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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H05K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H05K |
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管理番号 | 1361384 |
審判番号 | 不服2018-14232 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-10-26 |
確定日 | 2020-04-15 |
事件の表示 | 特願2016-230017「基板検査装置システム及び基板検査方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月23日出願公開、特開2017- 59848〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成25年11月6日(パリ条約による優先権主張、2012年11月6日、大韓民国、2013年5月31日、大韓民国)に出願した特願2013-229931号(以下、「原出願」という。)の一部を平成28年11月28日に新たな特許出願としたものであって、平成29年9月21日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年2月22日に意見書が提出され、同年6月20日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年10月26日付けで拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、手続補正がなされたものである。 第2.平成30年10月26日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成30年10月26日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に変更するものである。 そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ以下のとおりである。 なお、〈補正後の請求項1〉における下線は補正箇所を表している。 〈補正前の請求項1〉 「【請求項1】 基板上に塗布されたソルダペーストの第1の3次元情報を獲得し、前記第1の3次元情報に基づいて既設定された第1検査条件に従って前記ソルダペーストが不良か否かを検査するSPI装置と、 リフロー過程前に電子部品の搭載状態に対する第2の3次元情報を獲得し、前記第2の3次元情報に基づいて既設定された第2検査条件に従って前記電子部品の搭載が不良か否かを検査するAOI装置と、 前記SPI装置の第1の3次元情報及び前記AOI装置の前記第2の3次元情報を貯蔵するデータベースと、 前記データベースから前記第1の3次元情報及び前記第2の3次元情報の伝達を受けて、前記第1の3次元情報及び前記第2の3次元情報のうちいずれか一つの情報が既設定された検査条件による許容範囲外の場合、残りの情報の検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させるアラーム発生装置と、 前記第1の3次元情報及び前記第2の3次元情報に基づいて、前記第1検査条件及び前記第2検査条件のうち少なくとも一つを修正するように、修正範囲情報をディスプレーするディスプレー部と、 を含み、 前記第1の3次元情報は前記ソルダペーストが形成されるべき位置から離れた程度を表すソルダペーストのオフセット情報を含み、前記第2の3次元情報は前記電子部品を搭載し前記リフロー過程を遂行する前、前記電子部品が搭載されるべき位置から離れた程度を表す前記電子部品の前-オフセット情報を含み、 前記アラーム発生装置は、前記データベースから前記ソルダペーストのオフセット情報及び前記前-オフセット情報の伝達を受けて、前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させることを特徴とする基板検査装置システム。」 〈補正後の請求項1〉 「【請求項1】 基板上に塗布されたソルダペーストの第1の3次元情報を獲得し、前記第1の3次元情報に基づいて既設定された第1検査条件に従って前記ソルダペーストが不良か否かを検査するSPI装置と、 リフロー過程前に電子部品の搭載状態に対する第2の3次元情報を獲得し、前記第2の3次元情報に基づいて既設定された第2検査条件に従って前記電子部品の搭載が不良か否かを検査するAOI装置と、 前記SPI装置の第1の3次元情報及び前記AOI装置の前記第2の3次元情報を貯蔵するデータベースと、 前記データベースから前記第1の3次元情報及び前記第2の3次元情報の伝達を受けて、前記第1の3次元情報及び前記第2の3次元情報のうちいずれか一つの情報が既設定された検査条件による許容範囲外の場合、残りの情報の検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させるアラーム発生装置と、 前記第1の3次元情報及び前記第2の3次元情報に基づいて、前記第1検査条件及び前記第2検査条件のうち少なくとも一つを修正するように、修正範囲情報をディスプレーするディスプレー部と、 を含み、 前記第1の3次元情報は前記ソルダペーストが形成されるべき位置から離れた程度を表すソルダペーストのオフセット情報を含み、前記第2の3次元情報は前記電子部品を搭載し前記リフロー過程を遂行する前、前記電子部品が搭載されるべき位置から離れた程度を表す前記電子部品の前-オフセット情報を含み、 前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐために、前記アラーム発生装置は、前記データベースから前記ソルダペーストのオフセット情報及び前記前-オフセット情報の伝達を受けて、前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させることを特徴とする基板検査装置システム。」 2.本件補正に対する判断 (1)新規事項について 補正後の請求項1における「前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐために、前記アラーム発生装置は、前記データベースから前記ソルダペーストのオフセット情報及び前記前-オフセット情報の伝達を受けて、前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」ことは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「出願当初の明細書等」という。)に記載された事項の範囲内においてされたものとは認められない。 詳細は、以下のとおりである。 出願当初の明細書等には、段落【0022】、【0114】、【0117】?