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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1357190
審判番号 不服2017-18407  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-11 
確定日 2019-11-13 
事件の表示 特願2015-525402「ePDCCHサーチ空間のデザイン」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 6日国際公開、WO2014/021754、平成27年10月29日国内公表、特表2015-531201〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2013年(平成25年)1月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年8月3日 米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年2月26日 :特許協力条約第34条補正の翻訳文の提出
平成27年12月17日 :手続補正書の提出
平成28年7月4日付け :拒絶理由通知書
平成29年1月11日 :意見書,手続補正書の提出
平成29年8月3日付け :拒絶査定
平成29年12月11日 :拒絶査定不服審判の請求,手続補正書の提出
平成31年1月22日付け :拒絶理由通知書(当審)
平成31年4月8日 :意見書,手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1?16に係る発明は,平成31年4月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定されるものと認められるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「 【請求項1】
ユーザ装置において無線通信ネットワークにおける制御情報を受信するための方法であって、前記方法は、
物理リソースブロック(PRB)ペアの少なくとも2つのセットから構成される拡張制御領域を有するダウンリンク信号を受信すること(2010)を有し、各PRBペアは、オーバラップしていない物理レイヤービルディングブロックのグループから構成されており、
さらに、前記方法は、
分散された拡張制御チャネルエレメント(eCCE)のそれぞれを形成するために複数のPRBペアからの物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによってPRBペアの第1のセットから1つ以上の分散されたeCCEを形成すること(2020)と、
PRBペアの第2のセットにおける単一のPRBペア内からの物理レイヤービルディングブロックからローカライズドされたeCCEのそれぞれが形成されるよう物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによって前記PRBペアの第2のセットから1つ以上のローカライズドされたeCCEを形成すること(2030)と、
前記分散されたeCCEから第1の制御チャネルメッセージの候補を形成するともに、前記ローカライズドされたeCCEから第2の制御チャネルメッセージの候補とのそれぞれを形成すること(2050)と、
有効な制御チャネルメッセージをサーチするために前記第1および第2の制御チャネルメッセージの候補のそれぞれをデコードすること(2060)と
を有し、
前記物理レイヤービルディングブロックは拡張リソースエレメントグループ(eREG)であり、各eREGは8個または9個のリソースエレメントから構成されており、
前記分散されたeCCEから前記第1の制御チャネルメッセージの候補を形成し、前記ローカライズドされたeCCEから前記第2の制御チャネルメッセージの候補を形成すること(2050)は、前記ダウンリンク信号についてのサブフレーム番号と前記ユーザ装置についての無線ネットワークテンポラリー識別子(RNTI)とにしたがって開始eCCE位置が変化するように、前記拡張制御領域内での前記開始eCCE位置を決定することと、前記開始eCCE位置に始まるeCCEからいくつかの制御チャネルメッセージの候補を形成することとを含むことを特徴とする方法。」

第3 当審の拒絶理由通知の概要

当審拒絶理由の概要は,「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり,請求項1-20に対して,主引例として6若しくは7,副引例として8,2,4,9,3が引用されている。

<引用文献等一覧>
2.Sharp,ePDCCH DMRS,3GPP TSG-RAN WG1#68b R1-121353,[online],2012年3月20日(アップロード),pp.1-3,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg1_rl1/TSGR1_68b/Docs/R1-121353.zip
3.Panasonic, Sharp, NTT DOCOMO、Way forward on ePDCCH search space,3GPP TSG-RAN WG1#69 R1-122979,[online],2012年05月25日(アップロード),URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg1_rl1/TSGR1_69/Docs/R1-122979.zip
4.特開2012-5040号公報
6.Panasonic,Multiplexing of ePDCCHs and ePDCCH RE mapping,3GPP TSG RAN WG1#68b R1-121163,[online],2012年3月20日(アップロード),URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg1_rl1/TSGR1_68b/Docs/R1-121163.zip
7.NTT DOCOMO,Search Space Design for ePDCCH Transmission Schemes,3GPP TSG-RAN WG1#69 R1-122899,[online],2012年5月21日(アップロード),[検索日:2019.1.18],URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg1_rl1/TSGR1_69/Docs/R1-122899.zip
8.MediaTek Inc,Necessity of Multiplexing of Localized and Distributed ePDCCH Parts in the Same PRBs,3GPP TSG-RAN WG1#69 R1-122168,[online],2012年5月12日(アップロード),URL:URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg1_rl1/TSGR1_69/Docs/R1-122168.zip
9.特表2011-512769号公報

