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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1345580
審判番号 不服2017-16056  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-30 
確定日 2018-11-01 
事件の表示 特願2016-126766号「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成30年1月11日出願公開、特開2018-256号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成28年6月27日の出願であって、平成29年3月23日に手続補正書が提出され、同年6月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月11日付け(発送日:同年9月19日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年10月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年10月30日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年10月30日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成29年8月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における「遊技の進行を制御するメイン制御手段と、
所定の操作手段と、
設定値を表示可能な所定の表示手段とを備え、
前記メイン制御手段は、
当選役を決定する当選役決定手段と、
設定値情報を記憶する設定値情報記憶手段とを有し、
設定変更により「0」?「N(Nは数値)」の範囲内の値を前記設定値情報記憶手段に記憶可能であり、
前記当選役決定手段は、所定役が当選しているか否かを判断する場合において、特定アドレスと設定値情報とに基づいて、乱数値と比較する値を取得可能とし、
所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放している状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除可能とし、
前記所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放していない状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
前記所定のエラーが発生してから前記所定時間が経過する前の状況下で、前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
特定のエラーが発生した場合には、前記所定の操作手段が操作された場合であっても解除できず、設定変更により解除可能とする
ことを特徴とするスロットマシン。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(平成29年10月30日付け)における「遊技の進行を制御するメイン制御手段と、
所定の操作手段と、
設定値を表示可能な所定の表示手段とを備え、
前記メイン制御手段は、
当選役を決定する当選役決定手段と、
設定値情報を記憶する設定値情報記憶手段とを有し、
設定変更により「0」?「N(Nは数値)」の範囲内の値を前記設定値情報記憶手段に記憶可能であり、
前記当選役決定手段は、所定役が当選しているか否かを判断する場合において、特定アドレスに設定値情報を加算することによりアドレスを指定し、指定したアドレスから乱数値と比較する値を取得可能とし、
所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放している状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除可能とし、
前記所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放していない状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
前記所定のエラーが発生してから前記所定時間が経過する前の状況下で、前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
特定のエラーが発生した場合には、前記所定の操作手段が操作された場合であっても解除できず、設定変更により解除可能とする
ことを特徴とするスロットマシン。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項請求項1について、発明を特定するために必要な事項である「当選役決定手段」が「所定役が当選しているか否かを判断する場合」に関して、「特定アドレスと設定値情報とに基づいて、乱数値と比較する値を取得可能とし」とあったものを「特定アドレスに設定値情報を加算することによりアドレスを指定し、指定したアドレスから乱数値と比較する値を取得可能とし」と限定することを含むものである。

そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0167】?【0168】の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Iは、分説するため審決にて付した。)。
「A 遊技の進行を制御するメイン制御手段と、
B 所定の操作手段と、
C 設定値を表示可能な所定の表示手段とを備え、
D 前記メイン制御手段は、
D1 当選役を決定する当選役決定手段と、
D2 設定値情報を記憶する設定値情報記憶手段とを有し、
D3 設定変更により「0」?「N(Nは数値)」の範囲内の値を前記設定値情報記憶手段に記憶可能であり、
E 前記当選役決定手段は、所定役が当選しているか否かを判断する場合において、特定アドレスに設定値情報を加算することによりアドレスを指定し、指定したアドレスから乱数値と比較する値を取得可能とし、
F 所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放している状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除可能とし、
G 前記所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放していない状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
H 前記所定のエラーが発生してから前記所定時間が経過する前の状況下で、前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
I 特定のエラーが発生した場合には、前記所定の操作手段が操作された場合であっても解除できず、設定変更により解除可能とする
ことを特徴とするスロットマシン。」

(2)刊行物に記載された事項
(2-1)刊行物1について
原査定において周知技術を示す文献として提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-254455号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。

ア 記載事項
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者の操作に基づき遊技が行われる遊技機において、
遊技を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、予め設定された複数の当選役のいずれかに当選したかあるいはハズレかの抽選を行う抽選手段を備え、
前記抽選手段は、
抽選用の乱数を所定の範囲内で発生させる乱数発生手段と、
前記乱数発生手段が発生させた乱数を抽出する乱数抽出手段と、
前記乱数発生手段が発生させる乱数の全範囲中での、前記複数の当選役のそれぞれに対応する当選領域を決定する抽選データを有する内部抽選データテーブルと、
前記内部抽選データテーブルの前記抽選データを取得する抽選データ取得手段と、
前記乱数抽出手段が抽出した乱数の値が、前記各当選役の前記当選領域に属するかどうかを、前記抽選データに基づいて判定する抽選判定手段とを備え、
前記抽選データは、前記複数の当選役のそれぞれについて、予め定められた複数の段階に設定されており、少なくとも、前記当選役と、前記複数の段階のいずれかを決定するための設定値とにより決定されるものであり、
前記内部抽選データテーブルは、前記複数の当選役それぞれに対応した複数の当選役別データテーブルを備え、
前記各当選役別データテーブルは、
当該当選役の種類を特定する当選役データと、
同一の抽選データを有する前記設定値に対しては共通の1個の抽選データを保持するようにして前記各設定値に割り当てられた前記抽選データとを備え、
前記抽選データ取得手段は、
前記当選役データに基づいて前記当選役の種類を特定する当選役データ特定手段を備え、
前記各当選役別データテーブルごとに前記抽選データを取得する
ことを特徴とする遊技機。」

(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機、詳しくは、複数の当選役それぞれへの当選確率を決定するための複数の抽選データを備え、当該抽選データの全データ量の圧縮が図られた遊技機に関する。

【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の抽選データの全データ量の圧縮を図るとともに、内部データ構造の設計変更を容易に行うことのできる内部抽選データテーブルを備えた遊技機を提供することを第1の目的とする。
【0012】
また、本発明は、抽選処理を簡略化できる内部抽選データテーブルを備えたスロットマシンを提供することを第2の目的とする。」

