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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1347604
審判番号 不服2017-18050  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-05 
確定日 2019-01-04 
事件の表示 特願2015-125501「光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法およびこれを用いた光半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月15日出願公開、特開2015-181201〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年7月20日に出願した特願2006-198489号(国内優先権主張 平成18年2月3日)の一部を平成25年2月4日に新たな特許出願とした特願2013-19536号の一部を平成27年6月23日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年3月23日付け :拒絶理由通知書
平成28年7月28日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年12月15日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成29年4月18日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年8月31日付け :平成29年4月18日の手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定
平成29年12月5日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成29年12月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年12月5日にされた手続補正についての補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
光半導体素子搭載領域となる一体に形成されたマトリックス状に並ぶ2つ以上の凹部を有し、
前記2つ以上の凹部の各々が、配線基板と、当該配線基板の一方の面上に位置し、酸無水物系硬化剤又はフェノール系硬化剤を含有する光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物からなる内周側面とを少なくとも有し、
前記配線基板と前記硬化物とが直接接着しており、
前記配線基板の前記一方の面とは反対の面上に、光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物を有しておらず、
前記配線基板が、めっきが施されたプリント配線板又はめっきが施されたリードフレームであり、
光半導体素子を搭載した後に分割して用いられる、光半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項2】
光半導体素子を1つ有する光半導体装置を得るために用いられる、請求項1に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項3】
前記2つ以上の凹部が、縦3列以上、横3列以上のマトリックス状に形成されている、請求項1又は2に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか一項に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板と、前記2つ以上の凹部の各底面に搭載された光半導体素子と、前記光半導体素子を覆うように形成された透明な封止樹脂と、を少なくとも備える、光半導体装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成28年7月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
光半導体素子搭載領域となる2つ以上の凹部を有し、前記2つ以上の凹部の各々は、配線基板と、当該配線基板の一方の面上に位置し、酸無水物系硬化剤又はフェノール系硬化剤を含有する光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物からなる内周側面とを少なくとも有し、前記配線基板の前記一方の面とは反対の面上に、光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物を有していない、光半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項2】
光半導体素子を搭載した後に分割して用いられる、請求項1に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項3】
光半導体素子を1つ有する光半導体装置を得るために用いられる、請求項1又は2に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項4】
前記2つ以上の凹部が、縦3列以上、横3列以上のマトリックス状に形成されている、請求項1?3のいずれか一項に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項5】
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、及びメタルベース配線板からなる群から選択される、請求項1?4のいずれか一項に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項6】
請求項1?5のいずれか一項に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板と、前記2つ以上の凹部の各底面に搭載された光半導体素子と、前記光半導体素子を覆うように形成された透明な封止樹脂と、を少なくとも備える、光半導体装置。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「2つ以上の凹部」、「配線基板」及び「光半導体素子搭載用パッケージ基板」及び配線基板と硬化物の接着について、上記のとおり限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用例等の記載事項
ア 引用例1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平11-307820号公報(原査定時の引用文献5。以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。以下同じ。)

a 「【0013】最初に図1には、平板状の導電性ブロック部1を平行に複数枚ならべる工程を示す。この平板状ブロック部1は、使用条件から体積抵抗率が0.07Ω・m未満、熱伝導率が60W/(m・K)以上が望ましい。この数値をクリアする材質に限る。しかしながら、たいていの金属であればこの数値を満足している。又、高温はんだでも可能である。」

b 「【0014】続いて図2に示すように、図1で並べた平板状の導電性ブロック部1に絶縁部2を一体に成形する。この時絶縁部2が平板状導電ブロック部1挟持されると同時に、この平板状の導電性ブロック部1、1の上にまたがるように略楕円形の凹部3が成形される。導電性ブロック部に挟持される絶縁部2を第一の絶縁部、凹部を形成する絶縁部2を第二の絶縁部として、異なる材料で、別々の工程で作成しても良いが、本実施形態では同一材料で同時に形成されるものとする。この凹部3の底面に前記平板状導電ブロック部1に絶縁部2が挟持された状態で露出するような状態に一体成形される工程を図2に示してある。絶縁部2は、使用条件から光(可視光、赤外光)の反射率の高いもの、耐熱性に優れるもの、形成が容易なものが望ましい。」

