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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61B
管理番号 1346771
異議申立番号 異議2017-700738  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-07-28 
確定日 2018-11-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6073406号発明「掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定用の装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6073406号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、〔7-14〕について訂正することを認める。 特許第6073406号の請求項1ないし8、10ないし14に係る特許を維持する。 特許第6073406号の請求項9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6073406号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、2009年(平成21年)12月21日(パリ条約による優先権主張2008年12月23日、ドイツ)を国際出願日とする特願2011-542712号(以下、「原出願」という。)の一部を、平成27年4月30日に新たな特許出願としたものであって、平成29年1月13日にその特許権の設定登録がされ、同年2月1日に特許掲載公報が発行され、同年7月28日に、本件特許の請求項1ないし14に係る特許に対し、特許異議申立人山下勝(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。
その後、当審より、同年10月18日付けで取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成30年1月22日付けで特許権者から意見書の提出及び訂正の請求(1回目)がなされ、その訂正請求に対して申立人から同年3月13日付けで意見書が提出され、同年4月16日付けで取消理由通知(決定の予告)がなされ、同年7月19日付けで特許権者から意見書の提出及び訂正の請求(2回目)がなされ、その訂正請求に対して申立人から同年9月6日付けで意見書が提出されたものである。

なお、申立人から提出された各甲号証を、以下、甲1などと省略して表記する。

第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容

平成30年7月19日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、同訂正請求書の記載によれば、以下の訂正事項1ないし5のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。また、平成30年1月22日付けの訂正請求は、本件訂正請求により取り下げられたものとみなされる。

(1) 訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に係る「3×10^(8)?3×10^(13)の光子束が前記光源の調整時間τの期間中に前記サンプルに導かれる」を、「3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が前記光源の調整時間τの期間中に前記サンプルに導かれる」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2ないし6も同様に訂正する。

(2) 訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項3に係る「前記干渉計は、参照面を有し、前記Aスキャンにおける網膜および角膜に対する前記参照面の位置とレーザー線幅δkとが互いに対応することを特徴とする請求項2に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。」を、「前記干渉計は、サンプルアームを含み、前記参照アームは、前記Aスキャンにおいて網膜および角膜に対して適切に設定された参照面を有し、前記光源は、前記Aスキャンにおける網膜および角膜に対する前記参照面の位置に応じた最大レーザー線幅を有することを特徴とする請求項2に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。」 に訂正する。

(3) 訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項7に係る「前記光源はδk<81m^(-1)の線幅を有し、前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、装置は、参照面を有する参照アームを含み、前記参照面は、角膜の前方で設定されていることを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。」を、「前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、角膜の前方で設定された参照面を有し、前記光源は、角膜の前方で設定された前記参照面に応じたδk<81m^(-1)の線幅を有することを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。」に訂正する。
請求項7の記載を引用する請求項10ないし14も同様に訂正する。

(4) 訂正事項4
訂正前の特許請求の範囲の請求項8に係る「前記光源はδk<47m^(-1)の線幅を有し、Aスキャンの測定範囲は、前記眼球の深さに対応し、前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、装置は、参照面を有する参照アームを含み、前記参照面は、網膜の後方で設定されていることを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。」を、「Aスキャンの測定範囲は、前記眼球の深さに対応し、前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、網膜の後方で設定された参照面を有し、前記光源は、網膜の後方で設定された前記参照面に応じたδk<47m^(-1)の線幅を有することを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。」に訂正する。
請求項8の記載を引用する請求項10ないし14も同様に訂正する。

(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

2 訂正事項についての判断

(1) 訂正事項1

ア 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の段落【0030】には、「3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が光源の調整時間τでサンプルに導かれると特に好都合である。」と記載されている。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正の目的の適否
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「3×10^(8)?3×10^(13)の光子束」の記載を「3×10^(8)?1×10^(13)の光子束」に限定することにより、光子束の数値範囲を減縮するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(2) 訂正事項2

ア 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0068】には、「最大レーザー線幅δkは測定領域に依存することが明らかになっている。」と記載されている。また、同段落【0069】には、「参照アームを有する装置を使用すると、サンプル内の参照面を適当に定義することによって、1.角膜、水晶体、および網膜からの信号が十分な強度で検出され、」と記載されている。そして、同段落【0070】には、「図3aでは、参照面は、網膜(R)の後方で設定されており、結果は93m^(-1)の最大レーザー線幅である」との記載が、同段落【0071】には、「図3bでは、参照面は、角膜(C)の前方で設定され、結果は81m^(-1)の最大レーザー線幅である」との記載が、同段落【0072】には、「図3cでは、参照面は角膜(C)と網膜(R)の間で設定されており、結果は162m^(-1)の最大レーザー線幅である。」との記載が存在することから、参照面の各位置と最大レーザー線幅との対応関係が記載されている。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものとまではいえないことから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正の目的の適否
訂正事項2は、訂正前の請求項3における「前記Aスキャンにおける網膜および角膜に対する前記参照面の位置とレーザー線幅δkとが互いに対応する」との記載によって特定される具体的技術内容が不明である点について、本件特許明細書等の記載に基づいて明確化しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(3) 訂正事項3

ア 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0068】には、「最大レーザー線幅δkは測定領域に依存することが明らかになっている。」と記載されている。また、同段落【0069】には、「参照アームを有する装置を使用すると、サンプル内の参照面を適当に定義することによって、1.角膜、水晶体、および網膜からの信号が十分な強度で検出され、」と記載されている。そして、同段落【0071】には、「図3bでは、参照面は、角膜(C)の前方で設定され、結果は81m^(-1)の最大レーザー線幅である」との記載が存在することから、参照面が角膜の前方で設定された場合の最大レーザー線幅が記載されている。
したがって、訂正事項3は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものとまではいえないことから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正の目的の適否
訂正事項3は、訂正前の請求項7における「Aスキャンの測定範囲は、前記サンプルの深さに対応し、前記光源はδk<81m^(-1)の線幅を有し、」「装置は、参照面を有する参照アームを含み、前記参照面は、角膜の前方で設定されている」との記載によって特定される具体的技術内容が不明である点について、本件特許明細書等の記載に基づいて明確化しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(4) 訂正事項4

ア 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0068】には、「最大レーザー線幅δkは測定領域に依存することが明らかになっている。」と記載されている。また、同段落【0069】には、「参照アームを有する装置を使用すると、サンプル内の参照面を適当に定義することによって、1.角膜、水晶体、および網膜からの信号が十分な強度で検出され、」と記載されている。そして、同段落【0072】には、「図3dでは、54mmの全測定範囲にわたってわずか20dBの目標信号レベル低下を想定して、参照面は網膜(R)の後方で設定されており、結果は47m^(-1)の最大レーザー線幅である」との記載が存在することから、参照面が網膜の後方で設定された場合の最大レーザー線幅が記載されている。
したがって、訂正事項4は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したものとまではいえないことから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正の目的の適否
訂正事項4は、訂正前の請求項8における「前記光源はδk<47m^(-1)の線幅を有し、Aスキャンの測定範囲は、前記眼球の深さに対応し、」「装置は、参照面を有する参照アームを含み、前記参照面は、網膜の後方で設定されている」との記載によって特定される具体的技術内容が不明である点について、本件特許明細書等の記載に基づいて明確化しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(5) 訂正事項5
訂正事項5は、特許請求の範囲の請求項9を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

3 一群の請求項について

訂正前の請求項の引用関係からみて、訂正事項1及び2は、請求項1ないし6を一群の請求項として、訂正事項3ないし5は、請求項7ないし14を一群の請求項として、それぞれ請求されたものである。

