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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B25J
管理番号 1355374
審判番号 不服2018-11409  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-23 
確定日 2019-09-19 
事件の表示 特願2015-184259「移送システムおよび移送方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月23日出願公開、特開2017-56528〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年12月14日付け:拒絶理由通知書
平成30年2月15日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年5月31日付け :拒絶査定
平成30年8月23日 :審判請求書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成30年2月15日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「ワークを搬送する第1コンベアと、
前記ワークを載置する載置板を搬送する第2コンベアと、
前記第1コンベアで搬送される前記ワークを前記第2コンベアで搬送される前記載置板
へ移送するロボットと、
前記ロボットの動作を制御するロボットコントローラと、
前記ワークおよび前記載置板を検出する画像センサと、
前記第1コンベアから前記ロボットによって取得された前記ワークを仮置きするエリアである仮置きエリアと
を備え、
前記ロボットコントローラは、
前記画像センサの検出結果に基づいて前記載置板に対する前記ワークの供給過多および供給不足を判定する判定部と、
前記判定部によって前記載置板に対して前記ワークが供給過多であると判定された場合に、前記第1コンベアから取得した前記ワークを前記仮置きエリアに仮置きする動作を前記ロボットに行わせるとともに、供給不足であると判定された場合に、前記仮置きエリアに仮置きされた前記ワークを前記載置板へ移送する動作を前記ロボットに行わせる動作制御部と
を備えることを特徴とする移送システム。」

第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1(出願時の請求項3)に係る発明は、本願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2012-184102号公報
引用文献2:特開2012-188231号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1の記載および引用発明
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は理解の便のため、当審で付与した。
ア「【0036】
本発明のワーク移載システム10は、図1(a)に示すように、ワーク4を定速でランダム搬送または整列搬送するピックアップコンベア2と、ピックアップコンベア2と並列で配置され、カップや容器などのトレイ5を変速で搬送するプレイスコンベア3と、ワーク4を保持すると共に保持したワーク4を解放することによりトレイ5に移載するマニピュレータを備え、このマニピュレータを三次元的に可動とする例えば6軸多関節ロボット7と、画像センサ、3D認識センサ、光電センサ、距離センサあるいは超音波センサなどからなるセンサ6と、これら全ての動作を制御するコントローラ8とを有している。」

イ「【0093】
本発明のワーク移載システムの第6の実施形態である第6のワーク移載システム60について説明する。
【0094】
第6のワーク移載システム60においては、図6に示すように、ピックアップコンベア2とプレイスコンベア3とが並列に配設され、ピックアップコンベア2とプレイスコンベア3の上方には、ワーク4を保持および解放してトレイ5へ移載するロボット7が複数台配設されている。
【0095】
そして、プレイスコンベア3の近傍には、搬送されてきたワーク4を仮置きするバッファコンベア62が配設されている。
【0096】
また、センサ6は、ロボット7の配置方向においてワーク4の搬送方向の最も上流側に配置されたロボット7の上流側に配設されるワーク用センサ6aと、ロボット7の配置方向においてトレイ5の搬送方向の最も上流側に配設されたロボット7の上流側に配設されるトレイ用センサ6bとからなる。
【0097】
ここで、ピックアップコンベア2とプレイスコンベア3とは、相互に搬送方向が直交するように配置してもよい。
【0098】
このような構成からなる、第6のワーク移載システム60における移載動作を説明する。
【0099】
まず、搬送されてくるワーク4の位置、形状と数量とトレイ5の形状、数量および空きの有無をそれぞれワーク用センサ6aとトレイ用センサ6bとにより検知する。検知されたデータは、コントローラ8に送信され、得られた情報に基づいて、コントローラ8で設定した分配比率で複数台のロボット7に対してそれぞれ保持するワーク4を配分する。
【0100】
対象ワーク4がロボット7の作業範囲内に搬送されると、複数台のロボット7が割り振られたワーク4をマニピュレータでそれぞれ保持および解放して、決められたトレイ5への移載を行う。
【0101】
さらに、トレイ5への移載作業を行うと同時に、ロボット7の作業範囲内において、トレイ5へ移載しきれずにピックアップコンベア2上に残ったワーク4をバッファコンベア62に移載することで、仮置きする。
【0102】
仮置きされたワーク4は、プレイスコンベア3上を搬送されてくるトレイ5に空きがある場合に、トレイ5へ移載される。
【0103】
この時、バッファコンベア62は、ロボット7の動作に連動して移動可能としてもよい。
【0104】
このような構成の、第6のワーク移載システム60とすることにより、ピックアップコンベア2上のワーク4の搬送量が急激に増加してトレイ5に移載できないワーク4が発生した場合においても、トレイ5への移載作業と同時に移載しきれずに残ったワーク4をバッファコンベア62に一旦、仮置きすることで、ワーク4のオーバーフローの発生を防止することができる。」

