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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H02G
審判 全部申し立て 2項進歩性  H02G
管理番号 1354931
異議申立番号 異議2018-700909  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-09 
確定日 2019-08-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6325715号発明「角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6325715号の明細書、及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、〔10-16〕、17、18、19について訂正することを認める。 特許第6325715号の請求項1-17、19に係る特許を維持する。 特許第6325715号の請求項18に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第6325715号の請求項1乃至19に係る特許についての出願は、平成29年3月31日に特許出願され、平成30年4月20日にその特許権の設定登録がされ、同年5月16日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対して、同年11月9日に特許異議申立人 西田 志有子により特許異議の申立てがされた。そして、平成31年1月29日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成31年3月26日付けで特許権者により訂正の請求がされ、特許異議申立人に対して令和1年5月8日付けで訂正請求があった旨の通知をしたが、特許異議申立人から何ら応答がなされなかったものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成31年3月26日付けの訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下の訂正事項のとおりである。なお、下線は訂正部分を示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項18を削除する。

(2)訂正事項2
明細書の【発明の名称】に
「角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、Π型固定部材、角型電線管用管継手の継手本体」
と記載されているのを、
「角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体 」に訂正する。

(3)訂正事項3
明細書の段落【0001】の【技術分野】に
「・・・角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手に用いられるΠ型固定部材および角型電線管用管継手の継手本体に関する。」
と記載されているのを、
「・・・角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法および角型電線管用管継手の継手本体に関する。」に訂正する。

(4)訂正事項4
明細書の段落【0016】、【0054】に
「・・・角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、Π型固定部材、角型電線管用管継手の継手本体・・・」
と記載されているのを、
「・・・角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体・・・」に訂正する。


(5)訂正事項5
明細書の段落【0051】を削除する。

(6)訂正事項6
明細書の段落【0052】に「第5の発明は、」と記載されているのを、「第4の発明は、」に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書の段落【0053】に「第4、第5の発明によれば、」と記載されているのを、「第4の発明によれば、」に訂正する。


2.訂正要件についての判断
(1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1について
訂正事項1は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

イ.訂正事項2乃至4について
訂正事項2乃至4は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項2乃至4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項2乃至4は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

ウ.訂正事項5について
訂正事項5は上記訂正事項1に係る訂正に伴い、上記訂正事項1に対応する明細書中の記載を削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項5は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

エ.訂正事項6について
訂正事項6は、上記訂正事項5に係る訂正によって「第4の発明」として記載されていた内容を明細書から削除したことにより、それ以降に「第5の発明」と記載されていたのを、「第4の発明」と繰り上げる訂正である。すなわち、訂正事項6は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項6は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

オ.訂正事項7について
訂正事項7は、上記訂正事項5、6に係る訂正によって「第4の発明」を削除し「第5の発明」を「第4の発明」と訂正したことに伴い、それ以降に「第4、第5の発明によれば」と記載されていたのを、「第4の発明によれば」と訂正し、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項7は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

3.明細書の訂正と関係する請求項についての説明
訂正事項2乃至4は、「Π型固定部材」に関する記載を削除するものであって、特許請求の範囲に記載した全ての請求項に「Π型固定部材」は関係しており、請求項1乃至19に関係する訂正である。
そして、請求項1乃至19の全てについて訂正を請求している。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

また、訂正事項5は、訂正事項1の訂正に伴って削除された請求項18に関する記載を削除するものであり、請求項18に関係する訂正である。
さらに、訂正事項6、7は、訂正事項5の削除に伴って、請求項19に関する発明を「第4の発明」とするものであり、請求項18、19に関係する訂正である。
そして、請求項18、19について訂正を請求している。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項乃至第6項の規定に適合するので、本件訂正を認める。


第3.特許異議の申立について
1.本件発明
本件訂正により訂正された訂正請求項1乃至19に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」乃至「本件特許発明19」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1乃至19に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
雄型嵌合部と雌型嵌合部の間において、管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成される電線管の小径部中央で切断した電線管同士を接続する管継手であって、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定されることを特徴とする角型電線管用管継手。
【請求項2】
前記継手本体の前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の角型電線管用管継手。
【請求項3】
前記Π型固定部材の前記段部より下方の所定位置に、前記両足部の外側に向けて係合部が形成され、前記係合段部と、前記係合部とが相互に上下方向に係合することを特徴とする請求項2に記載の角型電線管用管継手。
【請求項4】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が略円弧形状またはアーチ形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項5】
前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記開口部に挿入された時に、前記両足部が、前記底部の外面から突出しないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項6】
前記切欠き部より奥側の前記継手本体の前記筒状部には、前記筒状部の内周面全周を取り囲むように止水部材が配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項7】
前記止水部材は水膨張部材であり、前記水膨張部材は、ポリエステル繊維とポリアクリル酸ナトリウム繊維とバインダー樹脂を含む不織布であることを特徴とする請求項6に記載の角型電線管用管継手。
【請求項8】
前記止水部材はゴムパッキンで有り、前記筒状部の内周面には溝が形成され、前記溝に前記ゴムパッキンが嵌め込まれていることを特徴とする請求項6に記載の角型電線管用管継手。
【請求項9】
前記継手本体と前記Π型固定部材は、それぞれ高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂またはPC樹脂のポリマーアロイのいずれかからなることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項10】
角型の電線管と角型電線管用の管継手の接続構造であって、
前記電線管は、雌型嵌合部と雄型嵌合部と管体からなり、前記管体の両端に接続部として前記雌型嵌合部と前記雄型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部を前記雌型嵌合部に差し込んで接続することが可能であり、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間において、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成され、
前記管継手は、前記電線管の小径部の中央で切断した電線管同士を接続することが可能であり、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部より、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
さらに、前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、円形状の小径部に整合する形状かあるいは大径部より小さく小径部に干渉しない形状に形成されていて、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記電線管の小径部の切断端部が、前記継手本体の前記円筒部に、管軸方向の奥側に向けてそれぞれ前記継手本体の両側から挿入されて対向して配置され、
さらに、前記継手本体の前記筒状部には、小径部が前記切欠き部に位置するように、少なくとも小径部の切断部位から前記電線管の大径部、小径部、大径部の順に配置されていて、
前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定されることを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項11】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が、前記電線管の小径部の円断面の上部の少なくとも一部に当接するか、あるいは小径部に整合する略円弧形状で小径部を覆うように接触することが可能なことを特徴とする請求項10に記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項12】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、前記切欠き部の側面の上部に、前記Π型固定部材を載置したときに、大径部より小さく、前記電線管の小径部に干渉しないように所定距離離間して、前記電線管の小径部の円断面の上部を囲うように覆う形状であることを特徴とする請求項10に記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項13】
前記筒状部の開口径は、大径部が収納可能な大きさに形成され、さらに、前記筒状部の長さは、前記筒状部に挿入される前記電線管の小径部を挟んだ一対の大径部の全長と略一致するように形成されることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項14】
前記円筒部は、前記電線管の小径部の直径より大きく大径部の径より小さく形成され、前記円筒部の円断面部の長さは、前記電線管の小径部の長さに等しいかそれより長く形成されることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項15】
管軸方向の断面において、前記電線管の小径部の管軸方向の略中央に、外周方向に突出する2つの突部が相互に対向して対称に形成され、前記突部の間の中央に溝が形成され、前記溝で切断された前記電線管の切断部側を前記管継手で接続することを特徴とする請求項10から請求項14のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項16】
前記電線管と前記管継手の管軸方向の係合は、前記Π型固定部材の内面上部の一部と前記両足部とが、前記電線管の略正方形状の大径部の側面に当接して係合することを特徴とする請求項10から請求項15のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項17】
角型の電線管と管継手の接続方法であって、
前記電線管は、雌型嵌合部と雄型嵌合部と管体からなり、前記管体の両端に接続部として前記雌型嵌合部と前記雄型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部を前記雌型嵌合部に差し込んで接続することが可能であり、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間において、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成され、
前記管継手は、前記電線管の小径部の中央で切断した電線管同士を接続することが可能であり、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部より、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
さらに、前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、円形状の小径部に整合する形状かあるいは大径部より小さく小径部に干渉しない形状に形成されていて、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記継手本体の前記円筒部に、前記電線管の切断端部である小径部を管軸方向の奥側に向けて配置できるようにそれぞれ前記継手本体の両端部から前記電線管を挿入して、
さらに、前記継手本体の前記筒状部には、小径部が前記切欠き部に位置するように、少なくとも小径部の切断部位から前記電線管の大径部、小径部、大径部の順に配置されていて、
前記Π型固定部材を上方から前記切欠き部に装入して前記継手本体に固定する際に、前記切欠き部の側面の上部に、前記Π型固定部材を、前記天面部の側面が前記電線管の大径部の側面に接するように載置することで、前記Π型固定部材の前記両足部を、前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入し、前記Π型固定部材を前記継手本体へ固定することを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法。
【請求項18】
(削除)
【請求項19】
中央に円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記切欠き部に対応する略矩形状部の底部の両側部には、Π型固定部材の両足部が挿入可能な開口部を有することを特徴とする角型電線管用管継手の継手本体。」


2.取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項18に係る発明についての特許に対して平成31年1月29日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

本件出願の請求項18に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項18に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。

引用文献1:特開2002-276878号公報 (甲第3号証)

(2)当審の判断
当審が取消理由で指摘した請求項18は削除されたため、当該取消理由は解消した。

3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立理由の概要
訂正前の請求項1乃至17、19に係る特許は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2?9号証に記載された技術事項を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1乃至17、19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

甲第1号証: 特開2009-279907号公報
甲第2号証: 実願昭62-64296号(実開昭63-172214号公報)のマイクロフィルム
甲第3号証: 特開2002-276878号公報
甲第4号証: 特開2009-19294号公報
甲第5号証: 特開平9-112764号公報
甲第6号証: 特開2009-250343号公報
甲第7号証: 実願昭59-39581号(実開昭60-151222号公報)のマイクロフィルム
甲第8号証: 特開平11-351461号公報
甲第9号証: 実公平42-682号公報

(2)引用文献の記載
ア.甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。以下、同じ。)

