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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1357398
審判番号 不服2018-12533  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-19 
確定日 2019-11-28 
事件の表示 特願2016-519305「端末装置、集積回路、および、無線通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月19日国際公開、WO2015/174504〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2015年(平成27年)5月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2014年5月16日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年 9月22日付け 拒絶理由通知書
平成29年11月20日 意見書、手続補正書の提出
平成29年12月 8日付け 拒絶理由通知書(最後)
平成30年 4月13日 意見書、手続補正書の提出
平成30年 6月12日付け 平成30年 4月13日にされた手続補正
についての補正の却下の決定、拒絶査定
平成30年 9月19日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提 出

第2 平成30年9月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年9月19日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の概要

本件補正は、平成29年11月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項4に記載された
「 端末装置の通信方法であって、
第1の情報に基づくサブフレームが属する第1のサブフレームセットと、前記サブフレームとは異なる第2の情報に基づくサブフレームが属する第2のサブフレームセットとの2つのサブフレームセットに関する設定情報を受信し、
前記設定情報に基づいて設定された前記2つのサブフレームセットのうちの何れかにおけるチャネル状態情報の報告要求を含む下りリンク制御情報が検出された場合には、チャネル状態情報参照リソースから導出される前記チャネル状態情報をサブフレームnで送信し、
前記チャネル状態情報参照リソースは、1つの下りリンクサブフレーム(n-n_(CQI ref))または1つのスペシャルサブフレーム(n-n_(CQI ref))で定義され、
前記2つのサブフレームセットが設定された場合において、前記n_(CQI ref)の値は、サブフレーム(n-n_(CQI ref))が下りリンクサブフレームまたはスペシャルサブフレームとして定義される場合において4以上で最小の値であり、前記サブフレーム(n-n_(CQI ref))は前記下りリンク制御情報が検出されたサブフレーム以降のサブフレームである、通信方法。」
との発明(以下、「本願発明」という。)を、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項3に記載された
「 端末装置の通信方法であって、
第1の情報に基づくサブフレームが属する第1のサブフレームセットと、前記サブフレームとは異なる第2の情報に基づくサブフレームが属する第2のサブフレームセットとの2つのサブフレームセットに関する設定情報を受信し、
前記設定情報に基づいて設定された前記2つのサブフレームセットのうちの何れかにおけるチャネル状態情報の報告要求を含む下りリンク制御情報が検出された場合には、チャネル状態情報参照リソースから導出される前記チャネル状態情報をサブフレームnで送信し、
前記チャネル状態情報参照リソースは、1つの下りリンクサブフレーム(n-n_(CQI ref))または1つのスペシャルサブフレーム(n-n_(CQI ref))で定義され、
前記2つのサブフレームセットが設定された場合において、前記n_(CQI ref)の値は、サブフレーム(n-n_(CQI ref))が有効な下りリンクサブフレームまたは有効なスペシャルサブフレームとして定義される場合において4以上で最小の値であり、前記サブフレーム(n-n_(CQI ref))は前記下りリンク制御情報が検出されたサブフレーム以降のサブフレームであり、
前記有効な下りリンクサブフレームおよび前記有効なスペシャルサブフレームは、以下の条件を少なくとも満たす:
(i)送信モード9および10以外の送信モードにおいて、MBSFNサブフレームではない;
(ii)7680/(15000×2048)秒と同じ、または、それより短い長さのDwPTSフィールドを含まない;
(iii)前記端末装置に対して設定された測定ギャップに含まれない;および
(iv)前記チャネル状態情報の報告に対応するサブフレームセットの要素である、
通信方法。」
との発明(以下、「本件補正発明」という。下線は、補正箇所を示す。)に補正することを含むものである。

2.補正の適否

(1)新規事項の有無、シフト補正の有無、補正の目的要件
上記補正は、本願発明の「前記2つのサブフレームセットが設定された場合において、前記n_(CQI ref)の値は、サブフレーム(n-n_(CQI ref))が下りリンクサブフレームまたはスペシャルサブフレームとして定義される場合において4以上で最小の値であり、前記サブフレーム(n-n_(CQI ref))は前記下りリンク制御情報が検出されたサブフレーム以降のサブフレームである、」における「下りリンクサブフレームまたはスペシャルサブフレーム」について、「有効な下りリンクサブフレームまたは有効なスペシャルサブフレーム」に限定するとともに、「前記有効な下りリンクサブフレームおよび前記有効なスペシャルサブフレームは、以下の条件を少なくとも満たす:
(i)送信モード9および10以外の送信モードにおいて、MBSFNサブフレームではない;
(ii)7680/(15000×2048)秒と同じ、または、それより短い長さのDwPTSフィールドを含まない;
(iii)前記端末装置に対して設定された測定ギャップに含まれない;および
(iv)前記チャネル状態情報の報告に対応するサブフレームセットの要素である、」との発明特定事項を追加して限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
また、当該補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)、及び第4項(シフト補正)の規定に違反するものではない。

