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審決分類 |
審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 A23L 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A23L 審判 一部申し立て 2項進歩性 A23L |
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管理番号 | 1354087 |
異議申立番号 | 異議2017-700710 |
総通号数 | 237 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-09-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-07-24 |
確定日 | 2019-07-04 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6068339号発明「炭水化物組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6068339号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、〔1?8〕について訂正することを認める。 特許第6068339号の請求項1?4に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第6068339号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、2011年7月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年8月5日アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、平成29年1月6日にその特許権の設定登録がされ、同年1月25日にその特許掲載公報が発行され、その後、その請求項1ないし4に係る発明の特許について、同年7月24日に特許異議申立人三谷拓也により特許異議の申立てがされ、同年11月20日付けで取消理由が通知され、その指定期間内の平成30年2月22日に特許権者より意見書及び訂正請求書の提出がされ、同年4月5日に訂正請求書の補正がなされ、同年5月11日に特許異議申立人より意見書の提出がなされ、同年9月26日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年11月19日に意見書が提出され、同年12月18日に意見書の補正がなされ、平成31年2月6日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、令和元年5月9日に特許権者より意見書の提出がされ、同年5月21日付けで特許異議申立人に審尋され、同年6月10日に特許異議申立人より回答書の提出がされたものである。 第2 訂正の適否の判断 1 平成30年2月22日の本件訂正請求の内容 本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?8について訂正すること(以下「本件訂正」という。)を求めるものであり、訂正の内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、 「線状及び非線状糖オリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状糖オリゴマーよりも高い濃度の非線状糖オリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状糖オリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 組成物。」とあるのを、 「線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 組成物であり、そして ここで、前記組成物が、以下: デンプンの加水分解により作製されるシロップである水性供給組成物を加熱するステップであって、前記水性供給組成物は、単糖及び少なくとも1の線状糖オリゴマーを含み、少なくとも149℃の温度で少なくとも約90重量%の固形分濃度を有する上記ステップ; 前記水性供給組成物と1.0?2.5の範囲のpHで酸触媒と0.1?15分間接触させ、非線状糖オリゴマーの濃度が線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍の濃度である生成組成物を形成するステップ;及び 前記生成組成物から残留単糖及び二糖の少なくともいくらかを分離し、炭水化物組成物を提供するステップ を含む方法によって作成される、上記組成物。」と訂正する。 (2) 訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項3に、 「少なくとも90重量%の前記非線状糖オリゴマーが、少なくとも3の重合度を有する、請求項1又は2に記載の炭水化物組成物。」とあるのを、 「少なくとも90重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有する、請求項1又は2に記載の炭水化物組成物。」と訂正する。 (3) 訂正事項3 訂正前の特許請求の範囲の請求項5に、 「請求項1?4のいずれか一項に記載の炭水化物組成物及び標準コーンシロップ又は高フルクトースコーンシロップと同程度の甘味のレベルをシロップに付与するための少なくとも1つの高甘味度甘味料の効果的な量を含むシロップ。」とあるのを、 「線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び標準コーンシロップ又は高フルクトースコーンシロップと同程度の甘味のレベルをシロップに付与するための少なくとも1つの高甘味度甘味料の効果的な量を含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。」と訂正する。 (4) 訂正事項4 訂正前の特許請求の範囲の請求項6に、 「請求項1?4のいずれか一項に記載の炭水化物組成物及び少なくとも1つの天然甘味料を含むシロップ。」とあるのを、 「線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び少なくとも1つの天然甘味料を含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。」と訂正する。 (5) 訂正事項5 訂正前の特許請求の範囲の請求項8に、 「請求項1?4のいずれか一項に記載の炭水化物組成物及び少なくとも1つのポリオールを含むシロップ。」とあるのを、 「線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び少なくとも1つのポリオールを含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正の目的について ア 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「糖オリゴマー」を「デキストロースオリゴマー」と限定するとともに、炭水化物組成物について、さらに「前記組成物が、以下: デンプンの加水分解により作製されるシロップである水性供給組成物を加熱するステップであって、前記水性供給組成物は、単糖及び少なくとも1の線状糖オリゴマーを含み、少なくとも149℃の温度で少なくとも約90重量%の固形分濃度を有する上記ステップ; 前記水性供給組成物と1.0?2.5の範囲のpHで酸触媒と0.1?15分間接触させ、非線状糖オリゴマーの濃度が線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍の濃度である生成組成物を形成するステップ;及び 前記生成組成物から残留単糖及び二糖の少なくともいくらかを分離し、炭水化物組成物を提供するステップ を含む方法によって作成される」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 訂正事項2は、訂正前の請求項3の「糖オリゴマー」を「デキストロースオリゴマー」と限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮を目的とするものである。 ウ 訂正事項3?5は、訂正前の請求項5、6及び8がそれぞれ請求項1?4を引用していたものを、請求項2?4を引用するものを削除し、訂正前の請求項1の内容を訂正後の請求項5、6及び8において追記し、さらに、「糖オリゴマー」を、「デキストロースオリゴマー」と限定するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 新規事項の追加、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について ア 訂正事項1の「糖オリゴマー」を「デキストロースオリゴマー」と限定することについては、本件特許明細書に、「適切な出発物質の例としては、限定されないが、デキストロースグリーンシロップ(すなわち、デキストロース一水和物結晶化からの母液の再循環流)、他のデキストロースシロップ、コーンシロップ、及びマルトデキストリンの溶液などのデンプンの加水分解により作製されるシロップが挙げられる。」(【0020】)と、出発物質にデキストロースを用いているので、最終組成物における糖オリゴマーとしてデキストロースオリゴマーが含まれることは明らかである。 また、炭水化物組成物を製造する方法については、本件特許明細書の【0017】、【0020】、【0025】、【0026】?【0027】に記載されている。 そうすると、訂正事項1は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2の「デキストロースオリゴマー」と限定することについても、上記アと同様であり、訂正事項2は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項3?6の「デキストロースオリゴマー」と限定することについても、上記アと同様であり、訂正事項3?6は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 訂正後の請求項5?8に係る発明の独立特許要件について 訂正事項3?5による訂正により、訂正後の請求項5?8についても、上記第2の2(1)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がされたことになるところ、訂正後の請求項5?8は、それぞれ、訂正前の請求項5?8に対応するものであり、当該請求項に対しては、特許異議の申立てがされていないから、訂正後の発明について、特許法120条の5第9項で準用する同法126条7項に規定される独立特許要件を満足する必要がある。 そこで、訂正後の請求項5?8に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(独立特許要件を満たすか)について、以下検討する。 (1) 本件発明 本件訂正による訂正後の請求項5?8に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項5?8に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。以下、訂正後の本件特許に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明5」?「本件発明8」という。 「【請求項5】 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び標準コーンシロップ又は高フルクトースコーンシロップと同程度の甘味のレベルをシロップに付与するための少なくとも1つの高甘味度甘味料の効果的な量を含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。 【請求項6】 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び少なくとも1つの天然甘味料を含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。 【請求項7】 前記少なくとも1つの天然甘味料が、ステビオール配糖体及びモグロシドからなる群から選択される、請求項6に記載のシロップ。 【請求項8】 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び少なくとも1つのポリオールを含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み;d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。」 (2) 独立特許要件違反の概要 平成31年2月6日付け取消理由通知書において、本件発明5?8が独立特許要件に違反するものであると判断した理由の概要は、以下のとおりである。 理由(1) 本件特許明細書の【実施例】をみても、製造された炭水化物組成物が、本件発明5?8のa)、b)、c)、d)、e)及びf)の全ての特性を同時に有することは確認できない。よって、特許請求の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できないから、請求項5?8の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。 理由(2) 発明の詳細な説明の記載は、実施例に係る炭水化物組成物が、本件発明5?8のa)、b)、c)、d)、e)及びf)の全ての特性を同時に有することが確認できるように記載されたものではないため、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 (3) 理由(1)(サポート要件違反)について ア 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下、上記の観点に立って、本件について検討する。 イ 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている。 (ア) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、食品中の従来のコーンシロップ及び高フルクトースコーンシロップと置換することができるシロップを提供するために調製されてもよい低糖、繊維含有炭水化物組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 食品表示の目的のために、単糖及び二糖は、「糖類」として分類される。「低糖」食品に関する消費者の関心が、近年高まっている。シロップ(特にコーンシロップ)形態中のスクロース、グルコース及びフルクトースなどの糖類は、甘味を付与するだけでなく、また膨化特性を提供するために食品において広く使用される。一般的に、現在商業的に提供されているコーンシロップは、13?99%の範囲の糖含有量を有する。風味、口当たりなどの重要な製品特性を顕著に変化することなく、食品中の糖レベルを低減することは困難であることが理解されている。ポリオール類及び高甘味度甘味料などの代替的な材料が、糖の甘さを提供するために使用できるが、そのような材料は、糖に対する完全な代替物としてそれらを不十分にするある不利益を有する。例えば、高甘味度甘味料は、膨化特性を提供しない。一方でポリオール類は、食品に膨化を付与するが、それらは所望しない胃腸影響を生じさせる可能性がある。従って、そのような不利益を回避する改善された低糖食品材料の必要性が存在する。 【0003】 従来のコーンシロップ中に存在する炭水化物、及び現在食品中に広く使用される他の甘味料は、ヒトの胃及び小腸において容易に消化できる。それらは、一般的に食物繊維をほとんど又は全く含まず、そしてそれは、前述の炭水化物と対照的に、一般的に胃又は小腸で消化されないが、大腸において微生物により発酵できる可能性がある。食品の食物繊維含有量を増大し、又はカロリー量を低減するために、食品中の使用に関して適しており、及び消化されない又は限られた範囲内でのみ消化できるいずれかの材料を開発することへの関心がある。そのような改良は、いくつかの健康上の利点を提供すると考えられる。しかしながら、現在までに開発された多くの食物繊維食品材料は、それらが組み込まれた食品に同様の束一的(colligative)特性を付与できないので、従来のコーンシロップ及び他の甘味料の完全に十分な代替物ではない。従って、そのような不利益を回避する改善された繊維含有製品の必要性がまたある。」 (イ) 「【発明を実施するための形態】 【0008】 胃腸の酵素は、デキストロース単位がα(1,4)結合(「線状」結合)する炭水化物を容易に認識し、そして消化する。これらの結合を別の結合(例えば、α(1,3)、α(1,6)(「非線状」結合)又はβ結合)で置換すると、炭水化物を消化する胃腸の酵素の能力が非常に低下する。これは、大部分の炭水化物が変化せずに小腸中まで通過することを可能にする。 【0009】 本発明の文脈では、「線状」糖オリゴマーは、専らα(1,4)結合を介して結合した2以上の単糖単位を含む糖である。「非線状」糖オリゴマーは、少なくとも1つの結合が、α(1,4)結合以外の結合である2以上の結合した糖単位を含む糖である。糖中に存在してもよい様々な種類の結合を測定するための方法は、当該技術分野において周知である。例えば、米国特許第7,608,436号(全ての目的のためにその全体について引用により本明細書に組み込まれる)に記載されたような高性能陰イオン交換クロマトグラフィーとパルスドアンペロメトリック検出器を組み合わせた糖質分析装置(HPAE‐PAD)が、使用されてもよい。」 (ウ) 「【0013】 さらに、本発明による炭水化物組成物は、相対的に高い含量の食物繊維を有することにより特徴付けられる。食物繊維含有量は、AOAC法2001.03により測定できる。一つの実施態様では、食物繊維含有量は、少なくとも約60%である。最大食物繊維含有量は、例えば、約95%である。一つの実施態様では、食物繊維含有量は、約60%?約80%、又は約80%?約95%である。」 (エ) 「【0016】 本発明の炭水化物組成は、米国特許第7,608,436号;米国特許出願公開第2006/0210696号;米国特許出願公開第2007/0184177号;米国特許出願公開第2007/0172511号;米国特許出願公開第2008/0175977号;及び米国特許出願公開第2010/0047432号に記載された方法及びプロセスを適応し及び改良することにより調製されてもよく、それらのそれぞれは、全ての目的のためにその全体について引用により本明細書に組み込まれる。 【0017】 例えば、本発明の炭水化物組成物は、少なくとも1の単糖又は線状糖オリゴマーを含み、及び相対的に高い固形分濃度(例えば、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%)を有する水性供給組成物(aqueous feed composition)を使用するプロセスにより合成されてもよい。供給組成物は、加熱してもよく(例えば、少なくとも40℃、又は少なくとも85℃、又は少なくとも130℃の温度)、及びグリコシル結合の切断又は形成の速度を加速する少なくとも1の触媒と、非線状糖オリゴマーの形成をもたらすのに十分な時間の間、接触してもよい。生成組成物は、線状糖オリゴマーよりも高い濃度の非線状糖オリゴマーを含んで生成される。本発明のいくつかの実施態様では、生成組成物中の非線状糖オリゴマーの濃度は、線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍の濃度である。 【0018】 そのようなプロセスの一つの実施態様では、少なくとも1の触媒が、グリコシル結合の切断又は形成の速度を加速する酵素である。本プロセスの他の実施態様では、少なくとも1の触媒が酸である。本プロセスのいくつかの実施態様では、酸及び酵素は、最初に酵素で処理し、続いて酸で処理する又はその逆で処理するように順々に、供給組成物と一緒に使用できる。 【0019】 いくつかの実施態様では、水性供給組成物は、少なくとも1の単糖及び少なくとも1の線状糖オリゴマーを含み、それぞれのいくつかを含有してもよい。多くの場合では、単糖及びオリゴ糖は、乾燥固形物基準で、供給組成物の少なくとも約70重量%を構成する。所望のオリゴマーの収率を最大にするために、できる限り高い濃度の単糖を有する出発物質が一般的に有用である。高い固形分濃度は、加水分解から縮合(逆反応)に向かう平衡を駆動する傾向があり、その結果、より高い分子量生成物を製造する。従って、出発物質の水分含量は、好ましくは相対的に低い。例えば、ある実施態様では、供給組成物は、少なくとも約75重量%の乾燥固形分を含む。(「乾燥固形分(Dry solid)」は、「ds」として本明細書中で時々省略される。)いくつかの場合では、供給組成物は、約75重量%?90重量%の固形分を含み、そしてそれは、室温で粘性のあるシロップ又は湿気のある粉末の外観を一般的に与える。 【0020】 適切な出発物質の例としては、限定されないが、デキストロースグリーンシロップ(すなわち、デキストロース一水和物結晶化からの母液の再循環流)、他のデキストロースシロップ、コーンシロップ、及びマルトデキストリンの溶液などのデンプンの加水分解により作製されるシロップが挙げられる。 【0021】 供給組成物を、変化し得る時間で、少なくとも1つの触媒と接触させる。いくつかの場合では、接触期間は少なくとも約5時間である。いくつかの実施態様では、供給組成物を約15?100時間の間、少なくとも1つの触媒と接触させる。他の実施態様では、それより短い接触時間が、いくつかの場合には1時間未満でさえ、より高い温度で使用され得る。例えば、処理区域を出る前に、供給組成物/触媒混合物が、相対的に短い期間のみ加熱されるように(即ち、処理区域内の混合物の滞留時間は、短い)、供給組成物が触媒と結合し、そして常に高温を維持する処理区域を流部(stream)として通過してもよい。 【0022】 本発明の一つの実施態様では、酵素的復元(enzymatic reversion)を使用して、非線状オリゴ糖の所望する含量を製造する。酵素は、例えば、α1,2;1,3;1,4;又は1,6グルコシル結合の切断速度を増大させて、デキストロース残留物を形成させるものであってもよい。1つの適切な例は、グルコアミラーゼと呼ばれる市販の酵素組成物などのグルコアミラーゼ酵素組成物である。そのような組成物は、純粋なグルコアミラーゼ以外の若干量の酵素を含み得ることが理解されるべきであり、また、実際に非線状オリゴ糖の所望の生成を触媒するのはグルコアミラーゼそのものであると見なすべきではない。 【0023】 従って、供給組成物は、グルコアミラーゼ又はデキストロースポリマーに作用する任意の他の酵素と接触させることができる。酵素の量は、供給組成物の約0.5?2.5体積%が適切であり得る。プロセスのいくつかの実施態様では、供給組成物は、酵素と接触させる間、約55?75℃、又はいくつかの場合では約60?65℃に維持される。この温度で、材料は、含水率に依拠して、液体、又は液体と固体との混合物になる。場合により、酵素を分布させるために、反応混合物を混合又は攪拌することができる。反応混合物は、非線状オリゴマーへの所望の復元度を達成するのに必要な時間、所望の温度に保持される。プロセスのいくつかの実施形態では、供給組成物は、酵素と約20?100時間、又はいくつかの場合では約50?100時間、接触させた後に酵素を不活性化する。グルコアミラーゼを不活性化する技術は、当技術分野において周知である。あるいは、酵素を不活性化する代わりに、それを膜濾過により分離して再循環することができる。 【0024】 生じた組成物は、高い濃度の非線状オリゴ糖を有する。この生成組成物は、線状糖オリゴマーより高い濃度の非線状糖オリゴマーを含有する。いくつかの場合では、最終組成物中の非線状糖オリゴマーの濃度は、線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍である。 【0025】 処理条件は、生じた生成組成物が残留単糖及び二糖の少量のみ(即ち、乾燥固形分基準で50wt%未満、及び通常25wt%未満、又は10wt%未満などのはるかに低い濃度)を含有するように、選択しなければならない。プロセスは、残留単糖及び二糖の少なくともいくらか(及び場合により他の種も同様に)を、膜濾過、クロマトグラフ分画、又は発酵を介した消化により生成組成物から除去する追加のステップを含むことができる。分離された単糖及び二糖は、例えば、デキストロース又はコーンシロップの製造のために、他のプロセス流部と組み合わせることができる。あるいは、分離された単糖及び二糖は、供給組成物中に再循環することができる。 【0026】 本発明による炭水化物組成物が作られてもよい他の方法は、酸触媒による復元を含むプロセスを介する。塩酸、硫酸、リン酸、又はそれらの組合せなどの様々な酸を使用することができる。プロセスのいくつかの実施態様では、酸は、供給組成物のpHを約4以下にするのに十分な量で、又はいくつかの場合では、供給組成物のpHを約1.0?2.5、若しくは約1.5?2.0にするのに十分な量で、供給組成物に添加される。いくつかの実施形態では、供給組成物の固形分濃度は、少なくとも約70?90%であり、供給物に添加される酸の量はシロップの乾燥固形分に対する酸固形分として約0.05%?0.25%(w/w)であり、供給組成物が、酸と接触している時間の少なくとも一部分の間、供給組成物は、約70℃超の温度に保持される。酵素方式のプロセスなどの場合、反応条件は、所望の量の非線状オリゴマーを生成するのに十分な時間保持され、さらに好ましくはまた、単糖及び二糖のレベルが制御される。 【0027】 1つの具体的な実施態様では、供給組成物の固形分濃度は、少なくとも約90重量%であり、供給組成物は、酸と接触した後、少なくとも約149℃(300°F)の温度で、約0.1?15分保持される。供給物を処理するために使用される酸は、リン酸と塩酸との組合せでもよい(上述されたのと同じ濃度で)。1つの具体的な実施態様では、供給組成物と酸との接触は、連続式パイプ/フロースルー型反応器(flow through reactor)中で起こる。 【0028】 酸処理から生じる糖分布は、酵素処理からと比べて幾分異なると考えられる。これらの酸触媒による縮合生成物は、酵素触媒生成物(enzyme-produced product)よりも、ヒトの消化管中の酵素により認識され難く、従って消化され難いであろうと考えられる。 【0029】 酸処理は、酵素処理と異なって進行する。酵素は、線状オリゴマーを急速に加水分解して、非線状オリゴマーをゆっくりと形成させるが、それに対して酸では、線状オリゴマーの減少及び非線状オリゴマーの増加とが同等な速度で起こる。デキストロースは、オリゴマーの酵素加水分解により急速に形成され、非線状縮合生成物が形成されるにつれてゆっくりと消費されるが、それに対して酸では、デキストロース濃度はゆっくりと増加する。 【0030】 場合により、酵素又は酸による復元後に、続いて水素化できる。水素化された生成物は、現在入手可能な水素化されたデンプン加水分解物より低いカロリー量を有するべきである。1つの実施態様では、水素化は、そのデキストロース当量(DE)を実質的に変化させずに、生成組成物を脱色するために使用することができる。 【0031】 プロセスの1つの方式では、酵素及び酸は、任意の順で連続的に使用することができる。例えば、最初の処理で使用される少なくとも1つの触媒は酵素でもよく、それに続いて生成組成物を、グルコシル結合の切断又は形成速度を早める酸と接触させることができる。あるいは、最初の処理で使用される少なくとも1つの触媒は酸でもよく、それに続いて、生成組成物を、グルコシル結合の切断又は形成速度を早める酵素と接触させることができる。 【0032】 酸、酵素又は両方による処理により製造される生成組成物は、乾燥固形分基準で非線状糖オリゴマーの濃度が増加している。本発明の様々な実施態様では、炭水化物組成物における少なくとも3の重合度(DP3+)を有する非線状糖オリゴマーの濃度は、乾燥固形分基準で、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%である。いくつかの実施態様では、生成組成物における非線状糖オリゴマーの濃度は、線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍である。 