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審決分類 審判 一部申し立て 4号2号請求項の限定的減縮  C09J
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C09J
審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C09J
審判 一部申し立て 5項独立特許用件  C09J
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C09J
審判 一部申し立て 2項進歩性  C09J
管理番号 1357616
異議申立番号 異議2019-700057  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-25 
確定日 2019-10-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6366855号発明「光学透明粘着シート、光学透明粘着シートの製造方法、積層体、タッチパネル付き表示装置、及び、光学透明粘着シートの貼り合わせ方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6366855号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正することを認める。 特許第6366855号の請求項1、5?8に係る特許を維持する。 特許第6366855号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6366855号の請求項1?8に係る特許についての出願は、平成29年8月16日(優先権主張 平成28年9月6日(JP)日本国、平成28年11月16日(JP)日本国)を国際出願日とする日本語でされた国際特許出願であって、平成30年7月13日にその特許権の設定登録がされ、平成30年8月1日に特許掲載公報が発行され、その後、その請求項1、2及び5?8に係る特許について、平成31年1月25日に特許異議申立人渡辺広基により特許異議の申立てがされたものである。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年 4月22日付け:取消理由通知
令和 元年 6月20日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者)

以下、令和元年6月20日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。
なお、令和元年7月16日付けで、当審から申立人に訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を送付し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、指定期間内に申立人から意見書は提出されなかった。

2.訂正請求について
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正事項は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1 請求項1、3?8に係る訂正
特許請求の範囲の請求項1に、「前記親水性ポリイソシアネートは、親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、」と記載されているのを、「前記親水性ポリイソシアネートは、親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含み、」に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用する請求項3?8も同様に訂正する。

イ 訂正事項2 請求項2に係る訂正
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

ウ 訂正事項3 請求項3?8に係る訂正
特許請求の範囲の請求項3に、「請求項1又は2に」と記載されているのを、「請求項1に」に訂正する。
請求項3を直接又は間接的に引用する請求項4?8も同様に訂正する。

エ 訂正事項4 請求項5に係る訂正
特許請求の範囲の請求項5に、「請求項1?4のいずれかに」と記載されているのを、「請求項1、3又は4に」に訂正する。

オ 訂正事項5 請求項6に係る訂正
特許請求の範囲の請求項6に、「請求項1?4のいずれかに」と記載されているのを、「請求項1、3又は4に」に訂正する。

カ 訂正事項6 請求項7に係る訂正
特許請求の範囲の請求項7に、「請求項1?4のいずれかに」と記載されているのを、「請求項1、3又は4に」に訂正する。

キ 訂正事項7 請求項8に係る訂正
特許請求の範囲の請求項8に、「請求項1?4のいずれかに」と記載されているのを、「請求項1、3又は4に」に訂正する。

なお、訂正事項1?7に係る訂正前の請求項1?8について、請求項2?8は請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあり、訂正後の請求項1、3?8は訂正事項1?7によって直接又は連動して訂正され、訂正後の請求項2は削除されているから、本件訂正は一群の請求項1?8について請求されたものである。

(2)訂正の適否についての判断
ア 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(ア)訂正事項1について
a.訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に、「親水性ポリイソシアネートは、親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネート」であることが特定されていたところ、訂正前の請求項2の記載に基づいて、親水性ポリイソシアネートが「分子内にエチレンオキシドユニットを含」むものであることを特定する記載を付加することにより、親水性ポリイソシアネートを限定し、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項1の上記訂正に連動する請求項3?8の訂正も、同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b.新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載されていた親水性ポリイソシアネートを、訂正前の請求項2の記載に基づいて限定するものであるから、本件明細書に記載された事項の範囲内で行われるものである。
また、上記訂正が、特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことも明らかである。
さらに、請求項1の上記訂正に連動する請求項3?8の訂正も、同様の理由により、特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことも明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項2について
a.訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b.新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するというものであるから、本件明細書に記載された事項の範囲内で行われるものである。
また、上記訂正が、特許請求の範囲を拡張するものではなく、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことも明らかである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(ウ)訂正事項3について
a.訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項3に記載されていた「請求項1又は2に」を「請求項1に」に改めるものである。これは、請求項2の削除(訂正事項2)に伴い、削除された請求項2を引用しているという不明瞭な記載を解消させるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、請求項1又は2を引用する形式で記載されていた訂正前の請求項3を、請求項2を引用しないように形式を改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、さらに、訂正前の請求項3には、訂正前の請求項1を引用する場合の発明と、訂正前の請求項2を引用する場合の発明とが含まれていたところ、上記訂正は、訂正後の請求項3を実質的に後者の発明に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
加えて、請求項3の上記訂正に連動する請求項4?8の訂正も、同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第3号、第4号及び第1号に掲げる事項を目的とするものである。

b.新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項3は、訂正前の請求項3に記載されていた「請求項1又は2に」を「請求項1に」に改めるものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
また、訂正事項3が、特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことも明らかである。
さらに、請求項3の上記訂正に連動する請求項4?8の訂正も、同様の理由により、特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことも明らかである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(エ)訂正事項4?7について
a.訂正の目的について
訂正事項4?7は、それぞれ訂正前の請求項5?8に記載されていた「請求項1?4のいずれかに」を「請求項1、3又は4に」に改めるものである。これは、請求項2の削除(訂正事項2)に伴い、削除された請求項2を引用しているという不明瞭な記載を解消させるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、請求項1?4のいずれかを引用する形式で記載されていた訂正前の請求項5?8を、請求項2を引用しないように形式を改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、さらに、上記訂正は、訂正後の請求項5?8を、訂正前の請求項5?8に含まれていた発明のうち、実質的に訂正前の請求項2を引用する場合の発明に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b.新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項4?7は、それぞれ訂正前の請求項5?8に記載されていた「請求項1?4のいずれかに」を「請求項1、3又は4に」に改めるものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
また、訂正事項4?7が、特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことも明らかである。
よって、訂正事項4?7は、いずれも特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

イ 独立特許要件について
(ア)訂正後の請求項1、2及び5?8について
本件においては、訂正前の請求項1、2及び5?8に対して特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1、2及び5?8に対応する訂正後の請求項1、2及び5?8については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(イ)訂正後の請求項3及び4について
訂正前の請求項3及び4については、いずれも特許異議の申立てがされていない。
そして、上記2.(2)ア(ア)「訂正事項1について」及び同(ウ)「訂正事項3について」に記載したとおり、請求項3及び4についての訂正には、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものが含まれているから、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件について検討することを要する。
そこで、本件訂正による訂正後の請求項3及び4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明3」及び「本件発明4」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、具体的には、後記「4.取消理由通知に記載した取消理由の概要」に記載した「理由I(実施可能要件)」、「理由II(サポート要件)」、及び後記「6.取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について」に記載した「取消理由1(新規性)」、「取消理由2(進歩性)」の取消理由を有するものであるか否かについて検討する。

(イ-1)理由I(実施可能要件)について
本件発明3及び4は、いずれも本件訂正による訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)を引用し、本件発明1の発明特定事項をさらに限定したものであるか、または、本件発明1にさらに他の発明特定事項を付加したものである。
そこで、後記5.(1)「理由I(実施可能要件)について」における検討を踏まえると、本件発明3及び4についても、本件発明1と同様のことがいえる。
そうすると、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明3及び4を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものということができるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである

(イ-2)理由II(サポート要件)について
本件発明3及び4は、いずれも本件発明1を引用し、本件発明1の発明特定事項をさらに限定したものであるか、または、本件発明1にさらに他の発明特定事項を付加したものである。
そこで、後記5.(2)「理由II(サポート要件)について」における検討を踏まえると、本件発明3及び4についても、本件発明1と同様のことがいえる。
そうすると、本件発明3及び4は、いずれも発明の詳細な説明に実質的に記載されたものということができるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。

