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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1358491
審判番号 不服2019-6574  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-20 
確定日 2020-01-09 
事件の表示 特願2016-105322号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月30日出願公開、特開2017-209356号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年5月26日の出願であって、平成30年6月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年2月12日付け(謄本送達日:同年同月19日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和1年5月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
なお、請求人は、令和1年10月23日に上申書を提出し、審査官が同年7月30日に作成した、特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)の内容に対して反論している。

第2 令和1年5月20日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和1年5月20日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含む補正であって、平成30年9月3日に提出された手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「乱数生成手段と、
変数として取り得る値を記憶する変数記憶手段と、
判定値を生成する判定値生成手段と、
判定処理を行う判定手段と、を備え、
前記判定手段が行う判定処理のうち少なくとも1つの判定処理は、前記乱数生成手段が生成した乱数と前記判定値生成手段が生成した判定値とを用いて行われ、
前記判定値生成手段は、前記変数記憶手段に記憶されている値を変数として取得し、該取得した変数と、予め定めた定数と、を演算することにより前記判定値を生成し、前記判定値生成手段が生成する判定値のデータ量は、前記変数として取り得る値、及び前記定数の値の何れよりも多い単位数のデータ量であり、
前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記変数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記定数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する処理を実行するためのプログラムのデータ量と、を合計したデータ量は、前記判定値生成手段が生成する前記判定値のデータ量を合計したデータ量に比べて少ないことを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「乱数生成手段と、
変数として取り得る値を記憶する変数記憶手段と、
判定値を生成する判定値生成手段と、
判定処理を行う判定手段と、を備え、
前記判定手段が行う判定処理のうち少なくとも1つの判定処理は、前記乱数生成手段が生成した乱数と前記判定値生成手段が生成した判定値とを用いて行われ、
前記判定値生成手段は、前記変数記憶手段に記憶されている値を変数として取得し、該取得した変数と、予め定めた定数と、を演算することにより前記判定値を生成し、前記判定値生成手段が生成する判定値のデータ量は、前記変数として取り得る値、及び前記定数の値の何れよりも多い単位数のデータ量であり、
前記変数として取り得る値及び前記定数の値のうち、少なくとも前記変数として取り得る値のデータ量は、1単位のデータ量であり、
前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記変数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記定数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する処理を実行するためのプログラムのデータ量と、を合計したデータ量は、前記判定値生成手段が生成する前記判定値のデータ量を合計したデータ量に比べて少ないことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は、補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「変数として取り得る値のデータ量」について、「前記変数として取り得る値及び前記定数の値のうち、少なくとも前記変数として取り得る値のデータ量は、1単位のデータ量であり、」とする補正からなる。

2 本件補正の目的
(1)上記1(2)の補正事項は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面のうち、段落【0108】及び図8の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「変数として取り得る値のデータ量」を「1単位のデータ量であ」るものに限定するものである。

