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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1350941 |
審判番号 | 不服2018-8482 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-06-20 |
確定日 | 2019-04-11 |
事件の表示 | 特願2015-215012号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年5月18日出願公開、特開2017-80327号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯の概要 本願は、平成27年10月30日の出願であって、平成29年8月28日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年10月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年3月14日付け(発送日:平成30年3月20日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年6月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成30年6月20日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年6月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正により、平成29年10月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における 「変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 変動表示に対応する所定表示を表示可能な所定表示手段と、 前記所定表示の表示態様を変化させる特定演出を実行可能な特定演出実行手段とを備え、 前記特定演出として、前記所定表示の表示態様が変化することを示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を前記示唆に関連する態様に変化させる演出を実行可能であり、 前記示唆の実行中に、当該示唆の態様を変化させることが可能であり、 前記示唆の態様が変化するタイミングを複数備える、遊技機。」は、 審判請求時に提出された手続補正書(平成30年6月20日付け)における 「変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 変動表示に対応する所定表示を表示可能な所定表示手段と、 前記所定表示の表示態様を変化させる特定演出を実行可能な特定演出実行手段とを備え、 前記所定表示の表示態様は、前記有利状態に制御される期待度を示唆する特別態様を含み、 前記特定演出として、前記所定表示の表示態様の変化および前記有利状態に制御される期待度を示唆表示により示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を前記示唆表示により示唆された前記有利状態に制御される期待度に基づく特別態様に変化させる演出を実行可能であり、 前記示唆の実行中に、当該示唆の態様を変化させることが可能であり、 前記示唆の態様が変化するタイミングを複数備える、遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1について、発明を特定するために必要な事項である「所定表示の表示態様」に関して、「前記所定表示の表示態様は、前記有利状態に制御される期待度を示唆する特別態様を含み、」と限定し、発明を特定するために必要な事項である「特定演出」に関して、「前記特定演出として、前記所定表示の表示態様が変化することを示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を前記示唆に関連する態様に変化させる演出を実行可能であり、」とあったものを「前記特定演出として、前記所定表示の表示態様の変化および前記有利状態に制御される期待度を示唆表示により示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を前記示唆表示により示唆された前記有利状態に制御される期待度に基づく特別態様に変化させる演出を実行可能であり、」と限定することを含むものである。 そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0219】?【0120】、【0227】?【0229】の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Gは、分説するため審決にて付した。)。 「A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 変動表示に対応する所定表示を表示可能な所定表示手段と、 C 前記所定表示の表示態様を変化させる特定演出を実行可能な特定演出実行手段とを備え、 D 前記所定表示の表示態様は、前記有利状態に制御される期待度を示唆する特別態様を含み、 E 前記特定演出として、前記所定表示の表示態様の変化および前記有利状態に制御される期待度を示唆表示により示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を前記示唆表示により示唆された前記有利状態に制御される期待度に基づく特別態様に変化させる演出を実行可能であり、 F 前記示唆の実行中に、当該示唆の態様を変化させることが可能であり、 G 前記示唆の態様が変化するタイミングを複数備える、遊技機。」 (2)刊行物1 原査定の拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-200575号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 発射手段によって発射された遊技球が流下する遊技領域と、 前記遊技領域に設けられた始動領域と、 前記始動領域への遊技球の進入を条件として、遊技者に付与する遊技利益を決定するための遊技利益決定用乱数、および、前記遊技者に付与される遊技利益を報知する変動演出の態様を決定するための変動演出用乱数を取得するとともに、これら取得した乱数を保留として記憶部に記憶する保留記憶手段と、 始動条件の成立により、前記保留記憶手段によって記憶部に記憶された遊技利益決定用乱数を読み出して前記遊技利益を決定する遊技利益決定手段と、 前記遊技利益決定手段によって前記遊技利益が決定されたとき、当該遊技利益決定手段の決定結果、および、当該遊技利益決定手段の決定の際に読み出された遊技利益決定用乱数とともに記憶部に記憶された変動演出用乱数に基づいて、前記変動演出の態様を決定する変動演出決定手段と、 前記変動演出決定手段の決定にしたがって前記変動演出を実行することにより、遊技者に付与される遊技利益を報知する変動演出実行手段と、 前記遊技利益決定手段によって所定の遊技利益を付与する決定結果が導出されるとともに、前記変動演出実行手段によって前記遊技利益が付与されることの報知がなされた場合に、当該遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、 前記記憶部に保留が記憶されてから、当該保留に基づいて前記変動演出決定手段が変動演出の態様を決定するまでの間に、少なくとも当該保留として記憶された遊技利益決定用乱数および前記変動演出用乱数のいずれか一方または双方に基づいて、前記遊技利益および変動演出の態様の少なくともいずれかに係る事前判定情報を導出する事前判定手段と、 前記記憶部に記憶された保留の全部もしくは一部を対象として実行される演出であって、当該対象となる対象保留の事前判定情報に基づいて実行態様が決定される保留示唆演出の実行可否を判定する保留示唆演出実行判定手段と、 前記保留示唆演出実行判定手段によって前記保留示唆演出を実行する判定結果が導出された場合に、当該保留示唆演出の対象保留における変動演出のうち少なくとも最後の変動演出が実行されるまでの時間よりも短い時間を、前記保留示唆演出の開始時間として設定する開始時間設定手段と、 前記保留示唆演出を実行する判定結果が導出されてから、前記開始時間設定手段によって設定された開始時間が経過するまでの時間を計時可能な計時手段と、 前記開始時間設定手段によって設定された開始時間を前記計時手段が計時した場合に、前記保留示唆演出を開始する保留示唆演出実行手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。」 イ 「【技術分野】 【0001】 本発明は、遊技領域に設けられた始動領域に遊技球が進入したことを条件として、遊技者に遊技利益が付与される遊技機に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上記の遊技機によれば、保留示唆演出が実行された場合には遊技者に期待感が付与されるが、保留示唆演出が行われなかった場合には、始動口に遊技球が入球して保留が記憶された時点で、当該保留についての期待感がもてなくなってしまう。その結果、遊技進行中の多くの時間において演出効果が低下してしまい、遊技の興趣が低下してしまうおそれがある。 【0007】 本発明は、保留示唆演出によって高い演出効果をもたらすことが可能な遊技機の提供を目的とする。」 ウ 「【0043】 副制御基板200は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板200は、サブCPU200a、サブROM200b、サブRAM200cを備えており、主制御基板100に対して、当該主制御基板100から副制御基板200への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU200aは、主制御基板100から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM200bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行するためのコマンドを、画像制御基板210または電飾制御基板220に送信する。このとき、サブRAM200cは、サブCPU200aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。」 エ 「【0232】 上記のように、大当たりの抽選結果は、さまざまな変動演出によって遊技者に報知されることとなるが、本実施形態においては、上記の変動演出に加えて保留示唆演出を実行することにより、記憶部に記憶された保留についての期待感を遊技者に付与することとしている。