.3(2)と同じ理由により、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

5.1.6 小括
以上のとおりであるから、訂正後の請求項9?12、16?18、21に係る発明(本件発明9?12、16?18、21)は、甲第1号証に記載された発明ではない。

5.2 特許法第29条第2項(進歩性)について
訂正後の請求項9?24に係る発明(本件発明9?24)の進歩性について検討する。

5.2.1 本件発明9について

5.2.1.1 甲1発明1との対比
本件発明9と甲1発明1とを対比すると、上記5.1.1.1(9)に記載したとおりの一致点、及び、相違点を有する。

5.2.1.2 判断
相違点9-3について検討する。
甲第1号証において、プリントサーバの生成手段である「プリンタドライバ」に関しては、PDL変換処理が「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」ことについては、記載も示唆もされていない。
また、上記4.2?4.10のとおり、サーバと画像形成装置とがネットワークで接続されたネットワーク印刷システムにおいて、サーバの生成手段であるプリンタドライバが、「画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件」に従って、「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」構成は、甲第2号証?甲第10号証のいずれにも記載されておらず、当該構成が当業者にとって周知技術であるともいえない。
よって、甲1発明1において、「画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する」構成とすることは、甲第2号証?甲第10号証の技術事項に基いて、容易に想到し得るものではない。
したがって、本件発明9は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第10号証の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5.2.1.3 特許異議申立人の主張について
(1)特許異議申立人は、本件発明9の進歩性について、平成30年3月22日付け意見書において、以下のとおり主張する。

ア 「上記の3-2にて、甲1の段落0005、0051、0075、0076、0077、0081、0082、0092、0093、図13(b)、図16(a)を挙げて説明したように、「画像データの変換サイズを変換するための変換条件」および「変換条件にしたがって変換された変換データが画像データの画像サイズが変換されたもの」であることに関する記載が甲1にて示されている。」(平成30年3月22日付け意見書、第10頁第14?19行)

イ 「「画像データの変換サイズを変換するための変換条件」および「変換条件にしたがって変換された変換データが画像データの画像サイズが変換されたもの」は当該技術分野において周知技術である。」(同第10頁第21?23行)

(2)上記特許異議申立人の主張について検討する。
上記5.1.1.3(2)と同じ理由により、特許異議申立人の主張を採用することはできない。


5.2.2 本件発明10について

5.2.2.1 甲1発明1との対比
本件発明10と甲1発明1とを対比すると、上記5.1.2.1(3)に記載したとおりの一致点、及び、相違点を有する。

5.2.2.2 判断
相違点10-3について検討する。
上記5.2.1.2と同様の理由により、本件発明10は、甲1発明1及び、甲第2号証?甲第10号証の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5.2.2.3 特許異議申立人の主張について
(1)特許異議申立人は、本件発明10の進歩性について、平成30年3月22日付け意見書において、以下のとおり主張する。

ア 「上記3-2にて、甲1の段落0005、0075、0076、0077、0081、0092、0093、図13(b)、図16(a)を挙げて説明したように、「画像データの画像サイズを変換させる変換条件」および「画像データの画像サイズを前記変換条件に従って変換し」に関する記載が甲1にて示されている。」(平成30年3月22日付け意見書、第13頁第20?24行)

イ 「「画像データの画像サイズを変換させる変換条件」および「画像データの画像サイズを前記変換条件に従って変換し」は当該技術分野において周知技術である。」(同第13頁第26行?第14頁第2行)

(2)上記特許異議申立人の主張について検討する。
上記5.1.1.3(2)と同じ理由により、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

5.2.3 本件発明11?15、18?24について
本件の特許請求の範囲の請求項11?15、18?24は、直接又は間接的に請求項9又は10を引用しているから、本件発明11?15、18?24は、上記5.2.1.2又は上記5.2.2.2と同じ理由により、甲1発明1及び甲第2号証?甲第10号証の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5.2.4 本件発明16について

5.2.4.1 甲1発明2との対比
本件発明16と甲1発明2とを対比すると、上記5.1.4.1(7)に記載したとおりの一致点、及び、相違点を有する。

5.2.4.2 判断
上記5.2.1.2と同様の理由により、本件発明16は、甲1発明2及び甲第2号証?甲第10号証の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5.2.5 本件発明17について