(2)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしIは、分説するため合議体が付した。

「A 乱数生成手段と、
B 変数として取り得る値を記憶する変数記憶手段と、
C 判定値を生成する判定値生成手段と、
D 判定処理を行う判定手段と、を備え、
E 前記判定手段が行う判定処理のうち少なくとも1つの判定処理は、前記乱数生成手段が生成した乱数と前記判定値生成手段が生成した判定値とを用いて行われ、
F 前記判定値生成手段は、前記変数記憶手段に記憶されている値を変数として取得し、該取得した変数と、予め定めた定数と、を演算することにより前記判定値を生成し、前記判定値生成手段が生成する判定値のデータ量は、前記変数として取り得る値、及び前記定数の値の何れよりも多い単位数のデータ量であり、
G 前記変数として取り得る値及び前記定数の値のうち、少なくとも前記変数として取り得る値のデータ量は、1単位のデータ量であり、
H 前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記変数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記定数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する処理を実行するためのプログラムのデータ量と、を合計したデータ量は、前記判定値生成手段が生成する前記判定値のデータ量を合計したデータ量に比べて少ない
I ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-152357号公報(平成23年8月11日出願公開、以下「引用例1」という。)には、スロットマシンに関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が遊技媒体を投入して、複数の図柄が表示された複数のリールを回転させて停止させ、停止時における図柄の組み合わせによって遊技結果を定めるスロットマシンに関し、特に、役抽選を行なってその結果に基づいて遊技を進行させるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者が遊技媒体を投入して、複数の図柄が表示された複数のリールを回転させた後、役抽選の結果に応じて、回転させたリールを停止させ、停止時における図柄の組み合わせによって遊技結果を定めるスロットマシンが、遊技機の1つとして広く用いられている。このようなスロットマシンでは、多くの場合、乱数を発生させてその中から1の乱数を取り出し、取り出された乱数と予め記憶された抽選データとを比較することにより、所定の役の当選を定める役抽選を行なう。役抽選で用いられる抽選データは、役の種類、遊技状態、当選確率の設定値、遊技媒体の投入枚数等に応じて複数種類記憶する必要があるので、例えば、多数の遊技状態を備えたスロットマシンでは、記憶すべき抽選データの情報量が増大し、スロットマシンに備えられた記憶手段の容量にも問題が生じることになる。
【0003】
このような問題に対処するため、例えば、当選確率の設定値や遊技媒体の投入枚数が異なっても、役抽選における当選確率が同一の場合には、個別にデータを持たずに、共通データとして記憶するようにしたスロットマシンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、当選確率の設定値や遊技媒体の投入枚数が異なっても、共通データのみを記憶するだけでよいので、記憶すべき抽選データの情報量を抑制することができる。しかし、共通データを含む記憶すべき各データのサイズ自体に変更はないので、記憶すべきデータの情報量を抑制する点に関してはおのずと限界がある。
また、遊技状態によって役の当選確率が変更される場合(例えば、通常の遊技状態から所謂「リプレイタイム(RT)」変わる場合)や、複数種類の抽選処理を行なう場合には、各遊技状態または抽選の種類ごとに抽選データを記憶する必要があるので、これを実現するためには、記憶すべき抽選データのデータ容量が増大し、スロットマシンに備えられた記憶手段の容量にも問題が生じる。
【0006】
従って、本発明の目的は上記の問題を解決し、記憶手段の必要容量の増大を抑制しながら、多様な抽選処理が可能なスロットマシンを提供することにある。
更に、役抽選における所定の役の当選確率が異なる複数の遊技状態が設定された場合であっても、遊技状態の数に比べて抽選データの情報量の増加を防いで、記憶手段の必要容量の増大を抑制することが可能なスロットマシンを提供することにある。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0025】
・・・略・・・
【0034】
<制御手段の説明>
スロットマシン10を制御する制御手段は、主制御回路100と副制御回路200から構成される。ここで、主制御回路100のブロック図を図2に示し、これに電気的に接続されている副制御回路200のブロック図を図3に示す。上述したスタートスイッチ50は、主制御回路100のインターフェイス回路102に接続され、インターフェイス回路102は、入出力バス104に接続されている。スタートスイッチ50から発せられたリール回転開始信号は、インターフェイス回路102において所望の信号に変換された後、入出力バス104に供給される。入出力バス104は、中央処理回路(以下、CPUと称する)106にデータ信号又はアドレス信号が入出力されるようになされている。上述したリール回転開始信号は、「操作信号」の1つを構成する。
・・・略・・・
【0043】
<主制御回路100の説明>
主制御回路100は、役抽選手段410と、リール制御手段440と、入賞処理制御手段450と、再遊技制御手段460と、リプレイタイム制御手段470とを含む。
役抽選手段410は、役抽選処理によって、役(当たり役であるBB役、一般役、再遊技役等)の抽選を行なうものである。役抽選手段410は、例えば、役抽選用の乱数発生器112(ハード乱数等)と、この乱数発生器112が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段420と、乱数抽出手段420が抽出した乱数値に基づいて役の当選の有無及び当選役を判定する乱数判定手段430とを備えている。この役抽選手段410による制御処理は、役抽選処理サブルーチン(図6?図7参照)及び抽選判定サブルーチン(図8?図10参照)に示される。」

