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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1350002 |
審判番号 | 不服2018-6546 |
総通号数 | 233 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-05-14 |
確定日 | 2019-03-14 |
事件の表示 | 特願2014-131381号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年1月18日出願公開、特開2016-7490号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年6月26日に特許出願されたものであって、平成28年11月28日付けで拒絶理由通知がなされ、平成29年2月6日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月18日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年9月25日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年2月1日付けで平成29年9月25日付け手続補正に対する補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、これに対して平成30年5月14日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。 第2 平成30年5月14日に提出された手続補正書による補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年5月14日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は特許請求の範囲の記載の補正を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1及び2の記載は、 本件補正前の 「 【請求項1】 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 前記第1条件は、 少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立するとともに、 前記第2条件は、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、 前記第1条件と前記第2条件とが成立したときには、前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とを重複して実行可能であることを特徴とする遊技機。 【請求項2】 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 前記第1条件は、 少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立するとともに、 前記第2条件は、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、 前記第1条件と前記第2条件とが成立したときには、前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とのうちいずれか一方を実行可能であることを特徴とする遊技機。」 から、 本件補正後の 「 【請求項1】 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、 前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、 前記第1条件と前記第2条件とが同じタイミングにおいて成立したときには、前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とを重複して実行可能であり、 前記第2報知手段は、前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記第1の報知よりも目立たない態様で前記第2の報知を実行する ことを特徴とする遊技機。 【請求項2】 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、 前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、 前記第1報知手段は、前記第1条件が成立したときに前記第2条件も成立した場合、該第1条件が成立したタイミングにおいて前記第1の報知を実行し、 前記第2報知手段は、前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記有利状態が終了した後に実行される可変表示中において前記第2の報知を実行する ことを特徴とする遊技機。」 に補正された(当審にて、補正箇所を明示するための下線を付した。)。 2 補正の適否 (1)本件補正 本件補正は、特許請求の範囲について、以下に挙げる補正事項1から6を含むものである。 ア 補正事項1 請求項1、2に係る発明の発明特定事項である「第1報知手段」が「第1の報知を行う」のが、「前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したとき」であるのを、「前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したとき」であると限定する補正。 イ 補正事項2 請求項1、2に係る発明の発明特定事項である「第2報知手段」が「第2の報知を行う」のが、「前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したとき」であるのを、「前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したとき」であると限定する補正。 ウ 補正事項3 本件補正前の請求項1、2における、「前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立するとともに、前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し」という記載を、「前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し」とする補正。 エ 補正事項4 請求項1に係る発明の発明特定事項である「第1報知手段」及び「第2報知手段」に関して、「前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とを重複して実行可能であ」るのが、「前記第1条件と前記第2条件とが成立したとき」であるのを、「前記第1条件と前記第2条件とが同じタイミングにおいて成立したとき」に限定する補正。 オ 補正事項5 請求項1に係る発明の発明特定事項である「第2報知手段」に関して、「前記第2報知手段は、前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記第1の報知よりも目立たない態様で前記第2の報知を実行す」ると限定するとともに、これに伴って直前の「実行可能である」という記載を「実行可能であり、」として末尾の平仄を合わせる補正。 カ 補正事項6 請求項2に係る発明の発明特定事項である「第1報知手段」及び「第2報知手段」に関して、「前記第1条件と前記第2条件とが成立したときには、前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とのうちいずれか一方を実行可能である」という記載を、「前記第1報知手段は、前記第1条件が成立したときに前記第2条件も成立した場合、該第1条件が成立したタイミングにおいて前記第1の報知を実行し」、「前記第2報知手段は、前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記有利状態が終了した後に実行される可変表示中において前記第2の報知を実行する」とする補正。 (2)新規事項について 上記補正事項1ないし6は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面の【0126】、【0127】、【0197】、【0269】、【0302】、【0312】、【0366】、【0369】、【0370】、【0390】、【0396】、【0397】、【0398】【図36】、【図41】、【図43】、【図44】、【図46】、【図47】、【図49】、【図51】、【図52】、【図53】、【図54】、【図55】、【図56】、【図58】に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定を満足する。 (3)補正の目的について ア 補正事項1、2、4、5について 上記補正事項1、2、4及び5はいずれも、発明特定事項である「第1報知手段」又は「第2報知手段」を限定する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 補正事項3について 上記補正事項3については、本件補正前の請求項1、2の記載から、「第1条件」が、「少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立」すること、及び「第2条件」が、「前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立」することは明らかであるから、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。 