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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1357142
審判番号 不服2018-17002  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-21 
確定日 2019-11-14 
事件の表示 特願2014- 60003「バックアップ管理装置、クライアントサーバシステム、バックアップ管理方法およびバックアップ管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月22日出願公開、特開2015-184871〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成26年3月24日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 3月13日付け :拒絶理由通知書
平成30年 5月15日 :意見書,手続補正書の提出
平成30年10月 2日付け :拒絶査定(原査定)
平成30年12月21日 :審判請求書,手続補正書の提出

第2 平成30年12月21日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年12月21日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1-10の記載は,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所である。以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)
「 【請求項1】
バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのバックアップデータを管理するバックアップ管理装置であって,
前記システムを最新化するための情報を管理する管理手段と,
前記システムのバックアップデータを取得し,予め設定されたタイミングにおいて仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムのバックアップデータから前記システムをリストアするとともに,前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンをバックアップデータとして格納するバックアップ手段とを備えることを特徴とするバックアップ管理装置。
【請求項2】
前記バックアップ手段は,
前記システムが接続されたネットワークから独立した仮想ネットワークを経由させて前記バックアップ手段および前記管理手段に接続される前記仮想マシンを作成するように前記仮想ホストに対して指示する請求項1に記載のバックアップ管理装置。
【請求項3】
前記管理手段は,
前記システムを最新化するための情報として,前記システムに適用すべきパッチ情報と前記システムのネットワーク接続に関するポリシー情報とを管理し,
前記バックアップ手段は,
前記仮想マシンにリストアされたシステムに適用すべき前記パッチ情報を前記管理手段から取得し,取得した前記パッチ情報を前記仮想マシンにリストアされたシステムに適用して前記システムを最新化し,前記最新化されたシステムのバックアップデータを前記最新化されたバックアップデータとして格納する請求項1または2に記載のバックアップ管理装置。
【請求項4】
前記バックアップ手段は,
前記システムのバックアップデータを取得し,前記システムをリストアする指示に応じて前記バックアップデータから前記システムをリストアするとともに,前記システムのバックアップデータのメタ情報を含むカタログ情報を作成するバックアップ実行手段と,
前記カタログ情報を取得し,取得した前記カタログ情報を管理するバックアップカタログ管理手段と,
前記システムのバックアップデータを格納するバックアップデータ格納手段と,
前記カタログ情報を格納するバックアップカタログ格納手段と,
前記バックアップデータを最新化するスケジュールを格納する最新化処理スケジュール格納手段と,
予め設定されたタイミングにおいて前記バックアップデータの最新化の開始指示を出す最新化処理起動制御手段と,
最新化処理起動制御手段による前記バックアップデータの最新化の開始指示に応じて前記バックアップデータを最新化するバックアップデータ最新化手段とを有し,
前記管理手段は,
前記パッチ情報と前記ポリシー情報とを含む前記システムのセキュリティ状態を最新化するための情報を管理するセキュリティ管理手段と,
前記パッチ情報を格納するパッチ格納手段と,
前記ポリシー情報を格納するポリシー情報格納手段とを有する請求項3に記載のバックアップ管理装置。
【請求項5】
前記バックアップ手段および前記管理手段への指示を入力するための入力手段と,前記最新化されたバックアップデータを含む前記システムのバックアップデータの一覧を含む情報を表示する表示手段とを有する制御手段を備える請求項4に記載のバックアップ管理装置。
【請求項6】
前記バックアップカタログ管理手段は,
前記制御手段からの要求に応じて前記システムのバックアップデータの一覧を前記制御手段に送信し,
前記制御手段は,
前記システムのバックアップデータの一覧に含まれるバックアップデータのうち少なくとも一つを選択し,
前記バックアップ手段は,
前記制御手段によって選択された前記バックアップデータをリストアする請求項5に記載のバックアップ管理装置。
【請求項7】
前記バックアップデータ格納手段は,
前記最新化されたバックアップデータのうち少なくとも一つと,初めに取得された前記システムのバックアップデータとを含むバックアップデータの集合のうち,少なくとも二つのバックアップデータを格納する請求項4乃至6のいずれか一項に記載のバックアップ管理装置。
【請求項8】
バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含み,少なくとも一つのネットワークインタフェースを有するシステムが構築されたクライアントと,
仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストと,
前記システムを最新化するための情報として,前記システムに適用すべきパッチ情報と前記システムのネットワーク接続に関するポリシー情報とを管理する管理サーバと,
前記システムのバックアップデータを取得し,予め設定されたタイミングにおいて前記仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを前記仮想ホスト内に作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムをリストアするとともに,前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンをバックアップデータとして格納するバックアップサーバとを備え,
前記バックアップクライアントは,
前記管理サーバから前記パッチ情報を取得し,取得した前記パッチ情報を前記リストアされたシステムに適用するパッチ適用手段と,
前記管理サーバから前記ポリシー情報を取得し,取得した前記ポリシー情報を基に前記ッチ情報が適用されたシステムのネットワーク接続に関するポリシー判定をするとともに,前記ポリシー判定の結果に応じて,ポリシー判定された前記システムのネットワーク接続状態を切り替える指示を出すセキュリティ判定手段と,
前記セキュリティ判定手段の指示に応じて,前記ポリシー判定されたシステムの前記ネットワークインタフェースのネットワーク接続状態を制御するネットワーク制御手段とを有することを特徴とするクライアントサーバシステム。
【請求項9】
バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのバックアップデータを管理するバックアップ管理方法であって,
バックアップ管理装置が,
前記システムを最新化するための情報を管理し,
前記システムのバックアップデータを取得し,
予め設定されたタイミングにおいて仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,
作成された前記仮想マシンに前記システムのバックアップデータから前記システムをリストアし,
前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,
前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,
最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンをバックアップデータとして格納することを特徴とするバックアップ管理方法。
【請求項10】
バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのバックアップデータを管理するバックアップ管理プログラムであって,
前記システムを最新化するための情報を管理する処理と,
前記システムのバックアップデータを取得する処理と,
予め設定されたタイミングにおいて仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出する処理と,
作成された前記仮想マシンに前記システムのバックアップデータから前記システムをリストアする処理と,
前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出する処理と,
前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保する処理と,
最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンをバックアップデータとして格納する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするバックアップ管理プログラム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,平成30年5月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-10の記載は次のとおりである。(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)
「 【請求項1】
バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのバックアップデータを管理するバックアップ管理装置であって,
前記システムを最新化するための情報を管理する管理手段と,
前記システムのバックアップデータを取得し,予め設定されたタイミングにおいて仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムのバックアップデータから前記システムをリストアするとともに,前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて最新化された前記システムのバックアップデータを格納するバックアップ手段とを備えることを特徴とするバックアップ管理装置。
【請求項2】
前記バックアップ手段は,
前記システムが接続されたネットワークから独立した仮想ネットワークを経由させて前記バックアップ手段および前記管理手段に接続される前記仮想マシンを作成するように前記仮想ホストに対して指示する請求項1に記載のバックアップ管理装置。
【請求項3】
前記管理手段は,
前記システムを最新化するための情報として,前記システムに適用すべきパッチ情報と前記システムのネットワーク接続に関するポリシー情報とを管理し,
前記バックアップ手段は,
前記仮想マシンにリストアされたシステムに適用すべき前記パッチ情報を前記管理手段から取得し,取得した前記パッチ情報を前記仮想マシンにリストアされたシステムに適用して前記システムを最新化し,前記最新化されたシステムのバックアップデータを前記最新化されたバックアップデータとして格納する請求項1または2に記載のバックアップ管理装置。
【請求項4】
前記バックアップ手段は,
前記システムのバックアップデータを取得し,前記システムをリストアする指示に応じて前記バックアップデータから前記システムをリストアするとともに,前記システムのバックアップデータのメタ情報を含むカタログ情報を作成するバックアップ実行手段と,
前記カタログ情報を取得し,取得した前記カタログ情報を管理するバックアップカタログ管理手段と,
前記システムのバックアップデータを格納するバックアップデータ格納手段と,
前記カタログ情報を格納するバックアップカタログ格納手段と,
前記バックアップデータを最新化するスケジュールを格納する最新化処理スケジュール格納手段と,
予め設定されたタイミングにおいて前記バックアップデータの最新化の開始指示を出す最新化処理起動制御手段と,
最新化処理起動制御手段による前記バックアップデータの最新化の開始指示に応じて前記バックアップデータを最新化するバックアップデータ最新化手段とを有し,
前記管理手段は,
前記パッチ情報と前記ポリシー情報とを含む前記システムのセキュリティ状態を最新化するための情報を管理するセキュリティ管理手段と,
前記パッチ情報を格納するパッチ格納手段と,
前記ポリシー情報を格納するポリシー情報格納手段とを有する請求項3に記載のバックアップ管理装置。
【請求項5】
前記バックアップ手段および前記管理手段への指示を入力するための入力手段と,前記最新化されたバックアップデータを含む前記システムのバックアップデータの一覧を含む情報を表示する表示手段とを有する制御手段を備える請求項4に記載のバックアップ管理装置。
【請求項6】
前記バックアップカタログ管理手段は,
前記制御手段からの要求に応じて前記システムのバックアップデータの一覧を前記制御手段に送信し,
前記制御手段は,
前記システムのバックアップデータの一覧に含まれるバックアップデータのうち少なくとも一つを選択し,
前記バックアップ手段は,
前記制御手段によって選択された前記バックアップデータをリストアする請求項5に記載のバックアップ管理装置。
【請求項7】
前記バックアップデータ格納手段は,
前記最新化されたバックアップデータのうち少なくとも一つと,初めに取得された前記システムのバックアップデータとを含むバックアップデータの集合のうち,少なくとも二つのバックアップデータを格納する請求項4乃至6のいずれか一項に記載のバックアップ管理装置。
【請求項8】
バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含み,少なくとも一つのネットワークインタフェースを有するシステムが構築されたクライアントと,
仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストと,
前記システムを最新化するための情報として,前記システムに適用すべきパッチ情報と前記システムのネットワーク接続に関するポリシー情報とを管理する管理サーバと,
前記システムのバックアップデータを取得し,予め設定されたタイミングにおいて前記仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを前記仮想ホスト内に作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムをリストアするとともに,前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて最新化された前記システムのバックアップデータを格納するバックアップサーバとを備え,
前記バックアップクライアントは,
前記管理サーバから前記パッチ情報を取得し,取得した前記パッチ情報を前記リストアされたシステムに適用するパッチ適用手段と,
前記管理サーバから前記ポリシー情報を取得し,取得した前記ポリシー情報を基に前記パッチ情報が適用されたシステムのネットワーク接続に関するポリシー判定をするとともに,前記ポリシー判定の結果に応じて,ポリシー判定された前記システムのネットワーク接続状態を切り替える指示を出すセキュリティ判定手段と,
前記セキュリティ判定手段の指示に応じて,前記ポリシー判定されたシステムの前記ネットワークインタフェースのネットワーク接続状態を制御するネットワーク制御手段とを有することを特徴とするクライアントサーバシステム。
【請求項9】
バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのバックアップデータを管理するバックアップ管理方法であって,
バックアップ管理装置が,
前記システムを最新化するための情報を管理し,
前記システムのバックアップデータを取得し,
予め設定されたタイミングにおいて仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,
作成された前記仮想マシンに前記システムのバックアップデータから前記システムをリストアし,
前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,
前記システムを最新化するための情報に基づいて最新化された前記システムのバックアップデータを格納することを特徴とするバックアップ管理方法。
【請求項10】
バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのバックアップデータを管理するバックアップ管理プログラムであって,
前記システムを最新化するための情報を管理する処理と,
前記システムのバックアップデータを取得する処理と,
予め設定されたタイミングにおいて仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出する処理と,
作成された前記仮想マシンに前記システムのバックアップデータから前記システムをリストアする処理と,
前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出する処理と,
前記システムを最新化するための情報に基づいて最新化された前記システムのバックアップデータを格納する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするバックアップ管理プログラム。」

