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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
管理番号 1355969
異議申立番号 異議2018-701057  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-12-27 
確定日 2019-09-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6353623号発明「液状調味料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6353623号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第6353623号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6353623号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、2017年8月31日を国際出願日とするものであって、平成30年6月15日に特許権の設定登録がされ、平成30年7月4日にその特許公報が発行され、その後、平成30年12月27日に、特許異議申立人 特許業務法人藤央特許事務所(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成31年4月18日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和1年6月24日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)があり、その訂正の請求に対して、特許法第120条の5第5項に基づく通知がなされ、特許異議申立人から令和1年8月2日付けで意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項1及び2のとおりである。

(1)訂正事項1
請求項1の訂正前の「直鎖型アルカンチオールと、2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの少なくとも1種であるジメチルピラジン類とを含み、」の後に、「前記直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であり、」との記載を追加し、訂正前の「前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.05以上1.0未満である」との記載を「前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.05以上0.8以下である」に訂正する(以下、それぞれ、「訂正事項1-1」、「訂正事項1-2」という。)。

(2)訂正事項2
請求項2の訂正前の「直鎖型アルカンチオールと、2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの少なくとも1種であるジメチルピラジン類とを含み、」の後に、「前記直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であり、」との記載を追加する。

2 目的の適否
(1)上記訂正事項1-1は、直鎖アルカンチオールの種類を限定したものといえるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記訂正事項1-2は、直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比の数値範囲のうち上限をさらに限定したものであるといえるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)上記訂正事項2は、直鎖アルカンチオールの種類を限定したものといえるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 新規事項についての判断
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1-1の「直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であ」ることに関しては、【0020】及び【0045】【0051】【0054】の実施例1?15に記載があるので、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
また、上記訂正事項1-2の「直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.05以上0.8以下である」ことは、請求項4及び【0022】に上限に関する記載があり、【0052】にその比が0.8である実施例8の記載があるので、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。

(2)訂正事項2についても、上記(1)訂正事項1-1で述べたように、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。

4 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
上記2,3で検討したとおり、訂正事項1,2は、願書に添付した明細書等に記載された事項の範囲内において、直鎖アルカンチオールの種類を限定し(訂正事項1-1、訂正事項2)、直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比の数値範囲の上限の値をさらに限定したものであり(訂正事項1-2)、いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

5 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1,4?10について、請求項4?10はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、訂正事項2に係る訂正前の請求項2?10について、請求項3?10はそれぞれ請求項2を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?10に対応する訂正後の請求項1?10に係る本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。

6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項[1?10]について訂正を認める。

第3 本件特許発明
本件特許請求の範囲の記載は以下のとおりであり、請求項1?10に係る特許発明をそれぞれ、「本件特許発明1」?「本件特許発明10」といい、まとめて「本件特許発明」ともいう。

「【請求項1】
胡麻を含有する液状調味料であって、
直鎖型アルカンチオールと、2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの少なくとも1種であるジメチルピラジン類とを含み、
前記直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であり、
前記液状調味料の香気成分を固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合、前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.05以上0.8以下である、液状調味料。
【請求項2】
胡麻を含有する液状調味料であって、
直鎖型アルカンチオールと、2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの少なくとも1種であるジメチルピラジン類とを含み、
前記直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であり、
前記直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、40ppb以上500ppb以下である、液状調味料。
【請求項3】
請求項2に記載の液状調味料であって、
前記ジメチルピラジン類の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、10ppb以上800ppb以下である、液状調味料。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
前記液状調味料の香気成分を固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合、前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.06以上0.8以下である、液状調味料。
【請求項5】
請求項1?4のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
前記直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、50ppb以上400ppb以下であり、
前記ジメチルピラジン類の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、50ppb以上500ppb以下である、液状調味料。
【請求項6】
請求項1?5のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
前記胡麻の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、1?40質量%である、液状調味料。
【請求項7】
請求項1?6のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
水中油型乳化液状調味料である、液状調味料。
【請求項8】
請求項1?7のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
酵母エキスをさらに含有する、液状調味料。
【請求項9】
請求項8に記載の液状調味料であって、
前記酵母エキスの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、0.01?2質量%である、液状調味料。
【請求項10】
請求項8に記載の液状調味料であって、
前記酵母エキス(質量%)/前記直鎖型アルカンチオールと前記ジメチルピラジン類の総含有量(ppb)が0.00005?0.01である、調味料。」

第4 取消理由
1 特許異議申立人が申し立てた取消理由
特許異議申立人が申し立てた取消理由の概要は以下のとおりである。

(1)訂正前の請求項1?10に係る特許は、官能評価の方法において客観性が担保されていないため、課題が解決できることを当業者が理解できないこと、及び直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比や直鎖型アルカンチオール等について、出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明に開示された内容を本件請求項の発明の範囲まで拡張又は一般化できないことから、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

2 当審が通知した取消理由の概要
(1)訂正前の請求項1?10に係る特許に対して平成31年4月18日付けで当審が特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

理由:訂正前の請求項1?10に係る特許は、液状調味料の官能評価について、官能評価の内容について記載が不十分であること、直鎖型アルカンチオールの種類について、具体的記載のあるものは限定されていること、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比について、官能評価の裏付けをもった範囲は実施例に限定された範囲であること、液状調味料の全量に対する直鎖型アルカンチオールの含有量について、官能評価の裏付けをもった範囲は実施例に限定された範囲であることから当業者が課題が解決できると認識できるように記載されているとはいえず、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

第5 当審の判断
当審は、請求項1?10に係る特許は、当審の通知した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた取消理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
理由は以下のとおりである。

