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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  A23F
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23F
管理番号 1357657
異議申立番号 異議2019-700356  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-26 
確定日 2019-11-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6415767号発明「容器詰コーヒー飲料及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6415767号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第6415767号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6415767号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成27年10月30日に特許出願された特願2015-214127号の一部を新たな特許出願としたものであって、平成30年10月12日に特許権の設定登録がされ、平成30年10月31日にその特許公報が発行され、その後、平成31年4月26日に、特許異議申立人 渡辺 陽子(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和1年6月21日付け取消理由が通知され、同年8月16日に特許権者から訂正請求書及び意見書が提出され、その訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)に対して、特許法第120条の5第5項に基づく通知がなされ、特許異議申立人から同年9月30日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項1?2のとおりである。

(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1の訂正前の「容器詰コーヒー飲料における飲料液中の粒子径が0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量を25ppm以上に調整する工程と、粒子径が10μm以上の水不溶性粒子の含有量を7ppm以下に調整する工程と、前記粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と水不溶性粒子の総含有量[b]の比率([a]/[b])を0.8以上に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。」との記載を、「容器詰コーヒー飲料における飲料液中の粒子径が0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量を25ppm以上に調整する工程と、粒子径が10μm以上の水不溶性粒子の含有量を7ppm以下に調整する工程と、前記粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]の比率([a]/[b])を0.8以上に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。」に訂正する。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、請求項3の訂正前の「前記水不溶性粒子の総含有量[b]を30ppm以上に調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。」との記載を、「前記粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]を30ppm以上に調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。」に訂正する。

2 目的の適否
(1)上記訂正事項1は、訂正前の「水不溶性粒子の総含有量[b]」との記載の対象が不明確であったところ、【0027】の[b]に関する記載、実施例の【表2】の[b]に関する記載、及び特許請求の範囲及び明細書全体において、0.45未満の水不溶性粒子の含有量に関して述べている箇所がないことを考慮すると、訂正後に【0027】や実施例の【表2】の記載に整合した、「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]」という本来の意味に訂正したものであると理解できる。
したがって、上記訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)上記訂正事項2も、訂正前の「水不溶性粒子の総含有量[b]」との記載の対象が不明確であったところ、【0027】の[b]に関する記載、実施例の【表2】の[b]に関する記載、及び特許請求の範囲及び明細書全体において、0.45未満の水不溶性粒子の含有量に関して述べている箇所がないことを考慮すると、訂正後の【0027】や実施例の【表2】の記載に整合した、「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]」という本来の意味に訂正したものであると理解できるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

3 新規事項についての判断
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1の「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]」に関しては、【0027】の「なお、水不溶性粒子の総含有量[b]は粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量とできる。」との記載、実施例【表2】において、「粒子径10μm以上」の「水不溶性粒子含有量(ppm)」と「粒子径0.45μm以上10μm未満(a)」の「水不溶性粒子含有量(ppm)」と、それらの「合計(b)」の数値が整合していることから、訂正後の上記[b]に関する特定事項の記載は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]」に関しては、【0027】の「水不溶性粒子の総含有量[b]は30ppm以上が望ましく」との記載及び「なお、水不溶性粒子の総含有量[b]は粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量とできる。」との記載から、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。

4 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
上記2、3で検討したとおり、訂正事項1、2は、願書に添付した明細書等に記載された事項の範囲内において、不明確な記載を本来の記載に整合するように明瞭にしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

5 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1?5について、請求項2?5はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
また、訂正事項2に係る訂正前の請求項3?5について、請求項3?5はそれぞれ請求項3を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?5に対応する訂正後の請求項1?5に係る本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。

6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正を認める。

第3 特許請求の範囲の記載
本件特許請求の範囲の記載は以下のとおりであり、請求項1?5に係る特許発明をそれぞれ、「本件特許発明1」?「本件特許発明5」といい、まとめて「本件特許発明」ともいう。