2 補正の適否
本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,本件補正は,特別な技術的特徴を変更(シフト補正)しようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。

2-1 目的要件
本件補正は上記「1 本件補正について(補正の内容)」のとおり,本件審判の請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由を示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。

(1)補正前の請求項と補正後の請求項とを比較すると,補正後の請求項1-10はそれぞれ,補正前の請求項1-10に対応することは明らかである。

(2)本件補正は,以下の補正事項よりなるものである。
<補正事項>
補正前の請求項1,8-10の
「前記システムを最新化するための情報に基づいて最新化された前記システムのバックアップデータを格納するバックアップ手段」との記載を,
補正後の請求項1,8-10の「前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンをバックアップデータとして格納するバックアップ手段」
との記載に変更する補正。

(3)補正事項について
補正後の請求項1,8-10の「前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し」との特定事項は,「前記システムを最新化するための情報に」基づいて「セキュリティ状態を確保」するという新たな機能手段を追加しており,この特定事項は,補正前の請求項1,8-10に記載された発明特定事項のいずれかを概念的により下位にしたものとはいえない。
また,補正後の請求項1,8-10においては「仮想マシンをバックアップデータとして格納」するものであり,一方,補正前の請求項1,8-10においては「システムのバックアップデータを格納」するものであり,格納処理の態様が異なるところ,「仮想マシンをバックアップデータとして格納」することは,「システムのバックアップデータを格納」することを概念的により下位にしたものとはいえない。
したがって,上記補正事項は,限定的減縮を目的とするものとは認められない。
また,請求項の削除,誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知書に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)のいずれにも該当しない。

(4)小括
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除,同条同項第2号の特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。),同条同項第3号の誤記の訂正,同条同項第4号の明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものに限られるものではない。
よって,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反する。

2-2 独立特許要件
以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが,仮に本件補正に含まれる上記補正事項が限定的減縮を目的として補正されたとして,補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか),念のため以下で検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は,平成30年12月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのバックアップデータを管理するバックアップ管理装置であって,
前記システムを最新化するための情報を管理する管理手段と,
前記システムのバックアップデータを取得し,予め設定されたタイミングにおいて仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムのバックアップデータから前記システムをリストアするとともに,前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンをバックアップデータとして格納するバックアップ手段とを備えることを特徴とするバックアップ管理装置。」

(2)引用例
(2-1)引用例1に記載されている技術的事項および引用発明
ア 本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成30年3月13日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2012-230721号公報(平成24年11月22日出願公開,以下,「引用例1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0009】
また,常に最新のセキュリティパッチを適用するというセキュリティポリシが要求される業務システムにおいて,過去の状態にリストアしてしまうとスナップショットを記憶してから現在までにあてたセキュリティパッチが当ててない状態に戻されてしまうため,セキュリティレベル低下の問題である。このような業務システムは,リストア直後に,セキュリティパッチを適用する作業が必要になり,直ぐに業務システムを再開できないという課題がある。」