1 当審が通知した取消理由の判断

理由(特許法第36条第6第1号)について
(1)本件特許発明に関する特許法第36条第6項第1号の判断の前提
特許請求の範囲の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)特許請求の範囲の記載
請求項1には、「胡麻を含有する液状調味料」として、「直鎖型アルカンチオールと、2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの少なくとも1種であるジメチルピラジン類とを含」むこと、「直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であ」ること、「液状調味料の香気成分を固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合、前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.05以上0.8以下である」ことを特定した物の発明が記載されている。
また、請求項2には、請求項1において、「胡麻を含有する液状調味料」として、「直鎖型アルカンチオールと、2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの少なくとも1種であるジメチルピラジン類とを含」むこと、「直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であ」ること、「直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、40ppb以上500ppb以下である」ことを特定した物の発明が記載されている。
さらに、請求項3には、請求項2において、「ジメチルピラジン類の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、10ppb以上800ppb以下である」ことをさらに限定した発明が、請求項4には、請求項1?3において、「液状調味料の香気成分を固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合、前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.06以上0.8以下である」ことをさらに限定した発明が、請求項5には、請求項1?4において、「直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、50ppb以上400ppb以下であ」ること、及び「ジメチルピラジン類の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、50ppb以上500ppb以下であ」ることをさらに限定した発明が、請求項6には、請求項1?5において、「胡麻の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、1?40質量%である」ことをさらに限定した発明が、請求項7には、請求項1?6において、「水中油型乳化液状調味料である」ことをさらに限定した発明が、請求項8には、請求項1?7において、「酵母エキスをさらに含有する」ことをさらに限定した発明が、請求項9には、請求項8において、「酵母エキスの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、0.01?2質量%である」ことをさらに限定した発明が、請求項10には、請求項8において、「酵母エキス(質量%)/前記直鎖型アルカンチオールと前記ジメチルピラジン類の総含有量(ppb)が0.00005?0.01である」ことをさらに限定した発明が、それぞれ記載されている。

(3)発明の詳細な説明の記載
本件明細書の発明の詳細な説明には、請求項1?10に係る発明に関する記載として、特許請求の範囲の実質的繰り返し記載を除いて以下の記載がある。

ア 技術分野及び背景技術について
「【0001】
本発明は、液状調味料に関し、詳細には、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられる胡麻含有液状調味料に関する。
・・・
【0002】
胡麻を素材とする胡麻ドレッシング、胡麻マヨネーズ、胡麻ソース等の胡麻風味の液状調味料が販売されている。この液状調味料は、液状調味液にすり胡麻や切り胡麻等を含有させ、均一に混合することで得られるものであり、胡麻特有の芳香を特徴とする調味料である。このような胡麻風味の液状調味料の使用用途としては、サラダ用ドレッシング以外にも、豆腐や肉等のたれとしても使用され、近年、食卓における使用頻度も増加する傾向にある。
【0003】
しかしながら、胡麻を素材とする液状調味料は、作りたては大変美味しいものの、長期保管後において、胡麻特有の芳香が継時的に消失し易い問題があった。従来の胡麻特有の芳香を保持あるいは増強させる技術としては、例えば、胡麻香料の芳香を長時間保持する技術として、特定材質の皮膜で形成したカプセルに胡麻芳香を封入した酸性調味料用胡麻香料が提案されている」

イ 発明が解決しようとする課題及び解決手段について
「【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、製造方法が煩雑で費用がかさむため、消費者の要望を十分に満足できるものとは言い難かった。
また、近年、発明者等は、消費者の食欲を惹起するような新たな独特の風味を鋭意追求してきた。その結果、胡麻本来の香りが液状調味料中で長期間に渡って維持させるだけでは、消費者の食欲を惹起するような新たな独特の風味が得られないことが判明してきている。
したがって、本発明の目的は、液状調味料中において胡麻本来の香りを長期間に渡って維持させるに留まらず、消費者がやみつきになりクセになるような独特の芳香を有する胡麻含有液体調味料を提供することにある。
・・・
【0006】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、直鎖型アルカンチオール又はジメチルピラジン類をそれぞれ単独で胡麻含有液状調味料に含有させたとしても、やみつきになりクセになる独特の芳香を付与することができなかった。しかしながら、本発明者は、驚くべきことに、胡麻含有液状調味料において直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類を特定比又は特定量で組み合わせることで、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。」

ウ 発明の効果について
「【0017】
本発明の液状調味料は、直鎖型アルカンチオールと、ジメチルピラジン類とが特定比もしくは特定量で含まれていることで、胡麻の芳香との相互作用により、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられる。これにより、消費者の食欲を惹起することができ、胡麻含有液状調味料を配合した加工食品市場のさらなる拡大が期待できる。」

