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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1352287
異議申立番号 異議2018-700198  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-05 
確定日 2019-04-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6193582号発明「調味液」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6193582号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、〔10、11〕、12、13について、訂正することを認める。 特許第6193582号の請求項1、3、5ないし10、12及び13に係る特許を維持する。 特許第6193582号の請求項2、4及び11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6193582号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし13に係る特許についての出願は、平成25年2月15日に出願されたものであって、平成29年8月18日にその特許権の設定登録がされ、平成29年9月6日にその特許掲載公報が発行され、その後、その請求項1ないし13に係る発明の特許について、平成30年3月5日に特許異議申立人 國枝 由紀子 により特許異議の申立てがされ、平成30年6月4日付けで取消理由が通知され、その指定期間内の平成30年8月6日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求がされ、平成30年9月14日に特許異議申立人より意見書の提出があった後、平成30年12月3日付けで取消理由が通知され、その指定期間内の平成31年2月1日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求がされ、平成31年3月13日に特許異議申立人より意見書の提出があったものである。
なお、平成30年8月6日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成31年2月1日の訂正の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用調味液であって、粘度調整剤を含み、20℃における粘度が800?4000cpであり、前記納豆に対する使用量が質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(0.5?5)で用いられるものであり、」と記載されているのを「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)であって、粘度調整剤を含み、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆に対する使用量が質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(2?4)で用いられるものであり、」と訂正する。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に」と記載されているのを「請求項1に」と訂正する。

(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、1質量%以下である」と記載されているのを「キサンタンガム又はグアーガムを含む」と訂正する。

(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9に「1:(0.5?5)」と記載されているのを「1:(2?4)」と訂正する。

(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10に「粘度調整剤を含む納豆用調味液の使用方法であって、前記納豆用調味液は、20℃における粘度が800?4000cpであり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(0.5?5)の範囲である」と記載されているのを「粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)の使用方法であって、前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲である」と訂正する。

(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11を削除する。

(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項12に「粘度調整剤を含む納豆用調味液の使用方法であって、前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1800?3500cpであり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(1?4)の範囲で納豆と混合して調味納豆を得て、」と記載されているのを「粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)の使用方法であって、前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲で納豆と混合して調味納豆を得て、」と訂正する。

(10) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項13に「粘度調整剤を含む納豆用調味液を納豆に添加する納豆の風味向上方法であって、前記納豆用調味液の20℃における粘度は、1800?3500cpであり、前記納豆用調味液を納豆1質量部に対して、1?4質量部添加する」と記載されているのを「粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)を納豆に添加する納豆の風味向上方法であって、前記納豆用調味液の20℃における粘度は、1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液を納豆1質量部に対して、2?4質量部添加する」と訂正する。

(11) したがって、特許権者は、特許請求の範囲を、次の訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを請求する(下線は訂正箇所を示す。)。
「【請求項1】
納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)であって、
粘度調整剤を含み、
20℃における粘度が1864?2940cpであり、
前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、
前記納豆に対する使用量が質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(2?4)で用いられるものであり、
前記調味納豆は、食材と混合して使用されることを特徴とする納豆用調味液。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
固形分濃度が10?50質量%である請求項1に記載の納豆用調味液。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記粘度調整剤として、でんぷん又は加工でんぷんを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、4.5質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の納豆用調味液。
【請求項6】
前記粘度調整剤として、キサンタンガム又はグアーガムを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の納豆用調味液。
【請求項7】
油分を含有する請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の納豆用調味液。
【請求項8】
前記食材は、麺類及び豆腐から選ばれる少なくとも一種である請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の納豆用調味液。
【請求項9】
納豆と、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の納豆用調味液とを、
質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(2?4)の割合で混合することを特徴とする調味納豆の製造方法。
【請求項10】
粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)の使用方法であって、
前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、
前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、
前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲であることを特徴とする納豆用調味液の使用方法。
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)の使用方法であって、
前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、
前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、
前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲で納豆と混合して調味納豆を得て、
前記調味納豆を食材と混合して使用することを特徴とする納豆用調味液の使用方法。
【請求項13】
粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)を納豆に添加する納豆の風味向上方法であって、
前記納豆用調味液の20℃における粘度は、1864?2940cpであり、
前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、
前記納豆用調味液を、納豆1質量部に対して、2?4質量部添加することを特徴とする納豆の風味向上方法。」

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否並びに一群の請求項
(1) 訂正事項1は、請求項1の「納豆用調味液」について、それが「マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素」を選択肢として含み得る上位概念といえるから、「納豆用調味液」を「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、「納豆用調味液」のうち、「マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素」を除くことは、本件特許に係る発明に何ら新たな技術的事項を導入するものではないし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
さらに、訂正事項1の、請求項1の「納豆用調味液」について、その「20℃における粘度」を「800?4000cp」から「1864?2940cp」にすることで、また、それが含有する「粘度調整剤」の具体的な化合物及び含有量を「前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり」と特定することで、さらに、その納豆に対する使用量が「質量比(納豆:納豆用調味液)」で「1:(0.5?5)で用いられる」から「1:(2?4)で用いられる」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。そして、願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0009】に「本発明における調味液の粘度(20℃)は800?4000cpであり、好ましくは1800?3500cp、更に好ましくは2000?3000cpである。」と記載されているところ、特に、段落【0034】の【表1】の実施例4の粘度(cp)が「1864」であり、同じく実施例7の粘度(cp)が「2940」であることが記載され、また、同段落【0011】に「また、粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを用いる場合には、これらの含有割合の合計が、調味液全体を100質量%とした場合に、1質量%以下であることが好ましく、より好ましは0.1?1質量%、更に好ましくは0.2?0.9質量%、特に好ましくは0.25?0.8質量%である。」と記載され、さらに、同段落【0021】に「また、本発明の調味液は、納豆に対する使用量が質量比(納豆:調味液)で、1:(0.5?5)である。特に、この質量比(納豆:調味液)は、1:(1?4)であることが好ましく、より好ましくは1:(2?4)である。」と記載されているように、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(2) 訂正事項2、4及び8は、順に請求項2、4、11を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(3) 訂正事項3は、本件訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用していたところ、訂正事項2により請求項2を削除したため、この請求項2の記載を引用しないものとしたのであるから、特許法第120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条6項に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条5項に適合するものである。