(イ-3)取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について
本件発明3及び4は、いずれも本件発明1を引用し、本件発明1の発明特定事項をさらに限定したものであるか、または、本件発明1にさらに他の発明特定事項を付加したものである。
そこで、後記6.「取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について」における検討を踏まえると、本件発明3及び4についても、本件発明1と同様のことがいえる。
そうすると、本件発明3及び4は、いずれも後記甲1に記載された発明(甲1発明)とはいえないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、かつ、いずれも甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
また、本件発明3及び4は、いずれも後記甲2に記載された発明(甲2発明)とはいえないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、かつ、いずれも甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(イ-4)独立特許要件についてのまとめ
以上のことから、本件発明3及び4は、いずれも特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。

ウ 訂正請求についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、同第3号又は同第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項乃至第7項の規定に適合するものである。
よって、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正することを認める。

3.本件発明について
本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明8」という。まとめて、「本件発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「[請求項1]
ポリウレタンからなる光学透明粘着シートであって、
前記ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有するポリウレタン組成物の硬化物であり、
前記ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートを含み、
前記親水性ポリイソシアネートは、親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含み、
カールフィッシャー測定での水分率が400ppm以下であることを特徴とする光学透明粘着シート。
[請求項2]
(削除)
[請求項3]
前記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有することを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
[請求項4]
前記ポリウレタン組成物に含まれる前記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなることを特徴とする請求項3に記載の光学透明粘着シート。
[請求項5]
請求項1、3又は4に記載の光学透明粘着シートを製造する方法であって、
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を攪拌混合してポリウレタン組成物を調製する工程と、
前記ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含むことを特徴とする光学透明粘着シートの製造方法。
[請求項6]
請求項1、3又は4に記載の光学透明粘着シートと、前記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層体。
[請求項7]
請求項1、3又は4に記載の光学透明粘着シートと、表示パネルと、タッチパネルとを備えることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
[請求項8]
請求項1、3又は4に記載の光学透明粘着シートを基材に貼りつけることを特徴とする光学透明粘着シートの貼り合わせ方法。」

4.取消理由通知に記載した取消理由の概要
訂正前の請求項1、5?8に係る特許に対して平成31年4月22日付けで特許権者に通知した取消理由(理由I及び理由II)の要旨は次のとおりである。
理由I(実施可能要件)
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
本件明細書の発明の詳細な説明は、本件特許に係る出願時の技術常識を参酌しても、訂正前の請求項1に係る発明の主要な構成成分の一つである親水性ポリイソシアネートを当業者が製造及び使用することができるように記載されたものとはいえない。
よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が訂正前の請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとすることができないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用して記載されている訂正前の請求項5?8についても同様のことがいえる。

理由II(サポート要件)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
本件特許に係る出願の出願時における技術常識を参酌しても、本件明細書の記載に基づいて、発明の課題を解決し得ることが理解できる粘着シートの範囲を訂正前の請求項1の範囲まで拡張ないし一般化することはできない。
よって、訂正前の請求項1は、発明の詳細な説明に実質的に記載されたものとすることができない発明を含むものであるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用して記載されている訂正前の請求項5?8についても同様のことがいえる。

5.取消理由通知に記載した取消理由についての判断
(1)理由I(実施可能要件)について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1の「ポリイソシアネート成分」について
本件発明1においては、「ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートを含み、前記親水性ポリイソシアネートは、親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含」むことが特定されている。

(イ)本件明細書に記載された「ポリイソシアネート成分」について
本件明細書の[0033]には、「ポリイソシアネート成分」に含まれる「親水性ポリイソシアネート」について、「本明細書において、『親水性』とは、ポリイソシアネートのイソシアネート基を除いた構造・・・についてFedors法で算出した溶解性パラメータ(SP値)が9.0MPa^(1/2)以上であることを意味する」こと、及び「親水性ポリイソシアネートは・・・親水性を高める官能基(親水基)が付加されたポリイソシアネートであることが好ましい」ことが記載されている。
また、本件訂正により、本件発明1における親水性ポリイソシアネートが、「分子内にエチレンオキシドユニットを含」むものであることが特定されたところ、[0034]には、「上記親水性ポリイソシアネートは、分子内にエチレンオキシドユニットを含むことが好ましく、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートであることがより好ましい」ことが記載され、[0035]?[0036]には、脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートの具体例が列記され、[0037]には、「エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール類及び/又はアミン類のエチレンオキシド付加物が挙げられ」ることが記載され、[0038]?[0039]には、アルコール類及びフェノール類の具体例が列記され、[0040]には、エチレンオキシドユニットの含有量の好ましい範囲が記載され、[0041]には、変性ポリイソシアネートの1分子当たりのイソシアネート基の好ましい範囲が記載されている。
そうすると、本件明細書の記載に基づいて、当業者は、本件発明1の「ポリイソシアネート成分」に含まれる「親水性ポリイソシアネート」すなわち「親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含」むものについて、その具体的な化学構造を明確に理解することができ、かつ、その物を製造ないし入手することができるといえる。

(ウ)本件明細書に具体的に記載された「親水性ポリイソシアネート」について
本件明細書の[0075]には、「実施例及び比較例において、ポリウレタン組成物を調製するために用いた配合原料」の一つとして「(B)ポリイソシアネート成分 ・HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(東ソー社製の『コロネート4022』)が記載され、[0076]には、「HDI系ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)は、HDI及び/又はHDIモノマーを出発物質とするポリイソシアネートに対して、1分子当たり平均3個以上のエチレンオキシドユニットを有するエーテルポリオールを反応させて得られたものである」ことが記載され、[0077]には、「実施例1」として、当該「HDI系ポリイソシアネート」を用いたポリウレタン組成物の具体的な調製例が記載されており、[0078]?[0098]には、実施例1のポリウレタン組成物から光学透明粘着シートを作製し、その評価を行ったことが具体的に記載されている。
そうすると、本件明細書の記載に基づいて、当業者は、本件発明1の「ポリイソシアネート成分」に含まれる「親水性ポリイソシアネート」すなわち「親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含」むものについて、その化学構造を明確に理解することができ、その物を製造ないし入手することができ、かつ、その物を光学透明粘着シート等として実際に使用することができることを理解することができるといえる。

(エ)本件発明1の他の成分等について
本件明細書の[0030]?[0032]には、本件発明1のポリウレタンを構成する他の成分である「ポリオール成分」の具体的な化学構造及び市販の製品名が記載され、[0071]には、硬化前のポリウレタン組成物を硬化反応させ、ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートを成形する方法が記載され、[0023]及び[0073]には、光学透明粘着シートを貼り合わせる前にアニールして脱水することにより、カールフィッシャー測定での水分率を400ppm以下にすることができることが記載されている。
また、上記5.(1)ア(ウ)「本件明細書に具体的に記載された『親水性ポリイソシアネート』について」にも記載したとおり、本件明細書の[0075]には、「実施例及び比較例において、ポリウレタン組成物を調製するために用いた配合原料」が具体的に記載され、[0077]には「実施例1」として、ポリウレタン組成物の具体的な調製例が記載され、[0078]?[0079]には、実施例1のポリウレタン組成物から光学透明粘着シートを作製したことが記載され、[0080]?[0083]には、「ディレイバブル試験」を行った結果、水分率が400ppm以下であれば、光学透明粘着シートとガラス板との界面にディレイバブル(放置後の気泡)の発生は見られなかったことが記載され、[0084]?[0088]には、「後浮き試験」を行った結果、アニール時間を1時間として水分率を400ppmとした試料は後浮きが発生しなかったことが記載され、[0089]?[0098]には、「実施例1の光学透明粘着シートは、マイクロゴムA硬さ、粘着力、光学特性(透明性)、紫外線暴露後の黄変度及び耐久性のいずれについても良好な結果であった」ことが記載されている。

