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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09C
管理番号 1351722
審判番号 不服2018-5811  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-26 
確定日 2019-05-13 
事件の表示 特願2013-109646「標章マーク付きデジタルデータの提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月 8日出願公開,特開2014-228771〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成25年5月24日の出願であって,
平成28年4月18日付けで審査請求がなされ,平成29年6月26日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成29年8月28日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成30年1月31日付けで審査官により拒絶査定がなされ(謄本送達;平成30年2月6日),これに対して平成30年4月26日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成30年7月31日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。

第2.平成30年4月26日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成30年4月26日付け手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容
平成30年4月26日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成29年8月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】
所定の標章マークが付与されたデジタルデータを提供する方法であって,
標章マーク付与用コンピュータが,矩形状の標章マークを構成する画像データを取り込む標章マーク取込段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,標章マークの付与対象となる対象データに含まれる特定のデータ,もしくは,前記特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データを,対象識別情報として準備する対象識別情報準備段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,前記標章マークを構成する画像データに前記対象識別情報を所定のアルゴリズムに基づいて組み込むことにより,組込標章マークを作成する対象識別情報組込段階と,
データ提供用コンピュータが,前記対象データと前記組込標章マークとを紐付けて提供するデータ提供段階と,
を有し,
前記対象識別情報組込段階で,前記標章マークを構成する画像データと前記対象識別情報を構成するデータとを合成することにより,前記標章マークの外部に前記対象識別情報を構成するデータからなる縁部画像が付加された合成画像を生成し,かつ,前記縁部画像が前記標章マークの輪郭を構成する矩形の縦の辺と横の辺との双方に沿うように線状配置されるようにして前記標章マークのアスペクト比が維持された合成画像が生成されるようにし,前記合成画像を組込標章マークとすることを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項2】
請求項1に記載の提供方法において,
データファイルもしくはプログラムファイルを対象データとし,
対象識別情報準備段階では,当該データファイルもしくはプログラムファイルのファイル名を対象識別情報として準備することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項3】
請求項1に記載の提供方法において,
対象識別情報準備段階で,対象データの一部もしくは全部を構成する特定のデータに対して,所定の一方向性関数を作用させて得られる関数値を対象識別情報として準備することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項4】
請求項1に記載の提供方法において,
対象識別情報準備段階で,対象識別情報を準備するプロセスの中で,所定の暗号鍵を用いた暗号化処理を行い,暗号化された対象識別情報を準備することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項5】
請求項1?4のいずれかに記載の提供方法において,
データ提供段階で,対象データと組込標章マークとを同一のフォルダもしくは同一のパッケージ内に収容することにより,両者を紐付けて提供することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項6】
請求項5に記載の提供方法において,
対象データが,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータによって構成されており,
データ提供段階で,前記アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータを,紐付けられた組込標章マークが割り付けられた書類データと同一のフォルダもしくは同一のパッケージ内に収容して提供することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項7】
請求項1?4のいずれかに記載の提供方法において,
対象データ内に,当該対象データに紐付けされる組込標章マークを特定するための紐付情報が含まれるようにし,
データ提供段階で,前記紐付情報によって互いに紐付けされた対象データおよび組込標章マークを提供することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項8】
請求項7に記載の提供方法において,
対象データがアプリケーションプログラムによって構成されており,前記アプリケーションプログラムが,プログラム実行時に,紐付情報によって特定される組込標章マークを含む画面を表示する機能を有することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項9】
請求項1?4のいずれかに記載の提供方法において,
対象データが,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータによって構成されており,
データ提供段階で,前記アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータを,組込標章マークを含むアイコン,もしくは,組込標章マーク自身によって構成されるアイコンとともに提供することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項10】
請求項1?4のいずれかに記載の提供方法において,
データ提供段階で,対象データと組込標章マークとをサーバ装置に格納しておき,このサーバ装置に対してクライアント装置からダウンロード要求があったときに,当該要求に応じて,前記対象データと前記組込標章マークとを紐付けて前記クライアント装置に対して送信することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項11】
請求項10に記載の提供方法において,
データ提供段階で,サーバ装置からクライアント装置に対して,対象データをダウンロードさせるためのダウンロード指示用画面を送信し,このダウンロード指示用画面上でダウンロード指示が与えられた場合に,指示された対象データのダウンロードが行われるようにし,かつ,前記ダウンロード指示用画面上には,個々の対象データを特定するための対象特定表示とともに当該対象データに紐付けされている組込標章マークが表示されるようにすることを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項12】
請求項11に記載の提供方法において,
ダウンロード指示用画面が,個々の対象データについて,それぞれ対象特定表示,組込標章マーク,ダウンロード指示ボタンを配置した画面によって構成されていることを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項13】
請求項10に記載の提供方法において,
対象データが,マークアップ言語で記述されたWebページ表示用文書を含んでおり,前記Webページ表示用文書には,当該Webページに表示すべき組込標章マークを特定するための紐付情報が含まれており,
データ提供段階で,前記Webページ表示用文書と前記組込標章マークとをWebサーバ装置に格納しておき,クライアント装置のWebブラウザからの要求に応じて,前記Webページ表示用文書と前記組込標章マークとを前記クライアント装置に対して送信することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項14】
請求項13に記載の提供方法において,
対象データが,Webページ表示用文書と,当該Webページ表示用文書によって直接もしくは間接的に参照されるスクリプトファイルと,を含んでおり,前記Webページ表示用文書には,当該Webページに表示すべき組込標章マークを特定するための紐付情報が含まれており,
標章マーク付与用コンピュータが,前記Webページ表示用文書および前記スクリプトファイルに含まれる特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データを,対象識別情報として準備することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項15】
請求項1?14のいずれかに記載の提供方法において,
アプリケーションプログラム,コンテンツデータ,もしくはWebページ用データを対象データとし,当該対象データの評価結果を画像として表示した評価マークを標章マークとして用いることを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項16】
請求項15に記載の提供方法において,
対象識別情報組込段階で,標章マークを構成する画像データに対象識別情報とともに評価結果を組み込むことにより,組込標章マークを作成することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項17】
請求項1?16のいずれかに記載の提供方法において,
対象識別情報組込段階で,標章マークを構成する画像データに対象識別情報とともに当該標章マークの有効期限を組み込むことにより,組込標章マークを作成することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項18】
請求項1?17のいずれかに記載の提供方法によって提供されたデジタルデータについて,対象データに紐付けされた標章マークを検証する標章マークの検証方法であって,
標章マーク検証用コンピュータが,互いに紐付けされた対象データおよび組込標章マークを入力する検証対象入力段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記組込標章マークに組み込まれている対象識別情報を分離する対象識別情報分離段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記対象データに基づいて対象識別情報を生成する対象識別情報生成段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記対象識別情報分離段階で分離された対象識別情報と,前記対象識別情報生成段階で生成された対象識別情報と,の一致確認を行う一致確認段階と,