「【請求項1】
容器詰コーヒー飲料における飲料液中の粒子径が0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量を25ppm以上に調整する工程と、粒子径が10μm以上の水不溶性粒子の含有量を7ppm以下に調整する工程と、前記粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]の比率([a]/[b])を0.8以上に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
【請求項2】
前記粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の粒子量を1μLあたり1.3×10^(5)個以上に調整することを特徴とする請求項1に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
【請求項3】
前記粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]を30ppm以上に調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
【請求項4】
前記水不溶性粒子のメディアン径を1.7μm以下に調整し、かつ粒度分布の標準偏差を0.2以下に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
【請求項5】
前記粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量を150ppm以下に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。」

第4 取消理由及び異議申立理由
1 特許異議申立人が申し立てた理由
特許異議申立人が申し立てた理由の概要は以下のとおりである。

(1)請求項1?5に係る特許は、本件特許発明に係る粒子径には複数の種類があり、「粒子径」の内容が不明確であること、「明細書に記載された測定法」では、JISに規定された手順で篩い分けされていないので「特定の粒子径を有する水不溶性粒子の含有量」を明確に特定できないこと(不備1)、「水不溶性粒子の総含有量[b]」の定義及び内容が不明確であること(不備2)、「含有量[a]」や「粒子量」の上限がなく有用性が得られるか不明確であること(不備3)、水不溶性粒子を特定範囲で含有するための均質化処理条件が明確かつ十分に理解できないこと(不備4)、官能評価の判断基準が明確でないこと(不備5)から、その発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

(2)請求項1?5に係る特許は、「粒子径」、「測定法」の内容が不明確であるので、課題が解決できると認識できないこと(不備1)、[b]を備えたことにより課題が解決できると認識できないこと、本件特許明細書には、本件特許発明を実施した具体例が記載されていないといえること(不備2)、[a]や「粒子量」の上限値が規定されていない範囲まで課題が解決できるのか認識できないこと(不備3)、官能評価の判断基準が明確でないので特定された数値範囲のものが裏付けられているといえないこと(不備5)から、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

(3)請求項1?5に係る特許は、本件特許発明に係る「粒子径」、「測定法」の内容が不明確であるので、発明の数値範囲が不明確であること(不備1)、[b]がいかなる水不溶性粒子の含有量を意味するのか不明確であること(不備2)、[a]や「粒子量」の発明の範囲が不明確であること(不備3)から、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

2 当審が通知した取消理由の概要
理由1:本件訂正前の請求項1?5に係る特許は、特許請求の範囲で特定された水不溶性粒子の総含有量[b]と発明の詳細な説明の記載において示された粒子径10μm以上の水不溶性粒子の含有量と粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量(a)との合計量(b)とは、水不溶性粒子の含有量として一致した量とはいえず、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

理由2:本件訂正前の請求項1?5に係る特許は、「水不溶性粒子の総含有量[b]」の内容が特許請求の範囲と発明の詳細な説明の実施例とで一致していない結果、「水不溶性粒子の総含有量[b]」という記載の技術的意味が不明確となっているから、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

理由3:本件訂正前の請求項1?5に係る特許は、「水不溶性粒子の総含有量[b]」の内容が特許請求の範囲と発明の詳細な説明の実施例とで一致していないし、発明の詳細な説明の【0028】に記載された水不溶性粒子の含有量の測定方法からみて、0.45μm未満の水不溶性粒子が含まれた、水不溶性粒子の総含有量[b]は、測定できないことになるところ、その量[b]は実施例においても示されてはいないから、どのように実施するのか当業者には理解できず、その発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものではないから、請求項1?5に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

第5 当審の判断
当審は、請求項1?5に係る特許は、当審の通知した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
理由は以下のとおりである。

