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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H02B
審判 一部申し立て 2項進歩性  H02B
管理番号 1359568
異議申立番号 異議2018-700974  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-30 
確定日 2020-01-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6350937号発明「分電盤用内器、分電盤用内器ユニット、分電盤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6350937号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第6350937号の請求項1、3、4、9及び10に係る特許を維持する。 特許第6350937号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許6350937号の請求項1?10に係る特許についての出願は、平成26年3月31日(優先権主張平成25年11月5日)の出願であって、平成30年6月15日に特許権の設定登録がされ、同年7月4日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
平成30年11月30日 :特許異議申立人川島与志雄(以下「異議申
立人」という。)による請求項1?4、9
及び10に係る特許に対する特許異議の申
立て
平成31年 3月15日付け:取消理由通知書
令和 1年 5月21日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提

令和 1年 6月25日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
令和 1年 8月 6日 :異議申立人による意見書の提出
令和 1年 9月 3日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和 1年11月 8日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提


なお、異議申立人は特許異議申立書の意見書提出希望の有無の欄において、「希望する。」としているから、ここで、令和1年11月8日の訂正の請求に対する意見書を提出する機会を異議申立人に与える必要性の有無について検討する。
異議申立人は、令和1年5月21日の訂正の請求に対して、令和1年8月6日の意見書において、請求項2、請求項3(請求項2に従属するもの)、請求項4(請求項2に従属するもの)、請求項9(請求項2に従属するもの)、及び請求項10(請求項2に従属するもの)に係る発明についてのみ、特許が取り消されるべきものである旨主張している。
ところで、後述の「第2」に記載するように、令和1年11月8日の訂正の請求は、実質的に、令和1年5月21日の訂正の請求による訂正後の請求項1?10から、さらに請求項2を削除することと、当該請求項2の削除に伴う付随的な訂正だけである。
そうすると、異議申立人が令和1年8月6日の意見書において主張した上記請求項2、請求項3(請求項2に従属するもの)、請求項4(請求項2に従属するもの)、請求項9(請求項2に従属するもの)、及び請求項10(請求項2に従属するもの)に係る発明は、令和1年11月8日に請求された上記訂正により、対象が存在しないものとなる。
したがって、令和1年11月8日の訂正の請求に関しては、異議申立人の意見を聞く必要がない場合に該当することが明らかであって、特許法第120条の5第5項ただし書に規定される「特別の事情があるとき」にあたることから、異議申立人に意見書を提出する機会を与えないこととする。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和1年11月8日の訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されていることを特徴とする分電盤用内器。」とあるものを、
「電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、前記電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体であることを特徴とする分電盤用内器。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3、4、9及び10も同様に訂正する。)(下線は、特許権者が付与。以下同様。)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみに、前記各機能アダプタを制御する制御部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の分電盤用内器。」とあるものを、
請求項2を引用先から削除し、「複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみに、前記各機能アダプタを制御する制御部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の分電盤用内器。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4、9及び10も同様に訂正する。)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「複数の前記機能アダプタは、通信機能を有する電力計との間で通信可能な第1通信アダプタと、分電盤の外部の電気機器との間で通信可能な第2通信アダプタと、前記電気機器とは異なる外部装置との間で第1通信線を媒体として通信可能な第3通信アダプタとを備え、前記複数の前記機能アダプタは、前記第1通信アダプタ、前記第2通信アダプタ、前記第3通信アダプタの順番で並ぶように前記分電盤に取り付けられることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の分電盤用内器。」とあるものを、
「電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、複数の前記機能アダプタは、通信機能を有する電力計との間で通信可能な第1通信アダプタと、分電盤の外部の電気機器との間で通信可能な第2通信アダプタと、前記電気機器とは異なる外部装置との間で第1通信線を媒体として通信可能な第3通信アダプタとを備え、前記複数の前記機能アダプタは、前記第1通信アダプタ、前記第2通信アダプタ、前記第3通信アダプタの順番で並ぶように前記分電盤に取り付けられることを特徴とする分電盤用内器。」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の分電盤用内器における複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみを備え、前記1つの前記機能アダプタには、前記複数の前記機能アダプタのうち残りの前記機能アダプタを着脱自在に結合させる結合部が設けられていることを特徴とする分電盤用内器ユニット。」とあるものを、、
請求項2を引用先から削除し、「請求項1、および請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の前記分電盤用内器における複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみを備え、前記1つの前記機能アダプタには、前記複数の前記機能アダプタのうち残りの前記機能アダプタを着脱自在に結合させる結合部が設けられていることを特徴とする分電盤用内器ユニット。」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の分電盤用内器もしくは請求項9記載の分電盤用内器ユニットと、前記分電盤用内器もしくは前記分電盤用内器ユニットを収納する分電盤用キャビネットとを備えていることを特徴とする分電盤。」とあるものを、
請求項2を引用先から削除し、「請求項1、および請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の分電盤用内器もしくは請求項9記載の分電盤用内器ユニットと、前記分電盤用内器もしくは前記分電盤用内器ユニットを収納する分電盤用キャビネットとを備えていることを特徴とする分電盤。」に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書の段落【0009】に「本発明の分電盤用内器は、電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されていることを特徴とする。」とあるものを、
「本発明の一の態様に係る分電盤用内器は、電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、前記電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体であることを特徴とする。」に訂正する。

(8)訂正事項8
明細書の段落【0010】の記載を削除する。

(9)訂正事項9
明細書の段落【0013】に「この分電盤用内器において、複数の前記機能アダプタは、通信機能を有する電力計との間で通信可能な第1通信アダプタと、分電盤の外部の電気機器との間で通信可能な第2通信アダプタと、前記電気機器とは異なる外部装置との間で第1通信線を媒体として通信可能な第3通信アダプタとを備え、前記複数の前記機能アダプタは、前記第1通信アダプタ、前記第2通信アダプタ、前記第3通信アダプタの順番で並ぶように前記分電盤に取り付けられることが好ましい。」とあるものを、
「本発明の他の態様に係る分電盤用内器は、電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、複数の前記機能アダプタは、通信機能を有する電力計との間で通信可能な第1通信アダプタと、分電盤の外部の電気機器との間で通信可能な第2通信アダプタと、前記電気機器とは異なる外部装置との間で第1通信線を媒体として通信可能な第3通信アダプタとを備え、前記複数の前記機能アダプタは、前記第1通信アダプタ、前記第2通信アダプタ、前記第3通信アダプタの順番で並ぶように前記分電盤に取り付けられることを特徴とする。」に訂正する。

本件訂正は、一群の請求項〔1?10〕に対してなされたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1において、「電源アダプタ」及び「機能アダプタ」に関して、「電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体であること」を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)の明細書の段落【0063】における、「例えば、電源アダプタ5は、図4に示すように、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3、第3通信アダプタ4それぞれと別体に構成してもよい。」との記載によれば、上記「電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体である」ことは、本件特許明細書等に開示されているといえるから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3、5及び6について
訂正事項3、5及び6は、訂正事項2により訂正された、特許請求の範囲の請求項2の記載との整合を図るため、請求項3、9及び10の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項1を引用する請求項5を独立形式の請求項にするとともに、訂正前の請求項2?4を引用するものを削除するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするとともに、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項7?9について
訂正事項7?9は、訂正事項1、2及び4により訂正された、特許請求の範囲の請求項1、2及び5の記載との整合を図るため、明細書の段落【0009】、【0010】及び【0013】の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)本件訂正後の請求項5?8に係る発明について
訂正後の請求項5?8に係る発明は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項4により直接又は間接的に訂正されるものであるところ、訂正前の請求項5?8は、特許異議が申し立てられていない請求項である。
そうすると、訂正後の請求項5?8は、特許要件の充足いかんについて見直すべき新たな事情は存在せず、また、特許法第36条第4項第1号又は第6項(第4号は除く)に規定する要件を満たさないものでもないから、独立特許要件を満たす。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第7項までの規定に適合する。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?10〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
上述のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1、及び3?10に係る発明(以下「本件発明1」、及び「本件発明3」?「本件発明10」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、及び3?10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、
複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、
前記電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体であることを特徴とする分電盤用内器。
【請求項3】
複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみに、前記各機能アダプタを制御する制御部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の分電盤用内器。
【請求項4】
前記制御部が設けられた前記機能アダプタのみに、前記電源アダプタから電力が供給されることを特徴とする請求項3記載の分電盤用内器。
【請求項5】
電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、
複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、
複数の前記機能アダプタは、通信機能を有する電力計との間で通信可能な第1通信アダプタと、分電盤の外部の電気機器との間で通信可能な第2通信アダプタと、前記電気機器とは異なる外部装置との間で第1通信線を媒体として通信可能な第3通信アダプタとを備え、
前記複数の前記機能アダプタは、前記第1通信アダプタ、前記第2通信アダプタ、前記第3通信アダプタの順番で並ぶように前記分電盤に取り付けられることを特徴とする分電盤用内器。
【請求項6】
前記第1通信アダプタは、電波を媒体とする無線通信と、電力線を媒体とする電力線搬送通信との少なくとも一方の通信が可能に構成されていることを特徴とする請求項5記載の分電盤用内器。
【請求項7】
前記第2通信アダプタは、電波を媒体とする無線通信と、第2通信線を媒体とする有線通信との少なくとも一方の通信が可能に構成されていることを特徴とする請求項5または請求項6記載の分電盤用内器。
【請求項8】
前記第3通信アダプタは、前記外部装置から送信されたパルスを受信する機能と、前記外部装置との間でシリアル通信を行う機能との少なくとも一方の機能を有するように構成されていることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の分電盤用内器。
【請求項9】
請求項1、および請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の前記分電盤用内器における複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみを備え、
前記1つの前記機能アダプタには、前記複数の前記機能アダプタのうち残りの前記機能アダプタを着脱自在に結合させる結合部が設けられていることを特徴とする分電盤用内器ユニット。
【請求項10】
請求項1、および請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の分電盤用内器もしくは請求項9記載の分電盤用内器ユニットと、前記分電盤用内器もしくは前記分電盤用内器ユニットを収納する分電盤用キャビネットとを備えていることを特徴とする分電盤。」