を有し,前記一致確認段階において肯定的な結果が得られた場合に,前記検証対象入力段階で入力した組込標章マークが正規のものであるとの判断を行うことを特徴とする標章マークの検証方法。
【請求項19】
請求項11または12に記載の提供方法によって提供されたデジタルデータについて,対象データに紐付けされた標章マークを検証する標章マークの検証方法であって,
標章マーク検証用コンピュータが,ダウンロード指示用画面と,当該ダウンロード指示用画面上でダウンロード指示を与えることによりダウンロードされた対象データと,を入力する検証対象入力段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記ダウンロード指示用画面に含まれている,前記ダウンロードされた対象データに紐付けされている組込標章マークについて,組み込まれている対象識別情報を分離する対象識別情報分離段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記ダウンロードされた対象データに基づいて対象識別情報を生成する対象識別情報生成段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記対象識別情報分離段階で分離された対象識別情報と,前記対象識別情報生成段階で生成された対象識別情報と,の一致確認を行う一致確認段階と,
を有し,前記一致確認段階において肯定的な結果が得られた場合に,前記検証対象入力段階で入力したダウンロード指示用画面上の組込標章マークが正規のものであるとの判断を行うことを特徴とする標章マークの検証方法。
【請求項20】
請求項16に記載の提供方法によって提供されたデジタルデータについて,対象データに紐付けされた標章マークを検証する標章マークの検証方法であって,
標章マーク検証用コンピュータが,互いに紐付けされた対象データおよび組込標章マークを入力する検証対象入力段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記組込標章マークに組み込まれている対象識別情報および評価結果を分離する対象識別情報分離段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記対象データに基づいて対象識別情報を生成する対象識別情報生成段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記対象識別情報分離段階で分離された対象識別情報と,前記対象識別情報生成段階で生成された対象識別情報と,の一致確認を行う一致確認段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,各対象データについての評価結果を保存している評価結果照会用コンピュータに対して,前記検証対象入力段階で入力された対象データについての評価結果を照会する評価結果照会段階と,
前記評価結果照会用コンピュータが,照会を受けた対象データについての評価結果を回答する評価結果回答段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記対象識別情報分離段階で分離された評価結果と,前記評価結果回答段階で回答された評価結果と,の一致確認を行う評価結果確認段階と,
を有し,前記一致確認段階と前記評価結果確認段階との双方において肯定的な結果が得られた場合に,前記検証対象入力段階で入力した組込標章マークが正規のものであるとの判断を行うことを特徴とする標章マークの検証方法。
【請求項21】
請求項17に記載の提供方法によって提供されたデジタルデータについて,対象データに紐付けされた標章マークを検証する標章マークの検証方法であって,
標章マーク検証用コンピュータが,互いに紐付けされた対象データおよび組込標章マークを取り込む検証対象入力段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記組込標章マークに組み込まれている対象識別情報および有効期限を分離する対象識別情報分離段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記対象データに基づいて対象識別情報を生成する対象識別情報生成段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,前記対象識別情報分離段階で分離された対象識別情報と,前記対象識別情報生成段階で生成された対象識別情報と,の一致確認を行う一致確認段階と,
標章マーク検証用コンピュータが,現時点が前記対象識別情報分離段階で分離された有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認段階と,
を有し,前記一致確認段階と前記有効期限確認段階との双方において肯定的な結果が得られた場合に,前記検証対象入力段階で入力した組込標章マークが正規のものであるとの判断を行うことを特徴とする標章マークの検証方法。
【請求項22】
請求項18?21のいずれかに記載の標章マークの検証方法を利用した標章マークの表示方法であって,
標章マーク表示用コンピュータが,組込標章マークについて正規のものであるか否かの判断が行われた後は,正規のものであるとの判断がなされた場合にのみ当該組込標章マークを通常表示し,正規のものであるとの判断がなされなかった場合には,当該組込標章マークを全く表示しないか,もしくは,当該組込標章マークとともに当該組込標章マークが不正行為の対象となったことを示すマークを表示することを特徴とする標章マークの表示方法。
【請求項23】
請求項1?17のいずれかに記載の提供方法における対象識別情報準備段階,標章マーク取込段階,対象識別情報組込段階を標章マーク付与用コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項24】
請求項1?17のいずれかに記載の提供方法におけるデータ提供段階をデータ提供用コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項25】
請求項18?21のいずれかに記載の標章マークの検証方法を標章マーク検証用コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項26】
請求項25に記載のプログラムであって,それ自身もしくはその一部が,標章マークの付与対象となる対象データもしくはその一部を構成していることを特徴とするプログラム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】
所定の標章マークが付与されたデジタルデータを提供する方法であって,
標章マーク付与用コンピュータが,矩形状の標章マークを構成する画像データを取り込む標章マーク取込段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,標章マークの付与対象となる対象データに含まれる特定のデータ,もしくは,前記特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データを,対象識別情報として準備する対象識別情報準備段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,前記標章マークを構成する画像データに前記対象識別情報を所定のアルゴリズムに基づいて組み込むことにより,組込標章マークを作成する対象識別情報組込段階と,
データ提供用コンピュータが,前記対象データと前記組込標章マークとを紐付けて提供するデータ提供段階と,
を有し,
前記対象識別情報組込段階で,前記標章マークを構成する画像データと前記対象識別情報を構成するデータとを合成することにより,前記標章マークの外部に前記対象識別情報を構成するデータからなる縁部画像が付加された合成画像を生成し,かつ,前記縁部画像が前記標章マークの輪郭を構成する矩形の縦の辺と横の辺との双方に沿うように線状配置されるようにして前記標章マークのアスペクト比が維持された合成画像が生成されるようにし,前記合成画像を組込標章マークとし,
前記対象データが,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータによって構成されており,
前記データ提供段階で,前記アプリケーションプログラムもしくは前記コンテンツデータを,前記組込標章マークを含むアイコン,もしくは,前記組込標章マーク自身によって構成されるアイコンとともに提供することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項2】
請求項1に記載の提供方法において,
対象識別情報準備段階で,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータのファイル名を対象識別情報として準備することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項3】
請求項1に記載の提供方法において,
対象識別情報準備段階で,対象データの一部もしくは全部を構成する特定のデータに対して,所定の一方向性関数を作用させて得られる関数値を対象識別情報として準備することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項4】
請求項1に記載の提供方法において,
対象識別情報準備段階で,対象識別情報を準備するプロセスの中で,所定の暗号鍵を用いた暗号化処理を行い,暗号化された対象識別情報を準備することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項5】
請求項1?4のいずれかに記載の提供方法において,
データ提供段階で,対象データと組込標章マークとを同一のパッケージ内に収容することにより,両者を紐付けて提供することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項6】
請求項1?4のいずれかに記載の提供方法において,
対象データ内に,当該対象データに紐付けされる組込標章マークを特定するための紐付情報が含まれるようにし,
データ提供段階で,前記紐付情報によって互いに紐付けされた対象データおよび組込標章マークを提供することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項7】
請求項1?6のいずれかに記載の提供方法において,
対象データの評価結果を画像として表示した評価マークを標章マークとして用いることを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項8】
請求項7に記載の提供方法において,
対象識別情報組込段階で,標章マークを構成する画像データに対象識別情報とともに評価結果を組み込むことにより,組込標章マークを作成することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項9】
請求項1?8のいずれかに記載の提供方法において,
対象識別情報組込段階で,標章マークを構成する画像データに対象識別情報とともに当該標章マークの有効期限を組み込むことにより,組込標章マークを作成することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。
【請求項10】
請求項1?9のいずれかに記載の提供方法における対象識別情報準備段階,標章マーク取込段階,対象識別情報組込段階を標章マーク付与用コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
請求項1?9のいずれかに記載の提供方法におけるデータ提供段階をデータ提供用コンピュータに実行させるプログラム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。