ウ 補正事項6について 上記補正事項6は、本件補正前の「前記第1条件と前記第2条件とが成立したときには、前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とのうちいずれか一方を実行可能である」ことを、「前記第1報知手段は、前記第1条件が成立したときに前記第2条件も成立した場合、該第1条件が成立したタイミングにおいて前記第1の報知を実行」することに限定した上で、さらに発明特定事項である「前記第2報知手段」について、「前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記有利状態が終了した後に実行される可変表示中において前記第2の報知を実行する」と限定する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 エ 産業上の利用分野及び解決しようとする課題について 本件補正後の請求項1及び2に記載された発明は、本件補正前の請求項1及び2に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 オ 補正の目的についてのむすび 上記アからエより、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件 上記「2 補正の適否」「(3)補正の目的について」のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1、2に係る発明(以下それぞれ「本件補正発明1」、「本件補正発明2」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下で検討することとする。 (1)本件補正発明1及び2 本件補正発明1及び2を再掲すると、次のとおりのものである(当審にて、分説のための記号AからLを付した。以下「構成A」等という。)。 「 【請求項1】 A 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 C 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 D 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 E 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 F 前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、 G 前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、 H 前記第1条件と前記第2条件とが同じタイミングにおいて成立したときには、前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とを重複して実行可能であり、 I 前記第2報知手段は、前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記第1の報知よりも目立たない態様で前記第2の報知を実行することを特徴とする J 遊技機。 【請求項2】 A 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 C 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 D 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 E 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 F 前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、 G 前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、 K 前記第1報知手段は、前記第1条件が成立したときに前記第2条件も成立した場合、該第1条件が成立したタイミングにおいて前記第1の報知を実行し、 L 前記第2報知手段は、前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記有利状態が終了した後に実行される可変表示中において前記第2の報知を実行することを特徴とする J 遊技機。」 (2)引用文献 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2013-208380号公報(平成25年10月10日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。 [記載事項] (ア)「【0020】 装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、本実施の形態では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208dの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でなくとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。」 (イ)「【0035】 まず、パチンコ機100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、基本回路302には、CPU304と、制御プログラムや各種データを記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と、プログラム処理の異常を監視するWDT314を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400および第2副制御部500についても同様である。基本回路302のCPU304は、水晶発振器316bが出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。」 (ウ)「【0042】 次に、パチンコ機100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、基本回路402には、CPU404と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。基本回路402のCPU404は、水晶発振器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。 【0043】 また、基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音源IC416と、各種ランプ418(例えば、チャンスボタンランプ138)の制御を行うための駆動回路420と、遮蔽装置246の駆動制御を行うための駆動回路432と、遮蔽装置246の現在位置を検出する遮蔽装置センサ430と、チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426と、遮蔽装置センサ430やチャンスボタン検出センサ426からの検出信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、CPU404からの信号に基づいてROM406に記憶された画像データ等を読み出してVRAM436のワークエリアを使用して表示画像を生成して装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)と、を接続している。なお、ROM406は、制御プログラムと各種演出データとを別々のROMに記憶させてもよい。」 (エ)「【0050】 図5(a)には、図柄変動停止表示における停止図柄態様として「特図A」から「特図J」までの10種類の特図が示されている。図5(a)においては、図中の白抜きの部分が消灯するセグメントの場所を示し、黒塗りの部分が点灯するセグメントの場所を示している。「特図A」は15ラウンド(15R)特別大当り図柄であり、「特図B」は15R大当り図柄である。本実施形態のパチンコ機100では、後述するように、特図変動遊技における大当りか否かの決定はハードウェア乱数の抽選によって行い、特別大当りか否かの決定はソフトウェア乱数の抽選によって行う。大当りと特別大当りの違いは、次回の特図変動遊技で、大当りに当選する確率が高い(特別大当り)か低い(大当り)かの違いである。以下、この大当りに当選する確率が高い状態のことを特図高確率状態と称し、その確率が低い状態のことを特図低確率状態と称する。また、15R特別大当り遊技終了後および15R大当り遊技終了後はいずれも電サポ状態(時短状態という場合もある)に移行する。電サポ状態については詳しくは後述するが、電サポ状態に移行する状態のことを普図高確率状態と称し、電サポ状態に移行しない状態のことを普図低確率状態と称する。15R特別大当り図柄である「特図A」は、特図高確率普図高確率状態であり、15R大当り図柄である「特図B」は、特図低確率普図高確率状態である。これらの「特図A」および「特図B」は、遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄である。」 (オ)「【0067】 次に、図7を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する。なお、同図は主制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。主制御部300は、所定の周期(本実施形態では約2msに1回)でタイマ割込信号を発生するカウンタタイマ312を備えており、このタイマ割込信号を契機として主制御部タイマ割込処理を所定の周期で開始する。」 (カ)「【0145】 本実施形態によるパチンコ機100は、遊技球が流下可能な遊技領域124と、遊技領域124に設けられ、遊技球が入球可能な開状態(以下、「開放状態」と称する場合もある)と遊技球が入球不可能な閉状態(以下、「閉鎖状態」と称する場合もある)とのいずれか一方から他方へ移行可能な可変入賞口234、235(入賞手段の一例)とを備え、当該開状態から当該閉状態に移行開始してから当該閉状態となるまでの入賞を無効と判定する入賞無効期間を設定可能であり、可変入賞口234および可変入賞口235の少なくとも一方は、期間の異なる複数の当該入賞無効期間のそれぞれと同時期に、当該閉状態を実行可能であるように構成されている。当該開状態から当該閉状態に移行開始したタイミングは、例えば駆動回路334が扉部材234a等を開閉駆動する各種ソレノイド332に閉鎖信号を送信したタイミング、当該閉鎖信号を各種ソレノイド332が受信したタイミング、各種ソレノイド332がオフ状態になったタイミングのいずれであってもよい。また、入賞手段が閉鎖する契機には、入賞手段への規定個数の入球や規定の開放時間の終了、あるいはエラー検知等が含まれる。 【0146】 次に、可変入賞口234、235の閉鎖状態と同時期に実行可能とするための入賞無効期間の設定処理について図11を用いて説明する。図11は、入賞口閉鎖状態設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。入賞口閉鎖状態設定処理は、例えば主制御部タイマ割込み処理の特図2状態更新処理(ステップS227)または特図1状態更新処理(ステップS229)において実行される。 【0147】 図11に示すように、入賞口閉鎖状態設定処理ではまず、所定条件が充足したか否かを判定する(ステップS1001)。例えば主制御部300は、特図2関連抽選処理(ステップS229)または特図1関連抽選処理(ステップS231)における当否判定の結果が当りであるか否かを判定し、当りであると判断するとステップS1003に移行し、はずれであると判断すると後述するステップS1003?S1009を実行せずに入賞口閉鎖状態設定処理を終了する。 【0148】 ステップS1001の次のステップS1003では、開放パターンを抽選で決定する。例えば主制御部300は、当りに係る図柄種別、特図1および特図2のいずれの当りかなどに基づいて、可変入賞口234、235のそれぞれについて、当り遊技における扉部材234aおよび扉部材235aのそれぞれの開放パターン(例えば、当り遊技で実行される各1ラウンドの扉部材234a、235aの開放状態の時間や開閉回数、ラウンド間の閉鎖状態期間等)を決定し、ステップS1005に移行する。」 (キ)「【0167】 図15は、2つの大入賞口1、2(本実施形態では、可変入賞口234、235)の開放組合せパターンを示す一覧表である。当該一覧表の上欄の「期間1」、「期間2」および「期間3」は1回の当り遊技を3分割したそれぞれの期間を示している。本例では、1回の当り遊技を3つの期間に分割しているが、2または4以上に分割してももちろんよい。また、当該期間はラウンドを抽象的に表しているだけであって、各期間に含まれるラウンドは、1ラウンドであったり1?5ラウンドであったりすることを意味している。」 (ク)「【0182】 次に、本実施形態によるパチンコ機100における可変入賞口の開放パターンおよび入賞検知パターンの種々の例を図18乃至図24を用いて説明する。図18乃至図24(図20(c)および図22(b)を除く)において、図中上段の「大入賞口開放」は、入賞口閉鎖状態設定処理(ステップS1003)において設定された可変入賞口開放パターン(可変入賞口の開放制御波形)を示し、「ON」は大入賞口の扉部材を開放状態にすることを表し、「OFF」は大入賞口の扉部材を閉鎖状態にすることを表している。図中下段の「検知有効」は、入賞口閉鎖状態設定処理で設定された入賞有効期間および入賞無効期間を含む入賞検知パターン(入賞検知制御波形)を示し、「ON」は入賞を有効と判定する状態を表し、「OFF」は入賞を無効と判定する状態を表している。また、図中左から右に向かって時の経過を示している。パチンコ機100に備えられた主制御部300のCPU304は、図18乃至図24(図20(c)および図22(b)を除く)において例示する可変入賞口の開放パターンに基づいて可変入賞口234および/または可変入賞口235の開閉制御を少なくとも実行可能になっている。」 (ケ)「【0224】 次に、累計ラウンド数や累計賞球数に基づいて実行される特別演習について図25乃至図38を用いて説明する。図25は、特別演出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。特別演出制御処理は例えば第1副制御部メイン処理の演出制御処理(ステップS309)において実行される。特別演出制御処理は、第1副制御部400のCPU404がRAM408等を制御して実行される。 【0225】 図25に示すように、特別演出制御処理ではまず、主制御部300から大入賞口入賞コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS1301)。例えば第1副制御部400は、当該コマンドを受信したと判定したらステップS1303に移行し、当該コマンドを受信していないと判定したら後述するステップS1303?S1311を実行せずに特別演出制御処理を終了する。 【0226】 ステップS1301の次のステップS1303では、所定条件1を充足したか否かを判定する。例えば第1副制御部400は、所定条件1を充足したと判定したらステップS1305に移行し、所定条件1を充足していないと判定したら後述するステップS1305?S1311を実行せずに特別演出制御処理を終了する。所定条件1は例えば、大当り連荘中であること、特図2の大当り連荘中であること、あるいは、大当りAや大当りB(詳細は後述する)に基づく大当り遊技であること等の入球数を累計する状態にあることである。 ・・・中略・・・ 【0228】 ステップS1303の次のステップS1305では、カウンタに所定値を加算する。例えば第1副制御部400は、ラウンド数を示す情報を含むコマンドを受信し、前回受信したコマンドに含まれていたラウンド数よりも増加していると判定したらRAM408の所定の記憶領域に設けられた累計ラウンド数カウンタの値を読み出して、増加した分を当該値に加算して、RAM408の所定の記憶領域に記憶し直す。また、例えば第1副制御部400は、賞球数を示す情報を含むコマンドを受信し、前回受信したコマンドに含まれていた賞球数よりも増加していると判定したらRAM408の所定の記憶領域に設けられた累計賞球数カウンタの値を読み出して、増加した分を当該値に加算して、RAM408の所定の記憶領域に記憶し直す。第1副制御部400はこれらの処理を終了したらステップS1307に移行する。 ・・・中略・・・ 【0230】 ステップS1307の次のステップS1309では、所定条件2を充足しているか否かを判定する。例えば第1副制御部400は、累計ラウンド数や累計賞球数が所定値を超えていると判定したら所定条件2を充足したと判断してステップS1311に移行し、ラウンドの累計数や累計賞球数が所定値を超えていないと判定したら所定条件2を充足していないと判断して後述するステップS1311を実行せずに特別演出制御処理を終了する。第1副制御部400は、所定条件2を充足していないと判断したらステップS1307において装飾図柄表示装置208に送信したコマンドをクリアするようにしてもよい。これにより、パチンコ機100は、後述する特別演出実行時のみに累計ラウンド数や累計賞球数を演出表示領域208dに表示できる場合がある。」 (コ)「【0243】 図27(a)に示すように、所定条件2が累計賞球数に基づく場合、「条件1」では、「達成条件」(所定条件2)が「累計賞球数が2000個」であり、「内容」(特別演出の内容)が「特別演出1」である。「条件2」では、「達成条件」が「累計賞球数が4000個」であり、「内容」が「特別演出2」である。「条件3」では、「達成条件」が「累計賞球数が6000個」であり、「内容」が「特別演出3」である。「条件4」では、「達成条件」が「累計賞球数が8000個」であり、「内容」が「特別演出4」である。」 (サ)「【0248】 パチンコ機100は、図柄変動表示後に特図1表示装置212または特図2表示装置214に当否判定結果に基づく図柄を停止表示し、その後に(ほぼ同時期に)、装飾図柄表示装置208に当該図柄に対応する装飾図柄態様を停止表示して特図変動遊技に当選したか否かを報知する。例えば特図変動遊技に当選すると、当該図柄が停止表示してから所定期間経過後に、当り遊技が開始されて可変入賞口234または可変入賞口235が開放される。 【0249】 図28(a)は、大当り遊技が開始するとともに大当り遊技演出開始直後の装飾図柄表示装置208の表示画面例を示している。 第1副制御部400は、主制御部300から送信された入賞演出開始コマンドを受信したら、第1副制御部400のCPU404がROM406、RAM408、VDP434、VRAM436等を制御して大当り遊技演出において使用する画像等を決定・生成し、当該大当り遊技演出の内容を含むコマンドを装飾図柄表示装置208に送信する。装飾図柄表示装置208が当該コマンドを受信すると、図28(a)に示すように、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方には、「大当り開始」という文字表示がなされて大当り遊技が開始されたことが報知されている。また、当該文字表示の右隣であって演出表示領域208d内の右上角部には、「装飾7」が表示され、開始された大当り遊技が例えば確変遊技状態における特図1変動遊技において特図Aに係る大当り(例えば、図26に示す「大当りA」)に当選したことに基づいていることが報知されている。