エ 香気成分について
「【0019】
(香気成分)
本発明の液状調味料は、直鎖型アルカンチオールとジメチルピラジン類とが特定比又は特定量で含まれるものである。本発明では、このような香気成分のバランスにより、胡麻含有液状調味料において、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられる。本発明の液状調味料は、直鎖型アルカンチオールとジメチルピラジン類と以外にも、通常の胡麻含有液状調味料において含まれる香気成分を含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で更なる他の香気成分を含んでもよい。
【0020】
直鎖型アルカンチオールとしては、好ましくはアルカンの炭素数が1?6のアルカンチオール、すなわち、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオールが挙げられる。これらの中でも、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールがより好ましく、メタンチオール、エタンチオールがさらに好ましく、メタンチオールが特に好ましい。直鎖型アルカンチオールは、これらの1種のみが含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。直鎖型アルカンチオールが2種以上含まれる場合、下記のピーク面積及び含有量は、直鎖型アルカンチオール全部の合計値である。なお、メタンチオール、エタンチオールは、単独ではタマネギ等のにおいに類似した刺激臭を有する。
【0021】
本発明において、ジメチルピラジン類とは、2,5-ジメチルピラジンと2,6-ジメチルピラジンを指し、両成分は類似した香りを有する。液状調味料には、ジメチルピラジン類として、これらの1種のみが含まれてもよいし、2種が含まれてもよい。2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの両方が含まれる場合、下記のピーク面積及び含有量は、これらの両方の合計値である。
【0022】
本発明の液状調味料は、香気成分を下記で詳述する固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合に、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比(直鎖型アルカンチオールのピーク面積/ジメチルピラジン類のピーク面積)は、好ましくは0.05以上1.0未満であり、より好ましくは0.06以上0.8以下であり、さらに好ましくは0.07以上0.5以下である。直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が上記範囲内であれば、液状調味料において胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が強く感じられる。
【0023】
液状調味料中の直鎖型アルカンチオールの含有量は、好ましくは40ppb以上500ppb以下であり、より好ましくは50ppb以上400ppb以下であり、さらに好ましくは60ppb以上300ppb以下であり、さらにより好ましくは70ppb以上200ppb以下である。
液状調味料中のジメチルピラジン類の含有量は、好ましくは10ppb以上800ppb以下であり、より好ましくは50ppb以上500ppb以下であり、さらに好ましくは80ppb以上400ppb以下であり、好ましくは100ppb以上300ppb以下である。
直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の含有量が上記範囲内であれば、液状調味料において胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が強く感じられる。なお、液状調味料中の直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の含有量は、常法に従い、ガスクロマトグラフィーを用いて測定、算出することができ、例えば、固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME-GC-MS)で測定することができる。
【0024】
液状調味料の直鎖型アルカンチオールとジメチルピラジン類の比や含有量を調節する方法は、特に限定されないが、例えば、液状調味料に、直鎖型アルカンチオールとジメチルピラジン類をそれぞれ香料として添加してもよいし、直鎖型アルカンチオールとジメチルピラジン類が含まれる食品や食品添加物を配合する方法が挙げられる。
【0025】
なお、液状調味料中の直鎖型アルカンチオールとジメチルピラジン類のそれぞれが同一量であっても、固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法の特性上、得られるピーク面積は異なる。その理由の一例として、2成分の揮発性の違いや他の試料中の成分との親和性の差などにより、気相中に揮発してくる成分量は異なることが挙げられる。その他、測定法の特性による種々の要因からピーク面積から算出する比率と定量値から算出する比率とは、数値が異なる。」

オ 香気成分の測定方法について
「【0026】
(香気成分の測定方法)
本発明の液状調味料の香気成分は、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME-GC-MS)で測定することができる。
<分析条件>
(1)香気成分の分離濃縮方法
SPMEファイバーと揮発性成分抽出装置を用い、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出法で香気成分の分離濃縮を行う。
<固相マイクロ抽出条件>
・SPMEファイバー:外側に膜厚50μmのジビニルベンゼン分散ポリジメチルシロキサン層、内側に膜厚30μmのCarboxen分散ポリジメチルシロキサン層を有する、2層積層コーティングされたSPMEファイバー(製品名:StableFlex 50/30μm、DVB/Carboxen/PDMS(Sigma-Aldrich社製))
・揮発性成分抽出装置:Combi PAL、CTC Analitics製
・予備加温:40℃,15min
・攪拌速度:300rpm
・揮発性成分抽出:40℃,20min
・脱着時間:10min
(2)香気成分の測定方法
ガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、以下の条件に従って、液状調味料中の直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の各ピーク面積を測定する。また、直鎖型アルカンチオールの含有量及びジメチルピラジン類の含有量は、直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の標準品を添加したサンプルを同様に測定し、得られたガスクロマトグラムにおける直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類のピーク面積から含有量を定量する。
なお、各成分の定量イオン質量は以下の通りである。
・メタンチオール定量イオン質量m/z47
・エタンチオール定量イオン質量m/z62
・ブタンチオール定量イオン質量m/z56
・プロンパンチオール定量イオン質量m/z76
・2,5-ジメチルピラジン定量イオン質量m/z108
・2,6-ジメチルピラジン定量イオン質量m/z108
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器:Agilent 6890N(Agilent Technologies社製)
・カラム:素材内壁にポリエチレングリコールからなる液相を膜厚0.25μmでコーティングしたキャピラリーカラム 長さ30m、口径0.25mm、膜厚0.25μm(製品名:SOLGEL-WAX(SGE社製) 長さ30m、口径0.25mm、膜厚0.25μm)
・温度条件:35℃(5min)保持→120℃まで5℃/min昇温→220℃まで15℃/min昇温: 6min保持
・キャリアー:Heガス、ガス流量:1.0mL/min
・インジェクション方法:パルスド・スプリットレス:
スプリットレス 1.5min保持 → パージ50mL/min
パルス圧100kPa 1.6 min保持 → 47kPa
(スタート時)
・インレット温度:250℃
・ワークステションMSD ChemStation Build 75 (Agilent Technologies, Inc.)
<質量分析条件>
・質量分析計:四重極型質量分析計(製品名:Agilent 5973N(Agilent Technologies社製))
・スキャン質量m/z 29.0?290.0
・イオン化方式EI(イオン化電圧70eV)
なお、信号強度が低い場合等は、スキャン測定ではなく、SIM(選択イオンモニタリング)測定を行っても良い。
また、測定装置は上記に限られず、例えばAgilent 7890B、Agilent 5977Sなどを使用してもよく、使用する測定機器の仕様に合わせて条件を適宜調整し測定することができる。」

