ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G02F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G02F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G02F |
---|---|
管理番号 | 1345832 |
異議申立番号 | 異議2017-701033 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-11-02 |
確定日 | 2018-09-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6127721号発明「液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6127721号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲、訂正後の請求項〔1-9]について訂正することを認める。 特許第6127721号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6127721の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成25年5月28日(優先権主張平成24年9月14日)に特許出願され、平成29年4月21日にその特許権の設定登録がされ、同年5月17日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、平成29年11月2日に特許異議申立人三枝盛男により特許異議の申立てがされたものである。 以後の手続の経緯は、以下のとおりである。 平成29年12月25日:取消理由通知(1月4日発送) 平成30年 3月 2日:一回目の訂正請求書・意見書 同年 3月14日:通知書(3月20日発送) 同年 5月21日:(予告)取消理由通知(5月24日発送) 同年 7月19日:二回目の訂正請求書・意見書 同年 7月27日:通知書(8月1日発送) 同年 8月31日:意見書(特許異議申立人) なお、平成30年3月14日付け通知書に対して、特許異議申立人三枝盛男からは、期間内に何ら応答がなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の趣旨 平成30年7月19日付けの訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。また、本件訂正請求書による訂正を、以下「本件訂正」という。)は、特許第6127721号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正することを求めるものである。 2 訂正の内容 (1)訂正事項1(なお、下線は、当審で付した。) 特許請求の範囲の請求項1に、 「テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、下記式(b-1)及び式(b-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)を含み、ブチルセロソルブを実質的に含んでいない、液晶配向剤。 【化1】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(d-4)中、X^(4)及びX^(5)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-COO-又は-OCO-であり、R^(7)は、炭素数1?3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0?2の整数であり、cは1?20の整数であり、kは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。) 【化2】 (式(b-1)中、R^(8)及びR^(10)は、それぞれ独立に炭素数1?3の1価の炭化水素基であり、R^(9)は、炭素数2?5のアルカンジイル基である。式(b-3)中、X^(6)は、-C(OH)Ra-(但し、Raはメチル基又はエチル基である。)、-CO-又は-COO-*(但し、*はR^(12)との結合手を示す。)であり、R^(12)は、炭素数1?4のアルキル基である。)」と記載されているのを、 「テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、プロピレングリコールジアセテート及びダイアセトンアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)を含み、ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である、液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)。 【化1】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(d-4)中、X^(4)及びX^(5)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-COO-又は-OCO-であり、R^(7)は、炭素数1?3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0?2の整数であり、cは1?20の整数であり、kは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)」と訂正する。 また、請求項1の記載を引用する請求項4ないし8についても、同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、下記式(b-2)で表される化合物の少なくとも一種である特定溶剤(B)を含み、ブチルセロソルブを実質的に含んでいない、液晶配向剤。 【化3】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X3は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。) 【化4】 (式(b-2)中、R^(11)は、炭素数3?5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基の炭素-炭素結合間に「-O-」を1つ有する1価の基、炭素数3?5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基で置換されてなる1価の基、又は炭素数3?5の分岐状のアルキル基である。)」と記載されているのを、 「テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジイソペンチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)を含み、ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である、液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)。 【化3】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX3が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R3は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。)」に訂正する。 また、請求項2の記載を引用する請求項4ないし8についても、同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、 「前記特定溶剤(B)の含有量が、前記溶剤の全体量の1?70重量%である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。」と記載されているうち、請求項1を引用するものについて、以下の独立形式に改める。 「テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、プロピレングリコールジアセテートを特定溶剤(B)として含み、ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下であり、 前記特定溶剤(B)の含有量が、前記溶剤の全体量の1?70重量%である、液晶配向剤。 【化4】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(d-4)中、X^(4)及びX^(5)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-COO-又は-OCO-であり、R^(7)は、炭素数1?3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0?2の整数であり、cは1?20の整数であり、kは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)」 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3に、 「前記特定溶剤(B)の含有量が、前記溶剤の全体量の1?70重量%である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。」