(ウ)「【0071】
<分割抽選置数テーブルの説明>
ここで、RT作動または非RT一般遊技の分割抽選置数テーブルの実施例を図20及び図21に示す。分割抽選置数テーブルでは、1つの役に複数の置数を設定することができる。図20、図21の各々には、2種類の置数テーブルの実施例(a)及び(b)が示されている。(a)では、発生させる乱数値に対応した置数を設定し、(b)では、置数が共通に用いられる基本定数(ベース置数)と役の当選確率に対応して定められる係数とを乗じた値で表され、置数テーブルのデータとして係数のみが記憶されている。
上記のように、乱数の値に対応した置数とは、発生させる乱数が0?65535の計65536個の乱数を発生させる場合であれば、各役に設定された置数を乱数の総数である65536で除した値が、各役の当選確率となるような置数である。
【0072】
役抽選においては、後述するよう乱数抽出手段420が、乱数発生器112で発生させた乱数から1の乱数を取り出し、乱数判定手段430が、取り出された乱数がどの置数の領域に対応するか判別して、役の当選判定を行なう(ステップ64の抽選判定サブルーチン参照)。なお、抽選判定の説明は、図8?10のフローチャートを用いて追って詳細に行なう。
【0073】
<<図20に示す実施例の説明>>
図20に示すRT作動または非RT一般遊技の分割抽選置数テーブルにおいては、データ番号1?3の一般役1?3、データ番号4の再遊技役1、データ番号5?6の再遊技役2、及びデータ番号7?8のBB1?BB2役が設定されており、抽選回数は8回となる。
図19には、比較例として、従来のRT作動または非RT一般遊技の置数テーブルの一例を示す。ここでは、データ番号1?3の一般役1?3、データ番号4の再遊技役1、データ番号5の再遊技役2、及びデータ番号6?7のBB1?BB2役が設定されており、抽選回数は7回となる。つまり、各役は1つの置数しか設定されないので、再遊技役2もデータ番号5の置数のみが設定されている。
【0074】
従来の置数テーブルでは、図19に示すように、非RT一般遊技及びRT1?RT6作動時の遊技で当選確率が変化する再遊技役2のデータ番号5の置数について、非RT一般遊技及びRT1?RT6作動時の遊技の各遊技ごとに、乱数の値に対応した置数が設定されている。つまり、図19に示すテーブルでは、非RT一般遊技及びRT1?RT6作動時の遊技ごとに7個の置数を記憶する必要がある。
図19の従来の置数テーブルにおける再遊技役2の当選確率を、非RT一般遊技、RT1?RT6作動時の遊技の順で計算すると、データ番号5の置数データを用いて、5000/65536、5100/65536、5200/65536、5000/65536、6500/65536、5300/65536、6000/65536となる。
【0075】
一方、図20に示す分割抽選置数テーブルでは、非RT一般遊技及びRT1?RT6作動時の遊技で当選確率が変化する再遊技役2において、データ番号5?6の2つの置数が設定されている。再遊技役2について、非RT一般遊技及びRT1?RT6作動時の遊技の各遊技状態のうち、最も低い非RT時一般遊技の当選確率(基準当選確率)に対応した共通置数がデータ番号5として記憶されている。
また、RT1?RT6遊技の各遊技状態において、当選確率が基準当選確率よりも高い遊技状態における当選確率と基準当選確率との差分に対応した置数(遊技状態別差分置数)が、データ番号6として設定されている。このとき、当選確率が基準当選確率と同じ値の遊技状態の場合には、遊技状態別差分置数を記憶する必要がなく、遊技状態別差分置数のデータサイズはゼロとなる。
【0076】
図20(a)の実施例では、データ番号5に、基準当選確率に対応した共通置数として、非RT時一般遊技の当選確率に対応した置数5000が設定されている。また、データ番号6に、遊技状態別差分置数として、再遊技役2の当選確率が非RT一般遊技より高いRT1で100、RT2で200、RT4で1500、RT5で300、RT6で1000の置数が設定されている。なお、RT3では、再遊技役2の当選確率が非RT一般遊技と同じなので、遊技状態別差分置数が設定されていない。
図20(a)の分割抽選置数テーブルにおける再遊技役2の当選確率を、非RT一般遊技、RT1?RT6遊技の順で計算すると、置数データ番号5及び6の置数データを用いて、5000/65536、(5000+100)/65536、(5000+200)/65536、5000/65536、(5000+1500)/65536、(5000+300)/65536、(5000+1000)/65536となる。
【0077】
再遊技役2における記憶すべき置数のデータサイズを算出すると、図19に示す置数テーブルでは、データ番号5の乱数に対応した置数が各遊技状態ごとに記憶されているので、2バイト(十進法で256以上65535以下)×7=14バイトとなる。一方、図20(a)に示す分割抽選置数テーブルでは、データ番号5及び6の置数において、2バイト×4+1バイト(十進法で255以下)×2=10バイトととなり、記憶する置数のデータサイズが従来に比べて小さくなる。
この理由は、設定すべき置数の数が減る(図19の7個に対して図20の6個)と共に、差分の置数の容量が2バイトから1バイトに減少することによる。
【0078】
図20(b)の実施例では、各遊技状態における当選確率は図20(a)と同様であるが、ベース置数100に乗じる係数として、RT1で1、RT2で2、RT4で15、RT5で3、RT6で10が記憶され、RT3では、基準当選確率との差分に対応する係数が記憶されていない。
再遊技役2の当選確率を、非RT一般遊技、RT1?RT6の順で計算すると、ベース置数、置数データ番号5及び6の置数データを用いて、50×100/65536、(50+1)×100/65536、(50+2)×100/65536、50×100/65536、(50+15)×100/65536、(50+3)×100/65536、(50+10)×100/65536となる。
再遊技役2の置数データの必要記憶容量を算出すると、データ番号5、6の置数データにおいて、1バイト×6=6バイトととなり、必要記憶容量が大幅に減少する。
【0079】
以上のように、本実施形態では、1つの役に、複数の置数を設定することができるので、置数を分割することにより、記憶すべきデータのサイズを小さくすることができる。更に、1つの役に設定された複数の置数の領域を用いて、多様な抽選処理を実現できる。これにより、記憶すべき抽選データのデータ容量を増やすことなく、多様な抽選処理を実現することができる。
【0080】
また、役抽選における再遊技役の当選確率が異なる複数の遊技状態が設定された場合であっても、各遊技状態で共通の共通置数と、遊技状態別差分置数とだけを記憶すればよいので、重複する共通置数の分だけ記憶容量を削減でき、上記と同様に、置数を分割することにより、個々のデータのサイズを小さくすることもできる。従って、役抽選における所定の役の当選確率が異なる複数の遊技状態が設定された場合であっても、遊技状態の数に比べて抽選データの情報量の増加を防いで、記憶手段の必要容量の増大を抑制することができる。
【0081】
更に、置数が、共通に用いられる基本定数と役の当選確率に対応して定められる係数とを乗じた値で表され、置数テーブルのデータとして係数のみを記憶することにより、記憶するデータのサイズを更に小さくすることができ、抽選データの情報量を更に削減して、記憶手段の必要容量の増大を効果的に抑制することができる。」

