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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1350131
審判番号 不服2018-894  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-23 
確定日 2019-03-22 
事件の表示 特願2013-128121号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年1月8日出願公開、特開2015-2763号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年6月19日の出願であって、平成29年3月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月17日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年1月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、同年9月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月30日に意見書及び手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(A?Hは、本願発明を分説するために当審で付した)。

「A 遊技を行う遊技機であって、
B 操作を受付ける操作受付手段と、
C 操作を要求する操作要求画像を表示する操作要求画像表示手段と、
D 前記操作要求画像の表示中において前記操作受付手段により受付けられた操作に応じて表示態様が更新され得る操作対応画像を表示する操作対応画像表示手段とを備え、
E 前記操作要求画像表示手段は、
E1 前記操作受付手段により操作が受付けられるまで、前記操作対応画像と重畳する第1位置に前記操作要求画像を表示し、
E2 前記操作対応画像と重畳する位置に前記操作要求画像が表示されているときに前記操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて、前記操作対応画像と重畳しない第2位置に前記操作要求画像を表示し、
F 前記操作要求画像の表示態様は、通常態様と、遊技者にとって有利な特典が付与される割合が当該通常態様よりも高い旨を示唆する特殊態様とを含み、
G 前記操作要求画像表示手段は、前記操作要求画像を前記特殊態様で前記第1位置に表示しているときに前記操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて、当該操作要求画像を当該特殊態様のままで前記第2位置に表示し、
H 前記遊技機は、操作を要求する旨を示す文字画像を前記操作受付手段により操作が受付けられるまで表示し、前記操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて前記文字画像の表示を終了する文字画像表示手段をさらに備える、遊技機。」

第3 拒絶の理由
平成30年9月27日付けで当審で通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。

平成30年1月23日に提出された手続補正書によって補正された請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用例1に記載された発明、引用例2、3それぞれに示された技術的事項及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用例1:パチスロ攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX,パチスロ必勝ガイドMAX 2013年3月号増刊,吉良 誠二 株式会社ガイドワークス,2013年 3月 1日,第2巻第4号,pp.12?15
引用例2:KATIGUMITOUSAN,“パチスロ攻殻機動隊 通常からフリーズ!エピソード最終告知の結果は!?”,[ONLINE],2013年4月23日公開,YouTube,インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=7_4obUCthME>
引用例3:特開2012-139532号公報

第4 引用例の記載及び引用発明
1 引用例1
当審で通知した拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、パチスロ攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX,パチスロ必勝ガイドMAX 2013年3月号増刊,吉良 誠二 株式会社ガイドワークス,2013年 3月 1日,第2巻第4号,pp.12?15(以下同じく「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)「パチスロ攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」(第12頁上)における「基本的なゲームの流れ」(第13頁右上)の「AT「S.A.C.モード」」内の「エピソードAT」として示される図には、図の中程の「+5G」(当審注:図においては、「PUSH」の表示が重なっており、部分的に隠蔽されていて、明確に特定できないが、「+5G」に類似するから、「+5G」とみなす。)の表示に重ねて「PUSH」の表示がされると共に、「+5G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示がされている。

(2)「エピソードAT」として示される図(第15頁右上)には、図の中程に「+100G」と表示され、その下に「PUSH」の表示がされると共に、「PUSH」の表示の右側に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示が上記(1)で表示された大きさより小さく表示されている。

(3)「パチスロ攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」の遊技機を正面から見た図(第12頁右)には、中リールの下にPUSHボタンがあり、リールの上に演出表示部があることが見て取れる。

以上の記載事項(1)?(3)から、引用例1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる(見出し(a)?(h)は、本願発明の分説A?Hに対応させて付与した。また、後述する引用発明の認定に関係する箇所に下線を付した)。

(a)記載事項(3)から、パチスロ遊技機が記載されている。

(b)記載事項(3)から、パチスロ遊技機にPUSHボタンが備えられていることが記載されている。

(c)記載事項(1)及び(2)から、「PUSH」の表示がされることが記載されており、パチスロ遊技機において、演出の表示は、技術常識から見て演出表示手段で行われるものであるから、引用例1には「PUSH」の表示を行う演出表示手段が記載されている。

(d)記載事項(1)及び(2)から、「+5G」や「+100G」の表示がされることが記載されており、上記認定事項(c)と同様にして、引用例1には「+5G」や「+100G」の表示を行う演出表示手段が記載されている。

(e1,e2)記載事項(1)から、「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行うことが、記載事項(2)から、「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行うことが、記載されている。

(h)記載事項(1)及び(2)から、「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされる時には、「+5G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示がされ、「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示がされる時には、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示が小さく表示されることが、記載されており、上記認定事項(c)、(d)と同様にして、引用例1には「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされる時には、「+5G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を行い、「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示がされる時には、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示する演出表示手段が記載されている。