と記載されているうち、請求項2を引用するものについて、以下の独立形式に改め、新たに請求項9とする。 「テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、ジイソペンチルエーテルを特定溶剤(B)として含み、ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下であり、 前記特定溶剤(B)の含有量が、前記溶剤の全体量の1?70重量%である、液晶配向剤。 【化7】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX3が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R3は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。)」 3 訂正の目的、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び一群の請求項 (1)訂正事項1 ア 訂正事項1は、 下記(ア)ないし(ウ)からなる。 (ア)訂正前の請求項1の「下記式(b-1)及び式(b-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)」における「特定溶剤(B)」を、具体的な化合物名を挙げて「プロピレングリコールジアセテート及びダイアセトンアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)」と限定すること。 (イ)訂正前の請求項1の「式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。」から特定の化合物を除くために、「ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く」と限定すること。 (ウ)訂正前の請求項1の「液晶配向剤」から「垂直配向膜形成用の液晶配向剤」を除くこと。 (エ)訂正前の請求項1の「ブチルセロソルブを実質的に含んでいない」における「実質的」の記載内容が不明瞭であったことから、「ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である」と書き直すことにより、記載内容を明瞭にすること。 イ 上記ア(ア)ないし(ウ)は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、上記ア(エ)は、同条第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 ウ(ア)上記ア(ア)の訂正は、 願書に添付した明細書に、 「【0059】 [特定溶剤(B)] (式(b-1)で表される化合物) …上記式(b-1)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えばエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート等のアルキレングリコールジアセテートを挙げることができる。中でもプロピレングリコールジアセテートを好ましく用いることができる。上記式(b-1)で表される化合物としては、上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 【0060】 … 【0061】 (式(b-3)で表される化合物) …上記式(b-3)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えばダイアセトンアルコール、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等を挙げることができ、特にダイアセトンアルコールを好ましく用いることができる。なお、上記式(b-3)で表される化合物としては、上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。」と記載されていることから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (イ)上記ア(イ)の訂正は、 訂正前の請求項1の「式(d-2)」で表される重合体(A)から、特定の重合体(A)を除くものであるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (ウ)上記ア(ウ)の訂正は、 訂正前の請求項1の「液晶配向剤」から特定用途の液晶配向剤を除くものであるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (エ)上記ア(エ)の訂正は、 願書に添付した明細書に、 「【0066】 …なお、本明細書において『ブチルセロソルブを実質的に含んでいない』とは、ブチルセロソルブの含有割合が、液晶配向剤に含まれる溶剤の全体量に対して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下であることを意味する。」と記載されていることから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 エ また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正事項2は、 下記(ア)ないし(ウ)からなる。 (ア)訂正前の請求項2の「下記式(b-2)で表される化合物の少なくとも一種である特定溶剤(B)」における「特定溶剤(B)」を、具体的な化合物名を挙げて「ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジイソペンチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)」と限定すること。 (イ)訂正前の請求項2の「式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。」から特定の化合物を除くために、「ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く」と限定すること。 (ウ)訂正前の請求項2の「液晶配向剤」から「垂直配向膜形成用の液晶配向剤」を除くこと。 (エ)訂正前の請求項2の「ブチルセロソルブを実質的に含んでいない」における「実質的」の記載内容が不明瞭であったことから、「ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である」と書き直すことにより、記載内容を明瞭にすること。 イ 上記ア(ア)ないし(ウ)は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、上記ア(エ)は、同条第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 ウ(ア)上記ア(ア)の訂正は、 願書に添付した明細書に、 「【0059】 [特定溶剤(B)] (式(b-1)で表される化合物) …上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 【0060】 (式(b-2)で表される化合物) …上記式(b-2)で表される化合物としては、これらの中でも、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジイソペンチルエーテルのうち少なくともいずれか一種であることが好ましい。なお、上記式(b-2)で表される化合物としては、上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。」と記載されていることから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (イ)上記ア(イ)の訂正は、 訂正前の請求項2の「式(d-2)」で表される重合体(A)から、特定の重合体(A)を除くものであるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (ウ)上記ア(ウ)の訂正は、 訂正前の請求項2の「液晶配向剤」から特定用途の液晶配向剤を除くものであるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (エ)上記ア(エ)の訂正は、 願書に添付した明細書に、 「【0066】 …なお、本明細書において「ブチルセロソルブを実質的に含んでいない」とは、ブチルセロソルブの含有割合が、液晶配向剤に含まれる溶剤の全体量に対して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下であることを意味する。」