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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H01F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01F
管理番号 1349610
審判番号 不服2018-1569  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-05 
確定日 2019-03-07 
事件の表示 特願2014-203140「電子部品」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月 9日出願公開、特開2016- 72556〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成26年10月1日の出願であって、平成29年2月20日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年6月7日付けで手続補正がなされたが、同年12月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年2月5日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。

2.平成30年2月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年2月5日付けの手続補正を却下する。
[理 由]
(1)補正後の本願発明
平成30年2月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1については、
「【請求項1】
異方性磁性材料及び等方性磁性材料を含む絶縁体から成る本体と、
前記本体内に位置するコイルと、
を備え、
前記異方性磁性材料は、前記コイルの中心軸と平行な中心軸方向における該コイルの端部の表面であって該コイルを構成する導体部分の表面である端面を覆うように設けられ、
前記等方性磁性材料は、前記中心軸方向と直交する直交方向において前記異方性磁性材料と隣接し、
前記異方性磁性材料及び前記等方性磁性材料の界面近傍における該異方性磁性材料の前記端面を覆う部分の磁化容易方向は、前記直交方向であり、
前記異方性磁性材料及び前記コイルは、積層体を構成し、
前記等方性磁性材料は、前記積層体を貫通する一体の部材として設けられていること、
を特徴とする電子部品。」

とあったものが、

「【請求項1】
異方性磁性材料及び等方性磁性材料を含む絶縁体から成る本体と、
前記本体内に位置するコイルと、
を備え、
前記異方性磁性材料は、前記コイルの中心軸と平行な中心軸方向における該コイルの端部の表面であって該コイルを構成する導体部分の表面である端面を覆うように設けられ、
前記等方性磁性材料は、前記中心軸方向と直交する直交方向において前記異方性磁性材料と隣接し、
前記異方性磁性材料及び前記等方性磁性材料の界面近傍における該異方性磁性材料の前記端面を覆う部分の磁化容易方向は、前記直交方向であり、
前記異方性磁性材料及び前記コイルは、積層体を構成し、
前記等方性磁性材料は、前記積層体を貫通する一体の部材として設けられており、
前記コイルは、前記本体を構成する複数の絶縁体層の各々の上に設けられたコイル導体と、複数の前記コイル導体を相互に接続するビア導体とを含むこと、
を特徴とする電子部品。」
と補正された。

上記補正は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「コイル」について、「前記本体を構成する複数の絶縁体層の各々の上に設けられたコイル導体と、複数の前記コイル導体を相互に接続するビア導体とを含む」ことの限定を付加するものである。
なお、本件補正前の請求項4については削除され、請求項2,3については本件補正の前後で記載上の変更はない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、及び第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。

(2)先願発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願の日前の他の特許出願であって、本願出願後に出願公開された特願2014-31895号(特開2015-159144号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、「インダクタ」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
第1比透磁率を有する第1材料からなる軸部と、
前記軸部の周りに巻き回された導線により形成されたコイルと、
前記軸部の径方向外側から前記コイルを包囲し、前記第1材料からなる外周部と、
前記軸部の軸方向から見て少なくとも前記コイルの一部を覆うように配置され、前記第1比透磁率よりも高い第2比透磁率を有する第2材料からなるカバー部と、
を備えている、インダクタ。
【請求項2】
前記第2材料は、扁平形状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む複合材料である、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記扁平形状の金属磁性体粒子は、その長軸方向が前記軸方向と直交する向きに配向されている、請求項2に記載のインダクタ。
・・・・・(中 略)・・・・・
【請求項13】
前記軸部と前記外周部は一体に成形されたコアを形成しており、
前記コイルの少なくとも一部は、前記コアに埋設されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のインダクタ。」

イ.「【0037】
図1は、本発明の第1実施形態に係るインダクタ1を一部断面視で示す斜視図である。図2の(a)は、インダクタ1を上方から見た外観を示す平面図である。図2の(b)は、図2の(a)における線IIB-IIBに沿う断面を示す図である。
【0038】
インダクタ1は、軸部2を備えている。軸部2は、第1比透磁率を有する第1材料からなる。軸部2は、軸Aに沿って延びている。
【0039】
インダクタ1は、コイル3を備えている。コイル3は、軸部2の周りに巻き回された導線3aにより形成されている。
【0040】
インダクタ1は、外周部4を備えている。外周部4は、軸部2の径方向外側からコイル3を包囲している。外周部4は、上記第1材料からなる。外周部4は、軸部2とともにインダクタ1のコアを形成している。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0043】
インダクタ1は、カバー部8を備えている。カバー部8は、軸部2の上端部近傍と下端部近傍に配置されている。カバー部8は、軸部2の軸方向から見て、少なくともコイル3の一部を覆うように配置されている。カバー部8は、第1比透磁率よりも高い第2比透磁率を有する第2材料からなる。」

