• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1348149
審判番号 不服2017-8480  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-12 
確定日 2019-01-16 
事件の表示 特願2015-130025「ハイブリッド自動反復要求を用いたトランスポートブロックセット送信」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月12日出願公開、特開2015-201889〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2003年(平成15年)2月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年2月13日、米国、2002年10月24日、米国)を国際出願日とする特願2003-568819等の一部を平成20年4月2日に新たな特許出願とした特願2008-96551号の一部を平成21年7月27日に新たな特許出願とした特願2009-174361号の一部を平成23年11月25日に新たな特許出願とした特願2011-257344号の一部を平成27年6月29日に新たな特許出願としたものであって、平成28年5月30日付けで拒絶理由が通知され、同年9月6日に手続補正がなされたが、平成29年2月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年6月12日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年6月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年6月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項13の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項13】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ネットワークで通信する方法であって、
ダウンリンク(DL)チャネルで、第1の送信時間間隔(TTI)において第1の変調および符号化方式に従って少なくとも第1のトランスポートブロック(TB)および第2のTBを送信するステップと、
前記DLチャネルで、第2のTTIにおいて第2の変調および符号化方式に従って前記少なくとも2つのTBのうち前記第1のTBを再送するステップと
を有し、
前記第2のTTIにおける前記第1のTBの再送は、増加的冗長性(IR)を使用して前記第1のTTIにおいて送信された前記第1のTBと結合され、前記第2のTBは再送されない方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成28年9月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項13の記載は次のとおりである。
「【請求項13】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ネットワークで通信する方法であって、
ダウンリンク(DL)チャネルで、第1の送信時間間隔(TTI)において第1の変調および符号化方式に従って少なくとも第1のトランスポートブロック(TB)および第2のTBを送信するステップと、
前記DLチャネルで、第2のTTIにおいて第2の変調および符号化方式に従って前記少なくとも2つのTBのうち前記第1のTBを再送するステップと
を有し、
前記第2のTTIにおける前記第1のTBの再送は、増加的冗長性(IR)を使用して前記第1のTTIにおいて送信された前記第1のTBと結合される方法。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項13に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2のTB」と「再送」との関係について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項13に記載された発明と補正後の請求項13に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項13に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用例の記載事項
ア 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された、「Nortel Networks,Discussion on ARQ aspects for High Speed Downlink Packet Access(仮訳:高速ダウンリンクパケットアクセスのためのARQの側面に関するディスカッション)」[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯17 R1-00-1442,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_17/Docs/Zips/R1-00-1442.zip>,2000年11月)」(原査定の引用例1。以下「引用例」という。)には、次の(ア)ないし(ク)の記載があり、該記載から次の(ケ)ないし(ス)の事項が読み取れる。

(ア)「1. Introduction
This documents discusses aspects of ARQ in the context of HSDPA. The mandate of RAN WG1 on the ARQ aspects is restricted to the analysis of the feasibility/benefit of hybrid ARQ vs. the ARQ method which is part of Release99, as HARQ was identified as a potential technology for introduction in the framework of HSDPA. RAN WG2 should on the other side, consider ARQ as a whole, in particular impact on the transmission model and protocol architecture. Whereas initial discussion that took place in RAN WG1 did concentrate on the evaluation of HARQ in general, discussion seems to be expanding outside the assigned scope of RAN WG1. Indeed detailed proposals for the ARQ have been made in [1][2][3], which in effect address two main proposals which we may characterise as a Synchronous ARQ proposal on on side [1][3] and asynchronous proposal on the other side [2].
In the following, we would like to identify which aspects of these proposals should be furthre evaluated in the scope assigned to RAN 1 in order to avoid duplication of descussion in RAN WG2, leaving the remaining aspects for discussion in RAN2. Then both proposals are analysed in terms of commonalities and differrences and technical issues are identified, as a way to initiate descussion with RAN WG2.
Where relevant, the impact on signalling content and dimensioning is provided. But no scheme for signalling is presented since the requirements must be settled before a specific scheme can be considered.
(仮訳:1.はじめに
本稿では、HSDPAのコンテキストにおけるARQの側面について説明する。ARQの側面でのRAN WG1の任務は、ハイブリッドARQがHSDPAの枠組みにおける導入の潜在的な技術として特定されているため、HARQ対リリース99(リリース9の誤記と認める。)の一部であるARQ方式の実現可能性/利益の分析に限定されている。RAN WG2は、他方で、全体としてのARQ、とりわけ伝送モデルとプロトコルアーキテクチャの影響を考慮する必要がある。RAN WG1で最初に行われた議論は一般的にHARQの評価に集中していたが、RAN WG1の割当範囲外で議論は拡大しているようである。実際、ARQに対する詳細な提案は、[1][2][3]でなされている。これらの提案は、実際は、[1][3]側の同期ARQの提案と他方[2]側の非同期の提案とに特徴付けられ得る2つの主な提案に取り組むものである。
以下では、RAN2での議論のために残している側面はそのままで、RAN WG2での議論の重複を避けるために、RAN1に割り当てられた範囲でこれらの提案のどの側面をさらに評価するかを特定したい。そして、両提案が共通点と相違点で分析され、RAN2でとの議論を開始する方法として、技術的問題が特定される。
関連する場合、シグナリングコンテンツとディメンジョンに与える影響が提供される。しかし、特定のスキームが考慮される前に要求が解決されなければならないため、シグナリングのスキームは提示されていない。)」

