• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 出願日、優先日、請求日 特許、登録しない。 F02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02F
管理番号 1360359
審判番号 不服2018-15303  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-19 
確定日 2020-03-04 
事件の表示 特願2017-18405「冷却通路を有するスチールピストンおよびその構成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年6月29日出願公開、特開2017-115892〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)3月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年(平成23年)5月20日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-511362号(以下、「原出願」という。)の一部を平成29年2月3日に新たな特許出願としたものであって、その手続は以下のとおりである。
平成29年2月8日 :手続補正書(方式)の提出
平成29年3月1日 :手続補正書の提出
平成29年11月21日(発送日) :拒絶理由通知
平成30年2月16日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年7月24日(発送日) :拒絶査定
平成30年11月19日 :審判請求書の提出

第2 特許法第44条第1項についての検討
原査定では、本願は特許法第44条第1項に基づく出願でないとしている。他方、請求人は、本願は特許法第44条第1項に基づく適法な出願である旨主張する。そこで、本願が、特許法44条第1項により原出願の一部を新たな特許出願としたもの(所謂、分割要件を満たす)かについての検討をする。
平成29年2月8日の手続補正及び平成29年3月1日の手続補正、並びに平成30年2月16日の手続補正により補正された本願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項は、原出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内のものである。同様に、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項は、本願の現実の出願日である平成29年2月3日の時点における原出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内のものであるともいえる。
ここで、平成29年2月8日の手続補正においてなされた図面の補正が、本願の最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の範囲内といえるかについて、さらに検討すると、平成29年2月8日の手続補正により補正された図14ないし図17に係る補正は、本願の最初に添付した明細書の段落【0031】ないし【0043】の「図14?図17は本発明の別の実施形態を示す。」(段落【0031】を参照。)との記載事項を具体的に図示するための補正といえる。そして、図14ないし図17の図示事項は、明細書の段落【0031】ないし【0043】の記載事項に概ね対応していると理解できる。加えて、図14ないし図17には、明細書の段落【0031】ないし【0043】の記載事項にない図番等の符号は追加されておらず、該記載事項及び当業者の通常の創作能力の範囲内で自明に導くことができる事項を超えた、格別な構成あるいは形状に係る事項が図示されたとはいえない。 さらに、図14ないし図17の補正については、原出願においても本願と同様の手続補正がなされ、当該補正は、原出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内とされている。
したがって、平成29年2月8日の手続補正は、原出願の最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面との関係において、新たな技術的事項を導入したものとはいえない。
なお、仮に、図14ないし図17に明細書の段落【0031】ないし【0043】に記載がない事項が図示されていたとしても、特許出願の図面は本願発明の特徴を示すもので、それ以外の事項は正確でなくとも足りるものであるから、当該図示された事項は、実質的に本願発明の技術的特徴を示すものとはいえない。
そうすると、本願は原出願の一部といえるから、本願は原出願の一部を新たな特許出願としたものといえる。そして、原出願の拒絶査定不服審判の審判請求日及び本願の現実の出願日はいずれも平成29年2月3日であって特許法第17条の2第1項第4号の規定による補正ができる期間に出願されたものであるから、特許法第44条第1項第1号の要件を満たす。
したがって、本願は特許法第44条第1項に基づく出願である(分割要件を満たす)から、本願の出願日は特許法第44条第2項及び特許法第184条の3第1項の規定により、原出願の国際出願日にされたものとみなすべきものと認められる。

第3 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成30年2月16日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「内燃機関のためのピストンであって、
ピストン上部と、
ピストン下部とを備え、少なくとも前記ピストン下部は鉄系材料で作製され、前記ピストン下部は、ピンボア軸に沿って整列される関連付けられたピンボアで形成される1対のピンボスを有し、前記ピストン下部は、前記ピンボスと一体として、かつ同一材料で形成される1対のピストンスカート部をさらに含み、
前記ピストン上部および下部は各々、環状外側壁および環状内側壁を含み、前記環状外側壁および内側壁は、径方向に互いに間隔を空けられており、各前記内側壁と外側壁との間の流路部を提供し、前記ピストン上部の前記内側壁および外側壁は、内側および外側溶接接合部に亘って前記ピストン下部のそれぞれの前記内側壁および外側壁に恒久的に接合されており、互いに接合された前記内側壁および外側壁によって与えられる2つの側壁と、前記ピストン上部によって形成される環状頂部壁と、前記ピストン下部によって形成される底部壁とを有する環状冷却通路を自身同士の間に規定し、
互いに接合された前記ピストン上部および下部は、互いに接合された前記内側壁の内側面によって一部を規定される燃焼皿を含み、前記ピストン下部の前記内側壁の径方向内側に延在する前記燃焼皿のほぼドーム形状の底部壁をさらに含み、
前記内側溶接接合部は前記燃焼皿に露出しており、
互いに接合された前記ピストンの部分は、前記ピンボスの底縁から前記頂部壁の頂面まで測定されるピストン高さ寸法PHを含み、
互いに接合された前記ピストンの部分は、前記ピンボア軸から前記頂部壁の前記頂面まで測定される圧縮高さ寸法CHを含み、
互いに接合された前記ピストンの部分は、前記頂部壁の外径として測定されるピストン直径PDを含み、
PDは約103mmに等しく、CHは約40mmに等しく、CH/PHの比は約2/3に等しい、ピストン。」

第4 拒絶査定の概要
拒絶査定の概要は以下のとおりである。
「この出願については、平成29年11月14日付け拒絶理由通知書に記載した理由1-4によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

●理由3(特許法第29条第2項)について
・請求項1
・引用文献等2

<引用文献等一覧>
2.国際公開第2011/056822号」

そして、平成29年11月14日付け(発送日:平成29年11月21日)の拒絶理由通知の理由3に係る拒絶理由の概要は以下のとおりである。

「3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由3(進歩性)について
・請求項1
・引用文献等2
・備考
本願の請求項1に係る発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
2.国際公開第2011/056822号」

第5 引用文献の記載事項
1 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である国際公開第2011/056822号(以下、「引用文献」という。)には、「STEEL PISTON WITH COOLING GALLERY AND METHOD OF CONSTRUCTION THEREOF」に関して、図面(特に、FIG.1ないしFIG.5を参照。)とともに次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。

ア 「[0002] This invention relates generally to internal combustion engines, and more particularly to pistons and their method of construction.」
(当審仮訳)
「[0002] この発明は一般的に内燃機関に関し、より特定的にはピストンおよびその構成方法に関する。」