4 訂正についてのまとめ

以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、〔7-14〕についての訂正を認める。

第3 本件訂正発明

上記「第2 訂正の適否についての判断」に記したように、本件訂正は認められることとなったので、訂正後の本件特許の請求項1ないし14に係る発明は、次の事項により特定される発明であると認める。
なお、本件訂正により訂正された請求項1ないし14に係る発明を、それぞれ「本件訂正発明1」等という。

【請求項1】
可動サンプルに対してAスキャンを行うために、波長可変レーザー光源とサンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを有する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、
3mmよりも小さな直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射され、
前記光源はδk<168m^(-1)の線幅を有し、
前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心として時間τ<44sec/(D×k_(0))で実施され、
3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が前記光源の調整時間τの期間中に前記サンプルに導かれることを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項2】
参照アームを有する干渉計を備えることを特徴とする請求項1に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項3】
前記サンプルは、眼球であり、前記干渉計は、サンプルアームを含み、前記参照アームは、前記Aスキャンにおいて網膜および角膜に対して適切に設定された参照面を有し、前記光源は、前記Aスキャンにおける網膜および角膜に対する前記参照面の位置に応じた最大レーザー線幅を有することを特徴とする請求項2に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項4】
前記サンプルは、眼球であり、前記測定ビームは眼球に入る前に収束することを特徴とする請求項1に記載の眼球用の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項5】
前記サンプルは、眼球であり、前記測定ビームは眼球に入る前にコリメートされ、測定が眼球の軸上および眼球の視軸上のうちの一つで実施されるように眼球を案内して眼球を固定する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項6】
参照アーム、光源アーム、検出アーム、および参照干渉計のうち少なくとも一つにおけるモノモードファイバーを備えることを特徴とする請求項1に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項7】
角膜を有する眼球を含む可動サンプルに関する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、波長可変レーザー光源と、サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを備え、
前記サンプルは3mmよりも小さな直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面に照射され、
Aスキャンの測定範囲は、前記サンプルの深さに対応し、
前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、
装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、角膜の前方で設定された参照面を有し、前記光源は、角膜の前方で設定された前記参照面に応じたδk<81m^(-1)の線幅を有することを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項8】
網膜を有する眼球を含む可動サンプルに関する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、波長可変レーザー光源と、サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを備え、
前記眼球は3mmよりも小さな直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面に照射され、
Aスキャンの測定範囲は、前記眼球の深さに対応し、
前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、
装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、網膜の後方で設定された参照面を有し、前記光源は、網膜の後方で設定された前記参照面に応じたδk<47m^(-1)の線幅を有することを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項9】 (削除)

【請求項10】
前記測定ビームは眼球に入る前に収束することを特徴とする請求項7又は8に記載の眼球用の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項11】
参照アーム、光源アーム、検出アーム、および参照干渉計のうち少なくとも一つにおけるモノモードファイバーを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項12】
400nm?900nmの波長を有する照準マーカーを眼球に投影するための装置を備えるとともに、眼球に対する測定ビームの調整をチェックするためのカメラを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項13】
前記測定ビームは眼球に入る前にコリメートされ、測定が眼球の軸上および眼球の視軸上のうちの一つで実施されるように眼球を案内して眼球を固定する手段を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

【請求項14】
眼球に対する測定ビームの調整をチェックするためのカメラを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

第4 申立理由

申立人は、下記甲1ないし8を提出した。

甲1:特表2007-510143号公報
甲2:Srinivasan, V. J. 外6名, High-speed, high-resolution optical coherence tomography retinal imaging with a frequency-swept laser at 850nm, Optical Society of America, Optics Letters, Vol.32, No.4, 2007年2月15日, P.361-363
甲3:Lee Edward C.W. 外4名,In vivo optical frequency domain imaging of human retina and choroid, OPTICS EXPRESS, Vol. 14, No.10, 2006年5月15日, P.4403-4411
甲4:広辞苑 第五版、株式会社岩波書店、1998年11月11日、p.2141
甲5:エッセンシャル化学辞典、株式会社東京化学同人、1999年3月10日、p.423, 622
甲6:岩波 理化学辞典 第5版、1998年2月20日、p.1076
甲7:特開2011-257160号公報
甲8:特表2008-528953号公報

そして、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)の第8ないし9頁の「3.申立の理由」「(3)申立ての根拠」の項、及び、第38ないし40頁の「(5)むすび」の項に記載された条文に鑑み、申立理由を整理すると、次の(申立理由1)及び(申立理由2)を申立人は主張している。

(申立理由1)
本件特許の請求項1ないし14に係る発明の特許は、甲1に記載された発明及び甲2ないし8に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(申立理由2)
本件特許の請求項1、3、7、8及び9に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号、同条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

第5 取消理由の概要

上記「第1 手続の経緯」で述べたとおり、本件では、取消理由を二度通知しているが、平成29年10月18日付け取消理由通知では、以下の1及び2で指摘する事項について通知し、そして、平成30年4月14日付け取消理由通知(決定の予告)では、すでに取り下げられたとみなされている平成30年1月22日付け訂正の請求(1回目)によっても解消されなかった以下の理由1(4)、(6)及び(7)を通知すると同時に、前記訂正の請求(1回目)に伴い新たに生じた取消理由について通知したものである。
なお、前記訂正の請求(1回目)に伴い新たに生じた取消理由1ないし3は、1については以下の理由1(4)に、2については以下の理由1(6)に、3については以下の理由(7)に対応するものである。
そして、それらの取消理由の対象となった前記訂正の請求(1回目)は、上記のとおりすでに取り下げられたとみなされていることから、これらについては、以下の「第6 取消理由についての当審の判断」の理由1(4)、(6)及び(7)で述べる判断に含まれる。

1 取消理由1(特許法第36条第6項第1号及び第2号について)

本件特許の、特許請求の範囲の記載は、下記の(1)ないし(8)の点で不備があり、本件特許は、特許法第36条第6項第1号及び同条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたため、特許法第113条第4号の規定に該当し、取り消すべきものである。


(1) 請求項1ないし14に対して
請求項1、7、8において、「重心波数k_(0)」との記載があり、また、線幅として「δk」の記載がある。そして「k_(0)」及び「δk」は、「m^(-1)」を単位とするものであるから、波数を表すものと認められ、波数は、k=1/λ、k=π/λ、k=2π/λのいずれかで定義されるものであるが、どの定義が採用されるのか不明であり、請求項1、7、8に係る発明は明確でない。請求項1、7、8の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし6、9ないし14に係る発明についても同様である。

(2) 請求項1ないし6に対して
請求項1において、「3×10^(8)?3×10^(13)の光子束の光子束が前記光源の調整時間τの期間中に前記サンプルに導かれる」と記載されているが、「光子束」の定義が不明であり、請求項1に係る発明、及び、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし6に係る発明は明確でない。

(3) 請求項1ないし6に対して
請求項1において、「3×10^(8)?3×10^(13)の光子束」と記載されている一方、本件特許明細書等には、段落【0030】に「3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が光源の調整時間τでサンプルに導かれると特に好都合である。」と記載されており、請求項1には、本件特許明細書等において、「好都合である」として規定された数値範囲より広い数値範囲のものが含まれており、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものを含むものである。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし6に係る発明についても同様である。

(4) 請求項3に対して
請求項3における「前記Aスキャンにおける網膜および角膜に対する前記参照面の位置とレーザー線幅δkとが互いに対応すること」の記載によって特定される具体的技術内容が不明である。