(イ)「3. Analysis of the two currently discussed in RAN1 proposals ARQ
In the following we analyse the two main proposals and identify commonalities and differences towards several criteria as listed below:
?? processing time
?? variation of number of blocks in each TTI
?? multiplexing of users in time
?? New/Continue indication
?? Chase versus/ Incremental redundancy
?? Interaction with Fast Cell Selection
?? Interaction with Adaptive Modulation and Coding
?? Aspects specific to one of the methods
Potential problems or missing parts of the proposals are identified, which should be considered by RAN1 and RAN2 when evaluating the feasibility of the proposed techniques.
(仮訳:3.2つの現在RAN1で議論されている提案ARQの分析
以下では、2つの主な提案を分析し、以下に列挙するいくつかの基準に向けて、一致点と相違点とを特定する。
?? 処理時間
?? 各TTIのブロック数の変動
?? ユーザの時間多重化
?? 新規/継続指示
?? チェイス結合/インクリメンタル・リダンダンシー
?? 高速セル選択の相互作用
?? 適応変調と符号化の相互作用
?? 1つの方法に特有の側面
提案された技術の実現可能性を評価するとき、RAN1とRAN2で考慮されるべき、潜在的な問題又は提案の欠落部分が特定される。)」

(ウ)上記(イ)の「3. Analysis of the two currently discussed in RAN1 proposals ARQ」の章に記載された表(以下「表」という。)の「Multiple transport brock per TTI(仮訳:TTI毎の複数のトランスポートブロック)」の項について
「One issue is the number of ack/nack per TTI. If there is one ack/nack per TrBlk, then the feedback channel must support different number of ack/nack. A global ack/nack would mean that all blocks are to be retransmitted if one of them is erroneous. Also in this case, Transport Block concatenation removal might not be needed.Ack/nack on a per transport block would allow specific re-transmission.
(仮訳:1つの問題は、TTI毎のack/nackの数である。トランスポートブロック毎に1つのack/nackがある場合、フィードバックチャネルは異なる数のack/nackをサポートしなければならない。グローバルなack/nackは、いずれかのブロックにエラーがあると全てのブロックが再送されることを意味する。またこの場合は、トランスポートブロックの連結除去は、必要でないかもしれない。トランスポートブロック毎のack/nackは、特定の再送を可能とする。)」

(エ)表の「Variation of number of Transport Blocks in a TTI(仮訳:1つのTTIにおけるトランスポートブロックの数のバリエーション)」の項について
「The number of TrBlks in a TTI can vary for a same user due to several reasons: variations of the number of codes allocated for this user although these codes may be at the same SF, variation of MCS for this user.
One issue is the number of ack/nack per TTI. If there is one ack/nack per TrBlk,then the feedback channel must support a variable number of ack/nack, and the number of TrBlks sent in "re-transmission" TTI is variable according to the number of nacks understood by the receiver..
(仮訳:1つのTTIにおける送信ブロックの数は、いくつかの理由により同じユーザであっても異なる場合があり、その理由は、各コードが同じSFであり得るとしても、ユーザに割り当てられたコードの数が可変であること、ユーザのためのMCSが可変であることである。
1つの問題は、TTI毎のack/nackの数である。トランスポートブロック毎に1つのack/nackがある場合、フィードバックチャネルは可変数のack/nackをサポートしなければならず、「再送」TTIで送信されるトランスポートブロック数は受信機によって理解されるnackの数に従って可変である。)」

