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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E02B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E02B
審判 全部申し立て 特29条の2  E02B
審判 全部申し立て 2項進歩性  E02B
管理番号 1359532
異議申立番号 異議2018-700782  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-28 
確定日 2019-12-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6299919号発明「プレキャスト堤体本体部および杭式堤体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6299919号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕、〔12-24〕について訂正することを認める。 特許第6299919号の請求項1、12ないし24に係る特許を維持する。 特許第6299919号の請求項2ないし11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6299919号(以下「本件特許」という。)の請求項1?15に係る特許についての出願は、平成29年9月19日を出願日とし、平成30年3月9日にその特許権の設定登録がされ、同年3月28日に特許掲載公報が発行された。その後、同年9月28日に特許異議申立人ジオスター株式会社 外2名(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1?15に対して特許異議の申立てがされ、平成31年1月11日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年3月15日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年4月25日に特許異議申立人から意見書が提出され、令和1年5月29日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年7月31日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年9月19日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。

なお、平成31年3月15日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否についての判断

1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「【請求項1】
プレキャスト壁部と、
前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、を現場搬入前に一体的に有し、
前記芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出しており、かつ、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれていることを特徴とするプレキャスト堤体本体部。」
と記載されているのを、
「【請求項1】
プレキャスト壁部と、
前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、
を現場搬入前に一体的に有し、
前記芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出しており、 かつ、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、
前記芯材の数は1つであり、
前記プレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた前記芯材の部位には、前記プレキャスト堤体本体部と、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されておらず、
前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように前記他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した前記他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されないことを特徴とするプレキャスト堤体本体部。」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項11を削除する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項12に、
「請求項11に記載のプレキャスト堤体本体部と、
前記管杭と、
を有してなり、」
と記載されているのを、
「管杭と、
プレキャスト堤体本体部と、
を有してなり、
前記プレキャスト堤体本体部は、プレキャスト壁部と、前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、を現場搬入前に一体的に有し、前記芯材の一端は、前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して前記管杭に挿入可能であり、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」に訂正する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項2を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項2を引用するものについて、訂正前の請求項2の記載(前記芯材の数は1つである)を有する引用形式請求項に改めるべく、「前記芯材の数は1つであることを特徴とする請求項12?15のいずれかに記載の杭式堤体。」とし、新たに請求項16とする。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項3を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項3を引用するものについて、訂正前の請求項3の記載(前記芯材の数は複数である)を有する引用形式請求項に改めるべく、「前記芯材の数は複数であることを特徴とする請求項12?15のいずれかに記載の杭式堤体。」し、新たに請求項17とする。

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項4を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項4を引用するものについて、訂正前の請求項4の記載(前記プレキャスト壁部の部位のうち、前記芯材が配置されている部位の厚さは、前記芯材が配置されていない部位の厚さよりも厚い)を有する引用形式請求項に改めるべく、「前記プレキャスト壁部の部位のうち、前記芯材が配置されている部位の厚さは、前記芯材が配置されていない部位の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項12?17のいずれかに記載の杭式堤体。」とし、新たに請求項18とする。

(16)訂正事項16
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項5を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項5を引用するものについて、訂正前の請求項5の記載(前記プレキャスト壁部の壁面のうち、少なくとも一方の壁面は、平坦な平面である)を有する引用形式請求項に改めるべく、「前記プレキャスト壁部の壁面のうち、少なくとも一方の壁面は、平坦な平面であることを特徴とする請求項12?18のいずれかに記載の杭式堤体。」とし、新たに請求項19とする。

(17)訂正事項17
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項6を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項6を引用するものについて、訂正前の請求項6の記載(前記芯材は、円筒状又は角筒状の鋼管である)を有する引用形式請求項に改めるべく、「前記芯材は、円筒状又は角筒状の鋼管であることを特徴とする請求項12?19のいずれかに記載の杭式堤体。」とし、新たに請求項20とする。

(18)訂正事項18
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項7を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項7を引用するものについて、訂正前の請求項7の記載(前記鋼管の内部領域にコンクリートが充填されている)を有する引用形式請求項に改めるべく、「前記鋼管の内部領域にコンクリートが充填されていることを特徴とする請求項20に記載の杭式堤体。」とし、新たに請求項21とする。

(19)訂正事項19
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項8を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項8を引用するものについて、訂正前の請求項8の記載(前記芯材は、長手方向と直交する平面で切断した断面形状がH形の鋼材である)を有する引用形式請求項に改めるべく、「前記芯材は、長手方向と直交する平面で切断した断面形状がH形の鋼材であることを特徴とする請求項12?19のいずれかに記載の杭式堤体。」とし、新たに請求項22とする。

(20)訂正事項20
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項9を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項9を引用するものについて、訂正前の請求項9の記載(前記プレキャスト壁部には横目地がない)を有する引用形式請求項に改めるべく、「前記プレキャスト壁部には横目地がないことを特徴とする請求項12?22のいずれかに記載の杭式堤体。」とし、新たに請求項23とする。

(21)訂正事項21
特許請求の範囲の訂正前の請求項12であって、訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項10を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15であって、訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項10を引用するものについて、訂正前の請求項10の記載(高さ方向の寸法が6.50m以下であり、法線方向の寸法が3.50m以下であり、重量が60トン以下である)を有する引用形式請求項に改めるべく、「高さ方向の寸法が6.50m以下であり、法線方向の寸法が3.50m以下であり、重量が60トン以下であることを特徴とする請求項12?23のいずれかに記載の杭式堤体。」とし、新たに請求項24とする。

2.本件訂正前後の請求項の対応
上記「1.」を踏まえると、本件訂正前の各請求項は、実質的に以下の通り本件訂正後の各請求項と対応するものと認められる。

(1)本件訂正前の請求項1
本件訂正後の請求項1に対応。

(2)本件訂正前の請求項2ないし11
削除。

(3)本件訂正前の請求項12
請求項11を介して請求項1を引用するものは、本件訂正後の請求項12に対応。
請求項11を介して請求項2を引用するものは、本件訂正後の請求項16に対応。
請求項11を介して請求項3を引用するものは、本件訂正後の請求項17に対応。
請求項11を介して請求項4を引用するものは、本件訂正後の請求項18に対応。
請求項11を介して請求項5を引用するものは、本件訂正後の請求項19に対応。
請求項11を介して請求項6を引用するものは、本件訂正後の請求項20に対応。
請求項11を介して請求項7を引用するものは、本件訂正後の請求項21に対応。
請求項11を介して請求項8を引用するものは、本件訂正後の請求項22に対応。
請求項11を介して請求項9を引用するものは、本件訂正後の請求項23に対応。
請求項11を介して請求項10を引用するものは、本件訂正後の請求項24に対応。

(4)本件訂正前の請求項13
請求項11及び12を介して請求項1を引用するものは、本件訂正後の請求項13に対応。
請求項11及び12を介して請求項2を引用するものは、本件訂正後の請求項16に対応。
請求項11及び12を介して請求項3を引用するものは、本件訂正後の請求項17に対応。
請求項11及び12を介して請求項4を引用するものは、本件訂正後の請求項18に対応。
請求項11及び12を介して請求項5を引用するものは、本件訂正後の請求項19に対応。
請求項11及び12を介して請求項6を引用するものは、本件訂正後の請求項20に対応。
請求項11及び12を介して請求項7を引用するものは、本件訂正後の請求項21に対応。
請求項11及び12を介して請求項8を引用するものは、本件訂正後の請求項22に対応。
請求項11及び12を介して請求項9を引用するものは、本件訂正後の請求項23に対応。
請求項11及び12を介して請求項10を引用するものは、本件訂正後の請求項24に対応。

(5)本件訂正前の請求項14
請求項11及び12を介して請求項1を引用するものは、本件訂正後の請求項14に対応。
請求項11及び12を介して請求項2を引用するものは、本件訂正後の請求項16に対応。
請求項11及び12を介して請求項3を引用するものは、本件訂正後の請求項17に対応。
請求項11及び12を介して請求項4を引用するものは、本件訂正後の請求項18に対応。
請求項11及び12を介して請求項5を引用するものは、本件訂正後の請求項19に対応。
請求項11及び12を介して請求項6を引用するものは、本件訂正後の請求項20に対応。
請求項11及び12を介して請求項7を引用するものは、本件訂正後の請求項21に対応。
請求項11及び12を介して請求項8を引用するものは、本件訂正後の請求項22に対応。
請求項11及び12を介して請求項9を引用するものは、本件訂正後の請求項23に対応。
請求項11及び12を介して請求項10を引用するものは、本件訂正後の請求項24に対応。

(6)本件訂正前の請求項15
請求項11及び12を介して請求項1を引用するものは、本件訂正後の請求項15に対応。
請求項11及び12を介して請求項2を引用するものは、本件訂正後の請求項16に対応。
請求項11及び12を介して請求項3を引用するものは、本件訂正後の請求項17に対応。
請求項11及び12を介して請求項4を引用するものは、本件訂正後の請求項18に対応。
請求項11及び12を介して請求項5を引用するものは、本件訂正後の請求項19に対応。
請求項11及び12を介して請求項6を引用するものは、本件訂正後の請求項20に対応。
請求項11及び12を介して請求項7を引用するものは、本件訂正後の請求項21に対応。
請求項11及び12を介して請求項8を引用するものは、本件訂正後の請求項22に対応。
請求項11及び12を介して請求項9を引用するものは、本件訂正後の請求項23に対応。
請求項11及び12を介して請求項10を引用するものは、本件訂正後の請求項24に対応。

3.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的の適否について
上記訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「芯材」について、「芯材の数は1つであ」ることを限定し、「プレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた芯材の部位には、プレキャスト堤体本体部と、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されていない」ことを限定し、「プレキャスト堤体本体部」について、「プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されない」ことを限定したものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項1は「芯材の数」、「貫通孔は形成されていない」構成、及び、「隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されない」構成を限定したものであり、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項1のうち、「前記芯材の数は1つであり、」という構成は、本件特許請求の範囲の【請求項2】の「前記芯材の数は1つであることを特徴とする」という記載、及び、明細書の【0031】の「1つのプレキャスト堤体本体部12は、1つのプレキャスト壁部14と1本の芯材16を備えている。」という記載に基づくものである。
また、訂正事項1のうち、「前記プレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた前記芯材の部位には、前記プレキャスト堤体本体部と、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されておらず、」という構成は、【図1】、【図2】、【図6】ないし【図8】から、連結部材を挿通可能な貫通孔が形成されていない点が看取されることに基づくものである。また当該貫通孔が形成されていない点は、明細書等のいずれにも貫通孔については何ら記載されていないこととも整合する。
訂正事項1のうち、「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように前記他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した前記他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されない」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(2)訂正事項2ないし11について
上記訂正事項2ないし11に係る訂正は、本件訂正前の請求項2ないし11を削除するものである。
してみると、上記訂正事項2ないし11に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記訂正事項2ないし11に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

