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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1346797
異議申立番号 異議2018-700694  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-27 
確定日 2018-12-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6284240号発明「構造物情報提供システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6284240号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6284240号の請求項1?8に係る特許についての出願は、平成27年2月3日に出願され、平成30年2月9日にその特許権の設定登録がされ、同年同月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年8月27日に特許異議申立人伊藤剣太(以下、「特許異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

2 本件発明
特許第6284240号の請求項1?8の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す構造物データと前記構造物の位置を示す情報とを対応付けて格納する管理サーバと、
ネットワークを介して前記管理サーバから受信した情報の出力が可能なユーザ端末とを有して構成され、
前記管理サーバは、構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、該点群を構成する各点の空間座標を含む点群データを格納し、
前記点群で表される構造物及び地形から任意の範囲を選択する情報とともに、前記構造物データを指定する情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報と前記指定された構造物データとを対応付けて格納し、
前記点群を構成する点の位置を示す情報の指定情報を前記ユーザ端末から受信すると、該位置を示す情報に対応付けられた前記構造物データを抽出し前記ユーザ端末へ送信することを特徴とする構造物情報提供システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、地図上の位置の座標と前記点群の空間座標とが対応付けられている地図データを格納し、
前記地図上の任意の範囲を選択する情報とともに、前記構造物データを指定する情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された地図上の範囲に含まれる座標の情報と前記指定された構造物データとを対応付けて格納し、
前記地図上の位置を示す情報の指定情報を前記ユーザ端末から受信すると、該位置に含まれる座標の情報に対応付けられた前記構造物データを抽出し前記ユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項1記載の構造物情報提供システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記抽出した構造物データが複数ある場合、該複数の構造物データのリストの情報を前記ユーザ端末へ送信し、前記構造物データのリストの情報から前記構造物データが選択された旨の情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された構造物データを前記ユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項1又は2記載の構造物情報提供システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記構造物データとして、前記構造物の製造過程の点群データを含むことを特徴とする請求項2又は3記載の構造物情報提供システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記構造物データとして、前記構造物を示す情報と、該構造物を構成する構成部品を示す情報とを互いに対応付けて格納することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の構造物情報提供システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、前記構造物データとして、配合、強度試験結果、スランプ試験結果、及び施工条件のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の構造物情報提供システム。
【請求項7】
前記管理サーバは、前記構造物の解析用ソフトウェアの解析に必要な項目の情報を前記構造物データから抽出し、該解析用ソフトウェアに入力することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の構造物情報提供システム。
【請求項8】
前記管理サーバは、前記構造物のFEM解析に用いるFEMモデルの図形情報を、該FEMモデルに該当する構造物の構成部品の位置情報に対応付けて格納し、該位置情報を前記ユーザ端末から受信すると、該受信した位置情報に対応付けられたFEMモデルを用いてFEM解析を実行することを特徴とする請求項7記載の構造物情報提供システム。」

3 申立理由の概要
特許異議申立人は、主たる証拠として、藤田陽一外2名,「属性を付与した道路点群データの建設ライフサイクルでの利用」,土木学会論文集F3(土木情報学),70巻(2014)2号,2014年(甲第1号証)、従たる証拠として、特開2015-007341号公報(甲第2号証)、特開2009-204615号公報(甲第3号証)、特開2003-195746号公報(甲第4号証)、石渡要介外3名,「オクルージョンを考慮したレーザ点群抽出に基づく看板計測アプリケーション」,情報処理学会論文誌 53巻第1号,2012年(甲第5号証)、特開2012-26848号公報(甲第6号証)、特開2004-272782号公報(甲第7号証)、特開2013-58106号公報(甲第8号証)を提出し、請求項1?8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?8に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。

4 文献の記載
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証には、次の記載がある。
(ア) 「本研究では、点群データへの属性付与の観点をまとめ、属性付与した点群データの利用法を提案した。事例として、建設ライフサイクルの設計、施工、維持管理の各段階に属性付与点群を適用し、点群データ利用可能であることを示した。(I_144頁抄録)

(イ) 「(1) 点群データの利用
3次元計測機器を用いることで、現況の3次元点群データを容易に取得可能となり、様々な分野で利用されている。設計対象地を計測し現況を可視化する、構造物を計測し維持管理情報を取得する、などの利用が進められている。このように、点群データ自体、高い有意性がある。」(I_145頁左欄6?11行)」

(ウ) 「(3)属性付与の意義
前節で述べた課題に対して、先行研究として筆者らは、点群データ分析・編集に関する提案をしてきた。位置情報(x,y,z)に着目した形状分割、色彩情報に着目した人工物特定、任意の位置指定によるデータ編集法などを示し、点群データの使用性向上を試みてきた。これらの手法を用いることで、点群データの分類、分割が可能となる。たとえば、文献16)では、XY平面と立面で抽出範囲を指定することで、点群データの分割ができ、別ファイルとして出力可能であることを示している。また、点群データへの属性付与は、図-3のように、分割した点群データQiのIDと、付与する属性情報ZiのIDを紐づけして行う。」(I_145頁左欄33行?右欄1行)

(エ) 「(1) 点データの属性分析
点データが保持する数値情報を分析することで、点群データを「群」として分類、判別できる。以下に、点データが保持する代表的な情報の分析についてまとめる。
a) 位置情報
位置情報(x,y,z)のそれぞれに閾値を設定することで、3軸に沿った面、たとえば、標高・断面などの抽出が可能となる。また、点と点の相対的位置関係から構造物の形状分析もおこなえる。さらに視覚的に位置、範囲を指定することで形状抽出も可能である。
b) 反射強度
計測データの反射強度に閾値を設定することで、構造物の材質による分類、たとえば、道路面中の白線抽出などが可能となる。
c) 色情報
計測データ中の色情報(r,g,b)を組み合わせ、閾値を設定することで構造物の色で分類できる。また、RGBをHSVへ変換することで、人工物と構造物との判別が可能となる。
上記のように,点データが保有する情報を分析することで、点データの分類・判別がおこなえる。」(I_146左欄15行?34行)