(2)引用発明
上記(1)の記載事項から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

「ワーク4を搬送するピックアップコンベア2と、
前記ワーク4を移載するトレイ5を搬送するプレイスコンベア3と、
前記ピックアップコンベア2で搬送される前記ワーク4を前記プレイスコンベア3で搬送される前記トレイ5へ移載するロボット7と、
前記ロボット7の動作を制御するコントローラ8と、
前記ワーク4および前記トレイ5を検出する画像センサなどからなるセンサ6と、
前記ピックアップコンベア2から前記ロボット7によって取得された前記ワーク4を仮置きするバッファコンベア62と
を備え、
前記コントローラ8は、
前記センサ6の検出結果に基づいて、コントローラ8で設定した分配比率で複数台のロボット7に対してそれぞれ保持するワーク4を配分し、トレイ5への移載作業を行うと同時に、ロボット7の作業範囲内において、トレイ5へ移載しきれずにピックアップコンベア2上に残ったワーク4をバッファコンベア62に移載することで仮置きし、仮置きされたワーク4を、プレイスコンベア3上を搬送されてくるトレイ5に空きがある場合に、トレイ5へ移載する動作をロボット7に行わせるワーク移載システム。」

2.引用文献2の記載
(1)引用文献2の記載事項
引用文献2には、以下の事項が記載されている。なお、下線は理解の便のため、当審で付与した。

ア「【0051】
上述のように構成される商品供給・集積装置1による商品供給・集積処理について、図3を参照しつつ、図7A?図7Fの模式図および図8のフローチャートを用いて説明する。ここでは、集積コンベア3のバケット33に6個の商品Pを上下3段ずつ縦2列で集積させる場合を例にとって説明する。
【0052】
なお、図7A?図7F中、C_(K)は供給コンベアを、C_(S)は集積コンベアをそれぞれ示している。供給コンベアC_(K)の各バケット23の下の小さな数字1?15は、各バケット23が移動していることを明示するために、便宜上付されたものである。また、区間T_(1)は、集積コンベアC_(S)の空のバケット33が当該区間T_(1)内にあるときに、供給コンベアC_(K)からこのバケット33に対して移載処理を開始すべき移載開始区間を示しており、区間T(=T_(1)+T_(2))は、パラレルロボット4の可動範囲M(図3)のコンベア方向の長さを示している。別の言い方をすれば、区間T_(1)は、パラレルロボット4の可動範囲Mの領域内で6個すべての商品Pの集積処理を完了できるようにするために、供給コンベアC_(K)から集積コンベア3のバケット33に対して移載処理を開始しなければならない移載開始区間を示している。また、区間T_(3)(図示の便宜上、図7A、図7Bにのみ図示)は、パラレルロボット4の可動範囲Mの終端側に設けられており、供給コンベアC_(K)から供給された商品Pが当該区間T_(3)に移動したときには、当該区間T_(3)内の商品Pを仮置台5に仮置きしなければならない仮置区間である。
【0053】
図8のステップS1においては、供給コンベアC_(K)に商品Pが供給されるのを待つ。供給コンベアC_(K)への商品Pの供給は、導入検出センサ7(図3参照)により検出される。供給コンベアC_(K)に商品Pが供給されれば、ステップS2に移行する。
【0054】
ステップS2では、集積コンベアC_(S)の移載開始区間T_(1)に空のバケット33が進入したか否かを判断する。図7Aに示すように、集積コンベアC_(S)の移載開始区間T_(1)に空のバケット33が進入すれば、図8のステップS3に移行する。ステップS3では、供給コンベアC_(K)の区間T内に所定個数のn個(この例では6個)の商品Pが供給されたか否かを判断する。区間T内に供給される商品Pの個数は、カウンタ8(図3参照)によりカウントされる。図7Aに示すように、供給コンベアC_(K)の区間T内に6個の商品Pが供給されれば、図8のステップS4に移行する。」