イ 「[0003] Engine manufacturers are encountering increasing demands to improve engine efficiencies and performance, including, but not limited to, improving fuel economy, reducing oil consumption, improving fuel systems, increasing compression loads within the cylinder bores, reducing heat lost through the piston, reducing friction losses, decreasing engine weight and making engines more compact. In order to achieve these goals, the piston size and their compression height need to be reduced. However, while desirable to increase compression loads within the combustion chamber, it remains necessary to maintain the piston within workable limits. As such, although desirable to increase compression loads within the combustion chamber, there is a tradeoff in that these "increases" limit the degree of which the compression height, and thus, overall engine size, can be decreased. Further, the degree to which the engine weight can be reduced is compromised in that the increase of mechanical and thermal loads imposed on the piston require that they be made of steel.
[0004] A piston constructed in accordance with this invention overcomes the aforementioned disadvantages of known piston constructions and other disadvantages, as will become apparent to those skill in the art upon reading the disclosure and viewing the drawings herein.」
(当審仮訳)
「 [0003] エンジン製造者は、燃費の改良、オイル消費の低減、燃料系の改良、シリンダボア内の圧縮荷重の増大、ピストンを通して失われる熱の低減、摩擦損失の低減、エンジン重量の低減、およびエンジンのさらなる小型化を含むがそれらに限定されない、エンジンの効率および性能を改良するという増大する要求に遭遇している。これらの目標を達成するため、ピストンの大きさおよびそれらの圧縮高さを低減する必要がある。しかしながら、燃焼室内の圧縮荷重を増大させることが望ましい一方で、ピストンを作動可能限界前に維持することが依然として必要である。したがって、燃焼室内で圧縮荷重を増大することが望ましいものの、これらの「増大」によって、圧縮高さおよびしたがって全体的なエンジンの大きさを低減できる度合が限定されてしまうという兼ね合いが存在する。さらに、ピストンに加わる機械的および熱的荷重の増大がそれらがスチール製であることを要件とするために、エンジン重量を低減できる度合が損なわれてしまう。
[0004] この発明に従って構成されるピストンは、開示を読み、本明細書中の図面を見れば当業者には明らかとなるように、公知のピストン構成の上記の欠点および他の欠点を解消する。」

ウ 「[0005] A piston constructed in accordance with this invention is constructed of steel, thereby providing the piston with enhanced strength and durability to withstand increased compression loads within a cylinder bore, such as those seen in modern high performance engines. Further, due to the novel configuration of the piston, the compression height (CH) and weight of the piston are able to be minimized, thereby allowing an engine in which the pistons are deployed to be made more compact and lightweight.
[0006] In accordance with one aspect of the invention, a piston is constructed including a top part having an uppermost surface with annular inner and outer upper joining surfaces depending from the uppermost surface. The piston further includes a bottom part having a pair of pin bosses providing a pair of laterally spaced pin bores aligned with one another along a pin bore axis and having a pair of upwardly extending annular inner and outer lower joining surfaces joined by separate respective inner and outer weld joints to the inner and outer upper joining surfaces of the top part with an annular cooling gallery formed laterally between the upper joining surfaces and the lower joining surfaces. The bottom part includes a combustion bowl wall recessed below the uppermost surface, wherein the combustion bowl wall has an upper apex and an annular valley surrounding the upper apex and a lower apex underlying the upper apex. The inner weld joint joining the top part to the bottom part is substantially coplanar with the lower apex, thereby minimizing the compression height of the piston.」
(当審仮訳)
「[0005] この発明に従って構成されるピストンはスチールから構成され、これにより、ピストンに、近代的な高性能エンジンで見られるものなどのシリンダボア内の増大した圧縮荷重に耐える向上した強度および耐久性を与える。さらに、ピストンの新規の構成により、ピストンの圧縮高さ(CH)および重量を最小化することができ、これによりピストンが配備されるエンジンをより小型化および軽量化することができる。
[0006] 発明の1つの局面に従うと、最上面を有する頂部を含むピストンが構成され、環状の内側および外側上接合面が最上面から垂下している。ピストンはさらに、ピンボア軸に沿って互いと整列される1対の横方向に間隔を空けられたピンボアを設ける1対のピンボスを有し、かつ別個のそれぞれの内側および外側溶接接合部によって頂部の内側および外側上接合面に接合される1対の上向きに延在する環状の内側および外側下接合面を有する底部をさらに含み、環状冷却通路が上接合面と下接合面との間に横方向に形成されている。底部は最上面の下に引込められた燃焼皿壁を含み、燃焼皿壁は、上側頂点と、上側頂点を取囲む環状の谷部と、上側頂点の下にある下側頂点とを有する。頂部を底部に接合する内側溶接接合部は下側頂点と実質的に同一平面にあるため、ピストンの圧縮高さが最小化される。」