カ 胡麻及び酵母エキスについて
「【0027】
(胡麻)
本発明の液状調味料に用いる胡麻の含有量は、胡麻特有の芳香を有すれば特に限定されないが、1?40質量%が好ましく、2?30質量%がより好ましく、3?15質量%が特に好ましい。胡麻の含有量が1質量%以上であれば、作り立ての時点から胡麻特有の芳香を強く有することができる。40質量%以下であれば、胡麻特有の芳香を増強する効果をより発揮することができる。
【0028】
本発明で用いる胡麻は、特に限定されないが、原料胡麻としては、白胡麻、金胡麻、黒胡麻、茶胡麻等が挙げられる。これらの胡麻を常法により焙煎した焙煎胡麻を用いることが好ましく、具体的には、外種皮付のゴマを、直火式、あるいは、遠赤外線式等の焙煎釜で焙煎したもの等が挙げられる。また、本発明で用いる胡麻の形態は、特に限定されず、ホール状でも、石臼、コロイドミル、フードカッター、マイルダー、ロール粉砕器等により粉砕処理されたものでもよい。
【0029】
(酵母エキス)
本発明の液状調味料は、酵母エキスをさらに配合することで、胡麻特有の芳香がより増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香がより強く感じられる。ここで、酵母エキスとは、原料となる酵母体を自己消化や酵素添加等により分解してエキス化したものをいう。原料となる酵母体としては、ビール製造時に副生する余剰酵母であるいわゆるビール酵母や、パン製造時に使用されるパン酵母あるいは食用に生産されるトルラ酵母、日本酒製造時に使用される酒酵母、ワイン製造に使用されるワイン酵母、醤油製造時に使用される醤油酵母等が挙げられる。このような酵母エキスとしては、粉末状、ペースト状、液状のものが市販されており、これら市販品を用いることができる。
【0030】
本発明の液状調味料に用いる酵母エキスの含有量は、乾燥重量として、0.01?2質量%が好ましく、0.05質量%?1.5質量がより好ましく、0.10質量%?1.0質量%が特に好ましい。酵母エキスの含有量が前記範囲内であれば、胡麻特有の芳香がより増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香がより強く感じられる。
【0031】
本発明の液状調味料においては、酵母エキス(質量%)/直鎖型アルカンチオールとジメチルピラジン類の総含有量(ppb)が0.00005?0.01であることが好ましく、0.0001?0.008であることがより好ましく、0.0002?0.005であることがさらに好ましい。酵母エキス(質量%)/直鎖型アルカンチオールとジメチルピラジン類の総含有量(ppb)が前記範囲内であれば、胡麻特有の芳香がより増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香がより強く感じられる。」

キ 水中油型乳化液状調味料について
「【0036】
(水中油型乳化液状調味料)
本発明の液状調味料は、水中油型乳化液状調味料であることが好ましい。食用油脂を乳化分散し、本発明の香気成分を油滴の中に封じ込めることで、焙煎胡麻の甘い香り及び焙煎胡麻の擂り立ての香りを増強することができる。
【0037】
水中油型乳化液状調味料とは、例えば、清水に酢酸及びクエン酸等の酸材と、澱粉、ガム類、卵黄、及びショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤とを混合した後、ミキサー等で攪拌しながら、油脂を注加して粗乳化し、次にせん断力に優れた処理機等で均質化したものである。」

ク 実施例について
「【0045】
<液状調味料の製造例1>
[実施例1?3及び比較例1]
下記の配合割合に準じ、本発明の胡麻含有液状調味料を製造した。すなわち、まず、攪拌タンクに醤油、食酢、砂糖、ホスフォリパーゼA処理された卵黄、グアーガム、キサンタンガム、焙煎すり胡麻、香料、及び清水を投入して均一に混合することにより水相を調製した。次に、ミキサーに得られた水相を投入し、次いで、攪拌しながら油相である大豆油を注加して乳化処理することにより、胡麻含有水中油型乳化液状調味料を製した。続いて、得られた水中油型乳化液状調味料に、下記表1の含有量になるように直鎖型アルカンチオール(メタンチオール)及びジメチルピラジン類(2,5-ジメチルピラジンと2,6-ジメチルピラジン)を含有する香料を添加して、胡麻含有液状調味料を得た。得られた胡麻含有液状調味料を蓋付きPET容器に250ml容量ずつ充填して密栓し、容器入り胡麻含有液状調味料を製した。なお、得られた胡麻含有液状調味料の粘度は、0.8Pa・s(20℃)であった。
【0046】
<胡麻含有液状調味料の配合割合>
大豆油 35質量%
醤油 7質量%
食酢(酸度4%) 15質量%
砂糖 10質量%
ホスフォリパーゼA処理された卵黄 0.2質量%
グアーガム 0.2質量%
キサンタンガム 0.2質量%
焙煎すり胡麻 5質量%
香料 適量
清水 残余
???????????????????????
合計 100質量%
【0047】
(直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比の測定方法)
得られた胡麻含有液状調味料の香気成分を上記で詳述した固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定し、得られたガスクロマトグラムにおいて直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類のピーク面積をそれぞれ測定し、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比を算出し、表1に示した。
【0048】
(直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の含有量の測定方法)
得られた胡麻含有液状調味料に、一定量の直鎖型アルカンチオールの標準品を添加して、サンプルを調製した。サンプルの香気成分を上記で詳述した固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定し、得られたガスクロマトグラムにおける直鎖型アルカンチオールのピーク面積から直鎖型アルカンチオールの含有量を定量し、表1に示した。
ジメチルピラジン類の含有量についても、直鎖型アルカンチオールと同様に定量し、表1に示した。
【0049】
<液状調味料の官能評価>
上記で製造した容器入り胡麻含有液状調味料について、下記の基準に従って十分に訓練されたパネルによる官能評価を行った。官能評価の結果は表1に示すとおりであった。
[評価基準]
5:胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が強く感じられた。
4:胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられた。
3:胡麻特有の芳香が多少増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香はやや弱いが十分に感じられた。
2:胡麻特有の芳香がほとんど増強されておらず、やみつきになりクセになる独特の芳香はほとんど感じられなかった。
1:胡麻特有の芳香が弱く、やみつきになりクセになる独特の芳香は全く感じられなかった。
【0050】
【表1】

