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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1346975
審判番号 不服2017-9586  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-30 
確定日 2018-12-14 
事件の表示 特願2014-561308「多入力多出力(MIMO)通信」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月19日国際公開,WO2013/135355,平成27年 4月20日国内公表,特表2015-511792〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は,パリ条約による優先権主張を伴って2013年(平成25年)3月7日に欧州特許庁に対してなされた国際出願による特許出願であって,平成27年8月12日付けで拒絶理由が通知され,同年11月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,平成28年3月1日付けで拒絶理由が通知され,同年9月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,平成29年2月24日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年6月30日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

その請求項に係る発明は,平成28年9月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定されるものと認められるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。
「無線通信ネットワークの基地局との多入力多出力通信をサポートしているときに,ユーザ機器において,1次ストリームに加えて前記ユーザ機器により伝送される2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定する方法であって,
前記2次ストリームと関連するグラントを受け取るステップと,
グラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係に従い前記2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するステップであって,前記関係は,前記1次ストリームに対する1次トランスポート・ブロック・サイズを決定するのに用いられるグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の1次関係と異なる,ステップとを含む方法。」


2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,「この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。」,「この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり,請求項1に係る発明に対してAlcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Considerations on transport block sizes for UL MIMO rank 2 transmissions,R1-122460,3GPP,2012.05.12が引用されている。


3 優先権の主張について
(1)本願は,受理官庁としての欧州特許庁に対し2013年3月7日を国際出願日としてなされた国際出願による特許出願(以下,「国際特許出願」ということがある。)であって,当該国際出願には,2012年3月16日を出願日とする欧州特許出願(出願番号:EP 12360017.3)に基づいて,パリ条約による優先権主張がなされている。

(2)特許協力条約に基づく国際特許出願については,特許法第184条の3第2項の規定により,優先権主張手続に関して,特許法第43条の規定は適用されず,特許協力条約及び特許協力条約に基づく規則が適用されるところ,同規則17.1(本願の国際出願日時点の2013年3月7日時点のもの。)には,優先権書類について次のとおり規定されている。

「17.1 先の国内出願又は国際出願の謄本を提出する義務
(a) 第8条の規定により先の国内出願又は国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には,当該先の国内出願又は国際出願を受理した当局が認証したその出願の謄本(「優先権書類」)は,既に優先権書類が優先権を主張する国際出願とともに受理官庁に提出されている場合並びに(b)及び(bの2)の規定に従う場合を除くほか,優先日から十六箇月以内に出願人が国際事務局又は受理官庁に提出する。ただし,当該期間の満了後に国際事務局が受理した当該先の出願の写しは,その写しが国際出願の国際公開の日前に到達した場合には,当該期間の末日に国際事務局が受理したものとみなす。
(b) 優先権書類が受理官庁により発行される場合には,出願人は,優先権書類の提出に代えて,受理官庁に対し,優先権書類を,作成し及び国際事務局に送付するよう請求することができる。その請求は,優先日から十六箇月以内にするものとし,また,受理官庁は,手数料の支払を条件とすることができる。
(bの2) 国際事務局が優先権書類を実施細則に定めるところにより国際出願の国際公開の日前に電子図書館から入手可能である場合には,出願人は,優先権書類の提出に代えて,国際事務局に対し,国際公開の日前に,当該優先権書類を当該電子図書館から入手するよう請求することができる。
(c) (a),(b)及び(bの2)の要件のいずれも満たされない場合には,指定官庁は,(d)の規定に従うことを条件として,優先権の主張を無視することができる。ただし,指定官庁は,事情に応じて相当の期間内に出願人に優先権書類を提出する機会を与えた後でなければ,優先権の主張を無視することはできない。
(d) 指定官庁は,(a)に規定する先の出願が国内官庁としての当該指定官庁に出願されている場合又は当該指定官庁が実施細則に定めるところにより優先権書類を電子図書館から入手可能な場合は,(c)の規定により優先権の主張を無視することはできない。」