(3)訂正事項12について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項12に係る訂正は、本件訂正前の請求項12のうち、請求項11を介して請求項1?10を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
してみると、上記訂正事項12に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項12に係る訂正は、本件訂正前の請求項12に係る発明における「プレキャスト堤体本体部」が、「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないもの」であることに限定するものである。
してみると、上記訂正事項12に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項12に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項12のうち、「管杭と、プレキャスト堤体本体部と、を有してなり、」という構成は、訂正前の請求項12に記載された構成である。
訂正事項12のうち、「前記プレキャスト堤体本体部は、プレキャスト壁部と、前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、を現場搬入前に一体的に有し、」という構成は、訂正前の請求項1に記載された構成である。
訂正事項12のうち、「前記芯材の一端は、前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して前記管杭に挿入可能であり、」という構成は、訂正前の請求項1及び11に記載された構成である。
訂正事項12のうち、「前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、」という構成は、訂正前の請求項1に記載された構成である。
訂正事項12のうち、「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項12は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(4)訂正事項13について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項13に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項13に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項2を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項2を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項13に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項13に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項13は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項13は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(5)訂正事項14について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項14に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項14に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項3を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項3を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項14に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項14に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項14は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項14は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(6)訂正事項15について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項15に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項15に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項4を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項4を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項15に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項15に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項15は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項15は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(7)訂正事項16について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項16に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項16に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項5を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項5を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項16に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項16に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項16は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項16は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(8)訂正事項17について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項17に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項17に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項6を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項6を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項17に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項17に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項17は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項17は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(9)訂正事項18について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項18に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項18に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項7を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項7を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項18に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項18に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項18は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項18は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(10)訂正事項19について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項19に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項19に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項8を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項8を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項19に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項19に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項19は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項19は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(11)訂正事項20について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項20に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項20に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項9を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項9を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項20に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項20に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項20は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項20は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(12)訂正事項21について
ア.訂正の目的の適否について1
上記訂正事項21に係る訂正は、上記訂正事項12の訂正に伴い引用形式を整理するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ.訂正の目的の適否について2
上記アに加えて、上記訂正事項21に係る訂正は、訂正後の請求項12に記載された「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないプレキャスト堤体本体部」との記載を引用することにより、本件訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項10を引用するもの、および、特許請求の範囲の訂正前の請求項13?15で訂正前の請求項12を引用し、訂正前の請求項12で訂正前の請求項11を引用し、訂正前の請求項11で訂正前の請求項1?10を引用しているうち、訂正前の請求項10を引用するものに係る発明におけるプレキャスト堤体本体部をより具体的に特定し、特許請求の範囲を減縮するものである。
してみると、上記訂正事項20に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ.実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記訂正事項21に係る訂正は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項21は、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正であるところ、上記(3)エと同様に「前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、」という構成は、【0079】の「本発明に係る杭式堤体は、通常の場合、法線方向に隣り合うように配置するが、法線方向に隣り合うように配置した杭式堤体同士は構造的に連結することは不用である。」という記載、【0019】の「「法線方向」とは、前記プレキャスト壁部の幅方向のことである。」という記載、及び、【図1】、【図7】の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項21は、明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

(13)一群の請求項について
本件訂正前の請求項2ないし15は請求項1の記載を引用するものであるから、本件訂正前の請求項1ないし15は上記の訂正事項1ないし21によって記載が訂正される請求項1ないし15に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項1ないし15に対応する訂正後の請求項1ないし24は一群の請求項である。

4.小括
特許権者は、訂正後の請求項12と、訂正後の請求項12の記載を引用する訂正後の請求項13?24については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている(訂正請求書の「ウ 別の訂正単位とする求め」第44?45ページ参照。)。そして、訂正後の請求項12?24に係る訂正事項12?21は、上記3.(3)?(12)で述べたとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、上記別の訂正単位とする求めを認め、訂正後の請求項12、13?24を、訂正後の請求項1とは別の訂正単位とすることを認める。
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕、〔12-24〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて

1.本件訂正特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし24に係る発明(以下「本件訂正特許発明1」ないし「本件訂正特許発明24」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
プレキャスト壁部と、
前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、
を現場搬入前に一体的に有し、
前記芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出しており、かつ、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、
前記芯材の数は1つであり、
前記プレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた前記芯材の部位には、前記プレキャスト堤体本体部と、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されておらず、
前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように前記他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した前記他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されないことを特徴とするプレキャスト堤体本体部。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
管杭と、
プレキャスト堤体本体部と、
を有してなり、
前記プレキャスト堤体本体部は、プレキャスト壁部と、前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、を現場搬入前に一体的に有し、前記芯材の一端は、前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して前記管杭に挿入可能であり、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、
前記プレキャスト壁部の前記芯材の前記一端は、前記管杭に挿入されており、前記プレキャスト堤体本体部は、軸力、せん断力および曲げモーメントが伝達可能なように前記管杭に連結されていることを特徴とする杭式堤体。
【請求項13】
前記芯材と前記管杭との間隙にはグラウト材が充填されて一体化されていることを特徴とする請求項12に記載の杭式堤体。
【請求項14】
前記管杭は鋼管杭であることを特徴とする請求項12または13に記載の杭式堤体。
【請求項15】
地表面に設けられた台座をさらに有し、
前記プレキャスト壁部は、その下端面が前記台座の上面に接するように前記台座に載置されていることを特徴とする請求項12?14のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項16】
前記芯材の数は1つであることを特徴とする請求項12?15のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項17】
前記芯材の数は複数であることを特徴とする請求項12?15のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項18】
前記プレキャスト壁部の部位のうち、前記芯材が配置されている部位の厚さは、前記芯材が配置されていない部位の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項12?17のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項19】
前記プレキャスト壁部の壁面のうち、少なくとも一方の壁面は、平坦な平面であることを特徴とする請求項12?18のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項20】
前記芯材は、円筒状又は角筒状の鋼管であることを特徴とする請求項12?19のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項21】
前記鋼管の内部領域にコンクリートが充填されていることを特徴とする請求項20に記載の杭式堤体。
【請求項22】
前記芯材は、長手方向と直交する平面で切断した断面形状がH形の鋼材であることを特徴とする請求項12?19のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項23】
前記プレキャスト壁部には横目地がないことを特徴とする請求項12?22のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項24】
高さ方向の寸法が6.50m以下であり、法線方向の寸法が3.50m以下であり、重量が60トン以下であることを特徴とする請求項12?23のいずれかに記載の杭式堤体。」

2.取消理由(決定の予告)の概要
(1)令和1年5月29日付け取消理由(決定の予告)の概要
平成31年3月15日付けの訂正の請求に係る訂正(以下「前回訂正」という。)によって訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に係る特許に対して令和1年5月29日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。

ア.特許法第29条の2
前回訂正後の発明1ないし15は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた甲第7号証の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

3.取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要

ア.特許法第29条第1項3号
本件訂正前の請求項1ないし15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と実質的に同一である。

イ.特許法第29条第2項
(ア)本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証、甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(イ)本件訂正前の請求項2、6、7、9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ウ)本件訂正前の請求項3に係る発明は、甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(エ)本件訂正前の請求項4に係る発明は、甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(オ)本件訂正前の請求項5に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(カ)本件訂正前の請求項8、10ないし12、14、15に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(キ)本件訂正前の請求項13に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ.特許法第29条の2
本件訂正前の請求項1ないし15に係る発明は、甲第6号証の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と実質的に同一である。

4.特許異議申立人が提出した証拠
甲第1号証:特開平10-46572号公報
甲第2号証:特開2014-163064号公報
甲第3号証:特許第6070894号公報
甲第4号証:特開2017-128998号公報
甲第5号証:特開2014-227768号公報
甲第6号証:特願2017-83509号(特開2018-178641号(以下、「先願1」という。))
甲第7号証:特願2017-80544号(特開2018-178562号(以下、「先願2」という。))

5.各甲号証の記載
(1)甲第1号証
甲第1号証(特開平10-46572号公報)には、以下の記載がある。(下線は本決定で付与。以下同様。)
ア.「【請求項3】
既に打ち込まれた杭を掴んで、該杭から反力を取った状態で他の杭の圧入もしくは引き抜きを行う杭圧入引抜機であって、
既に打ち込んだ杭を掴んで反力を取る本体部と、
該本体部上に左右に回転可能に設けられた旋回部と、
上記杭を掴んだ状態で上下動可能に上記旋回部の側面に並列に設けられ、上記杭の圧入もしくは引き抜きを行う複数の昇降体とを具備してなり、
上記複数の昇降体は、それぞれ異なる種類の杭を掴持可能に形成され、かつ、杭の圧入引き抜きに際して、上記旋回部を回転することにより複数の昇降体を切り換えて使用可能となっていることを特徴とする杭圧入引抜機。」

イ.「【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態の一例の杭、杭圧入引抜機及び壁状構造物の構築方法を図面を参照して説明する。図1および図2は、この一例の杭1及び杭圧入引抜機10を示すものである。図1及び図2に示すように、この一例の杭1は、鋼管からなる杭本体2と、杭本体2の上部の外周に設けられたコンクリート部3からなる。なお、図1において、杭1は、鋼管からなる杭本体2の内部を図示できるように、杭1の中心部を透視した状態に図示されており、実際の杭1の外観は図5?図12に図示されている。
【0023】上記杭本体2は、基本的に鋼管杭であり、上下端がそれぞれ開口した円筒状のものである。上記コンクリート部3は、杭本体2の上部において鋼管の周囲を覆うように設けられたもので、角柱状の形状を有するものであるが、その内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となっており、コンクリート部2の上端面には、杭本体2内部に連通する開口が形成されている。
【0024】また、コンクリート部3の周囲には、例えば、美観を向上するための仕上げが施されている。また、コンクリート部3は、高強度のプレストレスコンクリートからなり、工場等で予め形成されるプレキャストコンクリートとなっている。また、コンクリート部3を遠心成形するものとしても良い。
【0025】次に、杭圧入引抜機10について説明する。この一例の杭圧入引抜機10は、図1に示すように、地盤に隣接して圧入された二つの杭1をそれぞれ掴持する二つのクランプ11、11を備えたサドル12と、上記サドル12に前後にスライド移動可能に設けられたスライド部(図3に図示)13と、該スライド部13上に左右に少なくとも180度以上旋回可能に設けられた旋回部(マスト)14と、該旋回部14の側面に上下にスライド移動可能に設けられ、かつ、打ち込むべき杭1の杭本体2を掴持可能な第一のチャック15を備えた第一の昇降体16と、上記旋回部14の第一の昇降体16の設けられた側面の反対側の側面に上下にスライド移動可能に設けられ、かつ、打ち込むべき杭1のコンクリート部3を掴持可能な第二のチャック17を備えた第二の昇降体18とを有する。
【0026】上記クランプ11は、杭1の上端面の開口から杭本体2の内部に挿入された状態で図示しない油圧シリンダを作動させることにより左右もしくは前後に開いて広がるようになっており、このようにクランプ11を杭本体2内で開いてクランプ11を杭本体2の内面に押し付けることで、クランプ11が杭1を掴めるようになっている。
【0027】そして、二つのクランプ11、11がそれぞれ連続して圧入された杭1、1を掴むことにより、杭圧入引抜機10が一列に連続して圧入された杭1…上に支持されるようになっているとともに、杭1…の圧入に際して杭1…から反力をとることができるようになっている。なお、各クランプ11は、基本的には、周知の鋼管矢板用の杭圧入引抜機10のクランプ11とほぼ同様の構成となっている。また、既に圧入された杭1、1から反力を取って杭1を圧入する際に、既に圧入された杭1、1に該杭1を引き抜く方向に力がかかることになり、既に圧入された杭1、1が引き抜かれないようにするためには、少なくとも2本以上の杭1、1をクランプ11、11により掴持している必要があり、できれば3本以上の杭をクランプ11、11により掴持することが好ましい。」