(4) 訂正事項5は、請求項6の「粘度調整剤」について、「キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、1質量%以下である」を、訂正事項1に係る訂正により「納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%である」と実質的に限定すると共に、「キサンタンガム又はグアーガムを含む」と特定することで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(5) 訂正事項6は、請求項9の「調味納豆の製造方法」について、納豆と納豆用調味液とを、「質量比(納豆:納豆用調味液)」で「1:(0.5?5)の割合で混合する」から「1:(2?4)の割合で混合する」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、また、本件特許明細書の段落【0021】に「また、本発明の調味液は、納豆に対する使用量が質量比(納豆:調味液)で、1:(0.5?5)である。特に、この質量比(納豆:調味液)は、1:(1?4)であることが好ましく、より好ましくは1:(2?4)である。」と記載されているように、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(6) 訂正事項7は、請求項10の「納豆用調味液」について、それが「マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素」を選択肢として含み得る上位概念といえるから、「納豆用調味液」を「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、「納豆用調味液」のうち、「マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素」を除くことは、本件特許に係る発明に何ら新たな技術的事項を導入するものではないし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
さらに、訂正事項7の、請求項10の「納豆用調味液」について、その「20℃における粘度」を「800?4000cp」から「1864?2940cp」にすることで、また、それが含有する「粘度調整剤」の具体的な化合物及び含有量を「前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり」と特定することで、さらに、その納豆に対する使用量が、「質量比(納豆:納豆用調味液)」で「1:(0.5?5)の範囲である」から「1:(2?4)の範囲である」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。そして、本件特許明細書の段落【0009】に「本発明における調味液の粘度(20℃)は800?4000cpであり、好ましくは1800?3500cp、更に好ましくは2000?3000cpである。」と記載されているところ、特に、段落【0034】の【表1】の実施例4の粘度(cp)が「1864」であり、同じく実施例7の粘度(cp)が「2940」であることが記載され、また、同段落【0011】に「また、粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを用いる場合には、これらの含有割合の合計が、調味液全体を100質量%とした場合に、1質量%以下であることが好ましく、より好ましは0.1?1質量%、更に好ましくは0.2?0.9質量%、特に好ましくは0.25?0.8質量%である。」と記載され、さらに、同段落【0021】に「また、本発明の調味液は、納豆に対する使用量が質量比(納豆:調味液)で、1:(0.5?5)である。特に、この質量比(納豆:調味液)は、1:(1?4)であることが好ましく、より好ましくは1:(2?4)である。」と記載されているように、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(7) 訂正事項9は、請求項12の「納豆用調味液」について、それが「マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素」を選択肢として含み得る上位概念といえるから、「納豆用調味液」を「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、「納豆用調味液」のうち、「マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素」を除くことは、本件特許に係る発明に何ら新たな技術的事項を導入するものではないし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
さらに、訂正事項9の、請求項12の「納豆用調味液」について、その「20℃における粘度」を「1800?3500cp」から「1864?2940cp」にすることで、また、それが含有する「粘度調整剤」の具体的な化合物及び含有量を「前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり」と特定することで、さらに、その納豆に対する使用量が、「質量比(納豆:納豆用調味液)」で「1:(1?4)の範囲である」から「1:(2?4)の範囲である」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。そして、本件特許明細書の段落【0009】に「本発明における調味液の粘度(20℃)は800?4000cpであり、好ましくは1800?3500cp、更に好ましくは2000?3000cpである。」と記載されているところ、特に、段落【0034】の【表1】の実施例4の粘度(cp)が「1864」であり、同じく実施例7の粘度(cp)が「2940」であることが記載され、また、同段落【0011】に「また、粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを用いる場合には、これらの含有割合の合計が、調味液全体を100質量%とした場合に、1質量%以下であることが好ましく、より好ましは0.1?1質量%、更に好ましくは0.2?0.9質量%、特に好ましくは0.25?0.8質量%である。」と記載され、さらに、同段落【0021】に「また、本発明の調味液は、納豆に対する使用量が質量比(納豆:調味液)で、1:(0.5?5)である。特に、この質量比(納豆:調味液)は、1:(1?4)であることが好ましく、より好ましくは1:(2?4)である。」と記載されているように、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(8) 訂正事項10は、請求項13の「納豆用調味液」について、それが「マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素」を選択肢として含み得る上位概念といえるから、「納豆用調味液」を「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、「納豆用調味液」のうち、「マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素」を除くことは、本件特許に係る発明に何ら新たな技術的事項を導入するものではないし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
さらに、訂正事項10は、請求項13の「納豆用調味液」について、その「20℃における粘度」を「1800?3500cp」から「1864?2940cp」にすることで、また、それが含有する「粘度調整剤」の具体的な化合物及び含有量を「前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり」と特定することで、さらに、その納豆に対する使用量が、納豆1質量部に対して、「1?4質量部添加する」から「2?4質量部添加する」とすることで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。そして、本件特許明細書の段落【0009】に「本発明における調味液の粘度(20℃)は800?4000cpであり、好ましくは1800?3500cp、更に好ましくは2000?3000cpである。」と記載されているところ、特に、段落【0034】の【表1】の実施例4の粘度(cp)が「1864」であり、同じく実施例7の粘度(cp)が「2940」であることが記載され、また、同段落【0011】に「また、粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを用いる場合には、これらの含有割合の合計が、調味液全体を100質量%とした場合に、1質量%以下であることが好ましく、より好ましは0.1?1質量%、更に好ましくは0.2?0.9質量%、特に好ましくは0.25?0.8質量%である。」と記載され、さらに、同段落【0021】に「また、本発明の調味液は、納豆に対する使用量が質量比(納豆:調味液)で、1:(0.5?5)である。特に、この質量比(納豆:調味液)は、1:(1?4)であることが好ましく、より好ましくは1:(2?4)である。」と記載されているように、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(9) 本件訂正前の請求項2ないし9は請求項1の記載を引用する関係にあるから、請求項1ないし9に係る訂正は一群の請求項ごとに請求された訂正であり、本件訂正前の請求項11は請求項10の記載を引用する関係にあるから、請求項10及び11に係る訂正は一群の請求項ごとに請求された訂正である。

3 むすび
よって、本件訂正に係る訂正事項1ないし10は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条4項、並びに、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-9〕、〔10、11〕、12、13について、訂正することを認める。

第3 取消理由についての判断
1 本件特許に係る発明
本件特許の請求項1、3、5ないし10、12、13に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などといい、それらを総合して「本件発明」ともいう。)は、本件訂正により訂正された訂正特許請求の範囲の請求項1、3、5ないし10、12、13に記載された事項により特定されるとおりのものである(「第2 1 (11)」参照。)。

2 取消理由の概要
本件訂正前に当審が通知した平成30年6月4日付けの取消理由通知に記載した取消理由の概要は、以下のとおりである。
(取消理由1) 本件特許の請求項1ないし13に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(取消理由2) 本件特許の請求項1ないし13は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(取消理由3) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消すべきものである。

<特許異議申立人による証拠方法>
特許異議申立人は、特許異議申立書に添付して、次の甲第1ないし16号証を提出する。

(1) 甲第1号証:「Rakutenレシピ 納豆たらこパスタ★レシピ・作り方」,[2018年2月26日検索],インターネット<URL:
http://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1680001865/>
(2) 甲第2号証:「キューピー あえるパスタソース たらこクリーム(70g×2P)×6個」,[2018年2月26日検索],インターネット<URL:
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%BC-%E3%81%82%E3%81%88%E3%82%8B%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9-%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%93%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0-70g%C3%972P-%C3%976%E5%80%8B/dp/B002TYZM3U>
(3) 甲第3号証:「マ・マー いつもとちがうパスタソース生クリームのコクがうれしい たらこクリーム生風味(2人前)64g×10個」,[2018年2月26日検索],インターネット<URL:
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC-%E 3%81%84%E3%81%A4%E3%82%82%E3%81%A8%E3%81%A1%E3%81%8C%E3%81%86%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%E7%94%9F%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%81%8C%E3%81%86%E3%82%8C%E3%81%97%E3%81%84-%E3%81%9F%E3%82%89%E3%8l%93%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E7%94%9F%E9%A2%A8%E5%91%B3-2%E4%BA%BA%E5%89%8D-64g%C3%9710%E5%80%8B/dp/B00AHPGBDI>
(4) 甲第4号証:「ピエトロパスタソース たらこクリーム」,[2018年2月26日検索],インターネット<URL:
https://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M000300/200506300844/attach/tarako.pdf>
(5) 甲第5号証:「ねばねばとろ?んの和風たらこスパゲティ」,[2018年2月26日検索],インターネット<URL:
http://web.archive.org/web/20120901022249/https://cookpad.com/recipe/1911355>
(6) 甲第6号証:「マ・マー あえるだけパスタソース たらこ生風味 2人前×8個」,[2018年2月26日検索],インターネット<URL:
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%9E%E3%83%BC-%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC-%E3%81%82%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%A0%E3%81%91%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9-%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%93%E7%94%9F%E9%A2%A8%E5%91%B3-2%E4%BA%BA%E5%89%8D%C3%978%E5%80%8B/dp/B002ZMJDDG>
(7) 甲第7号証:「cookpad 大好き!麻婆納豆パスタ!」,[2018年2月26日検索],インターネット<URL:
https://cookpad.com/recipe/744551>
(8) 甲第8号証:ウェブサイト「味の素 CookDo 四川式麻婆豆腐用 2人前 60g」,[2018年2月26日検索],インターネット<URL:
https://www.amazon.co.jp/%E5%91%B3%E3%81%AE%E7%B4%A0-CookD‐%E5%9B%9B%E5%B7%9D%E5%BC%8F%E9%BA%BB%E5%A9%86%E8%Bl%86%E8%85%90%E7%94%A8-2%E4%BA%BA%E5%89%8D-60g/clp/B00BBVVXY4>
(9) 甲第9号証:特開平4-112774号公報
(10) 甲第10号証:特開2004-105093号公報
(11) 甲第11号証:特開2013-9671号公報
(12) 甲第12号証:特開平6-261716号公報
(13) 甲第13号証:特開2003-169610号公報
(14) 甲第14号証:国際公開第2009/022596号
(15) 甲第15号証:特開2012-10637号公報
(16) 甲第16号証:特開2012-139194号公報

