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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1360320
審判番号 不服2019-4901  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-12 
確定日 2020-03-05 
事件の表示 特願2017-237147「防眩フィルム並びにその製造方法及び用途」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月27日出願公開、特開2019-105693〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
特願2017-237147号(以下、「本件出願」という。)は、平成29年12月11日を出願日とする特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成30年12月 5日付け:拒絶理由通知書
平成31年 1月22日 :意見書、手続補正書の提出
平成31年 1月31日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
平成31年 4月12日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成31年4月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年4月12日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前、すなわち、平成31年1月22日付けの手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含み、透過光の色度b^(*)の絶対値が15以下であり、かつヘイズが30%以上である防眩フィルムであって、前記防眩層が、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物であり、かつ前記ポリマー成分及び前記硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分が、湿式スピノーダル分解により相分離可能である防眩フィルム。」

(2) 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含み、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下であり、かつヘイズが30%以上である防眩フィルムであって、前記防眩層が、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物であり、前記ポリマー成分及び前記硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分が、湿式スピノーダル分解により相分離可能であり、かつ前記硬化樹脂前駆体成分が、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む防眩フィルム。」

2 補正の適否について
本件補正は、[A]本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「透過光の色度b^(*)の絶対値」について、「15以下であり」とあるのを、本件出願の出願当初の明細書の請求項2、【0010】、【0017】等の記載に基づいて、「3以下であり」としその数値範囲(上限)を限定するとともに、[B]本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「硬化樹脂前駆体成分」について、本件出願の出願当初の明細書の請求項7、【0010】、【0057】等の記載に基づいて、「シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む」ものに限定するものである。そして、本件補正前の請求項1に記載される発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である(【0001】及び【0008】)。
なお、本件補正は、請求項5に記載された発明を、上記[A]の点において減縮して請求項1に記載された発明としたものとも解することも可能であるが、いずれにせよ、本件補正は、同条第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とした補正を含むものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合するとともに、同条第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正後発明」という。)が、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1) 本件補正後発明
本件補正後発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。

(2) 引用文献及び引用発明
ア 引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用され、本願出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2010-122560号公報(以下、同じく「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア) 「【技術分野】
【0001】
本発明は防眩性に優れた光学シートの製造方法及び該方法により得られる光学シートに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の表面に用いる光学シートとして、基材の観察者側の面に防眩性を有する機能層が積層されたものが知られている。このような防眩性を付与するためには、表面層に凹凸形状を付与したり、表面層を形成する樹脂に拡散粒子を含有させるなどの方法がとられる。このような拡散粒子は、表面層を形成する樹脂とは完全に相溶することがないため、これらを用いた光学シートは可視光を拡散する作用を有する。また、表面層の凹凸も同様に可視光を拡散する作用を有する。
【0003】
本発明では、上記のような可視光の拡散を生じさせるものを拡散要素と定義するが、このような拡散要素によって防眩性が付与される。そして、従来から、防眩性を評価する方法として、ヘイズ値や内部ヘイズと総ヘイズの比が一般に用いられてきた。すなわち、光学シートの製造過程において、ヘイズ値を制御することで、所望に応じた防眩性を有する光学シートを製造し得ると考えられていた・・・略・・・。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同じヘイズ値であっても防眩性が異なる場合が多く見られ、ヘイズ値及び内部ヘイズと総ヘイズの比を指標としての製造では、必ずしも良好な光学シートを安定に生産することはできないことがわかった。
本発明はこのような状況下、防眩性の高い光学シートを安定して供給する製造方法及び防眩性の高い光学シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
・・・略・・・
【0007】
・・・略・・・
本発明者らは、これらの知見を基に鋭意検討した結果、拡散による輝度分布の概念を加えることで、従来のヘイズ値では評価し得なかった防眩性の評価が簡便に行えることを見出した。より具体的には、拡散正反射方向を中心にして、特定の角度範囲の拡散反射強度の総和を用いることで、防眩性の評価を簡便に行い得ること、及び光学シートの製造過程において、これを指標として、材料の特定、製造条件などを制御することで、防眩性の高い光学シートを効率よく、且つ安定して製造し得ることを見出した。本発明はこれらの知見を基に完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、基材の少なくとも一方の面に機能層を有し、該機能層の最表面及び/又は内部に拡散要素を有する光学シートの製造方法であって、下記式(I)の関係を有するように製造条件を制御することを特徴とする表示素子表面に用いる光学シートの製造方法を提供するものである。
R/V<0.76 (I)
R(拡散正反射強度);拡散正反射方向の強度
V;光学シートに可視光線を照射した際の拡散正反射方向に対して-θ度?+θ度まで1度ごとに測定した拡散反射強度の総和
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来のヘイズ値では評価し得なかった防眩性の評価が簡便に行え、防眩性の高い光学シートを効率よく製造する方法を提供することができる。」

