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審決分類 審判 査定不服 特39条先願 取り消して特許、登録 C07D
管理番号 1351985
審判番号 不服2018-8355  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-19 
確定日 2019-06-11 
事件の表示 特願2016-144067「B型肝炎抗ウイルス剤」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月28日出願公開、特開2016-222693、請求項の数(37)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 主な手続の経緯
本願は、2012年12月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年12月21日 アメリカ合衆国(US)、2012年10月3日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2014-548939号の一部を、特許法第44条第1項の規定により平成28年7月22日に新たな特許出願としたものであって、平成29年5月19日付けで拒絶理由が通知され、同年11月28日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成30年2月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年2月15日付けの拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1(特許法第39条第2項:同日出願)
本願の請求項1?19に係る発明は、同日出願された下記の出願の請求項1?8に係る発明と同一と認められ、また、本願の請求項20?37に係る発明は、同日出願された下記の出願の請求項22?39に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の出願の請求項1?8及び22?39に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。

同日出願:特願2014-548939号(特許第5977837号公報)

第3 本願発明
本願の請求項1?37に係る発明(以下、「本願発明1」、「本願発明2」などという。)は、平成29年11月28日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?37に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
以下の構造
【化1】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
以下の構造
【化2】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
以下の構造
【化3】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
以下の構造
【化4】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
以下の構造
【化5】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
以下の構造
【化6】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
以下の構造
【化7】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
以下の構造
【化8】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
以下の構造
【化9】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
以下の構造
【化10】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
以下の構造
【化11】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
以下の構造
【化12】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
以下の構造
【化13】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
以下の構造
【化14】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
以下の構造
【化15】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
以下の構造
【化16】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
以下の構造
【化17】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
以下の構造
【化18】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
以下の構造
【化19】

を有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項20】
請求項1?19のいずれか一項に記載の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を含む、組成物。
【請求項21】
医薬品であり、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
請求項1?19のいずれか一項に記載の化合物を含む、それを必要とする個体においてHBV感染を治療する、根絶する、低減する、緩徐化する、又は阻害するための、組成物。
【請求項23】
請求項1?19のいずれか一項に記載の化合物を含む、それを必要とする個体においてHBV感染に関連するウイルス負荷を低減するための、組成物。
【請求項24】
請求項1?19のいずれか一項に記載の化合物を含む、それを必要とする個体においてHBV感染の再発を低減するための、組成物。
【請求項25】
請求項1?19のいずれか一項に記載の化合物を含む、それを必要とする個体においてHBV感染の生理的悪影響を低減するための、組成物。
【請求項26】
請求項1?19のいずれか一項に記載の化合物を含む、それを必要とする個体においてHBV感染からの肝損傷の寛解を誘導するための、組成物。
【請求項27】
請求項1?19のいずれか一項に記載の化合物を含む、それを必要とする個体においてHBV感染に対する長期抗ウイルス療法の生理的影響を低減するための、組成物。
【請求項28】
請求項1?19のいずれか一項に記載の化合物を含む、それを必要とする個体においてHBV感染を予防的に治療するための、組成物であって、前記個体がHBV潜伏感染に罹患している、組成物。
【請求項29】
HBVポリメラーゼ阻害剤、インターフェロン、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、文献に記載のカプシド集合調節物質、逆転写酵素阻害剤、TLRアゴニスト、及び特有の又は未知の機構の薬剤、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の治療剤と併用される、請求項22?28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、ddA、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、エムトリシタビン、エンテカビル、アプリシタビン、アテビラピン(Atevirapine)、リバビリン、アシクロビル(acyclovir)、ファムシクロビル、バラシクロビル(valacyclovir)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、テノホビル、アデホビル、シドホビル、エファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、又はエトラビリンのうちの少なくとも1つである、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記TLRアゴニストが、SM360320(9-ベンジル-8-ヒドロキシ-2-(2-メトキシ-エトキシ)アデニン)及びAZD 8848(メチル[3-({[3-(6-アミノ-2-ブトキシ-8-オキソ-7,8-ジヒドロ-9H-プリン-9-イル)プロピル][3-(4-モルホリニル)プロピル]アミノ}メチル)フェニル]アセテート)からなる群から選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記化合物と前記少なくとも1つの追加の治療剤とが共製剤化される、請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
前記化合物と前記少なくとも1つの追加の治療剤とが共投与される、請求項29に記載の組成物。
【請求項34】
それを必要とする個体においてHBV感染を予防的に治療する際に同様の結果を達成するのに必要とされる単独の前記少なくとも1つの追加の治療剤と比較して、前記少なくとも1つの追加の治療剤をより低い用量又は頻度で投与することを可能にする、請求項29に記載の組成物。
【請求項35】
治療上有効量の前記組成物の化合物を投与する前に、前記個体は、HBVポリメラーゼ阻害剤、インターフェロン、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、特有のカプシド集合調節物質、特有の又は未知の機構の抗ウイルス化合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物に不応性であることが知られている、請求項29に記載の組成物。
【請求項36】
HBVポリメラーゼ阻害剤、インターフェロン、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、特有のカプシド集合調節物質、特有の又は未知の機構の抗ウイルス化合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物と比較して、前記個体におけるウイルス負荷をより大きい程度に低減する、請求項29に記載の組成物。
【請求項37】
HBVポリメラーゼ阻害剤、インターフェロン、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、特有のカプシド集合調節物質、特有の又は未知の機構の抗ウイルス化合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物よりも、ウイルス突然変異及び/又はウイルス耐性のより低い発生率を引き起こす、請求項29に記載の組成物。」