c 「【0015】このことから、プラスチック(特にベクトラ、PPS)などの熱可塑性樹脂、エポキシなどの熱硬化性樹脂が望ましい。図3は、図2のB-B断面を示した図である。図3に示される凹部3は、絶縁部2によって、形成された反射ホ-ンである。図4に図3に示す断面図にLEDチップ4を導電性接着剤やはんだ等で電気的に接続する工程を示す。ここでは、はんだ5にて接合している。続いて図5は、図4の凹部3を透明樹脂若しくは、半透明樹脂でモ-ルドし、レンズ部6を形成する工程である。モ-ルドする樹脂として、透明エポキシ樹脂が最適である。ただし、用途によって拡散剤を添加したものを使用する場合もある。図5では、凹部3を越える高さでモ-ルドされているが、下回る高さでも特に問題ない。図6は、図5でできた透明樹脂等をモ-ルドしレンズ部6を形成した複数のLEDチップが実装されたユニットが示されており、破線に沿ってダイサ-等で裁断する工程を示す図である。」

d また、図2に、凹部3は、内周側面も含めて同じ材料であり、一体に形成された2つ以上の凹部3がマトリックス状に並び、凹部3の各々が導電性ブロック部の一方の面上に位置しており、その反対の面上には樹脂を有していないことが示され、図4に、LEDチップ4は、凹部3の領域に実装されることが示されている。

(イ)上記記載及び図に示された事項から、引用例1は、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「平板状の導電性ブロック部と、
その領域にLEDチップが実装される、平板状の導電性ブロック部と一体に成形され、熱硬化性エポキシ樹脂からなり、その内周側面も含めて同じ材料であり、反射ホーンである、一体に形成されたマトリックス状に並ぶ2つ以上の凹部とを有し、
凹部の各々が導電性ブロック部の一方の面上に位置しており、その反対の面上には樹脂を有しておらず、
ダイサ-等で裁断される、複数のLEDチップが実装されたユニット。」

イ 周知技術1
(ア)周知例1
原査定の拒絶の理由で示された、本願の優先日前に頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった周知例である、特開2003-277479号公報(原査定時の引用文献6。以下「周知例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a 「【0015】本発明に係るLEDベアチップ搭載用基板の樹脂組成物Cは、エポキシ樹脂、硬化剤、及び少なくとも1種の無機充填剤Aを含有する。」

b 「【0018】本発明に用いる硬化剤としては、酸無水物、フェノール樹脂、ノボラック型樹脂、アミン類、イミダゾール類、4級ホスホニウム塩類のほか、カチオン系の重合触媒などから適宜選択して用いることが出来るが、接着性、耐熱性及び耐候性を持つものが望ましく、また、Bステージ化(半硬化状態)が可能なものが望ましい。硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する硬化剤の官能基当量により決定され、一般には、理論当量の0.5?1.5倍量、好ましくは、0.8?1.2倍量、配合される。」

c 「【0023】無機充填剤Aとして上記で例示した材料の中には、アルミナ、酸化珪素、酸化チタン、窒化チタン、酸化ジルコニウム等のように白色系顔料としての機能を有するものがあり、斯かる性質を併有する無機充填剤Aは、基板に高い白色度を持たせて、光の反射率を高めることができるため、LEDベアチップ搭載用基板に適している。」

(イ)周知例2
原査定の拒絶の理由で示された、本願の優先日前に頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった周知例である、特開2003-3043号公報(原査定時の引用文献7。以下「周知例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LED、フォトトランジスタ、フォトダイオード、CCD、EPROM等の光半導体素子を封止するために用いられる光半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びこれにより封止された光半導体装置に関するものである。」

b 「【0022】硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応するものであれば、特に制限なく用いることができるが、比較的着色のないものが好ましい。例えば、無水ヘキサヒドロフタル酸等の酸無水物、フェノール、キシレノール、レゾールシン等とホルムアルデヒドとを縮合反応して得られるノボラック型フェノール樹脂、液状ポリメルカプタンやポリサルファイド樹脂等のポリメルカプタン系硬化剤等を挙げることができる。このほかにアミン系硬化剤を挙げることもできるが、硬化時の変色が大きいため、使用する際には添加量に注意を要する。」