(イ) 「【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の光学シートの製造方法は、基材の少なくとも一方の面に機能層を有し、該機能層の最表面及び/又は内部に拡散要素を有する表示素子表面に用いる光学シートの製造方法であって、R/V<0.76の関係を有するように製造条件等を制御することを特徴とする。
以下、図3を用いて、R及びVの測定方法について説明する
図3に示すように、光学シート1に4の方向から可視光線を照射すると、5の方向に拡散正反射されるとともに、一部の光が拡散される。この5の方向が拡散正反射方向であり、拡散正反射方向における光の強度が、拡散正反射強度Rと定義される。なお、後に記載するように、裏面反射を抑制し、実使用時の条件とあわせるために、基材2の裏面には接着剤を介して黒色のアクリル板などの可視光線吸収材8を貼付する。
【0011】
次に、拡散正反射方向に対して、図3に示す-θ度?+θ度までの拡散反射強度を1度ごとに測定した総和がVである。測定範囲を決定するθについては、その角度範囲が大きい方がより測定精度が高くなるが、通常は45度程度で十分な測定精度が得られる。なお、入射光の角度を変えることで、θの最大測定範囲を変えることができる。
そして、光学シートの製造過程において、R/Vを指標として、材料の選定、製造条件の制御などを行い、上記式(I)を満足する光学シートを得るものである。
なお、拡散反射強度の測定は、具体的には以下のように測定する。
【0012】
(拡散反射強度の測定方法)
光学シートの裏面(表面層を有さない面、観察者側と反対側の面)を、透明粘着剤を介して凹凸や反りのない平坦な黒アクリル板に貼付して評価用サンプルを作製する。なお、ここで用いる黒色のアクリル板は、上述のように裏面反射を防止するためのものであり、光学シートの裏面に空気層を有さないように、かつ可視光を吸収し得るものであれば、特に制限はない。例えば、製造ラインにおいて測定する場合などでは、光学シートの検査用部分の裏面に黒色塗料を塗布する等の方法によりオンラインで測定することも可能である。
次に、評価用サンプルを測定装置に設置し、評価用サンプルの光学シート側の面に対し面の法線から45度の角度より光束を入射する。光束が評価用サンプルの光学シート面に入射し拡散反射した光を、拡散正反射方向に対し-θ度?+θ度までの範囲で、1度ごとに受光器を走査することにより拡散反射強度を測定する。なお、入射光の正反射方向である45度を拡散正反射方向と定義する。また、拡散反射強度を測定する装置については、特に制限はないが、本発明においては、日本電色工業(株)製「GC5000L」を使用した。
【0013】
光学シートの拡散反射強度の総和に対する拡散正反射強度の比が防眩性を決定する理由を、概念図である図4を用いて説明する。
図4中のaなる拡散反射強度分布を持つ透明基板に、bなる拡散反射強度分布を持つ表面層を積層すると、0度(拡散正反射方向)に近いほど拡散反射強度の減少割合は大きいので、0度に近いほど強度の低下が大きいこととなり、cなる拡散反射強度分布を持つ光学シートとなる。即ち、反射強度分布が広がると正反射強度Rは小さい値を示し、反射強度分布が狭くなると正反射強度Rは大きくなる。また、拡散角度が0度に近いほど強度分布の変化は大きいので、拡散角が大きくなるほど反射強度の総和は小さくなる。すなわち、R/Vは光学シートの拡散反射強度の大きさと正反射の関係を示す指標となるためであると類推している。
【0014】
本発明の製造方法では、下記式(I)を指標として制御することが特徴である。
R/V<0.76 (I)
R/Vが0.76未満となるように製造することによって、防眩性に優れた光学シートを得ることができる。より良好な防眩性を得るとの観点からは、R/Vは0.36未満であることが好ましく、0.32未満であることがさらに好ましい。
【0015】
本発明におけるR/V<0.76を達成するには、内部拡散要素及び外部拡散要素によって反射輝度分布及び強度を調整することによって達成できる。
内部拡散要素によって反射輝度分布及び強度を調整する方法として、機能層を構成する樹脂に透光性無機粒子及び/又は透光性有機粒子(以下、単に「透光性粒子」と記載することがある。)を分散させる方法がある。さらには、機能層を構成する透明樹脂、透明樹脂に分散される透光性粒子の形状、分散状態、粒子径、添加量、屈折率等を制御することにより行い得る。また、透明樹脂に添加し得る透光性粒子以外の添加剤の濃度等も前記内部拡散要素による拡散反射強度に影響を与える。
【0016】
一方、外部拡散要素によって拡散反射強度を調整する方法としては、例えば、
・・・略・・・
(2)電離放射線硬化性樹脂など機能層を構成する樹脂の硬化収縮により表面に凹凸を形成する方法、
(3)透光性微粒子を前記表面層から突出固化させて表面に凹凸を形成する方法、
・・・略・・・
上記(2)の方法は、滑らかな表面を持つ微細な凹凸が得られることからギラツキ防止に有効であり、また上記(3)の方法は、透光性粒子と透明樹脂の選定、塗膜の厚さ、溶剤の選定、乾燥条件、基材への浸透性等により性能調整ができるため、プロセスが短くかつ作業が単純となり、低コストで製造できる点で有効である。
なお、凹凸表面に設ける反射防止層や、防汚層、ハードコート層、帯電防止層等の機能層も前記外部拡散要素による拡散反射強度に影響を与えるものである。具体的には、凹凸表面に他の機能層を設けて2層構成とすることで、表面凹凸を緩やかにし、表面拡散を抑制することができる。なお、前記他の機能層の塗膜の厚さを厚くすることで、表面凹凸を緩やかにしたり、塗布液組成、塗布及び乾燥条件等によっても表面拡散を制御することができる。
【0017】
上述の外部拡散要素を得るための方法の(3)は、用いる透光性微粒子の種類によっては、外部拡散と内部拡散を同時に付与することができ、製造プロセスを簡略化できるという点で好適な方法である。
一方、上記(3)以外の方法を用いる場合には、外部拡散要素によって拡散反射強度を調整する方法と内部拡散要素によって拡散反射強度を調整する方法を、別個独立に設計することができるため、防眩性以外の、解像度、ギラツキ、コントラスト等の光学性能の調整が容易となる点で好ましい。しかも、用いる樹脂の光学性能を考慮することなく、外部拡散要素によって拡散反射強度を調整することができるため、表面樹脂のハードコート性、防汚性、帯電防止性等の物理性能を発揮する樹脂の選定が容易である。
【0018】
[透光性粒子]
透明樹脂に分散される透光性粒子の好ましい範囲について、以下詳細に記載する。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよいし、有機粒子と無機粒子を混合して使用してもよい。
本発明の光学シートにおいて、用いる透光性粒子の平均粒径は、0.5?20μmの範囲が好ましく、より好ましくは1?10μmである。この範囲内であれば、内部拡散及び/又は外部拡散による拡散反射強度分布を調整することが可能である。特に、透光性粒子の平均粒径が0.5μm以上であると、粒子の凝集が過度にならず、凹凸形成の調整が容易になり、20μm以下であると、ギラツキやざらついた画像が出にくいために、拡散反射強度分布を設計する上での自由度が確保される。
【0019】
また、透光性粒子の粒径のばらつきが少ないほど、散乱特性にばらつきが少なく、拡散反射強度分布設計が容易となる。より具体的には、重量平均による平均径をMV、累積25%径をd25、累積75%径をd75としたとき(d75-d25)/MVが0.25以下であることが好ましく、0.20以下であることが更に好ましい。なお、累積25%径とは、粒径分布における粒径の小さい粒子からカウントして25質量%となったときの粒子径をいい、累積75%径とは、同様にカウントして75質量%となったときの粒子径をいう。
・・・略・・・
【0020】
さらに、機能層を構成する透明樹脂と透光性粒子の屈折率差が0.01?0.25であることが好ましい。屈折率差が0.01以上であると、防眩性シートにおけるギラツキを抑制することができ、0.25以下であると拡散反射強度分布設計が容易となる。以上の観点から、該屈折率差は0.01?0.2が好ましく、0.02?0.15であることがより好ましい。
・・・略・・・
【0022】
透光性有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリアクリル-スチレン共重合体粒子、・・・略・・・等が用いられる。
また、透光性無機粒子としては、シリカ粒子、・・・略・・・等が挙げられる。
【0023】
また、屈折率、粒径分布が同一な透光性微粒子であっても、透光性粒子の凝集の程度により拡散反射強度分布は異なるので、凝集状態の異なる2種類以上の透光性粒子を組み合わせて使用したり、シランカップリング処理の条件の異なる2種以上の無機粒子を用いることで凝集状態を変えて拡散反射強度分布を調整することができる。
なお、透光性粒子の凝集防止には、可視光線の波長以下の粒子径、例えば50nm以下程度の粒子径を有するシリカなどを添加する方法が好適に挙げられる。
【0024】
また、内部拡散の効果を得るためには、可視光線の波長以上の粒子径を有するシリカなどの不定形透光性粒子が有効である。球状粒子に比べて、不定形粒子は反射拡散角度の分布を広くする作用があるためである。しかしながら、不定形透光性粒子は内部反射分布も広くするので、塗膜の拡散性に影響を及ぼし、拡散反射強度の調整が困難となる場合があるので、広い反射拡散を得たい場合等必要に応じて添加することが好ましい。より具体的には、不定形透光性粒子を、球状粒子と不定形透光性粒子との合計量に対して、4質量%未満の範囲内で添加することが好ましい。
【0025】
透光性粒子は、透明樹脂(固形分)中に1?30質量%含有されるように配合されることが好ましく、2?25質量%の範囲がより好ましい。1質量%以上であると、十分な防眩性や光拡散性を生じさせることができ、良好な視認性を得ることができる。一方、30質量%以下であると、解像性を低下させず画像がぼけることがない。
【0026】
[透明樹脂]
機能層を構成する透明樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができる。機能層を形成するには、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を基材に塗布し、該樹脂組成物中に含まれるモノマー、オリゴマー及びプレポリマーを架橋及び/又は重合させることにより形成することができる。
モノマー、オリゴマー及びプレポリマーの官能基としては、電離放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
【0027】
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられる。
また、プレポリマー及びオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、・・・略・・・等が挙げられる。
モノマーとしては、スチレン、α‐メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸‐2‐エチルヘキシル、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマー;・・・略・・・などが挙げられる。
【0028】
また、バインダーとして、ポリマーを上記樹脂組成物に添加して用いることも可能である。ポリマーとしては、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられる。ポリマーを添加することで、塗液の粘度調整が可能であり、このことによって、塗工を容易にするとともに、粒子の凝集による凹凸形成の調整が容易になるといった利点がある。
・・・略・・・
【0029】
また、透明樹脂として、相分離可能な複数の樹脂を用いることでも内部拡散要素による拡散反射強度を調整することが可能である。すなわち、上記したプレポリマー、オリゴマー、モノマー、及びポリマーにおいて、相溶性成分と非相溶性成分とを混合して使用することで、前記内部拡散要素による拡散反射強度を調整することも可能である。例えば、一方の樹脂がスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体等)である場合、他方の樹脂はセルロース誘導体(セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステルなど)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂などが好適に挙げられる。また、一方の樹脂がセルロース誘導体(セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステルなど)である場合、他方の樹脂は、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体等)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂などが好適に挙げられる。
組み合わせる樹脂の比率(質量比)は、1/99?99/1の範囲から選択でき、5/95?95/5の範囲が好ましく、10/90?90/10の範囲がさらに好ましく、20/80?80/20の範囲、特には30/70?70/30の範囲が好ましい。
【0030】
さらには、前記プレポリマー、オリゴマー及びモノマーとして、重合収縮が大きいものを用いることで前記外部拡散要素による拡散反射強度を調整することも可能である。重合収縮が大きいほど、表面の凹凸が大きくなり、拡散反射強度分布が広くなる。
【0031】
また、上記放射線硬化性樹脂組成物には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能とするために溶剤を用いる。該溶剤は、用いる溶剤の種類によって、塗布、乾燥の工程により塗膜の表面状態が異なるため、外部拡散による反射強度分布を調整し得ることを考慮して、適宜選択することが好ましい。具体的には、飽和蒸気圧、基材への浸透性等を考慮して選定される。
【0032】
本発明の製造方法において、機能層を形成するための樹脂組成物は、透明樹脂としての電離放射性硬化性樹脂、透光性粒子、及び溶媒を含有することが好ましい。ここで、該樹脂組成物は、基材に含浸する溶剤(以下「浸透性溶剤」ということがある。)及び/又は基材に含浸する電離放射線硬化性樹脂と、基材に含浸しない溶剤及び/又は基材に含浸しない電離放射線硬化性樹脂とを含むことが好ましい。基材への含浸量を調整することによって、機能層の厚さを制御することができ、結果として拡散反射強度を調整できるためである。
さらに詳細には、基材への含浸量と透光性粒子の大きさによって、拡散反射強度を制御することができる。具体的には、溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂(以下「溶剤等」と表記する場合がある。)の基材への含浸量が小さく、かつ透光性粒子が小さい場合には、溶剤等の中に大部分の粒子が埋め込まれた形で機能層が形成されるが、透光性粒子が凝集しやすくなることから、表面の凹凸は比較的大きいものになる。一方、基材への含浸量の大きい溶剤等と小さい粒径の透光性粒子を組み合わせて用いた場合には、透光性粒子の凝集が少なくなるため、表面の凹凸は比較的小さいものになる。
また、基材への含浸量の大きい溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂と大きい粒径の透光性粒子を組み合わせて用いた場合には、機能層の厚さが薄くなるために、透光性粒子が機能層から突出する形となり、透光性粒子に起因する表面凹凸が得られる。これに対し、基材への含浸量の小さい溶剤等と大きい粒径の透光性粒子を組み合わせて用いた場合には、機能層の厚さが厚くなるために、透光性粒子の表面への突出が抑制され、表面の凹凸は比較的小さいものになる。
このように、溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂の基材への含浸量を調整し、これと透光性粒子の粒径を組み合わせて制御することで、種々の大きさの表面凹凸形状を形成させることができる。
特に、基材がセルロース系樹脂からなる場合に本手法は有効である。
【0033】
さらに、上記溶剤として、1種類を単独で又は、常温・常圧における沸点の異なる2種以上の溶剤を含むことができる。2種以上の溶剤を用いることで、溶剤の乾燥速度を多様に制御することができる。乾燥速度が速いと、粒子の凝集が十分に起こる前に、揮発して溶剤が減少し粘度が高くなるため、それ以上の凝集が進まなくなる。したがって、乾燥速度を制御することは、透光性粒子の粒径を制御することになり、上述のように、溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂の基材への浸透度との関係で、拡散反射強度を制御することにつながる。
具体的な溶剤としては、上記観点から適宜選択することができるが、具体的には、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンなどのケトン類が好適に挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。芳香族系溶剤の少なくとも1種とケトン類の少なくとも1種を混合して使用することが好ましい。その他、乾燥速度を制御するために、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類やセロソルブアセテート類、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類を混合してもよい。
【0034】
本発明にかかる光学シートにおいて、透明樹脂中に透光性粒子以外の添加剤が、必要に応じて配合される。例えば、硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を添加することができる。
無機粒子としては、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン等の金属やZrO_(2)、TiO_(2)、Al_(2)O_(3)、In_(2)O_(3)、ZnO、SnO_(2)、Sb_(2)O_(3)、ITO、ATO、SiO_(2)等の金属酸化物が挙げられる。その他カーボン、MgF、珪素、BaSO_(4)、CaCO_(3)、タルク、カオリンなどが含まれる。
該無機粒子の粒径は、拡散反射強度分布への影響を少なくするために、機能層を塗工する際の樹脂組成物中でなるべく微細化されていることが好ましく、平均粒径が100nm以下の範囲であることが好ましい。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわない光学シートを形成できる。・・・略・・・
【0035】
また本発明では、凝集防止効果及び沈降防止効果、その他、レベリング性などの特性の向上のため、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤、好ましくはパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
さらに、本発明では防汚剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することができる。
【0036】
本発明の光学シートに用いられる基材としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、通常光学シートに用いられるものであれば特に限定は無い。
透明樹脂フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)、・・・略・・・環状ポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、・・・略・・・等が使用できる。特に、本発明の光学シートを偏光板とともに用いる場合では、偏光を乱さないことからTACフィルム、環状ポリオレフィンフィルムが、機械的強度と平滑性を重視する場合は、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルムが好ましい。
・・・略・・・
【0038】
本発明の製造方法により製造される光学シートは優れた防眩性を有する。防眩性については、好ましくは後述するハードコート性を付与することのできる透明樹脂に、防眩性を付与するための透光性粒子、及び溶媒を含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸が形成されるものであることが好ましい。防眩性の評価は次の方法により行う。
(防眩性の評価方法)
平坦な黒アクリル板に光学シートを貼付することにより測定サンプルを作製する。測定サンプルの法線方向に対し15度の方向から光源を入射し、鏡面方向の位置に設置したCCDカメラにより光源の反射像を撮影し、反射光の最大ピーク強度を求める。この測定を、大きさの異なる2つの光源で行い、大きい光源で測定したときの反射光ピーク強度値をP_(L)、小さい光源で測定したときの反射光ピーク強度値をP_(S)としたとき、以下の式(IV)により防眩性を評価する。
50×log(P_(L)/P_(S)) (IV)
この数値が大きいほど防眩性が高いことを表す。この評価では、20以上であることが好ましく、40以上であることがさらに好ましく、60以上であることが特に好ましい。
また、平坦な黒アクリル板に光学シートを貼付することにより測定サンプルを作製し、900ルクス程度の光源を、例えば、15度の角度で写し込んで、正反射方向から見たぼやけ具合を目視にて評価してもよい。
【0039】
また、本発明にかかる光学シートには防眩性以外に、ハードコート性、反射防止性、帯電防止性、防汚性等の機能を持たせることが可能である。
・・・略・・・
【0043】
以下、本発明の光学シートの製造方法について詳細に記載する。本発明では、上述のように、式R/V<0.76を指標として、これを満足するように、製造条件を制御することが肝要である。
本発明の光学シートは、基材に機能層を構成する樹脂組成物を塗布して製造する。塗布の方法としては、種々の方法を用いることができ、例えば、・・・略・・・ロールコート法、・・・略・・・、グラビアコート法、ダイコート法、・・・略・・・等の公知の方法が用いられる。
本発明においては、塗布量により反射拡散輝度特性が変化するので、機能層の厚さを1?20μmの範囲で安定して得やすいロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
【0044】
前記の方法のいずれかで塗布した後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンに搬送され各種の公知の方法で溶剤を乾燥する。ここで固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、表面凹凸形状のプロファイルによる外部拡散及び前記透光性粒子や前記添加剤による内部拡散を調整できる。特に、乾燥条件の選定によって反射拡散輝度特性を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30?120℃、乾燥風速では0.2?50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整することで反射拡散輝度特性を調整することができる。
より具体的には、乾燥温度を高くすることで、樹脂及び溶剤の基材への浸透性が向上する。すなわち、乾燥温度を制御することで、樹脂及び溶剤の基材への浸透性を制御することができ、上述したように、透光性粒子の粒径との関係で、拡散反射強度を制御することにつながる。
例えば、機能層を形成するための樹脂組成物が、透明樹脂、透光性粒子及び溶剤からなり、透明樹脂の浸透性を有する成分の屈折率が透光性粒子の屈折率より低く、レべリング性及び透光性粒子の沈降や凝集が同程度の場合には、硬化までの乾燥時間が長くなると、透明樹脂中の低屈折成分が基材に浸透し、透明樹脂の屈折率が上昇して、透光性粒子との屈折率差が減少する。一方、透明樹脂に対する透光性粒子の割合が増加するため、透光性粒子が表面に突出しやすくなり、表面凹凸が発現しやすくなる。従って、乾燥時間が長くなることにより、内部拡散は小さくなると同時に、外部拡散が大きくなる。なお、この浸透性を利用することによりアンカー効果による基材と機能層の密着性や、基材と機能層との屈折率差が0.03以上で顕著となる干渉縞の発生を防止することも可能となる。これは、透明樹脂中の低屈折成分が基材に浸透して生じた浸透層が、基材と機能層の間に屈折率が連続的に変化する屈折率調整層としての機能を発現し、界面を解消する作用を有するためである。
【0045】
また、乾燥速度を早くすることで、透光性粒子の凝集時間が短くなるため凝集が進まず、実質的に作用する透光性粒子の粒径は小さくなったと同様な作用を呈することとなる。すなわち、乾燥速度を制御することで、実質的に作用する透光性粒子の粒径を制御することができ、やはり上述したように、溶剤及び/又は電離放射線硬化性樹脂の基材への浸透度との関係で、拡散反射強度を制御することにつながる。」