【0033】 生成組成物は、しばしばある程度の量(一般的に、乾燥固形分基準で50重量%未満、多くの場合、それよりずっと少ない)の残留単糖及び二糖を含有する。場合により、残留単糖及び二糖(及び場合により他の種)の少なくともいくらかは、オリゴマーから分離することができ(例えば、膜濾過、クロマトグラフ分離、又は発酵を介した消化により)、単糖及び二糖流部は、プロセス供給中に再循環することができる。このような方法で、単一の糖シロップを、高価値の食品添加物に変換することができる。 【0034】 本発明の炭水化物組成物は、乾燥形態で使用できるが、それらは、シロップ形態でまた有利に使用されてもよい。そのようなシロップは、一般的に室温(20℃?25℃)で透明及び液体である組成物を提供するために十分な水の量を含有する。そのようなシロップの粘度は、水と炭水化物組成物の比率を調整することにより所望のように変化させてもよい。望ましい粘度は、例えば、シロップに対する所望の最終用途に依拠する。しかしながら、一般的に言えば、粘度は、製品の取り扱いを容易にし、シロップを食品中にすぐに加工されるようにし、及び/又は特定の官能特性又は口当たりの質を付与するために選択される。そのようなシロップの乾燥固形分は、例えば、約60%から約85%までであってもよい。仮に炭水化物組成物が、シロップ形態で最初に得られた場合、所望するのであれば、「シロップ固形分(syrup solid)」(即ち、乾燥形態の炭水化物組成物)を提供するために乾燥させてもよい。 【0035】 上記の炭水化物組成物は、本特許出願の他の部分でより詳細に説明されるように、食品中の材料として使用することができる。そのような炭水化物組成物は、1又は2以上の利益を提供することができる。例えば、それは、コーンシロップのカロリー量を低下し、食物繊維含有量を増加することができる。それは、食品中の従来のコーンシロップに対する「差し込み式(drop-in)」代替物として役立つことができる。それは、高レベルのコーンシロップを従来使用する製品中に適切な又は所望の繊維のロードを提供することができる。それは、食品中の繊維補完に対する、より経済的な手法を提供することができる。 【0036】 本発明による炭水化物組成物は、乾燥又はシロップ形態のいずれでも、例えば従来の炭水化物に対する代替物又は補完として食品に添加できる。本発明の炭水化物組成物が使用できる食品の具体例は、パン、ケーキ、クッキー、クラッカー、押し出しスナック、スープ、冷凍デザート、揚げ物、パスタ製品、ポテト製品、米製品、コーン製品、小麦製品、乳製品、ヨーグルト、菓子、ハードキャンディ、栄養バー(nutritional bar)、朝食用シリアル、及び飲料などの加工食品が挙げられる。本発明による炭水化物組成物は、1又は2以上の材料と混合して食品を提供してもよい。適切な食品材料は、特に水又は他の水溶液、脂肪(油を含む)、糖、デンプン(及び他の多糖、そしてそれは可消化、難消化、又は部分可消化でもよい)、タンパク質、結合剤、増粘剤、着色剤、香料、付臭剤、酸味料、安定剤、高甘味度甘味料、ビタミン並びにミネラルなどの栄養組成について包含するための当該技術分野において任意の公知の材料が挙げられる。本発明の炭水化物組成物を含む食品は、コーンスターチなどの従来の炭水化物が使用される同様の食品よりもより低い血糖反応、より低い血糖インデックス、及びより低いグリセミック負荷を有するであろう。さらに、炭水化物組成物中に存在するオリゴ糖の少なくともいくらかが、ヒトの胃または小腸で非常に限られた範囲で消化されるだけか、又は全く消化されないかのいずれかであるので、食品のカロリー量は減少する。本発明の炭水化物組成物は、また可溶性食物繊維源である。」 (オ) 「【0038】 本発明の炭水化物組成物は、可溶性繊維源として食品に添加できる。それは、風味、口当たり、又は食感に対する良くない影響を有することなく、食品の繊維含有量を増加できる。 【0039】 本発明の炭水化物組成物の機能性は、コーンシロップ及び糖に類似しており、そしてそれは、食品中の様々な栄養素甘味料の完全な又は部分的な置換に適したものにする。例えば、炭水化物組成物は、食品中において、スクロース、高フルクトースコーンシロップ(HFCS)、フルクトース、デキストロース、普通のコーンシロップ、又はコーンシロップ固形分の完全な又は部分的な置換のために使用することができる。1つの具体的例として、本発明の炭水化物組成物は、1:1の基準で、他の固形甘味料を置換するために使用することができ、固形糖の完全な置換までできる。固形甘味料の置換レベルが高くなると、食品の甘味は低下し得るが、口当たり及び風味の放出は実質的に同じままで、一方糖及びカロリー量は低下する。また、本発明の炭水化物組成物は、食品調製において、脂肪、小麦粉、又は他の材料と置換するための増量剤として使用することができる。 【0040】 あるいは、本発明の炭水化物組成物は、スクロース、HFCS、又はフルクトースなどの甘味料と組み合わせて食品中で使用でき、食品の全体の甘味に変化を生じない。他の例として、本発明の炭水化物組成物は、高甘味度甘味料などの1又は2以上の補助甘味料と組み合わせて食品中で使用することができ、そしてそれは、食品の甘味又は口当たりに変化のない甘味料の置換を可能にする。適当な高甘味度甘味料は、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、モグロシド(モグロシドVを含む羅漢果から抽出されたものなど)、及びステビオール配糖体(レバウディオサイド及びステビオシドを含むステビア草から抽出されたものなど)などの合成及び天然物質の両方が挙げられる。ソルビトール、キシリトール、及びラクチトールなどの糖アルコール、並びにエリスリトールなどのポリオールは、本発明の炭水化物組成物と組み合わせてまた使用されてもよい。本発明の1つの実施態様では、1又は2以上の補助甘味料は、知覚される甘味における従来の糖(デキストロースなど)又は従来のコーンシロップ若しくは高フルクトースコーンシロップに実質的に相当する生じた混合物を与えるのに効果的な量で、炭水化物組成物と組み合わされる。」 (カ) 「【実施例】 【0076】 実施例1 本実施例は、中程度に高いレベルの食物繊維を含む本発明による炭水化物組成物の調製を示す。 【0077】 Sweetose(登録商標)4300コーンシロップ(81%乾燥固形分)を、ホットオイルジャケット付きパドルミキサー(hot oil jacketed paddle mixer)に77kg/hの速度で通すことにより、6%未満の水分含有量まで蒸発させた。パドルミキサーのローター速度を、通常は300?600rpmに設定し、及びオイルジャケットの温度を150℃?205℃に変化させた。いくつかの試験では、リン酸を、コーンシロップ固形分に対して0.1%?0.4%のリン酸固体の割合で加えた。いくつかの試験では、塩酸を、リン酸の代わりに又は追加して25ppm加えた。 【0078】 このようにして得た炭水化物組成物中の繊維の量を、以下の方法を使用して測定した。炭水化物組成物のサンプル25mgを、pH4.0の緩衝液4mLに溶解し、100μLの10mg/mLアミログルコシダーゼ酵素(Amyloglucoxidase Sigma Catalog #A-7255)溶液と共に45℃で2時間インキュベートした。このインキュベーション由来の一部のサンプルを、少量のイオン交換樹脂で処理し、濾過し(0.45ミクロン)、そして液体クロマトグラフィーにより糖分布を分析した。この分析から、三糖以上として存在することが見出された炭水化物の重量パーセントを、難消化性炭水化物として定量化し、表1で%繊維として表示する。 【0079】 【表1】 【0080】 ポリデキストロースの実験室サンプルを、本試験のための対照として使用し、約82%繊維のレベルを示した。 【0081】 実施例2 本実施例は、中程度に高いレベルの食物繊維を含む本発明による炭水化物組成物の調製を示す。 【0082】 Sweetose(登録商標)4300コーンシロップ(81%ds)を、ホットオイルジャケット付きパドルミキサーに77kg/hの速度で通すことにより、3%未満の水分含有量まで蒸発させた。パドルミキサーのローター速度を、通常は800rpmに設定し、及びオイルジャケットの温度を210℃に設定した。いくつかの試験では、リン酸を、コーンシロップ固形分に対して0.1%?0.4%のリン酸固体の割合で加えた。いくつかの試験では、塩酸を、リン酸の代わりに又は追加して25ppm若しくは50ppm加えた。 【0083】 このようにして得た炭水化物組成物中の繊維の量を、以下の方法を使用して測定した。炭水化物組成物のサンプル25mgを、pH4.0の緩衝液4mLに溶解し、100μLの10mg/mLアミログルコシダーゼ酵素(Amyloglucoxidase Sigma Catalog #A-7255)溶液と共に45℃で2時間インキュベートした。このインキュベーション由来の一部のサンプルを、少量のイオン交換樹脂で処理し、濾過し(0.45ミクロン)、そして液体クロマトグラフィーにより糖分布を分析した。この分析から、三糖以上として存在することが見出された炭水化物の重量パーセントを、難消化性炭水化物として定量化し、表2で%繊維として表示する。 【0084】 【表2】 【0085】 ポリデキストロースの実験室サンプルを、本試験のための対照として使用し、約82%繊維のレベルを示した。」 (キ) 「【0086】 実施例3 本実施例は、相対的に低い糖含有量、及び相対的に高い繊維含有量を有する本発明による炭水化物組成物の調製を示す。 【0087】 50%dsw/w溶液を、開始シロップに水を添加することにより作製し(表3)、そしてそれを通常、実施例1及び2中で記載された方法に従って調製した。 【0088】 【表3】 【0089】 連続的擬似移動床式(SSMB)クロマトグラフィーを、開始シロップの糖含有量を減少し、そして繊維含有量を増加するために使用した。開始シロップ溶液の一部を、SSMB供給タンクに移した。SSMBクロマトグラフィーシステムに、Dow99‐320陽イオン樹脂をカリウム形態でロードした。希釈された供給を、60?70℃、平均流速90ml/分で、SSMBクロマトグラフィーシステムに供給した。脱着水(Desorbent water)(RO水)を、2.0?4.0の水/供給比率で添加した。 【0090】 表4は、様々な水対供給比率(D/F)の結果を示し、表5は、生成物の全食物繊維に対する異なるSSMB設定及び平均流速の結果を示す。 【0091】 【表4】 【0092】 【表5】 」 ウ まず、特許請求の範囲に記載された本件発明5?8が、発明の詳細な説明に記載された発明であるか否かについて、検討する。 本件発明5?8は、「線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物」について、「a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し;」、「b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し;」、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み;」、「d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し;」、「e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、」及び「f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む」ことが特定されている。 そこで以下各条件について検討する。 (ア) 「e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有」することについて 本件特許明細書において、食物繊維の測定に関して、以下の事項が記載されている。 「食物繊維含有量は、AOAC法2001.03により測定できる。一つの実施態様では、食物繊維含有量は、少なくとも約60%である。最大食物繊維含有量は、例えば、約95%である。一つの実施態様では、食物繊維含有量は、約60%?約80%、又は約80%?約95%である」(【0013】) 「このようにして得た炭水化物組成物中の繊維の量を、以下の方法を使用して測定した。炭水化物組成物のサンプル25mgを、pH4.0の緩衝液4mLに溶解し、100μLの10mg/mLアミログルコシダーゼ酵素(Amyloglucoxidase Sigma Catalog #A-7255)溶液と共に45℃で2時間インキュベートした。このインキュベーション由来の一部のサンプルを、少量のイオン交換樹脂で処理し、濾過し(0.45ミクロン)、そして液体クロマトグラフィーにより糖分布を分析した。この分析から、三糖以上として存在することが見出された炭水化物の重量パーセントを、難消化性炭水化物として定量化し、表1で%繊維として表示する。」(【0078】) 「このようにして得た炭水化物組成物中の繊維の量を、以下の方法を使用して測定した。炭水化物組成物のサンプル25mgを、pH4.0の緩衝液4mLに溶解し、100μLの10mg/mLアミログルコシダーゼ酵素(Amyloglucoxidase Sigma Catalog #A-7255)溶液と共に45℃で2時間インキュベートした。このインキュベーション由来の一部のサンプルを、少量のイオン交換樹脂で処理し、濾過し(0.45ミクロン)、そして液体クロマトグラフィーにより糖分布を分析した。この分析から、三糖以上として存在することが見出された炭水化物の重量パーセントを、難消化性炭水化物として定量化し、表2で%繊維として表示する。 」 (【0083】) 「【0090】 表4は、様々な水対供給比率(D/F)の結果を示し、表5は、生成物の全食物繊維に対する異なるSSMB設定及び平均流速の結果を示す。」 これらの記載事項から、以下の事項を認めることができる。 「食物繊維含有量は、AOAC法2001.03により測定できるものである。」 「表1及び表2における『%繊維』との表示における各数値は、炭水化物組成物のサンプル25mgを、pH4.0の緩衝液4mLに溶解し、100μLの10mg/mLアミログルコシダーゼ酵素(Amyloglucoxidase Sigma Catalog #A-7255)溶液と共に45℃で2時間インキュベートし、このインキュベーション由来の一部のサンプルを、少量のイオン交換樹脂で処理し、濾過し(0.45ミクロン)、そして液体クロマトグラフィーにより糖分布を分析し、この分析から、三糖以上として存在することが見出された炭水化物の重量パーセントを、難消化性炭水化物として定量化し、『%繊維』として表示したものである。」 