エ 「[00030] Referring in more detail to the drawings, Figure 1 illustrates a partially sectioned perspective view of a piston 10 constructed in accordance with one presently preferred embodiment of the invention for reciprocating movement in a cylinder bore or chamber (not shown) of an internal combustion engine, such as a modem, compact, high performance vehicle engine, for example. The piston 10 has a body 12 made of at least two separate pieces that are initially fabricated as separate parts and subsequently joined to one another within a head region 14 across some form of a weld joint (i.e., induction weld, friction weld, braze joint, charge carrier rays, laser, resistance, and the like). The two parts comprise a bottom part 16, and a top part 18. Reference to "top", "bottom", "upper" and "lower" herein are relative to the piston being oriented along a vertical longitudinal central piston axis A along which the piston 10 reciprocates in use. This is for convenience and is not to be limiting since it is possible that the piston may be installed and operate at an angle or other than purely vertical. At least the bottom part 16 of the piston 10 is cast of steel to near net shape, such as in an investment casting process. The top part 18 of the piston 10 may also be fabricated of steel as a separate piece from that of the bottom part 16. The material (i.e., the steel alloy) used to construct the bottom and top parts 16, 18 may be the same (e.g., SAE 4140 grade) or different, depending on the requirements of the piston 10 in the particular engine application. The top part 18 may be cast, may be machined from stock, may be sintered, forged or made by any number of processes. The bottom and top parts 16, 18, being constructed of steel, provide the piston 10 with enhanced strength and durability to withstand increased compression loads within the cylinder bore, and due to their novel configuration, minimize the weight and compression height (CH) of the piston 10, thereby allowing an engine in which the pistons 10 are deployed to achieve a reduced weight and to be made more compact.
[00031] As shown in Figures 1, 3 and 4, the head region 14 of the piston 10 has an annular top wall 20 which surrounds an annular combustion bowl 22 that is recessed below an uppermost combustion surface of the top wall 20. The combustion bowl 22 is demarcated by a wall 24 that includes a centrally located thin-walled bottom or floor 26 having a uniform or constant thickness extending between an upper surface 28 and an underlying undercrown surface, also referred to as bottom surface 30. The contour of the combustion bowl 22 is formed by the upper surface 28, wherein the upper surface 28 is shown as being contoured to provide an upper apex or center peak 32 that may lie coaxially along the central axis A of the piston 10 or may be radially offset relative to the piston central axis A, such as discussed further below with relation to Figures 6-9. The contour of the combustion bowl wall 24 also provides an annular valley 34 which surrounds the peak 32, shown as being concentric in relation to the peak 32 and forming the lowest portion of the combustion bowl 24. With the floor 26 having a constant, or substantially constant thickness, ranging between about 2.5% to 4.0% of the piston head outer diameter, the bottom surface 30 follows or substantially follows the contour of the combustion bowl upper surface 28. Thus, an elevated lower apex or peak 36 is formed directly underlying the upper apex 32 to provide maximum available space to accommodate the wrist pin end, also referred to as small end, of the connecting rod (not shown). Accordingly, the small end of the connecting rod can be increased in size to provide enhanced guidance and stability to the piston during reciprocation.
[00032] As best shown in Figures 3A and 4A, the bottom part 16 of the piston 10 is fabricated to include the floor 26, and thus, both the peak 32 and the valley 34 of the combustion bowl 22. Referring again to Figures 1, 3 and 4, the combustion bowl 22 further includes a peripheral annular upstanding side wall 38 which surrounds and extends upwardly from the floor 26 of the combustion bowl 22 near the valley 34 to the top wall 20 of the head region 14. The combustion bowl side wall 38 is formed partially by the bottom part 16 and partially by the top part 18 of the piston 10. Accordingly, the side wall 38 includes a lower side wall portion 37 (Figures 3A and 4A) provided by the bottom part 16 and an upper side wall portion 39 (Figures 1, 3 and 4) provided by the top part 18. An uppermost region of the combustion bowl upper side wall portion 39 provides an annular radially inwardly projecting lip or rim 40 of the combustion bowl 22 formed entirely by the top part 18, such that the side wall 38 of the combustion bowl 22 is undercut to provide an annular reentrant cavity 42 in the top part 18 of the piston 10. The annular lower and upper side wall portions 37, 39 each have lower and upper end joining surfaces 41, 43, respectively, that are welded to one another in construction of the piston 10. The lower end joining surface 41 is shown as being coplanar or substantially coplanar with the underlying peak 36 of the combustion bowl floor 26, by way of example and without limitation, and thus, the center peak 32 extends above the plane of the lower end joining surface 41.