第4 引用発明等

1 引用発明

当審拒絶理由に引用されたPanasonic,Multiplexing of ePDCCHs and ePDCCH RE mapping(当審訳:ePDCCHの多重化とePDCCHのREマッピング),3GPP TSG RAN WG1#68b R1-121163,[online],2012年3月20日(アップロード),URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg1_rl1/TSGR1_68b/Docs/R1-121163.zip(以下,「引用例6」という。)には,以下の事項が記載されている。

(1)「
1 Introduction
(中略)
We propose to multiplex ePDCCHs within a PRB pair since one PRB pair is too large for containing single ePDCCH. This document discusses ePDCCH multiplexing scheme with respect to the ePDCCH content.
(中略)
Therefore, the multiplexing scheme should be designed to support localized transmission and distributed transmission.
2 Discussion
RE mapping of Localized transmission and Distributed transmission
ePDCCH multiplexing scheme should be designed to support localized transmission and distributed transmission. It should be discussed whether localized transmission and distributed transmission have commonality or not.
(中略)
Alternative 2: Similar RE mapping supports localized transmission and distributed transmission.
In Alternative 2, the number of REs per (e)CCE and (e)REG can be common between localized transmission and distributed transmission.
For distributed transmission and localized transmission, a common eCCE design is used as shown in Figure 1 (without the detailed RE mapping aspects). Both localized transmission and distributed transmission can be supported depending on the eCCE selection. The options for eCCE to RE mapping detail within a PRB pair are discussed late in this contribution.
For distributed allocation, an ePDCCH candidate is composed of eCCEs belonging to distributed PRB pairs. For localized allocation, an ePDCCH candidate is composed of eCCEs belonging to a PRB pair or neighbouring PRB pairs.


」(1ページ)

(当審訳:
1 序論
(中略)
1つのPRBペアは単一のePDCCHを含むには大きすぎるので,我々はPRBペア内にePDCCHを多重化することを提案する。この文書は,ePDCCHコンテンツに関するePDCCH多重化方式について説明している。
(中略)
したがって,多重化方式は,ローカライズド送信及び分散送信をサポートするように設計する必要がある。
2 討論
ローカライズド送信と分散送信のREマッピング
ePDCCH多重化方式は,ローカライズド送信及び分散送信をサポートするように設計されるべきである。ローカライズド送信及び分散送信が共通性を有するかどうかについて議論されるべきである。
(中略)
代替案2:同様のREマッピングが,ローカライズド送信及び分散的送信をサポートする。
代替案2では,(e)CCE及び(e)REGあたりのREの数は,ローカライズド送信と分散送信との間で共通であり得る。
図1に示すように分散送信及びローカライズド送信に対して,共通のeCCE設計が使用される(詳細なREマッピングの側面はない)。eCCEの選択によっては,ローカライズド送信及び分散送信の両方をサポートできる。PRBペア内でのeCCEのREへのマッピング詳細のオプションについては,本寄書の後半で説明する。
分散割り当てでは,ePDCCH候補は分散するPRBペアに属する複数のeCCEから構成される。ローカライズド割り当てでは,ePDCCH候補は1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEから構成される。
(図1は省略。)
)

(2)「
How to allocate the number of BD trials to localized transmission and distributed transmission
(中略)
Which candidates are assuming localised and which are assuming distributed transmission can be indicated by RRC signalling to UE specific. For example as shown in Figure 2, the usage of localized transmission and distributed transmission is indicated by the number of BD trials. In Figure 2, aggregation level 1 has 12 BD trials, aggregation level 2 has 12 BD trials, aggregation level 4 has 4 trials and aggregation level 8 has 4 BD trials. When BD trial #16 is indicated for switching potions of localized transmission and distributed transmission, UE monitors 12 BD trials for aggregation level 1 and 4 BD trials for aggregation level 2 as localized transmission, and 8 BD trials for aggregation level 2, 4 BD trials for aggregation level 4 and 4 trials for aggregation level 8 as distributed transmission.