ウ.図1、図2、図5ないし図12から、杭本体2の上部の外周に設けられたコンクリート部3に対して、杭本体2の数は1つである点、及び、杭本体2の一端は前記コンクリート部3の下端面よりも下方に突出した点が看て取れる。

エ.上記イの段落【0022】及び【0024】の記載によれば、杭1は、杭本体2と、杭本体2の上部の外周に設けられたコンクリート部3からなり、コンクリート部3は、工場等で予め形成されるプレキャストコンクリートであることから、当該分野の技術常識を勘案すると、杭1は、工場等で予め形成されていると認められるから、杭1は、現場搬入前に一体的に構成されたものを、現場に搬入するものである。また、段落【0027】の記載によれば、杭1は、連続して圧入されていると認められる。

オ.図1、図5ないし図12から、コンクリート部3とその内部に埋め込まれた杭本体2の部位には、杭1と、隣り合うように配置した他の杭1とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔が形成されていない点が看て取れる。そしてこの点は、明細書及び図面のその他の箇所に、コンクリート部3とその内部に埋め込まれた杭本体2の部位には、杭1と、隣り合うように配置した他の杭1とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔を形成する構成は記載されていないこととも整合している。

上記アないしオからみて、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明1」及び「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。

(甲1発明1)
「杭1は、鋼管からなる杭本体2と、杭本体2の上部の外周に設けられたコンクリート部3からなり、
杭本体2は、基本的に鋼管杭であり、上下端がそれぞれ開口した円筒状のものであり、
コンクリート部3は、その内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となっており、コンクリート部2の上端面には、杭本体2内部に連通する開口が形成されており、
コンクリート部3に対して、杭本体2の数は1つであり、
杭本体2の一端は前記コンクリート部3の下端面よりも下方に突出し、
杭1は、現場搬入前に一体的に構成されたものを、現場に搬入して、連続して圧入され、
前記コンクリート部3とその内部に埋め込まれた前記杭本体2の部位には、前記杭1と、隣り合うように配置した他の杭1とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されていない、
杭1であって、
杭1の圧入は、杭圧入引抜機10が、既に打ち込まれた杭1を掴んで、該杭1から反力を取った状態で行うものであって、
杭圧入引抜機10は、地盤に隣接して圧入された二つの杭1をそれぞれ掴持する二つのクランプ11、11を備え、
上記クランプ11は、杭1の上端面の開口から杭本体2の内部に挿入された状態で油圧シリンダを作動させることにより左右もしくは前後に開いて広がるようになっており、このようにクランプ11を杭本体2内で開いてクランプ11を杭本体2の内面に押し付けることで、クランプ11が杭1を掴めるようになっている、杭1。」

(甲1発明2)
「杭1、を有してなり、
前記杭1は、コンクリート部3と、前記コンクリート部3の高さ方向に延びるように前記コンクリート部3に埋め込まれた杭本体2と、を現場搬入前に一体的に構成され、杭本体2の一端は前記コンクリート部3の下端面よりも下方に突出し、
杭1の圧入は、杭圧入引抜機10が、既に打ち込まれた杭1を掴んで、該杭1から反力を取った状態で行うものであって、
杭圧入引抜機10は、地盤に隣接して圧入された二つの杭1をそれぞれ掴持する二つのクランプ11、11を備え、
上記クランプ11は、杭1の上端面の開口から杭本体2の内部に挿入された状態で油圧シリンダを作動させることにより左右もしくは前後に開いて広がるようになっており、このようにクランプ11を杭本体2内で開いてクランプ11を杭本体2の内面に押し付けることで、クランプ11が杭1を掴めるようになっていることを特徴とする杭式堤体。」

(2)甲第2号証
甲第2号証(特開2014-163064号公報)には、以下の記載がある。
ア.「【0048】
本発明の堤体1は、既設堤防2の上に構築されている。そして、所定の間隔で堤体連続方向に2列に設けられた鋼管杭5に支持され所定の間隔をあけて並列されたフーチング6の上方には二重壁ユニットが配置され二重壁パネル4(第1壁パネル4-1)が設けられている。この例では、隣り合うフーチング6,6の間には、必要に応じて用いられる補強のための接合ユニット8が設けられており、接合ユニット8の上方にも二重壁ユニットと同様の二重壁パネル4(第2壁パネル4-2)が設けられている。このように、フーチング6を所定の間隔で並列することは、コンクリート使用量の節約、架設用重機の小型化といった点で好ましい。また、その場合、隣り合うフーチング6,6の間に接合ユニット8を設けることは補強だけでなく水密性の確保の点でも好ましい。」

イ.「【0108】
次に、フーチングや接合ユニットを用いない第二の発明に係る本発明を、図8?図10の図面に基づいて説明する。
【0109】
図8は、鋼殻ユニット29による基礎部28を用いた本発明(第二の発明)の堤体1の構造の一例を示す図である。(a)は正面図、(b)は側面図、(c-1)は位置Aでの平面図、(c-2)は位置Bでの平面図である。
【0110】
所定の間隔で一列に配列された鋼管杭5の杭頭部に基礎部28が設けられ、基礎部28の上に二重壁ユニット14が立設されて二重壁パネル4による堤体1の壁面が形成されている。一列に配列される鋼管杭5の間隔は250?450cm程度が好ましい。
【0111】
二重壁ユニット14は前述の図3に示すものと同様、2枚のプレキャスト版からなる二重壁パネル4(前述の二重壁パネル4-1に相当)が連結支柱9に頭付きスタッド15で取付けられ版間は中空部12(空間)となっている。
【0112】
前述のフーチングの場合と同様、鋼管杭5の上端部が基礎部28内に入り込み、二重壁ユニット14の接続部10が鋼管杭5上端部の管内に差し込まれ、コンクリート13(中詰コンクリート20)で固定されて鋼管杭5と基礎部28と二重壁ユニット14とが一体化されている。隣り合う二重壁パネル4,4同士の間は止水材で隙間が塞がれて堤体1の壁面を形成している。」

上記ア及びイからみて、甲第2号証には、以下の点が記載されていると認められる。

「堤体1において、接続部10が鋼管杭5上端部の管内に差し込まれ、コンクリート13で固定されて鋼管杭5と基礎部28と二重壁ユニット14とが一体化されている点」

(3)甲第3号証
甲第3号証(特許第6070894号公報)には、以下の記載がある。

ア.「【0001】
本発明は、重力式プレキャスト防潮堤に関し、詳細には、フーチング部および壁体部のどちらもがプレキャスト化された重力式プレキャスト防潮堤に関する。」

イ.「【0062】
プレキャスト壁体60は、図1および図8に示すように、その法線方向の両端部の壁厚がそれ以外の部位の壁厚よりも厚くなっており、プレキャスト壁体60の両端部に壁体さや管64が備えられている。プレキャスト壁体60は、壁体さや管64を設ける両端部のみ壁厚を厚くしており、それ以外の部位は壁厚が厚くなっていないので、プレキャスト壁体60全体の重量が増加することが抑制されている。
【0063】
プレキャスト壁体60は、壁体貫通孔72同士が連結するように鉛直方向に4段積み重ねられ、鉛直方向に4段積み重ねられたプレキャスト壁体60のうち少なくとも最下段のプレキャスト壁体60の壁体さや管64には突出さや管24が差し込まれ、該突出さや管24には芯材80が差し込まれている。」

ウ.「【0066】
突出さや管24と該突出さや管24が差し込まれた壁体さや管64との間隙にはグラウト材が充填されて一体化され、芯材80と該芯材80が差し込まれた突出さや管24との間隙にはグラウト材が充填されて一体化され、芯材80と該芯材80が内部を挿通する壁体さや管64との間隙にはグラウト材が充填されて一体化されており、これにより、プレキャストフーチング12の壁体連結フーチングブロック14および4段に積まれたプレキャスト壁体60は一体化されている。この構造物にさらに第1の間詰めフーチングブロック16および第2の間詰めフーチングブロック18を加えた構造物が、本実施形態に係る重力式プレキャスト防潮堤10である。なお、実際の施工においては、後に施工方法のところで詳述するように、法線方向に間隔を開けて隣り合う壁体連結フーチングブロック14同士の間に第1の間詰めフーチングブロック16および第2の間詰めフーチングブロック18を配置して、それらを壁体連結フーチングブロック14と所定の連結状態となるようにアンカーボルト40で連結してプレキャストフーチング12を完成させた後に、芯材80を突出さや管24内に設置し、突出さや管24内に設置した芯材80に壁体さや管64を挿通させてプレキャストフーチング12の上方にプレキャスト壁体60を所定の段数積み上げ、さらに前述したようにそれらをグラウト材で一体化させて、本実施形態に係る重力式プレキャスト防潮堤10を構築している。」

上記アないしウからみて、甲第3号証には、以下の点が記載されていると認められる。

「重力式プレキャスト防潮堤において、プレキャスト壁体60の両端部に壁体さや管64が備えられ、プレキャスト壁体60の壁体さや管64には突出さや管24が差し込まれ、該突出さや管24には芯材80が差し込まれ、突出さや管24と該突出さや管24が差し込まれた壁体さや管64との間隙にはグラウト材が充填されて一体化され、芯材80と該芯材80が差し込まれた突出さや管24との間隙にはグラウト材が充填されて一体化され、芯材80と該芯材80が内部を挿通する壁体さや管64との間隙にはグラウト材が充填されて一体化されており、これにより、プレキャストフーチング12の壁体連結フーチングブロック14および4段に積まれたプレキャスト壁体60は一体化されている点」

(4)甲第4号証
甲第4号証(特開2017-128998号公報)には、以下の記載がある。
ア.「【0001】
本発明は、堤体に関し、特にプレキャスト化された壁体を備えた堤体に関する。」

イ.「【0063】
プレキャスト壁体24は、想定される外力を直接に受ける外面24Aを、想定される外力の進行方向に向けるように配置されている。外面24Aと反対側の壁面には、図3および図5に示すように、四角柱状の突出部24Bが設けられている。突出部24Bは、上方から見たときの形状(水平断面の形状)が正方形状である。また、突出部24Bには、上方から見たときの形状が正方形状の壁体貫通孔24Cが上下方向に設けられている。」

ウ.「【0065】
プレキャスト壁体24は、外面24Aと反対側の壁面に正方形状の突出部24Bを設けているので、本体部の壁厚を厚くせずに、上下方向鉄骨20を差し込むための壁体貫通孔24Cを設けている。このため、壁体貫通孔24Cを設けることによってプレキャスト壁体24全体の重量が増加することを抑制している。」