第4 令和1年9月3日付け取消理由通知(決定の予告)について
1 取消理由通知(決定の予告)の概要
令和1年5月21日に訂正の請求がされた請求項1?10に係る特許に対して、当審が令和1年9月3日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。

令和1年5月21日に訂正の請求がされた請求項2に係る発明、請求項2を引用する請求項3に係る発明、請求項2又は3を引用する請求項4に係る発明、請求項2、3又は4を引用する請求項9に係る発明、及び請求項2、3、4又は9を引用する請求項10に係る発明は、甲1?3発明、甲第3?5号証に記載された事項及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、それらの請求項2?4、9及び10に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、それらの請求項2?4、9及び10に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

<引用文献等>
甲第1号証:特開2013-190208号公報
甲第2号証:「住宅盤用エネルギー監視装置 取扱説明書」(2013年3月現在のもの)日東工業株式会社
甲第3号証:特開2012-242354号公報
甲第4号証:特開2013-106322号公報
甲第5号証:「プチパネル(プチスリム搭載ホーム分電盤) HEMS対応ホーム分電盤」 平成23年5月発行 日東工業株式会社

2 判断
本件訂正により、請求項2は削除されたため、請求項2に係る発明、請求項2を引用する請求項3に係る発明、請求項2又は3を引用する請求項4に係る発明、請求項2、3又は4を引用する請求項9に係る発明、及び請求項2、3、4又は9を引用する請求項10に係る発明に対しての、取消理由通知(決定の予告)については、対象となる請求項が存在しないこととなった。
したがって、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由により、本件発明3、4、9及び10に係る特許を取り消すことはできない。

第5 令和1年9月3日付け取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の概要について
異議申立人は、上記甲第1?5号証を挙げ、訂正前の請求項1、2、9及び10に係る発明は、甲第1号証または甲第2号証に記載された発明である旨、並びに訂正前の請求項1?4、9及び10に係る発明は、甲第3?5号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している。
また、異議申立人は、令和1年8月6日に提出した意見書において、甲第6号証(実公平7-3699号公報)、甲第7号証(特開平10-78806号公報)、及び甲第8号証(特開2009-145163号公報)を挙げている。

2 各甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
甲第1号証の【図1】を参照すると、電流計測部11、電圧計測部12及び電力演算部13の3つの部分(以下「回路の電力測定部」という。)により、回路の電力を測定可能であることが分かる。
そして、甲第1号証には、上記事項及び特に段落【0015】?【0018】、【0023】、【0025】、【0036】、【0047】、【図1】及び【図3】?【図6】の記載を総合し、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「回路の電力測定部と、管理装置100との間でシリアル通信を行う通信部15とを有する本体ユニット1Aと、
回路の電力を測定可能な増設ユニット1Bとを備え、
本体ユニット1Aの電源回路部17は、本体ユニット1Aの電流計測部11、電圧計測部12、電力演算部13及び通信部15と、本体ユニット1Aに連結された増設ユニット1Bとに動作電源を供給し、
本体ユニット1Aと増設ユニット1Bとは、増設ユニット1Bの爪61fを本体ユニット1Aの溝に係止させることにより互いに連結され、且つ、本体ユニット1Aでは、電力演算部13が、増設ユニット1Bから、測定対象の回路の電流計測値を定期的に取り込み、
本体ユニット1Aは、増設ユニット1Bと別体であり、本体ユニット1Aは、電源回路部17、回路の電力測定部及び通信部15を備えている、
分電盤の盤内に設置される電力計測器。」

(2)甲第2号証
甲第2号証の4ページの「●ユニットとユニットの接続」に記載の図面を参照すると、一方のユニットの凹みと他方のユニットの凸部とにより、ユニットとユニットとが着脱自在に接続されていることがわかる。
また、同図面より、電源は主幹計測ユニット(PMU-HM1)の入力端子から入力され、ユニット間接続ケーブルにより各ユニット(PMU-HM2)?(PMU-HM4)に供給されることが分かるから、主幹計測ユニット(PMU-HM1)は、主幹電力を計測する部分の他に、電源を供給する部分も備えているといえる。
そして、甲第2号証には、上記事項及び特に2ページ?5ページの記載を総合し、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「主幹電力を計測する主幹計測ユニット(PMU-HM1)と、分岐回路の電力を計測する分岐計測ユニット(PMU-HM2)と、ガスメータパルス信号線用挿入端子を有するパルス計測ユニット(PMU-HM4)とを備え、
電源は主幹計測ユニット(PMU-HM1)の入力端子から入力され、ユニット間接続ケーブルにより分岐計測ユニット(PMU-HM2)及びパルス計測ユニット(PMU-HM4)に供給され、
各ユニットは、一方のユニットの凹みと他方のユニットの凸部とにより、ユニットとユニットとが着脱自在に接続され、且つ、主幹計測ユニット(PMU-HM1)と、分岐計測ユニット(PMU-HM2)及びパルス計測ユニット(PMU-HM4)とはユニット間接続ケーブルにより通信し、
主幹計測ユニット(PMU-HM1)と、分岐計測ユニット(PMU-HM2)及びパルス計測ユニット(PMU-HM4)とは別体であり、主幹計測ユニット(PMU-HM1)は、電源を供給する部分と主幹電力を計測する部分とを備えている、
住宅盤内に配置する住宅盤用エネルギー監視装置。」

(3)甲第3号証
ア 甲第3号証(特に、段落【0020】、【0023】、【0026】?【0031】、【0034】、【0039】及び【図1】?【図3】を参照。)には、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「電力計測部113を備えると共に、パルス出力回路117a、パルス入力回路117b、RS485通信回路117c、及びUSB通信回路117dを備え、外部機器と信号の授受を行う基本ユニット11と、
分岐電路D5、D6の電力を計測する増設ユニット12とを備え、
基本ユニット11は電源回路116を備え、増設ユニット12は基本ユニットの電源回路116から駆動電圧が供給され、
基本ユニット11と増設ユニット12とは、互いの対向面に形成されたコネクタ同士が嵌合して接続され、且つ、基本ユニット11と増設ユニット12との間で通信経路L1が形成され、
基本ユニット11と増設ユニット12とは別体であり、基本ユニット11は、電源回路116と、電力計測部113、パルス出力回路117a、パルス入力回路117b、RS485通信回路117c、及びUSB通信回路117dを備えている、
電力計測システム1。」

イ 甲第3号証の段落【0024】、【0034】及び【図1】の記載を参照すると、制御部114は、基本ユニット11のみに設けられていることが分かる。

ウ 甲第3号証の「増設ユニット12は、基本ユニット11の電源回路116から電力供給経路L2を介して駆動電圧が供給されることで動作する。なお、本実施形態では、電源供給経路L2における電圧降下やノイズ等を考慮して増設ユニット12に電源回路126を設けている。電源回路126は、DC/DCコンバータで構成されており、基本ユニット11の電源回路116と電源供給経路L1を介して接続されている。そして、電源回路126は、電源回路116の出力電圧を昇降圧して3.3Vおよび5Vの駆動電圧を生成し、増設ユニット12はこの駆動電圧を用いて動作する。なお、電源回路126を省略し、電源回路116から出力される駆動電圧を直接用いて増設ユニット12が動作するように構成してもよい。」(段落【0031】)との記載、及び【図1】の記載を参照すると、基本ユニット11のみに電源回路116を設けることが示唆されているといえる。

エ 【図2】を参照すると、電力計測システム1がメインブレーカ(B1a、B1b)や保護用ブレーカ(B2?B6)の二次側の電流を測定すること分かる。

(4)甲第4号証
甲第4号証には、「無線通信装置及びそれを備えた無線通信システム」に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0018】
スマートメータ2は、分電盤1に有線にて接続されており、送電線から電力の供給を受けて分電盤1に供給すると共に、宅内において累積して消費された電力を表示する。 ・・・(後略)」

イ 「【0021】 ・・・(中略)・・・ HEMS管理装置10は、電力計測部14と、無線通信装置15等を有し、宅内で消費される電力の計測機能と、HEMSネットワークを介した家電機器3等の管理制御機能と、スマートメータ2との通信機能等を備える。電力計測部14は、幹線13に接続され、宅内で消費される電力を計測する。電力計測部14によって計測された電力の情報は、PLCモデム16を介してスマートメータ2に送信されたり、送信部18を介して情報処理端末8に送信されたりする。」