」(2?3ページ)

(当審訳:
ローカライズド送信及び分散送信にBDの試行回数を割り当てる方法
(中略)
どの候補がローカライズド送信を仮定しており,どれが分散送信を仮定しているかは,UE固有のRRCシグナリングによって示すことができる。例えば,図2に示されるように,ローカライズド送信及び分散送信の使用は,BD試行の数によって示される。図2では,集約レベル1に12回のBD試行があり,集約レベル2に12回のBD試行があり,集約レベル4に4回の試行があり,集約レベル8に4回のBD試行がある。ローカライズド送信と分散送信との切り替え部分についてBD試行#16が示されるとき,UEは、ローカライズド送信として,集合レベル1について12回のBD試行,集合レベル2について4回のBD試行,分散送信として,集合レベル2について8回のBD試行,集合レベル4について4回のBD試行,及び集合レベル8について4回のBD試行を監視する。
(図2は省略。)
)

(3)「
RE mapping of eCCE
(中略)
Option 3: One eCCE consists of eREGs, each eREG contains 4 REs
(後略)」(3ページ)

(当審訳:
eCCEのREマッピング
(中略)
オプション3:1つのeCCEは複数のeREGで構成され,各eREGは4つのREを含む。
(後略))

(4)「
Multiplexing DL assignment and UL grant
In PDCCH, DL assignment and UL grant are configured on the same search space. In this approach, DCI format 0/1A cost the same blind decoding, which is suitable to keep the number of blind decoding (BD) trials small. In R-PDCCH, DL assignment and UL grant have different search spaces with respect to the detailed T/F resources. This increases the number of BD trials. Therefore if DCI format 0/1A are supported on ePDCCH, we propose to use the PDCCH search space approach, i.e.DCI format 0/1A are monitored by one BD trial. However, transmission mode specific DL DCI format and DCI format 0 should be packed on same PRB pairs in order to reduce the number of PRB pair usage for ePDCCH. Therefore, transmission mode specific DL DCI format and DCI format 0 should be able to be monitored on different eCCEs in the same PRB pair.
」(4ページ)

(当審訳:
DL割り当て及びUL許可の多重化
PDCCHでは,DL割り当て及びUL許可は同じサーチスペース上に構成される。このアプローチでは,DCIフォーマット0/1Aは同じブラインド復号化を要し,これはブラインド復号化(BD)試行の数を少なくするのに適している。R-PDCCHでは,詳細なT/Fリソースに関して,DL割り当てとUL許可とは異なるサーチスペースを有する。これによりBDの試行回数が増加する。したがって,DCIフォーマット0/1AがePDCCH上でサポートされる場合,我々はPDCCHサーチスペースアプローチを使用することを提案する,すなわちDCIフォーマット0/1Aは1回のBD試行によって監視される。しかしながら,ePDCCHのためのPRBペア使用の数を減らすために,送信モード固有のDL DCIフォーマット及びDCIフォーマット0は同じPRBペア上にパックされるべきである。したがって,送信モード固有のDL DCIフォーマットとDCIフォーマット0は,同じPRBペア内の異なるeCCEで監視できるはずである。)

引用例6の上記記載及びこの分野における技術常識を考慮すると,次のことがいえる。

ア 上記(1),(2)の記載によれば,UEはePDCCHに係るローカライズド送信及び分散送信の受信をサポートしているといえ,ePDCCHは拡張物理ダウンリンク制御チャネルであるから,図1のeCCE0?15で表される部分は拡張制御領域といえる。したがって,UEが拡張制御領域を有するダウンリンク信号を受信することは当業者に明らかである。
そして,上記(1)の記載によれば,分散送信に係る分散割り当てでは,ePDCCH分散候補は分散するPRBペアに属する複数のeCCEから構成され,ローカライズド送信に係るローカライズド割り当てでは,ePDCCHローカライズド候補は1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEから構成されるものである。
また,上記(1)の図1によれば,各PRBペアはオーバラップしていない4個のeCCEから構成されることが見て取れ,上記(3)の記載によれば,1つのeCCEは複数のeREGで構成され,各eREGには4つのREが含まれるものであるから,各PRBペアは,オーバーラップしていない複数のeREGから構成されているといえ,分散するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成され,1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成されているといえる。
したがって,引用例6には「PRBペアの少なくとも2つのセットから構成される拡張制御領域を有するダウンリンク信号を受信することを有し,各PRBペアは,オーバラップしていないeREGから構成されている」こと,「分散するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成され,1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成されている」こと,「分散するPRBペアに属する複数のeCCEからePDCCH分散候補を形成するとともに,1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEからePDCCHローカライズド候補を形成する」ことが記載されているといえる。