(3)そこで,本願の手続が,上記規則17.1を満たしているか否かについて検討する。
ア 規則17.1(a)について
WIPO国際事務局が2014年4月28日付けで出願人に対して発送し,その写しを指定国である日本国特許庁に送付した,「優先権主張の書類提出に関する通知(NOTIFICATION CONCERNING SUBMISSION, OBTENTION OR TRANSMITTAL OF PRIORITY DOCUMENT)」(PCT/IB/304(July 2012))には,優先日(Priority date)を「16 March 2012(16.03.2012)」とする優先権の主張に関して,優先権書類の受領日(Date of receipt of priority document)は「23 April 2014(23.04.2014)*」(アスタリスクが付されていることに留意。)と記載されており,これらの優先権書類は,特許協力条約に基づく規則17.1(a)で規定する提出期限である優先日から16箇月を経過した後にWIPO国際事務局により受領されたものであると認められる。
また,上記受領日(2014年4月23日)は,本件国際出願の国際公開の日(2013年9月19日)前ではないから,本願の手続は,同規則17.1(a)のただし書には該当しない。
したがって,本願については,規則17.1(a)を満たしていない。

イ 規則17.1(b)及び(bの2)について
規則17.1(b)又は(bの2)の請求に関し,WIPOのHPのPATENTSCOPEにより書類を参照すると,出願書類「REQUEST 」(PCT/RO/101(second sheet)(16 September 2012))のFurnishing the priority document(s)の欄の上段及び下段のボックスにチェックはなく,アクセスコードも記載されていない。そして,同規則17.1(b)又は(bの2)の請求が,優先日から16箇月以内になされた事実も認められない。

また,優先権書類の受領日に付された上記アスタリスク("*")について,上記通知(PCT/IB/304(July 2012))には以下のように記載されている。
「An asterisk "*" next to a date of receipt, denotes a priority documents submitted or transmitted to or obtained by the International Bureau but not in compliance with Rule 17.1(a),(b)or(b-bis)(the priority document was received after the time limit prescribed in Rule 17.1(a); the request to prepare and transmit the priority document was submitted to the receiving Office after the applicable time limit under Rule 17.1(b) or the request to the International Bureau to obtain the priority document was made after the applicable time limit under Rule 17.1(b-bis)). Even though the priority document was not furnished in compliance with Rule 17.1(a),(b)or(b-bis), the International Bureau will nevertheless transmit a copy of the document to the designated Offices, for their consideration. In case such a copy is accepted by the designated Officce as the priority document, Rule 17.1(c) provides that no designated Office may disregard the priority claim concerned before giving the applicant an oppotunity, upon entry into the national phase, to furnish the priority document within a time limit which is reasonable under circumstances. 」
([当審仮訳]:
受領の日付の次のアスタリスク「*」は,優先権書類は,国際事務局に提出,送付され,又は国際事務局により獲得されたが,規則17.1(a),(b)又は(bの2)を満たしていない(優先権書類が,規則17.1(a)に規定されている期限の後に受領された;優先権書類を作成し送付する請求が,規則17.1(b)の下の適切な期限の後に,受理官庁に提出された,又は,国際事務局に対する優先権書類獲得の請求が,規則17.1(bの2)の下の適切な期限の後になされた。)。優先権書類の提供が規則17.1(a),(b)又は(bの2)を満たしていなくとも,国際事務局は,指定官庁に,検討のために優先権書類の写しを送付する。規則17.1(c)は,指定官庁は,国内段階で,事情に応じて相当の期間内に出願人に優先権書類を提出する機会を与えた後でなければ,優先権の主張を無視することはできないとしており,そのような場合には,写しは指定官庁により優先権書類として受け付けられる。)
してみると,WIPO国際事務局は,本願について同規則17.1(a),(b),及び(bの2)の要件を満たしていないとしていることは明らかである。