さらに、演出表示領域208d内の中央下方には、累計賞球数を示すために、四角枠内に「0両」と表示された画像による賞球数報知演出が実行されている。 ・・・中略・・・ 【0252】 その後、大当り遊技が進行して15ラウンド終了すると、図28(c)に示すように、演出表示領域208d内の中央上方には、「大当り終了」という文字表示がなされて大当り遊技が終了したことが報知される。また、演出表示領域208d内の中央下方には、累計賞球数が1890個であることを示すために、四角枠内に「1890両」と表示された画像による賞球数報知演出が実行される。大当り遊技において、例えば大入賞口への1個の入球に対して10個の賞球が得られ、1ラウンドの入球数の上限が10個である場合、1ラウンドで得られる正規の賞球数は1500個となる。本例において、賞球数報知演出で報知された賞球数1890個から当該1500個を差し引いた390個がオーバー入賞により得られた賞球数となる。このように、本実施例によるパチンコ機100では、賞球数報知演出はオーバー入賞演出も兼ねている。当該大当り遊技終了時点において、累計ラウンド数は15Rであって20Rより少なく、累計賞球数が1890個であって2000個より少ないので所定条件2が充足せず(特別演出制御処理のステップS1309のNo)、特別演出は実行されずに大当り遊技演出は終了する。 【0253】 当該大当り遊技終了後に開始した例えば特図1変動遊技において、停止図柄が「特図A」(装飾図柄態様が「装飾3-装飾3-装飾3」)に係る15R特別大当り(例えば、図26に示す「大当りA」)に当選したことに基づいて大当り遊技が開始される。このため、図28(d)に示すように、演出表示領域208d内の中央上方には、「大当り開始」という文字表示がなされて大当り遊技が開始されたことが報知され、当該文字表示の右隣であって演出表示領域208d内の右上角部には「装飾3」が表示され、特図Aに係る大当りに基づく大当り遊技であることが報知される。さらに、大当り連荘中であるため、演出表示領域208d内の中央下方には、前回の大当り遊技で獲得された累計賞球数を示すために、四角枠内に「1890両」と表示された画像による賞球数報知演出が実行される。」 (シ)「【0254】 パチンコ機100は、当該大当り遊技中に所定のタイミングで第1副制御部メイン処理を実行する。この第1副制御部メイン処理が実行される毎に特別演出制御処理が実行される。第1副制御部400は、主制御部300から大入賞口入賞コマンドを受信すると(ステップS1301のYes)、実行中の大当り遊技が「大当りA」に基づいているため所定条件1を充足していると判定し(ステップS1303)、累計賞球数カウンタの値を増加し(ステップS1305)、増加した値を含むコマンドを装飾図柄表示装置208に出力し(ステップS1307)、累計賞球数カウンタの値が所定条件2の条件1(図27参照)を達成したと判定し(ステップS1309のNo)、特別演出1を実行するためのコマンドを装飾図柄表示装置208に送信し(ステップS1311)、特別演出制御処理を終了する。 【0255】 当該特別演出制御処理が実行されることにより、図28(e)に示すように、演出表示領域208d内のほぼ中央に、四角形枠内に「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出が実行される。さらに、累計賞球数が2002個であることを示すために、演出表示領域208d内の中央下方において、四角枠内に「2002両」と表示された画像による賞球数報知演出が実行される。累計賞球数1890個からの続きであるため、遊技者は当該大当り遊技を開始してから早い段階(例えば、1ラウンド目)で2000個の賞球を獲得できる。 ・・・中略・・・ 【0257】 その後、大当り遊技が進行して15ラウンド終了すると、図28(g)に示すように、演出表示領域208d内の中央上方には、「大当り終了」という文字表示がなされて大当り遊技が終了したことが報知される。また、累計賞球数が3780個であることを示すために、演出表示領域208d内の中央下方において、四角枠内に「3780両」と表示された画像による賞球数報知演出が実行される。また、パチンコ機100は、大当り遊技が終了すると、特別演出1に用いた四角形枠内に「特別演出1GET2000」と表示された画像を演出表示領域208dに再表示してもよい。」 [認定事項] (ス)上記(オ)の【0067】に「主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理」と記載され、上記(カ)の【0146】に「入賞口閉鎖状態設定処理は、例えば主制御部タイマ割込処理…において実行される。」と記載され、【0147】に「…入賞口閉鎖状態設定処理では…主制御部300は…ステップS1003に移行し…」と記載され、【0148】に「…ステップS1003では…主制御部300は…可変入賞口234、235のそれぞれについて、当り遊技における扉部材234aおよび扉部材235aのそれぞれの開放パターン…を決定し」と記載されているから、主制御部300のCPU304は、可変入賞口234、235のそれぞれについて、当り遊技における開放パターンを決定するといえる。 (セ)上記(ケ)の【0224】に「…特別演出制御処理は、第1副制御部400のCPU404がRAM408等を制御して実行される。」と記載され、【0226】に「…ステップS1303では…第1副制御部400は、所定条件1を充足したと判定したら…所定条件1は…大当りA…に基づく大当り遊技であること…である。」と記載され、【0230】に「…ステップ1309では、所定条件2を充足しているか否かを判定する。…第1副制御部400は…所定条件2を充足したと判断して…」と記載され、上記(シ)の【0254】に「…特別演出制御処理が実行される。第1副制御部400は…実行中の大当り遊技が「大当りA」に基づいているため所定条件1を充足していると判定し(ステップS1303)…所定条件2の条件1…を達成したと判定し(ステップS1309…)、特別演出1を実行するためのコマンドを装飾図柄表示装置208に送信し…」と記載されているから、第1副制御部400のCPU404は、実行中の大当り遊技が大当りAに基づく大当り遊技であると判定したら、所定条件2を充足しているか否かを判定し、所定条件2の条件1を達成したと判定したら、特別演出1を実行するためのコマンドを装飾図柄表示装置208に送信するといえる。 (ソ)上記(イ)の【0035】に「…パチンコ機100の主制御部300…」と記載され、上記(ク)の【0182】に「…パチンコ機100に備えられた主制御部300のCPU304…」と記載されているから、パチンコ機100は主制御部300を備えているといえる。 (タ)上記(ウ)の【0042】に「…パチンコ機100の第1副制御部400…」と記載されているから、パチンコ機100は第1副制御部400を備えているといえる。 [引用発明] そして、引用文献1の記載事項(ア)から(シ)及び認定事項(ス)から(タ)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(当審にて、本件補正発明1及び2の構成AからKに対応させて、記号aないしkを付した。)。 「a 特図変動遊技において遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄である特図Aに係る15ラウンド(15R)特別大当り(大当りA)に当選すると、大当りAに基づく大当り遊技が開始されて可変入賞口234または可変入賞口235が開放され、大入賞口(可変入賞口234、235)への入球に対して賞球が得られるパチンコ機100であって、((エ)【0050】、(キ)【0167】、(ケ)【0226】、(サ)【0248】、【0249】、【0252】、【0253】) b 遊技球が入球可能な開状態と遊技球が入球不可能な閉状態とのいずれか一方から他方へ移行可能な可変入賞口234、235を備え、((カ)【0145】) c CPU304を搭載している基本回路302を備えている主制御部300を備え、((イ)【0035】、認定事項(ソ)) 主制御部300のCPU304は、可変入賞口234、235のそれぞれについて、当り遊技における開放パターンを決定し、可変入賞口の開放パターンに基づいて可変入賞口234および/または可変入賞口235の開閉制御を少なくとも実行可能になっており、((ク)【0182】、認定事項(ス)) d、e CPU404を搭載しており、CPU404からの信号に基づいて装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434を接続している基本回路402を備えている第1副制御部400を備え、((ウ)【0042】、【0043】、認定事項(タ)) 大当りAに当選したことに基づいている大当り遊技が進行して15ラウンド終了すると、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方には、「大当り終了」という文字表示がなされて大当り遊技が終了したことが報知され、((ア)【0020】、(サ)【0253】、(シ)【0257】) 第1副制御部400のCPU404は、実行中の大当り遊技が大当りAに基づく大当り遊技であると判定したら、累計賞球数に基づく所定条件2を充足しているか否かを判定し、所定条件2の条件1を達成したと判定したら、特別演出1を実行するためのコマンドを装飾図柄表示装置208に送信し、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出が実行され、((ア)【0020】、(コ)【0243】、(シ)【0255】、認定事項(セ)) f、k 可変入賞口234、235(入賞手段の一例)が閉鎖する契機には、入賞手段への規定個数の入球が含まれ、((カ)【0145】) g 第1副制御部400は、主制御部300から大入賞口入賞コマンドを受信したと判定し、実行中の大当り遊技が大当りAに基づいているため所定条件1を充足していると判定したら、累計賞球数カウンタの値を読み出して、増加した分を当該値に加算して、記憶し直し、累計賞球数が所定値(累計賞球数が2000個)を超えていると判定したら所定条件2の条件1を達成したと判定し、((ケ)【0225】、【0226】、【0228】、【0230】、(コ)【0243】、(シ)【0254】) h、l 大当り遊技が終了すると、「特別演出1GET2000」と表示された画像を演出表示領域208dに再表示してもよい、((シ)【0257】) J パチンコ機100。