(オ)表の「Chase combining / Incremental redundancy(仮訳:チェイス結合/インクリメンタル・リダンダンシー)」の項について
「Both methods could apply to synchronous and asynchronous ARQ.
In case of incremental redundancy how does the current 3GPP rate matching algorithm interact with the redundancy? Actually, in case of flexible positions of TrChs, the rate matching positions vary according to the amount of rate matching applied. Also the rate matching positions depend on the maximum number of bits in a TTI and static RM parameter. Enhancement of this algorithm is needed if we want to obtain other RM patterns.
(仮訳:どちらの方法も、同期及び非同期ARQに適用できる。インクリメンタル・リダンダンシーの場合、現在の3GPPレートマッチングアルゴリズムは、冗長性とどのように相互作用するか。実際、送信チャネルの柔軟な位置の場合、レートマッチング位置は、適用されるレートマッチングの量によって変化する。また、レートマッチング位置は、TTI及び静的RMパラメータの最大ビット数に依存する。他のRMパターンを取得したい場合は、このアルゴリズムを強化する必要がある。)」

(カ)上記(オ)の項のうち「Asynchronous HARQ(仮訳:非同期HARQ)」に対して
「In case the transmitter is free to chose the number and size of re-transmitted blocks, incremental redundancy might give it more flexibility to optimise the content of the re-transmissions.
(仮訳:送信機が再送ブロックの数およびサイズを自由に選択できる場合、インクリメンタル・リダンダンシーにより、再送の内容を最適化する柔軟性が増す可能性がある。)」

(キ)表の「Interaction with Adaptive Modulation and Coding scheme(仮訳:適応的変調及び符号化方式に伴う相互作用)」の項について
「It should be studied whether it is possible to change the MCS in the middle of re-transmissions, of whether change of MCS should occur only on new block transmission. Changing MCS modifies the amount of bits that can be transmitted in a TTI. Thus either the number of L2 blocks transmitted in the TTI, or the channel coding scheme(including rate matching) is modified. Changing MCS in the middle of re-transmission has thus an impact on the coding of the re-transmitted block.
(仮訳:再送の途中でMCSを変更することができるかどうか、またはMCSの変更が新しいブロック送信でのみ発生すべきかどうかを検討する必要がある。MCSを変更すると、1つのTTIで送信され得るビット数が変更される。したがって、TTIで送信されるL2ブロックの数又はチャネル符号化方式(レートマッチングを含む)のいずれかが変更される。したがって、再送の途中でMCSを変更することは、再送ブロックの符号化に影響を与える。)」

(ク)上記(キ)の項のうち「Asynchronous HARQ(仮訳:非同期HARQ)」に対して
「Asynchronous HARQ can be evolved into the AMCS scheme, where the transmitter adapts the MCS and thus the number of blocks transmitted to channel conditions.
(仮訳:非同期HARQでは、AMCS方式に発展させうる。ここでは、送信機は、MCSとこれによる送信ブロック数とをチャネル条件に適合させる。)」

(ケ)ここで、引用例は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)におけるDiscussion(議論)のためのDocument(文章)であり、タイトルである「Nortel Networks,Discussion on ARQ aspects for High Speed Downlink Packet Access(仮訳:高速ダウンリンクパケットアクセスのためのARQの側面に関するディスカッション)」や、上記(ア)ないし(ク)からみて、引用例には、「3GPPネットワークで通信する方法」の発明が記載されているといえる。

(コ)引用例のタイトル、上記(ア)、(イ)からみて、引用例の3.の項に記載された事項は、ダウンリンクにおける再送制御に関するものである。
そして、上記(ウ)、(エ)より、送信側ではTTI毎に複数のトランスポートブロックを送信すること、受信側ではトランスポートブロック毎にack/nackをフィードバックすること、nackがフィードバックされたトランスポートブロックが「再送」TTIで再送されることが理解できる。ここで、前記トランスポートブロックを送信するTTIを「第1のTTI」と称し、前記nackがフィードバックされたトランスポートブロックが再送される「再送」TTIを「第2のTTI」と称することは任意である。
そこで、上記(ケ)の「方法」の個々の手順を「ステップ」で表すと、引用例には、トランスポートブロックを送信するステップについて、「ダウンリンクチャネルで、第1のTTIにおいて複数のトランスポートブロックを送信するステップ」が記載されているといえ、トランスポートブロックを再送するステップについて、「前記ダウンリンクチャネルで、第2のTTIにおいて前記複数のトランスポートブロックのうちnackがフィードバックされたトランスポートブロックを再送するステップ」が記載されているといえる。

