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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G02B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1354089
異議申立番号 異議2018-700537  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-04 
確定日 2019-07-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6258911号発明「プロテクトフィルム付偏光板及びそれを含む積層体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6258911号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 特許第6258911号の請求項1、2、4ないし7に係る特許を維持する。 特許第6258911号の請求項3、8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続等の経緯
特許第6258911号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-8に係る特許についての出願は、平成27年12月7日(優先権主張 平成26年12月22日)に特許出願され、平成29年12月15日にその特許権の設定登録がされ、平成30年1月10日に特許掲載公報が発行された。
本件特許について、平成30年7月4日に特許異議申立人株式会社アイピージェイから全請求項に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成30年10月 9日付け:取消理由通知書
平成30年12月 5日付け:意見書(特許権者)
平成31年 2月19日付け:取消理由通知書(決定の予告)
平成31年 4月17日付け:意見書(特許権者)
平成31年 4月17日付け:訂正請求書(この訂正請求書による訂正の
請求を、以下「本件訂正請求」という。)
令和 元年 6月 5日付け:意見書(特許異議申立人)

第2 本件訂正請求について
1 訂正の趣旨及び訂正の内容
(1)訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第6258911号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-8について訂正することを求める、というものである。

(2)訂正の内容
本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「偏光子を含む偏光板と、その一方の表面に積層されるプロテクトフィルムとを備え、
前記偏光板の厚みが125μm以下であり、
前記偏光子の厚みが15μm以下であり、
前記プロテクトフィルムは、温度40℃、相対湿度90%での透湿度が15g/(m^(2)・24hr)以下である、プロテクトフィルム付偏光板。」と記載されているのを、
「偏光子を含む偏光板と、その一方の表面に積層されるプロテクトフィルムとを備え、
前記偏光板の厚みが125μm以下であり、
前記偏光子の厚みが15μm以下であり、
前記プロテクトフィルムは、温度40℃、相対湿度90%での透湿度が15g/(m^(2)・24hr)以下であり、前記一方の表面に積層される第2粘着剤層と、その上に積層される単層のポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムとで構成され、
枚葉体である、プロテクトフィルム付偏光板。」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された、請求項2及び4-7についても、同様に訂正する。)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1?3のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。」と記載されているのを、「請求項1又は2に記載のプロテクトフィルム付偏光板。」に訂正する(請求項4の記載を引用して記載された、請求項5-7についても、同様に訂正する。)。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1?4のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。」と記載されているのを、「請求項1、2及び4のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。」に訂正する(請求項5の記載を引用して記載された、請求項6及び7についても、同様に訂正する。)。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。」と記載されているのを、「請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。」に訂正する(請求項6の記載を引用して記載された、請求項7についても、同様に訂正する。)。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(3)本件訂正請求は、一群の請求項〔1-8〕に対して請求されたものである。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、ア:本件特許の願書に添付した明細書の【0010】、【0104】の記載に基づいて、請求項1に記載された「プロテクトフィルム」を「前記一方の表面に積層される第2粘着剤層と、その上に積層される単層のポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムとで構成され」と限定し、イ:本件特許の願書に添付した明細書の【0027】の記載に基づいて、請求項1に記載された「プロテクトフィルム付偏光板」を「枚葉体である」と限定する、訂正である。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
請求項2及び4-7についてみても、同じである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲の請求項3を削除する訂正である。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、訂正事項2による訂正で特許請求の範囲の請求項3を削除することに伴って、これと整合するように請求項4の記載を改める訂正である。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
請求項5-7についてみても、同じである。

(4)訂正事項4について
訂正事項4による訂正は、訂正事項2による訂正で特許請求の範囲の請求項3を削除することに伴って、これと整合するように請求項5の記載を改める訂正である。
したがって、訂正事項4による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項4による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
請求項6及び7についてみても、同じである。

(5)訂正事項5について
訂正事項5による訂正は、訂正事項2による訂正で特許請求の範囲の請求項3を削除することに伴って、これと整合するように請求項6の記載を改める訂正である。
したがって、訂正事項5による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項5による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
請求項7についてみても、同じである。

(6)訂正事項6について
訂正事項6による訂正は、特許請求の範囲の請求項8を削除する訂正である。
したがって、訂正事項6による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項6による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(7)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正(訂正事項1-6による訂正)は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

第3 本件特許発明
前記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正は認められた。
したがって、本件特許の請求項1、2及び4-7に係る発明(以下、それぞれ、「本件特許発明1」、「本件特許発明2」及び「本件特許発明4」-「本件特許発明7」という。)は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2及び4-7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
偏光子を含む偏光板と、その一方の表面に積層されるプロテクトフィルムとを備え、
前記偏光板の厚みが125μm以下であり、
前記偏光子の厚みが15μm以下であり、
前記プロテクトフィルムは、温度40℃、相対湿度90%での透湿度が15g/(m^(2)・24hr)以下であり、前記一方の表面に積層される第2粘着剤層と、その上に積層される単層のポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムとで構成され、
枚葉体である、プロテクトフィルム付偏光板。
【請求項2】
前記偏光板の他方の表面は、第1粘着剤層の表面で構成されている、請求項1に記載のプロテクトフィルム付偏光板。」
「【請求項4】
前記偏光板は、前記偏光子の少なくとも一方の表面に活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層を介して積層される保護フィルムをさらに含む、請求項1又は2に記載のプロテクトフィルム付偏光板。
【請求項5】
前記偏光板の他方の表面は、第1粘着剤層の表面で構成されており、
前記偏光板の他方の表面に積層されるセパレートフィルムをさらに備える、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。
【請求項6】
前記偏光板は、前記偏光子以外の光学フィルムをさらに含み、
前記光学フィルムの表面に前記プロテクトフィルムが積層される、請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。
【請求項7】
前記光学フィルムは、輝度向上フィルムである、請求項6に記載のプロテクトフィルム付偏光板。」

第4 取消の理由の概要
平成31年2月19日付け取消理由通知書(決定の予告)により特許権者に通知した取消の理由は、概略、
理由1:本件訂正請求による訂正前の請求項1及び2に係る発明は、その優先権主張の日(平成26年12月22日:以下、「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である引用文献1(特開2013-68942号公報)に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、それら特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである、
また、本件訂正請求による訂正前の請求項4-8に係る発明は、前記引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、それら特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである、
理由2:本件訂正請求による訂正前の請求項1-8に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である引用文献3(特開2012-48046号公報)に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、それら特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである、
理由3:本件訂正請求による訂正前の請求項1-8に係る発明は、いずれも、発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえず、請求項1-8に係る特許は、いずれも、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである、
というものである。