((サ)【0248】)」 イ 引用文献2 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2010-75436号公報(平成22年4月8日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 [記載事項] (ア)「【0020】 図1および図2に示すように、本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前面枠2を開閉可能に取り付け、前面枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前面枠2の開口部に臨ませた構成を有する。上記遊技領域3aは、遊技盤3の面上に配設した球誘導レール5(図3参照)で囲まれた領域からなる。この遊技領域3aの前側に、透明ガラスを支持したガラス扉枠6が設けられている。」 (イ)「【0315】 (ハ)所定個数を超えた場合(所定個数を超える毎)、その所定個数を15ラウンド大当り遊技が終了したことを条件に表示(図28) 図19の(ハ)の白丸印(○印)は、15ラウンド大当り遊技が終了する毎に獲得球数カウンタに保持されている獲得球数があらかじめ定めた所定個数(ここでは2000個単位とする)を超えた場合に報知する形態の報知タイミング例を示したものである。ここでは、15ラウンド大当り遊技中が終了するまでにあらかじめ所定の報知単位でランク分けをした獲得球数を超えた場合に、t6?t7、t10?t12の区間にて、獲得球数カウンタに記憶保持されている獲得球数を表示することになる。具体的には、大当り終了演出区間Tbにおける演出中にて上記獲得球数を表示することになる。画像表示態様については、上述した(ロ)と同様である。 ・・・中略・・・ 【0317】 そして演出制御基板24は、ステップS782の処理の後、獲得球数表示用液晶データを設定し(ステップS765)、これにより獲得球数表示条件判定処理を終了する。この獲得球数表示用液晶データは、図17のステップS536において、液晶制御コマンドありと判断され、ステップS537にて液晶制御コマンドの一部として液晶制御基板25に送信され、獲得球数Vが画像表示される。」 [引用文献2に記載の技術事項] 引用文献2の記載事項(ア)及び(イ)を総合すると、引用文献2には次の技術事項(以下「引用文献2に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「 15ラウンド大当り遊技が終了する毎に獲得球数があらかじめ定めた所定個数(ここでは2000個単位とする)を超えた場合に、大当り終了演出区間における演出中にて獲得球数Vが画像表示されるパチンコ遊技機1。((ア)【0020】、(イ)【0315】、【0317】)」 ウ 引用文献3 本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2013-31471号公報(平成25年2月14日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。 [記載事項] (ア)「【0060】 次に、図4を参照して、本実施形態のパチンコ機10における第3図柄表示装置81に表示される表示内容について説明する。図4(a)及び図4(b)は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための模式図である。 【0061】 図4(a)に示すように、第3図柄は、「0」から「9」の数字に対応する10種類のキャラクタ図柄からなる10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された1種類の副図柄(本実施の形態では、貝の絵図柄)とにより構成されている。これらの主図柄及び副図柄は、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されることによって図柄列(仮想図柄リール)を構成している。」 (イ)「【0065】 第1入球口64へ球が入球(入賞)し、所定の変動方向(本実施形態では横方向X)にスクロールする変動表示が実行された場合、その変動表示は、所定の変動時間後に、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順で停止する。このとき、いずれかの有効ライン上に、大当たり図柄の組み合わせ(本実施形態では、同一の主図柄の組み合わせ)が揃って停止すれば、大当たりが発生し、その大当たり遊技中に大当たり動画(大当たり演出)が表示される。」 (ウ)「【0067】 また、本実施形態のパチンコ機10は、図4(b)に示すように、第3図柄表示装置81の画面右上領域に獲得球数表示領域81aを形成するように構成されている。獲得球数表示領域81aは、当該パチンコ機10から払い出された賞球の数(以下、この数を「払出球数」と称する)と、遊技に使用した球(即ち、遊技盤13の前面に打ち込んだ球)の数との収支(差異)を表示するための領域である。なお、以下では、払出球数と遊技に使用した球との収支を「獲得球数」と称する。 【0068】 獲得球数表示領域81aには、種々の獲得球数がそれぞれに規定されたタイミングで表示される。図4(b)に示す例では、総獲得球数81a1が獲得球数表示領域81aに表示されている。なお、図4(b)において、獲得球数表示領域81a以外の表示内容については省略している。詳細は後述するが、総獲得球数81a1は、一連の有利状態の期間における獲得球数(以下、この獲得球数を「総獲得球数」と称する)であり、大当たり終了後に高確率モード又は時間短縮モードに移行してから、最初の変動表示が開始されるタイミングで獲得球数表示領域81aに表示される。」 (エ)「【0071】 獲得球数表示領域81aへの獲得球数の表示は、その表示タイミングにおいて、表示対象となる獲得球数(総獲得球数81a1など)を獲得球数表示領域81aに表示させた透明背景の画像を、第3図柄表示装置81に表示中の画像に重ねることによって行う。」 (オ)「【0163】 変動開始時表示フラグ273tは、変動表示の開始に伴って総獲得球数(一連の有利状態の期間における獲得球数)を獲得球数表示領域81aに表示させるタイミングであるか否かを示すフラグである。変動開始時表示フラグ273tは、オン(即ち「1」)に設定されている場合には、変動表示の開始に伴って総獲得球数を獲得球数表示領域81aに表示させるタイミングであることを示し、オフ(即ち「0」)に設定されている場合には、そのタイミングでないことを示す。本実施形態では、大当たりの終了後に遊技モードが高確率モード又は時間短縮モードへ移行してから、最初の変動表示が開始されるタイミングで、総獲得球数を獲得球数表示領域81aに表示させるように構成されている。よって、変動開始時表示フラグ273tは、演出制御装置117が変動開始コマンドを主制御装置110から受信した場合に、確変時短開始フラグ273eがオンに設定されていることを条件としてオンに設定される。その後、総獲得球数が獲得球数表示領域81aに表示されると、変動開始時表示フラグ273rはオフに設定される。」 (カ)「【図4】 」 [引用文献3に記載の技術事項] 引用文献3の記載事項(ウ)及び(オ)を総合すると、引用文献3には次の技術事項(以下「引用文献3に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「 総獲得球数を、大当たり終了後に遊技モードが高確率モード又は時間短縮モードへ移行してから、最初の変動表示が開始されるタイミングで、表示させるように構成されているパチンコ機10。((ウ)【0067】、【0068】、(オ)【0163】)」 (3)本件補正発明1と引用発明との対比 本件補正発明1と引用発明とを対比する(当審にて構成AからJに対応させて、見出し(a)から(j)を付した。)。 (a) 引用発明における「大当りAに基づく大当り遊技」は、「遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄である特図Aに係る15ラウンド(15R)特別大当り(大当りA)に当選すると」「開始され」、「入球に対して賞球が得られる」「可変入賞口234または可変入賞口235が開放され」るので、本件補正発明1の「遊技者にとって有利な有利状態」に相当する。 したがって、引用発明の「大当りAに基づく大当り遊技が開始され」る「パチンコ機100」は、本件補正発明1の「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明1の構成Aを備えている。 (b) 引用発明では、「大入賞口(可変入賞口234、235)への入球に対して賞球が得られる」ので、「遊技球が入球可能な開状態」へ「移行可能」であることは、本件補正発明1において「遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能」であることに相当する。 