• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
令和1行ケ10160 審決取消請求事件 判例 特許
異議2018701011 審決 特許
異議2021700592 審決 特許
異議2019700557 審決 特許
令和1行ケ10067 審決取消請求事件 判例 特許

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L
管理番号 1358551
審判番号 不服2018-16824  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-18 
確定日 2020-01-06 
事件の表示 特願2017- 98990「液体食品組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日出願公開、特開2017-136095〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月27日(優先権主張 平成24年3月30日)の出願である特願2013-67285号の一部を平成29年5月18日に新たな特許出願としたものであって、平成30年5月15日付けで拒絶理由が通知され、同年7月17日に意見書および手続補正書が提出され、同年11月28日付けで拒絶査定され、同年12月18日に拒絶査定不服審判が請求され、令和1年7月31日付けで拒絶理由が通知され、同年10月4日に意見書および手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に記載された発明は、令和1年10月4日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、

「【請求項1】
シトロネロール及びシトロネラールを含む魚類由来物含有液体食品組成物(但し、
ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、オリーブ油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、マンゴー脂、イリッペ脂、ゴマ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、若しくはこれらの加工油脂、又は中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、長鎖脂肪酸トリグリセリド、若しくは脂肪酸の部分グリセリドを配合した組成物、
ミツロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、米ぬかロウ、カルナバロウ、雪ロウ、セラックロウ、又はホホバロウを配合した組成物、並びに、
カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、若しくはこれらのエステル類を配合した組成物
は除く)。」というものである(以下「本願発明」という。)。

第3 拒絶の理由
令和1年7月31日付けで当審が通知した拒絶の理由は、以下のとおりのものと認める。

この出願の請求項1?7に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1?2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


刊行物1:特開2011-4640号公報
刊行物2:国際公開2011/143242号(原査定で引用された引用文献2)

なお、刊行物2は、本願優先日時点の技術常識を示す文献である。

第4 当審の判断
当審は、本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、と判断する。
理由は以下のとおりである。

刊行物1:特開2011-4640号公報
刊行物2:国際公開2011/143242号
刊行物3:特開平6-70746号公報(刊行物1に先行技術文献として記載された特許文献3)

なお、刊行物2?3は、本願優先日時点の技術常識を示す文献である。

1 引用刊行物の記載
(1)刊行物1の記載
本願の優先日前に頒布された刊行物1には、以下の記載がある。
(1a)「【請求項1】
魚介類由来の臭気成分を水との共沸により除去する工程、及び、油性成分と消臭物質を添加する臭気のマスキング工程、を有する魚介エキスの精製方法。
・・・
【請求項4】
添加する消臭物質として、テルペン類を使用することを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項5】
添加する消臭物質として、ジンジャー、レモン、オレンジ、ライム、シソ、コリアンダー、セージ及びクローブからなる群より選択される少なくとの1種の植物等より抽出した植物精油を使用することを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項6】
魚介類由来の臭気成分が消臭物質と固体脂によってマスキングされた、魚介エキス含有S/O型マイクロカプセル。
【請求項7】
魚介類由来の臭気成分を水との共沸により除去する工程、及び、油性成分と消臭物質を添加する臭気のマスキング工程、を有する請求項6記載のS/O型マイクロカプセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介エキスの精製方法に関する。さらに詳しくは、魚介エキス中に含まれる魚介類由来の臭気の低減を目的とした魚介エキスの精製方法に関する。」(下線は当審にて追加。以下同様。)

(1b)「【0006】
従来、これら特有の不快臭を除去、またはマスキングする手段として、フレーバーを用いたマスキングや水蒸気蒸留による精製等の方法が見出されている。フレーバーを用いたマスキングの例としては、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質を含む経口製品中に脂溶性ジンジャーフレーバーを存在させる方法(特許文献1)、ヨーグルトフレーバー、ミルクフレーバーおよび醗酵乳フレーバーなどの乳系フレーバーによる方法(特許文献2)、食酢に添加する際のオレンジ、レモン、スダチ、レモンライムおよびカボスなどの柑橘類の果汁、ならびに、アップル-F、レモンライム-F、オレンジオイルおよびレモンオイルなどの果汁の処理物による方法(特許文献3)等が提案されている。また、魚臭に対するマスキング効果の高いフレーバー化合物に関する研究もなされており、アルコール系およびアルデヒド系モノテルペン類のフレーバー化合物が非常に高いマスキング力を発揮するといった報告もある(非特許文献1)。しかしながら、フレーバーを用いたこれらの方法では、不快臭の原因物質が除去または低減されたわけではないため、フレーバー添加当初はマスキング効果が高くとも、経時的にマスキング効果が低下し、再びもとの不快臭を帯びた状態に戻ってしまう問題があった。
・・・
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
・・・
【特許文献3】特開平6-70746号公報」