イ「【0061】
ステップS3において、供給コンベアC_(K)の区間T内にn個(6個)の商品Pが供給されていないと判断されたとき、これは、図7Eに示すように、集積コンベアC_(S)の移載開始区間T_(1)に次の空のバケット33が進入したときに供給コンベアC_(K)の区間T内に商品Pが4個(<6個)しか供給されていないような場合であり、このとき、ステップS6に移行する。ステップS6では、供給コンベアC_(K)および仮置台5に合計n個(6個)の商品Pが有るか否かを判断する。
【0062】
ステップS6において、供給コンベアC_(K)および仮置台5に合計n個の商品Pがないと判断されれば、ステップS7に移行する。ステップS7では、供給コンベアC_(K)の区間T_(3)に商品Pが有るか否かを判断する。
【0063】
ステップS7において、供給コンベアC_(K)の区間T_(3)に商品Pが有ると判断されれば、ステップS8に移行する。ステップS8では、パラレルロボット4の吸着パッド47により、供給コンベアC_(K)の区間T_(3)から商品Pを取り出し、これを仮置台5の空のバケット51に移載して一時的に仮置く。ステップS8での処理後、ステップS5に移行する。また、ステップS7において、供給コンベアC_(K)の区間T_(3)に商品Pがないと判断されれば、ステップS1に戻る。
【0064】
また、ステップS6において、供給コンベアC_(K)および仮置台5に合計n個の商品Pが有ると判断されれば、ステップS9に移行する。ステップS9では、仮置台5およびC_(K)上の商品Pをパラレルロボット4の吸着パッド47により、集積コンベアC_(S)の空のバケット33に移載して集積する商品集積処理を行う。なお、この場合には、仮置台5上にn個の商品Pが仮置きされていて、仮置台5上の商品Pのみを集積コンベアC_(S)の空のバケット33に移載する場合も含まれる。ステップS9での処理後、ステップS5に移行する。」






(2)引用文献2記載の技術的事項
上記(1)の記載事項から、引用文献2には以下の技術的な事項が記載されているということができる。
「ステップS3において、供給コンベアC_(K)の区間T内にn個(6個)の商品Pが供給されていないと判断されたときステップS6に移行し、ステップS6で、供給コンベアC_(K)および仮置台5に合計n個(6個)の商品Pが有るか否かを判断し、ステップS6において、供給コンベアC_(K)および仮置台5に合計n個の商品Pが有ると判断されれば、ステップS9に移行し、ステップS9で、仮置台5およびC_(K)上の商品Pをパラレルロボット4の吸着パッド47により、集積コンベアC_(S)の空のバケット33に移載して集積する商品集積処理を商品供給・集積装置1が行うこと。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
引用発明の「ワーク4」は本願発明の「ワーク」に相当する。以下同様に、「ピックアップコンベア2」は「第1コンベア」に、「プレイスコンベア3」は「第2コンベア」に、「トレイ5」は「載置板」に、「画像センサなどからなるセンサ6」は「画像センサ」に、「ロボット7」は「ロボット」に、「ワーク4を仮置きするバッファコンベア62」は「ワークを仮置きするエリアである仮置きエリア」に、「コントローラ8」は「ロボットコントローラ」に、「ワーク移載システム」は「移送システム」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「前記コントローラ8は、前記センサ6の検出結果に基づいて、コントローラ8で設定した分配比率で複数台のロボット7に対してそれぞれ保持するワーク4を配分し、トレイ5への移載作業を行うと同時に、ロボット7の作業範囲内において、トレイ5へ移載しきれずにピックアップコンベア2上に残ったワーク4をバッファコンベア62に移載する」ことは、ワーク4をトレイ5へ移載しきれなかった場合、つまりワーク4が供給過多である場合に、ピックアップコンベア2上のワーク4をバッファコンベア62に移載しているから、本願発明の「ロボットコントローラ」が「前記画像センサの検出結果に基づいて前記載置板に対する前記ワークの供給過多」「を判定する判定部と、前記判定部によって前記載置板に対して前記ワークが供給過多であると判定された場合に、前記第1コンベアから取得した前記ワークを前記仮置きエリアに仮置きする動作を前記ロボットに行わせる動作制御部とを備える」ことに相当する。

したがって、本願発明と引用発明は以下の点で一致及び相違する。
(一致点)
「ワークを搬送する第1コンベアと、
前記ワークを載置する載置板を搬送する第2コンベアと、
前記第1コンベアで搬送される前記ワークを前記第2コンベアで搬送される前記載置板へ移送するロボットと、
前記ロボットの動作を制御するロボットコントローラと、
前記ワークおよび前記載置板を検出する画像センサと、
前記第1コンベアから前記ロボットによって取得された前記ワークを仮置きするエリアである仮置きエリアと
を備え、
前記ロボットコントローラは、
前記画像センサの検出結果に基づいて前記載置板に対する前記ワークの供給過多を判定する判定部と、
前記判定部によって前記載置板に対して前記ワークが供給過多であると判定された場合に、前記第1コンベアから取得した前記ワークを前記仮置きエリアに仮置きする動作を前記ロボットに行わせる動作制御部と
を備えることを特徴とする移送システム。」

(相違点)
本願発明の判定部は、ワークの供給不足を判定するものであり、動作制御部は、供給不足であると判定された場合に、前記仮置きエリアに仮置きされた前記ワークを前記載置板へ移送する動作を前記ロボットに行わせるのに対し、引用発明の判定部は、ワークの供給不足を判定するかどうか不明であるものの、動作制御部は、トレイ5に空きがある場合に、仮置きされたワーク4をプレイスコンベア3上を搬送されてくるトレイ5へ移載する動作をロボットに行わせる点。