(エ)「【0094】
以上のように、各遊技状態に応じた分割抽選置数テーブルを読み出した後、ステップS64に示す抽選判定サブルーチンを行なう(ステップS64)。この抽選判定サブルーチンでは、乱数発生器112により乱数を発生させ、乱数抽出手段420により1の乱数と取り出し、乱数判定手段430により、上記で読み出した分割抽選テーブルと取り出した乱数とを照らし合わせて、役の当選判定を行なう。本実施形態の抽選判定サブルーチンとして、図8に示すような、取り出した乱数に置数データを加算して判定するケース1と、図9に示すような、取り出した乱数から置数データを減算して判定するケース2と、図10に示すような、乱数がどの置数データの領域に存在するか判別して判定するケー3がある。
【0095】
<抽選判定サブルーチンのケース1の説明>
始めに、取り出した乱数に置数データを加算して判定するケース1について、図8に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
まず、乱数発生器112により0?65535の65536個の乱数を発生させ、乱数抽出手段420によりその中から1の乱数を取り出す(ステップS100)。次に、取得した乱数の値を基準値の初期値としてインプットし(ステップS102)、カウンタnの値に初期値として1をインプットする(ステップS104)。
【0096】
次に、図6のフローチャートで図21(a)の分割抽選置数テーブルを読み出した場合には、基準値に、分割抽選置数テーブルのデータ番号がnの置数を加え(ステップS106)、計算結果を新たな基準値としてRAM110に記憶する(ステップS108)。また、図21(b)の分割抽選置数テーブルを読み出した場合には、基準値に、分割抽選置数テーブルのデータ番号がnの係数にベース置数100を乗じた値を加え(ステップS106’)、計算結果を新たな基準値としてRAM110に記憶する(ステップS108)。
【0097】
そして、ステップS108で算出した基準値が、規定値より大きいか否か判断する(ステップS110)。なお、本実施形態では、0?65535の乱数を発生する場合に対して、規定値は65535となる。
ステップS110の判断で、もし、基準値が規定値より大きい(YES)と判別したときには、データ番号がnの置数データに対応する役に当選したと判断して(ステップS112)、本サブルーチンを終了する。
【0098】
ステップS110の判断で、もし、基準値が規定値以下である(NO)と判別したときには、nの値に1を加える制御処理を行ない(ステップS114)、次にカウンタnの値が読み出した抽選回数(例えば、図20の分割抽選置数テーブルでは8回)より大きいか否か、つまり既に抽選回数を終了したか否か判断する(ステップS116)。
この判断で、カウンタnの値が抽選回数以下である(NO)、つまり抽選回数終了に至っていないと判別したときには、ステップS106へ戻り、ステップS106?S116の制御処理を繰り返す。つまり、取り出した乱数にデータ番号がn(n=1、2、3・・)の置数(または係数×ベース置数)を順に加算していき、その加算値(基準値)が規定値より大きくなったときに、最後に加えたデータ番号に対応する役に当選したと判断する。
【0099】
ステップS116の判断で、もし、カウンタnの値が抽選回数より大きい(YES)、つまり抽選回数終了に至った判別したときには、抽選結果ははずれであると判定して(ステップS118)、本サブルーチンを終了する。つまり、取り出した乱数に読み出した分割抽選置数テーブルに設定された役に対応する全ての置数データを加えても、その値(基準値)が規定値より大きくならない場合には、はずれと判定することになる。
なお、上記の分割抽選置数テーブルでは、はずれが設定されていないが、はずれを入賞時の払い出し枚数0の0枚役として、他の役と同様データ番号及び置数を有する役の1つとして設定することもできる。また、上記の分割抽選置数テーブルでは、1つの役が複数の置数を有する場合に、連続したデータ番号を有しているが、1つの役が離間したデータ番号を有することも可能である。」