以上の記載事項(1)?(3)及び認定事項(a)?(h)を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(分説a?hは、本願発明の分説A?Hに対応させて付与した)。

「a パチスロ遊技機であって、
b PUSHボタンと、
c 「PUSH」の表示を行う演出表示手段と、
d 「+5G」や「+100G」の表示を行う演出表示手段とを備え、
e1 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行い、
e2 「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行い、
h 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされる時には、「+5G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を行い、「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示がされる時には、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示する演出表示手段を備える、
a パチスロ遊技機。」

2 引用例2
当審で通知した拒絶理由で引用例2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、KATIGUMITOUSAN,“パチスロ攻殻機動隊 通常からフリーズ!エピソード最終告知の結果は!?”,YouTube[online][video],2013年4月23日,インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=7_4obUCthME>(以下同じく「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)引用例2には、「パチスロ攻殻機動隊 通常からフリーズ!エピソード最終告知の結果は!?」と題して、「パチスロ攻殻機動隊」で遊技を行う際に表示される演出の動画が開示されている。
(2)動画(14秒-24秒)から、画面中央の「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされると共に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」と表示され、その後に、「PUSH」が画面下方の「+10G」等の表示に重ならない位置に表示され、「PUSH」の表示の右側に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示が小さく表示されると共に画面が砕けるような表示がされ、さらに、画面が砕けるような表示と交互に画面中央には「+30G」、「+50G」、「+100G」と表示されることが見て取れる。

3 引用例3
当審で通知した拒絶理由で引用例3として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-139532号公報(以下同じく「引用例3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様)。

(1)「【0001】
本発明は、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御するパチンコ遊技機等の遊技機に関する。」

(2)「【0424】
まず、図42を参照して、(A),(B)に示すように、特別図柄の変動表示における特別図柄の変動開始等に対応して、「左」、「中」、「右」の図柄表示エリア9L、9C、9Rの全部で演出図柄の変動が開始される。メール予告を実行することが決定されたときには、その後、(C)に示すように、いずれの図柄表示エリアにも演出図柄が停止されていない変動中の状態において、メールの封筒を示す画像(以下、封筒画像と呼ぶ)9Pが表示されるとともに、操作ボタンを示す画像(以下、操作ボタン画像と呼ぶ)9Qと、「ボタンを押してください」という操作要求メッセージを示す画像(以下、操作要求メッセージ画像)9Sとが表示される。これら封筒画像9P、操作ボタン画像9Q、および操作要求メッセージ画像9Sの表示は、遊技者による操作ボタン130の操作を促すために実行される。以下では、封筒画像9P、操作ボタン画像9Q、および操作要求メッセージ画像9Sの表示を、ボタン操作促進演出という。
【0425】
ボタン操作促進演出のうち封筒画像9Pは、メール予告演出後に当りとなる割合に応じて封筒の色が選択されることにより(たとえば、「第1色表示(白色)」、「第2色表示(青色)」、および、「第3色表示(黄色)」の順に、メール予告後に当りとなる信頼度(以下、単に信頼度ともいう)が高いことを示すように色が選択される(信頼度の関係は、第1色表示<第2色表示<第3色表示)。)、大当りの信頼度を示す表示が行なわれる。これにより、メール予告によりメッセージが表示される前に信頼度が封筒の色によって示されるので、遊技者の期待感を高めることができるとともに、遊技者による操作ボタン130の操作を促進することができる。このような信頼度を示す表示は、色信頼度表示と呼ばれる。
【0426】
なお、封筒画像9Pの色により、メール予告によりメッセージが表示される前に信頼度を報知する例について説明した。しかし、メール予告によりメッセージが表示される前の信頼度の報知としては、ボタン操作促進演出の態様により報知するものであればよく、たとえば、封筒画像9Pの大きさ、種類、形状等により報知するものであってもよく、また、ボタン操作促進演出のうち封筒画像9Pの態様に限らず、操作ボタン画像9Q、または操作要求メッセージ画像9Sの態様や、封筒画像9P、操作ボタン画像9Q、および操作要求メッセージ画像9S各々の態様の組合せにより報知するものであってもよい。」

4 参考例1
電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、lupinsuki12,“パチスロ「攻殻機動隊 S.A.C.」まさかの二回連続エピソードAT”,YouTube[online][video],2013年10月16日,インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=98bNvq78IoY>(以下「参考例1」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)参考例1には、「パチスロ「攻殻機動隊 S.A.C」まさかの二回連続エピソードAT」と題して、「パチスロ攻殻機動隊」で遊技を行う際に表示される演出及びPUSHボタンの操作の動画が開示されている。
(2)動画(38秒-43秒)から、画面中央の「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされると共に「+10G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」と表示され、その後に、遊技者が中リールの下のボタンを操作すると、「PUSH」の表示が画面下方の「+10G」等の表示に重ならない位置に表示され、「PUSH」の表示の右側に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示が小さく表示されると共に画面が砕けるような表示がされ、さらに、遊技者がボタンを連打すると、画面が砕けるような表示と交互に画面中央には「+30G」、「+50G」と表示されることが見て取れる。