B 「【0018】
図1は,実施例1の情報処理システムの構成を示すブロック図である。本実施例の情報処理システムは,運用管理サーバ100,仮想サーバ制御装置101,業務実行サーバ102及び運用管理端末104を有し,それらは,ネットワーク909を介して相互に接続している。
【0019】
運用管理サーバ100は,後述するロールバック処理を含む業務実行サーバ102を運用管理する計算機である。運用管理サーバ100は,ポリシ管理部103,ロールバック制御部105 ,設定変更管理部106,設定配布部107,構成管理部108,送受信部109及び記憶部110を有する。
【0020】
ポリシ管理部103は,運用管理サーバ100の管理対象が満たすべきポリシを管理する処理部である。管理対象とは,運用管理サーバ100の運用管理する対象である。本実施形態においては,業務実行サーバ102や第1仮想サーバ117A,第2仮想サーバ117Bである。ポリシとは,管理対象が満たすべき条件や,条件と当該条件を満たした場合に実行する処理の組み合わせである。例えば,後述するポリシテーブル400に示すように,最新のセキュリティパッチが常にあたった状態にあること,といったようなポリシである。ポリシ管理部103は,記憶部110に記憶された後述するポリシテーブル400を管理する。ポリシを要求するメッセージを受信すると,ポリシテーブル400を読み込み,当該要求メッセージで特定された情報を応答する。また,ポリシを記憶するメッセージを受信すると歩入りしテーブル400を読み込み,当該メッセージで特定されたポリシをポリシテーブル400に記憶する。
…(中略)…
【0022】
設定変更管理部106は,業務実行サーバ102や第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bなどの運用管理対象となる計算機の設定情報の変更情報を管理する。設定変更管理部106は,業務実行サーバ102や第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bなどの運用管理対象となる計算機の設定情報の変更を検知して,設定変更テーブル300に検知した設定変更情報を記憶する。また,設定変更情報を読み出す要求メッセージを受信すると,設定変更テーブル300から設定変更情報を読み出し,応答する。
【0023】
設定配布部107は,業務実行サーバ102,第1仮想サーバ117A,第2仮想サーバ117Bなどの運用管理対象となる計算機の設定情報を配布する。例えば,設定配布部107がある設定情報を送受信部109と送受信部120Aを介して設定管理部119Aに送信すると,設定管理部119Aは設定記憶部118Aを受信した設定情報に書き換える。
…(中略)…
【0026】
記憶部110は,運用管理サーバ100の運用管理処理を実現するのに必要な情報を記憶する記憶部である。記憶部110は,設定変更テーブル300,ポリシテーブル400,設定変更制約テーブル500,設定制約テーブル600,業務構成テーブル700,及びアプリケーション構成テーブル800を備えている。
【0027】
設定変更テーブル300は,運用管理サーバ100が管理する第1仮想サーバや第2仮想サーバといった管理対象の設定変更を特定する情報を記憶するテーブルである。ここで,設定変更を特定する情報とは,管理対象の設定情報や構成情報を変更する処理を特定する情報である。例えば,設定情報値の変更や,セキュリティパッチなどのモジュールの適用,アプリケーションの追加・削除,システム構成の変更などを特定する情報である。
…(中略)…
【0029】
設定変更テーブル300は,システム管理者が運用管理端末104を介して,設定変更テーブル300に示す情報を入力し,設定変更管理部106は,入力された情報を記憶部110の設定変更テーブル300に記憶する。また,設定変更管理部106が,設定管理部119Aや設定管理部119Bに記憶される設定情報に変更があったことを検知して,検知した設定変更情報を設定変更テーブル300に記憶する。
【0030】
ポリシテーブル400は,運用管理サーバ100が管理する第1仮想サーバや第2仮想サーバといった管理対象が満たすべきポリシを記憶するテーブルである。ここで,ポリシとは,例えば,セキュリティポリシや,サービスレベルを表すポリシなどである。図4にポリシテーブル400を示す。ポリシテーブル400は,各行にポリシを記憶している。ポリシテーブル400は,ポリシ識別子欄401とポリシ定義欄402とを備えている。ポリシ識別子欄401は,ポリシを特定する識別情報を記憶する。ポリシ定義欄402は,ポリシの内容を特定する情報を記憶する。」

C 「【0042】
図1では,運用管理サーバ100,仮想サーバ制御装置101,業務実行サーバ102,及び運用管理端末104の各々を異なる計算機として示しているが,これらの各々を複数の計算機で構成しても良いし,これらのいくつかを纏めて1台の計算機で構成しても良い。」

D 「【0043】
図1に説明を戻し,仮想サーバ制御装置101について説明する。仮想サーバ制御装置101は,仮想サーバを制御する装置であり,後述する第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bといった仮想サーバを制御する。仮想サーバ制御装置101は,スナップショット制御部112,スナップショット管理部113,送受信部114及びスナップショット記憶部115を備えている。
【0044】
スナップショット制御部112は,仮想サーバのスナップショットをとる処理や記憶してあるスナップショットを仮想サーバにリストアして,スナップショットをとった状態に戻す処理を実行する。例えば,スナップショット制御部112は,第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bのスナップショットを後述するスナップショット管理部113を介して後述するスナップショット記憶部115に記憶する処理を実行したり,スナップショットを後述するスナップショット管理部113を介して後述するスナップショット記憶部115から読み出して第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bをリストアする処理を実行したりする。
【0045】
スナップショット管理部113は,後述する記憶部115に記憶するスナップショットを記憶する処理を実行したり,スナップショットをリストアする処理を実行したりする。
…(中略)…
【0047】
スナップショット記憶部115は,第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bなどの仮想サーバのスナップショットを記憶する。ある仮想サーバの複数世代のスナップショットを記憶しておいてもよい。
【0048】
記憶部116は,仮想サーバのスナップショットの付加情報を記憶する記憶部である。付加情報とは,どの仮想サーバのスナップショットかを特定する情報と,スナップショットを記憶した時刻を特定する情報と,スナップショット記憶部115に記憶されるスナップショットを特定する情報である。
【0049】
記憶部116は,仮想サーバのスナップショットを管理するため付加情報をスナップショット付加情報テーブル200に記憶している。図2にスナップショット付加情報テーブル200を示す。スナップショット付加情報テーブル200は,各行にスナップショット毎の付加情報を記憶する。スナップショット付加情報テーブル200は,時刻欄201,仮想サーバ欄202及びスナップショット欄203を備えている。時刻欄201は,スナップショットを記録した時刻を記憶する。仮想サーバ欄202は,スナップショットをとった対象の仮想サーバを特定する識別情報を記憶する。スナップショット欄203は,スナップショット記憶部115に記憶されたスナップショットを特定する識別情報を記憶する。例えば,図2に示すスナップショット付加情報テーブル200の一行目は,「2007年12月13日10時00分00秒」に,「仮想サーバ#1」で特定される仮想サーバの,「スナップショット#1」で特定されるスナップショットがスナップショット記憶部115に記憶されていることを示している。」

E 「【0051】
業務実行サーバ102は,運用管理サーバ100が管理する対象の業務システムが稼働する計算機である。業務実行サーバ102と業務システムとは一対一に限定されない。すなわち,業務実行サーバ102上で一つの業務システムが稼働してもよいし,業務実行サーバ102上で稼働する仮想サーバ毎に業務システムを動作させてもよい。また,複数の業務実行サーバ102により業務システムを構成してもよい。
【0052】
業務実行サーバ102は,第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bを備えている。第1仮想サーバ117Aは,業務実行サーバ102上で稼働する仮想サーバであり,設定記憶部118A,設定管理部119A及び送受信部120Aを備えている。設定記憶部118Aは,第1仮想サーバ117Aの設定情報を記憶する。設定管理部119Aは,設定記憶部118Aに記憶された第1仮想サーバ117Aの設定情報の設定処理や変更処理を実行する。送受信部120Aは,設定記憶部118Aや設定管理部119Aと,運用管理サーバ100,仮想サーバ制御装置101又は運用管理端末104との通信処理を実行する。第2仮想サーバ117Bは,業務実行サーバ102上で稼働する仮想サーバであり,設定記憶部118B,設定管理部119B及び送受信部120Bの処理部を備えている。これらの処理部の動作は,第1仮想サーバ117Aと同様である。」