イ 上記(2),(4)の記載によれば,UEはePDCCH分散候補及びePDCCHローカライズド候補に対してBDの試行を行っており,BDがブラインドデコーディングを意味するものであり有効なDCIをサーチするためのものであることは当業者における技術常識である。
したがって,引用例6には「有効なDCIをサーチするために前記ePDCCH分散候補およびePDCCHローカライズド候補のぞれぞれをBD(ブラインドデコーディング)試行すること」が記載されているといえる。

ウ 上記(3)に記載のとおり,引用例6には「各eREGは4個のリソースエレメントから構成されている」ことが記載されている。

エ 上記ア?ウのとおりであり,ePDCCHはeNBからUEに対するDCIを運ぶ拡張物理ダウンリンク制御チャネルであるから,引用例6には「UEにおいて無線通信ネットワークにおけるDCIを受信するための方法」が記載されているといえる。

以上を総合すると,引用例6には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「UEにおいて無線通信ネットワークにおけるDCIを受信するための方法であって,
前記方法は,
PRBペアの少なくとも2つのセットから構成される拡張制御領域を有するダウンリンク信号を受信することを有し,前記各PRBペアは,オーバラップしていないeREGから構成されており,
分散するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成され,1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成されており,
前記分散するPRBペアに属する複数のeCCEからePDCCH分散候補を形成するとともに,前記1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEからePDCCHローカライズド候補を形成することと,
有効なDCIをサーチするために前記ePDCCH分散候補および前記ePDCCHローカライズド候補のぞれぞれをBD(ブラインドデコーディング)試行することと
を有し,
前記eREGは4個のリソースエレメントから構成されている,方法。」

2 引用例8

当審拒絶理由に引用された,MediaTek Inc,Necessity of Multiplexing of Localized and Distributed ePDCCH Parts in the Same PRBs(当審訳:同一の複数のPRBにおけるローカライスド及び分散ePDCCHパーツの多重化の必要性),3GPP TSG-RAN WG1#69 R1-122168,[online],2012年5月12日(アップロード),URL:URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg1_rl1/TSGR1_69/Docs/R1-122168.zip(以下,「引用例8」という。)には以下の事項が記載されている。

(1)「


Figure 2-1: Example illustration of physical resources utilization in ePDCCH without the support of the multiplexing of distributed and localized ePDCCHs with a PRB-pair」(2ページ)

(当審訳:
(図略)
図2-1:PRBペアを用いた分散及びローカライズされたePDCCHの多重化をサポートしていないePDCCHにおける物理リソース使用の例)

上記(1)図2-1より,分散されたePDCCHのeCCEは複数のPRBペアからのeREGをアグリゲーションすることによって形成され,ローカライズされたePDCCHのeCCEは単一のPRBペアからのeREGをアグリゲーションすることによって形成されることが見て取れる。したがって「分散されたePDCCHのeCCEは複数のPRBペアからのeREGをアグリゲーションすることによって形成され,ローカライズされたePDCCHのeCCEは単一のPRBペアからのeREGをアグリゲーションすることによって形成される。」ことは,公知技術(以下,「公知技術1」という。)であるといえる。

3 引用例2

当審拒絶理由に引用された,Sharp,ePDCCH DMRS,3GPP TSG-RAN WG1#68b R1-121353,[online],2012年3月20日(アップロード),pp.1-3,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg1_rl1/TSGR1_68b/Docs/R1-121353.zip(以下,「引用例2」という。)には以下の事項が記載されている。

(1)「
(前略)
2.2 ePDCCH logical structure
(中略)
Thus we can assume that an eREG for a UE is allocated on one of the RB within the above four separated RBs and an eCCE consists of four eREGs in a typical case. Since the number of REs in the ePDCCH is similar to the number of REs in the PDCCH. In this case, the size of each eREG is around 9 REs since the size of eCCE is similar to the size of CCE, i.e. 36REs, in legacy PDCCH.
(後略)」(1,3ページ)

