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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02M
管理番号 1361845
審判番号 不服2019-5531  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-25 
確定日 2020-04-23 
事件の表示 特願2015- 52526「太陽光発電システムを備えた建物におけるパワーコンディショナ装置の交換方法、及びパワーコンディショナ装置の取付構造」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月29日出願公開、特開2016-174451〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月16日の出願であって、平成30年6月13日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月17日に手続補正がなされ、平成31年1月25日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年4月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、手続補正がなされたものである。

第2 平成31年4月25日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成31年4月25日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項8の補正(以下、「補正事項」という。)を含むものである。
そして、本件補正前の請求項8及び本件補正後の請求項8の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。
なお、〈本件補正後の請求項8〉における下線は補正箇所を表している。
〈本件補正前の請求項8〉
「太陽光発電システムを備えた建物の外壁の表面に塞ぎ部材が固定され、その上に横架材が固定され、当該横架材にパワーコンディショナ装置が、その取付金具を介して取り付けられていることを特徴とするパワーコンディショナ装置の取付構造。」

〈本件補正後の請求項8〉
「太陽光発電システムを備えた建物の外壁の表面に塞ぎ部材が固定され、前記塞ぎ部材に重ねるようにして、排熱部を有する横架材が固定され、当該横架材にパワーコンディショナ装置が、その取付金具を介して取り付けられていることを特徴とするパワーコンディショナ装置の取付構造。」

2 補正の適否
(1)補正の目的について
補正事項は、本件補正前の請求項8に記載された発明を特定するために必要な事項である「その上(塞ぎ部材の上)に横架材が固定され」るとの構成に関して、「塞ぎ部材に重ねるようにして、廃熱部を有する横架材が固定され」るとするものであるから、「横架材」について「排熱部を有する」と限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項8の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

(2)独立特許要件について
上記(1)に記載したとおり、本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の前記請求項8に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

ア 本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の〈本件補正後の請求項8〉に記載したとおりのものである。

イ サポート要件について(特許法第36条第6項第1号)
本願補正発明には「排熱部を有する横架材」と記載されている。
ここで、上記の記載には、「横架材」自体に排熱部の機能を有するものが含まれる。
これに対し、本願の明細書の段落【0022】、【0030】、【0060】、【0074】に「横架材(6,6)の存在によりできたパワーコンディショナ装置(30)の裏面のスペースで排熱が行える」と、段落【0023】、【0031】、【0062】、【0076】に「横架材(6,6)間に排熱するスペースを確保することができる」と記載されており、発明の詳細な説明には、「横架材」を設けることによりできるスペースにより排熱が行えることが記載されているといえる。
しかしながら、発明の詳細な説明には、「横架材」を設けることによりできるスペースにより排熱が行えることが記載されているのみであり、「横架材」自体に排熱部の機能を有するものは記載されていない。
したがって、本願補正発明は、発明の詳細な説明に記載されていない「横架材」を含むものであり、特許法第36条第6項第1号に規定を満たしていない。
よって、本件補正発明は、特許法第36条第6項第1号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

ウ 容易性について(特許法第29条第2項)
(ア)引用文献の記載事項、引用発明等
a 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2015-1053号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
(a)「【0002】
建物の敷地内には、給湯器用貯水タンクや空気調和機の室外機、太陽光発電システムのパワーコンディショナー、蓄電池、看板等を始め、様々な屋外設置物が設置される。
例えば特許文献1においては、屋外設置物としての加湿装置が、建物の外壁付近に配置されたベースコンクリート上に設置されている。」

(b)「【0020】
ここでは、屋外設置物2として給湯器用貯水タンクを適用する場合について述べるが、一例であってこれに限られず、要は建物1の屋外に設置され、当該建物1の外壁部3に留付け可能な設備であれば良い。このような屋外設置物としては、この他、例えば空気調和機の室外機や、太陽光発電システムのパワーコンディショナー、蓄電池、看板等、様々な設備が適用可能である。」