第6 判断
1.相違点の判断
上記相違点について検討する。
引用発明において、トレイ5に空きがある場合に、仮置きされたワーク4をプレイスコンベア3上を搬送されてくるトレイ5へ移載する動作をロボットに行わせる態様として、
(1)空きがあるトレイ5が搬送されてきたら、ピックアップコンベア2上のワークを優先して、トレイ5の空きに移載した後に、仮置きされたワーク4をトレイ5の未だに残っている空きへ移載する態様(この態様の場合、ワーク4が供給不足である場合に仮置きされたワーク4をトレイ5の空きへ移載することとなり、本願発明と同様の構成となる。)
(2)空きがあるトレイ5が搬送されてきたら、ピックアップコンベア2上のワークよりも仮置きされたワーク4を優先して、トレイ5の空きに移載する態様
(3)仮置きされたワーク4がある条件(仮置きされたワーク4が一定数を超える場合等)を満たした場合のみに、ピックアップコンベア2上のワークよりも仮置きされたワーク4を優先して、トレイ5の空きに移載する態様
等様々な態様が想定される。
一方、上記第4の2.(2)に記載された技術的事項から、引用文献2には、供給コンベアの商品Pが供給不足であると商品供給・集積装置1によって判断(図8のステップ3でNoと判定、n=1を想定)されたときに、仮置台5の商品Pをバケット33に移載する(図8のステップ9を実行)という技術的事項が記載されているといえる。
そして、引用発明及び引用文献2に記載された発明はいずれも、ワークや商品の供給側におけるオーバーフローを防止しようとするものであるから、ワークのオーバーフローを防止し、移載効率を上げるために、引用発明に、引用文献2に記載された上記技術的事項を適用し、ワーク4が供給不足であるとコントローラ8の判定部が判断した場合に、仮置きされたワーク4をトレイ5に移載すること、つまり、上記(1)の態様を選択することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

2.効果について
本願発明の効果は、明細書の段落【0009】に記載のとおり、「ワークの移送効率を高めることが可能な移送システムおよび移送方法を提供すること」であるが、引用発明に、引用文献2の上記技術的事項を適用した場合、ワークが供給過多である場合も供給不足である場合もワークを無駄なくトレイへ移載することが可能となり、ワークの移送効率を高めることが可能となる。したがって、本願発明の効果と、引用発明に引用文献2の上記技術的事項を適用したものが奏する効果との間に格別顕著な差異はない。

3.請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、
「引用文献2における図8のS3がワークの供給不足を判定する処理であると解釈し、供給不足がS3のNoに該当すると解釈したとしても、その際に実行されるS6およびS9は、仮置きエリアのワークを載置板へ移送する処理ではありません。
なぜなら、S6では、供給コンベアの商品と仮置き台の商品との合計数がn個以上か否かを判定しているのであって、n個以上であれば仮置台および供給コンベアからワークを集積コンベアのバケットに移載する処理(S9)を行うに過ぎないためです。
つまり、S6およびS8は、『仮置きエリアに仮置きされたワークを載置板へ移送する』処理には該当せず、供給コンベアに商品がないという条件を仮に満たした場合にのみ、結果的に、仮置きエリアのワークを載置板へ移送する可能性がある処理に過ぎません。
したがって、引用文献2には、『ワークの供給不足である場合に、仮置きエリアに仮置きされたワークを載置板へ移送する』思想が開示も示唆もされていないと考えます。つまり、引用文献2には、ワークの供給不足時の対応処理が記載されているとはいえません。 」
と主張している。
しかしながら、引用文献2のステップS6では、バケットを満たすに足りる数の商品が仮置き台にある場合に、仮置き台の商品をバケットに移送しているから、「ワークの供給不足である場合に、仮置きエリアに仮置きされたワークを載置板へ移送する」思想が開示も示唆もされていないとまではいえない。
もっとも、引用文献2のステップS6は、仮置き台の商品の数が不足する場合には、仮置き台の商品をバケットに移送することはせず、バケットに収容される商品に欠品が生じることになる。
これに対して、本願発明は、ワークの供給不足を判定した際には、パレットを満たすに足りる数のワークが仮置きエリアにあるかどうかに関わらず、仮置きエリアのワークをパレットに移送しているが、仮置きエリアの商品の数が不足すれば、引用文献2と同様に、パレットに収納されるワークに欠品が生じることは明らかである。
したがって、仮置きエリアのワークの数が不足する際には、本願発明も引用文献2もパレットに収容されるワークに欠品が生じる点で同様であるから、請求人の主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-06-18 
結審通知日 2019-06-25 
審決日 2019-08-01 
出願番号 特願2015-184259(P2015-184259)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B25J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 長親  
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 小川 悟史
栗田 雅弘
発明の名称 移送システムおよび移送方法  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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