(オ)本件発明1についてのまとめ
そうすると、本件明細書の一般記載、代表的な実施例についての記載及び本件特許に係る出願の出願時における技術常識を参酌することにより、当業者は、本件発明1の「光学透明粘着シート」を実際に製造することができ、かつ、使用することができると理解することができる。
よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものということができるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである。

イ 本件発明5?8について
本件発明1を直接又は間接的に引用して記載されている本件発明5?8についても、本件発明1と同様のことがいえる。
よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明5?8を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものということができるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである

ウ 理由I(実施可能要件)のまとめ
以上のことから、本件の発明の詳細な説明は、本件発明1、5?8を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものということができるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである。
よって、取消理由通知に記載した理由I(実施可能要件)により、本件発明1、5?8に係る特許を取り消すことはできない。

(2)理由II(サポート要件)について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1の発明特定事項
本件発明1は、上記3.「本件発明について」の[請求項1]に記載された事項により特定されるものである。

(イ)本件発明の課題について
本件発明の課題は、本件明細書の[0007]?[0010]等の記載を参酌すると、「柔軟性(段差追従性)に優れ、厚膜化が可能なポリウレタンを用いて、粘着シート内部から発生するアウトガス等に起因する貼合わせ後の剥離を抑制し、耐環境性に優れた光学透明粘着シートを提供すること」にあるものと認められる。

(ウ)本件明細書に記載された事項
本件明細書には、上記5.(1)ア(イ)「本件明細書に記載された『ポリイソシアネート成分』について」?同(エ)「本件発明1の他の成分等について」に記載したとおりの事項が、各段落に記載されているものと認められる。
そして、実施例1のポリウレタン組成物から作製された光学透明粘着シートの具体的な評価結果を参照すると、[0080]?[0083]に記載された「(1)ディレイバブル試験」の実験データからは、水分率が120?379ppmの粘着シート(4時間放置?48時間放置)を用いた場合は「ディレイバブルの発生は見られなかった」のに対し、水分率が567?803ppmの粘着シート(72時間放置?192時間放置)を用いた場合は「ディレイバブルが発生した」ことが理解でき、[0084]?[0088]に記載された「(2)後浮き試験」の実験データからは、水分率が400ppmの粘着シート(アニール時間1時間)を用いた場合は「オーブン投入後に後浮きが発生しなかった」のに対し、水分率が550ppm又は900ppmの粘着シート(アニール時間30分又は10分)を用いた場合は「オーブン投入後にわずかな後浮きが発生した」ことが理解できる。さらに、[0090]?[0091]に記載された「(4)粘着力」、[0092]?[0094]に記載された「(5)光学特性」、[0095]に記載された「(6)紫外線暴露後の黄変」及び[0096]?[0097]に記載された「(7)耐久性」の実験データを参照すると、[0098]に記載されているとおり、「実施例1の光学透明粘着シートは、マイクロゴムA硬さ、粘着力、光学特性(透明性)、紫外線暴露後の黄変度及び耐久性のいずれについても良好」な性質を備えたものであることが理解できる。

(エ)本件発明1についての判断
そうすると、本件明細書の一般記載、代表的な実施例の記載及び本件特許に係る出願の出願時における技術常識を参酌することにより、当業者は、「親水性ポリイソシアネート」が「親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含」むものである本件発明1が、上記課題を解決し得るものであることを理解することができるといえる。
よって、本件発明1は、発明の詳細な説明に実質的に記載されたものということができるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。

イ 本件発明5?8について
本件発明1を直接又は間接的に引用して記載されている本件発明5?8についても、本件発明1と同様のことがいえる。
よって、本件発明5?8は、発明の詳細な説明に実質的に記載されたものということができるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。

ウ 理由II(サポート要件)のまとめ
以上のことから、本件発明1、5?8は、いずれも発明の詳細な説明に実質的に記載されたものということができるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。
よって、取消理由通知に記載した理由II(サポート要件)により、本件発明1、5?8に係る特許を取り消すことはできない。

6.取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知で採用した取消理由(理由I(実施可能要件)及び理由II(サポート要件))に加え、以下の取消理由により本件発明に係る特許は取り消すべきものである旨を申し立てている。
取消理由1(新規性)
取消理由1-1(甲第1号証に基づく新規性)
訂正前の請求項1、2、5?8に係る発明は、下記甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由1-2(甲第2号証に基づく新規性)
訂正前の請求項1、2、5?7に係る発明は、下記甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由2(進歩性)
取消理由2-1(甲第1号証に基づく進歩性)
訂正前の請求項1、2、5?8に係る発明は、下記甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由2-2(甲第2号証に基づく進歩性)
訂正前の請求項1、2、5?8に係る発明は、下記甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

<引用文献等一覧>
甲第1号証:特開2013-136731号公報
甲第2号証:特開2013-116942号公報

以下、甲第1号証及び甲第2号証を、それぞれ「甲1」及び「甲2」といい、まとめて「甲号証」ともいう。

(2)甲号証に記載された事項
ア 甲1に記載された事項
甲1には、以下の事項が記載されている。
(甲1-1)「[請求項1]
変性ポリイソシアネート(A)と、ポリオール(B)から成るポリウレタン樹脂形成性組成物(C)であって、変性ポリイソシアネート(A)が、脂肪族および/または脂環族NCO官能基を有するポリイソシアネート(a1)と、1分子あたり1個以上の末端活性水素官能基と、平均で6個以上のエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(a2)を反応させて得られる変性ポリイソシアネートであって、(a2)のエチレンオキシド含有量が、(C)に対して1?20質量%となるよう調製され、ポリオール(B)が少なくとも液状ポリカーボネートジオールを含有することを特徴とする、接着剤、または粘着剤として使用される光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
・・・
[請求項4]
基材間に請求項1?3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂を有する積層体または粘着シート。」

(甲1-2)「[発明が解決しようとする課題]
[0008]
本発明の目的は、粘着層の厚膜化を図り、それに伴う高温高湿環境下から取り出した際の樹脂の白化といった不具合を防ぎ、透明性、密着性、耐熱性、耐加水分解性、光学特性が求められる用途において使用可能なポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することである。
[課題を解決するための手段]
[0009]
本発明者らは、これらの目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を持つポリイソシアネートとポリオールを組み合わせることで、前述の一連の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。」

(甲1-3)「[0017]
湿熱環境下から取り出し後の白化抑制(以下耐湿熱白化性という)のためには、一定量以上のEOユニットがウレタン樹脂へ組み込まれなければならない。例えば、EOユニットを持つポリエーテル化合物を、液状ポリカーボネートポリオール(B)へブレンドする形態では、本発明において好ましい形態であるOH基過剰のポリウレタン樹脂システムにおいて、ポリウレタン樹脂への導入効率が低下する(ポリエーテル化合物が樹脂に取り込まれず未反応の状態で存在する)。つまり、必要以上のポリエーテル化合物を使用することとなり、不用な物性低下を招くこととなる。よって、EOユニットを有するポリエーテル化合物が、予め変性ポリイソシアネート(A)に組み込まれていることが重要である。」