当審が通知した取消理由の判断

1 理由1(特許法第36条第6第1号)について
(1)特許法第36条第6項第1号の判断の前提
特許請求の範囲の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)特許請求の範囲の記載
請求項1には、「容器詰めコーヒー飲料の苦み及び雑味の抑制方法」として、「飲料液中の粒子径が0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量を25ppm以上に調整」すること、「粒子径が10μm以上の水不溶性粒子の含有量を7ppm以下に調整する」こと、「粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]の比率([a]/[b])を0.8以上に調整する」ことを特定した方法の発明が記載されている。
また、請求項2には、請求項1において、「粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の粒子量を1μLあたり1.3×10^(5)個以上に調整する」ことを特定した方法の発明が記載されている。
さらに、請求項3には、請求項1又は2において、「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]を30ppm以上に調整する」ことをさらに限定した発明が、請求項4には、請求項1?3において、「水不溶性粒子のメディアン径を1.7μm以下に調整し、かつ粒度分布の標準偏差を0.2以下に調整する」ことをさらに限定した発明が、請求項5には、請求項1?4において、「粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量を150ppm以下に調整する」ことをさらに限定した方法の発明が、それぞれ記載されている。

(3)発明の詳細な説明の記載
本件明細書の発明の詳細な説明には、請求項1?5に係る発明に関する記載として、特許請求の範囲の実質的繰り返し記載を除いて以下の記載がある。

(3-1)本件特許発明の課題について
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記発明によれば、多量のコーヒー豆を使用しないでも、濃厚感を高める一定の効果を奏するといえる。しかし、水不溶性粒子量が多くなるため、長い賞味期限中に生じる再凝集や沈殿を解決すべく複数の乳化剤を用いており、製品の特性上好ましいとは言えなかった。
一方、乳化剤を減らすと、再凝集や沈殿を生じるほか、飲用時にザラツキ感や不自然な苦渋味・雑味を感じ、舌触りや呈味性のバランスが保てないという課題があった。
また、酸化劣化などが生じやすく、賞味期限まで一定の品質に保てないという課題もあった。
一方、単位量当たりのコーヒー豆の使用量を増やす技術では、原料コストの増大という課題があり、使用するコーヒー豆の量は変えず、温度や熱水の量を調整して抽出効率を高める技術では、好ましくない苦みや雑味の増大や、香りが弱くなるなどの課題があった。
【0009】
そこで本発明の目的は、含有成分の酸化による品質低下や好ましくない苦みや雑味、酸味を生じることがなく、かつコーヒー豆の使用量を増やすことなく従来の容器詰コーヒー飲料よりも、香味が強く、濃度感がある容器詰コーヒー飲料及びその製造方法を提供することである。」(下線は当審にて追加。以下同様。)

(3-2)水不溶性粒子の含有量について
「【0027】
加えて本実施形態にあっては、粒子径10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と水不溶性粒子の総含有量[b]の比率([a]/[b])が0.75以上0.99以下であることが好ましく、更には[a]/[b]が0.8以上であることが好ましく、特に[a]/[b]が0.83以上であることが好ましい。
これにより、粒子径10μm未満の水不溶性粒子が粒子径10μm以上の水不溶性粒子よりも多量に含まれるため、濃度感とスッキリとした後味を向上させつつ不快な苦みや雑味を抑えることができる。
また、水不溶性粒子の総含有量[b]は30ppm以上が望ましく、更には40ppm以上が好ましく、特に60ppm以上100ppm以下が好ましい。これにより苦みや雑味、酸味を抑制しつつ、濃度感を高めることができることができる。
また、水不溶性粒子の総含有量[b]の上限は、200ppm以下が望ましく、更には150ppm以下が好ましく、特に100ppm以下が好ましい。これにより飲用時のザラツキを抑えて口当たりを良くするほか、賞味期限内での性状安定性を高めることができる。
なお、水不溶性粒子の総含有量[b]は粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量とできる。」