上記アないしウからみて、甲第4号証には、以下の点が記載されていると認められる。

「堤体において、プレキャスト壁体24は、外面24Aと反対側の壁面に正方形状の突出部24Bを設けているので、本体部の壁厚を厚くせずに、上下方向鉄骨20を差し込むための壁体貫通孔24Cを設けている点。」

(5)甲第5号証
甲第5号証(特開2014-227768号公報)には、以下の記載がある。
ア.「【0001】
本発明は、沿岸部に構築されて内陸部の浸水被害を防止する防潮堤及び防潮堤の構築方法に関する。」

イ.「【0075】
プレキャスト壁体5は、図5に示すように、プレキャストコンクリート製の複数の壁体ユニット50が上下方向Yに積み上げられて用いられる。プレキャスト壁体5は、上下方向Yに延びる壁体挿通孔51が内側に形成される。プレキャスト壁体5は、最上段の壁体ユニット50において、貫通又は非貫通の壁体挿通孔51が形成される。」

ウ.図1から、プレキャスト壁体5の壁体挿通孔51が設けられている部位が、壁体挿通孔51が設けられていない部位よりも厚い点が看て取れる。

上記アないしウからみて、甲第5号証には、以下の点が記載されていると認められる。

「防潮堤において、プレキャスト壁体5は、上下方向Yに延びる壁体挿通孔51が内側に形成され、プレキャスト壁体5の壁体挿通孔51が設けられている部位が、壁体挿通孔51が設けられていない部位よりも厚く、貫通又は非貫通の壁体挿通孔51が形成される点。」

(6)甲第6号証(先願1)
甲第6号証(特願2017-83509号(特開2018-178641号))によれば、先願1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願1の当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。
ア.「【0001】
本発明は、海岸線に沿って設置され、地震発生時の津波や台風の来襲時の高波に対する護岸や海水の陸地への浸水を抑制する防潮堤、その防潮堤に使用される防潮堤パネルおよび防潮堤構築方法に関する。」

イ.「【0005】
周囲を海洋に囲まれた日本の海岸線の延長距離は膨大であり、また、工事は天候にも左右されるため、防潮堤の設置や保全には大きなコストと工期が必要であり、工事の効率化が求められてきた。しかしながら、特許文献1の防潮堤は、結合鋼管の下部を杭頭部に固定する工程と、結合鋼管の上部をフーチングに定着させる工程とがそれぞれ別の工程であるため、防潮堤の構築に時間がかかり、工事期間の長期化を招いていた。また、特許文献2の防潮堤も、PHC杭の頭部に接合鋼管を固定する工程と、フーチングに埋設された鋼材柱の柱脚部を接合鋼管内に挿し込んで接合鋼管内にコンクリートを充填する工程とがあり、工事期間の長期化を招いていた。」

ウ.「【0006】
そのような問題を解決する防潮堤として、いわゆるプレキャストパネル方式の防潮堤がある。プレキャストパネル方式の防潮堤は、H鋼等の接続部材の一部が埋設された防潮堤パネルをあらかじめ工場などで製造し、防潮堤パネルの下端から突出する接続部材を海岸線に設置された杭に固定することで構築される。プレキャストパネル方式の防潮堤は、工事期間の短縮、保全時に不具合が生じた防潮堤パネルの交換が容易である等の優れたメリットがある。」

エ.「【0016】
図1?図3に示すように本実施形態における防潮堤1は、海岸線に沿って設置された基礎部としての複数の鋼管矢板2と、互いに幅方向Wの端面が接するように配置された複数の防潮堤パネル20とを備えている。なお、本明細書における“海岸線”には海水が入り込む河川岸も含まれる。」

オ.「【0017】
防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、鋼管矢板2とパネル本体21を接続するための接続部材22が埋め込まれたプレキャストコンクリートである。パネル本体21の長手方向は鉛直方向に向いており、パネル本体21は内部に鉄筋および鋼材の片方または両方が設けられることで強化されたコンクリート構造を有している。」

カ.「【0018】
接続部材22は、パネル本体21の幅方向Wに沿って複数設けられており、接続部材22の一部はパネル本体21の下部に埋め込まれ、残部はパネル本体21の下端から下方に突出している。本実施形態では、1つの防潮堤パネル20に対して3つの接続部材22が設けられている。各接続部材22は各鋼管矢板2の設置間隔に合わせて一定の間隔をあけてパネル本体21に埋め込まれている。以降の説明においては接続部材22の、パネル本体21の下端から下方に突出している部分を“接続部材突出部22a”と称す。本実施形態では接続部材22としてH鋼が用いられ、接続部材22はフランジ面がパネル本体21の波を受ける面に平行となるような向きで配置されている。接続部材22の接続部材突出部22aは鋼管矢板2の空洞部に挿入された状態にあり、接続部材突出部22aと鋼管矢板2の内方との間隙にはコンクリート3が充填され、これにより鋼管矢板2と防潮堤パネル20が固定されている。なお、接続部材22はH鋼に限定されず、鋼管や平板等の他の柱状の部材や、その他の形状の部材であっても良い。すなわち、接続部材22は、一部がパネル本体21の内部に存在し、残部がパネル本体21の下端から下方に突出するようにパネル本体21に埋め込むことができる部材であれば特に限定されない。」

キ.「【0022】
(基礎工事)
まず、防潮堤1を設置する海岸の基礎工事として、海岸線に沿って複数の鋼管矢板2を地中に打ち込む。鋼管矢板2の地中への打ち込み方法は特に限定されない。」

ク.「【0023】
(防潮堤パネル20の設置)
次に、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aを鋼管矢板2の空洞部に挿入して、防潮堤パネル20の幅方向端面を互いに接触させるように防潮堤パネル20を鋼管矢板2の上に置いていく。このとき、隣接する防潮堤パネル20の各貫通孔24の位置が揃うように各防潮堤パネル20を配置する。そして、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aと鋼管矢板2の内方との間隙にコンクリート3を充填し、防潮堤パネル20と鋼管矢板2とを固定する。
【0024】
(防潮堤パネル20の連結)
続いて、隣接する防潮堤パネル20の各貫通孔24を通るように連結部材23を挿入する。その後、貫通孔24の内方をコンクリート3で充填し、連結部材23と防潮堤パネル20とを固定する。このとき、連結部材23は隣接する防潮堤パネル20に跨るようにして固定されることになるため、連結部材23により隣り合う接続部材22が連結されると共に、隣接する防潮堤パネル20が連結されることになる。これにより、防潮堤1が構築される。
【0025】
すなわち、本実施形態の防潮堤1においては、貫通孔24に挿入された連結部材23により隣接する防潮堤パネル20を連結することができるため、防潮堤1を構築する際に鋼管矢板2の頭部のコーピングを実施することが不要となる。その結果、コーピングを実施する際の型枠の設置作業や解体作業を省略することができ、防潮堤1の構築に必要な工事期間を短縮することが可能となる。また、防潮堤1は、連結部材23が隣接する防潮堤パネル20に跨って固定される構造であるため、津波が到達する前に発生する地震の揺れにも耐えられる強度を有している。このため、地震発生時の防潮堤の破壊に伴う耐波抵抗力の低下が起こりにくく、地震発生後に到達する津波に対し、防潮堤1が本来有する耐波抵抗力を発揮することができる。また、本実施形態のような防潮堤1においては、フーチングを設けずに防潮堤1を構築することができるため、工事期間を大幅に短縮することが可能となる。」

ケ.「【0028】
また、本実施形態では、鋼管矢板2と防潮堤パネル20の接続部材突出部22aとの間隙にコンクリート3を充填して、鋼管矢板2と防潮堤パネル20とを固定することとしたが、コンクリート3に代えてモルタルを使用しても良い。同様に、連結部材23と貫通孔24の間隙にモルタルを充填して連結部材23と防潮堤パネル20とを固定しても良い。」

コ.「【0029】
また、鋼管矢板2と防潮堤パネル20との固定方法は特に限定されず、鋼管矢板2の上部に防潮堤パネル20を固定することができれば他の固定方法であっても良い。同様に、貫通孔24に挿入された連結部材23と防潮堤パネル20との固定方法も特に限定されず、隣接する防潮堤パネル20の幅方向端面を跨ぐように連結部材23を貫通孔24に挿入した状態で、連結部材23と防潮堤パネル20とを固定することができれば他の固定方法であっても良い。」

サ.「【0030】
また、本実施形態では、防潮堤1の基礎部として鋼管矢板2を用いることとしたが、基礎部の構成は特に限定されず、図6のように間隔をおいて設置された鋼管杭2aで基礎部を構成しても良い。」

シ.図1及び図2から、略直方体形状のパネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に接続部材22が埋め込まれている点、及び、パネル本体21とその内部に埋め込まれた接続部材22の部位に、防潮堤パネル20と、隣り合うように配置した他の防潮堤パネル20とを連結するための連結部材23を挿通可能な貫通孔24が形成されている点、が看て取れる。

ス.図2から、パネル本体21の壁面のうち、少なくとも一方の壁面は、平坦な平面である点が看て取れる。

セ.図1及び図2から、パネル本体21には横目地がない点が看て取れる。

上記アないしセからみて、先願1の当初明細書等には以下の発明(以下、「先願1発明1」、「先願1発明2」という。)が記載されていると認められる。

(先願1発明1)
「防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、鋼管矢板2とパネル本体21を接続するための接続部材22が埋め込まれたプレキャストコンクリートであり、
パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に接続部材22が埋め込まれ、
接続部材22は、パネル本体21の幅方向Wに沿って複数設けられており、接続部材22の一部はパネル本体21の下部に埋め込まれ、残部はパネル本体21の下端から下方に突出しており、
パネル本体21とその内部に埋め込まれた前記接続部材22の部位には、前記防潮堤パネル20と、隣り合うように配置した他の防潮堤パネル20とを連結するための連結部材23を挿通可能な貫通孔24が形成されており、
連結部材23は隣接する防潮堤パネル20に跨るようにして固定され、連結部材23により隣り合う接続部材22が連結されると共に、隣接する防潮堤パネル20が連結される、防潮堤パネル20。」

(先願1発明2)
「防潮堤1は、鋼管矢板2と、防潮堤パネル20とを備え、
防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、鋼管矢板2とパネル本体21を接続するための接続部材22が埋め込まれたプレキャストコンクリートであり、
パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に接続部材22が埋め込まれ、
接続部材22は、パネル本体21の幅方向Wに沿って複数設けられており、接続部材22の一部はパネル本体21の下部に埋め込まれ、残部はパネル本体21の下端から下方に突出しており、
パネル本体21とその内部に埋め込まれた前記接続部材22の部位には、前記防潮堤パネル20と、隣り合うように配置した他の防潮堤パネル20とを連結するための連結部材23を挿通可能な貫通孔が形成されており、
連結部材23は隣接する防潮堤パネル20に跨るようにして固定され、連結部材23により隣り合う接続部材22が連結されると共に、隣接する防潮堤パネル20が連結され、
接続部材22の、パネル本体21の下端から下方に突出している部分である接続部材突出部22aが鋼管矢板2の空洞部に挿入された、防潮堤1。」