[00033] The head region 14 of the piston 10 further includes an annular ring belt 44 formed in an annular outer wall 46 of the piston 10. The outer wall 46 extends downwardly from the top wall 20, wherein an upper portion of the outer wall 46 is provided by the top part 18 of the piston 10, and a remaining bottom portion of the outer wall is provided by the bottom part 16. The upper portion of the outer wall 46 depends from the top wall 20 to an annular, outer, upper joining surface 47 while the lower portion of the outer wall 46 extends upwardly to an annular, outer, lower joining surface 49. An upper portion of the ring belt 44 is shown as being formed in the upper portion of the outer wall 46 within the top part 18 of the piston 10 and a lower portion of the ring belt 44 is shown as being formed in the bottom portion of the outer wall 46 within the bottom part 16 of the piston 10. The ring belt 40 has a plurality of outer annular ring grooves 45 in which piston rings (not shown) are received in the usual manner. The ring grooves 45 shown include an uppermost ring groove adjacent the top wall 20 of the piston head region 14, wherein the uppermost ring groove can be formed entirely within the top part 18, between the top part 18 and the bottom part 16, or entirely within the bottom part 16, wherein the uppermost ring groove 45 is provided to receive a compression ring (not shown). In addition, a pair of lower ring grooves 45 below the uppermost ring groove 45 are shown, wherein the pair of lower ring grooves 45 are preferably formed in the bottom part 16, such as to receive an intermediate wiper ring and a lowermost oil ring (neither shown). Further yet, a bottom (fourth) annular groove or recess 45' is formed below the lowermost oil ring groove 45, wherein the annular recess 45' is formed "as cast" primarily as a weight reduction feature.
[00034] The head region 14 of the piston 10 further includes an annular bottom wall 48 that extends radially inwardly from the lower end of the ring belt 44 toward the central axis A. The bottom wall 48 is formed entirely from the material of the bottom part 16. The bottom wall 48 transitions radially inwardly over a transition region 51 into the floor 26 of the combustion bowl 22 radially inwardly of the side wall 38 of the combustion bowl 22.
[00035] The annular bottom wall 48 of the head region 14 is spaced in axial alignment along the central axis A from the top wall 20, and the outer wall 46 of the ring belt 44 is spaced radially outwardly from the inner combustion bowl side wall 38. As such, as shown in longitudinal cross-section, these walls 48, 20, 46, 38 form an annular, toroid- shaped box structure that bound a substantially enclosed, circumferentially continuous oil gallery 50 within the piston head region 14. An upper region of the oil gallery 50 is formed by the top part 18 of the piston 10 and a lower region of the oil gallery 50 is formed by the bottom part 16 of the piston 10. The bottom wall, also referred to as floor 48, of the oil gallery 50 is formed with at least one oil feed or inlet 52 that is open to the bottom of the piston 10 and is in direct fluid communication with the oil gallery 50 for introducing a flow of cooling oil from a supply source (not shown), such as from an oil jet during operation of the diesel engine in which the piston 10 is to be installed. If the bottom part 12 of the piston is fabricated by casting (e.g., investment cast), then the oil inlet 52 may be formed as a "cast-in" feature rather than being subsequently formed by a machining operation. The bottom wall 48 may also include at least one oil drain hole or outlet 54 that is open to the bottom of the piston 10 and is in open fluid communication with the oil gallery 50 for draining oil from the gallery 50 back into the crankcase of the engine during operation. The at least one oil drain hole 54 may likewise be a "cast-in" feature of the bottom piston part 16. While it is preferred to avoid secondary or downstream processes to form the inlet and outlet 48, 50 by casting them directly in the bottom part 16, they can also be machined or otherwise processed, if desired. In addition, the bottom wall 48 can be formed "as cast" to provide an annular undercut region to provide an annular reentrant portion 55 of the oil gallery 50 extending radially inwardly beneath at least a portion of the side wall 38 to maximize the cooling effect of the oil within the cooling gallery 50 on the combustion bowl 22.
[00036] The bottom part 16 further includes a pair of pin bosses 56 configured to depend from the top part 18. The pin bosses 56 each have a pin bore 58, preferably bushless given the steel construction, wherein the pin bores 58 are spaced from one another coaxially along a pin bore axis B that extends transverse to the central longitudinal axis A. The pin bores 58 each have an uppermost surface extending tangent with an uppermost tangent plane 57 and a lowermost surface extending tangent with a lowermost tangent plane 59, wherein the tangent planes 57, 59 extend parallel to one another and transverse to the central axis A. The pin bosses 56 are joined to skirt portions, also referred to as skirt panels 60, that are formed as a monolithic piece of material with the bottom part 16 and are thus, formed integrally as a monolithic piece of material with the pin bosses 56.
[00037] The skirt panels 60 are joined along their longitudinally extending sides 61 directly to the pin bosses 56 via windows, also referred to as strut portions 62, such that the skirts panels 60 are arranged diametrically opposite one another across opposite sides of the pin bosses 56. One or more of the strut portions 62 can be formed having an opening 63, wherein the openings 63 are shown as elongate, arcuate oval or generally peanut-shaped openings extending generally lengthwise along the central axis A. The openings 63 are preferably formed "as cast" with the bottom part 16, though they could be machined or processed subsequent to casting, if desired for additional weight reduction.