第5 当合議体の判断
1 理由1について
(1)引用文献1の記載
取消の理由で引用された引用文献1(特開2013-68942号公報)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当合議体が付した。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板の保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な画像表示装置である液晶表示装置では、その画像形成方式に起因して、液晶セルの両側に偏光板が貼り合わされる。偏光板は、力学的、光学的な耐久性を向上させる等の観点から、通常、偏光性能を有する偏光子の少なくとも片側に保護層が積層されて構成されている。しかし、偏光板には、偏光子と保護層との線膨張率や熱収縮率の違い等によって、反りが発生しやすいという問題がある。このような偏光板の反りは、例えば、液晶セルに貼り合わされることにより解消され得るが、製造工程(例えば、他の光学部材との積層工程、液晶セルへの貼り合せ工程)における不具合の原因となる。
【0003】
ところで、上記製造工程において、通常、偏光板(偏光板中間体を含む)には、保護フィルムが貼り合わされている(例えば、特許文献1参照)。このような保護フィルムの貼り合わせにより、上記偏光板の反りを抑制することが提案されているが、偏光板の構成によっては、反りの抑制が不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3368524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、偏光板の反りを良好に抑制可能な保護フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の保護フィルムは、偏光板の保護フィルムであって、第1の樹脂層と、接着層と、第2の樹脂層とをこの順で有する。
・・・(中略)・・・
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接着層を介して樹脂層を積層することにより、樹脂層単独よりも偏光板の反りを良好に抑制可能な保護フィルムを提供することができる。樹脂層単独よりも断面2次モーメントが高く、弾性率を低下させ得ることが、その要因の1つとして考えられる。また、弾性率の低下により、一定の張力を加えた際の収縮量を増加させることができるので、保護フィルムの貼り合わせに際して張力を加える場合、設備への負担を軽減させることができる。さらに、このような構成の保護フィルムは屈曲性に優れ、剥離性(偏光板から取り除かれる際の)にも優れることから、製造効率の向上を達成することができる。」

イ 「【0010】
A.保護フィルム
図1は、本発明の好ましい実施形態による保護フィルムの概略断面図である。保護フィルム10は、第1の樹脂層11と、接着層13と、第2の樹脂層12とをこの順で有する。保護フィルム10は、第1の樹脂層11と第2の樹脂層12とを接着層13を介して積層した積層体10’である。実用的には、保護フィルム10は、その第2の樹脂層12の接着層13とは反対側に設けられた粘着剤層20を有し、この粘着剤層20により偏光板に貼り合わされる。なお、図示しないが、偏光板に貼り合わされるまでは、粘着剤層20表面にセパレーターが貼り合わされる。
・・・(中略)・・・
【0041】
B.保護フィルム付偏光板
図2は、本発明の好ましい実施形態による保護フィルム付偏光板の概略断面図である。保護フィルム付偏光板100は、偏光板30と、偏光板30の表面に粘着剤層20により貼り合わされた保護フィルム10とを有する。偏光板30は、偏光子31と、偏光子31の片側に配置された保護層32および光学部材33と、偏光子31のもう片側に配置された光学部材34およびセパレーター35とを有する。保護フィルム10は、偏光子31に対して、保護層32が配置されている側に貼り合わされる。セパレーター35は、使用に供する際(例えば、液晶セルに保護フィルム付偏光板を貼り合わせる際)に取り外される。なお、偏光板を構成する各層の積層には、任意の適切な粘着剤または接着剤が用いられる。
【0042】
本発明の保護フィルム付偏光板は、偏光板の構成が変化しても、反りが良好に抑制されている。具体例として、保護フィルム付偏光板からセパレーターが取り外された場合、反りの向きが反転する場合があるが(特に、張力を加えて保護フィルムを貼り合わせた場合)、本発明の保護フィルムによれば、このような反りも良好に抑制することができる。本発明の保護フィルムは、樹脂層単独よりも断面2次モーメントが高く、弾性率が低く張力を除去した際の収縮量が大きいことが、その要因の1つとして考えられる。
【0043】
上記偏光板は、偏光子と偏光子の少なくとも片側に配置された保護層とを有する。偏光板の薄型化・軽量化の観点から、偏光子の片側にのみ保護層を配置させる構成が好ましいが、このような偏光子に対して非対称な構成では、反りの発生が顕著となり得る。
【0044】
上記偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着配向させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着配向させた偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。
【0045】
偏光子の厚みは、代表的には1μm?80μm程度であり、好ましくは5μm?40μmである。
【0046】
上記保護層は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで構成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。
・・・(中略)・・・
【0047】
保護層の厚みは、好ましくは5μm?200μm、より好ましくは10μm?100μmである。なお、保護層が光学補償層として機能してもよい。
【0048】
上記光学部材としては、例えば、光学補償層(位相差層)、輝度向上フィルム等が挙げられる。セパレーターについては、A-4項で説明したとおりである。」