(オ)「(2) 点群データへの属性付与の観点
点群データは「群」として捉えた場合、単なる点の集合体であり「群」に意味づけがなされていない。この点群データを利用者の目的に応じ属性付与することで、点群データを、意味を持ったデータとして利用することができる。
点群データへの属性付与を、利用する際の観点に応じて図-5のように2種類に分類する。本論文では、利用目的が形の場合を形状属性付与とし、構造物などの性質、状態の場合を性状属性付与と呼ぶこととする。
a) 形状属性付与
(1)(審決注:原文では丸囲い数字の1) 施設属性付与
図-6のように点群データ中の施設、たとえば、路面、電柱、標識のような施設毎に属性付与することを、施設属性付与と呼ぶこととする。施設へ属性を与えることで、属性付与した施設とその他の点群データを区別できる。これにより、計測された点群データの施設を用いた移設計画や設計時の施工性確認などに点群データを利用可能となる。
(2)(審決注:原文では丸囲い数字の2) 任意属性付与
図-7のように、設計対象範囲や補修範囲、建物の一部分というように、任意の範囲、部分へ属性を与えるこを任意属性付与と呼ぶこととする。これにより、協議に必要な箇所のみの点群データ利用や、既存構造の撤去計画などが可能となる。
b) 性状属性付与
図-8のように、路面の状態や残耐用年数などで属性を付与することを、性状属性付与と呼ぶこととする。これにより、管理情報を視覚的に把握可能となり、補修の優先度算出や補修計画立案などに繋がる。」(I_146右欄1行?I_147左欄7行)

(カ)「(3)属性付与データの利用法
属性付与した点群データは、図-9のような利用法が可能となる。
a) オブジェクトとしての利用
点群データをCADと同様に扱うことができ、樹木のみを非表示にする、標識を移動するといった利用が可能となる。
b) 情報のリンク
属性付与した点群データへ写真やPDFファイル、Excelといったドキュメントの紐づけが可能となる。これにより、既存の管理情報を、点群データをベースに管理することができる。
c) 情報の可視化
点群データへ情報を付加することで、図-9のように、情報の可視化が可能となる。これにより、点群データ上で情報の確認が可能となる。」(I_147左欄8行?21行)

(キ) 「(2) 点群データと他データの併用
点群データでは計測不可や計測不十分な物が存在する。たとえば、新設構造物や地下埋設物の構造物や、天候や計測条件によりに計測できていない箇所などである。その場合、点群データにCADデータや、図面、写真などの他のデータを併用し、モデル空間を構築することで、設計、施工、維持管理の各段階での利用が可能となる。図-12に、点群データ中にCADで作成した地下埋設物や重機を追加した例を示す。現況を再現した点群データに計測不可構造物や新設構造物、重機を配置することで、現況に則した協議・検討が可能となる。たとえば、施工過程を可視化することで、ヤード選定、重機の搬入、配置位置、可動範囲といった確認がモデル空間上で可能となる。」(I_148左欄1行?13行)

(ク) 「図-13は、点群データに計測されている旧高架橋を除去し、新設の歩道橋を工程表に従い、事業の施工状況を再現・可視化した図である。このモデル空間を用い、施工全体の重機や機材の配置位置の確認・調整をした。施工工程を再現することで、重機と架線との干渉や、地下埋設物と新設歩道橋との干渉発見に繋がった。」(I_148左欄38行?43行)

(ケ) 「本事例では点群データへ属性付与をおこなっていたため、目視だけでなく、シミュレータ内で架設ブロックがどの構造物と干渉しているか判別可能であった。」(I_148右欄9行?12行)

(コ) 「b) 施工性検討
点群データへ属性付与し、点群モデル空間を構築した図を示す(図-16)。図-16ではMMSで計測した道路データに、固定式で計測した旧歩道橋、街灯のデータ、周辺の建物のデータを順次追加している。其々、異なる属性としており、CADオブジェクトと同様に操作可能であった。さらに、簡易的に作成したCADオブジェクト、図面を追加し、協議・検討した。」(I_149左欄14行?21行)

(サ) 「c) 縦横断抽出
点群データから縦断線形を抽出した結果を図-22に示す。点群データを用いることで、管理する路線の縦断勾配や線形の把握が可能であった。また、任意の横断を抽出した結果を図-23に示す。これにより、横断勾配やわだち掘れの確認が現地に行かずPC上で実施できた。点群データは3次元データであるため、道路管理をする際の任意断面の確認、縦断勾配の把握が可能であった。」(I_150左欄8行?15行)

(シ) 図-5は、「属性付与の観点」を示す図であり、図中、「施設属性付与」について「・構造物名など EX)街灯、電柱」、「任意属性付与」について「・範囲、部分など EX)建替え箇所、撤去部」、「性状属性付与」について「EX)残耐用年数、維持管理指数など」と記載されている。

イ 甲1発明の認定
アの記載によれば、甲第1号証には、建設ライフサイクルの設計、施工、維持管理の各段階に属性付与点群を適用した各事例に係るシステムについての以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

3次元計測機器を用いて取得された点群データに属性を付与し、建設ライフサイクルの設計、施工、維持管理の各段階に属性付与点群を適用して、属性が付与された点群データを設計対象地を計測し現況を可視化する、構造物を計測し維持管理情報を取得する、などして利用する各事例に係るシステムであって(アの(ア)(イ))
点データである位置情報(x,y,z)について閾値を設定して標高・断面などの抽出点データが保持する数値情報の分析、構造物の形状分析又は形状抽出をしたり、点データである計測データの反射強度に閾値を設定して構造物の材質による分類したり、点データである計測データ中の色情報(r,g,b)を組み合わせて閾値を設定して構造物の色で分類したり人工物と構造物との判別することで、点群データを「群」として分類、判別し、(アの(エ))
点群データを利用者の目的に応じ属性付与し、その際、点群データのIDと付与する属性情報ZiのIDを紐づけして点群データへの属性付与が行われ、(アの(ウ)(オ))
ここで、属性付与は、利用目的が形の場合である形状属性付与と構造物などの性質、状態の場合である性状属性付与であり、(アの(オ))
この形状属性付与は、施設毎に構造物名等の属性を付与して計測された点群データの施設を用いた移設計画や設計時の施工性確認などに点群データを利用可能とする施設属性付与と、任意の範囲や部分へ建替え箇所等の属性を与えて協議に必要な箇所のみの点群データ利用や既存構造の撤去計画などを可能とする任意属性付与であり、(アの(オ)、(シ))
この性状属性付与は、路面の状態や残耐用年数などで属性を付与して補修の優先度算出や補修計画立案などに繋がる管理情報の視覚的な把握を可能とするものであり、(アの(オ))
既存の管理情報の管理のためのベースとなる属性付与した点群データへ写真やPDFファイル、Excelといったドキュメントの紐づけや情報の可視化のために利用したり、(アの(カ))
施工過程を再現し可視化してモデル空間上でのヤード選定、重機の搬入、配置位置、可動範囲といった確認を可能とする等、CADデータや図面、写真などの他のデータを併用して設計、施工、維持管理の各段階で利用し(アの(キ)(ク))、
設計段階に適用した事例では、点群データへ属性付与をおこなっていたため、目視だけでなく、シミュレータ内で架設ブロックがどの構造物と干渉しているか判別可能であり、(アの(ケ))
施行段落に適用した事例では、MMSで計測した道路データに、固定式で計測した旧歩道橋、街灯のデータ、周辺の建物のデータを順次追加し、CADオブジェクトと同様に操作可能であり、(アの(コ))
維持管理段階に適用した事例では、横断勾配やわだち掘れの確認が現地に行かずPC上で実施でき、道路管理をする際の任意断面の確認、縦断勾配の把握が可能である、(アの(サ))
システム。