[00038] The skirt panels 60 have convex outer surfaces extending between their respective sides 61 across a central region 65, wherein the outer surfaces are contoured for smooth, mating cooperation with a wall of the cylinder bore to maintain the piston 10 in a desired orientation as it reciprocates through the cylinder bore. The skirt panels 60 are constructed having a thickness ranging between about 2.0% to 3.0% of the piston head outer diameter. As best shown in Figure 5, to provide an enhanced skirt stiffness and uniformity of skirt contact pressure against the cylinder liner, and to provide enhanced guidance of the piston during reciprocation within the cylinder liner, the outer edges 61 of the skirt panels 60 are slightly thicker than the central region 65, such that the skirt panels 60 have a continuous wall thickness variation extending from one side 61 to the opposite side 61 of a respective skirt panel 60. The sides 61 are the same or substantially the same thickness, while the central region 65 has a reduced thickness of about 5% relative to the sides 61. Thus, while the outer surface of the skirt panels have a constant or substantially constant radius of curvature, an inner surface of the skirt panels 60 has a varying radius of curvature.
[00039] The skirt panels 60 are each joined at their upper ends and formed as one piece (e.g., cast) with the lower portion of the ring belt 44, wherein the annular recess 45' extends between the skirt upper ends and the lowermost ring groove 45. The skirt panels 60 extend longitudinally generally parallel with the central axis A downward from the ring belt 44 to bottom or lower ends 64 which are spaced below the lowermost tangent planes 59 of the pin bores 58. At least one of the pin bosses 56 is formed with a datum pad 66 that projects downwardly from the bottom of the pin boss 56 to provide a flat reference surface 68 used in manufacture. The reference surface 60 is co-planer with the lower ends 64 of the skirt panels 60.
[00040] A weld joint 70 that unites the separately made top and bottom parts 18, 16 of the piston 10 extends at least through the side wall 38 of the combustion bowl 22 upon welding the radially inner annular lower joining surface 41 of the bottom part 16 to the radially inner annular upper joining surface 43 of the top part 18. Thus, the weld joint 70 is open to the combustion bowl 22 above the valley 34 and below the center peak 32 and the rim 40 of the combustion bowl 22. The weld joint 70 is also spaced axially above the lowest portion of the oil gallery, formed by the lower wall 48, which itself is spaced below the valley 34 of the combustion bowl 22.
[00041] In addition to the weld joint 70 extending through the combustion bowl side wall 38, a weld joint 72 extends through at least one other wall in the head region 14. As illustrated, the weld joint 72 may extend through the outer ring belt 44 of the piston 10. The location of the ring belt weld joint 72 may be at any point along the length of the ring belt 44. As illustrated, the ring belt weld joint 72 may lie in the same plane extending transverse to the central axis A as that of the weld joint 70 in the combustion chamber side wall 38. The bottom part 16 of the piston 10 may thus include a radially outer, upwardly facing pre-joined lower joining surface 74 of the ring belt 44 and the top part 18 may thus include a radially outer, downwardly facing pre-joined upper joining surface 76 of the ring belt 40. The associated lower and upper joining surfaces 41, 43; 74, 76 may be united by a selected joining process, such as induction welding, friction welding, resistance welding, charge earner rays, electron beam welding, brazing, soldering, hot or cold diffusion, etc.
[00042] The piston 10 is adapted for use in light, modem, high performance vehicle diesel engine applications with piston head outer diameter range from about 75 mm to 105mm. While made of steel, the piston 10, by its thin-walled design, is as light, if not lighter, than its aluminum counterparts when taking into account the mass of the aluminum piston and the associated insert pin bore bushings, etc used in aluminum piston assemblies. The steel piston 10 also has a significantly smaller compression height CH, defined as the distance extending between the central pin bore axis B and the top wall 20, than its aluminum counterpart piston (i.e. 20-30% smaller). The comparable weight and smaller CH allows the engine to be made smaller and more compact, or for the connecting rod to be longer and have an enlarged small end, given the increased available space provided between the pin bore axis B and (he underlying peak 36 of the combustion bowl wall 24, so as to reduce the side load on the piston during operation.
[00043] As mentioned, the steel piston 10 has a very short compression height CH. In comparison with prior art two-piece pistons having oil cooling galleries typical of heavy- duty diesel engine applications, it will be appreciated that the pin bosses 56, and thus their associated pin bores 58, are much higher up in the piston body 12 (the piston is more axially compact). The illustrated piston 10 has a compression height CH to piston head region outer diameter ratio of about 40.9%. Further, the distance from the pin bore axis B to the combustion bowl side wall weld joint 70 is about 27 mm. By comparison, an aluminum piston for a similar application would have about 20-30% greater CH to piston head region outer diameter ratio.」
(当審仮訳)
「[00030] 図面をより詳細に参照して、図1は、たとえば近代的な小型高性能車両エンジンなどの内燃機関のシリンダボアまたはチャンバ(図示せず)中の往復運動のための、発明の1つの現在好ましい実施形態に従って構成されるピストン10の部分断面斜視図を図示する。ピストン10はまず別個の部品として作製され、その後何らかの形態の溶接接合(すなわち、誘導溶接、摩擦溶接、ろう付け接合、電荷担体光線、レーザ、抵抗など)にわたってヘッド領域14内で互いに接合される少なくとも2つの別個の片からなる本体12を有する。2つの部品は底部16および頂部18を備える。本明細書中での「頂」、「底」、「上」、および「下」の参照は、使用の際にピストン10が往復する鉛直長手方向中心ピストン軸Aに沿って向けられるピストンに対するものである。これは便宜上のものであり、限定するものではない。なぜなら、ピストンはある角度または純粋に鉛直方向以外に設置されて動作し得ることが可能だからである。ピストン10の少なくとも底部16はインベストメント鋳造プロセスなどでスチールからニアネットシェイプに鋳造される。ピストン10の頂部18も底部16とは別個の片としてスチールから作製されてもよい。底部および頂部16、18を構成するのに用いられる材料(すなわちスチール合金)は、特定のエンジン適用例でのピストン10の要件に依存して、同じ(たとえばSAE4140グレード)であってもまたは異なってもよい。頂部は鋳造されてもよく、原料から機械加工されてもよく、任意の数のプロセスで焼結され、鍛造され、または作られてもよい。スチールから構成される底部および頂部16、18は、ピストン10に、シリンダボア内の増大する圧縮荷重に耐える改良された強度および耐久性を与え、それらの新規の構成により、ピストン10の重量および圧縮高さ(CH)を最小限にし、これによりピストン10が配備されるエンジンはより低重量を達成しより小型化され得る。