(3-3)水不溶性粒子の含有量、粒子数、粒子量の測定方法について
「【0028】
(水不溶性粒子の含有量の測定方法)
本実施例にあっては、下記方法によって水不溶性粒子の含有量の測定を行った。
=分析方法=
ステップ1:抽出液を孔径10μmのPPKフィルター(3M社製)にてろ過し、PPKフィルター上に残った残渣を回収し、乾燥質量を計測。この乾燥質量を粒子径10μm以上の水不溶性粒子の質量とし、粒子径10μm以上の水不溶性粒子の含有量をppm換算で求めた。
ステップ2:次に、ステップ1で得られたろ液を孔径0.45μmのPPKフィルター(3M社製)にてろ過し、PPKフィルター上に残った残渣を回収し、乾燥質量を計測。この乾燥質量を粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の質量とし、粒子径10μm未満の水不溶性粒子の含有量をppm換算で求めた。
【0029】
(水不溶性粒子の粒子数)
本実施形態にあっては、粒子径10μm未満の水不溶性粒子の粒子量が1μLあたり1.3×10^(5)個以上であることが好ましく、更には粒子量が1μLあたり1.4×10^(5)個以上であることが好ましく、特に粒子量が1μLあたり1.5×10^(5)個以上であることが好ましい。このように、粒子径10μm未満の水不溶性粒子が多量に含まれることで、濃度感と共にスッキリとした後味が向上する。
また、粒子径10μm未満の水不溶性粒子の粒子量の上限は、1μLあたり6.0×10^(5)個以下であることが好ましく、更には粒子量が1μLあたり5.0×10^(5)個以下であることが好ましく、特に粒子量が1μLあたり3.0×10^(5)個以下であることが好ましい。この範囲に調整することで、これにより飲用時のザラツキを抑えて口当たりを良くするほか、含有成分の酸化が抑えられ賞味期限内での性状安定性を高めることができる。
なお、粒子径10μm未満の水不溶性粒子の粒子量は、粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の粒子量とできる。
【0030】
(水不溶性粒子の粒子量の測定方法)
本実施形態にあっては、下記方法によって水不溶性粒子の粒子量(粒子数)の測定を行った。
=装置構成=
・コールターカウンター:Multisizer4(ベックマンコールター社製)
・アパチャーサイズ:20μm
=分析方法=
ステップ1:飲用液が入っている容器を10回上下に振り混ぜ、粒子を均一化させる。
ステップ2:飲用液をアイソトン溶液にて測定濃度に希釈する。
ステップ3:コールターカウンターにて希釈液中の粒子数を求め、希釈前の飲用液中の粒子量を算出した。」

(3-4)水不溶性粒子のメディアン径及び粒度分布の標準偏差について
「【0031】
(水不溶性粒子のメディアン径)
本実施形態にあっては、水不溶性粒子のメディアン径(粒度分布の50%となる粒径)が1.7μm以下であることが好ましく、更には1.65μm以下が好ましい。また、水不溶性粒子の粒度分布の標準偏差が0.2以下であることが好ましく、更には0.18以下であることが好ましい。
このように、粒子径の小さい水不溶性粒子を多く含むことで、香味向上と苦み・雑味の低減を実現することができ、更に水不溶性粒子の粒子径のバラつきを抑えることで、水不溶性粒子の凝集や沈殿が生じにくくなる。
なお、メディアン径は、一般的なレーザー回析散乱光式粒度分布装置、例えば島津製作所製SALD-2100を用いて求めることができる。」