2.補正の適否
本件手続補正は,補正前の請求項1に記載の内容を,補正前の請求項9に記載の内容を用いて限定して補正後の請求項1とし,補正前の請求項6?補正前の請求項14,補正前の請求項18?補正前の請求項22,補正前の請求項25,及び,補正前の請求項26を削除し,補正前の請求項2の記載を,補正前の請求項1の補正内容に合わせて修正して補正後の請求項2とし,補正前の請求項5に記載の「同一のフォルダもしくは同一のパッケージ内に収容する」を,「同一のパッケージ内に収容する」と限定して補正後の請求項5とし,補正前の請求項7,補正前の請求項15?補正前の請求項17,補正前の請求項23,及び,補正前の請求項24を,それぞれ,補正後の請求項6,補正後の請求項7?補正後の請求項9,補正後の請求項10,及び,補正後の請求項11とするものであるから,
本件手続補正は,願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でなされたものであり,
本件手続補正は,請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る)を目的とするものであって,
本件手続補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された全ての発明と,本件手続補正により補正された請求項に係る発明とが,発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものである。
したがって,本件手続補正は,特許法17条の2第3項?第5項の規定を満たすものである。
そこで,本件手続補正が,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。

(1)補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した,次のとおりのものである。

「所定の標章マークが付与されたデジタルデータを提供する方法であって,
標章マーク付与用コンピュータが,矩形状の標章マークを構成する画像データを取り込む標章マーク取込段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,標章マークの付与対象となる対象データに含まれる特定のデータ,もしくは,前記特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データを,対象識別情報として準備する対象識別情報準備段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,前記標章マークを構成する画像データに前記対象識別情報を所定のアルゴリズムに基づいて組み込むことにより,組込標章マークを作成する対象識別情報組込段階と,
データ提供用コンピュータが,前記対象データと前記組込標章マークとを紐付けて提供するデータ提供段階と,
を有し,
前記対象識別情報組込段階で,前記標章マークを構成する画像データと前記対象識別情報を構成するデータとを合成することにより,前記標章マークの外部に前記対象識別情報を構成するデータからなる縁部画像が付加された合成画像を生成し,かつ,前記縁部画像が前記標章マークの輪郭を構成する矩形の縦の辺と横の辺との双方に沿うように線状配置されるようにして前記標章マークのアスペクト比が維持された合成画像が生成されるようにし,前記合成画像を組込標章マークとし,
前記対象データが,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータによって構成されており,
前記データ提供段階で,前記アプリケーションプログラムもしくは前記コンテンツデータを,前記組込標章マークを含むアイコン,もしくは,前記組込標章マーク自身によって構成されるアイコンとともに提供することを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。」

(2)引用文献に記載の事項
ア.原審における平成29年6月26日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開平11-239129号公報(平成11年8月31日公開,以下,これを「引用文献1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「【0034】このような電子商取引システムでは,販売者は,自己のWebページに利用可能なクレジットカード会社のロゴマークなどのイメージデータを含め,消費者が支払方法を一目で認識できるようにすることが多い。これは,現実世界(インターネットのようなバーチャルな世界ではない)において,各販売店(クレジットカード会社の加盟店)に,そこで使用可能なクレジットカードのロゴマークが掲示されているのと同様である。
【0035】また,この他,Webページの発信者を示すロゴマークや,そのwebページを承認した何らかの権限ある個人/機関を示すロゴマークなどのイメージデータをWebページに含め,webページの利用者が,一目で,webページの発信者やwebページが権限ある個人/機関に承認されていることを認識できるようにすることもある。」(下線は当審にて,説明の都合上,付加したものである。以下,同じ。)

B.「【0047】一方,Webページ上にロゴマークをイメージデータとして含める技術によれば,ロゴマークが単なるイメージデータであるため,ロゴマークが示す個人/機関との関係をWebページが真に有しているのかどうかを認証することができない。
【0048】このため,たとえば,前記クレジット会社のロゴマークを例にとれば,不正者が,当該クレジットカード会社の正規加盟店のWebページから当該ロゴマークをコピーし,自己の販売店のWebページの適当な個所に該ロゴマークを貼り付けてから,該Webページを他のコンピュータからアクセス可能な状態で,WWWサーバの任意の格納場所に保管した場合,消費者は,不正者のWebページに含まれる上記クレジットカード会社のロゴマークを見て,その不正者が正規の加盟店であるものと判断し,自己のクレジットカード番号など決済に必要なデータを当該WWWサーバに送信してしまう可能性がある。結果,不正者は,入手した消費者のクレジット番号を不正に入手し不正な利益を得ることが可能となる。
【0049】そこで,本発明は,電子データと個人/機関との関係を,より高い信頼性をもって認証可能とする技術を提供することを課題とする。また,電子データとの関係を認証可能な個人/機関と一致することが保証されるように,電子データと関係を持つ個人/機関を電子データによって利用者に直接提示ことを課題とする。」

C.「【0142】以下,電子データと個人/機関との関係を認証可能とすると共に,電子データとの関係が認証可能な個人/機関と一致することが保証されるように,当該個人/機関を電子データによって利用者に直接提示する実施形態を,第4から第8実施形態として説明する。
【0143】なお本第4実施形態から第8実施形態においては,電子データとしてwebページを例にとり,webページとの関係を認証可能とする個人/機関がクレジット会社であり,そのクレジット会社のマークを販売者が自webページ植えで使用する場合を例にとり説明する。ただし,これらは一例であり,以下に説明する第4実施形態から第8実施形態は,電子データと個人/機関との関係を認証可能とする目的に応じて,webページとの関係を認証可能とする個人/機関を,webページの発信者や,webページとの関係を承認する何らかの個人/機関(たとえば,webページの評価,推奨機関)など,クレジット会社以外のものに置き換えてもよい。また,同様に,販売者は,webページとの関係を認証可能とする個人/機関のマークを使用するwebページ提供者に置き換えてよい。
【0144】また,本第4実施形態から第8実施形態においては,電子データによる利用者への直接提示を,電子データとの関係を認証可能な個人/機関のロゴマーク(イメージデータ)を用いて行う場合を例にとるが,これは,電子データによる利用者への直接提示を,電子データ利用時に利用者が知覚可能な他の種類のデータ,たとえば,テキストデータやドロウイングデータやオウディオデータやビデオデータを用いて行うように修正してもよい。または,電子データと認証可能な関係を持つ者を直接表すものではなく,その者の電子データに対する特定の個人/機関の評価結果などを表すマークを用いるように修正してもよい。」

D.「【0223】マーク管理プログラムB11001は,消費者端末1800から公開鍵送付要求があった場合に,自己の公開鍵を送付する処理と,販売者端末1112からマーク送付要求があった場合に,販売者1110を確認してマークを送付するか否かを判定した後,送付すべきであると判定した場合にのみ,該販売者1110のWebページのURLを示すデータに秘密鍵を用いて電子署名を作成し,電子署名とマーク管理DB1123によって管理されているマークとを一纏めにして署名付きマークを作成し,該署名付きマークを販売者1110に送信する処理とを行うためのプログラムである。電子署名とマークとを一纏めにすることは,たとえば,前述した電子透かし技術を利用し,マークに電子署名による電子透かしを施すことにより可能となる。電子透かしは,画像データに微少な変更を加えることで,情報を埋め込む技術である。マークは画像データの一種であることから,電子透かしを用いて任意の情報を埋め込むことができる。また,電子透かしには,カラー画像用,白黒画像用,2値画像用などがあるので,各種のマークへの情報埋込みが可能である。しかし,これは別の手法を用いてもよい。なお,マークと電子署名とを一纏めにする手段として電子透かしを用いる場合,マークの視認性さえ阻害しなければ(たとえば,どこのクレジットカード会社のロゴマークだということがわかれば),マーク自体は多少変形されてもよい。」

