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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61F
審判 全部申し立て 発明同一  A61F
管理番号 1358626
異議申立番号 異議2018-700868  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-10-25 
確定日 2019-11-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6318169号発明「接着性周縁部を有する創傷被覆材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6318169号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-16]について訂正することを認める。 特許第6318169号の請求項1?16に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6318169号の請求項1?16に係る特許についての出願は、平成25年12月12日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年12月18日 英国)とする出願であって、平成30年4月6日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:平成30年4月25日)がされた。
その後、請求項1?16に係る特許について、平成30年10月25日に特許異議申立人スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされ、平成31年2月16日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和1年5月29日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、同年6月13日付けで申立人に対し訂正の請求があった旨の通知がされたが、申立人からは意見書が提出されなかったものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、」とあるのを、
「前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記有孔基材の背面側の表面はシリコーンエラストマーを含んでおらず;前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、」に訂正する。
請求項1を引用する請求項2?5、8?10、15、16も同様に訂正する。
イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に
「前記孔が規則的に配列した孔からなり、その全ての開口面積が、5mm^(2)?50mm^(2)または2mm^(2)?100mm^(2)である」とあるのを、
「前記孔が規則的に配列した孔からなり、全ての孔の個々の開口面積が、5mm^(2)?50mm^(2)または2mm^(2)?100mm^(2)である」に訂正する。
請求項3を引用する請求項4、5、8?10、15、16も同様に訂正する。
ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に
「請求項1乃至5の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が前記接着剤塗工支持体シートより小さく、それにより前記創傷に面する有孔層の周囲に前記支持体シートの接着剤塗工周縁部が延在するようになっていること」とあるのを、
「支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっており;前記創傷に面する有孔層が前記接着剤塗工支持体シートより小さく、それにより前記創傷に面する有孔層の周囲に前記支持体シートの接着剤塗工周縁部が延在するようになっている」に訂正する。
請求項6を引用する請求項7?10、15、16も同様に訂正する。
エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11に
「請求項1乃至10の何れか1項に記載の創傷被覆材の製造方法において:
ポリマーフィルム支持シートと剥離シートとの間に挟設されたシリコーン層を含む前駆積層体を形成するステップと;
前記ポリマーフィルム支持シートと前記シリコーン層とを貫通する孔の外縁を打ち抜くステップと;
前記剥離シートを除去して、有孔ポリマーフィルムを備える創傷に面する有孔層がその創傷に面する表面にシリコーンゲルのコーティングを有するようにしておくステップと;
を含むことを特徴とする方法」とあるのを、
「創傷被覆材の製造方法において:
ポリマーフィルム支持シートと剥離シートとの間に挟設されたシリコーン層を含む前駆積層体を形成するステップと;
前記ポリマーフィルム支持シートと前記シリコーン層とを貫通する孔の外縁を打ち抜くステップと;
前記剥離シートを除去して、有孔ポリマーフィルムを備える創傷に面する有孔層がその創傷に面する表面にシリコーンゲルのコーティングを有するようにしておくステップと;
を含み、
前記創傷被覆材が:支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっていることを特徴とする創傷被覆材の製造方法」に訂正する。
請求項11を引用する請求項12?14も同様に訂正する。
オ.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項15に
「前記創傷に面する有孔層の開口面積が5%?75%であること」とあるのを、
「前記創傷に面する有孔層の総開口面積が、当該有孔層の総面積の5%?75%であること」に訂正する。

(2)訂正の適否
ア.一群の請求項について
訂正前の請求項1?16について、請求項2?16は直接的又は間接的に請求項1を引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?16は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であって、訂正事項1?5による訂正は、これらの一群の請求項について請求されたものである。

イ.訂正の目的について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1における「有孔基材」について、同有孔基材「の背面側の表面はシリコーンエラストマーを含んでおらず」との記載により、前記有孔基材が、創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有しているが、その反対側の背面側の表面はシリコーンエラストマーを含んでいないことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項3における「その全ての開口面積」が、「孔」の個々の開口面積を意味するのか、個々の「孔」の開口面積の総和を意味するのかが不明瞭であったところ、「全ての孔の個々の開口面積」と記載を訂正することにより、請求項3の記載の意味を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項6の記載が、請求項1及び同請求項1を引用する請求項2?5のいずれか1項の記載を引用していたところ、これらを引用しない記載にするものであり、訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項11の記載が、請求項1及び同請求項1を引用する請求項2?10のいずれか1項の記載を引用していたところ、これらを引用しない記載にするものであるから、前記訂正事項3及び4による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
訂正事項5による訂正は、訂正前の請求項15における「前記創傷に面する有孔層の開口面積」とは、「孔」の個々の開口面積を意味するのか、個々の「孔」の「開口面積」の総和を意味するのかが不明瞭であり、さらに、前記「有孔層の開口面積が5%?75%であること」とは、「有効層の開口面積」が何に対して「5%?75%」あるのかが不明瞭であったところ、「前記創傷に面する有孔層の総開口面積が、当該有孔層の総面積の5%?75%であること」と記載を訂正することにより、請求項15の記載の意味を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

ウ.新規事項の有無について
訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書(本件特許明細書)の段落【0020】の「有孔層の創傷に面する側のシリコーンコーティングは、好適には、疎水性、粘着性、または非粘着性のシリコーンポリマーである。シリコーンエラストマーコーティングは好適には、有孔層の創傷に面する側にのみ塗工される。」との記載に基くものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
訂正事項2による訂正及び訂正事項5による訂正は、本件特許明細書の段落【0005】の「・・・創傷に面する有孔層が、創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、創傷に面する有孔層の開口面積が約5%?約75%であり、創傷に面する有孔層が約2mm^(2)?約100mm^(2)の開口面積を有する孔を備える、創傷被覆材を提供する。」との記載、段落【0014】の「有孔層の孔は、好適には、被覆材を創傷の周囲の皮膚に貼付するとき、孔を通した支持体層PSAの皮膚接触が可能となるのに十分な大きさである。好適には、前記孔の開口面積は約4mm^(2)?約50mm^(2)、例えば、約5mm^(2)?約30mm^(2)である。これは、孔の平均の(average)(平均(mean))面積を指す。」との記載に基くものであって、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
訂正事項3による訂正は、願書に添付した特許請求の範囲の【請求項1】の「支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっていることを特徴とする、創傷被覆材。」との記載、及び、【請求項6】の「請求項1乃至5の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が前記接着剤塗工支持体シートより小さく、それにより前記創傷に面する有孔層の周囲に前記支持体シートの接着剤塗工周縁部が延在するようになっていることを特徴とする創傷被覆材。」との記載に基くものであり、訂正事項4による訂正は、前記【請求項1】の記載及び【請求項11】の「請求項1乃至10の何れか1項に記載の創傷被覆材の製造方法において:ポリマーフィルム支持シートと剥離シートとの間に挟設されたシリコーン層を含む前駆積層体を形成するステップと;前記ポリマーフィルム支持シートと前記シリコーン層とを貫通する孔の外縁を打ち抜くステップと;前記剥離シートを除去して、有孔ポリマーフィルムを備える創傷に面する有孔層がその創傷に面する表面にシリコーンゲルのコーティングを有するようにしておくステップと;を含むことを特徴とする方法。」との記載に基くものであって、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1?5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

エ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1?5による訂正は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1-16]について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求が認められることにより、本件特許の請求項1?16に係る発明(以下、「本件発明1?16」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
【請求項1】
支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記有孔基材の背面側の表面はシリコーンエラストマーを含んでおらず;前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっていることを特徴とする、創傷被覆材。
【請求項2】
請求項1に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が孔を備え、前記孔の少なくとも90%の開口面積が5mm^(2)?50mm^(2)であることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の創傷被覆材において、前記孔が規則的に配列した孔からなり、全ての孔の個々の開口面積が、5mm^(2)?50mm^(2)または2mm^(2)?100mm^(2)であることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層の厚みが1mm未満、好ましくは0.02mm?0.5mmであることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記有孔基材が有孔フィルムであることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項6】
支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっており;前記創傷に面する有孔層が前記接着剤塗工支持体シートより小さく、それにより前記創傷に面する有孔層の周囲に前記支持体シートの接着剤塗工周縁部が延在するようになっていることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項7】
請求項6に記載の創傷被覆材において、前記有孔層で被覆された接着剤塗工支持体シートの周縁部の平均幅が5mm?30mmであり、前記接着剤塗工支持体シートの外周縁部の平均幅が2mm?20mmしかないことを特徴とする創傷被覆材。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、前記創傷に面する有孔層の1つ以上の縁部に実質的に平行で、それらから離間した弱め線を備え、前記弱め線が前記創傷に面する有孔層の1つ以上の縁部に沿って開封帯を画定することを特徴とする創傷被覆材。
【請求項9】
請求項8に記載の創傷被覆材において、前記開封帯の除去を助けるために、プルタブが前記弱め線により画定される各開封帯に取り付けられているか、またはそれと一体に形成されていることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記シリコーンエラストマーコーティングが疎水性、粘着性または非粘着性のシリコーンポリマーであることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項11】
創傷被覆材の製造方法において:
ポリマーフィルム支持シートと剥離シートとの間に挟設されたシリコーン層を含む前駆積層体を形成するステップと;
前記ポリマーフィルム支持シートと前記シリコーン層とを貫通する孔の外縁を打ち抜くステップと;
前記剥離シートを除去して、有孔ポリマーフィルムを備える創傷に面する有孔層がその創傷に面する表面にシリコーンゲルのコーティングを有するようにしておくステップと;
を含み、
前記創傷被覆材が:支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっていることを特徴とする創傷被覆材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
ポリマーフィルム支持シートと剥離シートとの間に挟設された液体シリコーンプレポリマー層を含む前駆積層体を形成するステップと;
前記液体シリコーンプレポリマーを硬化させるステップと;
前記ポリマーフィルム支持シートと前記シリコーン層とを貫通する孔の外縁を打ち抜くステップと;
前記剥離シートを除去して、有孔ポリマーフィルムを備える創傷に面する有孔層がその創傷に面する表面にシリコーンゲルのコーティングを有する状態にしておくステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、前記前駆積層体が、前記剥離シート上に液体シリコーンプレポリマー層を配設し、前記液体シリコーンプレポリマーを硬化させ、前記シリコーン層上に前記ポリマーフィルム支持シートを配設することにより形成されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11乃至13の何れか1項に記載の方法において、
支持体シートの一方の面に感圧接着剤層を塗工するステップと;
前記支持体シートの前記面の中央部にアイランド状の吸収材を貼着するステップであって、前記アイランドの周囲に前記支持体シートの接着剤塗工周縁部が残るように、前記吸収材は前記支持体シートより面積が小さくなっているステップと;
前記ポリマーフィルム支持シートが前記支持体シートに面するようにして、前記創傷に面する有孔層を前記アイランドを覆うように貼着するステップであって、前記創傷に面する有孔層の周縁部を、前記アイランドの周囲の前記接着剤塗工周縁部に接着するステップと;
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層の総開口面積が、当該有孔層の総面積の5%?75%であることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項16】
請求項1乃至10の何れか一項または請求項15に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が開口面積2mm^(2)?100mm^(2)の孔を備えることを特徴とする創傷被覆材。