ウ.「【0055】
前述のように、本実施形態においては、第2材料として、扁平形状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む複合材料が用いられている。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0057】
ここで、図3に示すように、扁平形状の金属磁性体粒子8aは、その長軸方向が軸部2の軸方向と直交する向き(軸部2の径方向)に配向されていることが好ましい。扁平形状の金属磁性体粒子8aは、その長軸方向において比透磁率が高くなる。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0060】
図3から明らかなように、カバー部8を円環形状とすることにより、軸部2を軸Aに沿って流れる磁束をカバー部8へ効率的に導くことができるため、磁気抵抗を抑制できる。特に第2材料として扁平形状の金属磁性体粒子を用いる場合、カバー部8は異方的な磁気特性を有するため、当該抑制効果が顕著となる。したがって、より確実に特性向上の要求に応えることができる。」

エ.「【0072】
本実施形態においては、第1材料として球状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤の混合材料が用いられ、第2材料として扁平形状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤の混合材料が用いられている。しかしながら、第2材料の有する第2比透磁率が、第1材料の有する第1比透磁率よりも高ければ、この構成に限られるものではない。例えば、第1材料および第2材料として、ともに球状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤の混合材料を用い、第2材料の密度を第1材料の密度よりも高くしてもよい。このような構成によっても上記の実施形態と同様の効果が得られる。」

オ.「【0085】
しかしながら、軸部2、コイル3、外周部4の少なくとも1つを個別に形成し、次いで相互に組み付けるようにしてもよい。コイル3は、エッチングやプレス成型などによっても形成可能である。」

カ.「【図2】


・上記先願明細書に記載の「インダクタ」は、上記「ア.」の【請求項1】、「イ.」の記載事項、及び図2(b)(上記「カ.」)によれば、第1比透磁率を有する第1材料からなる軸部2と、軸部2の周りに巻き回された導線3aにより形成されたコイル3と、軸部2の径方向外側からコイル3を包囲し、第1材料からなる外周部4と、軸部2の軸方向から見て少なくともコイル3の一部を覆うように配置され、第1比透磁率よりも高い第2比透磁率を有する第2材料からなるカバー部8と、を備えるインダクタである。
・上記「ア.」の【請求項13】、「イ.」の段落【0040】、及び図2(b)(上記「カ.」)によれば、軸部2と外周部4は一体に成形されたコアを形成しており、 コイル3の少なくとも一部はコアに埋設されてなるものである。
・上記「ア.」の【請求項2】?【請求項3】、「イ.」の段落【0043】?【0060】、「エ.」の記載事項、及び図3によれば、カバー部8を構成する第2材料は、その長軸方向が軸部2の軸方向と直交する方向に配向された扁平形状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料であり、カバー部8は異方的な磁気特性を有するものである。これに対して、軸部2及び外周部4を構成する第1材料は、球状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料である。
・上記「イ.」の段落【0043】、「ウ.」の段落【0060】の記載事項、及び図2(a)、図2(b)(上記「カ.」)によれば、カバー部8は、円環形状であり、軸部2の上端部近傍と下端部近傍に、軸部2の軸方向から見て、コイル3の端面を覆うように配置されてなるものである。
そして、図2(a)、図2(b)(上記「カ.」)、及び図3から明らかなように、軸部2及び外周部4は、少なくとも軸部2の軸方向と直交する方向においてカバー部8と隣接する部分を有している。また、軸部2及び外周部4は、インダクタの上下でその端面がそれぞれ露出してなるものである。
・上記「オ.」の記載事項によれば、コイル3は、エッチングによって形成可能なものである。

したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、先願明細書には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。
「球状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料からなり第1比透磁率を有する軸部と、
前記軸部の周りに巻き回され、エッチングによって形成されたコイルと、
球状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料からなり第1比透磁率を有し、前記軸部の径方向外側から前記コイルを包囲する外周部と、
円環形状であり、前記軸部の上端部近傍と下端部近傍に、前記軸部の軸方向から見て前記コイルの端面を覆うように配置され、その長軸方向が前記軸部の軸方向と直交する方向に配向された扁平形状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料からなり第1比透磁率よりも高い第2比透磁率を有し、異方的な磁気特性を有するカバー部と、を備えたインダクタであって、
前記軸部と前記外周部は一体に成形されたコアを形成しており、 前記コイルの少なくとも一部はコアに埋設されてなり、
前記軸部及び前記外周部は、少なくとも前記軸部の軸方向と直交する方向において前記カバー部と隣接する部分を有し、当該インダクタの上下でその端面がそれぞれ露出してなるインダクタ。」