ウ 「【実施例】
【0049】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
1.厚み
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
2.弾性率および引張伸度
JIS K 6781に準拠し、引張試験機(島津製作所社製、製品名:オートグラフ)を用いて測定した。
【0050】
[実施例1]
(粘着剤の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた反応容器に、ブチルアクリレート100重量部と、アクリル酸5.0重量部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.075重量部と、2,2’アゾビスイソニトリル0.3重量部と、酢酸エチルとを加え、窒素ガス気流下で攪拌しながら60℃で6時間反応させて、重量平均分子量163万のアクリル系ポリマー溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液のポリマー固形分100重量部に対して、イソシアネート系多官能性化合物(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートL)0.6重量部と、シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBM403)0.08重量部とを添加して、粘着剤を調製した。
【0051】
ポリエステル系樹脂フィルム(三菱樹脂社製、商品名:T100F、厚み:38μm、弾性率:4090N/mm^(2)、引張伸度:59%)上に、上記粘着剤を塗工し、90℃で加熱して厚み12μmの接着層を形成した。得られた接着層の23℃における貯蔵弾性率は1.0×10^(5)Paであった。
その後、接着層上に、ポリエステル系樹脂フィルム(日東電工社製、商品名:RP301、厚み:38μm、弾性率:4050N/mm^(2)、引張伸度:58%)を積層して、厚み88μmの保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの弾性率は3.6kN/mm^(2)であり、引張伸度は91%であった。
【0052】
[実施例2]
厚み9μmの接着層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、保護フィルムを作製した。得られた保護フィルムの弾性率は3.7kN/mm^(2)であり、引張伸度は89%であった。
【0053】
[実施例3]
厚み3μmの接着層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、保護フィルムを作製した。得られた保護フィルムの弾性率は3.7kN/mm^(2)であり、引張伸度は80%であった。
【0054】
[実施例4]
厚み20μmの接着層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、保護フィルムを作製した。得られた保護フィルムの弾性率は3.6kN/mm^(2)であり、引張伸度は98%であった。
【0055】
[実施例5]
厚み25μmの接着層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、保護フィルムを作製した。得られた保護フィルムの弾性率は3.5kN/mm^(2)であり、引張伸度は105%であった。
【0056】
[実施例6]
厚み30μmの接着層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、保護フィルムを作製した。得られた保護フィルムの弾性率は3.5kN/mm^(2)であり、引張伸度は109%であった。
・・・(中略)・・・
【0063】
実施例および比較例の保護フィルムによる偏光板の反りの抑制度合いを評価した。また、保護フィルムの剥離性を評価した。評価方法の詳細は以下の通りである。
【0064】
(偏光子の作製)
厚み60μmのポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする高分子フィルム(クラレ社製、商品名:VF-PE-A NO.6000)を、下記(1)?(5)の条件の5浴に、フィルム長手方向に張力を付与しながら浸漬し、最終的な延伸倍率がフィルム元長に対して、6.2倍となるように延伸した。この延伸フィルムを40℃の空気循環式乾燥オーブン内で1分間乾燥させて、厚み22μmの偏光子を作製した。
<条件>
(1)膨潤浴:30℃の純水。
(2)染色浴:水100重量部に対し、0.035重量部のヨウ素と、水100重量部に対し、0.2重量部のヨウ化カリウムとを含む、30℃の水溶液。
(3)第1の架橋浴:3重量%のヨウ化カリウムと、3重量%のホウ酸とを含む、40℃の水溶液。
(4)第2の架橋浴:5重量%のヨウ化カリウムと、4重量%のホウ酸とを含む、60℃の水溶液。
(5)水洗浴:3重量%のヨウ化カリウムを含む、25℃の水溶液。
【0065】
(保護層の作製)
[下記一般式(1)中、R^(1)は水素原子、R^(2)およびR^(3)はメチル基であるラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂{共重合モノマー重量比=メタクリル酸メチル/2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル=8/2、ラクトン環化率約100%、ラクトン環構造の含有割合19.4%、重量平均分子量133000、メルトフローレート6.5g/10分(240℃、10kgf)、Tg131℃}90重量部と、アクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂{トーヨーAS AS20、東洋スチレン社製}10重量部との混合物;Tg127℃]のペレットを二軸押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、厚み40μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂シートを得た。この未延伸シートを、160℃の温度条件下、縦2.0倍、横2.4倍に延伸して厚み20μmの保護層を得た。
【0066】
【化1】(省略)
【0067】
(偏光板の作製)
上記偏光子の片側に上記保護層をポリビニルアルコール系接着剤で積層し、もう片側に厚み22μmの粘着剤層を形成し、粘着剤層表面に厚み38μmのセパレーターを貼り合わせた。このようにして偏光板を作製した。
【0068】
(保護フィルム付偏光板の作製)
各実施例および比較例の保護フィルムの片側(実施例の保護フィルムにおいては第2の樹脂層側)に粘着剤層(厚み:23μm)を設け、得られた偏光板の保護層側に貼り合わせて、保護フィルム付偏光板を得た。貼り合わせに際し、保護フィルムに、貼り合わせ後に偏光板の偏光子の吸収軸方向と対応する方向に190gf/10mmの張力を加えた。

エ 「




(2)引用発明1
前記(1)ア-エによると、引用文献1には、実施例1の保護フィルムを用いて作製した保護フィルム付き偏光板に係る発明として、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明1」という。)。

「ポリエステル系樹脂フィルム(三菱樹脂社製、商品名:T100F、厚み:38μm)上に厚み12μmの接着層を形成し、接着層上にポリエステル系樹脂フィルム(日東電工社製、商品名:RP301、厚み:38μm)を積層して厚み88μmの保護フィルムを作製し、
厚み22μmの偏光子の片側に厚み20μmの保護層をポリビニルアルコール系接着剤で積層し、もう片側に厚み22μmの粘着剤層を形成し、粘着剤層表面に厚み38μmのセパレーターを貼り合わせて偏光板を作製し、
上記保護フィルムの片側に粘着剤層(厚み:23μm)を設け、上記偏光板の保護層側に貼り合わせて得られた、
保護フィルム付偏光板。」

(3)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「偏光子」、「保護フィルム」は、技術的にみて、それぞれ本件特許発明1の「偏光子」、「プロテクトフィルム」に相当する。

(イ)本件特許明細書の【0022】には、「本発明において偏光板100とは、少なくとも偏光子を含む偏光素子であり、通常はその片面又は両面に貼合される保護フィルムをさらに含む。‥‥‥偏光板100の一方の最表層が第1粘着剤層31であり、その外面にセパレートフィルム70が積層される場合において、このセパレートフィルム70は偏光板100には含まれないものとする。」と記載されている。この記載を踏まえると、引用発明1の「偏光板」のうち、「セパレータ」を除く部分(「偏光子」、「ポリビニルアルコール系接着剤」の層、「保護層」及び「厚み22μmの粘着剤層」)は、技術的にみて、本件特許発明1の「偏光板」に相当する。
また、引用発明1の「保護フィルム」は、「保護層側に貼り合わ」されている。そうすると、引用発明1は、本件特許発明1の「偏光子を含む偏光板と、その一方の表面に積層されるプロテクトフィルムとを備え」という要件を満たしている。

(ウ)引用発明1の「厚み22μmの偏光子」、「厚み20μmの保護層」及び「厚み22μmの粘着剤層」の各層の厚さを合計すると、約64μmとなる。また、引用発明1の「ポリビニルアルコール系接着剤」の層の厚さは不明であるが、この層の厚さを加えたとしても、引用発明1の「偏光板」(セパレータを除く)の厚みが125μmを超えないことは明らかである。なお、偏光子の片側に保護層を積層する際に用いられているポリビニルアルコール系接着剤の厚みは0.1μm程度であると考えられる(例えば、特開2007-206295号公報の【0047】、特開2007-178838号公報の【0042】等参照。)。
そうすると、引用発明1は、本件特許発明1の「前記偏光板の厚みが125μm以下であり」という要件を満たしている。

イ 一致点
上記アによると、本件特許発明1と引用発明1は次の点で一致する。
「偏光子を含む偏光板と、その一方の表面に積層されるプロテクトフィルムとを備え、
前記偏光板の厚みが125μm以下である、プロテクトフィルム付偏光板。」

ウ 相違点
他方、本件特許発明1と引用発明1は次の点で相違する。
(相違点1)
本件特許発明1は、「偏光子の厚みが15μm以下であ」るのに対し、引用発明1は、偏光子の厚みが22μmである点。

(相違点2)
本件特許発明1の「プロテクトフィルムは、温度40℃、相対湿度90%での透湿度が15g/(m^(2)・24hr)以下である」のに対し、引用発明1の保護フィルムは、その透湿度が定かではない点。

(相違点3)
本件特許発明1のプロテクトフィルムは、「一方の表面に積層される第2粘着剤層と、その上に積層される単層のポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムとで構成され」るのに対し、引用発明1の保護フィルムは、「ポリエステル系樹脂フィルム(三菱樹脂社製、商品名:T100F、厚み:38μm)上に厚み12μmの接着層を形成し、接着層上にポリエステル系樹脂フィルム(日東電工社製、商品名:RP301、厚み:38μm)を積層し」た厚み88μmのものである点。