(2)取消理由の概要
取消理由通知書に記載した本件発明1?16に係る特許に対する取消理由の概要は、以下のとおりである。
《理由1》
本件発明1、2、3、10、15及び16は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

《理由2》
本件発明1?5、8?10、15及び16は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

《理由3》
本件発明1?5及び16は、その出願の日前の外国語特許出願であって、その出願後に国際公開がされた下記の外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。

《理由4》
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

《引用例一覧》
甲1.国際公開第2012/104584号
甲2.国際公開第2010/061228号
甲3.国際公開第2007/113597号
甲21.特願2014-547516号(国際公開第2013/090810号)
甲22.特表2015-501712号公報

甲1?3は、各々、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)に添付された甲第1号証?甲第3号証であり、甲1?3の各々に記載された事項を甲1記載事項?甲3記載事項といい、前記甲1記載事項から把握される発明を甲1発明という。
また、甲21、甲22は、申立書に添付された甲第21号証、甲第22号証であり、甲21の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項を甲21記載事項といい、前記甲21記載事項から把握される発明を甲21発明という。

ア.理由1及び2について
(ア)本件発明1について
本件発明1と甲1発明との間には相違する点がないから、本件発明1は甲1発明である。
また、仮に、本件発明1と甲1発明との間に相違する点があるとしても、そのような相違点は、軽微なものにすぎないというべきであるから、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(イ)本件発明2について
本件発明2と甲1発明との間には相違する点がないから、本件発明2は甲1発明である。
また、仮に、本件発明2と甲1発明との間に相違する点があるとしても、そのような相違点は、軽微なものにすぎないというべきであるから、本件発明2は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ウ)本件発明3について
本件発明3と甲1発明との間には相違する点がないから、本件発明3は甲1発明である。
また、仮に、本件発明3と甲1発明との間に相違する点があるとしても、そのような相違点は、軽微なものにすぎないというべきであるから、本件発明3は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(エ)本件発明4について
本件発明4は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(オ)本件発明5について
本件発明5は、甲1発明及び甲2、甲3に例示される周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(カ)本件発明8及び9について
本件発明8及び9は、甲1発明及び甲2、甲3に例示される周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(キ)本件発明10について
本件発明10と甲1発明との間には相違する点がないから、本件発明10は甲1発明である。
また、仮に、本件発明10と甲1発明との間に相違する点があるとしても、そのような相違点は、軽微なものにすぎないというべきであるから、本件発明10は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ク)本件発明15について
本件発明15と甲1発明との間には相違する点がないから、本件発明15は甲1発明である。
また、仮に、本件発明15と甲1発明との間に相違する点があるとしても、そのような相違点は、軽微なものにすぎないというべきであるから、本件発明15は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ケ)本件発明16について
本件発明16と甲1発明との間には相違する点がないから、本件発明16は甲1発明である。
また、仮に、本件発明16と甲1発明との間に相違する点があるとしても、そのような相違点は、軽微なものにすぎないというべきであるから、本件発明16は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ.理由3について
(ア)本件発明1について
本件発明1と甲21発明との間には相違する点がないから、本件発明1は甲21発明と同一である。
(イ)本件発明2について
本件発明2と甲21発明との間には実質的に相違する点がないから、本件発明1は甲21発明と同一である。
(ウ)本件発明3について
本件発明3と甲21発明との間には実質的に相違する点がないから、本件発明3は甲21発明と同一である。
(エ)本件発明4について
本件発明4と甲21発明との間には相違する点がないから、本件発明4は甲21発明と同一である。
(オ)本件発明5について
本件発明5と甲21発明との間には相違する点がないから、本件発明5は甲21発明と同一である。
(カ)本件発明16について
本件発明16と甲21発明との間には実質的に相違する点がないから、本件発明16は甲21発明と同一である。

ウ.理由4について
(ア)請求項3の記載について
本件発明3及び本件発明3を引用する本件発明4?16は、明確でない。
(イ)請求項15の記載について
本件発明15及び本件発明15を引用する本件発明16は、明確でない。

(3)当審の判断
ア.理由1及び2について
(ア)甲1発明について
甲1には、以下の甲1記載事項が記載されている。
なお、《訳文》は、平成30年12月17日付け上申書に添付された甲第1号証訳文(以下、「甲1訳文」という。)を採用する。
a.「The present invention relates to wound dressings comprising a laminate of a base layer and a silicone-coated layer, wherein the silicone-coated layer is bonded to the base layer.」(1頁3?4行)
《訳文》「本発明は、基層とシリコーンコーティング層との積層体を備える創傷ドレッシング材であって、シリコーンコーティング層が基層に接合されている、創傷ドレッシング材に関する。」(甲1訳文の2頁4?5行)
b.「The present inventors have found that normally non-adherent silicone-coated substrates can be strongly bonded to further wound dressing layers, such as absorbent layers or backing sheets, without the use of adhesives or silicone primer layers. This bonding is achieved by applying a silicone-coated layer wherein the silicone is incompletely cured to the further layer, followed by final curing of the silicone with ionizing radiation. The resulting laminates are useful as or in wound dressings.」(3頁10?15行)
《訳文》「本発明者らは、通常の非接着性シリコーンコーティング基材が、接着剤又はシリコーンプライマー層の使用なしに、吸収性層又は裏打ちシート等の更なる創傷ドレッシング材層に強固に接合されうることを見出した。この接合は、シリコーンコーティング層を適用することによって実現され、シリコーンは、更なる層へと不完全に硬化され、続いて電離放射線でのシリコーンの最終硬化が行われる。得られた積層体は、創傷ドレッシング材として又は創傷ドレッシング材中で有用である。」(甲1訳文の3頁29?34行)
c.「In embodiments, the base layer may be a layer of adhesive, in particular a pressure- sensitive adhesive.」(8頁2?3行)
《訳文》「実施形態では、基層は、接着剤、具体的には感圧接着剤の層であってもよい。」(甲1訳文の6頁36行)
d.「The basis weight of the adhesive layer is suitably 20 to 250 g/m^( 2 ), and more suitably 50 to 150 g m^( 2 ).」(8頁8?9行)
《訳文》「接着剤層の坪量は、好適には20?250g/m^(2)、より好適には50?150g/m^(2)である。」(甲1訳文の7頁1?3行)
e.「The silicone coated substrate is apertured, whereby the substrate is permeable to wound fluid. For example, the substrate may be a mesh or web or fabric suitably formed from a woven, nonwoven or knitted textile, or it may be a molded mesh.

In certain embodiments the substrate is a fabric such as a gauze, or a mesh, having an array of apertures. The size and shape of the apertures in the substrate are not critical, but the apertures should suitably be such as to ensure that the material can be adequately coated with silicone gel without them becoming occluded. The apertures generally have an aspect ratio of from 1:1 to 5:1, and preferably from 1:1 to 2:1. For example, the apertures may be approximately circular or approximately square. The apertures suitably have an average diameter of from 0.3 to 4 mm, and more suitably from 0.5 to 2 mm.

The substrate is suitably formed from any medically acceptable material, such as cellulose, polyolefins, polyesters, or polyamides. An especially suitable material is cellulose acetate gauze. Substrates having a weight of from 15 to 200 g/m^( 2 ) are generally found to be suitable for use in the products of the invention, and fabrics weighing from 50 to 150 g/m^( 2 ) are most suitable. For example, certain embodiments employ a fabric of from 80 to 120 g/m^( 2 ).

Suitably, the silicone-coated substrate product retains open apertures to allow passage of wound fluid through the coated substrate.

For example, an array of apertures may extend through said silicone coatings and the substrate layer. The open area of the coated substrate in the final product may for example be from about 1% to about 70%, for example from about 10% to about 50%.

Suitably, the substrate is coated on both sides with the silicone coating, so that the face of the substrate opposite the base layer presents a silicone surface to the wound. The wound facing silicone surface may be non-adherent, or it may be tacky.

For example, the tackiness of the wound facing surface as measured by a loop tack test (described below) is suitably from about 0.4N to about 2N, more suitably from about 0.5N to about 1.5N.

The total coating weight of the silicone on the substrate is suitably from about 50 g/m^( 2 ) to about 500 g/m^( 2 ), for example from about 80 g/m^( 2 ) to about 200 g/m^( 2 ), typically from about 100 g/m^( 2 ) to about 150 g/m^( 2 ). The silicone is suitably a soft skin adhesive silicone composition. Suitable chemistry is described below. The silicone is suitably hydrophobic. 」(9頁1行?10頁5行)
《訳文》「シリコーンコーティング基材は、開口されており、それにより、基材は、創傷流体に透過性である。例えば、基材は、織布、不織布又は編織物から好適には形成されたメッシュ又はウェブ又は布地であってもよく、又は基材は、形成されたメッシュであってもよい。

特定の実施形態では、基材は、開口部のアレイを有するガーゼ又はメッシュ等の布地である。基材中の開口部の寸法及び形状は重要ではないが、開口部は、好適には、それらが閉塞するようにならずに、材料がシリコーンゲルで適切にコーティングされうることを確実にするようなものであるべきである。開口部は、一般に、1:1?5:1、好ましくは:1?2:1のアスペクト比を有する。例えば、開口部は、略円形又は略正方形であってもよい。開口部は、好適には0.3?4mm、より好適には0.5?2mmの平均直径を有する。

基材は、好適には、セルロース、ポリオレフィン、ポリエステル又はポリアミド等の医療上許容される任意の材料から形成される。特に好適な材料は、酢酸セルロースのガーゼである。15?200g/m^(2)の重量を有する基材が、一般に、本発明の製品中で使用するのに好適であり、50?150g/m^(2)の重さがある布地が最も好適であると見出されている。例えば、特定の実施形態では、80?120g/m^(2)の布地が採用される。

好適には、シリコーンコーティング基材製品は、コーティング基材を通った創傷流体の通過を可能にするために、開いている開口部を保持する。例えば、開口部のアレイは、このシリコーンコーティング及び基材層を通って延びてもよい。最終製品におけるコーティング基材の開いている面積は、例えば、約1%?約70%、例えば約10%?約50%であってもよい。