(2)甲第2号証
甲第2号証には、次の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】ところで、路面の補修に際しては予算の制約があるので、点検区間内の補修が必要な路面に予算内で補修工費を割り当てるための計画が必要とされる。しかし、路面状態ごとに補修のための作業工種が異なるところ、補修に必要とされる補修工費も作業工種ごとに異なるので、補修が必要な路面に一律に補修工費を割り当てると、補修工費の過不足が生じるおそれがある。よって、かかる補修工費の過不足を防止するために、路面状態に応じた補修工費の割当てが求められる。
【0005】上記に鑑みてなされた本発明の目的は、路面補修のための工費を予算内で最適に割り当てることができる、路面補修支援装置等を提供することにある。」

「【0014】図1は本発明の一実施形態にかかる路面補修支援装置の構成例である。この路面補修支援装置1は、ネットワーク10経由で接続されたサーバ装置12とクライアント装置14からなるシステム構成を有する。・・・
【0015】検査車両18は、所定の点検区間の路面を走行して路面状態を検出する。そして、検査車両18は、路面状態データを収集して無線基地局16に無線送信する。・・・検査車両18は、路面状態の検出手段として、たとえば、加速度センサ101をサスペンションに備え、この加速度センサ101により路面の凹凸に起因する振動を検知する。また、検査車両18は、路面状態の検出手段として、走行路面をスキャンして、走行路面のスキャニングデータを取得するスキャン装置102を有する。スキャン装置102は、たとえば、ディジタルスチルカメラなどの撮像装置や、レーザスキャナを含む。スキャニングデータは、走行路面の撮像画像データ、または走行路面上のレーザ照射された点群の位置データなどである。
【0016】・・・
【0017】サーバ装置12は、たとえば、パーソナルコンピュータで構成される。サーバ装置12は、点検区間内の路面について、路面状態に基づき補修の要否を判定し、補修が必要な路面に補修工費の割当てを行って、その結果をクライアント装置14に送る。ここで、補修要否の判断対象となる路面は、点検区間を細分化した任意の単位区間(たとえば、数十m?数百m)である。サーバ装置12は、検査車両18から送られる路面状態データ111、補修工費テーブル112、及び予算データ114を格納する記憶部110を有する。・・・また、サーバ装置12は、路面状態データ処理部116、補修工費計算部118、及びシミュレーション部120を有する。路面状態データ処理部116、補修工費計算部118、及びシミュレーション部120は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)がそれぞれの機能(後述する)に対応する処理プログラムに従って動作することで構成される。かかる処理プログラムは、たとえば記憶部110に予め格納される。
【0018】路面状態データ処理部116は、路面状態データ111を数値化する。たとえば、路面状態データ処理部116は、路面の振動データをIRI(International Roughness Index)値に変換する。・・・また、路面状態データ処理部116は、スキャニングデータから、路面のひび割れの発生状況、及び/または轍の深さを導出する。・・・路面状態データ処理部116は、処理結果を補修工費計算部118に渡す。
【0019】補修工費計算部118は、補修工費テーブル112を参照して、基準状態より路面状態が悪化している単位区間に補修工費を割り当て、点検区間における単位区間の補修工費の合計を計算する。具体的には、補修工費計算部118は、検査車両18から取得した位置情報データに基づいて単位区間を求め、各単位区間について、IRI値、ひび割れ率及び/または轍深さに、それぞれの基準状態として予め設定された閾値を適用し、単位区間ごとにIRI値、ひび割れ率及び轍深さのいずれかが閾値を上回るかを判定する。」

「【0028】補修工費計算部118は、上述のようにして点検区間内の各単位区間に補修工費を割り当てると、点検区間内の補修工費の合計を計算する。そして、補修工費計算部118は、記憶部110から予算データ114を読み出し、計算した補修工費の合計と比較する。そして、合計した補修工費とともに比較結果を表示部126に渡す。本実施形態では、表示部126は、クライアント装置14に設けられる。
【0029】クライアント装置14は、たとえばパーソナルコンピュータで構成される。クライアント装置14は、点検区間の道路図データ122、及び路面状態識別シンボルデータ124を記憶する記憶部130を有する。記憶部130は、RAMやROMで構成される。また、クライアント装置14は、表示部126を有する。表示部126は、CPUが処理プログラムに従って動作することで構成される。処理プログラムは、たとえば記憶部130に予め格納される。
【0030】表示部126は、補修工費の合計が予算内か否かをユーザに表示するためのデータを生成し、クライアント装置14に接続されるディスプレイモニタなどの表示装置132に出力する。表示装置132は、表示部126からのデータに対応した画面を表示する。表示部126は、単位区間ごとに、路面状態に対応する路面状態識別シンボルを重畳させ、表示装置132に表示させる。このとき、表示部126は、路面状態識別シンボルデータ124を記憶部130から読み出す。さらに、表示部126は、点検区間の路面の地形を可視化するための道路図データ122を記憶部130から読み出して、対応する道路図を表示装置132に表示させる。」

「【0045】図6は、点検区間400において路面状態を示す路面状態識別シンボル31、33及び35とともに、路面補修履歴600が表示される例である。ここでは、点検区間の平面視において補修履歴を有する単位区間が、補修回数(すなわち、過去に路面補修費を割当てた回数)に応じたハッチングで示される。そして、路面補修履歴600は、たとえば、ポップアップ画面として表示される。このポップアップ画面は、たとえば、補修履歴を有する単位区間602を選択(たとえば、マウスポインタでクリック、またはタッチパネルをタッチするなど)することで表示される。路面補修履歴600は、単位区間602の登録番号、建設箇所番号、位置情報、上下線区分、施工年月、場所区分、構造物区間、舗装種別、補修理由、作業工種、施工層の厚さ、施工業者名といった初期情報に加え、補修年月日の情報604を含む。補修年月日情報604は、補修費割当が行われその結果が保存された年月日と同期させてもよいし、ユーザが別途、実際の補修年月日に併せて適宜入力するようにしてもよい。このような路面補修履歴600は、記憶部110に格納される。」