(ウ) 「【実施例】
【0046】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
1.拡散反射強度の測定
各製造例にて作製された光学シートについて、明細書本文中に記載の方法により測定した。
2.ヘイズの測定
各製造例にて作製された光学シートについて、(株)村上色彩技術研究所製「ヘイズメーターHM-150」で測定した。なお、光学シートの観察者側の面に各製造例で用いた透明樹脂を塗布し平滑化して測定した値を内部ヘイズとした。
3.防眩性
各製造例にて作製された光学シートについて、平坦な黒アクリル板に光学シートを貼付することにより測定サンプルを作製し、900ルクスの光源を、15度の角度で写し込んで、正反射方向から見たぼやけ具合を目視にて評価した。評価1が最も防眩性が悪く、評価5が最も防眩性が良好である。
【0047】
製造例1
基材としてトリアセチルセルロース(富士フィルム(株)製、厚さ80μm)を用意した。透明樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)を用い(屈折率1.51)、これに透光性粒子として、ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.05)及びスチレン-アクリル共重合粒子(屈折率1.56、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.04)を、透明樹脂100質量部に対して、各々18.5及び3.5質量部含有させた。これに溶剤としてトルエン(沸点110℃)とシクロヘキサノン(沸点156℃)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合して得られた樹脂組成物を、前記基材に塗工し、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させた。その後、紫外線を照射して(窒素雰囲気下にて200mJ/cm^(2))透明樹脂を硬化させ、光学シート(防眩シート)を作製した。塗膜厚は3.5μmとした。この光学シートに関し、上記方法にて評価した結果を第2表に示す。
【0048】
製造例2?7及び製造例10?18
製造例1において、基材の種類、透明樹脂の種類、透光性粒子の種類及び含有量、溶剤の種類及び含有量、乾燥条件、及び塗膜厚を第1表に記載するように変化させて光学シート(防眩シート)を作製した。それぞれの光学シートに関し、製造例1と同様に評価した結果を第2表に示す。
・・・略・・・
【0051】
【表1】

【0052】
A;ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.05)
B;スチレン-アクリル共重合粒子(屈折率1.56、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.04)
C;スチレン-アクリル共重合粒子(屈折率1.51、平均粒径9.0μm、(d75-d25)/MVが0.04)
D;不定形シリカ(屈折率1.45、平均粒径1.5μm、(d75-d25)/MVが0.6)
E;不定形シリカ(屈折率1.45、平均粒径2.5μm、(d75-d25)/MVが0.8)
F;メラミン粒子(屈折率1.66、平均粒径2.0μm、(d75-d25)/MVが0.2)
P;ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)(屈折率1.51)
Q;ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51)
X;トルエン(沸点110℃)とメチルイソブチルケトン(沸点116℃)の混合物(質量比8:2)
Y;トルエン(沸点110℃)とシクロヘキサノン(沸点156℃)の混合物(質量比7:3)
【0053】
【表2】

・・・略・・・
【0054】
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の光学シートの製造方法によれば、従来のヘイズ値では評価し得なかった防眩性の評価が簡便に行え、防眩性の低下の少ない光学シートを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
・・・略・・・
【図3】本発明における拡散反射強度の測定方法を示す概念図である。
【図4】本発明の評価方法の原理を説明する概念図である。
【図5】R/Vと防眩性の相関を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1.光学シート
2.基材
3.表面層
4.光束の入射方向
5.拡散正反射方向
6.機能層(防眩層)
7.透光性粒子
8.可視光吸収材料(黒色のアクリル板)」