5.2.5.1 甲1発明3との対比
本件発明17と甲1発明3とを対比すると、上記5.1.5.1(7)に記載したとおりの一致点、及び、相違点を有する。

5.2.5.2 判断
相違点17-3について検討する。
上記5.2.1.2と同様の理由により、本件発明17は、甲1発明3及び甲第2号証?甲第10号証の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5.2.6 小括
以上のとおりであるから、訂正後の請求項9?24に係る発明(本件発明9?24)は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第10号証の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項9?24に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項9?24に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項1?8に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項1?8に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
画像形成装置と,前記画像形成装置と通信を行うサーバとを備える画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置は,
前記サーバに記憶されている画像データのうち,印刷対象の画像データの選択を受け付ける選択部と,
前記選択部によって選択された画像データの送信を前記サーバに要求する要求部と,
前記選択部によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件に従って前記サーバによって変換された画像データである変換データを,前記サーバから受信する受信部と,
前記受信部にて受信した変換データを記憶する記憶部と,
前記記憶部に記憶された変換データに基づいて印刷を行う印刷部と,
印刷設定を入力する入力部と,を備え,
前記印刷設定を含む特有情報を前記サーバに送信し,
前記サーバは,
前記画像形成装置が有する前記特有情報であって,前記入力部によって入力された前記印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて,前記変換条件を決定する決定部と,
前記要求部によって送信が要求された画像データを前記変換条件に従って変換し,当該画像データから画像サイズが変換された変換データを生成する生成部と,
前記生成部が生成した変換データを,前記画像形成装置に送信する送信部と,
を備え,
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
画像形成装置と,前記画像形成装置と通信を行うサーバとを備える画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置は,
前記サーバに記憶されている画像データのうち,印刷対象の画像データの撰択を受け付ける選択部と,
前記選択部によって選択された画像データの送信を前記サーバに要求する要求部と,
前記選択部によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件に従って前記サーバによって変換された画像データである変換データを,前記サーバから受信する受信部と,
前記受信部にて受信した変換データを記憶する記憶部と,
前記記憶部に記憶された変換データに基づいて印刷を行う印刷部と,
印刷設定を入力する入力部と,
前記画像形成装置が有する特有情報であって,前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて,前記変換条件を決定する決定部と,を備え,
決定した前記変換条件を前記サーバに送信し,
前記サーバは,
前記要求部によって送信が要求された画像データの画像サイズを前記変換条件に従って変換し,当該画像データから変換データを生成する生成部と,
前記生成部が生成した変換データを,前記画像形成装置に送信する送信部と,
を備える,
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載する画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置は,
前記サーバにファイルリスト要求を送信し,
前記サーバからファイルリストを受信し,
受信した前記ファイルリストに基づいて,印刷対象の画像データの選択を前記選択部にて受け付ける,
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
請求項9から請求項11までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記変換条件には,前記変換データの画像サイズと,印刷設定の色指定と,が含まれる,ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
請求項9から請求項12までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記変換条件には,前記変換データの画像サイズが含まれ,
前記決定部は,前記画像サイズを,前記印刷設定に含まれる解像度が低いほど小さいサイズに決定する,
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
請求項9から請求項13までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記変換条件には,前記変換データの画像サイズが含まれ,
前記決定部は,前記印刷設定の色指定がモノクロの場合には,色指定がカラーの場合に比較して,前記画像サイズを小さいサイズに決定する,
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項15】
請求項9から請求項14までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記変換条件には,前記変換データの画像サイズが含まれ,
前記決定部は,前記画像サイズを,前記印刷設定に含まれる用紙サイズが小さいほど小さいサイズに決定する,
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項16】
サーバと通信を行う画像形成装置において,
画像データを受信する受信部と,
印刷を行う印刷部と,
制御部と,
印刷設定を入力する入力部と,
を備え,
前記制御部は,
前記サーバに記憶されている画像データのうち,印刷対象の画像データの選択を受け付ける選択処理と,
自装置が有する特有情報であって,前記入力部によって入力された印刷設定が含まれる前記特有情報に基づいて,前記サーバにて前記選択処理によって選択された画像データの画像サイズを変換させる条件である変換条件を決定する決定処理と,
前記選択処理によって選択された画像データの送信を要求する送信要求と,前記決定処理によって決定された前記変換条件とを,前記サーバに送信する要求送信処理と,
前記変換条件に従って前記サーバによって変換され,前記要求送信処理に応じて前記受信部が前記サーバから受信した画像データである変換データに基づいて,前記印刷部に印刷を行わせる印刷処理と,
を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
画像形成装置と通信を行うサーバにおいて,
画像データを送信する送信部と,
制御部と,
を備え,
前記制御部は,
前記画像形成装置が有する特有情報であって,前記画像形成装置に入力された印刷設定が含まれる前記特有情報を取得する取得処理と,
前記取得処理にて取得された前記特有情報に基づいて,前記画像形成装置によって選択された画像データの画像サイズを変換する条件である変換条件を決定する決定処理と,
前記画像形成装置から送信が要求された画像データを前記変換条件に従って変換し,当該画像データから変換データを生成する生成処理と,
前記生成処理にて生成された変換データを,前記送信部にて前記画像形成装置に送信する送信処理と,
を実行することを特徴とするサーバ。
【請求項18】
請求項9から請求項15までのいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記印刷設定には,画質情報が含まれることを特徴とする画像形成システム。
【請求項19】
請求項9から請求項15、請求項18のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記入力部は,前記記憶部の空き容量に基づいて,入力される印刷設定の範囲を制限することを特徴とする画像形成システム。
【請求項20】
請求項9から請求項15、請求項18、請求項19のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記入力部は,前記印刷部のカラー画像の形成能力に基づいて,入力される印刷設定の範囲を制限することを特徴とする画像形成システム。
【請求項21】
請求項9から請求項15および請求項18から請求項20のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記特有情報には,前記画像形成装置の能力に関する情報が含まれることを特徴とする画像形成システム。
【請求項22】
請求項21に記載する画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置の能力に関する情報には,前記記憶部の空き容量が含まれることを特徴とする画像形成システム。
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載する画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置の能力に関する情報には,前記印刷部のカラー画像の形成能力に関する情報が含まれることを特徴とする画像形成システム。
【請求項24】
請求項9から請求項15および請求項18から請求項23のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記決定部は,前記画像形成装置が有する前記特有情報に加え,前記サーバの画像データの変換能力に関する情報に基づいて,前記変換条件を決定することを特徴とする画像形成システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-08-30 
出願番号 特願2012-275771(P2012-275771)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H04N)
P 1 651・ 121- YAA (H04N)
P 1 651・ 537- YAA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 宮島 潤  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
鳥居 稔
登録日 2017-01-27 
登録番号 特許第6079205号(P6079205)
権利者 ブラザー工業株式会社
発明の名称 画像形成システム,画像形成装置,およびサーバ  

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