E.「【0262】以下,本発明の第7実施形態について説明する。
【0263】本第7実施形態の認証システムの構成は,基本的には前記第1実施形態に係る認証システムの構成(図9から図13参照)と同じである。ただし,消費者端末1101のメモリ1204中の真正性確認プログラムA1204cが真正性確認プログラムdに置き換えられ,マーク管理サーバ1122のメモリ1507中のマーク管理プログラムA1507bが,マーク管理プログラムdに置き換えられら,販売者端末112のメモリ1306中のマーク取得プログラムが1306がマーク取得プログラムdに置き換えられた構成となっている。
【0264】以下,本第7実施形態に係る認証システムの動作について説明する。
【0265】まず,販売者端末1112のマーク取得プログラムdは,自己のWebページのデータと共にマーク送付要求をマーク管理サーバ1122に送る。
【0266】要求を受けたマーク管理サーバ1122の,マーク管理プログラムdは,要求を送った販売者端末1112を使用する販売者1110に対してマークを送付するか否かを判定し,送付すると判定した場合,図23に示す処理を行う。
【0267】すなわち,マーク送付要求と共に送られたWebページデータ2305のハッシュ値2306を計算し(ステップ2301),マーク管理DB1123に格納しておいたマーク2307に,計算したハッシュ値2306を電子透かしとして埋め込む(ステップ2302)。そして,電子透かしを埋め込んだマーク2308がWebページ上に表示されるように,マーク送付要求と共に送られたWebページデータ2305を修正し(ステップ2302),修正したWebページデータ2309を販売者端末1112のマーク取得プログラムdに送る(ステップ2304)。
【0268】マーク取得プログラムdは,マーク管理サーバ1122から送られたWebページデータを,WWWサーバ1113を介して,webページデータベース1114に格納する。
【0269】その後,このwebページは,消費者端末1101のブラウザプログラム1204bを介した消費者1100の要求に応じて消費者端末1101に送られ,表示装置1102に表示される。
【0270】一方,消費者端末1101の,真正性確認プログラムdは,消費者1100からの要求に応じて(たとえばマークのクリックに応じて),webページの真正性確認処理を行う。
【0271】この処理では,図24に示すように,まず,webページ2406から真正性を確認するマーク2407を切り出し(ステップ2401),切り出したマーク2407に電子透かしとして埋め込まれたハッシュ値2408を抽出する(ステップ2402)。また,webページ2406から真正性を確認するマークに関連する部分を除いたwebページデータのハッシュ値2409を計算し(ステップ2409),これとマークから抽出したハッシュ値2408とを比較する(ステップ2404)。そして,一致した場合には,真正性が確認できたことを,一致しない場合には,真正性が確認できなかったことを表示装置1102に表示する(ステップ2405)。
【0272】なお,切り出したマークから電子透かしとして埋め込まれたハッシュ値を抽出するために必要な情報は,マーク管理サーバ1122から予め入手しておくようにする。このためには,真正性確認プログラムdが消費者1100の要求に応じてマーク管理サーバ1122に真正性確認用情報の要求を送り,その応答として送られた情報をメモリ1204や記憶装置1202に記憶しておくようにする。また,マーク管理サーバ1122の,マーク管理プログラムdは,真正性確認用情報の要求を受け取った場合には,必要な情報を消費者端末1101に送るようにする。
【0273】本第7実施形態によれば,単なるマークに代えて,webページのハッシュ値を電子透かしとして施したマークをwebページ上に設けるので,そのマークより当該マークが確かに,そのマークを含むwebページに対して与えられたものであることが認証可能となるのみならず,webページによって直接,マークの形態で,そのwebページと関係がある個人/機関を提示することができる。また,電子透かしとしてwebページデータのハッシュ値を用い,これを特定の種類のデータであるマークの電子透かしとして用いるので,webページが複数種のデータを含んでいるかどうかに依存することなく,同一の処理で処理を行うことができる。また,webページ上の存在に不自然さのないマークを利用して,webページに対して真にマークが与えられたことを認証可能とするので,本第7実施形態によってwebページが不自然な形態に損なわれることはない。」

イ.原審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2002-300365号公報(平成14年10月11日公開,以下,これを「引用文献2」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

F.「【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで,電子透かしは,それが混入された画像が違法に盗まれて他のアプリケーションで使用されるのを防ぐ目的で使用されるケースが多い。その対象画像としてプログラムなどにつくアイコンや動画像サムネイルが挙げられる。アイコン画像,起動画面画像,ロゴマーク画像,動画像サムネイル画像は,そのプログラムを視覚的に分かりやすくする重要な役割をもっているので,基本的に他のプログラムにそのアイコンを使用することはない。
【0005】しかしながら,アイコンや動画像サムネイルなどのデザインが気に入ったため,そのアイコンや動画像サムネイルデータを他のプログラムにそのまま使用するという危険性がある。そこで,アイコンや動画像サムネイル画像に著作権を主張するために,電子透かしを用いて著作権情報を混入することが考えられるが,電子透かし信号はいくつかの点において耐性の弱い点が存在する。
【0006】例えば,離散コサイン変換(DCT)などの直交変換を用いてその変換係数に対して,透かし情報を埋め込んでいる場合,その直交変換するサンプリングの単位が同期の取れていない状態では,その情報を読み出す精度が非常に悪くなる。
【0007】また,圧縮やフィルタ,アフィン変換など電子透かし情報を除去する方法が非常に多く,これらの既存の技術を組合せることで,電子透かし情報を品質劣化しないレベルで除去されてしまうことが多い。そのために,アイコン画像,起動画面画像,ロゴマーク画像,動画像サムネイル画像などに著作権情報を電子透かし情報として混入しておいても,前記のような既存の技術によって,その著作権情報を消去される可能性がある。
【0008】本発明は以上の点に鑑みなされたもので,電子透かし情報の除去を有効に防止し得る電子透かし情報埋め込み装置,電子透かし情報再生装置及び記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため,本発明の電子透かし情報埋め込み装置は,プログラムコード又はプログラムコードに関連するデータファイルを複数のセルに区分して発生すると共に,アイコン画像,起動画面画像,ロゴマーク画像及び動画像サムネイル画像の少なくともどれか一つの画像と,著作権を主張するための著作権情報とをそれぞれ発生する第1のステップと,第1のステップにより発生されたプログラムコード又はプログラムコードに関連するデータファイルを構成する複数のセルを,本来起動される順番とは異なる順番に変更する第2のステップと,第2のステップにより順番が変更された各セルを,本来の順番で実行するべく各セルの先頭のアドレスを実行順に指示するプログラム起動実行情報を,第1のステップにより発生されたアイコン画像,起動画面画像,ロゴマーク画像及び動画像サムネイル画像の少なくともどれか一つの画像に,著作権情報と共に電子透かし情報として埋め込んで透かし埋め込みデータを生成する第3のステップと,第2のステップにより順番が変更された各セルからなるプログラムコード又はプログラムコードに関連するデータファイルと,第3のステップにより生成された透かし埋め込みデータとを関連付けて出力する第4のステップとを含むことを特徴とする。」

ウ.原審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2001-282619号公報(平成13年10月12日公開,以下,これを「引用文献3」という)には,次の図面が開示されている。

G.「



エ.原審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,「洲崎誠一他,Webサイトの真正性を確認可能とするインターネット・マークの提案,情報処理学会論文誌,2000年8月15日,第41巻 第8号,p.2198-2207」(以下,これを「引用文献4」という)には,次の図面が開示されている。

H.「




オ.原審における平成30年1月31日付けの拒絶査定(以下,これを「原審拒絶査定」という)において,周知技術であることを例示するために提示された,本願の出願前に既に公知である,特開2006-094460号公報(平成18年4月6日公開,以下,これを「周知文献1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