と記載されていることから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 エ また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3 ア 訂正事項2は、 下記(ア)ないし(ウ)からなる。 (ア)訂正前の請求項3の記載が請求項1又は正2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとして、さらに、独立形式に書き直すこと。 (イ)訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3の「特定溶剤(B)」を「プロピレンプロピレングリコールジアセテート」と限定すること。 (ウ)訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3の「式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。」から特定の化合物を除くために、「ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く」と限定すること。 (エ)訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3の「ブチルセロソルブを実質的に含んでいない」における「実質的」の記載内容が不明瞭であったことから、「ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である」と書き直すことにより、記載内容を明瞭にすること。 イ 上記ア(ア)は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、上記ア(イ)及び(ウ)は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、上記ア(エ)は、同条第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 ウ(ア)上記ア(ア)の訂正は、 請求項間の引用関係を解消し、独立形式に書き直すものであるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (イ)上記ア(イ)の訂正は、 願書に添付した明細書に、 「【0059】 [特定溶剤(B)] (式(b-1)で表される化合物) …上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 【0060】 (式(b-2)で表される化合物) …上記式(b-2)で表される化合物としては、これらの中でも、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジイソペンチルエーテルのうち少なくともいずれか一種であることが好ましい。なお、上記式(b-2)で表される化合物としては、上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。」と記載されていることから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (ウ)上記ア(ウ)の訂正は、 訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3の「式(d-2)」で表される重合体(A)から、特定の重合体(A)を除くものであるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (エ)上記ア(エ)の訂正は、 願書に添付した明細書に、 「【0066】 …なお、本明細書において「ブチルセロソルブを実質的に含んでいない」とは、ブチルセロソルブの含有割合が、液晶配向剤に含まれる溶剤の全体量に対して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下であることを意味する。」と記載されていることから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 エ また、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4 ア 訂正事項4は、下記(ア)ないし(ウ)からなる。 (ア)訂正前の請求項3の記載が請求項1又は正2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとして、さらに、独立形式に書き直すこと。 (イ)訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3の「特定溶剤(B)」を「ジイソペンチルエーテル」と限定すること。 (ウ)訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3における、「式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。」から特定の化合物を除くために、「ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く」と限定すること。 (エ)訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3の「ブチルセロソルブを実質的に含んでいない」における「実質的」の記載内容が不明瞭であったことから、「ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である」と書き直すことにより、記載内容を明瞭にすること。 イ 上記ア(ア)は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、上記ア(イ)及び(ウ)は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、上記ア(エ)は、同条第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 ウ(ア)上記ア(ア)の訂正は、 請求項間の引用関係を解消し、独立形式に書き直すものであるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (イ)上記ア(イ)の訂正は、 願書に添付した明細書に、 「【0059】 [特定溶剤(B)] (式(b-1)で表される化合物) …上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 【0060】 (式(b-2)で表される化合物) …上記式(b-2)で表される化合物としては、これらの中でも、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジイソペンチルエーテルのうち少なくともいずれか一種であることが好ましい。なお、上記式(b-2)で表される化合物としては、上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。」と記載されていることから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (ウ)上記ア(ウ)の訂正は、 訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3の「式(d-2)」で表される重合体(A)から、特定の重合体(A)を除くものであるから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 (エ)上記ア(エ)の訂正は、 願書に添付した明細書に、 「【0066】 …なお、本明細書において「ブチルセロソルブを実質的に含んでいない」とは、ブチルセロソルブの含有割合が、液晶配向剤に含まれる溶剤の全体量に対して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下であることを意味する。」と記載されていることから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものである。 エ また、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (5)一群の請求項 訂正前の請求項3ないし8は、訂正前の請求項1の記載を引用し、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 また、訂正前の請求項3ないし8は、訂正前の請求項2の記載を引用し、訂正事項2により記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。 よって、訂正前の請求項1ないし8に対応する訂正後の請求項1ないし9は、「一群の請求項」であり、本件訂正は、一群の請求項ごとになされたものであって、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 4 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正を認める。 第3 本件訂正発明 上記「第2 訂正の適否」で検討したとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下「本訂正件発明1」ないし「本件訂正発明9」という。)