(サ)上記(オ)、(カ)より、トランスポートブロックの再送には「インクリメンタル・リダンダンシー」(以下「IR」ということがある。)を使用することが示唆されており、HARQにおいてIRを使用する場合に、最初に送信されたトランスポートブロックとIRの再送分とが結合されることは技術常識である。そうすると、引用例には明示がないものの、IRを使用した復号に関して、「前記第2のTTIにおける前記nackがフィードバックされたトランスポートブロックの再送は、IRを使用して、前記第1のTTIにおいて送信された前記nackがフィードバックされたトランスポートブロックとIRの再送分とが結合される」ことは、引用例に記載されているに等しい事項である。

上記(ケ)ないし(サ)を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「3GPPネットワークで通信する方法において、
ダウンリンクチャネルで、第1のTTIにおいて複数のトランスポートブロックを送信するステップと、
前記ダウンリンクチャネルで、第2のTTIにおいて前記複数のトランスポートブロックのうちnackがフィードバックされたトランスポートブロックを再送するステップと、
を有し、
前記第2のTTIにおける前記nackがフィードバックされたトランスポートブロックの再送は、インクリメンタル・リダンダンシー(IR)を使用して、前記第1のTTIにおいて送信された前記nackがフィードバックされたトランスポートブロックとIRの再送分とが結合される方法。」

(シ)さらに、上記(キ)の「Interaction with Adaptive Modulation and Coding scheme(仮訳:適応的変調及び符号化方式に伴う相互作用)」より、上記(ケ)の方法は、HSDPAにおいて適応的変調及び符号化方式を採用することが示唆され、上記(ク)の「送信機は、MCSとこれによる送信ブロック数とをチャネル条件に適合させる。」より、送信機はチャネル条件に適合するようにMCS、すなわち変調及び符号化方式を設定するものであるから、前記第1のTTIにおけるトランスポートブロックの送信は、チャネル条件に適合した変調及び符号化方式に従うものといえる。

(ス)また、上記(カ)の「送信機が再送ブロックの数およびサイズを自由に選択できる場合、インクリメンタル・リダンダンシーにより、再送の内容を最適化する柔軟性が増す可能性がある。」の記載、及び、上記(キ)の「MCSを変更すると、1つのTTIで送信され得るビット数が変更される。したがって、TTIで送信されるL2ブロックの数又はチャネル符号化方式(レートマッチングを含む)のいずれかが変更される。したがって、再送の途中でMCSを変更することは、再送ブロックの符号化に影響を与える。」の記載から、再送は、再送の内容に応じたMCS、すなわち変調および符号化方式に従うものといえる。

上記(シ)及び(ス)より、引用例には、次の事項(以下「引用例記載事項」という。)が記載されていると認める。
「HSDPAにおいて適応的変調及び符号化方式を採用し、チャネル条件に適合した変調及び符号化方式に従ってトランスポートブロックを送信し、再送の内容に応じた変調及び符号化方式に従ってトランスポートブロックを再送すること。」