(1c)「【発明の効果】
【0014】
本発明の精製方法によって得られる精製魚介エキスは、不快臭の原因となる臭気成分の大半が共沸により除去され、さらに油性成分添加により残存魚臭の拡散防止とフレーバーによるマスキングが施されており、従来の魚介エキスのマスキングや脱臭方法では困難であった、長期間にわたるマスキング効果の持続が可能となり、経口摂取時にも不快臭を感じることなく使用することができる。従って、本発明の精製方法によって得られる精製魚介エキスは、食品、機能性食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等の幅広い分野、用途に適用することができる。
・・・
【0019】
本発明の精製方法の対象となる魚介エキスは、魚介類より熱水抽出、溶剤抽出、超臨界抽出等の方法により抽出して得られる抽出物やその精製物、加工物である。上記魚介エキスの原料となる魚介類の種類には特に制限は無く、目的とする抽出成分や機能性素材に応じて、適宜選択することができる。例えば、DHA、EPA等の高度不飽和脂肪酸を含む抽出物を得るためには、原料となる魚介類としては、カツオ、マグロ、ブリ、ハマチ、サケ、マス、タラ等を使用することが好ましく、特にカツオ、マグロを使用することが好ましい。また、アンセリン、カルノシン等を含む抽出物を得るためには、原料となる魚介類としては、カツオ、マグロ、サケ、サメ等の使用が好ましく、特にカツオ、マグロ、サケを使用することが好ましい。」

(1d)「【0028】
本発明の精製方法において、マスキングのために消臭成分と併用される油性成分としては、常温で固体状、液状のいずれの油性成分でも使用できるが、後述するマイクロカプセル化を行う場合には、常温で固体状のものが好ましく利用できる。前記油性成分の好ましいその主成分としては、例えば動植物からの天然油脂、合成油脂や加工油脂等の油脂が利用でき、より好ましくは、食品、化粧品又は医薬用に許容されるものである。
【0029】
本発明の精製方法において使用できる油性成分としては、油脂類、ワックス、脂肪酸等を挙げることができる。
【0030】
上記油脂類としては、植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、オリーブ油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、マンゴー脂、イリッペ脂、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油等を挙げることができ、動物油脂としては、例えば、魚油、牛脂、乳脂、豚脂等を挙げることができ、これらを分別、水素添加、エステル交換等により加工した加工油脂も挙げることができる。言うまでもなく、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、長鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸の部分グリセリド等も使用できる。これら油脂類としては、入手しやすく、かつ製造時の取り扱いが容易に行えるという観点から、トリステアリン、トリパルミチン等の飽和長鎖脂肪酸トリグリセリドや、カカオ脂、シア脂などの天然固体油脂、パーム油などの液体油脂やその分別油脂の使用が好ましい。
【0031】
上記ワックスとしては、例えば、ミツロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、米ぬかロウ、カルナバロウ、雪ロウ、セラックロウ、ホホバロウ等の食用ワックス類が挙げられる。
【0032】
上記脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘニン酸およびこれらのエステル類を挙げることができる。」

(1e)「【0035】
本発明の精製方法のマスキング工程で添加される消臭物質としては、一般に消臭成分と して利用されているものであればいずれも使用することができるが、例えば、テルペン類を使用することが好ましく、なかでもモノテルペン炭化水素類やモノテルペンアルコール類、モノテルペン系アルデヒド類等の使用が好ましい。
【0036】
上記モノテルペン炭化水素類としては、例えば、ピネン、サビネン、リモネン オシメン、ミルセン、シメン、テルピネン、フェランドレン、テルピノレン、パラシメン、ヒマカレン、トリサイクレン、カラレン等を挙げることができる。
【0037】
上記モノテルペンアルコール類としては、例えば、シトロネロール、リナロール、ゲラニオール、テルピネオール、ボルネオール、メントール、ネロリドール、イソプレゴール等を挙げることができる。
【0038】
上記モノテルペン系アルデヒド類としては、例えば、シトラール、シトロネラール等を挙げることができる。
【0039】
また、本発明においては、消臭物質として、ジンジャー、レモン、オレンジ、ライム、シソ、コリアンダー、セージ、クローブ等の植物から、溶剤抽出法、水蒸気蒸留法、超臨界抽出法等、種々の抽出法によって得られた植物精油やこれら植物精油を含有する油脂も使用することができる。なお、これら植物精油の成分中には上記テルペン類が一成分として含まれる場合がある。」