【0051】
<液状調味料の製造例2>
[実施例4?12及び比較例2?3]
市販のフレンチドレッシング(キユーピー(株)製フレンチドレッシング(白))10gに、焙煎擂り胡麻を0.5g及び香料を適量配合し、均一になるまで攪拌混合して胡麻含有水中油型乳化液状調味料を調製した。続いて、得られた水中油型乳化液状調味料に、直鎖型アルカンチオール(メタンチオール)及びジメチルピラジン類(2,5-ジメチルピラジンと2,6-ジメチルピラジン)を含有する香料を適宜添加して、胡麻含有液状調味料を得た。得られた胡麻含有液状調味料を、上記と同様の方法で、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比、直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の含有量を測定した。また、上記と同様に官能評価を行った。測定結果を表2に示した。
【0052】
【表2】

【0053】
<液状調味料の製造例3>
[実施例13?15]
直鎖型アルカンチオールの種類を変更した以外は実施例6と同様にして、胡麻含有液状調味料を得た。得られた胡麻含有液状調味料を、上記と同様の方法で、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比、直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の含有量を測定した。また、上記と同様に官能評価を行った。測定結果を表3に示した。
【0054】
【表3】

【0055】
上記の官能評価の結果、直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の両方を特定比又は特定量で含む胡麻含有液状調味料は、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられた。一方、香気成分中に直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の両方が含まれる胡麻含有液状調味料であっても、香気成分中の両者の比又は含有量が特定の範囲外であると、胡麻特有の芳香が弱く、やみつきになりクセになる独特の芳香を感じられなかった。したがって、意外にも、胡麻含有液状調味料において、香気成分中に直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類が特定比又は特定量で含まれることにより、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられることが示された。
【0056】
<液状調味料の製造例4>
市販の酵母エキスを下記表4の含有量になるように配合した以外は実施例6と同様にして、胡麻含有液状調味料を得た。得られた胡麻含有液状調味料を、上記と同様の方法で、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比、直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類の含有量を測定した。測定結果を表4に示した。
【0057】
【表4】

【0058】
実施例16および17で得られた胡麻含有液状調味料の官能評価を行った結果、実施例6で得られた胡麻含有液状調味料と比べて胡麻特有の芳香がより増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香がより強く感じられた。また、実施例18および19で得られた胡麻含有液状調味料の官能評価を行った結果、実施例6で得られた胡麻含有液状調味料と比べて胡麻特有の芳香がより増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香がより強く感じられたが、実施例16および17で得られた胡麻含有液状調味料と比べて、胡麻特有の芳香及び独特の芳香が若干弱く感じられた。」

(4)課題と記載の対比
ア 本件特許発明の課題について
上記(3)イの「【0005】
・・・胡麻本来の香りが液状調味料中で長期間に渡って維持させるだけでは、消費者の食欲を惹起するような新たな独特の風味が得られないことが判明してきている。
したがって、本発明の目的は、液状調味料中において胡麻本来の香りを長期間に渡って維持させるに留まらず、消費者がやみつきになりクセになるような独特の芳香を有する胡麻含有液体調味料を提供することにある。
・・・
【0006】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、直鎖型アルカンチオール又はジメチルピラジン類をそれぞれ単独で胡麻含有液状調味料に含有させたとしても、やみつきになりクセになる独特の芳香を付与することができなかった。しかしながら、本発明者は、驚くべきことに、胡麻含有液状調味料において直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類を特定比又は特定量で組み合わせることで、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである」(下線は当審にて追加。以下同様。)との記載及び本件特許明細書全体を参酌して、請求項1?10に係る発明の課題は、胡麻本来の香りを長期間に渡って維持させ、消費者がやみつきになりクセになるような独特の芳香を有する胡麻含有液体調味料の提供にあるものと認める。

イ 記載の対比
(ア-1)液状調味料の官能評価について
a 上記(3)オ【0049】には、「上記で製造した容器入り胡麻含有液状調味料について、下記の基準に従って十分に訓練されたパネルによる官能評価を行った。官能評価の結果は表1に示すとおりであった。
[評価基準]
5:胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が強く感じられた。
4:胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられた。
3:胡麻特有の芳香が多少増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香はやや弱いが十分に感じられた。
2:胡麻特有の芳香がほとんど増強されておらず、やみつきになりクセになる独特の芳香はほとんど感じられなかった。
1:胡麻特有の芳香が弱く、やみつきになりクセになる独特の芳香は全く感じられなかった。」との記載があり、実施例、比較例の結果も考慮すると、本件特許発明1の課題が解決できたかどうかの判断を官能評価の結果に基づいて、3点以上の結果が得られたかどうかによって判断していることが前提となっていることが理解できる。
上記記載からは、官能評価の内容について、十分に訓練されたパネルによって行われたこと、5段階の評価基準であることの記載はあるものの、芳香を客観的かつ正確にとらえるためのパネラーの人数、パネラー間で評価を揃えるための手順、各パネラーの個別の結果、評価を1点上げるため、芳香がどの程度強くなれば良いかを共通にする手順、胡麻特有の芳香とやみつきになりクセになる独特の芳香との違いをどのように区別して評価するか等の記載は明細書に存在しない。