(エ) 「【図3】



(オ) 「【図4】



イ 引用発明1
(ア) 引用文献3の【0010】の記載によれば、引用文献3における「本発明」の「光学シートの製造方法」は、「基材の少なくとも一方の面に機能層を有し、該機能層の最表面及び/又は内部に拡散要素を有する表示素子表面に用いる光学シートの製造方法であって、R/V<0.76の関係を有するように製造条件等を制御することを特徴とする」ものである。

(イ) 引用文献3の【0048】によれば、引用文献3における「本発明」の「実施例」である「製造例2?7及び製造例10?18」は、「製造例1において、基材の種類、透明樹脂の種類、透光性粒子の種類及び含有量、溶剤の種類及び含有量、乾燥条件、及び塗膜厚を第1表に記載するように変化させて光学シート(防眩シート)を作製した」ものである。
ここで、引用文献3の【0047】によれば、「製造例1」は、「基材としてトリアセチルセルロース(」「厚さ80μm)を用意し」、「透明樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)を用い(屈折率1.51)」、「これに透光性粒子として、ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.05)及びスチレン-アクリル共重合粒子(屈折率1.56、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.04)を、透明樹脂100質量部に対して、各々18.5及び3.5質量部含有させ」、「これに溶剤としてトルエン(沸点110℃)とシクロヘキサノン(沸点156℃)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合し」、「得られた樹脂組成物を、前記基材に塗工し、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させ」、「その後、紫外線を照射して」「透明樹脂を硬化させ、光学シート(防眩シート)を作製し」、「塗膜厚」を「3.5μmと」するものである。
そして、引用文献3の「基材の種類、透明樹脂の種類、透光性粒子の種類及び含有量、溶剤の種類及び含有量、乾燥条件、及び塗膜厚」を記載する【0051】【表1】によれば、「製造例1」は、「透明基材」を「TAC」、「透明樹脂」を「P」、「透光性粒子」の「種類」、「含有量」を、「A」及び「B」をそれぞれ「18.5」、「3.5」、「溶剤」の「種類」、「含有量」をそれぞれ「Y」、「190」、「乾燥条件」の「温度(℃)」、「風速(m/s)」及び「時間(分)」をそれぞれ「70」、「0.2」及び「1」、「塗膜厚」「(μm)」を「3.5」とし、「製造例6」は、「透明基材」を「TAC」、「透明樹脂」を「P」、「透光性粒子」の「種類」、「含有量」をそれぞれ「A」、「16」、「溶剤」の「種類」、「含有量」をそれぞれ「Y」、「190」、「乾燥条件」の「温度(℃)」、「風速(m/s)」及び「時間(分)」をそれぞれ「55」、「1」及び「1」、「塗膜厚」「(μm)」を「3.5」としたものである。
また、引用文献3の【0052】によれば、【0051】【表1】中に示された「P」、「A」、「B」、「Y」の各アルファベットは、それぞれ「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)(屈折率1.51)」、「ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.05)」、「スチレン-アクリル共重合粒子(屈折率1.56、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.04)」、「トルエン(沸点110℃)とシクロヘキサノン(沸点156℃)の混合物(質量比7:3)」を意味する。
さらに、【0051】【表1】中の「製造例1」及び「製造例6」における「TAC」が、「トリアセチルセルロース」の略号であることは技術常識である(引用文献3【0036】参照。)。

(ウ) また、引用文献3の【0047】の記載によれば、「製造例1」により「作製した」「光学シートに関し」、「評価した結果」が、「第2表に示」され、【0048】の記載によれば、「製造例2?7及び製造例10?18」により「作製した」「それぞれの光学シートに関し、製造例1と同様に評価した結果」が「第2表に示」されているところ、引用文献3の【0053】【表2】によれば、「製造例6」により製造された「光学シート(防眩シート)」の「R/V」、「総ヘイズ」、「防眩性」は、それぞれ「0.118」、「41.0%」(当合議体注:(総)ヘイズの単位が「%」であることは技術常識である。)及び「5」である。
そして、引用文献3の【0046】の記載によれば、【0047】及び【0053】【表2】における「総ヘイズ」の「評価方法」は、「光学シートについて、(株)村上色彩技術研究所製「ヘイズメーターHM-150」で測定した」もの、「防眩性」の「評価方法」は、「光学シートについて、平坦な黒アクリル板に光学シートを貼付することにより測定サンプルを作製し、900ルクスの光源を、15度の角度で写し込んで、正反射方向から見たぼやけ具合を目視にて評価し」、「評価1が最も防眩性が悪く、評価5が最も防眩性が良好である」としたものである。
さらに、引用文献3の【0008】、【0010】?【0012】の記載及び図3によれば、【0047】及び【0053】【表2】における「R/V」の「評価方法」は、「光学シートの裏面(表面層を有さない面、観察者側と反対側の面)を、透明粘着剤を介して凹凸や反りのない平坦な黒アクリル板に貼付して評価用サンプルを作製し」、「評価用サンプルを測定装置に設置し、評価用サンプルの光学シート側の面に対し面の法線から45度の角度より光束を入射し」、「光束が評価用サンプルの光学シート面に入射し拡散反射した光を、拡散正反射方向に対し-θ度?+θ度までの範囲で、1度ごとに受光器を走査することにより拡散反射強度を測定し」、「入射光の正反射方向である45度を拡散正反射方向と定義」し、「拡散正反射方向における光の強度が、拡散正反射強度Rと定義され」、「拡散正反射方向に対して」、「-θ度?+θ度までの拡散反射強度を1度ごとに測定した総和がVであ」り、「測定範囲を決定するθ」「は、その角度範囲が大きい方がより測定精度が高くなるが、通常は45度程度で十分な測定精度が得られ」、「拡散反射強度を測定する装置」として、「日本電色工業(株)製「GC5000L」を使用」する「拡散反射強度の測定」に基づくものである。

(エ) 上記(ア)?(ウ)より、引用文献3には、「R/V<0.76の関係を有す」る「光学シート(防眩シート)」であって、「製造例6」により作製された「防眩シート」の発明として、以下の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明1」という。)。(当合議体注:下記引用発明1においては、「光学シート」を、「防眩シート」に統一して記載している。)

「基材としてトリアセチルセルロース(厚さ80μm)を用意し、
透明樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)を用い(屈折率1.51)、
これに透光性粒子として、ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.05)を、透明樹脂100質量部に対して、16質量部含有させ、
これに溶剤としてトルエン(沸点110℃)とシクロヘキサノン(沸点156℃)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合し、
得られた樹脂組成物を、前記基材に塗工し、1m/sの流速で55℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させ、
その後、紫外線を照射して透明樹脂を硬化させ、作製した、
塗膜厚が3.5μmである防眩シートであって、
R/V、総ヘイズ、防眩性は、それぞれ0.118、41.0%及び5である防眩シート。
ここで、R/V、総ヘイズ、防眩性は、それぞれ以下の評価方法に基づくもの。
(拡散反射強度の測定)
防眩シートの裏面(表面層を有さない面、観察者側と反対側の面)を、透明粘着剤を介して凹凸や反りのない平坦な黒アクリル板に貼付して評価用サンプルを作製し、
評価用サンプルを測定装置に設置し、評価用サンプルの光学シート側の面に対し面の法線から45度の角度より光束を入射し、
光束が評価用サンプルの防眩シート面に入射し拡散反射した光を、拡散正反射方向に対し-θ度?+θ度までの範囲で、1度ごとに受光器を走査することにより拡散反射強度を測定し、
入射光の正反射方向である45度を拡散正反射方向と定義し、拡散正反射方向における光の強度が、拡散正反射強度Rと定義され、
拡散正反射方向に対して、-θ度?+θ度までの拡散反射強度を1度ごとに測定した総和がVであり、
測定範囲を決定するθは、その角度範囲が大きい方がより測定精度が高くなるが、通常は45度程度で十分な測定精度が得られ、
拡散反射強度を測定する装置として、日本電色工業(株)製「GC5000L」を使用した。
(ヘイズの測定)
防眩シートについて、(株)村上色彩技術研究所製「ヘイズメーターHM-150」で測定した。
(防眩性)
防眩シートについて、平坦な黒アクリル板に光学シートを貼付することにより測定サンプルを作製し、900ルクスの光源を、15度の角度で写し込んで、正反射方向から見たぼやけ具合を目視にて評価し、評価1が最も防眩性が悪く、評価5が最も防眩性が良好であるとした。」

ウ 引用発明2
(ア) 引用文献3の【0051】【表1】によれば、「製造例5」は、「透明基材」を「TAC」、「透明樹脂」を「Q」、「透光性粒子」の「種類」、「含有量」をそれぞれ「E」、「8」、「溶剤」の「種類」、「含有量」をそれぞれ「X」、「190」、「乾燥条件」の「温度(℃)」、「風速(m/s)」及び「時間(分)」をそれぞれ「70」、「10」及び「0.5」、「塗膜厚」「(μm)」を「2.0」としたものである。
引用文献3の【0052】によれば、【0051】【表1】中に示された「Q」、「E」及び「X」の各アルファベットは、それぞれ「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51)」、「不定形シリカ(屈折率1.45、平均粒径2.5μm、(d75-d25)/MVが0.8)」及び「トルエン(沸点110℃)とメチルイソブチルケトン(沸点116℃)の混合物(質量比8:2)」を意味する。

(イ) また、引用文献3の【0053】【表2】によれば、「製造例5」により製造された「光学シート(防眩シート)」の「R/V」、「総ヘイズ」、「防眩性」は、それぞれ「0.091」、「23.5%」及び「5」である。

(ウ) 上記イ(ア)?(エ)と、同様にして、上記(ア)と(イ)より、引用文献3には、「製造例5」により作製された「防眩シート」の発明として、以下の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用発明2」という。)。