(ウ)「【0030】
図2に示すように、リール13L,13M,13Rを支持する支持枠体47は、筐体3の後壁3aに固定されている。支持枠体47の下方には、メダルを払出口39に排出するためのホッパーユニット43が配設されている。また、メダル投入口25付近の裏面側には、メダル投入口25に投入されたメダルが正規のものか否かを選別して正規のメダルのみをホッパーユニット43に導くメダルセレクター48が配設されている。また、ホッパーユニット43の左側(図2の紙面奥側)には、操作ボックス49が筐体3の左側壁3bに固定されている。この操作ボックス49には、電源のオンオフを切り換える電源スイッチ50が設けられるとともに、後述する設定変更処理のためのキーシリンダ51および押しボタン式の設定変更ボタン52が設けられている。
・・・
【0032】
また、このスロットマシン1では、遊技に関する制御を行うメインCPU61が実装されたメイン制御基板63と、遊技に関連する演出の制御を行うサブCPU71が実装されたサブ制御基板73とが別々に設けられている。メイン制御基板63のRAM(ランダムアクセスメモリ)65はデータを一時的に記憶し、ROM67は予め設定されたデータ(内部抽選データテーブル671や停止テーブル672など)を含む遊技機用プログラムを記憶する。メインCPU61は、この遊技機用プログラムにしたがって動作することで、スタートスイッチ19およびストップスイッチ21L,21M,21Rの操作により左・中・右リール13L,13M,13Rの回転および停止を制御するなど、遊技に関する制御を行う。また、メインCPU61は、遊技に関連するデータを演出制御データとしてサブCPU71に送る。サブ制御基板73のメモリ75は、データを一時的に記憶するRAM部と演出用プログラムを記憶するROM部とからなる。サブCPU71は、メインCPU61からの演出制御データに基づき、演出用プログラムにしたがって動作することで、遊技に関連する演出の制御を行う。例えば、サブCPU71は、遊技の進行や抽選結果などに対応して予め設定された演出パターンに応じて、液晶表示器27に動画を表示したり、スピーカ31L,31Rから音楽を発生させたり、上部ランプ部33や下部ランプ部37L,37Rの光源を一斉にあるいは個別に点滅させるなどする。以上のように、メイン制御基板63およびサブ制御基板73により本発明の「制御装置」が構成されている。
【0033】
次に、図4を参照してメイン制御基板63について説明する。図4において、メイン制御基板63は、通常遊技制御手段100、特別遊技制御手段101およびリプレイタイム遊技制御手段103を備えている。遊技には、一般的な遊技である通常遊技、遊技者にとって通常遊技よりも有利な遊技である特別遊技(ボーナスゲーム)、再遊技役への当選確率を通常遊技中よりも高く設定した遊技であるリプレイタイム遊技といった種々の態様があり、これらの種々の遊技の態様が組み合わされて、スロットマシン1において実行される遊技が構成されている。そして、これらの遊技の態様が、それぞれ各遊技制御手段100,101,103により制御され、スロットマシン1における遊技が実行されている。なお、本実施形態では、リプレイタイム遊技制御手段103をメイン制御基板63が備えるように構成しているが、これをサブ制御基板73が備えるように構成してもよい。また、本実施形態では通常遊技と特別遊技が同時に実行されることはなく、通常遊技状態では通常遊技制御手段100により通常遊技が実行され、特別遊技状態では特別遊技制御手段101により特別遊技が実行されるように構成されている。また、後述するように、通常遊技状態において第3小役(リプレイタイム役)に入賞するか、BB当選が内部で持ち越されている状態に移行する(内部BB当選状態に移行する)ことによりリプレイタイム遊技状態に移行し、リプレイタイム遊技制御手段103によりリプレイタイム遊技が実行されるように構成されている。
【0034】
通常遊技制御手段100は、一般的な遊技である通常遊技を制御するものであり、通常遊技手段100により通常遊技が実行されているときはスロットマシン1の遊技状態が通常遊技状態となる。以下、通常遊技について説明する。投入センサ53、ベットスイッチ15または最大ベットスイッチ17により3枚のメダルの投入を検出すると、投入枚数(3枚)に応じた本数の入賞ラインが有効になり、入賞ラインに対応した有効表示ランプが点灯する。そして、メダルの投入を条件にスタートスイッチ19が操作されたことを検出すると、抽選手段110により予め設定された複数の当選役のいずれかに当選したかハズレかの抽選が行われるとともに、左・中・右リール13L,13M,13Rのすべての回転を開始させ、リール窓11に表示される各リール13L,13M,13Rの図柄を各リール13L,13M,13Rの回転角に合わせて判別することを開始する。なお、抽選手段110の構成については後で詳細に説明する。」

(エ)「【0050】
設定制御手段170は、電源投入時に変更処理開始スイッチ56のオンオフ状態を判定し、変更処理開始スイッチ56がオンの状態で電源が投入されると所定の設定変更処理を開始するものである。後述するように、通常遊技の抽選における入賞確率は、複数種類(この実施形態では例えば6種類)の設定値が予め定められている。そして、上記設定変更処理が開始されると、スロットマシン1を設置するパチンコホールの管理者が、この設定値を変更することが可能になる。
【0051】
この手順は例えば以下のようにして行われる。すなわち、管理者は、まず、設定変更キー(図示省略)を操作ボックス49のキーシリンダ51に挿入して回転し、変更処理開始スイッチ56をオンにする。そして、電源スイッチ50をオンにする。これによって設定変更処理が開始され、管理者による設定変更ボタン52の操作ごとに入賞確率の設定値が設定1?設定6にサイクリックに切り換えられる。この設定値は、例えば7セグメント式のLEDにより1?6を表示することで報知される。設定変更ボタン52の操作により入賞確率の設定値が所望の値になったときに、スタートスイッチ19を操作すると設定値が確定する。そして、キーシリンダ51に挿入されている設定変更キーを回転して変更処理開始スイッチ56をオフにすると設定変更処理が終了する。その後、メダル投入口25からメダルが投入されるとゲームが開始される。」

(オ)「【0053】
次に、図5ないし図7も参照して抽選手段110についてさらに詳細に説明する。図5は内部抽選データテーブルを示す図、図6は再遊技役についての当選役別データテーブルを示す図、図7は内部抽選データテーブルのメモリ上への配列順序を示す図である。抽選手段110は乱数抽選を行うもので、図4に示すように、乱数発生手段111、乱数抽出手段112、および抽選判定手段113を備えている。また、抽選手段110はROM67上の記憶領域の一部に設けられた内部抽選データテーブル671と、内部抽選データテーブル671が有する抽選データを取得する抽選データ取得手段114とを備えている。」