b しかしながら、乙第1号証(食品ラボにおける官能評価(http://chemsensmetrix.com/J-text5.htm)の「5 パネリストの選抜と訓練」の項目の「5.7訓練」の項目に、「訓練は個々人の感度と記憶力を高め、精確で矛盾がなく標準化した官能評価の再現性を保証する。パネリストが客観的な判断を下すには、個人的な嗜好を無視できるように訓練しなければならない。訓練は記述用語の語彙開発を含む。各パネリストはサンプルの特性を感知認識し、各用語が真に意味するところを熟慮して、他のパネリスト達と同意しながら語彙開発を進める。評価訓練中、参照用に調製した参照サンプルや競合品を利用すると、特定の表現用語における強弱を具体的に示すことができ、より一貫性ある判定が得られる。におい、外観、フレーバーやテクスチャーなどに対する評価法の議論を通じ、共通の手順を取り決める。」(2頁「5.7 訓練の項目」1?7行)と記載されるように、官能評価における訓練によって、精確で矛盾がなく標準化した官能評価の再現性を保証でき、各パネリストはサンプルの特性を感知認識し、各用語が真に意味するところを熟慮して、他のパネリスト達と同意しながら語彙開発を進め、特定の表現用語における強弱を具体的に示すことができ、より一貫性ある判定が得られ、外観、フレーバーやテクスチャーなどに対する評価法の議論を通じ、共通の手順を取り決めることができることが示されている。
したがって、上記パネラーの人数、パネラー間で評価を揃えるための手順、各パネラーの個別の結果、評価を1点上げるため、芳香がどの程度強くなれば良いかを共通にする手順、胡麻特有の芳香とやみつきになりクセになる独特の芳香との違いをどのように区別して評価するか等に関する記載が本件明細書に記載がないからといって、「十分に訓練された」パネルによって行われた官能試験について、客観性が担保されていないため、課題が解決できることを当業者が理解できないとはいえない。

c さらに、乙第1号証(食品ラボにおける官能評価(http://chemsensmetrix.com/J-text5.htm)の「パネルは官能評価における分析機器である。この機器の価値は、パネルメンバーによる評価の客観性と精確さ及び再現性により決まる」「高度に訓練された少人数のパネルは、大人数の未熟なパネルよりも、より精確で再現性に優れた結果を与える。」(1頁「5 パネリストの選抜と訓練」1?2行、9?10行)と記載されるように、高度に訓練されたパネルによる官能評価では、官能評価における分析機器のように正確で、客観性、再現性を兼ね備えた実験結果が得られるといえるので、パネラーの人数、パネラー間で評価を揃えるための手順、各パネラーの個別の結果に関する記載が本件明細書に記載がないからといって、「十分に訓練された」パネルによって行われた官能試験について、客観性が担保されていないため、課題が解決できることを当業者が理解できないともいえない。

d また、乙第2号証(適切な方法で分析しよう!食品の官能評価の種類(https://frozen-lab.eda-mame.jp/basics/method-sensory-test3) の「分析型官能評価」には、「訓練されたパネルによる評価の場合は少人数でよく、1?10人程度で実施されます。」(2頁 「分析型官能評価」8行)という記載、乙第1号証 「Amerine et al.(1965)は再現性と識別能力に基づきパネリストを選抜、訓練すると、結果として少人数の効率的なパネルになると述べている。」(1?2頁「5.6 選抜と審査」1?2行)との記載からも、訓練されたパネラーにおいて、パネラーの人数、パネラー間で評価を揃えるための手順、各パネラーの個別の結果に関する記載が本件明細書に記載がないからといって、「十分に訓練された」パネルによって行われた官能試験について、客観性が担保されていないため、課題が解決できることを当業者が理解できないともいえない。

e 上記文献の記載を考慮すると、本件明細書の表1?3官能評価の結果に基づき、本件特許発明1の「直鎖型アルカンチオールと、・・・ジメチルピラジン類とを含」むこと、「直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であ」ることと、「液状調味料の香気成分を固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合、前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.05以上0.8以下である」ことを特定した発明が、胡麻本来の香りを長期間に渡って維持させ、消費者がやみつきになりクセになるような独特の芳香を有する胡麻含有液体調味料が提供できるという請求項1に係る発明の課題が解決できることは当業者が認識できるといえるので、該請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。

f 請求項2に係る発明についても、上記a?eで検討した表1?表3の官能評価の点から、「直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、40ppb以上500ppb以下である」ことを特定した発明が、請求項2に係る発明の課題を解決できると当業者が認識できるといえるので、該請求項2に係る発明も、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。

g 請求項3?10に係る発明についても、請求項1又は2に係る発明をさらに、技術的に限定したものであり、上記a?fで検討したことが同様に当てはまり、【0022】【0023】【0024】【0027】【0028】【0036】【0037】【0029】?【0031】【0056】?【0058】に各技術的限定に関する説明がそれぞれ存在し、これらの説明も考慮すれば、請求項3?7に係る発明も、請求項3?10に係る発明の課題を解決できることは、上記表1?表4の官能評価の結果から当業者が認識できるといえるので、該請求項3?10に係る発明も、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。

(ア-2)異議申立人の主張について
異議申立人は、令和1年8月2日付け意見書1?2頁3(3-1)において、官能評価に関して提出された乙第1号証、乙第2号証が公知であったといえないこと、公的機関でない特定の株式会社の見解にすぎないことから、パネラーの訓練を行い、官能試験を行うことが本願出願時の技術常識であったということができない旨主張している。
しかしながら、乙第1号証、乙第2号証の記載内容は、官能評価の一般的な訓練に関する技術内容であるのだから、それらの官能評価の訓練されたパネルに関しては、本件の出願前後で大きな技術内容の変化があるとはいえないし、作成者が公的機関でないからといって、乙第1号証、乙第2号証の技術常識としての内容に疑義が具体的に示されているわけでもない。
したがって、パネラーの人数、パネラー間で評価を揃えるための手順等が本件明細書に記載がないからといって、本件明細書の「下記基準にしたがって十分に訓練されたパネルによる官能評価を行った。」と記載されている以上、その基準にしたがって出された表1?4の結果が示されることにより、本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できるといえ、本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載されたものといえることは上述のとおりである。
よって、異議申立人の主張は採用できない。