一方、本件特許明細書の実施例3における、表3、表4及び表5(上記イ(キ)参照。)における「%TDF」について、本件特許明細書において、その定義はなされていない。しかし、TDFが「全食物繊維」を意味することが技術常識であること(甲10の47頁図3?5参照。)、実施例1及び2において、上記定量化により求めたものを「%繊維」として表示することが特に定義されているのに対して、実施例3において、「%TDF」について特段定義されていないこと、本件特許明細書に、食物繊維含有量は、AOAC法2001.03により測定できると記載されており、特許請求の範囲にもAOAC法2001.03で測定すると特定されていることを踏まえると、実施例3における「%TDF」は、「AOAC法2001.03」により測定された全食物繊維と理解するのが自然である。 そうすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例3は、「e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有」することを示すものと認められる。 (イ) 「a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有」することについて 上記(ア)で検討したとおり、実施例3は、「e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有」することを示すものであるから、本件特許明細書の「『線状』糖オリゴマーは、専らα(1,4)結合を介して結合した2以上の単糖単位を含む糖である。『非線状』糖オリゴマーは、少なくとも1つの結合が、α(1,4)結合以外の結合である2以上の結合した糖単位を含む糖である」(【0009】)、「胃腸の酵素は、デキストロース単位がα(1,4)結合(『線状』結合)する炭水化物を容易に認識し、そして消化する。これらの結合を別の結合(例えば、α(1,3)、α(1,6)(『非線状』結合)又はβ結合)で置換すると、炭水化物を消化する胃腸の酵素の能力が非常に低下する。これは、大部分の炭水化物が変化せずに小腸中まで通過することを可能にする」(【0008】)との記載、及び食物繊維が人の消化酵素で分解されないものであるという一般常識を踏まえると、実施例3で全食物繊維を意味する「%TDF」が、「87.5」、「88.7」及び「88.6」であることは、これらの量の「非線状デキストロース」を含むことを意味するから、線状デキストロースと対比すれば、「組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有」することとなる。 (ウ) 「b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し」について 本願特許明細書の表4(上記イ(キ)参照。)のデータにおいて、「D/F比率」が、2.3、2.7及び3.2のそれぞれについて、非線形DP3+オリゴマーの量と非線形オリゴマー全体量(DP2とDP3+との組み合わせ)とを比較すると、(7.3+84.7)/(2.8+7.3+84.7)=0.97、(11.3+85.0)/(1.4+11.3+85.0)=0.99、及び(12.8+83.7)/(1.8+12.8+83.7)=0.98となり、少なくとも85%のデキストロースオリゴマーが少なくとも3の重合度を有することを示している。 (エ) 「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み」について 本願特許明細書の表4(上記イ(キ)参照。)のデータにおいて、単糖及び二糖に相当する「DP1」及び「DP2」の合計は、「D/F比率」が、2.3、2.7及び3.2のそれぞれについて、「4.34」、「1.7」及び「2.6」と極めて小さいことは、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み」を示すものであると認められるので、上記「c)」の事項は実質的に記載されているといえる。 (オ) 「d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し」について 当業者は、材料のカロリー量は消化性(率)の関数であり、したがって繊維含量と強く相関することを理解できる。そして、本件特許明細書の実施例3で全食物繊維を意味する「%TDF」が、「87.5」、「88.7」及び「88.6」である組成物(本件特許明細書表4)は、約3/4が食物繊維である炭水化物といえる。ここで、通常炭水化物が4kcal/gである技術常識を踏まえると、3/4が食物繊維である炭水化物のカロリーは、4kcal/g×(1-3/4)=1kcal/g程度といえる。そうすると、実施例3の組成物のカロリーは、1kcal/g程度と認められるので、本件発明5が特定する「1?2.5kcal/gのカロリー量」の範囲を示していると認められる。 (カ) 「f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む」について 本件特許明細書には、「本発明の炭水化物組成物は、乾燥形態で使用できるが、それらは、シロップ形態でまた有利に使用されてもよい。そのようなシロップは、一般的に室温(20℃?25℃)で透明及び液体である組成物を提供するために十分な水の量を含有する。そのようなシロップの粘度は、水と炭水化物組成物の比率を調整することにより所望のように変化させてもよい。望ましい粘度は、例えば、シロップに対する所望の最終用途に依拠する。しかしながら、一般的に言えば、粘度は、製品の取り扱いを容易にし、シロップを食品中にすぐに加工されるようにし、及び/又は特定の官能特性又は口当たりの質を付与するために選択される。そのようなシロップの乾燥固形分は、例えば、約60%から約85%までであってもよい。仮に炭水化物組成物が、シロップ形態で最初に得られた場合、所望するのであれば、『シロップ固形分(syrup solid)』(即ち、乾燥形態の炭水化物組成物)を提供するために乾燥させてもよい。」(【0034】)と記載されている。 当該記載事項より、本件発明5?8の組成物は、「乾燥形態で使用できるが、それらは、シロップ形態でまた有利に使用されてもよい」ものであって、「シロップの乾燥固形分は、例えば、約60%から約85%までであってもよい」とされている。また、「炭水化物組成物が、シロップ形態で最初に得られた場合、所望するのであれば、「シロップ固形分(syrup solid)」(即ち、乾燥形態の炭水化物組成物)を提供するために乾燥させてもよい」ものであり、固形分は当業者によって容易に操作可能なものである。 そうすると、本件発明5?8の「組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む」ものは、記載されているといえる。 (キ) 以上のとおりであるから、上記各条件a)、b)、c)、d)、e)及びf)の全てを同時に満たす本件発明5?8が、具体的に、発明の詳細な説明中に記載されていると認められる。 エ 次に、本件発明5?8が、発明の詳細な説明の記載により、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かについて検討する。 本件特許明細書には、発明の課題について明示的な記載はなされていないが、「本発明は、食品中の従来のコーンシロップ及び高フルクトースコーンシロップと置換することができるシロップを提供するために調製されてもよい低糖、繊維含有炭水化物組成物」(【0001】)、「例えば、高甘味度甘味料は、膨化特性を提供しない。一方でポリオール類は、食品に膨化を付与するが、それらは所望しない胃腸影響を生じさせる可能性がある。従って、そのような不利益を回避する改善された低糖食品材料の必要性が存在する。」(【0002】)、「現在までに開発された多くの食物繊維食品材料は、それらが組み込まれた食品に同様の束一的(colligative)特性を付与できないので、従来のコーンシロップ及び他の甘味料の完全に十分な代替物ではない。従って、そのような不利益を回避する改善された繊維含有製品の必要性がまたある。」(【0003】)との記載によると、「食品中の従来のコーンシロップ及び高フルクトースコーンシロップと置換することができるシロップを提供するために調製されてもよい低糖、繊維含有炭水化物組成物の提供」(以下「本件課題」という。)と認められる。 そして、本件特許明細書には、「本発明の炭水化物組成物は、可溶性繊維源として食品に添加できる。それは、風味、口当たり、又は食感に対する良くない影響を有することなく、食品の繊維含有量を増加できる。」(【0038】)、「本発明の炭水化物組成物の機能性は、コーンシロップ及び糖に類似しており、そしてそれは、食品中の様々な栄養素甘味料の完全な又は部分的な置換に適したものにする。例えば、炭水化物組成物は、食品中において、スクロース、高フルクトースコーンシロップ(HFCS)、フルクトース、デキストロース、普通のコーンシロップ、又はコーンシロップ固形分の完全な又は部分的な置換のために使用することができる。1つの具体的例として、本発明の炭水化物組成物は、1:1の基準で、他の固形甘味料を置換するために使用することができ、固形糖の完全な置換までできる。固形甘味料の置換レベルが高くなると、食品の甘味は低下し得るが、口当たり及び風味の放出は実質的に同じままで、一方糖及びカロリー量は低下する。また、本発明の炭水化物組成物は、食品調製において、脂肪、小麦粉、又は他の材料と置換するための増量剤として使用することができる。」(【0039】)と記載されており、当該記載事項を踏まえると、低糖、繊維含有炭水化物組成物といえる本件発明5?8は、従来のコーンシロップ又は高フルクトースコーンシロップと置換して用いられることは理解でき、上記本件課題を解決できるものと認められる。 オ よって、訂正後の請求項5?8の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たすものである。 (4) 理由(2)(実施可能要件違反)について ア 上記(3)で検討したとおり、発明の詳細な説明の記載は、実施例3に係る炭水化物組成物が、本件発明5?8のa)、b)、c)、d)、e)及びf)の全ての特性を同時に有することが確認できるように記載されたものである。 さらに、本件特許明細書には、反応生成物を形成するのに使用できる異なる反応タイプを開示し(【0016】?【0036】)、例えば、「供給組成物の固形分濃度は、少なくとも約90重量%であり、供給組成物は、酸と接触した後、少なくとも約149℃(300°F)の温度で、約0.1?15分保持される。供給物を処理するために使用される酸は、リン酸と塩酸との組合せでもよい(上述されたのと同じ濃度で)。1つの具体的な実施態様では、供給組成物と酸との接触は、連続式パイプ/フロースルー型反応器(flow through reactor)中で起こる。」(【0027】)、「生成組成物は、しばしばある程度の量(一般的に、乾燥固形分基準で50重量%未満、多くの場合、それよりずっと少ない)の残留単糖及び二糖を含有する。場合により、残留単糖及び二糖(及び場合により他の種)の少なくともいくらかは、オリゴマーから分離することができ(例えば、膜濾過、クロマトグラフ分離、又は発酵を介した消化により)」(【0033】)と具体的な製造方法についても記載されているから、本件特許明細書の記載は、本件発明5?8を当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる。 イ よって、本件発明5?8について、発明の詳細な説明の記載は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たすものである。 (5) 他に、訂正後の本件発明5?8が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 4 まとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項の規定並びに特許法120条の5第9項で準用する特許法126条5項及び6項の規定を満たすものであり、かつ、訂正事項3?5により訂正された後の本件発明5?8は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条7項の規定を満たすものである。 よって、請求項〔1?8〕について、訂正事項1?訂正事項5からなる本件訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 本件訂正は上記のとおり認められたので、本件の請求項1?4に係る発明は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。以下、本件特許に係る発明を請求項の番号に従って、請求項1?4に係る発明を、「本件発明1」?「本件発明4」という。 「【請求項1】 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 組成物であり、そして ここで、前記組成物が、以下: デンプンの加水分解により作製されるシロップである水性供給組成物を加熱するステップであって、前記水性供給組成物は、単糖及び少なくとも1の線状糖オリゴマーを含み、少なくとも149℃の温度で少なくとも約90重量%の固形分濃度を有する上記ステップ; 前記水性供給組成物と1.0?2.5の範囲のpHで酸触媒と0.1?15分間接触させ、非線状糖オリゴマーの濃度が線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍の濃度である生成組成物を形成するステップ;及び 前記生成組成物から残留単糖及び二糖の少なくともいくらかを分離し、炭水化物組成物を提供するステップ を含む方法によって作成される、上記組成物。 【請求項2】 前記炭水化物組成物がシロップ形態である、請求項1に記載の炭水化物組成物。 【請求項3】 少なくとも90重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有する、請求項1又は2に記載の炭水化物組成物。 【請求項4】 前記炭水化物組成物が1?2kcal/gのカロリー量を有する、請求項1?3のいずれか一項に記載の炭水化物組成物。」 