I.「【実施例1】
【0018】
図1は実施例1におけるメタデータ付帯装置の構成例である。本メタデータ付帯装置100は,ユーザからのコンテンツデータの入力を受け付けるコンテンツデータ入力部110,コンテンツデータに付帯するメタデータのユーザからの入力を受け付けるメタデータ入力部120,メタデータを埋め込む場所を確保するためにコンテンツデータの外縁を補完する外縁データ補完部130,メタデータをコンテンツの外縁データ部に埋め込むメタデータ埋め込み部140,メタデータが付帯されたコンテンツデータを出力するためのメタデータ出力部150,及び,入力されたコンテンツ,メタデータおよび各部における処理データを記憶するデータ記憶部160からなる。実際には本メタデータ付帯装置100はPCなどのコンピュータのハードウェア,ソフトウェア資源を利用して構成され,図1では省略したが,例えばWebブラウザ等も具備されている。
【0019】
図2に,本実施例1における処理フローチャートを示す。以下,図1,図2により本実施例1を説明する。
コンテンツデータ入力部110では,ユーザが指定したURLやHD(ハードディスク)上の場所から指定のコンテンツを入力し,データ記憶部160にそのデータを記憶する(S11)。メタデータ入力部120では,ユーザがコンテンツに付帯したいメタデータの入力を受け付け,受け付けたメタデータをデータ記憶部160に記憶する(S12)。
【0020】
外縁データ補完部130では,コンテンツデータの外縁部の補完を行い,メタデータを埋め込む外縁データ領域を生成する(S13)。ここで,コンテンツデータの外縁部とは,コンテンツを構成する電子データの内,ヘッダやフッタなどのファイル形式に従った規定データ領域を除いたコンテンツデータ領域を拡張する事により,元々のコンテンツが占めるデータ領域以外にできる余白データ領域の事を言う。
【0021】
外縁データ補完部130は,まず,データ記憶部160からユーザが入力したメタデータを取得し,メタデータの容量からメタデータの埋め込みに必要な外縁領域の大きさを算出する。例えば,8ビット(256階調)で表されたVGAサイズ画像(640ピクセル×480ピクセル)に,埋め込み方法としてステガノグラフイを用いて5Kバイトのメタデータを埋め込む場合には,長辺側に補完領域を設けて,低ビット側の2ビット分(7,8ビット目)にメタデータを埋め込むとすると,最大で3×2×640=3840(byte)のデータを埋め込む事が可能であるので,カラーBMP画像などを用いる場合は2ピクセル分の外縁データを補完する必要がある。白黒のBMP画像の場合は1/3倍と考えて4ピクセル分の外縁データを補完,白黒JPEG画像の場合は更に1/10倍と考えて40ピクセル分の外縁データを補完する必要がある。ただし,外縁領域のサイズの算出は本実施例の計算方法に限定するものではなく,また処理効率を高めるためにあらかじめ余白領域の大きさを固定しても良い。
【0022】
次に,外縁データ補完部130は,算出された必要な外縁領域の大きさに基づいて,コンテンツ領域の外縁部を拡張して余白データ(余白領域)を付加し,画像補完技術を用いてコンテンツデータの外縁部の補完を行い,補完が行われた画像データをデータ記憶部160に記憶する。なお,画像補完技術は,例えば参考文献「Marcelo Bertalmio,Guillermo Sapiro,Vicent Caselles,Coloma Ballester“Image Inpainting”,Computer Graphics,SIGGRAPH2000」に記載の方法を用いることができる。
【0023】
図3は画像補完の具体例を示した図である。図3(a)の元画像に対し,まず,メタデータを埋め込むのに必要な大きさの余白領域を付加して,図3(b)の余白領域付加画像を作成し,次に,元画像データの外縁部付近の画像を余白領域に延長することで,元画像と余白領域画像の連続性が保たれるようにして画像の補完を行った図3(c)の補完画像を作成する。図3の実施例においては,外縁部付近の線分を形状に従って曲線状に延長し,線分内を同色に塗り潰す事で画像領域を補完しているが,画像の補完方法については他にも,余白領域に現画像の背景画像と類似したテクスチャを貼る方法や隣接する画素間の比率から補完する画素の情報を決定する方法などがある。本発明はどれか一つの方法に限定されるものではなく,用途や場合に応じて最適な方法を選ぶものである。
【0024】
メタデータ埋め込み部140では,データ記憶部160から,外縁データ部を補完したコンテンツデータとユーザが埋め込もうとするメタデータを取得し,外縁データ部にメタデータの埋め込みを行う(S14)。
【0025】
ここでは,メタデータ埋め込み部140での埋め込み方法には,ステガノグラフイを用いるとする。ステガノグラフイとは,画像をビットプレーンに分解して,人の認識しにくい領域(例えば8ビットで色表現がされている場合(256階調)は,LSB(LeastSignificantBit:最下位ビット)である8ビット目やあるいは7ビット目など)に情報を埋め込む技術のことである。これについては,例えば参考文献「河口英二,野田秀樹,新見道治,“画像を用いたステガノグラフイ”情報処理学会誌,vo1.44,No.03,2003」に記載されている。
【0026】
図4にステガノグラフイによる埋め込みの例を示す。元画像の補完データの並びが,図4(a)に示すように「BA 8F 26 1A A3 CC 43 5D 99」であり,埋め込むメタデータが図4(c)に示す「E63・・・」で,8ビット目だけにメタデータを埋め込むとすると,埋め込み後のメタデータの並びは,図4(b)に示すように「BB 8F 27 1A A2 CD 43 5C 98」となる。図4の(a)と(b)はデータ的には異なるが,その違いはとても微小なものであるため,人間の視覚的には違いを認識できないため,メタデータが埋め込まれている事を認識できない。
【0027】
なお,メタデータ埋め込み部140での埋め込み方法には電子透かしを用いる方法も考えられる。電子透かしとステガノグラフイはそれぞれ特徴が異なり,画像の利用状況によって,適した埋め込み方法の選択が必要になる。例えば,強いフォーマット変換耐性や補完データ部との強固な付帯が必要な場合には電子透かし,大きな埋め込み容量や小さい処理コストが必要な場合にはステガノグラフイが優れている。また,これらの二つの方法を両方同時に適用することも可能であり,埋め込み容量を更に増やしつつ変換耐性も高めることが可能となる。
【0028】
コンテンツ出力部150では,メタデータが付帯されたコンテンツデータを出力する(S15)。出力先は,HDあるいはインターネット上など,利用目的に応じて決まるものである。
【0029】
以上,実施例1について説明したが,本発明は本実施例の形態のみに依存する話ではなく,他の様々なメディア,映像,音楽などについても適用されるものである。また,外縁部メタデータは画像の一辺のみにあるとは限らず,二辺,三辺,四辺の場合もある。さらに一つのコンテンツに対して外縁データが一つとは限らず,複数の外縁データが幾重にも付帯されている場合もある。また,メタデータが付帯したコンテンツから,該メタデータを読み取ることは,既存のステガノグラフイや電子透かしを読み取る方法を用いることによって可能となる。」

カ.原審拒絶査定において,周知技術であることを例示するために提示された,本願の出願前に既に公知である,特開平09-138846号公報(平成9年5月27日公開,以下,これを「周知文献2」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

J.「【0026】図2のフローチャートは,RAM3内の画像バッファ上の画像に対して額縁処理が指示されたことから開始する。この画像バッファ上の画像は,FD或いはHD10から読み出しても良いし,ROM2から読み出したものでも良い。この額縁処理という画像処理の指示は,表示装置8上で以下の手順でKB6或いはPD13により行う。
【0027】額縁処理を施す対象の画像データを指定してFD或いはHD10,またはROM2から読み出してRAM3内の画像バッファに格納する。また,スキャナ15から新たに原稿画像を読取入力してもよい。この,画像バッファに格納した画像は図7の70のように表示装置8の表示画面上に表示される。そして,「おもしろ加工」指示ボタン71をKB6或いはPD13により指示するとプルダウンメニューが表示され,このプルダウンメニュー内の「額縁処理」の指示ボタンをKB6或いはPD13により指示することにより,以下に説明する図2?図4のフローチャートの額縁処理(任意の指定された画像を編集して額縁に入ったような画像を生成する処理)がスタートする。
【0028】そして,図7の画像70に額縁処理を施した結果の画像を図8の80に示す。
【0029】また,額縁処理を施す対象は指定された画像バッファに読み込まれれば良く,表示ステップを省略しても良い。
【0030】まずステップS101において元画像70の幅を作業領域W0に,元画像70の高さを作業領域H0に格納する。作業領域W0及びH0は,CPU1のレジスタあるいはRAM3上に確保され,その値を保持する。
【0031】次にステップS102では,W0とH0の値を比較して,小さい方に一定の比率αを掛けることで額縁の幅Fを求める。ここでαの値は元画像70に対する額縁の幅を定める0以上0.5未満の任意の定数であり,予めパラメータとしてRAM3内に用意されているものとする。
【0032】次にステップS103では,元画像70を縮小する際の幅および高さを計算して,作業領域W1およびH1に格納する。その式はW1=(1-α)×W0及びH1=(1-α)×H0である。作業領域W1及びH1は,CPU1のレジスタ或いはRAM3上に確保され,その値を保持する。以下の作業領域も同様とする。
【0033】次にステップS104では元画像70に対する縮小画像82を貼り付ける位置を計算で求め,縮小画像82の左上位置を作業領域(X1,Y1)に,右下位置を作業領域(X2,Y2)に格納する。その求める式は,
X1=(W0-W1)/2
Y1=(H0-H1)/2
X2=X1+W1-1
Y2=Y1+H1-1
である。
【0034】図5は元画像70における座標(X,Y)の定義を示すものである。元画像70の左上角は原点(0,0)であり,水平右方向にX軸,垂直下方向にY軸を定める。
【0035】次にステップS105では,元画像70を(X1,Y1)から(X2,Y2)の範囲に縮小する。縮小方法については既知の処理方法のうちの何れかを用いることでなんら問題はない。なお,縮小した画像82は元画像70の(X1,Y1)と(X2,Y2)により定まる矩形領域51に上書きされるものとする。
【0036】次にステップS106では,額縁の色を計算によって求め,ステップS107ではステップS106で求まった額縁の色によって,ステップS102によって定めた額縁の幅分,額縁を描画し,処理を終了する。
【0037】なお,ステップS106の処理手順は図3のフローチャートに,ステップS107の処理手順は図4のフローチャートに詳細に説明する。」