(甲1-4)「[0050]
<ポリウレタン樹脂成形物の製造方法>
本発明により得ることのできるポリウレタン樹脂形成物は、一例として以下のようにして製造される。
前記のポリイソシアネート(A)とポリオール(B)を2液混合ウレタン注型機の別々のタンクへ投入し脱泡および保温を行った後、ミキサー部で2液を所定の比率で混合する。注型機から吐出される混合液を50?150℃に温調した金型へ注入し、脱型可能なグリーン強度が得られたら硬化物を金型から取り出す。一般的には、5?60分程度で脱型する場合が多い。必要に応じて2次硬化を行った後、光学部品として更に加工され、機器へ組み込まれる場合が多い。
金型を用いずにシートを成型する方法としては、注型機から吐出される混合液をPETフィルムなどの剥離フィルム上に連続的に流しながら広げ、樹脂が硬化する前にもう片方の面に剥離フィルムを被せ、ローラやブレードなどにより厚みを均一にした後、50?150℃に加熱した硬化炉を通過させ、ロールで巻き取る方法が挙げられる。」

(甲1-5)「[0054]
<合成例3>
攪拌機、温度計、冷却管を備えた容量1000ミリリットルの四つ口フラスコに、IPDIを810g、PEG-300(三洋化成工業社製ポリオキシエチレングリコール、平均EOユニット数6、末端OH官能基数2、数平均分子量330)を190g仕込み、窒素気流下、90℃でウレタン化反応を5時間行い、NCO含有量が25.8質量%に達した後、反応を終了した。この反応液を130℃×0.04kPaで薄膜蒸留することで未反応のIPDIを除去し、精製したPI-3を42.6質量%の収率で得た。PI-3は透明な粘性液体で、NCO含有量が9.6質量%、GPC数平均分子量が880、式(2)に基づく平均NCO官能基数は2.0、式(3)に基づくEO含有量は35.7質量%であった。遊離IPDI含有量は0.2質量%であった。

EO含有量(%)=10×{ポリエーテルの仕込量(g)/収率(%)}
×{44×ポリエーテルの平均EOユニット数/ポリエーテルの数平均分子量} ・・・・(3)」

(甲1-6)「[0068]
[表1]

[表2]



(甲1-7)「[0071]
<サンプルの作製3>
表3、表4(実施例1?16)並びに表5、表6(比較例1?14)に示す各々の処方に基づいて、40℃に温調したポリイソシアネートと60℃に温調したポリオール、DOTDLとを混合して、ポリウレタン樹脂形成性組成物を得た。該組成物を5mmHgの減圧下で十分に脱泡した後、予め80℃に加温された、表面を離型処理した75μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、PET75GS、以下離型PET-75という)と25μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、東洋紡エステルフィルムE5007、以下PET-25という)に、200μmのスペーサーを介して挟み込み、80℃雰囲気下で1時間硬化させた。さらに25℃、50%RH環境下で7日間養生し、評価試験用サンプルを得た。」

(甲1-8)「[0072]
[表3]

[表4]

[0073]
[表5]

[表6]



(甲1-9)「[0079]
(4)粘着力
サンプルの作製3に従い、実施例1?実施例16、及び比較例1?比較例14の処方に基づき得られたシートを、25mm×200mmのサイズにカットし、剥離PET-75を剥がし、ガラス板にJIS Z0237に準じてロール圧着し30分後、引っ張り試験機にて剥離強度(180度ピール、引っ張り速度300mm/分; 単位 N/cm)を測定した。
試験装置:テンシロン UTA-500(エー・アンド・デイ社製)
<評価基準>
0.5以上 :○合格(非常に良好)
0.1以上0.5未満:△合格
0.1未満 :×不合格
[0080]
(5)基材への移行
サンプルの作製3に従い、実施例1?実施例16、及び比較例1?比較例14の処方に基づき得られたシートを、25mm×50mmサイズにカットし、剥離PET-75を剥がし、ガラス板にJIS Z0237に準じたロールを用いて圧着した。それぞれのサンプルを25℃、50%RHの環境下に48時間静置した後、基材から剥離した。
<評価基準>
基材への粘着剤残りが目視で確認できない :○合格(非常に良好)
基材への粘着剤残りが目視で僅かに確認できる :△合格
基材への粘着剤残りが目視で明らかであり、跡を指で触ると付着する
:×不合格
[0081]
(6)接着信頼性
サンプルの作製3に従い、実施例1?実施例16、及び比較例1?比較例14の処方に基づき得られたシートを、60mm×60mmサイズにカットし、剥離PET-75を剥がし、ガラス板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板に、JIS Z0237に準じてロール圧着した。それぞれのサンプルを85℃、85%RHの環境下に500時間静置し、取り出し後に試験片の密着具合を目視にて観察した。
<評価基準>
目視で浮き、剥がれが認められない :○合格(非常に良好)
目視で端部に浮き、剥がれがごく僅かに認められる :△合格
目視で接着面全体に顕著な浮き、剥がれが認められる:×不合格
[0082]
(7)耐熱性
サンプルの作製3に従い、実施例1?実施例16、及び比較例1?比較例14の処方に基づき得られたシートを、強制循環式空気加熱老化試験機に入れ、120℃設定で1000時間静置した。取り出し後、25mm×200mmのサイズにカットし、25℃、50%RH環境下で24時間静置した後、剥離PET-75を剥がし、ガラス板に、JIS Z0237に準じてロール圧着し30分後、引っ張り試験機にて剥離強度(180度ピール、引っ張り速度300mm/分; 単位 N/cm)を測定した。(4)粘着力評価で得られた数値にする変化率を求めることで評価を行った。

<評価基準>
剥離強度変化率(%)=100×耐熱試験後剥離強度/耐熱試験前剥離強度
剥離強度変化率 -15?+15% :○合格(非常に良好)
剥離強度変化率 -30?-15%、+15?+30% :△合格
剥離強度変化率 -30%、+30%を超える :×不合格」

イ 甲2に記載された事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
(甲2-1)「[請求項1]
ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)から構成される、ShoreA硬度が70以上の硬化物を形成する光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、ポリイソシアネート(A)が脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートからなり、ポリイソシアネート(A)またはポリオール(B)のいずれか、または両方にエチレンオキシドユニットを含有し、エチレンオキシドユニット源として、末端活性水素官能基と1分子あたり平均6個以上のエキレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)を用い、エチレンオキシドユニットの含有量がポリイソシアネート(A)とポリオール(B)の合計量に対して、3?15質量%であることを特徴とする光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。」

(甲2-2)「[技術分野]
[0001]
本発明は、光学的透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、耐候性に優れ、適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持ち、環境変化による光学特性の変化が小さい光学部材の形成に好適な樹脂形成性組成物、並びにこの組成物を用いて形成された導光板、発光素子封止材、樹脂レンズなどの光学部材に関する。特に、高温高湿環境下から取り出した際に樹脂の白化が起こらない光学部材用樹脂形成性組成物に関する。」

(甲2-3)「[0007]
エポキシ樹脂は熱や光の影響により経時で着色が見られるなどの問題があり、シリコーン樹脂は光学特性や耐熱性は優れるものの、表面のベタツキ感が高く、液晶バックライト用導光板に使用する場合、積層される他の部材と密着し輝度にムラが発生する。また、微細なホコリなどの異物が付着しやすいという問題や、機械強度が低く、取り扱いに注意が必要な点、材料コストが高いことから使用用途が限られている。
・・・
[発明が解決しようとする課題]
[0010]
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、光学的透明性、耐候性に優れ、環境変化による光学特性の変化が小さい光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。特に高温高湿環境下から取り出した際に樹脂の白化が起こらない光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。
[0011]
本発明の第2の目的は、前記第1の目的に加え、耐熱性、耐湿熱性、耐衝撃性に優れ、適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持った光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。
[0012]
本発明の第3の目的は、前記第1および第2の目的を達成した光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用いた、導光板や発光素子封止材などの光学部材を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
[0013]
本発明者らは、これらの目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を持つポリイソシアネートとポリオールを組み合わせることで、前述の一連の課題を解決できることを見出し、本発明を解決するに至った。」