(イ-1)直鎖型アルカンチオールの種類について
a 上記2に記載のとおり、請求項1には、「胡麻を含有する液状調味料」の含有成分としての「直鎖型アルカンチオール」を「直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であ」ることを訂正によって特定した発明が記載されている。
一方、発明の詳細な説明には、上記(3)イ【0006】に、「胡麻含有液状調味料において直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類を特定比又は特定量で組み合わせることで、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられることを知見した」こと、上記(3)ウ【0017】に、「本発明の液状調味料は、直鎖型アルカンチオールと、ジメチルピラジン類とが特定比もしくは特定量で含まれていることで、胡麻の芳香との相互作用により、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられる」との一般的記載があり、上記(3)エ【0020】には、直鎖型アルカンチオールのメタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールを含めた好ましい例示が記載されている。
そして、具体例としての液状調味料の香気成分としての「直鎖型アルカンチオール」として裏付けをもって、実施例1?12,16?19のメタンチオール、実施例13のエタンチオール、実施例14のプロパンチオール、実施例15のブタンチオールを使用した場合の記載がある。

b 本件明細書【0025】に記載されるとおり、液状調味料に含まれる成分の揮発性や他の成分との親和性の差により、液状調味料の香気に影響のあるとしても、発明の詳細な説明において、実施例に基づき官能評価が示された範囲に特許請求の範囲の直鎖型アルカンチオールの種類が限定されたのであるから、【0006】【0017】の記載も考慮に入れると請求項1に係る発明は、アルカンチオールの種類に関して、当業者が該発明の課題が解決できると認識できる範囲のものである。

c 請求項2?10に係る発明は、上記2に記載のとおり、請求項1に係る発明を直接的又は間接的に限定したものであるか、訂正によって請求項1に係る発明と同じ特定を有するものとなっており、【0022】【0023】【0024】【0027】【0028】【0036】【0037】【0029】?【0031】【0056】?【0058】に各技術的限定に関する説明がそれぞれ存在し、これらの説明も考慮すれば、請求項1に係る発明に関して検討したように、アルカンチオールの種類に関して、当業者が請求項2?10に係る発明の課題が解決できると認識できる範囲のものとなっている。

(イ-2)請求項1?10に係る発明は、アルカンチオールの種類に関して、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。

(ウ-1)直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比について
a 上記(2)に記載のとおり、請求項1には、「液状調味料の香気成分を固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合、前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比」を「0.05以上0.8以下である」ことを特定した発明が記載されている。
一方、発明の詳細な説明には、上記(3)イ【0006】に、「胡麻含有液状調味料において直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類を特定比又は特定量で組み合わせることで、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられることを知見した」ことの記載があり、上記(3)ウ【0017】に、「本発明の液状調味料は、直鎖型アルカンチオールと、ジメチルピラジン類とが特定比もしくは特定量で含まれていることで、胡麻の芳香との相互作用により、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられる」との一般的記載があり、上記(3)エ【0022】には、直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比の範囲が「本発明の液状調味料は、香気成分を下記で詳述する固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合に、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比(直鎖型アルカンチオールのピーク面積/ジメチルピラジン類のピーク面積)は、好ましくは0.05以上1.0未満であり、より好ましくは0.06以上0.8以下であり、さらに好ましくは0.07以上0.5以下である。直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が上記範囲内であれば、液状調味料において胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が強く感じられる。」と記載され、実施例1?19においては、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が0.05?0.80の範囲の液状調味料が官能評価を伴って記載されている。

b 請求項1に係る発明に関して、本件明細書【0025】に記載されるとおり、液状調味料に含まれる成分の揮発性や他の成分との親和性の差により、液状調味料の香気に影響のあるとしても、発明の詳細な説明において、実施例に基づき官能評価が示された範囲に特許請求の範囲の直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比の範囲が限定され、訂正によって、実施例1?19に示された0.05?0.80の範囲のものとなったので、【0006】【0017】【0022】の記載も考慮に入れると直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比に関して、当業者が請求項1に係る発明の課題が解決できると認識できる範囲のものとなっている。

c 請求項3?10に係る発明は、上記(2)に記載のとおり、請求項1に係る発明を直接的又は間接的に限定したものであるため、【0022】【0023】【0024】【0027】【0028】【0036】【0037】【0029】?【0031】【0056】?【0058】に各技術的限定に関する説明がそれぞれ存在し、これらの説明も考慮すれば、請求項1に係る発明に関して検討したように、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比に関して、訂正によって、当業者が請求項3?10に係る発明の課題が解決できると認識できる範囲のものとなっている。

(ウ-2)請求項1,3?10に係る発明は、直鎖型アルカンチオールのピーク面積のジメチルピラジン類のピーク面積に対する比に関して、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(エ-1)液状調味料の全量に対する直鎖型アルカンチオールの含有量について
a 上記(2)に記載のとおり、請求項2には、「直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、40ppb以上500ppb以下である」ことを特定した発明が記載されている。
一方発明の詳細な説明には、上記(3)イ【0006】に、「胡麻含有液状調味料において直鎖型アルカンチオール及びジメチルピラジン類を特定比又は特定量で組み合わせることで、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられることを知見した」こと、上記(3)ウ【0017】に、「本発明の液状調味料は、直鎖型アルカンチオールと、ジメチルピラジン類とが特定比もしくは特定量で含まれていることで、胡麻の芳香との相互作用により、胡麻特有の芳香が増強されるとともに、やみつきになりクセになる独特の芳香が感じられる」との記載があり、上記(3)エ【0023】には、「液状調味料中の直鎖型アルカンチオールの含有量は、好ましくは40ppb以上500ppb以下であり、より好ましくは50ppb以上400ppb以下であり、さらに好ましくは60ppb以上300ppb以下であり、さらにより好ましくは70ppb以上200ppb以下である。」との好ましい数値範囲の記載がある。
そして、液状調味料の全量に対する直鎖型アルカンチオールの含有量の数値範囲が実施例1?19においては、40ppb?450ppbの範囲で官能評価を伴って記載されている。