(ウ)周知例3
本審決において示す、本願の優先日前に頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった周知例である、特開平11-293093号公報(以下「周知例3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、白色顔料の樹脂中での分散を良くして光反射率を高めることができるプリント配線板用エポキシ樹脂組成物及びその製造法、さらにそのエポキシ樹脂組成物を用いて製造されるプリプレグ及び積層板を提供することを目的とするものである。」

b 「【0018】本発明のエポキシ樹脂化合物に含有される硬化剤は、特に限定されないが、アミド系硬化剤(ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミンなど)、脂肪族アミン系硬化剤(トリエチルアミン、ジエチルアミンなど)、芳香族アミン系硬化剤(ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなど)、フェノール系硬化剤(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂など)、イミダゾール系硬化剤(2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール)、酸無水物系硬化剤(メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)等の硬化剤が例示でき、これらの硬化剤を単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。」

(エ)周知例4
本審決において示す、本願の優先日前に頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった周知例である、特開昭56-12786号公報(以下「周知例4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a 「本発明は光結合半導体装置に係り、特に光電変換効率の向上を目的とした樹脂モールド型光結合半導体装置に関する。」(第1頁左下欄第16行ないし第18行)

b 「本発明において用い得るエポキシ化合物としては、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するもので、例えばビスフェノールA形エポキシ樹脂、フェノールノボラック形エポキシ樹脂、クレゾールノボラック形エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などのハロゲン非置換エポキシ樹脂またはブロム化ビスフェノールA形エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック形エポキシ制脂などのハロゲン置換エポキシ化合物などが挙げられる。しかしてこれらエポキシ化合物中、ハロゲン非置換エポキシ化合物はエポキシ当量が250以下、軟化点120℃以下の特性をもつものが好しい。その理由はエポキシ当量250以上だと架橋密度が小さくなり充分な耐熱性、強度など得られないし、また軟化点120℃以上だと流れ性が悪くなり成形(モールド)し難くなる傾向があるからである。
本発明において用いる硬化剤としてのフェノールノボラック樹脂としては例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、クロルフェノール、フェニルフェノール、ビスフェノールAなどの1種または2種以上の混合物とホルムアルデヒドもしくはパラホルムアルデヒドとを酸や中性塩など触媒として反応させて得たものなどである。しかしてこのフェノールノボラック樹脂についてはモールド樹脂層の架橋密度を高めたり或いはモールドする光結合半導体装置への悪影響を除くため未反応モノマー成分の含量は0.7%程度以下のものが望しい。
本発明において用いる硬化剤としての有機酸無水物は、例えば無水フタル酸、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、シクロヘキセン1,2-ジカルボン酸、シクロヘキセン3,4-ジカルボン酸などが挙げられる。しかしてこれらフェノールノボラック樹脂および有機酸無水物は硬化剤として単独で用いてもまた混合して用いてもよい。」(第2頁右上欄第2行ないし左下欄第18行)

c 「また、各モールド樹脂層について、フォトカプラーの変換効率を左右する波長800mμにおける光反射率をそれぞれ測定した結果を表1に記載した。
表-1から明らかのように本発明に係る光結合半導体装置の場合は高い光反射率特性を持ち、かつ長時間に亘って安定した耐湿特性を示すという顕著な利点を有する。」(第4頁左上欄第12行ないし第19行)

(カ)周知技術1
上記周知例1ないし4に記載されている、以下の技術は周知技術(以下「周知技術1」という。)である。

「光半導体装置において、フェノール系又は酸無水物系硬化剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂を用いる技術」