(1f)「【実施例1】
【0047】
カツオから熱水抽出した後、脱塩、イオン交換、濃縮して得た魚介エキス水溶液(焼津水産化学工業製、アンセリン含量3.5重量%)1000gを75℃、圧力130kPaの減圧条件で120分間煮沸処理して、臭気成分を水との共沸で除去し、120gの魚介エキス濃縮液を得た。
【0048】
共沸処理による魚介エキス中の脱臭レベルを定量化するため、GC-MS(Agilent Technologies社製、G2579A)を用い、共沸処理前、および共沸処理後の魚介エキス中における臭気成分含量の測定を行った。
【0049】
(GC-MS分析条件)
カラム:HP-INNOWax(Agilent Technologies社製)60m(長さ)、0.25mm(内径)、オーブン条件:40℃で2分間保持、3℃/分で100℃まで昇温させ、次に5℃/分で240℃まで昇温させ、240℃で30分保持した。
【0050】
図1に共沸処理による魚介エキス中の臭気成分含量(アンセリン重量当りの臭気成分含量)のGC-MSによる測定結果を示す。
【0051】
GC-MSによる測定の結果、魚介エキスを共沸処理することにより、トリメチルアミン、ヘキサナール、ノナナール等の魚介類由来の臭気成分を大幅に除去できることがわかった。
【0052】
次に共沸処理後の魚介エキス濃縮液50g(アンセリン含量28重量%)を、MCT(理研ビタミン製、アクターM-2)100gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(理研ビタミン製、ポエムPRー100、HLB0.3)5.0gからなる油性成分中に添加した後、ホモジナイザーで乳化分散した。つづいて、調製した乳化物を、温度75℃、圧力13kPaの減圧条件で60分間撹拌して水分の除去を行い、油性成分中に魚介エキスが安定分散したS/Oサスペンション130gを得た。更に該S/Oサスペンション50gにシトロネラール(和光純薬製)100mgを添加、混合し、S/Oサスペンション形態の魚介エキス(アンセリン含量12重量%)を得た。得られた魚介エキスは、2ヶ月以上の常温保存を経ても魚介臭が全くせず、不快臭を感じることなく経口摂取が可能であった。
・・・
【実施例6】
【0058】
実施例1と同じ方法・条件により共沸処理した魚介エキス濃縮液80g(アンセリン含量28重量%)を、あらかじめ70℃に加熱して、溶融させておいた硬化ナタネ油(融点65℃)100gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(理研ビタミン製、ポエムPR-100、HLB0.3)5.0gからなる油性成分中に添加した後、ホモジナイザーで乳化分散した。つづいて、調製した乳化物を、温度75℃、圧力13kPaの減圧条件で90分間撹拌して水分の除去を行い、油性成分中に魚介エキスが安定分散したS/Oサスペンション130gを得た。更に該S/Oサスペンション50gにレモンオイル(理研香料製、FA-6589)100mgを添加、混合した後、あらかじめ70℃に加熱しておいたアラビアガム(0.5重量%)、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(理研ビタミン製、ポエムJ-0381V、HLB12)(0.05重量%)含有水溶液300mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションに調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ10℃に冷却しておいたアラビアガム(0.5重量部%)、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(0.05重量%)含有水溶液300mLに一度に添加して急冷させて油性成分を固化させた後、吸引濾過、真空乾燥して水分を除去し、S/O型マイクロカプセルを得た。得られたマイクロカプセルの平均粒子径は288μmであり、マイクロカプセル中のアンセリン含量は18.0重量%であった。」

(1g)「

」(【表1】【表2】)

(2)刊行物2の記載
本願の優先日前に頒布された刊行物2には、以下の記載がある。
訳文にて示す。
(2a)「技術分野
[0001]本開示は、フレグランス製剤及び風味料製剤(以後一緒に芳香製剤と呼ぶ)に関する。より具体的には、本発明は、アルキルケタールエステルを溶媒、共溶媒又は定着剤として用いる芳香製剤を対象とする。
背景技術
[0002]風味は、食品又は別の物質の感覚印象であり、主として味及び匂いの化学的感覚によって決定される。口及び喉における化学性刺激物並びに温度及び質感を検出する「三叉神経感覚」は、風味知覚の全体的なゲシュタルトにとって重要である。食品の風味は、これらの感覚に影響する天然の又は人工的な風味料で変えることができる。風味化合物は、調理食品、飲料品、乳製品、食品及び菓子製品のような消費者製品への使用のために食品及び飲料業界に販売される。
[0003]風味料は、別の物質に風味を与え、溶質の特性を変更し、それを甘く、酸っぱく又はぴりっとするなどとする物質として定義される。3つの化学的感覚のうち、匂いが食品の風味の主たる決定要因である。食品の味は甘み、酸味、苦味、塩味及び良い味(旨味)-基本的な味-に限られる一方、食品の匂いは潜在的に無限である。従って、食品の風味は、その味を同じように保ちながら、その匂いを変化させることによって容易に変えることができる。人工的に風味付けたゼリー、ソフトドリンク及びキャンディで例示されるよりも良いものはなく、同様な味を有するベースから作られながら、異なる香り又はフレグランスの使用のために劇的に異なる風味を有する。通常製造される食品の調味料は一般にフレーバリストによって創出される。
[0004]一般的言語における「調味料」又は「風味料」という用語は味及び匂いを組み合わせた化学的知覚を示すが、同じ用語がフレグランス及び風味産業では匂いの感覚による食物及び食品の風味を変える食用の化学物質及び抽出物を指すのに通常用いられている。天然の風味抽出物の高コスト又は入手困難性のため、大部分の市販の風味料は、ネイチャーアイデンティカルであり、天然風味の化学的等価物であるが原料物質から抽出されたのではなく化学的に合成されたことを意味する。風味料は、フレグランスを固形物質又は気体に加えるのとほぼ同じ方法及びほぼ同じ理由で、すなわち香りを高めるためか又は悪臭をカモフラージュするために、飲料、食料品またヘルスケア製品(例えば、歯磨き粉、マウスウォッシュなど)に加えられる。
[0005]芳香製剤は、様々な製品に加えられて香りを送達する。例えば、これら芳香製剤をしばしば消費者製品に加えて、新鮮な(又は清浄な)香りを標的基材(例えば織物、硬表面、皮膚、毛髪など)に送達し、また嗅覚上の美的利益を提供する。これらをしばしば気体及び工業製品に加えて悪臭をカモフラージュする(例えば、芳香剤、ロウソク)か、又は無臭気体に加えて検出を容易にする(例えば、メタン及び二酸化炭素)。」