5 周知例1
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-31499号公報(以下「周知例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。」

(2)「【0197】
次に、本実施の形態の振動演出における装飾図柄表示装置208での表示の一例について説明する。図18は、特図変動遊技の変動期間中に実行される振動演出のうちの第一演出表示の一例を示している。装飾図柄の変動中または変動開始と同時に第一演出表示が開始されると、図18(a)に示すように、装飾図柄表示装置208には主人公キャラクタと敵キャラクタとの対決シーンの動画像が表示される。また、チャンスボタン136の長押し操作を遊技者に促す表示として、「長押しで気合をためろ!!」という文字メッセージ画像700と、チャンスボタン136を表すボタン画像702と、チャンスボタン136の押下操作を表す下向き矢印画像704とが、比較的大きいサイズで画面の中央部に表示される。
【0198】
遊技者によりチャンスボタン136が操作されると、本例では、図18(b)に示すように、文字メッセージ画像700、ボタン画像702および下向き矢印画像704の表示が終了する。また、対決シーンの動画像は引き続き表示されており、チャンスボタン136の長押し操作が行われると、長押し操作の時間の長さによって演出態様が変化する。本例では、チャンスボタン136の長押し操作が所定時間以上になると、主人公キャラクタの背後にはオーラ画像706aが表示される。表示されるオーラ画像の大きさは、チャンスボタン136の長押し操作の時間が長くなるに従って徐々に大きくなる場合がある。例えば、図18(b)に示す状態からチャンスボタン136の長押し操作がさらに継続されると、図18(c)に示すようにオーラ画像706aよりも大きいオーラ画像706bが表示される場合がある。また、図18(c)に示す状態からチャンスボタン136の長押し操作がさらに継続されると、図18(d)に示すようにオーラ画像706bよりも大きいオーラ画像706cが表示される場合がある。オーラ画像が大きければ大きいほど期待度の高い演出であることを表している。当該第一演出表示におけるオーラ画像の大きさの上限や、チャンスボタン136が振動するか否かは、当該変動開始時の乱数抽選等により予め決定されている。」

(3)図18に関し、図18(a)には「長押しで気合をためろ!!」という文字メッセージ画像700が比較的大きいサイズで画面の中央部に表示されており、図18(b)には、文字メッセージ画像700が表示されていないことが、示されている。

【図18】


6 周知例2
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-125471号公報(以下「周知例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【0130】
[連打演出]
ここで、本実施形態における連打演出の具体例について、図14及び図15に示す表示装置41に表示される画面を参照して説明する。
【0131】
遊技機10(演出制御装置300)は、まず、例えば図14(a)に示すような、3つの識別図柄が停止表示されている初期画面を表示装置41に表示する。
次いで、変動表示ゲームが開始すると、例えば図14(b)に示すような、3つの識別図柄が変動表示されている画面を表示する。
次いで、当該変動表示ゲームにおいてリーチが発生する場合は、所定時間経過後に、例えば図14(c)に示すような画面を表示する。
【0132】
次いで、当該リーチ中に操作有効期間が発生しない場合は、所定時間経過後に3つの識別図柄の変動表示を終了し、当該変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、例えば図14(d)に示すような画面を表示する。
一方、当該リーチ中に操作有効期間が発生する場合は、当該操作有効期間が発生(開始)すると、例えば図14(e)に示すような、操作有効期間の発生(開始)を遊技者に報知する画面を表示する。この画面では、第2操作ボタン252を押圧すると連打演出を行う旨を遊技者に報知する表示(「このボタンを長押ししたら連射するよ!」等)が表示されている。
【0133】
そして、第2操作ボタン252が押圧されると、例えば図15(f)に示すような画面を表示して、ピストルから弾丸を発射する画像を表示させるという所定の演出を連続的に実行する連打演出を行う。この画面では、第2操作ボタン252の押圧を続けるよう遊技者に促す表示(「長押し!」)や、第1操作ボタン251の押圧を遊技者に促す表示(「こっちもちょっと押してみて!」)などが表示されている。」

(2)図14、図15に関し、図14(e)には、「このボタンを長押ししたら連射するよ!」との表示と共に、「はずれ図柄を打ち壊せ!」との表示がされており、図15(f)には、「長押し!」の表示はされているが、「はずれ図柄を打ち壊せ!」との表示はされていないことが示されている。

【図14】

【図15】


7 周知例3
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-18013号公報(以下「周知例3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示部を備え、可変表示部に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に移行させるとともに、所定の移行条件が成立したときに該特定遊技状態が終了したのちに通常状態であるときに比べて識別情報の可変表示の表示結果が特定表示結果となりやすい特別遊技状態に移行させ、所定の移行条件が成立したことを報知可能な移行条件成立報知演出を実行する遊技機に関する。」