(相違点4)
本件特許発明1のプロテクトフィルム付偏光板は「枚葉体である」のに対し、引用発明1の保護フィルム付偏光板は枚葉体であるのかが定かではない点。

エ 判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
引用文献1の段落【0005】-【0007】の記載からすると、引用発明1の保護フィルムは、接着層を介して2つの樹脂層を積層することにより、樹脂層が単独である場合よりも偏光板の反りを良好に抑制可能とすることを課題として作製されたものである。
前記課題からすると、引用発明1の保護フィルムの樹脂フィルム(層)を単層とする動機付けを見い出すことはできない(阻害要因があるといえる。)。また、引用発明1において、保護フィルムの樹脂フィルム(層)を単層とすることが、単なる設計事項であるともいえない。
そうすると、引用発明1において、相違点3に係る本件特許発明1の構成を得ることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

オ 小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件特許発明2及び4-7について
本件特許の特許請求の範囲の請求項2及び4-7は、いずれも、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、本件特許発明2及び4-7は、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものに該当する。
そうすると、前記(3)のとおり、本件特許発明1は、当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件特許発明2及び4-7も、当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 理由2について
(1)引用文献3の記載
取消の理由で引用された引用文献3(特開2012-48046号公報)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当合議体が付した。

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機能フィルムと、光学機能フィルムに剥離自在に積層されたキャリアフィルムとを少なくとも含む連続ウェブ形態の光学フィルム積層体がロール状に巻き取られている連続ロールであって、
前記光学機能フィルムは偏光子の両主面に保護フィルムが積層された偏光フィルムを含み、
前記光学機能フィルムは、前記光学フィルム積層体の幅方向に沿って切込線が形成されることで複数の光学機能フィルムのシート片に切断されており、
前記光学機能フィルムの長手方向の単位長さあたりの曲げ剛性が、1×10^(-2)N・mm^(2)以上、4×10^(-1)N・mm^(2)以下である、連続ロール。
【請求項2】
前記光学フィルム積層体は、前記キャリアフィルムが粘着層を介して光学機能フィルムに添設されている、請求項1に記載の連続ロール。
【請求項3】
前記光学機能フィルムの厚みが10μm以上、90μm以下である、請求項1または2に記載の連続ロール。
【請求項4】
前記偏光子の厚みが2μm以上、10μm以下である、請求項1?3のいずれか1項に記載の連続ロール。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機能フィルムとキャリアフィルムとが積層された光学フィルム積層体がロール状に巻き取られた連続ロールに関する。さらに本発明は該連続ロールから光学フィルム積層体を繰り出して液晶パネルに貼り合せる液晶表示素子の製造方法、ならびに当該製造方法に用いられる貼り合せ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に代表されるフラットパネルディスプレイは、薄型・軽量・低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられている。液晶表示装置を構成する液晶表示パネルは、液晶セルに少なくとも1枚の偏光フィルムを貼り付けたものであり、偏光を介して電界による液晶分子の配列状態の変化を視角変化に変換することにより表示を行う。したがって、液晶セルへの偏光フィルムの貼り合せには、位置および角度が高精度であることが要求され、通常、アライメントを行って貼り合せ作業が行われている。
【0003】
従来、液晶パネルに偏光フィルム等の光学機能フィルムを貼り合せる際には、長尺の連続ウェブ形態に形成された光学機能フィルムの原反を、セルのサイズにあわせて枚葉体にカットされたフィルムのシート片が用いられていた。このようなシート片を貼り合せる場合、一般にフィルムメーカーにおいて、枚葉状の光学機能フィルムのシート片が製造された後、検査、端面加工、クリーン包装が行われた上でパネル加工メーカへ輸送され、パネル加工メーカにて開梱された後、液晶セルへの貼り合せが行われていた。しかしながら、このような貼り合せの場合は、それぞれの光学機能フィルムのシート片を検査、梱包・開梱する必要があり、製造コストの増大を招く。また、1枚の光学機能フィルムのシート片を貼り合せごとに液晶パネルのアライメントと貼り合せ動作を繰り返す必要があり、貼り合せ加工のタクトタイムが長くなり、生産性に劣るという問題がある。
【0004】
このような課題に鑑み、特許文献1、2においては、一方の主面にキャリアフィルムが添設された連続ウェブ形態の光学フィルム積層体からキャリアフィルムを残して光学機能フィルムを長手方向に所定間隔で切断した後、該光学機能フィルムからキャリアフィルムを剥離し、光学機能フィルムの露出面を液晶パネルに貼り合せる作業を一連の工程で行うことが提案されている。
【0005】
特許文献2で提案されている光学機能フィルム貼り合せ装置の一例を図9に示す。図9の装置において、光学フィルム積層体を供給するための供給装置401には、光学フィルム積層体315がロール状に巻き取られた連続ロール350が設置されている。連続ロールから連続的に繰り出された光学フィルム積層体315は、切断装置403によって、キャリアフィルム313が切断されずに光学機能フィルム310のみが長手方向に所定長さで切断される(以下、このように光学機能フィルムのみを切断する方法を、適宜「ハーフカット」と称する)。キャリアフィルム剥離装置404により、キャリアフィルム313から光学機能フィルム310が剥離され、貼合装置405にてキャリアフィルム313から剥離された光学機能フィルム310の露出面が、液晶パネル供給装置408から別経路で供給される液晶パネルWと貼り合わされる。
【0006】
光学機能フィルムの搬送経路に検査装置402が備えられている場合、適宜の欠点検出手段420によって光学機能フィルムの欠点や、欠点部分に付されたマーキング等が検出される。検出された欠点やマーキングの位置情報に基づいて、欠点を含む不良品部分と、欠点を含まない良品部分とで、切断装置における長手方向での切断長さを変更したり、不良品部分が液晶パネルに貼り合わされないように貼合装置405を制御すれば、光学機能フィルムの利用効率や、貼り合せの効率を向上し得る。
【0007】
図9の装置において、切断装置403の前後には、それぞれアキュームローラ407aおよび407bが設けられている。そのため、光学フィルム積層体供給装置401からの光学機能フィルムの供給と、キャリアフィルム巻取装置406でのキャリアフィルムの巻取りは連続で行われつつ、切断装置403においてフィルムが切断される際には、切断装置におけるフィルムの搬送が停止される。
【0008】
このような貼り合せ方法によれば、光学フィルム積層体315が巻き取られた連続ロール350からのフィルムの供給、光学機能フィルムの切断、および光学機能フィルムと液晶パネルとの貼り合せを、一連の工程として自動で連続的になし得るため、貼り合せ加工の処理時間を大幅に短縮することができる。その一方で、切断装置403によりハーフカットを行う切断工程と、貼合装置405により光学機能フィルム310と液晶パネルWとを貼り合せる貼合工程とが一連となっているため、装置の制御が複雑化するという問題がある。また、切断工程において、フィルムの搬送の停止、切断、搬送再開を要するため、この切断工程がタクトタイム短縮のボトルネックとなっている。
【0009】
一方、特許文献3においては、予め欠点検査がなされ、光学機能フィルムの幅方向に沿って切り込み線が形成された連続ウェブ形態の光学フィルム積層体の連続ロールが開示されている。事前にハーフカットが行われて切込線が形成された連続ロールを図7の光学フィルム積層体供給装置201の支架装置212に設置して、光学機能フィルムと液晶パネルとの貼り合せを連続で行えば、特許文献2のような貼り合せ方法において律速であった切断工程を、貼合工程と一連に行う必要がない。そのため、特許文献3のような切込線入りの連続ロールを用いた場合は、特許文献2のような貼り合せ方法に比して、さらに加工処理時間を短縮し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭55-120005号公報
【特許文献2】特開2009-61498号公報
【特許文献3】特許第4377965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3に開示されているような切込線入りの連続ロールを用いて、貼り合せ加工を試みたところ、液晶パネルに光学機能フィルムが貼り合せられた液晶表示素子において、スジ状の表示ムラが発生し、製品歩留まりが低下する場合があり、特に、切込線入りの光学フィルム積層体をロール状に巻き取ってから貼り合せ加工に供するまでの時間間隔が長い場合に、スジ状の表示ムラ発生率が高くなることが判明した。
【0012】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、光学機能フィルムと液晶パネルとの貼り合せを行った際に品質不良を生じ難く、かつ、液晶パネルとの貼り合せ効率に優れる切込線入りの光学機能フィルムの連続ロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、光学機能フィルムの曲げ剛性を所定範囲とすることで、光学機能フィルムと液晶パネルとを貼り合せた際のスジ状のムラの発生が抑制されることを見出し、本発明にいたった。」