(3)対比・判断
そこで、本願補正発明と先願発明とを対比すると、
ア.先願発明における「球状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料からなり第1比透磁率を有する軸部と、前記軸部の周りに巻き回され、エッチングによって形成されたコイルと、球状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料からなり第1比透磁率を有し、前記軸部の径方向外側から前記コイルを包囲する外周部と、円環形状であり、前記軸部の上端部近傍と下端部近傍に、前記軸部の軸方向から見て前記コイルの端面を覆うように配置され、その長軸方向が前記軸部の軸方向と直交する方向に配向された扁平形状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料からなり第1比透磁率よりも高い第2比透磁率を有し、異方的な磁気特性を有するカバー部と、を備えたインダクタであって、前記軸部と前記外周部は一体に成形されたコアを形成しており、 前記コイルの少なくとも一部はコアに埋設されてなり」によれば、
(a)先願発明において、インダクタを構成する要素のうち、コイルを除いた残りの要素である「軸部」、「外周部」及び「カバー部」は、コイルによって発生した磁束を導く磁路を構成するものである(先願明細書の図3も参照)ことから、これら「軸部」、「外周部」及び「カバー部」は、本願補正発明でいう「本体」に相当するものである。
そして、第1比透磁率よりも高い第2比透磁率を有し、異方的な磁気特性を有する「カバー部」を構成する、「その長軸方向が前記軸部の軸方向と直交する方向に配向された扁平形状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料」が、本願補正発明でいう「異方性磁性材料」に相当し、
第1比透磁率を有する「軸部」及び「外周部」を構成する、「球状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料」が、本願補正発明でいう「等方正磁性材料」に相当する。
(b)先願発明における「コイル」は、本願補正発明でいう「コイル」に相当し、
先願発明の「コイル」にあっても、少なくとも一部はコアに埋設されてなるものであり、より具体的には「外周部」により包囲され、「カバー部」が軸部の軸方向から見て上下の端面を覆うように配置されてなるものであることから、本願補正発明でいう「本体」内に位置するといえるものである。

したがって、本願補正発明と先願発明とは、「異方性磁性材料及び等方性磁性材料を含む絶縁体から成る本体と、前記本体内に位置するコイルと」を備えるものである点で一致する。

イ.先願発明における「円環形状であり、前記軸部の上端部近傍と下端部近傍に、前記軸部の軸方向から見て前記コイルの端面を覆うように配置され、その長軸方向が前記軸部の軸方向と直交する方向に配向された扁平形状の金属磁性体粒子と非磁性結合剤を含む混合材料からなり第1比透磁率よりも高い第2比透磁率を有し、異方的な磁気特性を有するカバー部と」によれば、
(a)「カバー部」は、本願補正発明でいう「異方性磁性材料」からなるものであるところ、軸部の軸方向から見てコイルの端面を覆うように配置されてなるものであることから、
本願補正発明と先願発明とは、「前記異方性磁性材料は、前記コイルの中心軸と平行な中心軸方向における該コイルの端部の表面であって該コイルを構成する導体部分の表面である端面を覆うように設けられ」てなるものである点で一致する。
(b)また、「カバー部」を構成する混合材料に含まれる扁平形状の金属磁性体粒子は、その長軸方向が軸部の軸方向と直交する方向に配向されてなるものであることから、「カバー部」の磁化容易方向は、軸部の軸方向と直交する方向であり、このことは、「軸部」や「外周部」と隣接する界面近傍であっても同様であるといえ、
本願補正発明と先願発明とは、「前記異方性磁性材料及び前記等方性磁性材料の界面近傍における該異方性磁性材料の前記端面を覆う部分の磁化容易方向は、前記直交方向であ」る点で一致する。
(c)さらに、「カバー部」はコイルの上下にその端面を覆うように配置されてなるものであることから、当該カバー部とコイルは積層体を構成しているとみることができ、
本願補正発明と先願発明とは、「前記異方性磁性材料及び前記コイルは、積層体を構成」してなるものである点で一致する。