以下では、第1保留についてのみ保留示唆演出が実行されることとし、保留示唆演出が実行される場合の実行態様について詳細に説明する。 【0233】 図34は、保留示唆演出の一例を説明する図である。図示のように、演出表示部50aの下部には、第1保留数(X1)を示す保留表示領域が設けられており、この保留表示領域に、現在留保されている保留数と同数の保留表示画像45を表示することで、第1保留数(X1)を遊技者に報知することとしている。 ・・・ 【0238】 すると、図34(b)に示すように、保留表示画像45dが保留表示領域内に表示され、第1保留数(X1)が「4」になったことが遊技者に報知されるが、このとき、同時に、保留表示画像45a、45b、45c、45dの表示態様が「爆弾」に変化する。この「爆弾」の保留表示態様は、保留示唆演出を実行する決定がなされた場合に表示される前兆保留表示態様であり、これから保留示唆演出が行われることを示すものである。 【0239】 本実施形態においては、保留示唆演出を実行する決定がなされた場合に、当該決定がなされた時点で留保されている全ての保留が、保留示唆演出を実行する対象保留となる。そして、保留示唆演出を実行する決定がなされた場合には、同時に、保留示唆演出を開始するまでの時間が決定されることとなるが、この時間は、対象保留ごとに決定され、その時間が各保留表示画像45の下部に表示されることとなる。 【0240】 この保留示唆演出の開始までの時間は、図34(c)に示すように、時間の経過に伴ってカウントダウン表示され、表示時間が「0」になると、当該対象保留の保留表示画像が変化して、保留示唆演出が実行されることとなる。 【0241】 保留示唆演出は、対象保留の特別図柄(大当たりの抽選結果)に係る事前判定情報や、第1および第2変動パターン事前判定情報に基づいて、保留表示画像45の表示態様を変化させる演出である。つまり、保留示唆演出によって表示される保留表示画像45の態様には、それぞれ大当たりの期待度が対応付けられており、保留示唆演出が実行されたときに表示される保留表示画像45によって、遊技者に対象保留の期待度が報知されることとなる。 ・・・ 【0244】 このように、本実施形態においては、通常、各第1保留が白色の「○」である通常保留表示態様で表示されて、第1保留数(X1)が遊技者に報知される。そして、第1保留が留保されるたびに、保留示唆演出を実行するか否かが決定され、保留示唆演出を実行する決定がなされた場合には、大当たりの期待度が高い保留が含まれているか否かに拘わらず、その時点で表示されている全ての保留表示画像45が、前兆保留表示態様である「爆弾」に変化する。また、このとき、同時に、保留示唆演出の実行対象である対象保留ごとに、保留示唆演出が開始されるまでの時間が決定され、その時間が対象保留ごとにカウントダウン表示される。そして、表示時間が「0」になったところで、保留表示画像45の表示態様が決定され、当該決定された態様で保留表示画像45が表示されることにより、保留示唆演出が行われることとなる。 ・・・ 【0251】 なお、図中、表示態様「白」は、保留表示画像45を白色で表示することを示し、表示態様「青」は、保留表示画像45を青色で表示することを示し、表示態様「黄」は、保留表示画像45を黄色で表示することを示し、表示態様「赤」は、保留表示画像45を赤色で表示することを示し、表示態様「キャラクター」は、保留表示画像45をキャラクターで表示することを示している。 【0252】 また、特別図柄種別に係る事前判定情報がハズレ図柄であった場合と大当たり図柄であった場合とで、各表示態様が決定される確率を図示のように設定したので、大当たりの期待度は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「キャラクター」の順で高くなる。」 オ 「【0279】 この状況から、さらに2秒が経過すると、つまり、図39(d)に示す状態から6秒が経過すると、図39(e)に示すとおり、第3記憶部に対応する保留示唆演出開始時間カウンタが0秒になる。このとき、保留表示画像45cの表示態様を「青色」とする決定がなされたとすると、第3記憶部の表示態様記憶領域には、保留表示画像45の表示態様を「青」とする情報が記憶される。これにより、図40(e)に示すように、保留表示画像45cは、「爆弾」が爆発した後に、青色の「○」で表示されることとなる。」 カ 「【0287】 (ステップS1300) 次に、サブCPU200aは、保留表示画像45の表示制御ならびに保留示唆演出を実行するために要する種々の処理を行う。」 キ 「【0305】 (ステップS1211-6) 次に、サブCPU200aは、各記憶部に対応する最短変動開始時間カウンタの時間を参照し、保留示唆演出を開始する時間を保留ごとに決定する。なお、ここでは、保留示唆演出開始時間を、最短変動時間カウンタの時間よりも短い範囲内でランダムに決定するように、サブCPU200aが演算処理を行うこととする。ただし、上記したとおり、保留示唆演出を開始する時間の決定方法はこれに限るものではない。そして、サブCPU200aは、保留ごとに決定した保留示唆演出開始時間を、各記憶部に対応する保留示唆演出開始時間カウンタにセットする。 【0306】 (ステップS1211-7) 次に、サブCPU200aは、上記ステップS1211-6でセットされた保留示唆演出開始時間を、演出表示部50aにカウントダウン表示するためのカウントダウン表示コマンドをセットする。このコマンドは画像制御基板210に送信され、画像制御基板210が、演出表示部50aにおける保留示唆演出開始時間のカウントダウン表示を制御することとなる。 