は、訂正特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、プロピレングリコールジアセテート及びダイアセトンアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)を含み、ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である、液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)。 【化1】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(d-4)中、X^(4)及びX^(5)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-COO-又は-OCO-であり、R^(7)は、炭素数1?3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0?2の整数であり、cは1?20の整数であり、kは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。) 【請求項2】 テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジイソペンチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)を含み、ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である、液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)。 【化3】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX3が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R3は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。) 【請求項3】 テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、プロピレングリコールジアセテートを特定溶剤(B)として含み、ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下であり、 前記特定溶剤(B)の含有量が、前記溶剤の全体量の1?70重量%である、液晶配向剤。 【化4】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(d-4)中、X^(4)及びX^(5)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-COO-又は-OCO-であり、R^(7)は、炭素数1?3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0?2の整数であり、cは1?20の整数であり、kは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。) 【請求項4】 前記重合体(A)は、下記式(t-1)で表される化合物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むテトラカルボン酸二無水物を用いて得られる重合体である、請求項1?3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。 【化5】 (式(t-1)中、X7、X8、X9及びX10は、それぞれ独立に、単結合又はメチレン基であり、jは1?3の整数である。) 【請求項5】 分子内に1級アミノ基を1個と窒素含有芳香族複素環とを有し、かつ前記1級アミノ基が鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基に結合しているアミン化合物(C)を更に含有する、請求項1?4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。 【請求項6】 前記アミン化合物(C)が、下記式(c-1)で表される化合物である、請求項5に記載の液晶配向剤。 【化6】 (式(c-1)中、A1は、鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基を有する2価の有機基であり、A2は、窒素含有芳香族複素環である。) 【請求項7】 請求項1?6のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。 【請求項8】 請求項7に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。 【請求項9】 テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、ジイソペンチルエーテルを特定溶剤(B)として含み、ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下であり、 前記特定溶剤(B)の含有量が、前記溶剤の全体量の1?70重量%である、液晶配向剤。 【化7】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX3が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R3は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。)」 第4 特許異議の申立てについて 1 本件訂正発明 上記「第3 本件訂正発明」に記載のとおり、本訂正件発明1ないし本件訂正発明9は、訂正特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 取消理由の概要 (1)訂正前の請求項1ないし請求項8に係る特許に対して、平成30年5月21日付けで通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 「【理由1】(新規性) 本件発明1ないし本件発明3は、本件の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献(甲第1号証)に記載された発明であるから、本件発明1ないし本件発明3に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。 よって、本件発明1ないし本件発明3に係る特許は、取り消されるべきである。 【理由2】(新規性) 本件発明1ないし本件発明3は、本件の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献(甲第2号証)に記載された発明であるから、本件発明1ないし本件発明3に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。 よって、本件発明1ないし本件発明3に係る特許は、取り消されるべきである。 【理由3】(進歩性) 本件発明1ないし本件発明8は、本件の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献(甲第1号証又は甲第2号証)に記載された発明に基いて、本件の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし本件発明8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 よって、本件発明1ないし本件発明8に係る特許は、取り消されるべきである。 【理由4】(進歩性) 本件発明1ないし本件発明8は、本件の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献(甲第3号証又は甲第4号証)に記載された発明に基いて、本件の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし本件発明8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 よって、本件発明1ないし本件発明8に係る特許は、取り消されるべきである。 【理由5】(サポート要件) 本件出願は、特許請求の範囲の記載に不備があり、本件発明1ないし本件発明8に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してなされたものである。 よって、本件発明1ないし本件発明8に係る特許は、取り消されるべきである。 【理由6】(明確性) 本件出願は、特許請求の範囲の記載に不備があり、本件発明1ないし本件発明8に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してなされたものである。 よって、本件発明1ないし本件発明8に係る特許は、取り消されるべきである。 