(3-5)各実施例試料及び比較例試料の測定結果及び官能評価結果について
「【0043】

【0044】
(官能評価)
前記表2の通りに調製された実施例試料1?5、及び比較例試料1?3について、以下の評価項目により官能評価試験を実施した。
官能評価試験は、7人の訓練されたパネラーに委託して行い、各項目を以下に示す基準で評価したものである。ここで、表中の数値は、7人のパネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)したものである。
【0045】
<コーヒーの強さ>
0点:感じない
1点:少し感じる
2点:感じるがやや物足りない(前記少し感じるよりも強く感じる)
3点:十分感じる
4点:強く感じる
5点:非常に強く感じる
【0046】
<濃度感>
0点:感じない
1点:少し感じる
2点:感じるがやや物足りない(前記少し感じるよりも強く感じる)
3点:十分感じる
4点:強く感じる
5点:非常に強く感じる
【0047】
<苦味、雑味>
0点:感じない
-1点:少し感じる
-2点:やや感じる(前記少し感じるよりも強く感じる)
-3点:十分感じる
-4点:強く感じる
-5点:非常に強く感じる
【0048】
<酸味>
0点:感じない
-1点:少し感じる
-2点:やや感じる(前記少し感じるよりも強く感じる)
-3点:十分感じる
-4点:強く感じる
-5点:非常に強く感じる
【0049】
<総合評価>
各評価項目を総合的に勘案して、商品としての適性を評価した。
×:商品としての適性に劣っている(合計点が0以下)
△:商品としての適性は標準的である(1点、2点)
○:商品としての適性に優れている(3?7点)
◎:商品としての適性に非常に優れている(8?10点)
【0050】
前記の各評価項目について実施例及び比較例の評価を行った結果を表3に示す。
【0051】



(4)対比・判断
(4-1)本件特許発明の課題について
上記(3)(3-1)の記載及び本件特許明細書全体を参酌して、含有成分の酸化による品質低下や好ましくない苦みや雑味、酸味を生じることがなく、かつコーヒー豆の使用量を増やすことなく従来の容器詰コーヒー飲料よりも、香味が強く、濃度感がある容器詰コーヒー飲料の苦み及び雑味の抑制方法を提供することにあるものと認める。

(4-2)判断
ア 上記(2)に記載のように、訂正後の請求項1においては、「粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]の比率([a]/[b])を0.8以上に調整すること」を特定事項とした方法の発明が記載され、訂正後の請求項3においても、「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]を30ppm以上に調整する」ことを特定事項とした方法の発明が記載されている。

イ 一方、発明の詳細な説明には、上記(3)(3-2)のとおり、【0027】に、「・・・粒子径10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と水不溶性粒子の総含有量[b]の比率([a]/[b])が・・・、更には[a]/[b]が0.8以上であることが好ましく、・・・粒子径10μm未満の水不溶性粒子が粒子径10μm以上の水不溶性粒子よりも多量に含まれるため、濃度感とスッキリとした後味を向上させつつ不快な苦みや雑味を抑えることができる・・・水不溶性粒子の総含有量[b]は30ppm以上が望ましく、・・・これにより苦みや雑味、酸味を抑制しつつ、濃度感を高めることができることができる。・・・水不溶性粒子の総含有量[b]の上限は、200ppm以下が望ましく、更には150ppm以下が好ましく、特に100ppm以下が好ましい。これにより飲用時のザラツキを抑えて口当たりを良くするほか、賞味期限内での性状安定性を高めることができる。
なお、水不溶性粒子の総含有量[b]は粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量とできる。」と記載され、[a]/[b]が0.8以上は更に好ましい範囲とされ、上記(3)(3-5)のとおり、(a)/(b)が0.75以上の実施例試料1?5では、コーヒーの強さ、濃度感、苦味、雑味、酸味からなる商品としての総合評価に非常に優れた結果を得たこと、実施例試料1?5すべてにおいて、(b)が30ppm以上であるとの結果が得られている。
したがって、本願明細書全体を通して0.45μm未満の水不溶性粒子への言及がないことや【0027】や実施例の記載から、水不溶性粒子の総含有量[b]は、粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量を意味すると理解できるといえる。
そして、上記前提に基づけば、訂正によって【0027】や実施例の記載と対応することとなった「粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]の比率([a]/[b])を0.8以上」との訂正後の請求項1の特定事項に関しては、「粒子径10μm未満の水不溶性粒子が粒子径10μm以上の水不溶性粒子よりも多量に含まれるため、濃度感とスッキリとした後味を向上させつつ不快な苦みや雑味を抑えることができる」という技術的意義と作用の記載も存在していること(【0027】)、及び同様に、訂正によって【0027】や実施例の記載と対応することとなった「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]を30ppm以上」との訂正後の請求項3の特定事項に関しても、「これにより苦みや雑味、酸味を抑制しつつ、濃度感を高めることができることができる」(【0027】)という技術的意義と作用の記載も存在していることを考慮すれば、訂正後の請求項1,3に係る発明は、含有成分の酸化による品質低下や好ましくない苦みや雑味、酸味を生じることがなく、かつコーヒー豆の使用量を増やすことなく従来の容器詰コーヒー飲料よりも、香味が強く、濃度感がある容器詰コーヒー飲料の濃度感向上方法を提供するという本件特許発明の課題を解決していることを当業者が認識できるといえる。