3 取消理由1及び2(29条1項3号及び29条2項)について
(1) 甲第1ないし16号証の開示事項
(1-1) 甲第1号証の開示事項
・「納豆たらこパスタ★ レシピ・作り方」(標題)

・「材料(1人分)
パスタ 150g
市販のたらこパスタソース 一人分
納豆 1パック
マヨネーズ 小2
刻みのり ひとつまみ」(材料(1人分))

・「作り方
1(当審注:「1」は「□囲いの白抜きの1」)
パスタをお好みのゆで加減でゆでる。私はレンジ用の容器で10分チンします。
2(当審注:「2」は「□囲いの白抜きの2」)
市販のソースと納豆とマヨネーズをよくからめます
3(当審注:「3」は「□囲いの白抜きの3」)
刻みのりをかければ完成★」(作り方)

・(標題)下の写真から、そのパスタは麺状であることが理解できる。

(1-2) 甲第2号証の開示事項
・「キューピー あえるパスタソース たらこクリーム(70g×2P)×6個」(商品名)

・「原材料:クリーム加工品(植物油脂、クリーム、脱脂粉乳)、チーズ加工品(植物油脂、チーズ、脱脂粉乳、乳たん白、バターオイル、食塩)、植物油脂、たらこ、食塩、バター、チーズフード、魚介エキス、砂糖、チキンエキスパウダー、チーズ、酵母エキスパウダー、動物油脂、香辛料、増粘剤(加工でん粉、キサンタンガム)、調味料(アミノ酸等)、着色料(コチニール、カロチノイド)、(原材料の一部に卵・小麦・大豆を含む)」(原材料)

(1-3) 甲第3号証の開示事項
・「マ・マー いつもとちがうパスタソース生クリームのコクがうれしい たらこクリーム生風味(2人前)64g×10個」(商品名)

・「原材料:たらこ、ショートニング、生クリーム、乳等を主要原料とする食品、粉末水あめ、食塩、マーガリン、砂糖、植物油脂、チーズ、たらこエキス、白ワイン、バター、調味料(アミノ酸等)、香料、カゼインNa、コチニール色素、リン酸カリウム、増粘剤(キサンタンガム)、フィチン酸、クチナシ色素、(原料の一部に卵・大豆を含む)、のり」(原材料)

(1-4) 甲第4号証の開示事項
・「商品名:ピエトロパスタソース たらこクリーム」(商品名)

・「110.3g(ソース110g、トッピング0.3g)(1人前)」(内容量)

・「[パスタソース]牛乳、生クリーム、マヨネーズ、たらこ、バター、ホワイトソースルー、食用植物油脂、食塩、昆布茶、風味調味料(かつお)、発酵調味料、魚介エキス、でん粉、酵母エキス、チキンエキス、ホワイトペッパー、調味料(アミノ酸等)、乳化剤、着色料(パプリカ・ベニコウジ・カロチン)、増粘剤(キサンタンガム)、香料、発色剤(亜硝酸Na)、(原材料の一部に乳、小麦、卵、大豆、鶏肉、豚肉、牛肉を含む) [トッピング]のり」(原材料名)

(1-5) 甲第5号証の開示事項
・「ねばねばとろ?んの和風たらこスパゲティ」(標題)

・「材料(2人分)
マ・マー スーパープロント 早ゆでスパゲティ 1.6mm 200g
マ・マー あえるだけパスタソース たらこ生風味 2人前
長芋 4cm
オクラ 4本
納豆 1パック
納豆添付のたれ 1個
温泉たまご 2個」(材料)

・「1
今回はマ・マースーパープロント早ゆでスパゲティ1.6mmとあえるだけパスタソースたらこ生風味を使います。
2
鍋にたっぷりの水と塩少々(分量外)を入れ、火にかける。
3
お湯を沸かしている間に具材を準備する。長芋は皮をむいて1cm角に切り、オクラは板ずりして小口切りにする。
4
ボウルに<3>と納豆を入れ、納豆添付のたれとたらこソースを加えて軽く混ぜる。
5
お湯が沸いたらスパゲティを入れ、袋の表示時間通りにゆでる。ゆであがったらざるにあげ、<4>のボウルに入れてあえる。
6
皿に盛り、温泉たまごをのせ、たらこソースに添付されている切りのりをかける。」(材料の下)

(1-6) 甲第6号証の開示事項
・「マ・マー あえるだけパスタソース たらこ生風味 2人前×8個」(商品名)

・「原材料:パスタソース、乳等を主要原料とする食品、魚卵(北海道産すけとうだら55%、まだら)、植物油脂、生クリーム、食塩、砂糖、マーガリン、バター、調味料(アミノ酸)、香料、増粘多糖類、フィチン酸、(原材料の一部に卵、大豆を含む)、」(原材料)

(1-7) 甲第7号証の開示事項
・「大好き!麻婆納豆パスタ!」(標題)

・「材料(2人分)
麻婆豆腐の素 1回分
納豆 2パック
水 50cc
ネギ お好みで」(材料)

・「1
先にパスタを茹でておきます。
(以降の行程は10分かかりませんのでお早めに!)
2
麻婆豆腐の素の作り方通りに【豆腐抜き】で作ります。
(トロミまでつけちゃってOK)
3
トロミの様子を見つつ水を50ccほど足します。
(濃い目が好きなら少なめで!)
4
一旦火を止め納豆を投入。(納豆は混ぜない方が匂いが気にならないと思います)
これで麻婆納豆ソース完成です。
5
ゆであがったパスタに【4】をかけて出来上がり。
6
添付のトロミ粉には基本的にネギが入っているので、ネギやニラを足す時は【2】で豆腐の代わりに入れてください。
7
増やす水の量を追記しました
(2009/03/16)」(材料の下)

・(標題)下の写真から、そのパスタは麺状であることが理解できる。

(1-8) 甲第8号証の開示事項
・「味の素 CookDo 四川式麻婆豆腐用 2人前 60g」(商品名)

・「・原材料:液体調味料:しょうゆ、植物油脂(ごま油、大豆油)、にんにく、甜麺醤、豆板醤、砂糖、トウチ、発酵調味料、辣油、食塩、チキンエキス、チキンオイル、花椒、調味料(アミノ酸)、糊料(キサンタン)、パプリカ色素、酸味料、(小麦を原材料の一部に含む)とろみの素:でん粉」(原材料)

(1-9) 甲第9号証の開示事項
・「本発明は新規なソースに関し、更に詳細には粘度が高く、特にパスタ料理に使用するのに適したソースに関する。」(1ページ左欄14-16行)

・「増粘剤としては、食品用ガム類であれば特に限定されず、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム等が用いられる。増粘剤の配合量は0.1?0.4部が好ましい。」(2ページ左下欄1-4行)

・「本発明のソースの粘度は、前述の増粘剤の添加により、B型粘度計での測定値が1000?4000cPに調整する。1000cP未満では、ソースのパスタ等への付着が不充分となり、またソースの配合原料の分離、沈澱、変敗を生じやすく、安定性が損なわれ、一方4000cPを超えるとパスタ等へのソースの付着量が多すぎ食味、食感が損なわれる。」(2ページ左下欄7-13行)

・「実施例1.
・・・・・・キサンタンガム0.25部を分散した。・・・・・得られた本発明のソースの粘度は1500cPであり、食味、食感ともにパスタおよび生野菜を一緒に食するのに適したものであった。」(2ページ右下欄16行-3ページ左上欄13行)