ウ 周知技術2
(ア)周知例5
本審決において示す、本願の優先日前に頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった周知例である、特開2004-241766号公報(以下「周知例5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a 「【0005】
上記問題を解決するため、本発明のリードフレームは、リードフレーム素材の上に複数層の金属被膜が形成されてなる半導体装置用リードフレームであって、前記半導体装置の外囲器に囲繞されることとなるインナー部を有し、前記インナー部の最表層に形成される金属被膜は銀又は銀合金被膜であることを特徴とする。
また、前記インナー部を除いた部分の最表層に形成される金属被膜は金又は金合金被膜であるとしてもよい。」

b 「【0007】
この構成によれば、前記インナー部では銀又は銀合金被膜の特性である優れた光反射率とワイヤーボンディング性が発揮され、前記インナー部を除いた部分では金又は金合金被膜の特性である優れた耐食性とはんだ付け性が発揮される。
このリードフレームはインナー部において光反射率に優れるため、特に半導体発光装置に用いた場合に発光素子の後方光を効率よく反射して装置全体として高い発光効率を実現できる。」

c 「【0016】
リードフレーム100は、リードフレーム素材101に、ニッケルめっき102、パラジウムめっき103、及び金フラッシュめっき104がこの順に施され、さらにインナー部の一部分に銀めっき105が施されてなる。
それぞれのめっき厚は、例えばニッケルめっきが0.5から2.0μm、パラジウムめっきが0.005から0.07μm、金フラッシュめっきが0.003から0.01μm、及び銀めっきが0.1μm以上である。」

d 「【0020】
半導体発光素子400の光の一部分601は直接放出され、他の一部分602はインナー部及び台部200で反射した後放出される。
発明者らは、上述した構成によるリードフレームが以下に説明する優れた特性を有していることを確認した。」

(イ)周知例6
本審決において示す、本願の優先日前に頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった周知例である、国際公開第2004/036660号(以下「周知例6」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a 「The present idea is to solute problem of such usual SMD the smallest Chip LED device, surface emitting LED chip(InGaN, GaN LED Chip)(390nm~470nm) has within die pad cup of lead frame by an insulated light transmitted die glue(UV glue, an insulated transparency glue) and the use of silver epoxy glue exclude, therefore the short badness between the anode and the cathode solute completely. The light emitting by the opposite of emitting surface among the light emitting of surface LED was transmitted by an insulated light transmission epoxy glue, this transmitted light offer chip LED to improve the brightness as that the light reflected from die pad cup plated silver with reflection rate high and focused on emitting direction.」(明細書第3頁第12行ないし第21行)
(当審仮訳:「本発明は、そのような通常のSMD超小型チップLEDデバイスの問題を解決するため、表面実装LEDチップ(InGaN、GaN LEDチップ)(390nm?470nm)はリードフレームのダイパッドカップ内にあって透明ダイ接着剤(UV接着剤、絶縁透明接着剤)によって絶縁され、銀エポキシ接着剤の使用を排除する、したがって、アノードとカソードの間の短絡不良が完全に解消される。LED表面から放出される光のうち、放出面の反対側から放出される光は絶縁透明接着剤を透過し、この透過光は、銀でめっきされ、高い反射率を有するダイパッドカップによって反射され、放出方向に集光されることから、チップLEDの明るさを改善する。」)

(カ)周知技術2
上記周知例5及び6に記載されている、以下の技術は周知技術(以下「周知技術2」という。)である。

「半導体発光素子から放出される光を反射するため、半導体発光素子が置かれるリードフレームにめっきをする技術」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)リードフレームとは、通常、金属からなる平板状の導電性の部材を意味する用語であるから、引用発明の「平板状の導電性ブロック部」は、本件補正発明の「リードフレーム」に相当し、本件補正発明においてリードフレームであり得る「配線基板」にも相当する。

(イ)引用発明の「凹部」、「LEDチップ」、「実装」は、それぞれ本件補正発明の「凹部」、「光半導体素子」、「搭載」に相当する。引用発明の、凹部は反射ホーンであることから、その内周側面も含めた材料である熱硬化性エポキシ樹脂は光反射用であるといえ、引用発明の「熱硬化性エポキシ樹脂」は、「光反射用熱硬化性樹脂組成物」に相当する。引用発明の凹部も、一体に形成されたマトリックス状に並ぶ2つ以上の凹部が並ぶものであり、その内周側面も含めて熱硬化性エポキシ樹脂からなり、凹部の各々は導電性ブロック部の一方の面上に位置しており、その反対の面上には樹脂を有していない。そして、引用発明において、凹部は平板状の導電性ブロック部と一体に成形されていることから、凹部の材料である熱硬化性エポキシ樹脂は平板状の導電性ブロック部と直接接着されているといえる。