b 請求項2に係る発明は、直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、40ppb以上500ppb以下であることを特定しているが、表1?2の実施例1?12をみると、官能評価が4又は5であるのは、実施例1?3,5?10,12の直鎖型アルカンチオールの含有量が、40?300ppbのものであり、官能評価が3のものは、実施例4,11の直鎖型アルカンチオールの含有量が、45及び450ppbのものである。そして、官能評価が1又は2である比較例1?3は、直鎖型アルカンチオールの含有量が、20、30、600ppbのものとなっている。
したがって、当業者であれば、500ppbのものにおいても、ジメチルピラジン類の量を調節する等、他の条件を適宜調節すれば、一定の評価が得られることは認識できるといえる。
そして、本件明細書【0025】に記載されるとおり、液状調味料に含まれる成分の揮発性や他の成分との親和性の差により、液状調味料の香気に影響のあるとしても、発明の詳細な説明において、実施例に基づき官能評価が示された範囲である40ppb?450ppbの範囲に、【0006】【0017】【0023】の記載も考慮に入れると液状調味料の全量に対する直鎖型アルカンチオールの含有量の40ppb以上500ppb以下という範囲は、当業者が請求項2に係る発明の課題が解決できると認識できる範囲のものであるといえる。

c 請求項3?10に係る発明は、上記(2)に記載のとおり、請求項2に係る発明を直接的又は間接的に限定したものであるため、【0022】【0023】【0024】【0027】【0028】【0036】【0037】【0029】?【0031】【0056】?【0058】に各技術的限定に関する説明がそれぞれ存在し、これらの説明も考慮すれば、請求項2に係る発明に関して検討したように、液状調味料の全量に対する直鎖型アルカンチオールの含有量に関して、当業者が請求項3?10に係る発明の課題が解決できると認識できる範囲のものとなっている。

(エ-2)異議申立人の主張について
異議申立人は、令和1年8月2日付け意見書2?3頁3(3-3)において、表2の評価結果から数値範囲の中心から上下限に向かって評価が徐々に減退する傾向があるともいえないことを理由に、上限付近(450ppb?500ppb)の範囲の本件特許発明の課題が解決できると認識できない旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、官能評価の高い範囲と比較的低い範囲が実施例で実証されている以上、当業者であれば、450ppb?500ppbのものにおいても、ジメチルピラジン類の量を調節する等、他の条件を適宜設定すれば、一定の評価が得られることは認識できるといえる。
よって、異議申立人の主張は採用できない。

(エ-3)請求項2?10に係る発明は、液状調味料の全量に対する直鎖型アルカンチオールの含有量に関して、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(5)小括
以上のとおり、請求項1?10に係る発明は、該請求項1?10に係る発明の課題を解決できるとは当業者が認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載されたものである。

2 特許異議申立人が申し立てた取消理由について
前記第4に記載したとおり、特許異議申立人が申し立てた取消理由は、当審が通知した取消理由と同じである。

第6 むすび
以上のとおり、本件請求項1?10に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた取消理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胡麻を含有する液状調味料であって、
直鎖型アルカンチオールと、2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの少なくとも1種であるジメチルピラジン類とを含み、
前記直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であり、
前記液状調味料の香気成分を固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合、前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.05以上0.8以下である、液状調味料。
【請求項2】
胡麻を含有する液状調味料であって、
直鎖型アルカンチオールと、2,5-ジメチルピラジン及び2,6-ジメチルピラジンの少なくとも1種であるジメチルピラジン類とを含み、
前記直鎖型アルカンチオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールから選ばれる1種または2種以上であり、
前記直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、40ppb以上500ppb以下である、液状調味料。
【請求項3】
請求項2に記載の液状調味料であって、
前記ジメチルピラジン類の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、10ppb以上800ppb以下である、液状調味料。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
前記液状調味料の香気成分を固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合、前記直鎖型アルカンチオールのピーク面積の前記ジメチルピラジン類のピーク面積に対する比が、0.06以上0.8以下である、液状調味料。
【請求項5】
請求項1?4のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
前記直鎖型アルカンチオールの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、50ppb以上400ppb以下であり、
前記ジメチルピラジン類の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、50ppb以上500ppb以下である、液状調味料。
【請求項6】
請求項1?5のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
前記胡麻の含有量が、前記液状調味料の全量に対して、1?40質量%である、液状調味料。
【請求項7】
請求項1?6のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
水中油型乳化液状調味料である、液状調味料。
【請求項8】
請求項1?7のいずれか一項に記載の液状調味料であって、
酵母エキスをさらに含有する、液状調味料。
【請求項9】
請求項8に記載の液状調味料であって、
前記酵母エキスの含有量が、前記液状調味料の全量に対して、0.01?2質量%である、液状調味料。
【請求項10】
請求項8に記載の液状調味料であって、
前記酵母エキス(質量%)/前記直鎖型アルカンチオールと前記ジメチルピラジン類の総含有量(ppb)が0.00005?0.01である、調味料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-08-28 
出願番号 特願2018-513397(P2018-513397)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松原 寛子  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 瀬良 聡機
神野 将志
登録日 2018-06-15 
登録番号 特許第6353623号(P6353623)
権利者 キユーピー株式会社
発明の名称 液状調味料  
代理人 砂山 麗  
代理人 中村 行孝  
代理人 中村 行孝  
代理人 永井 浩之  
代理人 砂山 麗  
代理人 小島 一真  
代理人 柏 延之  
代理人 小島 一真  
代理人 永井 浩之  
代理人 柏 延之  
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