(2)「【0481】
図81は、「メール表示」の予告演出が実行される場合の表示動作例を示している。この表示動作例では、まず、例えば特別図柄の可変表示における特別図柄の変動開始などに対応して、図81(A)に示すように「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにて停止表示されていた飾り図柄が、図81(B)に示すように「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアの全部にて変動を開始する。その後、例えば、決定された予告YP3-2の予告パターンに対応して決定された予告CYP3-2-1の予告演出制御パターンから読み出した演出表示制御データなどに従い、例えば図81(C)に示すように、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH1を表示させる。そして、遊技者が所定期間内に操作ボタン120を操作し、それに応じて操作ボタン120から演出制御基板80へと伝送される操作検出信号がオン状態となった場合には、例えば演出制御用CPU101が予告CYP3-2-1の予告演出制御パターンを予告CYP3-2-2に切り替えることなどにより、図81(D)に示すようなメールメッセージを示す演出画像YH2を表示させることで、予告演出における演出動作を変化させる。これに対して、所定期間内に操作ボタン120の操作がなされなかった場合には、予告演出制御パターンが切り替えられずに、例えば図81(E)に示すように演出画像YH1が消去されて、予告演出が終了する。その後、例えば図81(F)に示すように「左」の飾り図柄表示エリアにて飾り図柄を仮停止表示するなど、飾り図柄の可変表示が進行していく。」

(3)図81に関し、図81(C)には、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH1として「ボタンを押してください」との表示がされており、図81(D)には「ボタンを押してください」との表示はされていないことが示されている。

【図81】


8 周知例4
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、kumagai makoto,“スロット 魁男塾 桃太郎がPUSHボタン連打で復活”,YouTube[online][video],2013年3月23日,インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=Iw3jVv1dCMg>(以下「周知例4」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)周知例4には、「スロット 魁男塾 桃太郎がPUSHボタン連打で復活」と題して、「パチスロ 魁男塾」で遊技を行う際に表示される演出の動画が開示されている。
(2)動画(36秒-37秒)から、画面中央下部に「PUSH」の表示がされると共に「連打」の表示がされ、その後に、画面右下に「PUSH」の表示が移動すると共に「連打」の表示が消去されることが見て取れる。

9 周知例5
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、waraupremium,“NO.10_連打チャレンジ演出”,YouTube[online][video],2011年6月15日,インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=u1b9UF74_vI>(以下「周知例5」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)周知例5には、「NO.10_連打チャレンジ演出」と題して、「パチスロ 笑ゥせぇるすまん」で遊技を行う際に表示される演出の動画が開示されている。
(2)動画(17秒-18秒)から、画面中央下部に「PUSH」の表示がされると共に「連打!」の表示がされ、その後に、画面左下に「PUSH」の表示が移動すると共に「連打!」の表示が消去されることが見て取れる。

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する(見出しa?hは、本願発明の分説A?Hに対応させて付した)。

a、b 引用発明の「a パチスロ遊技機」、「b PUSHボタン」は、それぞれ本願発明の「A 遊技を行う遊技機」、「B 操作を受付ける操作受付手段」に相当する。

c 引用発明において、「PUSH」の表示を行うことは、遊技者に「PUSHボタン」を操作させるようにしているものであるから、引用発明の「c 「PUSH」の表示を行う演出表示手段」は、本願発明の「C 操作を要求する操作要求画像を表示する操作要求画像表示手段」に相当する。

d 引用発明の「d 「+5G」や「+100G」の表示を行う演出表示手段」は、引用例1の記載からは、PUSHボタンの操作に応じたものか明らかでないが、「PUSH」の表示がされている間に表示態様が更新されているものであるから、本願発明の「D 前記操作要求画像の表示中において前記操作受付手段により受付けられた操作に応じて表示態様が更新され得る操作対応画像を表示する操作対応画像表示手段」と、「D’ 表示態様が更新され得る画像を表示する画像表示手段」である点で共通する。

e1 引用発明の「e1 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行」うことは、いつまでそのような表示を行うかは明らかでないが、「「+5G」の表示」の位置に、「「PUSH」の表示を行」うものであるから、引用発明の「演出表示手段」が「e1 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行」うことは、本願発明の「E 前記操作要求画像表示手段は」、「E1 前記操作受付手段により操作が受付けられるまで、前記操作対応画像と重畳する第1位置に前記操作要求画像を表示」することと、「E 前記操作要求画像表示手段は」、「E1’ 前記画像と重畳する第1位置に前記操作要求画像を表示」する点で共通する。

e2 引用発明の「e2 「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行う」ことは、「「+100G」の表示」と重ならない位置に、「「PUSH」の表示を行う」ものであるから、本願発明の「E2 前記操作対応画像と重畳する位置に前記操作要求画像が表示されているときに前記操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて、前記操作対応画像と重畳しない第2位置に前記操作要求画像を表示」することと、「E2’ 前記画像と重畳しない第2位置に前記操作要求画像を表示」する点で共通する。