(7)甲第7号証(先願2)
甲第7号証(特願2017-80544号(特開2018-178562号))によれば、先願2の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願2の当初明細書等」といい、そのうち明細書を「先願2の当初明細書」という。)には、以下の記載がある。
ア.「【0001】
本発明は、海岸線に沿って設置され、地震発生時の津波や台風の来襲時の高波に対する護岸や海水の陸地への浸水を抑制する防潮堤および防潮堤構築方法に関する。」

イ.「【0005】
周囲を海洋に囲まれた日本の海岸線の延長距離は膨大であり、また、工事は天候にも左右されるため、防潮堤の設置や保全には大きなコストと工期が必要であり、工事の効率化が求められてきた。しかしながら、特許文献1の防潮堤は、結合鋼管の下部を杭頭部に固定する工程と、結合鋼管の上部をフーチングに定着させる工程とがそれぞれ別の工程であるため、防潮堤の構築に時間がかかり、工事期間の長期化を招いていた。また、特許文献2の防潮堤も、PHC杭の頭部に接合鋼管を固定する工程と、フーチングに埋設された鋼材柱の柱脚部を接合鋼管内に挿し込んで接合鋼管内にコンクリートを充填する工程とがあり、工事期間の長期化を招いていた。
【0006】
そのような問題を解決する防潮堤として、いわゆるプレキャストパネル方式の防潮堤がある。プレキャストパネル方式の防潮堤は、H鋼等の接続部材の一部が埋設された防潮堤パネルをあらかじめ工場などで製造し、防潮堤パネルの下端から突出する接続部材を海岸線に設置された杭に固定することで構築される。プレキャストパネル方式の防潮堤は、工事期間の短縮、保全時に不具合が生じた防潮堤パネルの交換が容易である等の優れたメリットがある。 」

ウ.「【0015】
<第1の実施形態>
図1?図3に示すように第1の実施形態の防潮堤1は、海岸線に沿って設置された基礎部としての複数の鋼管杭2と、互いに幅方向Wの端面が接するように配置された複数のコンクリートブロック10と、互いに幅方向Wの端面が接するように配置された複数の防潮堤パネル20とを備えている。なお、本明細書における“海岸線”には海水が入り込む河川岸も含まれる。
【0016】
防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、コンクリートブロック10とパネル本体21を接続するための接続部材22が埋め込まれたプレキャストコンクリートである。パネル本体21の長手方向は鉛直方向に向いており、パネル本体21は内部に鉄筋および鋼材の片方または両方が設けられることで強化されたコンクリート構造を有している。図2に示すように第1の実施形態の防潮堤パネル20のパネル本体21は、下部の厚さd1が上部の厚さd2よりも厚くなっている。パネル本体21の厚さは均一であっても良いが、パネル本体21の下部の厚さd1が上部の厚さd2よりも厚くなることにより、防潮堤パネル20の下部の剛性を上げることができ、耐波抵抗力を向上させることができる。
【0017】
接続部材22は、パネル本体21の幅方向Wに沿って複数設けられており、接続部材22の一部はパネル本体21の下部に埋め込まれ、残部はパネル本体21の下端から下方に突出している。第1の実施形態では、1つの防潮堤パネル20に対して4つの接続部材22が設けられている。以降の説明においては接続部材22の、パネル本体21の下端から下方に突出している部分を“接続部材突出部22a”と称す。図3に示すように第1の実施形態では接続部材22としてH鋼が用いられ、接続部材22はフランジ面がパネル本体21の波を受ける面に平行となるような向きで配置されている。なお、接続部材22はH鋼に限定されず、柱状の部材であれば良い。
【0018】
コンクリートブロック10は、略直方体形状のブロック本体11の下部に、鋼管杭2とブロック本体11を接続するための柱部材12が埋め込まれたプレキャストコンクリートである。ブロック本体11は内部に鉄筋および鋼材の片方または両方が設けられることで強化されたコンクリート構造を有している。柱部材12は鋼管杭2の間隔に合わせて幅方向Wに複数設けられており、柱部材12の一部はブロック本体11の下部に埋め込まれ、残部はブロック本体11の下端から下方に突出している。第1の実施形態においては、1つのコンクリートブロック10に対して2つの柱部材12が埋め込まれている。以降の説明においては柱部材12の、ブロック本体11から下方に突出している部分を“柱部材突出部12a”と称す。図3に示すように第1の実施形態では柱部材12としてH鋼が用いられ、柱部材12はフランジ面がパネル本体21の波を受ける面に平行となるような向きで配置されている。なお、柱部材12はH鋼に限定されず、柱状の部材であれば良い。
【0019】
コンクリートブロック10の柱部材突出部12aは鋼管杭2の空洞部に挿入された状態にあり、柱部材突出部12aと鋼管杭2の内方との間隙はコンクリート3で充填されている。これにより鋼管杭2とコンクリートブロック10が固定されている。また、ブロック本体11の上部には、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aが挿入されるための複数の挿込み孔13が形成されている。防潮堤パネル20の接続部材突出部22aは、それらの挿込み孔13に挿入された状態にあり、接続部材突出部22aと挿込み孔13の間隙はコンクリート3で充填されている。これによりコンクリートブロック10と防潮堤パネル20が固定されている。
【0020】
図1に示す例では、防潮堤パネル20がコンクリートブロック10の1/2の幅を有しており、次に説明する第1の防潮堤パネル20aと第2の防潮堤パネル20bとが幅方向
Wに沿って交互に配置されている。第1の防潮堤パネル20aは、コンクリートブロック10の幅を均等に4分割した際にコンクリートブロック10の幅の1/4の位置から3/4の位置までに配置される防潮堤パネルである。第2の防潮堤パネル20bは、第1の防潮堤パネル20aが配置されたコンクリートブロック10の幅の3/4の位置から隣接するコンクリートブロック10の幅の1/4の位置までに配置される防潮堤パネルである。すなわち、第2の防潮堤パネル20bは2つのコンクリートブロック10のブロック本体11に跨るように配置されている。
【0021】
第1の実施形態の防潮堤1は以上のように構成されている。このような防潮堤1によれば、各防潮堤パネル20のパネル本体21が接続部材22を介してコンクリートブロック10に固定されることになるが、第2の防潮堤パネル20bは隣接するコンクリートブロック10に跨るように配置されているため、第2の防潮堤パネル20bに関してはそれぞれのコンクリートブロック10に対して固定されることになる。換言すると、隣接するコンクリートブロック10は、1つの第2の防潮堤パネル20bに対して固定されており、これにより両コンクリートブロック10の幅方向Wの位置が第2の防潮堤パネル20bで規制されることになる。したがって、従前実施されていたコーピングを実施することなく、隣り合う鋼管杭2同士、コンクリートブロック10同士および防潮堤パネル20同士が互いに連結されることになる。」

エ.「【0024】
(基礎工事)
まず、防潮堤1を設置する海岸の基礎工事として、海岸線に沿って複数の鋼管杭2を例えば等間隔で地中に打ち込む。鋼管杭2の地中への打ち込み方法は特に限定されない。
【0025】
(コンクリートブロック10の設置)
次に、コンクリートブロック10の柱部材突出部12aを鋼管杭2の空洞部に挿入して、コンクリートブロック10の幅方向端面を互いに接触させるようにコンクリートブロック10を鋼管杭2の上に置いていく。そして、コンクリートブロック10の柱部材突出部12aと鋼管杭2の内方との間隙にコンクリート3を充填し、コンクリートブロック10を鋼管杭2に対して固定する。
【0026】
(防潮堤パネル20の設置)
続いて、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aをコンクリートブロック10のブロック本体11の上面に設けられた挿込み孔13に挿入し、防潮堤パネル20をコンクリートブロック10の上に置いていく。このとき、前述の第1の防潮堤パネル20aと第2の防潮堤パネル20bが交互に配置されるように各防潮堤パネル20を設置していく。その後、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aとコンクリートブロック10の挿込み孔13との間隙にコンクリート3を充填し、防潮堤パネル20をコンクリートブロック10に対して固定する。これにより防潮堤1が構築される。」

オ.「【0030】
以上、本発明に係る第1?第2の実施形態について説明したが、防潮堤1の構成は上記実施形態で説明したものに限定されない。例えば上記実施形態では、鋼管杭2の空洞部とコンクリートブロック10の柱部材突出部12aの間隙や、コンクリートブロック10の挿込み孔13と防潮堤パネル20の接続部材突出部22aとの間隙にコンクリート3を充填することとしたが、コンクリート3に代えてモルタルを使用しても良い。」

カ.「【0033】
また、上記実施形態では、防潮堤パネル20の幅をコンクリートブロック10の幅の1/2にすることとしたが、例えば図14のように防潮堤パネル20の幅を更に短くしても良い。また、各防潮堤パネル20の幅は全て同一でなくても良い。また、防潮堤パネル20の接続部材22や、コンクリートブロック10の柱部材12の本数も特に限定されない。いずれの場合であっても、コンクリートブロック10同士が互いに接する箇所において防潮堤パネル20が両コンクリートブロック10に跨るように固定されていれば、コーピングが不要となり、工事期間を短縮することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、防潮堤1の基礎部として鋼管杭2を用いることとしたが、基礎部の構成は特に限定されず、図15のような鋼管矢板2aで基礎部を構成しても良い。また、基礎部とコンクリートブロック10の固定方法は特に限定されず、基礎部の上部にコンクリートブロック10を固定することができれば他の固定方法であっても良い。同様に、コンクリートブロック10と防潮堤パネル20の固定方法についても特に限定されず、コンクリートブロック10の上部において、隣接するコンクリートブロック10に跨るように防潮堤パネル20を固定することができれば他の固定方法であっても良い」

キ.図1から、接続部材22が、略直方体形状のパネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれている点が看て取れる。

ク.図1ないし図3から、パネル本体21とその内部に埋め込まれた接続部材22の部位には、防潮堤パネル20と他の防潮堤パネル20とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されていない点が看て取れる。

ケ.図2から、パネル本体21の壁面のうち、少なくとも一方の壁面は、平坦な平面である点が看て取れる。

コ.図1及び図2から、パネル本体21には横目地がない点が看て取れる。

上記アないしコからみて、先願2の当初明細書等には以下の発明(以下、「先願2発明1」、「先願2発明2」という。)が記載されていると認められる。

(先願2発明1)
「防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、コンクリートブロック10とパネル本体21を接続するための接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれたプレキャストコンクリートであり、
接続部材22は、パネル本体21の幅方向Wに沿って設けられており、接続部材22の本数は特に限定されず、接続部材22の一部はパネル本体21の下部に埋め込まれ、残部はパネル本体21の下端から下方に突出しており、
コンクリートブロック10は、略直方体形状のブロック本体11の下部に、鋼管杭2とブロック本体11を接続するための柱部材12が埋め込まれたプレキャストコンクリートであり、
ブロック本体11の上部には、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aが挿入されるための複数の挿込み孔13が形成され、
パネル本体21が接続部材22を介してコンクリートブロック10に固定され、防潮堤パネル20をコンクリートブロック10の上に置いていき、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aとコンクリートブロック10の挿込み孔13との間隙にコンクリート3を充填し、防潮堤パネル20をコンクリートブロック10に対して固定することを特徴とする防潮堤パネル20。」