(甲2-4)「[発明を実施するための形態]
[0022]
本発明の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物は、ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)から構成され、ポリイソシアネート(A)またはポリオール(B)のいずれかまたは両方にエチレンオキシドユニット含み、エチレンオキシドユニットの含有量が(A)と(B)の合計量に対して3?15質量%であることが必須で、3?10質量%であることがより好ましい。エチレンオキシドユニットの含有量が3質量%より低い場合には、得られたポリウレタン樹脂を高温高湿環境下(60℃、95%RH)から25℃、50%RHの環境へ取り出した際に樹脂が白化し光学特性が悪化する(以下、耐白化性が悪化する、と表現)。逆に、15質量%より高い場合には、耐候性が悪化する。また、吸水率が高くなり、寸法変化や物性変化を招く。そのため、エチレンオキシドユニットの含有量は樹脂が白化しない範囲で必要最低限の含有量とすることが好ましい。」

(甲2-5)「[0049]
<ポリウレタン樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物を用いて得られるポリウレタン樹脂組成物は、例えば下記の方法により製造される。
[0050]
前記のポリイソシアネート(A)とポリオール(B)を2液混合ウレタン注型機の別々のタンクへ投入し脱泡および保温を行った後、ミキサー部で2液を所定の比率で混合する。注型機から吐出される混合液を50?150℃に温調した金型へ注入し、脱型可能なグリーン強度が得られたら硬化物を金型から取り出す。一般的には、5?60分程度で脱型する場合が多い。必要に応じて2次硬化を行った後、光学部品として更に加工され、機器へ組み込まれる場合が多い。
金型を用いずにシートを成型する方法としては、注型機から吐出される混合液をPETフィルムなどの剥離フィルム上に連続的に流しながら広げ、樹脂が硬化する前にもう片方の面に剥離フィルムを被せ、ローラやブレードなどにより厚みを均一にした後、50?150℃に加熱した硬化炉を通過させ、ロールで巻き取る方法が挙げられる。
また、発光素子封止材料として使用する場合には、注型機から吐出される混合液を、直接対象となる発光素子にポッティングすることができる。」

(甲2-6)「[0057]
実施例1?5、実施例7?10:
表1に示す処方に従って、各種イソシアネートと各種ポリオールを混合し、95℃で10時間反応させて、各種の末端NCO基含有ポリイソシアネート(A)を得た。合成結果を表1に示す。平均NCO官能基数は前記と同様に、NCO含有量およびGPCによる数平均分子量から算出した。
[0058]
表1に示す処方に従って、各種ポリオールを80℃で1時間混合し、末端OH基含有ポリオール(B)を調製した。平均OH官能基数は、水酸基価およびGPCによる数平均分子量から式2により算出した。
平均OH官能基数=水酸基価×数平均分子量/(1000×56.1)・・・・・(式2)
[0059]
次いで、表1に示す処方に従って、40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、混合することにより、本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物を調製した。この組成物を5mmHgの減圧下で十分に脱泡した後、120℃に予熱された2mm厚の平板形成用の金型に注入し、120℃雰囲気下で30分硬化させた。その後、硬化したポリウレタン樹脂組成物を取り出し、さらに80℃雰囲気下で4時間硬化させることにより、本発明のポリウレタン樹脂組成物を得た。得られたポリウレタン樹脂組成物は、光学的透明性、耐候性が良好で、湿熱環境から取り出し後も樹脂の白化(ヘイズの上昇)は見られなかった。」

(甲2-7)「[0065]
本発明の第2の目的である、耐衝撃性、耐候性および表面の非粘着性について評価を行い、その結果を表2に示す。
[0066]
実施例1、11、12
表2に示す処方に従って、実施例2?5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られたポリウレタン樹脂組成物は、良好な耐衝撃性、非密着性、耐候性、耐熱性、耐湿熱性を有していた。なお、実施例12ではポリイソシアネート(A)としてNCO-ALPを用いているため、湿熱環境から取り出し後にやや白化(ヘイズ上昇)が見られたが、実用上問題のない範囲であった。」

(甲2-8)「[0082]
(9)耐熱性
表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を25mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとした。紫外可視分光光度計にて試験前の400nmにおける光線透過率を測定した。試験サンプルを85℃にセットしたギアオーブンに投入し、500時間試験を行い、サンプル取り出し後、25℃、50%RH環境下で12時間静置した後、紫外可視分光光度計にて試験後の400nmにおける光線透過率を測定し、次式により400nmにおける光線透過率保持率を算出し、耐熱性の指標とした。
光線透過率保持率(%)=(試験後の400nmにおける光線透過率)/(試験前の400nmにおける光線透過率)×100」

(甲2-9)「[0084]
[表1]

[0085]
[表2]



(3)甲号証に記載された発明
ア 甲1に記載された発明
甲1の請求項1及び4(摘記甲1-1)には、「変性ポリイソシアネート(A)と、ポリオール(B)から成るポリウレタン樹脂形成性組成物(C)であって、変性ポリイソシアネート(A)が、脂肪族および/または脂環族NCO官能基を有するポリイソシアネート(a1)と、1分子あたり1個以上の末端活性水素官能基と、平均で6個以上のエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(a2)を反応させて得られる変性ポリイソシアネートであって、(a2)のエチレンオキシド含有量が、(C)に対して1?20質量%となるよう調製され、ポリオール(B)が少なくとも液状ポリカーボネートジオールを含有することを特徴とする、接着剤、または粘着剤として使用される光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物」及び「基材間に請求項1?3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂を有する積層体または粘着シート」が記載されており、[0008](摘記甲1-2)には、その解決しようとする課題が、「粘着層の厚膜化を図り、それに伴う高温高湿環境下から取り出した際の樹脂の白化といった不具合を防ぎ、透明性、密着性、耐熱性、耐加水分解性、光学特性が求められる用途において使用可能なポリウレタン樹脂形成性組成物を提供すること」であることが記載されている。
また、[0017](摘記甲1-3)には、上記課題の一つである「湿熱環境下から取り出し後の白化抑制(以下耐湿熱白化性という)」のためには、「一定量以上のEOユニットがウレタン樹脂へ組み込まれなければなら」ず、「EOユニットを有するポリエーテル化合物が、予め変性ポリイソシアネート(A)に組み込まれていることが重要である」ことが記載され、その具体例の一つとして、[0054]の「合成例3」(摘記甲1-5)には、IPDI(イソホロンジイソシアネート)とPEG-300(三洋化成工業社製ポリオキシエチレングリコール)との反応により、「透明な粘性液体で、NCO含有量が9.6質量%、GPC数平均分子量が880、・・・平均NCO官能基数は2.0、・・・EO含有量は35.7質量%」の「PI-3」というポリイソシアネートを合成したことが記載され、[0068]の[表1]及び[表2](摘記甲1-6)には、同様の方法により合成され、実施例又は比較例で用いられるPI-1?PI-16のポリイソシアネートが記載されている。
さらに、[0050](摘記甲1-4)には、「ポリウレタン樹脂成形物の製造方法」の一例として、「金型を用いずにシートを成型する方法としては、注型機から吐出される混合液をPETフィルムなどの剥離フィルム上に連続的に流しながら広げ、樹脂が硬化する前にもう片方の面に剥離フィルムを被せ、ローラやブレードなどにより厚みを均一にした後、50?150℃に加熱した硬化炉を通過させ、ロールで巻き取る方法が挙げられる」ことが記載されており、その具体例の一つとして、[0071]の「サンプルの作製3」(摘記甲1-7)には、「表3、表4(実施例1?16)並びに表5、表6(比較例1?14)に示す各々の処方に基づいて、40℃に温調したポリイソシアネートと60℃に温調したポリオール、DOTDLとを混合して、ポリウレタン樹脂形成性組成物を得た。該組成物を5mmHgの減圧下で十分に脱泡した後、予め80℃に加温された、表面を離型処理した75μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、PET75GS、以下離型PET-75という)と25μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、東洋紡エステルフィルムE5007、以下PET-25という)に、200μmのスペーサーを介して挟み込み、80℃雰囲気下で1時間硬化させた。さらに25℃、50%RH環境下で7日間養生し、評価試験用サンプルを得た」ことが記載され、[0072]?[0073]の[表3]?[表6](摘記甲1-8)を参照すると、上記[表1]又は[表2]に記載されたPI-1?PI-16のいずれかがポリイソシアネート成分として用いられたことが読み取れる。
加えて、[0079]?[0082](摘記甲1-9)には、上記「サンプルの作製3」(摘記甲1-7)に従って製造された評価試験用サンプルを用いて、上記課題に関係する粘着力、基材への移行、接着信頼性及び耐熱性の試験が行われたことが記載されており、特に、[0082]の耐熱性試験においては、「得られたシートを、強制循環式空気加熱老化試験機に入れ、120℃設定で1000時間静置した。取り出し後、25mm×200mmのサイズにカットし、25℃、50%RH環境下で24時間静置した後、剥離PET-75を剥がし、ガラス板に、JIS Z0237に準じてロール圧着し30分後、引っ張り試験機にて剥離強度(180度ピール、引っ張り速度300mm/分; 単位 N/cm)を測定した」ことが記載されており、[0072]?[0073]の[表3]?[表6](摘記甲1-8)を参照すると、実施例1?16の処方では、上記課題に対応する全光線透過率、ヘイズ、耐湿熱白化性、粘着力、基材への移行、接着信頼性、耐熱性及び耐加水分解性の各試験項目で好ましい評価が得られたことが読み取れる。