F 「【0089】
本実施例は,仮想サーバのリストアに,あらかじめポリシで定義した設定変更を適用したスナップショットを用いることで,ロールバック完了直後にポリシを満たす状態で業務を可能とする方法である。
【0090】
ここでは,第1の仮想サーバにポリシに合致する設定変更があるたびに第2の仮想サーバにより第1の仮想サーバのスナップショットを読み込み当該変更処理を適用しスナップショットを記憶する処理を実行し,第1の仮想サーバをロールバックする際に当該スナップショットを読み込むことで,これを実現する。
…(中略)…
【0093】
(2)ロールバック制御部105は,仮想サーバXにポリシテーブル400に記憶されたポリシSに合致する設定変更Cがあったことを検知する(ステップ1202)。
【0094】
例えば,セキュリティパッチSPを適用する設定変更が仮想サーバ#1にあったとき,ロールバック制御部105は,ポリシテーブル400に記憶されたポリシ#1に合致する設定変更が仮想サーバ#1にあったとして,これを検知する。具体的には,設定変更があったとき,まず当該設定変更を設定変更テーブル300に新たな行として追加する。次に,当該行の種類欄304を参照し,ポリシ定義部402に記憶したポリシに合致するか判定する。判定の結果,合致した場合は,ポリシに合致する設定変更があったとして,当該設定変更を設定変更Cとして記憶する。合致しない場合は,当該設定変更を記憶せず処理を終了する。」

G 「【0097】
(4)ロールバック制御部105は,スナップショット付加情報テーブル200からスナップショットS1を特定し,スナップショット制御部111を介してスナップショットS1を用いて仮想サーバYをロールバックする(ステップ1204)。
【0098】
ステップ1204におけるスナップショットS1を特定するとは,スナップショット付加情報テーブル200に記憶された仮想サーバXに関するスナップショットを特定することである。具体的には,次のような処理である。仮想サーバ#1にポリシに合致する設定変更があったとすると,スナップショット付加情報テーブル200を検索し,仮想サーバ欄202に仮想サーバ#1が記憶された行を特定し,当該行のスナップショット欄203に記憶された情報をスナップショットS1として記憶する。
…(中略)…
【0100】
また,ステップ1204においてスナップショットS1を用いたロールバックをする仮想サーバYは,ステップ1202における仮想サーバXと異なる仮想サーバである。仮想サーバYは,ステップ1204において新たに起動してもよいし,既に起動している仮想サーバの中から特定してもよい。
【0101】
さらに,仮想サーバYが稼働する業務実行サーバ102は,仮想サーバXが稼働する業務実行サーバ102と同じでもよいし,異なっていてもよい。また,異なる場合において,仮想サーバYの稼働する業務実行サーバ102をスナップショット記憶部115と物理的に近くであれば,ネットワークのオーバーヘッドなどを少なくすることができ,ロールバック処理を早く終わらせることができる可能性がある。また,本実施例において,仮想サーバYをロールバック制御部105が特定するに際して,スナップショット記憶部115と物理的な距離が近い業務実行サーバ102上で稼働する仮想サーバを仮想サーバYとして特定してもよい。また,スナップショット記憶部115や,スナップショット記憶部115を記憶した外部記憶装置904と同一装置上に仮想サーバYを稼働させてもよい。
…(中略)…
【0103】
ここでの処理を仮想サーバXが仮想サーバ#1として具体的に説明すると,スナップショット負荷情報テーブル200を検索して,仮想サーバ欄202を検索して仮想サーバ#1が記憶されている行を特定し,当該行のスナップショット欄203に記憶されたスナップショット#1とスナップショット#4とをスナップショットS1とする。仮想サーバ#1と同じ構成の仮想サーバである仮想サーバ#4と仮想サーバ#5とを新たに起動する。次に,仮想サーバ#4をスナップショット#1を用いてロールバックし,仮想サーバ#5をスナップショット#4を用いてロールバックする。」

H 「【0105】
(5)ロールバック制御部105は,設定配布部107を介して仮想サーバYに設定変更Cを適用してロールフォワードする(ステップ1205)。ここでの処理を仮想サーバXが仮想サーバ#1としスナップショットS1をスナップショット#1とスナップショット#4とし,仮想サーバYをスナップショット#1とスナップショット#4と対応させてそれぞれ仮想サーバ#4と仮想サーバ#5とし,設定変更CをセキュリティパッチSPの適用として,具体的に説明する。ロールバック制御部105は,設定配布部107を介して,仮想サーバ#4にセキュリティパッチSPを適用する。また,同様に設定配布部107を介して,仮想サーバ#5にセキュリティパッチSPを適用する。
…(中略)…
【0107】
(6)ロールバック制御部105は,スナップショット制御部112を介して,仮想サーバYのスナップショットS2を記憶する(ステップ1206)。
【0108】
ステップ1206において,ロールバック制御部105は,スナップショット管理部113を通して,スナップショット記憶部115にスナップショットS2を記憶し,記憶部106のスナップショット付加情報テーブル200にスナップショットS2の付加情報を記憶する。
【0109】
スナップショットS2の付加情報の記憶とは,スナップショット付加情報テーブル200に記憶されたスナップショットS1の付加情報を上書きしてもよいし,新たな行を追加してスナップショットS2の付加情報を記憶してもよい。いずれの方法にせよ,負荷情報として,仮想サーバ欄202には,仮想サーバXを特定する情報を記憶し,スナップショット欄203にはスナップショットS2を特定する方法を記憶する。これにより,スナップショットS2は,仮想サーバXのスナップショットS1に設定変更Cが適用されたスナップショットとして記憶されている。」

I 「【0117】
(10)ロールバック制御部は,ロールバック処理Fで特定したスナップショットS2をスナップショット管理部を介して読み込み,スナップショット制御部を介して仮想サーバV1をスナップショットS2を用いてリストアする(ステップ1210)。
【0118】
ステップ1210の処理を仮想サーバXが仮想サーバ#1とし,ロールバック処理Fをスナップショット#7を用いてロールバックするとして,具体的に説明する。ロールバック制御部105は,スナップショット管理部113を介して,スナップショット#7を読み込み,スナップショット制御部111を介して,仮想サーバ#1をスナップショット#7を用いてリストアする。それにより,仮想サーバ#1をロールバックすることができる。」

イ ここで,引用例1に記載されている事項を検討する。
(ア)上記Bの段落【0018】の「本実施例の情報処理システムは,運用管理サーバ100,仮想サーバ制御装置101,業務実行サーバ102及び運用管理端末104を有し,それらは,ネットワーク909を介して相互に接続している。」との記載からすると,引用例1には,
“運用管理サーバ,仮想サーバ制御装置,業務実行サーバ及び運用管理端末,それらがネットワークを介して相互に接続する情報処理システム”が記載されていると解される。

(イ)上記Bの段落【0027】の「設定変更テーブル300は,運用管理サーバ100が管理する第1仮想サーバや第2仮想サーバといった管理対象の設定変更を特定する情報を記憶するテーブルである。ここで,設定変更を特定する情報とは,管理対象の設定情報や構成情報を変更する処理を特定する情報である。例えば,設定情報値の変更や,セキュリティパッチなどのモジュールの適用,アプリケーションの追加・削除,システム構成の変更などを特定する情報である。」との記載,上記Eの段落【0051】の「業務実行サーバ102は,運用管理サーバ100が管理する対象の業務システムが稼働する計算機である。(中略)業務実行サーバ102上で稼働する仮想サーバ毎に業務システムを動作させてもよい。」との記載,同段落【0052】の「業務実行サーバ102は,第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bを備えている。第1仮想サーバ117Aは,業務実行サーバ102上で稼働する仮想サーバであり,設定記憶部118A,設定管理部119A及び送受信部120Aを備えている。(中略)設定管理部119Aは,設定記憶部118Aに記憶された第1仮想サーバ117Aの設定情報の設定処理や変更処理を実行する。」との記載からすると,「仮想サーバ」は「設定変更」(例えば,セキュリティパッチの適用)処理を実行する「設定管理部」を備えること,「業務システム」は「仮想サーバ」で動作することが読み取れるから,引用例1には,
“セキュリティパッチを適用する機能を備える第1仮想サーバや第2仮想サーバを備え,業務システムが仮想サーバ上で動作する計算機である業務実行サーバ”が記載されていると解される。