(2b)「[0064]天然に存在する芳香分子は、植物から得た「エッセンシャル」オイルを含む。精油は、植物由来の揮発性芳香分子を含有する濃縮された疎水性の液体である。精油はまた、揮発性のエーテル性油若しくはアセロラ(aetherolea)として、又は例えばクローブの油のような、単に植物から抽出した植物の「油」として既知である。油は、植物の特有の香り、すなわちエッセンスを運ぶという意味で「エッセンシャル」である。精油は、特徴的なフレグランスを運ぶことを超えて、いかなる共通の特異的な化学的特性も持たない。ラベンダー、ペパーミント及びユーカリのような幾つかの精油を水蒸気蒸留する。花、葉、木、樹皮、根、種又は果皮を含む生の植物材料を水上の蒸留装置内に置く。水を加熱すると、蒸気が植物材料を通り抜けて、揮発性化合物を気化する。蒸気は、蛇管を通り、ここで凝縮して液体に戻り、次いで受け容器に集められる。
[0065]精油は、液果、オールスパイス、ジュニパー、種子、アーモンド、アニス、セロリ、クミン、ナツメグ油、樹皮、カッシア、シナモン、サッサフラス、木質、樟脳、ヒマラヤスギ、シタン、ビャクダン、沈香、根茎、ガランガル、ショウガ、葉、バジル、ベイリーフ、シナモン、コモンセージ、ユーカリ、レモングラス、メラレウカ、オレガノ、パチュリ、ペパーミント、松、ローズマリー、スペアミント、ティーツリー、タイム、ウィンターグリーン、樹脂、乳香、ミルラ、花、アサ、カモミール、クラリセージ、クローブ、センティッドゼラニウム、ホップ、ヒソップ、ジャスミン、ラベンダー、マヌカ、マジョラム、バラ、ローズマリー、バジル、レモングラス、イランイランノキ、果皮、ベルガモット、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ、タンジェリン、根、バレリアン、マンゴーなど又は前述の少なくとも1種を含む組み合わせから得られる。
[0066]芳香分子の例は、アルコール類(例えば、フラネオール(ストロベリー)、1-ヘキサノール(ハーブのもの、樹木のもの)、シス-3-ヘキサン-1-オール(切り立ての草)、メントール(ペパーミント)など、若しくは前述のアルコールの少なくとも1種を含む組み合わせ);アルデヒド類(例えば、アセトアルデヒド(ピリッとする)、ヘキサナール(青々とした、草のような)、シス-3-ヘキセナール(未熟なトマト)、フルフラール(焼けた燕麦)など、若しくは前述のアルデヒドの少なくとも1種を含む組み合わせ);エステル類(例えば、フラクトン(フルーティ、リンゴ様)、酢酸ヘキシル(リンゴ、フローラル、フルーティ)、メチルフェニルグリシッド酸エチル(ストロベリー)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、ブタン酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ブタン酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸ペンチル、ブタン酸ペンチル、ペンタン酸ペンチル、ベンゾイン(スティラックス・ベンゾインの木の樹脂から抽出));黒コショウ(コショウ科の植物コショウ由来)、カヤプト油(コバノブラシノキ属カユプティ由来)、キャラウェイ、キャロットシード、コリアンダー、サイプラス、ディル、フェンネル、ムギワラギク属、ラバンジン、レモンバーベナ、蜜蝋(メリッサ・オフィキナリスから抽出したレモンバーム精油)、ニアウリ、パルマローザ、プチグレン、マンジュギク、ベチバーなど、若しくは前述のエステルの少なくとも1種を含む組み合わせ);ケトン類(例えば、ジヒドロジャスモン(フルーティウッディフローラル)、オクト-1-エン-3-オン(血液、金属、キノコ様)、2-アセチル-1-ピロリン(新鮮なパン、ジャスミン米)、6-アセチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリジン(新鮮なパン、トルティーヤ、ポップコーン)など、若しくは前述のケトンの少なくとも1種を含む組み合わせ);ラクトン類(γ-デカラクトン(強烈なモモの芳香)、γ-ノナラクトン(日焼け用ローションで人気のココナッツの匂い)、δ-オクタラクトン(クリーミーなノート)、ジャスミンラクトン(力強く脂肪質のフルーティなモモ及びアンズ)、マソイアラクトン(強力でクリーミーなココナッツ)、ワインラクトン(甘いココナッツの匂い)、ソトロン(メープルシロップ、カレー、フェヌグリーク)など、若しくは前述のラクトンの少なくとも1種を含む組み合わせ);チオール類(エタンチオール(通常エチルメルカプタンと呼ぶ)、グレープフルーツメルカプタン(グレープフルーツ)、メタンチオール(通常メチルメルカプタンと呼ぶ)、2-メチル-2-プロパンチオール(通常ターシャリー-ブチルメルカプタンと呼ぶ);線状テルペン類(例えば、ミルセン(ウッディ、複雑)、ゲラニオール(バラ、華やか)、ネロール(甘いバラ、華やか)、シトラール、レモナール、ゲラニアール、ネラール(レモン、レモンマートル、レモングラス)、シトロネラール(レモン、レモングラス)、シトロネロール(レモン、レモングラス、バラ、ペラルゴニウム)、リナロール(フローラル、スイート、ウッディ、ラベンダー)、ネロリドール(ウッディ、新鮮な樹皮)など、若しくは前述の線状テルペンの少なくとも1種を含む組み合わせ);環状テルペン類(例えば、リモネン、樟脳、テルピンコール、イオノン、チュージュオンなど、若しくは前述の環状テルペンの少なくとも1種を含む組み合わせ);芳香族種(例えば、ベンズアルデヒド、オイゲノール、桂皮アルデヒド、エチルマルトール、バニリン、アニソール、アネトール、エストラゴール、チモールなど、若しくは前述の芳香族種の少なくとも1種を含む組み合わせ);アミン類(例えば、チエチルアミン、トリメチルアミン、カダベリン、ピリジン、インドール、スカトールなど、若しくは前述のアミンの少なくとも1種を含む組み合わせ);など、又は前述の芳香分子の少なくとも1種を含む組み合わせである。」