そうすると、甲1には次の発明が記載されている。
「基材間に、光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物であるポリウレタン樹脂を有する粘着シートであって、光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物は、
変性ポリイソシアネート(A)と、ポリオール(B)から成るポリウレタン樹脂形成性組成物(C)であって、変性ポリイソシアネート(A)が、脂肪族および/または脂環族NCO官能基を有するポリイソシアネート(a1)と、1分子あたり1個以上の末端活性水素官能基と、平均で6個以上のエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(a2)を反応させて得られる変性ポリイソシアネートであって、(a2)のエチレンオキシド含有量が、(C)に対して1?20質量%となるよう調製され、ポリオール(B)が少なくとも液状ポリカーボネートジオールを含有するものである、粘着シート。」(以下、「甲1発明」という。)

イ 甲2に記載された発明
甲2の請求項1(摘記甲2-1)には、「ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)から構成される、ShoreA硬度が70以上の硬化物を形成する光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、ポリイソシアネート(A)が脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートからなり、ポリイソシアネート(A)またはポリオール(B)のいずれか、または両方にエチレンオキシドユニットを含有し、エチレンオキシドユニット源として、末端活性水素官能基と1分子あたり平均6個以上のエキレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)を用い、エチレンオキシドユニットの含有量がポリイソシアネート(A)とポリオール(B)の合計量に対して、3?15質量%であることを特徴とする光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物」が記載されており、[0001](摘記2-2)には、発明の属する技術分野について、「本発明は、光学的透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、耐候性に優れ、適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持ち、環境変化による光学特性の変化が小さい光学部材の形成に好適な樹脂形成性組成物、並びにこの組成物を用いて形成された導光板、発光素子封止材、樹脂レンズなどの光学部材に関する。特に、高温高湿環境下から取り出した際に樹脂の白化が起こらない光学部材用樹脂形成性組成物に関する」ことが記載され、[0010]?[0011](摘記甲2-3)には、その解決しようとする課題について、「本発明の第1の目的は、光学的透明性、耐候性に優れ、環境変化による光学特性の変化が小さい光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。特に高温高湿環境下から取り出した際に樹脂の白化が起こらない光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供すること」にあり、「本発明の第2の目的は、前記第1の目的に加え、耐熱性、耐湿熱性、耐衝撃性に優れ、適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持った光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある」ことが記載されている。
また、[0022]?[0023](摘記甲2-4)には、「エチレンオキシドユニットの含有量が3質量%より低い場合には、得られたポリウレタン樹脂を高温高湿環境下(60℃、95%RH)から25℃、50%RHの環境へ取り出した際に樹脂が白化し光学特性が悪化する(以下、耐白化性が悪化する、と表現)。逆に、15質量%より高い場合には、耐候性が悪化する」こと、及び「エチレンオキシドユニットの導入方法としては、末端活性水素官能基と1分子中に平均6個以上のエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)を用い、予めポリイソシアネート(A)の一部にウレタン化反応をさせることにより導入」することができることが記載され、その具体例として、[0057](摘記甲2-6)には、「実施例1?5、実施例7?10」として、「表1に示す処方に従って、各種イソシアネートと各種ポリオールを混合し、95℃で10時間反応させて、各種の末端NCO基含有ポリイソシアネート(A)を得た」ことが記載され、[0066](摘記甲2-7)には、「実施例1、11、12」として「表2に示す処方に従って、実施例2?5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)」を用いたことが記載され、[0084]?[0085]の[表1]及び[表2](摘記甲2-9)には、実施例又は比較例で用いられたポリイソシアネート(A)の処方が記載されている。
さらに、[0049]?[0050](摘記甲2-5)には、「ポリウレタン樹脂成形物の製造方法」について、「前記のポリイソシアネート(A)とポリオール(B)を2液混合ウレタン注型機の別々のタンクへ投入し脱泡および保温を行った後、ミキサー部で2液を所定の比率で混合する。注型機から吐出される混合液を50?150℃に温調した金型へ注入し、脱型可能なグリーン強度が得られたら硬化物を金型から取り出す。・・・必要に応じて2次硬化を行った後、光学部品として更に加工され、機器へ組み込まれる」方法と、「金型を用いずにシートを成型する方法としては、注型機から吐出される混合液をPETフィルムなどの剥離フィルム上に連続的に流しながら広げ、樹脂が硬化する前にもう片方の面に剥離フィルムを被せ、ローラやブレードなどにより厚みを均一にした後、50?150℃に加熱した硬化炉を通過させ、ロールで巻き取る方法が挙げられる」ことが記載されているが、具体例としては、前者の金型を用いる方法が記載されており、[0059](摘記甲2-6)には、「表1に示す処方に従って、40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、混合することにより、本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物を調製した。この組成物を5mmHgの減圧下で十分に脱泡した後、120℃に予熱された2mm厚の平板形成用の金型に注入し、120℃雰囲気下で30分硬化させた。その後、硬化したポリウレタン樹脂組成物を取り出し、さらに80℃雰囲気下で4時間硬化させることにより、本発明のポリウレタン樹脂組成物を得た」ことが記載され、[0065]?[0066](摘記2-7)には、「本発明の第2の目的である、耐衝撃性、耐候性および表面の非粘着性について評価を行」うために、「表2に示す処方に従って、実施例2?5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た」ことが記載され、[0084]?[0085]の[表1]及び[表2](摘記甲2-9)には、上記「エチレンオキシドユニット」が導入された「ポリイソシアネート(A)」がポリイソシアネート成分として用いられた実施例が記載されている。
加えて、[0082](摘記甲2-8)には、「耐熱性」の試験について、「表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を25mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとした。紫外可視分光光度計にて試験前の400nmにおける光線透過率を測定した。試験サンプルを85℃にセットしたギアオーブンに投入し、500時間試験を行い、サンプル取り出し後、25℃、50%RH環境下で12時間静置した後、紫外可視分光光度計にて試験後の400nmにおける光線透過率を測定し・・・光線透過率保持率を算出し、耐熱性の指標とした」ことが記載されており、[0084]?[0085]の[表1]及び[表2](摘記甲2-9)を参照すると、実施例の処方により、上記第1及び第2の目的の一部に対応するShoreA硬度、ShoreD硬度、全光線透過率、ヘイズ、湿熱環境から取出し後の耐白化性、吸水率及び耐候性の各試験項目で好ましい評価が得られたこと、また、特に、[表2]の処方では、上記の試験項目に加え、耐候性、耐衝撃性、非密着性、耐熱性及び耐湿熱性の各試験項目で好ましい評価が得られたことが読み取れる。