(ウ)上記Dの段落【0043】の「仮想サーバ制御装置101は,仮想サーバを制御する装置であり,後述する第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bといった仮想サーバを制御する。仮想サーバ制御装置101は,スナップショット制御部112,スナップショット管理部113,(中略)及びスナップショット記憶部115を備えている。」との記載,同段落【0044】の「スナップショット制御部112は,仮想サーバのスナップショットをとる処理や記憶してあるスナップショットを仮想サーバにリストアして,スナップショットをとった状態に戻す処理を実行する。」との記載,同段落【0045】の「スナップショット管理部113は,後述する記憶部115に記憶するスナップショットを記憶する処理を実行したり,スナップショットをリストアする処理を実行したりする。」との記載,同段落【0047】の「スナップショット記憶部115は,第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bなどの仮想サーバのスナップショットを記憶する。ある仮想サーバの複数世代のスナップショットを記憶しておいてもよい。」との記載,同段落【0048】の「記憶部116は,仮想サーバのスナップショットの付加情報を記憶する記憶部である。付加情報とは,どの仮想サーバのスナップショットかを特定する情報と,スナップショットを記憶した時刻を特定する情報と,スナップショット記憶部115に記憶されるスナップショットを特定する情報である。」との記載からすると,「仮想サーバ制御装置」は「仮想サーバ」の「スナップショット」をとる処理,記憶する処理,「仮想サーバ」にリストアする処理を実行することが読み取れ,また,上記(イ)より「業務システム」は「仮想サーバ」で動作するから,引用例1には,“業務システムが動作する仮想サーバのスナップショットをとり,記憶し,仮想サーバにリストアする仮想サーバ制御装置”が記載されていると解される。

(エ)上記Bの段落【0019】の「運用管理サーバ100は,ポリシ管理部103,(中略)設定変更管理部106(中略)を有する。」との記載,同段落【0020】の「ポリシ管理部103は,運用管理サーバ100の管理対象が満たすべきポリシを管理する処理部である。(中略)ポリシとは,管理対象が満たすべき条件や,条件と当該条件を満たした場合に実行する処理の組み合わせである。例えば,後述するポリシテーブル400に示すように,最新のセキュリティパッチが常にあたった状態にあること,といったようなポリシである。」との記載,同段落【0022】の「設定変更管理部106は,業務実行サーバ102や第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bなどの運用管理対象となる計算機の設定情報の変更情報を管理する。」との記載,同段落【0027】の「設定変更テーブル300は,運用管理サーバ100が管理する第1仮想サーバや第2仮想サーバといった管理対象の設定変更を特定する情報を記憶するテーブルである。ここで,設定変更を特定する情報とは,管理対象の設定情報や構成情報を変更する処理を特定する情報である。例えば,設定情報値の変更や,セキュリティパッチなどのモジュールの適用,アプリケーションの追加・削除,システム構成の変更などを特定する情報である。」との記載,同段落【0029】の「設定変更管理部106は,入力された情報を記憶部110の設定変更テーブル300に記憶する。」との記載,同段落【0030】の「ポリシテーブル400は,運用管理サーバ100が管理する第1仮想サーバや第2仮想サーバといった管理対象が満たすべきポリシを記憶するテーブルである。ここで,ポリシとは,例えば,セキュリティポリシや,サービスレベルを表すポリシなどである。」との記載からすると,「運用管理サーバ」は「設定変更(例えば,セキュリティパッチの適用)」及び「ポリシ(例えば,セキュリティポリシやサービスレベル)」を管理していることが読み取れるから,引用例1には,“適用するセキュリティパッチやポリシを管理する運用管理サーバ”が記載されていると解される。

(オ)上記Bの段落【0019】の「運用管理サーバ100は(中略)ロールバック制御部105(中略)を有する。」との記載,上記Gの段落【0097】の「ロールバック制御部105は,スナップショット付加情報テーブル200からスナップショットS1を特定し」との記載,同段落【0098】の「ステップ1204におけるスナップショットS1を特定するとは,スナップショット付加情報テーブル200に記憶された仮想サーバXに関するスナップショットを特定することである。具体的には(中略)仮想サーバ欄202に仮想サーバ#1が記憶された行を特定し,当該行のスナップショット欄203に記憶された情報をスナップショットS1として記憶する。」との記載からすると,「運用管理サーバ(ロールバック制御部)」が,対象の「スナップショット」を特定して記憶することが読み取れ,また,上記Dの段落【0047】の「スナップショット記憶部115は,第1仮想サーバ117Aや第2仮想サーバ117Bなどの仮想サーバのスナップショットを記憶する。ある仮想サーバの複数世代のスナップショットを記憶しておいてもよい。」との記載及び上記(ウ)での検討より,「スナップショット」は「仮想サーバ制御装置(スナップショット記憶部)」に記憶されるものであると解されることから,引用例1には,“仮想サーバ制御装置に記憶されたスナップショットの中から対象のスナップショットを特定して記憶する運用管理サーバ”が記載されていると解される。

(カ)上記Fの段落【0090】の「ここでは,第1の仮想サーバにポリシに合致する設定変更があるたびに第2の仮想サーバにより第1の仮想サーバのスナップショットを読み込み当該変更処理を適用しスナップショットを記憶する処理を実行し」との記載,上記Gの段落【0097】の「ロールバック制御部105は,スナップショット付加情報テーブル200からスナップショットS1を特定し,スナップショット制御部111を介してスナップショットS1を用いて仮想サーバYをロールバックする(ステップ1204)。」との記載,同段落【0100】の「また,ステップ1204においてスナップショットS1を用いたロールバックをする仮想サーバYは,ステップ1202における仮想サーバXと異なる仮想サーバである。仮想サーバYは,ステップ1204において新たに起動してもよいし,既に起動している仮想サーバの中から特定してもよい。」との記載,同段落【0101】の「さらに,仮想サーバYが稼働する業務実行サーバ102は,仮想サーバXが稼働する業務実行サーバ102と同じでもよいし,異なっていてもよい。」との記載,同段落【0103】の「ここでの処理を仮想サーバXが仮想サーバ#1として具体的に説明すると,スナップショット負荷情報テーブル200を検索して,仮想サーバ欄202を検索して仮想サーバ#1が記憶されている行を特定し,当該行のスナップショット欄203に記憶されたスナップショット#1とスナップショット#4とをスナップショットS1とする。仮想サーバ#1と同じ構成の仮想サーバである仮想サーバ#4と仮想サーバ#5とを新たに起動する。次に,仮想サーバ#4をスナップショット#1を用いてロールバックし,仮想サーバ#5をスナップショット#4を用いてロールバックする。」との記載からすると,「運用管理サーバ(ロールバック制御部)」が,「第1仮想サーバ」とは別に,「第1仮想サーバ」と同じ構成の「第2仮想サーバ」を新たに起動し,新たに起動した「第2仮想サーバ」に,「第1仮想サーバ」の「スナップショット」を用いてリストアしてロールバックすること,また,これら一連の処理を,「ポリシ」に合致する「設定変更」がある度に行うことが読み取れるから,引用例1には,“ポリシに合致する設定変更がある度に,第1仮想サーバと同じ構成の第2仮想サーバを新たに起動させて,(先に特定し記憶した)スナップショットを用いて新たに起動させた第2仮想サーバにリストアする運用管理サーバ”が記載されていると解される。