h 引用発明の「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示は、遊技者に「PUSHボタン」を操作させるようにしているものであるから、本願発明の「操作を要求する旨を示す文字画像」に相当する。そして、引用発明は、「「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされる時には、「+5G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を行」うことから、「「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示がされる時には、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示する」ことへ、所定の契機を経て、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を変化させているということができ、本願発明においても、「操作を要求する旨を示す文字画像を」表示することを、「操作受付手段により操作が受付けられる」という所定の契機まで行い、「操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて前記文字画像の表示を終了する」ことは、所定の契機を経て、「操作を要求する旨を示す文字画像」の表示を変化させているということができる。そうすると、引用発明の「h 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされる時には、「+5G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を行い、「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示がされる時には、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示する演出表示手段」は、本願発明の「H 操作を要求する旨を示す文字画像を前記操作受付手段により操作が受付けられるまで表示し、前記操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて前記文字画像の表示を終了する文字画像表示手段」と、「H’ 操作を要求する旨を示す文字画像を表示し、所定の契機により、操作を要求する旨を示す文字画像の表示を変化させる文字画像表示手段」である点で共通する。

上記a?hによれば、本願発明と引用発明とは、
「A 遊技を行う遊技機であって、
B 操作を受付ける操作受付手段と、
C 操作を要求する操作要求画像を表示する操作要求画像表示手段と、
D’ 表示態様が更新され得る画像を表示する画像表示手段とを備え、
E 前記操作要求画像表示手段は、
E1’ 前記画像と重畳する第1位置に前記操作要求画像を表示し、
E2’ 前記画像と重畳しない第2位置に前記操作要求画像を表示し、
H’ 操作を要求する旨を示す文字画像を表示し、所定の契機により、操作を要求する旨を示す文字画像の表示を変化させる文字画像表示手段をさらに備える、遊技機。」
である点で一致し、次の5点で相違する。

相違点1 「D’ 表示態様が更新され得る画像を表示する画像表示手段」に関して、本願発明では「操作要求画像の表示中において操作受付手段により受付けられた操作に応じて」表示態様が更新され得る「操作対応画像」を表示するものであるのに対し、引用発明は、表示態様の更新がPUSHボタンの操作に応じたものか明らかでなく、更新される画像が「操作対応画像」であるか明らかでない点。

相違点2 「E1’ 前記画像と重畳する第1位置に前記操作要求画像を表示」する点に関して、本願発明では「前記操作受付手段により操作が受付けられるまで」表示を行うのに対し、引用発明ではいつまで表示を行うか明らかでない点。

相違点3 「E2’ 前記画像と重畳しない第2位置に前記操作要求画像を表示」する点に関し、本願発明では「前記操作対応画像と重畳する位置に前記操作要求画像が表示されているときに前記操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて」表示を行うのに対し、引用発明ではどのような場合に表示を行うか明らかでない点。

相違点4 本願発明では、「F 前記操作要求画像の表示態様は、通常態様と、遊技者にとって有利な特典が付与される割合が当該通常態様よりも高い旨を示唆する特殊態様とを含み、
G 前記操作要求画像表示手段は、前記操作要求画像を前記特殊態様で前記第1位置に表示しているときに前記操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて、当該操作要求画像を当該特殊態様のままで前記第2位置に表示する」ものであるのに対し、引用発明ではこれらの特定を有していない点。

相違点5 「H’ 操作を要求する旨を示す文字画像を表示し、所定の契機により、操作を要求する旨を示す文字画像の表示を変化させる文字画像表示手段」に関し、本願発明では、「前記操作受付手段により操作が受付けられるまで」操作を要求する旨を示す文字画像を表示し、「前記操作受付手段により操作が受付けられたことに応じて」前記文字画像の表示を「終了する」ものであるのに対し、引用発明では、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示が、「「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされる時」であり、「「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示がされる時に」「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示するものである点。