第4 同日出願に係る発明
原査定の拒絶の理由に引用された同日出願の請求項1?8及び22?39に係る発明(以下、「同日出願発明1」、「同日出願発明2」などという。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1?8及び22?39に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、同日出願は、本願の原出願である特願2014-548939号に係る特許第5977837号である。

「【請求項1】
式IV:
【化1】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
R^(4)は、HまたはC_(1)-C_(6)アルキルであり、
各R^(5)は、各出現につき、CH_(3)、C_(1)-C_(6)アルコキシ、ハロ、-CN、-NO_(2)、-C_(1)-C_(6)ハロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジハロアルキル、および-C_(1)-C_(6)トリハロアルキルからなる群から独立して選択され、
R^(10)は、OH、ハロ、C_(1)-C_(6)アルキル、C_(1)-C_(6)アルキル-OH、-C_(1)-C_(6)クロロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジクロロアルキル、-C_(1)-C_(6)トリクロロアルキル、-C_(1)-C_(6)フルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジフルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)トリフルオロアルキル、C_(1)-C_(6)ヘテロアルキル、C_(3)-C_(10)シクロアルキル、C_(3)-C_(10)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C_(1)-C_(4)アルキル-(C_(3)-C_(10)シクロアルキル)、-C_(1)-C_(4)アルキル-(C_(3)-C_(10)ヘテロシクロアルキル)、-C_(1)-C_(4)アルキル-(アリール)、または-C_(1)-C_(4)アルキル-(ヘテロアリール)であり、前記アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール環は、R^(2)から選択される1?5個の置換基で任意に置換されており、
R^(11)は、結合またはC_(1)-C_(3)アルキレンであり、前記C_(1)-C_(3)アルキレンは、R^(2)から選択される1?3個の置換基で任意に置換されており、
R^(2)は、各出現につき、ハロ、-CN、-NO_(2)、-C_(1)-C_(6)アルキル、-C_(1)-C_(6)アルコキシ、-C_(1)-C_(6)フルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)ヘテロアルキル、C(O)-C_(1)-C_(6)アルキル、およびC(O)-C_(1)-C_(6)アルコキシからなる群から独立して選択され、
wは、0、1、または2であり、
xの各出現は、0、1、2、3、および4からなる群から独立して選択され、
yの各出現は、1、2、および3からなる群から独立して選択され、
zの各出現は、0、1、2、および3からなる群から独立して選択され、
mの各出現は、独立して、0、1、または2である、化合物。
【請求項2】
式IVの前記化合物は、式IVa:
【化2】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各R^(5)は、各出現につき、CH_(3)、C_(1)-C_(6)アルコキシ、ハロ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、およびトリクロロメチルからなる群から独立して選択され、
R^(10)は、OH、ハロ、C_(1)-C_(6)アルキル、C_(1)-C_(6)アルキル-OH、C_(1)-C_(6)フルオロアルキル、C_(1)-C_(6)ジフルオロアルキル、C_(1)-C_(6)トリフルオロアルキル、C_(1)-C_(6)ヘテロアルキル、C_(3)-C_(10)シクロアルキル、C_(3)-C_(10)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C_(1)-C_(4)アルキル-(C_(3)-C_(10)シクロアルキル)、-C_(1)-C_(4)アルキル-(C_(3)-C_(10)ヘテロシクロアルキル)、-C_(1)-C_(4)アルキル-(アリール)、または-C_(1)-C_(4)アルキル-(ヘテロアリール)であり、前記アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール環は、R^(2)から選択される1?5個の置換基で任意に置換されており、