(3)刊行物3の記載
本願の優先日前に頒布された刊行物3には、以下の記載がある。
(3a)「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題を達成せんとして鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成した。すなわち、本発明はDHA及びフレーバーを添加することを特徴とする食酢である。食酢に、単にDHAを含む魚油を添加した場合魚臭のする食酢となりるが、このものにフレーバーを添加することのにより刺激や不快な魚臭を和らげ芳香は著しく改善される。更に、鰹エキスを添加することにより、嫌味のない良好な口ざわりの食酢が得られる。
【0009】これらのDHA魚油を含む食酢は、驚くべきことに従来言われているより安定であり良好な保存性を示すが、所望により、DHAの抗酸化剤として、トコフェロール、レシチン、カテキン等を、安定剤として可溶性澱粉、デキストリン、シクロデキストリン等を加えてもよい。
【0010】このようにして得られた本発明の食酢は、通常の凍結乾燥法、あるいは脱水剤を加え、固形あるいは粉末とすることができる。
【0011】また、最近の食品包装技術を用いて真空パックあるいは脱酸素剤を使用しての包装により、これらDHA添加食酢の劣化を防ぐこともできる。
【0012】本発明に使用される食酢としては、醸造酢、合成酢、例えば果物酢(リンゴ酢、ブドウ酢、柿酢など)、穀物酢(米酢、麦酢、モルト酢、ハトムギ酢、酒かす酢など)、アルコール酢等を挙げることができるが、食酢として使用されるものであれば何ら限定されるものではい。
【0013】本発明に使用されるDHAとしては海産動物油脂、例えばイカ油、イワシ油、オキアミ油、カツオ油、サバ油、サケ油、サンマ油、タラ肝油、マグロ油、メンハーデン油等のDHAを含むものであれば特に限定されないが、脱酸、脱色、脱臭された、物理的、化学的、生物学的な手法によって高度に精製濃縮されたDHAのほうが、食酢の風味の変化を伴うことが少なく都合がよい。その添加量は食酢に対して1?20重量%が好ましい。
【0014】本発明において使用されるフレーバーとしてはオレンジ、レモン、スダチ、レモンライム、およびカボス等の拑橘類の果汁たはその処理物、例えばアップル-F(長谷川香料のNSB-6253)、レモンライム-F(長谷川香料のNSB-6254)、オレンジオイル、レモンオイルなどを挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いてもよい。