(2)独立特許要件
上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて、以下検討する。

ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記「1.」で示した本件補正発明のとおりのものと認める。

イ 引用例等の記載事項及び引用発明等

(ア)引用発明1
原査定の拒絶理由で引用されたTexas Instruments,Views on CSI measurement for LTE TDD eIMTA(当審仮訳:LTE TDD eIMTAのためのCSI測定の考え方)、3GPP TSG-RAN WG1♯76 R1-140530、2014年 2月 1日アップロード、URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_76/Docs/R1-140530.zip(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審が付与。)

a 「1. Introduction
The following agreements have been reached on CSI measurement for TDD eIMTA:
- In DL, up to two subframe sets can be UE-specifically signaled (per serving cell) to allow separate CSI measurement/report for either two types of subframes, and/or two types of interference seen by a subframe 」(1葉1-4行)
(当審仮訳:
1.はじめに
TDD eIMTAのためのCSI測定について次の合意に達した。
- DLでは、サブフレームの2つのタイプ及び/又はサブフレームで見られる干渉の2つのタイプに対して、CSI測定/報告を別にすることができるように、(サービングセル毎に)最大2つのサブフレームセットがUE固有にシグナリングされ得る。)

b 「2. Overview of legacy CSI measurement/feedback
The legacy CSI definitions and procedures are summarized below:
・ CSI report in subframe n is a hypothetical PDSCH TBS that can be received with 10% BLER in the CSI reference resource, where the CSI reference resource is defined as a set of PRBs in the frequency domain, and a single subframe n - n_(CQI,ref) in the time domain.
- CSI reference resource is where CSI is valid for and can be tested, not necessarily where CSI is measured.
CSI reference resource does not have to include CSI-RS or CSI-IM.
CSI reference resource shall be a valid downlink subframe.
CSI reference resource in the time domain corresponds to
- Periodic CSI on PUCCH: the latest valid downlink subframe n - n_(CQI,ref) where n_(CQI,ref) ≧4
- Aperiodic CSI on PUSCH: the subframe where UL grant triggering CSI report is received.

For Rel.10 feICIC, enhanced interference measurement is achieved through restricted CSI measurement subframes. Specifically, two downlink subframe subsets are defined which enable separate interference measurement and feedback for two distinct interference conditions. In particular:
A CSI reference resource belongs to either subframe set C_(CSI,0) or C_(CSI,1)
CSI subframe set for the CSI reference resource is configured by higher layer.
・ Periodic CSI feedback: CSI periodicity and offset are separately configured for each subframe subset by RRC higher layer signaling.
・ Aperiodic CSI feedback: One CSI report includes CSI for one subframe subset, whose CSI reference resource lies in the subframe carrying the triggering UL grant.」(1葉15行-2葉2行)
(当審仮訳:
2.レガシーCSI測定/フィードバックの概要
レガシーCSIの定義と手順を以下に要約する:
・ サブフレームnのCSI報告は、CSI参照リソースにおける<10%のBLERで受信し得る仮想のPDSCHのTBSであり、ここで、CSI参照リソースは、周波数領域でPRBセットとして、時間領域で1つのサブフレームn-n_(CQI,ref)として定義される。
-CSI参照リソースは、CSIが有効であり、テストされ得る場所であり、必ずしもCSIが測定される場所である必要はない。
・ CSI参照リソースは、CSI-RS又はCSI-IMを含む必要はない。
・ CSI参照リソースは、有効な下りリンクサブフレームとすべきである。
・ 時間領域のCSI参照リソースは、次の事項に相当する。
-PUCCH上の周期的CSI:最新の有効な下りリンクサブフレームn-n_(CQI,ref)、ここでn_(CQI,ref)≧4
-PUSCH上の非周期的CSI:CSIレポートをトリガするULグラントを受信するサブフレーム。