よって、本件特許発明1,3は、発明の詳細な説明に裏付けをもって記載されているといえる。

ウ 本件特許発明2に関しても、本件特許発明1を、「粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の粒子量を1μLあたり1.3×10^(5)個以上に調整する」ことをさらに限定した方法であり、上記(3)(3-3)にそれらの数値範囲の技術的意義が示されているのであるから、本件特許発明1に関して検討したのと同様に、課題が解決できることが裏付けをもって記載されているといえ、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。

エ 本件特許発明4に関しても、本件特許発明1?3を、メディアン径と粒度分布の標準偏差でさらに限定した方法であり、上記(3)(3-4)にそれらの数値範囲の技術的意義が示されているのであるから、本件特許発明1に関して検討したのと同様に、課題が解決できることが裏付けをもって記載されているといえ、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。
また、本件特許発明5に関しても、本件特許発明1?4を、粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量の上限でさらに限定した方法であり、上記(3)(3-2)にそれらの数値範囲の技術的意義が示されているのであるから、本件特許発明1に関して検討したのと同様に、課題が解決できることが裏付けをもって記載されているといえ、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。

オ よって、請求項1?5に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たした特許出願に対してされたものであるといえ、取消理由1は解消されている。

2 理由2(特許法第36条第6第2号)について

理由1について検討したように、請求項1、3に係る特許の「水不溶性粒子の総含有量[b]」との記載は、訂正によって、「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]」となり、発明の詳細な説明の実施例の記載と一致することとなったので、技術的意味は明確となった。
また、請求項2、4、5に係る特許についても、引用する請求項1、3に係る特許の「水不溶性粒子の総含有量[b]」との記載の技術的意味が明確となったのであるから同様に明確になったといえる。
したがって、請求項1?5に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たした特許出願に対してされたものであるといえ、取消理由2は解消されている。

3 理由3(特許法第36条第4第1号)について

理由1について検討したように、請求項1、3に係る特許の「水不溶性粒子の総含有量[b]」との記載は、訂正によって、「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]」となり、発明の詳細な説明の実施例の記載と一致することとなったので、発明の詳細な説明の【0028】に記載された水不溶性粒子の含有量の測定方法からみて、「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]」は、孔径10μmのフィルターと孔径0.45μmのフィルターを順に用いてフィルター上の量を測定し、それらの測定値を合計することで、上記[b]の値が測定できることとなったといえる。
また、請求項2、4、5に係る特許についても、引用する請求項1、3に係る特許の「粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]」との記載が測定できる値となっているのであるから、どのように実施するのか当業者には理解できるものとなったといえる。
したがって、請求項1?5に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たした特許出願に対してされたものであるといえ、取消理由3は解消されている。