これらの記載を総合的に参酌すると、甲第2号証には、路面補修のための工費を予算内で最適に割り当てることができるように、サーバ装置において、所定の点検区間の路面を走行して路面状態を検出する検査車両から送られる路面状態データ等を格納し、基準状態より路面状態が悪化している単位区間に補修工費を割り当て、点検区間における単位区間の補修工費の合計とその補修工費についての予算との比較結果をクライアント装置の表示部に表示すること、及び、単位区間の登録番号、建設箇所番号、位置情報、上下線区分、施工年月、場所区分、構造物区間、舗装種別、補修理由、作業工種、施工層の厚さ、施工業者名といった初期情報に加え、補修年月日の情報を含む路面補修履歴を格納しておき、補修履歴を有する単位区間を選択(たとえば、マウスポインタでクリック、またはタッチパネルをタッチするなど)することでこの路面補修履歴が表示されること、が記載されている。

(3)甲第3号証
甲第3号証には、次の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】これらの手法には以下のような特徴がある。
a)ステレオ視による白線位置検知
(1)2台のカメラで白線位置の取得が可能。
(2)切れ目のない白線の場合、対応点探索の自動化が困難なため、手動による対応点探索が必要。
(3)有効視野角が狭い。
(4)絶対精度が低い。
b)カメラパラメータによる白線位置推定
(1)カメラから道路までの設定距離を一定として計算するため精度が悪い。
(2)精度が車両動揺に左右される。
(3)平坦でない道路では著しく精度が悪化する。
(4)1台のカメラで白線位置の取得が可能。
【0007】本発明は、例えば、MMSを用いて白線以外の道路上・道路脇の地物の位置を計測することを目的とする。
特に、本発明は走行しながら計測データを取得するMMSでは計測データを取得することが困難なキロポストのような幅細の地物やガラスのような鏡面反射性の地物についても高精度に位置を計測することを目的とする。
また、本発明は、ユーザに所望の地点の計測結果を提供するために、ユーザが計測対象としたい地物を指定することを補助することを目的とする。
さらに、本発明は平坦でない道路においても高精度に地物の位置を計測することを目的とする。」

「【0050】道路地物計測装置100は距離データ、角速度データ、測位データ、画像データ、方位・距離データに基づいてユーザの指定した地物の位置を算出する。・・・距離データ、角速度データ、測位データ、画像データ、方位・距離データを観測データとする。
観測データ入力部191は計測台車102で取得された観測データを入力して観測データ記憶部199に記憶する。観測データ記憶部199は計測台車102で取得された観測データ、レーザレーダ取付オフセット、カメラ取付オフセットおよび観測データに基づいて生成された各種データを記憶する。道路地物計測装置100が備える各部および地物識別装置300が備える各部は使用するデータを観測データ記憶部199から入力して各種処理を行い、生成したデータを観測データ記憶部199に記憶する。」

「【0065】図11は、実施の形態1における地物識別装置300の構成図である。デジタイジング処理(S104)を実行する地物識別装置300の機能構成について、図11に基づいて以下に説明する。
【0066】地物識別装置300はモーションステレオ部310、移動体除去部320、地物識別部330および計測画像点取得部340を備える。また、地物識別装置300は観測データ記憶部199にアクセスして観測データを取得できるものとする。但し、地物識別装置300は観測データ記憶部199に相当する記憶部を備えてもよい。・・・
【0069】地物識別部330は、ラベリング部331とエッジ判定部332と地物判定部333とを備え、路面形状モデルが示す各レーザ計測点に位置した地物の種別を特定する。ラベリング部331は路面形状モデルの各レーザ計測点群をグループ分けする。エッジ判定部332はレーザ計測点のグループを細分化する際の境界とするエッジ部分を特定する。地物判定部333はレーザ計測点の各グループについて地物の種別を特定する。例えば、自車が走行しているグループは“道路”であり、その隣接しているグループは“道路外“という具合に地物の種別を特定する。
【0070】計測画像点取得部340は、画像表示部341と画像点入力部342とを備え、ユーザが指定した画像上の位置を示す計測画像点を取得する。画像表示部341は画像と路面形状モデルと画像に写る地物の種別とを重畳して表示装置に表示する。画像点入力部342はユーザが指定した画像上の位置を示す計測画像点を入力装置から入力する。」

「【0123】次に、図12において、計測画像点取得部340が実行する計測画像点取得処理(S204)について説明する。計測画像点取得部340は地物識別部330が識別した車道面と歩道面と壁面とその他の地物との種別についてユーザへの通知を行い(S204a:画像表示処理)、ユーザが指定した計測画像点を入力する(S204b:画像点入力処理)。ユーザに地物の種別を通知する具体的な通知方法には、ユーザが指定した選択領域について“車道”、“歩道”、“壁面”、“その他の地物”という属性を表示する方法がある。」