・「実施例2.
・・・・・・キサンタンガム0.2部を分散した。・・・・・・得られた本発明のソースの粘度は2000cPであり、食味、食感ともにパスタおよび生野菜を一緒に食するのに適したものであった。」(3ページ左上欄15行-同右上欄12行)

・「実施例3.
・・・・・・キサンタンガム0.3部を分散した。・・・・・・得られた本発明のソースの粘度は1500cPであり、食味、食感ともにパスタおよび生野菜を一緒に食するのに適したものであった。」(3ページ右上欄14行-同左下欄11行)

(1-10) 甲第10号証の開示事項
・「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タラ、マダラ、スケトウダラ、ニシン、飛魚、シシャモ等の腹子である魚卵をバラしたバラ卵を用いて、即席炒飯の素、パスタソース、サラダソース、パンのフィリング、ピザソース等として用いることができる密封容器詰め魚卵食品に関する。」

・「【0017】
次に、本発明の魚卵食品の粘度は、5℃?35℃における粘度が2,000mPa・s以上500,000mPa・s以下であると好ましい。粘度が2,000mPa・s未満であると、粘度がゆるい為、パスタ等にかけたときに、パスタには絡みやすいが、パスタと接する部分が多くなるため、パスタに吸収される成分が多くなり、味わいが減退してしまい、粘度が500,000mPa・sを超えると、粘度が高い為に、パスタ等にかけても、絡めるのが困難となる。なお、パスタソースとして用いる場合には、2,000mPa・s以上20,000mPa・s以下であると、特にかけやすく絡みやすいのでより好ましい。なお、粘度は常法に従い用いる油脂の種類や、その他増粘安定剤、澱粉類等を添加して適宜調整するとよい。なお、粘度は、B型粘度計を用い、常法にしたがって、示度30以上80以下を示すようにローターと回転速度を適宜選択し、No.1?No.7のローターで2?10rpmの回転速度を選択して測定した数値である。」

・「【0022】
次に本発明の実施例を詳細に説明する。
実施例1
スケトウダラの腹子を、5%の食塩水で洗浄し、目開き1mmの篩により、きょう雑物を取り除き、得られた30kgのバラタラコ(水分70%)と、菜種油30kg、水5kg、食塩3kg、粉末調味料6kg、α化でん粉0.5kgを混合した後加熱し、70℃に達温後、30秒間温度保持したところで密封容器に30gずつ充填密封し、本発明の密封容器詰め魚卵食品とした。
1ヶ月常温で保管後、開封したところ、水分活性は0.85で腐敗しておらず、pH6.0、粘度は室温で4000mPa・sであった。
これを、茹で上げたパスタにかけて絡めたところ、和え易く、パスタのツヤや照りが良く、魚卵の風味が豊かで美味しいタラコパスタであった。
また、皮を剥いて茹でたジャガイモにかけて軽くかき混ぜたところ、和え易く、食品素材に和え易い粘度であった。そして得られたタラコポテトサラダは、食したところ、魚卵の風味が豊かで、美味しかった。」

・「【0038】
表5から、粘度がゆるいとパスタへの絡みは良いものの、パスタに吸われやすくなるため、たらこの風味が弱くなってしまい、また、粘度が高いとパスタへ絡み難くなり、味の濃いところと薄いところができ、味にバラツキができることが分る。これらに対し、2000mPa・s以上50万mPa・s以下、とりわけ2000mPa・s以上2万mPa・s以下では、たらこの風味が十分であるだけでなく、パスタへの絡みも良いことが分かる。」

(1-11) 甲第11号証の開示事項
・「【0017】
本発明の粘性液状食品の25℃における粘度は300?4000mPa・sであり、より好ましくは500?4000mPa・s、更に好ましくは500?3000mPa・sである。「25℃における粘度」は、B型粘度計を用いて、測定試料温度:25℃、ローター:No.3又はNo.4、回転数:60rpm、測定時間:30秒の条件にて測定される粘度を指す。B型粘度計の例としては東機産業株式会社RB-80L型が挙げられる。前記粘度が300mPa・s未満である場合、肉、野菜などの素材や、米飯、麺などの食材との絡みが悪くなる。加えて、味が薄く感じられ、風味やコクが弱くなる。一方、前記粘度が4000mPa・sよりも高い粘性液状食品は、ボテボテとした物性を有し口当たりが悪い。加えて、トップノートが弱く風味がぼやけるため好ましくない。」

(1-12) 甲第12号証の開示事項
・「【0006】本発明の豆腐ソースは、粘度を6000?8500cp、特に6400?8400cpにすることが好ましい。このように粘度を限定するのは、上記範囲を超える場合には、豆腐から分離した水が豆腐ソースに浸透できず、水滴が発生し易くなるからであり、一方、上記範囲を下回る場合には、豆腐ソースが豆腐に効果的に付着せず、豆腐料理の風味が低下するからである。尚、本発明の粘度は、B型粘度計を用いて、品温60°C、ローターNo.4、回転数12rpmの条件で測定した値である。本発明の豆腐ソースの種類としては、豆腐の調理に使用できるソースであれば、特に制限されないが、特に麻婆ソースに適している。以下、麻婆ソースに基づき本発明を説明する。本発明の電子レンジ調理用麻婆豆腐ソースは、野菜ペースト、肉、油脂、調味料、澱粉及び/又は増粘剤を含み、60℃における粘度が、6000?8500cpであることを特徴とするものである。本発明で用いる野菜ペーストには、例えばトマト、ねぎ、しいたけ、にんにく、しょうが等の野菜を、カッターミキサー等の常法で破砕又はすりおろし、ペースト状にしたものがある。その使用量は、特に制限されないが、麻婆ソース全体に対して0.5?10重量%、特に1.0?5.0重量%とするのが好ましい。」

(1-13) 甲第13号証の開示事項
・「【0007】本発明の液状又はペースト状食品は、液状物又はペースト状物を含むものであればよく、具体的には、従来からグラタンを作る際に使用されているトマトソースやホワイトソースを代表的なものとして挙げることができ、その他にもミートソース、デミグラスソース、味噌ソース、麻婆ソース又はこれらの類似品などのソース類を挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。」

(1-14) 甲第14号証の開示事項
「供試内容物:麻婆豆腐の素(市販業務用麻婆豆腐の素大型パウチ入りをリパック、粘度40℃-1500mPa・s、60℃-1210mPa・s、80℃-1010mPa・s) * 粘度計はB型粘度計を用いて50rpmの条件で測定。」(段落[0084])

(1-15) 甲第15号証の開示事項
・「【0016】
本発明の粉末調味料を用いた食品に特に限定はないが、とろみが付与され、さらに維持される点から、酢豚、麻婆豆腐、エビチリ、八宝菜などのとろみを有する中華料理が特に好ましい。さらには、とろみが維持される粘度として室温(30℃)で800cp?9000cpの粘度の食品が特に好ましい。粘度は特に断りのない限り、本願発明の粉末調味料を熱水で6倍に希釈し、沸騰水中で5分加熱し、冷却後、30℃にてB型粘度計で測定したときの粘度が800cp?9000cpである粘状加工食品の粘度を言う。粘度がこれ以下だと、具材とたれが絡みにくく好ましくない。粘度がこれ以上だとたれがぼってりとした食感になり好ましくない。」

(1-16) 甲第16号証の開示事項
・「【0089】
《実施例9:豆腐含有低粘性液体スープレトルト食品の製造》
本実施例では、喫食時に高粘性の液体スープを含む麻婆豆腐を製造した。耐熱性熱不可逆性ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン(タップフィル8:日本コーンスターチ株式会社)2質量部、及び水40質量部を混合することによって、液体スープを得た。得られた液体スープに、肉・野菜類(豚ひき肉、玉ねぎ等)を5質量部、調味料(豆板醤)を3質量部、及び香辛料(コショウ、及び唐辛子など)0.5質量部加え、80℃に加温した。得られた液体スープは、2000cpsの粘度を示した。液体スープ及び豆乳スープに用いた増粘剤及び粘度を表2に示す。得られたレトルト食品の評価を表4に示す。」