(カ)「【0073】
抽選判定手段113は、乱数抽出手段112が抽出した乱数の値が、乱数発生手段111が発生させる乱数(10進数で0?64999)の全範囲中の各当選役の当選領域に属するかどうかを、抽選データ取得手段114が取得した抽選データに基づいて判定するものである。この抽選判定手段113は、まず、図5、7に示す内部抽選データテーブル671において、最初の当選役別データテーブル671a(NOM_00)について、すなわち、「ベル(小役1)」について当選か、あるいかハズレかを判定し、ハズレと判定されれば、次の当選役別データテーブル671a(NOM_01)について、すなわち、「チェリー(小役2)」について当選か、あるいはハズレかを判定する。そして、各当選役のいずれかに当選したと判定されれば抽選処理を終了する。また、全ての当選役別データテーブル671aについてハズレと判定された場合には、当該抽選はハズレとして抽選処理を終了するように構成されている。
・・・
【0075】
次に、抽選データ取得手段114による抽選データ取得処理について、図5ないし図7を参照して具体的に説明する。まず、テーブル選択手段120により選択されている当選役別データテーブル671aのアドレスデータに基づいて、アドレス設定手段192により抽選データ取得手段114の参照先のアドレスが設定される。本実施形態では、図7に示す内部抽選データテーブル671における最初の当選役別データテーブル671aである「ベル(第1小役)」についてのデータテーブル(NOM_00)がテーブル選択手段120により選択されており、当該データテーブルの先頭アドレス&0000が先頭アドレスデータとしてアドレス格納手段652に格納されており、この先頭アドレスデータに基づいて、当該データテーブルの当選役データが格納されているアドレスが抽選データ取得手段114の参照先のアドレスとして、すなわち参照先のアドレスが&0000としてアドレス設定手段192により設定される。
・・・
【0078】
したがって、設定フラグが”セット状態”であると判定され、かつ、サイズフラグが”セット状態”であると判定されるので、データサイズが2バイトの抽選データが各設定値ごとに個別に格納されており、例えば、上記した設定値があらかじめ”3”と設定されていれば、アドレス設定手段192により参照先のアドレスが「&0006(=(&0000+2)+(設定値「3」-1)×2バイト)」と設定されて、当該アドレスに格納されている抽選データを取得することで、第1小役「ベル」についての当選役別データテーブル671aから、設定値が”3”に設定されているときの抽選データを取得することができる。
【0079】
最後に、後述するように、取得した抽選データに基づいて抽選判定手段113によりハズレと判定されたときは、テーブル選択手段120により次の当選役別データテーブル671a(NOM_01)が選択され、当該データテーブルの先頭アドレスである
「&0014(=(&0000+2)+(設定値の最大数「6」)×2バイト)」がアドレスデータとしてアドレス格納手段に格納される。なお、上記したアドレス導出式の詳細は後述する。」

イ 認定事項
(ア)【0032】に「メイン制御基板63のRAM(ランダムアクセスメモリ)65はデータを一時的に記憶し」と記載されている。
そして、【図4】に、メイン制御基板63が、設定制御手段170を備えることが図示されている。
また、【0050】に「設定制御手段170は、・・・設定変更処理を開始する・・・通常遊技の抽選における入賞確率は、複数種類(この実施形態では例えば6種類)の設定値が予め定められている。」と記載されている。
したがって、刊行物1にはメイン制御基板63は、通常遊技の抽選における入賞確率として、複数種類(この実施形態では例えば6種類)の設定値を予め定めるRAM65を備えることが示されているものと認められる。

(イ)【0051】に「・・・設定変更処理が開始され、管理者による設定変更ボタン52の操作ごとに入賞確率の設定値が設定1?設定6にサイクリックに切り換えられる。この設定値は、例えば7セグメント式のLEDにより1?6を表示することで報知される。設定変更ボタン52の操作により入賞確率の設定値が所望の値になったときに、スタートスイッチ19を操作すると設定値が確定する。・・・」と記載されている。
そして、【0078】の「・・・例えば、上記した設定値があらかじめ”3”と設定されていれば、アドレス設定手段192により参照先のアドレスが「&0006(=(&0000+2)+(設定値「3」-1)×2バイト)」と設定されて・・・」との記載から、設定値3の値が「3」であることが記載されている。
また、【0079】の「当該データテーブルの先頭アドレスである
「&0014(=(&0000+2)+(設定値の最大数「6」)×2バイト)」がアドレスデータとしてアドレス格納手段に格納される。」との記載から、設定値6の値が「6」であることが記載されている。

また、【0033】に「メイン制御基板63は、通常遊技制御手段100・・・を備えている。・・・」と記載され、
【0034】に「通常遊技制御手段100は、一般的な遊技である通常遊技を制御するものであり、・・・通常遊技・・・抽選手段110により予め設定された複数の当選役のいずれかに当選したかハズレかの抽選が行われる」と記載され、【0053】に「抽選手段110は乱数抽選を行うもので、・・・内部抽選データテーブル671が有する抽選データを取得する抽選データ取得手段114とを備えている。」と記載され、【0075】に「抽選データ取得手段114による抽選データ取得処理について、・・・説明する。」と記載されていることから、刊行物1には、通常遊技制御手段100が、抽選データ取得手段114を備えることが記載されている。

さらに、【0075】に「抽選データ取得手段114による抽選データ取得処理・・・」と記載されている。

したがって、刊行物1にはメイン制御基板63は、設定値1?設定値6を内部的に「1」?「6」の値に対応させて、抽選データ取得手段114による抽選データ取得処理を行うことが示されているものと認められる。

(ウ)【0053】に「抽選手段110は乱数抽選を行うもので、・・・抽選判定手段113を備えている。また、・・・内部抽選データテーブル671が有する抽選データを取得する抽選データ取得手段114とを備えている。」と記載され、
【0073】に「抽選判定手段113は、乱数抽出手段112が抽出した乱数の値が、乱数発生手段111が発生させる乱数(10進数で0?64999)の全範囲中の各当選役の当選領域に属するかどうかを、抽選データ取得手段114が取得した抽選データに基づいて判定するものである。」と記載され、
【0075】に「抽選データ取得手段114による抽選データ取得処理・・・」と記載されていることから、
刊行物1には、抽選手段110(抽選データ取得手段114)が、抽選データを取得する抽選データ取得処理を行うことが記載されている。