K.「【0043】図4のフローチャートは,ステップS106の処理が終了し,額縁の描画の指示がなされることにより開始する。この,描画の指示は,オペレータの指示,例えば額縁付きの画像の,文書への貼り付けの指示であっても良いし,S106の処理の終了に応答して自動でなされても良い。
【0044】先ず,ステップS301では画像の位置(0,0)から(W0-1,F-1)の矩形範囲を額縁の色RG,GG,BGによって塗りつぶす。塗りつぶしは,上記範囲の画素の各色成分の値を,額縁の色RG,GG,BGで置き換えることによって行う。
【0045】次にステップS302では画像の位置(0,H0-F)から(W0-1,H0-1)の矩形範囲を額縁の色RG,GG,BGによって塗りつぶす。
【0046】次にステップS303では画像の位置(0,0)から(F-1,H0-1)の矩形範囲を額縁の色RG,GG,BGによって塗りつぶす。
【0047】最後に,ステップS304では画像の位置(W0-F,0)から(W0-1,H0-1)の矩形範囲を額縁の色RG,GG,BGによって塗りつぶし,額縁描画処理を終了する。額縁の描画が終了した画像は,図8のように表示装置8により表示され,印刷の指示に応じてPRT11より印刷する。
【0048】以上の一連の処理によって,上下左右の幅が同じである額縁を,画像毎に異なる適切な額縁の色によって自動的に描画することが可能となる。
【0049】また,本実施例では,指定された画像を,予め定められたαという定数に従った大きさ(S104)に縮小し(S105),その上で元画像の内側を縁どる様に幅Fで額縁を描画する(S107)例について説明したが,S107で額縁を描画する領域を,(X1,Y1)-(X2,Y2)の矩形領域を基準にして(X1-F,Y1-F)-(X2+F,Y2+F)の内側を縁どる(即ち縮小画像の周囲を縁どる)ようにしても良い。
【0050】また,S105の縮小処理を省略し,元画像のまま元画像の周囲,或いは内側に額縁を描画しても良い。この額縁を描画する位置の制御は,図3のフローチャートにおける各ステップの指定矩形位置を-F?+F間で変化させることにより可能である。
【0051】また,額縁をつける対象となる元画像は,スキャナ等から光学的に入力したイメージ画像,或いは表示装置8上でKB6やマウス13によって描かれた図形,或いは文字列,等,なんであっても良く,また,W0×H0で予め切り取られたものでなくても,額縁をつける範囲を指定できれば良い。」

キ.本願の出願前に既に公知である,特開2007-193415号公報(平成19年8月2日公開,以下,これを「周知文献3」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

L.「【0036】
操作制限情報22は,所定の共有WEBコンテンツに対して情報処理端末装置で行われる操作を制限するための情報であり,共有サーバ2の所定の記憶手段(データベース等)に予め保持される。本実施例では,この操作制限情報を用いることによって,所定の共有WEBコンテンツが操作制限の対象であるか否かを判断できるとともに,2種類の操作制限を設定することができる。1つは,所定のWEBページ(WEBコンテンツ)全体における操作制限(全体操作制限)である。もう1つは,所定のWEBページ内でIDタグが付加された部分(入力フィールド,入力ボタン,チェックボックス等の入力部分)のみの操作制限(部分操作制限)である。よって,この操作制限情報22は,操作制限の対象となるWEBページ毎に付加される情報であり,そのWEBページ全体における操作を制限することを示す「全体操作制限情報」と,操作制限の対象となるWEBページ毎に付加される情報であり,そのWEBページ内の所定部分における操作を制限するために,所定部分に付加されるIDタグを示す「IDタグ情報(部分操作制限情報)」と,を含む。
【0037】
また,この操作制限情報22は,操作制限の対象となるWEBコンテンツ(WEBページ)のURLを示す複数の「操作制限対象URL情報」と,操作制限の対象となるWEBページ(URL)毎に付加される情報であり,各利用者の操作制限の内容(操作の可否)を示す「利用者操作制限情報」(例えば,所定のWEBページにおいて,『オペレータ=操作不可/顧客=操作可』や『オペレータ=操作可/顧客=操作不可』などを示す情報)と,を含む。」

ク.本願の出願前に既に公知である,特開2007-041651号公報(平成19年2月15日公開,以下,これを「周知文献4」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

M.「【0023】
テンポラリコンテンツは,例えば,「しばらくお待ちください」といったメッセージ等を表示するWebページが考えられる。または,テンポラリコンテンツとして広告の表示等も考えられ,サービス要求者に提供した例えば広告ページの表示数や,サービス要求者のクリック数を課金計数部103qで計数し,その計数値を基に広告のスポンサー等に費用請求をおこなうことも可能である。例えば,端末20の表示手段25上に表示される広告ページの画面上に,特定の広告主のサーバに誘導するボタンを表示するようにしておき,そこをサービス要求者がクリックした情報をサービス要求受信部103aを介して課金計数部103qで計数することが可能である。」

(3)引用文献1に記載の発明
ア.上記Aの「Webページの発信者を示すロゴマークや,そのwebページを承認した何らかの権限ある個人/機関を示すロゴマークなどのイメージデータをWebページに含め」という記載,上記Bの「本発明は,電子データと個人/機関との関係を,より高い信頼性をもって認証可能とする技術を提供することを課題とする」という記載,上記Cの「電子データとしてwebページを例にとり,webページとの関係を認証可能とする個人/機関がクレジット会社であり,そのクレジット会社のマークを販売者が自webページ植えで使用する場合を例にとり説明する。ただし,これらは一例であり」という記載から,引用文献1には,
“ロゴマークが付与されたWebページを提供する方法”が記載されていることが読み取れる。

イ.上記Eの「マーク管理サーバ1122の,マーク管理プログラムdは,要求を送った販売者端末1112を使用する販売者1110に対してマークを送付するか否かを判定し,送付すると判定した場合,図23に示す処理を行う」という記載,同じく,上記Eの「マーク送付要求と共に送られたWebページデータ2305のハッシュ値2306を計算し(ステップ2301),マーク管理DB1123に格納しておいたマーク2307に,計算したハッシュ値2306を電子透かしとして埋め込む」という記載から,引用文献1においては,
“マーク管理サーバ1122は,マーク管理DB1123に格納しておいたマーク2307を取得する”ことが読み取れる。

ウ.上記イ.において引用した上記Eの「マーク送付要求と共に送られたWebページデータ2305のハッシュ値2306を計算し(ステップ2301),マーク管理DB1123に格納しておいたマーク2307に,計算したハッシュ値2306を電子透かしとして埋め込む」という記載は,“マーク2307に,ハッシュ値2306を埋め込む,即ち,マーク2307と,ハッシュ値2306とを一纏めにする”ことを意味することは明らかであるから,上記Dの「該販売者1110のWebページのURLを示すデータに秘密鍵を用いて電子署名を作成し,電子署名とマーク管理DB1123によって管理されているマークとを一纏めにして署名付きマークを作成し,該署名付きマークを販売者1110に送信する」という記載と併せて検討すると,これら上記D,及び,上記Eの記載内容から,引用文献1においては,
“マーク管理サーバ1122は,マーク付与対象のWebページデータ2305のハッシュ値2306を計算し,
マーク2307と,前記計算したハッシュ値2306を一纏めにする”ものであることが読み取れる。

エ.上記Eの「電子透かしを埋め込んだマーク2308がWebページ上に表示されるように,マーク送付要求と共に送られたWebページデータ2305を修正し(ステップ2302),修正したWebページデータ2309を販売者端末1112のマーク取得プログラムdに送る」という記載と,上記ウ.において検討した事項から,引用文献1においては,
“ハッシュ値2306を埋め込んだマーク2308がWebページ上に表示されるように修正したWebページデータ2309を送信する”ものであることが読み取れる。

オ.以上,上記ア.?エ.において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。

「ロゴマークが付与されたWebページを提供する方法であって,
マーク管理サーバ1122は,マーク管理DB1123に格納しておいたマーク2307を取得し,
前記マーク管理サーバ1122は,マーク付与対象のWebページデータ2305のハッシュ値2306を計算し,
前記マーク2307と,前記計算したハッシュ値2306を一纏めにし,
前記ハッシュ値2306を埋め込んだマーク2308がWebページ上に表示されるように修正したWebページデータ2309を送信する,提供方法。」