(2) 本件発明1について
(ア) 甲第1号証に基いて
甲第1号証には、本件発明1に倣うと、以下の「甲1発明」が開示されていると認められる。
「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズであって、
前記納豆たらこパスタのソースは、麺状のパスタとからめる市販のたらこパスタソースとマヨネーズ。」

本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「1人分に対し1パック分の納豆とからめ」る態様は本件発明1の「納豆と混合」する態様に相当し、以下同様に、「納豆たらこパスタのソース」は調味された納豆といえることから「調味納豆」に、「麺状のパスタ」は「食材」に、「からめる」態様は「混合して使用される」態様に、それぞれ相当する。
そして、甲1発明の「(1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする)市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」は納豆用の調味液といえることから、結局、本件発明1の「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」と甲1発明の「市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」とは「納豆用の調味液」の限りにおいて一致し、本件発明1の「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用調味液」と甲1発明の「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」とは「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用の調味液であって、
前記調味納豆は、食材と混合して使用される納豆用の調味液。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点1-1-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明1は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲1発明では、「市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」である点。

[相違点1-1-2] 「納豆用の調味液」の粘度及び使用量に関し、本件発明1は「粘度調整剤を含み、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆に対する使用量が質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(2?4)で用いられるものであ」るのに対し、甲1発明では、「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」であるものの、その余については不明である点。

相違点1-1-1について検討すると、甲1発明の「市販のたらこパスタソース」と「マヨネーズ」は、本件発明1が含むことを除いている「たらこパスタソース」と「マヨネーズ」に相当するから、実質的な相違点であるところ、いわゆるレシピを開示する甲第1号証は、材料として「市販のたらこパスタソース」や「マヨネーズ」を用いないことを想定しないものであるから、甲1発明において材料の「市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」を用いないことを開示も示唆もしないのであって、さらに、甲第2ないし16号証にも開示も示唆もないから、その動機付けがあるとはいえず、甲1発明をして相違点1-1-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点1-1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に開示された発明(甲1発明)ではなく、さらに、甲第1号証に開示された発明(甲1発明)並びに甲第2ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ) 甲第5号証に基いて
甲第5号証には、本件発明1に倣うと、以下の「甲5発明」が開示されていると認められる。
「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれであって、
前記パスタソースは、スパゲティとあえる2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ。」

本件発明1と甲5発明とを対比すると、甲5発明の「1パック分の納豆と混ぜ」る態様は本件発明1の「納豆と混合」する態様に相当し、以下同様に、「(納豆と混ぜた)パスタソース」は調味された納豆といえることから「調味納豆」に、「スパゲティ」は「食材」に、「(スパゲティと)あえる」態様は「混合して使用される」態様に、それぞれ相当する。
そして、甲5発明の「(1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする)2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」は納豆用の調味液といえることから、結局、本件発明1の「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」と甲5発明の「2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」とは「納豆用の調味液」の限りにおいて一致し、本件発明1の「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用調味液」と甲5発明の「1パック分の納豆と混合して、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」とは「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用の調味液であって、
前記調味納豆は、食材と混合して使用される納豆用の調味液。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点1-5-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明1は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲5発明では、「2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」である点。

[相違点1-5-2] 「納豆用の調味液」の粘度及び使用量に関し、本件発明1は「粘度調整剤を含み、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆に対する使用量が質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(2?4)で用いられるものであ」るのに対し、甲5発明では、「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」であるものの、その余については不明である点。

相違点1-5-1について検討すると、甲5発明の「2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味」と(それと共に用いる)「1個の納豆添付のたれ」は、本件発明1が含むことを除いている「たらこパスタソース」といえる「パスタソースたらこ生風味」及び「パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液」に相当するから、実質的な相違点であるところ、いわゆるレシピを開示する甲第5号証は、材料として「マ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味」や「(それと共に用いる)納豆添付のたれ」を用いないことを想定しないものであるから、甲5発明において材料の「(マ・マーあえるだけ)パスタソースたらこ生風味」と「(マ・マーあえるだけ)パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液」を用いないことを開示も示唆もしないのであって、さらに、甲第1ないし4及び6ないし16号証にも開示も示唆もないから、その動機付けがあるとはいえない。仮に、甲5発明の「マ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味」を一般的な「たらこパスタソース」で代用することができるとしても、結局、「たらこパスタソース」は本件発明1において含むことを除かれている。そうすると、甲1発明をして相違点1-5-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点1-5-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第5号証に開示された発明(甲5発明)ではなく、さらに、甲第5号証に開示された発明(甲5発明)並びに甲第1ないし4及び6ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(ウ) 甲第7号証に基いて
甲第7号証には、本件発明1に倣うと、以下の「甲7発明」が開示されていると認められる。
「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50ccであって、
前記麻婆納豆ソースは、麺状のパスタにかける2人分の麻婆豆腐の素と水50cc。」

本件発明1と甲7発明とを対比すると、甲7発明の「2パック分の納豆を投入」する態様は本件発明1の「納豆と混合」する態様に相当し、以下同様に、「麻婆納豆ソース」は「調味納豆」に、「麺状のパスタ」は「食材」に、「かける」態様は「混合して使用される」態様に、それぞれ相当する。
そして、甲7発明の「(2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする)2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」は納豆用の調味液といえることから、結局、本件発明1の「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」と甲7発明の「2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」とは、「納豆用の調味液」の限りにおいて一致し、本件発明1の「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用調味液」と甲7発明の「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」とは「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用の調味液であって、
前記調味納豆は、食材と混合して使用される納豆用の調味液。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点1-7-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明1は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲1発明では、「2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」である点。

[相違点1-7-2] 「納豆用の調味液」の粘度及び使用量に関し、本件発明1は「粘度調整剤を含み、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆に対する使用量が質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(2?4)で用いられるものであ」るのに対し、甲7発明では、「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」であるものの、その余については不明である点。

相違点1-7-1について検討すると、甲7発明の「麻婆豆腐の素」は、本件発明1が除外する「麻婆豆腐の素」であるから、実質的な相違点であるところ、いわゆるレシピを開示する甲第7号証は、材料として「麻婆豆腐の素」を用いないことを想定しないものであるから、甲7発明において材料の「麻婆豆腐の素」を用いないことを開示も示唆もしないのであって、さらに、甲第1ないし6及び8ないし16号証にも開示も示唆もないから、その動機付けがあるとはいえず、甲7発明をして相違点1-7-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、相違点1-7-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第7号証に開示された発明(甲7発明)ではなく、さらに、甲第7号証に開示された発明(甲7発明)並びに甲第1ないし6及び8ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3) 本件発明3及び5ないし9について
本件発明3及び5ないし9は、少なくとも本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、既に「(2)」にて検討したことを考慮すると、本件発明3及び5ないし9は、(ア)甲第1号証に開示された発明(甲1発明)でなく、さらに、甲第1号証に開示された発明(甲1発明)並びに甲第2ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでないし、(イ)甲第5号証に開示された発明(甲5発明)でなく、さらに、甲第5号証に開示された発明(甲5発明)並びに甲第1ないし4及び6ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでなく、(ウ)甲第7号証に開示された発明(甲7発明)でなく、さらに、甲第7号証に開示された発明(甲7発明)並びに甲第1ないし6及び8ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(4) 本件発明10について
(ア) 甲第1号証に基いて
甲第1号証には、本件発明10に倣うと、以下の「甲1使用方法発明1」が開示されていると認められる。
「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズの使用方法。」

本件発明10と甲1使用方法発明1とを対比すると、甲1使用方法発明1の「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」は納豆用の調味液といえるから、結局、本件発明10の「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」と甲1使用方法発明1の「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」とは「納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液の使用方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点10-1-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明10は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲1使用方法発明1では「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」である点。

[相違点10-1-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明10は「粘度調整剤を含」み「前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲である」のに対し、甲1使用方法発明1では、「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」であるものの、その余については不明である点。