(ウ)引用発明において、複数のLEDチップが実装されたユニットのダイサ-等による裁断は、複数のLEDチップが実装すなわち搭載された後に個々の表面実装型LEDとして分割するためになされるものであるから、「ダイサ-等で裁断される」、「複数のLEDチップが実装されたユニット」は、それぞれ「光半導体素子を搭載した後に分割して用いられる」、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」に相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「光半導体素子搭載領域となる一体に形成されたマトリックス状に並ぶ2つ以上の凹部を有し、
前記2つ以上の凹部の各々が、配線基板と、当該配線基板の一方の面上に位置し、光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物からなる内周側面とを少なくとも有し、
前記配線基板と前記硬化物とが直接接着しており、
前記配線基板の前記一方の面とは反対の面上に、光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物を有しておらず、
前記配線基板が、リードフレームであり、
光半導体素子を搭載した後に分割して用いられる、光半導体素子搭載用パッケージ基板。」

【相違点1】
本件補正発明においては、凹部の内周側面が「無水物系硬化剤又はフェノール系硬化剤を含有する光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物からなる」のに対し、引用発明においては、反射ホーンである凹部の内周側面も含めた材料である熱硬化性エポキシ樹脂が、無水物系硬化剤又はフェノール系硬化剤を含有するか否かが特定されていない点。

【相違点2】
本件補正発明においては、「前記配線基板が、めっきが施されたプリント配線板又はめっきが施されたリードフレームであ」るのに対し、引用発明においては、平板状の導電性ブロック部にめっきが施されていない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。

ア 相違点1について
引用発明においては、反射ホーンである凹部の内周側面も含めた材料である熱硬化性エポキシ樹脂が、無水物系硬化剤又はフェノール系硬化剤を含有するか否かが特定されていないが、引用発明の凹部は、熱硬化性エポキシ樹脂からなるものであることから、上記2(2)イに記載したとおり、光半導体装置の技術分野において広く用いられているものである、「光半導体装置において、フェノール系又は酸無水物系硬化剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂を用いる」という周知技術1を、引用発明の熱硬化性エポキシ樹脂に適用して、上記相違点1に係る構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

ここで、上記のとおり、周知技術1は半導体装置の技術分野において広く用いられていることに加えて、周知例1について上記2(2)イ(ア)cで、周知例3について上記2(2)イ(ウ)aで、周知例4について上記2(2)イ(エ)cでそれぞれ摘記した箇所において、高い反射特性が求められる、反射のための部材にこの周知技術1が用いられていることが記載されていることからしても、同じく反射のための部材である、反射ホーンである引用発明1の凹部の熱硬化性エポキシ樹脂における周知技術1の適用に困難性があったとは認められない。

イ 相違点2について
引用発明においては、平板状の導電性ブロック部にめっきが施されていないが、引用発明も、反射ホーンである凹部によってLEDチップから放出される光を反射していることから、反射により発光素子である発光ダイオードの発光効率を向上させることを課題としていることは自明である。

このような自明の課題に基づき、引用発明1の平板状の導電性ブロック部に「半導体発光素子から放出される光を反射するため、半導体発光素子が置かれるリードフレームにめっきをする」という周知技術2を適用して、上記相違点2に係る構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