(ア)「【0024】
この発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1及び図2は、この発明の一実施形態に係る取付装置1によって止水用の吸水膨張性不織布(被覆材)2が一体的に貼り付けられた合成樹脂製の管継手(管材)3を示している。
【0025】
管継手3は、電線や光ファイバーケーブルを挿通させる地中埋設型の合成樹脂製のケーブル保護管4、4同士を接続するためのものである。この管継手3は、ブロー成形によって成形されており、雌型接続部としての角筒状部5と、雄型接続部としての円筒状部6とを管軸方向に連続させた構造となっている。角筒状部5は、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、その開口端付近にはフランジ部7が全周に亘って形成され、その管軸方向の中央付近には径外方向へ膨出した膨出部8が全周に亘って形成されている。また、角筒状部5の内周面には、膨出部8よりも開口端側において一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられ、膨出部8よりも奥側においてシート状の吸水膨張性不織布2が全周に亘って一体的に貼り付けられている。吸水膨張性不織布2は、例えば吸水性及び保水性に優れた高吸水性ポリマーを合成樹脂製の不織布に含有させたものであって、水を吸収して膨張する能力を有している。円筒状部6は、管径方向の断面が略円形状に形成されており、その開口端付近には外周に傾斜案内面を有するフランジ部11が全周に亘って形成され、その管軸方向に間隔をあけて径外方向へ膨出した複数の膨出部12・・が全周に亘って形成されている。また、円筒状部6の外周面には、膨出部12、12間の凹所において円環状のパッキン13が外嵌されている。
【0026】
一方、ケーブル保護管4は、図3に示すように、管径方向の断面が略正方形状の凸部20・・と管径方向の断面が略円形状の凹部21・・とを管軸方向に交互に有する管壁25を備えている。また、管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が一体的に形成され、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されている。そして、雌型アダプター22を他のケーブル保護管4の雄型アダプター23に外嵌するとともに、雄型アダプター23を別のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌することで、ケーブル保護管4・・が継ぎ足し配管されるようになっている。
【0027】
上記のケーブル保護管4・・は、ハンドホール間において配管されるが、定尺のものを継ぎ足し配管すると、ハンドホール間の長さとケーブル保護管4・・の長さが合わなくなることがある。そこで、図4に示すように、任意のケーブル保護管4の管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部に上記の管継手3の角筒状部5を外嵌させるとともに、その管継手3の円筒状部6を他のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌させて、管継手3を介してケーブル保護管4、4同士を接続することで、ケーブル保護管4・・全長をハンドホール間の長さに合うように調整可能としている。この接続状態において、管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止されている。また、管継手3の角筒状部5と切断したケーブル保護管4の凸部20との間には吸水膨張性不織布2が介在しており、この吸水膨張性不織布2が地中の水分を吸収して膨張することで、管継手3と切断したケーブル保護管4との接続部分に生じる隙間を塞いで良好な止水性が確保される。さらに、管継手3の円筒状部6と他方のケーブル保護管4の雌型アダプター22との間にはパッキン13が介在して、管継手3と他方のケーブル保護管4との接続部分に生じる隙間を塞いで良好な止水性が確保される。」

(イ)「【0054】
例えば、この発明の取付装置を使用して被覆材を取り付ける管材としては、上記実施形態のような角筒状部と円筒状部とを管軸方向に連続させた構造の管継手だけに限らず、図17に示すような一対の角筒状部5、5を管軸方向に連続させた構造の管継手や、図18に示すような角筒状部5と螺旋波形筒状部70を管軸方向に連続させた構造の管継手であっても良い。さらに、管継手だけに限定されず、ケーブル保護管、ダクト用ホースやパイプ、給排水用ホースやパイプ、食品等の輸送用ホースやパイプ、クリーナー用ホースやパ
イプ等の各種管材であっても良い。さらにまた、管材に取り付ける被覆材としては、吸水膨張性不織布だけに限定されず、管材を保護したり、管材の吸音性や断熱性等を高めるための各種被覆材であっても良い。」

(ウ)「図1




(エ)「図3





(オ)「図4



(カ)「図17






・上記(イ)及び図17(上記(カ))の管継手3の実施例は、上記(ア)及び図1に記載される管軸方向の一端を角筒状部5、他端を円筒状部6とした管継手3の実施例において、他端も円筒状部6に代えて角筒状部5としたものであって、角筒状部5の構成は上記(ア)及び図1と同じものである。

・上記(ア)の段落【0026】には、ケーブル保護管4は、管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、また、管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が一体的に形成され、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されていることが記載されている。
また、上記(ア)の段落【0027】には、管継手3の角筒状部5には、任意のケーブル保護管4の管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部が外嵌させることが記載され、図17(上記(カ))の角筒状部5が両側にある管継手3においては、管軸方向の両側から切断したケーブル保護管4が接続されることから、図17の管継手3は切断したケーブル保護管4同士を接続する管継手と認められる。
したがって、甲第1号証には、管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には雌型アダプター22が、他方の端部には雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4を切断した後に、切断したケーブル保護管4同士を接続するための管継手3が記載されているといえる。

・上記(ア)の段落【0027】には、ケーブル保護管4の切断端部に管継手3の角筒状部5を外嵌させることが記載されている。
また、図17によれば、管継手3は、一対の角筒状部5、5を管軸方向の両端に有し、一対の角筒状部5、5の間に円筒状の部分を有することが看取でき、また、上記(ア)の段落【0025】には、前記角筒状部5は、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、また、角筒状部5の内周面には、一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられることが記載されている。

・さらに、図1及び図4によれば、管継手3の角筒状部5には、凹部21を挟んで凹部21の両側に配置される凸部20が挿入され、さらに、円筒状の部分に切断端部である凹部21が挿入されていることが看取できる。

・上記(ア)の段落【0027】には、接続状態において、前記管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止されることが記載されている。

したがって、図17に示される管継手に注目し甲第1号証の記載及び図面によると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。

「管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4を切断した後に、切断したケーブル保護管4同士を外嵌し接続するための管継手3において、
前記管継手3は、一対の角筒状部5、5を管軸方向の両端に、一対の角筒状部5、5の間に円筒状の部分を有し、
該角筒状部5は、ケーブル保護管4の切断端部が外嵌され、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、また、角筒状部5の内周面には、一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられるものであって、 角筒状部5には、凹部21を挟んで凹部21の両側に配置される凸部20が挿入され、さらに、前記円筒状の部分に切断端部である凹部21が挿入され、接続状態において、前記管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止される、
管継手3。」


イ.甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面と共に以下の事項が記載又は示されている。

(ア)「2 実用新案登録請求の範囲
波形管の端部に外嵌され、筒状本体に設けた嵌合凹所内のスリツトから、嵌合固定部に一体形成されたリブを差し込み、波形管の谷部に該リブを圧入嵌合させて該筒状本体を波形管に固定する波形管接続具であつて、
上記筒状本体には、その嵌合凹所に隣接した係合部を形成し、上記嵌合固定部には、上記係合部に係合する被係合部を形成するとともに、
上記筒状本体のスリツトは、該嵌合凹所内に円周方向に沿つてかつ分割して形成され、上記嵌合固定部のリブは、上記スリツトに対応して分割して形成され、スリツトへの差込時に、その先端部が波形管の谷部に圧入嵌合するように突設したことを特徴とする波形管接続具。」(明細書1頁4-18行)

(イ)「[産業上の利用分野]
本考案は、外周部に環状の山条を一定の間隔で多数設けた波形管を接続するための波形管接続具に関する。
[従来の技術]
建築物の屋内配線、輸送機器内の配線などに使用される可撓性の配線保護用導管として、外周部に環状の山条を一定の間隔で多数設けた波形管が使用されている。
この種の波形管を相互に接続し或いは他の部材と接続するために、従来、特公昭60-28215号公報に示されるようなソケット筒状の接続管が提案されている。
この接続管は、波形管の端部に外嵌可能なソケット筒の外周壁に窓が設けられ、この窓からC形の止め部材をソケット筒内に差し込み、止め部材の両側先端部を波形管の谷部に圧入嵌合してソケット筒を波形管の端部に固定する構造である。
[考案が解決しようとする問題点]
しかしながら、この従来の接続具は、止め部材を嵌入するためにソケット筒に設けられた窓が、ソケット筒の外周壁のほぼ半周を連続開口して形成されているため、ソケット筒の強度が著しく低下し、ソケット筒が破損したり、外力によって波形管から外れることがあった。
本考案は、上記の問題点を解決するものであって、筒状本体の外周壁のスリットと係合部のみ開口し、このスリットと係合部に嵌合固定部のリブと被係合部を嵌合する構造としたため、筒状本体の外周壁の強度を充分確保でき、筒状本体が破損したり、外力によって波形管から容易に外れることのない波形管接続具を提供することを目的とする。」(明細書1頁19行-3頁12行)

(ウ)「この筒状本体1の外周側には嵌合固定部2を嵌合するための一段低い嵌合凹所4が設けられている。この嵌合凹所4には中間に嵌合凹所の底面より突出した壁部5が設けられ、壁部5の上下(図面中)に筒状本体1の円周方向に沿って、かつ壁部5によって分割されたスリット6a、6bが形成されている。7a、7b、7c、7dは、筒状本体1の嵌合凹所内に形成された側壁である。8a、8bは嵌合凹所4に隣接した係合部で、本実施例では嵌合凹所4の長手方向一杯に開口しその上部にカバー部8c、8dが設けられている。」(明細書5頁7-18行)

(エ)「次に、嵌合固定部2は、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bと筒状本体1の係合部8a、8bに係合される被係合部11a、11bから成る。このリブ10a、10bは、スリット6a、6bに差し込まれるように嵌合固定部2の内部へ突出形成して設けられている。嵌合固定部2は略U字形に形成され、中央内部に筒状本体1の壁部5に密接する嵌合部12が全体より低くなって設けられている。」(明細書6頁4-14行)

(オ)「第1図




以上総合すると、甲第2号証には、以下の技術事項(以下、「甲2記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「波形管3の端部に外嵌され、筒状本体1に設けた嵌合凹所内のスリツト6a、6bから、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bを差し込み、波形管の谷部に該リブを圧入嵌合させて該筒状本体1を波形管に固定する波形管接続具であって、
前記筒状本体1には、外周側に嵌合固定部2を嵌合するための一段低い嵌合凹所4が設けられ、そして、該嵌合凹所4には中間に嵌合凹所の底面より突出した壁部5が設けられ、該壁部5の上下の筒状本体1の円周方向に沿って、かつ壁部5によって分割されたスリット6a、6bが形成され、また、前記嵌合凹所4に隣接して係合部8a、8bが設けられ、さらに、嵌合凹所4の長手方向一杯に開口してその上部にカバー部8c、8dが設けられており、
前記嵌合固定部2は、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bと筒状本体1の係合部8a、8bに係合される被係合部11a、11bから成り、前記リブ10a、10bは、スリット6a、6bに差し込まれるように嵌合固定部2の内部へ突出形成して設けられており、また、嵌合固定部2は略U字形に形成され、中央内部に筒状本体1の前記壁部5に密接する嵌合部12が全体より低くなって設けられている、
波形管接続具。 」