2 刊行物記載の発明
(1)刊行物1記載の発明
刊行物1は、「魚介エキス中に含まれる魚介類由来の臭気の低減を目的とした魚介エキスの精製方法に関する」(摘記(1a))技術についての文献であって、摘記(1c)に記載されるように、その魚介エキスの用途には、食品が挙げられており、摘記(1e)に記載されるように、消臭物質としてレモンから得られた植物精油が挙げられており、摘記(1f)の実施例6に係る発明として、魚介エキス水溶液1000gを75℃、圧力130kPaの減圧条件で120分間煮沸処理して、臭気成分を水との共沸で除去し、120gの魚介エキス濃縮液を得た後、共沸処理した魚介エキス濃縮液80gを、あらかじめ70℃に加熱して、溶融させておいた硬化ナタネ油100gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル5.0gからなる油性成分中に添加した後、ホモジナイザーで乳化分散し、調製した乳化物を、温度75℃、圧力13kPaの減圧条件で90分間撹拌して水分の除去を行い、油性成分中に魚介エキスが安定分散したS/Oサスペンション130gを得て、更に該S/Oサスペンション50gにレモンオイル100mgを添加、混合した後、あらかじめ70℃に加熱しておいたアラビアガム、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、HLB12)含有水溶液300mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションに調製し、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ10℃に冷却しておいたアラビアガム、デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液300mLに一度に添加して急冷させて油性成分を固化させた後、吸引濾過、真空乾燥して水分を除去し、S/O型マイクロカプセルを得たことが記載されている。
得られたマイクロカプセルを食品に用いた場合に組成物を形成していることは明らかであり、魚介エキス中に含まれる魚介類由来の臭気の低減を目的とした魚介エキスの精製方法に関する技術であるから、該組成物は、魚介類由来の臭気の低減を目的としたものであるといえる。
したがって、刊行物1には、以下の発明が記載されているといえる(以下、「刊行物1発明」という。)。

「魚介エキス水溶液1000gを75℃、圧力130kPaの減圧条件で120分間煮沸処理して、共沸処理した魚介エキス濃縮液80gを、あらかじめ70℃に加熱して、溶融させておいた硬化ナタネ油100gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル5.0gからなる油性成分中に添加した後、ホモジナイザーで乳化分散し、調製した乳化物を、温度75℃、圧力13kPaの減圧条件で90分間撹拌して水分の除去を行い、油性成分中に魚介エキスが安定分散したS/Oサスペンション130gを得て、更に該S/Oサスペンション50gに消臭物質としてのレモンオイル100mgを添加、混合した後、あらかじめ70℃に加熱しておいたアラビアガム、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、HLB12)含有水溶液300mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションに調製し、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ10℃に冷却しておいたアラビアガム、デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液300mLに一度に添加して急冷させて油性成分を固化させた後、吸引濾過、真空乾燥して水分を除去して得たS/O型マイクロカプセルを用いた食品組成物」

3 対比・判断
(1)本願発明と刊行物1発明との対比
本願発明と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「魚介エキス」は、摘記(1c)において、カツオ、マグロ、サケが特に好ましい例とされているのであるから、本願発明の「魚類由来物」に相当し、刊行物1発明の「消臭物質としてのレモンオイル」は、本願明細書【0006】「本願発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組み合わせ、リナロール及びリナリルアセテートの組合せ、カルボン及びリモネンの組合せ、シトロネロール及びシトロネラールの組合せ、シトロネロール及びゲラニオールの組合せ、炭素数5?6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノールの組合せ、炭素数4?10のエチルエステル化合物及び炭素数9?12のヘキシルエステル及びβイオノンの組合せの何れかの化合物群を含有させると、魚類由来物を配合した液体食品組成物の、摂取前後に感じる魚類臭が効果的に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。」、【0010】「本願発明において魚類由来物のマスキングのために配合される化合物群は、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せ、リナロール及びリナリルアセテートの組合せ、カルボン及びリモネンの組合せ、シトロネロール及びシトロネラールの組合せ、シトロネロールとゲラニオールの組合せ、炭素数5?6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノールの組合せ、炭素数4?10のエチルエステル化合物及び炭素数9?12のヘキシルエステル及びβイオノンの組合せである。」との記載から明らかなように、本願発明1の「シトロネロール及びシトロネラール」とマスキングのための物質である限りにおいて共通する。
また、刊行物1発明の「魚介エキス水溶液1000gを75℃、圧力130kPaの減圧条件で120分間煮沸処理して、共沸処理した魚介エキス濃縮液80gを、あらかじめ70℃に加熱して、溶融させておいた硬化ナタネ油100gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル5.0gからなる油性成分中に添加した後、ホモジナイザーで乳化分散し、調製した乳化物を、温度75℃、圧力13kPaの減圧条件で90分間撹拌して水分の除去を行い、油性成分中に魚介エキスが安定分散したS/Oサスペンション130gを得て、更に該S/Oサスペンション50gに消臭物質としてのレモンオイル100mgを添加、混合した後、あらかじめ70℃に加熱しておいたアラビアガム、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、HLB12)含有水溶液300mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションに調製し、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ10℃に冷却しておいたアラビアガム、デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液300mLに一度に添加して急冷させて油性成分を固化させた後、吸引濾過、真空乾燥して水分を除去して得たS/O型マイクロカプセルを用いた食品組成物」は、本願発明1の「魚類由来物含有」「食品組成物」に該当する。