2 取消理由の概要 請求項1?4に係る特許に対する、平成31年2月6日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 なお、当該取消理由は、全ての特許異議申立理由を含んでいる。 理由(1) 本件特許の請求項1?4に係る発明は、本件特許の出願前(優先日前)に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用例に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前(優先日前)にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 理由(2) 本件特許明細書の【実施例】をみても、製造された炭水化物組成物が、本件発明1?4のa)、b)、c)、d)、e)及びf)の全ての特性を同時に有することは記載されておらず、実施例に記載された測定法は、AOAC法2001.03の測定法ではないので、特許請求の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できないから、請求項1?4の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしておらず、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 理由(3) 発明の詳細な説明において、実施例として記載された炭水化物組成物が、本件発明1?4のa)、b)、c)、d)、e)及びf)の全ての特性を同時に有することが記載されていないため、発明の詳細な説明の記載は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしておらず、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 << 引 用 例 >> 甲第1号証:特表2009-524439号公報 甲第2号証:特開平6-32802号公報 甲第3号証:特開平5-255404号公報 甲第4号証:特開平3-77896号公報 甲第5号証:特開昭60-149596号公報 甲第6号証:財団法人日本食品分析センター、「分析実務者が解説 栄養表 示のための成分分析のポイント」、中央法規出版株式会社、2 007年10月20日、p.74-83 甲第7号証:Japan Food Research Laborato ries、「食物繊維の熱量(エネルギー)について?栄養表 示基準における食物繊維の熱量の取扱い?」、No.34、J ul.2003、1/2?2/2 甲第8号証:平成27年4月6日付け特願2013-523218号の意見 書 3 判断 (1) 理由(2)(サポート要件違反)について 本件発明1?4は、炭水化物組成物について、「a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 組成物であり」との事項を有するものであるところ、請求項1?4の記載についてのサポート要件の判断は、上記「第2 3 訂正後の請求項5?8に係る発明の独立特許要件について」の「(3)」で示したことと同様である。 よって、請求項1?4の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たすものであり、理由(2)によって、請求項1?4に係る特許を、取り消すべきものとすることはできない。 (2) 理由(3)(実施可能要件違反)について 実施可能要件についての判断についても、上記「第2 3 訂正後の請求項5?8に係る発明の独立特許要件について」の「(4)」で示したことと同様であり、実施例として記載された炭水化物組成物が、本件発明1?4の上記各条件a)、b)、c)、d)、e)及びf)の全てを同時に満たすものは記載されており、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例や記載事項から当業者が本件発明1?4を実施することができないものとすることはできない。 よって、発明の詳細な説明の記載は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たすものであり、理由(3)によって、請求項1?4に係る特許を、取り消すべきものとすることはできない。 (3) 理由(1)(進歩性)について ア 甲第1号証 (ア) 甲第1号証に記載された事項 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 「【0002】 食物繊維分を高めまたは食品のカロリー分を減らすために、食物製品で使用に適した、非消化性であるまたはある程度消化性であるにすぎない材料を開発することに、関心がもたれている。これらの変更はある健康上の利益を有する。 【0003】 低含有率の易消化性炭水化物を有し、食品で常用炭水化物製品の代わりにまたはそれに加えて用いられる食用物質について、必要性がある。」 「【0008】 本発明の他の面は、糖オリゴマーを製造するためのプロセスである。このプロセスの一部態様により産生される糖オリゴマー組成物は、主に消化抵抗性である。他の態様において、該組成物は主に遅消化性である。本プロセスは、少なくとも1種の単糖または線状糖オリゴマーを含んでなり、少なくとも約70重量%の固形濃度を有する、水性供給原料組成物を用いる。該供給原料組成物は少なくとも約40℃の温度に加熱され、非線状糖オリゴマーの形成を引き起こすために十分な時間にわたりグルコシル結合の開裂または形成の速度を速める少なくとも1種の触媒と接触される。線状糖オリゴマーより高濃度の非線状糖オリゴマーを含有している産生組成物が産生される。」 「【0030】 本発明の他の態様は単糖の酸転換を伴うプロセスである。出発物質は本プロセスの酵素バージョンに関して前記されたものと同様である。塩酸、硫酸、リン酸またはそれらの組合せのような、様々な酸が用いられる。本プロセスの一部態様では、供給原料組成物のpHを約4以下へするために十分な量で、または一部の場合には供給原料組成物のpHを約1.0?2.5または約1.5?2.0へするために十分な量で、酸が供給原料組成物へ加えられる。一部の態様において、供給原料組成物の固形濃度は約70?90%であり、供給原料へ加えられる酸の量はシロップ乾燥固形で約0.05%?0.25%(w/w)酸固形であり、供給原料組成物は酸との接触時に約70?90℃の温度で維持される。本プロセスの酵素バージョンの場合のように、反応条件は望ましいオリゴマーを産生するために十分な時間にわたり維持され、本プロセスの一部態様においてそれは約4?24時間である。 【0031】 1つの具体的態様において、供給原料組成物の固形濃度は少なくとも約80重量%であり、組成物のpHを約1.8へするために十分な量で酸が供給原料組成物へ加えられ、供給原料組成物はそれが酸と接触された後に少なくとも約80℃の温度で約4?24時間維持される。 【0032】 他の具体的態様において、供給原料組成物の固形濃度は約90?100重量%であり、供給原料組成物はそれが酸と接触された後に少なくとも約149℃(300°F)の温度で約0.1?15分間維持される。供給原料を処理するために用いられる酸は、(前記と同濃度で)リン酸および塩酸の組合せでもよい。1つの具体的態様において、供給原料組成物と酸との接触は連続パイプ/フロースルーリアクターで行なう。 【0033】 デンプンでとび抜けて多いグリコシド結合はα‐1,4結合であり、これはデンプンの酸加水分解に際して最も多く壊される結合である。しかし酸触媒転換(縮合)はいずれか2つのヒドロキシル基の間で生じ、利用可能な組合せおよびジオメトリーには様々なものがあることを考えると、α‐1,4結合が形成される確率は比較的小さい。ヒト消化系は、デンプンおよびコーンシロップのα‐1,4結合を容易に消化する、αアミラーゼを含有している。消化系で酵素により認識されない結合でこれらの結合を代えると、生成物を大部分未変化のままで小腸から通過させうる。 【0034】 酸処理から得られる糖分布は、酵素処理の場合とやや異なると考えられる。これらの酸触媒縮合生成物は酵素産生物よりヒト消化管内の酵素で認識されにくいと考えられる。 【0035】 酸処理は酵素処理と違って進行する。酵素は線状オリゴマーを速く加水分解して非線状オリゴマーをゆっくり形成し、一方酸では線状オリゴマーの減少と非線状オリゴマーの増加が匹敵する速度で生じる。デキストロースはオリゴマーの酵素加水分解で速く形成され、非線状縮合生成物が形成されるとゆっくり消費されるが、一方酸ではデキストロース濃度がゆっくり増加する。」 「【0041】 産生組成物は少量(典型的には乾燥固形ベースで50重量%未満、通常かなり少ない)の残留単糖をたいてい含有している。場合により、残留単糖(および他の種)の少なくとも一部が(例えば、膜濾過、クロマトグラフィー分離または発酵での消化により)オリゴマーから分離され、単糖流がプロセスフィードへリサイクルされる。こうして、単純糖シロップが高価値食品添加物へ変換される。」 「【0049】 オリゴマーシロップ40は、フルクトースおよびデキストロースのような残留単糖の少なくとも一部を除去するために、膜濾過、例えば第二ナノ濾過のような、他の分別42に付してもよい。適切なナノ濾過条件および装置は前記の通りである。このナノ濾過は第二の単糖に富んだ流れである透過物質を生じるが、それはモノマー流30と合わせてもよい。一方、更なる分別42もクロマトグラフィー分離、例えば疑似混合層クロマトグラフィーにより行なえる。」 「【0056】 本プロセスで産生されたオリゴ糖含有シロップは、常用炭水化物の代用品または補助品として食品へ加えられる。このように、本発明の他の面は、乾燥固形ベースで大量の線状および非線状糖オリゴマーを含んでなり、非線状糖オリゴマーの濃度が線状糖オリゴマーの濃度より大きい炭水化物組成物を含んでなる、食物製品である。シロップが用いられる食品の具体例としては、加工食品、例えばパン、ケーキ、クッキー、クラッカー、押出スナック、スープ、冷凍デザート、フライド食品、パスタ製品、ポテト製品、コメ製品、コーン製品、小麦製品、乳製品、ヨーグルト、菓子、ハードキャンディ、栄養バー、朝食シリアルおよび飲料がある。オリゴ糖シロップを含有した食物製品は、コーンスターチのような常用炭水化物が用いられる類似食物製品より低い血糖応答、低い血糖指数および低い血糖負荷を有する。更に、オリゴ糖の少なくとも一部はヒト胃または小腸で非常に限られた程度で消化されるだけかまたは全く消化されないため、食物製品のカロリー分は減少する。該シロップは適切な食物繊維源でもある。」 「【0060】 消化抵抗性オリゴマーシロップは、食物製品の繊維分を増やし、製品の消費から生理的利益を高め、カロリー分を減少させ、および/または製品の栄養プロファイルを高めるために、抵抗性デンプン、ポリデキストロースまたは他の繊維源と組み合わせて食物製品に用いられる。」 「【0063】 少なくとも本発明の一部態様において、消化抵抗性オリゴマーシロップは下記利点の1以上を有している:それをバターおよびドゥのような食品組成物へ比較的容易に配合させやすくさせる高い安定性;高温および/または酸性pH下の安定性(一部の他の可溶性繊維、例えばイヌリンはそれほど安定でない)、低い甘味、クリーンなフレーバーおよびクリアな色。該シロップの性質によれば、それが用いられる食物製品にクリーンな表示を付せられる。本発明の一部態様において、消化抵抗性オリゴマーシロップは約2カロリー/グラム(d.s.b.)を含有し、食物製品の総カロリー分を減少させうる。」 「【0144】 実施例10‐酸転換‐中度抵抗性 約35ガロンの80%乾燥固形の43DEコーンシロップ(Staley 1300)をタンク中でゆっくり攪拌し、80℃の温度に加熱した。約4.1 lbの37%塩酸を該シロップへよく攪拌しながらゆっくり加えた。水の定期的添加でKarl Fisher分析により測定しながら、反応液を約80%乾燥固形濃度で維持した。24時間後、加熱を止め、約35ガロンの0.35%水酸化ナトリウム溶液をよく攪拌しながらゆっくり加えた。次いで、pHを5.0に調整し、30%dsの最終糖濃度へ達するように水を加えた。Desal UF‐1限外濾過カートリッジを用いて約400psiの圧力および55?60℃の温度で糖溶液を限外濾過に付した。10?20LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加えた。Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が5%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、濾過を続けた。限外濾過保持物質を乾燥固形ベースで2%活性炭により処理した。次いで、炭素を濾過により除去し、濾液を71.5%dsまで蒸発させた。 【0145】 最終製品の糖分析をHPAE‐PADクロマトグラフィーにより行い、結果が表11で示されている。 【表11】 【0146】 実施例11‐酸転換に続く水素化 約35ガロンの80%乾燥固形の63DEコーンシロップ(SWEETOSE^(R) 4300)をタンク中でゆっくり攪拌した。次いでシロップ乾燥固形に対して0.25%(w/w)HClとなるように、37%塩酸をよく攪拌しながらゆっくり加えた。混合物を次いで80℃の温度に加熱した。水の定期的添加でKarl Fisher分析により測定しながら、反応液を約80%乾燥固形濃度で維持した。16時間後、加熱を止め、0.35%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを4.5に調整した。30%dsの最終糖濃度へ達するように追加の水を加えた。Desal UF‐1限外濾過カートリッジを用いて約400psiの圧力および55?60℃の温度で糖溶液を限外濾過に付した。10?20LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加えた。Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が10%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、限外濾過を続けた。Desal NF3840C30Dナノ濾過カートリッジを用いて約500psiの圧力および55?60℃の温度で限外濾過保持物質をナノ濾過に付した。