ウ.甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。

(ア)「【請求項1】スプール部を有する雄継手部材と、雌継手部材と、前記雌継手部材のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材と雌継手部材とを結合するリテーナーと、前記雌継手部材の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、
前記雄継手部材のスプール部が係合して当該雄継手部材の端末を抜けないように保持する保持部を前記リテーナーに設け、前記雄継手部材と前記リテーナーの保持部とが協働して当該雌継手部材と雄継手部材との相対的な回転を阻止する回り止め手段を構成することを特徴とする配管用継手。」

(イ)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配管用継手に係り、特に、機械の流体回路などでパイプやチューブ同士の接続に用いられるクイックコネクター形の配管用継手に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車の燃料供給系では、燃料パイプを接続する管継手にクイックコネクター形の継手が用いられている。
【0003】クイックコネクター形の継手は、接続すべきパイプにそれぞれ取り付けられる雌継手部材、雄継手部材と、これらを結合するリテーナーを主要な構成要素としており、ボルト等の締結要素を用いることなく、雄継手部材を雌継手部材に挿入するだけでワンタッチで簡単にパイプ同士を接続することができる。」

(ウ)「【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来のクイックコネクター形の配管継手では、回り止め防止用のカバー等を、配管の接続部位、配管の曲がり具合、管のサイズ、振動系などの実際の配管状況に応じて、個別に用意して取り付けなければならないため、その分、部品点数が増えコストが高くなるとともに、実際の配管作業の工数が増えるという問題がある。しかも、取り付ける部位の形状、寸法等の制約が大きく、配管状況が異なってくると、他の配管接続箇所には、流用できないこともあり、汎用性という点で問題があった。
【0017】そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、カバー等を別途設けることなく、しかも、実際の配管接続状況でのさまざまな制約を受けることなく、雌継手部材と雄継手部材との間の相対的な回転を確実に防止することができ、振動等に起因するOリングの摩耗を防止して長期間に亘ってシール性能を維持できるようにしたクイックコネクター形の配管用継手を提供することにある。」

(エ)「【0018】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、本発明は、スプール部を有する雄継手部材と、雌継手部材と、前記雌継手部材のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材と雌継手部材とを結合するリテーナーと、前記雌継手部材の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、前記雄継手部材のスプール部が係合して当該雄継手部材の端末を抜けないように保持する保持部を前記リテーナーに設け、前記雄継手部材と前記リテーナーの保持部とが協働して当該雌継手部材と雄継手部材との相対的な回転を阻止する回り止め手段を構成することを特徴とするものである。」

(オ)「【0021】第1実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による配管用継手を示す斜視図である。この図1において、参照符号40は、配管用継手の全体を示す。この配管用継手40は、雌継手部材42と、雄継手部材44と、これらを結合するリテーナー46とから構成されている。図2(b)は、雌継手部材42と雄継手部材44がリテーナー46によって完全に結合されている接続状態を示す縦断面図である。
【0022】本実施形態は、基本的に、横から雌継手部材42に差し込む形式のリテーナー46によって、雌継手部材42と雄継手部材44を結合する形式の配管用継手であれば適用することができる。この実施形態は、本発明を特に雌継手部材42に雄継手部材44を完全に挿入しないかぎり、リテーナ46を雌部材44の窓部から差込んでもリテーナー46が正常にロック作動しないようにする疑似ロック防止構造を有しているクイックコネクター形の配管用継手に適用した実施の形態である。この種のクイックコネクター形継手での擬似ロックとは、雄継手部材44が雌継手部材42に完全に差込まれていない状態のまま、雄継手部材44がOリング52aまたは52bに接し、内部をシールする状態のことをいう。
【0023】図1において、雌継手部材42は、チューブ43を取り付ける側である圧入取付部45と円筒状のハウジング47とが一体となっているもので、図2(b)に示すように、内部には段付きの通路48が軸方向に貫通形成されている。ハウジング47は、雄継手部材44が挿入される側の連結部49を含み、この連結部49の側面には、リテーナ46を軸方向と直角な方向から挿入するための窓部50が形成されている。ハウジング47は、このような連結部49から、これよりも順次小径になる第1の円筒部49a、第2の円筒部49bにつながり、さらに圧入取付部45に連続するようになっている。また、図2(b)に示すように、ハウジング47の第1円筒部49aの内部には、スペーサ51を間において0リング52a、52bが装着されている。53は、0リング52a、52bの脱落を防止するためのトップハットである。
【0024】一方、雄継手部材44には、その先端から所定の距離だけ離れた位置に、外周部を周回するスプール部54が形成されている。このスプール部54に雌継手部材42の窓部50から差込まれたリテーナー46が係合すると、雄継手部材54が抜けないように拘束される。
【0025】リテーナー46は、一体成形されたプラスチック製のU字形の部材で、その本体52は、両側に平行に延びる脚部55a、55bを含む。この脚部55a、55bの内側には、対向し合ったリブ56a、56bが一体形成されており、このリブ56a、56bは、雄継手部材44の外周部に嵌合するようになっている。
【0025】リテーナー46は、一体成形されたプラスチック製のU字形の部材で、その本体52は、両側に平行に延びる脚部55a、55bを含む。この脚部55a、55bの内側には、対向し合ったリブ56a、56bが一体形成されており、このリブ56a、56bは、雄継手部材44の外周部に嵌合するようになっている。」

(カ)「【0028】この実施形態では、図1、図3、4に示されるように、雄継手部材44には、非円形の横断面形状を有する非円形部として、雄継手部材44の管体の一部を両側からつぶして形成した平坦面60a、60bが形成されている。一方、リテーナー46の方では、平坦面60a、60bを固定する固定部がリブ56a、56bに一体で設けられている。この場合、リブ56a、56bに設けた固定部61a、61bは、雄継手部材44の非円形部の形状に対応して、平坦面60a、60bに密着する平坦な面を有する凸部からなっている。

・・・中略・・・
【0031】そして、雌継手部材42と雄継手部材44がリテーナー46で結合された状態では、図3、図4に示されるように、雄継手部材44の非円形部である平坦面60a、60bの全体が、リテーナー46のリブ56a、56の対向し合う固定部61a、61bの内側面に密着するように当たっていることから、振動等が伝わっても雌継手部材42と雄継手部材44との間には相対的な回転が生じないように両者を結合することができる。このため、両者の相対的な回転は完全に阻止されるので、接続後に雌継手部材42内部の0リング52a、52bが雄継手部材44との摩擦によって摩耗するようなことを防止でき、シール性能を長期間にわたって維持することが可能となる。」

(キ)「図1




(ク)「図4




以上総合すると、甲第3号証には、以下の技術事項(以下、「甲3記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「スプール部54を有する雄継手部材44と、雌継手部材42と、前記雌継手部材42のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材44と雌継手部材42とを結合するリテーナー46と、前記雌継手部材42の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、
前記リテーナー46は、一体成形されたプラスチック製のU字形の部材で、その本体52は、両側に平行に延びる脚部55a、55bを含み、該脚部55a、55bの内側には、対向し合ったリブ56a、56bが一体形成されており、該リブ56a、56bは、雄継手部材44の外周部に嵌合するようになっており、
前記雌継手部材42と前記雄継手部材44が前記リテーナー46で結合された状態では、前記雄継手部材44の非円形部である平坦面60a、60bの全体が、リテーナー46のリブ56a、56の対向し合う固定部61a、61bの内側面に密着するように当たって、振動等が伝わっても前記雌継手部材42と前記雄継手部材44との間には相対的な回転が生じないように両者を結合することができる、
配管用継手。」


エ.甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【0002】
地中に埋設された電線やケーブルを保護するためのケーブル保護管のような管を相互に接続する管継ぎ手部分には、確実かつ充分な防水機能・止水機能が求められている。このような部位に用いられる止水部材として、吸水膨張性樹脂の繊維を利用した不織布状の止水部材が知られており、そのような吸水膨張性樹脂繊維としては、例えば、ランシール(登録商標 東洋紡績株式会社製品)やベルオアシス(登録商標 カネボウ合繊株式会社製品)などの製品が市販されている。
【0003】
しかしながら、これら吸水膨張性樹脂繊維は、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とした樹脂繊維であり、純水やイオン濃度の低い水(以下淡水と記載する)には、充分な吸水膨張性を発揮して止水効果を発揮するものであるが、海水などのイオン濃度の高い水(以下単に海水と記載する)に対しては、イオンの存在によって、樹脂の吸水膨張性が阻害されるものであった(以下、これら吸水膨張性樹脂繊維を淡水膨張性樹脂繊維と記載する)。従って、これらの止水部材を海水の浸入が予想される地域において管継ぎ手に使用することは困難であり、淡水に対しても海水に対しても確実かつ充分な防水機能・止水機能を発揮できる止水部材が求められていた。」

(イ)「【0046】
以下、本発明の実施例を説明する。淡水膨張性樹脂を含み淡水膨張性を有する不織布として、淡水膨張性樹脂繊維であるランシール(登録商標 東洋紡績株式会社製品)とポリエステル繊維を7:3の混合比率で混紡した不織布(目付け300g/平方メートル)を使用した。
海水膨張性熱可塑性樹脂として、アクアコーク(登録商標 住友精化株式会社製品)を使用した。アクアコークをイソプロピルアルコール(IPA)にて溶解し、樹脂溶液とした。」

以上総合すると、甲第4号証には、以下の技術事項(以下、「甲4記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「継手の止水部材として、ポリエステル繊維またはポリアクリル酸ナトリウム繊維を用いること。」


オ.甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パイプの接続に用いるパイプジョイントに係るものであって、特に、電気ケーブルを地中に埋設する場合に、電気ケーブルを被覆して用いるパイプの接続に好都合なものである。」

(イ)「【0033】この内周パッキン(23)は、図1に示す如く、内周表面に環状段部(24)を突設し、この環状段部(24)に、接続する2本のパイプ(22)の先端部を突当て接触する事が可能である。また、内周パッキン(23)は、本体筒(20)の内周に凹設した係合凹部(25)に挿入係合し、内周側の表面を本体筒(20)の内周面と同一の径で形成している。このように形成すると、開口部(21)にパイプ(22)を挿入しても、内周パッキン(23)の両端部にパイプ(22)の先端部が引っ掛かるおそれがなく、内周パッキン(23)のズレ、脱落等を防止する事が可能となる。」