イ 周知例
原査定の拒絶の理由で引用された米国特許第6212240号明細書(原査定の引用例3。以下「周知例」という。)には、次の記載がある。

「 Operation of the two preferred communication devices 101, 107 occurs substantially as follows in accordance with the present invention. The data source 110 of the sending communication device 107 provides the user data, which might comprise a text file or large data file, divided into data blocks for transmission to the target communication device 101. Each data block preferably comprises an amount of data that fits into a 15 millisecond time slot of a time division multiple access (TDMA) time frame. In an alternative embodiment, the data source 110 provides the user data to the processor 114, and the processor 114 divides the user data into data blocks using known techniques. Once the user data is divided into data blocks, the data source 110 or the processor 114 provides the data blocks to transmitter 108, and the transmitter 108 transmits the user data at a first modulation rate to the target device 101 via a radio communication resource 102, such as one or more TDMA time slots.
Upon receiving the transmission, the target communication device 101 determines whether it received all the data blocks of user data contained in the transmission and whether any received data blocks were corrupted. Data blocks that were either not received or were improperly received due to corruption are collectively referred to as unreceived data blocks herein. The target device 101 then transmits an acknowledgment to the sending device 107 via a radio communication resource 104, wherein the acknowledgment indicates a quantity of data blocks that were not received by the target communication device 101. Preferably, the acknowledgment also identifies which of the transmitted data blocks were not received by the target communication device 101. The receiver 112 then receives the acknowledgment from the target communication device 101.
The processor 114 compares the quantity indicated by the acknowledgment to a threshold. When the quantity of unreceived data blocks is less than the threshold, the processor 114 provides a control signal to the transmitter 108 instructing the transmitter 108 to retransmit the unreceived data blocks at a second modulation rate that is less than the first modulation rate. The processor 114 selects the appropriate modulation rate from a table of modulation rates stored in the memory device 116. The transmitter 108 then retransmits the unreceived data blocks at a second modulation rate, via communication resource 102, responsive to the control signal. When the quantity of unreceived data blocks is not less than the threshold the unreceived data blocks are retransmitted at the first modulation rate.
In the preferred embodiment, the first modulation rate comprises 64-ary quadrature amplitude modulation (QAM) and the second modulation rate comprises 16-ary QAM. In an alternate embodiment, the first modulation rate may be 16-ary QAM and the second modulation rate 4-ary QAM or quaternary phase shift keying (QPSK). One of ordinary skill in the art will recognize that the first modulation rate requires less bandwidth than the second modulation rate to transmit an equivalent amount of data because the first modulation rate is preferably greater than the second modulation rate. By reducing the modulation rate only when the quantity of data blocks to be resent is less than the threshold, the present invention efficiently allocates the RF bandwidth for transmissions and retransmissions of user data.(第2欄第61行?第3欄第55行)
(仮訳:2つの好ましい通信装置101、107の動作は、本発明に従って実質的に以下のとおりである。送信側通信装置107のデータソース110は、ユーザデータを提供する。そのユーザデータは、ターゲット通信装置101へ送信するためにデータブロックに分割されているテキストファイル又は大きいデータファイルを含み得る。各データブロックは、好ましくは、時分割多元接続(TDMA)タイムフレームの15ミリ秒のタイムスロットに適合するデータの量を含む。別の実施形態では、データソース110は、ユーザデータをプロセッサ114に提供し、プロセッサ114は、ユーザデータを既知の技術を使用してデータブロックに分割する。ユーザデータがデータブロックに分割されると、データソース110またはデータプロセッサ114は、データブロックを送信機108に提供し、送信機108は、無線通信リソース102を介して、1以上のTDMAタイムスロットで、ユーザデータを第1の変調速度で前記ターゲット装置101に送信する。
送信の受信時に、ターゲット通信デバイス101は、送信中に含まれているユーザデータの全てのデータブロックを受信したか否かと、受信したデータブロックが破損されたか否かを判定する。受信されなかったか、破損により不適切に受信されたデータブロックは、ここではまとめて、未受信のデータブロックと呼ぶ。そして、ターゲット装置101は、無線通信リソース104を介して送信装置107に確認応答を送信する。ここで確認応答は、ターゲット通信デバイス101によって受信されなかったデータブロックの数を示す。好ましくは、確認応答は、同様に送信されたデータブロックのうちのどれがターゲット通信装置101により受信されなかったかを識別できる。レシーバ112は、ターゲット通信デバイス101からの確認応答を受信する。
プロセッサ114は、確認応答によって指示された数を閾値と比較する。未受信のデータブロックの数が閾値よりも少ない場合、プロセッサ114は送信機108に制御信号を与え、該送信機108に、第1の変調速度より低い第2の変調速度で未受信のデータブロックを再送信させる。プロセッサ114は、メモリ装置116に記憶された変調速度のテーブルから適切な変調速度を選択する。次に、送信機108は、制御信号に応答して、未受信のデータブロックを通信リソース102を介して第2の変調速度で再送信する。未受信のデータブロックの数が閾値より少なくない場合、未受信のデータブロックは、第1の変調速度で再送信される。
好ましい実施形態では、第1の変調速度は、64-ary直交振幅変調(QAM)を含み、第2の変調速度は16QAMを含む。別の実施形態では、第1の変調速度は16QAMとし、第2変調速度は4QAMまたは四位相偏位変調(QPSK)とすることができる。当業者であれば、第1の変調速度は第2の変調速度よりも速いことが好ましいので、第1の変調速度は、同じ量のデータを送信するために第2の変調速度よりも少ない帯域幅を必要とすることを認識するであろう。再送信されるデータブロックの数が閾値未満である場合のみ、変調速度を低下させることによって、本発明は、ユーザデータの送信および再送信のためのRF帯域幅を効率的に割り当てる。)」