【0119】に、「後-オフセット」が「第2許容範囲」を離れる場合に「第3許容範囲」を修正すること、段落【0021】、【0111】に、「前-オフセット」が「第3許容範囲」を離れる場合に「第1許容範囲」を修正することが記載され、また、段落【0118】には、「ソルダーペーストの塗布及びリフロー工程前の電子部品の搭載が良好と判断された場合にも、実際に、リフロー工程後の電子部品の形態が適切して前記電子部品の搭載は不良と判断され得る。」と、「オフセット」及び「前-オフセット」が許容範囲内の場合にも、「後-オフセット」が許容範囲を離れ得ることが記載されている。 しかしながら、「前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐ」こと、すなわち、「前-オフセット」が許容範囲を離れたものの「後-オフセット」が許容範囲内となり、「後-オフセット」情報だけでは許容範囲を修正できないことを防ぐことは、出願当初の明細書等には、記載も示唆もされていない。 したがって、補正後の請求項1における「前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐ」とする補正は、出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内においてされたものとは認められない。 よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反している。 なお、本件補正の根拠については、審判請求書において何ら主張されていない。 (2)補正の目的の適否について 本件補正は、補正前の請求項1に「前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」とあったものを、補正後の請求項1は、「前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐために」、「前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」とする補正事項(以下、「補正事項」という。)のものである。 ここで、「前-オフセット情報」は「リフロー過程を遂行する前、前記電子部品が搭載されるべき位置から離れた程度を表す」情報であるから、「前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」との発明特定事項により特定される補正前の請求項1に係る発明も、「リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報」が許容範囲の内側となるのか外側となるのかにかかわらず、「前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」ものであるのは明らかである。 してみると、補正後の請求項1に係る発明と同様に補正前の請求項1に係る発明も、「前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐ」ものであるから、補正事項は、特許法第17条の2第5項でいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの(第2号)に該当しない。 また、補正事項が、特許法第17条の2第5項でいう「請求項の削除」を目的とするもの(第1号)、「誤記の訂正」を目的とするもの(第3号)、「明りょうでない記載の釈明」を目的とするもの(第4号)のいずれにも該当しないことは明らかである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に適合しない。 (3)独立特許要件について(予備的見解) 本件補正が、限定的減縮を目的とするものであると仮定して、以下、独立特許要件についても判断をする。 ア.本願補正発明 本件補正による請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記「1.」の〈補正後の請求項1〉に記載されたとおりのものである。 イ.引用文献の記載、引用発明等 (ア)引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-237236号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。 a.「【0029】 図1は、本発明の検査条件管理システムが適用される部品実装ライン(本発明に係る部品実装システム)を概略的に示している。この生産ラインは、ローダー(図示省略)、はんだ印刷装置1、印刷検査装置2、2種類の実装装置3A,3B、実装検査装置4、リフロー炉5、はんだ付検査装置6およびアンローダー(図示省略)を一列に備え、これらを互いにコンベア7で連結した構成となっている。そして、コンベア7により回路基板(以下、単に基板という)を搬送しながら、順次はんだ印刷、部品実装およびリフローの各処理を施すとともに、検査装置2,4,6により各処理後の基板を検査するように構成されている。 【0030】 各検査装置2,4,6は、図示を省略するがCCDカメラを搭載したヘッドとこのヘッドを平面的に移動させる駆動装置等を備えており、基板の被実装面を撮像することによりその画像データに基づいて各処理の検査、具体的には、印刷検査装置2でははんだ塗布量等の検査、実装検査装置4では部品の実装ずれ等の検査、リフロー炉5でははんだ塗布量および部品の実装ずれ等の検査が実施されるようになっている。なお、はんだ塗布量検査については、印刷検査装置2ではパターン上に塗布されたはんだの画像認識により、はんだ付検査装置6では実装された部品周囲のはんだの画像認識によりそれぞれ塗布量を検査するようになっている。 【0031】 各装置1?6は、それぞれ制御装置が搭載された自律型の装置であって、各装置の動作が各自の制御装置により個別に駆動制御されるようになっている。但し、この部品実装ラインでは、さらに各装置1?6に対してオンラインで接続される中央管理装置8が設けられており、上記各装置1,3A,3B,5における生産(処理)に関する各種情報がこの中央管理装置8内の記憶装置に格納されるとともに、この中央管理装置8と各装置1?6との間で必要な情報の送受信が行われ得るようになっている。 【0032】 図2は、中央管理装置8の構成の一例を示すブロック図である。 【0033】 この図に示すように、中央管理装置8は、その動作制御を司るための制御部本体10を有している。この制御部本体10は、論理演算を実行するCPU12、そのCPU12を制御する種々のプログラムなどを予め記憶するROM13、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM14、HDD15およびI/Oコントローラ(IOC)16等からなり、これらCPU12等が互いに内部バスにより接続された構成となっている。 【0034】 HDD15には、各種アプリケーションソフト用のプログラムや上記各装置1?6の生産に関する各種情報、例えば基板データ、部品データ、印刷および実装位置データ、リフロー温度データ等の種々のデータが格納(記憶)されている。