[00031] 図1、図3、および図4に示されるように、ピストン10のヘッド領域14は、頂部壁20の最上燃焼面下に引込められる環状燃焼皿22を取囲む環状頂部壁20を有する。燃焼皿22は壁24によって境界確定され、壁24は、底面30とも称される下にあるクラウン下面と上面28との間に延在する均一または一定の厚みを有する中心に位置する薄い壁の底部または床26を含む。燃焼皿22の輪郭は上面28によって形成され、上面28は、ピストン10の中心軸Aに沿って同軸に位置し得るかまたは図6-図9に関連して以下にさらに論じるものなどのようなピストン中心軸Aに対して径方向にオフセットされ得る上側頂点または中心ピーク32を設けるように輪郭付けされて示される。燃焼皿壁24の輪郭は、ピーク32に関連して同心であるようにかつ燃焼皿24の最も低い部分を形成するように示される、ピーク32を取囲む環状の谷部34も設ける。床26の厚みはピストンヘッド外径の約2.5%から4.0%の範囲に亘って一定または実質的に一定であるので、底面30は燃焼皿上面28の輪郭に従うかまたは実質的に従う。このように、盛り上がった下側頂点またはピーク36は上側頂点32の直下にあるように形成されて、接続ロッド(図示せず)の、スモールエンドとも称されるリストピン端を収容する最大限利用可能な空間を設ける。これにより、接続ロッドのスモールエンドの大きさが増大して、往復の際にピストンに向上した誘導および安定性を与えることができる。
[00032] 図3Aおよび図4Aに最もよく示されるように、ピストン10の底部16は、燃焼皿22の床26およびしたがってピーク32と谷部34との両者を含むように作製される。再び図1、図3、および図4を参照して、燃焼皿22はさらに、谷部34に近い燃焼皿22の床26からヘッド領域14の頂部壁20へ上向きに延在しこれらを取囲む周囲の環状の直立した側壁38を含む。燃焼皿側壁38は一部をピストン10の底部16によっておよび一部を頂部18によって形成される。これにより、側壁38は、底部16によって設けられる下側側壁部分37(図3Aおよび図4A)と、頂部18によって設けられる上側側壁部分39(図1、図3、および図4)とを含む。燃焼皿上側側壁部分39の最上領域は全体が頂部18によって形成される燃焼皿22の環状の径方向内向きに突出する縁またはリム40を設け、これにより燃焼皿22の側壁38は下部が切られて、ピストン10の頂部18に環状の内曲空洞42を設ける。環状の下側および上側側壁部分37、39は各々、ピストン10の構成において互いに溶接される下側および上側端接合面41、43をそれぞれ有する。下側端接合面41は、一例としておよび限定されずに、燃焼皿床26の下にあるピーク36と同一平面にまたは実質的に同一平面にあるものとして示され、これにより中心ピーク32は下側端接合面41の平面上方に延在する。
[00033] ピストン10のヘッド領域14は、ピストン10の環状外側壁46中に形成される環状リングベルト44をさらに含む。外側壁46は頂部壁20から下向きに延在し、外側壁46の上側部分はピストン10の頂部18によって設けられ、外側壁の残余の底部分は底部16によって設けられる。外側壁46の上側部分は頂部壁20から環状の外側上接合面47へ垂下する一方で、外側壁46の下側部分は環状の外側下接合面49へ上向きに延在する。リングベルト44の上側部分はピストン10の頂部18内の外側壁46の上側部分の中に形成されるものとして示され、リングベルト44の下側部分はピストン10の底部16内の外側壁46の底部分の中に形成されるものとして示される。リングベルト40は、ピストンリング(図示せず)を通常の態様で受ける複数の外側環状リング溝45を有する。示されるリング溝45はピストンヘッド領域14の頂部壁20に隣接する最上リング溝を含み、最上リング溝は、頂部18と底部16との間で、その全体が頂部18内に形成可能であるかまたはその全体が底部16内に形成可能であり、最上リング溝45はコンプレッションリング(図示せず)を受けるように設けられる。さらに、最上リング溝45下の1対の下側リング溝45が示され、1対の下側リング溝45は、中間ワイパーリングおよび最下方オイルリング(いずれも図示せず)を受けるなど、好ましくは底部16中に形成される。またさらに、底部(第4の)環状溝または凹部45′が最下方オイルリング溝45の下に形成され、環状凹部45′は主に重量低減特徴として「鋳放し」で形成される。
[00034] ピストン10のヘッド領域14は、リングベルト44の下方端から中心軸Aに向けて径方向内向きに延在する環状底部壁48をさらに含む。底部壁48は全体が底部16の材料から形成される。底部壁48は、燃焼皿22の側壁38の径方向内向きに、燃焼皿22の床26の中へと遷移領域51に亘って径方向内向きに遷移する。
[00035] ヘッド領域14の環状底部壁48は頂部壁20から中心軸Aに沿って軸方向に整列して間隔を空けられ、リングベルト44の外側壁46は内側燃焼皿側壁38から径方向外向きに間隔を空けられる。これにより、長手方向断面に示されるように、これらの壁48、20、46、38はピストンヘッド領域14内の実質的に囲い込まれた、周方向に連続したオイル通路50を結合する環状のトロイド形状の箱構造を形成する。オイル通路50の上側領域はピストン10の頂部18によって形成され、オイル通路50の下側領域はピストン10の底部16によって形成される。オイル通路50の、床48とも称される底部壁は、ピストン10の底に向けて開いている少なくとも1つの給油口または入口52で形成され、ピストン10が設置されるべきディーゼルエンジンの動作の際にオイルジェットからなどの供給源(図示せず)から冷却オイルの流れを導入するためのオイル通路50と直接に流体連通している。ピストンの底部12が鋳造(たとえばインベストメント鋳造)によって作製される場合、オイル入口52は、後で機械加工作業によって形成されるよりもむしろ「鋳込」特徴として形成されてもよい。底部壁48は、ピストン10の底部へ開いており、かつ動作の際通路50からエンジンのクランク室の中に戻るようにオイルを排出するためにオイル通路50と開放流体連通している少なくとも1つのオイル排出孔または出口54も含んでもよい。少なくとも1つのオイル排出孔54は同様に底部ピストン部16の「鋳込」特徴であってもよい。入口および出口48、50を底部16に直接に鋳造することによって、これらを形成する二次または下流プロセスを避けることが好ましいが、所望により機械加工または他のやり方でそれらを加工することもできる。さらに、底部壁48は、側壁38の少なくとも一部の下に径方向内向きに延在して燃焼皿22に対する冷却通路50内のオイルの冷却効果を最大限にするオイル通路50の環状内曲部分55を設ける環状下側切取り領域を設けるように、「鋳放し」で形成することができる。
[00036] 底部16はさらに頂部18から垂下するように構成される1対のピンボス56を含む。ピンボスは各々、スチール構成を考慮すると好ましくはブッシュのないピンボア58を有し、ピンボア58は中心長手方向軸Aを横断して延在するピンボア軸Bに沿って同軸に互いから間隔を空けられる。ピンボア58は各々、最上正接平面57と正接して延在する最上面と、最下方正接平面59と正接して延在する最下面とを有し、正接平面57、59は互いに平行にかつ中心軸Aを横断するように延在する。ピンボス56は、底部16と一体の材料片として形成され、およびしたがってピンボス56と一体の材料片として一体的に形成されるスカートパネル60とも称されるスカート部分に接合される。
[00037] スカートパネル60は、それらの長手方向に延在する側面61に沿って、窓を介して、支柱部分62とも称されるピンボス56に直接に接合され、これによりスカートパネル60はピンボス56の対向側面に亘って互いと正反対に配置される。開口部63を有する支柱部分62のうち1つ以上を形成することができ、開口部63は中心軸Aに沿ってほぼ長さ方向に延在する細長い弧状の楕円またはほぼピーナッツ形状の開口部として示される。開口部63は好ましくは底部16によって「鋳放し」で形成されるが、さらなる軽量化のために、所望により、鋳造後にそれらを機械加工または加工することができる。
[00038] スカートパネル60は中央領域65に亘ってそれぞれの側面61同士の間に延在する凸状の外側面を有し、外側面はピストンがシリンダボアを通って往復運動する際にピストン10を所望の向きに維持するようにシリンダボアの壁と滑らかに嵌り合って協働するように輪郭付けされる。ピストンヘッド外径の約2.0%から3.0%の間の範囲に亘る厚みを有するスカートパネル60が構成される。図5に最もよく示されるように、シリンダライナに対するスカート接触圧の向上したスカート剛性および均一性を与えるため、かつシリンダライナ内の往復の際のピストンの向上した誘導を与えるため、スカートパネル60の外側端縁61は中央領域65よりも僅かに分厚く、これによりスカートパネル60はそれぞれのスカートパネル60の一方側面61から反対側面61に延在する連続した壁厚み変化を有する。側面61は同じまたは実質的に同じ厚みである一方で、中央領域65は側面61に対して約5%減少した厚みを有する。このように、スカートパネルの外側面は一定のまたは実質的に一定の曲率半径を有する一方で、スカートパネル60の内側面は異なる曲率半径を有する。
[00039] スカートパネル60は各々、それらの上側端で接合され、リングベルト44の下側部分と一体として形成され(たとえば鋳造)、スカート上側端と最下方リング溝45との間に環状の凹部45′が延在する。スカートパネル60は、リングベルト44から下向きにピンボア58の最下方正接平面59の下に間隔を空けられる底部または下方端64へ中心軸Aと長手方向にほぼ平行に延在する。ピンボス56のうち少なくとも1つは、製造の際に用いられる平らな基準面68を設けるように、ピンボス56の底部から下向きに突出する基準点パッド66で形成される。基準面60はスカートパネル60の下方端64と同一平面にある。
[00040] ピストン10の別個に作られた頂部および底部18、16を統合する溶接接合部70は、底部16の径方向内側の環状下接合面41を頂部18の径方向内側の環状上接合面43に溶接すると、燃焼皿22の少なくとも側壁38を通って延在する。このように、溶接接合部70は、谷部34の上方ならびに燃焼皿22の中心ピーク32およびリム40の下方で、燃焼皿22に向けて開いている。溶接接合部70は、それ自体が燃焼皿22の谷部34の下に間隔を空けられる下方壁48によって形成されるオイル通路の最下方部分の上方に軸方向にも間隔を空けられる。
[00041] 燃焼皿側壁38を通って延在する溶接接合部70に加えて、溶接接合部72がヘッド領域14中の少なくとも1つの他の壁を通って延在する。図示されるように、溶接接合部72はピストン10の外側リングベルト44を通って延在してもよい。リングベルト溶接接合部72の場所はリングベルト44の長さに沿ったいずれの点であってもよい。図示されるように、リングベルト溶接接合部72は、燃焼室側壁38中の溶接接合部70と同じ、中心軸Aを横断するように延在する平面に存在してもよい。ピストン10の底部16はこのように、リングベルト44の径方向外側の上向きに面する予め接合された下接合面74を含んでもよく、頂部18はこのように、リングベルト40の径方向外側の下向きに面する予め接合された上接合面76を含んでもよい。関連付けられた下接合面および上接合面41、43;74、76は誘導溶接、摩擦溶接、抵抗溶接、電荷担体光線、電子ビーム溶接、ろう付け、はんだ付け、高温または低温拡散などの選択された接合プロセスによって統合されてもよい。
[00042] ピストン10は、ピストンヘッド外径が約75mmから105mmの範囲に亘る、軽量で近代的な高性能車両ディーゼルエンジン適用例で用いられるように適合される。スチール製であるが、ピストン10は、その薄壁設計により、アルミニウムピストンおよびアルミニウムピストンアセンブリで用いられる関連の挿入ピンボアブッシングなどの質量を考慮すると、そのアルミニウム対応物よりも軽くないとしても同程度の軽さである。スチールピストン10は、そのアルミニウム対応ピストン(すなわち20-30%より小さい)よりも、中心ピンボア軸Bと頂部壁20との間に延在する距離として規定される圧縮高さCHも大幅に小さくなっている。匹敵する重量およびより小さいCHにより、エンジンは、燃焼皿壁24のピンボア軸Bと下にあるピーク36との間に設けられる増大した利用可能な空間を考慮すると、より小さくされより小型化される、または接続ロッドがより長くなるとともにより拡大されたスモールエンドを有することができ、これにより動作の際ピストンに対する側面荷重を低減することができる。
[00043] 言及したように、スチールピストン10の圧縮高さCHは非常に短い。大型車両用ディーゼルエンジン適用例に典型的なオイル冷却通路を有する先行技術の2個組のピストンと比較して、ピンボス56およびしたがってそれらの関連のピンボア58はピストン本体12中でより高くなる(ピストンは軸方向により小型である)ことが認められるであろう。図示されるピストン10は、圧縮高さCH対ピストンヘッド領域外径の比が約40.9%である。さらに、ピンボア軸Bから燃焼皿側壁溶接接合部70までの距離が約27mmである。比較すると、同様の適用例用のアルミニウムピストンはCH対ピストンヘッド領域外径比が約20-30%だけより大きくなるであろう。」