両相違点について検討すると、相違点10-1-1については既に「(2)(ア)」にて検討した相違点1-1-1と同様であるから、「(2)(ア)」にて検討したことからすれば、本件発明10は、甲第1号証に開示された発明(甲1使用方法発明1)でなく、さらに、甲第1号証に開示された発明(甲1使用方法発明1)並びに甲第2ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ) 甲第5号証に基いて
甲第5号証には、本件発明10に倣うと、以下の「甲5使用方法発明1」が開示されていると認められる。
「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれの使用方法。」

本件発明10と甲5使用方法発明1とを対比すると、甲5使用方法発明1の「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」は納豆用の調味液といえるから、結局、本件発明10の「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」と甲5使用方法発明1の「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」とは、「納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液の使用方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点10-5-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明10は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲5使用方法発明1では「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」である点。

[相違点10-5-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明10は「粘度調整剤を含」み「前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲である」のに対し、甲5使用方法発明1では、「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」であるものの、その余については不明である点。

上記相違点について検討すると、相違点10-5-1については既に「(2)(イ)」にて検討した相違点1-5-1と同様であるから、「(2)(イ)」にて検討したことからすれば、本件発明10は、甲第5号証に開示された発明(甲5使用方法発明1)でなく、さらに、甲第5号証に開示された発明(甲5使用方法発明1)並びに甲第1ないし4及び6ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(ウ) 甲第7号証に基いて
甲第7号証には、本件発明10に倣うと、以下の「甲7使用方法発明1」が開示されていると認められる。
「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50ccの使用方法。」

本件発明10と甲7使用方法発明1とを対比すると、甲7使用方法発明1の「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」は納豆用の調味液といえるから、結局、本件発明10の「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」と甲7使用方法発明1の「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」とは、「納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液の使用方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点10-7-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明10は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲7使用方法発明1では「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」である点。

[相違点10-7-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明10は「粘度調整剤を含」み「前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲である」のに対し、甲7使用方法発明1では、「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」であるものの、その余については不明である点。

上記相違点について検討すると、相違点10-7-1については既に「(2)(ウ)」にて検討した相違点1-7-1と同様であるから、「(2)(ウ)」にて検討したことからすれば、本件発明10は、甲第7号証に開示された発明(甲7使用方法発明1)でなく、、さらに、甲第7号証に開示された発明(甲7使用方法発明1)並びに甲第1ないし6及び8ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5) 本件発明12について
(ア) 甲第1号証に基いて
甲第1号証には、本件発明12に倣うと、以下の「甲1使用方法発明2」が開示されていると認められる。
「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズの使用方法であって、
納豆とからめて納豆たらこパスタのソースとして、
前記納豆たらこパスタのソースを麺状のパスタとからめる市販のたらこパスタソースとマヨネーズの使用方法。」

本件発明12と甲1使用方法発明2とを対比すると、甲1使用方法発明2の「納豆とからめ」る態様は本件発明12の「納豆と混合」する態様に相当し、以下同様に、「納豆たらこパスタのソース」は調味された納豆といえることから「調味納豆」に、「麺状のパスタ」は「食材」に、「からめる」態様は「混合して使用する」態様に、「納豆とからめて納豆たらこパスタのソースと」する態様は「納豆と混合して調味納豆を得」る態様に、それぞれ相当する。
そして、甲1使用方法発明2の「(1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする)市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」は納豆用の調味液といえるから、結局、本件発明12の「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」と甲1使用方法発明2の「市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」とは「納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液の使用方法であって、
納豆と混合して調味納豆を得て、
前記調味納豆を食材と混合して使用する納豆用の調味液の使用方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点12-1-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明12は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲1使用方法発明2では「市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」である点。

[相違点12-1-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明12は「粘度調整剤を含」み「前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲で」あるのに対し、甲1使用方法発明2では、「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」であるものの、その余については不明である点。

上記相違点について検討すると、相違点12-1-1については既に「(2)(ア)」にて検討した相違点1-1-1と同様であるから、「(2)(ア)」にて検討したことからすれば、本件発明12は、甲第1号証に開示された発明(甲1使用方法発明2)でなく、さらに、甲第1号証に開示された発明(甲1使用方法発明2)並びに甲第2ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ) 甲第5号証に基いて
甲第5号証には、本件発明12に倣うと、以下の「甲5使用方法発明2」が開示されていると認められる。
「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれの使用方法であって、
納豆と混ぜてパスタソースとして、
前記パスタソースをスパゲティとあえる2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれの使用方法。」

本件発明12と甲5使用方法発明2とを対比すると、甲5使用方法発明2の「納豆と混ぜ」る態様は「納豆と混合」する態様に相当し、以下同様に、「パスタソース」は調味された納豆といえることから「調味納豆」に、「スパゲティ」は「食材」に、「あえる」態様は「混合して使用する」態様に、「納豆と混ぜてパスタソースと」する態様は「納豆と混合して調味納豆を得」る態様に、それぞれ相当する。
そして、甲5使用方法発明2の「(1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする)2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」は納豆用の調味液といえるから、結局、本件発明12の「納豆用調味液」と甲5使用方法発明2の「2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」とは「納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液の使用方法であって、
納豆と混合して調味納豆を得て、
前記調味納豆を食材と混合して使用する納豆用の調味液の使用方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点12-5-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明12は、「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲5使用方法発明2では「2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」である点。

[相違点12-5-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明12は、「粘度調整剤を含」み「前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲である」のに対し、甲5使用方法発明2では、「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」であるものの、その余については不明である点。

上記相違点について検討すると、相違点12-5-1については既に「(2)(イ)」にて検討した相違点1-5-1と同様であるから、「(2)(イ)」にて検討したことからすれば、本件発明12は、甲第5号証に開示された発明(甲5使用方法発明2)でなく、さらに、甲第5号証に開示された発明(甲5使用方法発明2)並びに甲第1ないし4及び6ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(ウ) 甲第7号証に基いて
甲第7号証には、本件発明12に倣うと、以下の「甲7使用方法発明2」が開示されていると認められる。
「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50ccの使用方法であって、
納豆を投入して麻婆納豆ソースとして、
前記麻婆納豆ソースを麺状のパスタにかける2人分の麻婆豆腐の素と水50ccの使用方法。」

本件発明12と甲7使用方法発明2とを対比すると、甲7使用方法発明の「納豆を投入」する態様は本件発明12の「納豆と混合」する態様に相当し、以下同様に、「麻婆納豆ソース」は調味された納豆といえることから「調味納豆」に、「麺状のパスタ」は「食材」に、「(麺状のパスタに)かける」態様は「(食材と)混合して使用する」態様に、「納豆を投入して麻婆納豆ソースと」する態様は「納豆と混合して調味納豆を得」る態様に、それぞれ相当する。
そして、甲7使用方法発明2の「(2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする)2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」は納豆用の調味液といえるから、結局、本件発明12の「納豆用調味液」と甲7使用方法発明2の「2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」とは「納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液の使用方法であって、
納豆と混合して調味納豆を得て、
前記調味納豆を食材と混合して使用する納豆用の調味液の使用方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点12-7-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明12は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲7使用方法発明2では「2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」である点。

[相違点12-7-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明12は「粘度調整剤を含」み「前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲で」あるのに対し、甲7使用方法発明2では、「2パック分の納豆を投入して、麻婆納豆ソースとする2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」であるものの、その余については不明である点。

上記相違点について検討すると、相違点12-7-1については既に「(2)(ウ)」にて検討した相違点1-7-1と同様であるから、「(2)(ウ)」にて検討したことからすれば、本件発明12は、甲第7号証に開示された発明(甲7使用方法発明2)でなく、さらに、甲第7号証に開示された発明(甲7使用方法発明2)並びに甲第1ないし6及び8ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(6) 本件発明13について
(ア) 甲第1号証に基いて
甲第1号証には、本件発明13に倣うと、以下の「甲1方法発明」が開示されていると認められる。
「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする市販のたらこパスタソースとマヨネーズを納豆とからめる方法。」