引用文献 1 主引用例 甲第1号証:特開平10-168313号公報 甲第2号証:特開2008-299317号公報 甲第3号証:特開平8-208983号公報 甲第4号証:特開2001-281672号公報 2 周知技術であることを示す文献 甲第5号証:国際公開第2010-053128号 甲第6号証:特開平11-264984号公報 甲第7号証:特開2009-145530号公報 甲第8号証:国際公開第2008-117759号 甲第9号証:国際公開第2004-021076号 甲第10号証:特開平8-114808号公報 甲第11号証:国際公開第2005-052028号 」 (2)甲号証の記載 ア 甲第1号証(特開平10-168313号公報)には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 「テトラカルボン酸二無水物と、特定構造のジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルメタンを含むジアミン化合物との反応によって得られるポリアミック酸と、 4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンを含む溶剤と、を含有する液晶配向剤。」 イ 甲第2号証(特開2008-299317号公報)には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。 「2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、特定構造のジアミン化合物と、4,4’-ジアミノジフェニルメタンを含むジアミン化合物との反応によって得られるポリイミド重合体と、 ダイアセトンアルコール又はジエチレングリコールジエチルエーテル含む溶剤と、を含有する垂直配向型液晶配向剤。」 ウ 甲第3号証(特開平8-208983号公報)には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。 「ピロメリット酸二無水物と2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパンとを反応によって得られたポリアミド酸と、 i-プロピレングリコールジアセテートを含む溶剤と、を含有し、 水酸基を有する溶剤を含まない液晶配向剤。」 エ 甲第4号証(特開2001-281672号公報)には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているものと認められる。 「酸無水物モノマーとジアミンとの反応によって得られたポリイミド或いは部分的にポリイミド骨格を有する高分子と、 ジアセトアルコール及びジエチレングリコールジエチルエーテルを含む溶剤と、を含有し、 ブチルセロソルブを含まない垂直配向型液晶配向剤。」 3 当審の判断 (1)【理由1】(新規性)について [甲第1号証に基づく取消理由] 【理由1】は、訂正前の請求項1ないし3に係る発明に対して通知されたものであるが、本件訂正により、訂正前の請求項2を引用する請求項3は、独立形式として請求項9となったことから、ここでは、本件訂正発明1ないし本件訂正発明3及び本件訂正発明9について検討する。 ア 本件訂正発明1について (ア)本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点1> ジアミンに関して、 本件訂正発明1は、「【化1】 式(d-1)?(d-4)は省略。 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、……である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミン」であるのに対して、 甲1発明は、「4,4’-ジアミノジフェニルメタン」を含むものの、上記式(d-1)?式(d-4)で定義されるジアミンを含まない点。 (イ)してみると、本件訂正発明1は、甲1発明であるとはいえない。 イ 本件訂正発明2について (ア)本件訂正発明2と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点2> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明2は、「ジエチレングリコールジエチルエーテル及びシイソペンチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である」のに対して、 甲1発明は、「4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン」であり、上記溶剤を含まない点。 (イ)してみると、本件訂正発明2は、甲1発明であるとはいえない。 ウ 本件訂正発明3について (ア)本件訂正発明3と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点3> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明3は、「プロピレングリコールジアセテート」であるのに対して、 甲1発明は、「4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン」であり、上記溶剤を含まない点。 (イ)してみると、本件訂正発明3は、甲1発明であるとはいえない。 エ 本件訂正発明9について (ア)本件訂正発明9と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点4> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明9は、「ジイソペンチルエーテル」であるのに対して、 甲1発明は、「4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン」であり、上記溶剤を含まない点。 (イ)してみると、本件訂正発明9は、甲1発明であるとはいえない。 オ 【理由1】についてのまとめ 本件訂正発明1ないし本件訂正発明3及び本件訂正発明9は、甲1発明であるとはいえない。 よって、【理由1】によっては、本件訂正発明1ないし本件訂正発明3及び本件訂正発明9に係る特許を取り消すことはできない。 (2)【理由2】(新規性)について [甲第2号証に基づく取消理由] 【理由2】は、訂正前の請求項1ないし3に係る発明に対して通知されたものであるが、本件訂正により、訂正前の請求項2を引用する請求項3は、独立形式として請求項9となったことから、ここでは、本件訂正発明1ないし本件訂正発明3及び本件訂正発明9について検討する。 ア 本件訂正発明1について (ア)本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点5> 液晶配向剤に関して、 本件訂正発明1は、「液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)」であるのに対して、 甲2発明は、「垂直配向型液晶配向剤」である点。 (イ)してみると、本件訂正発明1は、甲2発明であるとはいえない。 イ 本件訂正発明2について (ア)本件訂正発明2と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点6> 液晶配向剤に関して、 本件訂正発明2は、「液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)」であるのに対して、 甲2発明は、「垂直配向型液晶配向剤」である点。 (イ)してみると、本件訂正発明2は、甲2発明であるとはいえない。 ウ 本件訂正発明3について (ア)本件訂正発明3と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点7> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明3は、「プロピレングリコールジアセテート」であるのに対して、 甲2発明は、「ダイアセトンアルコール又はジエチレングリコールジエチルエーテル含む溶剤」である点。 (イ)してみると、本件訂正発明3は、甲2発明であるとはいえない。 エ 本件訂正発明9について (ア)本件訂正発明9と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点8> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明9は、「ジイソペンチルエーテル」であるのに対して、 甲2発明は、「ダイアセトンアルコール又はジエチレングリコールジエチルエーテル含む溶剤」である点。 (イ)してみると、本件訂正発明9は、甲2発明であるとはいえない。 オ 【理由2】についてのまとめ 本件訂正発明1ないし本件訂正発明3及び本件訂正発明9は、甲2発明であるとはいえない。 よって、【理由2】によっては、本件訂正発明1ないし本件訂正発明3及び本件訂正発明9に係る特許を取り消すことはできない。 (3)【理由3】(進歩性)について [甲第1号証又は甲第2号証に基づく取消理由] 【理由3】は、訂正前の請求項1ないし8に係る発明に対して通知されたものであるが、本件訂正により、訂正前の請求項2を引用する請求項3は、独立形式として請求項9となったことから、ここでは、本件訂正発明1ないし本件訂正発明9について検討する。 