ウ 「【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1Aおよび図1Bは、本発明の連続ロール50の外周部から、光学フィルム積層体15の外周部を巻き出した状態を模式的に表す断面図である。連続ロール50は、連続ウェブ形態の光学フィルム積層体15が所定の径を有する巻芯30を中心として、ロール状に巻き取られたものである。光学フィルム積層体15は、連続ウェブ形態のキャリアフィルム13上に、切断された状態で形成されている光学機能フィルム10のシート片を備える。光学機能フィルム10には、幅方向に沿って切込線16が長手方向に所定間隔で設けられており、この切込線によって、光学機能フィルム10は複数の矩形のシート片に切断されている。
【0023】
光学機能フィルム10とキャリアフィルム13とは、剥離自在に積層されている。光学機能フィルム10は、そのままキャリアフィルム13上に密着積層されている形態であってもよいが、図1A、図1Bに示すように、光学機能フィルムは粘着層11を介してキャリアフィルム13と積層されていることが好ましい。
・・・(中略)・・・
【0035】
(光学機能フィルム)
図6に示すように、光学機能フィルム10は、偏光子21の両主面に保護フィルム22、23が積層された偏光フィルム20を含む。光学機能フィルム10が切込線部分で屈曲することを抑止する観点から、光学機能フィルムの単位長さあたりの曲げ剛性EI_(10)は、4×10^(-1)N・mm^(2)以下であることが好ましく、1×10^(-1)N・mm^(2)以下であることがより好ましく、5×10^(-2)N・mm^(2)N・mm^(2)以下であることがさらに好ましい。
・・・(中略)・・・
【0041】
(偏光子)
一般に、偏光子は、ポリビニルアルコールフィルムを延伸しながらヨウ素染色する方法により製造される。このようなフィルム偏光子の厚みを薄くする方法としては、例えば、厚みの薄いポリビニルアルコールフィルムを用いたり、偏光子を形成する際の延伸倍率を大きくすること等が挙げられる。一方で、偏光子の厚みが過度に薄いと、ハンドリング性に乏しくなったり、製造過程にてフィルムの破断を生じやすくなる傾向がある。
・・・(中略)・・・
【0053】
(保護フィルム)
光学機能フィルム10の単位長さあたりの曲げ剛性EI_(10)は、偏光子21の両主面に積層される保護フィルム22、23の厚みや縦弾性率によっても制御し得る。偏光子の両主面に積層される保護フィルムとしては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性等に優れ、偏光子保護フィルムとして一般に用いられるものを好適に採用し得る。
・・・(中略)・・・
【0058】
(表面保護フィルム)
光学機能フィルム10は、キャリアフィルム13と積層されない側の主面に表面保護フィルム24を有していてもよい。表面保護フィルムは、フィルムの製造工程、あるいはフィルムを液晶パネルと貼り合せる工程等において、フィルムの表面のキズ付きや汚染の防止を目的として貼り合わされるものである。表面保護フィルムは、通常、粘着面を有し、この粘着面により、偏光フィルム等と剥離自在に積層されている。
【0059】
表面保護フィルム24としては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等、従来に準じた適宜なものを用い得る。
・・・(中略)・・・
【0061】
(粘着層)
光学機能フィルム10のキャリアフィルム13と積層する側の主面には粘着層11を有することが好ましい。この粘着層11は、光学機能フィルム10上にキャリアフィルム13を剥離自在に添設するために用いられるほか、光学機能フィルム10を液晶パネルWと貼り合せるための粘着層としての機能も果たし得る。粘着層11は、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとする粘着剤により形成し得る。
【0062】
粘着層11としては、光学機能フィルムと液晶パネルとの貼り合せに用いられる適宜の粘着剤を用いることができる。粘着層11は、例えば、厚みが20?25μm程度、光学機能フィルムに対する投錨力が10?15N/25mm程度のものが好適に用いられる。
・・・(中略)・・・
【0065】
(キャリアフィルム)
キャリアフィルム13は、光学機能フィルム10の製造工程、あるいは光学機能フィルムを液晶パネルと貼り合せる工程等において、光学機能フィルムの表面のキズ付きや汚染の防止、あるいは粘着層11を保護するために設けられる。このような粘着層を保護するためのフィルムは、一般に「離型フィルム」等とも称されるが、本発明においては、液晶パネルに光学機能フィルム10を貼り合せる際の、光学機能フィルム10の搬送媒体としての機能を有するため、「キャリアフィルム」と称する。
・・・(中略)・・・
【0072】
[連続ロールの作製]
上記のような光学フィルム積層体15は、切込線16が入れられ、ロール状に巻き取られることによって、連続ロールが形成される。
【0073】
(切込線)
上記の光学機能フィルム10とキャリアフィルム13とが積層された光学フィルム積層体は、該積層体の幅方向に沿って切込線16を入れることで、切込線入り光学フィルム積層体となる。切込線16は、光学フィルム積層体のキャリアフィルム13とは反対の側からキャリアフィルム13の光学機能フィルム10側の面に達する深さまで入れられる(ハーフカット)。キャリアフィルム13は、切込線16によって、厚み方向の光学機能フィルム10側の一部が切断されていてもよいが、完全には切断されない。このようにキャリアフィルムが完全には切断されず、連続したウェブ形態を保持しているため、フィルム搬送装置による搬送張力がキャリアフィルム13を介して切込線16が入れられた光学機能フィルム10に伝わる。そのため、光学フィルム積層体15がハーフカットされた後においても搬送張力によって光学機能フィルムを搬送することができる。
【0074】
切込線を入れるための切断手段は特に限定されず、例えば、レーザ装置、カッター等の切断手段等が用いられる。
【0075】
切込線16は、光学フィルム積層体の長手方向に所定の間隔L_(1)で順次形成される。切込線の間隔L_(1)を光学表示セルの長辺又は短辺に対応する長さとすることで、液晶パネルに合せた矩形のシート片に切断された複数の光学機能フィルム10がキャリアフィルム13上に連続的に添設された連続ウェブ形態の光学フィルム積層体とすることができる。
・・・(中略)・・・
【0078】
(連続ロール)
このようにしてハーフカットされた光学フィルム積層体15は、ロール状に巻き取られることにより、連続ロール50が形成される。より具体的には、所定の径からなる巻芯30を中心に光学フィルム積層体を所定の張力で巻き取ることにより、連続ロールが形成される。
・・・(中略)・・・
【0083】
[液晶表示素子の形成]
本発明の連続ロールは、液晶表示素子の形成に好ましく用いることができる。液晶表示素子の形成は、本発明の連続ロールから光学フィルム積層体を繰り出し、光学機能フィルムからキャリアフィルムを剥離し、光学機能フィルムの露出面と液晶パネルとを貼り合せることによって行う。
【0084】
図7は、液晶表示素子の製造装置の一例を表す概念図である。以降適宜図面を参照しながら、各工程を順次説明する。
【0085】
図7の貼り合せ装置は、連続ウェブ形態の光学フィルム積層体115を、光学フィルム積層体供給装置201から液晶パネルWとの貼り合せを行う貼合装置205まで搬送するとともに、液晶パネルWを液晶パネル供給装置208から貼合装置205まで別経路で搬送し、光学機能フィルムと液晶パネルとを貼り合せるように構成されている。
【0086】
光学フィルム積層体供給装置201において、連続ロール150は、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動された支架装置212に装着される。連続ロール150から連続ウェブ形態の光学フィルム積層体115が連続的に繰り出され、下流側に搬送される。搬送装置は、多数の搬送ローラを備えており、これらの搬送ローラにより形成さる搬送経路に沿ってフィルムを搬送するものが好適に用いられる。搬送経路には、必要に応じて設けられる検査装置202と、キャリアフィルム113から光学機能フィルム110を剥離して貼合装置205に光学機能フィルム110の先端を導くキャリアフィルム剥離装置204と、光学機能フィルムが剥離された後のキャリアフィルム113を巻取り回収するキャリアフィルム巻取装置206とが備えられている。
【0087】
検査装置202は、目視による検査や公知の欠点検出装置等の適宜の欠点検出手段220を備える。検査手段により欠点が検出された場合、その位置情報を適宜の記憶媒体に記憶させ、欠点を含む光学機能フィルムのシート片が液晶パネルWと貼り合わされないように制御すれば、液晶表示素子の歩留まりを向上し得る。欠点を含む光学機能フィルムのシート片は、例えば、仮板ユニット(不図示)に貼り合せたり、適宜のローラに巻き取ることにより、液晶パネルと貼り合せずに除去することができる。また、キャリアフィルム剥離装置204において、マーキングが付された光学機能フィルムのシート片をキャリアフィルム113から剥離せずに、キャリアフィルム巻取装置206の巻取ボビン215にキャリアフィルムとともに回収してもよい。
・・・(中略)・・・
【0096】
以上のような工程によれば、光学機能フィルムを所定サイズに切断された枚葉体でハンドリングする必要がなく、生産効率を高めることができる。また、本発明の連続ロールは、事前に光学機能フィルムに切込線が入れられることで、光学機能フィルムが所定サイズの枚葉体に切断されているため、光学フィルム積層体供給装置201からキャリアフィルム剥離装置204までの間に切断装置を設ける必要がない。そのため、貼り合せ加工のタクトタイムを短縮可能であり、光学機能フィルムと液晶パネルの貼り合せの生産性を向上することが可能である。」