オ 上記エの記載事項(特に段落[00035]の記載事項を参照。)並びにFIG.1、FIG.3及びFIG.5の図示内容からみて、頂部18及び底部16に設けられた外側壁46と側壁38とは径方向に互いに間隔を空けられ、外側壁46と側壁38との間にオイル通路50が提供されていると理解できる。

カ 上記エの記載事項(特に段落[00032]の記載事項を参照。)並びにFIG.1、FIG.3及びFIG.5の図示内容からみて、燃焼皿22の一部は燃焼皿側壁38の内側面により規定されていると理解できる。

キ 上記エの記載事項(特に段落[00032]の記載事項を参照。)並びにFIG.1、FIG.3及びFIG.5の図示内容からみて、ピーク32と谷部34を含む燃焼皿22の床26はほぼドーム形状であるといえる。

ク FIG.1、FIG.3及びFIG.5の図示内容からみて、頂部18と底部16が接合されたピストン10は、スカートパネル60の下方端64から頂部壁20の最上面まで測定されるピストン高さ寸法を有していることは明らかである。

ケ 上記エの記載事項(特に段落[00032]の記載事項を参照。)並びにFIG.1、FIG.3及びFIG.5の図示内容からみて、ピストンヘッド外径は、頂部壁20の外径として測定されるものといえる。

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則り整理すると、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「内燃機関のためのピストン10であって、
頂部18と、
底部16とを備え、少なくとも前記底部16はスチールで構成され、前記底部16は、ピンボア軸Bに沿って同軸に互いから間隔を空けられるピンボア58を有する1対のピンボス56を有し、前記底部16は、前記ピンボス56と一体的に形成される1対のスカートパネル60と一体の材料片として形成され、
前記頂部18および底部16は各々、外側壁46および燃焼皿側壁38を含み、前記外側壁46および燃焼皿側壁38は、径方向に互いに間隔を空けられており、各前記燃焼皿側壁38と外側壁46との間のオイル通路50を提供し、前記頂部18の前記上側側壁部分39および外側壁46の上側部分は、下側及び上端側接合面41、43並びに外側上接合面47及び外側下接合面49に亘って前記底部16のそれぞれの前記下側側壁部分37および外側壁46の残りの底部分に溶接されており、互いに溶接された前記燃焼皿側壁38および外側壁46と、前記頂部18によって形成される環状頂部壁20と、前記底部16によって形成される環状底部壁48とを有するオイル通路50を形成し、
互いに溶接された前記頂部18および底部16は、互いに溶接された前記燃焼皿側壁38の内側面によって一部を規定される燃焼皿22を含み、前記底部16の前記下側側壁部分37の径方向内側に延在する前記燃焼皿22のほぼドーム形状の床26をさらに含み、
前記下側及び上端側接合面41、43は前記燃焼皿22に露出しており、
互いに溶接された前記ピストン10の部分は、前記スカートパネル60の下方端64から前記頂部壁20の最上面まで測定されるピストン高さ寸法を含み、
互いに溶接された前記ピストン10の部分は、前記ピンボア軸Bから前記頂部壁20の前記最上面まで測定される圧縮高さ寸法CHを含み、
互いに溶接された前記ピストン10の部分は、前記頂部壁20の外径として測定されるピストンヘッド外径を含み、
ピストンヘッド外径は約75mmから105mmの範囲に亘り、CHはピストンヘッド領域外径の約40.9%に等しい、ピストン10。」

第6 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「ピストン10」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「ピストン」に相当し、以下同様に、「頂部18」は「ピストン上部」に、「底部16」は「ピストン下部」に、「スチール」は「鉄系材料」に、「構成」は「作製」に、「ピンボア軸B」は「ピンボア軸」に、「ピンボア58」は「ピンボア」に、「ピンボス56」は「ピンボス」に、「スカートパネル60」は「ピストンスカート部」に、「外側壁46」は「環状外側壁」及び「外側壁」に、「燃焼皿側壁38」は「環状内側壁」及び「内側壁」に、「オイル通路50」は「流路部」及び「環状冷却通路」に、「溶接」は「恒久的に接合」及び「接合」に、「環状頂部壁20」は「環状頂部壁」に、「環状底部壁48」は「底部壁」に、「燃焼皿22」は「燃焼皿」に、「床26」は「底部壁」に、「スカートパネル60の下方端64」は「ピンボスの底縁」に、「最上面」は「頂面」に、「ピストンヘッド外径」は「ピストン直径PD」及び「PD」にそれぞれ相当する。
後者の「ピンボア軸Bに沿って同軸に互いから間隔を空けられるピンボア58を有する1対のピンボス56」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「ピンボア軸に沿って整列される関連付けられたピンボアで形成される1対のピンボス」に相当し、同様に、「底部16は、ピンボス56と一体的に形成される1対のスカートパネル60と一体の材料片として形成され」は「ピストン下部は、ピンボスと一体として、かつ同一材料で形成される1対のピストンスカート部をさらに含み」に相当する。
後者の「互いに溶接された前記燃焼皿側壁38および外側壁46」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「互いに接合された前記内側壁および外側壁によって与えられる2つの側壁」に相当する。してみると、後者の「互いに溶接された前記燃焼皿側壁38および外側壁46と、前記頂部18によって形成される環状頂部壁20と、前記底部16によって形成される環状底部壁48とを有するオイル通路50を形成し」は前者の「互いに接合された前記内側壁および外側壁によって与えられる2つの側壁と、前記ピストン上部によって形成される環状頂部壁と、前記ピストン下部によって形成される底部壁とを有する環状冷却通路を自身同士の間に規定し」に相当する。
後者の「前記頂部18の上側側壁部分39および外側壁46の上側部分」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「前記ピストン上部の前記内側壁および外側壁」に相当し、同様に「下側及び上端側接合面41、43並びに外側上接合面47及び外側下接合面」は「内側および外側溶接接合部」に、「下側及び上端側接合面41、43」は「内側溶接接合部」に相当する。
後者の「底部16のそれぞれの前記下側側壁部分37および外側壁46の残りの底部分」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「前記ピストン下部のそれぞれの前記内側壁および外側壁」に相当する。してみると、後者の「前記底部16の前記下側側壁部分37」は前者の「前記ピストン下部の前記内側壁」に相当する。
後者の「互いに溶接された前記ピストン10の部分は、前記スカートパネル60の下方端64から前記頂部壁20の頂面まで測定されるピストン高さ寸法を含み」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「互いに接合された前記ピストンの部分は、前記ピンボスの底縁から前記頂部壁の頂面まで測定されるピストン高さ寸法PHを含み」に相当する。