2?10LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加えた。Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が1%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、濾過を続けた。ナノ濾過保持物質を乾燥固形ベースで1%活性炭により処理した。次いで、炭素を濾過により除去し、濾液を73.5%dsまで蒸発させた。 【0147】 この製品のデキストロース当量(DE)をAOAC法920.51(Lane Eynon)により測定したところ、21DEであることがわかった。この製品の糖分析をHPAE‐PADクロマトグラフィーにより行い、結果が表12で示されている。 【表12】 」 「【0155】 実施例16 本発明による消化抵抗性コーンシロップのサンプルを製造するために下記一般手順を用いた。一部低糖サンプルの製造に際して、ナノ濾過は、下記一般手順で記載されているような5%の代わりに、1%未満デキストロースまでランした。」 「【0160】 サンプル5‐SWEETOSE^(R)4300コーンシロップのリンおよび塩酸触媒再構築 1.35ガロンのSWEETOSE^(R)4300シロップをタンクへ送る。攪拌機を始動させ、80℃へ加熱を始める。 2.次いで(4300シロップ密度が11.9 lb/ガロンであるという仮定のもとに、反応液中シロップ乾燥固形で0.08%H3PO4および100ppm HCl乾燥固形を得られるように計算して)0.10 lbの37%塩酸をシロップへよく攪拌しながらゆっくり加える。 3.80%ds±5%に保つ。2時間毎に反応サンプルを取り出し、等量のDI水で希釈する。希釈サンプルでKarl Fisherをランする。40%ds未満ならば何もしない。40%ds超ならば、40%dsを超えた1%ds毎に100 lbの初期反応分につき4 lb DI水を加える。 4.Karl Fisher用の上記サンプルに加えて、反応の進行をモニターするために用いられるサンプルを集める。酸添加後に次の間隔:2hr、4hr、8hrおよび16hrでこれらを取り出す。各サンプリング後、すばやく行動して、等量の0.35%NaOH溶液を加えることでサンプルのpHを調整し、よく混ぜ、pHを測定する。5.0?6.5とするよう必要に応じてサンプルpHを調整する。 5.80℃/16時間保持の最後に、加熱を止める。pHが4.5?5.5の範囲で安定化するまで、0.35%苛性溶液をよく攪拌しながらゆっくり加える。 6.30%dsの最終糖濃度に達するよう、必要に応じて希釈水を加える。 7.濾過ユニットへ移し、Desal UF‐1膜で容量を10×?30×濃縮する。注意:このステップは最終DP2目標に応じたオプションである。 8.濾過膜をナノ濾過(Desal NF3840C30D“DL”)に切り替える。2?10LMHの範囲に透過物質流を維持するような速度で新鮮ダイアフィルトレーション水を加える。Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が5%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで続ける。 9.保持物質を集め、乾燥固形ベースで1%活性炭を加える。冷蔵する。 10.炭素を濾過により除去し、濾液を>70%dsまで蒸発させる。」 「【0207】 実施例53 抵抗性コーンシロップの6サンプルを前記実施例16のサンプル5の場合のように製造した。各サンプルは72%dsシロップであり、残部が水であった。サンプルは本質的に脂肪、タンパク質または灰分を含有していなかった。6サンプルは以下であった: RCS GR1(RCS,72%dsシロップ70%繊維,15%糖)(これらサンプルの“糖”は単および二糖の合計に関する) RCS GR2(RCS LS,72%dsシロップ80%繊維,5%糖) RCS GR3(RCS,50%フルクトース,72%dsシロップ) RCS GR4(RCS,50%ソルビトール,72%dsシロップ) RCS GR5(RCS LS,25%フルクトース,72%dsシロップ ) RCS GR6(RCS LS,25%ソルビトール,72%dsシロップ ) 25g(dsb)のシロップを含有したサンプルを次のように製造した:既知重量のRCSを含有したジャグに2.838kgの濾過水を加えた。蓋をジャグに取り付け、次いですべてのシロップが溶けるまで振盪および攪拌することによりそれを十分混ぜた。12oz(350g)のこの溶液は乾燥固形ベースで25gの試験炭水化物を含有していた。 25g無水グルコースを300mLの水と混ぜることにより、コントロール溶液を調製した。 サンプルを健康なヒト対象者10名に投与した。対象者の特徴は:男性5名、女性5名;年齢35±10y;体容積指数24.0±3.8kg/m2であった。各対象者は別々の日に9回の試験を受けたが、それには6回の試験食と25gの市販炭水化物を含有した標準グルコースドリンク3回を含む。血中グルコースを絶食時と食後15、30、45、60、90および120分目に測定した。血中グルコース応答曲線下の増加面積(iAUC)を計算した。各試験食の消費後における各対象者iAUCは、同対象者により摂取された3回グルコースコントロールの平均iAUCのパーセンテージとして表示した。製品の曲線下の増加面積および相対血糖応答(RGR)は以下であった: iAUC RGR グルコース(25g) 124.4±13.5^(a) 100^(a) RCS GR1 38.5±4.6^(b) 32.6±3.8^(b) RCS GR2 25.6±3.7^(b) 23.2±4.6^(b) RCS GR3 30.1±4.4^(b) 26.2±4.2^(b) RCS GR4 17.4±4.1^(b) 15.3±3.6^(b) RCS GR5 27.6±4.0^(b) 25.4±4.3^(b) RCS GR6 20.9±4.0^(b) 18.2±3.5^(b) 異なる上付の値は有意に異なる(P<0.001)。どの食品間にもおいしさに統計学的有意さはなかった。」 「【0208】 実施例54 Sweetose^(R)4300コーンシロップ(81%ds)を、それをホットオイルジャケット付きパドルミキサーへ77kg/hの速度で通すことにより、6%未満含水率まで蒸発させた。パドルミキサーローター速度を典型的には300?600rpmにセットし、オイルジャケット温度を150℃?205℃で変えた。試験の一部では、固形コーンシロップで0.1%?0.4%リン酸固形となるような速度でリン酸を加えた。試験の一部では、リン酸の代わりにまたはそれに加えて、塩酸を25ppmで加えた。 これらの試験から集められた製品(25mg)を4mLのpH4.0緩衝液に溶解させ、10μLの10mg/mLアミログルコシダーゼ酵素(Amyloglucoxidase Sigma Catalog#A‐7255)溶液と45℃で2時間インキュベートした。このインキュベートからの一部を少量のイオン交換樹脂で処理し、液体クロマトグラフィーによる糖分布分析前に濾過(0.45ミクロン)した。この分析から、三糖以上として存在することがわかった炭水化物の重量%が消化抵抗性炭水化物として定量され、下記表で%繊維として表示されている: サンプル名 温度℃ %H_(3)PO_(4) HClppm %繊維 ラン1 194 0.2% 43 ラン2 195 0.2% 25 52 ラン3 193 0.4% 25 62 ラン4 203 0.4% 25 68 ラン5 180 0.2% 27 ラン6 181 0.4% 37 ラン7 181 0.4% 25 33 ポリデキストロースコントロール 82 ポリデキストロースの実験サンプルがこの試験でコントロールとして用いられ、約82%繊維のレベルを示した。」 「【0209】 実施例55 Sweetose^(R)4300コーンシロップ(81%ds)を、それをホットオイルジャケット付きパドルミキサーへ77kg/hの速度で通すことにより、3%未満含水率まで蒸発させた。パドルミキサーローター速度を典型的には800rpmにセットし、オイルジャケット温度を210℃にセットした。試験の一部では、固形コーンシロップで0.1%?0.4%リン酸固形となるような速度でリン酸を加えた。試験の一部では、リン酸の代わりにまたはそれに加えて、塩酸を25または50ppmで加えた。 これらの試験から集められた製品(25mg)を4mLのpH4.0緩衝液に溶解させ、10μLの10mg/mLアミログルコシダーゼ酵素(Amyloglucoxidase Sigma Catalog#A‐7255)溶液と45℃で2時間インキュベートした。このインキュベートからの一部を少量のイオン交換樹脂で処理し、液体クロマトグラフィーによる糖分布分析前に濾過(0.45ミクロン)した。この分析から、三糖以上として存在することがわかった炭水化物の重量%が消化抵抗性炭水化物として定量され、下記表で%繊維として表示されている: サンプル名 温度℃ %H_(3)PO_(4) HClppm %繊維 ラン2‐1 210 0.0% 11 ラン2‐2 210 0.2% 79 ラン2‐3 210 0.0% 12 ラン2‐4 210 0.1% 43 ラン2‐5 210 0.1% 51 ラン2‐6 210 0.2% 61 ラン2‐7 210 0.3% 84 ラン2‐8 210 0.2% 25 79 ラン2‐9 210 0.0% 11 ラン2‐10 210 0.1% 43 ラン2‐11 210 0.1% 25 57 ラン2‐12 210 0.2% 53 ラン2‐13 210 0.2% 25 62 ラン2‐14 210 0.4% 56 ラン2‐15 210 0.4% 25 55 ラン2‐16 210 0.4% 50 62 ラン2‐17 210 0.0% 50 65 ラン2‐18 210 0.0% 50 59 ポリデキストロースコントロール 82 ポリデキストロースの実験サンプルがこの試験でコントロールとして用いられ、約82%繊維のレベルを示した。」 (イ) 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証の実施例11に着目すると、実施例11の組成物は、線状糖オリゴマー及び非線状糖オリゴマーを含む炭水化物組成物であり、非線状糖オリゴマーは75.2%含まれ、組成物に含まれる単糖及び二糖は、デキストロース1.4%、フルクトース0.1%、イソマルトース0.0%、マルトース4.3%、ソルビトール0.0%を合計すると、5.8%となる。 また、実施例11の組成物の組成からみて(表12)、非線状糖オリゴマーのうち、少なくとも3の重合度を有するものの割合は、100%といえる。 さらに甲第1号証には「濾液を73.5%dsまで蒸発させた。」(【0146】)と記載されていることから、実施例11の組成物は、73.5重量%の固形分を含むものである。 そして、実施例11の組成物の製造方法も考慮すると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。 「線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)100重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5.8重量%の単糖及び二糖を含み; f)前記組成物が、73.5重量%の固形分を含む 組成物であり、そして、 ここで、前記組成物が、以下: 約35ガロンの80%乾燥固形の63DEコーンシロップ(SWEETOSE^(R)4300)をタンク中でゆっくり攪拌し、次いでシロップ乾燥固形に対して0.25%(w/w)HClとなるように、37%塩酸をよく攪拌しながらゆっくり加え、混合物を次いで80℃の温度に加熱し、水の定期的添加でKarl Fisher分析により測定しながら、反応液を約80%乾燥固形濃度で維持し、16時間後、加熱を止め、0.35%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを4.5に調整し、30%dsの最終糖濃度へ達するように追加の水を加え、Desal UF‐1限外濾過カートリッジを用いて約400psiの圧力および55?60℃の温度で糖溶液を限外濾過に付し、10?20LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加え、Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が10%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、限外濾過を続け、Desal NF3840C30Dナノ濾過カートリッジを用いて約500psiの圧力および55?60℃の温度で限外濾過保持物質をナノ濾過に付し、2?10LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加え、Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が1%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、濾過を続け、ナノ濾過保持物質を乾燥固形ベースで1%活性炭により処理し、次いで、炭素を濾過により除去し、濾液を73.5%dsまで蒸発させた、 を含む方法によって作成される、上記組成物。」 同様に、甲第1号証の実施例53のRCS GR2に着目し、また、実施例53のものは、実施例16のサンプル5の場合のように製造されたことを考慮すると、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1-2発明」という。)が記載されていると認められる。 「線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)94重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%の単糖及び二糖を含み; e)前記組成物が、80重量%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、72重量%の固形分を含む 組成物であり、そして ここで、前記組成物が、以下: 1.35ガロンのSWEETOSE^(R)4300シロップをタンクへ送る。攪拌機を始動させ、80℃へ加熱を始める。 2.