エ 「【実施例】
【0097】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0098】
[製造例]
[製造例1A]
基材として、厚み150μmのノルボルネン系フィルム(JSR製 商品名「アートンフィルム FEKV150D0」)を用い、基材上に、ポリビニルアルコール樹脂(日本合成製 商品名「ゴセノール NH-18」)の水溶液(固形分濃度10%)を、乾燥後厚みが21.5μmとなるように塗布した後、テンター延伸機により、143℃で、幅方向に4.3倍に横方向一軸延伸を行い、基材上にポリビニルアルコール膜が形成された積層体を作製した。この積層体を搬送しながら、下記[1]?[4]条件の4浴に順次浸漬し、ポリビニルアルコール膜の膨潤、染色、架橋、洗浄を行った。これにより、基材上にヨウ素染色されたポリビニルアルコール膜(偏光子)が形成された積層体を得た。
【0099】
[1]膨潤浴: 28℃の純水に120秒間浸漬
[2]染色浴: 水100重量部に対して、ヨウ素1重量部、ヨウ化カリウム10重量部を含む30℃の水溶液に60秒間浸漬
[3]架橋浴: 水100重量部に対して、ホウ酸7.5重量部を含む60℃の水溶液に300秒間浸漬
[4]洗浄浴: 純水に10秒間浸漬
【0100】
この積層体の偏光子側主面に、ノルボルネン系フィルム(JSR製 商品名「アートンフィルム FEKV150D0」)を幅方向に3.8倍に横方向一軸延伸したフィルム(厚み40μm)を、ポリビニルアルコール系の接着剤を介して貼り合せて、50℃で乾燥させた。このようにして得られた偏光フィルムAの厚みは80μmであった。
・・・(中略)・・・
【0104】
[製造例1C]
前記製造例1Bで用いたのと同様の厚み200μmの基材上に、製造例1Aで用いたのと同様のポリビニルアルコール水溶液を、乾燥後厚みが10μmとなるように塗布した後、ロール延伸機により、100℃で、長手方向に4倍に縦方向一軸延伸を行い、基材上にポリビニルアルコール膜が形成された積層体を作製した。
【0105】
この積層体を搬送しながら、前記の製造例1Aと同様にして、ポリビニルアルコール膜の膨潤、染色、架橋、洗浄を行った。これにより、基材上にヨウ素染色されたポリビニルアルコール膜(偏光子)が形成された積層体を得た。
【0106】
この積層体の偏光子側主面に、トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ製 商品名「KC4UYW」、厚み40μm)を、ポリビニルアルコール系の接着剤を介して貼り合せて、50℃で乾燥させた。その後、積層体から基材として用いたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、偏光子の露出面に、ノルボルネン系フィルム(日本ゼオン製 商品名「ゼオノアフィルム ZB14-55/135」)を幅方向に2倍に横方向一軸延伸したフィルム(厚み35μm)を、ポリビニルアルコール系の接着剤を介して貼り合せて、50℃で乾燥させた。このようにして得られた偏光フィルム1Cの厚みは80μmであった。
・・・(中略)・・・
【0111】
[製造例1F]
前記製造例1Bで用いたのと同様の厚み200μmの基材上に、製造例1Aで用いたのと同様のポリビニルアルコール水溶液を、乾燥後厚みが10μmとなるように塗布した後、ロール延伸機により、100℃で、長手方向に3.3倍に縦方向一軸延伸を行い、基材上にポリビニルアルコール膜が形成された積層体を作製した。
【0112】
この積層体を搬送しながら、前記の製造例1Aと同様にして、ポリビニルアルコール膜の膨潤、染色、架橋、洗浄を行った。これにより、基材上にヨウ素染色されたポリビニルアルコール膜(偏光子)が形成された積層体を得た。
【0113】
この積層体の偏光子側主面に、製造例1Cと同様にしてトリアセチルセルロースフィルムを貼り合せて乾燥させた後、基材として用いたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。その後、偏光子の露出面に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製 商品名「ルミラー F57」、厚み4.5μm)を、ポリビニルアルコール系の接着剤を介して貼り合せて、50℃で乾燥させた。このようにして得られた偏光フィルム1Fの厚みは50μmであった。
【0114】
[製造例1G]
前記製造例1Aで用いたのと同様の厚み150μmの基材上に、製造例1Aで用いたのと同様のポリビニルアルコール水溶液を、乾燥後厚みが6.2μmとなるように塗布した後、テンター延伸機により、143℃で、幅方向に3.1倍に横方向一軸延伸を行い、基材上にポリビニルアルコール膜が形成された積層体を作製した。
【0115】
この積層体を搬送しながら、前記の製造例1Aと同様にして、ポリビニルアルコール膜の膨潤、染色、架橋、洗浄を行った。これにより、基材上にヨウ素染色されたポリビニルアルコール膜(偏光子)が形成された積層体を得た。
【0116】
この積層体の偏光子側主面に、ノルボルネン系フィルム(JSR製 商品名「アートンフィルム FEKV150D0」)を幅方向に3倍に横方向一軸延伸したフィルム(厚み50μm)を、ポリビニルアルコール系の接着剤を介して貼り合せて、50℃で乾燥させた。このようにして得られた偏光フィルム1Gの厚みは80μmであった。
・・・(中略)・・・
【0130】
[キャリアフィルム]
キャリアフィルムとして、以下のものを用いた。
・・・(中略)・・・
キャリアフィルムF:
厚み75μmの二軸延伸ポチエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステル製 商品名「ダイアホイル MRF75CK」)
・・・(中略)・・・
【0132】
[実施例1?13および比較例1?6]
表1に示す組合せで、光学機能フィルム(偏光フィルム)とキャリアフィルムとを積層して、光学フィルム積層体を作製した。
各実施例および比較例において、キャリアフィルムの表面に離型処理を施し、この離型処理面上に厚み20μmの粘着層を形成して、粘着層付きキャリアフィルムを形成した。このキャリアフィルムと、前記製造例で得られた光学機能フィルムとを、ロールラミネータを用いて積層して光学フィルム積層体とした後、フィルム幅が400mmとなるように幅方向の両端部をスリットして、ロール状に巻き取り、切込線形成前の連続ロールを作製した。偏光子の両主面に保護フィルムが積層されている、実施例1?13および比較例1?4においては、表1のフィルム23側に粘着層11付きのキャリアフィルム13を積層した(図6参照)。また、偏光子の一方主面のみ保護フィルムが積層された比較例5よび6においては、偏光フィルム20の保護フィルム22が積層されていない側、すなわち偏光子21の露出面側に粘着層11付きのキャリアフィルム13を積層した(図10参照)。
・・・(中略)・・・
【0138】
【表1】