「【0162】実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で説明した道路地物位置計測処理中の画像表示処理(S204a)において画像表示部341が表示する道路地物計測画面400について説明する。・・・
【0165】画像表示部341は、OS921(またはブラウザ)の機能を用いて、カメラ230により撮影された画像(以下、撮影画像401という)や路面モデル対応点探索部170により算出された地物位置などを表示装置901に表示する。画像点入力部342は、OS921(またはブラウザ)の機能を用いて、ユーザがマウス903やキーボード902などの入力機器を用いて指定した情報(例えば、計測画像点)を入力する。路面モデル対応点探索部170は、計測画像点に対応する三次元座標値として算出した地物位置を計測位置データ記憶部599に記憶する。また、路面モデル対応点探索部170は、地物位置と対応付けて、計測画像点、計測画像点の指定がなされた撮影画像401を識別する指定画像番号および計測画像点で指し示される地物の種類を識別する地物種別を計測位置データ記憶部599に記憶する。以下、対応付けて記憶された地物位置、計測画像点、指定画像番号および地物種別を計測位置データという。・・・
【0168】道路地物計測画面400には撮影画像401が含まれる。さらに、道路地物計測画面400には、指定画像番号411、計測画像点412および地物位置414それぞれを示すテキストボックスが含まれる。さらに、道路地物計測画面400には、地物種別の一覧を示す種別リストボックス417が含まれる。さらに、道路地物計測画面400には、地物位置414の算出要求時に押下される計算要求ボタン415および計測位置データの保存要求時に押下される保存要求ボタン416が含まれる。道路地物計測画面400は画像表示部341により表示装置901に表示される。
【0169】画像表示部341はユーザに選択された撮影画像401を道路地物計測画面400上に表示する。・・・
【0172】図29では、画像番号「nnnnn」で識別される撮影画像401が表示されている。表示された撮影画像401には2車線の車道405と車道405の両側に設けられている歩道404とが写っている。車道405には中央線406と2本の白線407とが引かれている。また、画面の右側に写っている歩道404には道路標識408および電柱409が立設され、画面の左側に写っている歩道404にはkmポスト403(キロポスト)が立設されている。
【0173】画像表示部341はユーザに指定された計測画像点412を道路地物計測画面400上に表示する。・・・
【0176】画像表示部341は、種別リストボックス417内でユーザに指定された地物種別413を明示する。例えば、ユーザは種別リストボックス417に示される複数の地物種別の中から計測画像点412に対応する地物種別を一つ選び、選んだ地物種別413上にマウスカーソル402を移動させ、マウス903をクリックして地物種別413を指定する。・・・図29では、「左側白線左エッジ」、「左側白線右エッジ」、「右側白線左エッジ」、「右側白線右エッジ」、「規制標識(青○)」、「規制標識(赤○)」、「警戒標識(黄△)」、「指示標識(青□)」、「横断標識(青△)」、「案内標識(緑□)」などから、「kmポスト」が地物種別413として指定されている。
【0178】画像表示部341は路面モデル対応点探索部170により算出された地物位置414を道路地物計測画面400上に表示する。・・・
【0180】また、ユーザは、地物位置414を含む計測位置データを保存したい場合、マウス903を動かしてマウスカーソル402を保存要求ボタン416上に移動させ、マウス903をクリックして保存要求ボタン416を押下する。保存要求ボタン416が押下された場合、計測位置データ記憶部599は地物位置414、指定画像番号411、計測画像点412および地物種別413を紐付けして計測位置データとして記憶する。紐付け(対応付け)とは、各データが記憶された記憶領域のアドレスを関連付けることである。」

これらの記載を総合的に参酌すると、甲第3号証には、MMSを用いて白線以外の道路上・道路脇の地物の位置を計測すること、ユーザが計測対象としたい地物の指定の補助等を目的として、計測台車で取得された距離データ、角速度データ、測位データ、画像データ及び方位・距離データである観測データを取得した地物判定部がレーザ計測点の各グループについて地物の種別を特定すること、画像と路面形状モデルと画像に写る地物の種別とを重畳して表示装置に表示すること、識別した車道面と歩道面と壁面とその他の地物との種別についてユーザへの通知を行い、ユーザが指定した計測画像点を入力し、その際、ユーザに地物の種別を通知する具体的な通知方法には、ユーザが指定した選択領域について“車道”、“歩道”、“壁面”、“その他の地物”という属性を表示すること、ユーザが地物位置を含む計測位置データを保存したい場合に地物位置、計測画像点および地物種別等が紐付けされて記憶されること、が記載されている。

(4)甲第4号証
甲第4号証には、次の記載がある。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、道路を地図上に正確に表示すると共に、位置や構造、付帯設備の配置や構造、その他、道路に関する様々な情報を相互に関連付けて電子化し、道路に関する情報の検索を容易にした道路台帳作成用システムと、既存の各種の関連データを利用して道路台帳を作成するための道路台帳作成用プログラムと、道路台帳作成方法と、こうして作成された道路台帳システムに関する。
【0002】【従来の技術】道路法上で規定されている道路台帳平面図と調書は、道路整備計画や保守管理事業、公共事業等になくてはならないもので、各自治体の道路管理者が作成して、必要な者に閲覧サービスを提供している。道路台帳平面図と調書には、国道、県道、市道等の道路と、道路内構造物及び主要建造物を含む道路外観構造が表示されている。
【0003】この道路台帳平面図と調書をコンピュータやネットワークにより広く多角的に利用できるようにするために、政府や各自治体において、25000分の1や2500分の1の精度の地形図を作成して、道路関係図面を作成するとともに、道路台帳平面図と調書の電子化(デジタル化)処理が検討されている。
【0004】【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。道路関係図面の電子化処理には、市販の地図データを利用して、測量に要するコストを削減し、開発速度を早めることが考えられる。しかしながら、道路関係図面のデータのうち、特に道路台帳平面図と調書の関係図面は、歩道や街路樹や電柱等の道路構造物の状態を正確に表示する必要があり、2500分の1程度の精度ではまだ不十分である。実際に現用の長所等の図面は500分の1程度の精度で作成されている。従って、市販の地図データはそのままでは精度が低く調書等の作成には不向きである。
【0005】また、航空測量により取得したデータを必要な精度に処理する方法も考えられが、航空測量データを500分の1程度の精度に変換処理するには大変な作業量が必要になる。こうしたことから、現地で実測したデータを利用することが必要になるが、既存の図面データを有効に活用して、開発速度を早めるとともに、現地で測量をして得られたデータを的確に利用して、効率良く道路台帳用のデータを作成することが要求される。
【0006】本発明は以上の点に着目してなされたもので、現地で測量をして得られた最小限のデータと既存の図面データを有効に利用して、電子化処理作業を効率良く、かつ、自動化した道路台帳作成システムを提供することを目的とする。また、本発明は、電子化処理の利点を生かして、道路関係図面を一元管理し、調書類の発行のみならず、情報検索や更新が容易にできる道路台帳システムを提供することを目的とする。」