本件発明13と甲1方法発明とを対比すると、甲1方法発明の「納豆とからめる」態様は本件発明13の「納豆に添加する」態様に相当する。
そして、甲1方法発明の「(1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする)市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」は納豆用の調味液といえるから、結局、本件発明13の「納豆用調味液」と甲1方法発明の「市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」とは「納豆用調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液を納豆に添加する方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点13-1-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明13は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲1方法発明では「市販のたらこパスタソースとマヨネーズ」である点。

[相違点13-1-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明13は「粘度調整剤を含む」「納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液を、納豆1質量部に対して、2?4質量部添加する」のに対し、甲1方法発明では、「1人分に対し1パック分の納豆とからめて、納豆たらこパスタのソースとする」ものの、その余については不明である点。

[相違点13-1-3] 「方法」に関し、本件発明13は「納豆の風味向上方法」であるのに対し、甲1方法発明では、そのような方法であるか不明である点。

上記相違点について検討すると、相違点13-1-1については既に「(2)(ア)」にて検討した相違点1-1-1と同様であるから、「(2)(ア)」にて検討したことからすれば、本件発明13は、甲第1号証に開示された発明(甲1方法発明)でなく、さらに、甲第1号証に開示された発明(甲1方法発明)並びに甲第2ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ) 甲第5号証に基いて
甲第5号証には、本件発明13に倣うと、以下の「甲5方法発明」が開示されていると認められる。
「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれを納豆に混ぜる方法。」

本件発明13と甲5方法発明とを対比すると、甲5方法発明の「納豆と混ぜる」態様は本件発明13の「納豆に添加する」態様に相当する。
そして、甲5方法発明の「(1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする)2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」は納豆用の調味液といえるから、本件発明13の「納豆用調味液」と甲5方法発明の「2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」とは、「納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液を納豆に添加する方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点13-5-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明13は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲5方法発明では「2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」である点。

[相違点13-5-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明13は「粘度調整剤を含む」「納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液を、納豆1質量部に対して、2?4質量部添加する」のに対し、甲5方法発明では、「1パック分の納豆と混ぜて、パスタソースとする2人分のマ・マーあえるだけパスタソースたらこ生風味と1個の納豆添付のたれ」であるものの、その余については不明である点。

[相違点13-5-3] 「方法」に関し、本件発明13は「納豆の風味向上方法」であるのに対し、甲5方法発明では、そのような方法であるか不明である点。

上記相違点について検討すると、相違点13-5-1については既に「(2)(イ)」にて検討した相違点1-5-1と同様であるから、「(2)(イ)」にて検討したことからすれば、本件発明13は、甲第5号証に開示された発明(甲5方法発明)でなく、さらに、甲第5号証に開示された発明(甲5方法発明)並びに甲第1ないし4及び6ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(ウ) 甲第7号証に基いて
甲第7号証には、本件発明13に倣うと、以下の「甲7方法発明」が開示されていると認められる。
「2人分の麻婆豆腐の素と水50ccを2パック分の納豆に投入する方法。」

本件発明13と甲7方法発明とを対比すると、甲7方法発明の「(2人分の麻婆豆腐の素と水50cc)を2パック分の納豆に投入する」態様は本件発明13の「(納豆用調味液)を納豆に添加する」態様に相当する。
そして、甲7方法発明の「(2パック分の納豆に投入する)2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」は納豆用の調味液といえるから、結局、本件発明13の「納豆用調味液」と甲7方法発明の「2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」とは「納豆用の調味液」の限りにおいて一致している。

したがって、両者は、
「納豆用の調味液を納豆に添加する方法。」
の点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[相違点13-7-1] 「納豆用の調味液」に関し、本件発明13は「納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)」であるのに対し、甲7方法発明では「2人分の麻婆豆腐の素と水50cc」である点。

[相違点13-7-2] 「納豆用の調味液」の粘度と使用量に関し、本件発明13は「粘度調整剤を含む」「納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、前記納豆用調味液を、納豆1質量部に対して、2?4質量部添加する」のに対し、甲7方法発明では、「2人分の麻婆豆腐の素と水50ccを2パック分の納豆に投入する」ものの、その余については不明である点。

[相違点13-7-3] 「方法」に関し、本件発明13は「納豆の風味向上方法」であるのに対し、甲7方法発明では、そのような方法であるか不明である点。

上記相違点について検討すると、相違点13-7-1については既に「(2)(ウ)」にて検討した相違点1-7-1と同様であるから、「(2)(ウ)」にて検討したことからすれば、本件発明13は、甲第7号証に開示された発明(甲7方法発明)でなく、さらに、甲第7号証に開示された発明(甲7方法発明)並びに甲第1ないし6及び8ないし16号証に開示された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 理由3(36条6項1号)について
本件特許明細書の段落【0004】、【0005】の記載からして、本件発明が解決しようとする課題は、「納豆との混ぜ合わせが容易であり、納豆独特の糸引き感や風味を損なうことなく、納豆を調味することができる調味液を提供すること」と認められる。
そして、同段落【0007】、【0022】等の記載によれば、本件発明に係る納豆用調味液は、粘度調整剤により特定の粘度範囲に調整されており、かつ、納豆に対して特定の割合で使用されるものであるために、納豆との混ぜ合わせが容易であり、納豆独特の糸引き感や風味を損なうことなく、納豆を調味することができるものと理解される。この点、本件発明では、「20℃における粘度」が「1864?2940cpであり」、かつ、「前記納豆に対する使用量が」「質量比(納豆:納豆用調味液)で」「1:(2?4)で用いられる」、「納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲で納豆と混合して調味納豆を得」る、或いは「納豆用調味液を、納豆1質量部に対して、2?4質量部添加する」ことが特定されている。
ところで、本件特許明細書に「実施例」として記載された各「実験例」の評価に関し、本件特許明細書には
「【0040】
(a)調味液と納豆との混ぜやすさ
調味液と納豆との混ぜやすさを下記の基準で評価し、結果を表3に示した。
「◎」;非常に混ぜやすい
「○」;混ぜやすい
「△」;やや混ぜやすい
「×」;混ぜにくい
【0041】
(b)調味納豆と食材との絡み
調味納豆と食材[豆腐(約400g)]とを、質量比(調味納豆:食材)で、1:2)となるように混ぜ合わせ、調味納豆と食材との絡みを下記の基準で評価し、結果を表3に示した。
「◎」;非常に絡みやすい
「○」;絡みやすい
「△」;やや絡みやすい
「×」;絡みにくい
【0042】
(c)喫食時の糸引き
上記(b)のように食材と絡めた調味納豆における糸引き感を下記の基準で評価し、結果を表3に示した。
「◎」;非常に好ましい
「○」;好ましい
「△」;やや好ましい
「×」;好ましくない
【0043】
(d)納豆の風味
上記(b)のように食材と絡めた調味納豆における納豆の風味を下記の基準で評価し、結果を表3に示した。
「◎」;非常に良い
「○」;良い
「△」;やや良い
「×」;悪い
【0044】
<総合評価>
上記(a)?(d)の各評価結果を下記の基準で評価し、結果を表3に示した。
「◎」;非常に好ましい[上記(a)?(d)の各評価結果が「◎」又は「○」であり、「◎」の数が3つ以上である]
「○」;好ましい[上記(a)?(d)の各評価結果が「◎」又は「○」であり、「◎」の数が2つ以下である]
「△」;やや好ましい[上記(a)?(d)の各評価結果に「△」があり、「×」がない]
「×」;好ましくない[上記(a)?(d)の各評価結果に「×」がある。]」
と記載されているものの、特に、解決しようとする課題に直接合致する「(a)調味液と納豆との混ぜやすさ」の項目について、どのような場合に「×」;混ぜにくいと評価し、「(c)喫食時の糸引き」の項目について、どのような場合に「×」;好ましくないと評価し、「(d)納豆の風味」の項目について、どのような場合に「×」;悪いと評価するのか、その評価基準について本件特許明細書中に記載がなく、必ずしも明らかであるとはいえない。この評価基準が明らかといえないことは「◎」、「○」及び「△」についても同様である。
そして、表1ないし3の記載は次のとおりである。