(5) 請求項7ないし14に対して
請求項7において、「前記光源はδk<81m^(-1)の線幅を有し、」と記載されており、請求項8において、「前記光源はδk<47m^(-1)の線幅を有し、」と記載されているのに対して、本件特許明細書等の発明の詳細な説明には、段落【0022】に「本発明による装置は、光源の線幅δkが22m^(-1)?50m^(-1)にあるときに特に適している。」と記載されていることから、請求項7に係る発明及び請求項8に係る発明は、本件特許明細書等に、「特に適している」として規定された数値範囲の範囲外のものが含まれており、請求項7及び8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていないものを含むものである。
請求項7又は8の記載を引用する請求項9ないし14に係る発明についても同様である。

(6) 請求項7、9ないし14に対して
請求項7には「前記光源はδk<81m^(-1)の線幅を有し、」「前記参照面は、角膜の前方で設定されている」と記載されていることから、参照面の位置と、光源のレーザー線幅の関係が規定されているが、それがどのような態様の規定であるのか不明であり、本件特許明細書等の記載を参酌しても、その記載によって特定される構成が理解できない。
請求項7の記載を引用する請求項9ないし14に係る発明についても同様である。

(7) 請求項8ないし14に対して
請求項8には「前記光源はδk<47m^(-1)の線幅を有し、」「前記参照面は、網膜の後方で設定されている」と記載されていることから、参照面の位置と、光源のレーザー線幅の関係が規定されているが、それがどのような態様の規定であるのか不明であり、本件特許明細書等の記載を参酌しても、その記載によって特定される構成が理解できない。
請求項8の記載を引用する請求項9ないし14に係る発明についても同様である。

(8) 請求項9に対して
請求項9には「前記Aスキャンにおける網膜信号および角膜信号の位置とレーザー線幅δkとが互いに一致すること」と記載されているが、本件特許明細書等の記載を参酌しても、当該記載により特定される具体的技術内容が不明である。

2 取消理由2(特許法第29条第2項について)

本件特許発明1ないし14は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲1ないし甲3に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、その発明に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。

第6 取消理由についての当審の判断

1 取消理由1について

(1) 取消理由1(1)について

ア 当審の判断
特許権者は、原出願の審査段階における平成26年10月17日付け意見書において、k=2π/λである旨を証拠をもって主張し、また、平成30年1月22日付け意見書においても、一貫してk=2π/λである旨を主張している。一方、申立人より、掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)の技術分野において、波数としてk=2π/λ以外の定義のものが採用されていることをうかがわせる根拠が何ら示されていないことに鑑みれば、掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)の技術分野においては、波数は、k=2π/λと定義づけられるものと推認でき、請求項1の記載が明確でないとまではいえない。請求項1の記載を引用する請求項2ないし6、及び、波数についての記載が存在する請求項7、8及び請求項7又は8の記載を引用する請求項10ないし14についても同様である。

イ 申立人の平成30年9月6日付け意見書(以下、「申立人意見書」という。)に対する反論
申立人は、申立人意見書において、「特許権者は波長がk=1/λと定義づけられないものであることの証拠を示してなく、一方で異議申立人はk=1/λと定義づけられる証拠を提出しているから、特許権者が一貫してk=2π/λである旨を主張しているからといって、何をもって、何を根拠及び理由に、k=2π/λと定義づけられるように推認でき、k=1/λと定義づけられることが推認できないのか、確固たる証拠も示されてなく、当該判断には疑義があり、請求項の解釈及び/又は事実認定には誤りがあると思料する。」(申立人意見書第3頁第3行ないし第9行)と主張している。
しかしながら、申立人が提出した、波数が波長の逆数であることが記載された証拠のうち、甲4は「広辞苑」であり、また、甲5は「エッセンシャル化学辞典」であることから、本件訂正発明1ないし8、10ないし14が属する技術分野に特化した証拠とはいえないものであり、また、申立人は、申立人意見書において、本件訂正発明1ないし8、10ないし14が属する技術分野、又は、それに近い技術分野に属する、波数kを、k=1/λと定義すべきことを記載した新たな証拠を示さなかったことを勘案すると、特許権者の主張のとおり、本件訂正発明1ないし8、10ないし14においては、波数は、k=2π/λと定義づけられると認められ、申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
よって、本件訂正後の請求項1ないし8、10ないし14の記載において、波数の定義が明確でないとまではいえないことから、取消理由1(1)は解消した。

(2) 取消理由1(2)について

ア 当審の判断
光強度の指標の一つとして、単位時間に単位面積を通過する光子の数が使用されることは、当業者における周知事項である。そして、該周知事項、及び、「3×10^(8)?1×10^(13)」と特定された数値範囲を勘案し、請求項1における「光子束」が「調整時間τの期間中に」「サンプルに導かれる」の記載を検討すると、請求項1における上記の記載は、「調整時間τの期間中に」「サンプルに導かれる」光子の数を規定していることが読み取れ、本件特許明細書等において「光子束」の定義が明確に記載されていないとしても、当業者であれば「光子束」として表現された物理量が何であるかは推認でき、請求項1の記載が明確でないとまではいえない。

イ 申立人意見書に対する反論
申立人は、申立人意見書において、「『光子束』の定義について、それが明確であると肯定できる程度に実質的又は具体的な主張がなされてなく、依然として不明確である。」(申立人意見書第6頁第6行ないし第8行)と主張し、さらに、「同請求項における『光子束』はその語句構成からあくまで『光子』の『束』を意味すると解釈され、『束』という用語から、『光子』の『数』を意味するとは明確とはいえない。」(同第6頁第12行ないし第14行)と主張している。
しかしながら、「光子」が粒子であることは技術常識であることから、申立人が主張する「光子束」を「光子」の「束」と解釈することが適切でないことは明らかであり、「光子」の「数」を意味すると考えるのが相当である。

ウ 小括
よって、本件訂正後の請求項1及び請求項1の記載を引用する請求項2ないし6における「3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が前記光源の調整時間τの期間中に前記サンプルに導かれる」の記載が明確でないとまではいえないことから、取消理由1(2)は解消した。

(3) 取消理由1(3)について

本件訂正により、請求項1における「3×10^(8)?3×10^(13)の光子束」の記載は、「3×10^(8)?1×10^(13)の光子束」に訂正された。
したがって、本件特許明細書等の段落【0030】における「3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が光源の調整時間τでサンプルに導かれると特に好都合である。」との記載と整合がとられたことから、本件訂正発明1、及び、本件訂正後の請求項1の記載を引用する本件訂正発明2ないし6は、発明の詳細な説明に記載された範囲内のものといえ、取消理由1(3)は解消した。

(4) 取消理由1(4)について

ア 当審の判断
本件訂正後の請求項3は、「前記干渉計は、サンプルアームを含み、前記参照アームは、前記Aスキャンにおいて網膜および角膜に対して適切に設定された参照面を有し、前記光源は、前記Aスキャンにおける網膜および角膜に対する前記参照面の位置に応じた最大レーザー線幅を有すること」が特定された。
上記の記載により、「参照アームは、前記Aスキャンにおいて網膜および角膜に対して適切に設定された参照面を有」する点、及び、「前記光源は、前記Aスキャンにおける網膜および角膜に対する前記参照面の位置に応じた最大レーザー線幅を有する」点が明確になったことから、先に通知した取消理由1(4)は解消した。