「【0027】ところで、デジタル平板データは、図3に示すように、現地測量の作業量を最小限に抑えるために、道路構造物の輪郭線や位置を示した線図が描ける程度のものとした。尚、このデータは、拡大縮小して道路の平面図を印刷するような用途にはそのまま利用できるが、道路の構造情報をコンピュータで解析したり検索したりするのには不向きである。本発明では、道路情報の検索を可能にするシステムの実現を目的とするため、デジタル平板データに一定の加工を加える。
【0028】まず、上記道路の特徴点を相互に線分で結んでベクトルデータ群を生成する。この処理を図1のベクトルデータ処理手段6が実行する。さらに、そのベクトルデータ群を道路構造部品ごとに区分する。区分されたデータは、ボリゴンデータ等からなる。道路、道路内構造物、道路附属物、道路占用物件等を、それぞれ別々の部品データで表し、部品データの集合により道路台帳平面図のデータを作る。例えば、1本の長い道路も、交差点から交差点まで、あるいはさらにそれを分割した1単位ずつの道路構造部品に分解する。この処理を図1のポリゴンデータ化処理手段7が実行する。
【0029】分解された道路構造部品を表す部品データは、図形データと属性データからなる。図形データは、道路の場合、ポリゴン状の細長い長方形を描画するデータになる。属性データは、道路種別、接合状況、側溝の状況、各部の寸法等を表すデータからなる。このように部品データに属性データを付加する処理を属性データ付加処理手段8が実行する。
【0030】こうして得られたデータは、様々な方法で利用できる。例えば、コンピュータのディスプレイに、一群の図形データを表示して、指定した場所の地図を表示させる。また、指定した道路構造部品ごとの図形データや属性データだけを表示させる。さらに、表示させる道路構造部品を、検索処理により選別してもよい。
【0031】以上のように、デジタル平板データを部品データ化することにより、コンピュータを操作して、ディスプレイ上でマウスをクリックしながら、道路全体の構造から、道路の具体的な構造、細部の部品や寸法までを容易に調べることができ、他の図面等を参照しないで、コンピュータ上で解析処理をすることができるデジタル化された道路台帳データベースができあがる。以上が本発明のシステムの特徴部分の概略である。」

「【0055】道路のみならず、構造物も同様にして、以下のようにポリゴンデータ化する。
BC-S11 車道ポリゴンの作成・・・
BD-S1 車道ポリゴンを表示させ属性を付加する
【0056】各ポリゴンに次のようなデータを属性データとして付加する。この属性データは検索キーとして検索が可能なように、一定の統一性ある用語を使用する。
付加項目は次の通りである。
1.道路種別(1・2級、一般道 等)
2.舗装種別(高級・簡易アスファルト 等)
3.改良区分(改良・未改良)
4.自動車交通(可能・不可能)
5.重用・未供用
6.交差状況(平面・立体)
7.接合状況(国県道・橋梁・トンネル・河川)

【0071】[橋梁管理システムのデータ整備]
入力項目は次の通りである。
1.既存の「橋梁台帳」をスキャナーで読み込む
2.ファイリングシステムで使用できるファイル形式に変更
[橋・交差データ属性入力]
CD-S1 橋ポリゴンを表示させ属性を付加する
付加項目は次の通りである。
1.橋梁名
2.箇所
3.橋種区分(1?4)
4.形式区分(1?17)
5.現況区分(1?3)
6.道路区分(1?8)
7.橋梁区分(1?3)
8.建設年次
9.路面位置区分(1?4)
10.構造区分(1?23)
11.材料区分(1?7)
12.床材料区分(1?3)
13.基礎区分(1?8)
14.支間長
15.径間数
14.適用区分(1?10)
13.等級区分(1?3)
12.負荷荷重」

これらの記載を総合的に参酌すると、甲第4号証には、道路法上で規定されている道路台帳平面図と調書のような道路関係図面の電子化処理にあたって、現地測量の作業量を最小限に抑えるために、道路構造物の輪郭線や位置を示した線図が描ける程度のものとしたデジタル平板データに、道路の特徴点を相互に線分で結んでベクトルデータ群を生成し、このベクトルデータ群をボリゴンデータ等からなる道路構造部品ごとに区分されたデータに区分し、それぞれ別々の部品データの集合による道路、道路内構造物、道路附属物、道路占用物件等により道路台帳平面図のデータを作ること、その際、車道ポリゴンについては、道路種別、舗装種別、改良区分、自動車交通、重用・未供用、交差状況、接合状況のデータを、橋ポリゴンについては、橋梁名、箇所、橋種区分、形式区分、現況区分、道路区分、橋梁区分、建設年次、路面位置区分、構造区分、材料区分、床材料区分、基礎区分、支間長、径間数、適用区分、等級区分、負荷荷重のデータを、それぞれ属性データとして付加すること、が記載されている。

(5)甲第5号証
甲第5号証には、次の記載がある。
「2.看板計測アプリケーション
看板計測アプリケーションは、ユーザ操作に基づいて三菱電機製モービルマッピングシステム(MMS)で測定したレーザ点群から計測対象の看板の点群を抽出し、看板の位置・大きさを推定するものである。計測とともに、計測結果に空間コードを付与しデータベースへの登録を行う。画像上において、計測対象にオクルージョンがある場合であっても正しい計測を行うことが特徴である。GUI画面を図2に示す。」

「2.2 処理フロー
以下、処理の内容を説明する。処理フローを図4に示す。
1) ユーザがGUI左側に表示されたサムネイル画像から計測対象となる看板を含む画像を選択する。選択された画像はGUI中に等倍表示される。
2)ユーザが、等倍表示された画像内にある看板の範囲(四角形)の4頂点座標をマウスポインタで入力する。
上記ユーザ処理の結果をもとに、以下の処理を計算機が行う。
3)カメラ原点及び入力した4頂点で定義される四角錐に含まれる点群をすべて取り出す。ただし撮影時のカメラの位置から一定範囲内にある点群を対象とする。
4)3)で選択した点群の位置から一定範囲内にある点群を対象とする。
5)4)で抽出した点群の近似平面によって切り取られる前述の四角錐の断面を得る。この断面から、看板の大きさ(幅・高さ)を算出する。また、断面の重心位置を看板位置とする。
6)計測結果に空間コードを付与し、位置・大きさともにGUI上に表示する。また、データベースへの登録を行う。」

これらの記載を総合的に参酌すると、甲第5号証には、MMSで測定したレーザ点群から計測対処の看板の点群を抽出し、看板の位置・大きさを推定し、計測結果に空間コードを付与してデータベースに登録すること、が記載されている。

(6)甲第6号証
甲第6号証には、次の記載がある。
「【要約】
【課題】被災地の調査対象構造物を容易に的確に特定し、効率良く調査して被災情報を収集することが可能な被災情報収集システムを提供する。
【解決手段】被災情報の収集対象となる構造物に関する概要情報が記憶されているマスターデータベースと、マスターデータベースに基づいて更新されるカレント記憶領域と、制御部とを有し、制御部は、カレント記憶領域のカレント概要情報をマスターデータベースの概要情報に基づいて更新し、携帯端末から送信された位置情報に基づいて、当該位置情報にて示される位置を含む所定範囲内の地図情報と、所定範囲内に含まれる収集対象となる構造物のカレント概要情報をカレント概要情報から抽出したカレント概要情報とを対応づけた構造物詳細情報を携帯端末に送信し、構造物詳細情報に基づいて特定した構造物の被災状況の調査報告情報を受信する。」

