ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01R |
---|---|
管理番号 | 1355669 |
審判番号 | 不服2018-14116 |
総通号数 | 239 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-10-24 |
確定日 | 2019-10-23 |
事件の表示 | 特願2017-159956「コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日出願公開、特開2017-204487、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年10月1日に出願した特願2013-206587号(以下「原出願」という。)の一部を平成29年8月23日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 平成30年 5月 7日付け:拒絶理由通知書 同年 7月17日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月18日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 同年10月24日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1?2に係る発明(以下「本願発明1」?「本願発明2」という。)は、平成30年7月17日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 それぞれ長手方向に延びる棒状であって、前記長手方向と直交する配列方向において互いに平行になるように並べて配置され、板状の接続対象物の表面に設けられた複数の端子のそれぞれに電気的に接続される、導電性の複数のコンタクト部と、 前記複数のコンタクト部のうち、互いに隣り合うコンタクト部の間を仕切る絶縁性の仕切り壁と、 前記仕切り壁の上部において、前記配列方向における幅が前記仕切り壁の幅よりも狭く、かつ前記長手方向に沿って形成される凸部と、を備える コネクタ。 【請求項2】 前記接続対象物の先端側が挿入される挿入部を有し、前記挿入部内に前記複数のコンタクト部が配置された絶縁性のハウジングを更に備え、 前記複数のコンタクト部として、信号伝送用コンタクト部とグランド接続用コンタクト部とを有し、 前記ハウジングは、前記接続対象物の挿入方向の一面に前記挿入部の開口を有し、 前記グランド接続用コンタクト部の先端部が、前記信号伝送用コンタクト部の先端部よりも前記挿入部の前記開口側に位置している 請求項1に記載のコネクタ。」 第3 原査定における拒絶の理由の概要 1 分割要件について 本願では、その請求項1においてコネクタの形式が特定されていない一方、原出願の当初明細書等には「レバー型の上下併設コンタクトを有する平板導体挿入接続コネクタ」しか記載されていないところ、本願は原出願に記載されていない発明を包含するものであり、適法な分割出願とは認められないから、その出願日は、原出願の出願日(平成25年10月1日)まで遡及せず、実際の出願日である平成29年8月23日である。 2 理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について (1)本願発明1?2は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (2)本願発明1?2は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 引用文献1:特開2015-72740号公報 (原出願の公開特許公報:平成27年4月16日公開) 第4 当審の判断 1 分割要件について 原出願の出願当初の明細書においては、【発明が解決しようとする課題】中の段落【0007】に、「本発明は上記問題点に鑑みて為されており、コンタクトの配列方向においてコンタクトの位置ずれを抑えつつ、インピーダンスの低下を抑えたコネクタを提供することを目的とする。」と記載されており、本願発明1が解決しようとする課題もこれと同一であると認める(本願明細書の段落【0007】参照。)。 そして、本願の請求項1では、当該課題を解決するために、「導電性の複数のコンタクト部」のうち「互いに隣り合うコンタクト部の間を仕切る絶縁性の仕切り壁と、前記仕切り壁の上部において、前記配列方向における幅が前記仕切り壁の幅よりも狭く、かつ前記長手方向に沿って形成される凸部と、を備える」点が特定されているが、このような発明特定事項に対応する具体的な構成や、当該構成により上記課題を解決できることが原出願の当初明細書等に記載されていたことは、原出願の当初明細書等における「第1仕切り壁33の上端部には、図1及び図2に示すように、上向きに突出する矩形の凸部33aが左右方向における中間部に設けられており、第1仕切り壁33において凸部33aの左右両側は凸部33aよりも高さが低くなっている。また、凸部33aは、第1仕切り壁33の長手方向(前後方向)に沿って後述する第3仕切り壁31cまで設けられている。」(段落【0037】)との記載や、「本発明の構成によれば、隣接するコンタクトの間を仕切る仕切り壁を設けることによって、コンタクトの配列方向においてコンタクトの位置ずれが発生するのを抑えることができ」(段落【0014】)との記載、「上述のように、第1仕切り壁33において凸部33aの左右両側の高さを凸部33aよりも低くし、・・・・することで、隣接するコンタクト2の間の浮遊容量が低下する。これにより、隣接するコンタクト2の間の端子間容量が低下し、コンタクト2のインピーダンスが増加することから、信号の反射などを抑制して、損失を低減することができる。」(段落【0039】)との記載、並びに図1、2の図示内容等から明らかである。 そうすると、コネクタに係る他の具体的な形式、例えばコネクタがレバーを備えることやコンタクトが上下併設であること等は、上記課題の解決に直接関係するものではなく、任意の付加的な事項であることが原出願の当初明細書等の記載から明らかであるといえるから、本願発明1及び2が、かかる事項を特定するものでないからといって、原出願の当初明細書等の記載のすべてを総合して導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるとはいえない。そして、本願が分割要件を満たさないとする他の理由もない。 したがって、本願は適法な分割出願である。 2 新規性及び進歩性について 上記「1」のとおり、本願は適法に分割されたものであるので、原出願の公開公報である引用文献1に記載された発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明とはいえない。 したがって、原査定における拒絶の理由1(特許法第29条第1項第3号)及び理由2(同条第2項)を維持することはできない。 第5 むすび 以上のとおり、本願は適法な分割出願であるから、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-10-07 |
出願番号 | 特願2017-159956(P2017-159956) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01R)
P 1 8・ 113- WY (H01R) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前田 仁 |
特許庁審判長 |
大町 真義 |
特許庁審判官 |
藤田 和英 小関 峰夫 |
発明の名称 | コネクタ |
代理人 | 特許業務法人北斗特許事務所 |