(先願2発明2)
「防潮堤1は、鋼管杭2と、コンクリートブロック10と、防潮堤パネル20とを備え
防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、コンクリートブロック10とパネル本体21を接続するための接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれたプレキャストコンクリートであり、
接続部材22は、接続部材22の一部はパネル本体21の下部に埋め込まれ、残部はパネル本体21の下端から下方に突出しており、
接続部材22は、パネル本体21の幅方向Wに沿って設けられており、接続部材22の本数は特に限定されず、コンクリートブロック10同士が互いに接する箇所において防潮堤パネル20が両コンクリートブロック10に跨るように固定され、
パネル本体21が接続部材22を介してコンクリートブロック10に固定され、防潮堤パネル20をコンクリートブロック10の上に置いていき、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aとコンクリートブロック10の挿込み孔13との間隙にコンクリート3を充填し、防潮堤パネル20をコンクリートブロック10に対して固定されていることを特徴とする、防潮堤1。」

5.令和1年5月29日付け取消理由(決定の予告)に記載した取消理由についての判断
令和1年5月29日付け取消理由(決定の予告)に記載した取消理由は、前回訂正(平成31年3月15日付けの訂正の請求に係る訂正)によって訂正された請求項1ないし15に対するものであったが、上記「第2 2.(2)」のとおり、本件訂正によって、訂正前の請求項2ないし11は削除された。また、上記「第2 2.(1)、(3)ないし(6)」のとおり、訂正前の請求項1、12ないし15は、訂正後の請求項1、12ないし24に対応する。
よって、以下では、本件訂正前の請求項1、12ないし15に対応する、本件訂正後の請求項1、12ないし24について検討する。

ア.請求項1について
本件訂正特許発明1と先願2発明1とを対比する。
先願2発明1における「略直方体形状のパネル本体21」は、その下部に「接続部材22」が埋め込まれて「防潮堤パネル20」が構成されるものであるが、当該「防潮堤パネル20」は、プレキャストコンクリートであることから、「略直方体形状のパネル本体21」についてもプレキャストであるということができるから、本件訂正特許発明1の「プレキャスト壁部」に相当する。
先願2発明1は、「接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれ」る構成であり、「接続部材22」が「パネル本体21に埋め込まれて」「芯材」となることから、先願2発明1における「接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれ」る構成は、本件訂正特許発明1における「前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材」の構成に相当する。
そして、先願2発明1における「防潮堤パネル20」は、「パネル本体21」の下部に「接続部材22」が埋め込まれて構成されるものであり、本件訂正特許発明1における「プレキャスト堤体本体部」は、「芯材」が「プレキャスト壁部」に埋め込まれて構成されるものであるから、先願2発明1における「防潮堤パネル20」が、本件訂正特許発明1における「プレキャスト堤体本体部」に相当する。
さらに、先願2発明1の「接続部材22の」一部に対する「残部はパネル本体21の下端から下方に突出して」いる構成は、本件訂正特許発明1における「芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して」いる構成に相当し、同様に、
「接続部材22の一部はパネル本体21の下部に埋め込まれて」いる構成は、「芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれている」構成に相当する。
また、先願2発明1のパネル本体21とその内部に埋め込まれた接続部材22の部位に「防潮堤パネル20と他の防潮堤パネル20とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されて」いない構成は、本件訂正特許発明1におけるプレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた芯材の部位に「プレキャスト堤体本体部と前記他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されて」いない構成に相当する。
そして、先願2発明1における「防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、コンクリートブロック10とパネル本体21を接続するための接続部材22が、略直方体形状のパネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれたプレキャストコンクリートであ」るから、「プレキャストパネル方式の防潮堤は、H鋼等の接続部材の一部が埋設された防潮堤パネルをあらかじめ工場などで製造し、防潮堤パネルの下端から突出する接続部材を海岸線に設置された杭に固定することで構築される。」(段落【0006】)ものであることを踏まえると、先願2発明1の「防潮堤パネル20」は、「接続部材22」の一部が埋設されたものをあらかじめ工場などで製造するものであって、当該工場などでの製造が、現場に搬入される前に行われることは明らかであるから、本件訂正特許発明1のプレキャスト堤体本体部が「プレキャスト壁部」と「芯材」とを「現場搬入前に一体的に有」することに相当する事項を備えるものであるといえる。

したがって、両者は、
「プレキャスト壁部と、
前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、
を現場搬入前に一体的に有し、
前記芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出しており、かつ、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、
前記プレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた前記芯材の部位には、前記プレキャスト堤体本体部と、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されていない、
ことを特徴とするプレキャスト堤体本体部。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本件訂正特許発明1は、芯材の数は1つであるのに対して、先願2発明1は接続部材22の数が特定されていない点。

相違点2:本件訂正特許発明1は、プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されないのに対して、先願2発明1は、防潮堤パネル20同士が互いに連結される点。

相違点1について検討する。
先願2の当初明細書の段落【0019】には、「接続部材」の先端部である「接続部材突出部22a」が挿入されるための「複数の挿し込み孔13」が形成された点の記載があり、また、段落【0020】?【0021】には、防潮堤パネル20を、接続部材22を介して隣接するコンクリートブロック10に跨がるように配置して固定する点が記載されている。また、先願2の当初明細書等に記載されたその他の実施例も、いずれも複数の芯材を有するものであって、芯材の数を1つとした実施例は記載されていない。そうすると、先願2の明細書には、「防潮堤パネル20の接続部材22や、コンクリートブロック10の柱部材12の本数も特に限定されない。」との記載はあるものの、これは、コンクリートブロック10に跨がる接続部材であるか否かを区別せずに記載されていることや、技術常識を踏まえると、芯材が複数である場合と単数である場合とでは、防潮堤としての強度に大きな相違があることからみて、接続部材22を複数設ける限りにおいて、接続部材22の本数が限定されないと解するのが相当である。よって、先願2発明1において、その本数を1つとする点が、先願2の当初明細書等に実質的に記載され、また示唆されているとまではいえない。

相違点2について検討する。
本件訂正特許発明1の、「隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されない」という構成は、技術常識や段落【0042】の記載を踏まえると、力(軸力、せん断力および曲げモーメント)を伝達可能とするよう構成することと解される。そうすると、先願2発明1は、段落【0021】に記載されるように、隣り合う防潮堤パネル20同士が互いに連結され、力が伝達可能な構成であることから、構造的に連結されているものと認められる。よって、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部同士が、本件訂正特許発明1は、「構造的に連結されない」のに対して、先願2発明1は、「構造的に連結される」ものであって、相違点2は実質的な相違点である。

したがって、本件訂正特許発明1は、先願2発明1と実質的に同一であるとはいえない。

イ.請求項12について
本件訂正特許発明12と先願2発明2とを対比する。
先願2発明2における「略直方体形状のパネル本体21」は、その下部に「接続部材22」が埋め込まれて「防潮堤パネル20」が構成されるものであるが、当該「防潮堤パネル20」は、プレキャストコンクリートであることから、「略直方体形状のパネル本体21」についてもプレキャストであるということができるから、本件訂正特許発明1の「プレキャスト壁部」に相当する。
先願2発明2は、「接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれ」る構成であり、「接続部材22」が「パネル本体21に埋め込まれて」「芯材」となることから、先願2発明2における「接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれ」る構成は、本件訂正特許発明12における「前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材」の構成に相当する。
そして、先願2発明2における「防潮堤パネル20」は、「パネル本体21」の下部に「接続部材22」が埋め込まれて構成されるものであり、本件訂正特許発明12における「プレキャスト堤体本体部」は、「芯材」が「プレキャスト壁部」に埋め込まれて構成されるものであるから、先願2発明2における「防潮堤パネル20」が、本件訂正特許発明12における「プレキャスト堤体本体部」に相当する。
さらに、先願2発明2の「接続部材22の」、一部に対する「残部はパネル本体21の下端から下方に突出して」いる構成は、本件訂正特許発明12における「芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して」いる構成に相当し、同様に、
「接続部材22の一部はパネル本体21の下部に埋め込まれて」いる構成は、「芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれている」構成に相当する。
また、先願2発明2における「防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、コンクリートブロック10とパネル本体21を接続するための接続部材22が、略直方体形状のパネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれたプレキャストコンクリートであ」るから、「プレキャストパネル方式の防潮堤は、H鋼等の接続部材の一部が埋設された防潮堤パネルをあらかじめ工場などで製造し、防潮堤パネルの下端から突出する接続部材を海岸線に設置された杭に固定することで構築される。」(段落【0006】)ものであることを踏まえると、先願2発明2の「防潮堤パネル20」は、「接続部材22」の一部が埋設されたものをあらかじめ工場などで製造するものであって、当該工場などでの製造が、現場に搬入される前に行われることは明らかであるから、本件訂正特許発明1のプレキャスト堤体本体部が「プレキャスト壁部」と「芯材」とを「現場搬入前に一体的に有」することに相当する事項を備えるものであるといえる。

したがって、両者は、
「プレキャスト堤体本体部、
を有してなり、
前記プレキャスト堤体本体部は、プレキャスト壁部と、前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、を現場搬入前に一体的に有し、前記芯材の一端は、前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して挿入可能であり、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であることを特徴とする杭式堤体。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点3:本件訂正特許発明12は、プレキャスト壁部の芯材の一端は、管杭に挿入されているのに対して、先願2発明2はコンクリートブロック10に挿入されている点。

相違点4:本件訂正特許発明12は、プレキャスト堤体本体部は、軸力、せん断力および曲げモーメントが伝達可能なように管杭に連結されているのに対して、先願2発明2はそのような構成であるか否か不明な点。