ウ 【図2】を参照すると、スマートメータ2が分電盤1の外にあり、電力計測部14を備えるHEMS管理装置10が分電盤1内にあることが分かる。

(5)甲第5号証
甲第5号証の最終ページを参照すると、エネルギー監視装置は、主幹計測ユニット、分岐計測ユニット及びパルス計測ユニットからなり、分電盤内に配置されていることが分かる。
また、甲第5号証の2ページ及び3ページを参照すると、エネルギー監視装置は、無線(bluetooth (登録商標))又は有線(RS485)でモニターへ出力しているから、分電盤の外部にある機器と通信するといえる。

3 対比・判断
(1)本件発明1について
ア 甲第1号証を主引用例として
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「回路の電力測定部と、管理装置100との間でシリアル通信を行う通信部15とを有する本体ユニット1A」は、本件発明1の「電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうち」「複数の機能を有する機能アダプタ」に相当する。
以下同様に、「回路の電力を測定可能な増設ユニット1B」は、「電力を含むエネルギーを計測する機能」「を有する機能アダプタ」に、
「本体ユニット1Aの電源回路部17は、本体ユニット1Aの電流計測部11、電圧計測部12、電力演算部13及び通信部15と、本体ユニット1Aに連結された増設ユニット1Bとに動作電源を供給」することは、「各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され」ていることに、
「本体ユニット1Aと増設ユニット1Bとは、増設ユニット1Bの爪61fを本体ユニット1Aの溝に係止させることにより互いに連結され」ていることは、「複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され」ていることに、
「本体ユニット1Aでは、電力演算部13が、増設ユニット1Bから、測定対象の回路の電流計測値を定期的に取り込む」ことは、「前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されていること」に、
「分電盤の盤内に設置される電力計測器」は、「分電盤用内器」に、それぞれ相当する。

また、甲1発明においては、本体ユニット1Aの電源回路部17は、本体ユニット1Aに連結された増設ユニット1Bに動作電源を供給するから、甲1発明の「本体ユニット1A」は、本件発明1の「電源アダプタ」にも相当する。

以上のことから、本件発明1と甲1発明とは次の点で一致する。
「電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、
複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されている、分電盤用内器。」

[相違点1]
本件発明1においては、「電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体である」のに対して、
甲1発明においては、本体ユニット1Aは、増設ユニット1Bと別体であるものの、本体ユニット1Aは、電源回路部17、回路の電力測定部及び通信部15を備えている点。

相違点1について検討する。
(ア)特許法第29条第1項第3号(新規性)について
甲1発明における本体ユニット1Aの「電源回路部17」は、本件発明1における「電源アダプタ」と同じ役割をし、
同じく、甲1発明における本体ユニット1Aの「回路の電力測定部及び通信部15」は、本件発明1における「機能アダプタ」と同じ役割をするといえる。
以上のことから、甲1発明の「本体ユニット1Aは、電源回路部17、回路の電力測定部及び通信部15を備えている」ことは、本体ユニット1Aが電源アダプタと機能アダプタとを一体に備えていることといえる。
そうすると、相違点1は、電源アダプタと機能アダプタとの関係に関して、本件発明1においては、「いずれも別体」であるのに対して、甲1発明においては、「一体」のものもある点で、実質的な相違点である。
そして、相違点1に係る本件発明1の構成については、甲第1号証に記載ないし記載されているに等しいとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明)ということはできない。

(イ)特許法第29条第2項(進歩性)について
甲1発明において、本体ユニット1Aに備えられた、「電源回路部17」と、「回路の電力測定部及び通信部15」とを、それぞれ「別体」のユニットとなるように変更することについて(すなわち「電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体」とすることについて)、甲第1?8号証に記載又は示唆があるものではないから、たとえ甲1発明に甲第1?8号証に記載された事項を適用したとしても、相違点1に係る本件発明1の構成に至るものではない。
また、かかる変更が、周知技術であると認める証拠があるものではなく、更に、相違点1に係る本件発明1の構成により後述するような作用効果を奏しうるから、かかる変更が設計的事項であるともいえない。
そうすると、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、甲第1?8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

一方、本件発明1は、相違点1に係る本件発明1の構成により、次の記載に示される作用効果を奏しうる。すなわち、「電源アダプタが、複数の機能アダプタのいずれとも別体であることにより、仮に、電源アダプタに故障等の異常が生じた場合には、複数の機能アダプタはそのままで、電源アダプタのみを交換することが可能である。特に、電源アダプタは、分電盤内において電力を供給するために、例えば直接的に分岐ブレーカ等に接続されて使用されるので、分電盤外の機器に比較して、例えば雷サージのような異常電流の影響を受けやすく、雷サージ等の影響で故障することが考えられる。このように、訂正発明1において、電源アダプタが、複数の機能アダプタのいずれとも別体とされたことで、電源アダプタの異常時には、電源アダプタのみを交換することで異常の解消を図ることが可能である。また、反対に、いずれかの機能アダプタに故障等の異常が生じた場合には、正常な機能アダプタ及び電源アダプタはそのままで、異常が生じた機能アダプタのみを交換することが可能である。 ・・・(中略)・・・ 各機能アダプタは、『電力を含むエネルギーを計測する機能』、『分電盤の外部の機器との間で通信する機能』のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有するものであるので、比較的小さな電力を扱う『弱電系』の装置であって、ノイズの影響を受けやすい。一方で、電源アダプタは、分電盤内において機能アダプタの動作用の電力を作り出す必要があるため、一例として、交流100〔V〕等の比較的大きな電力を扱う『強電系』の装置である。訂正発明1では、このような電源アダプタをいずれの機能アダプタとも『別体』にすることで、『強電系』の電源アダプタと『弱電系』の機能アダプタとの干渉を抑え、ノイズの影響を受けやすい機能アダプタをノイズから保護する機能を実現している。 ・・・(中略)・・・ 結果的に、上記相違点1に係る訂正発明1の構成(電源アダプタは、複数の機能アダプタのいずれとも別体である)によれば、例えば、必要最小限の機能を有する分電盤用内器を構成して低コスト化を図りつつ、分電盤の機能の拡張性を高めることができ、さらに、ノイズの影響を受けやすい機能アダプタをノイズから保護できる、という顕著な効果を奏し得る。」(特許権者が令和1年5月21日に提出した意見書の4ページ14行?5ページ26行を参照。)

したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲第1?8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 甲第2号証を主引用例として
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「主幹電力を計測する主幹計測ユニット(PMU-HM1)」は、本件発明1の「電力を含むエネルギーを計測する機能」「を有する機能アダプタ」に相当する。
以下同様に、「分岐回路の電力を計測する分岐計測ユニット(PMU-HM2)」は、「電力を含むエネルギーを計測する機能」「を有する機能アダプタ」に、
「ガスメータパルス信号線用挿入端子を有するパルス計測ユニット(PMU-HM4)」は、「分電盤の外部の機器との間で通信する機能」「を有する機能アダプタ」に、
「電源は主幹計測ユニット(PMU-HM1)の入力端子から入力され、ユニット間接続ケーブルにより分岐計測ユニット(PMU-HM2)及びパルス計測ユニット(PMU-HM4)に供給」されることは、「各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され」ていることに、
「各ユニットは、一方のユニットの凹みと他方のユニットの凸部とにより、ユニットとユニットとが着脱自在に接続され」ることは、「複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され」ることに、
「主幹計測ユニット(PMU-HM1)と、分岐計測ユニット(PMU-HM2)及びパルス計測ユニット(PMU-HM4)とはユニット間接続ケーブルにより通信」することは、「各機能アダプタ間で通信可能に構成されていること」に、
「住宅盤内に配置する住宅盤用エネルギー監視装置」は、「分電盤用内器」に、それぞれ相当する。

また、甲2発明においては、電源は主幹計測ユニット(PMU-HM1)から入力され、ユニット間接続ケーブルにより分岐計測ユニット(PMU-HM2)及びパルス計測ユニット(PMU-HM4)に供給されるから、甲2発明の「主幹計測ユニット(PMU-HM1)」は、本件発明1の「電力を供給する電源アダプタ」にも相当する。

以上のことから、本件発明1と甲2発明とは次の点で一致する。
「電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、
複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されている、分電盤用内器。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点2]
本件発明1においては、電源アダプタは、「複数の前記機能アダプタのいずれとも別体である」のに対して、
甲2発明においては、主幹計測ユニット(PMU-HM1)と、分岐計測ユニット(PMU-HM2)及びパルス計測ユニット(PMU-HM4)とは別体であるものの、主幹計測ユニット(PMU-HM1)は、電源を供給する部分と主幹電力を計測する部分とを備えている点。

相違点2について検討する。
(ア)特許法第29条第1項第3号(新規性)について
甲2発明における主幹計測ユニット(PMU-HM1)の「電源を供給する部分」は、本件発明1における「電源アダプタ」と同じ役割をし、
同じく、甲2発明における主幹計測ユニット(PMU-HM1)の「主幹電力を計測する部分」は、本件発明1における「機能アダプタ」と同じ役割をするといえる。
以上のことから、甲2発明の「主幹計測ユニット(PMU-HM1)は、電源を供給する部分と主幹電力を計測する部分とを備えている」ことは、主幹計測ユニット(PMU-HM1)が電源アダプタと機能アダプタとを一体に備えていることといえる。
そうすると、相違点2は、電源アダプタと機能アダプタとの関係に関して、本件発明1においては、「いずれも別体」であるのに対して、甲2発明においては、「一体」のものもある点で、実質的な相違点である。
そして、相違点2に係る本件発明1の構成については、甲第2号証に記載ないし記載されているに等しいとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明(甲2発明)ということはできない。