R^(11)は、結合またはC_(1)-C_(3)アルキレンであり、
R^(2)は、各出現につき、ハロ、-CN、-NO_(2)、-C_(1)-C_(6)アルキル、-C_(1)-C_(6)アルコキシ、-C_(1)-C_(6)フルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)ヘテロアルキル、およびC(O)-C_(1)-C_(6)アルキル、およびC(O)-C_(1)-C_(6)アルコキシからなる群から独立して選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R^(5)は、3-F、3-Cl、3-CH_(3)、3-CH_(2)F、3-CHF_(2)、4-F、3-CH_(3)-4-F、3-Cl-4-F、3-Br-4-F、3,4,5-トリフルオロ、3,4,5-トリクロロ、または3-クロロ-4,5-ジフルオロである、請求項1?3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
wは、1または2である、請求項1?4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
R^(11)は、結合またはC_(1)-C_(3)アルキレンであり、
R^(10)は、OH、ハロ、C_(1)-C_(6)アルキル、C_(1)-C_(6)アルキル-OH、-C_(1)-C_(6)クロロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジクロロアルキル、-C_(1)-C_(6)トリクロロアルキル、-C_(1)-C_(6)フルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジフルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)トリフルオロアルキル、C_(3)-C_(10)シクロアルキル、C_(3)-C_(10)ヘテロシクロアルキル、またはフェニルであり、そのC_(3)-C_(10)シクロアルキル、C_(3)-C_(10)ヘテロシクロアルキル、またはフェニル基は、ハロ、-C_(1)-C_(6)アルキル、および-C_(1)-C_(6)アルコキシから選択される1?5個の置換基で任意に置換されており、
zは、0または1である、請求項1?5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
式IVの前記化合物は、式IVb:
【化3】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
G^(1)は、各出現につき、CH_(3)、OCH_(3)、ハロ、CCl_(3)、CH_(2)Cl、CCl_(2)H、CF_(2)H、CH_(2)F、およびCF_(3)から独立して選択され、
G^(2)は、H、C_(1)-C_(4)アルキル、またはハロであり、
G^(3)は、OH、CH_(2)OH、またはCH_(2)CH_(2)OHであり、
G^(4)は、H、OH、ハロ、C_(1)-C_(6)アルキル、C_(1)-C_(6)アルキル-OH、-C_(1)-C_(6)クロロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジクロロアルキル、-C_(1)-C_(6)トリクロロアルキル、-C_(1)-C_(6)フルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジフルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)トリフルオロアルキル、またはフェニルであり、そのフェニル基は任意に、ハロ、-C_(1)-C_(6)アルキル、および-C_(1)-C_(6)アルコキシから独立して選択される1?5個の置換基で置換されており、
yは、1、2、または3である、請求項1?6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
式IVの前記化合物は、式IVc:
【化4】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Xは、ハロであり、
G^(1)は、水素またはハロであり、
G^(2)は、H、C_(1)-C_(4)アルキル、またはハロであり、
G^(4)は、H、ハロ、C_(1)-C_(4)アルキル、またはOHである、請求項1?7のいずれかに記載の化合物。」