以上総合すると、甲第5号証には、以下の技術事項(以下、「甲5記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「継手本体の奥側には、筒状部の内周面全周を取り囲むように止水部材であるパッキンが配置されること。」


カ.甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、凸部(大径部)と凹部(小径部)を管軸方向に交互に有する樹脂製の波形管の一端部を受容して同種又は異種の樹脂製波形の保護管を接続するための接続雌部構造に関するものである。本発明の接続雌部構造は、樹脂製波形管の一端部に設けられてもよく、異なる形状の樹脂管に接続する接続雄部構造を有する管継手の接続雌部ないし同じ構造の接続雌部が筒状管で接続された管継手の接続雌部であってもよい。」

(イ)「【0015】
本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造を構成する樹脂材料は、公知の熱可塑性樹脂を特に限定なく使用することができ、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等を例示することができる。これらの中でも、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の使用が、低コストであり、しかも土中埋設時の耐久性に優れている点で好ましい。」

以上総合すると、甲第6号証には、以下の技術事項(以下、「甲6記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「継手の材料として、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を用いること。」

キ.甲第7号証の記載事項
甲第7号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「実用新案登録請求の範囲
1.スリーブ(1)の外周面上に肉厚部(5)を設け、この肉厚部(5)の上面からスリーブ(1)内に至る挿入口(6)を設け、さらに肉厚部(5)の両下端に係止穴(7)を設けると共に、略コ字状に形成され両端外面に突起部(9)を有し、内周面に嵌入部(10)を有したロック部材(8)を、前記挿入口(6)から挿入して配線管(4)を固定することを特徴とする配線管接続構造。」(明細書1頁5-13行)

(イ)「ロック手段(2)は、スリーブ(1)の外周面上に肉厚部(5)を設け、この肉厚部(5)の上面からスリーブ(1)内に至る挿入口(6)を設け、さらに肉厚部(5)の両下端に係止穴(7)を設け、前記挿入口(6)からロック部材(8)を挿入して配線管(4)を固定する構造としている。このロック部材(8)は、弾性機能を有する合成樹脂等より作成されており、略コ字状に形成され両端外面に突起部(9)を設け、内周面に鍔状の嵌入部(10)を設けている。又、配線管(4)は前記ロック部材(8)の嵌入部(10)が嵌り込む形状の谷部(11)を有した蛇腹管としている。」(明細書3頁4-16行)

(ウ)「以上に述べた如く、この考案はスリーブに独特のロック手段を付加することにより、配線管接続のための専用工具を不要とし、しかも配線管の接続をワンタッチで行うことができるようにしたものであり、実用的効果に優れている。」(明細書4頁18行-5頁2行)

・図4によれば、ロック部材の内周面の径は、スリーブ1の挿入口6に、ロック部材を挿入したときに、配線管4の山部より小さく、谷部と干渉しないように所定距離離間し、谷部の円断面の上部を覆うものであることが看取できる

以上総合すると、甲第7号証には、以下の技術事項(以下、「甲7記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「スリーブ(1)の外周面上に肉厚部(5)を設け、この肉厚部(5)の上面からスリーブ(1)内に至る挿入口(6)を設け、さらに肉厚部(5)の両下端に係止穴(7)を設けると共に、略コ字状に形成され両端外面に突起部(9)を有し、内周面に嵌入部(10)を有したロック部材(8)を、前記挿入口(6)から挿入して配線管(4)を固定することによって、配線管の接続をワンタッチで行うことを可能とした際に、ロック部材の内周面の径が、スリーブ1の挿入口6にロック部材が挿入したときに、配線管4の山部より小さく、谷部と干渉しないように所定距離離間し、谷部の円断面の上部を覆うものであること。」

ク.甲第8号証の記載事項
甲第8号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項2】 管壁(1)が、管軸方向において断面方形壁部分(2)と断面円形壁部分(3)とが交互に配設形成されている管体(P)であって、断面円形壁部分(3)が、その幅方向中央部に断面コの字形の環状突条部(4)を備え、かつ、その両側に所定の間隔を隔てた箇所に環状の切断目印部(5),(5)を備えてなる合成樹脂製波形管。」

以上総合すると、甲第8号証には、以下の技術事項(以下、「甲8記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「管体の断面円形壁部分の幅方向中央部に断面コの字形の環状突条部(4)を備え、その両側に所定の間隔を隔てた箇所に環状の切断目印部(5),(5)を備えること。」


ケ.甲第9号証の記載事項
甲第9号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「本考案は可撓性蛇腹ホースの等間隔個処にその周面に環状切込溝を刻設し、該切込溝両側部分に平坦部分を設けて、その使用時前記切込溝に刃物を当接適宜切断行わしめると共に、該平坦部分をして被連接物体に容易に接続行わしめるを目的とする可撓ホースに係るものである。」

以上総合すると、甲第9号証には、以下の技術事項(以下、「甲9記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「可撓性蛇腹ホースの等間隔個処にその周面に環状切込溝を刻設し、該切込溝両側部分に平坦部分を設けて、その使用時前記切込溝に刃物を当接適宜切断すること。」

(3)当審の判断
ア.本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。

a.甲1発明の「雌型アダプター22」、「雄型アダプター23」が、それぞれ、本件特許発明1の「雌型嵌合部」、「雄型嵌合部」に相当する。
さらに、甲1発明の「凸部20」は、管径方向の断面が略正方形状のものであるから、本件特許発明1の「略矩形状の山部としての大径部」に相当し、また、甲1発明の「凹部21」は、管径方向の断面が略円形状のものであるから、本件特許発明1の「円形状の谷部としての小径部」に相当する。
したがって、甲1発明の「管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4」は、本件特許発明1の「雄型嵌合部と雌型嵌合部の間において、管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成される電線管」に相当する。

b.甲1発明の「切断端部」は、管壁25の凹部21であるから、凹部21で切断されているものと認められる。
したがって、甲1発明の「ケーブル保護管4を切断した後に、切断したケーブル保護管4同士を外嵌し接続するための管継手3」は、本件特許発明1の「電線管の小径部中央で切断した電線管同士を接続する管継手」に相当する。

c.また、甲1発明の「管継手3」は、管継手3と他の部材を組合わせて継手を構成するものではなく、管継手3の本体部分のみで構成されていると認められることから、本件特許発明1の「前記管継手は、継手本体からなり」に相当する。
但し、「管継手」が、本件特許発明1では、「Π型固定部材からなり、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され」るものであるのに対して、甲1発明では、そのような固定部材から形成されていない点で相違する。

d.甲1発明の「円筒状の部分」には、切断端部である凹部21が挿入されるものであるから、甲1発明の「前記管継手3は、一対の角筒状部5、5を管軸方向の両端に、一対の角筒状部5、5の間に円筒状の部分を有」することは、本件特許発明1の「前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有している」に相当する。

但し、本件特許発明1では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定される」るのに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点で相違する。

e.そして、甲1発明の「ケーブル保護管4」は、管径方向の断面が略正方形状の凸部20を備え角形であり角型電線管と認められることから、甲1発明のケーブル保護管4の接続を行う「管継手3」は、本件特許発明1の「角型電線管用管継手」に相当する。

そうすると、両者は、

「雄型嵌合部と雌型嵌合部の間において、管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成される電線管の小径部中央で切断した電線管同士を接続する管継手であって、
前記管継手は、継手本体と、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有している、
角型電線管用管継手。」

の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
管継手が、本件特許発明1では、「Π型固定部材からなり、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され」るものであるのに対して、甲1発明では、そのような固定部材から形成されていない点。

(相違点2)
本件特許発明1では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定される」のに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点。

相違点1及び相違点2について検討する。
甲第2号証は、甲第2号証の明細書1頁19行-3頁12行に記載されるように、従来、止め部材を挿入するためにソケット筒に形成されていた窓が、ソケット筒の外周壁のほぼ半周を連続開口して形成されているため、ソケット筒の強度が著しく低下していたことを課題として、窓をスリットとして小さくしたものである。
一方、甲1発明の管継手3は、管継手3自体(角筒状部5の内周面)に設けられる抜け止め片9でケーブル保護管4の接続を行うものであって、窓が設けられるものではなく、窓の形成による強度の低下という課題は存在しない。さらに、甲1発明において管継手3にスリットを設ければ強度が低下することは明らかであるから、甲1発明に甲第2号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。
また、甲第3号証のものは、雄継手部材44と雌継手部材42との結合に関して、雄継手部材44と雌継手部材42の相対的な回転を確実に防止することを課題として、リテーナー46に固定部61a、61bを設け、雄継手部材44に平坦面60a、60bを設けたものである。
しかしながら、甲1発明は、断面が略正方形状の凸部20を有するケーブル保護管4を管継手3の角筒状部5に挿入し結合するものであって、継手同士の結合に関するものではなく、さらに、略正方形状のケーブル保護管4と角筒状部5の結合では相対的な回転は生じないことから、甲1発明に甲第3号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。
さらに、甲第7号証には、スリーブ(「継手本体」に相当)に切欠を設け、該切欠にロック部材(「Π型固定部材」に相当)を挿入することで配線管の接続をワンタッチで行うことを可能としたものが記載されいる。
しかしながら、甲第7号証のロック部材には外方に向けて突出する段部がなく、さらに、甲1発明は、抜け止め片9でケーブル保護管4の接続を行うのものであって、すでにワンタッチ接続が可能なものであるから、甲1発明において抜け止め片9に代えて、甲第7号証の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。

また、甲第4乃至甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証には、継手本体に切欠を設け、該切欠に固定部材を挿入する記載はされていない。

したがって、本件特許発明1は、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。


イ.本件特許発明2乃至9について
本件特許発明2乃至9は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加して限定したものであるから、本件特許発明2乃至9は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

ウ.本件特許発明10について
本件特許発明10は、本件特許発明1の管継手に切断された角型の電線管を接続した角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造であって、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件特許発明10は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

エ.本件特許発明11なしい16について
本件特許発明11乃至16は、本件特許発明10の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加して限定したものであるから、本件特許発明11乃至16は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

オ.本件特許発明17について
本件特許発明17は、本件特許発明10の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造を方法の観点から記載したものであるから、本件特許発明17は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