イ 申立人意見書に対する反論
申立人は、申立人意見書において、「適切に設定された」とは、どのような構成によりどのようにして設定されるのか不明である点、「前記参照面の位置に応じた最大レーザー線幅を有する」において、「応じた」とは、どのような構成によりどのように応じるようになされるのか不明確である点、及び、「最大レーザー線幅を有する」ようにするための具体的構成が不明確である点を主張している。
そこで、申立人の上記主張について検討すると、本件訂正後の請求項3の記載に基づけば、測定対象を網膜および角膜として参照面を設定する点、及び、その参照面の位置と、光源の最大レーザー線幅とが、相互に関係する点は理解できることから、当業者であれば、「適切に設定された」とは、測定対象である網膜および角膜に対して適切な位置に参照面を設定することであると理解でき、また、その参照面の位置と、光源の最大レーザー線幅との関係を、「応じた」と記載することにより表現される点も理解できると認められる。さらに、「最大レーザー線幅を有する」ようにするための構成とは、単に光源のレーザー線幅の上限を規定することにすぎないことであるから、そのことを実現するための具体的な構成の特定は要しないと認められる。

ウ 小括
よって、本件訂正後の請求項3の記載が明確でないとまではいえないことから、取消理由1(4)は解消した。

(5) 取消理由1(5)について

本件訂正後の請求項7には「前記参照アームは、角膜の前方で設定された参照面を有し、前記光源は、角膜の前方で設定された前記参照面に応じたδk<81m^(-1)の線幅を有する」と記載され、また本件訂正後の請求項8には「前記参照アームは、網膜の後方で設定された参照面を有し、前記光源は、網膜の後方で設定された前記参照面に応じたδk<47m^(-1)の線幅を有する」と記載されている。
一方、明細書の段落【0071】には、「参照面は、角膜(C)の前方で設定され、結果は81m^(-1)の最大レーザー線幅である」との記載が存在し、段落【0072】には、「参照面は網膜(R)の後方で設定されており、結果は47m^(-1)の最大レーザー線幅である。」との記載が存在することから、本件訂正後の請求項7及び請求項8に記載された数値範囲は、本件特許明細書中に記載されたものであると認められる。
したがって、本件訂正発明7、8、及び、本件訂正後の請求項7又は8の記載を引用する本件訂正発明10ないし14は、本件特許明細書等に記載された発明と認められる。
よって、取消理由1(5)は解消した。

(6) 取消理由1(6)について

ア 当審の判断
本件訂正後の請求項7は、「装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、角膜の前方で設定された参照面を有し、前記光源は、角膜の前方で設定された前記参照面に応じたδk<81m^(-1)の線幅を有すること」が特定された。
そして、上記の記載により、「参照アームは、角膜の前方で設定された参照面を有し、前記光源は、角膜の前方で設定された前記参照面に応じたδk<81m^(-1)の線幅を有する」点が明確になった。

イ 申立人意見書に対する反論
申立人は、申立人意見書において、「前記参照面に応じた」の記載における「応じた」とは、どのようなことであるのか不明である点、及び、「前記参照面に応じたδk<81m^(-1)の線幅を有する」ことをどのような構成で実現するのか、そのための具体的構成が不明確である点を主張している。
そこで、申立人の上記主張について検討すると、本件訂正後の請求項7の記載より、角膜の前方で参照面を設定する点、及び、その参照面の位置である角膜の前方の位置と、光源の最大レーザー線幅とが、相互に関係する点は理解できることから、当業者であれば、その参照面の位置と、光源の最大レーザー線幅との関係を、「応じた」と記載することにより表現される点も理解できると認められる。さらに、「δk<81m^(-1)の線幅を有する」ようにするための構成とは、単に光源のレーザー線幅の上限を規定することにすぎないことであるから、そのことを実現するための具体的な構成の特定は要しないと認められ、本件訂正発明7の構成は、当業者であれば十分に理解できるものである。

ウ 小括
よって、本件訂正後の請求項7、及び、前記請求項7の記載を引用する請求項10ないし14の記載が明確でないとまではいえないことから、取消理由1(6)は解消した。

(7) 取消理由1(7)について

ア 当審の判断
本件訂正後の請求項8は、「装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、網膜の後方で設定された参照面を有し、前記光源は、網膜の後方で設定された前記参照面に応じたδk<47m^(-1)の線幅を有すること」が特定された。
そして、上記の記載により、「参照アームは、網膜の後方で設定された参照面を有し、前記光源は、網膜の後方で設定された前記参照面に応じたδk<47m^(-1)の線幅を有する」点が明確になった。

イ 申立人意見書に対する反論
申立人は、申立人意見書において、どのようにして参照面を網膜の後方に設定されるようにするのか具体的な構成が不明である点、「前記参照面に応じた」の記載における「応じた」とは、どのようなことであるのか不明である点、及び、「前記参照面に応じたδk<47m^(-1)の線幅を有する」ことをどのような構成で実現するのか、そのための具体的構成が不明確である点を主張している。
そこで、申立人の上記主張について検討すると、参照面は、参照アームに設定されるのに対して、実際の網膜は、サンプルアーム側に存在することは、当業者にとって明らかであるから、前記参照アームにおいて、網膜の後方に対応する位置に参照面を設定することは、具体的な構成を示さなくても、当業者であれば理解できるものと認められる。
また、本件訂正後の請求項8の記載より、網膜の後方で参照面を設定する点、及び、その参照面の位置である網膜の後方の位置と、光源の最大レーザー線幅とが、相互に関係する点は理解できることから、当業者であれば、その参照面の位置と、光源の最大レーザー線幅との関係を、「応じた」と記載することにより表現される点も理解できると認められる。さらに、「δk<47m^(-1)の線幅を有する」ようにするための構成とは、単に光源のレーザー線幅の上限を規定することにすぎないことであるから、そのことを実現するための具体的な構成の特定は要しないと認められ、本件訂正発明8の構成は、当業者であれば十分に理解できるものである。

ウ 小括
よって、本件訂正後の請求項8、及び、前記請求項8の記載を引用する請求項10ないし14の記載が明確でないとまではいえないことから、取消理由1(7)は解消した。

(8) 取消理由1(8)について

本件訂正により、請求項9は削除されたことから、取消理由1(8)は解消した。

2 取消理由2について

(1) 各甲号証に記載された事項

ア 甲1の記載事項及び甲1発明
甲1には、以下の記載がある。なお、下線は当審において付与したものである。

(甲1-1)
「【0002】
本発明は、一般に光学撮像、詳記するならば、周波数ドメイン干渉測定を利用して光学撮像を実行する方法および装置に関するものである。」

(甲1-2)
「【0052】
上述の、図3A?3Dに示した同様のエレメントが同じ参照番号を付けて描かれている図4A?4Dについて説明すると、本発明の一実施例による光学周波数ドメイン撮像(“OFDI”)システムが、多重縦モードで構成されたレーザ出力スペクトルをカプラ72の入力に提供する波長掃引レーザ源95(ここでは周波数掃引源95とも呼ぶ)を備える。カプラ72は、送られてきた信号を、リファレンスミラー82で終わるリファレンスアーム80と、サンプル86で終わるサンプルアーム84とに分割する。光信号は、リファレンスミラー82とサンプル86から反射され、カプラ72を経由して信号スペクトルを光検出器88に提供し、そこでこの光スペクトルは検出される。」

(甲1-3)
「【0057】
OFDI技術を使って、フーリエ変換を通してAスキャン1回の持続時間にわたって時間の関数として記録される信号から、画像の単一のピクセルを構築することができる。・・・・」

(甲1-4)
「【0060】
OFDIを眼に応用する場合、好ましくは、効率的な検出によって収集速度のかなりの増大が見込まれる。眼への応用における制限のひとつは、ANSI規格に従って目への進入を許されるパワーの大きさである(830nmで約700マイクロワット)。眼に応用したときの電流データ収集速度は毎秒約100?500Aラインである。本発明の効率的なパワー検出技術では、毎秒約100000AラインのオーダーのAライン収集レート、又は、画像当たり約3000Aラインでのビデオレート撮像が見込まれよう。」