ア 本件訂正発明1について (ア)本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点9> ジアミンに関して、 本件訂正発明1は、「【化1】 式(d-1)?(d-4)は省略。 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、……である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミン」であるのに対して、 甲1発明は、「4,4’-ジアミノジフェニルメタン」を含むものの、上記式(d-1)?式(d-4)で定義されるジアミンを含まない点。 (イ)また、本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点10> ジアミンに関して、 本件訂正発明1は、「【化1】 式(d-1)?(d-4)は省略。 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、……である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミン」であるのに対して、 甲2発明は、「4,4’-ジアミノジフェニルメタン」を含むものの、上記式(d-1)?式(d-4)で定義されるジアミンを含まない点。 (ウ)上記<相違点9>及び<相違点10>について検討する。 甲1発明及び甲2発明において、ジアミンとして、式(d-1)?式(d-4)で定義される化合物を採用する動機がない。 さらに、特許異議申立人が提出した各甲号証には、本件訂正発明1の溶剤とジアミンの組合せを示唆する記載はない。 よって、本件訂正発明1は、当業者が甲1発明又は甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件訂正発明2について (ア)本件訂正発明2と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点11> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明2は、「ジエチレングリコールジエチルエーテル及びシイソペンチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である」のに対して、 甲1発明は、「4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン」を含むものの、上記溶剤を含まない点。 (イ)また、本件訂正発明2と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点12> ジアミンに関して、 本件訂正発明2は、「【化3】 式(d-1)?式(d-3)は省略。 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、……R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミン」であるのに対して、 甲2発明は、「4,4’-ジアミノジフェニルメタン」を含むものの、上記式(d-1)?式(d-3)で定義されるジアミンを含まない点。 (ウ)上記<相違点11>及び<相違点12>について検討する。 甲1発明において、溶剤として、「ジエチレングリコールジエチルエーテル」又は「シイソペンチルエーテル」を採用する動機がない。 また、甲2発明において、ジアミンとして、式(d-1)?式(d-3)で定義される化合物を採用する動機がない。 さらに、特許異議申立人が提出した各甲号証には、本件訂正発明2の溶剤とジアミンの組合せを示唆する記載はない。 よって、本件訂正発明2は、当業者が甲1発明又は甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件訂正発明3について (ア)本件訂正発明3と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点13> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明3は、「プロピレングリコールジアセテート」であるのに対して、 甲1発明は、「4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン」を含むものの、上記溶剤を含まない点。 (イ)また、本件訂正発明3と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点14> ジアミンに関して、 本件訂正発明3は、「【化4】 式(d-1)?(d-4)は省略。 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、……である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミン」であるのに対して、 甲2発明は、「4,4’-ジアミノジフェニルメタン」を含むものの、上記式(d-1)?式(d-4)で定義されるジアミンを含まない点。 (ウ)上記<相違点13>及び<相違点14>について検討する。 甲1発明において、溶剤として、「プロピレングリコールジアセテート」を採用する動機がない。 また、甲2発明において、ジアミンとして、式(d-1)?式(d-4)で定義される化合物を採用する動機がない。 さらに、特許異議申立人が提出した各甲号証には、本件訂正発明3の溶剤とジアミンの組合せを示唆する記載はない。 よって、本件訂正発明3は、当業者が甲1発明又は甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 本件訂正発明4ないし本件訂正発明8について 本件訂正発明4ないし本件訂正発明8は、本件訂正発明1ないし本件訂正発明3の発明特定事項をすべて備えるものであるから、上記アないしウと同様の理由により、当業者が甲1発明又は甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 オ 本件訂正発明9について (ア)本件訂正発明9と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点15> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明9は、「ジイソペンチルエーテル」であるのに対して、 甲1発明は、「4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン」を含むものの、上記溶剤を含まない点。 (イ)また、本件訂正発明9と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点16> ジアミンに関して、 本件訂正発明9は、「【化7】 式(d-1)?式(d-3)は省略。 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、……R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミン」であるのに対して、 甲2発明は、「4,4’-ジアミノジフェニルメタン」を含むものの、上記式(d-1)?式(d-3)で定義されるジアミンを含まない点。 (ウ)上記<相違点15>及び<相違点16>について検討する。 甲1発明において、溶剤として、「ジイソペンチルエーテル」を採用する動機がない。 また、甲2発明において、ジアミンとして、式(d-1)?式(d-3)で定義される化合物を採用する動機がない。 さらに、特許異議申立人が提出した各甲号証には、本件訂正発明9の溶剤とジアミンの組合せを示唆する記載はない。 よって、本件訂正発明9は、当業者が甲1発明又は甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 カ 【理由3】についてのまとめ 本件訂正発明1ないし本件訂正発明9は、当業者が甲1発明又は甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 よって、【理由3】によっては、本件訂正発明1ないし本件訂正発明9に係る特許を取り消すことはできない。 (4)【理由4】(進歩性)について [甲第3号証又は甲第4号証に基づく取消理由] 【理由4】は、訂正前の請求項1ないし8に係る発明に対して通知されたものであるが、本件訂正により、訂正前の請求項2を引用する請求項3は、独立形式として請求項9となったことから、ここでは、本件訂正発明1ないし本件訂正発明9について検討する。 ア 本件訂正発明1について (ア)本件訂正発明1と甲3発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点17> ジアミンに関して、 本件訂正発明1は、「【化1】 式(d-1)?(d-4)は省略。 