Rel.10のfeICICにおいて、制限されたCSI測定サブフレームにより、干渉マネジメントを強化することが達成される。具体的には、2つの異なる干渉条件のための干渉マネジメント及びフィードバックを分けることを可能とする2つの下りリンクサブフレームサブセットが定義される。特に、
・ CSI参照リソースは、サブフレームセットC_(CSI,0)又はC_(CSI,1)のいずれかに属する。
・ CSI参照リソースのためのCSIサブフレームセットは、上位レイヤーによって構成される。
・ 周期的CSIフィードバック:CSIの周期とオフセットは、RRC上位レイヤシグナリングによって、各サブフレームに対して個別に構成される。
・ 非周期的CSIフィードバック:1つのCSI報告は1つのサブフレームサブセットのためのCSIを含み、そのCSI参照リソースは、トリガーするULグラントを運ぶサブフレームに位置する。)

c 「3. Discussion on TDD eIMTA
3.1. Subframe set
For a UE configured in TDD eIMTA, a downlink subframe can be either a static DL subframe or a flexible DL subframe (e.g. signaled by dynamic L1 reconfiguration). As these two types of subframes experience different interference, separate CSI measurement and feedback is beneficial.」(2葉9-13行)
(当審仮訳:
3.TDD eIMTAについての議論
3.1.サブフレームセット
TDD eIMTAで構成されるUEにとって、下りリンクサブフレームは、(例えば、動的L1再構成によってシグナリングされる)スタティックDLサブフレームかフレキシブルDLサブフレームのいずれかになり得る。これらの2つのタイプのサブフレームは、異なる干渉を受けるため、CSI測定とフィードバックを別にすることが有益である。)

d 「3.2. Aperiodic CSI reporting
For feICIC, one UL grant triggers one CSI report for the subframe subset that includes the UL grant. For TDD eIMTA, since UL HARQ timing follows the SIB1 UL/DL configuration and UL grant can only be transmitted in a static DL subframe (e.g. subframe subset 0), it may become impossible to trigger CSI report for flexible DL subframe (e.g. subframe set 1) if the legacy CSI triggering timing is reused. The following possible solutions are listed in [5]:
(中略)
・ Alt 2: CSI request field in UL grant determines the CSI measurement subframe set to be reported.
・ Alt 2-1: An additional bit is added to the A-CSI request field in UL grants to indicate the CSI measurement subframe set to be reported.」(2葉40行-3葉11行)
(当審仮訳:
3.2 非周期的 CSI報告
feICICにおいて、ULグラントがULグラントを含むサブフレームサブセットのための1つのCSI報告をトリガーする。TDD eIMTAにおいて、UL HARQのタイミングは、SIB1のUL/DL構成に従い、ULグラントは、スタティックDLサブフレーム(例えば、サブフレームサブセット0)内でのみ送信され得るから、レガシーな、CSIをトリガーするタイミングを再利用する場合、フレキシブルDLサブフレーム(例えば、サブフレームセット1)のためのCSI報告を送信することができないかもしれない。次の実現可能な解決策が[5]にリストされている。
(中略)
・ Alt2:ULグラント内のCSI要求フィールドが報告されるCSI測定サブフレームセットを決定する。
・ Alt2-1:報告されるCSI測定サブフレームセットを示すために、ULグラント内のA-CSI要求フィールドに追加の1ビットが追加される。)

e 「For UE configured with TM 1-9, the CSI reference resource for aperiodic CSI is the DL subframe carrying the CSI-triggering grant. If the UE is configured in TM10, the CSI reference resource is the latest valid downlink subframe no later than the CSI-triggering grant that satisfies a minimum CSI processing timing budget defined in 36.213. For TDD eIMTA, due to the agreement of UL HARQ timing following the SIB-1 signalled DL/UL subframe configuration, the CSI reference resource requires slight modification:
If the UE is configured in TM 1-9
○ If CSI for the subframe subset containing the UL grant is triggered, the CSI reference resource remains unchanged, e.g., subframe carrying the UL grant.
○ If CSI for the subframe subset not containing the UL grant is triggered, the CSI reference resource is the latest valid downlink subframe in the subframe subset for which CSI is triggered, earlier than the subframe carrying the UL grant.
If the UE is configured in TM10
○ The CSI reference resource shall reside in the subframe subset for which the CSI is triggered, no later than the subframe carrying the UL grant. The exact location is FFS, dependent on the CSI processing timing budget and number of CSI-processes.
Proposal:
・ For eIMTA, restrict the CSI reference resource to be located in the corresponding subframe subset for each CSI report.」(3葉31-48行)