「【0022】図2は、建物マスター運用PCに記憶されている構造物のマスターデータベースを示すイメージ図である。マスターデータベース14aに記憶されている概要情報には、図2に示すように、構造物としての例えば建物の名称、住所、構造種別、地上階数などの建物概要情報と、建物の位置を緯度と経度にて示す位置情報(以下、登録位置情報という)とが対応づけて記憶されている。また、カレント記憶領域12bには、被災した建物の調査結果を示す調査報告情報を、被災情報収集サーバー12が受信した際に、調査報告情報と調査の進捗を示す調査進捗情報とが位置情報により対応づけられて記憶される。調査報告情報と調査進捗情報については後述する。」

「【0027】地図情報取得処理は、受信した携帯電話機22の被災地位置情報に基づいて、当該位置情報にて示された領域を含む所定範囲内、例えば、所定範囲内の地図情報を、地図情報配信サーバー24からインターネット20経由にて取得する処理である。ここで、所定範囲とは、例えば、5km四方の範囲であったり、または、初回は5km四方の範囲とし、5km四方の範囲を検索した結果、対象となる建物が存在しない場合は、20km四方の範囲に設定するなど、適宜設定することが可能である。以下の説明では、所定範囲を5km四方の範囲として説明する。」

「【0047】被災情報収集サーバー12は、特定した5km四方の領域に含まれ、被災情報の収集対象となる構造物のカレント概要情報をカレント記憶領域12bに記憶されているカレント概要情報から抽出する構造物情報抽出処理(S3)を実行する。ここで、被災情報の収集対象となる構造物とは、例えば、建設会社等においては自社にて施工した建物や道路・橋梁など、管理する必要があるとしてマスターデータベース14aに登録している構造物を指している。
【0048】また、被災情報収集サーバー12は、特定した5km四方の領域の地図情報をインターネット20経由で地図情報配信サーバー24にアクセスして取得する地図情報取得処理(S4)を実行する。被災情報収集サーバー12は、取得した地図情報を、抽出された被災情報の収集対象となる構造物のカレント概要情報に含まれる位置情報にて対応づけられて構造物詳細情報として、被災地位置情報が送信された携帯電話機22に送信する送信処理(S5)を実行する。
【0049】図4は、携帯電話機の画面における構造物詳細情報の表示の一例を示す図である。地図情報と抽出された被災情報の収集対象となる構造物のカレント概要情報とを取得した携帯電話機22では、図4に示すように、起動しているアプリケーションソフトの携帯地図表示機能により5km四方の領域の地図が表示され、表示された地図上には被災情報の収集対象となる構造物の位置にマーカー22a、22b、22cが表示されている。このとき、被災情報の収集対象となる構造物のカレント概要情報は、携帯電話機22が備えるメモリに記憶される。地図上に表示されるマーカー22a、22b、22cにひもづく構造物のリストをクリックすることによりカレント概要情報を携帯電話機22の画面上にて閲覧可能に構成されている。」

これらの記載を総合的に参酌すると、甲第6号証には、携帯端末から送信された位置情報に基づいて、当該位置情報にて示される位置を含む所定範囲内の地図情報と、所定範囲内に含まれ、例えば、建設会社等においては自社にて施工した建物や道路・橋梁など、管理する必要があるとしてマスターデータベースに登録された構造物のカレント概要情報とこれと対応づけた構造物詳細情報とを携帯端末に送信すること、構造物詳細情報に基づいて特定した構造物の被災状況の調査報告情報を受信すること、が記載されている。

(7)甲第7号証、甲第8号証:省略

5 当審の判断
(1)請求項1に係る発明について
ア 対比
請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)と甲1発明とを対比する。

(ア) 「管理サーバ」と「ネットワークを介して前記管理サーバから受信した情報の出力が可能なユーザ端末」とを「有して構成」
本件発明は「管理サーバ」と「ネットワークを介して前記管理サーバから受信した情報の出力が可能なユーザ端末」とを「有して構成」されるシステムであるところ、甲1発明は、そのようなものではないから、この点は、相違点である。

(イ) 「構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す構造物データと前記構造物の位置を示す情報とを対応付けて格納」
甲1発明の「点群データ」は、3次元計測機器を用いて取得されて位置情報(x,y,z)を含む点データが分類されたものであるから、点群を構成する各点の空間座標を含むものである点で、本件発明の「点群データ」に対応するところ、甲1発明の点群データのうち構造物の形状、材質、色で分類されたものは、形状、材質、色で分類された構造物について、その位置を示す情報でもあるから、本件発明の「構造物の位置を示す情報」に相当する。
また、甲1発明の点群データに付与される属性のうち、構造物などの性質、状態を利用目的とするもの(性状属性付与)は、視覚的な把握を可能とするにとどまり、「構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す」ものではない(相違点)ものの、構造物の位置を示す情報と対応付けられて格納される構造物の性質に係るデータである点で、本件発明の「構造物データ」に対応する。

(ウ) 「構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、該点群を構成する各点の空間座標を含む点群データを格納」
(イ)で上述したように、甲1発明の「点群データ」は、点群を構成する各点の空間座標を含むものである点で、本件発明の「点群データ」に対応する。
もっとも、甲1発明では、点群が表す対象が「構造物及び地形」であると明示されていないから、本件発明における、点群が「構造物及び地形」を表したものである点は、これが明示されていない甲1発明との相違点となる。

(エ) 「前記点群で表される構造物及び地形から任意の範囲を選択する情報とともに、前記構造物データを指定する情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報と前記指定された構造物データとを対応付けて格納」
甲1発明は、任意属性付与を行う、つまり、協議に必要な箇所のみの点群データ利用や既存構造の撤去計画などを可能とすべく、任意の範囲や部分へ建替え箇所等の属性を与えるものであるから、「選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報」を格納するものであるとはいえるものの、このような任意属性付与がなされた点群データに対して、施設を用いた移設計画や設計時の施工性確認などに点群データを利用可能とする施設属性付与、又は、補修の優先度算出や補修計画立案などに繋がる管理情報の視覚的な把握を可能とする性状属性付与を行うものではない。
よって、本件発明が「前記点群で表される構造物及び地形から任意の範囲を選択する情報とともに、前記構造物データを指定する情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報と前記指定された構造物データとを対応付けて格納」するものである点は、甲1発明との相違点となる。