ここで、引用例1の段落【0007】に「【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記説明の製造方法にもあるように上下の導通をとるために、図17でも示すような無電解メッキなどの手法で全面を銅などの導電性皮膜で覆う工程が必要である。従って、コストが高くなるばかりでなく、生産性も著しく低下してしまう。また、プリント基板部分の加工の制度から発生する誤差と、メッキ工程によるメッキ厚みの誤差により、仕上がり寸法の精度が低下してしまう問題も抱えている。」、段落「【0016】に、「・・・更に、プリント基板を使用した表面実装型LEDと比べメッキ等の工程がない為に、コストダウンも期待できる。」、段落【0021】に、「・・・更に、プリント基板を使用した表面実装型LEDと比べメッキ等の工程がない為に、コストダウンも期待できる。」、段落【0024】に「・・・【発明の効果】以上説明したように、本発明による表面実装型LEDとその製造方法には、さまざまな効果が挙げられる。製造方法では、プリント基板を使用したものに比べプレス加工によるスロットを形成させる工程やスロット内面にプリント基板の上下導通をとる為無電解メッキによる導電性被膜の形成といった工程をなくすことにより、工程の簡略化をはかり大幅にコストを低減させることができる。・・・」と記載されているが、これらの記載は、プリント基板において上下導通をとるためのめっきによる問題を記載しているにすぎず、引用発明における、上記の反射により発光素子である発光ダイオードの発光効率を向上させるという自明の課題に基づく周知技術2の適用の阻害要因とはならない。

なお、上記の対比において、リードフレームとは、通常、金属からなる平板状の導電性の部材を意味する用語であるから、引用発明の「平板状の導電性ブロック部」は、本件補正発明の「リードフレーム」に相当するとしたが、ここで、仮に、「平板状の導電性ブロック部」と「リードフレーム」は用語が異なることから、この点を相違点として認定したとしても、引用発明の平板状の導電性ブロック部を周知技術2のめっきをされたリードフレームとすることも容易である。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明並びに周知技術1及び2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものではない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年12月5日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成28年7月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし6に係る発明は、その優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平11-340517号公報
引用文献2:特開昭61-237485号公報
引用文献3:米国特許第6599768号明細書
引用文献4:特開2002-368281号公報
引用文献5:特開平11-307820号公報
引用文献6:特開2003-277479号公報
引用文献7:特開2003-3043号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由の引用文献5は、上記第2[理由]2(2)アの引用例1であり、原査定の拒絶の理由の引用文献6は、上記第2[理由]2(2)イ(ア)の周知例1であり、原査定の拒絶の理由の引用文献6は、上記第2[理由]2(2)イ(イ)の周知例2であり、それぞれに記載された事項並びに引用発明及び周知技術1は、上記第2[理由]2(2)ア及びイに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、2つ以上の凹部について「一体に形成されたマトリックス状に並ぶ」という限定事項を、配線基板と硬化物について「前記配線基板と前記硬化物とが直接接着して」いるという限定事項を、配線基板について「前記配線基板が、めっきが直接接着して」いるという限定事項を、光半導体素子搭載用パッケージ基板について「光半導体素子を搭載した後に分割して用いられる」という限定事項をそれぞれ除いたものである。

上記第2[理由]2で検討した本件補正発明と引用発明の対比を踏まえ、本願発明と引用発明を対比すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりとなる。

【一致点】
「光半導体素子搭載領域となる2つ以上の凹部を有し、
前記2つ以上の凹部の各々は、配線基板と、当該配線基板の一方の面上に位置し、光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物からなる内周側面とを少なくとも有し、
前記配線基板の前記一方の面とは反対の面上に、光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物を有していない、
光半導体素子搭載用パッケージ基板。」

【相違点1】
本件補正発明においては、凹部の内周側面が「無水物系硬化剤又はフェノール系硬化剤を含有する光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物からなる」のに対し、引用発明においては、反射ホーンである凹部の内周側面も含めた材料である熱硬化性エポキシ樹脂が、無水物系硬化剤又はフェノール系硬化剤を含有するか否かが特定されていない点。

上記相違点1については、上記第2[理由]2(4)に記載したとおりであって、本願発明も、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-31 
結審通知日 2018-11-06 
審決日 2018-11-19 
出願番号 特願2015-125501(P2015-125501)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高椋 健司  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 近藤 幸浩
古田 敦浩
発明の名称 光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法およびこれを用いた光半導体装置の製造方法  
代理人 三好 秀和  

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