第6 判断
以下、相違点について検討する。

1 相違点1について
引用例1がパチスロ情報誌における「パチスロ攻殻機動隊」の記事であり、引用例2が「パチスロ攻殻機動隊」で遊技を行う動画を開示していることからして、引用例1、2で開示される「パチスロ攻殻機動隊」は同一のパチスロ遊技機であり、引用例1における演出の表示は、引用例2における演出の表示と同様のものが行われるものである。
そして、引用発明における「「+5G」や「+100G」の演出表示」に関して、引用例2を参照すると、「+10G」の表示がされた後、画面が砕けるような表示と交互に画面中央には「+30G」、「+50G」、「+100G」と表示されるものであり、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」と表示されることからして、画面が砕けるような表示はPUSHボタンを操作することにより表示されるものであり、してみれば、「+10G」、「+30G」、「+50G」、「+100G」のような表示は、PUSHボタンの操作に応じて表示態様が更新される操作対応画像ということができる。
ここで、参考例1は、本願出願前に公知となったものではないが、引用例1及び引用例2に開示される「パチスロ攻殻機動隊」と同一のパチスロ遊技機で遊技を行う動画を開示しており、参考例1には、遊技者がボタンを操作すると、「+10G」が表示される画面が砕けるような表示がされ、さらに遊技者がボタンを連打すると、画面が砕けるような表示と交互に画面中央には「+30G」、「+50G」と表示されることが示されている。また、遊技者が操作する中リールの下のボタンは、引用例1の開示をあわせ見ると、PUSHボタンである。そうすると、参考例1に示されたパチスロ遊技機では、遊技者がPUSHボタンを操作するに従って「+10G」、「+30G」、「+50G」のように表示態様が更新されるものであり、参考例1に示されたパチスロ遊技機と同一の遊技機である上記引用発明に関して示した「+10G」、「+30G」、「+50G」、「+100G」のような表示は、PUSHボタンの操作に応じて表示態様が更新される操作対応画像であるということは、是認できるものである。
してみれば、上記相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明においても同様のものが行われているということができるから、上記相違点1は実質的な相違点とはならない。

2 相違点2、3について
引用発明の「e1 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行い、 e2 「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行う」点について、引用例2を参照すると、画面中央の「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされた後に、「PUSH」が画面下方の「+10G」等の表示に重ならない位置に表示されると共に画面が砕けるような表示がされることは、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」と表示されることからして、画面が砕けるような表示はPUSHボタンを操作することにより表示されるものであり、PUSHボタンの操作に応じて「PUSH」を表示する位置を変えているものである。そうすると、引用発明において、「e1 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行」うのは、PUSHボタンが操作されるまでであり、また、「e2 「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行う」のは、画面中央の「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされているときにPUSHボタンが操作されたことに応じて行うものである。
ここで、参考例1には、画面中央の「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされ、遊技者がPUSHボタンを操作すると、「PUSH」の表示が画面下方の「+10G」等の表示に重ならない位置に表示されることが示されている。そうすると、「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされ、そのときに遊技者がPUSHボタンを操作すると、「PUSH」の表示が画面下方の「+10G」等の表示に重ならない位置に表示されるものであり、上記引用発明において「e1 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行」うのは、PUSHボタンが操作されるまでであり、また、「e2 「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行う」のは、画面中央の「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされているときにPUSHボタンが操作されたことに応じて行うものであるということは、是認できるものである。
してみれば、上記相違点2、3に係る本願発明の構成は、引用発明においても同様のものが行われているということができるから、上記相違点2、3は実質的な相違点とはならない。

3 相違点4について
遊技機において予告報知を行う際に予告の信頼度に応じた報知を行うことは、特に文献を挙げるまでもなく、本願出願前に周知技術(以下「周知技術1」という。)であり、引用発明においても、「エピソードAT」におけるATゲームの獲得の予告報知を行うことは、当業者であれば適宜に為し得たことである。
そして、引用例3には、遊技機において(記載事項(1))、ボタン操作促進演出の操作ボタン画像の態様によって、信頼度を報知する(記載事項(2))という技術が記載されており、これを引用発明に適用し、「PUSH」の表示により信頼度を報知するようにすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。その際に、引用発明では、「e1 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行い」、「e2 「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行う」ものであるから、「PUSH」の表示により信頼度を報知するのであれば、「+5G」の表示に重ねた位置でも、「+100G」の表示の下の位置でも、信頼度に応じた報知を行う表示態様とすることは、当業者であれば容易に為し得た範囲内のことである。
してみれば、引用発明、周知技術1及び引用例3に記載された事項に基づき、上記相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。

4 相違点5について
(1)時点に関して
まず、相違点5のうち、時点に関する、いつまで「操作を要求する旨を示す文字画像を表示し」、いつ「前記文字画像の表示を変化させる」のかについて検討する。
上記「2 相違点2、3について」で示したとおり、引用発明において、「「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行」うのは、PUSHボタンが操作されるまでであり、また、「「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行う」のは、画面中央の「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされているときにPUSHボタンが操作されたことに応じて行うものである。そうすると、引用発明でも、「PUSHボタンが操作されるまで」「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を行い、「PUSHボタンが操作されたことに応じて」「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示するものである。
ここで、参考例1には、画面中央の「+10G」の表示に重ねて「PUSH」の表示がされると共に「+10G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示が、遊技者がPUSHボタンを操作するまで表示され、遊技者がPUSHボタンを操作すると、「PUSH」の表示が画面下方の「+10G」等の表示に重ならない位置に表示され、「PUSH」の表示の右側に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示が小さく表示されることが示されている。そうすると、PUSHボタンが操作されるまで「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を行い、PUSHボタンが操作されたことに応じて「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示するものであり、上記引用発明において示した、「PUSHボタンが操作されるまで」「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を行い、「PUSHボタンが操作されたことに応じて」「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示するものであるということは、是認できるものである。
してみれば、相違点5に係る本願発明の構成のうち、時点に関しては、引用発明においても同様のものが行われているということができるから、上記相違点5のうち、時点に関しては、実質的な相違点とはならない。