好適には、基層と反対側の基材の面がシリコーン面を創傷へ呈するように、基材は、両側をシリコーンコーティングでコーティングされる。創傷対向シリコーン面は、非接着性であってもよく、又はそれは粘着性であってもよい。

例えば、ループタック試験(以下に記載される)によって測定される創傷対向面の粘着度は、好適には約0.4N?約2N、より好適には約0.5N?約1.5Nである。

基材上のシリコーンコーティングの総重量は、好適には、約50g/m^(2)?約500g/m^(2)、例えば約80g/m^(2)?約200g/m^(2)、典型的には約100g/m^(2)?約150g/m^(2)である。シリコーンは、好適には、軟質の皮膚接着性シリコーン組成物である。好適な化学が、以下に記載される。シリコーンは、好適には疎水性である。」(甲1訳文の7頁25行?8頁13行)
f.「Suitably, the wound dressing according to the present invention has a maximum total uncompressed thickness of from about 0.2mm to about 15mm, for example from about 0.5 mm to about 5mm.」(11頁27?29行)
《訳文》「好適には、本発明による創傷ドレッシング材は、約0.2mm?約15mm、例えば約0.5mm?約5mmの最大非圧縮総厚さを有する。」(甲1訳文の9頁17?18行)
g.「The methods of the present invention allow substrates having silicone coating on the upper and lower surfaces to be made with a single silicone coating composition on both surfaces.」(13頁9?11行)
《訳文》「本発明の方法は、上面及び下面にシリコーンコーティングを有する基材が、両面とも1種のシリコーンコーティング組成物で製造されることを可能にする。」(甲1訳文の10頁15?16行)
h.「Suitably, the silicone composition is a so-called soft skin adhesive silicone elastomer.」(13頁13行)
《訳文》「好適には、シリコーン組成物は、いわゆる軟質の皮膚接着性シリコーンエラストマーである。」(甲1訳文の10頁17?18行)
i.「Fig. 9 shows a perspective exploded view of a fifth product according to the invention;
Fig. 10 shows a partially cut away view of part of the product of Fig. 9;
Fig. 11 shows a perspective view of a sixth product according to the invention;
Fig. 12 shows a perspective exploded view of a seventh product according to the invention;
Fig. 13 shows a perspective view of the product of Fig. 12;
Fig. 14 shows a perspective partially exploded view of an eighth product according to the invention;
Fig. 15 shows a perspective exploded view of a ninth product according to the invention;
Fig. 16 shows a perspective view of the product of Fig. 15 ;」(17頁27?18頁5行)
《訳文》「【図9】 本発明による第5の製品の分解斜視図を示す。
【図10】 図9の製品の一部の部分的破断図を示す。
【図11】 本発明による第6の製品の斜視図を示す。
【図12】 本発明による第7の製品の分解斜視図を示す。
【図13】 図12の製品の斜視図を示す
【図14】 本発明による第8の製品の部分的分解斜視図を示す。
【図15】 本発明による第9の製品の分解斜視図を示す。
【図16】 図15の製品の斜視図を示す。」(甲1訳文の13頁16?23行)
j.「The upper siliconized surface is bonded to a base layer 6, which in this embodiment is a semipermeable microporous polyurethane backing layer, which may or may not be coated with a polyurethane pressure-sensitive adhesive layer. The opposite surface of the siliconized substrate is covered by a release sheet 7 of siliconized paper that can be peeled off to expose the siliconized surface for application to a wound or to skin. 」(18頁25?29行)
《訳文》「シリコーン処理済み上面は、基層6に接合されており、これは、この実施形態では、半透性微孔質のポリウレタン裏打ち層であり、これは、ポリウレタン感圧接着剤層でコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。シリコーン処理済み基材の反対面は、創傷への又は皮膚への適用のために剥がされて、シリコーン処理済み面を露出することができるシリコーン処理済み紙の剥離シート7によってカバーリングされている。」(甲1訳文の13頁16?23行)
k.「Referring to Figs. 9 and 10, the product 16 according to this embodiment is an island dressing. It comprises a siliconized substrate gauze 5 laminated to a hydrophilic liquid- absorbent layer of textile material 17 and a polyurethane semipemeable backing sheet 1 as for the embodiment of Fig. 6. A silicone-coated paper release sheet 7 is provided over the wound-facing surface of the gauze 5. However, the area of the textile material 17 is less than that of the gauze 5 or the backing sheet 14, whereby a margin 18 of the backing sheet extends around all edges of the textile material. The siliconized gauze is therefore directly bonded to the backing sheet over the margin, as well as to the wound-facing surface of the textile layer 17. This bonding of the siliconized gauze to the margin 18 of the backing sheet 14 helps to keep the absorbent island in place on the backing sheet, and also provides the margin 18 with a skin-friendly, weakly adherent (tacky) siliconized surface for contact with the skin around a wound. The island dressings are less prone to leakage of wound fluids from the edges of the dressing than the simple laminates described above.

Referring to Fig. 11, the product 20 is an envelope-type dressing formed from upper and lower sheets 5,19 of siliconized gauze, which may be separate sheets or a single sheet folded over. An island 17 of hydrophilic liquid-absorbent textile material is located centrally between the sheets 5,19. The sheets 5,1 are bonded to the island 17 and to each other in the marginal area around the island 17. The resulting envelope can be applied to a wound in either orientation.

Referring to Figs. 12 and 13, the product 21 according to this embodiment is an island dressing similar to that of Figs. 9 and 10. It comprises a siliconized substrate gauze 5 laminated to a hydrophilic liquid-absorbent layer of textile material 17 and a polyurethane semipemeable backing sheet 14 as for the embodiment of Fig. 6. A layer of polyurethane pressure-sensitive adhesive 15 is provided over the wound-facing surface of the backing sheet 14. In certain alternative embodiments, the gauze 5 is coterminous with the island 7 so that the margin 18 is solely adhesive-coated to provide adhesion to skin around a wound.

Referring to Fig. 14, an alternative island dressing structure is shown wherein the siliconized gauze layer 5 is laminated directly to a semipermeable polyurethane backing sheet 14, and an absorbent island 17 is laminated over and bonded to the gauze layer 5. In these embodiments, the gauze layer 5 acts as a tie layer to bond the absorbent island 17 to the backing sheet. A further siliconized gauze layer (not shown) may be bonded over the top of the absorbent layer, either coterminous with the absorbent layer 17 or coterminous with the backing sheet 14, in similar fashion as for the embodiments of Figs. 9-10 or 12-13.

Referring to Figs. 15 and 16, this embodiment is a sandwich structure having upper and lower sheets of siliconized gauze 5,19 sandwiching and bonded to a layer of nonwoven textile absorbent material 12. Suitably, the layers 5,12 and 19 are coterminous, or a small margin 24 of layers 5,19 directly bonded to each other may extend around the edges of the dressing.」(19頁21行?20頁33行)
《訳文》「図9及び図10を参照すると、この実施形態による製品16は、アイランドドレッシング材である。製品16は、図6の実施形態についてのように、テキスタイル材料17及びポリウレタン半透性裏打ちシート14の親水性液体吸収層に積層されたシリコーン処理済み基材ガーゼ5を備える。シリコーンコーティング紙剥離シート7は、ガーゼ5の創傷対向面上に付与されている。しかしながら、テキスタイル材料17の面積は、ガーゼ5又は裏打ちシート14の面積よりも小さく、それにより、裏打ちシートのマージン18は、テキスタイル材料の全ての縁の周りに延びている。したがって、シリコーン処理済みガーゼは、マージン上の裏打ちシートに、並びにテキスタイル層17の創傷対向面に、直接接合する。シリコーン処理済みガーゼの、裏打ちシート14のマージン18へのこの接合は、吸収性アイランドが裏打ちシート上の場所に保つことを助け、更にマージン18に、創傷の周りの皮膚と接触するための、皮膚に優しい弱接着性の(粘着性の)シリコーン処理済み面も付与する。アイランドドレッシング材は、上記の単純な積層体よりも、ドレッシング材の縁からの創傷流体の漏れが生じにくい。

図11を参照すると、製品20は、シリコーン処理済みガーゼの上部シート及び下部シート5、19から形成されたエンベロープタイプのドレッシング材であり、これらは別々のシートであってもよく、折り畳まれた1つのシートであってもよい。親水性液体吸収性テキスタイル材料のアイランド17は、シート5、19の間に中央に位置している。シート5、19は、アイランド17に、及びアイランド17の周りの縁の領域において互いに、接合される。得られたエンベロープは、いずれの向きでも創傷へ適用されうる。

図12及び13を参照すると、この実施形態による製品21は、図9及び図10の製品と同様のアイランドドレッシング材である。製品21は、図6の実施形態についてのように、テキスタイル材料17及びポリウレタン半透性裏打ちシート14の親水性液体吸収性層に積層されたシリコーン処理済み基材ガーゼ5を備える。ポリウレタン感圧接着剤15の層は、裏打ちシート14の創傷対向面上に付与される。代替の特定の実施形態では、ガーゼ5は、マージン18が単独で接着剤コーティングされて創傷の周りの皮膚への接着を付与するように、アイランド17と境界線を共にする。

図14を参照すると。代替のアイランドドレッシング材構造が示されており、シリコーン処理済みガーゼ5は、半透性ポリウレタン裏打ちシート14に直接積層され、吸収性アイランド17は、ガーゼ層5上に積層されて接合されている。これらの実施形態では、ガーゼ層5は、吸収性アイランド17を裏打ちシートに接合させるタイ層(tie layer)として作用する。更なるシリコーン処理済みガーゼ層(図示せず)は、図9?10又は図12?13の実施形態についてと同様に、吸収性層17と境界線を共にする又は裏打ちシート14と境界線を共にする、のいずれかで、吸収性層の頂部上に接合されていてもよい。