そして、【0078】に「例えば、上記した設定値があらかじめ”3”と設定されていれば、アドレス設定手段192により参照先のアドレスが
「&0006(=(&0000+2)+(設定値「3」-1)×2バイト)」と設定されて、当該アドレスに格納されている抽選データを取得する」ことが記載され、【0075】に「先頭アドレス&0000が先頭アドレスデータとしてアドレス格納手段652に格納されており、」と記載されている。
ここで、「(&0000+2)」は、当選役である「ベル第1小役」について、設定値1?6用の抽選値がメモリに格納される際の開始アドレスを示すものである。また、「(設定値「3」-1)」の“1”は、【図7】を参照すると、設定1を表す設定値1の値「1」を意味するものであり、設定値「3」は、設定値3の値を意味するものである。さらに、【図7】には、当選役である「チェリー第2小役」、「ボーナス特別役」については、データサイズが1バイトであることが図示されている。

図7:内部抽選データテーブルのメモリ上への配列順序を示す図。


したがって、刊行物1には、抽選手段110は、抽選データを取得する抽選データ取得処理において、アドレス設定手段192により参照先のアドレスを「(先頭アドレス+2)+(設定値Nの値-設定値1の値)×1バイト)」(Nは1?6の自然数)と設定し、当該アドレスに格納されている抽選データを取得することが示されているものと認められる。

ここで、「チェリー第2小役」を例にとり、設定値1?6の場合について、上記式により、抽選データを取得する際の「参照先のアドレス」が算出可能であることを次のとおり【図7】に示したものとなることを確認する。
設定値1の場合:(&0014+2)+(1-1)×1=&0016
設定値2の場合:(&0014+2)+(2-1)×1=&0017
設定値3の場合:(&0014+2)+(3-1)×1=&0018
設定値4の場合:(&0014+2)+(4-1)×1=&0019
設定値5の場合:(&0014+2)+(5-1)×1=&0020
設定値6の場合:(&0014+2)+(6-1)×1=&0021

ウ 刊行物1発明
上記(ア)?(カ)の記載事項、上記(ア)?(ウ)の認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(a?eは、本件補正発明の構成A?Eに対応させて付与した。)。
「a 遊技に関する制御を行うメイン制御基板63(【0032】)と、
b 管理者による操作ごとに入賞確率の設定値が設定1?設定6にサイクリックに切り換える設定変更ボタン52(【0030】、【0051】)と、
c 設定値を1?6を表示することで報知する7セグメント式のLED(【0051】)と、
d メイン制御基板63は、
d1 予め設定された複数の当選役のいずれかに当選したかあるいはハズレかの抽選を行う抽選手段(【請求項1】)と、
d2 通常遊技の抽選における入賞確率として、複数種類(この実施形態では例えば6種類)の設定値を予め定めるRAM65(認定事項(ア))とを有し、
d3 設定値1?設定値6を内部的に「1」?「6」の値に対応させて、抽選データ取得手段114による抽選データ取得処理を行い(認定事項(イ))、
e 抽選手段110は、抽選データを取得する抽選データ取得処理において、アドレス設定手段192により参照先のアドレスを「(先頭アドレス+2)+(設定値Nの値-設定値1の値)×1バイト)」(Nは1?6の自然数)と設定し、当該アドレスに格納されている抽選データを取得する(認定事項(ウ))
スロットマシン1。」

(2-2)刊行物2について
原査定の拒絶の理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-173834号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。

ア 記載事項
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、不正な遊技行為(所謂ゴト行為)を行う者のなかには、機本体の内部に配設された解除スイッチを巧みに操作し、不正な遊技行為に起因する可能性が高い異常報知を該異常報知の発生直後に解除してしまう者もいる。このような場合には、例えば遊技店の店員などが異常報知に気が付かず、遊技店側が不利益をこうむってしまう可能性がある。
【0005】
この発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、所定の異常報知の実行期間を確保できる遊技機を提供することにある。」
・・・
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、遊技機の一種であるパチンコ式スロットマシン(回胴式遊技機)の一実施形態を説明する。以下、パチンコ式スロットマシンを「パチスロ」と示す。なお、本明細書における「上」「下」「右」「左」「前」「後(裏)」は、パチスロを正面から見た場合における各方向を示す。」

(イ)「【0028】
また、図2に示すように、前面扉12の裏面には、第2通路32を介してセレクタ30から排出されたメダルを後述のホッパー35へ案内する案内通路34aが配設されている。前面扉12の裏面には、第1通路31を介してセレクタ30から排出されたメダルをメダル排出口24へ案内する排出通路34bが配設されている。排出通路34bには、ホッパー35から払出されたメダルを受け入れる受入口34cが設けられている。また、前面扉12の裏面には、各種のエラー報知を解除するための第2エラー解除スイッチSW2が設けられている。第2エラー解除スイッチSW2は、前面扉12の裏面に配設されていることから、原則として前面扉12を開放しなければ操作不能である。本実施形態の第2エラー解除スイッチSW2は、機内部に配設された第1操作手段として機能する。」

(ウ)「【0033】
まず、主制御基板40について詳しく説明する。
主制御基板40は、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU40aと、主制御用CPU40aの制御プログラムを格納する主制御用ROM40bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM40cとを備えている。主制御用CPU40aには、リールセンサSE1?SE3、各投入センサSE4?SE6、払出センサSE7、補助貯留センサSE8、及び扉開放センサSE9が接続されている。主制御用CPU40aには、各エラー解除スイッチSW1,SW2が接続されている。主制御用CPU40aには、各種情報表示部17が接続されている。主制御用CPU40aには、BETボタン19と、MAXBETボタン20と、清算ボタン21と、スタートレバー22と、各ストップボタン23L,23C,23Rと、ホッパー35とが接続されている。」