また、各検査装置2,4,6で実施される後記検査項目および各検査項目の検査条件等のデータもこのHDD15に格納されている。 【0035】 IOC16には、キーボードやマウス等の入力手段18、CRTモニタやLCDモニタからなる表示手段19が接続されるとともに上記各装置1?6が接続されており、制御部本体10は、入力手段18の操作により入力される所定の指示情報や、各装置1?6からの各種操作信号を受けて当該管理装置全体の制御を行うようになっている。 【0036】 なお、制御部本体10には、さらに光磁気ディスク等の外部記憶装置17が設けられており、上記各装置1,3A,3B,5における生産履歴や、各検査装置2,4,6の検査履歴等、種々の情報がこの外部記憶装置17に蓄積(記憶)されている。例えば、各基板の検査装置2,4,6における検査結果および各検査に用いられた基板の画像データ等の各種の検査情報、各処理装置(装置1,3A,3B,5)で発生したエラーやメンテナンスに関する情報等が記憶されている。 【0037】 外部記憶装置17に記憶される情報のうち上記検査情報は、部品実装ラインの稼動中、各検査装置2,4,6から自動送信され、各基板の識別情報と共に外部記憶装置17に順次記憶される。基板の識別情報は、例えばバーコードやQRコードとして基板毎に記されており、各検査装置2,4,6における基板の画像認識の際に同時に読み取られ、検査結果および画像データと共に中央管理装置8に送信されるようになっている。なお、エラー関連情報やメンテナンス関連情報等は、各装置1?6に設けられるキーボード等の入力手段18をオペレータが操作し、エラー内容やメンテナンス内容を入力することにより中央管理装置8に送信されるようになっている。 【0038】 図3は、制御部本体10に含まれる機能構成のうち、検査装置2,4,6の特定の検査項目の検査条件を管理するための機能構成をブロック図で示している。 【0039】 この図に示すように、制御部本体10には、上記の機能構成として主制御部21、検査情報記憶部22、検査条件変更制御部23および表示制御部24が含まれている。 【0040】 主制御部21は、検査条件を管理する上での各種処理を統括的に制御するものである。 【0041】 検査情報記憶部22は、各検査装置2,4,6の検査情報、具体的には検査項目と、各検査項目の検査条件とを記憶するものである。図4は、各検査装置2,4,6の検査項目を示しており、これらの検査項目と検査項目毎の検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)が検査装置2,4,6毎の検査情報として検査情報記憶部22に記憶されている。例えば、印刷検査装置2の検査情報としては、同図に示すように、位置ずれ(はんだ印刷の位置ずれ)、欠品(はんだ印刷無し)、はんだ塗布量の過不足およびはんだブリッジの有無などの検査項目と、これら項目毎の検査条件が記憶されている。また、はんだ付検査装置6の検査情報としては、位置ずれ(部品の位置ずれ)、欠品(部品無し)、はんだ塗布量の過不足、ブリッジの有無、極性判別(極性間違い)および誤部品(部品間違い)などの検査項目と、これら項目毎の検査条件が記憶されている。 【0042】 なお、検査条件のうちオペレータ等の操作により設定値を変更できるもの、あるいは後述する検査条件変更制御部23からの指令信号に基づき設定値が変更されるものについては、検査条件の初期値と共に現在の設定値が検査情報記憶部22に記憶される。 【0043】 検査条件変更制御部23は、互いに共通する又は関連性のある検査項目について、はんだ付検査装置6とその他の各検査装置2,4との間に検査結果の矛盾が無いか否かを判別し、矛盾が有る場合には、印刷検査装置2又は実装検査装置4の当該検査項目について設定されている検査条件を変更させるべく指令信号を出力するものであり、印刷検査装置2及び実装検査装置4は、当該指令信号に応じて検査条件を変更設定するようになっている。なお、「共通する又は関連する検査項目」とは、検査対象が共通するために一方の検査結果と他方の検査結果とが通常一致する関係にある検査項目、あるいは検査対象は異なるが検査対象同士に関連性があり、通常、双方の検査結果が一致する関係にある検査項目を意味する。 【0044】 当実施形態では、関連性のある検査項目として「はんだ塗布量の過不足検査」について印刷検査装置2およびはんだ付検査装置6の双方の検査結果に基づき矛盾の有無を判別し、矛盾がある場合には、当該検査項目について設定されている検査条件を変更させるべく検査条件変更制御部23から印刷検査装置2に指令信号を出力する。具体的には、「はんだ塗布量の過不足検査」の検査条件として印刷検査装置2では「面積公差(初期値);50%?150%」と設定されており、検査結果に矛盾が生じた場合には、この公差を予め定められた一定値だけ増減変更させるべく印刷検査装置2に指令信号を出力する。また、共通する検査項目として「(部品の)位置ずれ」について、実装検査装置4およびはんだ付検査装置6の双方の検査結果に基づき矛盾の有無を判断し、矛盾がある場合には、当該検査項目の検査条件を変更させるべく実装検査装置4に指令信号を出力する。具体的には、「(部品の)位置ずれ検査」の検査条件として実装検査装置4では「位置ずれ公差(初期値);+0.2mm?-0.2mm」と規定されており、検査結果に矛盾が生じた場合には、この公差を予め定められた一定値だけ増減変更させるべく指令信号を出力する。」 b.「【0046】 表示制御部24は、予め記憶されているプログラムに従って前記表示手段19に所定の画面表示を行うもので、例えば、検査結果において矛盾が生じた場合には、該当する検査装置2,4,6、検査項目および検査条件などの情報を表示手段19に表示させるべく表示制御を行うものである。この場合、検査条件としては変更前、変更後の条件を表示させるとともに検査条件の初期値を併せて表示すべく表示制御を行う。 【0047】 次に、上記制御部本体10による検査条件管理(変更)の動作制御の一例について図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下のフローチャートでは、上記の検査項目のうち「(部品の)位置ずれ検査」について、実装検査装置4の検査条件を管理(変更)する場合について説明し、その後、検査項目「はんだ塗布量の過不足検査」について印刷検査装置2の検査条件を管理する場合について補足することにする。 【0048】 このフローチャートは、部品実装ラインにおいてはんだ付検査装置6による検査結果が中央管理装置8に送信されることによりスタートする。 【0049】 はんだ付検査装置6において検査が終了し、当該基板の検査結果が中央管理装置8に送信されると、まず、ステップS1で、当該基板の各検査装置2,4,6による検査結果を検査条件変更制御部23に読込み、前/後工程の検査結果の比較を行う。つまり、検査項目「(部品の)位置ずれ検査」についての各検査装置2,6の検査結果を比較し、検査条件変更制御部23において両検査結果に矛盾が無いか否かを判断する(ステップS2)。ここで、YESと判断した場合には、本フローチャートを終了する。 