図15及び図16を参照すると、この実施形態は、不織布吸収性材料12の層に挟まれて接合しているシリコーン処理済みガーゼ5、19の上部シート及び下部シートを有するサンドイッチ構造体である。好適には、層5、12及び19は境界線を共にし、又は互いに直接接合している層5、19の小さいマージン24が、ドレッシング材の縁の周りに延びていてもよい。」(甲1訳文の14頁20行?15頁17行)
以上を踏まえると、甲1には以下の甲1発明が記載されている。なお、甲1発明における()内の語句は、対応する甲1の語句である。
《甲1発明》
ポリウレタン半透性裏打ちシート14(a polyurethane semipemeable backing sheet 14)と、前記ポリウレタン半透性裏打ちシート上のポリウレタン感圧接着剤15の層(a layer of polyurethane pressure-sensitive adhesive 15 )と、前記ポリウレタン半透性裏打ちシート14に積層され、前記ポリウレタン半透性裏打ちシート14より面積が小さい、親水性液体吸収性テキスタイル材料のアイランド17(an island 17 of hydrophilic liquid-absorbent textile material )と、前記アイランド17に積層され、前記ポリウレタン半透性裏打ちシート14の創傷対向面上に付与される前記感圧接着剤15の層により、前記ポリウレタン半透性裏打ちシート14のマージン18が単独で接着材コーティングされて創傷の周りの皮膚への接着を付与するように、前記アイランド17と境界線を共にする、メッシュの開口が0.3?4mmの平均直径を有し、その開口面積は、約1?70%あってよく、疎水性、粘着性または非接着性のシリコーンコーティングで上面及び下面がコーティングされたシリコーン処理済み基材ガーゼ5(a siliconized substrate gauze 5)と、を備える創傷ドレッシング材(a wound dressing)

(イ)本件発明1について
本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の「ポリウレタン半透性裏打ちシート14」、「ポリウレタン感圧接着剤15の層」、「親水性液体吸収性テキスタイル材料のアイランド17」、「マージン18」、「シリコーン処理済み基材ガーゼ5」、「アイランドドレッシング材」は、各々、本件発明1の「支持体シート」、「感圧接着剤層」、「アイランド状の吸収材」、「接着剤塗工支持体シートの周縁部」、「有孔層」、「創傷被覆材」に相当する。
ここで、本件発明1における「その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている」なる事項について、本件特許明細書の段落【0013】では「さらに、シリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔層は、接着剤塗工周縁部の少なくとも一部の上にも延びる。周縁部のこの部分では、有孔層は支持体シートのPSA塗工面の一部を被覆するが、層の孔を通した感圧接着剤の接着が可能であり、そのため、周縁部のこの部分では支持体シートは全体的に低接着性となっている。」と説明されていることを踏まえると、上記事項における「前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている」とは、「感圧接着剤層」が本来的に具備している接着性が、「有孔層」の「孔」がない部分により「感圧接着剤層の一部を被覆」されることにより、低減されることを意味していると解するのが自然である。
一方、甲1発明は、「裏打ちシートのマージン18が単独で接着材コーティングされて創傷の周りの皮膚への接着を付与するように、前記アイランド17と境界線を共にする」ものであるところ、前記「マージン18」部分での「ポリウレタン感圧接着剤15の層」による創傷の周りの皮膚への接着性は、「シリコーン処理済み基材ガーゼ5」の「メッシュの開口孔」のない部分が存在することにより、前記「ポリウレタン感圧接着剤15」が本来的に具備している接着性よりも低減されることが明らかであるから、甲1発明は、本件発明1の上記要件「その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている」を満たすものといえる。
してみると、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
《一致点1》
支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている、創傷被覆材。

《相違点1》
有孔層の有孔基材が、本件発明1では、「前記有孔基材の背面側の表面はシリコーンエラストマーを含んでおらず」と特定されているのに対し、甲1発明では、「シリコーンコーティングで上面及び下面がコーティングされた」と特定されている点。

上記相違点1について検討する。
上記相違点1は、有孔層の有孔基材の「創傷に面する表面」と「背面」における「シリコーンエラストマー」の有無に関するものであり、単なる表現上の差異等ではない、実質的な相違点である。
そして、甲1の「Suitably, the substrate is coated on both sides with the silicone coating, so that the face of the substrate opposite the base layer presents a silicone surface to the wound.」(9頁26?28行、甲1訳文の「好適には、基層と反対側の基材の面がシリコーン面を創傷へ呈するように、基材は、両側をシリコーンコーティングでコーティングされる。」(8頁5?6行))との記載、甲1の「The methods of the present invention allow substrates having silicone coating on the upper and lower surfaces to be made with a single silicone coating composition on both surfaces.」(13頁9?11行、甲1訳文の「本発明の方法は、上面及び下面にシリコーンコーティングを有する基材が、両面とも1種のシリコーンコーティング組成物で製造されることを可能にする。」(10頁15?16行))との記載、甲1の「The upper siliconized surface is bonded to a base layer 6, which in this embodiment is a semipermeable microporous polyurethane backing layer, which may or may not be coated with a polyurethane pressure-sensitive adhesive layer. The opposite surface of the siliconized substrate is covered by a release sheet 7 of siliconized paper that can be peeled off to expose the siliconized surface for application to a wound or to skin. 」(18頁25?29行、甲1訳文の「シリコーン処理済み上面は、基層6に接合されており、これは、この実施形態では、半透性微孔質のポリウレタン裏打ち層であり、これは、ポリウレタン感圧接着剤層でコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。シリコーン処理済み基材の反対面は、創傷への又は皮膚への適用のために剥がされて、シリコーン処理済み面を露出することができるシリコーン処理済み紙の剥離シート7によってカバーリングされている。」(13頁16?23行))との記載からみて、甲1発明は、「シリコーン処理済み基材ガーゼ5」の上面及び下面の双方をシリコーンコーシングでコーティングすることを前提とするものと解されるところ、甲1発明において、「シリコーン処理済み基材ガーゼ5」について、創傷に接する面とは反対側の面となる「上面」又は「下面」に対するシリコーンコーティングをしないようにその構成を変更することには、明らかな阻害要因があるといわざるを得ない。
また、甲2、甲3、特許異議申立書に添付された甲第4号証(特表2004-515267号公報)、甲第5号証(米国特許出願公開第2011/0112458号明細書)、甲第6号証(特開平8-336555号公報)、甲第7号証(特表2005-509492号公報)、甲第8号証(国際公開第2008/062176号)、甲第9号証(米国特許第3967624号明細書)、甲第10号証(英国特許出願公開第2452720号明細書)、甲第11号証(国際公開第2010/122665号)、甲第12号証(国際公開第2012/140378号)、甲第13号証(国際公開第95/15135号)、甲第14号証及び甲第16号証(特表2006-513748号公報)、甲第15号証(特表2006-516003号公報)、甲第17号証(米国特許第5512041号明細書)、甲第18号証(特表2011-504396号公報)、甲第19号証(特表平7-502913号公報)、甲第20号証(特表平7-505309号公報)(以下、「甲第4?20号証」の各々を「甲4?20」という。)のいずれにも、甲1発明において、前記前提を無視し、「シリコーン処理済み基材ガーゼ5」について、創傷に接する面とは反対側の面となる「上面」又は「下面」に対するシリコーンコーティングをしないようにその構成を変更することは、記載されていないし、これを示唆する記載もない。
したがって、本件発明1は甲1発明であるとはいえないし、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(ウ)本件発明2?5、8?10、15及び16について
本件発明2?5、8?10、15及び16は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものであるから、上記(イ)で示した理由と同様に、甲1発明ではないし、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(エ)小括
以上のとおり、本件発明1?5、8?10、15及び16は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。