(c)「【0033】
<屋外設置物の留付方法について>
以下、図2を用いて本実施形態における屋外設置物2の留付方法に関する具体的な手順を説明する。すなわち、図2(a)?図2(d)に示すように、建物1の外壁部3に対し、当該建物1の屋外に設置される屋外設置物2を留付けるために、まず、外装仕上げ材11を矩形状にくり抜いて縦長の開口部13を形成する(図2(a)参照)。
【0034】
次に、縦長の開口部13よりも小さい寸法で矩形状に形成された縦長の下地材6を、当該開口部13から前記離間領域としての通気層12内に挿入する(図2(b)参照)。
次いで、下地材6を、通気層12内でその長辺部6aが水平に配置される(換言すれば、下地材6を横長の状態に配置させる)ように回転させ、この回転させた状態で釘やネジ等の締結部材Vによって建物躯体10に固定する(図2(c)参照)。
【0035】
そして、開口部13を、閉塞部材である前記くり抜いた外装仕上げ材31によって閉塞する(図2(d)参照)。このとき、くり抜いた外装仕上げ材31と開口部13との隙間15にシーリング材32を充填すれば、この隙間15を密閉可能とし、防水性を確保することが可能となる。
【0036】
この後、図1に示すように、建物1の外壁部3における下地材6の領域に、留め具5を介して屋外設置物2を留付ける。」

(d)「【0044】
具体的には、例えば図1との対応部分に同一符号を付した図3に示すように、屋外設置物2として給湯器が挙げられる。この場合、図4にも示すように、屋外設置物2は、その背面に設けられた取付カバー21が、建物1の外壁部3における下地材6の領域に取り付けられる留め具5としての取付ステーに係合されることによって、当該外壁部3に対して留付けられるようになっている。このとき、外壁部3には、設置対象の屋外設置物2の上下方向に対応して、上下二箇所に、上述した開口部13を形成して建物躯体10に下地材6が釘やネジ等の締結部材Vによって固定されてなる下地材6の領域が設けられており、留め具5は、この二箇所に釘やネジ等の固定部材51,51を用いてそれぞれ取り付けられている。よって、屋外設置物2は、背面の取付カバー21に対して、これら二つの留め具5,5が係合されることで外壁部3に留付けられるため、当該外壁部3に対して宙に浮いた状態で確実に固定されるようになっている。」

(e)「【図3】



(f)「【図4】



・段落【0033】の記載によれば、建物1の外壁部3に対し、外装仕上げ材11をくり抜いて開口部13を形成する。
・段落【0034】の記載によれば、下地材6を、当該開口部13から挿入し、釘やネジ等の締結部材Vによって建物躯体10に固定する。
・段落【0035】の記載によれば、開口部13を、閉塞部材によって閉塞する。
・段落【0036】の記載によれば、建物1の外壁部3における下地材6の領域に、留め具5を介して、屋外設置物2を留付ける。
・段落【0020】の記載によれば、屋外設置物は、太陽光発電システムのパワーコンディショナーである。
・段落【0044】の記載によれば、建物1の外壁部3には、設置対象の屋外設置物2の上下二箇所に、下地材6の領域が設けられている。
・段落【0044】の記載によれば、留め具5は、この二箇所に釘やネジ等の固定部材51,51を用いてそれぞれ取り付けられている。
・【図3】によれば、留め具5が取り付けられる二箇所は、開口部13を閉塞する閉塞部材に重なる部位である。
・段落【0044】の記載によれば、屋外設置物2は、背面の取付カバー21に対して、これら二つの留め具5,5が係合されることで外壁部3に留付けらる。
・【図4】によれば、取付カバー21及び留め具5により、屋外設置物2は外壁部3との間にスペースを形成して外壁部3に留付けられる。

以上のことより、引用文献1には、屋外設置物の留付け構造として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