(当審仮訳:
TM1-9で構成されたUEにおいて、非周期的CSIのためのCSI参照リソースは、CSIトリガリンググラントを運ぶDLサブフレームである。UEがTM10で構成される場合、CSI参照リソースは、36.213で定義される最小CSI処理タイミングバジェットを満たす、CSIトリガリンググラントよりも遅くない最新の有効な下りリンクサブフレームである。TDD eIMTAにおいて、ULHARQタイミングがSIB1でシグナルされたDL/ULサブフレーム構成に従うとの合意のため、CSI参照リソースは、わずかな変更を必要とする。
TM1-9で構成されたUEの場合
○ ULグラントを含むサブフレームサブセットに対するCSIがトリガーされた場合、CSI参照リソースは変更されないまま、例えば、ULグラントを運ぶサブフレームとなる。
○ ULグラントを含まないサブフレームサブセットに対するCSIがトリガーされた場合、CSI参照リソースは、ULグラントを運ぶサブフレームよりも早い、CSIがトリガーされるサブフレームサブセット内の最新の有効な下りリンクサブフレームである。
UEがTM10で構成される場合
○ CSI参照リソースは、ULグラントを運ぶサブフレームよりも遅くない、CSIがトリガーされるサブフレームサブセットに存在すべきである。正確な位置は、FFSであり、CSI処理タイミングバジェットとCSIプロセスの数に依存する。
提案
・ eIMTAにおいて、CSI参照リソースを、各CSI報告に対応するサブフレームサブセットに配置されるように制限する。)

上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、引用例1には、次の技術的事項が記載されている。

(a)上記dの記載によれば、引用例1には、非周期的CSI報告を行う方法が記載されているといえ、非周期的CSI報告を行う主体がUEであることは、当業者にとって明らかである。さらに、上記cの記載によれば、UEがTDD eIMTAで構成され、上記eの記載によれば、UEがTM1-9で構成されることを含むといえる。
したがって、引用例1には、「TM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUEにより、非周期的CSI報告を行う方法」が記載されているといえる。

(b)上記dの記載によれば、スタティックDLサブフレームがサブフレームサブセット0であり、フレキシブルDLサブフレームがサブフレームセット1であるといえる。ここで、上記cに、サブフレームセットの説明として、異なる干渉を受けるスタティックDLサブフレームとフレキシブルDLサブフレームは、CSI測定とフィードバックを別にすると記載されていることから見て、サブフレームサブセットは、サブフレームセットの表記揺れであると解される。さらに、上記aの記載によれば、最大2つのサブフレームセットがUE固有にシグナリングされることから、UEが2つのサブフレームセットの情報を受信するといえる。
したがって、引用例1には、UEが「スタティックDLサブフレームがサブフレームセット0であり、フレキシブルDLサブフレームがサブフレームセット1であるとの2つのサブフレームセットの情報を受信する」ことが記載されているといえる。

(c)上記dの記載によれば、ULグラント内にA-CSI要求フィールドがあるといえ、A-CSI要求フィールドにCSIの報告を要求することを示す情報が格納されることは技術常識であるから、ULグラントは、CSI要求を含むといえる。また、A-CSI要求フィールドの追加の1ビットは、報告されるCSI測定サブフレームセットを示すといえる。そのため、ULグラントは、報告されるCSI測定サブフレームセットを示すCSI要求を含むといえる。さらに、ULグラントは、UEにより検出されるものであることが技術常識である。してみると、UEにより、報告されるCSI測定サブフレームセットを示すCSI要求を含むULグラントを検出するといえる。
上記bの記載によれば、UEは、CSI報告をサブフレームnで送信するといえる。ここで、CSI報告は、CSI要求を含むULグラントが検出された場合に、UEにより送信されることが当業者にとって明らかである。さらに、上記bにも、CSI報告は、CSI参照リソースのBLER(ブロックエラー率)が10%未満となるための仮想のPDSCHのTBSを示すものである旨記載されているように、CSI報告がCSI参照リソースから導出されるものであることは、技術常識である。
したがって、引用例1には、UEにより、「報告されるCSI測定サブフレームセットを示すCSI要求を含むULグラントが検出された場合には、CSI参照リソースから導出されるCSI報告をサブフレームnで送信する」ことが記載されているといえる。