(当審訳:
(前略)
2.2 ePDCCH論理構造
(中略)
したがって,我々は,1つのUEのための1つのeREGが上記の4つの分離されたRBのうちの1つのRBに割り当てられ,1つのeCCEが典型的な場合には4つのeREGからなると仮定することができる。ePDCCH内のREの数はPDCCH内のREの数と同様であるからである。この場合,eCCEのサイズはレガシーPDCCHにおけるCCEのサイズと同様である,すなわち36REであるため,各eREGのサイズは約9REである。
(後略))

上記摘記事項から,引用例2には「各eREGは約9個のREから構成される。」ことは,公知技術(以下,「公知技術2」という。)である。

4 周知技術

当審拒絶理由に引用された,特開2012-5040号公報(以下,「周知例1」という。)には以下の事項が記載されている。

(1)「【0007】
3)PDCCHを割り当てることのできる領域(サーチ領域)は、セル無線ネットワーク一時識別子(C-RNTI:Cell-Radio Network Temporary Identity)、送信サブフレーム番号、PDCCH候補番号、物理CCE数、アグリゲーションレベルを用いて、規定された数式で算出することで決まる。(数式は省略する)。ここで、各々の要素は以下である。
【0008】
ア.無線ネットワーク一時識別子:基地局装置が使用可能な識別子から割り当てる情報である。
イ.送信サブフレーム番号:サブフレーム(LTEでは1msec)毎に付与される時間番号0?9(LTEでは10msec周期)である。
ウ.PDCCH割り当てに使用可能な物理CCE数:帯域全体のRE(Resource Element)をREG(Resource Element Group)で区切り、さらにCCEで区切った時に確保できる物理的なCCEの数である。
エ:アグリゲーションレベル:前述した制御信号を割り当てるために使用されるCCEの数を定義したものである。」

当審拒絶理由に引用された,特表2011-512769号公報(以下,「周知例2」という。)には以下の事項が記載されている。

(2)「【0059】
以下では、本発明の他の実施形態として、PDCCH検索のための開始位置生成時に、識別番号に基づく初期入力値を用いて開始位置を直接生成して利用する方法について説明する。具体的には、以下において、本発明の好適な一実施形態を第1実施形態とし、それと類似の原理に基づいて具現可能な別の実施形態を、第2乃至第4実施形態として説明する。
(中略)
【0079】
第4実施形態
上記第1乃至第3実施形態と異なる方式でPDCCH検索のための探索空間の開始位置を算定する第二の方式であり、本実施形態では下記の数式を用いることを提案する。
(中略)
【0085】
本発明の各実施形態は、UEと基地局間におけるPDCCHデコーディング領域のランダム化効果のためのものであり、基地局と基地局間のランダム化効果は考慮する理由がないので、UE識別番号(例えば、C-RTNI、臨時-RNTI(temporary-RNTI)等)のようなUEを区別するID値を初期値として選定することができる。特に、下記の情報全部またはそれらの組み合わせで初期値を構成することも可能である。
【0086】
1.UE ID
2.CCE集合レベル(LCCE)
3.サブフレーム番号(またはスロット番号)
【0087】
本発明によれば、上記のように、ID依存乱数(ID dependent random number)を無線フレームタイミングに合わせて数列として生成するとする時、サブフレームごとに異なる初期値を入力して開始位置値を生成することもでき、無線フレームタイミングに合わせて一度開始位置値を生成し、生成された開始位置値または中間係数を用いて新しいID依存乱数を生成することもできる。」

上記(1),(2)記載並びに当業者の技術常識を考慮すると,「サブフレーム番号とUE識別番号(RNTI等)の組み合わせを用いて,PDCCH検索のための開始位置を決定する。」ことは,周知技術(以下,「周知技術1」という。)であるといえる。

なお,引用例6を主引例としたので、引用例7は割愛する。また,引用例3は「1つのPRBペア集合が,分散されたeCCE及び局所化されたeCCEを含むこと」を示すためのものであったが,本願発明は当該構成を有していないので,引用例3も割愛する。

5 対比

本願発明と引用発明とを対比すると,以下のことがいえる。

(1)本願発明の「ユーザ端末」と引用発明の「UE」は,表記が異なるのみであって差違はなく,そして、引用発明の「DCI」はダウンリンクコントロールインフォメーションであるから「制御情報」であるといえる。
そうすると,引用発明の「UEにおいて無線通信ネットワークにおけるDCIを受信するための方法」は,本願発明と同様に「ユーザ装置において無線通信ネットワークにおける制御情報を受信するための方法」といえる。