したがって,本願については,規則17.1(b),(bの2)の要件のいずれも満たしていない。

ウ 規則17.1(c)について
上記ア,イで検討したとおり,本願は,規則17.1(a),(b)又は(bの2)のいずれも満たしていないから,規則17.1(c)第1文に規定された優先権の主張を無視することができる条件のひとつである「規則17.1(a),(b)又は(bの2)のいずれも満たされない場合」に該当する。

次に,規則17.1(c)のただし書の規定について検討すると,国際特許出願についての優先権主張の手続について,上記規則17.1(c)ただし書の規定には特許法施行規則第38条の14が対応しており,その第1項に,優先権の主張を伴う国際特許出願をする者は,上記規則17.1(a)に規定する優先権書類を,国内書面提出期間が満了する時の属する日後2月以内に特許庁長官に提出することができる旨規定され,国際段階で優先権書類の提出がない場合においても,特許庁に対して優先権書類を提出する機会が与えられている。そして,同第2項は「前項の規定による優先権書類の提出は,様式第三十六によりしなければならない。」としている。
しかしながら,本願において,上記施行規則の規定に基づいて,国内書面提出期間が満了する時の属する日(本願においては,優先権主張日から30箇月,すなわち,2014年9月16日)後2月以内(2014年11月16日まで)に,特許庁に対して様式第三十六により優先権証明書の提出がなされた事実は認められない。
したがって,本願については,規則17.1(c)のただし書きに規定する,優先権の主張を無視することができない場合に該当しない。

規則17.1(c)第1文には,優先権の主張を無視することができる条件として,規則17.1(a),(b)又は(bの2)のいずれも満たされない場合に該当することの他に,規則17.1(d)に従うことを条件とする旨が規定されているので,最終的に規則17.1(c)の規定により優先権の主張を無視することができるか否かについては,次のエで,規則17.1(d)について検討した後に判断する。

エ 規則17.1(d)について
本願については,優先権主張の基礎とされた先の出願は欧州特許庁への特許出願であって,日本国特許庁への特許出願を優先基礎出願とするものではないから,規則17.1(d)の「(a)に規定する先の出願が国内官庁としての当該指定官庁に出願されている場合」には該当しない。

次に,規則17.1(d)の「当該指定官庁が実施細則に定めるところにより優先権書類を電子図書館から入手可能な場合」に該当するかを検討すると,規則17.1(d)における電子図書館からの優先権書類の入手の可能性については,実施細則715号(インターネット<URL http://www.wipo.int/pct/en/texts/ai/s715.html>より入手可能。)に以下のとおり規定されている。
「Section 715
Availability of Priority Documents from Digital Libraries
(a) For the purposes of Rules 17.1(b-bis), 17.1(d) (where appropriate, as applicable by virtue of Rules 17.1(c) and 82ter.1(b)), 66.7(a) (where appropriate, as applicable by virtue of Rule 43bis.1(b)) and 91.1(e), a priority document shall be considered to be available from a digital library to the International Bureau, a designated Office, the International Searching Authority or the International Preliminary Examining Authority, as the case may be:
(i) if the Office or Authority concerned has notified the International Bureau, or the International Bureau has declared, as the case may be, that it is prepared to obtain priority documents from that digital library; and
(ii) the priority document concerned is held in that digital library and the applicant has, to the extent required by the procedures for accessing the relevant digital library, authorized the Office or Authority concerned or the International Bureau, as the case may be, to access that priority document. 」
([当審仮訳]:
実施細則715
電子図書館からの優先権書類の入手の可能性
(a)規則17.1(bの2),17.1(d)(該当する場合には,規則17.1(c)及び82の3.1(b)の規定によって適用する17.1(d),66.7(a)(該当する場合には,規則43の2.1(b)の規定によって適用する66.7(a))及び91.1(e)の規定の適用上,次の場合には,国際事務局,指定官庁,国際調査機関又は国際予備審査機関が優先権書類を電子図書館から入手可能であるとみなす:
(i)当該官庁又は機関が国際事務局に対し優先権書類を当該電子図書館から入手する用意があることを通知したか,又は国際事務局がその旨を宣言しており,かつ,
(ii)当該優先権書類が当該電子図書館において保有されており,出願人が当該電子図書館へのアクセスに関する手続において必要とされる範囲内で当該官庁もしくは機関又は国際事務局による当該優先権書類へのアクセスを承諾している場合)