「【請求項22】
請求項1?21のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を含む、組成物。
【請求項23】
前記組成物は、医薬品であり、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を更に含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
それを必要とする個体においてHBV感染を治療する、根絶する、低減する、緩徐化する、または阻害するための、請求項1?21のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項25】
それを必要とする個体においてHBV感染に関連するウイルス負荷を低減するための、請求項1?21のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項26】
それを必要とする個体においてHBV感染の再発を低減するための、請求項1?21のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項27】
それを必要とする個体においてHBV感染の生理的悪影響を低減するための、請求項1?21のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項28】
それを必要とする個体においてHBV感染からの肝損傷の寛解を誘導するための、請求項1?21のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項29】
それを必要とする個体においてHBV感染に対する長期抗ウイルス療法の生理的影響を低減するための、請求項1?21のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項30】
それを必要とするHBV潜伏感染に罹患している個体においてHBV感染を予防的に治療するための、請求項1?21のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項31】
HBVポリメラーゼ阻害剤、インターフェロン、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、文献に記載のカプシド集合調節物質、逆転写酵素阻害剤、TLRアゴニスト、および特有のまたは未知の機構の薬剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の治療剤と併用する、請求項24?30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記逆転写酵素阻害剤は、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、ddA、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、エムトリシタビン、エンテカビル、アプリシタビン、アテビラピン(Atevirapine)、リバビリン、アシクロビル(acyclovir)、ファムシクロビル、バラシクロビル(valacyclovir)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、テノホビル、アデホビル、シドホビル、エファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、またはエトラビリンのうちの少なくとも1つである、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記TLRアゴニストは、SM360320(9-ベンジル-8-ヒドロキシ-2-(2-メトキシ-エトキシ)アデニン)およびAZD8848(メチル[3-({[3-(6-アミノ-2-ブトキシ-8-オキソ-7,8-ジヒドロ-9H-プリン-9-イル)プロピル][3-(4-モルホリニル)プロピル]アミノ}メチル)フェニル]アセテート)からなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物および前記少なくとも1つの追加の治療剤は、共製剤化される、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物および前記少なくとも1つの追加の治療剤は、共投与される、請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
それを必要とする個体においてHBV感染を予防的に治療する際に同様の結果を達成するのに必要とされる単独の前記少なくとも1つの追加の治療剤と比較して、前記少なくとも1つの追加の治療剤をより低い用量または頻度で投与することを可能にする、請求項31に記載の組成物。
【請求項37】
治療上有効量の前記組成物を投与する前に、前記個体は、HBVポリメラーゼ阻害剤、インターフェロン、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、特有のカプシド集合調節物質、特有のまたは未知の機構の抗ウイルス化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物に不応性であることが知られている、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
HBVポリメラーゼ阻害剤、インターフェロン、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、特有のカプシド集合調節物質、特有のまたは未知の機構の抗ウイルス化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物と比較して、前記個体におけるウイルス負荷をより大きい程度に低減する、請求項31に記載の組成物。
【請求項39】
HBVポリメラーゼ阻害剤、インターフェロン、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス成熟阻害剤、特有のカプシド集合調節物質、特有のまたは未知の機構の抗ウイルス化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物よりも、ウイルス突然変異および/またはウイルス耐性のより低い発生率を引き起こす、請求項31に記載の組成物。」

第5 対比・判断
1 本願発明1?19について
(1)はじめに
本願発明1?19は、それぞれが化学構造式で特定された個別の化合物、又は薬学的に許容されるその塩に関する。
そこで、これらを便宜的に、以下のとおりの一般式(式中の各置換基をA?Gで示す。)で表し、それらを下記のとおり一覧表にした。