次いで(4300シロップ密度が11.9 lb/ガロンであるという仮定のもとに、反応液中シロップ乾燥固形で0.08%H_(3)PO_(4)および100ppm HCl乾燥固形を得られるように計算して)0.10 lbの37%塩酸をシロップへよく攪拌しながらゆっくり加える。 3.80%ds±5%に保つ。2時間毎に反応サンプルを取り出し、等量のDI水で希釈する。希釈サンプルでKarl Fisherをランする。40%ds未満ならば何もしない。40%ds超ならば、40%dsを超えた1%ds毎に100 lbの初期反応分につき4 lb DI水を加える。 4.Karl Fisher用の上記サンプルに加えて、反応の進行をモニターするために用いられるサンプルを集める。酸添加後に次の間隔:2hr、4hr、8hrおよび16hrでこれらを取り出す。各サンプリング後、すばやく行動して、等量の0.35%NaOH溶液を加えることでサンプルのpHを調整し、よく混ぜ、pHを測定する。5.0?6.5とするよう必要に応じてサンプルpHを調整する。 5.80℃/16時間保持の最後に、加熱を止める。pHが4.5?5.5の範囲で安定化するまで、0.35%苛性溶液をよく攪拌しながらゆっくり加える。 6.30%dsの最終糖濃度に達するよう、必要に応じて希釈水を加える。 7.濾過ユニットへ移し、Desal UF‐1膜で容量を10×?30×濃縮する。注意:このステップは最終DP2目標に応じたオプションである。 8.濾過膜をナノ濾過(Desal NF3840C30D“DL”)に切り替える。2?10LMHの範囲に透過物質流を維持するような速度で新鮮ダイアフィルトレーション水を加える。Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が5%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで続ける。 9.保持物質を集め、乾燥固形ベースで1%活性炭を加える。冷蔵する。 10.炭素を濾過により除去し、濾液を>70%dsまで蒸発させる を含む方法によって作成される、上記組成物。」 さらに、同様に、甲第1号証の実施例10に着目すると、実施例10の組成物は、線状糖オリゴマー及び非線状糖オリゴマーを含む炭水化物組成物であり、非線状糖オリゴマーは54.9%含まれ、組成物に含まれる単糖及び二糖は、デキストロース6.4%、フルクトース0.1%、イソマルトース1.6%、マルトース3.8%を合計すると、11.9%となる。 また、実施例10の組成物の組成からみて(表11)、非線状糖オリゴマーのうち、少なくとも3の重合度を有するものの割合は、(パノース+非線状高級糖)/(イソマルトース+パノース+非線状高級糖)×100=97.3%といえる。 さらに甲第1号証には「濾液を71.5%dsまで蒸発させた。」(【0144】)と記載されていることから、実施例10の組成物は、71.5重量%の固形分を含むものである。 そうすると、組成物の製造方法も考慮すると、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1-3発明」という。)が記載されていると認められる。 「線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)97.3重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計11.9重量%の単糖及び二糖を含み;及び f)前記組成物が、71.5重量%の固形分を含む 組成物であり、そして ここで、前記組成物が、以下: 約35ガロンの80%乾燥固形の43DEコーンシロップ(Staley 1300)をタンク中でゆっくり攪拌し、80℃の温度に加熱し、約4.1 lbの37%塩酸を該シロップへよく攪拌しながらゆっくり加え、水の定期的添加でKarl Fisher分析により測定しながら、反応液を約80%乾燥固形濃度で維持し、24時間後、加熱を止め、約35ガロンの0.35%水酸化ナトリウム溶液をよく攪拌しながらゆっくり加え、次いでpHを5.0に調整し、30%dsの最終糖濃度へ達するように水を加え、Desal UF‐1限外濾過カートリッジを用いて約400psiの圧力および55?60℃の温度で糖溶液を限外濾過に付し、10?20LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加え、Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が5%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、濾過を続け、限外濾過保持物質を乾燥固形ベースで2%活性炭により処理し、次いで、炭素を濾過により除去し、濾液を71.5%dsまで蒸発させた、 を含む方法によって作成される、上記組成物。」 イ 本件発明1との対比・判断 (ア) 甲1-1発明との対比・判断 本件発明1と甲1-1とを対比するに、甲1-1発明の「b)100重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し;」は、本件発明1の「b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し;」に相当する。 甲1-1発明の「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5.8重量%の単糖及び二糖を含み; 」は、本件発明1の「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み;」と、「「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で特定量の単糖及び二糖を含み;」の限りで一致する。 甲1-1発明の「f)前記組成物が、73.5重量%の固形分を含む」ことは、本件発明1の「f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む」ことに相当する。 両者は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。 <一致点> 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で特定量の単糖及び二糖を含み; 及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 組成物。 <相違点1-1> 組成物について、本件発明1は、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み;d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し;e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し」ているのに対して、甲1-1発明は、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5.8重量%の単糖及び二糖を含み;」とされている点。 <相違点1-2> 組成物について、本件発明1は、「ここで、前記組成物が、以下: デンプンの加水分解により作製されるシロップである水性供給組成物を加熱するステップであって、前記水性供給組成物は、単糖及び少なくとも1の線状糖オリゴマーを含み、少なくとも149℃の温度で少なくとも約90重量%の固形分濃度を有する上記ステップ; 前記水性供給組成物と1.0?2.5の範囲のpHで酸触媒と0.1?15分間接触させ、非線状糖オリゴマーの濃度が線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍の濃度である生成組成物を形成するステップ;及び 前記生成組成物から残留単糖及び二糖の少なくともいくらかを分離し、炭水化物組成物を提供するステップ を含む方法によって作成される、」と特定しているのに対して、甲1-1発明は、「ここで、前記組成物が、以下: 約35ガロンの80%乾燥固形の63DEコーンシロップ(SWEETOSE^(R)4300)をタンク中でゆっくり攪拌し、次いでシロップ乾燥固形に対して0.25%(w/w)HClとなるように、37%塩酸をよく攪拌しながらゆっくり加え、混合物を次いで80℃の温度に加熱し、水の定期的添加でKarl Fisher分析により測定しながら、反応液を約80%乾燥固形濃度で維持し、16時間後、加熱を止め、0.35%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを4.5に調整し、30%dsの最終糖濃度へ達するように追加の水を加え、Desal UF‐1限外濾過カートリッジを用いて約400psiの圧力および55?60℃の温度で糖溶液を限外濾過に付し、10?20LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加え、Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が10%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、限外濾過を続け、Desal NF3840C30Dナノ濾過カートリッジを用いて約500psiの圧力および55?60℃の温度で限外濾過保持物質をナノ濾過に付し、2?10LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加え、Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が1%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、濾過を続け、ナノ濾過保持物質を乾燥固形ベースで1%活性炭により処理し、次いで、炭素を濾過により除去し、濾液を73.5%dsまで蒸発させた、 を含む方法によって作成される、」としている点。 事案に鑑みて、以下に、まず上記相違点1-2について検討する。 <相違点1-2について> 本件発明1と甲1-1発明は、製造方法が異なっているところ、異なる製造条件で製造される非線状デキストロースオリゴマーは、重合度や分子の結合形態が異なったものになると認められるから、本件発明1と甲1-1発明は、組成物として異なるものである。 そして、甲1-1発明は、具体的な特定の実施例から把握されるものであり、甲1-1発明における組成物の製造方法を、上記相違点1-2に係る本件発明1の特定事項のものに変更することに、動機付けがあるとは認められない。 よって、本件発明1は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1-1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (イ) 甲1-2発明との対比・判断 本件発明1と甲1-2とを対比するに、甲1-2発明の「b)94重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し;」は、本件発明1の「b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し;」に相当する。 甲1-2発明の「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%の単糖及び二糖を含み;」は、本件発明1の「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み;」と、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で特定量の単糖及び二糖を含み;」の限りで一致する。 甲1-2発明の「e)前記組成物が、80重量%の食物繊維含有量を有し、」は、本件発明1の「e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、」と、「e)前記組成物が、特定量の食物繊維含有量を有し、」との限りで一致する。 甲1-2発明の「f)前記組成物が、72重量%の固形分を含む」ことは、本件発明1の「f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む」ことに相当する。 両者は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。 <一致点> 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で特定量の単糖及び二糖を含み; e)前記組成物が、特定量の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 組成物。 <相違点2-1> 組成物について、本件発明1は、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み;d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し;e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し」ているのに対して、甲1-2発明は、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%の単糖及び二糖を含み;」とされている点。 <相違点2-2> 組成物について、本件発明1は、「ここで、前記組成物が、以下: デンプンの加水分解により作製されるシロップである水性供給組成物を加熱するステップであって、前記水性供給組成物は、単糖及び少なくとも1の線状糖オリゴマーを含み、少なくとも149℃の温度で少なくとも約90重量%の固形分濃度を有する上記ステップ; 前記水性供給組成物と1.0?2.5の範囲のpHで酸触媒と0.1?15分間接触させ、非線状糖オリゴマーの濃度が線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍の濃度である生成組成物を形成するステップ;及び 前記生成組成物から残留単糖及び二糖の少なくともいくらかを分離し、炭水化物組成物を提供するステップ を含む方法によって作成される、」と特定しているのに対して、甲1-2発明は、「ここで、前記組成物が、以下: 1.35ガロンのSWEETOSE^(R)4300シロップをタンクへ送る。攪拌機を始動させ、80℃へ加熱を始める。 2.