【0050】 一方、ステップS2においてNOと判断した場合には、当該基板を含め、予め設定されている所定数の基板について連続して検査結果に矛盾が生じているか否かを判断し(ステップS3)、ここでNOと判断した場合には、さらに予め設定された所定の比率(例えば1ロットにつき10%)を超えて上記の矛盾が生じたか否かを判断する(ステップS4)。そして、ここでNOと判断した場合には、本フローチャートを終了する。 【0051】 これに対してステップS3,S4でYESと判断した場合には、ステップS5に移行し、検査条件変更制御部23から実装検査装置4に指令信号を出力し、実装検査装置4の当該検査項目(「(部品の)位置ずれ検査」)の検査条件を変更させるとともに(パラメータ自動修正)、変更後の検査条件を前記検査情報記憶部22に記憶する。 【0052】 具体的には、はんだ付検査装置6の検査結果が「合格」判定で、実装検査装置4の検査結果が「不合格」判定であった場合には、結果的に見ると実装検査装置4の検査条件が厳し過ぎたと考えられ、この場合には、位置ずれ公差の上下限値を所定値(例えば0.05mm)だけ拡大させ、これにより位置ずれ公差を「+0.25mm?-0.25mm」に変更し、当該公差を現在の検査条件として更新的に検査情報記憶部22に記憶する。 【0053】 一方、はんだ付検査装置6の検査結果が「不合格」判定で実装検査装置4の検査結果が「合格」判定であった場合には、結果的に見ると実装検査装置4の検査条件が緩かったと考えられるため、この場合には、位置ずれ公差の上下限値を0.05mmだけ縮小し、位置ずれ公差を「+0.15mm?-0.15mm」に変更させるとともに、当該公差を現在の検査条件として更新的に検査情報記憶部22に記憶する。」 c.「【0064】 (2)実施形態では、矛盾した検査結果が出た場合には、印刷検査装置2又は実装検査装置4おいて設定されている検査条件(公差)を予め定められた一定値だけ増減させることにより、設定検査条件を自動的に変更するようにしているが、例えば、検査条件の変更までは行わず、矛盾が生じた検査装置2,4、検査項目、検査結果および検査条件などの情報を表示手段19に表示するに止め、当該情報表示に基づき、オペレータがマニュアル操作で各検査装置2,4の検査条件(設定公差)を変更するように構成してもよい。」 d.「【0074】 また、実施形態では、印刷検査装置2又は実装検査装置4とはんだ付検査装置6の間で共通する又は関連する検査項目について検査結果に矛盾が生じた場合について説明したが、勿論、印刷検査装置2と実装検査装置4との間で検査結果に矛盾が生じた場合についても同様に本発明は適用可能であり、この場合も、何れの検査結果を基準にするかは具体的な検査項目等に応じて適宜定めるようにすればよい。」 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、検査条件管理システムとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 [引用発明] 「検査条件管理システムが適用される部品実装ラインは、はんだ印刷装置1、印刷検査装置2、2種類の実装装置3A,3B、実装検査装置4、リフロー炉5、はんだ付検査装置6を一列に備え、回路基板を搬送しながら、順次はんだ印刷、部品実装およびリフローの各処理を施すとともに、検査装置2,4,6により各処理後の基板を検査するように構成され、 各検査装置2,4,6は、基板の被実装面を撮像することによりその画像データに基づいて各処理の検査するようになっており、 さらに各装置1?6に対してオンラインで接続される中央管理装置8が設けられ、 中央管理装置8は、制御部本体10を有し、制御部本体10は、CPU12、I/Oコントローラ(IOC)16等からなり、IOC16には、CRTモニタやLCDモニタからなる表示手段19が接続されるとともに上記各装置1?6が接続されており、制御部本体10は、各装置1?6からの各種操作信号を受けて当該管理装置全体の制御を行い、 制御部本体10には、さらに外部記憶装置17が設けられ、各基板の検査装置2,4,6における検査結果および各検査に用いられた基板の画像データ等の各種の検査情報等が記憶され、上記検査情報は、部品実装ラインの稼動中、各検査装置2,4,6から自動送信され、各基板の識別情報と共に外部記憶装置17に順次記憶され、 制御部本体10には、機能構成として主制御部21、検査情報記憶部22、検査条件変更制御部23および表示制御部24が含まれ、 検査情報記憶部22は、各検査装置2,4,6の検査情報、具体的には検査項目と、各検査項目の検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)とを記憶するもので、 印刷検査装置2の検査情報としては、位置ずれ(はんだ印刷の位置ずれ)、はんだ付検査装置6の検査情報としては、位置ずれ(部品の位置ずれ)の検査項目と、これら項目毎の検査条件が記憶され、 検査条件変更制御部23は、はんだ付検査装置6とその他の各検査装置2,4との間に検査結果の矛盾が無いか否かを判別し、矛盾が有る場合には、印刷検査装置2又は実装検査装置4の当該検査項目について設定されている検査条件を変更させるべく指令信号を出力、具体的には、『(部品の)位置ずれ検査』の検査条件として実装検査装置4では『位置ずれ公差(初期値);+0.2mm?-0.2mm』と規定されており、検査結果に矛盾が生じた場合には、この公差を予め定められた一定値だけ増減変更させるべく指令信号を出力し、 表示制御部24は、検査結果において矛盾が生じた場合には、該当する検査装置2,4,6、検査項目および検査条件などの情報、検査条件としては変更前、変更後の条件を表示させる表示制御を行い、 具体的には、はんだ付検査装置6の検査結果が『合格』判定で、実装検査装置4の検査結果が『不合格』判定であった場合には、実装検査装置4の検査条件が厳し過ぎたと考えられ、この場合には、位置ずれ公差の上下限値を所定値だけ拡大させ、 一方、はんだ付検査装置6の検査結果が『不合格』判定で実装検査装置4の検査結果が『合格』判定であった場合には、実装検査装置4の検査条件が緩かったと考えられるため、この場合には、位置ずれ公差の上下限値を縮小させるものであり、 検査条件の変更までは行わず、矛盾が生じた検査装置2,4、検査項目、検査結果および検査条件などの情報を表示手段19に表示するに止め、当該情報表示に基づき、オペレータがマニュアル操作で各検査装置2,4の検査条件(設定公差)を変更するように構成し、 印刷検査装置2と実装検査装置4との間で検査結果に矛盾が生じた場合についても同様に適用可能であり、何れの検査結果を基準にするかは具体的な検査項目等に応じて適宜定める 検査条件管理システム。」 (イ)引用文献2 原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用された、特開2004-355521号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。 「【0030】 《実施の形態1》 図1及び図2を用いて、本発明の実施の形態1の回路基板の外観検査装置及び回路基板の外観検査方法を説明する。