(4)本件補正発明と引用発明との対比
ア.引用発明における「ロゴマーク」,「Webページ」が,
本件補正発明における「所定の標章マーク」,「デジタルデータ」に相当するので,
引用発明における「ロゴマークが付与されたWebページを提供する方法」が,
本件補正発明における「所定の標章マークが付与されたデジタルデータを提供する方法」に相当する。

イ.引用発明において,「マーク管理サーバ1122は,マーク管理DB1123に格納しておいたマーク2307を取得」することは,“マーク管理サーバ1122が,マーク管理DB1123に格納されているマークを,サーバ内に取り込む”ことに他ならないので,
引用発明における「マーク管理サーバ1122」が,
本件補正発明における「標章マーク付与用コンピュータ」に相当し,
引用発明における「マーク管理サーバ1122は,マーク管理DB1123に格納しておいたマーク2307を取得」することと,
本件補正発明における「標章マーク付与用コンピュータが,矩形状の標章マークを構成する画像データを取り込む標章マーク取込段階」とは,
“標章マーク付与用コンピュータが,標章マークを構成する画像データを取り込む標章マーク取込段階”である点で共通する。

ウ.引用発明における「マーク付与対象のWebページデータ2305」が,
本件補正発明における「標章マークの付与対象となる対象データ」に相当し,
引用発明における「Webページデータ2305のハッシュ値2306」は,“Webページデータ2305に基づいて一義的に導出されるデータ”であるから,
本件補正発明における「標章マークの付与対象となる対象データに含まれる特定のデータ,もしくは,前記特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データ」に相当するので,
引用発明において,「マーク管理サーバ1122は,マーク付与対象のWebページデータ2305のハッシュ値2306を計算」することは,
本件補正発明における「標章マークの付与対象となる対象データに含まれる特定のデータ,もしくは,前記特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データを,対象識別情報として準備する対象識別情報準備段階」に相当する。

エ.引用発明における「前記マーク2307と,前記計算したハッシュ値2306を一纏めにし」は,“マーク2307に,計算したハッシュ値2306を埋め込んで,マーク2308を生成する”ことであるから,
本件補正発明における「標章マーク付与用コンピュータが,前記標章マークを構成する画像データに前記対象識別情報を所定のアルゴリズムに基づいて組み込むことにより,組込標章マークを作成する対象識別情報組込段階」に相当する。

オ.引用発明における「ハッシュ値2306を埋め込んだマーク2308がWebページ上に表示されるように修正したWebページデータ2309」は,「マーク2308」と,「Webページデータ2305」とを紐付けたものといえるので,
引用発明における「ハッシュ値2306を埋め込んだマーク2308がWebページ上に表示されるように修正したWebページデータ2309を送信する」は,
本件補正発明における「データ提供用コンピュータが,前記対象データと前記組込標章マークとを紐付けて提供するデータ提供段階」に相当する。

カ.以上,上記ア.?オ.において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
所定の標章マークが付与されたデジタルデータを提供する方法であって,
標章マーク付与用コンピュータが,標章マークを構成する画像データを取り込む標章マーク取込段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,標章マークの付与対象となる対象データに含まれる特定のデータ,もしくは,前記特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データを,対象識別情報として準備する対象識別情報準備段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,前記標章マークを構成する画像データに前記対象識別情報を所定のアルゴリズムに基づいて組み込むことにより,組込標章マークを作成する対象識別情報組込段階と,
データ提供用コンピュータが,前記対象データと前記組込標章マークとを紐付けて提供するデータ提供段階と,
を有する提供方法。

[相違点1]
“標章マークを構成する画像データ”に関して,
本件補正発明においては,「矩形状の標章マークを構成する画像データ」であるのに対して,
引用発明においては,「ロゴマーク」が,「矩形状」であるとの言及がない点。

[相違点2]
本件補正発明においては,「対象識別情報組込段階で,前記標章マークを構成する画像データと前記対象識別情報を構成するデータとを合成することにより,前記標章マークの外部に前記対象識別情報を構成するデータからなる縁部画像が付加された合成画像を生成し,かつ,前記縁部画像が前記標章マークの輪郭を構成する矩形の縦の辺と横の辺との双方に沿うように線状配置されるようにして前記標章マークのアスペクト比が維持された合成画像が生成されるようにし,前記合成画像を組込標章マークと」するものであるのに対して,
引用発明においては,そのような言及がない点。

[相違点3]
本件補正発明においては,「対象データが,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータによって構成され」るものであるのに対して,
引用発明においては,「対象データが,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータによって構成され」るものであることについては,特に,言及されていない点。

[相違点4]
本件補正発明においては,「データ提供段階で,前記アプリケーションプログラムもしくは前記コンテンツデータを,前記組込標章マークを含むアイコン,もしくは,前記組込標章マーク自身によって構成されるアイコンとともに提供する」ものであるのに対して,
引用発明においては,そのような言及がない点。

(5)相違点についての当審の判断
ア.[相違点1]について
上記Gに引用した,引用文献3に開示の【図1】,或いは,上記Hに引用した,引用文献4に開示のFig.1,Fig.2に示されているように,「コンテンツデータ」,或いは,「Webページ」に表示する「マーク」を「矩形」とすることは,本願の出願前に,当業者には広く知られた技術事項である。
したがって,引用発明においても,「ロゴマーク」を「矩形」とすることは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点1]は,格別のものではない。

イ.[相違点2]について
上記Iに引用した,周知文献1の記載にもあるとおり,“組み込み対象となるデータの外縁部に,組込データを組み込む”ことは,本願の出願前に,当業者には周知の技術事項であった。
周知文献1の技術においては,「コンテンツデータ」が“組込み対象となるデータ”であるが,例えば,上記Fに引用した引用文献2に「アイコン画像,起動画面画像,ロゴマーク画像,動画像サムネイル画像などに著作権情報を電子透かし情報として混入しておいても,前記のような既存の技術によって,その著作権情報を消去される可能性がある」に記載されてもいるように,“組み込み対象となるデータ”として,「ロゴマーク画像」等を選択することは,当業者が必要に応じて適宜なし得る事項に過ぎない。
また,上記J,及び,上記Kに引用した,周知文献2の記載にもあるとおり,“対象となる画像の外縁部に額縁のような画像を付加する処理を行う際に,画像の縦横の比率が変化しないよう処理する”ことは,本願の出願前に,当業者には周知の技術事項であった。
したがって,引用発明においても,これら周知技術に基づいて,“ハッシュ値を,ロゴマークの外縁部に組み込む際に,ロゴマークの縦横の比率を変えない額縁のようなものとして組み込む”ことは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点2]は,格別のものではない。

ウ.[相違点3]について
上記Lに引用した周知文献3の記載に,「所定のWEBページ(WEBコンテンツ)」,及び,「対象となるWEBコンテンツ(WEBページ」とあり,或いは,上記Mに引用した周知文献4の記載に,「テンポラリコンテンツは,例えば,「しばらくお待ちください」といったメッセージ等を表示するWebページが考えられる」とあるように,引用発明における「Webページ」も「コンテンツ」の一種である。
また,上記Fに引用した,引用文献2の「電子透かしは,それが混入された画像が違法に盗まれて他のアプリケーションで使用されるのを防ぐ目的で使用されるケースが多い。その対象画像としてプログラムなどにつくアイコンや動画像サムネイルが挙げられる。アイコン画像,起動画面画像,ロゴマーク画像,動画像サムネイル画像は,そのプログラムを視覚的に分かりやすくする重要な役割をもっている」という記載,及び,上記Gに引用した,引用文献3に開示の【図1】から明らかなように,引用発明においても,「対象データ」を,「プログラム」,或いは,「コンテンツデータ」とすることは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点3]は,格別のものではない。

エ.[相違点4]について
上記Fに引用した,引用文献2の記載から,“組込データを組み込む先をアイコンとする”ことは,本願の出願前に,当業者に広く知られた技術事項である。
したがって,引用発明においても,“求めたハッシュ値を,アイコンに組み込み,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータをアイコンと共に提供する”よう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点4]は,格別のものではない。