(オ)「【図8】



(カ)「【図20】



(キ)【図20】(a)(上記(カ))の置数テーブルにおけるBB1役及びBB2役の「100」が、【図20】(b)の置数テーブルにおける係数にベース置数100を乗算した後の数値と見なせることを踏まえると、【図20】(b)の置数テーブルのBB1役及びBB2役の「100」は「1」の誤記であると認められる。そうすると、【図20】(b)(上記(カ))の記載からみて、RT作動または非RT一般遊技の分割抽選置数テーブルにおいて、データ番号1の一般役1が「8」、データ番号2の一般役2が「65」、データ番号3の一般役3が「130」、データ番号4の再遊技役1が「30」、データ番号5の再遊技役2が「50」、データ番号6の再遊技役2が「なし」「1」「2」「なし」「15」「3」「10」、BB1役が「1」、BB2役が「1」であり、基本定数であるベース置数は「100」であることが看取できる。
看取できた事項と「【0077】・・・2バイト(十進法で256以上65535以下)・・・1バイト(十進法で255以下)」との記載を考慮すれば、RT作動または非RT一般遊技の分割抽選置数テーブルにおいて、データ番号1ないし8の係数のデータはそれぞれ1バイト値が12ヶ所あるため、データ量の合計は12バイト(=1バイト×12)であり、ベース置数は1バイトであり、置数の合計は少なくとも20バイト(=2バイト×8+1バイト×4)であるといえる。

(ク)上記(ア)ないし(キ)からみて、引用例1には、実施形態として、次の発明が記載されている。なお、aないしiについては本願補正発明のAないしIに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 役抽選用の乱数発生器112(ハード乱数等)と、この乱数発生器112が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段420(【0043】)と、
d 乱数抽出手段420が抽出した乱数値に基づいて役の当選の有無及び当選役を判定する乱数判定手段430(【0043】)と、を備え、
b、c 共通に用いられる基本定数であるベース置数と役の当選確率に対応して定められる係数とを乗じた値で置数を表し、係数のみを置数テーブルのデータとして記憶し(【0071】)、
e 各遊技状態に応じた分割抽選置数テーブルのうち、RT作動または非RT一般遊技の分割抽選置数テーブルを読み出し、該テーブルのデータ番号がn(n=1、2、3・・)の係数×ベース置数を取り出した乱数に順に加算していき、その加算値(基準値)が規定値より大きくなったときに、最後に加えたデータ番号に対応する役に当選したと判断するものであり(【0094】、【0098】)、
f、g、h RT作動または非RT一般遊技の分割抽選置数テーブルにおいて、データ番号1ないし8の係数のデータはそれぞれ1バイト値が12ヶ所あるためデータ量の合計は12バイトであり、ベース置数は1バイトであり、置数の合計は少なくとも20バイトである(【0071】、【0078】、【図20】(b)、上記(キ))、
i スロットマシン10(【0034】)。」(以下「引用発明」という。)

イ 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に頒布された「平石郁雄,組み込みマイコンの仕組みを理解しよう,Interface,CQ出版株式会社,2008年 3月 1日,第34巻第3号,p.158-164」には、次の事項が記載されている。
(ア)「(c)のMULは、オペランド1(R0:12345678)とオペランド2(R1:0x76543210)を乗算し、結果をMDH、MDL(0x86A1C970B88D)に格納する。」(160頁左下欄脚注の2行ないし4行)

(イ)「命令サイズは,すべて16ビット以上の即値データ転送を除いて16ビット固定長になっています・・・」(160頁右欄15行ないし17行)

ウ 原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願出願前に頒布された「Gerry Kane,mips RISCアーキテクチャ -R2000/R3000-,共立出版株式会社,1996年 6月10日,初版,p.37-39,45」には、次の事項が記載されている。
(ア)「R3000のすべての命令は,ワード境界に位置合わせされた単一ワード(32ビット)で構成される.・・・」(37頁6行ないし7行)
(イ)「

」(45頁)

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)?(g)は、本願補正発明のAないしGに対応させている。

(a)引用発明の「乱数」は、本願補正発明の「乱数」に相当する。また、引用発明の「『役抽選用の乱数発生器112』及び『乱数発生器112が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段420』」は、結果として乱数を生成しているといえるから、本願補正発明の「乱数生成手段」に相当する。