【0307】 (ステップS1211-8) 次に、サブCPU200aは、保留が記憶されている記憶部の表示態様記憶領域に、表示態様=「爆弾」に対応する前兆保留表示態様情報を上書きする。 【0308】 (ステップS1211-9) 次に、サブCPU200aは、各記憶部に記憶されている表示態様情報に基づいて、保留表示コマンドをセットする。このコマンドは画像制御基板210に送信され、画像制御基板210が、当該受信したコマンドに対応する態様で、演出表示部50aを表示制御することとなる。」 ク 刊行物発明 上記ア?キの記載事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a?gは、本件補正発明の構成A?Gに対応させて付与した。)。 「a 変動演出実行手段により変動演出を実行し、遊技利益付与手段により遊技利益を付与し、サブCPU200aを備える遊技機(【請求項1】、【0043】)であって、 b サブCPU200aは、演出表示部50aの下部に設けられている保留表示領域に保留表示画像45を表示する、表示制御を実行し(【0233】、【0287】)、 c サブCPU200aは、保留表示画像45の表示態様を変化させる演出である保留示唆演出を実行する決定がなされた場合に、その時点で表示されている全ての保留表示画像45について、対象保留ごとに保留示唆演出が開始されるまでの時間をカウントダウン表示するとともに、保留示唆演出が行われるまでの間、保留表示画像を前兆保留表示態様である「爆弾」で表示する表示制御を実行し(【0238】、【0239】、【0241】、【0244】、【0308】)、 d 保留表示画像45の表示態様には、「白」、「青」、「黄」、「赤」、「キャラクター」が含まれ、大当たりの期待度は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「キャラクター」の順で高くなり(【0251】、【0252】)、 e 前兆保留表示態様は、これから保留示唆演出が行われることを示し(【0238】)、 時間の経過に伴ってカウントダウン表示される保留示唆演出の開始までの時間が「0」になると、当該対象保留の保留表示画像が変化して、保留示唆演出が実行され(【0240】)、 f 保留表示画像45cは、「爆弾」が爆発した後に、青色の「○」で表示されることとなり(【0279】)、 g サブCPU200aは、保留示唆演出開始時間を、最短変動時間カウンタの時間よりも短い範囲内でランダムに決定するように演算処理を行う(【0305】、【0308】) 遊技機。」 (3)対比 ア 本件補正発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本件補正発明の構成A?Fと刊行物発明の構成a?fについて、それぞれ(a)?(f)の見出しを付して行った。)。 (a)刊行物発明における「変動演出」、「遊技利益を付与」することは、それぞれ、本件補正発明における「変動表示」、「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」なことに相当する。 したがって、刊行物発明における構成aの「変動演出実行手段により変動演出を実行し、遊技利益付与手段により遊技利益を付与」する「遊技機」は、本件補正発明における構成Aの「変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。 (b)本件補正発明における「変動表示に対応する所定表示」とは、本願明細書の【0219】に「本実施の形態で実行される特定演出について説明する。特定演出は、変動表示に対応する所定表示が実行されるときに、当該所定表示の表示態様を変化させる演出である。変動表示に対応する所定表示とは、たとえば、後述する保留表示Hやアクティブ表示AHのことである。」と定義されているように、例えば、「保留表示H」や、「アクティブ表示AH」のことである。 そうすると、刊行物発明における「保留表示画像45」は、本件補正発明における「変動表示に対応する所定表示」に相当する。 したがって、刊行物発明における構成bの「演出表示部50aの下部に設けられている保留表示領域に保留表示画像45を表示する、表示制御を実行」する「サブCPU200a」は、本件補正発明における構成Bの「変動表示に対応する所定表示を表示可能な所定表示手段」としての機能を有する。 (c)上記(b)より、刊行物発明における「保留表示画像45」は、本件補正発明における「変動表示に対応する所定表示」に相当することから、刊行物発明における「保留示唆演出が開始されるまでの時間」の「カウントダウン表示」、及び、「保留表示画像を前兆保留表示態様である「爆弾」」の「表示」を行う「保留表示画像45の表示態様を変化させる演出である保留示唆演出」は、本件補正発明における構成Cの「所定表示の表示態様を変化させる特定演出」に相当する。 したがって、刊行物発明における構成cの「保留表示画像45の表示態様を変化させる演出である保留示唆演出を実行する決定がなされた場合に、その時点で表示されている全ての保留表示画像45について、対象保留ごとに保留示唆演出が開始されるまでの時間をカウントダウン表示するとともに、保留示唆演出が行われるまでの間、保留表示画像を前兆保留表示態様である「爆弾」で表示する表示制御を実行」する「サブCPU200a」は、本件補正発明における構成Cの「所定表示の表示態様を変化させる特定演出を実行可能な特定演出実行手段」としての機能を有する。 (d)刊行物発明における「保留表示画像45の表示態様」である「「白」、「青」、「黄」、「赤」、「キャラクター」は、「大当たりの期待度」の大小を示すものであるから、刊行物発明における「保留表示画像45の表示態様」のうち、「白」から変化する「青」、「黄」、「赤」、「キャラクター」は、本件補正発明における「有利状態に制御される期待度を示唆する特別態様」に相当する。 したがって、刊行物発明における構成dの「保留表示画像45の表示態様には、「白」、「青」、「黄」、「赤」、「キャラクター」が含まれ、大当たりの期待度は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「キャラクター」の順で高くな」ることは、本件補正発明における「所定表示の表示態様は、有利状態に制御される期待度を示唆する特別態様を含」むことに相当する。 (e)上記(c)より、刊行物発明における「保留示唆演出が開始されるまでの時間」の「カウントダウン表示」、及び、「保留表示画像を前兆保留表示態様である「爆弾」」の「表示」よりなる「保留示唆演出」は、本件補正発明における「特定演出」に相当する。 そして、刊行物発明における「これから保留示唆演出が行われることを示」すことは、構成c?dより、「保留示唆演出」が「保留表示画像45の表示態様」を「白」から、「青」、「黄」、「赤」、「キャラクター」等へ「変化させる演出である」ことから、本件補正発明における「所定表示の表示態様の変化」「を示唆表示により示唆する」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における「これから保留示唆演出が行われることを示」す「前兆保留表示態様」を表示する演出と、本件補正発明における「所定表示の表示態様の変化および有利状態に制御される期待度を示唆表示により示唆する」「特定演出」とは、「所定表示の表示態様の変化」「を示唆表示により示唆する」「特定演出」であることで共通する。 また、刊行物発明における「時間の経過に伴ってカウントダウン表示される保留示唆演出の開始までの時間」は、保留示唆演出の実行が開始されるまでの時間を表すものであるから、本件補正発明における「演出の実行期間に関する特定表示」に相当する。 そうすると、刊行物発明における「時間の経過に伴ってカウントダウン表示される保留示唆演出の開始までの時間が「0」になる」ことは、本件補正発明における「特定表示が特定態様となったこと」に相当する。 さらに、刊行物発明における「当該対象保留の保留表示画像が変化して、保留示唆演出が実行され」ることと、本件補正発明における「所定表示の表示態様を示唆表示により示唆された有利状態に制御される期待度に基づく特別態様に変化させる演出を実行可能であ」ることとは、「所定表示の表示態様を」「特別態様に変化させる演出を実行可能であ」ることで共通する。 よって、刊行物発明における構成eと、本件補正発明における構成Eとは、「特定演出として、所定表示の表示態様の変化を示唆表示により示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、特定表示が特定態様となったことに基づいて、所定表示の表示態様を特別態様に変化させる演出を実行可能であ」ることで共通する。 (f)まず、刊行物発明における「青色の「○」で表示される」ことは、本件補正発明における構成Cの「所定表示の表示態様を変化させる特定演出」に相当する。 そして、刊行物発明における「前兆保留表示態様」は、構成eより、「これから保留示唆演出が行われることを示」す演出であり、構成cより、「前兆保留表示態様」としての「爆弾」の「爆発」は、「保留示唆演出を実行する決定がなされた」後、「保留示唆演出が開始されるまで」の間に実行される演出である。 また、上記(e)より、刊行物発明における「これから保留示唆演出が行われることを示」す「前兆保留表示態様」を表示する演出と、本件補正発明における「所定表示の表示態様の変化および有利状態に制御される期待度を示唆表示により示唆する」「特定演出」とは、「所定表示の表示態様の変化」「を示唆表示により示唆する」「特定演出」であることで共通することから、刊行物発明における「前兆保留表示態様」は、本件補正発明における「所定表示の表示態様の変化」等を「示唆」する「示唆表示」に相当することは明らかである。 そうすると、刊行物発明において、「爆弾」の「爆発」は、「前兆保留表示態様」として行われる演出であるといえることから、本件補正発明における「示唆表示によ」る「示唆の実行中」に行われる演出であるといえる。 また、刊行物発明において、「爆弾」が「爆発」する表示は、「爆弾」の表示から、その表示態様が変化された表示であるといえる。 よって、刊行物発明における構成fの「「爆弾」が爆発」することは、本件補正発明における「示唆の実行中に、当該示唆の態様を変化させることが可能であ」ることに相当する。 上記(a)?(f)より、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 変動表示に対応する所定表示を表示可能な所定表示手段と、 C 前記所定表示の表示態様を変化させる特定演出を実行可能な特定演出実行手段とを備え、 D 前記所定表示の表示態様は、前記有利状態に制御される期待度を示唆する特別態様を含み、 E’前記特定演出として、前記所定表示の表示態様の変化を示唆表示により示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を特別態様に変化させる演出を実行可能であり、 F 前記示唆の実行中に、当該示唆の態様を変化させることが可能である、 遊技機。」 [相違点1](構成E) 「所定表示の表示態様の変化を示唆表示により示唆する」「特定演出」に関して、 本件補正発明は、示唆表示により、所定表示の表示態様の変化および有利状態に制御される期待度を示唆するのに対して、 刊行物発明は、「前兆保留表示態様」(「示唆表示」)により、「これから保留示唆演出が行われることを示」す(「所定表示の表示態様の変化を示唆する」)ことが、本件補正発明のように有利状態に制御される期待度を示唆するものではない点で相違する。 [相違点2](構成E) 「特定表示が特定態様となったことに基づいて」「実行可能」な「所定表示の表示態様を特別態様に変化させる演出」に関して、 本件補正発明は、「特別態様」が「示唆表示により示唆された有利状態に制御される期待度に基づく特別態様」であるのに対して、 刊行物発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点 [相違点3](構成G) 本件補正発明は、示唆の態様が変化するタイミングを複数備えるのに対して、刊行物発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点で一応相違する。 (4)当審の判断 ア 相違点1?2(構成E)について 上記相違点1?2について検討する。 上記相違点1?2は、「特定演出」に関する点で共通するのでまとめて検討する。 遊技機の技術分野において、遊技の興趣を向上させるために、所定表示の表示態様の変化および有利状態に制御される期待度を示唆表示により示唆するとともに、示唆表示により示唆された有利状態に制御される期待度に基づき、所定表示の表示態様を特別態様に変化させる演出を行うことは、本願出願前に周知の技術事項である(特開2003-340038号公報の【0004】?【0006】、【0090】?【0107】、【図7】?【図8】には、リーチの発生によって、予告報知ゲームの実行指令を受けたときに実行される予告報知ゲームにおいて、演出キャラクタとしてのキャラクタ50が、信頼度に応じて出現するアイテム60A?Cをかぶって出現し、全ての図柄が仮停止状態となった後に、アイテム60A?Cのいずれかをかぶったキャラクタ50(本件補正発明の「示唆表示」に相当する。)が、始動記憶(本件補正発明の「所定表示」に相当する。)へ向かってアイテム60A?Cを投げ、投げられたアイテム60A?Cが始動記憶に載る(アイテム60A?Cが載った始動記憶が、本件補正発明の「特別態様」に相当する。)ことが可能な予告報知ゲーム(本件補正発明の「特定演出」に相当する。)が実行される遊技機について記載されている。 また、特開2014-87492号公報の【0007】?【0008】、【0224】?【0233】、【0257】、【図27】、【図31】)には、 ・リーチ前、あるいは、リーチ後に、保留ボックス9Fの近傍に表示される所定のキャラクタ画像9a(本件補正発明の「示唆表示」に相当する。)が動くことによって、保留ボックス9Fの内部の保留表示の態様(本件補正発明における「所定表示」に相当する。)を変化させる(変化した保留表示態様が本件補正発明の「特別態様」に相当)こと、 ・キャラクタ画像として、複数種類のキャラクタ画像から選択して使用すること、この場合、大当りになる場合に、はずれになる場合に比べて、特定のキャラクタ画像を高い割合で選択すること、 ・保留表示の期待度は、「青」<「黄」<「赤」であることが記載されている。 さらに、特開2014-236814号公報の【0004】?【0005】、【0186】、【図19】には、先読み予告表示態様に変化した後の保留画像の色を、保留画像変化示唆演出における、大当り信頼度を示すキャラ画像のアイテム(星)の色に応じて変化させることが記載されている。 以下「周知の技術事項1」という。)。 ここで、刊行物発明と上記周知の技術事項1とは、所定表示の表示態様を変化させる特定演出を実行可能な特定演出実行手段を備える遊技機である点で共通し、遊技の興趣を向上させるという共通の課題を解決するものである。 したがって、刊行物発明における「保留示唆演出」(「特定演出」)に上記周知の技術事項1を適用して、「保留示唆演出」により、所定表示の表示態様の変化を示唆すると共に、有利状態に制御される期待度を示唆すると共に、「保留表示画像45」(「所定表示」)の表示態様を、「前兆保留表示態様」(「示唆表示」)により示唆された有利状態に制御される期待度に基づく「青」、「黄」、「赤」、「キャラクター」(「特別態様」)に変化させる演出を実行可能にして、上記相違点1?2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 イ 相違点3(構成G)について 上記相違点3について検討する。 (ア)本件補正発明の構成Gの「示唆の態様が変化するタイミングを複数備える」ことを、特定演出が開始されてから、示唆の態様が変化するまでの期間について、複数の異なる期間を備えると解した場合 刊行物発明は、構成fより、「保留表示画像45cは、「爆弾」が爆発した後に、青色の「○」で表示される」ものであって、「青色の「○」で表示される」演出は、構成cより、「保留表示画像45の表示態様を変化させる演出である保留示唆演出を実行する決定がなされた」後に「実行」される「保留表示画像45の表示態様を変化させる演出である保留示唆演出」を、別表現で現したものである。 