そして,本願における特許法施行規則第38条の14に規定された国内書面提出期間が満了する時の属する日(本願においては,優先権主張日から30箇月,すなわち,2014年9月16日)後2月以内(2014年11月16日まで)において,日本国特許庁が指定官庁として国際事務局に対し実施細則715号(a)(i)に定める通知をした事実はなく,国際事務局がその旨の宣言した事実もない。また,本願の優先権書類が電子図書館に保有され,出願人が該実施細則715号(a)(ii)に定める承諾をしていた事実も,認められない。
よって,日本国特許庁が,実施細則に定めるところにより,本願の優先権書類を電子図書館から入手可能であったとする事実は無いから,本願について,上記規則17.1(d)に規定の適用はない。

(4)請求人の主張について
審判請求における請求人の主張は,以下のとおり採用できない。
「(3-1-1)」として,優先権書類は遅くとも平成26年11月20日にはIBからJPOに転送されたことによって,日本国における優先権書類に対する要件は満たされた旨主張するが,上述のとおり国内書面提出期間が満了する時の属する日後2月以内(2014年11月16日まで)に,特許庁長官に対して様式第三十六により優先権証明書の提出がなされた事実は認められないから,当該主張は採用できない。
「(3-1-2)」として,PCTに基づく規則17.1(d)の立法趣旨は,優先権書類が容易に取得できる場合には指定官庁は優先権主張を無視してはならないという点にあり,優先権書類はJPOに転送され,JPOの電子図書館から入手可能であるから,PCTに基づく規則17.1(d)によりJPOは優先権主張を無視することはできず,それゆえ優先権主張は有効である旨主張するが,上述のとおり,本願は,実施細則に照らして,規則17.1(d)の規定の適用はないから,当該主張は採用できない。
「(3-1-3)」として,PCT第48条(2)(a)に具体的に表現されているように,いかなる期限に関しても,出願人がパリ条約に基づく優先権主張出願を行った場合と比べて不利な立場にならないようにするというのが国際(PCT)システムの原理であり,PCT出願人が,パリ条約に基づく優先権主張をした出願人であれば必須とされなかったであろう手続き上の要件を満たさなかったという理由のみで,優先権の利益を失うとしたら,PCT第48条(2)(a)に反することになる旨主張し,「(3-1-4)」として,我国の特許法は平成28年4月1日を施行日として改正され,日本国特許庁はパリ条約による優先権に関する優先権書類が欠けている場合に出願人に通知する義務を負うこととなり,PCT第48条(2)(a)の観点からPCT出願にも適用されてしかるべきであり,それゆえ優先権主張は有効である旨主張するが,PCT第48条(2)(a)は,「締約国は,期間が遵守されていないことが国内法令で認められている遅滞の事由と同一の事由による場合には,自国に関する限り,遅滞を許すものとする。」とのとおり,例外的・限定的に遅滞を容認するに過ぎず,また,特許協力条約に基づく国際特許出願については,特許法第184条の3第2項の規定により,優先権主張手続に関して,特許法第43条の規定は適用されず,特許協力条約及び特許協力条約に基づく規則が適用されるから,当該主張は採用できない。

(5)小活
以上によれば,本願については,特許協力条約に基づく規則17.1(a),(b)及び(bの2)の要件のいずれも満たされない場合であって,同規則17.1(c)のただし書により与えられた提出機会にも優先権書類の提出がなされておらず,また,上記規則17.1(d)の規定の適用もないため,同規則17.1(c)本文の規定により,上記優先権主張の効力を認めることはできない。

本願は,2013年3月7日を国際出願日としてなされた,パリ条約による優先権主張の効力が認められない出願であるから,以下,新規性,進歩性の要件についての判断は,上記国際出願日を基準日として行う。


4 引用発明
原査定の拒絶理由に引用されたAlcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Considerations on transport block sizes for UL MIMO rank 2 transmissions([当審仮訳]:UL MIMOランク2送信のためのトランスポートブロックサイズについての考察),3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #69 R1-122460,(2012年5月12日:利用可能日),URL:http://www.ggpp.org/ftp/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR_69/Docs/R1-122460.zip
(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「1 Introduction
In the previous meeting, the agreements on Serving Grant (SG) and E-TFC selection for HSUPA MIMO with 64QAM are as follows:
(中略)
This contribution further discusses the SG interpretation in rank 2 and E-TFC selection for the secondary stream.」(1葉目)
([当審仮訳]:
1 はじめに
前回の会議で,64QAMのHSUPA MIMOのためのサービンググラント(SG)及びE-TFC選択についての合意事項は以下のとおりである。
(中略)
この寄書は,ランク2におけるSG解釈及び2次ストリームのためのE-TFC選択について更に検討する。)

(2)「2 Discussions
2.1 S-E-DPDCH power setting
In [1], it was proposed that the grant is defined as the power ratio of the S-E-DPDCHs to the DPCCH. This gives a common reference power for both E-DPDCHs and S-E-DPDCHs and avoids a situation where the grants for the secondary stream are higher than that of the primary stream (since the power of S-DPCCH is usually lower than that of DPCCH).
Proposal 1: The grant for the secondary stream is defined as the ratio of the S-E-DPDCHs to the DPCCH.」(1葉目)
([当審仮訳]:
2 検討
[1] において,グラントはS-E-DPDCHのDPCCHに対する比率として定義することが提案された。これは,E-DPDCH及びS-E-DPDCHの双方に対する1つの共通基準電力を与え,(通常,S-DPDCHの電力がDPCCHの電力よりも低いことに起因して)2次ストリームに対するグラントが1次ストリームに対するそれよりも大きくなることを回避する。
提案1:2次ストリームに対するグラントはDPCCHに対するS-E-DPDCHの比率として定義される。)

(3)「2.2 SG interpretation
The purpose of the scheduling grants is to enable the NB to manage the RoT. Therefore it makes sense to keep the same range of SG values for UL MIMO, such that the SG represents a single total power allocation for both streams if rank 2 is transmitted. If the UE decides to transmit rank-2 then it simply divides the power grant equally between the two streams. The power grant used for E-TFC selection on each stream would then be half the total power grant. The range of SG values that currently exist may need to be increased to allow sufficient grants to support the largest TBS in both streams.
If the UE is granted rank-2 but decides actually to use only rank-1, then it may use the entire SG for the primary stream. In this way, the NB can predictably control the RoT regardless of the actual rank transmitted by the UE.

Proposal 2: The Serving Grant indicates the total power permitted for the sum of all E-DPDCHs & S-E-DPDCHs transmitted by the UE, regardless of the transmitted rank.

Proposal 3: If the UE transmits with rank-2, the E-DPDCH (& S-E-DPDCH) power given by the SG is split equally between the two streams, and the E-DPDCH (& S-E-DPDCH) power used for E-TFC selection on each stream is half the total power grant.