(エ)「【0045】
一方、開始操作を受け付けた場合(ステップSm8:YES)、主制御用CPU40aは、メダルの投入枚数が正常であるか否かを判定する(ステップSm9)。メダルの投入枚数が正常ではない場合(ステップSm9:NO)、主制御用CPU40aは、復帰不可能エラー表示をさせる処理を行う(ステップSm10)。復帰不可能エラーには、エラー番号として「EE」が設定されている。ステップSm10において、主制御用CPU40aは、メダルの投入枚数異常が発生したことを特定可能な情報(エラー番号)として、「EE」の文字が表示されるようにエラー表示部26の表示内容を制御する。また、主制御用CPU40aは、メダルの投入枚数異常に対応するエラー報知の表示開始を指示するためのサブ制御コマンド(以下、報知開始コマンドと示す)を生成し、所定の出力バッファに設定する。その後、主制御用CPU40aは、電源断が行われるまで待機する。
【0046】
メダルの投入枚数が正常である場合(ステップSm9:YES)、主制御用CPU40aは、当選情報を決定する(ステップSm11)。ステップSm11において、主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cから当選情報決定用乱数の値を取得するとともに、該取得した当選情報決定用乱数の値をもとにした抽選により1つの当選情報を決定する。ステップSm11の処理は、パチスロ10において内部的に行う役抽選(内部抽選)となる。」

(オ)「【0096】
次に、主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cにセットされているエラー番号に基づいて、該エラー番号に対応するエラー報知の表示開始を指示するためのサブ制御コマンド(報知開始コマンド)を生成し、所定の出力バッファに設定する(ステップSi3)。なお、出力バッファに設定された報知開始コマンドは、次回以降の制御周期における出力処理などにおいて、演出制御基板41(演出制御用CPU41a)に対して出力される。
・・・
【0099】
その一方で、エラー番号がE3又はE6ではない場合(ステップSi4:NO)、主制御用CPU40aは、待機タイマをセットする(ステップSi8)。即ち、主制御用CPU40aは、セットされているエラー番号がE1,E2,E4,E5の何れかである場合、待機タイマをセットする。詳しく説明すると、ステップSi8において、主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cに待機タイマとして所定時間(本実施形態では6秒)を設定する。なお、主制御用CPU40aは、待機タイマをセットすると、該待機タイマの値を所定の制御周期ごとに該制御周期に相当する時間を減算して更新するようになっている。
【0100】
次に、主制御用CPU40aは、待機タイマが終了したか否かを判定する(ステップSi9)。ステップSi9において、主制御用CPU40aは、減算した結果として待機タイマの値がゼロとなっている場合に肯定判定する一方で、待機タイマの値がゼロとなっていない場合に否定判定する。待機タイマが終了していない場合(ステップSi9:NO)、主制御用CPU40aは、ステップSi9の処理を繰り返し実行することにより、待機タイマが終了する迄の間、待機する。
【0101】
その一方で、待機タイマが終了している場合(ステップSi9:YES)、主制御用CPU40aは、所定のエラー解除操作が行われたか否かを判定する(ステップSi10)。詳しく説明すると、ステップSi10において、主制御用CPU40aは、扉開放センサSE9及び第2エラー解除スイッチSW2が何れもONである場合に肯定判定する。なお、ステップSi10において、主制御用CPU40aは、第1エラー解除スイッチSW1がONである場合であっても、肯定判定しない。
【0102】
所定のエラー解除操作がされていない場合(ステップSi10:NO)、主制御用CPU40aは、ステップSi10の処理を繰り返し実行することにより、所定のエラー解除操作が行われる迄の間、待機する。その一方で、所定のエラー解除操作がされている場合(ステップSi10:YES)、主制御用CPU40aは、エラー番号の表示が終了するようにエラー表示部26の表示内容を制御する(ステップSi6)。次に、主制御用CPU40aは、報知終了コマンドを生成し、所定の出力バッファに設定する(ステップSi7)。その後、主制御用CPU40aは、エラー表示処理を終了する。なお、主制御用CPU40aは、エラー表示処理の実行中、即ちエラー報知を実行させている間、変動ゲームを進行させるための処理を行わない。即ち、本実施形態のパチスロ10では、エラー報知中に変動ゲームの進行が停止されることから、該変動ゲームの進行が停止された状況からエラーが発生していることを認識可能である。このため、本実施形態において、変動ゲームの進行を停止(停滞)させることは、エラー報知の1つとして把握することも可能である。」

イ 刊行物2発明
上記(ア)?(オ)の記載事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されていると認められる(a?iは、本件補正発明の構成A?Iに対応させて付与した。)。
「a 制御動作を所定の手順で実行する主制御基板40(【0033】)と、
b 前面扉12の裏面に設けられている、各種のエラー報知を解除するための第2エラー解除スイッチSW2(【0028】)と、
d 主制御基板40は、
d1 取得した当選情報決定用乱数の値をもとにした抽選により1つの当選情報を決定する主制御用CPU40aを有し(【0033】、【0046】)、
f?h 主制御用CPU40aは、
セットされているエラー番号がE1,E2,E4,E5の何れかである場合、待機タイマをセットし(【0099】)、
待機タイマが終了していない場合、待機タイマが終了する迄の間待機し(【0100】)、
待機タイマが終了している場合、所定のエラー解除操作が行われたか否かを判定し、扉開放センサSE9及び第2エラー解除スイッチSW2が何れもONである場合にエラー解除操作が行われていると判定し(【0101】)、
所定のエラー解除操作がされている場合、エラー番号の表示が終了するようにエラー表示部26の表示内容を制御し(【0102】)、
i 主制御用CPU40aは、メダルの投入枚数が正常ではない場合、復帰不可能エラー表示をさせ、電源断が行われるまで待機させる(【0045】)
パチンコ式スロットマシン。」

(3)対比
本件補正発明と刊行物1発明とを対比する(対比にあたっては、本件補正発明の構成A?Eと刊行物1発明の構成a?eについて、それぞれ(a)?(e)の見出しを付して行った。)。
(a)刊行物1発明における「遊技に関する制御を行う」ことは、本件補正発明における「遊技の進行を制御する」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明における構成aの「メイン制御基板63」は、本件補正発明における構成Aの「メイン制御手段」に相当する。

(c)刊行物1発明における「設定値を1?6を表示することで報知する」ことは、本件補正発明における「設定値を表示可能な」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明における構成cの「7セグメント式のLED」は、本件補正発明における構成Cの「所定の表示手段」に相当する。