取消理由に採用しなかった特許異議申立人が申し立てた理由について

1 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について
(1)主張
特許異議申立人は、訂正前の請求項1?5に係る特許について、特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)に関して、甲第1号証(不備1に関して)、甲第6号証(不備4に関して)を提出して、前記第4 1(1)に記載のとおり、取消理由に採用された不備2以外にも、本件特許発明に係る「粒子径」の内容が不明確であること、「明細書に記載された測定法」では、「特定の粒子径を有する水不溶性粒子の含有量」を明確に特定できないこと、[a]や粒子量の上限がなく有用性が得られるか不明確であること、水不溶性粒子を特定範囲で含有するための均質化処理条件が明確かつ十分に理解できないこと、官能評価の判断基準が明確でないことを特許異議申立理由として申し立てているので検討する。

(2)検討
ア 本件明細書において、「粒子径」の内容は、前記(3-4)の【0031】に水不溶性粒子の粒子径をメディアン径で測定することやその装置の例示記載があり、前記(3-3)の【0028】?【0030】には、水不溶性粒子の含有量、粒子数、粒子量の測定方法について記載があるのであるから、甲第1号証に示されるような測定法のJISの明示がないからといって、本件特許発明に係る「粒子径」の内容が不明確であるとはいえないし、「明細書に記載された測定法」では、「特定の粒子径を有する水不溶性粒子の含有量」を明確に特定できないとはいえない。

イ また、[a]や粒子量の上限がなく有用性が得られるか不明確であるとの点については、前記(3-5)の【表2】の実施例試料1?5の結果や[a]/[b]の比から当業者であれば一定程度の有用性が得られるように条件を適宜設定できるといえるし、水不溶性粒子を特定範囲で含有するための均質化処理条件が明確かつ十分に理解できないとの点については、均質化処理条件自体、本件特許発明の特定事項になっておらず、甲第6号証に示されるようにホモゲナイザーにいくつかの種類が存在しているとしても、【0024】に「【0024】
(均質化)
一般的な均質化手法を用いることで、抽出液中の水不溶性粒子を砕き、粒子径の小さい水不溶性粒子の含有量を増やすことができる。均質化の条件は、均質化前の抽出液に含まれる粒子量や粒子径により適宜条件が異なるが、例えば、上記遠心分離やフィルターでのろ過を経て得られた抽出液を、ホモゲナイザーで処理する場合、抽出液を30℃以上に加温し、圧力10MPa以上で処理することが好ましく、特に抽出液を40?60℃に加温し、圧力12?20MPaで処理することが好ましい。」との記載があるのであるから、当業者であれば採用すべき均質化処理条件を明確かつ十分に理解できるといえる。

ウ また、官能評価の判断基準が明確でないことに関しては、【0044】?【0054】に、官能評価手法、評価結果、結果の考察が明確に記載されているのであるから、評価手法が合理的でないことを示す根拠は存在しない。

エ したがって、上述のとおり、特許異議申立人の特許法第36条第4項第1号に関する主張は採用できない。

2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
(1)主張
特許異議申立人は、訂正前の請求項1?5に係る特許について、甲第1号証(不備1に関して)を提出して、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)に関して、前記第4 1(2)に記載のとおり、「粒子径」、「測定法」の内容が不明確であるので、課題が解決できると認識できないこと、[a]や粒子量の上限値が規定されていない範囲まで課題が解決できるのか認識できないこと、官能評価の判断基準が明確でないので特定された数値範囲のものが裏付けられているといえないことを特許異議申立理由として申し立てているので検討する。

(2)検討
ア 上記1で検討したように、「粒子径」、「測定法」の内容に関して、上述のとおり明細書に記載があり、上記粒子径や測定法が不明確であるとはいえないのであるから、当業者であれば明細書の粒子径や測定法の記載及び本願出願時の技術常識に基づき本件特許発明を実施し、本件特許発明の課題が解決できることを認識できるといえる。

イ [a]や粒子量の上限値が規定されていない範囲まで課題が解決できるのか認識できないという点についても、[a]や粒子量の上限値に関して実施例や[a]/[b]の比や[b]の上下限に関する記載から、当業者であれば、一定程度本件特許発明の課題が解決できることを認識できるといえる。