「基材としてトリアセチルセルロース(厚さ80μm)を用意し、
透明樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51)を用い、
これに透光性粒子として、不定形シリカ(屈折率1.45、平均粒径2.5μm、(d75-d25)/MVが0.8)を、透明樹脂100質量部に対して、8質量部含有させ、
これに溶剤としてトルエン(沸点110℃)とメチルイソブチルケトン(沸点116℃)の混合溶剤(質量比8:2)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合し、
得られた樹脂組成物を、前記基材に塗工し、10m/sの流速で70℃の乾燥空気を流通させ、0.5分間乾燥させ、
その後、紫外線を照射して透明樹脂を硬化させ、作製した、
塗膜厚が2.0μmである防眩シートであって、
R/V、総ヘイズ、防眩性は、それぞれ0.091、23.5%及び5である防眩シート。
ここで、R/V、総ヘイズ、防眩性は、それぞれ以下の評価方法に基づくもの。
(拡散反射強度の測定)
防眩シートの裏面(表面層を有さない面、観察者側と反対側の面)を、透明粘着剤を介して凹凸や反りのない平坦な黒アクリル板に貼付して評価用サンプルを作製し、
評価用サンプルを測定装置に設置し、評価用サンプルの光学シート側の面に対し面の法線から45度の角度より光束を入射し、
光束が評価用サンプルの防眩シート面に入射し拡散反射した光を、拡散正反射方向に対し-θ度?+θ度までの範囲で、1度ごとに受光器を走査することにより拡散反射強度を測定し、
入射光の正反射方向である45度を拡散正反射方向と定義し、拡散正反射方向における光の強度が、拡散正反射強度Rと定義され、
拡散正反射方向に対して、-θ度?+θ度までの拡散反射強度を1度ごとに測定した総和がVであり、
測定範囲を決定するθは、その角度範囲が大きい方がより測定精度が高くなるが、通常は45度程度で十分な測定精度が得られ、
拡散反射強度を測定する装置として、日本電色工業(株)製「GC5000L」を使用した。
(ヘイズの測定)
防眩シートについて、(株)村上色彩技術研究所製「ヘイズメーターHM-150」で測定した。
(防眩性)
防眩シートについて、平坦な黒アクリル板に光学シートを貼付することにより測定サンプルを作製し、900ルクスの光源を、15度の角度で写し込んで、正反射方向から見たぼやけ具合を目視にて評価し、評価1が最も防眩性が悪く、評価5が最も防眩性が良好であるとした。」

(3) 引用発明1を主引用発明とした場合の対比・判断
ア 対比
本件補正後発明と、引用発明1とを対比する。
(ア) 「透明基材層」について
a 引用発明1の「防眩シート」は、「基材としてトリアセチルセルロース(厚さ80μm)を用意し」、「透明樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)」「(屈折率1.51)」「を用い」、「これに透光性粒子として、ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.05)を、透明樹脂100質量部に対して、16質量部含有させ」、「これに溶剤としてトルエン(沸点110℃)とシクロヘキサノン(沸点156℃)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合し」、「得られた樹脂組成物を、前記基材に塗工し、1m/sの流速で55℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させ」、「その後、紫外線を照射して透明樹脂を硬化させ」て、「作製した」ものである。
また、引用発明1の「防眩シート」における「塗膜厚」は、「3.5μmである」。

b 上記aで挙げた製造工程からみて、引用発明1の「防眩シート」は、「トリアセチルセルロース(厚さ80μm)」と「透明樹脂」「硬化」物とが重なりをなすものである。
そうすると、「トリアセチルセルロース(厚さ80μm)」は、「層」であるということができる。
してみると、引用発明1の「トリアセチルセルロース(厚さ80μm)」からなる「基材」は、本件補正後発明の「透明基材層」に相当する。

(イ) 「硬化樹脂前駆体成分」、「硬化性組成物」及び「防眩層」について
a 上記(ア)aで挙げた材料からみて、引用発明1の「得られた樹脂組成物」は、「透明樹脂として」、「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」及び「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」、「透光性粒子として」、「ポリスチレン粒子」、及び、「溶剤として」、「トルエン(沸点110℃)」及び「シクロヘキサノン(沸点156℃)」を含むものである。

b また、上記(ア)aで挙げた製造工程からみて、引用発明1においては、「得られた樹脂組成物」を、「基材に塗工し」、「乾燥させ」、「その後、紫外線を照射して」、「透明樹脂」を「硬化」させるものである。

c 上記a,bと、化合物名から理解可能な技術常識とから、引用発明1の「得られた樹脂組成物」に含まれる「透明樹脂」である「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」及び「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」は「硬化」性のものであると理解できる。
そうすると、「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」及び「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」は、「硬化」して樹脂を構成するから、硬化樹脂前駆体成分であるということができる(以上のことは、引用文献3の【0026】の「[透明樹脂]」、「機能層を構成する透明樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができる。機能層を形成するには、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を基材に塗布し、該樹脂組成物中に含まれるモノマー、オリゴマー及びプレポリマーを架橋及び/又は重合させることにより形成することができる。」、「モノマー、オリゴマー及びプレポリマーの官能基としては、電離放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。」、【0027】の「光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられる。」、「モノマーとしては、・・・略・・・ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマー;・・・略・・・などが挙げられる。)」との記載からも確認することができる。)。
また、引用発明1の「得られた樹脂組成物」に含まれる「透明樹脂」である「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」は、ポリマー成分である。
してみると、引用発明1の「得られた樹脂組成物」に含まれる「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」及び「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」は、それぞれが本件補正後発明の「硬化樹脂前駆体成分」に相当し、引用発明1の「得られた樹脂組成物」に含まれる「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」は、本件補正後発明の「ポリマー成分」に相当する。
また、引用発明1の「得られた樹脂組成物」は、本件補正後発明の「硬化性組成物」に相当する。
そうすると、引用発明1の「得られた樹脂組成物」と、本件補正後発明の「硬化性組成物」は、「1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む」点において共通する。

d 上記(ア)aで挙げた製造工程からみて、引用発明1においては、「得られた樹脂組成物」を、「基材に塗工し」、「乾燥させ」、「その後、紫外線を照射して透明樹脂を硬化させ」て、「基材」上に「塗膜厚」が「3.5μm」の「塗膜」を形成している。
また、上記(ア)aで挙げた製造工程からみて、引用発明1の「基材」上に形成された「塗膜厚」が「3.5μm」の「塗膜」は、「屈折率1.51」の「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」及び「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」の硬化物、「屈折率1.60」、「平均粒径3.5μm」、「(d75-d25)/MV」「0.05」の「ポリスチレン粒子」を含むものである。
引用発明1の「基材」上に形成された「塗膜」は、上記の各組成の「屈折率」や、上記の「塗膜厚」と「ポリスチレン粒子」」の「平均粒径」等の関係からみて、拡散反射機能を有するものである。
そうすると、引用発明1の「得られた樹脂組成物」の「透明樹脂を硬化させ」て形成した「塗膜」は、引用発明1の「防眩シート」における防眩層としての機能を有するということができる。
してみると、引用発明1の「得られた樹脂組成物」の「透明樹脂を硬化させ」て形成した「塗膜」は、本件補正後発明の「防眩層」に相当し、引用発明1は、本件補正後発明の「透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含み」との要件を具備する。
また、上記cより、引用発明1の「塗膜」と、本件補正後発明の「防眩層」とは、「1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物である」点において共通する。

(ウ) 「防眩フィルム」について
以上(ア),(イ)より、本件発明1の「防眩シート」は、本件補正後発明の「防眩フィルム」に相当する。

(エ) 「ヘイズ」について
引用発明1の「総ヘイズ」は、「41.0%」である。
引用発明1の「総ヘイズ」は、本件補正後発明の「ヘイズ」に対応する。
そうすると、引用発明1は、本件補正後発明の「ヘイズが30%以上である」との要件を満たす。

(オ) 以上の対比結果を踏まえると、本件補正後発明と引用発明1は、
「透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含み、ヘイズが30%以上である防眩フィルムであって、前記防眩層が、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物である、防眩フィルム。」である点において一致し、以下の点で相違する、あるいは一応相違する。

(相違点1-1)
本件補正後発明は、「透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下であ」るのに対して、
引用発明1は、「透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下である」のかどうか一応不明である点。

(相違点1-2)
本件補正後発明は、「前記ポリマー成分及び前記硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分が、湿式スピノーダル分解により相分離可能である」のに対して、
引用発明1は、そのような構成であるのかどうか一応不明である点。

(相違点1-3)
本件補正後発明は、「前記硬化樹脂前駆体成分が、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む」のに対して、
引用発明1は、そのような構成となっていない点。