ウ.先願発明における「前記軸部と前記外周部は一体に成形されたコアを形成しており、・・・・前記軸部及び前記外周部は、少なくとも前記軸部の軸方向と直交する方向において前記カバー部と隣接する部分を有し、当該インダクタの上下でその端面がそれぞれ露出してなる・・」によれば、
(a)「軸部」及び「外周部」は、本願補正発明でいう「等方性磁性材料」からなるものであるところ、少なくとも軸部の軸方向と直交する方向において本願補正発明でいう「異方性磁性材料」からなる「カバー部」と隣接する部分を有するものであり、一方で、本願補正発明では、等方性磁性材料が中心軸方向と直交する直交方向において「のみ」異方性磁性材料と隣接するとまでは特定(限定)されていないことも踏まえると、
本願補正発明と先願発明とは、「前記等方性磁性材料は、前記中心軸方向と直交する直交方向において前記異方性磁性材料と隣接し」てなるものである点で一致するということができる。
(b)さらに、「軸部」及び「外周部」は、一体に成形されたコアを形成するものであるから、「一体の部材」として設けられてなるものであり、また、インダクタの上下でその端面がそれぞれ露出してなるものであることから、カバー部とコイルとから構成される積層体を貫通してなるものであるとみることができる。
したがって、本願補正発明と先願発明とは、「前記等方性磁性材料は、前記積層体を貫通する一体の部材として設けられ」てなるものである点で一致する。

エ.そして、先願発明における「インダクタ」は、本願補正発明でいう「電子部品」に相当するものである。

よって、本願補正発明と先願発明とは、
「異方性磁性材料及び等方性磁性材料を含む絶縁体から成る本体と、
前記本体内に位置するコイルと、
を備え、
前記異方性磁性材料は、前記コイルの中心軸と平行な中心軸方向における該コイルの端部の表面であって該コイルを構成する導体部分の表面である端面を覆うように設けられ、
前記等方性磁性材料は、前記中心軸方向と直交する直交方向において前記異方性磁性材料と隣接し、
前記異方性磁性材料及び前記等方性磁性材料の界面近傍における該異方性磁性材料の前記端面を覆う部分の磁化容易方向は、前記直交方向であり、
前記異方性磁性材料及び前記コイルは、積層体を構成し、
前記等方性磁性材料は、前記積層体を貫通する一体の部材として設けられていること、
を特徴とする電子部品。」
である点で一致し、以下の点で一応相違する。

[一応の相違点]
コイルについて、本願補正発明では、「前記本体を構成する複数の絶縁体層の各々の上に設けられたコイル導体と、複数の前記コイル導体を相互に接続するビア導体とを含む」旨特定するのに対し、先願発明では、そのような明確な特定を有していない点。

しかしながら、先願発明の「コイル」は、エッチングによって形成されてなるものであるところ、エッチング法により形成されるコイルとして、「複数の絶縁体層の各々の上に(エッチング法により)設けられたコイル導体と、複数の前記コイル導体を相互に接続するビア導体とを含むコイル」は普通に想定されるものであり〔例えば、特開2009-9985号公報(特に段落【0016】、【0024】を参照)、特開2004-47817号公報(特に段落【0020】、図1(C)を参照)、実願平5-5916号(実開平6-66291号)のCD-ROM(特に段落【0009】、【0011】、図2(b)を参照)〕、先願明細書に記載されているに等しいものであるといえる。
したがって、上記一応の相違点は、実質的な相違点ではなく、本願補正発明と先願発明とは実質的に同一である。

(4)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、先願発明と実質的に同一であり、しかも、本願補正発明の発明者が先願発明の発明者と同一ではなく、また、本願出願時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成30年2月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年6月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
異方性磁性材料及び等方性磁性材料を含む絶縁体から成る本体と、
前記本体内に位置するコイルと、
を備え、
前記異方性磁性材料は、前記コイルの中心軸と平行な中心軸方向における該コイルの端部の表面であって該コイルを構成する導体部分の表面である端面を覆うように設けられ、
前記等方性磁性材料は、前記中心軸方向と直交する直交方向において前記異方性磁性材料と隣接し、
前記異方性磁性材料及び前記等方性磁性材料の界面近傍における該異方性磁性材料の前記端面を覆う部分の磁化容易方向は、前記直交方向であり、
前記異方性磁性材料及び前記コイルは、積層体を構成し、
前記等方性磁性材料は、前記積層体を貫通する一体の部材として設けられていること、
を特徴とする電子部品。」

(1)先願発明
原査定の拒絶の理由で引用された先願、先願明細書の記載事項、及び先願発明は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である「コイル」について、「前記本体を構成する複数の絶縁体層の各々の上に設けられたコイル導体と、複数の前記コイル導体を相互に接続するビア導体とを含む」ことの限定を省いたもの、すなわち上記「2.(3)」で認定した上記[一応の相違点]に係る構成を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項は、上記「2.(3)」に記載したとおり先願発明と全て一致し、相違するところがない。
しだかって、本願発明は、先願発明と同一である。

(3)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-01-07 
結審通知日 2019-01-08 
審決日 2019-01-22 
出願番号 特願2014-203140(P2014-203140)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (H01F)
P 1 8・ 575- Z (H01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐久 聖子馬場 慎  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 井上 信一
関谷 隆一
発明の名称 電子部品  
代理人 アセンド特許業務法人  
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