ウ 官能評価の判断基準が明確でないので数値範囲によって裏付けられているといえない点については、官能評価手法、評価結果、結果の考察が明確に記載されているのであるから評価手法が合理的でないとはいえず、当業者であれば、特許請求の範囲で特定された数値範囲に関して、一定程度本件特許発明の課題が解決できると認識できるといえる。

エ したがって、上述のとおり、特許異議申立人の特許法第36条第6項第1号に関する主張は採用できない。

3 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)について
(1)主張
特許異議申立人は、訂正前の請求項1?5に係る特許について、甲第1号証(不備1に関して)を提出して、前記第4 1(3)に記載のとおり、特許法第36条第6項第2号(明確性要件)に関して、本件特許発明に係る「粒子径」の内容が不明確であること、[a]や粒子量の発明の範囲が不明確であることを特許異議申立理由として申し立てているので検討する。

(2)検討
ア 理由1で検討したように、「粒子径」の内容が不明確であるとはいえず、[a]や粒子量の発明の範囲も、明細書の記載から適宜理解できるものであるから不明確であるとはいえない。

イ したがって、上述のとおり、特許異議申立人の特許法第36条第6項第2号に関する主張は採用できない。

4 異議申立人の意見書について
令和1年9月30日付け意見書2?5頁において、【0023】の記載を指摘し、本件明細書【0028】のフィルターを用いた測定方法では、各パラメータの数値の正確な測定ができないので、訂正により水不溶性粒子の含有量[b]が特定されたが、依然として、それぞれのパラメータを特定範囲に調整することを発明特定事項とする本件特許発明は、明細書に記載されておらず、発明として明確でなく、明細書において実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張している。

しかしながら、【0023】の記載は、厳密な分離を考慮した表現として言及したものであると理解すべきであり、その測定法が第三者の不測の不利益を生じる程度にその数値が変化することや実施できないことを立証しているものとは認められない。
したがって、本件特許発明が、特定の粒子径の水不溶性粒子の含有量を一定以上にしたことを発明の技術思想とするものであり、測定方法が明細書に具体的に記載されていることを考慮すると、いわゆるサポート要件、明確性要件、実施可能要件を満たしていないとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本件請求項1?5に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、取り消されるべきものとはいえない。
また、他に本件請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器詰コーヒー飲料における飲料液中の粒子径が0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量を25ppm以上に調整する工程と、粒子径が10μm以上の水不溶性粒子の含有量を7ppm以下に調整する工程と、前記粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量[a]と粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]の比率([a]/[b])を0.8以上に調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
【請求項2】
前記粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の粒子量を1μLあたり1.3×10^(5)個以上に調整することを特徴とする請求項1に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
【請求項3】
前記粒子径0.45μm以上の水不溶性粒子の含有量[b]を30ppm以上に調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
【請求項4】
前記水不溶性粒子のメディアン径を1.7μm以下に調整し、かつ粒度分布の標準偏差を0.2以下に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
【請求項5】
前記粒子径0.45μm以上10μm未満の水不溶性粒子の含有量を150ppm以下に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の容器詰コーヒー飲料の苦味及び雑味の抑制方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-10-25 
出願番号 特願2018-17520(P2018-17520)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (A23F)
P 1 651・ 853- YAA (A23F)
P 1 651・ 537- YAA (A23F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤澤 雅樹  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 瀬良 聡機
関 美祝
登録日 2018-10-12 
登録番号 特許第6415767号(P6415767)
権利者 株式会社 伊藤園
発明の名称 容器詰コーヒー飲料及びその製造方法  
代理人 村雨 圭介  
代理人 田岡 洋  
代理人 早川 裕司  
代理人 田岡 洋  
代理人 村雨 圭介  
代理人 早川 裕司  

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