イ.理由3について
(ア)甲21発明について
甲21には、以下の甲21記載事項が記載されている。
なお、《訳文》は、甲21のパテントファミリーに係る公報である甲22を採用する。
a.「[0002]The present disclosure relates generally to dressings for adhering to a patient, and more particularly, but not by way of limitation, to releasable medical drapes, systems, and methods. 」
《訳文》「【0002】
本開示は、概して、患者に接着させるドレッシングに関し、より詳細には、限定されるものではないが、剥離可能な医療用ドレープ、システム、および方法に関する。」
b.「[00026] A manifold 122 is disposed proximate to the tissue site 102. The manifold 122 is a substance or structure that is provided to assist in applying reduced pressure to, delivering fluids to, or removing fluids from the tissue site 102. The manifold 122 includes a plurality of flow channels or pathways that can distribute fluids provided to and removed from the tissue site 102. In one illustrative embodiment, the flow channels or pathways are interconnected to improve distribution of fluids provided to or removed from the tissue site 102. The manifold 122 may comprise one or more of the following: a biocompatible material that is capable of being placed in contact with the tissue site 102 and distributing reduced pressure to the tissue site 102; devices that have structural elements arranged to form flow channels, such as, for example, cellular foam, open-cell foam, porous tissue collections, liquids, gels, and foams that include, or cure to include, flow channels; porous material, such as foam, gauze, felted mat, or any other material suited to a particular biological application; or porous foam that includes a plurality of interconnected cells or pores that act as flow channels, e.g., a polyurethane, open- cell, reticulated foam such as GranuFoam〇R(当審注:丸印の中にRが表記されたもの) material manufactured by Kinetic Concepts, Incorporated of San Antonio, Texas; a bioresorbable material; or a scaffold material. In some situations, the manifold 122 may also be used to distribute fluids such as medications, anti- bacterials, growth factors, and various solutions to the tissue site 102.
[00027]The releasable medical drape 106 is disposed over the manifold 122 and at least a portion of the tissue site to form a sealed space 124. The sealed space 124 contains the manifold 122. A reduced-pressure source 126 is fluidly coupled to the sealed space 124. The reduced-pressure source 126 provides reduced pressure. The reduced-pressure source 126 may be any device for supplying a reduced pressure, such as a vacuum pump, wall suction, a micro- pump, or other source. While the amount and nature of reduced pressure applied to a tissue site will typically vary according to the application, the reduced pressure will typically be between -5 mm Hg (-667 Pa) and -500 mm Hg (-66.7 kPa) and more typically between -75 mm Hg (-9.9 kPa) and -300 mm Hg (-39.9 kPa) and more typically still between 75 mm Hg (- 9.9 kPa) and -200 mm Hg (-26.66kPa). 」
《訳文》「【0017】
マニホールド122は、組織部位102に近接して配置される。マニホールド122は、組織部位102に対して減圧を行ったり、流体を送達したり、または組織部位102から流体を除去したりするのを支援するために設けられる物体または構造である。マニホールド122は、組織部位102に提供されかつそこから除去される流体を分配できる複数の流路または流れ経路を含む。説明に役立つ一実施形態では、流路または流れ経路は相互に接続されて、組織部位102に提供されるかまたはそこから除去される流体の分配を改善し得る。マニホールド122は、以下のうちの1つ以上を含み得る:組織部位102と接触して配置されかつ組織部位102に減圧を分配することができる生体適合性材料;例えば、気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、液体、ゲル、および、流路を含むまたは硬化して流路を含む発泡体などの、流路を形成するように配置された構造要素を有する装置;多孔質材、例えば発泡体、ガーゼ、フェルトのマット、または特定の生物学的適用に好適な任意の他の材料;または流路の機能を果たす複数の連続気泡または細孔を含む多孔質発泡体、例えば、Kinetic Concepts,Incorporated(San Antonio、Texas)製のGranuFoam(登録商標)材などのポリウレタン製の連続気泡の網状発泡体;生体再吸収性材料;または足場材料。場合によっては、マニホールド122はまた、薬剤、抗菌薬、成長因子、および様々な溶液などの流体を組織部位102に分配するためにも使用し得る。
【0018】
剥離可能な医療用ドレープ106は、マニホールド122と組織部位の少なくとも一部分とを覆って配置され、密閉空間124を形成する。密閉空間124にマニホールド122を含む。密閉空間124には減圧源126が流動的に結合される。減圧源126が減圧をもたらす。減圧源126は、減圧を供給するための任意の装置、例えば真空ポンプ、壁面吸い込み、マイクロポンプ、または他の減圧源とし得る。組織部位に行われる減圧の量および性質は、一般に適用例に応じて変動するが、減圧は、典型的には-5mm Hg(-667Pa)?-500mm Hg(-66.7kPa)、より典型的には-75mm Hg(-9.9kPa)?-300mm Hg(-39.9kPa)、さらにより典型的には75mm Hg(-9.9kPa)?-200mm Hg(-26.66kPa)とし得る。」
c.「[00029]Referring primarily to FIGURES 2 and 3, the releasable medical drape 106 has three primary layers (going from the outer-most layer to the layer contacting the patient): (1) a liquid-impermeable, vapor-permeable layer 132, (2) a pressure-sensitive adhesive layer 138; and (3) a soft-gel layer 144 having a plurality of apertures 146. The liquid-impermeable, vapor-permeable layer 132 functions as a barrier to liquids and microorganisms. The pressure- sensitive adhesive layer 138 provides a means for coupling the liquid-impermeable, vapor- permeable layer 132 to the soft-gel layer 144. In addition, in operation, a portion of the pressure-sensitive adhesive layer 138 extends through the plurality of apertures 146 to contact the epidermis 116 and thereby provide a contact coupling 152 between the releasable medical drape 106 and the patient 104. The contact coupling is releasable and yet provides sufficient coupling to adhere to the patient 104 during use.」
《訳文》「【0020】
主に図2および図3を参照して説明すると、剥離可能な医療用ドレープ106は3つの主要な層(最も外側の層から患者に接触する層へ進んで):(1)液不透過性・蒸気透過性層132、(2)感圧接着層138;および(3)複数のアパーチャ146を有する軟質ゲル層144を有する。液不透過性・蒸気透過性層132は、液体および微生物に対するバリアの役目を果たす。感圧接着層138は、液不透過性・蒸気透過性層132を軟質ゲル層144に結合する手段を提供する。さらに、動作時、感圧接着層138の一部分が複数のアパーチャ146を通って延在して表皮116に接触し、それにより、剥離可能な医療用ドレープ106と患者104との間に接触結合152をもたらす。接触結合は剥離可能であるが、使用中に患者104に接着させておくのに十分な結合をもたらす。」
d.「[00033]The soft-gel layer 144 has a first side 148 and a second, patient-facing side 150. The soft-gel layer 144 is a soft material that provides a good seal with the tissue site 102. The soft- gel layer 144 may comprise a silicone gel (or soft silicone), hydrocolloid, hydrogel, polyurethane gel, polyolefin gel, hydrogenated styrenic copolymer gels, or foamed gels with compositions as listed, or soft closed cell foams (polyure thanes, polyolefins) coated with an adhesive (e.g., 30 gsm - 70 gsm acrylic), polyurethane, polyolefin, or hydrogenated styrenic copolymers. The soft-gel layer 144 has a thickness 154 that is typically in the range of about 500 microns (μm) to about 1000 microns (μm). The soft-gel layer 144 in one embodiment has stiffness between about 5 Shore 〇〇 and about 80 Shore 〇〇. The soft-gel layer 144 may be hydrophobic or hydrophilic.
[00034]The soft-gel layer 144 is formed with the plurality of apertures 146. The apertures 146 may be numerous shapes, for example, circles, squares, stars, ovals, polygons, slits complex curves, rectilinear shapes, triangles, or other shapes. Each aperture 146 of the plurality of apertures 146 has an effective diameter, which is the diameter of a circular area having the same surface area as the aperture 146. The average effective diameter is typically in the range of about 6 mm to about 50 mm. The plurality of apertures 146 may have a uniform pattern or may be randomly distributed on the soft-gel layer 144. 」
《訳文》「【0024】
軟質ゲル層144は、第1の側面148および第2の患者対面側面150を有する。軟質ゲル層144は、組織部位102との良好なシールを提供する軟質材料である。軟質ゲル層144は、シリコーンゲル(または軟質シリコーン)、親水コロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素化スチレン系(hydrogenated styrenic)コポリマーゲル、またはリストしたような組成物を備える発泡ゲル、または接着剤(例えば、30gsm?70gsmのアクリル)、ポリウレタン、ポリオレフィン、または水素化スチレン系コポリマーで被覆された軟質の独立気泡発泡体(ポリウレタン、ポリオレフィン)を含み得る。軟質ゲル層144の厚さ154は、一般に、約500ミクロン(μm)?約1000ミクロン(μm)の範囲である。一実施形態では、軟質ゲル層144の硬度は、約5Shore OO?約80Shore OOである。軟質ゲル層144は疎水性としてもまたは親水性としてもよい。
【0025】
軟質ゲル層144は、複数のアパーチャ146を備えて形成される。アパーチャ146は、多数の形状、例えば、円形、正方形、星形、楕円形、多角形、スリット複素曲線、直線形状、三角形、または他の形状とし得る。複数のアパーチャ146の各アパーチャ146は、有効径(アパーチャ146と同じ表面積を有する円形面積の直径である)を有する
。平均有効径は、一般に、約6mm?約50mmの範囲にある。複数のアパーチャ146は、均一なパターンを有してもよいし、または軟質ゲル層144上にランダムに分布していてもよい。」
e.「[00036]The average effective diameter of the plurality of apertures 146 for the soft-gel layer 144 may be varied as one control of the tackiness or adhesion strength of the releasable medical drape 106. In this regard, there is interplay between three main variables for each embodiment: the thickness 154, the average effective diameter of the plurality of apertures 146, and the tackiness of the pressure-sensitive adhesive layer 138. The more pressure- sensitive adhesive layer 138 that extends through the apertures 146, the stronger the bond of the contact coupling 152. The smaller the thickness 154 of the soft-gel layer 144, the more pressure-sensitive adhesive layer 138 generally extends through the apertures 146 and the greater the bond of the contact coupling 152. As an example of the interplay, if a very tacky pressure-sensitive adhesive layer 138 is used and the thickness 154 is small, the average effective diameter of the plurality of apertures 146 may be relatively smaller. In one illustrative, non-limiting embodiment, the thickness 154 may be approximately 200 microns, the pressure-sensitive adhesive layer 138 is approximately 30 microns with a tackiness of 2000g/25cm wide strip, and the average effective diameter is approximately about 6 mm.
[00037]With the pressure-sensitive adhesive layer 138 forming contact couplings 152 via the plurality of apertures 146, vapor may be transmitted through the liquid-impermeable, vapor-permeable layer 132. Without the pressure-sensitive adhesive layer 138 touching the epidermis 116 or other aspects of the tissue site 102, humidity would have to bridge the gap between the tissue site 102 and the pressure- sensitive adhesive layer 138.」
《訳文》「【0027】
軟質ゲル層144の複数のアパーチャ146の平均有効径は、剥離可能な医療用ドレープ106の粘着力または接着強度を制御すると、変化し得る。この関連で、各実施形態の3つの主要な変数:厚さ154、複数のアパーチャ146の平均有効径、および感圧接着層138の粘着力は相互作用する。アパーチャ146を通って延在する感圧接着層138が多いほど、接触結合152の結合性は強くなる。軟質ゲル層144の厚さ154が薄いほど、より多くの感圧接着層138が一般的にアパーチャ146を通って延在し、かつ接触結合152の結合性が強くなる。相互作用の例として、非常に粘着力の強い感圧接着層138を使用し、かつ厚さ154が薄い場合、複数のアパーチャ146の平均有効径は比較的小さくなり得る。説明に役立つ非限定的な一実施形態では、厚さ154は約200ミクロンとしてもよく、感圧接着層138は、粘着力が2000g/25cm幅の条片で、約30ミクロンであり、および平均有効径は、約6mm程度である。
【0028】
複数のアパーチャ146を介して接触結合152を形成する感圧接着層138の場合、蒸気は、液不透過性・蒸気透過性層132を透過し得る。表皮116または組織部位102の他の態様に接触する感圧接着層138がない場合、湿気によって、組織部位102と感圧接着層138との間の間隙を橋絡する必要がある。」
f.「We claim:
1. A releasable medical drape for providing a seal over a tissue site, the releasable medical drape comprising:
a liquid-impermeable, vapor-permeable layer having a first side and a second side; a pressure-sensitive adhesive layer having a first side and a second side, wherein the first side of the pressure-sensitive adhesive layer is coupled to the second side of the liquid-impermeable, vapor-permeable layer;
a soft-gel layer having a plurality of apertures, and a first side, and a second side, wherein the first side of the soft-gel layer is coupled to the second side of the pressure-sensitive adhesive layer; and
wherein the pressure- sensitive adhesive layer is configured to extend at least partially through the plurality of apertures in the soft-gel layer in response to force applied to the first side of the liquid-impermeable, vapor-permeable layer.
2. The releasable medical drape of claim 1, wherein the soft-gel layer comprises silicone.
・・・
9. The releasable medical drape of claim 1 or any of the preceding claims, wherein each aperture of the plurality of apertures has an average effective diameter in a range of about 6 mm to about 50 mm.
10. The releasable medical drape of claim 1 or any of claims 2-8, wherein the soft-gel layer comprises silicone having a thickness in the range of about 125 to about 1000 microns.
・・・
15. A system for treating a tissue site with reduced pressure, the system comprising: a manifold adapted to be disposed proximate to the tissue site for distributing reduced pressure;
a releasable medical drape disposed over the manifold and adapted to form a sealed space that contains the manifold;
a reduced-pressure source fluidly coupled to the manifold; and
wherein the releasable medical drape comprises:
a liquid-impermeable, vapor-permeable layer having a first side and a second side;
a pressure-sensitive adhesive layer having a first side and a second side, wherein the first side of the pressure-sensitive adhesive layer is coupled to the second side of the liquid-impermeable, vapor- permeable layer;
a soft-gel layer having a plurality of apertures, a first side, and a second side, wherein the first side of the soft-gel layer is coupled to the second side of the pressure-sensitive adhesive layer; and
wherein the pressure- sensitive adhesive layer is configured to extend at least partially through the plurality of apertures in the soft-gel layer in response to a force applied to the first side of the liquid-impermeable, vapor-permeable layer.
16. The system of claim 15, wherein the soft- gel layer comprises silicone.
・・・
23. The system of claim 15, or any of claims 16-22, wherein each aperture of the plurality of apertures has an average effective diameter in a range of about 6 mm to about 50 mm.
24. The system of claim 15, or any of claims 16-23, wherein the soft- gel layer comprises silicone having a thickness in a range of about 125 to about 1000 microns. 」
《訳文》「【請求項1】
組織部位を覆うシールを提供するための剥離可能な医療用ドレープにおいて、前記剥離可能な医療用ドレープが:
第1の側面および第2の側面を有する液不透過性・蒸気透過性層と;
第1の側面および第2の側面を有する感圧接着層であって、前記感圧接着層の前記第1の側面は、前記液不透過性・蒸気透過性層の前記第2の側面に結合されている、感圧接着層と;
複数のアパーチャ、および第1の側面、および第2の側面を有する軟質ゲル層であって、前記軟質ゲル層の前記第1の側面は、前記感圧接着層の前記第2の側面に結合されている、軟質ゲル層と
を含み、
前記感圧接着層は、前記液不透過性・蒸気透過性層の前記第1の側面に適用される力に応答して、少なくとも部分的に前記軟質ゲル層の前記複数のアパーチャを通じて延在するように構成されていることを特徴とする、剥離可能な医療用ドレープ。
【請求項2】
請求項1に記載の剥離可能な医療用ドレープにおいて、前記軟質ゲル層がシリコーンを含むことを特徴とする、剥離可能な医療用ドレープ。
・・・
【請求項9】
請求項1または請求項1乃至8の何れか一項に記載の剥離可能な医療用ドレープにおいて、前記複数のアパーチャの各アパーチャの平均有効径が、約6mm?約50mmの範囲にあることを特徴とする、剥離可能な医療用ドレープ。
【請求項10】
請求項1または請求項2乃至8の何れか一項に記載の剥離可能な医療用ドレープにおいて、前記軟質ゲル層が、厚さが約125?約1000ミクロンの範囲のシリコーンを含む
ことを特徴とする、剥離可能な医療用ドレープ。
・・・
【請求項15】
減圧を用いて組織部位を治療するシステムにおいて、前記システムが:
減圧を分配するために、前記組織部位に近接して配置されるように適合されたマニホールドと;
前記マニホールドを覆って配置され、かつ前記マニホールドを含む密閉空間を形成するように適合された剥離可能な医療用ドレープと;
前記マニホールドに流体的に結合された減圧源と
を含み、
前記剥離可能な医療用ドレープが:
第1の側面および第2の側面を有する液不透過性・蒸気透過性層;
第1の側面および第2の側面を有する感圧接着層であって、前記感圧接着層の前記第1の側面は、前記液不透過性・蒸気透過性層の前記第2の側面に結合されている、感圧接着層;
複数のアパーチャ、第1の側面、および第2の側面を有する軟質ゲル層であって、前記軟質ゲル層の前記第1の側面は、前記感圧接着層の前記第2の側面に結合されている、軟質ゲル層
を含み;および
前記感圧接着層が、前記液不透過性・蒸気透過性層の前記第1の側面に適用された力に応答して、少なくとも部分的に前記軟質ゲル層の前記複数のアパーチャを通じて延在するように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記軟質ゲル層がシリコーンを含むことを特徴とする、システム。
・・・
【請求項23】
請求項15または請求項16乃至22の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記複数のアパーチャの各アパーチャの平均有効径が約6mm?約50mmの範囲にあることを特徴とする、システム。
【請求項24】
請求項15または請求項16乃至23の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記軟質ゲル層が、厚さが約125?約1000ミクロンの範囲のシリコーンを含むことを特徴とする、システム。」