(2)同日出願発明1について
ア 同日出願発明1は、次の式IVの化合物、又はその薬学的に許容される塩に関する。


イ 本願発明1?19と同日出願発明1とを、それぞれの化合物について対比すると、両発明は次の点で相違している。

相違点1
アミド基の窒素原子に結合した置換フェニル基の置換基の結合位置、置換の数及び種類について、本願発明1?19は、いずれもA?Cで示される位置にフッ素原子又は塩素原子から選ばれる原子のいずれかが結合し、その数は3個であるのに対し、同日出願発明1は、上記A?Cで示される任意の位置にR^(5)で表される置換基を1?3個有し、さらに、R^(5)が、CH_(3)、C_(1)-C_(6)アルコキシ、ハロ、-CN、-NO_(2)、-C_(1)-C_(6)ハロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジハロアルキル、及び-C_(1)-C_(6)トリハロアルキルからなる群から独立して選択されるとされている点。

相違点2
アミド基の窒素原子における上記相違点1で指摘したフェニル基以外に結合している置換基について、本願発明1?19は、いずれも水素原子のみであるのに対し、同日出願発明1は、R^(4)で表される置換基であり、さらに、R^(4)が、H又はC_(1)-C_(6)アルキルであるとされている点。

相違点3
アミド基とスルホニル基が結合したフェニル基における他の置換基の結合位置、置換の数及び種類について、本願発明1?19は、いずれもDの位置のみに、フッ素原子又は塩素原子から選ばれる原子のいずれかが結合しているのに対し、同日出願発明1は、任意の位置にR^(2)で表される置換基を0?4個有し、さらに、R^(2)が、ハロ、-CN、-NO_(2)、-C_(1)-C_(6)アルキル、-C_(1)-C_(6)アルコキシ、-C_(1)-C_(6)フルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)ヘテロアルキル、C(O)-C_(1)-C_(6)アルキル、及びC(O)-C_(1)-C_(6)アルコキシからなる群から独立して選択されるとされている点。

相違点4
スルホニル基に結合する窒素原子を含む窒素含有複素環について、本願発明1?19は、いずれもピペリジン環であり、Eの位置に水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基から選ばれるいずれかが結合し、Fの位置にヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基から選ばれるいずれかが結合し、Gの位置に水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基から選ばれるいずれかが結合しているのに対して、同日出願発明1は、アザシクロブタン、ピロリジン、ピペリジンから選ばれる窒素含有複素環(w=0?2)であって、前記窒素含有複素環の任意の位置にR^(11)-OHで表される置換基を1個とR^(10)で表される置換基を0?3個有し、R^(11)が、結合又はC_(1)-C_(3)アルキレンであり、前記C_(1)-C_(3)アルキレンはR^(2)から選択される1?3個の置換基で任意に置換されており、R^(10)が、OH、ハロ、C_(1)-C_(6)アルキル、C_(1)-C_(6)アルキル-OH、-C_(1)-C_(6)クロロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジクロロアルキル、-C_(1)-C_(6)トリクロロアルキル、-C_(1)-C_(6)フルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)ジフルオロアルキル、-C_(1)-C_(6)トリフルオロアルキル、C_(1)-C_(6)ヘテロアルキル、C_(3)-C_(10)シクロアルキル、C_(3)-C_(10)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C_(1)-C_(4)アルキル-(C_(3)-C_(10)シクロアルキル)、-C_(1)-C_(4)アルキル-(C_(3)-C_(10)ヘテロシクロアルキル)、-C_(1)-C_(4)アルキル-(アリール)、又は-C_(1)-C_(4)アルキル-(ヘテロアリール)であり、前記アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環は、R^(2)から選択される1?5個の置換基で任意に置換されているとされている点。