(b)(c)引用発明のb、cにおいて、共通に用いられる基本定数であるベース置数と役の当選確率に対応して定められる係数とを乗じた値で置数を表すのであるから、引用発明の「ベース置数」、「係数」及び「置数」は、それぞれ本願補正発明の「予め定めた定数」、「変数」及び「判定値」に相当するといえる。
また、引用発明は、「係数」(変数)を置数テーブルのデータとして記憶するのであるから、本願補正発明の「B 変数として取り得る値を記憶する変数記憶手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
また、引用発明は、「置数」(判定値)を「ベース置数」(定数)と「係数」(変数)とを乗じた値とするのであるから、本願補正発明の「C 判定値を生成する判定値生成手段」に相当する構成を備えることは明らかである。

(d)引用発明の「d 乱数抽出手段420が抽出した乱数値に基づいて役の当選の有無及び当選役を判定する乱数判定手段430」は、本願補正発明の「D 判定処理を行う判定手段」に相当する。

(e)引用発明における、読み出した置数テーブルのデータ番号がn(n=1、2、3・・)の係数(変数)×ベース置数(定数)を取り出した乱数に順に加算していき、その加算値(判定値)が規定値より大きくなったときに、最後に加えたデータ番号に対応する役に当選したと判断することは、本願補正発明の特定事項Eの「前記判定手段が行う判定処理」が「前記乱数生成手段が生成した乱数と前記判定値生成手段が生成した判定値とを用いて行われ」ていることに相当する。
また、引用発明において、各遊技状態に応じた分割抽選置数テーブルを用いて当選したか否かの判断(判定処理)のうち、RT作動または非RT一般遊技の分割抽選置数テーブルを読み出すことに基づいた判断(判定処理)は、本願補正発明の特定事項Eの「少なくとも1つの判定処理」に相当するといえる。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の特定事項Eに相当する構成を備えるといえる。

(f)(g)上記(b)(c)のとおり、引用発明のb、cにおいて、ベース置数(定数)と係数(変数)とを乗じた値で置数(判定値)を表すのであるから、本願補正発明の特定事項Fのように「前記判定値生成手段は、前記変数記憶手段に記憶されている値を変数として取得し、該取得した変数と、予め定めた定数と、を演算することにより前記判定値を生成し」ていることは明らかである。
また、引用発明のf、g、hからみて、係数(変数)及びベース置数(定数)はいずれも1バイトであるといえるから、引用発明は、本願補正発明の「G 前記変数として取り得る値及び前記定数の値のうち、少なくとも前記変数として取り得る値のデータ量は、1単位のデータ量である、」に相当する構成を備えるといえる。
そして、引用発明において、置数(判定値)は、係数(変数)とベース置数(定数)とを乗算して得られ、例えば、係数「1」に対応するものは置数「100」となり、係数「3」に対応するものは置数「300」となるなど、生成される置数(判定値)のデータ量は、係数(変数)とベース置数(定数)のいずれよりも多い単位数のデータ量であることは明らかである。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の特定事項Fの「前記判定値生成手段が生成する判定値のデータ量は、前記変数として取り得る値、及び前記定数の値の何れよりも多い単位数のデータ量であり、」に相当する構成を備えることは明らかである。
してみると、引用発明は、本願補正発明の「F 前記判定値生成手段は、前記変数記憶手段に記憶されている値を変数として取得し、該取得した変数と、予め定めた定数と、を演算することにより前記判定値を生成し、前記判定値生成手段が生成する判定値のデータ量は、前記変数として取り得る値、及び前記定数の値の何れよりも多い単位数のデータ量であり、」に相当する構成を備える。

(i)引用発明の「スロットマシン10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)ないし(i)からみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 乱数生成手段と、
B 変数として取り得る値を記憶する変数記憶手段と、
C 判定値を生成する判定値生成手段と、
D 判定処理を行う判定手段と、を備え、
E 前記判定手段が行う判定処理のうち少なくとも1つの判定処理は、前記乱数生成手段が生成した乱数と前記判定値生成手段が生成した判定値とを用いて行われ、
F 前記判定値生成手段は、前記変数記憶手段に記憶されている値を変数として取得し、該取得した変数と、予め定めた定数と、を演算することにより前記判定値を生成し、前記判定値生成手段が生成する判定値のデータ量は、前記変数として取り得る値、及び前記定数の値の何れよりも多い単位数のデータ量であり、
G 前記変数として取り得る値及び前記定数の値のうち、少なくとも前記変数として取り得る値のデータ量は、1単位のデータ量である、
I 遊技機。」である点で一致し、以下の点で一応相違する。

・相違点(特定事項H)
「合計したデータ量」の比較に関して、
本願補正発明では、「前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記変数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記定数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する処理を実行するためのプログラムのデータ量と、を合計したデータ量は、前記判定値生成手段が生成する前記判定値のデータ量を合計したデータ量に比べて少ない」のに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