(オ) 「前記点群を構成する点の位置を示す情報の指定情報を前記ユーザ端末から受信すると、該位置を示す情報に対応付けられた前記構造物データを抽出し前記ユーザ端末へ送信する」
(ア)で上述したとおり、甲1発明は、「管理サーバ」と「ネットワークを介して前記管理サーバから受信した情報の出力が可能なユーザ端末」とを「有して構成」されるシステムでないから、これに付随して、「指定情報を前記ユーザ端末から受信する」と「前記ユーザ端末へ送信する」ことも相違点となる。
また、「構造物データ」について(イ)で、「点群」について(ウ)で、「対応付けられた前記構造物データ」について(エ)で、それぞれ上述した相違点はあるものの、これらを除けば、甲1発明も、点群データを利用して情報の可視化を行うものであるから、「点群を構成する点の位置を示す情報」に対応付けられた「構造物データ」を抽出するものであるといえる。

(カ) 以上に照らせば、本件発明と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
構造物データと前記構造物の位置を示す情報とを対応付けて格納し、
対象を多数の点の集合である点群で表し、該点群を構成する各点の空間座標を含む点群データを格納し、
指定された点群を構成する点の位置を示す情報に対応付けられた構造物データを抽出する、
構造物情報提供システム。

<相違点>
(相違点1)
本件発明は、「管理サーバ」と「ネットワークを介して前記管理サーバから受信した情報の出力が可能なユーザ端末」とを「有して構成」されるシステムであり、指定された点群を構成する点の位置を示す情報に対応付けられた構造物データを抽出するにあたって、「指定情報を前記ユーザ端末から受信する」と「前記ユーザ端末へ送信する」のに対し、甲1発明は、そうではない点。
(相違点2)
本件発明の「構造物データ」は、「構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す」ものであるのに対し、甲1発明は、そうではなない点。
(相違点3)
点群が表す対象が、本件発明では、「構造物及び地形」であるのに対し、甲1発明は、その旨を明示していない点
(相違点4)
本件発明は、「前記点群で表される構造物及び地形から任意の範囲を選択する情報とともに、前記構造物データを指定する情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報と前記指定された構造物データとを対応付けて格納」するものであるのに対し、甲1発明は、そうではない点。

相違点の判断
事案に鑑み、相違点2及び相違点4について判断する。
甲1発明の「属性」は、既存の管理情報の管理のためのベースとなるものであり、写真やPDFファイル、Excelといったドキュメントの紐づけや情報の可視化のために利用したり、CADデータや図面、写真などの他のデータを併用して設計、施工、維持管理の各段階で利用するものであるものの、「構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す」もののような、「既存の管理情報」である「ドキュメント」や「他のデータ」である「しゅん功図書」に通常記載されている内容(本件明細書段落【0006】、【0033】、【0060】)を属性とすること、さらに、このような内容を「構造物及び地形」から「任意」に「選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報」と「対応付けて格納」することについて、甲第1号証には記載も示唆もない。
この点、甲1発明は、利用目的に応じて属性付与を行うものであるところ、施設属性付与における属性と任意属性付与における属性、又は、施設属性付与や任意属性付与における属性と性状属性付与における属性は、いずれも利用目的が異なるものとして区別されているから、仮に「構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件」を構造物の性質を示す属性であると捉えることが可能であるとしても、これを構造物の性質を示す属性を付与する「性状属性付与」と区別される「形状属性付与」である「施設属性付与」又は「任意属性付与」とによる属性とすることが示唆されているとはいえない。

さらに、これらの点を容易想到であるとするための副引例となる文献も見当たらない。
甲第2号証の「単位区間の登録番号、建設箇所番号、位置情報、上下線区分、施工年月、場所区分、構造物区間、舗装種別、補修理由、作業工種、施工層の厚さ、施工業者名といった初期情報」は、「補修理由」が含まれていることから、「構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す」もののような「しゅん功図書」に通常記載されている内容を示すものでない。
また、甲第3号証は、「“車道”、“歩道”、“壁面”、“その他の地物”」といった「地物」の「種別」を点群データと対応付けて格納する旨が記載されているものであり、また、甲第5号証は、計測された点群から「看板」である点群を抽出するものであって、いずれも、「構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す」もののような内容を示すものでないし、これを「構造物及び地形」から「任意」に「選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報」と「対応付けて格納」するものでもない。
甲第4号証、甲第6号証は、そもそも点群データを利用するものでなく、点群と「構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す」もののような内容とを対応づけるものでもない。(下位請求項について提示された甲第7号証及び甲第8号証についても、同様である。)

このように、相違点のうち少なくとも相違点2及び相違点4は、実質的な相違点であるとともに、これらについて容易想到であると判断すべき根拠は見当たらない。よって、本件発明は、甲1発明に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。

ウ 特許異議申立人の主張について
(ア) 特許異議申立人は、上記相違点2について、一致点である旨を主張する。(特許異議申立書38頁)
しかし、ア(イ)において上述したとおり、この点は、一致点ではなく相違点であり、イにおいて上述したとおり、この相違点について、容易想到ということはできない。

(イ) 特許異議申立人は、上記相違点4について、この点は、上記4(1)ア(ウ)において摘記した甲第1号証の記載を示して、一致点である旨を主張している。(特許異議申立書15?16,38頁)
しかし、上記4(1)イにおいて上述したように、点群データを利用者の目的に応じ属性付与し、その際、点群データのIDと付与する属性情報ZiのIDを紐づけして点群データへの属性付与が行われる旨を認定することはできるものの、この記載に基づいて、「点群で表される構造物及び地形から任意の範囲が選択され、属性データが指定された場合、該選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報と指定された属性情報とを対応づけて格納する」ことを認定することはできない。この記載中の「任意の位置指定によるデータ編集法」、「XY平面と立面で抽出範囲を指定することで、点群データの分割ができ」る等の記載は、「点群データを「群」として分類、判別」する旨を示すにとどまり、「構造物及び地形」であると分類された点群データのうちから任意に選択された範囲に対して属性データを結び付けて格納する旨を示す記載ではない。

(2)請求項2?8に係る発明について
請求項2?8に係る発明は、請求項1に係る発明に対して、さらに直列的に技術的事項を追加して限定を加えたものである。よって、上記(1)に示した理由と同様の理由により、請求項2?8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第8号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易になし得るものではない。
以上のとおり、請求項1?8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第8号証に技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-11-28 
出願番号 特願2015-19759(P2015-19759)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 木方 庸輔  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 相崎 裕恒
宮久保 博幸
登録日 2018-02-09 
登録番号 特許第6284240号(P6284240)
権利者 首都高技術株式会社 朝日航洋株式会社 株式会社エリジオン 国立大学法人 東京大学
発明の名称 構造物情報提供システム  
代理人 橘 哲男  
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