(d)上記bにも、CSI参照リソースは、1つのサブフレームn-n_(CQI,ref)として定義されること、有効な下りリンクサブフレームとすべきであることが記載されているように、CSI参照リソースは、1つの有効な下りリンクサブフレームn-n_(CQI,ref)で定義されることは技術常識である。
また、上記eの記載によれば、TM1-9で構成されたUEの場合であって、ULグラントを含むサブフレームセットに対するCSIがトリガーされた場合、CSI参照リソースは、ULグラントを運ぶサブフレームであり、ULグラントを含まないサブフレームセットに対するCSIがトリガーされた場合、CSI参照リソースは、ULグラントを運ぶサブフレームよりも早い最新の有効な下りリンクサブフレームである。してみると、TM1-9で構成されたUEの場合、CSI参照リソースは、ULグラントを運ぶサブフレーム以前の最新の有効な下りリンクサブフレームであるといえる。
さらに、上記eの記載によれば、CSI参照リソースを、各CSI報告に対応するサブフレームセット内に配置されるように制限するから、CSI参照リソースは、各CSI報告に対応するサブフレームセットに配置されるといえる。
したがって、引用例1には、TM1-9で構成されたUEの場合、「CSI参照リソースは、1つの有効な下りリンクサブフレームn-n_(CQI,ref)で定義され、ULグラントを運ぶサブフレーム以前の最新の有効な下りリンクサブフレームであり、各CSI報告に対応するサブフレームセットに配置される」ことが記載されているといえる。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「 TM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUEにより、非周期的CSI報告を行う方法であって、
スタティックDLサブフレームがサブフレームセット0であり、フレキシブルDLサブフレームがサブフレームセット1であるとの2つのサブフレームセットの情報を受信し、
報告されるCSI測定サブフレームセットを示すCSI要求を含むULグラントが検出された場合には、CSI参照リソースから導出されるCSI報告をサブフレームnで送信し、
前記CSI参照リソースは、1つの有効な下りリンクサブフレームn-n_(CQI,ref)で定義され、ULグラントを運ぶサブフレーム以前の最新の有効な下りリンクサブフレームであり、各CSI報告に対応するサブフレームセットに配置される、
非周期的CSI報告を行う方法。」

(イ)引用発明2

原査定の拒絶理由で引用されたQualcomm Incorporated、Remaining details of CSI measurement and reporting in eIMTA(当審仮訳:eIMTAにおけるCSI測定及び報告の残りの詳細)、3GPP TSG-RAN WG1♯76b R1-141434、2014年 3月22日 アップロード、URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_76b/Docs/R1-141434.zip,(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審が付与。)

「2.2. Aperiodic CSI measurement and reporting in TM 1-9
(中略)
From the above discussion it can be concluded that for a UE configured in TM 1-9 and TDD eIMTA there is no need to move the CSI reference resource to a subframe earlier than the triggering subframe for aperiodic CSI reporting which may cause serious power consumption issue. It is important to maintain the existing rule that aperiodic CSI report in TM 1-9 should not use a reference resource preceding the triggering subframe.

Proposal 2: For a UE configured in TM 1-9 and TDD eIMTA, the CSI reference resource is the valid DL subframe in the latest subframe no later than subframe n-4 and no earlier than the subframe containing the aperiodic CSI trigger, and corresponding to the triggered CSI subframe set.」(3ページ8行-5ページ7行)
(当審仮訳:
2.2 TM1-9における非周期的CSI測定及び報告
(中略)
上記の検討から、TM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUEの場合、深刻な電力消費問題を引き起こすおそれのある、非周期的CSI報告のためのトリガーするサブフレームよりも早いサブフレームへCSI参照リソースを移動させることは、必要ない。TM1-9において、非周期的CSI報告は、トリガーするサブフレームに先行する参照リソースを使用すべきでない、との既存のルールを維持することが重要である。

提案2:TM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUEの場合、CSI参照リソースは、サブフレームn-4より遅くなく、非周期的CSIトリガーを含むサブフレームより早くなく、トリガーされたCSIサブフレームセットに関連する最新のサブフレームの有効なDLサブフレームである。)

したがって、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「 TM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUEの場合、深刻な電力消費問題を引き起こさないように、CSI参照リソースをサブフレームn-4より遅くなく、非周期的CSIトリガーを含むサブフレームより早くなく、トリガーされたCSIサブフレームセットに関連する最新のサブフレームの有効なDLサブフレームとする、
非周期的CSI測定及び報告を行う方法。」