そうすると、甲2には次の発明が記載されている。
「ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)から構成される、ShoreA硬度が70以上の硬化物を形成する光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物であって、光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物は、
ポリイソシアネート(A)が脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートからなり、ポリイソシアネート(A)にエチレンオキシドユニットを含有し、エチレンオキシドユニット源として、末端活性水素官能基と1分子あたり平均6個以上のエキレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)を用い、エチレンオキシドユニットの含有量がポリイソシアネート(A)とポリオール(B)の合計量に対して、3?15質量%である、光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物。」(以下、「甲2発明」という。)

(4)取消理由1-1(甲1に基づく新規性)及び取消理由2-1(甲1に基づく進歩性)について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「ポリウレタン樹脂形成性組成物」、「硬化物」、「ポリウレタン樹脂」、「粘着シート」、「変性ポリイソシアネート(A)」及び「ポリオール(B)」は、それぞれ本件発明1における「ポリウレタン組成物」、「硬化物」、「ポリウレタン」、「粘着シート」、「ポリイソシアネート成分」及び「ポリオール成分」に相当する。また、甲1発明における「脂肪族および/または脂環族NCO官能基を有するポリイソシアネート(a1)」と「1分子あたり1個以上の末端活性水素官能基と、平均で6個以上のエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(a2)」とを「反応させて得られ」、「(a2)のエチレンオキシド含有量が、(C)に対して1?20質量%となるよう調製され」たものである「変性ポリイソシアネート(A)」は、本件発明1における「ポリイソシアネート」に「親水性を高める官能基」が「付加された」ものであって、「分子内にエチレンオキシドユニットを含」むものである「親水性ポリイソシアネート」に相当する。さらに、甲1発明における「光学部材用」粘着シートは、その課題(摘記甲1-2)及び実施例の評価結果(摘記甲1-8)を参酌すると、透明性が高いものであるから、本件発明1における「光学透明」の粘着シートに相当する。
そうすると、両者は、
「ポリウレタンからなる光学透明粘着シートであって、
前記ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有するポリウレタン組成物の硬化物であり、
前記ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートを含み、
前記親水性ポリイソシアネートは、親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含む、光学透明粘着シート。」
の点で一致し、

相違点1:カールフィッシャー測定での水分率が、本件発明1においては400ppm以下であるのに対し、甲1発明においては水分率が特定されていない点
で相違する。
そこで、上記相違点1について検討する。

(イ)相違点1について
(イ-1)新規性について
甲1には、粘着シートの水分率について具体的に言及した記載は見出せず、水分率の測定値や水分率の好ましい数値範囲は甲1には記載されていない。
また、甲1の[0071]の「サンプルの作製3」(摘記甲1-7)には、粘着シートの評価試験用サンプルの製造方法について、「ポリウレタン樹脂形成性組成物を・・・ポリエチレンテレフタレートフィルム・・・と・・・ポリエチレンテレフタレートフィルム・・・に・・・挟み込み、80℃雰囲気下で1時間硬化させ・・・さらに25℃、50%RH環境下で7日間養生し、評価試験用サンプルを得た」ことが記載されているが、分子内にエチレンオキシドユニットを有するポリウレタンは、一般に親水性を有し、「25℃、50%RH環境下で7日間養生」した粘着シートには環境中の湿分が吸収されることとなるから、当該粘着シートの水分率が「400ppm以下」であることは想定できない。
さらに、甲1の[0082](摘記甲1-9)には、粘着シートの耐熱性試験において、「サンプルの作製3に従い・・・得られたシートを、強制循環式空気加熱老化試験機に入れ、120℃設定で1000時間静置し・・・取り出し後・・・カットし、25℃、50%RH環境下で24時間静置した後・・・ガラス板に・・・ロール圧着」したことが記載されているが、ガラス板への圧着は「強制循環式空気加熱老化試験機」から取り出した直後ではなく、「25℃、50%RH環境下で24時間静置した後」に行われており、粘着シートには環境中の湿分が吸収されることとなるから、当該粘着シートの水分率が「400ppm以下」であることも想定できない。
そうすると、上記相違点1は実質的な相違点である。

(イ-2)進歩性について
上記のとおり、甲1には、粘着シートの水分率について具体的に言及した記載は見出せず、また、親水性を有するポリウレタンを使用しているところ、水分率と甲1発明の課題解決とを結び付け、水分率を400ppm以下とする動機付けとなる記載も特段見出せない。また、本件特許に係る出願の優先日前において、粘着シートの水分率を400ppm以下に調整することが、粘着シートの透明性、密着性、耐熱性、耐加水分解性及び高温高湿環境下から取り出した際の白化抑制に好ましく作用することが周知の技術的事項であったとも認められない。
そうすると、甲1の記載に基づいて上記相違点1に係る水分率の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(イ-3)本件発明1の効果について
上記5.(2)「理由II(サポート要件)について」に記載したとおり、本件明細書に記載された水分率の異なる試料を用いた実施例及び比較例の実験データ等を参酌すると、本件発明1は上記相違点1に係る水分率を特定したことにより、本件明細書の[0020]に記載されているとおりの「柔軟性に優れ、厚膜化が可能なポリウレタン組成物の優位性を得つつ、アウトガス等に起因する貼合わせ後の剥離を抑制し、高温・高湿環境、高温・常湿環境等に対する優れた耐環境性を得ることができる」という効果が得られるものであり、このため、「本発明の光学透明粘着シートをガラスに貼り合わせれば、安定した貼り合わせ界面を持続的に保持することができ」、「ディスプレイ、タブレットPC等の用途で好適に用いられる」ものと理解することができる。

(ウ)本件発明1についての判断
以上のことから、本件発明1は、上記相違点1で甲1発明と実質的に相違するものであり、甲1に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、特許を受けることができないものではない。
また、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

イ 本件発明2について
本件発明2は訂正により削除されたから、本件特許の請求項2に係る特許異議の申立ては対象となる請求項が存在しないものとなった。

ウ 本件発明5?8について
本件発明5?8は、いずれも本件発明1を引用し、本件発明1の発明特定事項をさらに限定したものであるか、または、本件発明1にさらに他の発明特定事項を付加したものである。
よって、本件発明5?8は、本件発明1と同じ理由により、いずれも甲1に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、いずれも甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

エ 取消理由1-1(甲1に基づく新規性)及び取消理由2-1(甲1に基づく進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1、5?8は、いずれも甲1に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、いずれも甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
よって、取消理由1-1(甲1に基づく新規性)及び取消理由2-1(甲1に基づく進歩性)により、本件請求項1、5?8に係る特許を取り消すことはできない。