カ.本件特許発明19について
本件特許発明19と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。

a.甲1発明の「ケーブル保護管4」は、管径方向の断面が略正方形状の凸部20を備えるものであり角形と認められることから、本件特許発明19の「角型電線管」に相当する。
また、引用発明の「管継手3」は、ケーブル保護管4のためのものであるから、本件特許発明19の「角型電線管用管継手」に相当する。
そして、引用発明の「管継手3」は、継手のみからなるものであり、さらに、甲1発明の「管継手3」の「角筒状部5、5」は、断面が略正方形状である。
したがって、甲1発明の「一対の角筒状部5、5を管軸方向の両端に、一対の角筒状部5、5の間に円筒状の部分を有」する「管継手3」は、本件特許発明19の「中央に円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有している角型電線管用管継手の継手本体」に相当する。

但し、本件特許発明19では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記切欠き部に対応する略矩形状部の底部の両側部には、Π型固定部材の両足部が挿入可能な開口部を有する」のに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点で相違する。

そうすると、両者は、

「中央に円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有している、
角型電線管用管継手の継手本体。」

の点で一致し、次の点で相違する。

相違点3
本件特許発明19では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記切欠き部に対応する略矩形状部の底部の両側部には、Π型固定部材の両足部が挿入可能な開口部を有する」のに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点。

相違点3について検討する。
甲第2、3、7号証には、継手本体に切欠き部を形成することは記載されているが、上記ア.で検討したように、甲1発明に甲第2、3、7号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。

また、甲第4乃至甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証には、継手本体に切欠を設ける記載はされていない。