Proposal 4: If the UE is granted rank-2, but actually transmits rank-1, the UE can use the entire SG for the primary stream. 」(2葉目)
([当審仮訳]:
2.2 SG解釈
スケジューリンググラントの目的は,NBがRoTを管理できるようにすることである。したがって,ランク2が伝送される場合,SGが双方のストリームに対する単一の総電力割り当てを表すように,UL MIMOに対してSG値の同じ範囲を維持することが理にかなっている。UEがランク2伝送することを決めた場合,電力グラントを2つのストリームの間で単純に分割する。各ストリームにおいてE-TFC選択のための使用される電力グラントは,全電力グラントの半分になる。現在存在するSG値範囲は,双方のストリームにおいてより大きなTBSをサポートするのに十分なグラントを可能とするように,増加される必要がある。
UEがランク2をグラントされたが実際にはランク1のみ使用すると決めた場合,UEは全SGを1次ストリームのために使用することができる。このようにして,NBは,UEにより伝送された実際のランクにかかわらず,RoTを予測通り制御することができる。

提案2:サービンググラントは,伝送されるランクにかかわらず,UEにより伝送される全てのE-DPDCH及びS-E-DPDCHの合計に対して許可された総電力を示す。

提案3:UEがランク2で伝送する場合,SGにより与えられたE-DPDCH(及びS-E-DPDCH)電力は2つのストリームに等分に分割され,各ストリームにおいてE-TFC選択のために使用されるE-DPDCH(及びS-E-DPDCH)電力は,総電力グラントの半分である。

提案4:UEはランク2を許可されるが,実際にはランク1を伝送する場合,UEは1次ストリームのために全サービスグラントを使用できる。)

(4)「2.3 E-TFC selection
The secondary stream usually suffers from poorer SNIR compared to that of the primary stream. Although the SG in both streams is the same, to compensate for the poorer SNIR, the secondary stream should transmit a smaller TBS compared to that of the primary stream. The minimum difference in TBS between the primary and secondary is dependent upon the margin loop (the difference in SNIR between primary and secondary stream as seen at the OLPC). A simple offset α, (e.g. offset in SG) can be signalled to the UE to determine the E-TFCI for the secondary stream. For example, let
E-TFCI = f(SG_(effective), UPH, Buffer)
Equation 1
where the function f(SG_(effective)) is the E-TFC selection process taking the SG, UE power headroom (UPH) and UE buffer size (Buffer) and giving the E-TFCI. SG_(effective) is the effective SG [2] where in rank 1, SG_(effective) is the SG at the UE and in rank 2, SG_(effective) = SG/2 (halved the SG). The primary stream uses Equation 1 to determine its E-TFCI. The E-TFCI for the secondary stream is determined using the offset α as in Equation 2.
E-TFCI = f(αSG_(effective), UPH, Buffer)
Equation 2
Proposal 5: The network signals an offset factor that is applied to the effective SG used to derive the E-TFCI for the secondary stream.」(2葉目)
([当審仮訳]:
2.3 E-TFC選択
2次ストリームは通常,1次ストリームのSNIRと比較してより乏しいSNIRに苦しむ。両方のストリームにおけるSGが同じであるが,より乏しいSNIRを補償するため,2次ストリームは1次ストリームと比較してより小さいTBSを伝送するべきである。1次ストリームと2次ストリーム間のTBSの最小の違いはマージンループ(オープンループ電力制御に見られるような1次ストリームと2次ストリーム間のSNIRの違い)に依存する。単純なオフセットα(例えば,SGのオフセット)が,2次ストリームのためのE-TFCIを決めるため,UEに伝送され得る。例えば,
等式1:E-TFCI=f(SG_(effective),UPH,Buffer)
ここで,関数f(SG_(effective))は,SG,UE電力ヘッドルーム(UPH)そしてUEのバッファサイズ(Buffer)を取得し,E-TFCIを与えるE-TFC選択プロセスである。SG_(effective)は実効SG[2] であり,ランク1においてSG_(effective)はUEにおけるサービスグラントであり,ランク2においてSG_(effective)はSG_(effective)=SG/2(半減されたSG)である。1次ストリームはそのE-TFCIを決めるために等式1を使用する。2次ストリームのためのE-TFCIは等式2におけるようにオフセットαを使用して決定される。
等式2:E-TFCI=f(αSG_(effective),UPH,Buffer)
提案5:ネットワークは2次ストリームのためのE-TFCIを生成するために使用される実効サービンググラントに対して適用されるオフセットファクタを伝送する。)