したがって、両者は、
「内燃機関のためのピストンであって、
ピストン上部と、
ピストン下部とを備え、少なくとも前記ピストン下部は鉄系材料で作製され、前記ピストン下部は、ピンボア軸に沿って整列される関連付けられたピンボアで形成される1対のピンボスを有し、前記ピストン下部は、前記ピンボスと一体として、かつ同一材料で形成される1対のピストンスカート部をさらに含み、
前記ピストン上部および下部は各々、環状外側壁および環状内側壁を含み、前記環状外側壁および内側壁は、径方向に互いに間隔を空けられており、各前記内側壁と外側壁との間の流路部を提供し、前記ピストン上部の前記内側壁および外側壁は、内側および外側溶接接合部に亘って前記ピストン下部のそれぞれの前記内側壁および外側壁に恒久的に接合されており、互いに接合された前記内側壁および外側壁によって与えられる2つの側壁と、前記ピストン上部によって形成される環状頂部壁と、前記ピストン下部によって形成される底部壁とを有する環状冷却通路を自身同士の間に規定し、
互いに接合された前記ピストン上部および下部は、互いに接合された前記内側壁の内側面によって一部を規定される燃焼皿を含み、前記ピストン下部の前記内側壁の径方向内側に延在する前記燃焼皿のほぼドーム形状の底部壁をさらに含み、
前記内側溶接接合部は前記燃焼皿に露出しており、
互いに接合された前記ピストンの部分は、前記ピンボスの底縁から前記頂部壁の頂面まで測定されるピストン高さ寸法PHを含み、
互いに接合された前記ピストンの部分は、前記ピンボア軸から前記頂部壁の前記頂面まで測定される圧縮高さ寸法CHを含み、
互いに接合された前記ピストンの部分は、前記頂部壁の外径として測定されるピストン直径PDを含む、ピストン。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
前者は「PDは約103mmに等しく、CHは約40mmに等し」いのに対し、後者は「ピストンヘッド外径は約75mmから105mmの範囲に亘り、CHはピストンヘッド領域外径の約40.9%」である点。

[相違点2]
前者は「CH/PHの比は約2/3に等しい」のに対し、後者はかかる構成を備えていない点。

第7 判断
相違点1について検討する。
引用発明は、ピストンヘッド外径は約75mmから105mmの範囲にあるものであるから、引用発明においてピストンヘッド外径を約103mmに等しくすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
引用発明のCHはピストンヘッド領域外径の約40.9%であり、ピストンヘッド外径は約75mmから105mmの範囲であるから、引用発明において、CHを約40mmに等しいものとすることは、当業者の通常の創作能力の範囲で適宜なし得たことである。
そうすると、このような引用発明に基いて、当業者の通常の創作活動により上記相違点1にかかる本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

相違点2について判断する。
引用文献の段落[0003]ないし[0006]に記載された事項(「第5」、「1」、イ及びウを参照。)からみて、引用発明のピストン10は、ピストンの大きさ及び圧縮高さを低減するものであり、特に、ピストン圧縮高さCH及び重量を最小化したものといえる。すなわち、引用発明はピストン圧縮高さCHを最小化することでピストンの大きさを低減する発明と理解できる。 そして、引用文献の図1、4の図示内容からみて、引用発明のピストン圧縮高さCHは、スカートパネル60の下方端64から頂部壁20の頂面までの寸法すなわちピストン10の高さ寸法の一部であるから、ピストン圧縮高さCHを最小化したものはピストン10の高さ寸法も最小化されること、及びピストン圧縮高さCHとピストン10の高さ寸法との比が所定の値となること自体は、当業者であれば容易に理解し得たことである。また、引用発明のピストン10はシリンダボア内の増大した圧縮荷重に耐える向上した強度及び耐久性を備えるもの(引用文献1の段落[0005]を参照。)であるから、頑丈なピストンであるともいえる。
すなわち、引用文献には、引用発明のピストン10はピストン圧縮高さCHを最小化した小型で頑丈なピストンであり、当該ピストン10はピストンの高さ寸法との関係において、ピストン圧縮高さCHとピストン10の高さ寸法との比が所定の値になることが示唆されているか、引用文献を知り得た当業者であれば容易に理解し得たことといえる。
そして、本願の発明の詳細な説明の記載をみると、段落【0037】に「CH/PHの比が約2/3の場合に、特定の小型で頑丈なピストンが達成される。CHは、PDの38%から45%である。」との記載があるのみであり、該記載から「特定の小型で頑丈なピストン」がどの程度の大きさでどの程度頑丈であるか明らかでなく、CH/PHの比が約2/3である場合とそうでない場合とで大きさ及び頑丈さにどのような差異が生じるかも明らかでない。すなわち、本願の発明の詳細な説明から、「CH/PHの比が約2/3」とすることで格別顕著な効果或いは特異な効果が生じると理解することができない。さらに、「CHは、PDの38%から45%である」ものが、「CH/PHの比が約2/3」と解するのであれば、CHはピストンヘッド領域外径の約40.9%である引用発明もまた「CH/PHの比が約2/3」を達成できることは、当業者であれば容易に理解し得たことである。
そうすると、引用発明において、当業者の通常の創作活動の範囲で上記相違点2にかかる本願発明の構成とすることは、容易になし得たことである。

また、本願発明は、全体としてみても、引用発明から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。

したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-10-07 
結審通知日 2019-10-08 
審決日 2019-10-21 
出願番号 特願2017-18405(P2017-18405)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02F)
P 1 8・ 03- Z (F02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松永 謙一  
特許庁審判長 渋谷 善弘
特許庁審判官 齊藤 公志郎
水野 治彦
発明の名称 冷却通路を有するスチールピストンおよびその構成方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