以上を踏まえると、甲21には以下の甲21発明が記載されている。なお、甲21発明における()内の語句は、対応する甲21の語句である。
《甲21発明》
液不透過性・蒸気透過性層132(a liquid-impermeable, vapor-permeable layer 132)と、前記液不透過性・蒸気透過性層132上の感圧接着層138(a pressure-sensitive adhesive layer 138)と、平均有効径が約6mm?約50mmの範囲にある複数のアパーチャ146を有し、シリコーンを含み、厚さ154が、約500ミクロン(μm)?約1000ミクロン(μm)の範囲である、軟質ゲル層144(soft-gel layer 144)とを有する剥離可能な医療用ドレープ106(releasable medical drape 106)と、前記医療用ドレープ106に覆われて配置され、前記医療用ドレープ106より面積が小さい、例えば、気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、ガーゼ、フェルトのマット等を含むマニホールド122(manifold 122)と、を備え、動作時、感圧接着層138の一部分が複数のアパーチャ146を通って延在して表皮116に接触し、それにより、剥離可能な医療用ドレープ106と患者104との間に接触結合152をもたらし、接触結合は剥離可能であるが、使用中に患者に接着させておくのに十分な結合をもたらす、システム(system)

(イ)本件発明1について
本件発明1と甲21発明を対比する。
甲21発明の「液不透過性・蒸気透過性層132」、「感圧接着層138」、「マニホールド122」、「平均有効径が約6mm?約50mmの範囲にある複数のアパーチャ146を有し、シリコーンを含み、厚さ154が、約500ミクロン(μm)?約1000ミクロン(μm)の範囲である、軟質ゲル層144」、「システム」は、各々、本件発明1の「支持体シート」、「感圧接着剤層」、「アイランド状の吸収材」、「有孔層」、「創傷被覆材」に相当する。
ここで、本件発明1における「その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている」なる事項について、本件特許明細書の段落【0013】では「さらに、シリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔層は、接着剤塗工周縁部の少なくとも一部の上にも延びる。周縁部のこの部分では、有孔層は支持体シートのPSA塗工面の一部を被覆するが、層の孔を通した感圧接着剤の接着が可能であり、そのため、周縁部のこの部分では支持体シートは全体的に低接着性となっている。」と説明されていることを踏まえると、上記事項における「前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている」とは、「感圧接着剤層」が本来的に具備している接着性が、「有孔層」の「孔」がない部分により「感圧接着剤層の一部を被覆」されることにより、低減されることを意味していると解される。
一方、甲21発明は、「動作時、感圧接着層138の一部分が複数のアパーチャ146を通って延在して表皮116に接触し、それにより、剥離可能な医療用ドレープ106と患者104との間に接触結合152をもたらし、接触結合は剥離可能であるが、使用中に患者に接着させておくのに十分な結合をもたらす」ものであるところ、前記「感圧接着層138」による患者との間の接着性は、「軟質ゲル層144」の「アパーチャ146」のない部分が存在することにより、前記「感圧接着層138」が本来的に具備している接着性よりも低減されることが明らかであるから、甲21発明は、本件発明1の上記要件「その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている」を満たすものといえる。
してみると、本件発明1と甲21発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
《一致点2》
支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さい、アイランド状の吸収材と、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている、創傷被覆材。

《相違点2》
アイランド状の吸収材が、本件発明1では、「支持体シートの中央部に貼着された」ものであるのに対し、甲21発明では、「液不透過性・蒸気透過性層132(a liquid-impermeable, vapor-permeable layer 132)」と、「前記液不透過性・蒸気透過性層132上の感圧接着層138(a pressure-sensitive adhesive layer 138)」と、「軟質ゲル層144(soft-gel layer 144)」とを有する剥離可能な医療用ドレープ106(releasable medical drape 106)に覆われて配置され」と特定され、かつ、有孔層の有孔基材が、本件発明1では、「前記有孔基材の背面側の表面はシリコーンエラストマーを含んでおらず」と特定されているのに対し、甲21発明では、「シリコーンを含み」と特定されている点。

上記相違点2について検討する。
甲21発明において、アイランド状の吸収材は、上記のとおり、「液不透過性・蒸気透過性層132(a liquid-impermeable, vapor-permeable layer 132)」と、「前記液不透過性・蒸気透過性層132上の感圧接着層138(a pressure-sensitive adhesive layer 138)」と、「軟質ゲル層144(soft-gel layer 144)」とを有する剥離可能な医療用ドレープ106(releasable medical drape 106)に覆われて配置され」るもの、すなわち、「液不透過性・蒸気透過性層132(a liquid-impermeable, vapor-permeable layer 132)」の中央部に貼着されたものではなく、「軟質ゲル層144(soft-gel layer 144)」に覆われたものであるところ、前記アイランド状の吸収材を、「液不透過性・蒸気透過性層132(a liquid-impermeable, vapor-permeable layer 132)」の中央部に貼着するように、医療用ドレープ106(releasable medical drape 106)の積層構造を変更することや、「シリコーンを含み」と特定された「軟質ゲル層144(soft-gel layer 144)」について、その背面について、「シリコーン」を含まない構造に変更することは、甲21には記載されていないし、これを示唆する記載もない。
したがって、本件発明1は甲21発明と同一であるとはいえない。

(ウ)本件発明2?5、16について
本件発明2?5、16は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものであるから、上記(イ)で示した理由と同様に、甲21発明と同一であるとはいえない。

(エ)小括
以上のとおり、本件発明1?5、16は、甲21発明と同一であるとはいえないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができなものではない。

ウ.理由4について
(ア)請求項3の記載について
訂正前の請求項3における「その全ての開口面積」都の記載は、「孔」の個々の開口面積を意味するのか、個々の「孔」の開口面積の総和を意味するのかが不明瞭であったところ、上記2.で示したように、本件訂正請求による訂正が認められ、「全ての孔の個々の開口面積」と訂正されたため、本件発明3及び本件発明3を引用する本件発明4?10、15、16は、明確なものとなった。

(イ)請求項15の記載について
訂正前の請求項15における「前記創傷に面する有孔層の開口面積」とは、「孔」の個々の開口面積を意味するのか、個々の「孔」の「開口面積」の総和を意味するのかが不明瞭であり、さらに、前記「有孔層の開口面積が5%?75%であること」とは、「有効層の開口面積」が何に対して「5%?75%」あるのかが不明瞭であったところ、上記2.で示したように、本件訂正請求による訂正が認められ、「前記創傷に面する有孔層の総開口面積が、当該有孔層の総面積の5%?75%であること」と訂正されため、本件発明15及び本件発明15を引用する本件発明16は、明確なものとなった。

(ウ)小括
以上のとおり、本件発明3及び15について、特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものではない。