図1は、本発明の実施の形態1の回路基板の外観検査装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1の回路基板の外観検査装置は、半田印刷装置(実施の形態1においてはクリーム半田印刷装置)101、電子部品配置装置(実施の形態1においては電子部品実装装置)102、半田付け装置(実施の形態1においてはリフロー装置)103、データ管理部104(実施の形態1においてはコンピュータ)、表示部105(実施の形態1においては液晶ディスプレイ)を有する。 半田印刷装置101は、半田印刷部111及び半田印刷検査部112を有する。 電子部品配置装置102は、電子部品配置部113及び電子部品配置検査部114を有する。半田付け装置103は、半田付け部115及び半田付け検査部116を有する。 【0031】 最初にバーコードプリンタ(図示しない。)が各回路基板の所定の位置にバーコード(回路基板の固有識別子)を印刷する。 半田印刷部111は、設計値(動作条件設計値)に基づいて回路基板の必要な箇所にクリーム半田を印刷する(第1の製造工程)。回路基板に半田を付着させる方法は任意である。例えば、インクジェットプリンタで判断を射出印刷しても良い。 半田印刷検査部112は、バーコードリーダを有する。半田印刷検査部112はバーコードを読み取り、クリーム半田を印刷された回路基板を検査する。半田印刷検査部112は、半田印刷部111によりクリーム半田が印刷された回路基板の特定の範囲を選択して、選択した範囲を3次元測定方式によりスキャンし、選択した範囲の3次元立体形状データを生成する。3次元立体形状データとは、クリーム半田の高さ、面積、体積などの数値情報である。これを繰り返し、半田印刷検査部112は、クリーム半田が印刷された回路基板全体の3次元立体形状データを生成する。 【0032】 半田印刷検査部112は、3次元立体形状データから、クリーム半田を印刷した回路基板の3次元画像情報を生成する。半田印刷検査部112は、3次元立体形状データ及び所定の検査条件設定値(例えば良否判定基準値)に基づいて(典型的には3次元立体形状データと良否判定基準値とを比較して)、クリーム半田印刷の良否判定結果である印刷検査結果データを生成する(第1の3次元測定工程)。半田印刷検査部112が生成する情報の全体を第1の3次元測定結果情報121と呼ぶ。 半田印刷検査部112は第1の3次元測定結果情報121をその回路基板の固有識別子と対応付けてデータ管理部104に送付する。 【0033】 電子部品配置部113は、設計値(動作条件設計値)に基づいて、クリーム半田が印刷された回路基板に電子部品を配置(実装)する(第2の製造工程)。 電子部品配置検査部114は、バーコードリーダを有する。電子部品配置検査部114はバーコードを読み取り、電子部品を実装した回路基板を検査する。 電子部品配置検査部114は、電子部品配置部113により電子部品が配置(実装)された回路基板の特定の範囲を選択して、選択した範囲を3次元測定方式によりスキャンし、選択した範囲の3次元立体形状データを生成する。3次元立体形状データとは、実装された電子部品の位置、その配置姿勢などの数値情報である。これを繰り返し、電子部品配置検査部114は、電子部品が配置(実装)された回路基板全体の3次元立体形状データを生成する。 【0034】 電子部品配置検査部114は、3次元立体形状データから、電子部品を実装した回路基板の3次元画像情報を生成する。電子部品配置検査部114は、3次元立体形状データ及び所定の検査条件設定値(例えば良否判定基準値)に基づいて(典型的には3次元立体形状データと良否判定基準値とを比較して)、電子部品実装の良否判定結果である実装検査結果データを生成する(第2の3次元測定工程)。電子部品配置検査部114が生成する情報の全体を第2の3次元測定結果情報122と呼ぶ。 電子部品配置検査部114は第2の3次元測定結果情報122をその回路基板の固有識別子と対応付けてデータ管理部104に送付する。」 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献2には、以下の周知の技術が記載されている。 「回路基板の検査のために、3次元測定方式によりスキャンし、選択した範囲の3次元立体形状データを生成する技術。」 ウ.対比・判断 (ア)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 a.引用発明は「はんだ印刷装置1、印刷検査装置2、2種類の実装装置3A,3B、実装検査装置4、リフロー炉5、はんだ付検査装置6を一列に備え、回路基板を搬送しながら、順次はんだ印刷、部品実装およびリフローの各処理を施すとともに、検査装置2,4,6により各処理後の基板を検査する」ものであるから、引用発明の「印刷検査装置2」は、はんだ印刷装置1によるはんだ印刷処理後の基板を検査するように構成されたものである。 そして、引用発明は「各検査装置2,4,6は、基板の被実装面を撮像することによりその画像データに基づいて各処理の検査する」ものであるから、引用発明の「印刷検査装置2」は、はんだ印刷処理後の基板の被実装面を撮像することにより得た画像データに基づいてはんだ印刷処理の検査を行うものである。 また、引用発明は「検査情報」が「具体的には検査項目と、各検査項目の検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)」であるから、引用発明の検査が検出値と検査条件である閾値との比較により行われているのは明らかであり、引用発明の「印刷検査装置2」は、はんだ印刷処理後の基板の画像データに基づく検出値と検査条件である閾値を比較して合否の判定を行うことによりはんだ印刷処理の検査を行うものである。 以上のことより、引用発明の「印刷検査装置2」は、はんだ印刷装置1によるはんだ印刷処理後の基板の被実装面を撮像することにより得た画像データに基づく検出値と検査条件である閾値を比較して合否の判定を行うはんだ印刷処理の検査を行うものといえる。 そして、引用発明の「はんだ印刷装置1によるはんだ印刷処理後の基板の被実装面を撮像することにより得た画像データに基づく検出値」は、基板に印刷されたはんだに関する検出値であることは明らかであるから、本願補正発明の「基板上に塗布されたソルダペーストの第1の情報」に対応する。 また、引用発明の上記検査条件である閾値は、本願補正発明の「既設定された第1検査条件」に対応する。 したがって、引用発明の「印刷検査装置2」は、本願補正発明の「SPI装置」に対応するものであり、「基板上に塗布されたソルダペーストの第1の情報を獲得し、前記第1の情報に基づいて既設定された第1検査条件に従って前記ソルダペーストが不良か否かを検査する」点で共通する。 ただし、本願補正発明の「SPI装置」は「3次元情報」を獲得するものであるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 b.