オ 「


・・・(中略)・・・


【図7】




(2)引用発明A
前記(1)ア-オによると、引用文献3には、請求項1及び2を引用する請求項4に係る発明として、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明A」という。)。

「光学機能フィルムと、光学機能フィルムに剥離自在に積層されたキャリアフィルムとを少なくとも含む連続ウェブ形態の光学フィルム積層体がロール状に巻き取られている連続ロールであって、
前記光学機能フィルムは偏光子の両主面に保護フィルムが積層された偏光フィルムを含み、
前記光学機能フィルムは、前記光学フィルム積層体の幅方向に沿って切込線が形成されることで複数の光学機能フィルムのシート片に切断されており、
前記光学機能フィルムの長手方向の単位長さあたりの曲げ剛性が、1×10^(-2)N・mm^(2)以上、4×10^(-1)N・mm^(2)以下であり、
前記光学フィルム積層体は、前記キャリアフィルムが粘着層を介して光学機能フィルムに添設されており、
前記偏光子の厚みが2μm以上、10μm以下である、連続ロール。」

(3)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と引用発明Aとを対比する。
(ア)引用発明Aの「偏光子」は、技術的にみて、本件特許発明1の「偏光子」に相当する。

(イ)本件特許明細書の【0022】には、「本発明において偏光板100とは、少なくとも偏光子を含む偏光素子であり、通常はその片面又は両面に貼合される保護フィルムをさらに含む。‥‥‥偏光板100の一方の最表層が第1粘着剤層31であり、その外面にセパレートフィルム70が積層される場合において、このセパレートフィルム70は偏光板100には含まれないものとする。」と記載されている。この記載を踏まえると、引用発明Aの「連続ロール」のうち、「キャリアフィルム」を除く部分(「偏光子の両主面に保護フィルムが積層された偏光フィルムを含」む「光学機能フィルム」及び「粘着層」)は、技術的にみて、本件特許発明1の「偏光板」に相当する。
そうすると、引用発明Aは、本件特許発明1の「偏光子を含む偏光板」「を備え」という要件を満たしている。

(ウ)引用発明Aは、「偏光子の厚みが2μm以上、10μm以下である」。
そうすると、引用発明Aは、本件特許発明1の「前記偏光子の厚みが15μm以下であり」という要件を満たしている。

(エ)前記(イ)で述べたとおり、引用発明Aの「連続ロール」のうち、「キャリアフィルム」を除く部分は、本件特許発明1の「偏光板」に相当する。

イ 一致点
上記アによると、本件特許発明1と引用発明A(ただし、「キャリアフィルム」を除く部分)は次の点で一致する。
「偏光子を含む偏光板を備え、
前記偏光子の厚みが15μm以下である、偏光板。」