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、……である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミン」であるのに対して、 甲3発明は、「2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン」であり、上記式(d-1)?式(d-4)で定義されるジアミンではない点。 (イ)また、本件訂正発明1と甲4発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点18> 液晶配向剤に関して、 本件訂正発明1は、「液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)」であるのに対して、 甲4発明は、「垂直配向型液晶配向剤」である点。 (ウ)上記<相違点17>及び<相違点18>について検討する。 甲3発明において、ジアミンとして、式(d-1)?式(d-4)で定義される化合物を採用する動機がない。 また、甲4発明の「垂直配向型液晶配向剤」を「液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)」とする動機がない。 さらに、特許異議申立人が提出した各甲号証には、本件訂正発明1の溶剤とジアミンの組合せを示唆する記載はない。 よって、本件訂正発明1は、当業者が甲3発明又は甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件訂正発明2について (ア)本件訂正発明2と甲3発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点19> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明2は、「ジエチレングリコールジエチルエーテル及びシイソペンチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である」のに対して、 甲3発明は、「i-プロピレングリコールジアセテートを含む溶剤」である点。 (イ)また、本件訂正発明2と甲4発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点20> 液晶配向剤に関して、 本件訂正発明2は、「液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)」であるのに対して、 甲4発明は、「垂直配向型液晶配向剤」である点。 (ウ)上記<相違点19>及び<相違点20>について検討する。 甲3発明において、特定溶剤(B)として、「ジエチレングリコールジエチルエーテル及びシイソペンチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種」を採用する動機がない。 また、甲4発明の「垂直配向型液晶配向剤」を「液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)」とする動機がない。 さらに、特許異議申立人が提出した各甲号証には、本件訂正発明2の溶剤とジアミンの組合せを示唆する記載はない。 よって、本件訂正発明2は、当業者が甲3発明又は甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件訂正発明3について (ア)本件訂正発明3と甲3発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点21> ジアミンに関して、 本件訂正発明3は、「【化4】 式(d-1)?(d-4)は省略。 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、……である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミン」であるのに対して、 甲3発明は、「2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン」であり、上記式(d-1)?式(d-4)で定義されるジアミンではない点。 (イ)また、本件訂正発明3と甲4発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点22> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明3は、「プロピレングリコールジアセテート」であるのに対して、 甲4発明は、「ジアセトアルコール及びジエチレングリコールジエチルエーテルを含む溶剤」である点。 (ウ)上記<相違点21>及び<相違点22>について検討する。 甲3発明において、ジアミンとして、式(d-1)?式(d-4)で定義される化合物を採用する動機がない。 また、甲4発明において、溶剤として、「プロピレングリコールジアセテート」を採用する動機がない。 さらに、特許異議申立人が提出した各甲号証には、本件訂正発明3の溶剤とジアミンの組合せを示唆する記載はない。 よって、本件訂正発明3は、当業者が甲3発明又は甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 本件訂正発明4ないし本件訂正発明8について 本件訂正発明4ないし本件訂正発明8は、本件訂正発明1ないし本件訂正発明3の発明特定事項をすべて備えるものであるから、上記アないしウと同様の理由により、当業者が甲3発明又は甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 オ 本件訂正発明9について (ア)本件訂正発明9と甲3発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点23> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明9は、「ジイソペンチルエーテル」であるのに対して、 甲3発明は、「i-プロピレングリコールジアセテートを含む溶剤」である点。 (イ)また、本件訂正発明9と甲4発明とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点24> 特定溶剤(B)に関して、 本件訂正発明9は、「ジイソペンチルエーテル」であるのに対して、 甲4発明は、「ジアセトアルコール及びジエチレングリコールジエチルエーテルを含む溶剤」である点。 (ウ)上記<相違点23>及び<相違点24>について検討する。 甲3発明又は甲4発明において、溶剤として、「ジイソペンチルエーテル」を採用する動機がない。 さらに、特許異議申立人が提出した各甲号証には、本件訂正発明9の溶剤とジアミンの組合せを示唆する記載はない。 よって、本件訂正発明9は、当業者が甲3発明又は甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 カ 【理由4】についてのまとめ 本件訂正発明1ないし本件訂正発明9は、当業者が甲3発明又は甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 よって、【理由4】によっては、本件訂正発明1ないし本件訂正発明9に係る特許を取り消すことはできない。 (5)【理由5】(サポート要件)について ア 特許異議申立人の主張の概要は、以下のものである(特許異議申立書の第16頁中段を参照。)。 「ダイアセトンアルコール(DAA)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG)、ジイソペンチルエーテル(DIPE)及びプロピレングリコールジアセテート(PG-AC)以外の溶剤を含有する液晶配向剤を用いた場合であっても、DAA、DEDG、DIPE及びPG-ACから選択される溶剤を含有する液晶配向剤を用いた場合と同様に、本件特許発明の課題を解決できることを認識し得るとはいえない。」 イ 判断 本件訂正により、本件訂正発明1ないし本件訂正発明9は、DAA、DEDG、DIPE及びPG-ACから選択される溶剤を含有する液晶配向剤に限定されたことから、訂正後の請求項1ないし請求項9の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するとはいえない。 ウ 【理由5】についてのまとめ 本件訂正発明1ないし本件訂正発明9に係る特許は、【理由5】によっては、取り消すことはできない。 (6)【理由6】(明確性)について ア 特許異議申立人の主張の概要は、以下のものである(特許異議申立書の第16頁後段を参照。)。 「訂正前の請求項1及び請求項2における『実質的には』という語句は、ブチルセロソルブの量を不明確にする。」 イ 判断 本件訂正により、訂正後の請求項1、請求項2、請求項3及び請求項9における記載は、「ブチルセロソルブの含有量が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である」と訂正されたことから、ブチルセロソルブの量を不明確にするものであるとはいえない。 ウ 【理由6】についてのまとめ 本件訂正発明1ないし本件訂正発明9に係る特許は、【理由6】によっては、取り消すことはできない。 (7)平成30年8月31日提出の意見書(特許異議申立人)について 特許異議申立人は、意見書(第3頁中段)において、以下のように主張することから、この点について検討する。 