(5)「3 Conclusion
In this contribution we discuss the SG split and E-TFCI selection for rank 2 UL MIMO. We propose the following:
Proposal 1: The grant for the secondary stream is defined as the ratio of the S-E-DPDCHs to the DPCCH.
Proposal 2: The Serving Grant indicates the total power permitted for the sum of all E-DPDCHs & S-E-DPDCHs transmitted by the UE, regardless of the transmitted rank.
Proposal 3: If the UE transmits with rank-2, the E-DPDCH (& S-E-DPDCH) power given by the SG is split equally between the two streams, and the E-DPDCH (& S-E-DPDCH) power used for E-TFC selection on each stream is half the total power grant.
Proposal 4: If the UE is granted rank-2, but actually transmits rank-1, the UE can use the entire SG for the primary stream.
Proposal 5: The network signals an offset factor that is applied to the effective SG used to derive the E-TFCI for the secondary stream.」(2?3葉目)
([当審仮訳]:
3 結論
この寄書において,私たちはランク2のアップリンクMIMOのためのSGスプリットとE-TFCIを検討する。私たちは次のように提案する。
提案1:2次ストリームに対するグラントはDPCCHに対するS-E-DPDCHの比率として定義される。
提案2:サービンググラントは,伝送されるランクにかかわらず,UEにより伝送される全てのE-DPDCH及びS-E-DPDCHの合計に対して許可された総電力を示す。
提案3:UEがランク2で伝送する場合,SGにより与えられたE-DPDCH(及びS-E-DPDCH)電力は2つのストリームに等分に分割され,各ストリームにおいてE-TFC選択のために使用されるE-DPDCH(及びS-E-DPDCH)電力は,総電力グラントの半分である。
提案4:UEはランク2を許可されるが,実際にはランク1を伝送する場合,UEは1次ストリームのために全サービスグラントを使用できる。
提案5:ネットワークは2次ストリームのためのE-TFCIを生成するために使用される実効サービンググラントに対して適用されるオフセットファクタを伝送する。)

上記(1)?(5)の記載及び図面並びに当業者の技術常識を考慮すると,
(i) 上記(1),(5)の記載によれば,引用例には,HSUPA MIMOのストリームのためのE-TFC選択の方法について記載されており,上記(2),(3)の記載によれば,ランク2では1次ストリーム及び2次ストリームがUEからNBに伝送されることは当業者に明らかである。

(ii) 上記(4),(5)の記載によれば,1次及び2次ストリームにおけるSGが同じであるところ,通常,2次ストリームは1次ストリームと比較してより乏しいSNIRであることから,2次ストリームは1次ストリームと比較してより小さいTBSを伝送するべきであり,そのため,1次ストリームのためのE-TFCIは等式1:E-TFCI=f(SG_(effective),UPH,Buffer)(ここで,SG_(effective)はSGの半分,UPHはUE電力ヘッドルーム,BufferはUEのバッファサイズ)により決定し,2次ストリームのためのE-TFCIはオフセットαを使用した等式2:E-TFCI=f(αSG_(effective),UPH,Buffer)により決定するといえる。

以上を総合すると,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「HSUPA MIMOにおいて,UEよりNBに伝送される1次及び2次ストリームに対するE-TFC選択の方法であって,
1次ストリームのためのE-TFCIを
E-TFCI=f(SG_(effective),UPH,Buffer) (ここで,SG_(effective)はSGの半分,UPHはUE電力ヘッドルーム,BufferはUEのバッファサイズ)
により決定し,
2次ストリームのためのE-TFCIを
E-TFCI=f(αSG_(effective),UPH,Buffer)
により決定する,方法。」