(甲1-5)
「図4A



上記(甲1-4)には、OFDIを眼に応用する場合が記載されており、その場合に、「サンプル86」は眼であるといえる。

上記(甲1-1)ないし(甲1-5)より、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「周波数ドメイン干渉測定を利用して光学撮像を実行する装置であり、
フーリエ変換を通してAスキャン1回の持続時間にわたって時間の関数として記録される信号から、画像の単一のピクセルを構築するものであって、
多重縦モードで構成されたレーザ出力スペクトルをカプラ72の入力に提供する波長掃引レーザ源95を備え、
カプラ72は、送られてきた信号を、リファレンスミラー82で終わるリファレンスアーム80と、サンプル86で終わるサンプルアーム84とに分割し、
光信号は、リファレンスミラー82とサンプル86から反射され、カプラ72を経由して信号スペクトルを光検出器88に提供し、そこでこの光スペクトルは検出され、
サンプル86は眼である、
光学周波数ドメイン撮像(OFDI)装置。」

イ 甲2の記載事項
甲2には、以下の記載がある。なお、下線は当審において付与したものである。

(甲2-1) 「High-speed, high-resolution optical coherence tomography (OCT) imaging of the human retina is demonstrated using a frequency-swept laser at 850nm. …The laser enables an effective 16kHz sweep rate with > 10mm coherence length and a tuning range of ?35nm full width at half-maximum, yielding an axial resolution of <7μm in tissue.」(第361頁上段第1行-第5行)
(当審訳:高速かつ高解像度の光コヒーレンス断層撮影法(OCT)による人間の網膜の撮像が、周波数掃引レーザーを850nmにおいて用いることによって実証される。・・・そのレーザーは、効果的な16kHzの掃引速度を、10mmより大きいコヒーレント長および約35nmの半値幅と共に実現可能であり、それにより、組織内における7μmより小さい軸方向解像度という効果を生じさせる。)

(甲2-2) 「In this Letter, we demonstrate OCT retinal imaging using an external cavity tunable semiconductor laser at 850nm. Imaging is performed at 16,000 axial scans per second with < 7μm resolution in tissue.」(第361頁右欄第3行-第7行)(当審訳:この報告で、我々は、外部共振波長可変半導体レーザーを850nmにおいて用いてOCT網膜撮像を実証する。撮像は、組織内において7μm未満の分解能で1秒当たり16,000回の軸方向スキャンで実行される。)

(甲2-3) 「The width of the filter function is estimated at 840.5nm as 0.089nm(38GHz)FWHM by measuring the stationary linewidth of the laser output when the gain element is driven with a current that is well below the lasing threshold.」(第362頁左欄第22行-第27行)(当審仮訳:利得素子がレージング閾値を十分に下回る電流により駆動させられた時のレーザー出力の静止状態の線幅を測定することにより、フィルタ機能の幅は、840.5nmにおいて0.089nm(38GHz)FWHMと推定される。)

(甲2-4) 「The spot size at the cornea is 1.2mm FWHM. 」(第362頁左欄第46行-第47行)(当審訳:角膜におけるスポットサイズは、1.2mm(FWHM)である。)

上記(甲2-1)より、掃引レートとして16kHzを採用することから、τ=1/16000=0.0000625secが導き出せる。
上記(甲2-3)と、上記1(1)で説示したとおり、k=2π/λの関係式を使って、δk=2π・δλ/λ^(2) を計算すると、δλ=0.089nm、λ=840.5nmの値より、
δk=792m^(-1)
が導き出せる。
また、λ_(0)=850nmの値より、k_(0 )= 2π/λ_(0 )≒ 7.392×10^(-3) が導き出され、
D=1.2を代入して 44sec/(D×k_(0))の値を計算すると、4.960×10^(-3) の値が導き出され、
上記のτは、 τ < 44sec/(D×k_(0)) の条件に適合するものである。

したがって、甲2には、以下の事項が記載されていると認められる。

a 波長可変半導体レーザーを光源として使用し、撮像は、軸方向スキャンで実行される光コヒーレンス断層撮影法(OCT)による人間の網膜の撮像装置である点。
b 角膜におけるスポットサイズが、1.2mm(FWHM)である点。
c τ=0.0000625secである点。
d δk=792m^(-1)である点。
e 44sec/(D×k_(0))の値として、4.960×10^(-3) の条件が導き出されることより、
上記τが、 τ < 44sec/(D×k_(0)) の条件を満たす点。

ウ 甲3の記載事項
甲3には、以下の記載がある。なお、下線は当審において付与したものである。

(甲3-1)
「In this paper, we report the development of a high-performance wavelength-swept laser with a center wavelength at 1050 nm.」(第4405頁第22-23行)(当審訳:本論文では、中心波長1050nmの高性能波長掃引レーザーの開発を報告する。)

(甲3-2)
「From this value, we calculated the instantaneous linewidth of laser output to be 0.11 nm.」(第4406頁第27-28号)(当審訳:この値から、レーザー出力の瞬時線幅を0.11nmであると計算した。)

上記(甲3-1)及び(甲3-2)より、λ_(0)=1050nm、δλ=0.11nmであるから、
上記1(1)で説示したとおり、k=2π/λの関係式を使って、δk=2π・δλ/λ^(2) を計算すると、
δk ≒ 627m^(-1) が導き出せる。

エ 甲4ないし甲8の記載事項
取消理由2には引用していないが、申立人により提示された甲4ないし甲8には以下の事項が記載されている。

a 甲4の記載事項
甲4には、波数の意味の説明が記載されている。

b 甲5の記載事項
甲5には、波数の意味の説明が記載されている。

c 甲6の記載事項
甲6には、半値幅の意味の説明が記載されている。

d 甲7の記載事項
甲7の段落【0004】には、波数のスペクトル幅ΔKの求め方が記載されている。

e 甲8の記載事項
甲8の段落【0044】等を参照すると、交差分散分光計を使用したスペクトル領域光コヒーレンス断層放射線写真システムにおいて、カメラが設けられた点が記載されている。

(2) 本件訂正発明1について

ア 対比

本件訂正発明1を以下のように分説する。

1A) 可動サンプルに対してAスキャンを行うために、波長可変レーザー光源とサンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを有する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、
1B) 3mmよりも小さな直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射され、
1C) 前記光源はδk<168m^(-1)の線幅を有し、
1D) 前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心として時間τ<44sec/(D×k_(0))で実施され、
1E) 3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が前記光源の調整時間τの期間中に前記サンプルに導かれる
1F) ことを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