(キ)上記Bの段落【0019】の「運用管理サーバ100は(中略)設定配布部107(中略)を有する。」との記載,同段落【0023】の「設定配布部107は,業務実行サーバ102,第1仮想サーバ117A,第2仮想サーバ117Bなどの運用管理対象となる計算機の設定情報を配布する。例えば,設定配布部107がある設定情報を送受信部109と送受信部120Aを介して設定管理部119Aに送信すると,設定管理部119Aは設定記憶部118Aを受信した設定情報に書き換える。」との記載,上記Eの段落【0052】の「設定管理部119Aは,設定記憶部118Aに記憶された第1仮想サーバ117Aの設定情報の設定処理や変更処理を実行する。」との記載,上記Hの段落【0105】の「ロールバック制御部105は,設定配布部107を介して仮想サーバYに設定変更Cを適用してロールフォワードする(ステップ1205)。ここでの処理を仮想サーバXが仮想サーバ#1としスナップショットS1をスナップショット#1とスナップショット#4とし,仮想サーバYをスナップショット#1とスナップショット#4と対応させてそれぞれ仮想サーバ#4と仮想サーバ#5とし,設定変更CをセキュリティパッチSPの適用として,具体的に説明する。ロールバック制御部105は,設定配布部107を介して,仮想サーバ#4にセキュリティパッチSPを適用する。また,同様に設定配布部107を介して,仮想サーバ#5にセキュリティパッチSPを適用する。」との記載からすると,「運用管理サーバ(ロールバック制御部)」が,「スナップショット」をリストアした「第2仮想サーバ」に「設定情報」を送信して当該「設定変更(例えば,セキュリティパッチの適用)」を実行することが読み取れるから,引用例1には,“リストアした第2仮想サーバに対してセキュリティパッチを送信してセキュリティパッチを適用する運用管理サーバ”が記載されていると解される。

(ク)上記Hの段落【0107】の「ロールバック制御部105は,スナップショット制御部112を介して,仮想サーバYのスナップショットS2を記憶する」との記載,同段落【0108】の「ロールバック制御部105は,スナップショット管理部113を通して,スナップショット記憶部115にスナップショットS2を記憶し」との記載,同段落【0109】の「スナップショットS2は,仮想サーバXのスナップショットS1に設定変更Cが適用されたスナップショットとして記憶されている。」との記載からすると,「運用管理サーバ(ロールバック制御部)」が,「設定変更(例えば,セキュリティパッチの適用)」処理を実行した後の,「第2仮想サーバ」の「スナップショット」を,「仮想サーバ制御装置(スナップショット記憶部)」に記憶することが読み取れるから,引用例1には,“セキュリティパッチを適用した後の第2仮想サーバのスナップショットを仮想サーバ制御装置に記憶させる運用管理サーバ”が記載されていると解される。

ウ 以上,(ア)-(ク)で示した事項から,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「運用管理サーバ,仮想サーバ制御装置,業務実行サーバ及び運用管理端末,それらがネットワークを介して相互に接続する情報処理システムであって,
セキュリティパッチを適用する機能を備える第1仮想サーバや第2仮想サーバを備え,業務システムが仮想サーバ上で動作する計算機である業務実行サーバと,
前記業務システムが動作する仮想サーバのスナップショットをとり,記憶し,前記仮想サーバにリストアする仮想サーバ制御装置と,
適用するセキュリティパッチやポリシを管理し,
前記仮想サーバ制御装置に記憶された前記スナップショットの中から対象のスナップショットを特定して記憶し,
前記ポリシに合致する設定変更がある度に,前記第1仮想サーバと同じ構成の前記第2仮想サーバを新たに起動させて,前記スナップショットを用いて新たに起動させた前記第2仮想サーバにリストアし,
リストアした前記第2仮想サーバに対して前記セキュリティパッチを送信して前記セキュリティパッチを適用し,
前記セキュリティパッチを適用した後の前記第2仮想サーバの前記スナップショットを前記仮想サーバ制御装置に記憶させる,運用管理サーバと,
を有する情報処理システム。」

(2-2)参考文献1に記載されている技術的事項

本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2005-182588号公報(平成17年7月7日出願公開,以下,「参考文献1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

J 「【0008】
しかし,バックアップデータは大量にあるため,各バックアップデータがストレージ装置にリストア可能か否かをチェックし,リストア可能なバックアップデータを探し出すのは容易ではなかった。さらに,所望のバックアップデータがリストア不可の場合,ストレージ装置の構成を,バックアップ時のリストア可能な状態に戻すのは困難な場合があった。例えば,ストレージ装置の構成変更が何回も行われている場合は,ストレージ装置の構成をバックアップ時の状態に戻すことが不可能なこともある。この場合,バックアップデータを利用することができなくなる。つまり,従来,バックアップデータを有効活用するためには,バックアップデータのストレージ装置へのリストアの可否について,頻繁にチェックする必要があった。これは,管理者にとって,負担が大きかった。
…(中略)…
【0010】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため,本発明では,以下の構成を採用した。すなわち,本発明の装置は,ストレージ装置のバックアップデータを管理するバックアップデータ管理装置であって,前記ストレージ装置のバックアップ時の構成に関するバックアップ時構成情報を含む所定のカタログを記憶するカタログ記憶部と,前記ストレージ装置の構成に関する構成情報を入力する構成情報入力部と,ユーザからの判断指示とは無関係な所定のタイミングで,前記バックアップ時構成情報と,前記構成情報とを比較して,前記バックアップデータの前記ストレージ装置へのリストアの可否を判断する判断部と,を備えることを要旨とする。
【0011】
構成情報には,ストレージ装置のディスク構成や,ボリューム構成や,ボリューム内のデータの属性情報や,物理-論理マッピングなどが含まれる。構成情報入力部は,例えば,構成情報を保持するストレージ装置から読み込むようにすることができる。ユーザによって入力するようにしてもよい。また,構成情報を保持するストレージ管理装置から読み込むようにしてもよい。
【0012】
本発明によって,ユーザ,例えば,ストレージシステムの管理者からの判断指示の入力を待たずに,バックアップデータがストレージ装置にリストア可能か否かを自動的に判断することができる。したがって,ストレージ装置のバックアップデータの管理に関し,管理者の管理負担を軽減することができる。また,バックアップデータのリストアの可否のチェック忘れによって,バックアップデータの有用性が損なわれるのを抑制することができる。」

上記Jの記載からすると,参考文献1には,
「バックアップデータとして構成情報も合わせて管理すること」が記載されているものと認められる。

(2-3)参考文献2に記載されている技術的事項

本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2008-243123号公報(平成20年10月9日出願公開,以下,「参考文献2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