(2)表示を変化させることについて
次に、相違点5のうち、本願発明では、前記文字画像の表示を「終了する」のに対し、引用発明では、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を「小さく表示する」点について検討する。
引用発明は、上記「2 相違点2、3について」、「4 相違点5について(1)時点に関して」で示したことを踏まえると、遊技者がPUSHボタンを操作するまでは、遊技者に「PUSH」ボタンの操作が必要であることを知覚させるために、「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行うと共に、「+5G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を行っている。また、遊技者がPUSHボタンを操作した以後では、遊技者はPUSHボタンを操作することが必要であることを理解してPUSHボタンの操作をしていると考えられ、ことさら「PUSH」ボタンの操作が必要であることを知覚させる表示を行う必要が無いこと、「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行うと共に「+5G」の表示の下に「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を続けると、その表示が演出の表示の邪魔となり、演出効果を阻害すること、一方、「PUSH」の表示を行わないとすると、遊技者にPUSHボタンの操作が必要なくなったと誤解させることになるから、「PUSH」の表示を全く行わないとしない方が良いことから、「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行い、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示することを行っているものである。
ここで、周知例1には、遊技機において(記載事項(1))、チャンスボタン136の長押し操作を遊技者に促す表示として、「長押しで気合をためろ!!」という文字メッセージ画像700が、比較的大きいサイズで画面の中央部に表示され、遊技者によりチャンスボタン136が操作されると、文字メッセージ画像700の表示が終了することが(記載事項(2)、(3))、記載されている。また、周知例2には、遊技機において、第2操作ボタン252を押圧すると連打演出を行う旨を遊技者に報知する表示(「このボタンを長押ししたら連射するよ!」)と共に、「はずれ図柄を打ち壊せ!」との表示がされ、第2操作ボタン252が押圧されると、第2操作ボタン252の押圧を続けるよう遊技者に促す表示(「長押し!」)はされているが、「はずれ図柄を打ち壊せ!」との表示はされていないことが(記載事項(1)、(2))、記載されている。さらに、周知例3には、遊技機において(記載事項(1))、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH1を表示し、遊技者が所定期間内に操作ボタン120を操作した場合には、「ボタンを押してください」との演出画像YH1の表示はされなくなることが(記載事項(2)、(3))、記載されている。また、周知例4には、パチスロ遊技機において(記載事項(1))、画面中央下部に「PUSH」の表示がされると共に「連打」の表示がされ、その後に、画面右下に「PUSH」の表示が移動すると共に「連打」の表示が消去されることが(記載事項(2))記載され、周知例5には、パチスロ遊技機において(記載事項(1))、画面中央下部に「PUSH」の表示がされると共に「連打!」の表示がされ、その後に、画面左下に「PUSH」の表示が移動すると共に「連打!」の表示が消去されることが(記載事項(2))、記載されている。これら周知例1?5の記載からすると、遊技機における演出の表示において、遊技者に操作を促す画像を表示し、遊技者の操作がされると、遊技者に操作を促す画像の表示を終了することは、本願出願前に周知技術(以下「周知技術2」という。)である。
そして、引用発明では、上述のとおり、遊技者がPUSHボタンを操作した以後も「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示しているが、「PUSH」の表示が行われていることから、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を終了したとしても、遊技者にPUSHボタンの操作が必要なくなったと誤解させることにはならない。そうすると、引用発明において、遊技者がPUSHボタンを操作した以後に、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を小さく表示することに代えて、上記周知技術2を考慮し、「PUSH連打でウィンドウを砕け!」の表示を終了することは、当業者であれば適宜為し得たことである。

(3)相違点5についてのまとめ
上記(1)、(2)で示したことを踏まえると、上記相違点5に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術2に基づいて、当業者であれば適宜為し得たことである。

5 相違点の判断についてのまとめ
以上各相違点について示したとおりであり、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2、3それぞれに示された事項並びに周知技術1及び2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用例2、3それぞれに示された事項並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものである。