そして、本件訂正発明1と甲1発明とを以下に対比する。

(ア) 本件訂正発明1の1A)の特定事項について
a 眼が可動であることは自明であるから、甲1発明の「サンプル86」は、本件訂正発明1の「可動サンプル」に相当する。また、甲1発明の「波長掃引レーザ源95」は、本件訂正発明1の「波長可変レーザー光源」に相当する。
b 甲1発明の「サンプル86から反射され」る「光信号」は、本件訂正発明1の「サンプルから後方散乱される光」に相当する。
c 甲1発明は、「サンプル86から反射され」る「光信号」を受けるものであるから、「サンプル86から反射され」る「光信号」を受ける部材を有することは当業者にとって明らかであり、当該「サンプル86から反射され」る「光信号」を受ける部材は、本件訂正発明1の「サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバ」に相当する。
d 甲1発明は「フーリエ変換を通してAスキャン1回の持続時間にわたって時間の関数として記録される信号から、」「サンプル86」の「画像の単一のピクセルを構築する」ものであり、「サンプル86」に対して「Aスキャン」の実施を要するものである。そして、甲1発明における「波長掃引レーザ源95」と、「サンプル86から反射され」る「光信号」を受ける部材は、「Aスキャン」の実施のために備えられることは当業者にとって明らかである。
よって、甲1発明の「フーリエ変換を通してAスキャン1回の持続時間にわたって時間の関数として記録される信号から、」「サンプル86」の「画像の単一のピクセルを構築する」ために、「波長掃引レーザ源95」と、「サンプル86から反射され」る「光信号」を受ける部材を備えることは、本件訂正発明1の「サンプルに対してAスキャンを行うために、」「波長可変レーザー光源」と「レシーバ」を有することに相当する。
e 甲1発明の「光学周波数ドメイン撮像(OFDI)装置」は、「周波数ドメイン干渉測定を利用して光学撮像を実行する装置」であり、この「周波数ドメイン干渉測定」は、本件訂正発明1の「掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)」に相当するから、甲1発明の「光学周波数ドメイン撮像(OFDI)装置」は、本件訂正発明1の「掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置」に相当する。
f よって、甲1発明の「フーリエ変換を通してAスキャン1回の持続時間にわたって時間の関数として記録される信号から、画像の単一のピクセルを構築する」ために、「波長掃引レーザ源95」と、「サンプル86から反射され」る「光信号」を受ける部材を備える「光学周波数ドメイン撮像(OFDI)装置」は、本件訂正発明1の「可動サンプルに対してAスキャンを行うために、波長可変レーザー光源とサンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを有する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置」に相当する。

(イ) 本件訂正発明1の1B)ないし1D)の特定事項について
a 甲1発明の「サンプル86」に「反射され」る「波長掃引レーザ源95」からの「信号」は、本件訂正発明1の「サンプルの表面に照射され」る「測定ビーム」に相当する。そして、甲1発明の上記「信号」は、所定の直径を備えることは明らかであるから、甲1発明と本件訂正発明1とは、所定の直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射される点で共通する。
b 甲1発明の「波長掃引レーザ源95」が所定の線幅を有することは当業者にとって明らかである。よって、甲1発明と本件訂正発明1とは、光源が所定の線幅を有する点で共通する。
c 甲1発明において、「波長掃引レーザ源95」の掃引を所定の周期で行っていることは明らかであり、甲1発明の「波長掃引レーザ源95」の掃引は、本件訂正発明1の「光源の調整」に相当することから、甲1発明と本件訂正発明1とは、光源の調整が所定の周期で実施される点で共通する。
d よって、甲1発明と本件訂正発明1とは、
所定の直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射され、
前記光源は所定の線幅を有し、
前記光源の調整は所定の周期で実施される点
で共通する。

(ウ) 本件訂正発明1の1E)の特定事項について
甲1発明は、本件訂正発明1の1E)の特定事項を有さない。

(エ) 本件訂正発明1の1F)の特定事項について
上記(ア)eで検討したとおり、甲1発明の「光学周波数ドメイン撮像(OFDI)装置」は、本件訂正発明1の「掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置」に相当する。

よって、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
可動サンプルに対してAスキャンを行うために、波長可変レーザー光源とサンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを有する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、
所定の直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射され、
前記光源は所定の線幅を有し、
前記光源の調整は所定の時間で実施される
掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

そして、両者は以下の点で相違する。
<相違点>
波長可変レーザー光源及び測定ビームの条件に関して、本件訂正発明1は、「3mmよりも小さな」直径Dの測定ビームを用いてサンプルの表面が照射され、前記光源は「δk<168m^(-1)」の線幅を有し、前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心として時間「τ<44sec/(D×k_(0))」で実施され、「3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が前記光源の調整時間τの期間中に前記サンプルに導かれる」ことが特定されているのに対して、甲1発明は、それらの条件が不明である点。

イ 判断

上記相違点について検討する。

上記(1)「イ 甲2の記載事項」を参照すると、甲2には、角膜におけるスポットサイズが1.2mm(FWHM)であることが記載されていることから、上記相違点に係る構成のうち、「3mmよりも小さな」直径Dの測定ビームを用いてサンプルの表面が照射される点は記載されている。
また、 τ < 44sec/(D×k_(0)) の条件を満たす点が記載されている。

しかしながら、線幅δkに関して、甲2の記載事項より導き出される「δk=792m^(-1)」の値は、δk<168m^(-1)の条件を満たしていない。

また、上記(1)「ウ 甲3の記載事項」を参照すると、甲3には、「δk≒627m^(-1)」の値となるものは記載されているが、甲3に記載されたものもδk<168m^(-1)の条件を満たしていない。

したがって、上記相違点に係る構成のうち、少なくとも、δk<168m^(-1)の線幅を有する点は、甲2及び甲3には記載されていないのであるから、甲1発明に甲2及び甲3の記載事項をいかに組み合わせてもδk<168m^(-1)が導出できるものではなく、甲1発明、甲2及び甲3の記載事項に基づいてδk<168m^(-1)とすることが当業者にとって容易になし得たことであるとはいえない。

また、他に申立人が示した甲4ないし甲8においても、δkの数値範囲についての記載は何ら存在しない。

ウ 小括

よって、本件訂正発明1は、上記相違点の他の構成について検討するまでもなく、甲1ないし甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3) 本件訂正発明2ないし6について

本件訂正発明2ないし6は、本件訂正発明1のすべての構成を含み、本件訂正発明1を更に減縮したものであるから、本件訂正発明1についての判断と同様の理由により、甲1ないし甲8に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4) 本件訂正発明7について

ア 対比

本件訂正発明7を以下のように分説する。

7A) 角膜を有する眼球を含む可動サンプルに関する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、波長可変レーザー光源と、サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを備え、
7B) 前記サンプルは3mmよりも小さな直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面に照射され、
7C) Aスキャンの測定範囲は、前記サンプルの深さに対応し、
7D) 前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、
7E) 装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、角膜の前方で設定された参照面を有し、前記光源は、角膜の前方で設定された前記参照面に応じたδk<81m^(-1)の線幅を有することを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

そして、本件訂正発明7と甲1発明とを以下に対比する。

(ア) 本件訂正発明7の7A)の特定事項について
a 甲1発明の「サンプル86は眼である」から、甲1発明の「サンプル86」は、角膜を有する眼球を含むことは当業者にとって明らかである。そして、眼が可動であることは自明であるから、甲1発明の「サンプル86」は、本件訂正発明7の「角膜を有する眼球を含む可動サンプル」に相当する。
b 甲1発明の「光学周波数ドメイン撮像(OFDI)システム」は、「周波数ドメイン干渉測定を利用して光学撮像を実行する装置」であり、「波長掃引レーザ源95」を用いるものであるから、この「周波数ドメイン干渉測定」は、本件訂正発明7の「掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)」に相当し、甲1発明の「光学周波数ドメイン撮像(OFDI)システム」は、本件訂正発明7の「掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置」に相当する。
c 甲1発明の「波長掃引レーザ源95」は、本件訂正発明7の「波長可変レーザー光源」に相当する。
d 甲1発明の「サンプル86から反射され」る「光信号」は、本件訂正発明7の「サンプルから後方散乱される光」に相当する。
e 甲1発明は、「サンプル86から反射され」る「光信号」を受けるものであるから、「サンプル86から反射され」る「光信号」を受ける部材を有することは当業者にとって明らかであり、当該「サンプル86から反射され」る「光信号」を受ける部材は、本件訂正発明7の「サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバ」に相当する。