(ウ)周知事項

a 3GPPの技術仕様書である3GPP TS36.213 V11.6.0、2014年 3月21日アップロード、URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.213/36213-b60.zip(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「7.2.3 Channel Quality Indicator (CQI) definition
(中略)
The CSI reference resource for a serving cell is defined as follows:
(中略)
A downlink subframe in a serving cell shall be considered to be valid if:
・it is configured as a downlink subframe for that UE, and
・in case multiple cells with different uplink-downlink configurations are aggregated and the UE is not capable of simultaneous reception and transmission in the aggregated cells, the subframe in the primary cell is a downlink subframe or a special subframe with the length of DwPTS more than 7680・Ts, and
・except for transmission mode 9 or 10, it is not an MBSFN subframe, and
・it does not contain a DwPTS field in case the length of DwPTS is 7680・Ts and less, and
・it does not fall within a configured measurement gap for that UE, and
・for periodic CSI reporting, it is an element of the CSI subframe set linked to the periodic CSI report when that UE is configured with CSI subframe sets, and
・for a UE configured in transmission mode 10 with multiple configured CSI processes, and aperiodic CSI reporting for a CSI process, it is an element of the CSI subframe set linked to the downlink subframe with the corresponding CSI request in an uplink DCI format, when that UE is configured with CSI subframe sets for the CSI process.」(79-80ページ)
(当審仮訳:
7.2.3 チャネル品質インジケータ(CQI)の定義
(中略)
サービングセルのCSI参照リソースは次のように定義される:
(中略)
以下の場合、サービングセルの下りリンクサブフレームが有効であるとみなされるべき:
・そのUEにとって、下りリンクサブフレームとして構成されている、かつ、
・異なる上りリンク-下りリンク構成のマルチセルがアグリゲートされていて、アグリゲートされたセルでUEが同時に送受信できない場合、プライマリセルのサブフレームは下りリンクサブフレーム又は7680・Tsを越える長さのDwPTSを有するスペシャルサブフレームである、かつ
・送信モード9又は10以外の場合、MBSFNサブフレームでない、かつ
・DwPTSが7680・Ts以下の場合、DwPTSフィールドを含まない、かつ
・そのUEにとって、構成された測定ギャップ内に収まらない、かつ
・周期的CSI報告において、UEがサブフレームセットで構成される場合、周期的CSI報告にリンクされたCSIサブフレームセットの要素である、かつ
・構成されたCSIプロセスが複数であって、1のCSIプロセスが非周期的CSI報告である送信モード10で構成されたUEにおいて、そのUEがそのCSIプロセスのためのサブフレームセットで構成される場合、アップリンクDCIフォーマット内の対応するCSIリクエストを有する下りリンクサブフレームにリンクされたCSIサブフレームセットの要素である。)

b 3GPPの技術仕様書である3GPP TS36.211 V11.5.0、2013年12月20日アップロード、URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.211/36211-b50.zip(以下、「周知例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

「4 Frame structure
Throughout this specification, unless otherwise noted, the size of various fields in the time domain is expressed as a number of time units Ts = 1/(15000×2048) seconds.」(10ページ1-3行)
(当審仮訳:
4 フレーム構造
この仕様書をとおして、他の注意書きがない限り、時間領域の様々なフィールドのサイズは、時間単位 Ts=1/(15000×2048)秒として表現される。)

上記aの記載によれば、有効な下りリンクサブフレームは、以下の条件を満たすといえる。
・送信モード9又は10以外の場合、MBSFNサブフレームでない
・DwPTSが7680・Ts以下の場合、DwPTSフィールドを含まない
・そのUEにとって、構成された測定ギャップ内に収まらない
ここで、DwPTSはスペシャルサブフレームの下りリンク区間であることが技術常識であるから、ここでいう有効な下りリンクサブフレームとは、有効な下りリンクサブフレーム及び有効なスペシャルサブフレームを意味することは、当業者にとって明らかである。
さらに、上記bの記載によれば、Ts=1/(15000×2048)秒である。

したがって、「有効な下りリンクサブフレームおよび有効なスペシャルサブフレームは、以下の条件を満たすこと。
・送信モード9又は10以外の場合、MBSFNサブフレームでない、
・DwPTSが7680/(15000×2048)秒以下の場合、DwPTSフィールドを含まない、
・そのUEにとって、構成された測定ギャップ内に収まらない。」は、3GPPの技術仕様書にも示されているように、無線通信技術の分野において周知事項であると認められる。

ウ 対比及び判断

本件補正発明と引用発明1とを対比すると、以下のとおりとなる。

(ア)引用発明1の「TM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUE」は、本件補正発明の「端末装置」に対応し、引用発明1の「非周期的CSI報告を行う方法」が「通信方法」であることは、当業者にとって明らかである。
したがって、引用発明1の「TM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUEにより、非周期的CSI報告を行う方法」は、本件補正発明と同様に「端末装置の通信方法」といえる。

(イ)TDD eIMTAにおいて、サブフレームがスタティックDLサブフレームであるか、フレキシブルDLサブフレームであるかは、サブフレームがスタティックサブフレームであるとの情報、フレキシブルサブフレームであるとの情報に基づくことは、技術常識であるから、引用発明1の「スタティックDLサブフレーム」は、スタティックサブフレームであるとの情報に基づくサブフレームであり、「フレキシブルDLサブフレーム」は、「スタティックDLサブフレーム」とは異なる、フレキシブルサブフレームであるとの情報に基づくサブフレームであることは、当業者にとって明らかである。また、引用発明1の「サブフレームセット0」、「サブフレームセット1」は、「スタティックDLサブフレーム」、「フレキシブルDLサブフレーム」が属するサブフレームセットといえる。してみると、引用発明1の「サブフレームセット0」、「サブフレームセット1」を、「第1の情報に基づくサブフレームが属する第1のサブフレームセット」、「第2の情報に基づくサブフレームが属する第2のサブフレームセット」と称することは任意である。さらに、引用発明1の「スタティックDLサブフレームがサブフレームセット0であり、フレキシブルDLサブフレームがサブフレームセット1であるとの2つのサブフレームセットの情報」は、2つのサブフレームセットの設定を示す情報であるから、2つのサブフレームセットに関する設定情報に含まれる。
したがって、引用発明1の「スタティックDLサブフレームがサブフレームセット0であり、フレキシブルDLサブフレームがサブフレームセット1であるとの2つのサブフレームセットの情報を受信」することは、本件補正発明の「第1の情報に基づくサブフレームが属する第1のサブフレームセットと、前記サブフレームとは異なる第2の情報に基づくサブフレームが属する第2のサブフレームセットとの2つのサブフレームセットに関する設定情報を受信」することに含まれる。