K 「【0006】
しかしながら,上記従来技術では,1つのハードウェアによる装置のバックアップを行うことが目的とされており,複数のハードウェアといった構成からなるシステムをバックアップするには,依然として,複雑なシステム構築を一から行う必要が生じる。そして,システム復旧の際には,必要なハードウェアを把握したり,ハードウェア間の関係を認識するなど,システム規模が膨大になるほど作業は困難となり,労力及びコストがかかる,という問題が生じる。
…(中略)…
【0012】
上記発明によると,物理的なハードウェアや論理的なハードウェアを複数備えたバックアップ対象システムから,蓄積データと,システムを作動させる基盤ソフトウェアと,システムの構成を表すシステム構成情報と,がバックアップされる。従って,後に,バックアップされたシステム構成情報を用いることで,複数のハードウェアからなる複雑なシステムの構成を容易に復元することができる。そして,この復元されたシステムの構成に,同様にバックアップされた基盤ソフトウェアと蓄積データとを復元することで,システム全体を復元することができる。このとき,上記システム構成情報を参照して復元を行うことができるため,バックアップ対象システムとは異なるハードウェア構成に対しても容易に復元することができる。
…(中略)…
【0014】
また,システム構成情報は,予めバックアップ対象システム内に記憶された当該バックアップ対象システムを実現可能なハードウェアの性能を表す情報を含む,ことを特徴としている。これにより,復元先となるシステムの必要性能を認識することができるため,作動可能なようシステムを構築でき,復元の確実性が増す。
…(中略)…
【0040】
まず,システム構成情報収集処理部11(システム構成収集手段)は,バックアップ元システム1の複数のハードウェア51?55による構成を表すシステム構成情報を収集し,システム構成情報データベース31に格納する機能を有する。このとき,バックアップ元システム1の所定のハードウェアを介して収集したり,あるいは,各ハードウェアにアクセスして収集する。そして,例えば,収集されるシステム構成情報は,各ソフトウェアユニット61?64が動作しているハードウェアユニット51?54の機種やストレージユニット55さらには周辺機器などの情報,ハードウェア51?55相互間のシステム内ネットワークにおける接続情報,外部ネットワークNとの接続に用いるネットワーク資源の情報,ソフトウェアユニットが依存するデータの配置などの情報,といった現状のハードウェア仕様を表す情報である。さらに,具体的には,コンピュータのCPUの種別・個数・メモリ構成,各コンピュータのネットワークインタフェース( 種別・動作速度等を含む)・アドレス,各コンピュータのストレージインタフェース・接続ストレージ,ネットワークを構成するハブやスイッチの種別・構成,外部データやファイルシステムのマウント状況,ストレージ装置が提供するデータ領域の容量や識別名,などの情報が,システム構成情報として収集される。なお,上記システム構成情報には,各ソフトウェアユニットが実行に必要とする予め定められた最低限あるいは標準的なハードウェアの性能を表す諸元情報などが含まれていてもよい。この情報は,例えば,ソフトウェアユニット内などバックアップ元システム5内に予め記憶されている情報である。」

上記Kの記載からすると,参考文献2には,
「システム構成情報も合わせてバックアップすること」が記載されているものと認められる。

(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「業務システム」は,上記Eの段落【0051】の記載から,ネットワーク上で業務サービスを提供するシステムと解される。また,引用発明では「業務システムが動作する仮想サーバ」の「スナップショット」をとることから,引用発明の「業務システムが動作する仮想サーバ」は“バックアップ対象”とみることができる。
一方,本件補正発明の「バックアップクライアントを含むシステム」は,本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0019】の「バックアップ対象システム30は,バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアント30を含み,」との記載からみて,“バックアップ対象”とみることができるから,引用発明の「業務システムが動作する仮想サーバ」は,本件補正発明の「バックアップクライアントを含むシステム」に相当するといえる。

(イ)引用発明の「セキュリティパッチを適用する機能」は,「ポリシに合致する設定変更がある度に」,「セキュリティパッチ」を適用するところ,適用する「セキュリティパッチ」は「ポリシに合致する設定変更」としては最新のものであると解されることから,当該機能を実行することで対象のセキュリティ状態は最新化されるといえる。
また,引用発明の「仮想サーバ制御装置」は,「業務システムが動作する仮想サーバ」の「スナップショット」を「とり,記憶し,仮想サーバにリストアする」ものであるから,「スナップショット」というデータを管理しているといえる。
さらに,引用発明の「運用管理サーバ」は,「適用するセキュリティパッチやポリシを管理」することから,セキュリティ状態を最新化する「業務システムが動作する仮想サーバ」のデータを管理しているといえる。
そうすると,引用発明の「仮想サーバ制御装置」と「運用管理サーバ」とをまとめたものは,本件補正発明の「バックアップ管理装置」に対応し,後記する点で相違するものの,“セキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのデータを管理する”という点で共通するといえる。

(ウ)引用発明の「運用管理サーバ」は「適用するセキュリティパッチやポリシを管理」するところ,上記(イ)のとおり,「セキュリティパッチ」を適用することで適用対象のセキュリティ状態が最新化され,また,最新化の契機として「ポリシ」を利用しているから,当該「セキュリティパッチやポリシ」はセキュリティ状態を“最新化するための情報”といえる。
そうすると,引用発明の「運用管理サーバ」は,実質的に「業務システムが動作する仮想サーバ」のセキュリティ状態を“最新化するための情報”を管理する手段を有しているといえるから,引用発明の「運用管理サーバ」と本件補正発明の「バックアップ管理装置」とは,“前記システムを最新化するための情報を管理する管理手段”を備える点で一致する。

(エ)引用発明の「仮想サーバ制御装置」は,「前記業務システムが動作する仮想サーバのスナップショットをとり,記憶し,仮想サーバにリストアする」ところ,「業務システムが動作する仮想サーバ」に対して“前記システムのデータを取得し”ているといえる。
また,引用発明の「運用管理サーバ」は「仮想サーバ制御装置」に記憶された「スナップショット」の中から対象の「スナップショット」を特定して記憶しているところ,特定して記憶するとは,すなわち,取得しているということであるから,引用発明の「運用管理サーバ」は「スナップショット」という「業務システムが動作する仮想サーバ」に対して“前記システムのデータを取得し”ているといえる。

(オ)引用発明の「運用管理サーバ」が新たに起動させる「第2仮想サーバ」は,「業務システムが動作する仮想サーバ」をリストアするための仮想環境と解される。一方,本件補正発明の「仮想マシン」も,「バッククライアントを含むシステム」をリストアするための仮想環境と解されるから,引用発明において「運用管理サーバ」が新たに起動させる「第2仮想サーバ」は,本件補正発明の「仮想マシン」に相当するといえる。
また,引用発明の「運用管理サーバ」が「第2仮想サーバ」を新たに起動させるために,起動のための命令,すなわち“指示”をすることは自明である。
そうすると,引用発明の「運用管理サーバ」は,“前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムをリストアする”ものであるといえる。

(カ)引用発明においては,「運用管理サーバ」によってリストアされた「業務システムが動作する仮想サーバ」への「セキュリティパッチ」の送信を契機として,「第2仮想サーバ」にリストアした「業務システムが動作する仮想サーバ」が「セキュリティパッチ」を適用しているから,「運用管理サーバ」がリストアされた「業務システムが動作する仮想サーバ」へ「セキュリティパッチ」を送信することは,リストアされた「業務システムが動作する仮想サーバ」に対して「セキュリティパッチ」の適用を指示していることと同義であると解される。
そして,上記(イ)のとおり,「セキュリティパッチ」は「第2仮想サーバ」にリストアした「業務システムが動作する仮想サーバ」を最新化するための情報と解され,また,「セキュリティパッチ」を適用することで最新化されたセキュリティ状態が確保されると解される。
そうすると,引用発明の「運用管理サーバ」は,“前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保”するものであるといえる。

(キ)引用発明の「運用管理サーバ」が「仮想サーバ制御装置」に記憶させる「スナップショット」は,リストアした「業務システムが動作する仮想サーバ」にセキュリティパッチを適用した後の「第2仮想サーバ」,すなわち,セキュリティ状態が最新化された「業務システムが動作する仮想サーバ」がリストアされた「第2仮想サーバ」であると解される。
そうすると,引用発明の「仮想サーバ制御装置」は,“最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンのデータを格納”するものであるといえる。