また、刊行物発明は、構成cより、「保留示唆演出が行われるまでの間、保留表示画像を前兆保留表示態様である「爆弾」で表示」されるものである。 そして、刊行物発明は、「保留示唆演出開始時間を、最短変動時間カウンタの時間よりも短い範囲内でランダムに決定する」ものであるから、「保留示唆演出」が「開始」されるまでの間に実行される「前兆保留表示態様」の演出期間もランダムに決定されるものであって、同様に、「前兆保留表示態様」として実行される「爆弾」が「爆発」するまでの期間もランダムに、複数の異なる期間の中から決定されるものであるから、「示唆の態様が変化するタイミングを複数備え」ているといえる。 したがって、刊行物発明における構成gは、本件補正発明における構成Gに相当する。 よって、上記相違点3に係る本件補正発明における構成Gと刊行物発明における構成gとは、実質的に相違するものではなく、一致するものである。 (イ)本件補正発明の構成Gの「示唆の態様が変化するタイミングを複数備える」ことを、示唆の態様が変化タイミングとして、異なる複数回の変化タイミングを備えると解した場合 遊技機の技術分野において、遊技の興趣を向上させるために、所定表示の表示態様を変化させる特定演出として、示唆の態様が変化するタイミングとして、異なる複数回の変化タイミングを備えることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、上記特開2014-236814号公報には、上記(ア)において指摘した記載内容に加えて、【0204】に「1回の報知演出内で、保留画像を変化させるための動作演出が3回以上実行される構成としてもよい。また、このように動作演出を3回以上実行する場合において、動作演出毎にアイテムの色を異ならせてもよい。」ことが記載され、 上記特開2014-87492号公報には、上記(ア)において指摘した記載内容に加えて、【0248】?【0257】、【図31】に、リーチ前、及び、リーチ演出中に、キャラクタ画像9aが動くことによる保留予告を実行可能であり、さらに、保留予告は、リーチ前、及び、リーチ演出中の2回実行可能であることが記載されている。以下「周知の技術事項2」という。)。 ここで、刊行物発明と上記周知の技術事項2とは、所定表示の表示態様を変化させる特定演出を実行可能な特定演出実行手段を備える遊技機である点で共通し、遊技の興趣を向上させるという共通の課題を解決するものである。 したがって、刊行物発明における「保留示唆演出」(「特定演出」)における「前兆保留表示態様である「爆弾」」での「表示」に、上記周知の技術事項2を適用して、「前兆保留表示態様」の変化タイミングとして、異なる複数回の変化タイミングを備え、上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 ウ 請求人の主張について 請求人は、平成30年6月20日付け審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】・・・(3) 拒絶理由について・・・(3-2) 新規性・進歩性について」において、 「4.本願発明が特許されるべき理由(B)新請求項1および2と引用文献との対比」において、次の主張をする。 「引用文献1に記載の「爆弾」は、・・・単に保留表示画像が変化することを示唆するものであって、本願発明の「示唆表示」のように、所定表示の表示態様の変化に加えて、有利状態に制御される期待度についても示唆するものではありません。つまり、引用文献1に記載の発明における「爆弾」は、あくまでも、保留表示画像が変化することを示唆するものに過ぎず、有利状態に制御される期待度を示唆すものではありません。よって、引用文献1に記載の発明は、本願発明の構成Eを備えていません。 また、・・・ 「爆弾」が有利状態に制御される期待度を示唆するものでない以上、引用文献1に記載の発明は、本願発明のように、「前記所定表示の表示態様を前記示唆表示により示唆された前記有利状態に制御される期待度に基づく前記特別態様に変化させる演出を実行」するようなものではありません。また、引用文献1には、表示時間が「0」となると、保留表示画像の態様が、爆弾から白色か白色以外に変化することが開示されているのであって、本願発明のように一の表示(示唆表示)に基づいて、他の表示(所定表示)の態様を変化させることは開示されていません。よって、引用文献1に記載の発明は、本願発明の構成Gを備えていません。 さらに、本願発明は、引用文献1に記載の発明が備えていない構成Eおよび構成Gを備えることにより、示唆表示が示唆する期待度に対応する態様に所定表示の態様が変化することにより、所定表示の態様と示唆表示が示唆する期待度とが連動することとなり、遊技の興趣が向上するという有利な効果を奏します。 よって、本願発明は、引用文献1をもってその新規性および進歩性が否定されるものではないと思料致します。」 そこで、請求人の上記主張について検討する。 上記請求人が引用文献1に記載の発明が備えていないと主張する、本願発明の構成E及びGは、上記3(1)に示した本件補正発明における構成Eに含まれる構成であり、本件補正発明における構成Eと刊行物発明における構成eとは、上記3(3)において対比したように、相違点1の点で相違するものである。 そして、相違点1は、上記アにおいて判断したように、刊行物発明に上記周知の技術事項1を適用することにより当業者が容易になし得たものである。 