イ 判断
(ア) 相違点1-2について
a 引用発明1の「透明樹脂」は、「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」(「硬化樹脂前駆体成分」)、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」(「硬化樹脂前駆体成分」)及び「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」(「ポリマー成分」)の混合物(質量比;PETA/DPHA/PMMA=86/5/9)(屈折率1.51)」であり、引用発明1の「塗膜」は、この「透明樹脂」「に透光性粒子として、ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.05)を、透明樹脂100質量部に対して、16質量部含有させ」、「これに溶剤としてトルエン(沸点110℃)とシクロヘキサノン(沸点156℃)の混合溶剤(質量比7:3)を、透明樹脂100質量部に対して、190質量部配合し」、「得られた樹脂組成物を、前記基材に塗工し、1m/sの流速で55℃の乾燥空気を流通させ、1分間乾燥させ」、「硬化させ」て、「作製した」ものである。

b ここで、引用発明1における「透明樹脂」の「硬化樹脂前駆体成分」である「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」及び「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」と、「ポリマー成分」である「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」とは非相溶であること、「溶剤」の乾燥時に相分離することは技術常識より明らかなことである(例えば、特開2004-126495号の【0053】、特開2014-85371号公報の【0071】、特開2008-225195号公報の【0063】等に記載されているように、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂前駆体(又は硬化樹脂)とは、通常、互いに非相溶であることは技術常識である。本件出願の明細書の【0061】においても同様な記載がある。)。
そうすると、同じく技術常識より、「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」及び「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」と、「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」は、湿式(液相)スピノーダル分解により相分離可能なものということができる。
補足すると、1相状態及び(相分離した)2相状態からなる相図において、(相分離した)2相状態の領域には、バイノーダル領域と(バイノーダル領域の内側の)スピノーダル(分解)領域が存在することは技術常識である。また、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む混合液又は樹脂組成物の塗布層から、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、濃度の濃縮に伴い湿式スピノーダル分解による相分離構造を形成できることも技術常識である(例えば、特開2010-66470号公報の【0096】?【0098】、特開2014-85371号公報の【0008】、特開2004-126495号公報の【0018】、特開2008-262190号公報の【0115】、【0116】等を参照。)。特に、「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」と、「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」あるいは「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」とが湿式スピノーダル分解可能であることは、特開2015-10118号公報の【0099】、【0100】や、特開2008-262190号公報の【0055】、【0067】、【0169】、【0171】等の記載からも把握できる。

c あるいは、引用発明1の「塗膜」を構成する「得られた樹脂組成物」の組成・重量比や、「得られた樹脂組成物」の塗工後の乾燥工程・条件からみて、「硬化樹脂前駆体成分」である「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」及び「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」と、「ポリマー成分」である「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」は、湿式スピノーダル分解により相分離された後に、硬化されていると技術的に理解できる。
そうしてみると、「得られた樹脂組成物」における「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」(「硬化樹脂前駆体成分」)及び「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」(「ポリマー成分」)、あるいは、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」(「硬化樹脂前駆体成分」)及び「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」(「ポリマー成分」)が、湿式スピノーダル分解により相分離可能であるということができる。

d 上記b、あるいはcより、上記相違点1-2は、相違点を構成しない。

e 上記b?dのとおりでないとしても、1種以上のポリマー成分と1種以上の硬化樹脂前駆体成分のうちの少なくとも2つの成分を湿式スピノーダル分解による相分離状態を調整・制御することにより、防眩層の表面の凹凸や、防眩層の防眩性、ヘイズ、画像鮮明度、ぎらつき、透明性等の各種光学特性を制御・調整することは、本件出願前に周知の技術、あるいは技術常識である(例えば、特開2010-66470号公報(各光学特性について、【0164】【表2】等を参照。)、特開2014-85371号公報(同じく、【0154】【表1】等を参照。)、特開2004-126495号公報(同じく、【0108】【表1】等参照。)、特開2008-262190号公報(同じく、【0214】【表1】等参照。)等参照。)であるから、引用発明1の具体化にあたって、上記の周知の技術に基づいて、「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」(「硬化樹脂前駆体成分」)及び「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」(「ポリマー成分」)、あるいは、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」(「硬化樹脂前駆体成分」)及び「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」(「ポリマー成分」)が、湿式スピノーダル分解により相分離できるように調整・制御することは、当業者であれば容易になしたことである。
そして、上記設計変更を施したとしても、引用発明1の「R/V」(0.118)、「総ヘイズ」(41.0%)は、大きくは変わらない。あるいは、引用発明1において、「R/V」、「総ヘイズ」が変わらない、あるいは大きく変わることがないよう考慮しつつ、上記設計変更を行うことは、当業者にとって容易である。
よって、引用発明1において、上記相違点1-2に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(イ) 相違点1-3について
a 引用発明1の「R/V」に関し、引用文献3の【0015】には、「本発明におけるR/V<0.76を達成するには、内部拡散要素及び外部拡散要素によって反射輝度分布及び強度を調整することによって達成できる。」、「内部拡散要素によって反射輝度分布及び強度を調整する方法として、機能層を構成する樹脂に・・・略・・・透光性粒子・・・略・・・を分散させる方法がある。さらには、機能層を構成する透明樹脂、・・・略・・・透光性粒子の形状、分散状態、粒子径、添加量、屈折率等を制御することにより行い得る。」、「透明樹脂に添加し得る透光性粒子以外の添加剤の濃度等も前記内部拡散要素による拡散反射強度に影響を与える。」と記載されている。

b また、引用発明1の「塗膜」(防眩層)を構成する「透明樹脂」に関し、引用文献3の【0026】?【0030】には、(1)バインダーとして、ポリマーを(モノマー、オリゴマー及びプレポリマーを含む)電離放射線硬化性樹脂を含有する樹脂組成物に添加して用いることが可能であること、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加することで、塗液の粘度調整が可能であり、塗工を容易にするとともに、粒子の凝集による凹凸形成の調整が容易になるといった利点があること、(2)透明樹脂として、相分離可能な複数の樹脂を用いることでも内部拡散要素による拡散反射強度を調整することが可能であり、すなわち、(硬化性樹脂としての)プレポリマー、オリゴマー、モノマー及び(バインダーとして)ポリマーにおいて、相溶性成分と非相溶性成分とを混合して使用することで、内部拡散要素による拡散反射強度を調整することが可能であること、(3)には、プレポリマー、オリゴマー及びモノマーとして、重合収縮が大きいものを用いることで外部拡散要素による拡散反射強度を調整すること可能である(重合収縮が大きいほど、表面の凹凸が大きくなり、拡散反射強度分布が広くなる。)ことが記載・示唆されている。
さらに、引用文献3の【0034】には、引用発明1の「透明樹脂」について、(1)透明樹脂中に透光性粒子以外の添加剤が必要に応じて配合されてもよく、例えば、硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を添加することができること、(2)無機粒子としては、金属や、SiO_(2)等の金属酸化物が挙げられること、該無機粒子の粒径は、拡散反射強度分布への影響を少なくするために、塗工する際の樹脂組成物中でなるべく微細化されていることが好ましく、平均粒径が100nm以下の範囲であることが好ましいこと、(3)無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわない光学シートを形成できることが記載・示唆されている。

c さらに、引用文献3の【0023】には、引用発明1の「塗膜」(防眩層)を構成する「透光性粒子」について、(1)屈折率、粒径分布が同一な透光性微粒子であっても、透光性粒子の凝集の程度により拡散反射強度分布が異なること、凝集状態の異なる2種類以上の透光性粒子を組み合わせて使用したり、シランカップリング処理の条件の異なる2種以上の無機粒子を用いることで凝集状態を変えて拡散反射強度分布を調整することができること、(2)透光性粒子の凝集防止には、可視光線の波長以下の粒子径、例えば50nm以下程度の粒子径を有するシリカなどを添加する方法が好適に挙げられることが記載・示唆されている。

d ここで、引用発明1において、引用文献3の上記aの記載・示唆に基づき、硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、「塗膜」(防眩層)を構成する「樹脂組成物」の「透明樹脂」である「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」(硬化樹脂前駆体成分)及び「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」(硬化樹脂前駆体成分)中に平均粒径が100nm以下のシリカ(シリカナノ粒子)を含む構成とすることは、当業者とって容易である。

e あるいは、引用発明1の「塗膜」(防眩層)を構成する「樹脂組成物」は、「透明樹脂」として、「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)」(「ポリマー成分」)、「透光性粒子」として、「屈折率1.60」、「平均粒径3.5μm」、「(d75-d25)/MV」「0.05」の「ポリスチレン粒子」を含むものであり、引用文献3の上記bの記載・示唆によれば、PMMAを添加することで、塗液の粘度調整を可能、塗工を容易、あるいは粒子の凝集による凹凸形成の調整を容易にしたものと考えられるところ、さらに、上記cの引用文献3の記載・示唆に基づき、「平均粒径3.5μm」、「(d75-d25)/MV」「0.05」の「ポリスチレン粒子」の凝集(程度)の調整、拡散反射強度分布の調整を考慮して、「塗膜」(防眩層)を構成する「樹脂組成物」に、50nm以下程度の粒子径を有するシリカ(シリカナノ粒子)を含む構成とすることは、当業者にとって容易である。そして、引用発明1は、「得られた樹脂組成物」が、乾燥、硬化されて、「塗膜」(防眩層)が形成されるものであるところ、50nm以下の粒子径を有するシリカ(シリカナノ粒子)が、「PETA」あるいは「DPHA」(「硬化樹脂前駆体成分」)、あるいは両者に含まれるようにすることは、当業者の設計上のことである。
あるいは、引用発明1において、「PMMA」、「PETA」、「DPHA」、「ポリスチレン粒子」及び50nm以下の粒子径を有するシリカ(シリカナノ粒子)を溶媒に配合して「得られた樹脂組成物」を塗工、乾燥、硬化させて硬化物とした塗膜(防眩層)は、物の発明の構成として、上記相違点1-3に対応する本件補正後発明の構成を具備することとなる。

f そして、上記相違点1-3に係る設計変更を行ったとしても、引用発明1の「R/V」(0.118)、「総ヘイズ」(41.0%)は、大きくは変わらない。あるいは、引用発明1において、「R/V」、「総ヘイズ」が大きく変わることがないよう考慮しつつ、上記設計変更を行うことは、当業者にとって容易である。

g 以上のとおりであるから、引用発明1において、上記相違点1-3に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(ウ) 相違点1-1について
a 引用発明1の「基材」を構成する「80μm」の「トリアセチルセルロース」は、透明であり、着色が少ないものであることは技術常識である。
また、引用発明1の「塗膜」の厚みは「3.5μm」であり、非常に薄いものである。
そうすると、引用発明1の「塗膜」を構成する各材質、各屈折率、重量比、透光性粒子の粒径等を考慮に入れたとしても、引用発明1の「防眩シート」の透過光の着色は少なく、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下である蓋然性が高い。
そして、上記相違点1-1及び1-2に係る設計変更を行ったとしても、引用発明1の透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下である蓋然性が高い。
してみると、上記相違点1-1は、実質的な相違点を構成しない。