(イ)特許法第29条第2項(進歩性)について
甲2発明において、主幹計測ユニット(PMU-HM1)に備えられた、「電源を供給する部分」と「主幹電力を計測する部分」とを、それぞれ「別体」のユニットとなるように変更することについて(すなわち「電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体」とすることについて)、甲第1?8号証に記載又は示唆があるものではないから、たとえ甲2発明に甲第1?8号証に記載された事項を適用したとしても、相違点2に係る本件発明1の構成に至るものではない。
また、かかる変更が、周知技術であると認める証拠があるものではなく、更に、相違点2に係る本件発明1の構成により前記「ア(イ)」に示した作用効果を奏しうるから、かかる変更が設計的事項であるともいえない。
そうすると、甲2発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、甲第1?8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

したがって、本件発明1は、甲2発明及び甲第1?8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 甲第3号証を主引用例として
本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明の「電力計測部113を備えると共に、パルス出力回路117a、パルス入力回路117b、RS485通信回路117c、及びUSB通信回路117dを備え、外部機器と信号の授受を行う基本ユニット11」は、本件発明1の「電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうち」「複数の機能を有する機能アダプタ」に相当する。
以下同様に、「分岐電路D5、D6の電力を計測する増設ユニット12」は、「電力を含むエネルギーを計測する機能」「を有する機能アダプタ」に、
「基本ユニット11は電源回路116を備え、増設ユニット12は基本ユニットの電源回路116から駆動電圧が供給」されることは、「各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され」ていることに、
「基本ユニット11と増設ユニット12とは、互いの対向面に形成されたコネクタ同士が嵌合して接続され」ていることは、「複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され」ていることに、
「基本ユニット11と増設ユニット12との間で通信経路L1が形成される」ことは、「各機能アダプタ間で通信可能に構成されていること」に、それぞれ相当する。

また、甲3発明においては、増設ユニット12は基本ユニットの電源回路116から駆動電圧が供給されるから、甲3発明の「基本ユニット11」は、本件発明1の「電力を供給する電源アダプタ」にも相当する。

甲3発明の「電力計測システム1」と、本件発明1の「分電盤用内器」とは、「電力系統の機器」である限りにおいて共通する。

以上のことから、本件発明1と甲3発明とは次の点で一致する。
「電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、
複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されている、電力系統の機器。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点3A]
本件発明1においては、「電源アダプタは複数の前記機能アダプタのいずれとも別体である」との構成を備えているのに対して、
甲3発明においては、基本ユニット11と増設ユニット12とは別体であるものの、基本ユニット11は、電源回路116と、電力計測部113、パルス出力回路117a、パルス入力回路117b、RS485通信回路117c、及びUSB通信回路117dを備えている点。

[相違点3B]
電力系統の機器に関して、本件発明1においては、「分電盤用内器」であるのに対して、
甲3発明においては、電力計測システム1は、分電盤内に配置されるものか否か明らかでない点。

相違点3Aについて検討する。
甲3発明における基本ユニット11の「電源回路116」は、本件発明1における「電源アダプタ」と同じ役割をし、
同じく、甲3発明における基本ユニット11の「電力計測部113、パルス出力回路117a、パルス入力回路117b、RS485通信回路117c、及びUSB通信回路117d」は、本件発明1における「機能アダプタ」と同じ役割をするといえる。
以上のことから、甲3発明の「基本ユニット11は、電源回路116と、電力計測部113、パルス出力回路117a、パルス入力回路117b、RS485通信回路117c、及びUSB通信回路117dを備えている」ことは、基本ユニット11が電源アダプタと機能アダプタとを一体に備えていることといえる。
そうすると、相違点3Aは、電源アダプタと機能アダプタとの関係に関して、本件発明1においては、「いずれも別体」であるのに対して、甲3発明においては、「一体」のものもある点で、実質的に相違している。
そして、甲3発明において、基本ユニット11に備えられた、「電源回路116」と、「電力計測部113、パルス出力回路117a、パルス入力回路117b、RS485通信回路117c、及びUSB通信回路117d」とを、それぞれ「別体」のユニットとなるように変更することについて(すなわち「電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体」とすることについて)、甲第1?8号証に記載又は示唆があるものではないから、たとえ甲3発明に甲第1?8号証に記載された事項を適用したとしても、相違点3Aに係る本件発明1の構成に至るものではない。
また、かかる変更が、周知技術であると認める証拠があるものではなく、更に、相違点3Aに係る本件発明1の構成により前記「ア(イ)」に示した作用効果を奏しうるから、かかる変更が設計的事項であるともいえない。
そうすると、甲3発明において、相違点3Aに係る本件発明1の構成とすることは、甲第1?8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

したがって、相違点3Bについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲第1?8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 本件発明1についての小括
以上のことから、本件発明1は、甲第1号証または甲第2号証に記載された発明ということはできないし、また、甲第1?8号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。

(2)本件発明3及び4について
本件発明3及び4は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1号証または甲第2号証に記載された発明ということはできないし、また、甲第1?8号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。

(3)本件発明1、3又は4を引用する本件発明9及び10について
本件発明1、3又は4を引用する本件発明9及び10は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1号証または甲第2号証に記載された発明ということはできないし、また、甲第1?8号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。