したがって、本件特許発明19は、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。


4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した異議申立ての理由によっては、請求項1乃至17、19に係る特許を取り消すことはできない。また、他に取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項18に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項18に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が挿通される角型電線管同士を接続するための、角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法および角型電線管用管継手の継手本体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地中埋設用の電線保護管として、断面が円形の丸型電線管と矩形断面を有する角型電線管が提案されている。これまでは、多くの場合、丸型電線管が用いられていたが、工事の際に、電線管の敷設領域が狭いトンネルなどに用いる電線管としては、角型断面を有する角型電線管が用いられていた。角型電線管は、可撓性を付与するため、角型断面と円形断面が交互に形成された波付け電線管である。
【0003】
また、道路を掘り起こして電線管を敷設する際に、角型電線管を用いると複数の隣接する電線管同志を相互に接触させて埋設することが可能なため、断面が円形の電線管を敷設する場合に較べて、土砂の堀り起こし量が少なく工事が容易であるという特徴がある。
【0004】
このような角型電線管同士の接続には、角型電線管用の管継手が用いられる。例えば、合成樹脂製の継手本体と、半円弧状の両端部分から外周方向に突出するフランジ縁を備えた管継手が提案されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1の管継手の継手本体は、幅方向の両側縁部を残してその間の部分に、水密用パッキングを受け入れる凹溝を有する。継手本体の周方向の両端部の締め付け用ボルト穴をボルトで締めこむことで、水密用パッキングを備えた継手本体を合成樹脂製波付け管体に固定することができる。特許文献1の管継手によれば、角型電線管の場合であっても連結可能である。
【0006】
また、管径方向の断面が略方形状の凸部を有する波形管端部を、管継手における管径方向の断面が略方形状の嵌合筒部に差し込んで、これらを接続する管継手が提案されている(特許文献2)。
【0007】
特許文献2の管継手は、嵌合筒部の内壁面に、薄肉金属板からなる掛止片が設けられる。波形管の凸部によって掛止片をその弾性力に抗して外方向へ押し広げることで、波形管の嵌合筒部への差し込みが許容される。この際、嵌合筒部に差し込んだ波形管の隣接する凸部間の隙間に掛止片をその弾性復帰力によって嵌り込ませて、凸部に係合させることで、波形管の嵌合筒部からの抜けを阻止することができる。このため、波形管の抜けを確実に防止するとともに、接続作業を簡単にし、波形管の凸部よりも外方向への張り出しを極力抑えることができる。
【0008】
また、複数個の抜け止め部材を周方向に連設してなり、リング外周面上に突出する掛止爪を設けた抜け止めリングを用いた管継手が提案されている(例えば特許文献3)。
【0009】
特許文献3では、波形合成樹脂管の管端部の外周面の凹部に、複数個の抜け止め部材を周方向に連設してなる抜け止めリングが装着される。管継手には、抜け止めリングを装着した状態の波形合成樹脂管の管端部を受け入れる合成樹脂製のソケット部が設けられる。また、ソケット部の周壁には、抜け止めリングの掛止爪に対応する位置に貫通穴が形成される。特許文献3の管継手は、波形合成樹脂管の管端部を挿入した際に、掛止爪が貫通穴の開口縁部に係合することで、波形合成樹脂管の抜け止めとして機能する。
【0010】
また、外形が略矩形状の半割形状の継手部材を用いることもできる。この場合、継手部材は、電線管の小径部を挟んで対向する大径部を、一体として被覆するように形成される。半割形状の継手部材の一方の嵌合用の端部には、嵌合用の足部が設けられ、足部を他方の端部に形成した溝に嵌合させることで互いに固定することができる。また、継手部材の小径部の内周面には水膨張不織布が張り付けてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000-337573号公報
【特許文献2】特開2005-172233号公報
【特許文献3】特開2010-270879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1のようにボルトを用いる方法では、接続作業が面倒である。このため、ボルトやナットを使用せずに、ワンタッチで電線管に固定でき、容易に外れることがない管継手が望まれている。
【0013】
また、特許文献2の管継手は、抜け止め機構が複雑であり、簡単にワンタッチで電線管に固定できるものではなく、管継手を作製する時に、管継手への掛止片の固定が面倒である。また、管継手に大きな引き抜き力が加わった時には、管継手と掛止片の接続部が座屈する可能性がある。
【0014】
また、特許文献3では、挿入される波付け管の端部に係止爪が形成されるが、特許文献2と同様に、係止爪を用いるため、管継手に大きな引き抜き力が加わった時には、管継手と掛止片の接続部が座屈する可能性がある。
【0015】
このような構造においては、嵌合用の足部の先端に返し部を設ける必要があり、この返し部が管継手の輪郭の外部に突出しているため、管継手が外部の衝撃などを受けた場合には、継手が外れる場合がある。
【0016】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、ボルトやナットを使用せずにワンタッチで電線管に固定でき、しかも継手を他部材とぶつけたりした場合にも外れることがない角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した目的を達するために第1の発明は、雄型嵌合部と雌型嵌合部の間において、管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成される電線管の小径部中央で切断した電線管同士を接続する管継手であって、前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定されることを特徴とする角型電線管用管継手である。
【0018】
前記継手本体の前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成されてもよい。
【0019】
前記Π型固定部材の前記段部より下方の所定位置に、前記両足部の外側に向けて係合部が形成され、前記係合段部と、前記係合部とが相互に上下方向に係合してもよい。
【0020】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が略円弧形状またはアーチ形状であってもよい。
【0021】
前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記開口部に挿入された時に、前記両足部が、前記底部の外面から突出しないことが望ましい。
【0022】
前記切欠き部より奥側の前記継手本体の前記筒状部には、前記筒状部の内周面全周を取り囲むように止水部材が配置されてもよい。
【0023】
前記止水部材は水膨張部材であり、前記水膨張部材は、ポリエステル繊維とポリアクリル酸ナトリウム繊維とバインダー樹脂を含む不織布であってもよい。
【0024】
前記止水部材はゴムパッキンで有り、前記筒状部の内周面には溝が形成され、前記溝に前記ゴムパッキンが嵌め込まれていてもよい。
【0025】
前記継手本体と前記Π型固定部材は、それぞれ高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂またはPC樹脂のポリマーアロイのいずれかからなってもよい。
【0026】
第1の発明によれば、電線管を継手本体に挿入した状態でΠ型固定部材を挿入するだけで電線管に固定することができる。このため、ボルトやナットを使用せずに、ワンタッチで電線管に管継手を固定することができる。
【0027】
また、継手本体の切欠き部に対応する位置の筒状部の側面内側に係合段部を形成することで、Π型固定部材との係合部として機能させることができる。
【0028】
例えば、Π型固定部材の段部より下方の所定位置に、両足部の外側に向けて係合部が形成されれば、前述した係合段部と係合部とを相互に上下方向に係合させることができる。このため、Π形固定部材の抜け止めとして機能させることができる。
【0029】
また、Π型固定部材の天面部の内周面を略円弧形状またはアーチ形状とすることで、電線管の円形の小径部に対応した形状とすることができる。
【0030】
また、Π型固定部材を継手本体の開口部に挿入した時に、Π型固定部材の両足部が、継手本体の底部の外面へ突出しないようにすることで、Π型固定部材が他部材と接触することがない。このため、管継手を他部材とぶつけたりした場合にもΠ形固定部材が外れることがない。
【0031】
また、切欠き部より奥側の継手本体の筒状部に内周面全周を取り囲むように止水部材を配置することで、電線管と管継手との隙間の止水性を確保することができる。
【0032】
また、止水部材として水膨張部材を用いれば、確実に止水性を確保することができる。
【0033】
また、止水部材としてゴムパッキンとして、ゴムパッキンを筒状部の内周面の溝にはめ込むことで、ゴムパッキンのずれを抑制し、確実に止水性を確保することができる。
【0034】
また、継手本体とΠ型固定部材の材質を、それぞれ高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂またはPC樹脂のポリマーアロイのいずれかからなるように選択することで、十分な剛性を確保することができる。
【0035】
第2の発明は、角型の電線管と角型電線管用の管継手の接続構造であって、前記電線管は、雌型嵌合部と雄型嵌合部と管体からなり、前記管体の両端に接続部として前記雌型嵌合部と前記雄型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部を前記雌型嵌合部に差し込んで接続することが可能であり、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間において、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成され、前記管継手は、前記電線管の小径部の中央で切断した電線管同士を接続することが可能であり、前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部より、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、さらに、前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、円形状の小径部に整合する形状かあるいは大径部より小さく小径部に干渉しない形状に形成されていて、前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記電線管の小径部の切断端部が、前記継手本体の前記円筒部に、管軸方向の奥側に向けてそれぞれ前記継手本体の両側から挿入されて対向して配置され、さらに、前記継手本体の前記筒状部には、小径部が前記切欠き部に位置するように、少なくとも小径部の切断部位から前記電線管の大径部、小径部、大径部の順に配置されていて、 前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定されることを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造である。
【0036】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が、前記電線管の小径部の円断面の上部の少なくとも一部に当接するか、あるいは小径部に整合する略円弧形状で小径部を覆うように接触することが可能であってもよい。
【0037】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、前記切欠き部の側面の上部に、前記Π型固定部材を載置したときに、大径部より小さく、前記電線管の小径部に干渉しないように所定距離離間して、前記電線管の小径部の円断面の上部を囲うように覆う形状であってもよい。
【0038】
前記筒状部の開口径は、大径部が収納可能な大きさに形成され、さらに、前記筒状部の長さは、前記筒状部に挿入される前記電線管の小径部を挟んだ一対の大径部の全長と略一致するように形成されてもよい。
【0039】
前記円筒部は、前記電線管の小径部の直径より大きく大径部の径より小さく形成され、前記円筒部の円断面部の長さは、前記電線管の小径部の長さに等しいかそれより長く形成されてもよい。
【0040】
管軸方向の断面において、前記電線管の小径部の管軸方向の略中央に、外周方向に突出する2つの突部が相互に対向して対称に形成され、前記突部の間の中央に溝が形成され、前記溝で切断された前記電線管の切断部側を前記管継手で接続してもよい。
【0041】
前記電線管と前記管継手の管軸方向の係合は、前記Π型固定部材の内面上部の一部と前記両足部とが、前記電線管の略正方形状の大径部の側面に当接して係合してもよい。
【0042】
第2の発明によれば、電線管を継手本体に挿入した状態でΠ型固定部材を挿入するだけで電線管同士を接続可能であり、角型電線管同士が接続される管継手の接続構造を容易に得ることができる。
【0043】
また、Π型固定部材の天面部の内周面が、電線管の小径部の円断面の上部の一部に当接することで、Π型固定部材で電線管の小径部に隣接する大径部を確実に固定することができる。
【0044】
また、Π型固定部材の天面部の内周面を、電線管の大径部より小さく、電線管の小径部に干渉しない形状としても、Π型固定部材によって電線管を確実に固定することができる。
【0045】
また、筒状部の開口径が、大径部が収納可能な大きさに形成され、さらに、筒状部の長さは、筒状部に挿入される電線管の小径部を挟んだ一対の大径部の全長と略一致するように形成することで、継手本体に電線管を確実に挿入することができる。
【0046】
また、継手本体の円筒部が、電線管の小径部の直径より大きく大径部の径より小さく形成されれば、継手本体に電線管を確実に収容することができる。
【0047】
また、電線管の小径部の管軸方向の略中央に、外周方向に突出する2つの突部が相互に対向して対称に形成され、突部の間の中央に溝が形成されれば、溝で電線管を容易に切断することができ、電線管の切断部側を管継手で接続することができる。
【0048】
また、Π型固定部材の内面上部の一部と両足部とが、電線管の略正方形状の大径部の側面に当接することで、電線管と管継手とを管軸方向に係合することができる。
【0049】
第3の発明は、角型の電線管と管継手の接続方法であって、前記電線管は、雌型嵌合部と雄型嵌合部と管体からなり、前記管体の両端に接続部として前記雌型嵌合部と前記雄型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部を前記雌型嵌合部に差し込んで接続することが可能であり、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間において、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成され、前記管継手は、前記電線管の小径部の中央で切断した電線管同士を接続することが可能であり、前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部より、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、さらに、前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、円形状の小径部に整合する形状かあるいは大径部より小さく小径部に干渉しない形状に形成されていて、前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記継手本体の前記円筒部に、前記電線管の切断端部である小径部を管軸方向の奥側に向けて配置できるようにそれぞれ前記継手本体の両端部から前記電線管を挿入して、さらに、前記継手本体の前記筒状部には、小径部が前記切欠き部に位置するように、少なくとも小径部の切断部位から前記電線管の大径部、小径部、大径部の順に配置されていて、前記Π型固定部材を上方から前記切欠き部に装入して前記継手本体に固定する際に、前記切欠き部の側面の上部に、前記Π型固定部材を、前記天面部の側面が前記電線管の大径部の側面に接するように載置することで、前記Π型固定部材の前記両足部を、前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入し、前記Π型固定部材を前記継手本体へ固定することを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法である。