第7 請求人の主張について
請求人は、平成30年9月27日付けで当審で通知した拒絶理由に対して、同年11月30日に提出した意見書において以下の点を主張している。

1 相違点2、3について
請求人の主張は、以下のとおりである。
「合議体は、相違点2,3の想到容易性の説明として、「引用例2を参酌すると、…PUSHボタンの操作に応じて「PUSH」を表示する位置を変えているものである」と判断されております。
しかしながら、出願人は、この判断については、承服いたしかねます。
引用例2のYOUTUBEの映像においては、遊技者が操作している映像はありません。したがって、引用例2のYOUTUBEの映像からは、「「PUSH」を表示する位置が変わる契機」は、「PUSHボタンの操作」ではなく、たとえば、「所定時間の経過」であるとも考えられます。
このように、当業者であれば、引用例2のYOUTUBEの映像では、たとえば、「所定時間の経過に応じて「PUSH」を表示する位置を変えている」とも解釈することができます。
したがって、「引用例2を参酌すると、…PUSHボタンの操作に応じて「PUSH」を表示する位置を変えているものである」とする合議体の判断については、承服いたしかねます。
以上により、相違点2に係る構成および相違点3に係る構成はいずれも想到困難性を有します。」

この点については、上記「第6 判断」「2 相違点2、3について」にて示したとおりである。請求人の主張するように、「「PUSH」を表示する位置が変わる契機」が「所定時間の経過」であったとすると、遊技者がPUSHボタンを操作せずに、「PUSH」の表示がされる位置が変わり、遊技者がPUSHボタンの操作が必要であることに気がつかなかったり、あるいは、遊技者がPUSHボタンを操作しているのに、「PUSH」の表示が「+5G」等の表示に重ねて表示され続け、演出の表示の邪魔となったりし、遊技者に混乱を与えるような演出となる。そうすると、所定時間の経過に応じて「PUSH」を表示する位置を変えているとの解釈は、当業者には不自然な解釈である。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

2 相違点4について
請求人の主張は、以下のとおりである。
「合議体は、相違点4に係る構成の想到容易性の説明として、拒絶理由通知書の6頁目の17?20行目の記載において、「「e1 「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を行い」、「e2 「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示を行う」ものであるから、「PUSH」の表示により信頼度を報知するのであれば、「+5G」の表示に重ねた位置でも、「+100G」の表示の下の位置でも、信頼度に応じた報知を行う表示態様となることは明らかである。」と判断されております(下線は、出願人が付しました)。
出願人は、この下線部の判断についても、承服いたしかねます。
仮に、「+5G」の表示に重ねた位置に、信頼度が高い態様で「PUSH」画像を表示したとしても、「「+100G」の表示の下の位置において、この信頼度が高い態様を維持して「PUSH」画像を表示するという事項」は、引用文献1?3には記載されておりません。
さらに、YOUTUBE(引用例2)の映像によると、「PUSH」画像は、「+100」の画像の下では、この「+100」の画像の大きさ(面積)と比較して、かなり小さく表示されていることから、この「PUSH」画像を遊技者は、視認し難くなっております。
ここで、遊技者が視認し難い「PUSH」画像の表示態様を変更すること(「+5G」の表示に重ねた位置での表示態様に応じた変更をすること)は、当業者であっても容易に想到することはない事項であると思料いたします。
むしろ、当業者であれば、画像データの容量の削減のために、「+5G」の表示に重ねた位置での表示態様に関わらず、遊技者が視認し難い「PUSH」画像(「+100G」の表示の下の「PUSH」画像)の表示態様について同一の表示態様とするのではないかと思料いたします。
したがって、出願人は、上記の下線部の判断について、承服いたしかねます。
よって、相違点4に係る構成(構成G)も想到困難性を有します。」

この点については、上記「第6 判断」「3 相違点4について」にて示したとおりである。請求人の主張するように、遊技者が視認し難い「PUSH」画像(「+100G」の表示の下の「PUSH」画像)の表示態様について同一の表示態様とするものだとすると、引用発明に、周知技術1及び引用例3に記載された事項を適用したものにおいて、「+5G」の表示に重ねて「PUSH」の表示を、高い信頼度の報知を伴って表示されているときに、「+100G」の表示の下に「PUSH」の表示がされる状態で、「同一の表示態様」すなわち、高い信頼度の報知を伴わずに表示がされることになるとすると、遊技者に一旦報知された高い信頼度が、低い信頼度に変化したと遊技者に受け取られることとなり、遊技者に混乱を与えるような演出となり、当業者であれば通常そのような演出は行わない。そうすると、当業者であれば、遊技者が視認し難い「PUSH」画像(「+100G」の表示の下の「PUSH」画像)の表示態様について同一の表示態様とするとの請求人の主張は採用できない。

3 構成Hについて
請求人は、本願発明の構成Hは、引用例1乃至3のいずれにも開示されておらず、本願発明は、構成Hを有することにより、有利な効果を奏する旨主張する。
しかし、この点については、上記「第6 判断」「4 相違点5について」にて示したとおりである。

4 請求人の主張についてのまとめ
以上のとおり、請求人の主張については、いずれも採用することができない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2、3それぞれに示された事項並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-01-15 
結審通知日 2019-01-22 
審決日 2019-02-04 
出願番号 特願2013-128121(P2013-128121)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井海田 隆  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 赤穂 州一郎
田邉 英治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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