相違点3について検討する。
甲第2号証には、上記5.(2)に記載したように、「堤体1において、接続部10が鋼管杭5上端部の管内に差し込まれ、コンクリート13で固定されて鋼管杭5と基礎部28と二重壁ユニット14とが一体化されている点」 が、開示されており、甲第3号証には、上記5.(3)に記載したように、 「重力式プレキャスト防潮堤において、プレキャスト壁体60の両端部に壁体さや管64が備えられ、プレキャスト壁体60の壁体さや管64には突出さや管24が差し込まれ、該突出さや管24には芯材80が差し込まれ、突出さや管24と該突出さや管24が差し込まれた壁体さや管64との間隙にはグラウト材が充填されて一体化され、芯材80と該芯材80が差し込まれた突出さや管24との間隙にはグラウト材が充填されて一体化され、芯材80と該芯材80が内部を挿通する壁体さや管64との間隙にはグラウト材が充填されて一体化されており、これにより、プレキャストフーチング12の壁体連結フーチングブロック14および4段に積まれたプレキャスト壁体60は一体化されている点」 が、開示されている。そうすると、当該両技術的事項から、プレキャスト壁部に埋め込む芯材として、プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出している芯材の一端を、コンクリートブロック等の中間部材を介することなく、直接管杭に挿入可能にすることが周知技術であることが認められる。
先願2発明2は、工事期間の短縮が可能となる(【0033】)ように、防潮堤1が、海岸線に沿って設置された基礎部としての複数の鋼管杭2と、互いに幅方向Wの端面が接するように配置された複数のコンクリートブロック10と、互いに幅方向Wの端面が接するように配置された複数の防潮堤パネル20とを備える構成としたものであり(【0015】)、かつ、各防潮堤パネル20のパネル本体21が接続部材22を介してコンクリートブロック10に固定されることになるが、第2の防潮堤パネル20bは隣接するコンクリートブロック10に跨るように配置されることによって、コーピングを実施する必要がなくなるものである(【0020】、【0021】)。そうすると、護岸等の堤体を設置する技術分野において、甲第2号証及び甲第3号証に記載されているように、プレキャスト壁部に埋め込む芯材として、プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出している芯材の一端を、コンクリートブロック等の中間部材を介することなく、直接管杭に挿入可能にすることが周知技術であったとしても、先願2発明2の課題を解決するために必須の構成である、コンクリートブロック10に代えて、上記周知技術とすることは困難性が認められ、課題解決のための具体化手段における微差の転換とは認められない。

したがって、本件訂正特許発明12は、相違点4について検討するまでもなく、先願2発明2と実質的に同一であるとはいえない。

ウ.請求項13ないし24について
本件訂正特許発明13ないし24は、本件訂正特許発明12の全ての発明特定事項を含むものであるから、本件訂正特許発明12と同様の理由により、先願2発明2と同一であるとはいえない。

エ.特許法第36条第6項第2号(記載不備)について
特許異議申立人は、令和1年9月19日付け意見書の「(3)記載不備について」において、請求項1の「構造的に連結されない」は不明確であり、本件訂正特許発明1、12ないし24は、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができない旨主張する。
しかしながら、本件特許における明細書【0079】等を参酌すると、「構造的に連結されない」は、二つのプレキャスト堤体本体部同士が、隣り合うように配置され、接して固定されるような状態を含むものではなく、何らかの技術手段を用いて二つのプレキャスト堤体本体部同士を連結するものを意味するものと解される。
したがって、請求項1の「構造的に連結されない」は不明確であるとまではいえず、特許法第36条第6項第2号に違反するものではない。請求項12ないし24についても同様である。

6.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての判断
ア.特許法第29条第1項3号及び第2項について
(ア)請求項1について
a.対比
本件訂正特許発明1と甲1発明1とを対比する。
甲1発明1における「コンクリート部3」は、その下部に「杭本体2」が埋め込まれて「杭1」が構成されるものであり、「コンクリート部3」は、「高強度のプレストレスコンクリートからなり、工場等で予め形成されるプレキャストコンクリートとなっている」から、本件訂正特許発明1の「プレキャスト壁部」に相当する。
また、甲1発明1は、「杭1は、鋼管からなる杭本体2と、杭本体2の上部の外周に設けられたコンクリート部3からな」り、「コンクリート部3は、その内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となって」いる構成である。そうすると、「杭本体2」が「コンクリート部3」「の内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となって」、「芯材」となることから、甲1発明1における「前記杭1は、コンクリート部3と、前記コンクリート部3の高さ方向に延びるように前記コンクリート部3に埋め込まれた杭本体2」、及び、「コンクリート部3は、その内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となっており」という構成は、本件訂正特許発明12における「前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材」の構成に相当する。
そして、甲1発明1における「杭1」は、「コンクリート部3」の下部に「杭本体2」が埋め込まれて構成されるものであり、本件訂正特許発明1における「プレキャスト堤体本体部」は、「芯材」が「プレキャスト壁部」に埋め込まれて構成されるものであるから、甲1発明1における「杭1」が、本件訂正特許発明1における「プレキャスト堤体本体部」に相当する。
さらに、甲1発明1は、「コンクリート部3は、その内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となって」いるから、杭本体2におけるコンクリート部3の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記コンクリート部3に埋め込まれていると認められる。

そうすると、両者は、
「プレキャスト壁部と、
前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、
を現場搬入前に一体的に有し、
前記芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出しており、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、
前記芯材の数は1つであり、
前記プレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた前記芯材の部位には、前記プレキャスト堤体本体部と、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されておらず、
前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように前記他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した前記他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されないことを特徴とするプレキャスト堤体本体部。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点5:本件訂正特許発明1は、芯材の部位のうち、プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたってプレキャスト壁部に埋め込まれているのに対して、甲1発明1は、杭本体2の上部の外周に設けられたコンクリート部3は、その内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となっており、杭本体2の上方が閉塞されていないことから、杭本体2のうち、コンクリート部3の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたってコンクリート部3に埋め込まれていない点。

相違点6:本件訂正特許発明1は、プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように前記他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した前記他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されないのに対して、甲1発明1は、そのような構成ではない点。

b.検討
相違点5について検討する。
甲1発明1は、二つのクランプ11、11によって、杭1の上端面の開口から杭本体2の内部に挿入された状態で油圧シリンダを作動させることにより左右もしくは前後に開いて広がるようになっており、このようにクランプ11を杭本体2内で開いてクランプ11を杭本体2の内面に押し付けることで、クランプ11が杭1を掴むものであるから、杭1の上端面には開口が必須であり、杭1内に存在する杭本体2の上方を閉塞するよう構成することには、阻害要件が存在する。

c.特許法第29条第1項3号について
上記のとおり、相違点5は、実質的な相違点であるといえる。

d.特許法第29条第2項について
甲第5号証には、上記5.(5)に記載したように、「非貫通の壁体挿通孔51が形成される」点が開示されているが、上述のとおり、杭1内に存在する杭本体2の上方を閉塞するよう構成することには、阻害要件が存在するから、当該構成を甲1発明1に採用することは当業者が容易になし得たことではない。また、本件訂正特許発明1における上記相違点5の構成を有することによって、芯材とプレキャスト壁部との一体化が強固になるという効果も、想定される範囲のものではない。

e.小括
したがって、相違点6について検討するまでもなく、本件訂正特許発明1は、甲1発明1と同一ではなく、また、甲1発明1及び甲第5号証に記載された発明の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、その他の甲第2号証ないし甲第4号証、甲第6号証ないし甲第7号証にも、本件訂正特許発明1と同一の発明は記載されておらず、甲1発明1と甲第2号証ないし甲第7号証に記載された発明の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)請求項12について
a.対比
本件訂正特許発明12と甲1発明2とを対比する。
甲1発明2における「コンクリート部3」は、その下部に「杭本体2」が埋め込まれて「杭1」が構成されるものであり、「コンクリート部3」は、「高強度のプレストレスコンクリートからなり、工場等で予め形成されるプレキャストコンクリートとなっている」から、本件訂正特許発明1の「プレキャスト壁部」に相当する。
また、甲1発明2は、「杭1は、鋼管からなる杭本体2と、杭本体2の上部の外周に設けられたコンクリート部3からな」り、「コンクリート部3は、その内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となって」いる構成である。そうすると、「杭本体2」が「コンクリート部3」「の内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となって」、「芯材」となることから、甲1発明2における「前記杭1は、コンクリート部3と、前記コンクリート部3の高さ方向に延びるように前記コンクリート部3に埋め込まれた杭本体2」、及び、「コンクリート部3は、その内部を上端部分まで杭本体2が貫通した状態となっており」という構成は、本件訂正特許発明12における「前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材」の構成に相当する。
そして、甲1発明2における「杭1」は、「コンクリート部3」の下部に「杭本体2」が埋め込まれて構成されるものであり、本件訂正特許発明1における「プレキャスト堤体本体部」は、「芯材」が「プレキャスト壁部」に埋め込まれて構成されるものであるから、甲1発明2における「杭1」が、本件訂正特許発明1における「プレキャスト堤体本体部」に相当する。
また、甲1発明2の「コンクリート部3」とその内部に埋め込まれた「杭本体2」の部位には、「杭1」部と、隣り合うように配置した他の「杭1」とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されていない。

そうすると、両者は、
「プレキャスト堤体本体部と、を有してなり、
前記プレキャスト堤体本体部は、プレキャスト壁部と、前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、を現場搬入前に一体的に有し、前記芯材の一端は、前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して挿入可能であり、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であることを特徴とする杭式堤体。」
の点で一致し、上記相違点5の他、以下の点で相違している。

相違点7:本件訂正特許発明12は、管杭を有し、プレキャスト壁部の芯材の一端は、管杭に挿入されており、プレキャスト堤体本体部は、軸力、せん断力および曲げモーメントが伝達可能なように管杭に連結されているのに対して、甲1発明2は、そのような構成ではない点。

相違点8:本件訂正特許発明12は、プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないのに対して、甲1発明2は、そのような構成であるか否か不明な点。

b.検討
相違点5について検討する。
上記「(ア) 請求項1について」「b.検討」の「相違点5について検討する。」で記載したとおりである。

c.小括
したがって、相違点7ないし8について検討するまでもなく、本件訂正特許発明12は、甲1発明2と同一ではなく、また、甲1発明1及び甲第2号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、その他の甲第3号証ないし甲第7号証にも、本件訂正特許発明12と同一の発明は記載されておらず、甲1発明1と甲第2号証ないし甲第7号証に記載された発明の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)請求項13ないし24について
本件訂正特許発明13ないし24は、本件訂正特許発明12の全ての発明特定事項を含むものであるから、本件訂正特許発明12と同じ理由により、甲1発明2ではなく、また、当業者であっても、甲第1号証ないし甲第7号証に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(エ) 小括
以上より、本件訂正特許発明1、12ないし24は、甲1発明1、甲1発明2と同一ではなく、また、甲1発明1、甲1発明2、及び、甲第2号証ないし甲第7号証の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、請求項2ないし11は、上記「第3」「1.」に記載のとおり、削除されている。

イ.特許法第29条の2について
(ア)請求項1について
a.対比
本件訂正特許発明1と先願1発明1とを対比する。
先願1発明1における「略直方体形状のパネル本体21」は、その下部に「接続部材22」が埋め込まれて「防潮堤パネル20」が構成されるものであるが、当該「防潮堤パネル20」は、プレキャストコンクリートであることから、「略直方体形状のパネル本体21」についてもプレキャストであるということができるから、本件訂正特許発明1の「プレキャスト壁部」に相当する。
先願1発明1は、「接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれ」る構成であり、「接続部材22」が「パネル本体21に埋め込まれて」「芯材」となることから、先願1発明1における「接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれ」る構成は、本件訂正特許発明1における「前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材」の構成に相当する。
そして、先願1発明1における「防潮堤パネル20」は、「パネル本体21」の下部に「接続部材22」が埋め込まれて構成されるものであり、本件訂正特許発明1における「プレキャスト堤体本体部」は、「芯材」が「プレキャスト壁部」に埋め込まれて構成されるものであるから、先願1発明1における「防潮堤パネル20」が、本件訂正特許発明1における「プレキャスト堤体本体部」に相当する。
先願1発明1における「防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、鋼管矢板2とパネル本体21を接続するための接続部材22が埋め込まれたプレキャストコンクリートであ」ることは、「プレキャストパネル方式の防潮堤は、H鋼等の接続部材の一部が埋設された防潮堤パネルをあらかじめ工場などで製造し、防潮堤パネルの下端から突出する接続部材を海岸線に設置された杭に固定することで構築される。」(段落【0006】)との記載を踏まえると、防潮堤パネル20が、現場に搬入される前に工場等にて一体的に作成されることが意図されていると解されるので、本件発明1のプレキャスト堤体本体部が「現場搬入前に一体的」であることに相当する。
したがって、両者は、以下の点で一致する。