【0050】
第3の発明によれば、ボルトやナットを用いることなく、容易に角型電線管同士を接続することができる。
【0051】(削除)
【0052】
第4の発明は、中央に円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記切欠き部に対応する略矩形状部の底部の両側部には、Π型固定部材の両足部が挿入可能な開口部を有することを特徴とする角型電線管用管継手の継手本体である。
【0053】
第4の発明によれば、ボルトやナットを使用せずに、ワンタッチで電線管に固定することが可能な管継手を得ることができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、ボルトやナットを使用せずにワンタッチで電線管に固定でき、しかも継手を他部材とぶつけたりした場合にも外れることがない角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】管継手1の分解斜視図。
【図2】(a)は、継手本体3の側面図、(b)は、継手本体3の底面図。
【図3】(a)は、継手本体3の平面図、(b)は、(a)のA-A線断面図。
【図4】管継手1の組立斜視図。
【図5】角型電線管40を示す図。
【図6】(a)は、図5のB-B線断面図、(b)は、図5のC-C線断面図。
【図7】(a)は、図5のD部拡大断面図、(b)は、(a)のE部拡大図。
【図8】(a)は、角型電線管40の切断方法を示す図、(b)は、(a)の小径部45の拡大図。
【図9】(a)は、切断した角型電線管40同士を対向させた状態を示す図、(b)は、(a)の小径部45の拡大図。
【図10】(a)、(b)は、切断された角型電線管40同士の接続方法を示す図。
【図11】(a)、(b)は、切断された角型電線管40同士の接続方法を示す図。
【図12】(a)は、図11(a)のK-K線断面図、(b)は、図11(a)のL-L線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態にかかる管継手1について説明する。図1は、管継手1を示す分解斜視図である。角型電線管用の管継手1は、主に、継手本体3と一対のΠ型固定部材5からなる。
【0057】
Π型固定部材5は、天面部7と、一対の両足部9からなる。両足部9は、天面部7の両端部近傍に、天面部7に対して略直交するように接続され、下方に向けて突出する。Π型固定部材5の両側部には、段部11が設けられる。段部11は、上方が両側方向に張り出すように下方に向けて形成される。すなわち、天面部7の下面(下方)には、それぞれの両足部9と天面部7の接続部から、外方に向けて突出する段部11がそれぞれ形成される。段部11は、継手本体3の管軸方向に対して略平行に形成される。
【0058】
Π型固定部材5の段部11より下方の所定位置に、両足部9の外側に向けて係合部27が形成される。係合部27は、下方が両側方向に張り出すように形成される。なお、係合部27と段部11は、互いに略平行に形成される。
【0059】
Π型固定部材5の天面部7の内周面は、略円弧形状またはアーチ形状である。天面部7の内周面の形状は、後述する角型電線管の小径部の外形に対応した形状である。
【0060】
図2(a)は、継手本体3の側面図、図2(b)は、継手本体3の底面図、図3(a)は、継手本体3の平面図、図3(b)は図3(a)のA-A線断面図である。継手本体3は、中央に円筒部13と、円筒部13を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部15とを有する。円筒部13は、後述する角型電線管の小径部が挿入される部位である。また、筒状部15は、後述する角型電線管の大径部等が挿入される部位である。
【0061】
筒状部15の一部には、略矩形状部の側面19の上方及び天面21が開口する切欠き部17が円筒部13を挟んで管軸方向に対称な位置に、2カ所形成される。また、継手本体3の切欠き部17に対応する位置の筒状部15の側面19の内側には、係合段部25が形成される。係合段部25は、継手本体3の管軸方向に略平行に、内側に向かって突出する突部によって形成される。
【0062】
継手本体3の筒状部15の略矩形状の底部29の両側には、開口部23が設けられる。開口部23は、継手本体3の管軸方向に対して、切欠き部17に対応する位置に形成される。開口部23は、Π型固定部材5の両足部9を挿入可能である。
【0063】
また、図3(b)に示すように、切欠き部17より奥側の継手本体3の筒状部15には、筒状部15の内周面全周を取り囲むように止水部材31が配置される。なお、止水部材31は、例えば、水膨張部材であり、この場合、ポリエステル繊維とポリアクリル酸ナトリウム繊維とバインダー樹脂を含む不織布を適用可能である。また、止水部材31は、ゴムパッキンであってもよく、この場合、筒状部15の内周面には溝が形成され、溝にゴムパッキンが嵌め込まれる。
【0064】
なお、継手本体3とΠ型固定部材5は、それぞれ高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂またはPC樹脂のポリマーアロイのいずれかからなることが望ましい。
【0065】
図4は、管継手1の組立斜視図である。Π型固定部材5は、継手本体3の上方から切欠き部17へ挿入される。この際、筒状部15の側面19の上部に、Π型固定部材5の段部11が載置される。また、Π型固定部材5の両足部9の先端が、継手本体3の筒状部15の底部29の両側に設けられた開口部23に挿入される。以上により、Π型固定部材5が継手本体3へ固定される。
【0066】
なお、Π型固定部材5の両足部9を切欠き部17に挿入すると、両足部9の側面外方に突出し、上方に向けて形成される係合部27と、継手本体3の切欠き部17に対応する部位の内面に、下方に向けて形成される係合段部25とが接触する。この際、Π型固定部材5が樹脂製であるため、両足部9の間隔は、弾性変形により縮径する。さらに切欠き部17の奥までΠ型固定部材5を挿入し、係合部27が係合段部25を乗り越えると、弾性力により両足部9が拡径して、Π型固定部材5が、開口部23に挿入される。この際、係合段部25と係合部27とが相互に上下方向に係合する。
【0067】
なお、Π型固定部材5の両足部9が継手本体3の開口部23に挿入された際に、両足部9の先端は、底部29の外面へ突出しない。すなわち、Π型固定部材5の段部11から両足部9の先端までの長さは、段部11と接触する側面19の切欠き部17の上縁部から底部29の下面までの距離以下である。このようにすることで、両足部9の先端が、底部29から突出して、他部材等と接触することを防止することができる。そのため、角型電線管同志を積み重ねる場合であっても、Π型固定部材5の両足部9の先端が下層の角型電線管など接触して、接触による反動でΠ型固定部材5が外れることがない。
【0068】
次に、管継手1で接続される角型電線管40ついて説明する。図5は、角型電線管40を示す側面図である。また、図6(a)は、角型電線管40の径方向断面図であって、図5のB-B線断面図である。また、図6(b)は、角型電線管40の径方向断面図であって、図5のC-C線断面図である。
【0069】
角型電線管40は、主に、管体49、雄型嵌合部41、雌型嵌合部43等から構成される。角型電線管40は、管体49の一方の端部に雄型嵌合部41が設けられ、他方の端部に雌型嵌合部43が設けられる。雄型嵌合部41と雌型嵌合部43は、他の角型電線管40との接続部となる。すなわち、角型電線管40の両端には、接続部として雌型嵌合部43と雄型嵌合部41とが形成される。
【0070】
管体49は、雄型嵌合部41と雌型嵌合部43とで挟まれる。管体49は、可撓性を有する樹脂管である。管体49の材質は問わないが、例えば、高密度ポリエチレン製であることが望ましい。
【0071】
管体49の外周面には、管軸方向に複数の大径部44と小径部45が交互に形成される。図6(a)に示すように、大径部44は、断面形状が略正方形状である。また、図6(b)に示すように、小径部45は、断面形状が円形状に形成される。すなわち、雄型嵌合部41と雌型嵌合部43の間において、管体49の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部44と、円形状の谷部としての小径部45が交互に形成される。なお、大径部44の径(正方形の一辺の長さ)は、小径部45における外径よりも大きい。
【0072】
このように、略正方形状の大径部44を設けることで、角型電線管40を積み上げた際に、角型電線管40を安定して配列することができる。なお、雌型嵌合部43の最大外径は、大径部44の径(一辺の長さ)よりも小さい。したがって、雌型嵌合部43側の端部から見た際に、雌型嵌合部43は、大径部44の外周にはみ出すことがない。したがって、大径部44同士を接触させて角型電線管40を積み上げた際に、雌型嵌合部43が、隣り合う角型電線管40と干渉することがない。
【0073】
雄型嵌合部41は、管体49の一方の端部近傍の外周部に形成される。雄型嵌合部41は、管体49の先端から順に、リング部材47、止水部材48がそれぞれ設けられる。リング部材47は、例えば、断面略C字状の部材であって、弾性変形によって縮径可能である。また、リング部材47の外周には、複数の爪が形成され、後述する雌型嵌合部43の内面突起(図示せず)と係合可能である。
【0074】
止水部材48は、環状の部材であり、止水部材48の内径は、雄型嵌合部41における止水部材48の装着部の外径よりも小さい。このため、止水部材48の内面は、雄型嵌合部41の外面に密着する。また、止水部材48は、雄型嵌合部41において、径方向の外方に突出する。雄型嵌合部41を雌型嵌合部43に挿入した際には、止水部材48の外面が雌型嵌合部43の内面と接触して、止水性を確保することができる。なお、止水部材48は、例えば、ゴム製または水膨張部材からなる。
【0075】
雌型嵌合部43は、内面にリング部材47と係合可能な突起(図示せず)を有する。一対の角型電線管40の雄型嵌合部41と雌型嵌合部43とを対向させて、雄型嵌合部41を雌型嵌合部43に挿入すると、雌型嵌合部43内部の突起によって、リング部材47が管軸中心方向に押圧されて縮径する。さらに雄型嵌合部41を雌型嵌合部43に押し込むと、リング部材47が突起を超え、突起よりも拡径された部位に復元する。このように、リング部材47の変形が復元して拡径し、リング部材47の爪部と雌型嵌合部43内面の突起とが嵌合し、両者が接続される。
【0076】
なお、本発明において、雄型嵌合部41および雌型嵌合部43の構造は特に限定されない。雄型嵌合部41を雌型嵌合部43に差し込んで接続することが可能な形状であれば、公知の如何なる構造も適用可能である。
【0077】
図7(a)は、図5のD部における管軸方向の断面図である。図7(a)に示すように、管体49の管軸方向に対する小径部45の略中央部に、一対の突部51が形成される。また、管体49の軸方向断面において、突部51の間には溝53が形成される。すなわち、角型電線管40のそれぞれの小径部45の管軸方向の略中央に、外周方向に突出し、相互に対向して対称に形成された2つの突部51と、突部51の間の中央に溝53が形成されている。
【0078】
なお、管体49の成形時の材料移動の関係で、突部51の位置に対応する内面は、わずかに径が大きくなるように、管体49の内面にへこみが形成される。また、溝53の表面は小径部とほぼ同様に形成されるため、溝53の裏面は突部51が形成されていない通常の小径部と同様の形状に形成される。すなわち、突部51および溝53に対応する部位において、管体49(小径部45)の内面側には突起などは形成されない。このように、管体49の内面側に突起などが形成されないため、角型電線管40の内部に電線等を挿通する際に、電線挿通の妨げとなることがない。
【0079】
また、角型電線管40は、例えば、ブロー成形によって形成される。この際、ブロー成形時の材料の肉厚分布を考慮すると、ブロー成形時の材料移動により、突部51の裏面は窪んで形成される。
【0080】
図7(b)は、図7(a)のE部の拡大図である。図7(b)に示すように、管軸方向の断面において、突部51は、溝53を挟んで互いに対向する。管軸方向(図中F)に対する、突部51の互いの対向面のそれぞれの角度(G1、G2)は、75°?90°の範囲で起立することが望ましい。すなわち、互いに対向する突部51同士の角度は、0?30°となる。また、溝53は、底部が略U字状の形状である。このような突部角度および溝形状とすることで、突部51が刃物のガイドとして効率よく機能し、切断が容易となる。
【0081】
次に、角型電線管40の切断方法について説明する。図8(a)に示すように、鋸などの刃物55によって、角型電線管40は、所定の長さに切断することができる。この際、小径部45には、対向する2つの突部51が設けられ、突部51の間に溝53を形成されるため、溝53に沿って刃物55を使用することができる。
【0082】
図8(b)は、図8(a)の小径部45の拡大断面図である。図8(b)に示すように、角型電線管40を切断する際には、刃物55の先端を溝53の位置に合わせる。したがって、切断位置を正確に把握することができる。このように、角型電線管40は、切断位置を把握しやすく、また、刃物55が滑ることを抑制することができる。このため、刃物55の先端位置が溝53からずれることがなく、切断位置のずれや斜めに切断されることがない。
【0083】
図9(a)は、切断後の角型電線管40を示す図である。角型電線管40を小径部45で切断することで、二つの角型電線管に分離される。一方の角型電線管は、一方の端部に雌型嵌合部43を有し、他方の端部に切断後の小径部45を有する。他方の角型電線管は、一方の端部に雄型嵌合部41を有し、他方の端部に切断後の小径部45を有する。
【0084】
図9(b)は、図9(a)の切断部近傍の拡大断面図である。前述したように、角型電線管40は、それぞれの小径部45の管軸方向の略中央に、外周方向に突出する2つの突部51と、突部51の間の中央に溝53が形成され、溝53で、角型電線管40が切断される。ここで、溝53で切断を行うと、切断位置は、小径部45の管軸方向に対する略中央で切断される。したがって、切断部以外の小径部45の幅(軸方向長さであって、図9(a)のH)に対して、切断部である小径部45の幅(軸方向長さであって、図9(a)のI)は、略1/2となる。
【0085】
次に、角型電線管40と管継手1の接続方法について説明する。前述したように、角型電線管40の小径部45の中央で切断された角型電線管40同士は、長さ調整が行われて、管継手1で接続される。まず、図10(a)に示すように、所定の長さに角型電線管40を切断し、互いの切断端部(小径部45)同士を対向させて配置する。次に、互いに対向する小径部45同士を、管継手1の継手本体3の両側から挿入する(図中矢印J方向)。
【0086】
図10(b)は、継手本体3の両側へ、角型電線管40が挿入された状態を示す図である。筒状部15の開口径は、大径部44が収納可能な大きさに形成される。さらに、筒状部15の長さは、筒状部15に挿入される角型電線管の小径部45を挟んだ一対の大径部44の全長と略一致するように形成される。また、円筒部13は、角型電線管40の小径部45の直径より大きく、大径部44の径より小さく形成される。また、円筒部13の円断面部の長さは、角型電線管40の小径部45の長さに等しいかそれより長く形成される。
【0087】
このように、継手本体3の円筒部13には、角型電線管40の小径部45の切断部が、管軸方向の奥側に向けてそれぞれ継手本体3の両側から挿入されて配置される。すなわち、継手本体3の円筒部13には、角型電線管40の小径部45の切断端部が互いに対向するように配置される。また、継手本体3の筒状部15には、少なくとも角型電線管40の大径部44、小径部45、大径部44の順に配置され、筒状部15の切欠き部17の位置には、角型電線管40の小径部45が位置する。
【0088】
また、前述したように、切欠き部17より奥側の継手本体3の筒状部15には、筒状部15の内周面全周を取り囲むように止水部材31が配置される。したがって、継手本体3の内面と角型電線管40の大径部44の外面が止水部材31を介して密着して、止水性が確保される。
【0089】
次に、継手本体3の上方から、切欠き部17へΠ型固定部材5を挿入する。図11(a)は、Π型固定部材5の挿入前の状態を示す図、図11(b)は、Π型固定部材5を挿入した後の状態を示す図である。また、図12(a)は、図11(a)のK-K線断面図、図12(b)は、図11(b)のL-L線断面図である。