(d、d1)刊行物1発明における「予め設定された複数の当選役のいずれかに当選したかあるいはハズレかの抽選を行う」ことは、本件補正発明における「当選役を決定する」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明における構成d、d1の「抽選手段」は、本件補正発明における構成D、D1の「当選役決定手段」に相当する。

(d2)刊行物1発明における「通常遊技の抽選における入賞確率として、複数種類(この実施形態では例えば6種類)の設定値」は、構成d3によると、「1」?「6」の数値情報を意味することから、本件補正発明における「設定値情報」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「予め定めるRAM65」は、本件補正発明における「記憶する設定値情報記憶手段」に相当する。

(d3)刊行物1発明における「設定値1?設定値6」に「内部的に」「対応」する「「1」?「6」の値」は、構成bより「設定変更ボタン52」により「サイクリックに切り換え」変更可能なものである。
そうすると、刊行物1発明における「設定値1?設定値6」に「内部的に」「対応」する「「1」?「6」の値」と、本件補正発明における「設定変更によ」る「「0」?「N(Nは数値)」の範囲内の値」とは、「設定変更によ」る「所定の範囲内の値」である点で共通する。
そして、上記(d2)より、「設定値」は「RAM65」に記憶されるものである。
したがって、刊行物1発明における構成d3と、本件補正発明における構成D3とは、「設定変更により所定の範囲内の値を設定値情報記憶手段に記憶可能であ」る点で共通する。

(e)上記d1より、刊行物1発明における「抽選手段110」は、「予め設定された複数の当選役のいずれかに当選したかあるいはハズレかの抽選を行う」ものである。
ここで、刊行物1発明における「予め設定された複数の当選役のいずれかに当選したかあるいはハズレかの抽選を行う」ことは、本件補正発明における「所定役が当選しているか否かを判断する」ことに相当し、刊行物1発明における「(先頭アドレス+2)」は、本件補正発明における「特定アドレス」に相当する。
そして、刊行物1発明における「(設定値Nの値-設定値1の値)×1バイト)」と、本件補正発明における「設定値情報」とは、「設定値に関する情報」である点で共通する。
また、刊行物1発明における「アドレスを」「設定」することは、本件補正発明における「アドレスを指定」することに相当する。
さらに、刊行物1発明における「当該アドレスに格納されている抽選データを取得する」ことは、本件補正発明における「指定したアドレスから乱数値と比較する値を取得可能と」することに相当する。
したがって、刊行物1発明における構成eと、本件補正発明における構成Eとは、「当選役決定手段は、所定役が当選しているか否かを判断する場合において、特定アドレスに設定値に関する情報を加算することによりアドレスを指定し、指定したアドレスから乱数値と比較する値を取得可能と」する点で共通する。

上記(a)?(e)より、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A 遊技の進行を制御するメイン制御手段と、
C 設定値を表示可能な所定の表示手段とを備え、
D 前記メイン制御手段は、
D1 当選役を決定する当選役決定手段と、
D2 設定値情報を記憶する設定値情報記憶手段とを有し、
D3 設定変更により所定の範囲内の値を前記設定値情報記憶手段に記憶可能であり、
E 前記当選役決定手段は、所定役が当選しているか否かを判断する場合において、特定アドレスに設定値に関する情報を加算することによりアドレスを指定し、指定したアドレスから乱数値と比較する値を取得可能とする
スロットマシン。」

[相違点1](構成D3)
設定値情報に関し、本件補正発明は、「0」?「N(Nは数値)」の範囲内の値であるのに対して、刊行物1発明は、「1」?「6」の値であり、初期値が「0」でない点。

[相違点2](構成E)
当選役決定手段によるアドレスの指定に関して、本件補正発明は、特定アドレスに設定値情報を加算することによるのに対して、刊行物1発明は、「(先頭アドレス+2)+(設定値「N」-設定値「1」)×1バイト)」(Nは1?6の自然数)による点。

[相違点3](構成B、F?I)
エラーの解除に関し、本件補正発明は、所定の操作手段を備え、所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放している状況下で所定の操作手段が操作された場合には、所定のエラーを解除可能とし、所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放していない状況下で所定の操作手段が操作された場合には、所定のエラーを解除できず、所定のエラーが発生してから所定時間が経過する前の状況下で、所定の操作手段が操作された場合には、所定のエラーを解除できないと共に、特定のエラーが発生した場合には、所定の操作手段が操作された場合であっても解除できず、設定変更により解除可能とするのに対して、刊行物1発明は、そのような構成を備えない点。

(4)判断
ア 相違点1?2(構成D3?E)について
相違点1?2は、設定値情報に関するもので関連するので、まとめて検討する。
スロットマシンの技術分野において、当選役を決定する際に用いられる確率抽選テーブルにおける出玉率の設定値1?6を、内部的には0?5の値として処理することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2006-204627号公報の【0043】?【0044】、【0075】?【0080】、【図12】?【図13】や、特開2007-151762号公報の【0074】、【0077】?【0078】、【0087】?【0089】、【0477】、【図4】(b)、【図5】を参照。以下「周知の技術事項1」という。)。
そして、刊行物1発明と上記周知の技術事項1とは、当選役を決定する際に確率抽選テーブルを参照して、設定値に対応する、乱数値と比較される値を取得するスロットマシンに関する技術である点で共通する。
したがって、刊行物1発明に上記周知の技術事項を適用して、設定値1?設定値6を内部的に「0」?「5」の値に対応させ、刊行物1発明における「(先頭アドレス+2)+(設定値Nの値-設定値1の値)×1バイト)」(Nは1?6の自然数)の式を、「(先頭アドレス+2)+(設定値Nの値-0)×1バイト)」(Nは1?6の自然数)=「(先頭アドレス+2)+(設定値Nの値)」(Nは1?6の自然数)とすること、すなわち、特定アドレスに設定値情報(設定値Nの値)を加算することによりアドレスを指定することにより、上記相違点1?2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 相違点3(構成B、F?I)について
刊行物2発明における構成bの「第2エラー解除スイッチSW2」は、本件補正発明における構成Bの「所定の操作手段」に対応する。