上記事項のとおり、周知例には、次の事項(以下「周知事項」という。)が記載されている。
「データブロックを第1の変調速度で変調して送信し、前記データブロックを前記第1の変調速度より低い第2の変調速度で変調して再送すること。」

(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「3GPPネットワークで通信する方法」は、本件補正発明の「第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ネットワークで通信する方法」に相当する。
引用発明の「ダウンリンクチャネル」、「第1のTTI」及び「第2のTTI」は、本件補正発明の「ダウンリンク(DL)チャネル」、「第1の送信時間間隔(TTI)」及び「第2のTTI」に相当する。
引用発明の「複数のトランスポートブロック」のうち「nackがフィードバックされたトランスポートブロック」は、第2のTTIにおいて再送されるトランスポートブロック(TB)であり、本件補正発明では、第2のTTIにおいてどのTBを再送するかについては特定がないから、引用発明の前記「nackがフィードバックされたトランスポートブロック」は、本件補正発明の「再送するステップ」で再送される「第1のトランスポートブロック(TB)」に対応し、引用発明の前記「nackがフィードバックされたトランスポートブロック」を除く「複数のトランスポートブロック」は、本件補正発明の「第2のTB」に対応するといえる。
そうすると、引用発明「ダウンリンクチャネルで、第1のTTIにおいて複数のトランスポートブロックを送信するステップ」と、本件補正発明の「ダウンリンク(DL)チャネルで、第1の送信時間間隔(TTI)において第1の変調および符号化方式に従って少なくとも第1のトランスポートブロック(TB)および第2のTBを送信するステップ」とは、「ダウンリンク(DL)チャネルで、第1の送信時間間隔(TTI)において第1のトランスポートブロック(TB)および第2のTBを送信するステップ」である点で共通する。
また、引用発明の「前記ダウンリンクチャネルで、第2のTTIにおいて前記複数のトランスポートブロックのうちnackがフィードバックされたトランスポートブロックを再送するステップ」と、本件補正発明の「前記DLチャネルで、第2のTTIにおいて第2の変調および符号化方式に従って前記少なくとも2つのTBのうち前記第1のTBを再送するステップ」とは、「前記DLチャネルで、第2のTTIにおいて前記少なくとも2つのTBのうち前記第1のTBを再送するステップ」である点で共通する。
引用発明の「インクリメンタル・リダンダンシー(IR)を使用」は本件補正発明の「増加的冗長性(IR)を使用」に相当するから、引用発明の「前記第2のTTIにおける前記nackがフィードバックされたトランスポートブロックの再送は、インクリメンタル・リダンダンシー(IR)を使用して、前記第1のTTIにおいて送信された前記nackがフィードバックされたトランスポートブロックとIRの再送分とが結合され」は、本件補正発明の「前記第2のTTIにおける前記第1のTBの再送は、増加的冗長性(IR)を使用して前記第1のTTIにおいて送信された前記第1のTBと結合され」に相当する。

以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ネットワークで通信する方法であって、
ダウンリンク(DL)チャネルで、第1の送信時間間隔(TTI)において第1のトランスポートブロック(TB)および第2のTBを送信するステップと、
前記DLチャネルで、第2のTTIにおいて前記少なくとも2つのTBのうち前記第1のTBを再送するステップと
を有し、
前記第2のTTIにおける前記第1のTBの再送は、増加的冗長性(IR)を使用して前記第1のTTIにおいて送信された前記第1のTBと結合される方法。」