「本件訂正発明1′と甲1発明とを対比すると、以下の通りとなる。 (一致点A) 甲1発明の原料である4,4’-ジアミノジフェニルメタンは、本件訂正発明1′の式(d-2)のジアミン(X^(3)が単結合であり、m1が0であり、m2が1である場合)に一致する。」 ア 特許異議申立人の主張は、要するに、甲第1号証の「4,4’-ジアミノジフェニルメタン」は、本件訂正発明1の式(d-2)において、「X^(3)を単結合とし、m1を0とし、m2を1とした場合」のジアミンに相当するというものである。 イ しかしながら、本件訂正により、式(d-2)のジアミンに関して、「ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。」との限定がなされ、式(d-2)のジアミンから「4,4’-ジアミノジフェニルメタン」は除かれている。 ウ よって、特許異議申立人の上記主張は、採用できない。 (8)当審の判断のまとめ 本件訂正発明1ないし本件訂正発明9に係る特許は、取消理由通知で通知した【理由1】ないし【理由6】、つまり、特許異議申立書に記載された理由によっては、取り消すことができない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正発明1ないし本件訂正発明9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件訂正発明1ないし本件訂正発明9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、プロピレングリコールジアセテート及びダイアセトンアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)を含み、ブチルセロソルブの含有割合が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である、液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)。 【化1】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(d-4)中、X^(4)及びX^(5)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-COO-又は-OCO-であり、R^(7)は、炭素数1?3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0?2の整数であり、cは1?20の整数であり、kは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。) 【請求項2】 テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジイソペンチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である特定溶剤(B)を含み、ブチルセロソルブの含有割合が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下である、液晶配向剤(ただし、垂直配向膜形成用の液晶配向剤を除く。)。 【化3】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。) 【請求項3】 テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、プロピレングリコールジアセテートを特定溶剤(B)として含み、ブチルセロソルブの含有割合が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下であり、 前記特定溶剤(B)の含有量が、前記溶剤の全体量の1?70重量%である、液晶配向剤。 【化4】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(d-4)中、X^(4)及びX^(5)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-COO-又は-OCO-であり、R^(7)は、炭素数1?3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0?2の整数であり、cは1?20の整数であり、kは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。) 【請求項4】 前記重合体(A)は、下記式(t-1)で表される化合物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むテトラカルボン酸二無水物を用いて得られる重合体である、請求項1?3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。 【化5】 (式(t-1)中、X^(7)、X^(8)、X^(9)及びX^(10)は、それぞれ独立に、単結合又はメチレン基であり、jは1?3の整数である。) 【請求項5】 分子内に1級アミノ基を1個と窒素含有芳香族複素環とを有し、かつ前記1級アミノ基が鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基に結合しているアミン化合物(C)を更に含有する、請求項1?4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。 【請求項6】 前記アミン化合物(C)が、下記式(c-1)で表される化合物である、請求項5に記載の液晶配向剤。 【化6】 (式(c-1)中、A^(1)は、鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基を有する2価の有機基であり、A^(2)は、窒素含有芳香族複素環である。) 【請求項7】 請求項1?6のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。 【請求項8】 請求項7に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。 【請求項9】 テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、 前記重合体(A)は、下記式(d-1)?式(d-3)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むジアミンを用いて得られる重合体であり、 前記溶剤は、ジイソペンチルエーテルを特定溶剤(B)として含み、ブチルセロソルブの含有割合が前記溶剤の全体量に対して5重量%以下であり、 前記特定溶剤(B)の含有量が、前記溶剤の全体量の1?70重量%である、液晶配向剤。 【化7】 (式(d-1)中、X^(1)及びX^(2)は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-であり、Y^(1)は、酸素原子又は硫黄原子であり、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立に、炭素数1?3のアルカンジイル基である。n1は0又は1であり、n2及びn3は、n1=0の場合、n2+n3=2を満たす整数であり、n1=1の場合、n2=n3=1である。式(d-2)中、X^(3)は、単結合、-O-又は-S-であり、m1は0?3の整数である。m2は、m1=0の場合に1?12の整数であり、m1が1?3の整数の場合にm2=2である。ただし、m1=0の場合にX^(3)が単結合になる場合を除く。式(d-3)中、R^(3)は、炭素数1?12の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(4)は、水素原子、又は炭素数1?12の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基であり、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-09-13 |
出願番号 | 特願2013-111858(P2013-111858) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(G02F)
P 1 651・ 537- YAA (G02F) P 1 651・ 113- YAA (G02F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 磯崎 忠昭 |
特許庁審判長 |
森 竜介 |
特許庁審判官 |
居島 一仁 星野 浩一 |
登録日 | 2017-04-21 |
登録番号 | 特許第6127721号(P6127721) |
権利者 | JSR株式会社 |
発明の名称 | 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 |
代理人 | 山田 強 |
代理人 | 廣田 美穂 |
代理人 | 廣田 美穂 |
代理人 | 日野 京子 |
代理人 | 山田 強 |
代理人 | 日野 京子 |