(4)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア.申立人の主張
申立人は、特許異議申立書で、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由として以下を主張している。
(ア)甲1を主引用例とした主張(以下、「主張A」という。)
本件発明6は、甲1発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、また、本件発明6、7は、甲1発明及び甲2?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明6、7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(イ)甲2を主引用例とした主張(以下、「主張B」という。)
本件発明1?4、8、10、11、13、15、16は、甲2に記載された発明(以下、「甲2発明」という。)であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、また、本件発明1?16は、甲2発明、甲1、甲3?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(ウ)甲3を主引用例とした主張(以下、「主張C」という。)
本件発明1?3、15、16は、甲3に記載された発明(以下、「甲3発明」という。)であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、また、本件発明1?10、15、16は、甲3発明、甲1、甲2、甲4?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(エ)甲4を主引用例とした主張(以下、「主張D」という。)
本件発明1?10、15、16は、甲4に記載された発明(以下、「甲4発明」という。)、甲1?3、甲5?19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(オ)甲5を主引用例とした主張(以下、「主張E」という。)
本件発明1?10、15、16は、甲5に記載された発明(以下、「甲5発明」という。)、甲1?4、甲6?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(カ)甲6を主引用例とした主張(以下、「主張F」という。)
本件発明1?10、15、16は、甲6に記載された発明(以下、「甲6発明」という。)、甲1?5、甲6?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(キ)甲21を主引用例とした主張(以下、「主張G」という。)
本件発明15は、甲21発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。

(ク)実施可能要件違反との主張(以下、「主張H」という。)
本件発明1、6、11における「前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている」なる記載に関し、本件特許明細書には、接着性が低くなっていることを検証するための測定手法や比較されるべき参照値も示されていない。
また、本件発明1、6、11における「前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり」なる記載に関し、本件特許明細書には、どのような条件(例えば圧力及び基材)で、創傷に面する有孔層の孔を介した感圧接着剤の皮膚への接着が可能であるのかについての情報が示されていない。
したがって、本件発明1、6、11及びこれらの発明の発明特定事項の記載を直接的又は間接的に引用する本件発明2?5、7?10、12?14、15,16について、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものである。

イ.当審の判断
上記主張A?Hは、以下に示す理由により、いずれも採用できない。
(ア)主張Aについて
本件発明6の「前記創傷に面する有孔層が前記接着剤塗工支持体シートより小さく、それにより前記創傷に面する有孔層の周囲に前記支持体シートの接着剤塗工周縁部が延在するようになっている」との発明特定事項に関し、甲1には、上記(3)ア.(ア)k.で摘記したように、「Referring to Figs. 12 and 13, the product 21 according to this embodiment is an island dressing similar to that of Figs. 9 and 10. It comprises a siliconized substrate gauze 5 laminated to a hydrophilic liquid-absorbent layer of textile material 17 and a polyurethane semipemeable backing sheet 14 as for the embodiment of Fig. 6. A layer of polyurethane pressure-sensitive adhesive 15 is provided over the wound-facing surface of the backing sheet 14. In certain alternative embodiments, the gauze 5 is coterminous with the island 7 so that the margin 18 is solely adhesive-coated to provide adhesion to skin around a wound. 《訳文》「図12及び13を参照すると、この実施形態による製品21は、図9及び図10の製品と同様のアイランドドレッシング材である。製品21は、図6の実施形態についてのように、テキスタイル材料17及びポリウレタン半透性裏打ちシート14の親水性液体吸収性層に積層されたシリコーン処理済み基材ガーゼ5を備える。ポリウレタン感圧接着剤15の層は、裏打ちシート14の創傷対向面上に付与される。代替の特定の実施形態では、ガーゼ5は、マージン18が単独で接着剤コーティングされて創傷の周りの皮膚への接着を付与するように、アイランド17と境界線を共にする。」との記載があり、図10にも示されているように、「マージン18」が「創傷の周りの皮膚」へ接着され得ることは記載されているが、基材ガーゼ5が、ポリウレタン感圧接着剤15の層が付与された裏打ちシート14よりも小さく、それにより、上記基材ガーゼ5の周囲に、前記ポリウレタン感圧接着剤15の層が付与された裏打ちシート14の周縁部が延在するようになっていることは記載されていないし、これを示唆し、また、動機付ける記載もない。
さらに、甲2?20にも、上記を示唆し、また、動機付ける記載はない。
したがって、本件発明6は、甲1発明ではないから、特許法第29条第1項3号に該当するものではなく、また、本件発明6及び本件発明6の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものである本件発明7は、甲1発明及び甲2?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(イ)主張Bについて
甲2の1頁4?5行(なお、《訳文》は、平成30年12月17日付け上申書に添付された甲第2号証訳文を採用する。《訳文》の2頁5?7行)、5頁14?16行(《訳文》の4頁25?26行)、5頁25?31行(《訳文》の4頁32?36行)、6頁5?13行(《訳文》の4頁39行?5頁4行)、6頁21?22行(《訳文》の5頁8?9行)、10頁16?31行(《訳文》の7頁7?18行)、11頁1?9行(《訳文》の7頁20?26行)、11頁16?19行(《訳文》の7頁30?32行)、13頁13?15行(《訳文》の8頁33?35行)、13頁19?22行(《訳文》の8頁38?40行)、13頁25?14頁5行(《訳文》の9頁2?12行)、14頁29?15頁5行(《訳文》の9頁29?37行)、16頁のClaim1.(《訳文》の10頁の【請求項1】)、Figure4?7の記載からみて、甲2には以下の甲2発明が記載されている。
《甲2発明》
保護透過薄膜24と、前記保護透過薄膜24よりも面積が小さく、その周囲に前記保護透過薄膜24の周縁部が残るように、前記保護透過薄膜24が適用される吸収パッド21と、前記周縁部の少なくとも一部まで延びる、シリコーンのゲル層4、担体層3及びアクリル接着剤の層とを含み、開口部21が打ち抜かれた穿孔積層体1とを有し、前記吸収パッド21は、前記アクリル接着剤により、前記開口21を覆うように穿孔積層体1に接着される、創傷ドレッシング材
ここで、甲2発明の「保護透過薄膜24」、「吸収パッド21」、「穿孔積層体1」、「創傷ドレッシング材」は、本件発明1、11の「支持体シート」、「アイランド状の吸収材」、「有孔層」、「創傷被覆材」に、各々相当する。
しかしながら、本件発明1、11と甲2発明とは、少なくとも以下の相違点Bで相違するところ、甲2はおろか甲1、甲3?20にも、この点を本件発明1、11の構成に変更することを示唆し、また、動機付ける記載はない。
したがって、本件発明1、11、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものである本件発明2、3、8、10、15、16、及び、本件発明11の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものである本件発明13は、甲2発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項3号に該当するものではなく、また、本件発明1?16は、甲2発明、甲1、甲3?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
《相違点B》
本件発明1、11では、支持体シート上に、感圧接着剤層を有し、アイランド状の吸収材は、前記支持体シートの中央部に貼着され、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている、のに対し、甲2発明では、保護透過薄膜24に感圧接着剤層を有しておらず、吸収パッド21は、(穿孔積層体1の)アクリル接着剤により、前記開口21を覆うように穿孔積層体1に接着され、保護透過薄膜24の皮膚への接着性が不明である点。

(ウ)主張Cについて
甲3の1頁3?5行(なお、《訳文》は、平成30年12月17日付け上申書に添付された甲第3号証訳文を採用する。《訳文》の2頁4?5行)、6頁21?24行(《訳文》の頁)、11頁23?12頁24行(《訳文》の頁)、14頁15?25行(《訳文》の10頁7?15)、19頁のClaim9.及び10.(《訳文》の【請求項9】及び【請求項10】)、FIG.1?FIG.3の記載からみて、甲3には以下の甲3発明が記載されている。
《甲3発明》
カバーシート22と、前記カバーシート22よりも面積が小さく、その周囲に前記カバーシート22の周縁部が残るように、前記カバーシート22が適用される吸収性パッド21と、前記周縁部の少なくとも一部まで延びる、シリコーンゲル層5、構造層2及びアクリル接着剤層3とを含み、穿孔部7が穿孔された積層体1とを有し、前記吸収パッド21は、前記アクリル接着剤層3により、前記積層体1に接着される、ドレッシング材20
ここで、甲3発明の「カバーシート22」、「吸収性パッド21」、「穿孔部7が穿孔された積層体1」、「ドレッシング材20」は、本件発明1の「支持体シート」、「アイランド状の吸収材」、「有孔層」、「創傷被覆材」に、各々相当する。
しかしながら、本件発明1と甲3発明とは、少なくとも以下の相違点Cで相違するところ、甲3はおろか甲1、甲2、甲4?20にも、この点を本件発明1の構成に変更することを示唆し、また、動機付ける記載もない。
したがって、本件発明1及び本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものである本件発明2、3、15、16は、甲3発明とはいえないから、特許法第29条第1項3号に該当するものではなく、また、本件発明1?10、15、16は、甲3発明、甲1、甲2、甲4?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができないものではない。
《相違点C》
本件発明1では、支持体シート上に、感圧接着剤層を有し、アイランド状の吸収材は、前記支持体シートの中央部に貼着され、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている、のに対し、甲3発明では、カバーシート22に感圧接着剤層を有しておらず、吸収性パッド21は、アクリル接着剤層3により、穿孔部7が穿孔された積層体1に接着され、カバーシート22の皮膚への接着性が不明である点。

(エ)主張Dについて
甲4の段落【0001】、【0020】、【0036】、【0037】、【0047】、【0050】?【0059】、【0062】、【図1A】、【図1B】の記載からみて、甲4には以下の甲4発明が記載されている。
《甲4発明》
支持体層20と、前記支持体層20よりも面積が小さく、その周囲に前記支持体層20の周縁部が残るように、前記支持体層20上の感圧粘着剤層22により粘着される第1の吸収層24と、前記周縁部の少なくとも一部まで延びる、創傷に面する多孔質な層28と、前記創傷に面する多孔質な層28を創傷部位に付着させる粘着剤層30とを有する、創傷ドレッシング10
ここで、甲4発明の「支持体層20」、「第1の吸収層24」、「創傷に面する多孔質な層28」、「創傷ドレッシング10」は、本件発明1の「支持体シート」、「アイランド状の吸収材」、「有孔層」、「創傷被覆材」に、各々相当する。
しかしながら、本件発明1と甲4発明とは、少なくとも以下の相違点Dで相違するところ、甲4はおろか甲1?3、甲5?20にも、この点を本件発明1の構成に変更することを示唆し、また、動機付ける記載もない。
したがって、本件発明1及び本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものである本件発明2?10、15、16は、甲4発明、甲1、甲3?19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
《相違点D》
本件発明1では、(支持体シート上の)感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている、のに対し、甲4発明では、創傷に面する多孔質な層28は、シリコーンエラストマーのコーティングを有しておらず、前記創傷に面する多孔質な層28を創傷部位に付着させるのは、粘着剤層30であって、前記支持体層20上の感圧粘着剤層22が、前記創傷に面する多孔質な層28の孔を介して、皮膚への接着が可能であるかが不明である点。