ウ 相違点
他方、本件特許発明1と引用発明Aは次の点で相違する。
(相違点A)
「偏光板」について、本件特許発明1は、「厚みが125μm以下であ」ると特定されているのに対し、引用発明Aは、厚みが特定されていない点。

(相違点B)
本件特許発明1は、偏光板の「一方の表面に積層されるプロテクトフィルムを備え」、「プロテクトフィルムは、温度40℃、相対湿度90%での透湿度が15g/(m^(2)・24hr)以下であり、前記一方の表面に積層される第2粘着剤層と、その上に積層される単層のポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムとで構成され」るのに対し、引用発明Aは、これら構成を具備するとは特定されていない点。

(相違点C)
本件特許発明1は、「枚葉体である」「偏光板」であるのに対して、引用発明1は、「連続ロール」である点。

エ 判断
事案に鑑み、相違点Cについて検討する。
引用文献3の段落【0003】-【0012】の記載からすると、引用発明Aのように連続ロールとしたのは、セルのサイズにあわせて枚葉体にカットされた光学機能フィルムのシート片を用いることにより生じた問題を解決するためであると解される。そうすると、引用発明Aの連続ロールにおいて、キャリアフィルムまで完全に切断して、枚葉体とする動機付けを見い出すことはできない。
ところで、本件特許発明1の「プロテクトフィルム付偏光板」は、本件特許発明5のように、「セパレートフィルム」を備えるものとまでは特定されていない。また、引用文献3(甲第3号証)の【0073】及び【0096】の記載からは、キャリアフィルムによって連続したウェブ形態を保持しつつも、光学機能フィルム10それ自体は、一定寸法にカットされたものを理解することができる。
そうすると、本件特許発明1の「プロテクトフィルム付偏光板」は、引用文献3の【0096】でいう「枚葉体」の意味においては、相違しないといえる。
しかしながら、本件特許発明1の「プロテクトフィルム付偏光板」は、「温度変化及び湿度変化に伴うカールを生じにくいプロテクトフィルム付偏光板‥‥の提供を目的とする」(本件特許明細書【0006】)ものである。したがって、本件特許発明1でいう「枚葉体」は、引用文献3の【0096】でいう「枚葉体」とは異なるものである(特許権者が平成31年4月17日付け意見書の3頁下から6-3行において「本件訂正発明1における枚葉体は、長尺のプロテクトフィルム付偏光板を作製した後、これを裁断することによって得られるものであり(本件の明細書の段落[0027])、各枚葉体は完全に分離されています。」と主張するとおり、本件特許発明1においては、完全に分離されているものを「枚葉体」といっている。)。
以上のとおりであるから、引用発明Aにおいて、相違点Cに係る本件特許発明1の構成を得ることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

オ 小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、当業者が引用文献3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件特許発明2及び4-7について
本件特許の特許請求の範囲の請求項2及び4-7は、いずれも、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、本件特許発明2及び4-7は、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものに該当する。
そうすると、前記(3)のとおり、本件特許発明1は、当業者が引用文献3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件特許発明2及び4-7も、当業者が引用文献3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 理由3について
(1)本件訂正請求による訂正により、特許請求の範囲の請求項1に、プロテクトフィルムが「前記一方の表面に積層される第2粘着剤層と、その上に積層される単層のポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムとで構成され」ることが追加された。
そうすると、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
また、特許請求の範囲の請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2及び4-7に係る発明である本件特許発明2及び4-7も、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(2)なお、特許異議申立人は、令和元年6月5日付け意見書において、「請求項1に規定される透湿度を実現するためには、材料だけでなく厚みの特定が必須です」と主張する。
しかしながら、材料の透湿度と厚みには一定の関係がある(特許異議申立人が提出した甲第4号証の「(25)透湿度のフィルム厚み依存性」を参照のこと。)から、材料及び透湿度が特定されていれば、厚みを特定する必要はない。
よって、前記主張は採用できない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立人は、本件特許の請求項1-8に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2号証(特開2012-48045号公報)に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである旨主張する。

2 甲第2号証には、請求項1及び2を引用する請求項4に係る発明として、前記引用発明Aの「偏光子の両主面に保護フィルムが積層された偏光フィルム」、「前記光学機能フィルムの長手方向の単位長さあたりの曲げ剛性が、1×10^(-2)N・mm^(2)以上、4×10^(-1)N・mm^(2)以下であり」を、それぞれ「偏光子の一方主面のみに保護フィルムが積層された偏光フィルム」、「前記光学機能フィルムの長手方向の単位長さあたりの曲げ剛性が、1×10^(-2)N・mm^(2)以上、1.3×10^(-1)N・mm^(2)以下であり」とした発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

3 本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも前記相違点C(「第5」2(3)ウ)と同様の点において相違する。そして、この相違点に対する判断は、前記相違点Cについての判断(「第5」2(3)エ)と同様である。

4 よって、本件特許発明1は、当業者が甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件特許発明2及び4-7も、当業者が甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、決定の予告で通知した取消の理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2及び4-7に係る特許は、取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2及び4-7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件請求項3及び8は、本件訂正請求による訂正で削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、本件請求項3及び8に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子を含む偏光板と、その一方の表面に積層されるプロテクトフィルムとを備え、
前記偏光板の厚みが125μm以下であり、
前記偏光子の厚みが15μm以下であり、
前記プロテクトフィルムは、温度40℃、相対湿度90%での透湿度が15g/(m^(2)・24hr)以下であり、前記一方の表面に積層される第2粘着剤層と、その上に積層される単層のポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムとで構成され、
枚葉体である、プロテクトフィルム付偏光板。
【請求項2】
前記偏光板の他方の表面は、第1粘着剤層の表面で構成されている、請求項1に記載のプロテクトフィルム付偏光板。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記偏光板は、前記偏光子の少なくとも一方の表面に活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層を介して積層される保護フィルムをさらに含む、請求項1又は2に記載のプロテクトフィルム付偏光板。
【請求項5】
前記偏光板の他方の表面は、第1粘着剤層の表面で構成されており、
前記偏光板の他方の表面に積層されるセパレートフィルムをさらに備える、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。
【請求項6】
前記偏光板は、前記偏光子以外の光学フィルムをさらに含み、
前記光学フィルムの表面に前記プロテクトフィルムが積層される、請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム付偏光板。
【請求項7】
前記光学フィルムは、輝度向上フィルムである、請求項6に記載のプロテクトフィルム付偏光板。
【請求項8】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-06-27 
出願番号 特願2015-238367(P2015-238367)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G02B)
P 1 651・ 537- YAA (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山▲崎▼ 和子  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 関根 洋之
河原 正
登録日 2017-12-15 
登録番号 特許第6258911号(P6258911)
権利者 住友化学株式会社
発明の名称 プロテクトフィルム付偏光板及びそれを含む積層体  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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