(相違点1)
本件補正発明では、送信するステップは「第1の変調および符号化方式」に従い、再送するステップでは「第2の変調および符号化方式」に従うものであるのに対し、引用発明では、この点が不明である点。

(相違点2)
本件補正発明では、「前記第2のTBは再送されない」と限定しているのに対し、引用発明では、この限定がない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用例には、上記(2)アのとおり、次の引用例記載事項が記載されている。
「HSDPAにおいて適応的変調及び符号化方式を採用し、チャネル条件に適合した変調及び符号化方式に従ってトランスポートブロックを送信し、再送の内容に応じた変調及び符号化方式に従ってトランスポートブロックを再送すること。」
引用発明では送信するステップ及び再送するステップにおいてどのような変調及び符号化方式を用いるかは特定されていないが、上記引用例記載事項を採用して、送信を「チャネル条件に適合した変調及び符号化方式に従」うものとし、再送を「再送の内容に応じた変調及び符号化方式に従」うものとすることは、当業者が容易になし得たことである。この場合、「チャネル条件に適合した変調及び符号化方式」を「第1の変調および符号化方式」と称し、「再送の内容に応じた変調及び符号化方式」を「第2の変調および符号化方式」と称することは任意である。

ここで、本件補正発明の実施の形態について、本願明細書の発明の詳細な説明には、「第2の変調および符号化方式」として、「第1の変調および符号化方式」よりも高ロバスト性の変調・符号化セットを用いることが記載(段落【0020】、図5等参照。)されており、念のため前記「第1の変調および符号化方式」と前記「第2の変調および符号化方式」をこのように解した場合について検討すると、上記(2)イのとおり、「データブロックを第1の変調速度で変調して送信し、前記データブロックを前記第1の変調速度より低い第2の変調速度で変調して再送すること。」が周知事項であり、変調速度を低くするとロバスト性が上がること、及び、変調速度に適する符号化が必要であることが明らかであるから、引用発明に引用例記載事項を適用する際に、再送するステップの変調及び符号化方式を、送信するステップの変調及び符号化方式よりロバスト性の高いものとすることは、当業者が必要に応じて適宜になし得たことである。

イ 相違点2について
本件補正発明の「第2のTB」に相当する引用発明の「nackがフィードバックされたトランスポートブロック」を除く「複数のトランスポートブロック」は、ackがフィードバックされた、すなわち復号できたトランスポートブロックであるから、必ず再送しなければならないというものではない。よって、引用発明において、「nackがフィードバックされたトランスポートブロック」を除く「複数のトランスポートブロック」が再送されないようにすることは、当業者が適宜になし得たことである。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例記載事項の奏する作用効果、又は、引用発明、引用例記載事項及び周知事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明と引用例記載事項に基づいて、又は、引用発明、引用例記載事項及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年6月12日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年9月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項13に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項13に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし16に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献等1に記載された発明及び引用文献等2ないし4に記載された周知事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>
1:Nortel Networks,Discussion on ARQ aspects for High Speed Downlink Packet Access[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯17 R1-00-1442,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_17/Docs/Zips/R1-00-1442.zip>,2000年11月
2:Lucent Technologies,Signalling Support for Multiple Simultaneous Transmissions to a UE within a TTI[online], 3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2001_11_WG1_HSDPA 12A010055,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2001_11_WG1_HSDPA/12A010055.zip>,2001年1
1月(周知技術を示す文献)
3:米国特許第6212240号明細書(周知技術を示す文献)
4:Nortel Networks,et al.,Stand-alone DSCH,proposed text for inclusion in TR25.848 v0.4.0,3GPP TSG1#19(01)0293,2001年 2月,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_19/Docs/Zips/R1-01-0293.zip(周知技術を示す文献)

3 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献等の1ないし4のうち、1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりであり、3の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)イに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明から「前記第2のTBは再送されない」という限定事項(前記第2の[理由]2(3)において相違点2とした事項)を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用例記載事項に基づいて、又は、引用発明、引用例記載事項及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用例記載事項に基づいて、又は、引用発明、引用例記載事項及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-08-16 
結審通知日 2018-08-21 
審決日 2018-09-03 
出願番号 特願2015-130025(P2015-130025)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷岡 佳彦  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 富澤 哲生
中野 浩昌
発明の名称 ハイブリッド自動反復要求を用いたトランスポートブロックセット送信  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