(ウ)引用発明1の「報告されるCSI測定サブフレームセットを示すCSI要求」は、「スタティックDLサブフレームがサブフレームセット0であり、フレキシブルDLサブフレームがサブフレームセット1であるとの2つのサブフレームセットの情報」に基づいて設定された2つのサブフレームセットのうちの何れかにおけるCSI(Channel State Information)の報告を要求することが当業者にとって明らかであるから、引用発明1の「報告されるCSI測定サブフレームセットを示すCSI要求」は、本件補正発明の「前記設定情報に基づいて設定された前記2つのサブフレームセットのうちの何れかにおけるチャネル状態情報の報告要求」に含まれる。また、引用発明1の「ULグラント」は、下りリンク制御情報に含まれるものであることが技術常識であるから、本件補正発明の「下りリンク制御情報」に含まれる。
引用発明1の「CSI参照リソース」は、本件補正発明の「チャネル状態情報参照リソース」に相当する。
したがって、引用発明1の「報告されるCSI測定サブフレームセットを示すCSI要求を含むULグラントが検出された場合には、CSI参照リソースから導出されるCSI報告をサブフレームnで送信」することは、本件補正発明の「前記設定情報に基づいて設定された前記2つのサブフレームセットのうちの何れかにおけるチャネル状態情報の報告要求を含む下りリンク制御情報が検出された場合には、チャネル状態情報参照リソースから導出される前記チャネル状態情報をサブフレームnで送信」することに含まれる。

(エ)引用発明1の「前記CSI参照リソースは、1つの有効な下りリンクサブフレームn-n_(CQI,ref)で定義され」ることは、本件補正発明の「前記チャネル状態情報参照リソースは、1つの下りリンクサブフレーム(n-n_(CQI ref))または1つのスペシャルサブフレーム(n-n_(CQI ref))で定義され」ることに含まれる。
ここで、本件補正発明の「1つの下りリンクサブフレーム(n-n_(CQI ref))」と「1つのスペシャルサブフレーム(n-n_(CQI ref))」とは、それぞれ択一的な選択肢であるから、引用発明1が「1つのスペシャルサブフレーム(n-n_(CQI ref))」との事項を有しないことは、相違点とはならない。

以上のことから、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「 端末装置の通信方法であって、
第1の情報に基づくサブフレームが属する第1のサブフレームセットと、前記サブフレームとは異なる第2の情報に基づくサブフレームが属する第2のサブフレームセットとの2つのサブフレームセットに関する設定情報を受信し、
前記設定情報に基づいて設定された前記2つのサブフレームセットのうちの何れかにおけるチャネル状態情報の報告要求を含む下りリンク制御情報が検出された場合には、チャネル状態情報参照リソースから導出される前記チャネル状態情報をサブフレームnで送信し、
前記チャネル状態情報参照リソースは、1つの下りリンクサブフレーム(n-n_(CQI ref))で定義される、
通信方法。」

(相違点1)
本件補正発明は、「前記2つのサブフレームセットが設定された場合において、前記n_(CQI ref)の値は、サブフレーム(n-n_(CQI ref))が有効な下りリンクサブフレームまたは有効なスペシャルサブフレームとして定義される場合において4以上で最小の値であり、前記サブフレーム(n-n_(CQI ref))は前記下りリンク制御情報が検出されたサブフレーム以降のサブフレームであり」との発明特定事項を有するのに対して、引用発明1は、「2つのサブフレームセット」が設定された場合における「方法」であって、さらにCSI参照リソースが有効な下りリンクサブフレームn-n_(CQI,ref)として定義されるから、2つのサブフレームセットが設定された場合において、サブフレームn-n_(CQI,ref)が有効な下りリンクサブフレームとして定義される場合における「方法」であるものの、n_(CQI ref)の値は、4以上で最小の値であり、サブフレーム(n-n_(CQI ref))は下りリンク制御情報が検出されたサブフレーム以降のサブフレームでない点