(5)取消理由1-2(甲2に基づく新規性)及び取消理由2-2(甲2に基づく進歩性)について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲2発明との対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明における「ポリウレタン樹脂形成性組成物」、「硬化物」、「ポリウレタン樹脂」、「ポリイソシアネート(A)」及び「ポリオール(B)」は、それぞれ本件発明1における「ポリウレタン組成物」、「硬化物」、「ポリウレタン」、「ポリイソシアネート成分」及び「ポリオール成分」に相当する。また、甲2発明における「脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネート」からなり、「末端活性水素官能基と1分子あたり平均6個以上のエキレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)」を「エチレンオキシドユニット源として・・・用い」ており、「エチレンオキシドユニットの含有量がポリイソシアネート(A)とポリオール(B)の合計量に対して、3?15質量%である」「ポリイソシアネート(A)」は、本件発明1における「ポリイソシアネート」に「親水性を高める官能基」が「付加された」ものであって、「分子内にエチレンオキシドユニットを含」むものである「親水性ポリイソシアネート」に相当する。さらに、甲2発明における「光学部材用」の硬化物は、その課題(摘記甲2-2、甲2-3)及び実施例の評価結果(摘記甲2-9)を参酌すると、透明性が高いものであるから、本件発明1における「光学透明」の粘着シートと、「光学透明」な「硬化物」の点で共通する。
そうすると、両者は、
「ポリウレタンからなる光学透明な硬化物であって、
前記ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有するポリウレタン組成物の硬化物であり、
前記ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートを含み、
前記親水性ポリイソシアネートは、親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含む、光学透明な硬化物。」
の点で一致し、

相違点1’:カールフィッシャー測定での水分率が、本件発明1においては400ppm以下であるのに対し、甲2発明においては水分率が特定されていない点
相違点2’:硬化物が、本件発明1においては「粘着シート」であるのに対し、甲2発明においては「ShoreA硬度が70以上の硬化物」である点
で相違する。そこで、上記相違点について検討する。

(イ)相違点2’について
事案に鑑み、まず、相違点2’について検討する。
(イ-1)新規性について
甲2の[0001](摘記甲2-2)には、甲2発明の属する技術分野が「適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持」つ光学部材であることが記載され、[0011]?[0012](摘記甲2-3)には、甲2発明の第2及び第3の目的の一つとして、「適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持った光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供すること」及び「前記・・・第2の目的を達成した光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用いた、導光板や発光素子封止材などの光学部材を提供すること」にあることが記載されている。
また、[0007](摘記甲2-3)には、従来技術の課題の一つとして「シリコーン樹脂は光学特性や耐熱性は優れるものの、表面のベタツキ感が高く、液晶バックライト用導光板に使用する場合、積層される他の部材と密着し輝度にムラが発生する。また、微細なホコリなどの異物が付着しやすいという問題や、機械強度が低く、取り扱いに注意が必要な点、材料コストが高いことから使用用途が限られている」ことが記載されているから、硬化物が粘着性を有すると、上記技術分野への適用を阻害する要因の一つとなることが理解できる。
さらに、[0065]?[0066](摘記甲2-7)には、「本発明の第2の目的である、耐衝撃性、耐候性および表面の非粘着性について評価を行」った実施例が記載され、[0085]の[表2](摘記甲2-9)には、各実施例の硬化物が、非密着性の試験項目で好ましい評価を得たことが読み取れる。
そして、甲2の他の記載を精査しても、甲2の硬化物が「粘着シート」に相当するような粘着性を備えたものであることは記載も示唆もされていない。
そうすると、上記相違点2’は実質的な相違点である。

(イ-2)進歩性について
上記のとおり、甲2には、硬化物が粘着性であることは記載も示唆もされておらず、むしろ、硬化物が粘着性を有することは、光学部材としての適用を阻害する要因の一つと位置づけられている。
そうすると、甲2の記載に基づいて上記相違点2’に係る「粘着シート」の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(イ-3)本件発明1の効果について
上記5.(2)「理由II(サポート要件)について」に記載したとおり、本件発明1は、本件明細書の[0020]に記載されているとおりの「柔軟性に優れ、厚膜化が可能なポリウレタン組成物の優位性を得つつ、アウトガス等に起因する貼合わせ後の剥離を抑制し、高温・高湿環境、高温・常湿環境等に対する優れた耐環境性を得ることができる」という効果が得られるものであり、このため、「本発明の光学透明粘着シートをガラスに貼り合わせれば、安定した貼り合わせ界面を持続的に保持することができ」、「ディスプレイ、タブレットPC等の用途で好適に用いられる」ものと理解することができる。

(ウ)本件発明1についての判断
以上のことから、本件発明1は、上記相違点2’で甲2発明と実質的に相違するものであり、相違点1’について検討するまでもなく、本件発明1は甲2に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、特許を受けることができないものではない。
また、上記相違点2’については、当業者が容易に想到することができたことともいえず、本件発明1は、相違点1’について検討するまでもなく、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

イ 本件発明2について
本件発明2は訂正により削除されたから、本件特許の請求項2に係る特許異議の申立ては対象となる請求項が存在しないものとなった。

ウ 本件発明5?8について
本件発明5?8は、いずれも本件発明1を引用し、本件発明1の発明特定事項をさらに限定したものであるか、または、本件発明1にさらに他の発明特定事項を付加したものである。
よって、本件発明5?7は、本件発明1と同じ理由により、いずれも甲2に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明5?8は、本件発明1と同じ理由により、いずれも甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

エ 取消理由1-2(甲2に基づく新規性)及び取消理由2-2(甲2に基づく進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1、5?7は、いずれも甲2に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1、5?8は、いずれも甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
よって、取消理由1-2(甲2に基づく新規性)及び取消理由2-2(甲2に基づく進歩性)により、本件請求項1、5?8に係る特許を取り消すことはできない。

(6)取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由についてのまとめ
よって、特許異議申立書に記載された取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)により、本件請求項1、5?8に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件発明2は訂正により削除され、本件特許の請求項2に係る特許異議の申立ては対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。

7.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由のいずれによっても、本件請求項1、5?8に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1、5?8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件請求項2に係る特許は訂正により削除され、本件特許の請求項2に係る特許異議の申立ては対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンからなる光学透明粘着シートであって、
前記ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有するポリウレタン組成物の硬化物であり、
前記ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートを含み、
前記親水性ポリイソシアネートは、親水性を高める官能基が付加されたポリイソシアネートであり、分子内にエチレンオキシドユニットを含み、
カールフィッシャー測定での水分率が400ppm以下であることを特徴とする光学透明粘着シート。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有することを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
【請求項4】
前記ポリウレタン組成物に含まれる前記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなることを特徴とする請求項3に記載の光学透明粘着シート。
【請求項5】
請求項1、3又は4に記載の光学透明粘着シートを製造する方法であって、
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を攪拌混合してポリウレタン組成物を調製する工程と、
前記ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含むことを特徴とする光学透明粘着シートの製造方法。
【請求項6】
請求項1、3又は4に記載の光学透明粘着シートと、前記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層体。
【請求項7】
請求項1、3又は4に記載の光学透明粘着シートと、表示パネルと、タッチパネルとを備えることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
【請求項8】
請求項1、3又は4に記載の光学透明粘着シートを基材に貼りつけることを特徴とする光学透明粘着シートの貼り合わせ方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-09-26 
出願番号 特願2017-544362(P2017-544362)
審決分類 P 1 652・ 575- YAA (C09J)
P 1 652・ 121- YAA (C09J)
P 1 652・ 536- YAA (C09J)
P 1 652・ 113- YAA (C09J)
P 1 652・ 537- YAA (C09J)
P 1 652・ 572- YAA (C09J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小久保 敦規  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 日比野 隆治
天野 宏樹
登録日 2018-07-13 
登録番号 特許第6366855号(P6366855)
権利者 バンドー化学株式会社
発明の名称 光学透明粘着シート、光学透明粘着シートの製造方法、積層体、タッチパネル付き表示装置、及び、光学透明粘着シートの貼り合わせ方法  
代理人 特許業務法人安富国際特許事務所  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  
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