引用発明は「はんだ印刷装置1、印刷検査装置2、2種類の実装装置3A,3B、実装検査装置4、リフロー炉5、はんだ付検査装置6を一列に備え、回路基板を搬送しながら、順次はんだ印刷、部品実装およびリフローの各処理を施すとともに、検査装置2,4,6により各処理後の基板を検査する」ものであるから、引用発明の「実装検査装置4」は、2種類の実装装置3A,3Bの後でリフロー炉5の前に備えられ、リフロー処理前に2種類の実装装置3A,3Bによる部品実装処理後の基板を検査するように構成されたものである。 そして、引用発明は「各検査装置2,4,6は、基板の被実装面を撮像することによりその画像データに基づいて各処理の検査する」ものであるから、引用発明の「実装検査装置4」は、リフロー処理前に部品実装処理後の基板の被実装面を撮像することにより得た画像データに基づいて部品実装処理の検査を行うものである。 また、引用発明は「検査情報」が「具体的には検査項目と、各検査項目の検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)」であるから、引用発明の検査が検出値と検査条件である閾値との比較により行われているのは明らかであり、引用発明の「実装検査装置4」は、リフロー処理前に部品実装処理後の基板の画像データに基づく検出値と検査条件である閾値を比較して合否の判定を行うことにより部品実装処理の検査を行うものである。 以上のことより、引用発明の「実装検査装置4」は、リフロー処理前に2種類の実装装置3A,3Bによる部品実装処理後の基板の被実装面を撮像することにより得た画像データに基づく検出値と検査条件である閾値を比較して合否の判定を行う部品実装処理の検査を行うものといえる。 そして、引用発明の「リフロー処理前に2種類の実装装置3A,3Bによる部品実装処理後の基板の被実装面を撮像することにより得た画像データに基づく検出値」は、リフロー処理前の部品の実装(搭載)状態に関する検出値であることは明らかであるから、本願補正発明の「リフロー過程前に電子部品の搭載状態に対する第2の情報」に対応する。 また、引用発明の上記検査条件である閾値は、本願補正発明の「既設定された第2検査条件」に対応する。 したがって、引用発明の「実装検査装置4」は、本願補正発明の「AOI装置」に対応するものであり、「リフロー過程前に電子部品の搭載状態に対する第2の情報を獲得し、前記第2の情報に基づいて既設定された第2検査条件に従って前記電子部品の搭載が不良か否かを検査する」点で共通する。 ただし、本願補正発明の「AOI装置」は「3次元情報」を獲得するものであるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 c.引用発明は「外部記憶装置17が設けられ、各基板の検査装置2,4,6における検査結果および各検査に用いられた基板の画像データ等の各種の検査情報等が記憶され」るものであるから、当該「検査情報」が上記a.、b.で検討した各「撮像することにより得た画像データに基づく検出値」を含むことは明らかである。 したがって、引用発明の「外部記憶装置17」は、本願補正発明の「データベース」に対応するものであり、「前記SPI装置の第1の情報及び前記AOI装置の前記第2の情報を貯蔵する」点で共通する。 ただし、本願補正発明の「データベース」が貯蔵する情報は「3次元情報」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 d.引用発明の「制御部本体10」には「検査情報記憶部22」が含まれ、「検査情報記憶部22は、各検査装置2,4,6の検査情報」「を記憶する」ものであるから、「制御部本体10」が「外部記憶装置17」より「検査情報」の伝達を受けていることは明らかである。 したがって、引用発明の「検査情報記憶部22」を含む「制御部本体10」は、本願補正発明の「アラーム発生装置」に対応するものであり、「前記データベースから前記第1の情報及び前記第2の情報の伝達を受け」る点で共通するといえる。 ただし、本願補正発明の「アラーム発生装置」が伝達を受ける情報は「3次元情報」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 e.引用発明の「制御部本体10」に含まれる「検査条件変更制御部23」は、「はんだ付検査装置6とその他の各検査装置2,4との間に検査結果の矛盾が無いか否かを判別し、矛盾が有る場合には、印刷検査装置2又は実装検査装置4の当該検査項目について設定されている検査条件を変更させるべく指令信号を出力」するものであり、「印刷検査装置2と実装検査装置4との間で検査結果に矛盾が生じた場合についても同様であり、何れの検査結果を基準にするかは具体的な検査項目等に応じて適宜定める」ものである。 してみると、引用発明の「制御部本体10」の「検査条件変更制御部23」は、印刷検査装置2と実装検査装置4との間に検査結果の矛盾が無いか否かを判別し、矛盾が有る場合には、印刷検査装置2又は実装検査装置4の当該検査項目について設定されている検査条件を変更させるものでもある。 ここで、引用発明は、「はんだ付検査装置6」と「実装検査装置4」との間では、具体的には、「はんだ付検査装置6の検査結果が『不合格』判定で実装検査装置4の検査結果が『合格』判定であった場合には、実装検査装置4の検査条件が緩かったと考えられるため、この場合には、位置ずれ公差の上下限値を縮小させるもの」であるから、引用発明の「制御部本体10」の「検査条件変更制御部23」は、「はんだ付検査装置6と実装検査装置4の検査情報のうちいずれか一つの情報が検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)外の場合、残りの情報の検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)の上下限値を修正する」ものである。 そして同様のことが「印刷検査装置2」と「実装検査装置4」との間にもいえるから、引用発明の「制御部本体10」の「検査条件変更制御部23」は、「印刷検査装置2と実装検査装置4の検査情報のうちいずれか一つの情報が検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)外の場合、残りの情報の検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)の上下限値を修正する」ものである。 したがって、引用発明の「検査条件変更制御部23」を含む「制御部本体10」は、本願補正発明の「アラーム発生装置」に対応するものであり、「前記第1の情報及び前記第2の情報のうちいずれか一つの情報が既設定された検査条件による許容範囲外の場合、残りの情報の検査条件による許容範囲を修正する」点で共通するといえる。 ただし、本願補正発明の「アラーム発生装置」が処理する情報は「3次元情報」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 f.引用発明の「制御部本体10」に含まれる「表示制御部24」は、「検査結果において矛盾が生じた場合には、該当する検査装置2,4,6、検査項目および検査条件などの情報、検査条件としては変更前、変更後の条件を表示させる表示制御を行」うものである。 