b 仮に、上記aのとおりでないとして、画像表示装置に用いられる光学機能層として、透過光の着色・黄色味の少ない、例えば、透過光の色度b^(*)の絶対値が小さいものが求められることが技術常識であるところ、光学機能層に青色着色材を含有したり、光学機能層に含有される粒子の屈折率(屈折率の波長依存性)、材質や粒子の組み合わせなどを調整して、光学機能層の着色・黄色味を無くすことや、b^(*)の絶対値を小さくすることは、本件出願の出願前に当業者に周知の技術である(例えば、特開2017-87523号公報の【0005】、【0010】、【0066】及び【0067】、特開平11-248910号公報の【0008】?【0011】、特開2003-66209号公報の特許請求の範囲、【0003】、【0006】?【0013】及び【0024】、特開2003-66205号公報の特許請求の範囲、【0004】及び【0022】等を参照。)。
そうすると、引用発明1の「防眩フィルム」は、表示装置の表面に用いられるものであるところ(引用文献3の【0002】)、仮に微小粒子による散乱や用いる材料等に起因して、透過光に着色が生じている(透過光が黄色味を帯びている)としても、上記の本件出願の出願前に周知の技術に基づき、塗膜(防眩層)に青色着色材を含有させたり、あるいは、塗膜(防眩層)に含有される粒子の屈折率(屈折率の波長依存性)、材質や、粒子の組み合わせなどを調整したりして、透過光の着色・黄色味を小さいものとし、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下となる構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
そして、上記の設計変更を行ったとしても、引用発明1の「R/V」、「総ヘイズ」は、大きくは変わらない。あるいは、引用発明1において、「R/V」、「総ヘイズ」が大きく変わることがないよう考慮しつつ、上記設計変更を行うことは、当業者にとって容易である。
あるいは、上記の相違点1-2及び1-3に係る設計変更を行った結果、透過光が着色する(黄色味を帯びる)方向に変化することがあったとしても、引用発明1において、上記の周知の技術に基づき、「R/V」、「総ヘイズ」が大きく変わることがないように考慮しつつ、透過光の着色・黄色味を小さいものとし、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下となる構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
してみると、引用発明1において、上記相違点1-1に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(エ) 上記相違点1-1?1-3をまとめて検討したとしても同様であり、引用発明1において、上記相違点1-1?1-3に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

ウ まとめ
以上のとおりであるから、本件補正後発明は、引用発明1及び上記の本件出願の出願前に周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 引用発明2を主引用発明とした場合の対比・判断
ア 一致点・相違点
引用発明1の場合と同様にして、本件補正後発明と引用発明2とを対比すると、本件補正後発明と引用発明2は、
「透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含む防眩フィルムであって、前記防眩層が、1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物である防眩フィルム。」
である点において一致し、以下の点で相違する、あるいは一応相違する。

(相違点2-1)
本件補正後発明は、「透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下であ」るのに対して、
引用発明2は、「透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下である」のかどうか一応不明である点。

(相違点2-2)
本件補正後発明は、「30%以上である」のに対して、
引用発明2の「総ヘイズ」が「23.5%」である点。

(相違点2-3)
本件補正後発明は、「前記防眩層が、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物であり、前記ポリマー成分及び前記硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分が、湿式スピノーダル分解により相分離可能であ」るのに対して、
引用発明2は、そのような構成となっていない点。

(相違点2-4)
本件補正後発明は「前記硬化樹脂前駆体成分が、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む」のに対して、
引用発明2は、そのような構成となっていない点。

イ 判断
(ア) 相違点2-3について
a 上記(3)イ(ア)a,bの引用文献3の【0026】?【0029】及び【0034】の各記載・示唆に基づいて、引用発明2において、塗液の粘度調整を可能としたり、塗工を容易としたり、粒子の凝集による凹凸形成の調整を容易とするよう、透明樹脂として、「PETA」(「硬化樹脂前駆体成分」)に、PMMA(「ポリマー成分」)を添加した構成とすること、あるいは、引用発明2において、内部拡散要素による拡散反射強度を調整(あるいは重合収縮の大小により表面凹凸・拡散反射強度分布を調整)できるよう、透明樹脂として、「PETA」に相分離可能(非相溶)な「ポリマー成分」を混合する構成とすること、さらに、「PETA」、当該「ポリマー成分」(あるいは、「PMMA」)と非相溶な、(「硬化樹脂前駆体成分」としての)プレポリマー、オリゴマー、モノマーあるいは(バインダーとしての)ポリマーを混合する構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
そして、上記の設計変更を施したものは、上記(3)イ(ア)bの技術常識を踏まえると、上記相違点2-3に係る本件補正後発明の構成を備えたものなるということができる。

b あるいは、上記(3)イ(ア)eで述べたと同様に、本件出願前に周知の技術に基づき、上記相違点2-3に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

c そして、上記a、あるいはbの設計変更を施したとしても、引用発明2の「R/V」(0.091)は、大きくは変わらない。あるいは、引用発明2において、「R/V」が変わらない、あるいは大きく変わることがないよう考慮しつつ、上記設計変更を行うことは、当業者にとって容易である。

d 以上のとおりであるから、引用発明1において、上記相違点2-3に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(イ) 相違点2-4について
a 上記(3)イ(イ)a,bの各記載・示唆に基づき、硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、「塗膜」(防眩層)を構成する「樹脂組成物」の「透明樹脂」である「PETA」(硬化樹脂前駆体成分)中に平均粒径が100nm以下のシリカ(シリカナノ粒子)を含む構成とすることは、当業者とって容易である。

b あるいは、引用文献3に記載された防眩シートの具体化にあたり、「R/V」の調整・制御のために反射輝度分布及び強度を調整することは当業者が考慮する技術的事項であるところ、引用発明2において、上記(3)イ(イ)cの引用文献3の記載・示唆に基づき、拡散反射強度分布の調整や、透光性粒子の凝集状態の調整を考え、「塗膜」(防眩層)を構成する「樹脂組成物」が、50nm以下の粒子径を有するシリカ(シリカナノ粒子)を含む構成とすることは、当業者とって容易である。そして、引用発明2は、「得られた樹脂組成物」が、乾燥、硬化されて「塗膜」(防眩層)が形成されるものであるところ、50nm以下の粒子径を有するシリカ(シリカナノ粒子)が、「PETA」(硬化樹脂前駆体成分)中に含まれるようにすることは、当業者の設計上のことである。
あるいは、引用発明2において、「ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)」、「不定形シリカ」及び50nm以下の粒子径を有するシリカ(シリカナノ粒子)を溶媒に配合して「得られた樹脂組成物」を塗工、乾燥させ、硬化させて硬化物とした塗膜(防眩層)は、物の発明の構成として、上記相違点2-4に対応する本件補正後発明の構成を具備することとなる。

c そして、上記a、あるいはbの設計変更を行ったとしても、引用発明2の「R/V」は大きくは変わらないと考えられる。あるいは、上記の相違点2-4に係る設計変更を行う際に、「R/V」が大きく変化しないように考慮しつつ、反射輝度分布及び強度を調整することは、当業者にとって容易である。

d 以上のとおりであるから、引用発明2において、上記相違点2-4に係る本件補正後発明の構成とすることは当業者であれば容易になし得ることである。

(ウ) 相違点2-2について
a 引用発明2の「R/V」、「総ヘイズ」及び「防眩性」は、それぞれ「0.091」、「23.5%」及び「5」であって、引用発明2はもっとも防眩性に優れたものであるところ、「透光性粒子」として、「ポリスチレン粒子(屈折率1.60、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.05)」、あるいは、「スチレン-アクリル共重合粒子(屈折率1.56、平均粒径3.5μm、(d75-d25)/MVが0.04)」などを若干量加え、例えば、製造例6(「R/V」「0.118」、「総ヘイズ」「41.0%」、「防眩性」「5」)のように、30%超となるよう総ヘイズを高めることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、上記相違点2-2に係る設計変更を行ったとしても、引用発明2の「R/V」は大きくは変化しないと考えられる。
あるいは、上記の相違点2-2に係る設計変更を行う際に、「R/V」が大きく変化しないように考慮しつつ、反射輝度分布及び強度を調整することは、当業者にとって容易である。

b 以上のとおりであるから、引用発明2において、上記相違点2-2に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(エ) 相違点2-1について
a 引用発明2の「塗膜」の厚みは「2.0μm」であり、非常に薄いものである。
そうすると、引用発明2の「塗膜」を構成する各材質、各屈折率、重量比、透光性粒子の粒径等を考慮に入れたとしても、引用発明2の「防眩シート」の透過光の着色は少なく、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下である蓋然性が高い。
そして、上記相違点2-2?2-4に係る設計変更を行ったとしても、引用発明1の透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下である蓋然性が高い。
してみると、上記相違点2-1は、実質的な相違点を構成しない。

b 仮に、上記aのとおりでないとして、引用発明2において、透過光に着色が生じている(透過光が黄色みを帯びている)として、上記の本件出願前に周知の技術(上記(3)イ(ウ)b参照。)に基づき、塗膜(防眩層)の青色着色材を含有したり、あるいは、塗膜(防眩層)に含有される粒子の屈折率(屈折率の波長分散)、材質や、粒子の組み合わせなどを調整したりして、透過光の着色・黄色味を小さいものとし、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下となるとなる構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
あるいは、上記相違点2-2?2-4に係る設計変更を行った結果、透過光が着色する(黄色味を帯びる)方向に変化することがあったとしても、引用発明において、「R/V」、「総ヘイズ」を考慮しつつ、透過光の着色・黄色味を小さいものとし、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下となる構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

c 以上のとおりであるから、引用発明2において、上記相違点2-1に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(オ) 上記相違点2-1?2-4をまとめて検討したとしても同様であり、引用発明2において、上記相違点2-1?2-4に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