【0090】
図11(b)、図12(b)に示すように、Π型固定部材5が上方から切欠き部17へ挿入され、筒状部15の側面上部に、Π型固定部材5の段部11が載置される。すなわち、切欠き部17の側面の上部に、Π型固定部材5の両足部9の上部に形成された段部11を接触させ、Π型固定部材5を、天面部7の側面が角型電線管40の大径部44の側面に接するように載置する。この状態で、Π型固定部材5の両足部9の先端が、継手本体3の筒状部15の底部29の両側に設けられた開口部23に挿入され、Π型固定部材5が継手本体3へ固定される。
【0091】
この際、Π型固定部材5の天面部7の内周面は、円形状の小径部45に整合する形状か、あるいは大径部44より小さく小径部45に干渉しない形状に形成されている。このため、Π型固定部材5の天面部7の内周面は、角型電線管40の小径部45の円断面の上部の少なくとも一部に当接するか、あるいは小径部45に整合する略円弧形状で小径部45を覆うように接触することが可能である。
【0092】
なお、切欠き部17の側面の上部にΠ型固定部材5を載置したときに、Π型固定部材5の天面部7の内周面が、内部の角型電線管40の大径部44より小さく、角型電線管40の小径部45よりも大きくしてもよい。この場合、Π型固定部材5は、角型電線管40の小径部45に干渉しないように所定距離離間して、角型電線管40の小径部45の円断面の上部を囲うように覆う形状となる。すなわち、切欠き部17に挿入されたΠ型固定部材5は、角型電線管40の小径部45と接触してもよく、接触しなくてもよい。
【0093】
Π型固定部材5を、段部11が切欠き部17の縁部と接触するまで押し込むと、Π型固定部材5の係合部27が係合段部25と係合する。このため、Π型固定部材5が継手本体3へ固定されて、Π型固定部材5が継手本体3から抜け落ちることがない。また、前述したように、この状態において、Π型固定部材5の両足部9の先端は、継手本体3の底部29の外面へ突出することがない。このため、両足部9が外部の他部材等と接触することを抑制することができる。
【0094】
このようにΠ型固定部材5が継手本体3に固定された状態で、角型電線管40を継手本体3から引き抜こうとすると、Π型固定部材5の天面部7の内面の上部の一部および両足部9が、角型電線管40の略正方形状の大径部44の側面に当接して係合する。このように、角型電線管40と管継手1とが管軸方向に係合されるため、角型電線管40が継手本体3から抜けることがない。
【0095】
以上により、小径部45に形成された溝53で切断された角型電線管40の切断部側が管継手1で接続される。すなわち、一対の角型電線管40と角型電線管用の管継手1とが接続された、角型電線管と管継手との接続構造60を得ることができる。
【0096】
以上、本実施の形態によれば、角型電線管40の切断部同士を容易に接続することができる。この際、ボルトやナットを使用せずにワンタッチで、Π型固定部材5を継手本体3に挿入するだけで角型電線管40の接続作業が完了するため、接続作業が容易である。
【0097】
また、Π型固定部材5の天面部7の下部に段部11を形成し、段部11を切欠き部17の上部に接触させるため、Π型固定部材5の挿入代を容易に把握することができる。このため、Π型固定部材5を継手本体3へ過剰に挿入して、角型電線管40を押圧することがない。また、両足部9に段部11が形成され、両足部9の断面が補強されているため、Π型固定部材5が安定で、軸方向に座屈することがない。
【0098】
また、Π型固定部材5の両足部9の先端が、継手本体3から外面に突出しないため、両足部9が、外部の他部材と接触することが抑制される。このため、両足部9が継手本体3へ押し込まれて、Π型固定部材5が抜けたり、損傷を受けたりすることを抑制することができる。したがって、管継手1を他部材とぶつけたりした場合にも角型電線管40が継手本体3から外れることがない。
【0099】
また、Π型固定部材5と継手本体3とは、係合段部と係合部とを係合させることで、確実に固定することができる。このため、Π型固定部材5が継手本体3から抜けることがない。
【0100】
また、筒状部15の奥側(円筒部13側)に止水部材31を配置することで、接続される角型電線管40の大径部44の外周面と筒状部15との間で、止水性を確保することができる。このため、円筒部13への水の浸入を防ぐことができる。
【0101】
また、Π型固定部材5の側面に、筒状部15の奥側に配置された大径部44の側面が接触することで、角型電線管40が継手本体3から抜けることがない。この際、両足部9が開口部23に挿入されているため、角型電線管40に引張力が付与された際にも、両足部9の変形が抑制される。
【0102】
また、従来の発明に比較して、Π型固定部材5が小径部45の長さと同様または小径部45長さより少し短い厚さとすることができる。このため、Π型固定部材5と略正方形状の大径部44との係合面積を大きくとることができ、管軸方向の引き抜き強度が高い。
【0103】
ここで、Π型固定部材5の内面上部の形状は、小径部45に整合する形状か、あるいは小径部45に干渉しないで、大径部44より小さい形状である必要がある。上記形状であれば、角型電線管40が管軸方向に引き抜き力を受けた時に、角型電線管40を管継手1に固定することが可能になる。例えば、Π型固定部材5の内面上部の形状は円弧の一部やアーチ形状であることが望ましい。この際、Π型固定部材5は、角型電線管40の小径部45の上半分を囲うと同時に、両側部が大径部44の側面に当接させることができる。
【0104】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0105】
1………管継手
3………継手本体
5………Π型固定部材
7………天面部
9………両足部
11………段部
13………円筒部
15………筒状部
17………切欠き部
19………側面
21………天面
23………開口部
25………係合段部
27………係合部
29………底部
31………止水部材
40………角型電線管
41………雄型嵌合部
43………雌型嵌合部
44………大径部
45………小径部
47………リング部材
48………止水部材
49………管体
51………突部
53………溝
55………刃物
60………角型電線管と管継手の接続構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄型嵌合部と雌型嵌合部の間において、管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成される電線管の小径部中央で切断した電線管同士を接続する管継手であって、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定されることを特徴とする角型電線管用管継手。
【請求項2】
前記継手本体の前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の角型電線管用管継手。
【請求項3】
前記Π型固定部材の前記段部より下方の所定位置に、前記両足部の外側に向けて係合部が形成され、前記係合段部と、前記係合部とが相互に上下方向に係合することを特徴とする請求項2に記載の角型電線管用管継手。
【請求項4】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が略円弧形状またはアーチ形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項5】
前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記開口部に挿入された時に、前記両足部が、前記底部の外面から突出しないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項6】
前記切欠き部より奥側の前記継手本体の前記筒状部には、前記筒状部の内周面全周を取り囲むように止水部材が配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項7】
前記止水部材は水膨張部材であり、前記水膨張部材は、ポリエステル繊維とポリアクリル酸ナトリウム繊維とバインダー樹脂を含む不織布であることを特徴とする請求項6に記載の角型電線管用管継手。
【請求項8】
前記止水部材はゴムパッキンで有り、前記筒状部の内周面には溝が形成され、前記溝に前記ゴムパッキンが嵌め込まれていることを特徴とする請求項6に記載の角型電線管用管継手。
【請求項9】
前記継手本体と前記Π型固定部材は、それぞれ高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂またはPC樹脂のポリマーアロイのいずれかからなることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項10】
角型の電線管と角型電線管用の管継手の接続構造であって、
前記電線管は、雌型嵌合部と雄型嵌合部と管体からなり、前記管体の両端に接続部として前記雌型嵌合部と前記雄型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部を前記雌型嵌合部に差し込んで接続することが可能であり、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間において、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成され、
前記管継手は、前記電線管の小径部の中央で切断した電線管同士を接続することが可能であり、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部より、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
さらに、前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、円形状の小径部に整合する形状かあるいは大径部より小さく小径部に干渉しない形状に形成されていて、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記電線管の小径部の切断端部が、前記継手本体の前記円筒部に、管軸方向の奥側に向けてそれぞれ前記継手本体の両側から挿入されて対向して配置され、
さらに、前記継手本体の前記筒状部には、小径部が前記切欠き部に位置するように、少なくとも小径部の切断部位から前記電線管の大径部、小径部、大径部の順に配置されていて、
前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定されることを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項11】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が、前記電線管の小径部の円断面の上部の少なくとも一部に当接するか、あるいは小径部に整合する略円弧形状で小径部を覆うように接触することが可能なことを特徴とする請求項10に記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項12】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、前記切欠き部の側面の上部に、前記Π型固定部材を載置したときに、大径部より小さく、前記電線管の小径部に干渉しないように所定距離離間して、前記電線管の小径部の円断面の上部を囲うように覆う形状であることを特徴とする請求項10に記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項13】
前記筒状部の開口径は、大径部が収納可能な大きさに形成され、さらに、前記筒状部の長さは、前記筒状部に挿入される前記電線管の小径部を挟んだ一対の大径部の全長と略一致するように形成されることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項14】
前記円筒部は、前記電線管の小径部の直径より大きく大径部の径より小さく形成され、前記円筒部の円断面部の長さは、前記電線管の小径部の長さに等しいかそれより長く形成されることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項15】
管軸方向の断面において、前記電線管の小径部の管軸方向の略中央に、外周方向に突出する2つの突部が相互に対向して対称に形成され、前記突部の間の中央に溝が形成され、前記溝で切断された前記電線管の切断部側を前記管継手で接続することを特徴とする請求項10から請求項14のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項16】
前記電線管と前記管継手の管軸方向の係合は、前記Π型固定部材の内面上部の一部と前記両足部とが、前記電線管の略正方形状の大径部の側面に当接して係合することを特徴とする請求項10から請求項15のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項17】
角型の電線管と管継手の接続方法であって、
前記電線管は、雌型嵌合部と雄型嵌合部と管体からなり、前記管体の両端に接続部として前記雌型嵌合部と前記雄型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部を前記雌型嵌合部に差し込んで接続することが可能であり、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間において、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成され、
前記管継手は、前記電線管の小径部の中央で切断した電線管同士を接続することが可能であり、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部より、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
さらに、前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、円形状の小径部に整合する形状かあるいは大径部より小さく小径部に干渉しない形状に形成されていて、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記継手本体の前記円筒部に、前記電線管の切断端部である小径部を管軸方向の奥側に向けて配置できるようにそれぞれ前記継手本体の両端部から前記電線管を挿入して、
さらに、前記継手本体の前記筒状部には、小径部が前記切欠き部に位置するように、少なくとも小径部の切断部位から前記電線管の大径部、小径部、大径部の順に配置されていて、
前記Π型固定部材を上方から前記切欠き部に装入して前記継手本体に固定する際に、前記切欠き部の側面の上部に、前記Π型固定部材を、前記天面部の側面が前記電線管の大径部の側面に接するように載置することで、前記Π型固定部材の前記両足部を、前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入し、前記Π型固定部材を前記継手本体へ固定することを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法。
【請求項18】 (削除)
【請求項19】
中央に円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記切欠き部に対応する略矩形状部の底部の両側部には、Π型固定部材の両足部が挿入可能な開口部を有することを特徴とする角型電線管用管継手の継手本体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-07-24 
出願番号 特願2017-70862(P2017-70862)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H02G)
P 1 651・ 121- YAA (H02G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久保 正典  
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 山澤 宏
石坂 博明
登録日 2018-04-20 
登録番号 特許第6325715号(P6325715)
権利者 古河電気工業株式会社
発明の名称 角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体  
代理人 櫻井 雄三  
代理人 井上 誠一  
代理人 井上 誠一  

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