(オ)主張Eについて
甲5の段落[0002](《訳文》は、平成30年12月17日付け上申書に添付された甲第5号証訳文を採用する。《訳文》の段落【0002】)、[0110](《訳文》の【0110】)、[0110]?[0116](《訳文》の【0110】?【0116】)、[0177]、[0178](《訳文》の【0177】、【0178】)、の記載からみて、甲5には以下の甲5発明が記載されている。
《甲5発明》
支持層と、前記支持層よりも面積が小さく、その周囲に前記支持層の周縁部が残るように、前記支持層上のPSA層により粘着される吸収層と、前記周縁部の少なくとも一部まで延びる、創傷に面する滲出液創傷表面から他の層へと導くための孔が形成された表面層と、前記表面層を創傷又は他の目標部位へ接着させるアクリル系、シリコーンゲル系、又はゴム系接着剤であってよい、第2の接着剤とを有する、創傷被覆材
ここで、甲5発明の「支持層」、「PSA層」、「吸収層」、「創傷に面する滲出液創傷表面から他の層へと導くための孔が形成された表面層」、「創傷被覆材」は、本件発明1の「支持体シート」、「感圧接着剤層」、「アイランド状の吸収材」、「有孔層」、「創傷被覆材」に、各々相当する。
しかしながら、本件発明1と甲5発明とは、少なくとも以下の相違点Eで相違するところ、甲5はおろか甲1?4、甲6?20にも、この点を本件発明1の構成に変更することを示唆し、また、動機付ける記載もない。
したがって、本件発明1及び本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものである本件発明2?10、15、16は、甲5発明、甲1?4、甲6?18に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
《相違点E》
本件発明1では、(支持体シート上の)感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている、のに対し、甲5発明では、創傷に面する滲出液創傷表面から他の層へと導くための孔が形成された表面層は、アクリル系、シリコーンゲル系、又はゴム系接着剤であってよい、第2の接着剤とを有するものであって、前記支持層上のPSA層が、前記表面層に形成された孔を介して、皮膚への接着が可能であるかが不明である点。

(カ)主張Fについて
甲6の段落【0001】、【0030】、【0036】、【0041】、【0052】、【0053】、【図8】、【図12】の記載からみて、甲6には以下の甲6発明が記載されている。
《甲6発明》
バック部105と、前記バック部105よりも面積が小さく、その周囲に前記バック部105の周縁部が残るように、前記バック部105上のアクリル系接着剤層107により接着される繊維支持部110と、前記周縁部の少なくとも一部まで延びる、多孔性カバー部120とを有する、接着包帯200
ここで、甲6発明の「バック部105」、「アクリル系接着剤層107」、「繊維支持部110」、「多孔性カバー部120」、「接着包帯200」は、本件発明1の「支持体シート」、「感圧接着剤層」、「アイランド状の吸収材」、「有孔層」、「創傷被覆材」に、各々相当する。
しかしながら、本件発明1と甲6発明とは、少なくとも以下の相違点Fで相違するところ、甲6はおろか甲1?5、甲7?20には、この点を本件発明1の構成に変更することを示唆し、また、動機付ける記載もない。
したがって、本件発明1及び本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものである本件発明2?10、15、16は、甲6発明、甲1?5、甲7?18、甲20に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
《相違点F》
本件発明1では、(支持体シート上の)感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている、のに対し、甲6発明では、多孔性カバー部120は、シリコーンエラストマーのコーティングを有しておらず、前記バック部105上のアクリル系接着剤層107が、前記多孔性カバー部120の孔を介して、皮膚への接着が可能であるかが不明である点。

(キ)主張Gについて
本件発明15は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに、技術的な限定事項を含むものであるから、上記(3)イ.(イ)で示した理由と同様に、甲21発明と同一であるとはいえないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものではない。

(ク)主張Hについて
本件発明1、6、11における「前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっている」なる記載は、「前記周縁部の部分」では、感圧接着剤層の皮膚への接着が、有孔層の孔を介して行われるため、感圧接着剤層が前記孔を介すことなく直接的に皮膚への接触する場合に比して、接着性が低くなるという状態を説明しているにすぎないと解されるものであるし、本件発明1、6、11における「前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり」なる記載は、感圧接着剤層の皮膚への接着が、有孔層の孔を介して行われるという状態を説明しているにすぎないと解されるものであるから、本件特許明細書に、接着性が低くなっていることを検証するための測定手法や比較されるべき参照値、条件(例えば圧力及び基材)といった情報が示されていないことを理由に、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとはいえない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1?16に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができず、また、他に本件発明1?16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記有孔基材の背面側の表面はシリコーンエラストマーを含んでおらず;前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっていることを特徴とする、創傷被覆材。
【請求項2】
請求項1に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が孔を備え、前記孔の少なくとも90%の開口面積が5mm^(2)?50mm^(2)であることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の創傷被覆材において、前記孔が規則的に配列した孔からなり、全ての孔の個々の開口面積が、5mm^(2)?50mm^(2)または2mm^(2)?100mm^(2)であることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層の厚みが1mm未満、好ましくは0.02mm?0.5mmであることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記有孔基材が有孔フィルムであることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項6】
支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっており;前記創傷に面する有孔層が前記接着剤塗工支持体シートより小さく、それにより前記創傷に面する有孔層の周囲に前記支持体シートの接着剤塗工周縁部が延在するようになっていることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項7】
請求項6に記載の創傷被覆材において、前記有孔層で被覆された接着剤塗工支持体シートの周縁部の平均幅が5mm?30mmであり、前記接着剤塗工支持体シートの外周縁部の平均幅が2mm?20mmしかないことを特徴とする創傷被覆材。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、前記創傷に面する有孔層の1つ以上の縁部に実質的に平行で、それらから離間した弱め線を備え、前記弱め線が前記創傷に面する有孔層の1つ以上の縁部に沿って開封帯を画定することを特徴とする創傷被覆材。
【請求項9】
請求項8に記載の創傷被覆材において、前記開封帯の除去を助けるために、プルタブが前記弱め線により画定される各開封帯に取り付けられているか、またはそれと一体に形成されていることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の創傷被覆材において、前記シリコーンエラストマーコーティングが疎水性、粘着性または非粘着性のシリコーンポリマーであることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項11】
創傷被覆材の製造方法において:
ポリマーフィルム支持シートと剥離シートとの間に挟設されたシリコーン層を含む前駆積層体を形成するステップと;
前記ポリマーフィルム支持シートと前記シリコーン層とを貫通する孔の外縁を打ち抜くステップと;
前記剥離シートを除去して、有孔ポリマーフィルムを備える創傷に面する有孔層がその創傷に面する表面にシリコーンゲルのコーティングを有するようにしておくステップと;
を含み、
前記創傷被覆材が:支持体シートと;前記支持体シート上の感圧接着剤層と;アイランド状の吸収材であって、前記吸収材の周囲に接着剤塗工支持体シートの周縁部が残るように、前記支持体シートより面積が小さく、前記支持体シートの中央部に貼着されたアイランド状の吸収材と、前記吸収材を覆うように貼着され、前記感圧接着剤により前記アイランドの周囲の前記支持体シートに接着された創傷に面する有孔層と;を備える創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が、その創傷に面する表面にシリコーンエラストマーのコーティングを有する有孔基材を備え、前記創傷に面する有孔層が、前記周縁部の少なくとも一部まで延び、前記創傷に面する有孔層が、前記感圧接着剤層の一部を被覆するが、前記創傷に面する有孔層の孔を介した前記感圧接着剤層の皮膚への接着が可能であり、その結果、前記創傷に面する有孔層が延びる前記周縁部の部分では、前記支持体シートの皮膚への接着性が全体的に低くなっていることを特徴とする創傷被覆材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
ポリマーフィルム支持シートと剥離シートとの間に挟設された液体シリコーンプレポリマー層を含む前駆積層体を形成するステップと;
前記液体シリコーンプレポリマーを硬化させるステップと;
前記ポリマーフィルム支持シートと前記シリコーン層とを貫通する孔の外縁を打ち抜くステップと;
前記剥離シートを除去して、有孔ポリマーフィルムを備える創傷に面する有孔層がその創傷に面する表面にシリコーンゲルのコーティングを有する状態にしておくステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、前記前駆積層体が、前記剥離シート上に液体シリコーンプレポリマー層を配設し、前記液体シリコーンプレポリマーを硬化させ、前記シリコーン層上に前記ポリマーフィルム支持シートを配設することにより形成されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11乃至13の何れか1項に記載の方法において、
支持体シートの一方の面に感圧接着剤層を塗工するステップと;
前記支持体シートの前記面の中央部にアイランド状の吸収材を貼着するステップであって、前記アイランドの周囲に前記支持体シートの接着剤塗工周縁部が残るように、前記吸収材は前記支持体シートより面積が小さくなっているステップと;
前記ポリマーフィルム支持シートが前記支持体シートに面するようにして、前記創傷に面する有孔層を前記アイランドを覆うように貼着するステップであって、前記創傷に面する有孔層の周縁部を、前記アイランドの周囲の前記接着剤塗工周縁部に接着するステップと;
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層の総開口面積が、当該有孔層の総面積の5%?75%であることを特徴とする創傷被覆材。
【請求項16】
請求項1乃至10の何れか一項または請求項15に記載の創傷被覆材において、前記創傷に面する有孔層が開口面積2mm^(2)?100mm^(2)の孔を備えることを特徴とする創傷被覆材。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-11-18 
出願番号 特願2015-547246(P2015-547246)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61F)
P 1 651・ 161- YAA (A61F)
P 1 651・ 113- YAA (A61F)
P 1 651・ 537- YAA (A61F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 北村 龍平  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 渡邊 豊英
横溝 顕範
登録日 2018-04-06 
登録番号 特許第6318169号(P6318169)
権利者 シスタジェニックス ウンド マネージメント イーペー カンパニー ベスローテン ヴェンノーツハップ
発明の名称 接着性周縁部を有する創傷被覆材  
代理人 三橋 真二  
代理人 胡田 尚則  
代理人 河原 肇  
代理人 特許業務法人北青山インターナショナル  
代理人 青木 篤  
代理人 高橋 正俊  
代理人 特許業務法人北青山インターナショナル  
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