また、引用発明は「検査条件の変更までは行わず、矛盾が生じた検査装置2,4、検査項目、検査結果および検査条件などの情報を表示手段19に表示するに止め、当該情報表示に基づき、オペレータがマニュアル操作で各検査装置2,4の検査条件(設定公差)を変更するように構成」するものである。 したがって、引用発明の「表示制御部24」を含む「制御部本体10」は、「オペレータがマニュアル操作で各検査装置2,4の検査条件(設定公差)を変更するように、検査結果において矛盾が生じた場合には、該当する検査装置2,4,6、検査項目および検査条件などの情報、検査条件としては変更前、変更後の条件を表示させる表示制御を行」うものであり、本願補正発明の「アラーム発生装置」に対応し、「残りの情報の検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」点で共通するといえる。 g.上記d.?f.より、引用発明の「制御部本体10」は、本願補正発明の「アラーム発生装置」に対応するものであり、「前記データベースから前記第1の情報及び前記第2の情報の伝達を受けて、前記第1の情報及び前記第2の情報のうちいずれか一つの情報が既設定された検査条件による許容範囲外の場合、残りの情報の検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」点で共通するといえる。 ただし、本願補正発明の「アラーム発生装置」が伝達を受け処理する情報は「3次元情報」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 h.引用発明は、「検査結果において矛盾が生じた場合には、該当する検査装置2,4,6、検査項目および検査条件などの情報、検査条件としては変更前、変更後の条件を表示させる表示制御を行」うものである。 また、引用発明は、「検査条件の変更までは行わず、矛盾が生じた検査装置2,4、検査項目、検査結果および検査条件などの情報を表示手段19に表示するに止め、当該情報表示に基づき、オペレータがマニュアル操作で各検査装置2,4の検査条件(設定公差)を変更するように構成」るものである。 ここで、引用発明の「検査結果において矛盾が生じた」との判断が検査情報に基づいて行われるのは明らかである。 したがって、引用発明の「表示手段19」は、「オペレータがマニュアル操作で各検査装置2,4の検査条件(設定公差)を変更するように、検査情報に基づいた検査結果において矛盾が生じた場合には、該当する検査装置2,4,6、検査項目および検査条件などの情報、検査条件としては変更前、変更後の条件を表示」するものであり、本願補正発明の「ディスプレー部」に対応し、「前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて、前記第1検査条件及び前記第2検査条件のうち少なくとも一つを修正するように、修正範囲情報をディスプレーする」点で共通する。 ただし、本願補正発明の「ディスプレー部」が表示する修正範囲情報は「3次元情報」に基づいたものであるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 i.本願補正発明の「基板上に塗布されたソルダペーストの第1の情報」に関する上記a.の対比を考慮すれば、引用発明が「印刷検査装置2の検査情報としては、位置ずれ(はんだ印刷の位置ずれ)」を検査するものであることは、本願補正発明の「前記第1の情報は前記ソルダペーストが形成されるべき位置から離れた程度を表すソルダペーストのオフセット情報を含」む点で共通する。 ただし、本願補正発明の第1の情報は「3次元情報」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 j.引用発明は「検査条件として実装検査装置4では『位置ずれ公差(初期値);+0.2mm?-0.2mm』と規定」されることから、「実装検査装置4」の検査情報にも「位置ずれ」が含まれることは明らかであり、本願補正発明の「リフロー過程前に電子部品の搭載状態に対する第2の情報」に関する上記b.の対比を考慮すれば、引用発明の「検査装置4」の検査情報は、本願補正発明の「前記第2の情報は前記電子部品を搭載し前記リフロー過程を遂行する前、前記電子部品が搭載されるべき位置から離れた程度を表す前記電子部品の前-オフセット情報を含」む点で共通する。 ただし、本願補正発明の第2の情報は「3次元情報」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 k.引用発明は「はんだ付検査装置6の検査結果が『不合格』判定で実装検査装置4の検査結果が『合格』判定であった場合には、実装検査装置4の検査条件が緩かったと考えられるため、この場合には、位置ずれ公差の上下限値を縮小させるものであり」、「印刷検査装置2と実装検査装置4との間で検査結果に矛盾が生じた場合についても同様に適用可能」なものであるから、引用発明は「実装検査装置4の検査結果が『不合格』判定で印刷検査装置2の検査結果が『合格』判定であった場合には、印刷検査装置2の検査条件が緩かったと考えられるため、この場合には、位置ずれ公差の上下限値を縮小させるもの」でもある。 そして、当該位置ずれ公差の上下限値の縮小は、「制御部本体10」に含まれる「検査情報記憶部22」が「外部記憶装置17」より検査情報の伝達を受けて「制御部本体10」に含まれる「検査条件変更処理部23」により行われるものあることは明らかである。 また、引用発明の「制御部本体10」に含まれる「表示制御部24」は、「検査結果において矛盾が生じた場合には、該当する検査装置2,4,6、検査項目および検査条件などの情報、検査条件としては変更前、変更後の条件を表示させる表示制御を行」い、「検査条件の変更までは行わず、矛盾が生じた検査装置2,4、検査項目、検査結果および検査条件などの情報を表示手段19に表示するに止め、当該情報表示に基づき、オペレータがマニュアル操作で各検査装置2,4の検査条件(設定公差)を変更するように構成」するものでもある。 したがって、引用発明の「制御部本体10」は、「外部記憶装置17」より検査情報の伝達を受け、「実装検査装置4の検査結果が『不合格』判定で印刷検査装置2の検査結果が『合格』判定であった場合には、印刷検査装置2の検査条件が緩かったと考えられるため、この場合には、位置ずれ公差の上下限値を縮小させるための情報を表示手段19に表示する」ものであり、本願補正発明の「前記アラーム発生装置」に対応し、「前記データベースから前記ソルダペーストのオフセット情報及び前記前-オフセット情報の伝達を受けて、前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」点で共通する。 ただし、本件補正発明は、「前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐために、」「前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」のに対して、引用発明は、その旨特定されていない点で相違する。 l.引用発明の「検査条件管理システム」は、基板を検査する美本実装ラインに適用されるものであるから、「基板検査装置システム」ともいい得るものである。 