(2)引用発明の「eREG」は,本願発明の「拡張制御チャネルのための物理レイヤービルディングブロック」である「拡張リソースエレメントグループ(eREG)」に相当する。引用発明の「PRBペア」が複数のeREGから構成されていることは明らかであるから,引用発明の各PRBペアは「オーバーラップしていないeREGのグループから構成されている」といえる。
そうすると,引用発明の「PRBペアの少なくとも2つのセットから構成される拡張制御領域を有するダウンリンク信号を受信することを有し,各PRBペアは,オーバラップしていないeREGから構成され」ることは,本願発明の「物理リソースブロック(PRB)ペアの少なくとも2つのセットから構成される拡張制御領域を有するダウンリンク信号を受信することを有し、各PRBペアは、オーバラップしていない物理レイヤービルディングブロックのグループから構成され」ることに相当する。

(3)引用発明の「分散するPRBペア」を「PRBペアの第1のセット」と称し,引用発明の「1つのPRBペア又は隣接するPRBペア」を「PRBペアの第2のセット」と称することは任意である。そして「分散するPRBペアに属する複数のeCCE」は「分散されたeCCE」,「1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCE」は「ローカライズドされたeCCE」といえる。
したがって,本願発明の「分散された拡張制御チャネルエレメント(eCCE)のそれぞれを形成するために複数のPRBペアからの物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによってPRBペアの第1のセットから1つ以上の分散されたeCCEを形成すること(2020)と、PRBペアの第2のセットにおける単一のPRBペア内からの物理レイヤービルディングブロックからローカライズドされたeCCEのそれぞれが形成されるよう物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによって前記PRBペアの第2のセットから1つ以上のローカライズドされたeCCEを形成すること(2030)」と,引用発明の「分散するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成され,1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成されて」いることは,「分散された拡張制御チャネルエレメント(eCCE)のそれぞれを形成するためにPRBペアからの物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによってPRBペアの第1のセットから1つ以上の分散されたeCCEを形成することと、PRBペアの第2のセットにおける単一のPRBペア内からの物理レイヤービルディングブロックからローカライズドされたeCCEのそれぞれが形成されるよう物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによって前記PRBペアの第2のセットから1つ以上のローカライズドされたeCCEを形成する」点で共通している。

(4)PDCCHはDCIを運ぶものであり,本願発明の「制御チャネルメッセージ」は「ダウンリンク制御情報(DCI)メッセージ」を含むから,引用発明の「ePDCCH分散候補」,「ePDCCHローカライズド候補」をそれぞれ「第1の制御チャネルメッセージの候補」,「第2の制御チャネルメッセージの候補」と称することは任意である。
そうすると,引用発明の「前記分散するPRBペアに属する複数のeCCEからePDCCH分散候補を形成するとともに,前記1つのPRBペア又は隣接するPRBペアに属する複数のeCCEからePDCCHローカライズド候補を形成する」ことは,本願発明の「前記分散されたeCCEから第1の制御チャネルメッセージの候補を形成するともに、前記ローカライズドされたeCCEから第2の制御チャネルメッセージの候補とのそれぞれを形成する」ことに相当する。
また,引用発明の「有効なDCIをサーチするために前記ePDCCH分散候補および前記ePDCCHローカライズド候補のぞれぞれをBD(ブラインドデコーディング)試行すること」は,本願発明の「有効な制御チャネルメッセージをサーチするために前記第1および第2の制御チャネルメッセージの候補のそれぞれをデコードすること」に相当する。

(5)引用発明の「前記eREGは4個のリソースエレメントから構成されて」いることは,「前記物理レイヤービルディングブロックは拡張リソースエレメントグループ(eREG)であり、リソースエレメントから構成されて」いるといえる点で本願発明と共通する。