5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,
(i) 引用発明のHSUPA MIMO(High Speed Uplink Packet Access Multiple-Input Multiple-Output)は,無線通信ネットワークの基地局との多入力多出力通信であり,ランク2では1次ストリームに加えて2次ストリームがUE(User Equipment:ユーザ装置)からNB(Node B:基地局)に伝送されることは当業者に明らかである。そして,E-TFC(Enhanced Data Channel Transport Format Combination)はトランスポート・ブロック・サイズ(TBS)を含むトランスポート・フォーマットを規定するものであり,その識別子であるE-TFCIは,3GPPの標準規格であるTS25.321で定められている,TBSのルックアップ・テーブルへのインデックスであることは当業者における技術常識である。
したがって,引用発明の「HSUPA MIMOにおいて,UEよりNBに伝送される1次及び2次ストリームに対するE-TFC選択の方法」は,本願発明と同様に,「無線通信ネットワークの基地局との多入力多出力通信をサポートしているときに,ユーザ機器において,1次ストリームに加えて前記ユーザ機器により伝送される2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定する方法」ということができる。

(ii) 引用発明の1次ストリームのためのE-TFCIを決定する関数である等式1:E-TFCI=f(SG_(effective),UPH,Buffer)は,SG_(effective)とE-TFCIとの間の関係を規定するものであるといえるところ,SG_(effective)はSG(サービンググラント)の半分であり,上述のとおりE-TFCIはTBSのルックアップ・テーブルへのインデックスであるから,上記関数は本願発明の「1次ストリームに対する1次トランスポート・ブロック・サイズを決定するのに用いられるグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の1次関係」に相当する。

(iii) 引用発明の2次ストリームのためのE-TFCIを決定する関数である等式2:E-TFCI=f(αSG_(effective),UPH,Buffer)は,オフセットαにより同じSG(サービンググラント)に対して1次ストリームのTBSとは異なるTBSを導出するものであるから,当該関数による決定動作は,本願発明の「グラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係に従い前記2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するステップであって,前記関係は,前記1次ストリームに対する1次トランスポート・ブロック・サイズを決定するのに用いられるグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の1次関係と異なる」に相当する。

したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「 無線通信ネットワークの基地局との多入力多出力通信をサポートしているときに,ユーザ機器において,1次ストリームに加えて前記ユーザ機器により伝送される2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定する方法であって,
グラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の関係に従い前記2次ストリームに対するトランスポート・ブロック・サイズを決定するステップであって,前記関係は,前記1次ストリームに対する1次トランスポート・ブロック・サイズを決定するのに用いられるグラントとトランスポート・ブロック・サイズとの間の1次関係と異なる,ステップとを含む方法。」

(相違点)
本願発明は,更に「前記2次ストリームと関連するグラントを受け取るステップ」を含むのに対し,引用発明は当該ステップが明示されていない点。

上記相違点について検討する。
引用発明の「2次ストリームのためのE-TFCIを E-TFCI=f(αSG_(effective),UPH,Buffer)により決定する」は,SG_(effective),UPH,Bufferを取得していることが前提であることは当然のことである。そして,サービンググラント(SG)はネットワーク側からUEに与えられるものであることは技術常識であるところ,SG_(effective)はSGの半分であるから,引用発明は2次ストリームと関連するグラントであるSG_(effective)を受け取っているといえる。したがって,上記相違点は,実質的な相違ではなく,また仮に相違するとしても当業者が容易になし得ることに過ぎない。


6 むすび
以上のとおり,本願発明は引用発明であり,また,本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第1項第3号,同第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-07-12 
結審通知日 2018-07-17 
審決日 2018-08-06 
出願番号 特願2014-561308(P2014-561308)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松野 吉宏  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 羽岡 さやか
菅原 道晴
発明の名称 多入力多出力(MIMO)通信  
代理人 岡部 讓  
代理人 吉澤 弘司  
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