(4)本件発明5?8を引用する本件発明9及び10について
本件発明5?8を引用する本件発明9及び10は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項4(請求項5の訂正)により間接的に訂正されるものであるところ、訂正前の請求項5?8は、特許異議が申し立てられていない請求項である。
そうすると、本件発明5?8を引用する本件発明9及び10は、特許要件の充足いかんについて見直すべき新たな事情は存在せず、甲第1?8号証に基いた取消理由が存在するとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由に照らしても、本件発明1、3、4、9及び10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、3、4、9及び10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項2は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項2に対して異議申立人がした特許異議申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったことから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
分電盤用内器、分電盤用内器ユニット、分電盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤用内器、分電盤用内器ユニット、分電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図5に示す構成を備えた分電盤50が提案されている(特許文献1)。分電盤50は、基台51と、主幹ブレーカ52と、分岐ブレーカ53とを備えている。主幹ブレーカ52の端子部54には、主幹バー55が接続されている。また、主幹バー55の端部には、分岐バー56が接続されている。
【0003】
特許文献1には、分岐ブレーカ53における主幹ブレーカ52側と反対側の端部に、送り端子が接続されている旨が記載されている。また、特許文献1には、主幹バー55の接続部の上部S1と送り端子の接続部の下部S2とに、高機能機器を取り付けるスペースが確保されている旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-295667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の分電盤50では、主幹バー55の接続部の上部S1と送り端子の接続部の下部S2とに、高機能機器を取り付けるスペースが確保されているので、高機能機器を分電盤50に取り付けることが可能となる。
【0006】
しかしながら、分電盤50では、主幹バー55の接続部の上部S1もしくは送り端子の接続部の下部S2のスペースに収まる大きさの高機能機器(分電盤用内器ユニット)しか取り付けることができないため、分電盤50の機能の拡張性を高めることが難しい。
【0007】
また、分電盤50では、主幹バー55の接続部の上部S1と送り端子の接続部の下部S2とのスペースに、例えば、複数の高機能機器(分電盤用内器)を取り付ける場合、複数の高機能機器を基台51に取り付ける作業が煩雑になる可能性がある。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、分電盤の機能の拡張性を高めることが可能で、且つ、作業性を向上させることが可能な分電盤用内器、分電盤用内器ユニットを提供することにある。また、本発明の目的は、上述の分電盤用内器もしくは上述の分電盤用内器ユニットを備えた分電盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の態様に係る分電盤用内器は、電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、前記電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体であることを特徴とする。
【0010】(削除)
【0011】
この分電盤用内器において、複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみに、前記各機能アダプタを制御する制御部が設けられていることが好ましい。
【0012】
この分電盤用内器において、前記制御部が設けられた前記機能アダプタのみに、前記電源アダプタから電力が供給されることが好ましい。
【0013】
本発明の他の態様に係る分電盤用内器は、電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、複数の前記機能アダプタは、通信機能を有する電力計との間で通信可能な第1通信アダプタと、分電盤の外部の電気機器との間で通信可能な第2通信アダプタと、前記電気機器とは異なる外部装置との間で第1通信線を媒体として通信可能な第3通信アダプタとを備え、前記複数の前記機能アダプタは、前記第1通信アダプタ、前記第2通信アダプタ、前記第3通信アダプタの順番で並ぶように前記分電盤に取り付けられることを特徴とする。
【0014】
この分電盤用内器において、前記第1通信アダプタは、電波を媒体とする無線通信と、電力線を媒体とする電力線搬送通信との少なくとも一方の通信が可能に構成されていることが好ましい。
【0015】
この分電盤用内器において、前記第2通信アダプタは、電波を媒体とする無線通信と、第2通信線を媒体とする有線通信との少なくとも一方の通信が可能に構成されていることが好ましい。
【0016】
この分電盤用内器において、前記第3通信アダプタは、前記外部装置から送信されたパルスを受信する機能と、前記外部装置との間でシリアル通信を行う機能との少なくとも一方の機能を有するように構成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の分電盤用内器ユニットは、前記分電盤用内器における複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみを備え、前記1つの前記機能アダプタには、前記複数の前記機能アダプタのうち残りの前記機能アダプタを着脱自在に結合させる結合部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明の分電盤は、前記分電盤用内器もしくは前記分電盤用内器ユニットと、前記分電盤用内器もしくは前記分電盤用内器ユニットを収納する分電盤用キャビネットとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の分電盤用内器は、電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備えている。また、本発明の分電盤用内器は、複数の前記機能アダプタが、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されている。よって、本発明の分電盤用内器においては、分電盤の機能の拡張性を高めることが可能で、且つ、作業性を向上させることが可能となる。
【0020】
本発明の分電盤用内器ユニットは、前記分電盤用内器における複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみを備えている。また、本発明の分電盤用内器ユニットは、前記1つの前記機能アダプタに、前記複数の前記機能アダプタのうち残りの前記機能アダプタを着脱自在に結合させる結合部が設けられている。よって、本発明の分電盤用内器ユニットにおいては、分電盤の機能の拡張性を高めることが可能で、且つ、作業性を向上させることが可能となる。また、本発明の分電盤用内器ユニットにおいては、本発明の分電盤用内器に比べて、分電盤の省スペース化および低コスト化を図ることが可能となる。
【0021】
本発明の分電盤は、前記分電盤用内器もしくは前記分電盤用内器ユニットと、前記分電盤用内器もしくは前記分電盤用内器ユニットを収納する分電盤用キャビネットとを備えている。よって、本発明の分電盤においては、分電盤の機能の拡張性を高めることが可能で、且つ、作業性を向上させることが可能な分電盤用内器もしくは分電盤用内器ユニットを備えた分電盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の分電盤用内器の概略構成図である。
【図2】本実施形態の分電盤用内器に関し、第1通信アダプタ、第2通信アダプタおよび第3通信アダプタの接続関係を示す説明図である。
【図3】本実施形態の分電盤の概略構成図である。
【図4】本実施形態の分電盤用内器の他の概略構成図である。
【図5】従来例の分電盤の概略図である。
【図6】本実施形態の分電盤用内器の変形例を示す概略構成図である。
【図7】本実施形態の分電盤用内器の変形例を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態の分電盤用内器10について、図1?図3を参照しながら説明する。
【0024】
分電盤用内器10は、図3に示すように、分電盤11の分電盤用キャビネット14内に、主幹ブレーカ12および複数の分岐ブレーカ13と併せて、収納されるものである。なお、以下では、本実施形態の分電盤11を説明した後に、本実施形態の分電盤用内器10を説明する。
【0025】
分電盤11は、例えば、合成樹脂により形成された箱状の分電盤用キャビネット14を備え、分電盤用キャビネット14内に、複数の内部機器(以下、「内器」という)が収納されている。
【0026】
分電盤用キャビネット14は、前面が開口した箱状(本実施形態では、矩形箱状)のボックス14aと、ボックス14aの上部前縁に回転自在に取り付けられボックス14aの前面を開閉自在に覆うカバー(図示せず)とを備えている。
【0027】
ボックス14aの内部には、複数の内器として、分電盤用内器10と、主幹ブレーカ12と、複数の分岐ブレーカ13とが収納されている。なお、本実施形態の分電盤11では、主幹ブレーカ12および複数の分岐ブレーカ13を構成要件として含まない。
【0028】
主幹ブレーカ12の一次側(電源側)には、電力系統から需要家の住戸内に引き込まれた主幹配線(図示せず)が接続され、主幹ブレーカ12の二次側(負荷側)は、導電バー(図示せず)により複数の分岐ブレーカ13と電気的に接続されている。なお、主幹ブレーカ12は、従来周知のものであり、詳細な説明を省略する。
【0029】
各分岐ブレーカ13の一次側(電源側)は、上記導電バーにより主幹ブレーカ12と電気的に接続されている。各分岐ブレーカ13の二次側(負荷側)には、住戸内に予め配線された分岐配線(図示せず)がそれぞれ接続され、各分岐配線には、第1電気機器(図示せず)が接続される。なお、各分岐ブレーカ13は、従来周知のものであり、詳細な説明を省略する。また、上記第1電気機器としては、例えば、通信機能を有する電気機器(例えば、エアコン等)を用いることができる。
【0030】
本実施形態の分電盤11では、ボックス14aの右側に、主幹ブレーカ12および複数の分岐ブレーカ13を取り付ける第1取付スペース9aが設けられている。また、分電盤 11では、ボックス14aの左側に、分電盤用内器10を取り付ける第2取付スペース9bが設けられている。なお、本実施形態では、分電盤用内器10を分電盤用キャビネット14内に取り付ける構成としているが、分電盤用内器10を分電盤用キャビネット14の外部に取り付ける構成としてもよい。
【0031】