(イ) 本件訂正発明7の7B)ないし7D)の特定事項について
a 甲1発明の「サンプル86」に「反射され」る「波長掃引レーザ源95」からの「信号」は、本件訂正発明7の「サンプルの表面に照射され」る「測定ビーム」に相当する。そして、甲1発明の上記「信号」は、所定の直径を備えることは明らかであるから、甲1発明と本件訂正発明1とは、所定の直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射される点で共通する。
b 甲1発明は「フーリエ変換を通してAスキャン1回の持続時間にわたって時間の関数として記録される信号から、」「サンプル86」の「画像の単一のピクセルを構築する」ものであり、「サンプル86」に対して「Aスキャン」の実施を要するものである。そして、当該「Aスキャン」によって測定される範囲が、「サンプル86」に対応した所定の範囲となることは、当業者にとって明らかである。
c 甲1発明において、「波長掃引レーザ源95」の掃引を所定の周期で行っていることは明らかであり、甲1発明の「波長掃引レーザ源95」の掃引は、本件訂正発明7の「光源の調整」に相当することから、甲1発明と本件訂正発明7とは、光源の調整が所定の周期で実施される点で共通する。
d よって、甲1発明と本件訂正発明7とは、
前記サンプルは所定の直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射され、
Aスキャンの測定範囲は、前記サンプルの深さに対応し、
前記光源の調整は所定の周期で実施される点
で共通する。

(ウ) 本件訂正発明7の7E)の特定事項について
a 甲1発明の「リファレンスアーム80」、「サンプルアーム84」は、それぞれ、本願訂正発明7の「参照アーム」、「サンプルアーム」に相当し、甲1発明の「リファレンスアーム80」、「サンプルアーム84」、及び、「リファレンスアーム80」と「サンプルアーム84」からの信号を検出する「光検出器88」を含む構成は、本件訂正発明7の「サンプルアームと参照アームとを含む干渉計」に相当する。
b 甲1発明の「リファレンスミラー82」は、本件訂正発明7の「参照面」に相当する。
c 甲1発明の「波長掃引レーザ源95」からの「信号」が、所定の線幅を有することは当業者にとって明らかである。
d よって、甲1発明と本件訂正発明7とは、
装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、参照面を有し、前記光源は、所定の線幅を有する点、
で共通する。

(エ) 本件訂正発明7の7F)の特定事項について
上記(ア)bで検討したとおり、甲1発明の「光学周波数ドメイン撮像(OFDI)システム」は、本件訂正発明7の「掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置」に相当する。

よって、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
角膜を有する眼球を含む可動サンプルに関する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、波長可変レーザー光源と、サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを備え、
前記サンプルは所定の直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射され、
Aスキャンの測定範囲は、前記サンプルの深さに対応し、
前記光源の調整は所定の周期で実施され、
装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、参照面を有し、前記光源は、所定の線幅を有する
掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

そして、両者は以下の点で相違する。
<相違点>
波長可変レーザー光源、測定ビーム、及び、参照アームにおける参照面の位置の条件に関して、本件訂正発明7は、「3mmよりも小さな」直径Dの測定ビームを用いてサンプルの表面が照射され、前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心として時間「τ<44sec/(D×k_(0))」で実施され、参照アームは、角膜の前方で設定された参照面を有し、前記光源は、角膜の前方で設定された前記参照面に応じた「δk<81m^(-1)」の線幅を有することが規定されているのに対して、甲1発明は、それらの条件が規定されていない点。

イ 判断

上記相違点について検討する。

上記(1)「イ 甲2の記載事項」を参照すると、線幅δkに関して、甲2の記載事項より導き出される「δk=792m^(-1)」の値は、δk<81m^(-1)の条件を満たしていない。

また、上記(1)「ウ 甲3の記載事項」を参照すると、甲3には、「δk≒627m^(-1)」の値となるものは記載されているが、甲3に記載されたものもδk<81m^(-1)の条件を満たしていない。

したがって、上記相違点に係る構成のうち、少なくとも、δk<81m^(-1)の線幅を有する点は、甲2及び甲3には記載されていないのであるから、甲1発明に甲2及び甲3の記載事項をいかに組み合わせてもδk<81m^(-1)が導出できるものではなく、甲1発明、甲2及び甲3の記載事項に基づいてδk<81m^(-1)とすることが当業者にとって容易になし得たことであるとはいえない。

また、他に申立人が示した甲4ないし甲8においても、δkの数値範囲についての記載は何ら存在しない。

ウ 小括

よって、本件訂正発明7は、上記相違点の他の構成について検討するまでもなく、甲1ないし甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5) 本件訂正発明8について

ア 対比

本件訂正発明8と甲1発明とを対比すると、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
網膜を有する眼球を含む可動サンプルに関する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、波長可変レーザー光源と、サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを備え、
前記眼球は所定の直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射され、
Aスキャンの測定範囲は、前記眼球の深さに対応し、
前記光源の調整は所定の周期で実施され、
装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、参照面を有し、前記光源は、所定の線幅を有する
掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。

そして、両者は以下の点で相違する。
<相違点>
波長可変レーザー光源、測定ビーム、及び、参照アームにおける参照面の位置の条件に関して、本件訂正発明8は、「3mmよりも小さな」直径Dの測定ビームを用いてサンプルの表面が照射され、前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心として時間「τ<44sec/(D×k_(0))」で実施され、参照アームは、網膜の後方で設定された参照面を有し、前記光源は、網膜の後方で設定された前記参照面に応じた「δk<47m^(-1)」の線幅を有することが規定されているのに対して、甲1発明は、それらの条件が規定されていない点。

イ 判断

上記相違点について検討する。

上記(1)「イ 甲2の記載事項」を参照すると、線幅δkに関して、甲2の記載事項より導き出される「δk=792m^(-1)」の値は、δk<47m^(-1)の条件を満たしていない。

また、上記(1)「ウ 甲3の記載事項」を参照すると、甲3には、「δk≒627m^(-1)」の値となるものは記載されているが、甲3に記載されたものもδk<47m^(-1)の条件を満たしていない。

したがって、上記相違点に係る構成のうち、少なくとも、δk<47m^(-1)の線幅を有する点は、甲2及び甲3には記載されていないのであるから、甲1発明に甲2及び甲3の記載事項をいかに組み合わせてもδk<47m^(-1)が導出できるものではなく、甲1発明、甲2及び甲3の記載事項に基づいてδk<47m^(-1)とすることが当業者にとって容易になし得たことであるとはいえない。

また、他に申立人が示した甲4ないし甲8においても、δkの数値範囲についての記載は何ら存在しない。

ウ 小括

よって、本件訂正発明8は、上記相違点の他の構成について検討するまでもなく、甲1ないし甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(6) 本件訂正発明9について

本件訂正により、請求項9は削除された。

(7) 本件訂正発明10ないし14について

本件訂正発明10ないし14は、本件訂正発明7又は8のすべての構成を含み、本件訂正発明7又は8を更に減縮したものであるから、本件訂正発明7又は8についての判断と同様の理由により、甲1ないし甲8に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 新たに追加された証拠と申立人意見書における取消理由2についての主張について

申立人は、申立人意見書に添付して下記の参考資料を提出している。
参考資料1:Wolfgang Drexler, James G. Fujimoto Editors, Optical Coherence Tomography , Technology and Applications, 2nd Edition, Volume 1, Springer International Publishing Switzerland, 2015, pp.70-75
参考資料2:J. A. Izatt, M. A. Choma, Theory of Optical Coherence Tomography, Springer,Berlin,Heidelberg, 2008, pp.47-72
参考資料3:「IOLマスター Optical Biometry Advanced Technology」,カールツァイスメディテック株式会社,2004年9月
参考資料4:「レーザ製品の安全基準」,JIS C 6802:2005(IEC 60825-1:2001),財団法人日本規格協会,平成17年1月20日,p.4,18,27,29