ウ 相違点1?4についての検討
同日出願発明1の式IVの化合物は、上記イで指摘したとおり、例えば、相違点4のスルホニル基に結合する窒素原子を含む窒素含有複素環について、3種類の環から選ばれることに加え、置換基の結合位置、置換の数及び種類が様々であり、膨大な数の選択肢を有するものといえる。この点は、相違点1?3についても同様に言えることである。
確かに、同日出願発明1の式IVの化合物の膨大な数の選択肢の中に、本願発明1?19の化合物が形式的に選択される場合は存在し得る。
しかしながら、化合物発明においては、化合物が一般式の形式で記載され、当該一般式が膨大な数の選択肢を有する場合、特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない限り、当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出することはできず、これを引用発明と認定することはできないというべきである。
そして、同日出願発明1は、化合物が式IVという一般式の形式で記載され、式IVが膨大な数の選択肢を有するものであるところ、同日出願明細書【0107】に具体的な化合物が多数記載されているが、本願発明1?19の化合物のいずれかと一致する化合物となる特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に選択すべき事情があるとは認められないから、そのような特定の選択肢を抽出することに基づく具体的な同日出願発明1を認定することはできない。
そして、このことは、両発明の化合物の薬学的に許容される塩についても同様である。

エ よって、上記イの相違点1?4は、実質的な相違点であり、本願発明1?19は、同日出願発明1と同一であるとはいえない。

(3)同日出願発明2?8について
ア 同日出願発明2は、同日出願発明1を引用し、式IVの化合物について、置換基R^(2)の結合可能な位置の一つを水素原子に特定した、式IVaの化合物、又はその薬学的に許容される塩に限定したものであるが、上記(2)で同日出願発明1について検討したのと同様の理由により、本願発明1?19は、同日出願発明2と同一であるとはいえない。

イ また、同日出願発明3は、同日出願発明1を直接あるいは間接的に引用し、置換基R^(2)、R^(5)、R^(10)及びR^(11)を特定し、同日出願発明4は、同日出願発明1を直接あるいは間接的に引用し、置換基R^(5)を特定し、同日出願発明5は、同日出願発明1を直接あるいは間接的に引用し、wの数を特定し、同日出願発明6は、同日出願発明1を直接あるいは間接的に引用し、置換基R^(10)、R^(11)及びzの数を特定したものである。
そして、同日出願発明7は、同日出願発明1を直接あるいは間接的に引用し、式IVの化合物を、さらに式IVbの化合物(定義は省略)、又はその薬学的に許容される塩に特定したものであり、同日出願発明8は、同日出願発明1を直接あるいは間接的に引用し、式IVの化合物を、さらに式IVcの化合物(定義は省略)、又はその薬学的に許容される塩に特定したものである。
そうすると、同日出願発明3?8は、いずれも同日出願発明1を直接あるいは間接的に引用し、さらに、発明を特定したものであるが、上記(2)で同日出願発明1について検討したのと同様の理由により、本願発明1?19は、同日出願発明3?8と同一であるとはいえない。

(4)本願発明1?19についてのまとめ
以上のとおりであるから、本願請求項1?19は、同日出願発明1?8と同一でない。

2 本願発明20?37について
本願発明20?37は、いずれも本願発明1?19の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を含む組成物に関する。
一方、同日出願発明22?39は、いずれも同日出願発明1?8の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物に関する。
そうすると、上記1で検討したとおり、本願発明1?19が同日出願発明1?8と同一であるとはいえない以上、これらの異なる化合物、又は薬学的に許容されるその塩を含む組成物についても同一というとはできない。
よって、本願請求項20?37は、同日出願発明22?39と同一でない。

第6 原査定について
上記第5で検討したとおりであり、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-05-30 
出願番号 特願2016-144067(P2016-144067)
審決分類 P 1 8・ 4- WY (C07D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 阿久津 江梨子  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 関 美祝
菅原 洋平
発明の名称 B型肝炎抗ウイルス剤  
代理人 星川 亮  
代理人 鈴木 康仁  
代理人 小林 純子  
代理人 小林 浩  
代理人 大森 規雄  

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