オ.以上,上記ア.?エ.において検討したとおりであるから,[相違点1]?[相違点4]は格別のものではなく,そして,本件補正発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。
よって,本件補正発明は,引用発明,引用文献2?引用文献4に記載の技術事項,及び,周知文献1,周知文献2に開示の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法29条2項の規定により特許出願の際,独立して特許を受けることができない。

3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
平成30年4月26日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成29年8月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,上記「第2.平成30年4月26日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次のとおりのものである。

「所定の標章マークが付与されたデジタルデータを提供する方法であって,
標章マーク付与用コンピュータが,矩形状の標章マークを構成する画像データを取り込む標章マーク取込段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,標章マークの付与対象となる対象データに含まれる特定のデータ,もしくは,前記特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データを,対象識別情報として準備する対象識別情報準備段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,前記標章マークを構成する画像データに前記対象識別情報を所定のアルゴリズムに基づいて組み込むことにより,組込標章マークを作成する対象識別情報組込段階と,
データ提供用コンピュータが,前記対象データと前記組込標章マークとを紐付けて提供するデータ提供段階と,
を有し,
前記対象識別情報組込段階で,前記標章マークを構成する画像データと前記対象識別情報を構成するデータとを合成することにより,前記標章マークの外部に前記対象識別情報を構成するデータからなる縁部画像が付加された合成画像を生成し,かつ,前記縁部画像が前記標章マークの輪郭を構成する矩形の縦の辺と横の辺との双方に沿うように線状配置されるようにして前記標章マークのアスペクト比が維持された合成画像が生成されるようにし,前記合成画像を組込標章マークとすることを特徴とする標章マーク付きデジタルデータの提供方法。」

第4.原審における拒絶査定の概略
原審における平成30年1月31日付けの拒絶査定は,概略,次のとおりのものである。

「備考
●理由1(特許法第29条第1項第3号)について
・請求項 18,25
<省略>

●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-17,23,24
・引用文献等 1-11
画像データとその画像データに関連するデータとを合成することにより,画像の外部に関連するデータからなる縁部画像が付加された合成画像を生成し,かつ,縁部画像が画像の輪郭を構成する矩形の縦の辺と横の辺との双方に沿うように線状配置されるようにして合成画像を生成することは,引用文献10に記載(段落[0018]-[0029],段落[0029]の記載「また,外縁部メタデータは画像の一辺のみにあるとは限らず,二辺,三辺,四辺の場合もある。」に注意)の如く本願出願前に周知の技術であり,画像のアスペクト比が維持された合成画像を生成することも,引用文献11に記載(段落[0026]-[0037],[0043]-[0051])の如く周知の技術である。
引用文献1に記載された発明において,電子署名とマークとを一纏めにすることは,電子透かしとは別の手法を用いてもよい(段落[0223])ことから,前記の周知技術を考慮して,対象識別情報組込段階を,補正後の請求項1に記載の如き段階とすることは,当業者にとって容易である。
なお,引用文献10に記載のステガノグラフイの技術は,画像データのLSBが埋め込むデータそのものである(段落[0025],[0026],図4)ことから,演算処理負担が軽減されるものであり,本願発明の奏する効果も格別のものではない。
したがって,補正後の請求項1-17,23,24に係る発明は,上記拒絶理由通知書において述べたと同様のことから,引用文献1に記載された発明並びに引用文献2-9に記載の技術及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであり,依然として,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 18-22,25,26
・引用文献等 1-11
理由1にて述べたと同様のことから,補正後の請求項18-22,25,26に係る発明は,上記拒絶理由通知書において述べたと同様,引用文献1に記載された発明及び引用文献2-9に記載の技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
なお,仮に,標章マークの検証において,標章マークが請求項1に記載の如く生成されたものであることによる相違が存在したとしても,引用文献10,11に記載の周知技術を考慮すれば,その相違は,当業者が適宜になし得る設計変更程度の事項にすぎないものといえる。
<引用文献等一覧>
1.特開平11-239129号公報
2.国際公開第2007/086096号公報
3.特開2001-282619号公報
4.特開2001-134515号公報
5.特開2002-300365号公報
6.特開2002-215502号公報
7.特開2000-078125号公報
8.特開2002-245153号公報
9.洲崎誠一他,Webサイトの真正性を確認可能とするインターネット・マークの提案,情報処理学会論文誌,2000年8月15日,第41巻 第8号,p.2198-2207
10.特開2006-094460号公報(周知技術を示す文献;新たに引用した文献)
11.特開平09-138846号公報(周知技術を示す文献;新たに引用した文献)」

第5.引用文献に記載の発明
原審拒絶理由において引用され,上記「第2.平成30年4月26日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(2)引用文献に記載の事項」において,引用文献1として引用された,本願の出願前に既に公知である,特開平11-239129号公報(平成11年8月31日公開)には,上記「第2.平成30年4月26日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(3)引用文献1に記載の発明」において認定したとおりの,次の発明が記載されているものと認める。

「ロゴマークが付与されたWebページを提供する方法であって,
マーク管理サーバ1122は,マーク管理DB1123に格納しておいたマーク2307を取得し,
前記マーク管理サーバ1122は,マーク付与対象のWebページデータ2305のハッシュ値2306を計算し,
前記マーク2307と,前記計算したハッシュ値2306を一纏めにし,
前記ハッシュ値2306を埋め込んだマーク2308がWebページ上に表示されるように修正したWebページデータ2309を送信する,提供方法。」

第6.本願発明と引用発明との対比
本願発明は,上記「第2.平成30年4月26日付けの手続補正の却下の決定」において検討した,本件補正発明から,
「対象データが,アプリケーションプログラムもしくはコンテンツデータによって構成されており,
前記データ提供段階で,前記アプリケーションプログラムもしくは前記コンテンツデータを,前記組込標章マークを含むアイコン,もしくは,前記組込標章マーク自身によって構成されるアイコンとともに提供する」
という構成を取り除いたものであるから,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
所定の標章マークが付与されたデジタルデータを提供する方法であって,
標章マーク付与用コンピュータが,標章マークを構成する画像データを取り込む標章マーク取込段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,標章マークの付与対象となる対象データに含まれる特定のデータ,もしくは,前記特定のデータに基づいて一義的に導出される導出データを,対象識別情報として準備する対象識別情報準備段階と,
標章マーク付与用コンピュータが,前記標章マークを構成する画像データに前記対象識別情報を所定のアルゴリズムに基づいて組み込むことにより,組込標章マークを作成する対象識別情報組込段階と,
データ提供用コンピュータが,前記対象データと前記組込標章マークとを紐付けて提供するデータ提供段階と,
を有する提供方法。

[相違点a]
“標章マークを構成する画像データ”に関して,
本願発明においては,「矩形状の標章マークを構成する画像データ」であるのに対して,
引用発明においては,「ロゴマーク」が,「矩形状」であるとの言及がない点。

[相違点b]
本願発明においては,「対象識別情報組込段階で,前記標章マークを構成する画像データと前記対象識別情報を構成するデータとを合成することにより,前記標章マークの外部に前記対象識別情報を構成するデータからなる縁部画像が付加された合成画像を生成し,かつ,前記縁部画像が前記標章マークの輪郭を構成する矩形の縦の辺と横の辺との双方に沿うように線状配置されるようにして前記標章マークのアスペクト比が維持された合成画像が生成されるようにし,前記合成画像を組込標章マークと」するものであるのに対して,
引用発明においては,そのような言及がない点。

第7.相違点についての当審の判断
本願発明と,引用発明との,[相違点a],及び,[相違点b]は,本件補正発明と,引用発明との,[相違点1],及び,[相違点2]と,それぞれ,同じものであるから,上記「第2.平成30年4月26日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(5)相違点についての当審の判断」において検討したとおり,[相違点a],及び,[相違点b]は格別のものではない。
そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。

第8.むすび
したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-03-05 
結審通知日 2019-03-06 
審決日 2019-03-27 
出願番号 特願2013-109646(P2013-109646)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09C)
P 1 8・ 575- Z (G09C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中里 裕正  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 石井 茂和
山崎 慎一
発明の名称 標章マーク付きデジタルデータの提供方法  
代理人 志村 浩  
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