したがって、引用発明の「遊技球が入球可能な開状態と遊技球が入球不可能な閉状態とのいずれか一方から他方へ移行可能な可変入賞口234、235」は、本件補正発明1の「遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明1の構成Bを備えている。 (c) 引用発明では、「主制御部300のCPU304」が、「可変入賞口234、235のそれぞれについて、当り遊技における開放パターンを決定し、可変入賞口の開放パターンに基づいて可変入賞口234および/または可変入賞口235の開閉制御を少なくとも実行可能」であるから、当該「CPU304を搭載している基本回路302を備えている主制御部300」が「可変入賞口234または可変入賞口235が開放され」る「大当りAに基づく大当り遊技」へ制御しているといえる。 したがって、引用発明の「可変入賞口234、235のそれぞれについて、当り遊技における開放パターンを決定し、可変入賞口の開放パターンに基づいて可変入賞口234および/または可変入賞口235の開閉制御を少なくとも実行可能になって」いる「CPU304を搭載している基本回路302を備えている主制御部300」は、本件補正発明1の「前記有利状態へ制御する有利状態制御手段」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明1の構成Cを備えている。 (d)、(f) 引用発明では、「可変入賞口234、235(入賞手段の一例)が閉鎖する契機には、入賞手段への規定個数の入球が含まれ」るので、「入賞手段への規定個数の入球」を「契機」に「可変入賞口234、235(入賞手段の一例)が閉鎖」し、「大当りAに当選したことに基づいている大当り遊技が進行して15ラウンド終了する」場合は、本件補正発明1において「少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合」に相当する。 そして、引用発明において、「入賞手段への規定個数の入球」を「契機」に「可変入賞口234、235(入賞手段の一例)が閉鎖」し、「大当りAに当選したことに基づいている大当り遊技が進行して15ラウンド終了する」ときは、本件補正発明1において、「前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したとき」に相当する。 また、引用発明において、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方には、「大当り終了」という文字表示がなされて大当り遊技が終了したことが報知され」ることは、本件補正発明1において、「第1の報知を行う」ことに相当する。 ここで、引用発明では、「第1副制御部400」が、「CPU404を搭載しており、CPU404からの信号に基づいて装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434を接続している基本回路402を備えている」ので、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方に」、「「大当り終了」という文字表示がなされ」るようにしているのは、「CPU404を搭載しており、CPU404からの信号に基づいて装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434を接続している基本回路402を備えている第1副制御部400」であるといえる。 したがって、引用発明の「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方に」、「「大当り終了」という文字表示がなされ」るようにする「CPU404を搭載しており、CPU404からの信号に基づいて装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434を接続している基本回路402を備えている第1副制御部400」は、本件補正発明1の「第1の報知を行う第1報知手段」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明1の構成D及びFを備えている。 (e)、(g) 引用発明において、「実行中の大当り遊技が大当りAに基づいているため所定条件1を充足していると判定した」場合において、「所定条件2の条件1を達成したと判定した」ときに、「特別演出1を実行するためのコマンドを装飾図柄表示装置208に送信し、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出が実行され」るようにすることは、本件補正発明1において、「前記有利状態において」、「前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う」ことに相当する。 そして、引用発明では、「特別演出1を実行するためのコマンドを装飾図柄表示装置208に送信し、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出が実行され」るようにするのは、「第1副制御部400のCPU404」であるから、引用発明の「第1副制御部400」が本件補正発明1の「第2報知手段」に相当する。 また、引用発明における「主制御部300から」の「大入賞口入賞コマンド」は、技術常識に照らして、「大入賞口」、すなわち「可変入賞口234、235」に入賞したことに基づいて送信されるものであることは記載されているに等しい事項である。 ここで、引用発明の「大入賞口(可変入賞口234、235)への入球に対して」「得られる」「賞球」は、本件補正発明1の「前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことで付与される遊技価値」に相当する。 そうすると、引用発明において、「所定条件2の条件1」が、「主制御部300から大入賞口入賞コマンドを受信したと判定し、実行中の大当り遊技が大当りAに基づいているため所定条件1を充足していると判定したら、累計賞球数カウンタの値を読み出して、増加した分を当該値に加算して、記憶し直し、累計賞球数が所定値(累計賞球2000個)を超えていると判定したら」、「達成」されることは、本願発明において、「前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立」することに相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明1の構成E及びGを備えている。 (j) 引用発明の「パチンコ機100」は、本件補正発明1の「遊技機」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明1の構成Jを備えている。 以上より、本件補正発明1と引用発明とは 「 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、 前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立する 遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](構成H) 本件補正発明1は、「前記第1条件と前記第2条件とが同じタイミングにおいて成立したときには、前記第1報知手段による報知と、前記第2報知手段による報知とを重複して実行可能であ」るのに対し、引用発明は、そのような構成を有するか不明である点。 [相違点2](構成I) 本件補正発明1は、「前記第2報知手段は、前記第2条件が成立しているときに前記第1条件も成立した場合、前記第1の報知よりも目立たない態様で前記第2の報知を実行する」のに対し、引用発明は、そのような構成を有するか不明である点。 (4)本件補正発明1についての判断 上記相違点1と上記相違点2とは、第1条件と第2条件とがともに成立したときの報知に関するものである点で関連するため、まとめて検討する。 引用発明において、「大入賞口(可変入賞口234、235)への入球に対して賞球が得られ」ることで、「累計賞球数が所定値(累計賞球2000個)を超え」るのと、「入賞手段への規定個数の入球」という「可変入賞口234、235(入賞手段の一例)が閉鎖する契機」とが、同じタイミングで成立することがあり得ることは明らかである。 してみると、両者が同じタイミングで成立したときの、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に」おける、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出」と、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方に」おける、「「大当り終了」という文字表示がなされ」る「大当り遊技が終了したこと」の「報知」とをどのように実行するかは、引用発明を具体化するに際して当業者が当然検討すべき事項である。 引用文献2に記載の技術事項では、「大当り終了演出区間における演出中にて」、「獲得球数があらかじめ定めた所定個数(ここでは2000個単位とする)を超えた場合」の「獲得球数V」を「画像表示」するので、引用発明において、引用文献2に記載の技術事項を勘案して、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方に」、「「大当り終了」という文字表示がなされて大当り遊技が終了したことが報知され」ている演出中にて、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出」を「実行」するようなすことは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、引用発明において、「「大当り終了」という文字表示」は、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方に」なされ、「「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出」は、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に」おいて「実行され」るため、両者は表示される領域が異なっているので、重複して実行可能であるといえる。 