そして、刊行物2発明における構成f?hの
「セットされているエラー番号がE1,E2,E4,E5の何れかである場合、待機タイマをセットし」「待機タイマが終了している場合」、
「待機タイマが終了している場合、扉開放センサSE9及び第2エラー解除スイッチSW2が何れもONである場合」、
「エラー番号の表示が終了するようにエラー表示部26の表示内容を制御」することは、それぞれ、
本件補正発明における構成Fの
「所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後」、
「前扉が開放している状況下で所定の操作手段が操作された場合」、
「所定のエラーを解除可能と」することに対応する。

また、刊行物2発明は、構成f?hより、「待機タイマが終了している場合」であっても、「扉開放センサSE9及び第2エラー解除スイッチSW2が何れもONで」ない場合、エラー解除操作が行われていると判定されることはなく、「エラー番号の表示が終了するようにエラー表示部26の表示内容を制御」するものではないことから、本件補正発明における構成Gの「所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放していない状況下で所定の操作手段が操作された場合には、所定のエラーを解除でき」ないことに対応する構成を備えるものである。
また、刊行物2発明は、構成f?hより、「待機タイマが終了していない場合、待機タイマが終了する迄の間待機し、待機タイマが終了している場合、所定のエラー解除操作が行われたか否かを判定」するものであるから、「待機タイマが終了する迄の間」に「扉開放センサSE9及び第2エラー解除スイッチSW2が何れもONである場合」であっても、エラー解除操作が行われていると判定されることはなく、「エラー番号の表示が終了するようにエラー表示部26の表示内容を制御」できないものであるから、本件補正発明における構成Hの「所定のエラーが発生してから所定時間が経過する前の状況下で、所定の操作手段が操作された場合には、所定のエラーを解除でき」ないことに対応する構成を備えるものである。

さらに、刊行物2発明における構成iの「復帰不可能エラー」である「メダルの投入枚数が正常ではない場合」は、本件補正発明における構成Iの「特定のエラーが発生した場合」に対応し、刊行物2発明における構成iの「電源断が行われるまで待機させ」ることは、「待機タイマが終了している場合、扉開放センサSE9及び第2エラー解除スイッチSW2が何れもONである場合にエラー解除操作が行われていると判定」されても、「エラー番号の表示が終了するようにエラー表示部26の表示内容を制御」するものではないことから、本件補正発明における構成Iの「所定の操作手段が操作された場合であっても解除でき」ないことに対応する。

ところで、遊技機の技術分野において、復帰不能エラーが発生した場合に、通常のエラーリセット操作では復帰不可能であり、エラーを設定変更により解除可能とすることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特許第5931254号公報の【0075】?【0077】や、特開2016-93394号公報の【0141】、【0154】?【0157】、【0291】?【0295】を参照。以下「周知の技術事項2」という。)。
そして、刊行物2発明は、「所定の異常報知の実行期間を確保できる遊技機を提供する」こと(【0005】)を目的とするものである。
また、刊行物1発明のスロットマシンが、所定の異常報知を行うものであることは当業者にとって明らかであるから、刊行物2発明と同様の「所定の異常報知の実行期間を確保」するという課題を内在するものである。
したがって、刊行物1発明と刊行物2発明は、共通の課題を解決するものである。
ゆえに、刊行物1発明にエラーの解除に関する刊行物2発明の構成b、f?iを適用すると共に、その際に、復帰不能エラーの解除に関する周知の技術事項2を併せ適用して、上記相違点3に係る本件補正発明の構成B、F?Iとすることは当業者が容易になし得たものである。

ウ 請求人の主張について
請求人は、平成29年10月30日付け審判請求書において、
「(k)ここで、例えば、引用文献2および3に記載されているように、設定値1?6を0?5の値に置き換えて、上述した引用文献4におけるアドレス算出処理を行ったとする。
しかしながら、例えば引用文献4に記載された抽選処理においては、まず「ベル(小役1)」について当選したかハズレたかの判定を行い、ハズレと判定された場合には、「&0014(=(&0000+2)+(設定値の最大数「6」)×2バイト)」というアドレス算出処理を行う必要がある。
(l)すなわち、引用文献4に記載された抽選処理において、設定値1?6を0?5の値に置き換えた場合、「ベル(小役1)」についてハズレと判定されたときは、&0014というアドレス値を算出するために、(&0000+2)+(設定値の最大数「5」+1)×2バイト)というアドレス算出処理を行う必要があるため、結局、設定値1?6をそのまま0?5の値に置き換えることはできない。」(第9頁第18行?第10頁第5行)と主張する(なお、ここでいう「引用文献2」、「引用文献3」、「引用文献4」は、それぞれ、上記「(4)ア」における周知文献として提示された特開2006-204627号公報、同じく、周知文献として提示された特開2007-151762号公報、上記(2)(2-1)における刊行物1にそれぞれ相当する。)。

しかしながら、次の小役判定のためのアドレスに飛ぶためのアドレス算出処理をどのように行うかは当業者の設計的事項であり、アドレス算出処理が変更されたからと言って、設定値1?設定値6を「0」?「5」の値に置き換えることができないとは言えない。
また、刊行物1発明に上記周知の技術事項1を適用したものは、上記アにおいて検討したように、加減乗算処理のステップ数が1ステップ少なくなり、これにより、メイン制御基板63による処理を単純化できる効果を奏するものであることは明らかであるから、刊行物1発明に上記周知の技術事項1を適用する動機付けは十分あるといえる。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

エ 小括
本件補正発明により奏される効果は、刊行物1発明、刊行物2発明、及び、上記周知の技術事項1?2から当業者が予測できる効果の範囲内のものであって、格別なものではない。
したがって、上記ア?ウにおいて検討したとおり、本件補正発明は、刊行物1発明、刊行物2発明、及び、上記周知の技術事項1?2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(5)まとめ
上記(1)?(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年8月3日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりであるところ、その発明は、次のとおりのものと認める(記号A?Cは、分説するため当審にて付した。)。
「A 遊技の進行を制御するメイン制御手段と、
B 所定の操作手段と、
C 設定値を表示可能な所定の表示手段とを備え、
D 前記メイン制御手段は、
D1 当選役を決定する当選役決定手段と、
D2 設定値情報を記憶する設定値情報記憶手段とを有し、
D3 設定変更により「0」?「N(Nは数値)」の範囲内の値を前記設定値情報記憶手段に記憶可能であり、
E’ 前記当選役決定手段は、所定役が当選しているか否かを判断する場合において、特定アドレスと設定値情報とに基づいて、乱数値と比較する値を取得可能とし、
F 所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放している状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除可能とし、
G 前記所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放していない状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
H 前記所定のエラーが発生してから前記所定時間が経過する前の状況下で、前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
I 特定のエラーが発生した場合には、前記所定の操作手段が操作された場合であっても解除できず、設定変更により解除可能とする
ことを特徴とするスロットマシン。」