分電盤用内器10は、図1に示すように、主幹ブレーカ12および各分岐ブレーカ13の電力を計測する電力計測用アダプタ1と、通信機能を有する電力計(図示せず)との間で通信可能な第1通信アダプタ2とを備えている。また、分電盤用内器10は、上記第1電気機器の動作を制御する第2電気機器(図示せず)との間で通信可能な第2通信アダプタ3と、上記第1電気機器および上記第2電気機器とは異なる外部装置との間で通信可能な第3通信アダプタ4とを備えている。上記第2電気機器としては、例えば、HEMS(Home Energy Management System)機器等を用いることができる。HEMS機器とは、例えば、電力会社からの情報(例えば、節電要請等)に基づいて上記第1電気機器の動作を制御するように構成された電気機器である。なお、節電要請とは、例えば、エネルギー需要のピーク時に上記第1電気機器の動作を制御するための要請を意味する。また、以下では、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3および第3通信アダプタ4それぞれを、機能アダプタ6と称することもある。
【0032】
また、分電盤用内器10は、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3および第3通信アダプタ4の各々に電力を供給する電源アダプタ5を備えている。
【0033】
電力計測用アダプタ1は、上記主幹配線に流れる電流を取得する第1電流センサ18を複数(図1では、2つ)備えている。また、電力計測用アダプタ1は、上記分岐配線に流れる電流を取得する第2電流センサ19を複数(図1では、3つ)備えている。第1電流センサ18および第2電流センサ19としては、例えば、カレントトランス等を用いることができる。なお、第1電流センサ18および第2電流センサ19は、従来周知のものであり、詳細な説明を省略する。
【0034】
電力計測用アダプタ1は、第1電流センサ18により上記主幹配線に流れる電流を取得し、上記主幹配線の電力(消費電力)を計測するように構成されている。また、電力計測用アダプタ1は、第2電流センサ19により上記分岐配線に流れる電流を取得し、上記分岐配線の電力(消費電力)を計測するように構成されている。
【0035】
電力計測用アダプタ1は、第1接続線15を介して分岐ブレーカ13の端子(速結端子)に接続される。また、電力計測用アダプタ1は、第2接続線16を介して第2通信アダプタ3に接続される。
【0036】
本実施形態の分電盤11では、分電盤用キャビネット14の内部に、複数の分岐ブレーカ13と電気的に接続された上記導電バーに流れる電流値を計測する計測器(図示せず)が複数(本実施形態では、2つ)収納されている。上記計測器としては、例えば、ロゴスキーコイルを備えた計測器等を用いることができる。
【0037】
電力計測用アダプタ1は、第3接続線(図示せず)を介して上記計測器と電気的に接続されている。本実施形態では、上記第3接続線の一端が、上記計測器に電気的に接続されている。また、本実施形態では、上記第3接続線の他端に第1連結部(図示せず)が設けられ、上記第1連結部が、電力計測用アダプタ1に予め設けられた第2連結部34と着脱自在に結合するように構成されている。これにより、電力計測用アダプタ1では、上記計測器により計測された電流値を、上記第3接続線により取得することが可能となる。
【0038】
また、分電盤用内器10では、電力計測用アダプタ1が、電源アダプタ5と一体に構成されている。要するに、複数の機能アダプタ6のうち1つの機能アダプタ6は、電力を計測する電力計測用アダプタ1であって、電力計測用アダプタ1は、電源アダプタ5と一体に構成されている。これにより、分電盤用内器10では、電力計測用アダプタ1と電源アダプタ5とを接続する接続部材が不要となり、施工の手間を省くことが可能となる。
【0039】
電源アダプタ5は、分岐ブレーカ13からの交流電圧(例えば、100〔V〕)を所定の第1直流電圧に変換する第1AC-DC変換回路(図示せず)を備えている。電源アダプタ5は、上記第1AC-DC変換回路により変換された所定の第1直流電圧を、第2接続線16を介して第2通信アダプタ3へ出力する。本実施形態では、上記所定の第1直流電圧を、例えば、4.2〔V〕に設定してある。
【0040】
また、電源アダプタ5は、分岐ブレーカ13からの上記交流電圧を所定の第2直流電圧に変換する第2AC-DC変換回路(図示せず)を備えている。電源アダプタ5は、上記第2AC-DC変換回路により変換された所定の第2直流電圧を、第4接続線37を介して第3通信アダプタ4へ出力する。本実施形態では、上記所定の第2直流電圧を、例えば、5〔V〕に設定してある。また、本実施形態では、第4接続線37の一端が、電源アダプタ5に電気的に接続されている。また、本実施形態では、第4接続線37の他端に第3連結部38が設けられ、第3連結部38が、第3通信アダプタ4に予め設けられた第4連結部35と着脱自在に結合するように構成されている。
【0041】
第1通信アダプタ2は、上記電力計との間で、電波を媒体とする無線通信と電力線を媒体とする電力線搬送通信との両方の通信が可能に構成されている。第1通信アダプタ2は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線通信を利用して無線通信を行うように構成されている。また、第1通信アダプタ2は、電力線により主幹ブレーカ12の一次側と電気的に接続され、主幹ブレーカ12の一次側に接続された上記主幹配線を介して上記電力計との間で電力線搬送通信を行うように構成されている。なお、本実施形態では、第1通信アダプタ2を、主幹ブレーカ12の一次側に接続しているが、主幹ブレーカ12の二次側に接続してもよい。また、第1通信アダプタ2は、無線通信と電力線搬送通信との両方の通信が可能に構成されているが、無線通信と電力線搬送通信との一方の通信が可能に構成されてもよい。すなわち、第1通信アダプタ2は、電波を媒体とする無線通信と、電力線を媒体とする電力線搬送通信との少なくとも一方の通信が可能に構成されてもよい。これにより、分電盤用内器10では、第1通信アダプタ2が、様々な上記電力計と通信を行うことが可能となり、分電盤用内器10の機能の拡張性を高めることが可能となる。
【0042】
第2通信アダプタ3は、上記第2電気機器との間で通信可能に構成されている。具体的に説明すると、第2通信アダプタ3は、上記第2電気機器との間で、電波を媒体とする無線通信と通信線を媒体とする有線通信との両方の通信が可能に構成されている。第2通信アダプタ3は、例えば、無線LAN通信を利用して無線通信を行うように構成されている。また、第2通信アダプタ3は、通信線(例えば、LANケーブル等)を利用して有線通信を行うように構成されている。なお、本実施形態では、第2通信アダプタ3は、無線通信と有線通信との両方の通信が可能に構成されているが、無線通信と有線通信との一方の通信が可能に構成されてもよい。すなわち、第2通信アダプタ3は、電波を媒体とする無線通信と、通信線を媒体とする有線通信との少なくとも一方の通信が可能に構成されてもよい。これにより、分電盤用内器10では、第2通信アダプタ3が、様々な上記第2電気機器と通信を行うことが可能となり、分電盤用内器10の機能の拡張性を高めることが可能となる。
【0043】
第3通信アダプタ4は、通信線を介してパルス発信器付のガスメータ(図示せず)やパルス発信式の流量計(図示せず)と電気的に接続される。上記ガスメータは、所定のガス使用量を計測する毎にパルスを第3通信アダプタ4へ送信する。上記流量計は、所定の水道使用量を計測する毎にパルスを第3通信アダプタ4へ送信する。よって、第3通信アダプタ4は、上記ガスメータや上記流量計からのパルスを受信することが可能となる。なお、上記ガスメータおよび上記流量計は、従来周知のものであり、詳細な説明を省略する。
【0044】
また、第3通信アダプタ4は、通信線を介して、発電装置(図示せず)、蓄電装置(図示せず)、電気自動車(図示せず)と電気的に接続される。上記発電装置としては、例えば、太陽光発電等を用いることができる。上記蓄電装置としては、例えば、リチウムイオン電池等を用いることができる。ここにおいて、上記発電装置および上記蓄電装置は、例えばパワーコンディショナ等の電力変換装置(図示せず)にそれぞれ電気的に接続されていてもよい。この場合は、上記電力変換装置を、第1通信線を介して第3通信アダプタ4と電気的に接続すればよい。なお、本実施形態では、上記ガスメータ、上記流量計、上記発電装置、上記蓄電装置、上記電気自動車および上記電力変換装置の各々が、上記外部装置に該当する。また、本実施形態では、第3通信アダプタ4と電気的に接続される通信線を、第1通信線と称し、第2通信アダプタ3と電気的に接続される通信線を、第2通信線と称する。
【0045】
第3通信アダプタ4は、上記外部装置との間で通信可能に構成されている。具体的に説明すると、第3通信アダプタ4は、上記ガスメータや上記流量計から送信されたパルスを受信する機能を有するように構成されている。また、第3通信アダプタ4は、上記電力変換装置や上記電気自動車との間でシリアル通信を行う機能を有するように構成されている。要するに、第3通信アダプタ4は、上記外部装置から送信されたパルスを受信する機能と、上記外部装置との間でシリアル通信を行う機能との両方の機能を有するように構成されている。本実施形態では、上記電力変換装置や上記電気自動車と第3通信アダプタ4との間の通信規格として、例えば、RS-485規格を用いている。なお、第3通信アダプタ4は、上記外部装置から送信されたパルスを受信する機能と、上記外部装置との間でシリアル通信を行う機能との両方の機能を有するように構成されているが、これに限らない。例えば、第3通信アダプタ4は、上記外部装置から送信されたパルスを受信する機能と、上記外部装置との間でシリアル通信を行う機能との一方の機能を有するように構成されていてもよい。すなわち、第3通信アダプタ4は、上記外部装置から送信されたパルスを受信する機能と、上記外部装置との間でシリアル通信を行う機能との少なくとも一方の機能を有するように構成されてもよい。これにより、分電盤用内器10では、第3通信アダプタ4が、様々な上記外部装置と第1通信線を媒体として通信を行うことが可能となり、分電盤用内器10の機能の拡張性を高めることが可能となる。
【0046】
分電盤用内器10では、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3および第3通信アダプタ4それぞれが、互いに着脱自在に結合されるように構成されている。
【0047】
電力計測用アダプタ1は、第1接続線15を介して分岐ブレーカ13の端子(速結端子)に接続される。また、電力計測用アダプタ1は、第2接続線16を介して第2通信アダプタ3に接続されている。本実施形態では、第2接続線16の一端が、電力計測用アダプタ1に電気的に接続されている。また、本実施形態では、第2接続線16の他端に第1コネクタ17aが設けられ、第1コネクタ17aが、第2通信アダプタ3に予め設けられた第2コネクタ17bと着脱自在に結合するように構成されている。
【0048】
第1通信アダプタ2は、図2に示すように、第2通信アダプタ3を着脱自在に結合させる第3コネクタ7を備えている。第3コネクタ7は、第1通信アダプタ2の第1回路基板(図示せず)に実装されており、この第1通信アダプタ2のケース2aから露出されている。また、第1通信アダプタ2は、上記電力線を電気的に接続可能な第1接続部28を備えている。第1接続部28は、上記第1回路基板に実装されており、第1通信アダプタ2のケース2aから露出されている。
【0049】
第2通信アダプタ3は、第1通信アダプタ2の第3コネクタ7と着脱自在に結合する第4コネクタ(図示せず)を備えている。上記第4コネクタは、第2通信アダプタ3の第2回路基板(図示せず)に実装されており、この第2通信アダプタ3のケース3aから露出されている。これにより、第2通信アダプタ3は、第1通信アダプタ2を着脱自在に結合することが可能となる。ここにおいて、第2コネクタ17bは、上記第2回路基板に実装されており、第2通信アダプタ3のケース3aから露出されている。
【0050】