ここで、引用発明は、「大当り遊技が終了すると、「特別演出1GET2000」と表示された画像を演出表示領域208dに再表示してもよい」のであるから、「「大当り終了」という文字表示がなされて大当り遊技が終了したことが報知され」ている演出中にて、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出」を「実行」するようなすことに阻害要因があるともいえない。 また、遊技機に関する技術分野において、獲得球数の表示をその他の演出よりも小さい表示態様で実行することは、本願出願前に周知の技術的事項であると認められる(例えば、特開2013-180041号公報の【0072】に「図20の(a)は獲得球数の映像であり…大当り遊技演出の映像の前方に重ねて表示される。」と記載されていることに照らして、【図20】を参照すれば、「獲得球数の映像は大当り遊技演出の映像よりも小さい表示領域で表示されている」ことが看て取れる。また、引用文献3の(ア)【0060】及び【0061】、(イ)【0065】、(ウ)【0067】及び【0068】並びに(エ)【0071】の記載内容に照らして、(カ)【図4】を参照すれば、「獲得球数の表示は、第3図柄の変動表示よりも小さい表示領域で表示される」ことが看て取れる。)。 したがって、引用発明における、「「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出が実行され」る「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央」の表示領域を、「「大当り終了」という文字表示」がなされる「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方」の表示領域よりも小さくすることも、上記周知の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。 (5)本件補正発明1の効果について 本件補正発明1が有する効果は、引用発明、引用文献2に記載の技術事項及び上記周知の技術事項が有する各効果から当業者が予測し得る程度のものであり、格別のものとはいえない。 (6)本件補正発明1に関する請求人の主張について ア 請求人の主張 請求人は、平成30年5月14日に提出された審判請求書の「3 本願発明が特許されるべき理由」の「(4)構成上の相違」及び「(5)本願発明の有利な効果」において、概ね以下の主張をしている。 (ア)いずれの引用文献にも、本件補正発明1の少なくとも下記の構成が記載されていない。 「前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、前記第1条件と前記第2条件とが同じタイミングにおいて成立したときには、前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とを重複して実行可能であり、前記第2報知手段は、前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記第1の報知よりも目立たない態様で前記第2の報知を実行する」(以下「構成ア」という。) (イ)引用文献1に記載の発明に、引用文献2に記載の事項を適用しても、本件補正発明1における上記構成アについて、当業者が容易に想到し得ない。したがって、引用文献1に記載の発明に、引用文献2に記載の事項を適用しても、少なくとも可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して有利状態が終了することと、可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したこととが、同じタイミングにおいて生じたことを、分かり易く報知することはできない。また、引用文献1に記載の発明に、引用文献2に記載の事項を適用した場合、いずれの報知への注目も共に低下してしまう可能性がある。 イ 上記主張(ア)及び(イ)について 上記構成アについては、上記「(4)本件補正発明1についての判断」のとおりであり、引用発明、引用文献2に記載の技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得た構成である。 また、上記主張(イ)における本件補正発明1の有利な効果については、上記「(5)本件補正発明1の効果について」のとおり、引用発明、引用文献2に記載の技術事項及び周知の技術事項が有する各効果から、当業者が予測し得る程度のものであり、格別のものとはいえない。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 (7)本件補正発明1についての小括 上記(1)から(6)より、本件補正発明1は、引用発明、引用文献2に記載の技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (8)本件補正発明2と引用発明との対比 次に、本件補正発明2と引用発明とを対比する。 本件補正発明2の構成AからG及びJは、本件補正発明1の構成AからG及びJと同一であるため、上記「(3)本件補正発明1と引用発明との対比」と同様である。 したがって、本件補正発明2と引用発明とは、 「 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 前記有利状態において前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、 前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立する 遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1’](構成K) 「前記第1報知手段」について、本件補正発明2では、「前記第1条件が成立したときに前記第2条件も成立した場合、該第1条件が成立したタイミングにおいて前記第1の報知を実行」するのに対し、引用発明では、そのような構成を有するか不明である点。 [相違点2’](構成L) 「前記第2報知手段」について、本件補正発明2では、「前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記有利状態が終了した後に実行される可変表示中において前記第2の報知を実行する」のに対し、引用発明では、そのような構成を有するか不明である点。 (9)本件補正発明2についての判断 上記相違点1’と上記相違点2’とは、第1条件と第2条件とがともに成立したときの報知に関するものである点で関連するため、まとめて検討する。 上記「(4)本件補正発明1についての判断」と同様に、引用発明において、「累計賞球数が所定値(累計賞球2000個)を超え」るのと、「入賞手段への規定個数の入球」という「可変入賞口234、235(入賞手段の一例)が閉鎖する契機」とが、ともに成立することがあり得ることは明らかであるところ、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に」おける、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出」と、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方に」おける、「「大当り終了」という文字表示がなされ」る「大当り遊技が終了したこと」の「報知」とをどのように実行するかは、引用発明を具体化するに際して当業者が当然検討すべき事項である。 引用発明における「「大当り終了」という文字表示がなされて大当り遊技が終了したことが報知され」ることは、大当り遊技が終了したことの報知であるのだから、「入賞手段への規定個数の入球」という「可変入賞口234、235(入賞手段の一例)が閉鎖する契機」が成立して、「大当りAに当選したことに基づいている大当り遊技が進行して15ラウンド終了する」タイミングで実行されるのが最も自然であり、当業者がそのタイミングで実行するようなすことは容易に想到し得ることである。 また、引用文献3に記載の技術事項では、「総獲得球数」を、「大当たり終了後」の「最初の変動表示が開始されるタイミング」で、「表示させる」ので、引用文献3に記載の技術事項を勘案して、引用発明において、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出」を、「大当り遊技が終了した」後の最初の「特図変動遊技」が開始されるタイミングで「実行」するようなすことは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、引用発明は、「大当り遊技が終了すると、「特別演出1GET2000」と表示された画像を演出表示領域208dに再表示してもよい」のであるから、「大当り遊技が終了した」後の最初の「特図変動遊技」が開始されるタイミングで、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出」を「実行」するようなすことに阻害要因があるともいえない。 (10)本件補正発明2の効果について 本件補正発明2が有する効果は、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項が有する各効果から当業者が予測し得るものであり、格別のものとはいえない。 (11)本件補正発明2に関する請求人の主張について ア 請求人の主張 請求人は、平成30年5月14日に提出された審判請求書の「3 本願発明が特許されるべき理由」の「(4)構成上の相違」及び「(5)本願発明の有利な効果」において、概ね以下の主張をしている。 (ア)いずれの引用文献2にも、本件補正発明2の少なくとも下記の構成が記載されていない。 「前記第1条件は、少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立し、前記第2条件は、前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、前記第1報知手段は、前記第1条件が成立したときに前記第2条件も成立した場合、該第1条件が成立したタイミングにおいて前記第1の報知を実行し、前記第2報知手段は、前記第2条件が成立したときに前記第1条件も成立した場合、前記有利状態が終了した後に実行される可変表示中において前記第2の報知を実行する」(以下「構成イ」という。) (イ)引用文献1に記載の発明に、引用文献2に記載の事項を適用しても、本件補正発明2における上記構成イについて、当業者が容易に想到し得ない。したがって、引用文献1に記載の発明に、引用文献2に記載の事項を適用しても、少なくとも可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して有利状態が終了することと、可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したこととが、同じタイミングにおいて生じたことを、事後的に報知することができない。また、引用文献1に記載の発明に、引用文献2に記載の事項を適用しても、有利状態が終了した後に実行される可変表示の実行中において実行されることへの期待感を継続させることができず、有利状態が終了した後に実行される可変表示における興趣を向上させることができない。 イ 上記主張(ア)及び(イ)について 上記構成イについては、上記「(9)本件補正発明2についての判断」のとおりであり、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得た構成である。 また、上記主張(イ)における本件補正発明2の有利な効果については、上記「(10)本件補正発明2の効果について」のとおり、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項が有する各効果から、当業者が予測し得る程度のものであり、格別のものとはいえない。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 (12)本件補正発明2についての小括 上記(1)、(2)及び(8)から(11)より、本件補正発明2は、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (13)独立特許要件についてのむすび 上記(1)から(12)より、本件補正発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 本件補正についてのむすび 本件補正は、上記「3 独立特許要件」のとおり、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年2月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]「1 補正の内容」に本件補正前の特許請求の範囲の記載として記載した以下のとおりのものである(当審にて分説のための記号を付した。本件補正発明1と同じ構成には同じ記号を付している。)。 「 【請求項1】 A 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 C 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 D’ 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 E’ 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 F’ 前記第1条件は、 少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立するとともに、 G 前記第2条件は、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立し、 H’ 前記第1条件と前記第2条件とが成立したときには、前記第1報知手段による前記第1の報知と、前記第2報知手段による前記第2の報知とを重複して実行可能であることを特徴とする J 遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2013-208380号公報 引用文献2:特開2010-75436号公報 3 引用文献 引用文献1及び引用文献2に記載された事項は、上記第2[理由]「3 独立特許要件」「(2)引用文献」の「ア 引用文献1」及び「イ 引用文献2」のとおりである。 4 対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 構成A、B、C、G及びJについては、上記第2の[理由]「3 独立特許要件」の「(3)本件補正発明1と引用発明との対比」と同様である。 また、上記第2の[理由]「2 補正の適否」の「(3)補正の目的について」のとおり、本件補正発明1の構成D及びEは、本願発明の構成D’及びEをさらに限定したものであって、上記第2の[理由]「3 独立特許要件」の「(3)本件補正発明1と引用発明との対比」のとおり、引用発明は当該限定された構成D及びEを備えているから、構成D’及びE’も備えているといえる。 さらに、上記第2の[理由]「2 補正の適否」の「(3)補正の目的について」のとおり、本件補正発明1の構成Fは、本願発明の構成F’の誤記を訂正したものであって、上記第2の[理由]「3 独立特許要件」の「(3)本件補正発明1と引用発明との対比」のとおり、引用発明は構成Fを備えているから、同様に構成F’も備えているといえる。 したがって、本願発明と引用発明とは 「 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技媒体が入賞可能な開状態に変化可能な可変入賞装置と、 前記有利状態へ制御する有利状態制御手段と、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し第1条件が成立したときに、第1の報知を行う第1報知手段と、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞し前記第1条件とは異なる第2条件が成立したときに、第2の報知を行う第2報知手段と を備え、 前記第1条件は、 少なくとも前記可変入賞装置に所定数の遊技媒体が入賞して前記有利状態が終了する場合に成立するとともに、 前記第2条件は、 前記可変入賞装置に遊技媒体が入賞したことに基づいて付与される遊技価値が所定値に到達したことで成立する 遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1”](構成H’) 本願発明は、「前記第1条件と前記第2条件とが成立したときには、前記第1報知手段による報知と、前記第2報知手段による報知とを重複して実行可能である」のに対し、引用発明は、そのような構成を有するか不明である点。 上記相違点1”に係る構成H’は、上記第2の[理由]「3 独立特許要件」の「(3)本件補正発明1と引用発明との対比」における相違点1に係る構成Hで、「前記第1条件と前記第2条件とが同じタイミングにおいて成立したとき」の「同じタイミングにおいて」という限定を省いたものである。 してみると、本件補正発明1の構成Hから上記限定を省いた本願発明の構成H’についても上記第2の[理由]「3 独立特許要件」の「(4)本件補正発明1についての判断」と同様に、引用発明において、引用文献2に記載の技術事項を勘案して、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の中央上方に」、「「大当り終了」という文字表示がなされて大当り遊技が終了したことが報知され」ている演出中にて、「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内のほぼ中央に、「特別演出1GET2000」と表示された画像による特別演出」を「実行」するようになし、両者を重複して実行可能とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 また、本願発明が有する効果は、引用発明及び引用文献2に記載の技術事項が有する各効果から当業者が予測し得るものであり、格別のものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 5 むすび 上記1から4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-01-10 |
結審通知日 | 2019-01-15 |
審決日 | 2019-01-30 |
出願番号 | 特願2014-131381(P2014-131381) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤脇 沙絵、阿部 知 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
倉持 俊輔 松川 直樹 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 平野 昌邦 |
代理人 | 田▲崎▼ 聡 |
代理人 | 佐伯 義文 |
代理人 | 松沼 泰史 |