次いで(4300シロップ密度が11.9 lb/ガロンであるという仮定のもとに、反応液中シロップ乾燥固形で0.08%H_(3)PO_(4)および100ppm HCl乾燥固形を得られるように計算して)0.10 lbの37%塩酸をシロップへよく攪拌しながらゆっくり加える。 3.80%ds±5%に保つ。2時間毎に反応サンプルを取り出し、等量のDI水で希釈する。希釈サンプルでKarl Fisherをランする。40%ds未満ならば何もしない。40%ds超ならば、40%dsを超えた1%ds毎に100 lbの初期反応分につき4 lb DI水を加える。 4.Karl Fisher用の上記サンプルに加えて、反応の進行をモニターするために用いられるサンプルを集める。酸添加後に次の間隔:2hr、4hr、8hrおよび16hrでこれらを取り出す。各サンプリング後、すばやく行動して、等量の0.35%NaOH溶液を加えることでサンプルのpHを調整し、よく混ぜ、pHを測定する。5.0?6.5とするよう必要に応じてサンプルpHを調整する。 5.80℃/16時間保持の最後に、加熱を止める。pHが4.5?5.5の範囲で安定化するまで、0.35%苛性溶液をよく攪拌しながらゆっくり加える。 6.30%dsの最終糖濃度に達するよう、必要に応じて希釈水を加える。 7.濾過ユニットへ移し、Desal UF‐1膜で容量を10×?30×濃縮する。注意:このステップは最終DP2目標に応じたオプションである。 8.濾過膜をナノ濾過(Desal NF3840C30D“DL”)に切り替える。2?10LMHの範囲に透過物質流を維持するような速度で新鮮ダイアフィルトレーション水を加える。Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が5%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで続ける。 9.保持物質を集め、乾燥固形ベースで1%活性炭を加える。冷蔵する。 10.炭素を濾過により除去し、濾液を>70%dsまで蒸発させる を含む方法によって作成される、」としている点。 事案に鑑みて、以下に、まず上記相違点2-2について検討する。 <相違点2-2について> 本件発明1と甲1-2発明は、製造方法が異なっているところ、異なる製造条件で製造される非線状デキストロースオリゴマーは、重合度や分子の結合形態が異なったものになると認められるから、本件発明1と甲1-2発明は、組成物として異なるものである。 そして、甲1-2発明は、具体的な特定の実施例から把握されるものであり、甲1-2発明における組成物の製造方法を、上記相違点2-2に係る本件発明1の特定事項のものに変更することに、動機付けがあるとは認められない。 よって、本件発明1は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1-2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (ウ) 甲1-3発明との対比・判断 本件発明1と甲1-3とを対比するに、甲1-3発明の「b)97.3重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し;」は、本件発明1の「b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し;」に相当する。 甲1-3発明の「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計11.9重量%の単糖及び二糖を含み; 」は、本件発明1の「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み;」と、「「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で特定量の単糖及び二糖を含み;」の限りで一致する。 甲1-3発明の「f)前記組成物が、71.5重量%の固形分を含む」ことは、本件発明1の「f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む」ことに相当する。 両者は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。 <一致点> 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で特定量の単糖及び二糖を含み; 及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 組成物。 <相違点3-1> 組成物について、本件発明1は、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み;d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し;e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し」ているのに対して、甲1-3発明は、「c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計11.9重量%の単糖及び二糖を含み;」とされている点。 <相違点3-2> 組成物について、本件発明1は、「ここで、前記組成物が、以下: デンプンの加水分解により作製されるシロップである水性供給組成物を加熱するステップであって、前記水性供給組成物は、単糖及び少なくとも1の線状糖オリゴマーを含み、少なくとも149℃の温度で少なくとも約90重量%の固形分濃度を有する上記ステップ; 前記水性供給組成物と1.0?2.5の範囲のpHで酸触媒と0.1?15分間接触させ、非線状糖オリゴマーの濃度が線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍の濃度である生成組成物を形成するステップ;及び 前記生成組成物から残留単糖及び二糖の少なくともいくらかを分離し、炭水化物組成物を提供するステップ を含む方法によって作成される、」と特定しているのに対して、甲1-3発明は、「ここで、前記組成物が、以下: 約35ガロンの80%乾燥固形の43DEコーンシロップ(Staley 1300)をタンク中でゆっくり攪拌し、80℃の温度に加熱し、約4.1 lbの37%塩酸を該シロップへよく攪拌しながらゆっくり加え、水の定期的添加でKarl Fisher分析により測定しながら、反応液を約80%乾燥固形濃度で維持し、24時間後、加熱を止め、約35ガロンの0.35%水酸化ナトリウム溶液をよく攪拌しながらゆっくり加え、次いでpHを5.0に調整し、30%dsの最終糖濃度へ達するように水を加え、Desal UF‐1限外濾過カートリッジを用いて約400psiの圧力および55?60℃の温度で糖溶液を限外濾過に付し、10?20LMHの範囲に透過物質流を維持するために、新鮮ダイアフィルトレーション水を加え、Karl FisherおよびYSIデキストロース分析の組合せで保持物質が5%未満デキストロース(d.s.b.)を含有するまで、濾過を続け、限外濾過保持物質を乾燥固形ベースで2%活性炭により処理し、次いで、炭素を濾過により除去し、濾液を71.5%dsまで蒸発させた、」としている点。 事案に鑑みて、以下に、まず上記相違点3-2について検討する。 <相違点3-2について> 本件発明1と甲1-3発明は、製造方法が異なっているところ、異なる製造条件で製造される非線状デキストロースオリゴマーは、重合度や分子の結合形態が異なったものになると認められるから、本件発明1と甲1-3発明は、組成物として異なるものである。 そして、甲1-3発明は、具体的な特定の実施例から把握されるものであり、甲1-3発明における組成物の製造方法を、上記相違点3-2に係る本件発明1の特定事項のものに変更することに、動機付けがあるとは認められない。 よって、本件発明1は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1-3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (エ) なお、甲第1号証の、実施例54(甲第1号証【0208】)及び実施例55(甲第1号証【0209】)には、本件特許明細書に記載された実施例1(【0076】?【0080】)及び実施例2(【0081】?【0085】)と同じものが開示されているとともに、甲第1号証には、「産生組成物は少量(典型的には乾燥固形ベースで50重量%未満、通常かなり少ない)の残留単糖をたいてい含有している。場合により、残留単糖(および他の種)の少なくとも一部が(例えば、膜濾過、クロマトグラフィー分離または発酵での消化により)オリゴマーから分離され、単糖流がプロセスフィードへリサイクルされる。こうして、単純糖シロップが高価値食品添加物へ変換される。」(【0041】)と記載されている。 しかしながら、産生組成物に残留単糖が含有されている場合に、残留単糖の一部についてリサイクルすることは記載されているものの、単糖及び二糖をあえて除去することについては、甲第1号証に記載又は示唆がなされているとは認められない。 また、一般に、単糖及び二糖が吸収されてカロリー源となること及び食物繊維が糖の吸収遅延を起こさせることは技術常識である(甲第2号証【0011】、【0028】、甲第3号証【0012】)としても、甲第1号証の実施例54及び実施例55のものは、産生組成物において、消化抵抗性炭水化物が相当程度含まれ、残留単糖が通常かなり少なく含有されるものであるから(【0041】)、当該産生組成物から、さらに、単糖及び二糖を除去する動機付けがあるとは、認めることができない。 ウ 本件発明2?4について 本件発明2?4は、本件発明1を引用して更に限定した発明であるから、上記イで本件発明1について検討したことと同様の理由により、甲1-1発明、甲1-2発明又は甲1-3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明1?4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物であって、ここで以下: a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 組成物であり、そして ここで、前記組成物が、以下: デンプンの加水分解により作製されるシロップである水性供給組成物を加熱するステップであって、前記水性供給組成物は、単糖及び少なくとも1の線状糖オリゴマーを含み、少なくとも149℃の温度で少なくとも約90重量%の固形分濃度を有する上記ステップ; 前記水性供給組成物を1.0?2.5の範囲のpHで酸触媒と0.1?15分間接触させ、非線状糖オリゴマーの濃度が線状糖オリゴマーの濃度の少なくとも2倍の濃度である生成組成物を形成するステップ;及び 前記生成組成物から残留単糖及び二糖の少なくともいくらかを分離し、炭水化物組成物を提供するステップ を含む方法によって作成される、上記組成物。 【請求項2】 前記炭水化物組成物がシロップ形態である、請求項1に記載の炭水化物組成物。 【請求項3】 少なくとも90重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有する、請求項1又は2に記載の炭水化物組成物。 【請求項4】 前記炭水化物組成物が1?2kcal/gのカロリー量を有する、請求項1?3のいずれか一項に記載の炭水化物組成物。 【請求項5】 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び標準コーンシロップ又は高フルクトースコーンシロップと同程度の甘味のレベルをシロップに付与するための少なくとも1つの高甘味度甘味料の効果的な量を含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。 【請求項6】 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び少なくとも1つの天然甘味料を含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。 【請求項7】 前記少なくとも1つの天然甘味料が、ステビオール配糖体及びモグロシドからなる群から選択される、請求項6に記載のシロップ。 【請求項8】 線状及び非線状デキストロースオリゴマーを含む炭水化物組成物及び少なくとも1つのポリオールを含むシロップであって、 a)前記組成物が、線状デキストロースオリゴマーよりも高い濃度の非線状デキストロースオリゴマーを有し; b)少なくとも85重量%の前記非線状デキストロースオリゴマーが、少なくとも3の重合度を有し; c)前記組成物が、乾燥固形分基準で合計5重量%未満の単糖及び二糖を含み; d)前記組成物が、1?2.5kcal/gのカロリー量を有し; e)前記組成物が、AOAC法2001.03で測定した場合、80%?95%の食物繊維含有量を有し、及び f)前記組成物が、60重量%?85重量%の固形分を含む 上記シロップ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-06-25 |
出願番号 | 特願2013-523218(P2013-523218) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YAA
(A23L)
P 1 652・ 536- YAA (A23L) P 1 652・ 537- YAA (A23L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 伊達 利奈 |
特許庁審判長 |
紀本 孝 |
特許庁審判官 |
井上 哲男 山崎 勝司 |
登録日 | 2017-01-06 |
登録番号 | 特許第6068339号(P6068339) |
権利者 | テイト アンド ライル イングレディエンツ アメリカス リミテッド ライアビリティ カンパニー |
発明の名称 | 炭水化物組成物 |
代理人 | 渡辺 陽一 |
代理人 | 中島 勝 |
代理人 | 池田 達則 |
代理人 | 三橋 真二 |
代理人 | 池田 達則 |
代理人 | 渡辺 陽一 |
代理人 | 中島 勝 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 武居 良太郎 |
代理人 | 三橋 真二 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 武居 良太郎 |