(ク)上記(イ)での検討より,引用発明の「仮想サーバ制御装置」と「運用管理サーバ」とをまとめたものは,本件補正発明の「バックアップ管理装置」に対応するといえるが,上記(エ)-(キ)の検討より,引用発明の「仮想サーバ制御装置」と「運用管理サーバ」とをまとめたものは,実質的に,“バックアップクライアントを含むシステム”である「業務システムが動作する仮想サーバ」を“最新化してセキュリティ状態を確保し,最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンのデータを格納する”こと,すなわち,“バックアップ”する手段を有しているといえる。
そうすると,引用発明の「仮想サーバ制御装置」と「運用管理サーバ」とをまとめたものと,本件補正発明の「バックアップ管理装置」とは,後記する点で相違するものの,“前記システムのデータを取得し,前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムをリストアするとともに,前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンのデータを格納するバックアップ手段”を備える点で共通するといえる。

イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

<一致点>
「セキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのデータを管理するバックアップ管理装置であって,
前記システムを最新化するための情報を管理する管理手段と,
前記システムのデータを取得し,前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムをリストアするとともに,前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンのデータを格納するバックアップ手段とを備えることを特徴とするバックアップ管理装置。」

<相違点1>
バックアップ手段が取得し,仮想マシンにリストアし,格納するシステムのデータに関し,本件補正発明は「システムのバックアップデータ」であるのに対して,引用発明は「業務システムが動作する仮想サーバ」の「スナップショット」である点。

<相違点2>
バックアップ手段が処理を実行するタイミングに関し,本件補正発明では「予め設定されたタイミング」とされているのに対して,引用発明では「ポリシ」に合致する「設定変更」がある度とされている点。

<相違点3>
システムと同じ構成を持つ仮想マシンの作成に関し,本件補正発明は「仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホスト」に「仮想マシン」を作成するのに対して,引用発明では仮想マシン(第2仮想サーバ)は「業務実行サーバ」上で稼働するものの,「仮想ホスト」に作成することについて言及されていない点。

(4)当審の判断

上記相違点1-3について検討する。

ア 相違点1について
引用発明では,「仮想サーバ制御装置」と「運用管理サーバ」とをまとめたものが,「業務システムが動作する仮想サーバ」の「スナップショット」を取得し,仮想マシンにリストアし,格納するところ,本件補正発明の「バックアップデータ」も引用発明の「スナップショット」もシステムをリストアすることを目的として取得するデータである点で一致する。
ここで,本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0060】の「バックアップデータには,一時マシン118を仮想マシンとして構成するために必要な業務マシン300のディスク容量やNICの数,CPU数,メモリ容量などの情報も含む」との記載や,段落【0074】の「一時マシン410のディスク容量やNICの数,CPU数,メモリ容量などの仮想ハードウェア構成は,最新化処理の対象となるバックアップデータに含まれる業務マシ300の情報を参照」との記載を参酌すると,本件補正発明の「バックアップデータ」はハードウェア構成を含み得るものである。
しかしながら,仮に本件補正発明の「バックアップデータ」にハードウェア構成が含まれ得るとしても,ハードウェアに関する構成情報をバックアップデータとして管理することは,参考文献1(上記Jを参照)や参考文献2(上記Kを参照)に記載されるように,本願出願前には当該技術分野における周知技術であった。
そうすると,引用発明において,「スナップショット」に「業務システムが動作する仮想サーバ」の構成情報を含むようにして,バックアップデータをバックアップ手段が取得し,仮想マシンにリストアし,格納するように構成することは当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
引用発明は,「業務システムが動作する仮想サーバ」をリストアして当該「業務システムが動作する仮想サーバ」に「セキュリティパッチ」を適用するという一連の処理を「ポリシに合致する設定変更がある度」に行うものであり,すなわち,当該一連の処理が行われるタイミングは予め定められているとも解されるから,本件補正発明と引用発明とは,システムをリストアして最新化する処理を「予め定められたタイミング」で行う点で実質的な差異はないといえる。
そこで,念のため本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0069】の「バックアップデータ最新化処理は,最新化処理起動制御手段180に予め設定されたタイミングで実行される。(中略)なお,バックアップデータ最新化処理は,上述のイベントが発生する度に毎回実行する必要はなく,複数回分をまとめて実行したり,一定間隔で周期的に実行したりしてもよい。」との記載を参酌すると,本件補正発明における「予め設定されたタイミング」とは,イベントの発生に対してどのような頻度でシステムをリストアして最新化する処理を実行するのか(毎回実行するのか,複数回まとめて実行するのか,一定間隔で実行するのか)を定めたものを含み得ると認められる。そして,仮に本件補正発明の「予め定められたタイミング」にこのような頻度を定めたものが含まれ得るとしても,引用発明において,「業務システムが動作する仮想サーバ」をリストアして当該「業務システムが動作する仮想サーバ」に「セキュリティパッチ」を適用するという一連の処理をどの程度の頻度で実行するかは,リストアした「業務システムが動作する仮想サーバ」のセキュリティレベルをどの程度確保したいかに応じて決めるべき設計的事項である。
そうすると,引用発明において,当該一連の処理を,ポリシに合致する設定変更がある度に実行することに代えて,複数回分をまとめて実行するか,一定間隔で周期的に実行するか,などと予め定められたタイミングで実行することは,当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について
引用発明では,新たに起動する第2仮想サーバは,第1仮想サーバとともに業務実行サーバ上で稼働するところ,仮想環境をどのように実現するか,また,仮想サーバを仮想ホストで稼働させるか物理ホストで稼働させるかは,当該技術分野における設計的事項であるから,引用発明において,仮想環境をハイパーバイザーで実現する仮想ホストに仮想サーバを新たに起動させることに,当業者にとっての格別の困難性を認めることはできない。

エ 小括
上記で検討したごとく,相違点1-3に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び,参考文献1,2に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 補正却下の決定のむすび

上記「2-1 目的要件」で指摘したとおり,上記補正事項の目的は請求項の削除,限定的減縮,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明の何れにも該当しないものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また,仮に本件補正に含まれる上記補正事項が限定的減縮を目的として補正されたとしても,上記「2-2 独立特許要件」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明
平成30年12月21日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成30年5月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「バックアップデータのセキュリティ状態を最新化する機能を有するバックアップクライアントを含むシステムのバックアップデータを管理するバックアップ管理装置であって,
前記システムを最新化するための情報を管理する管理手段と,
前記システムのバックアップデータを取得し,予め設定されたタイミングにおいて仮想環境のハイパーバイザーを備えた仮想ホストに対して前記システムと同じ構成を持つ仮想マシンを作成する指示を出し,作成された前記仮想マシンに前記システムのバックアップデータから前記システムをリストアするとともに,前記バックアップクライアントに対して前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化する指示を出し,前記システムを最新化するための情報に基づいて最新化された前記システムのバックアップデータを格納するバックアップ手段とを備えることを特徴とするバックアップ管理装置。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1-10に係る発明は,本願出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用例1: 特開2012-230721号公報

3 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された,引用発明は,前記「第2 平成30年12月21日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2 補正の適否」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は,前記「第2 平成30年12月21日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2 補正の適否」で検討した本件補正発明の発明特定事項である
「前記システムを最新化するための情報に基づいて前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,最新化された前記システムがリストアされた前記仮想マシンをバックアップデータとして格納するバックアップ手段」
から「前記仮想マシンにリストアされた前記システムを最新化してセキュリティ状態を確保し,」及び,「がリストアされた前記仮想マシンを」,との限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「第2 平成30年12月21日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2 補正の適否」の「(2)引用例」-「(4)当審の判断」に記載したとおり,引用発明,参考文献1,2に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記限定事項を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明,参考文献1,2に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-09-10 
結審通知日 2019-09-17 
審決日 2019-10-01 
出願番号 特願2014-60003(P2014-60003)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 啓介  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 辻本 泰隆
松平 英
発明の名称 バックアップ管理装置、クライアントサーバシステム、バックアップ管理方法およびバックアップ管理プログラム  
代理人 下坂 直樹  
代理人 机 昌彦  

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