エ 小括 本件補正発明により奏される効果は、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項1、若しくは、上記周知の技術事項1?2に基づいて当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、格別なものではない。 そうすると、上記ア?ウにおいて検討したとおり、本件補正発明は、刊行物発明と上記周知の技術事項1に基づいて、あるいは、刊行物発明と上記周知の技術事項1?2に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 (5)まとめ 上記(1)?(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年10月26日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。記号A?Gは、分説するため当審で付した。)は、次のとおりのものと認める。 「A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 変動表示に対応する所定表示を表示可能な所定表示手段と、 C 前記所定表示の表示態様を変化させる特定演出を実行可能な特定演出実行手段とを備え、 E’’前記特定演出として、前記所定表示の表示態様が変化することを示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を前記示唆に関連する態様に変化させる演出を実行可能であり、 F 前記示唆の実行中に、当該示唆の態様を変化させることが可能であり、 G 前記示唆の態様が変化するタイミングを複数備える、遊技機。」 2 拒絶の理由(平成29年6月19日付け) 原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりのものである。 (新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 〈引用文献等一覧〉 刊行物1:特開2012-200575号公報 3 刊行物に記載された事項 原査定の拒絶理由において提示された、刊行物1である特開2012-200575号公報(前記「第2 3(2)刊行物1」における「刊行物1」に対応する。)の記載事項及び刊行物発明の認定については、前記「第2 3(2)刊行物1」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明における構成A?Gのうち、構成Dを削除するとともに、構成Eについて、発明を特定するために必要な事項である「特定演出」に関して、「前記特定演出として、前記所定表示の表示態様の変化および前記有利状態に制御される期待度を示唆表示により示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を前記示唆表示により示唆された前記有利状態に制御される期待度に基づく特別態様に変化させる演出を実行可能であり、」とあったものを「前記特定演出として、前記所定表示の表示態様が変化することを示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、前記特定表示が特定態様となったことに基づいて、前記所定表示の表示態様を前記示唆に関連する態様に変化させる演出を実行可能であり、」とその限定を省くものである。 そして、前記「第2 3(3)対比」で検討した内容からみて、刊行物発明における構成a?c、fは、本願発明の構成A?C、Fに、それぞれ、相当する。 また、前記「第2 3(3)対比」で検討した内容からみて、刊行物発明における構成eは、本願発明における構成E’’の「所定表示の表示態様が変化することを示唆するとともに、演出の実行期間に関する特定表示を表示し、特定表示が特定態様となったことに基づいて、所定表示の表示態様を示唆に関連する態様に変化させる演出を実行可能であ」ることに相当する。したがって、刊行物発明における構成eは、本願発明における構成E’’に相当する。 ゆえに、本願発明と刊行物発明とは、本件補正発明と同様に、前記「第2 3(3)対比」における相違点3(構成G)において一応相違し、その余の点において一致する。 そして、相違点3(構成G)についての判断は、前記「第2 3(4)当審の判断」において検討したとおりであって、相違点3は実質的な相違点でなく一致点であるか、刊行物発明に上記周知の技術事項2を適用することにより当業者が容易になし得たものである。 よって、本願発明は、刊行物発明であるか、若しくは、本願発明は、刊行物発明に上記周知の技術事項2を適用することにより当業者が容易になし得たものである。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないか、若しくは、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-02-06 |
結審通知日 | 2019-02-12 |
審決日 | 2019-02-25 |
出願番号 | 特願2015-215012(P2015-215012) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 永田 美佐 |
特許庁審判長 |
瀬津 太朗 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 川崎 優 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |