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審決分類 |
審判 一部申し立て 判示事項別分類コード:857 F27D 審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 F27D 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 F27D |
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管理番号 | 1355961 |
異議申立番号 | 異議2019-700093 |
総通号数 | 239 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-11-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-02-07 |
確定日 | 2019-09-07 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6378617号発明「スクラップバケット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6378617号の特許請求の範囲、明細書を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲、訂正明細書のとおり、訂正後の請求項1-8について訂正することを認める。 特許第6378617号の請求項1及び2に係る特許についての本件特許異議の申立を却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6378617号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、平成26年11月19日の出願であって、平成30年8月3日にその特許権の設定登録がなされ、同年8月22日に特許掲載公報が発行され、その後、平成31年2月7日に、請求項1及び2に係る特許に対し、特許異議申立人 中西恒裕 より特許異議の申立てがされたので、令和1年5月13日に取消理由を通知したところ、令和1年6月19日に訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされると共に意見書が提出されたものである。 第2 訂正請求について 以下で、下線部は訂正箇所を、「・・・」は記載の省略を示す。 1.訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のア?ケのとおりである。 ア 訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1を訂正後に削除する。 イ 訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項2を訂正後に削除する。 ウ 訂正事項3 訂正前の請求項3に「前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクラップバケット。」とあるうち、訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改めて、 「【請求項3】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であることを特徴とするスクラップバケット。」に訂正する。 エ 訂正事項4 訂正前の請求項3に「前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクラップバケット。」とあるうち、訂正前の請求項2を引用しさらに訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改めて、 「【請求項4】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であることを特徴とするスクラップバケット。」に訂正する。 オ 訂正事項5 訂正前の請求項4に「前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のスクラップバケット。」とあるうち、訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改めて、 「【請求項5】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。」に訂正する。 カ 訂正事項6 訂正前の請求項4に「前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のスクラップバケット。」とあるうち、訂正前の請求項2を引用しさらに訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改めて、 「【請求項6】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。」に訂正する。 キ 訂正事項7 訂正前の請求項4に「前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のスクラップバケット。」とあるうち、訂正前の請求項3を引用しさらに訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改めて、 「【請求項7】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。」に訂正する。 ク 訂正事項8 訂正前の請求項4に「前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のスクラップバケット。」とあるうち、訂正前の請求項3を引用し訂正前の請求項2を引用し、さらに訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改めて、 「【請求項8】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。」に訂正する。 ケ 訂正事項9 訂正前の本件明細書【0011】の「・・・二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンが吊り下げられ、・・・」を、「・・・二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、・・・」に訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、独立特許要件について ア 訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 ウ 訂正事項3について (ア)訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるので、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」に相当する。 (イ)また、訂正事項3において、訂正前の「二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンが吊り下げられ、」を、「二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、」に訂正することについては、本件明細書添付の例えば【図3】や本件明細書【0020】を参照すると、訂正前の上記箇所の記載は日本語として意味を成さず、訂正により意味を成すものであることは明らかだから、本訂正は、明瞭でない記載の釈明に相当する。 (ウ)さらに、訂正事項3は、請求項間の引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であり、また、明瞭でない記載の釈明のための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (エ)したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3、4号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 エ 訂正事項4について (ア)訂正事項4は、訂正前の請求項3が請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項2を引用しさらに訂正前の請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるので、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」に相当する。 (イ)また、訂正事項4が、明瞭でない記載の釈明も目的とすることについては、上記「ウ(イ)」と同様である。 (ウ)さらに、訂正事項4が、新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、上記「ウ(ウ)」と同様である。 (エ)したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3、4号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 オ 訂正事項5について (ア)訂正事項5は、訂正前の請求項4が請求項1、2又は3の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるので、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」に相当する。 (イ)また、訂正事項5が、明瞭でない記載の釈明も目的とすることについては、上記「ウ(イ)」と同様である。 (ウ)さらに、訂正事項5が、新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、上記「ウ(ウ)」と同様である。 (エ)したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3、4号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 カ 訂正事項6について (ア)訂正事項6は、訂正前の請求項4が請求項1、2又は3の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項2を引用しさらに訂正前の請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるので、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」に相当する。 (イ)また、訂正事項6が、明瞭でない記載の釈明も目的とすることについては、上記「ウ(イ)」と同様である。 (ウ)さらに、訂正事項6が、新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、上記「ウ(ウ)」と同様である。 (エ)したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3、4号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 キ 訂正事項7について (ア)訂正事項7は、訂正前の請求項4が請求項1、2又は3の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項3を引用しさらに訂正前の請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるので、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」に相当する。 (イ)また、訂正事項7が、明瞭でない記載の釈明も目的とすることについては、上記「ウ(イ)」と同様である。 (ウ)さらに、訂正事項7が、新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、上記「ウ(ウ)」と同様である。 (エ)したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3、4号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 ク 訂正事項8について (ア)訂正事項8は、訂正前の請求項4が請求項1、2又は3の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項3を引用し訂正前の請求項2を引用し、さらに訂正前の請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるので、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」に相当する。 (イ)また、訂正事項8が、明瞭でない記載の釈明も目的とすることについては、上記「ウ(イ)」と同様である。 (ウ)さらに、訂正事項8が、新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、上記「ウ(ウ)」と同様である。 (エ)したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3、4号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 ケ 訂正事項9について (ア)訂正事項9は、訂正事項3?8についての上記ウ?クのそれぞれの(イ)における特許請求の範囲の記載の訂正に整合するように、明細書の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに相当する。 (イ)また、訂正後の「二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、」については、本件明細書添付の例えば【図3】や本件明細書【0020】に記載されているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新たな技術的事項を追加するものでなく、さらに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (ウ)したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。 コ 独立特許要件について 訂正前の請求項3及び4は、訂正後に請求項3ないし8とされたもので、特許異議の申立がされていない。 ここで、訂正されているが異議申立のなされていない請求項に係る独立特許要件に関する、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第7項の規定についてみてみる。 同法第126条第7項中「第1項ただし書第1号又は第2号」とあるのは「特許異議の申立てがされていない請求項に係る第1項ただし書第1号又は第2号」と読み替えるものであり、同第1号は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同第2号は誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであるところ、訂正事項3ないし9の訂正は明瞭でない記載の釈明、及び、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでも、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものでもない。 したがって、訂正事項3ないし8の訂正がなされた訂正後の請求項3ないし8に係る発明について、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定は適用されないから、独立特許要件の判断を要しない。 サ 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1?4について、訂正前の請求項2?4はそれぞれ訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、請求項1の訂正に連動して訂正されるものであり、本件訂正前の請求項1?4は一群の請求項である。 そして、本件訂正請求は、上記一群の請求項について訂正の請求をするものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 ここで、本件訂正請求は、請求項間の引用関係の解消を目的とするものであり、訂正後の請求項1?8について別の請求単位とする求めがある。 また、訂正事項9による訂正は明細書の訂正であるところ、当該明細書の訂正に関連する訂正後の請求項の全てである請求項3?8について訂正が行われているといえるから、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合するものである。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、請求項1?8のそれぞれについて訂正することを認める。 シ 本件訂正請求についての結言 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、請求項1、2について、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、請求項3?8について、特許法第120条の5第2項ただし書第3,4号に掲げる事項を目的とし、かつ、請求項1?8について、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合する。 よって、訂正後の請求項1?8のそれぞれについて訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正が認められたので、本件訂正により訂正された請求項3?8に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項3?8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(請求項3ないし8に係る発明を、以下、それぞれ「本件発明3」ないし「本件発明8」といい、総称して「本件発明」という。) 【請求項1】 削除 【請求項2】 削除 【請求項3】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項4】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項5】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項6】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項7】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項8】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。 第4 異議申立理由及び取消理由の概要 異議申立理由の概要は、本件発明1及び2は、甲第2号証に記載の周知の技術手段を参酌すれば、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものだから、同発明に係る特許は取り消されるべきものである、とする新規性要件違反を主張するものである。 審判合議体(以下、「当審」という。)は、上記の異議申立理由を採用し、加えて、当審から進歩性要件違反についても、取消理由として通知した。 <証拠> ○甲第1号証:特開2000-118948号公報 ○甲第2号証:特開2009-62780号公報 第5 当審の判断 本件特許異議申立は、訂正前の請求項1及び2に係る特許に対するものであるが、上記「第2 訂正請求について」に記したように、訂正前の請求項1及び2は削除された。 したがって、本件特許異議申立は対象となる請求項が存在しないものとなった。 なお、異議申立人は意見書の提出を希望しており、本件は訂正請求のなされたものだから、当審は、異議申立人に本件訂正請求を送付し意見書を提出させるという対応を採ることも考えられる。 しかしながら、上記のように異議申立がなされた訂正前の請求項1及び2は本件訂正請求により削除されたので、異議申立の目的は達成されたものといえるし、仮に異議申立人が本件訂正請求に不服であったとしても、訂正前の請求項3及び4(訂正後の請求項3?8)については異議申立する時点で申立の対象請求項と出来たはずであるから、異議申立人に意見書を提出させて訂正前の請求項3及び4(訂正後の請求項3?8)について新たな異議申立理由を主張させることは、訂正に伴う新たな異議申立理由ではなく、異議申立理由の要旨変更に相当するものとなり妥当ではない。 したがって、当審は異議申立人に本件訂正請求を送付し意見書を提出させることなく、本異議決定を行うものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求項1及び2に係る特許は訂正により削除されたため、本件特許の請求項1及び2に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 したがって、本件特許異議申立は、不適法な特許異議申立であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 スクラップバケット 【技術分野】 【0001】 本発明は、製鋼用電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットに関し、特にバケット本体の底部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットに関する。 【背景技術】 【0002】 電気炉へのスクラップの装入は、スクラップがスクラップバケットと呼ばれる搬送容器に入れられて電気炉上部へ搬送されて投入される(特許文献1、非特許文献1参照)。スクラップバケットは、円筒状のバケット本体の下部に二分割されたゲートを備え、ゲートが両側に開くように回転可能なピン及びレバーで支持されている。 【0003】 図4において、筒状のバケット本体1の底部に、二分割により開閉するゲート2,2がバケット本体1の下端部の外側を包囲するようにして配置されている。バケット本体1の上部に、バケットを吊り下げるための主巻用フック3を引っ掛ける水平のピン4,4が取り付けられている。バケット本体1に、支持ピン5,5を対称的に突設させ、各支持ピン5,5に、ゲート2,2の各上面にL字形の吊リンク6の中間部をそれぞれ回動自在に取り付けると共に、各吊リンク6,6の上端同士がそれぞれリンクプレート7を介してピン連結される。 【0004】 ゲート2,2の分割面同士が自重によって密着させられることによって内部に収容させたスクラップを保持させるようにしている。2分割したゲート2,2の外側に固定した各吊ピース8,8に補巻用ワイヤロープ9,9の一端が固定され、補巻用ワイヤロープ9,9の他端がゲート開閉用吊りハンガー10に固定されている。 【0005】 図5において、ゲート2,2の開き動作は、ゲート2,2に取り付けられた補巻用ワイヤロープ9,9のゲート開閉用吊りハンガー10を天井クレーンの補巻用フック11に掛け、クレーンにて巻き上げることで分割構造のゲート2,2が支持ピン5,5を支点として分割面を境に左右方向へ回動して開放される。一方、ゲート2,2の閉動作は、ゲート2,2の自体の重心とゲート2,2の支持位置との関係で補巻用ワイヤロープ9,9を緩めることにより自然に閉まる構造となっている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 【特許文献1】特開2008-151397号公報 【非特許文献】 【0007】 【非特許文献1】社団法人日本鉄鋼協会編 「鉄鋼便覧」 第II巻『製銑・製鋼』 第3版 第541頁 昭和54年10月15日 丸善株式会社発行 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 スクラップバケットにスクラップを入れる場合、スクラップがゲート面全体に入る場合は問題ないが、スクラップが少量の場合などでゲートの合わせ面付近だけに集中した場合、スクラップバケットを吊り上げた際に、ゲートを開く方向に力が働き、支持ピンと重心の関係によってゲートが開いてスクラップが落下してしまうという問題があった。 【0009】 前記のゲートの開き防止のためにスクラップをスクラップバケットに入れる前にゲート開き防止用のゲートロックピンを差し込む等が考えられるが、そうすると電気炉上は作業者が近寄れる場所ではないので容易にロック解除ができない。また、ゲートロックピンを駆動装置で動作させ遠隔操作でロック解除する方法も考えられるが、この場合、駆動のための設備が必要になるだけでなく複雑になるという課題があった。 【0010】 そこで、本発明は、スクラップバケットのゲートが不要の時に開くのを防止することができるようにゲートにゲートロックピンが容易にセット可能であるとともに、ロック解除の際に特別な装置を必要とせずに電気炉上で容易にロック解除ができる構造を有するスクラップバケットを提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明のスクラップバケットは、電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであることを特徴とする。 【0012】 前記構成において、前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドを、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けたり、前記ガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔を縦断面がすり鉢形のガイド孔に形成したり、前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンを連結したりしてもよい。 【発明の効果】 【0013】 本発明により、ゲートを開く際、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げるとゲートが開く直前にゲートロックピンがガイドから抜け、その後、ゲートが開きゲート開閉用吊りハンガーを下げるとゲートが閉まった後にゲートロックピンがピンガイドに挿入されゲートがロックされる。したがって、従来のゲート開閉操作と同じ操作だけで、容易にゲートのロック・ロック解除が可能となる。 【0014】 本発明は、少量のスクラップ装入時にスクラップバケットを吊り上げてもゲートが開かないようゲートにゲートロックピンを容易に挿入できるとともに、特別な装置は必要とせずに電気炉上で容易にロック解除ができる構造の電気炉スクラップバケットを提供するものである。 【図面の簡単な説明】 【0015】 【図1】(a)は本発明のスクラップバケットの正面概略図、(b)は同側面概略図である。 【図2】(a)は本発明のスクラップバケットのゲートロックピンガイド、(b)はゲートロックピンガイドとゲートロックピンを示す概略側面図である。 【図3】(a)は本発明のスクラップバケットのゲートを開いた状態を示す正面概略図、(b)は同側面概略図である。 【図4】(a)は従来のスクラップバケットの正面概略図、(b)は同側面概略図である。 【図5】(a)は従来のスクラップバケットのゲートを開いた状態を示す正面概略図、(b)は同側面概略図である。 【発明を実施するための形態】 【0016】 本発明の実施例について、図を参照しながら説明する。 【実施例】 【0017】 図1において、本発明のスクラップバケットのバケット本体、ゲート及びゲートの開閉構造は、図4に示す従来のスクラップバケットと同じであり、同じ部材には同一の符号を付している。 【0018】 図1において、筒状のバケット本体1の底部に、下部が左右に開く2分割構造の皿状のゲート2,2がバケット本体1の下端部の外側を包囲するようにして配置されている。バケット本体1の上部には、主巻用フック3を引っ掛けるための水平のピン4,4が取り付けられている。バケット本体1に、2本の支持ピン5,5を対称的に突設させ、各支持ピン5,5に、各ゲート2,2の各上面にL字形の吊リンク6の中間部をそれぞれ回動自在に取り付けるとともに、吊リンク6,6の上端同士がそれぞれリンクプレート7を介してピン連結される。 【0019】 2分割した各ゲート2,2の外側に固定した吊ピース8,8に補巻用ワイヤロープ9の一端を結着させ、補巻用ワイヤロープ9の他端をゲート開閉用吊りハンガー10に固定する。ゲート開閉用吊りハンガー10を補巻用フック11に掛けてクレーンにて巻き上げることにより、分割構造のゲート2,2が支持ピン5,5を支点として分割面を境に左右方向へ回動して開放されるようにしてある。 【0020】 補巻用ワイヤロープ9のゲート開閉用吊りハンガー10にはゲートロックピン吊り下げチェーン12の一端が固定されており、ゲートロックピン吊り下げチェーン12はバケット本体1に固定されたチェーンガイド13のガイド孔14にガイドされて自重により垂下している。ゲートロックピン吊り下げチェーン12の下方にはゲート2をロックするゲートロックピン15がゲートロックピン吊り下げチェーン12の長さ方向の垂直軸線上に沿って取り付けられる。 【0021】 ゲートロックピン15は、両側のゲート2,2のそれぞれの合わせ面の上部に設けられたゲートロックピン用ガイド16,18をゲート2,2の開閉時に出入り自在の位置に取り付けられている。ゲートロックピン用ガイド16,18は、ゲート2,2が閉まっている状態では重なり、上側のゲートロックピン用ガイド16には上下が開放された縦断面がすり鉢形のガイド孔19が形成され、下側のゲートロックピン用ガイド18には上側のゲートロックピン用ガイド16のガイド19に一致するガイド孔20が形成されている。 【0022】 ゲートロックピン吊り下げチェーン12の長さは、ゲート2,2を閉じた状態の時、ゲートロックピン15がゲートロックピン用ガイド16,18に挿入された状態で停止する長さとするとともに、ゲート開閉用吊りハンガー10を巻き上げた際にゲート2,2が開く直前にゲートロックピン15が前記ガイド孔19,20から抜けてロック解除される長さにする。 【0023】 なお、ゲートロックピン15の下端にはさらにゲートロックピン15をゲートロックピン用ガイド16,18に確実にガイドするため、ガイドチェーン17を連結してもよい。 【0024】 ゲートロックピン用ガイド16,18のガイド孔19,20には、ゲート2,2が閉まっている状態では、ゲートロックピン15が位置し、ゲート2が開いた状態では、ゲートロックピン15が上方に抜かれており且つゲートロックピン15の下端に垂れているガイドチェーン17がガイドされ垂下している。 【0025】 次に、ゲート2,2の開閉動作について説明する。 【0026】 ゲート2を閉じた状態では、ゲート開閉用吊りハンガー10が下がってゲートロックピン15がゲートロックピン用ガイド16,18に挿入された位置に停止してゲート2がロックされる。この状態で、所定量のスクラップをスクラップバケット内に投入した後、主巻用フック3をピン4に掛けてスクラップバケットを支持し、電気炉の上部へ搬送する。 【0027】 電気炉の上部に達すると、事前にゲート開閉用吊りハンガー10に掛けていた補巻用フック11を巻き上げると、ゲートロックピン吊り下げチェーン12が引っ張られてゲートロックピン15がゲートロックピン用ガイド16,18から抜けてロックが解除され、さらに補巻用ワイヤロープ9が引っ張られてゲートが開く。 【0028】 電気炉にスクラップを装入後、ゲート開閉用吊りハンガー10を下げていくと、ゲート2,2が自重で閉じられる。ゲート開閉用吊りハンガー10を下げていく際に、ゲートロックピン吊り下げチェーン12はチェーンガイド13のガイド孔14にガイドされて自重により垂下し、この垂下にともなってゲートロックピン用ガイド16,18のガイド孔19,20から抜けているゲートロックピン15はガイド孔19,20へ挿入されてゲート2,2がロックされる。ゲートロックピン15にガイドチェーン17が取り付けられている場合には、ガイドチェーン17がガイド孔19,20にガイドされてゲートロックピン15がガイド孔19,20に確実に挿入されてゲート2がロックされる。 【符号の説明】 【0029】 1:バケット本体 2:ゲート 3:主巻用フック 4:ピン 5:支持ピン 6:吊リンク 7:リンクプレート 8:吊ピース 9:補巻用ワイヤロープ 10:ゲート開閉用吊りハンガー 11:補巻用フック 12:ゲートロックピン吊り下げチェーン 13:ゲートロックピン吊り下げチェーンガイド 14:ガイド孔 15:ゲートロックピン 16:ゲートロックピン用ガイド 17:ガイドチェーン 18:ゲートロックピン用ガイド 19:すり鉢形のガイド孔 20:ガイド孔 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 削除 【請求項2】 削除 【請求項3】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項4】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項5】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項6】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項7】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。 【請求項8】 電気炉へスクラップを搬送して装入するスクラップバケットであって、バケット本体の下部に二分割により開閉するゲートを備えたスクラップバケットにおいて、 二分割された前記ゲートをロックするためのゲートロックピンが、ゲートを開閉するゲート開閉用吊りハンガーからゲートロックピン吊り下げチェーンで吊り下げられ、 前記各ゲートのそれぞれには、ゲートが閉の状態の時に上下に重なるとともに前記ゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔が設けられ、 前記チェーンの長さは、ゲート開閉用吊りハンガーを巻き上げた際にゲートが開く直前にゲートロックピンがその長さ方向上方に引っ張られることによって前記ガイド孔から抜けてロック解除される長さであり且つゲートが閉まる際にゲートが閉まった後にロックピンが前記ガイド孔に挿入される長さであり、 前記ゲート開閉用吊りハンガーから吊り下げられたゲートロックピン吊り下げチェーンをガイドするガイド孔を有するゲートロックピン吊り下げチェーンガイドが、バケット本体のゲートロックピンが挿入されて閉ロックが可能なガイド孔の直上に設けられ、 前記ロックピンのガイド孔のうち、上に重ねられたガイド孔の縦断面がすり鉢形のガイド孔であり、 前記ロックピンの下端に前記ガイド孔にガイドされるガイドチェーンが連結されていることを特徴とするスクラップバケット。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-08-29 |
出願番号 | 特願2014-234814(P2014-234814) |
審決分類 |
P
1
652・
853-
XA
(F27D)
P 1 652・ 857- XA (F27D) P 1 652・ 851- XA (F27D) |
最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 守安 太郎 |
特許庁審判長 |
池渕 立 |
特許庁審判官 |
中澤 登 亀ヶ谷 明久 |
登録日 | 2018-08-03 |
登録番号 | 特許第6378617号(P6378617) |
権利者 | 日本鋳鍛鋼株式会社 日鉄エンジニアリング株式会社 日本製鉄株式会社 |
発明の名称 | スクラップバケット |
代理人 | 特許業務法人英和特許事務所 |
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