ウ まとめ
以上のとおりであるから、本件補正後発明は、引用発明2及び上記の本件出願の出願前に周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5) 他の製造例を引用発明とする場合
ア 上記(3)においては、「製造例6」に基づいて、引用発明1を認定したが、これに替えて、製造例1(「R/V」「0.190」、「総ヘイズ」「40.6%」、「防眩性」「5」)、製造例2(「R/V」「0.181」、「総ヘイズ」「38.5%」、「防眩性」「5」)、製造例7(「R/V」「0.123」、「総ヘイズ」「44.6%」、「防眩性」「5」)、製造例11(「R/V」「0.229」、「総ヘイズ」「37.9%」、「防眩性」「4」)、あるいは製造例12(「R/V」「0.184」、「総ヘイズ」「42.0%」、「防眩性」「5」)に基づいて引用発明を認定して検討したとしても同様である。

イ 上記(4)においては、「製造例5」に基づいて、引用発明2を認定したが、これに替えて、製造例14(「R/V」「0.088」、「総ヘイズ」「23.0%」、「防眩性」「5」)に基づいて引用発明を認定して検討したとしても同様である。

(6) 平成31年4月12日提出の審判請求書における請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」「 (a)本願発明の説明」において、「(ii)補正後の独立形式請求項1の発明の特色は、湿式スピノーダル分解により相分離可能な成分を含み、かつシリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む硬化性組成物で防眩層を形成し、透過光の色度b^(*)の絶対値及びヘイズを、それぞれ3以下及び30%以上に調整する点にあります。 」、「そして、本願発明では「色合いと防眩性とを両立でき、特に、黄色度も低減でき、黄色味を抑制しながら、防眩性を向上できる」という効果が得られます(発明の効果の欄)。 」旨主張している。
また、請求人は、「(c)本願発明と引用文献の発明との対比」において、引用文献3等について、「しかし、引用文献には、湿式スピノーダル分解により相分離可能な成分を含み、かつシリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む硬化性組成物で防眩層が形成され、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下であり、かつヘイズが30%以上である防眩フィルムについては何ら開示も示唆もされていません。」、「本願発明の特徴は、・・・略・・・防眩層を、湿式スピノーダル分解により相分離可能な成分を含む特定の硬化性組成物で形成し、かつ高ヘイズと、特定の色度b^(*)とを組み合わせた特性に調整することにより、トレードオフの関係にある防眩性と色合いとの両立に成功したことにあります。これに対して、引用文献には、・・・略・・・このような困難な課題を克服した防眩フィルムは記載されていません。」、「出願人は、今般の手続補正により、透過光の色度b^(*)の絶対値を3以下に限定しましたので、本願発明の課題が困難な課題であることが、より明確になったと思われます。・・・略・・・防眩性の向上と色味の改善とは、それぞれが周知な課題であったとしても、両特性はトレードオフの関係にあり、両立するのは困難な課題であり、両立できれば顕著な効果であります。」、「さらに、出願人は、今般の手続補正により、硬化樹脂前駆体成分を「シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む成分」に限定しましたが、引用文献には、前記特性を実現させる観点から、防眩層に、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含有させることについても記載されていません。」、「また、引用文献3では、実施例において、透光性粒子として不定形シリカが使用されていますが、平均粒径は1.5μm及び2.5μmであり、ナノ粒子ではありません。なお、引用文献3では、機能層を構成する透明樹脂中に配合する透光性粒子以外の添加剤として、フッ素系界面活性剤が記載されています。しかし、引用文献3において、界面活性剤を添加する目的としては、凝集防止効果及び沈降防止効果、レベリング性などの特性の向上効果が記載されているだけであり、防眩性や色合いなどの光学特性の向上については記載も示唆もされていません。特に、本願発明では、高ヘイズに調整して防眩性を発現させることを主目的の一つとしていますが、凝集防止やレベリング性の向上は、表面を平滑にして光散乱性を低下させる目的であり、本願発明の目的と相反する目的とも言えます。さらに、引用文献3では、実施例において界面活性剤は使用されていません。そのため、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子における特定の光学特性の技術的意義を引用文献3から導き出すのは容易ではありません。」、「透光性粒子を用いた方法は、本願明細書の段落[0002]に記載されていますように、スピノーダル分解によって凹凸を形成した防眩フィルムとは異なり、ヘイズを向上させると、色合いが低下し、本願明細書の参考例1の結果となります。すなわち、特定の硬化物と湿式スピノーダル分解との組み合わせにより、両立が困難な高ヘイズと低色度b^(*)とを兼ね備えた防眩フィルムが本願発明によって見出されたのであります。」、「さらに、高ヘイズと、特定の色度b*との組み合わせについて、引用文献から容易に予測できないことは、先の意見書で詳述した通りですので、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子の防眩機能における技術的意義が、いずれの引用文献にも記載されていない以上、湿式スピノーダル分解と特定の硬化性組成物との組み合わせによって得られる高ヘイズと低色度b^(*)とを実現した防眩フィルムについて、これらの引用文献から容易に類推できないのは明らかであると思われます。」、「本願発明では、湿式スピノーダル分解により相分離可能な成分を含み、かつシリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む硬化性組成物で防眩層が形成された防眩フィルムの透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下であり、かつヘイズが30%以上でありますので、色合いと防眩性とを両立でき、特に、黄色度も低減でき、黄色味を抑制しながら、防眩性を向上できます。」旨主張している。

イ しかしながら、に上記(3)イ(ア)?(エ)において述べたとおり、引用発明1においても、本件補正後発明と同様、PMMA(ポリマー成分)とPETA(硬化樹脂前駆体成)は湿式スピノーダル分解により相分離可能であると認められる。あるいは、上記(3)イ(ア)?(エ)、あるいは上記(4)イ(ア)?(オ)に述べたとおり、引用発明1あるいは引用発明2において、PMMA等のポリマー成分及びPETA、DPHA等の硬化樹脂前駆体成分としてのプレポリマー、オリゴマー、モノマーのうちの少なくとも2つの成分を、湿式スピノーダル分解により相分離可能な構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
同様に、上記(3)イ(ア)?(エ)、あるいは上記(4)イ(ア)?(オ)において述べたとおり、引用発明1または引用発明2において、引用文献3の記載・示唆に基づいて、硬化樹脂前駆体成分がシリカナノ粒子を含む構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
さらに、上記(3)イ(ア)?(エ)、あるいは上記(4)イ(ア)?(オ)に述べたとおり、引用発明1あるいは引用発明2においても、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下であると認められる。あるいは、引用発明1あるいは引用発明2において、透過光の色度b^(*)の絶対値が3以下である構成とすること、引用発明1あるいは引用発明2において、「R/V」を大きく変化させないよう考慮しつつ、「シリカナノ粒子」を含有させることや、30%超の「総ヘイズ」、「透過光の色度b^(*)」等の設計変更が可能なことも既に述べたとおりである。
そして、請求人が主張する「湿式スピノーダル分解により相分離可能な成分を含み、かつシリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む硬化性組成物で防眩層が形成された防眩フィルムの透過光の色度b*の絶対値が3以下であり、かつヘイズが30%以上でありますので、色合いと防眩性とを両立でき、特に、黄色度も低減でき、黄色味を抑制しながら、防眩性を向上できます。」との本件補正後発明の効果も、引用文献3の記載・示唆や、本件出願の出願前に周知の技術や技術常識に基づき、当業者が期待する、あるいは、予測する程度のことであり、格別なものとは認められない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(6) 小括
本件補正後発明は、引用文献3に記載された発明及び本件出願の出願前に周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 本件補正についてのむすび
前記2のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件発明について
1 本件発明
以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記「第2」「理由」1(1)に記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
本件発明の原査定の拒絶の理由は、概略以下のとおりである。
「理由1(新規性)
本件発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性)
本件発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
理由3(明確性)
本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
引用文献1:特開2003-121618号公報
引用文献2:.特開2008-158483号公報
引用文献3:特開2010-122560号公報
引用文献4:特開2008-225195号公報
引用文献5:特開2009-180886号公報
引用文献6:特開2014-194551号公報」
(当合議体注:引用文献1?6それぞれが主引用例である。)

3 引用文献及び引用発明
引用文献3の記載、引用発明1及び引用発明2は、前記「第2」[理由]2(2)ア?ウに記載したとおりである。

4 対比及び判断
本件発明は、前記「第2」[理由]2(1)で検討した本件補正後発明から、「透過光の色度b^(*)の絶対値」について、「3以下であり」との発明特定事項を「15以下であり」に拡張するとともに、「前記硬化樹脂前駆体成分が、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含む」との発明特定事項を削除したものである。
そうすると、本件発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を限定した本件補正後発明が、前記「第2」[理由2]2(3)ア?ウに記載した理由により、引用発明1及び本件出願の出願前に周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、前記「第2」[理由2]2(3)ア?ウに記載した理由と同じ理由により、相違点1-3に係る構成が削除された本件発明は、引用文献3に記載された引用発明1であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。あるいは、本件発明は、引用発明1、あるいは引用発明1及び本件出願の出願前に周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
あるいは、本件発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を限定した本件補正後発明が、前記「第2」[理由2]2(4)ア?ウに記載した理由により、引用発明2及び本件出願の出願前に周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、前記「第2」[理由2]2(4)ア?ウに記載した理由と同じ理由により、相違点2-4に係る構成が削除された本件発明は、引用発明2、あるいは引用発明2及び本件出願の出願前に周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用文献3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
あるいは、本件発明は、引用文献3に記載された発明、あるいは引用文献3に記載された発明及び本件出願の出願前に周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-12-27 
結審通知日 2020-01-07 
審決日 2020-01-22 
出願番号 特願2017-237147(P2017-237147)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
P 1 8・ 113- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉川 陽吾  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 河原 正
井口 猶二
発明の名称 防眩フィルム並びにその製造方法及び用途  
代理人 鍬田 充生  
代理人 阪中 浩  
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