したがって、本願発明と刊行物1発明とは、
「マスキングのための物質を含む魚類由来物含有食品組成物」である点で一致し、
以下の点で相違している。

相違点1:本願発明は、組成物が液体であることを特定しているのに対して、刊行物発明では、最終的な食品組成物が液体であるのかどうかを特定していない点

相違点2:マスキングのための物質に関して、本願発明では、シトロネロール及びシトロネラールを含むと特定されているのに対して、刊行物1発明においては、消臭物質としてのレモンオイルを添加している点

相違点3:魚類由来物含有液体食品組成物に関して、本願発明は、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、オリーブ油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、マンゴー脂、イリッペ脂、ゴマ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、若しくはこれらの加工油脂、又は中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、長鎖脂肪酸トリグリセリド、若しくは脂肪酸の部分グリセリドを配合した組成物、
ミツロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、米ぬかロウ、カルナバロウ、雪ロウ、セラックロウ、又はホホバロウを配合した組成物、並びに、
カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、若しくはこれらのエステル類を配合した組成物
は除くとの特定があるのに対して、刊行物1発明は、製造に際して、硬化ナタネ油、テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステルを使用した組成物である点

(2)相違点の判断
ア 相違点1の判断
刊行物1発明においては、魚介エキスを含有するマイクロカプセルを用いた食品が液体であることはあきらかではないが、摘記(1b)の幅広い用途からみて、食品の形態に液体のものが含まれることは明らかであり、当業者であれば、刊行物1発明において、組成物が液体との特定をすることは容易になし得る技術的事項にすぎない。

イ 相違点2の判断
刊行物1発明において、消臭成分として添加されているレモンからの精油であるレモンオイル中にシトロネロール及びシトロネラールが含まれていることは、刊行物2摘記(2b)の記載にもあるように、化学的技術常識であり、相違点2は、実質的相違点とはいえない。
仮に、実質的相違点であるとしても、上記のとおり、レモンオイル中にシトロネロール及びシトロネラールが含まれていることは技術常識である以上、当業者がその成分を特定すること自体は容易になし得る技術的事項にすぎない。

ウ 相違点3の判断
本願発明には、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、オリーブ油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、マンゴー脂、イリッペ脂、ゴマ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、若しくはこれらの加工油脂、又は中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、長鎖脂肪酸トリグリセリド、若しくは脂肪酸の部分グリセリドを配合した組成物、
ミツロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、米ぬかロウ、カルナバロウ、雪ロウ、セラックロウ、又はホホバロウを配合した組成物、並びに、
カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、若しくはこれらのエステル類を配合した組成物
は除くとの、特定の植物油脂、動物油脂、ロウ、高級脂肪酸、そのエステルを除く特定があるところ、本願発明の魚類由来物含有液体食品組成物に配合される油の種類に関して、元々限定される記載は何らなく、特定の上記のような、本願発明において除かれた例示のものに限らず、種々の植物油脂、動物性油脂が含まれるものであることは明らかであり、少なくとも刊行物1に記載される魚油が含まれることになる(例えば、刊行物1において、従来技術として認識されている(摘記(1b))刊行物3(特開平6-70746号公報)摘記(3a)には、海産動物油脂、として、例えばイカ油、イワシ油、オキアミ油、カツオ油、サバ油、サケ油、サンマ油、タラ肝油、マグロ油、メンハーデン油等にフレーバーとしてレモンオイルを添加することで、魚臭を抑えることができることが記載されている。
上記のことは、審判請求人が、令和1年10月4日付け意見書において、本願発明から魚油は魚類由来物であって除かれるべきでないと主張していることとも符合する。

そして、上記のとおり、イカ油、イワシ油、オキアミ油、カツオ油、サバ油、サケ油、サンマ油、タラ肝油、マグロ油、メンハーデン油等の海産動物油脂にフレーバーとしてレモンオイルを添加することで、魚臭を抑えることが液体食品組成物(刊行物3では食酢)において、本願優先日時点で、既に技術常識となっていたものであり、刊行物1においてもその前提の記載があることを考慮すると、刊行物1発明においては、さらに経時的なマスキング効果の低下や適用範囲の拡大のために、マイクロカプセル化技術を追加して用いているにしても、マスキングのために消臭成分と併用される油性成分として、硬化ナタネ油やテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(脂肪酸グリセリド)に替えて魚油を選択することは、当業者が容易になし得る技術的事項であるといえる。
そして、結果として、本願発明に該当する、魚油及びシトロネロール及びシトロネラールを含むレモンオイルを含有したS/O型マイクロカプセルを用いた液体食品組成物を形成することは、上記相違点1,2での検討も考慮すれば、当業者が容易になし得る技術的事項である。