第3通信アダプタ4は、図2に示すように、第2通信アダプタ3を着脱自在に結合させる第5コネクタ8を備えている。第5コネクタ8は、第3通信アダプタ4の第3回路基板(図示せず)に実装されており、この第3通信アダプタ4のケース4aから露出されている。また、第3通信アダプタ4は、上記外部装置に接続された第1通信線を電気的に接続可能な第2接続部29を備えている。第2接続部29は、上記第3回路基板に実装されており、第3通信アダプタ4のケース4aから露出されている。本実施形態では、第3通信アダプタ4が、第2接続部29を複数(図2では、2つ)備えているが、1つだけ備えていてもよい。
【0051】
第2通信アダプタ3は、第3通信アダプタ4の第5コネクタ8と着脱自在に結合する第6コネクタ(図示せず)を備えている。上記第6コネクタは、第2通信アダプタ3の上記第2回路基板に実装されており、第2通信アダプタ3のケース3aから露出されている。これにより、第2通信アダプタ3は、第3通信アダプタ4を着脱自在に結合することが可能となる。
【0052】
また、第2通信アダプタ3は、図2に示すように、上記第2電気機器に接続された第2通信線を電気的に接続可能な第3接続部30を備えている。第3接続部30は、第2通信アダプタ3の上記第2回路基板に実装されており、第2通信アダプタ3のケース3aから露出されている。
【0053】
分電盤用内器10では、第1通信アダプタ2と第2通信アダプタ3と第3通信アダプタ4とが、各コネクタにより着脱自在に結合されている。第1通信アダプタ2と第2通信アダプタ3と第3通信アダプタ4とは、いわゆる、BtoB(Board to Board)で結合されている。分電盤用内器10では、第1通信アダプタ2と第2通信アダプタ3と第3通信アダプタ4とを、例えば、第5接続線(図示せず)を用いて結合した場合に比べて、分電盤用内器10を分電盤用キャビネット14内に取り付ける作業性を向上させることが可能となる。また、分電盤用内器10では、第1通信アダプタ2と第2通信アダプタ3と第3通信アダプタ4とを、例えば、上記第5接続線を用いて結合した場合に比べて、分電盤用キャビネット14の小型化を図ることが可能となる。よって、分電盤用内器10では、分電盤11の省スペース化を図ることが可能となる。
【0054】
また、分電盤用内器10では、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3および第3通信アダプタ4が、互いに着脱自在に結合することが可能となっているので、分電盤用内器10を組み立てる作業性を向上させることが可能となる。また、分電盤用内器10では、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3および第3通信アダプタ4が、互いに着脱自在に結合することが可能となっているので、分電盤11の機能の拡張性を高めることが可能となる。また、分電盤用内器10では、必要最小限の機能を有する分電盤用内器10を構成することが可能となり、分電盤用内器10の低コスト化を図ることが可能となる。
【0055】
また、分電盤用内器10では、第1通信アダプタ2が、ボックス14a内において、第2通信アダプタ3よりも上側に配置されている。また、分電盤用内器10では、第3通信アダプタ4が、ボックス14a内において、第2通信アダプタ3よりも下側に配置されている。要するに、分電盤用内器10では、複数の機能アダプタ6が、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3、第3通信アダプタ4の順番で並ぶように分電盤11に取り付けられている。これにより、分電盤用内器10では、上記電力線、上記外部装置に接続された第1通信線を配線する作業性を向上させることが可能となる。よって、分電盤用内器10では、分電盤11における配線の作業性を向上させることが可能となる。
【0056】
また、分電盤用内器10では、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3および第3通信アダプタ4それぞれが、通信可能に構成されている。
【0057】
電力計測用アダプタ1は、第2接続線16を介して第2通信アダプタ3と通信可能に構成されている。本実施形態では、電力計測用アダプタ1と第2通信アダプタ3との間の通信規格として、例えば、シリアル通信を用いている。よって、電力計測用アダプタ1は、上記主幹配線および上記各分岐配線それぞれの電力(消費電力)を計測した結果を、第2通信アダプタ3へ送信することが可能となる。
【0058】
第1通信アダプタ2は、第3コネクタ7と上記第4コネクタとを介して、第2通信アダプタ3と通信可能に構成されている。具体的に説明すると、第1通信アダプタ2の上記第1回路基板の通信ライン(図示せず)は、第3コネクタ7と上記第4コネクタとを介して、第2通信アダプタ3の上記第2回路基板の通信ライン(図示せず)に接続されている。これにより、分電盤用内器10では、第1通信アダプタ2と第2通信アダプタ3とが通信可能となる。なお、第1通信アダプタ2と第2通信アダプタ3とは、上記各回路基板の上記通信ラインおよび各コネクタを利用して通信可能としているが、これに限らない。例えば、第1通信アダプタ2と第2通信アダプタ3とは、例えば、電波等を利用して通信可能としてもよい。
【0059】
第3通信アダプタ4は、第5コネクタ8と上記第6コネクタとを介して、第2通信アダプタ3と通信可能に構成されている。具体的に説明すると、第3通信アダプタ4の上記第3回路基板の通信ライン(図示せず)は、第5コネクタ8と上記第6コネクタとを介して、第2通信アダプタ3の上記第2回路基板の上記通信ラインに接続されている。これにより、分電盤用内器10では、第3通信アダプタ4と第2通信アダプタ3とが通信可能となる。よって、第3通信アダプタ4は、例えば、上記ガスメータや上記流量計から送信されたパルスを受信した後に、受信したパルスを第2通信アダプタ3へ送信することが可能となる。これにより、第2通信アダプタ3は、上記ガスメータや上記流量計から送信されたパルスに基づいて、ガスや水道の使用量を計測することが可能となる。なお、第3通信アダプタ4と第2通信アダプタ3とは、上記各回路基板の上記通信ラインおよび各コネクタを利用して通信可能としているが、これに限らない。例えば、第3通信アダプタ4と第2通信アダプタ3とは、例えば、電波等を利用して通信可能としてもよい。
【0060】
また、分電盤用内器10では、第2通信アダプタ3のみに、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3、第3通信アダプタ4それぞれを制御する制御部(図示せず)が設けられている。要するに、複数の機能アダプタ6のうち1つの機能アダプタ6(第2通信アダプタ3)のみに、各機能アダプタ6を制御する上記制御部が設けられている。これにより、分電盤用内器10では、各機能アダプタ6に制御部を設けた場合に比べて、分電盤用内器10の低コスト化を図ることが可能となる。上記制御部としては、例えば、マイクロコンピュータ等を用いることができる。
【0061】
ところで、分電盤用内器10では、電源アダプタ5の上記AC-DC変換回路により変換された上記所定の直流電圧が、第2接続線16を介して第2通信アダプタ3に供給される。すなわち、分電盤用内器10では、上記制御部が設けられた機能アダプタ6(第2通信アダプタ3)のみに、電源アダプタ5から電力が供給される。これにより、分電盤用内器10では、電源アダプタ5から各機能アダプタ6それぞれに電力が供給される場合に比べて、電源アダプタ5と各機能アダプタ6とを電気的に接続する電源線の数を減らすことが可能となる。よって、分電盤用内器10では、電源アダプタ5から各機能アダプタ6それぞれに電力が供給される場合に比べて、分電盤用内器10の低コスト化を図ることが可能となる。
【0062】
第2通信アダプタ3は、上記電力計からの上記情報が第1通信アダプタ2を介して入力されると、入力された上記情報を上記第2電気機器へ送信するように構成されている。これにより、上記第2電気機器は、上記電力計からの上記情報に基づいて、分電盤11から上記第1電気機器への電力供給を制御することが可能となる。本実施形態では、第2通信アダプタ3が、上記電力計からの上記情報が第1通信アダプタ2を介して入力された場合、入力された上記情報を上記第2電気機器へ送信するように構成しているが、これに限らない。例えば、本実施形態では、第2通信アダプタ3が、上記電力計からの上記情報が第1通信アダプタ2を介して入力された場合、上記情報に基づいて上記第1電気機器の動作を制御するように構成してもよい。
【0063】
ここにおいて、本実施形態の分電盤用内器10では、電源アダプタ5を、電力計測用アダプタ1と一体に構成しているが、これに限らない。例えば、電源アダプタ5は、図4に示すように、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3、第3通信アダプタ4それぞれと別体に構成してもよい。この場合は、電源アダプタ5と、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3および第3通信アダプタ4それぞれとを電気的に接続する電源線31が必要となる。また、この場合は、電力計測用アダプタ1と電源アダプタ5とを接続する信号線32が必要となる。また、この場合は、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3および第3通信アダプタ4それぞれに、上記制御部が必要となる。なお、図4中の矢印は、各機能アダプタ6が通信可能であることを表している。
【0064】
また、本実施形態の分電盤用内器10は、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3、第3通信アダプタ4および電源アダプタ5を備えているが、これに限らない。例えば、分電盤用内器は、電力計測用アダプタ1、第1通信アダプタ2、第2通信アダプタ3、第3通信アダプタ4および電源アダプタ5のうちいずれか1つの機能アダプタ6のみを備えていてもよい。本実施形態では、1つの機能アダプタ6のみを備えた分電盤用内器を、分電盤用内器ユニットと称する。
【0065】
本実施形態の分電盤用内器ユニットは、第2通信アダプタ3を備えている。この第2通信アダプタ3には、第1通信アダプタ2の第3コネクタ7と着脱自在に結合する上記第4コネクタが設けられている。また、第2通信アダプタ3には、第3通信アダプタ4の第5コネクタ8と着脱自在に結合する上記第6コネクタが設けられている。すなわち、第2通信アダプタ3には、第1通信アダプタ2および第3通信アダプタ4を着脱自在に結合させる結合部(上記第4コネクタおよび上記第6コネクタ)が設けられている。これにより、本実施形態の分電盤用内器ユニットでは、分電盤11の機能の拡張性を高めることが可能で、且つ、作業性を向上させることが可能となる。また、本実施形態の分電盤用内器ユニットでは、分電盤用内器10に比べて、分電盤11の省スペース化および低コスト化を図ることが可能となる。
【0066】
以上説明した本実施形態の分電盤用内器10は、電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤11の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタ6を複数備えている。各機能アダプタ6は、電力を供給する電源アダプタ5と電気的に接続されている。複数の機能アダプタ6は、互いに着脱自在に結合され、且つ、各機能アダプタ6間で通信可能に構成されている。これにより、分電盤用内器10では、分電盤11の機能の拡張性を高めることが可能で、且つ、作業性を向上させることが可能となる。
【0067】