したがって、本願補正発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 〈一致点〉 「基板上に塗布されたソルダペーストの第1の情報を獲得し、前記第1の情報に基づいて既設定された第1検査条件に従って前記ソルダペーストが不良か否かを検査するSPI装置と、 リフロー過程前に電子部品の搭載状態に対する第2の情報を獲得し、前記第2の情報に基づいて既設定された第2検査条件に従って前記電子部品の搭載が不良か否かを検査するAOI装置と、 前記SPI装置の第1の情報及び前記AOI装置の前記第2の情報を貯蔵するデータベースと、 前記データベースから前記第1の情報及び前記第2の情報の伝達を受けて、前記第1の情報及び前記第2の情報のうちいずれか一つの情報が既設定された検査条件による許容範囲外の場合、残りの情報の検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させるアラーム発生装置と、 前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて、前記第1検査条件及び前記第2検査条件のうち少なくとも一つを修正するように、修正範囲情報をディスプレーするディスプレー部と、 を含み、 前記第1の情報は前記ソルダペーストが形成されるべき位置から離れた程度を表すソルダペーストのオフセット情報を含み、前記第2の情報は前記電子部品を搭載し前記リフロー過程を遂行する前、前記電子部品が搭載されるべき位置から離れた程度を表す前記電子部品の前-オフセット情報を含み、 前記アラーム発生装置は、前記データベースから前記ソルダペーストのオフセット情報及び前記前-オフセット情報の伝達を受けて、前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる基板検査装置システム。」 〈相違点1〉 「SPI装置の第1の情報」、「AOI装置の第2の情報」が、本願補正発明は「3次元情報」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。 〈相違点2〉 本件補正発明は、「前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐために、」「前記前-オフセット情報が前記第2検査条件による許容範囲外の場合、前記第1検査条件による許容範囲を修正するようにアラームメッセージを発生させる」のに対して、引用発明はその旨特定されていない点 (イ)判断 〈相違点1〉について 上記引用文献2に記載(上記「イ.(イ)」を参照)されるように、回路基板の検査のために、3次元測定方式によりスキャンし、選択した範囲の3次元立体形状データを生成することは、本願出願日前において周知の技術である。 したがって、引用発明に上記周知の技術を適用し、相違点1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、効果についてみても、引用発明に対する周知の技術の採用に伴って予測し得ない格別顕著なものが本願補正発明にあるとも認められない。 〈相違点2〉について 引用発明は、「印刷検査装置2と実装検査装置4の検査情報のうちいずれか一つの情報が検査条件、つまり合否の判定基準(閾値等)外の場合、残りの情報の検査条件を修正する」ものであるから、「実装検査装置4」による検査後の検査である「はんだ付検査装置6」の検査結果の合否にかかわらず 、「実装検査装置4」による検査の結果が判定基準(閾値等)外の場合、検査条件を修正するものである。 このことは、本願補正発明の「前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐ」ことに相当するものであり、相違点2は、実質的な相違点ではない。 エ.まとめ 以上のとおりであるから、本件補正における請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、仮に限定的減縮を目的とするものであるとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。 3.むすび 上記「2.(1)」で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 上記「2.(2)」で検討したとおり、本件補正は、特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第5項に違反するものである。 仮に限定的減縮を目的とするものであるとしても、上記「2.(3)」で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。 したがって、いずれにしても、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成30年10月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許出願時の請求項1に記載された事項により特定されるところ、上記「第2.[理由]」の「1.」の〈補正前の請求項1〉に記載されたとおりのものである。 2.引用文献の記載、引用発明等 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載、引用発明等は、上記「第2.[理由]」の「2.(3)イ.」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2.[理由]」の「2.(3)」で検討した本願補正発明から、「前記電子部品を搭載して前記リフロー過程を遂行した後、前記電子部品が装着されるべき位置から外れた程度を示す電子部品の後-オフセット情報を考慮するにおいて、前記前-オフセットで許容範囲の外側に後、前記後-オフセットから許容範囲内に入ってくる場合により、前記後-オフセット情報を考慮するだけでは治癒されない場合を防ぐために、」との構成を省くものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2.[理由]」の「2.(3)ウ.」及び「エ.」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-11-12 |
結審通知日 | 2019-11-19 |
審決日 | 2019-12-02 |
出願番号 | 特願2016-230017(P2016-230017) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
Z
(H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K) P 1 8・ 561- Z (H05K) P 1 8・ 575- Z (H05K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 大介 |
特許庁審判長 |
酒井 朋広 |
特許庁審判官 |
佐々木 洋 山田 正文 |
発明の名称 | 基板検査装置システム及び基板検査方法 |
代理人 | 加藤 和詳 |
代理人 | 中島 淳 |