しかしながら、上記(a)、(c)及び(d)の評価の3項目について個別に検討すると、「比較例」(従来品)を含め「×」と評価されたものはない。換言すると、「比較例」も含めいずれの「実験例」でも納豆との混ぜ合わせが混ぜにくいものはなく、納豆独特の糸引き感や風味を損なうものはないことに注目すると、各項目の評価結果を総合して評価した総合評価を行っているとしても、「20℃における粘度」が「1864?2940cpであり」、かつ、「前記納豆に対する使用量が」「質量比(納豆:納豆用調味液)で」「1:(2?4)で用いられる」、「納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲で納豆と混合して調味納豆を得」る、或いは「納豆用調味液を、納豆1質量部に対して、2?4質量部添加する」範囲内において「×」評価がないことで、本件発明の課題が解決できるものと解することができる。そうすると、上記(a)、(c)及び(d)の評価の3項目に関し、「従来品」程度の評価であればよいことからすると、「従来品」に劣る評価「×」の判断基準が明らかではないことが本件発明の課題解決のために直接問題となるものではないといい得る。なお、「×」と評価されているのは、項目「(b)調味納豆と食材との絡み」に関しての「実験例1」及び「比較例」のみであるが、この項目自体は解決しようとする課題に直接合致するものではない。
また、本件発明において特定する粘度範囲及び納豆に対して納豆用調味液の使用量(添加量)の割合に関し、両者の上限値及び下限値の組み合わせとして、粘度が上限の2940cpであって納豆に対する使用量(添加量)が下限の1:2及び上限の1:4である点、並びに、粘度が下限の1864cpであって納豆に対する使用量(添加量)が下限の1:2及び上限の1:4である4点(以下、順に「A点」ないし「D点」という。」)について、本件特許明細書に上記(a)、(c)及び(d)の3項目に係る評価結果(実験例)がB点及びD点について記載されていないことから、それらがどのような評価になるかを検討すると、この4点(で囲まれる範囲内)において、上記(a)、(c)及び(d)の3項目に関し、評価が「×」とならないことは、次のように認識できるといえる。
すなわち、4点のうちの、A点(2940,2)では実験例7から(a)、(c)及び(d)が「◎」であり、C点(1864,2)では実験例4から(a)及び(c)が「◎」で(d)が「○」であって、既知であるから、使用量(添加量)が上限のB点及びD点での評価がどのように認識されるかについて検討する。まず、粘度が2400cpについて、納豆用調味液の使用量(添加量)が上限の1:4(「実験例13」)では(a)及び(c)が「◎」で(d)が「○」であり、上限より低い1:3(「実験例12」)では(a)、(c)及び(d)が「◎」であり、上限より高い1:5(「実験例14」)では、(a)が「◎」、(c)が「○」で(d)が「△」であるから、(d)が納豆用調味液の使用量(添加量)が高くなると低評価となる傾向が看てとれる。次に、納豆用調味液の使用量(添加量)が1:3について、粘度2400cp(「実験例12」)では(a)、(c)及び(d)が「◎」であり、下限内で最低の1940cp(「実験例17」)では(a)、(c)が「◎」で(d)が「○」であり、上限内で最高の2593cp(「実験例18」)では(a)が「◎」で(c)及び(d)が「○」であるから、(c)及び(d)が粘度が高くなると低評価となる傾向が看てとれ、(d)が粘度が低くなると低評価となる傾向が看てとれる。そうすると、これら使用量(添加量)及び粘度の両方の低評価となる傾向を考慮し、特に、使用量(添加量)が上限の1:4で粘度が範囲内でほぼ中間の2400cp(「実験例13」)、使用量(添加量)が範囲内で中間の1:3で粘度が上限に近い2593cp(「実験例18」)及び粘度が下限に近い1940cp(「実験例17」)の3点の評価結果を基準にすると、C点およびD点における評価については、(a)、(c)及び(d)が「○」であると当業者が認識することを否定はできないものの、B点(2940,4)で(c)、(d)が△であり、D点(1864,4)で(d)が△であると当業者が認識することも否定できない。しかしながら、当業者が認識できる評価は、低評価となるとしても「△」といえる。
以上のことからすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、本件発明が、納豆との混ぜ合わせが容易であり、納豆独特の糸引き感や風味を損なうことなく、納豆を調味することができるものであること、すなわち課題を解決できることを当業者が認識できるといえる。
したがって、本件発明はサポート要件に違反するとはいえないから、その特許は特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものとはいえず、取消理由3について理由がない。

第4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要は、本件訂正前の本件特許の請求項1ないし13に係る発明について、発明の詳細な説明には、実施例で開示されたもの以外において課題解決が認識できる記載が何らなされていないから特許法36条4項1号に規定する要件を満たしておらず、特許を取り消すべきものであるというものであるが、少なくとも、「第3 4」に検討したように本件発明1、3、5ないし10、12及び13について、発明の詳細な説明に記載された事項から当業者は課題解決が認識できるし、実施できるから、上記特許異議申立理由には理由がない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によっては、本件特許の請求項1、3、5ないし10、12及び13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、3、5ないし10、12及び13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2、4及び11に係る特許は、本件訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2、4及び11に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
納豆と混合して、調味納豆を得るための納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)であって、
粘度調整剤を含み、
20℃における粘度が1864?2940cpであり、
前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、
前記納豆に対する使用量が質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(2?4)で用いられるものであり、
前記調味納豆は、食材と混合して使用されることを特徴とする納豆用調味液。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
固形分濃度が10?50質量%である請求項1に記載の納豆用調味液。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記粘度調整剤として、でんぷん又は加工でんぷんを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、4.5質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の納豆用調味液。
【請求項6】
前記粘度調整剤として、キサンタンガム又はグアーガムを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の納豆用調味液。
【請求項7】
油分を含有する請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の納豆用調味液。
【請求項8】
前記食材は、麺類及び豆腐から選ばれる少なくとも一種である請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の納豆用調味液。
【請求項9】
納豆と、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の納豆用調味液とを、
質量比(納豆:納豆用調味液)で、1:(2?4)の割合で混合することを特徴とする調味納豆の製造方法。
【請求項10】
粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)の使用方法であって、
前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、
前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、
前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲であることを特徴とする納豆用調味液の使用方法。
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)の使用方法であって、
前記納豆用調味液は、20℃における粘度が1864?2940cpであり、
前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、
前記納豆用調味液の納豆に対する使用量が、質量比(納豆:納豆用調味液)で1:(2?4)の範囲で納豆と混合して調味納豆を得て、
前記調味納豆を食材と混合して使用することを特徴とする納豆用調味液の使用方法。
【請求項13】
粘度調整剤を含む納豆用調味液(但し、マヨネーズ、たらこパスタソース、パスタソースたらこ生風味、パスタソースたらこ生風味と共に用いる納豆用調味液、及び、麻婆豆腐の素を除く。)を納豆に添加する納豆の風味向上方法であって、
前記納豆用調味液の20℃における粘度は、1864?2940cpであり、
前記粘度調整剤として、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、カラギーナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含み、これらの含有割合の合計が、納豆用調味液全体を100質量%とした場合に、0.10?1質量%であり、
前記納豆用調味液を、納豆1質量部に対して、2?4質量部添加することを特徴とする納豆の風味向上方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-04-17 
出願番号 特願2013-28282(P2013-28282)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A23L)
P 1 651・ 536- YAA (A23L)
P 1 651・ 113- YAA (A23L)
P 1 651・ 121- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 野村 英雄  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 田村 嘉章
井上 哲男
登録日 2017-08-18 
登録番号 特許第6193582号(P6193582)
権利者 株式会社Mizkan 株式会社Mizkan Holdings
発明の名称 調味液  
代理人 小島 清路  
代理人 小島 清路  
代理人 平岩 康幸  
代理人 鈴木 勝雅  
代理人 平岩 康幸  
代理人 鈴木 勝雅  
代理人 平岩 康幸  
代理人 小島 清路  
代理人 鈴木 勝雅  

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