また、本実施形態の分電盤用内器ユニットは、分電盤用内器10における複数の機能アダプタ6のうち1つの機能アダプタ6(第2通信アダプタ3)のみを備えている。1つの機能アダプタ6には、複数の機能アダプタ6のうち残りの機能アダプタ6(第1通信アダプタ2、第3通信アダプタ4、電力計測用アダプタ1)を着脱自在に結合させる結合部(上記第4コネクタ、記第6コネクタ、第2コネクタ17b)が設けられている。これにより、本実施形態の分電盤用内器ユニットでは、分電盤11の機能の拡張性を高めることが可能で、且つ、作業性を向上させることが可能となる。また、本実施形態の分電盤用内器ユニットでは、分電盤用内器10に比べて、分電盤11の省スペース化および低コスト化を図ることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態の分電盤11は、分電盤用内器10もしくは上記分電盤用内器ユニットと、分電盤用内器10もしくは上記分電盤用内器ユニットを収納する分電盤用キャビネット14とを備えている。これにより、分電盤11では、分電盤11の機能の拡張性を高めることが可能で、且つ、作業性を向上させることが可能な分電盤用内器10もしくは上記分電盤用内器ユニットを備えた分電盤11を提供することができる。
【0069】
上述したように、電源アダプタ5は、第2AC-DC変換回路(図示せず)により変換された所定の第2直流電圧を、第4接続線37を介して第3通信アダプタ4へ出力する。すなわち電源アダプタ5は、動作に必要な電力を第3通信アダプタ4に供給する。第4接続線37の一端は電源アダプタ5に電気的に接続されている。第4接続線37の他端にはプラグコネクタからなる第3連結部38が設けられ、第3連結部38が、第3通信アダプタ4に予め設けられたレセプタクルコネクタからなる第4連結部35と着脱自在に結合するように構成されている。
【0070】
分電盤11が第3通信アダプタ4を備えていない場合、第3連結部38は、第2通信アダプタ3の保持部36と着脱自在に結合することができるように構成されている。第2通信アダプタ3は、その前面において、第3通信アダプタ4が取り付けられる下側部分に保持部36を備えている。本実施形態では、保持部36は第2コネクタ17bの左側に配置されている。保持部36は、第4連結部35と同じレセプタクルコネクタからなり、分電盤11が第3通信アダプタ4を備えていない場合に第3連結部38を接続するために設けられている。分電盤11が第3通信アダプタ4を備えていない場合、第4接続線37は、保持部36と電源アダプタ5とによって両端を保持されているので、安定した状態で分電盤11内に収納される。尚、保持部36は、第4連結部35と同じタイプのレセプタクルコネクタに限定されず、第3連結部38を保持できる形状であればよく、例えば第3連結部38が挿入される孔や、第3連結部38を挟み込んで保持する適宜の形状であってもよい。また、保持部36は第3連結部38を保持すればよいので、第2通信アダプタ3の内部回路と電気的に接続されていなくてもよい。さらに保持部36は、第2通信アダプタ3の前面における下側部分に配置されることに限定されず、適宜の位置に配置されていてもよい。
【0071】
以上説明したように、第2通信アダプタ3は、第4接続線37(ケーブル)の第3連結部38(コネクタ)を保持する保持部36を備えている。第4接続線37(ケーブル)は、一端が電源アダプタ5に電気的に接続されていて他端には第3通信アダプタ4の第4連結部35(連結部)に着脱自在に結合される第3連結部38(コネクタ)を有する。第3連結部38(コネクタ)が第3通信アダプタ4の第4連結部35(連結部)に着脱自在に結合されると、第3通信アダプタ4と電源アダプタ5とが電気的に接続される。分電盤11が第3通信アダプタ4を備えていない場合、第4接続線37は、保持部36と電源アダプタ5とによって両端を保持されているので、安定した状態で分電盤11内に収納される。
【0072】
ここで、本実施形態の変形例について図6,7を参照して説明する。
【0073】
以下の説明では図6,7に示すx軸方向を左右方向、図6,7に示すy軸方向を上下方向、図7に示すz軸方向(図6の紙面と直交する方向)を前後方向として説明するが、実際の使用状態での方向を限定する趣旨ではない。
【0074】
変形例では、第2通信アダプタ3が外部の通信機器(図示せず)と電波を媒体とする無線通信を行うように構成されている。
【0075】
変形例の第2通信アダプタ3は、下側面に第2コネクタ17b、保持部36を備えている。
【0076】
図1及び図2に示した第2通信アダプタ3では、第2コネクタ17bには前方から第1コネクタ17aが接続され、保持部36には前方から第3連結部38が接続される。一方、変形例に示した第2通信アダプタ3では、第2コネクタ17b及び保持部36は、第2通信アダプタ3の下向きに設けられている。すなわち第2コネクタ17bには下方向から第1コネクタ17aが接続され、保持部36には下方向から第3連結部38が接続される。
【0077】
例えば分電盤11が天井付近等のように床から高い位置に設置されていても、作業者は第2通信アダプタ3の下方向から第1コネクタ17aや第3連結部38を接続することができるので、施工性が向上する。また、第1コネクタ17aや第3連結部38の着脱が容易になると着脱時にコネクタ部分やコネクタの保持部分に加わるストレスが軽減されるので、コネクタ部分やコネクタの保持部分の耐久性が向上する。
【0078】
ここで、第2通信アダプタ3が、外部の通信機器と通信ケーブル(図示せず)を媒体とする有線通信を行うように構成されている場合には、ケース3aの前面における下側部分に形成されている覆い部300の内側に第3接続部30が配置される。第3接続部30はコネクタを有していて第2通信アダプタ3内の第2回路基板に実装される。覆い部300の下側面には、第3接続部30が露出するように孔33が形成される。第3接続部30には通信ケーブル(例えばLAN(Local Area Network)ケーブル等)(図示せず)が接続される。
【0079】
例えば分電盤11が天井付近等のように床から高い位置に設置されていても、作業者は第2通信アダプタ3の下方向から第3接続部30に通信ケーブルを接続することができるので、施工性が向上する。また、通信ケーブルの着脱が容易になると着脱時にコネクタ部分やコネクタの保持部分に加わるストレスが軽減されるので、コネクタ部分やコネクタの保持部分の耐久性が向上する。
【0080】
変形例の第3通信アダプタ4は、前面に複数(変形例では4つ)の表示部40を備えている。
【0081】
表示部40は、第3通信アダプタ4の前面において、第3接続部30の下側領域を除いた領域に露出するように配置されている。変形例では、第3接続部30は第2通信アダプタ3の左側に設けられているので、表示部40は第3通信アダプタ4の右側の前面に配置されている。表示部40は例えばLED(Light Emitting Diode)を有している。表示部40は、第3通信アダプタ4が送受信している通信情報のうち、予め設定した任意の通信線の通信状態を表示する。表示部40は例えば、施工時に各種機器と通信が正常に行えるか否かの確認のために用いられる。表示部40は例えば、外部の通信機器(図示せず)と通信可能な状態になっている場合には点灯し、通信中の場合には点滅し、通信していない状態では消灯する等、適宜の表示方法で通信状態を表示する。表示部40は、第3接続部30の下方向に配置されていないので、第3接続部30に接続されている通信ケーブルによって表示部40が隠されにくくなり、表示部40の点灯状態が見やすくなる。
【符号の説明】
【0082】
1 電力計測用アダプタ
2 第1通信アダプタ
3 第2通信アダプタ
4 第3通信アダプタ
5 電源アダプタ
6 機能アダプタ
10 分電盤用内器
11 分電盤
12 主幹ブレーカ
13 分岐ブレーカ
14 分電盤用キャビネット
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、
複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、
前記電源アダプタは、複数の前記機能アダプタのいずれとも別体であることを特徴とする分電盤用内器。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみに、前記各機能アダプタを制御する制御部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の分電盤用内器。
【請求項4】
前記制御部が設けられた前記機能アダプタのみに、前記電源アダプタから電力が供給されることを特徴とする請求項3記載の分電盤用内器。
【請求項5】
電力を含むエネルギーを計測する機能、分電盤の外部の機器との間で通信する機能のうちいずれか1つもしくは複数の機能を有する機能アダプタを複数備え、前記各機能アダプタは、電力を供給する電源アダプタと電気的に接続され、
複数の前記機能アダプタは、互いに着脱自在に結合され、且つ、前記各機能アダプタ間で通信可能に構成されており、
複数の前記機能アダプタは、通信機能を有する電力計との間で通信可能な第1通信アダプタと、分電盤の外部の電気機器との間で通信可能な第2通信アダプタと、前記電気機器とは異なる外部装置との間で第1通信線を媒体として通信可能な第3通信アダプタとを備え、
前記複数の前記機能アダプタは、前記第1通信アダプタ、前記第2通信アダプタ、前記第3通信アダプタの順番で並ぶように前記分電盤に取り付けられることを特徴とする分電盤用内器。
【請求項6】
前記第1通信アダプタは、電波を媒体とする無線通信と、電力線を媒体とする電力線搬送通信との少なくとも一方の通信が可能に構成されていることを特徴とする請求項5記載の分電盤用内器。
【請求項7】
前記第2通信アダプタは、電波を媒体とする無線通信と、第2通信線を媒体とする有線通信との少なくとも一方の通信が可能に構成されていることを特徴とする請求項5または請求項6記載の分電盤用内器。
【請求項8】
前記第3通信アダプタは、前記外部装置から送信されたパルスを受信する機能と、前記外部装置との間でシリアル通信を行う機能との少なくとも一方の機能を有するように構成されていることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の分電盤用内器。
【請求項9】
請求項1、および請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の前記分電盤用内器における複数の前記機能アダプタのうち1つの前記機能アダプタのみを備え、
前記1つの前記機能アダプタには、前記複数の前記機能アダプタのうち残りの前記機能アダプタを着脱自在に結合させる結合部が設けられていることを特徴とする分電盤用内器ユニット。
【請求項10】
請求項1、および請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の分電盤用内器もしくは請求項9記載の分電盤用内器ユニットと、前記分電盤用内器もしくは前記分電盤用内器ユニットを収納する分電盤用キャビネットとを備えていることを特徴とする分電盤。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-12-20 
出願番号 特願2014-72461(P2014-72461)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (H02B)
P 1 652・ 121- YAA (H02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関 信之  
特許庁審判長 大町 真義
特許庁審判官 井上 信
小関 峰夫
登録日 2018-06-15 
登録番号 特許第6350937号(P6350937)
権利者 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明の名称 分電盤用内器、分電盤用内器ユニット、分電盤  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
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