(相違点2)
本件補正発明は、「前記有効な下りリンクサブフレームおよび前記有効なスペシャルサブフレームは、以下の条件を少なくとも満たす:
(i)送信モード9および10以外の送信モードにおいて、MBSFNサブフレームではない;
(ii)7680/(15000×2048)秒と同じ、または、それより短い長さのDwPTSフィールドを含まない;
(iii)前記端末装置に対して設定された測定ギャップに含まれない;および
(iv)前記チャネル状態情報の報告に対応するサブフレームセットの要素である」との発明特定事項を有するのに対して、引用発明1の「有効な下りリンクサブフレーム」は、当該発明特定事項における条件を少なくとも満たすことが明らかでない点。

上記相違点について検討する。

(相違点1について)
上記「イ」の「(イ)」で認定したとおり、
「 TM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUEの場合、深刻な電力消費問題を引き起こさないように、CSI参照リソースをサブフレームnー4より遅くなく、非周期的CSIトリガーを含むサブフレームより早くなく、トリガーされたCSIサブフレームセットに関連する最新のサブフレームの有効なDLサブフレームとする、
非周期的CSI測定及び報告を行う方法。」との引用発明2が公知である。
引用発明1と引用発明2とは、いずれもTM1-9かつTDD eIMTAで構成されたUEの非周期的CSI報告を行う方法であり、また、深刻な電力消費問題を引き起こさないようにすることは、当業者が当然に考慮すべき一般的な課題であるから、引用発明1に引用発明2を組み合わせることに格別の困難性はなく、阻害要因も見出せない。
そうすると、引用発明1に引用発明2を組み合わせ、「有効な下りリンクサブフレームn-n_(CQI,ref)」をサブフレームn-4より遅くなく、CSI要求を含むULグラントが検出されたサブフレームより早くない最新のサブフレームとすること、すなわち、n_(CQI,ref)の値が4以上で最小の値であり、サブフレームn-n_(CQI,ref)がULグラントが検出されたサブフレーム以降のサブフレームとすることは、当業者が適宜なし得たことである。

(相違点2について)
引用発明1のCSI参照リソースは、「1つの有効な下りリンクサブフレームn-n_(CQI,ref)で定義され」、「各CSI報告に対応するサブフレームセットに配置される」から、各CSI報告に対応するサブフレームセットに配置されるとの条件、すなわち各チャネル状態情報の報告に対応するサブフレームセットの要素であるとの条件を、CSI参照リソースの条件とするか、有効な下りリンクサブフレームの条件とするかは、実質的な差がなく、任意である。
また、上記「イ」の「(ウ)」で認定したとおり、「有効な下りリンクサブフレームおよび有効なスペシャルサブフレームは、以下の条件を満たすこと。
・送信モード9又は10以外の場合、MBSFNサブフレームでない、
・DwPTSが7680/(15000×2048)秒以下の場合、DwPTSフィールドを含まない、
・そのUEにとって、構成された測定ギャップ内に収まらない。」は、周知事項である。
したがって、引用発明1の「有効な下りリンクサブフレーム」の条件として、各CSI報告に対応するサブフレームセットに配置されるとの条件及び上記周知事項の条件を含むようにすることは、当業者が適宜なし得ることに過ぎない。

よって、本件補正発明は、引用発明1、引用発明2、周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、本件補正発明が奏する効果も、当業者が引用発明1、引用発明2、周知事項から容易に予想できる範囲内のものである。

そうすると、本件補正発明は、引用発明1、引用発明2、周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に違反するので、同法第159条1項の規定において読み替えて準用する同法第53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1.本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年11月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項4に係る発明は、上記「第2」の「1.」で示した本願発明のとおりのものと認める。

2.原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由の概要は、
「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項4に対して、引用例1、引用例2が引用されている。

3.引用発明等

引用発明1及び引用発明2は、上記「第2」の「2.」の「(2)」の「イ」で認定したとおりのものと認める。

4.対比及び判断

本願発明は、本件補正発明から、本件補正により追加された発明特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明1との間には、上記「第2」の「2.」の「(2)」の「ウ」で示した「(相違点1)」のみが存在する。そして、上記「第2」の「2.」の「(2)」の「ウ」で示した「(相違点1について)」の検討のとおり、本願発明の「(相違点1)」に係る構成は、引用発明1及び引用発明2から、当業者が適宜なし得ることである。

よって、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-09-26 
結審通知日 2019-10-01 
審決日 2019-10-16 
出願番号 特願2016-519305(P2016-519305)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 岩間 直純
特許庁審判官 本郷 彰
長谷川 篤男
発明の名称 端末装置、集積回路、および、無線通信方法  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  

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