申立人意見書によると、参考資料1及び2は、波数について「k=2π/λ」との定義である場合について「光源がδk<168m^(-1)の線幅」を有することを導き出そうとして追加した参考資料である。
しかし、波数kが「k=2π/λ」であることは、上記第6の1(1)で述べたように、本件特許の原出願から一貫して「k=2π/λ」とされていることに鑑みれば、本件特許の波数kについて「k=2π/λ」と解した場合において、「光源がδk<168m^(-1)の線幅」となり得ることを示す証拠があれば、本件特許についての異議申立期間にそれらを提出すべきであるところ、それらは2回目の訂正の請求後になって初めて提出されたものである。そして、これらの参考資料1及び2の論文に基づいて甲2の技術的事項を計算することが周知ともいえないので、上記参考資料1及び2を、上記第5「2 取消理由2(特許法第29条第2項について)」の証拠として採用することはできない。

第8 取消理由に通知しなかった申立理由についての当審の判断

1 申立理由2における特許法第36条第4項第1号について

(1) 請求項1について
申立人は、訂正前の請求項1に係る発明について、k及びδkの定義が不明確であり、また、「光子束」の定義が不明確であり、本件特許明細書等の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない旨を主張している。
しかしながら、上記「第6 取消理由についての当審の判断」「1 取消理由1について」の「(1) 取消理由1(1)について」及び「(2) 取消理由1(2)について」において検討したように、k及びδkの定義、並びに、「光子束」の定義は、明確でないとまではいえず、当業者が本件訂正発明1を実施することができないとまではいえない。
よって、特許法第36条第4項第1号に係る申立理由2によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

(2) 請求項3について
申立人は、訂正前の請求項3に係る発明について、請求項3の記載によって特定される具体的技術内容が不明確であるから、本件特許明細書等の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない旨を主張している。
しかしながら、「第6 取消理由についての当審の判断」「1 取消理由1について」の「(4) 取消理由1(4)について」において検討したように、訂正後の請求項3の記載は明確でないとまではいえず、当業者が本件訂正発明1を実施することができないとまではいえない。
よって、特許法第36条第4項第1号に係る申立理由2によっては、本件訂正後の請求項3に係る特許を取り消すことはできない。

(3) 請求項7、8について
申立人は、訂正前の請求項7に係る発明について「前記光源はδk<81m^(-1)の線幅を有し、」の記載に関して、また、訂正前の請求項8に係る発明について「前記光源はδk<47m^(-1)の線幅を有し、」の記載に関して、本件特許明細書等には、それらの「線幅」の範囲が記載されていないことから、本件特許明細書等の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない旨を主張している。
しかしながら、「第6 取消理由についての当審の判断」「1 取消理由1について」の「(5) 取消理由1(5)について」において検討したように、「δk<81m^(-1)の線幅」及び「δk<47m^(-1)の線幅」については本件特許明細書等に記載されていると認められ、当業者が本件訂正発明7及び8を実施することができないとまではいえない。
よって、特許法第36条第4項第1号に係る申立理由2によっては、本件訂正後の請求項7及び8に係る特許を取り消すことはできない。

(4) 請求項9について
申立人は、訂正前の請求項9に係る発明について、請求項9の記載によって特定される具体的技術内容が不明確であるから、本件特許明細書等の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない旨を主張している。
しかしながら、本件訂正により、請求項9は削除された。

第9 結語

以上のとおりであるから、取消理由通知で通知した取消理由並びに特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件訂正後の請求項1ないし8、10ないし14係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1ないし8、10ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項9に対してなされた特許異議の申立てについては、本件請求項9が訂正により削除され、申立ての対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動サンプルに対してAスキャンを行うために、波長可変レーザー光源とサンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを有する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、
3mmよりも小さな直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面が照射され、
前記光源はδk<168m^(-1)の線幅を有し、
前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心として時間τ<44sec/(D×k_(0))で実施され、
3×10^(8)?1×10^(13)の光子束が前記光源の調整時間τの期間中に前記サンプルに導かれることを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項2】
参照アームを有する干渉計を備えることを特徴とする請求項1に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項3】
前記サンプルは、眼球であり、前記干渉計は、サンプルアームを含み、前記参照アームは、前記Aスキャンにおいて網膜および角膜に対して適切に設定された参照面を有し、前記光源は、前記Aスキャンにおける網膜および角膜に対する前記参照面の位置に応じた最大レーザー線幅を有することを特徴とする請求項2に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項4】
前記サンプルは、眼球であり、前記測定ビームは眼球に入る前に収束することを特徴とする請求項1に記載の眼球用の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項5】
前記サンプルは、眼球であり、前記測定ビームは眼球に入る前にコリメートされ、測定が眼球の軸上および眼球の視軸上のうちの一つで実施されるように眼球を案内して眼球を固定する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項6】
参照アーム、光源アーム、検出アーム、および参照干渉計のうち少なくとも一つにおけるモノモードファイバーを備えることを特徴とする請求項1に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項7】
角膜を有する眼球を含む可動サンプルに関する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、波長可変レーザー光源と、サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを備え、
前記サンプルは3mmよりも小さな直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面に照射され、
Aスキャンの測定範囲は、前記サンプルの深さに対応し、
前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、
装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、角膜の前方で設定された参照面を有し、前記光源は、角膜の前方で設定された前記参照面に応じたδk<81m^(-1)の線幅を有することを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項8】
網膜を有する眼球を含む可動サンプルに関する掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定(SSOCDR)装置であって、波長可変レーザー光源と、サンプルから後方散乱される光に対する少なくとも1つのレシーバとを備え、
前記眼球は3mmよりも小さな直径Dの測定ビームを用いて前記サンプルの表面に照射され、
Aスキャンの測定範囲は、前記眼球の深さに対応し、
前記光源の調整は重心波数k_(0)を中心としてτ<44sec/(D×k_(0))で実施され、
装置は、サンプルアームと参照アームとを含む干渉計を備え、前記参照アームは、網膜の後方で設定された参照面を有し、前記光源は、網膜の後方で設定された前記参照面に応じたδk<47m^(-1)の線幅を有することを特徴とする掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項9】 (削除)
【請求項10】
前記測定ビームは眼球に入る前に収束することを特徴とする請求項7又は8に記載の眼球用の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項11】
参照アーム、光源アーム、検出アーム、および参照干渉計のうち少なくとも一つにおけるモノモードファイバーを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項12】
400nm?900nmの波長を有する照準マーカーを眼球に投影するための装置を備えるとともに、眼球に対する測定ビームの調整をチェックするためのカメラを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項13】
前記測定ビームは眼球に入る前にコリメートされ、測定が眼球の軸上および眼球の視軸上のうちの一つで実施されるように眼球を案内して眼球を固定する手段を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
【請求項14】
眼球に対する測定ビームの調整をチェックするためのカメラを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-10-23 
出願番号 特願2015-93007(P2015-93007)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (A61B)
P 1 651・ 121- YAA (A61B)
P 1 651・ 537- YAA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安田 明央  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 渡戸 正義
▲高▼橋 祐介
登録日 2017-01-13 
登録番号 特許第6073406号(P6073406)
権利者 カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
発明の名称 掃引信号源光学コヒーレンスドメイン反射率測定用の装置  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 本田 淳  

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