2 拒絶の理由(平成29年6月12日付け)
原査定の拒絶の理由の概要は、
「2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2015-173834号公報」というものである。

3 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、引用文献1である特開2015-173834号公報(前記「刊行物2」に対応する。)には、前記「第2 3(2)(2-2)刊行物2について」に示した刊行物2発明が記載されている。

4 対比
本願発明における構成A?Iと、刊行物2発明における構成a?iとを対比する。

前記「第2[理由]3(4)判断 イ 相違点3(構成B、F?I)について」において検討したと同様に、刊行物2発明の構成b、f?hは、本願発明の構成B、F?Hに対応し、刊行物2発明の構成iと、本願発明の構成Iとは、「特定のエラーが発生した場合には、所定の操作手段が操作された場合であっても解除でき」ない点で共通する。
そして、刊行物2発明の構成aの「制御動作を所定の手順で実行する主制御基板40」は、本願発明の構成Aの「遊技の進行を制御するメイン制御手段」に相当する。
また、刊行物2発明の構成d、d1の「主制御基板40は、取得した当選情報決定用乱数の値をもとにした抽選により1つの当選情報を決定する主制御用CPU40aを有」することは、本願発明の構成D、D1の「メイン制御手段は、当選役を決定する当選役決定手段」を有することに相当する。

したがって、刊行物2発明と本願発明との一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A 遊技の進行を制御するメイン制御手段と、
B 所定の操作手段と、
D 前記メイン制御手段は、
D1 当選役を決定する当選役決定手段を有し、
F 所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放している状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除可能とし、
G 前記所定のエラーが発生してから所定時間が経過した後であって、前扉が開放していない状況下で前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
H 前記所定のエラーが発生してから前記所定時間が経過する前の状況下で、前記所定の操作手段が操作された場合には、前記所定のエラーを解除できず、
I’特定のエラーが発生した場合には、前記所定の操作手段が操作された場合であっても解除できない
スロットマシン。」

[相違点4](構成C)
本願発明は、設定値を表示可能な所定の表示手段を備えるのに対して、刊行物2発明は、そのような構成を備えるか明らかでない点。

[相違点5](構成D、D2、D3)
本願発明は、メイン制御手段が、設定値情報を記憶する設定値情報記憶手段とを有し、設定変更により「0」?「N(Nは数値)」の範囲内の値を前記設定値情報記憶手段に記憶可能であるが、刊行物2発明は、そのような構成を備えるか明らかでない点。

[相違点6](構成E’)
本願発明は、当選役決定手段は、所定役が当選しているか否かを判断する場合において、特定アドレスと設定値情報とに基づいて、乱数値と比較する値を取得可能とするものであるが、刊行物2発明は、そのような構成を備えるか明らかでない点。

[相違点7](構成I)
本願発明は、特定のエラーが発生した場合には設定変更により解除可能とするものであるが、刊行物2発明は、そのような構成を備えるか明らかでない点。

5 判断
(1)相違点4?6
上記相違点4?6について検討する。
スロットマシンの技術分野において、設定値を表示したり記憶すること、及び、当選役を決定する際に参照される当選役別テーブルに登録された、設定値に応じて定められるアドレスに基づいて、乱数値と比較される値を取得することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、原査定で提示された前記刊行物1(特開2009-254455号公報)の【0032】、【0050】、【0051】、【0053】、【0073】、【0075】、【0078】、【図4】、内部抽選データテーブルのメモリ上への配列順序を示す図である【図7】(前記「第2[理由]3(2)(2-1)ウ」に記載された刊行物1発明の構成c、d、d2、e)や、同じく、原査定で提示された特開2006-109983号公報の【0091】?【0092】、【0104】、【0110】?【0115】、【図4】(b)の役別テーブル、判定値数の記憶領域の例を示す図である【図5】を参照のこと。以下「周知の技術事項3」という。)。
また、前記「第2[理由]3(4)判断ア」において検討したように、スロットマシンの技術分野において、当選役を決定する際に用いられる確率抽選テーブルにおける出玉率の設定値1?6を、内部的には0?5の値として処理することは、周知の技術事項1として本願出願前に周知の技術事項である。
そして、刊行物2発明と上記周知の技術事項3及び1とは、当選役を決定する際に確率抽選テーブルを参照して、設定値に対応する、乱数値と比較される値を取得するスロットマシンに関する技術である点で共通する。
したがって、刊行物2発明に上記周知の技術事項3を適用して、本願発明の構成C、D、D2、E’とするとともに、さらに、上記周知の技術事項1を適用して、出玉率の設定値1?6を、内部的には0?5の値として処理することにより、本願発明の構成D3として、上記相違点4?6に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(2)相違点7
前記「第2[理由]3(4)判断イ」において検討したように、遊技機の技術分野において、復帰不能エラーが発生した場合に、通常のエラーリセット操作では復帰不可能であり、エラーを設定変更により解除可能とすることは、本願出願前に周知の技術事項2として周知の技術事項である。
したがって、刊行物2発明の復帰不可能エラーの解除操作に上記周知の技術事項2を適用して、上記相違点7に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(3)小括
本願発明により奏される効果は、刊行物2発明、及び、上記周知の技術事項1?3から当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、格別なものではない。
したがって、本願発明は、刊行物2発明、及び、上記周知の技術事項1?3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-03 
結審通知日 2018-09-04 
審決日 2018-09-18 
出願番号 特願2016-126766(P2016-126766)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 生駒 勇人  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 松川 直樹
長崎 洋一
発明の名称 スロットマシン  
代理人 特許業務法人 津国  

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