また、水分を除去して得たS/O型マイクロカプセルを用いた食品組成物である刊行物1発明には、硬化ナタネ油やテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが含まれると考えられるものの、刊行物1には、摘記(1d)に記載されるように、マスキングのために消臭成分と併用される油性成分としては、常温で固体状、液状のいずれの油性成分でも使用できるし、好ましいその主成分としては、例えば動植物からの天然油脂、合成油脂や加工油脂等の油脂が利用でき、より好ましくは、食品、化粧品又は医薬用に許容されるものであるということを前提として、使用できる油性成分としては、油脂類、ワックス、脂肪酸等を挙げることができるとされている。
そして、油脂類としては、刊行物1発明で用いている植物油脂としての菜種油や、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、長鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸の部分グリセリド等とともに、動物油脂としての魚油が最初にあげられているのであるから、魚油自体が食品に許容される油性成分(油脂)としてより好ましいことは記載からも自明であり、魚類由来物含有液体食品組成物に当然配合されているといえる魚油を、ナタネ油や脂肪酸グリセリドに替えて油性成分として添加することは、当業者であれば容易になし得る技術的事項であるともいえる。

上述のマイクロカプセル化技術に関連して、刊行物1発明は、製造にあたってS/O/Wエマルション形成工程やS/Oマイクロカプセル形成のための冷却工程でHLB12の親水性成分としてデカグリセリンモノオレイン酸エステルが用いられているが、両工程は、あくまでも分離された水相形成や冷却のために用いられているにすぎず、最終的なS/Oマイクロカプセルを用いた組成物の成分として配合されたものではないことは明らかである。

さらに、たとえ製造過程で混入したデカグリセリンモノオレイン酸エステルが刊行物1発明の組成物に残存していると仮定しても、該エステルは脂肪酸の部分グリセリドであって界面活性剤(乳化剤)として用いられているものであり、刊行物1において、S/O/Wエマルション形成のため界面活性剤を用いる態様(実施例3?6に対応)とS/O/Wエマルション形成せずに界面活性剤を用いない態様(実施例1,2に対応)に関して、【0044】において詳細に説明されいずれも好ましく用いられる態様であるとされているのだから、刊行物1発明において、S/O/Wエマルション形成せずにS/Oマイクロカプセルを形成する態様とすることも、当業者であれば適宜行える技術的事項であるともいえる。

エ 効果について
本願明細書【0021】【0022】に示された結果をみても、【表1】のベースを前提にフレーバー又は抽出物を混合したものにすぎないもので、「シトロネロール及びシトロネラールを含む魚類由来物含有液体食品組成物」と特定され、除いた成分以外の、その他多くの成分を含むことになる発明全体の効果とは到底いえないと共に、【表2】の比較例であるレモングラスエキスに関しては、シトロネロールやシトロネラールの存在の有無も不明である。
したがって、刊行物1発明において、摘記(1g)【表1】【表2】に示されるように、シトロネラールやレモンオイルの添加によって十分な消臭効果を得ていることや、シトロネロール及びシトロネラール自体が消臭成分として周知のものであること、刊行物1摘記(1b)や刊行物3摘記(3a)に記載されるように、レモンオイルが魚臭を抑えることも技術常識であることを考慮すると、本願発明の効果が当業者の予測を超える顕著な効果であると認めることはできない。

オ 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和1年10月4日付け意見書2頁において、本願発明は、補正によって刊行物1の油性成分である油脂類、ワックス、脂肪酸等の具体的例示が除かれており、刊行物1に触れた当業者が上記具体的例示成分が除かれた食品組成物を調製することは刊行物で達成した課題を反故にすることになるので、容易になし得ることではない旨主張している。
しかしながら、上記検討のとおり、刊行物1において想定されている油性成分としては、例示として挙げられた油脂類、ワックス、脂肪酸に限ったものではないし、各油脂類、ワックス、脂肪酸に限ったものでもない。
そして、例示されたものの中でさえ、本願発明に含まれていることを請求人自身が認めている魚油が、刊行物1に明確に例示されており、刊行物1の従来技術として挙げられている刊行物3に記載されるように、海産動物油脂にフレーバーとしてレモンオイルを添加することで、魚臭を抑えることが液体食品組成物において、本願優先日時点で、既に技術常識となっていたのであるから、刊行物1発明において、たまたま油状成分として、硬化ナタネ油、テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが用いられているものの、刊行物1の【0030】に油状成分の例示として、菜種油や脂肪酸グリセリドとともに例示されている魚油を、油状成分として変更して用いることは、当業者が容易になし得る技術的事項であり、上記審判請求人の主張は、その主張と特許請求の範囲の特定が対応しておらず、採用することはできない。

4 まとめ
本願発明は、刊行物1発明及び刊行物2?3記載の技術常識から当業者が容易に発明することができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2?3記載の技術常識に基いて、本願優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-10-30 
結審通知日 2019-11-05 
審決日 2019-11-20 
出願番号 特願2017-98990(P2017-98990)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴原 直司  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 齊藤 真由美
瀬良 聡機
発明の名称 液体食品組成物  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