[引用発明]
「建物1の外壁部3に対し、外装仕上げ材11をくり抜いて開口部13を形成し、
下地材6を、当該開口部13から挿入し、釘やネジ等の締結部材Vによって建物躯体10に固定し、
開口部13を、閉塞部材によって閉塞し、
建物1の外壁部3における下地材6の領域に、留め具5を介して、太陽光発電システムのパワーコンディショナーである屋外設置物2を留付けた屋外設置物の留付け構造において、
建物1の外壁部3には、設置対象の屋外設置物2の上下二箇所に、下地材6の領域が設けられ、
留め具5は、開口部13を閉塞する閉塞部材に重なる部位であるこの二箇所に釘やネジ等の固定部材51,51を用いてそれぞれ取り付けられ、
屋外設置物2は、背面の取付カバー21に対して、これら二つの留め具5,5が係合されることで外壁部3との間にスペースを形成して外壁部3に留付けられる、
屋外設置物の留付け構造。」

b 引用文献2
原査定で周知技術を示す文献として引用された、特開2009-79466号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

「【0001】
本発明は、建築現場において孔を覆うためのホールキャップ(養生蓋)の改良とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル,マンション等の建築現場では、空調,衛生,電気設備等の配管・配線等のための孔がコンクリートの床や壁等に設けられている。これらの孔は、作業者や作業車等の足場を不安定とする,雨水が入り込む,建築資材や工具が落下して配管等の作業の邪魔になる等の要因となる。孔自体が特に重量のある作業車等によって破損する恐れもある。そこで、孔をホールキャップで塞ぐようにしている。
【0003】
従来のホールキャップは、例えば、図6(A)に示すように、適宜の板900に孔の大きさに対応する位置に係止片902を取り付けた簡単な構造となっている。これを、同図(B)に示すように、コンクリートスラブ910の孔912に取り付ける。板900は、係止片902によって孔912上に係止され、孔912が塞がれる。」

上記記載によれば、引用文献2には、以下の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。

[引用文献2記載の技術]
「電気設備等の配管・配線等のための孔が壁に設けられ、これらの孔は、適宜の板に孔の大きさに対応する位置に係止片を取り付けた構造となっているホールキャップにより、板を係止片によって孔の上に係止して孔を塞ぐ」技術。

c 引用文献3
当審において周知技術を示す文献として引用する、登録実用新案第3104215号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

「【0001】
本考案は、天井、壁等に穴開けミスなどで開いている穴の補修、あるいは穴開け位置の変更をする際に使用する補修プレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具、特に埋め込み式のダウンライトあるいは端部を突出させるブラケットなどを天井に取付ける際に、それらの器具の取付け用の穴を天井ボードに開けるが、その位置を間違えたり、開けた後に位置を変更したりする場合、不要となった取付け穴を埋める補修が必要となる。
従来、天井、壁のボードの穴の修復は、単にその穴を塞ぐように表側に補修ボードを当て、ビスあるいは接着剤で穴を塞いだり、あるいは穴に固形部材を埋め込み接着剤で固定している。」

上記記載によれば、引用文献3には、以下の技術(以下、「引用文献3記載の技術」という。)が記載されている。

[引用文献3記載の技術]
「照明器具を天井に取付ける際に天井ボードに空けられた穴の位置を変更する場合、不要となった取付け穴を塞ぐように表側に補修ボードを当て、ビスで穴を塞ぐ」技術。

(イ)本願補正発明と引用発明の対比
a 引用発明の「建物1」は、「太陽光発電システムのパワーコンディショナーである屋外設置物」が留付けされるものであるから、本願補正発明の「太陽光発電システムを備えた建物」に相当し、引用発明の「閉塞部材」は「開口部13」を閉塞するものであるから、本願補正発明の「塞ぎ部材」に相当する。
してみると、引用発明の「建物1の外壁部3」に形成された「開口部13を、閉塞部材によって、閉塞する」ことは、本願補正発明の「太陽光発電システムを備えた建物の外壁」「に塞ぎ部材が固定され」ることに相当する。
ただし、本願補正発明の「塞ぎ部材」は「外壁の表面」に固定されるものであるのに対して、引用発明の「閉鎖部材」はその旨特定されていない点で相違する。

b 引用発明の「留め具5は、開口部13を閉塞する閉塞部材に重なる部位」に「固定部材51,51を用いてそれぞれ取り付けられ」ることは、本願補正発明の「前記塞ぎ部材に重ねるようにして、」「横架材が固定され」ることに相当する。
ただし、本願補正発明の「横架材」は「排熱部を有する」のに対して、引用発明の「留め具5」はその旨特定されていない点で相違する。