(4)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア 乗算命令の記述に要するデータ量が2ないし4バイト程度であることは、コンピュータアーキテクチャに関する技術常識(例.引用例2(上記(2)イ)、引用例3(上記(2)ウ))である。

イ 遊技機におけるCPUとして、68HC11等の所謂68系と呼ばれるCPUを用いることは技術常識(例.特開2003-299862号公報(【0001】、【0047】、【0048】参照。)、特開平11-76565号公報(【0001】、【0031】参照。)、特開2002-119697号公報(【0001】、【0007】参照。)、特開2004-133633号公報(【0060】参照。))である。
また、68系と呼ばれるCPUの命令コードのサイズが2ないし4バイトであり、特に乗算命令は1バイトであり、乗算のための倍率をレジスタに読み込む命令と合わせても乗算命令全体として3ないし4バイトであることは技術常識(例.「Phillip Musumeci,68HC11 Programmer's Reference Manual,1999年11月,Version1.7,p25」(URL:http://www.dee.ufrj.br/microproc/HC11/68hc11ur.pdf、25頁のTable 10-1 MC68HC11A8 Instructions, Addressing Modes, and Execution Times(Sheet 4 of 6)の「MUL」の行及び同Table 10-1の(Sheet 3 of 6)の「LDAB(opr)」の行を参照。))である。

ウ 上記ア及びイで示した技術常識に基づけば、引用発明における、係数×ベース置数の乗算を技術常識のCPUで行う場合の命令、すなわち乗算命令の記述に関するデータ量は、多くとも4バイトであるといえる。このことを前提に、引用発明において、RT作動または非RT一般遊技における、係数(変数)の全てのデータ量と、ベース置数(定数)の全てのデータ量と、乗算のプログラムのデータ量と、を合計したデータ量を算出すると、17バイト(=12バイト+1バイト+4バイト)である。この17バイトは、置数(判定値)の最低値である20バイトに比べて少ない。そうすると、引用発明は、上記相違点に係る本願補正発明の特定事項を満たすこととなるから、上記相違点は実質的な相違点ではない。

エ したがって、本願補正発明は、引用発明と同一であり、引用例1に記載された発明である。

オ 仮に上記相違点が実質的な相違点であるとしても、引用発明において、68系のCPUを採用して上記相違点に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは当業者が技術常識に基づいて適宜なし得たことである。

(5)審判請求人の主張について
ア 審判請求書について
(ア)審判請求書において、請求人は、以下のとおり主張する。
「3.本願発明が特許されるべき理由
・・・略・・・
(4)本願発明と引用文献に記載の発明との対比
・・・略・・・
これに対して、引用文献1では、置数を生成する際に用いる定数のデータは、1バイト(ベース定数:100)であること、生成される置数のデータは、2バイトであることが記載されている。しかしながら、置数を生成する際に用いる係数について、引用文献1の図20(b)及び図21(b)には1バイトのデータのみが記載されているものの、引用文献1の図22(b)のデータ番号2のデータには、300(2バイト)が記載されている。このことから、引用文献1における置数を生成する際に用いる係数には、1バイトと2バイトが混在していることが理解できる。
ここで、引用文献1では、係数と定数から置数を生成するためにはプログラムの命令の記述が必要である。例えば、本願発明1と同じ命令(「MUL HL,A,100」)を記述した場合、引用文献1では置数を生成する際に用いる係数が2バイトのデータ量の係数があるため、Aレジスタに格納することができない。そのため、置数を生成する際に用いる係数が、1バイトのデータか、2バイトのデータか、を判定し、判定した結果、それぞれで別の命令を実行し、置数を生成する必要がある。なお、1バイトのデータか、2バイトのデータか、を判定するための方法としては、各変数のデータ量を特定可能なデータを記憶させ、当該特定可能なデータを用いて判定する方法や、プログラムで置数テーブルの種類及びデータ番号から判定する方法などが考えられる。
・・・略・・・
したがって、引用文献1には、本願発明1のように変数のデータ量が1バイトで構成されることを前提として、判定値を生成する際に用いる変数及び定数の全てのデータ量と、判定値を生成する処理を実行するためのプログラムのデータ量と、を合計したデータ量は、判定値のデータ量を合計したデータ量に比べて少ない構成について、有していないと思料する。」

(イ)しかしながら、上記(3)(e)で述べたように、引用例1におけるRT作動または非RT一般遊技の判定処理を本願補正発明の「少なくとも一つの判定処理」に相当すると認定しているから、本願補正発明と引用発明との対比においては、引用発明の係数に1バイトと2バイトが混在しているとはいえない。