以上を総合すると,補正後の発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。

(一致点)
「ユーザ装置において無線通信ネットワークにおける制御情報を受信するための方法であって、前記方法は、
物理リソースブロック(PRB)ペアの少なくとも2つのセットから構成される拡張制御領域を有するダウンリンク信号を受信することを有し、各PRBペアは、オーバラップしていない物理レイヤービルディングブロックのグループから構成されており、
さらに、前記方法は、
分散された拡張制御チャネルエレメント(eCCE)のそれぞれを形成するためにPRBペアからの物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによってPRBペアの第1のセットから1つ以上の分散されたeCCEを形成することと、
PRBペアの第2のセットにおける単一のPRBペア内からの物理レイヤービルディングブロックからローカライズドされたeCCEのそれぞれが形成されるよう物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによって前記PRBペアの第2のセットから1つ以上のローカライズドされたeCCEを形成することと、
前記分散されたeCCEから第1の制御チャネルメッセージの候補を形成するともに、前記ローカライズドされたeCCEから第2の制御チャネルメッセージの候補とのそれぞれを形成することと、
有効な制御チャネルメッセージをサーチするために前記第1および第2の制御チャネルメッセージの候補のそれぞれをデコードすることとを有し、
前記物理レイヤービルディングブロックは拡張リソースエレメントグループ(eREG)であり、リソースエレメントから構成されている,こととを含むことを特徴とする方法。」

(相違点1)
一致点の「分散された拡張制御チャネルエレメント(eCCE)のそれぞれを形成するためにPRBペアからの物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによってPRBペアの第1のセットから1つ以上の分散されたeCCEを形成する」ことに関し,本願発明の分散されたeCCEは「複数のPRBペアからの物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによって形成される」のに対し,引用発明は「分散するPRBペアに属する複数のeCCEは複数のeREGで構成され」るものの,eCCEを構成する複数のeREGが異なるPRBペアからのものでない点。

(相違点2)
一致点の「拡張リソースエレメントグループ(eREG)」に関し、本願発明は「各eREGは8個または9個のリソースエレメントから構成され」るのに対し、引用発明では,「eREGは4個のリソースエレメントから構成される」ものであり,eREGを構成するリソースエレメントの個数が異なる点。

(相違点3)
一致点の「前記分散されたeCCEから第1の制御チャネルメッセージの候補を形成するともに、前記ローカライズドされたeCCEから第2の制御チャネルメッセージの候補とのそれぞれを形成すること」に関し,本願発明は更に「前記ダウンリンク信号についてのサブフレーム番号と前記ユーザ装置についての無線ネットワークテンポラリー識別子(RNTI)とにしたがって開始eCCE位置が変化するように、前記拡張制御領域内での前記開始eCCE位置を決定することと、前記開始eCCE位置に始まるeCCEからいくつかの制御チャネルメッセージの候補を形成する」との発明特定事項を有しているのに対し,引用発明では,上記発明特定事項を有していない点。

6 判断

(相違点1について)
公知技術1のとおり,「分散されたePDCCHのeCCEは複数のPRBペアからのeREGをアグリゲーションすることによって形成され,ローカライズされたePDCCHのeCCEは単一のPRBペアからのeREGをアグリゲーションすることによって形成される。」ことは公知技術であるから,引用発明の「分散するPRBペアに属する複数のeCCE」を,それぞれ「複数のPRBペアからの物理レイヤービルディングブロックをアグリゲーションすることによって形成される」eCCEとすることは,当業者が適宜なし得る事項といえる。

(相違点2について)
eREGを構成するREの個数は設計上の選択的事項にすぎないところ,公知技術2のとおり,例えば「各eREGは約9個のREから構成される。」ことは公知技術であるから,引用発明の「eREG」を「9個のREから構成される。」こととすることは,当業者が適宜なし得る事項といえる。

(相違点3について)
周知技術1のとおり,「ダウンリンク信号についてのサブフレーム番号とUE識別番号(RNTI等)の組み合わせを用いて,PDCCH検索のための開始位置を決定する。」ことは周知技術であり,引用発明においても「BDを行う」際,ダウンリンク信号についてのサブフレーム番号とUE識別番号(RNTI等)の組み合わせから,ePDCCH検索(BD)のための開始位置を決定するようにすることは,格別困難なことでない。したがって,相違点3の事項は当業者が容易になし得ることである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び公知技術1,2並びに周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものにすぎず,格別顕著なものとはいえない。

したがって,本願発明は,引用発明及び公知技術1,2並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

第5 むすび

以上のとおり,本願発明は,引用発明及び公知技術1,2並びに周知技術に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-06-13 
結審通知日 2019-06-18 
審決日 2019-07-01 
出願番号 特願2015-525402(P2015-525402)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三浦 みちる  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 本郷 彰
長谷川 篤男
発明の名称 ePDCCHサーチ空間のデザイン  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康弘  
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