「プレキャスト壁部と、
前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、
を現場搬入前に一体的に有し、
前記芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出しており、かつ、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であるプレキャスト堤体本体部」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点9:本件訂正特許発明1は、「前記プレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた前記芯材の部位には、前記プレキャスト堤体本体部と、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されておらず、前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように前記他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した前記他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されない」のに対して、先願1発明1は、そのような構成ではない点。

相違点10:本件訂正特許発明1は、芯材の数が1つであるのに対して、先願1発明1は、芯材の数が複数である点。

b.検討
相違点9について検討する。
先願1発明1は、
「【0012】
本発明に係る防潮堤パネルを用いれば、隣接する防潮堤パネルの各貫通孔を通るように連結部材を挿入した状態で、連結部材を防潮堤パネルに対して固定することにより、隣接する防潮堤パネルを連結することができる。すなわち、コーピングを実施せずに隣接する防潮堤パネルを連結することができる。」や、
「【0025】
すなわち、本実施形態の防潮堤1においては、貫通孔24に挿入された連結部材23により隣接する防潮堤パネル20を連結することができるため、防潮堤1を構築する際に鋼管矢板2の頭部のコーピングを実施することが不要となる。その結果、コーピングを実施する際の型枠の設置作業や解体作業を省略することができ、防潮堤1の構築に必要な工事期間を短縮することが可能となる。・・・(以下省略)・・・」
と記載されているように、上記相違点5の構成を必須として、従来必要であったコーピングを実施することなく、防潮堤パネルを連結可能とするものであるから、上記相違点9に係る構成が慣用技術であったとしても付加することはできない。

c.小括
したがって、相違点10について判断するまでもなく、本件訂正特許発明1は、先願1発明1と実質的に同一であるとはいえない。

(イ)請求項12について
a.対比
本件訂正特許発明12と先願1発明2とを対比する。
先願1発明2における「略直方体形状のパネル本体21」は、その下部に「接続部材22」が埋め込まれて「防潮堤パネル20」が構成されるものであるが、当該「防潮堤パネル20」は、プレキャストコンクリートであることから、「略直方体形状のパネル本体21」についてもプレキャストであるということができるから、本件訂正特許発明12の「プレキャスト壁部」に相当する。
また、先願1発明2は、「接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれ」る構成であり、「接続部材22」が「パネル本体21に埋め込まれて」「芯材」となることから、先願1発明2における「接続部材22が、パネル本体21の高さ方向に延びるように、パネル本体21に埋め込まれ」る構成は、本件訂正特許発明12における「前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材」の構成に相当する。
そして、先願1発明2における「防潮堤パネル20」は、「パネル本体21」の下部に「接続部材22」が埋め込まれて構成されるものであり、本件訂正特許発明12における「プレキャスト堤体本体部」は、「芯材」が「プレキャスト壁部」に埋め込まれて構成されるものであるから、先願1発明2における「防潮堤パネル20」が、本件訂正特許発明12における「プレキャスト堤体本体部」に相当する。
そして、先願1発明2の接続部材22の一部は、略直方体形状のパネル本体21の下部に埋め込まれているから、先願1発明2の「接続部材22の一部」は、本件訂正特許発明12の「前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位」に相当する。
また、先願1発明2における「防潮堤パネル20は、略直方体形状のパネル本体21の下部に、鋼管矢板2とパネル本体21を接続するための接続部材22が埋め込まれたプレキャストコンクリートであ」ることは、「プレキャストパネル方式の防潮堤は、H鋼等の接続部材の一部が埋設された防潮堤パネルをあらかじめ工場などで製造し、防潮堤パネルの下端から突出する接続部材を海岸線に設置された杭に固定することで構築される。」(段落【0006】)との記載を踏まえると、防潮堤パネル20が、現場に搬入される前に工場等にて一体的に作成されることが意図されていると解されるので、本件訂正特許発明12のプレキャスト堤体本体部が「現場搬入前に一体的」であることに相当する。
そして、先願1発明2の「防潮堤パネル20の接続部材突出部22aを鋼管矢板2の空洞部に挿入」する点は、防潮堤パネル20の接続部材突出部22aを鋼管杭2aの空洞部に挿入するといえる。したがって、前記記載は、本件発明12の「前記プレキャスト壁部の前記芯材の前記一端は、前記管杭に挿入されて」いることに相当する。
したがって、両者は、以下の点で一致する。

「管杭と、
プレキャスト堤体本体部と、を有してなり、
前記プレキャスト堤体本体部は、プレキャスト壁部と、前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、を現場搬入前に一体的に有し、前記芯材の一端は、前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して前記管杭に挿入可能であり、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、前記プレキャスト壁部の前記芯材の前記一端は、前記管杭に挿入されていることを特徴とする杭式堤体。」
の点で一致し、上記相違点5と同様の点の他、以下の点で相違している。

相違点11:本件訂正特許発明12は、プレキャスト堤体本体部は、軸力、せん断力および曲げモーメントが伝達可能なように管杭に連結されているのに対して、先願1発明2はそのような構成であるか否か不明な点。

b.検討
相違点5について検討する。
上記「(ア) 請求項1について」「b.検討」の「相違点5について検討する。」で記載したとおりである。

c.小括
したがって、相違点11について検討するまでもなく、本件訂正特許発明12は、先願1発明2と実質的に同一であるとはいえない。

(ウ)請求項13ないし24について
本件訂正特許発明13ないし24も、本件訂正特許発明12の全ての発明特定事項を含むものであるから、本件訂正特許発明12と同じ理由により、先願1発明2と実質的に同一であるとはいえない。

(エ) 小括
以上より、本件訂正特許発明1、12ないし24については、先願1発明1、先願1発明2と実質的に同一ではない。
また、請求項2ないし11は、上記「第3」「1.」に記載のとおり、削除されている。

第4 むすび

以上のとおり、請求項1、12ないし24に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に請求項1、12ないし24に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項2ないし11に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の本件訂正後の請求項2ないし11に係る特許異議申立人がした特許異議の申立については、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下することとする。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャスト壁部と、
前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、
を現場搬入前に一体的に有し、
前記芯材の一端は前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出しており、かつ、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、
前記芯材の数は1つであり、
前記プレキャスト壁部とその内部に埋め込まれた前記芯材の部位には、前記プレキャスト堤体本体部と、隣り合うように配置した他のプレキャスト堤体本体部とを連結するための連結部材を挿通可能な貫通孔は形成されておらず、
前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように前記他のプレキャスト堤体本体部を配置しても、隣り合うように配置した前記他のプレキャスト堤体本体部と構造的に連結されないことを特徴とするプレキャスト堤体本体部。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
管杭と、
プレキャスト堤体本体部と、
を有してなり、
前記プレキャスト堤体本体部は、プレキャスト壁部と、前記プレキャスト壁部の高さ方向に延びるように前記プレキャスト壁部に埋め込まれた芯材と、を現場搬入前に一体的に有し、前記芯材の一端は、前記プレキャスト壁部の下端面よりも下方に突出して前記管杭に挿入可能であり、前記芯材の部位のうち、前記プレキャスト壁部の下端面よりも上方の部位は、その外面が全面にわたって前記プレキャスト壁部に埋め込まれているプレキャスト堤体本体部であって、前記プレキャスト堤体本体部の法線方向に隣り合うように配置される他のプレキャスト堤体本体部とは構造的に連結されていないものであり、
前記プレキャスト壁部の前記芯材の前記一端は、前記管杭に挿入されており、
前記プレキャスト堤体本体部は、軸力、せん断力および曲げモーメントが伝達可能なように前記管杭に連結されていることを特徴とする杭式堤体。
【請求項13】
前記芯材と前記管杭との間隙にはグラウト材が充填されて一体化されていることを特徴とする請求項12に記載の杭式堤体。
【請求項14】
前記管杭は鋼管杭であることを特徴とする請求項12または13に記載の杭式堤体。
【請求項15】
地表面に設けられた台座をさらに有し、
前記プレキャスト壁部は、その下端面が前記台座の上面に接するように前記台座に載置されていることを特徴とする請求項12?14のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項16】
前記芯材の数は1つであることを特徴とする請求項12?15のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項17】
前記芯材の数は複数であることを特徴とする請求項12?15のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項18】
前記プレキャスト壁部の部位のうち、前記芯材が配置されている部位の厚さは、前記芯材が配置されていない部位の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項12?17のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項19】
前記プレキャスト壁部の壁面のうち、少なくとも一方の壁面は、平坦な平面であることを特徴とする請求項12?18のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項20】
前記芯材は、円筒状又は角筒状の鋼管であることを特徴とする請求項12?19のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項21】
前記鋼管の内部領域にコンクリートが充填されていることを特徴とする請求項20に記載の杭式堤体。
【請求項22】
前記芯材は、長手方向と直交する平面で切断した断面形状がH形の鋼材であることを特徴とする請求項12?19のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項23】
前記プレキャスト壁部には横目地がないことを特徴とする請求項12?22のいずれかに記載の杭式堤体。
【請求項24】
高さ方向の寸法が6.50m以下であり、法線方向の寸法が3.50m以下であり、重量が60トン以下であることを特徴とする請求項12?23のいずれかに記載の杭式堤体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-12-06 
出願番号 特願2017-179600(P2017-179600)
審決分類 P 1 651・ 16- YAA (E02B)
P 1 651・ 537- YAA (E02B)
P 1 651・ 113- YAA (E02B)
P 1 651・ 121- YAA (E02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 苗村 康造  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 小林 俊久
大塚 裕一
登録日 2018-03-09 
登録番号 特許第6299919号(P6299919)
権利者 JFEエンジニアリング株式会社
発明の名称 プレキャスト堤体本体部および杭式堤体  
代理人 高矢 諭  
代理人 須藤 修三  
代理人 金本 哲男  
代理人 特許業務法人MTS国際特許事務所  
代理人 金本 哲男  
代理人 松山 圭佑  
代理人 松山 圭佑  
代理人 高矢 諭  
代理人 特許業務法人MTS国際特許事務所  
代理人 藤田 崇  
代理人 萩原 康司  
代理人 金本 哲男  
代理人 藤田 崇  
代理人 須藤 修三  
代理人 萩原 康司  
代理人 萩原 康司  
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