イ 上申書について
(ア)上申書において、請求人は、以下のとおり主張する。
「(1)令和1年7月30日(作成日)付けの前置報告書では、特許法第29条第2項の規定に違反する旨が指摘されている。この前置報告書の内容に鑑み、出願人は、次に示す「補正案」のように補正する準備がある。審理に際しては、これを考慮していただきたい。なお、以下の補正案に付した下線は、補正前の請求項1の補正箇所を示す。
(補正案)
[請求項1]
乱数生成手段と、
変数として取り得る値を記憶する変数記憶手段と、
判定値を生成する判定値生成手段と、
判定処理を行う判定手段と、を備え、
前記判定手段が行う判定処理のうち少なくとも1つの判定処理は、前記乱数生成手段が生成した乱数と前記判定値生成手段が生成した判定値とを用いて行われ、
前記判定値生成手段は、前記変数記憶手段に記憶されている値を変数として取得し、該取得した変数と、予め定めた定数と、を演算することにより前記判定値を生成し、
前記判定値生成手段が行う前記判定値を生成する処理は、前記定数及び前記変数によらず共通のプログラムであり、
前記判定手段が前記乱数と前記判定値とを用いて行う判定処理は、前記乱数及び前記判定値によらず共通のプログラムであり、
前記判定値生成手段が生成する判定値のデータ量は、前記変数として取り得る値、及び前記定数の値の何れよりも多い単位数のデータ量であり、
前記変数として取り得る値及び前記定数の値のうち、少なくとも前記変数として取り得る値のデータ量は、1単位のデータ量であり、
前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記変数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する際に用いる前記定数の全てのデータ量と、前記判定値生成手段が前記判定値を生成する処理を実行するためのプログラムのデータ量と、を合計したデータ量は、前記判定値生成手段が生成する前記判定値のデータ量を合計したデータ量に比べて少ないことを特徴とする遊技機。
・・・略・・・
(3)前置報告書で引用された引用文献1には、係数(変数)を取得するプログラムについて何ら開示及び示唆されていない。例えば、引用文献1の図20では再遊技役2以外の役はRTに応じて異なる係数ではない一方、再遊技役2はRTに応じて異なる係数である。このため、再遊技役2の係数を取得するためにはRTに応じてテーブルのアドレスを変更する必要があることが理解できる。よって、係数を取得する処理が再遊技役2以外のときと、再遊技役2のときと、で同じプログラムではないことが理解できる。また、引用文献1の図22には2バイトの係数があることからも明らかなように1バイトと2バイトの係数が混在しているため同じプログラムではないことが理解できる。即ち、引用文献1では本願発明1のように判定値を生成するプログラムが共通で構成されていないことが理解できる。このように、補正案の請求項1は、補正案の請求項1の前述した構成について何ら開示及び示唆されていない引用文献1に基づき、容易に想到し得るものではない。そして、補正案の請求項1の構成によってもたらされる作用効果は、格別なものであると思料する。」

(イ)上記ア(イ)と同様に、引用例1におけるRT作動または非RT一般遊技の判定処理を本願補正発明の「少なくとも一つの判定処理」に相当すると認定しているから、本願補正発明と引用発明との対比においては、引用発明の係数に1バイトと2バイトが混在しているとはいえず、1バイトの係数に対して共通の乗算のプログラムを用いて置数(判定値)を生成していることは明らかであり、仮に上記補正案のように補正したとしても、補正案の請求項1に係る発明は、引用発明と同一であるか、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

ウ 以上のとおりであるから、請求人の上記請求書及び上記上申書の主張を採用することはできない。上記上申書の主張については、その主張を採用し、本願について、更に補正の機会を設ける必要性を見出すことができない。

(6)小括
よって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明であるか又は引用例1に記載された発明及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し又は同法同条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年9月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりのものである。
(1)理由1(新規性)
この出願の平成30年9月3日に提出された手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)理由2(進歩性)
この出願の平成30年9月3日に提出された手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1.特開2011-152357号公報
引用文献2.平石郁雄,組み込みマイコンの仕組みを理解しよう,Interface,CQ出版株式会社,2008年 3月 1日,第34巻第3号,p.158-164
引用文献3.Gerry Kane,mips RISCアーキテクチャ -R2000/R3000-,共立出版株式会社,1996年 6月10日,初版,p.37-39,45

3 引用例
引用例1ないし3(引用文献1ないし3)の記載事項は、上記第2の3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明を特定するために必要な事項を限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用発明と同一であるか、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明と同一であるか、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し又は同法同条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-08 
結審通知日 2019-11-12 
審決日 2019-11-25 
出願番号 特願2016-105322(P2016-105322)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 海櫻井 茂樹  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 井海田 隆
鉄 豊郎
発明の名称 遊技機  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 山本 実  
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