c 引用発明は、「太陽光発電システムのパワーコンディショナーである」「屋外設置物2は、背面の取付カバー21に対して、これら二つの留め具5,5が係合されることで外壁部3との間にスペースを形成して外壁部3に留付けられ」るものであるから、「留め具5,5」に「パワーコンディショナー」が「取付けカバー21」を介して取り付けられているといい得るものである。
してみると、引用発明の「取付けカバー21」は本願補正発明の「取付金具」と「取付部材」である点で一致し、引用発明が「留め具5,5」に「パワーコンディショナー」が「取付けカバー21」を介して取り付けられていることは、本願補正発明が「横架材にパワーコンディショナー装置が、その取付部材を介して取り付けられている」ことに相当する。
ただし、「取付部材」が本願補正発明は「取付金具」であるのに対し、引用発明は「取付けカバー21」は金具と特定されていない点で相違する。

d 引用発明の「屋外設置物」は「太陽光システムのパワーコンディショナー」であるから、引用発明の「屋外設置物の留付け構造」は、本願補正発明の「パワーコンディショナー装置の取付構造」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

〈一致点〉
「太陽光発電システムを備えた建物の外壁に塞ぎ部材が固定され、前記塞ぎ部材に重ねるようにして、横架材が固定され、当該横架材にパワーコンディショナ装置が、その取付部材を介して取り付けられていることを特徴とするパワーコンディショナ装置の取付構造。」

〈相違点1〉
「塞ぎ部材」が、本願補正発明は「外壁の表面」に固定されているのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。

〈相違点2〉
「横架材」が、本件補正発明は「排熱部を有する」のに対して、引用発明はその旨特定されていない点。

〈相違点3〉
「取付部材」が、本願補正発明は「取付金具」であるのに対し、引用発明は金具と特定されていない点。

(ウ)相違点の判断
a〈相違点1〉について
「電気設備等の配管・配線等のための孔が壁に設けられ、これらの孔は、適宜の板に孔の大きさに対応する位置に係止片を取り付けた構造となっているホールキャップにより、板を係止片によって孔の上に係止して孔を塞ぐ」ものである引用文献2記載の技術や、「照明器具を天井に取付ける際に天井ボードに空けられた穴の位置を変更する場合、不要となった取付け穴を塞ぐように表側に補修ボードを当て、ビスで穴を塞ぐ」ものである引用文献3記載の技術のように、「穴の表側(上)に塞ぎ部材を固定し穴を塞ぐことは、本願の出願日前において周知技術であったと認められる。
そして、引用発明は「建物1の外壁部3」に形成された「開口部13を、閉塞部材によって閉塞」するものであるから、引用発明に上記周知の技術を適用し、引用発明の「閉塞部材」を「建物1の外壁部3」の表面に固定し閉塞する構成とし、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

b〈相違点2〉について
本願の明細書段落【0060】に「そのうえ、横架材6,6の存在によりできたパワーコンディショナ装置30の裏面のスペースで排熱が行える」と記載されていることを踏まえると、本願補正発明の「排熱部を有する横架材」には、「横架材」により「パワーコンディショナー装置」の裏面にスペースを形成し排熱するものを含むものと認められる。
これに対して、引用発明は、「パワーコンディショナー」である「屋外設置物2は、背面の取付カバー21に対して、これら二つの留め具5,5が係合されることで外壁部3との間にスペースを形成して外壁部3に留付けられ」るものであるから、「留め具5」により「パワーコンディショナー」と「外壁部3」の間にスペースが形成されることは明らかであり、引用発明も当該スペースにより排熱し得るものと認められる。
したがって、相違点2は実質的な相違ではない。

c〈相違点3〉について
金属製の「金具」の「取付部材」は、例示するまでもなく周知のものである。
そして、「取付部材」として金属製の「金具」を用いることは、取り付けられる対象物の重量や必要とされる取付け強度等を考慮し当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
したがって、引用発明の「取付けカバー21」を「取付金具」とし、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項である。

また、本願補正発明が奏する効果についてみても、引用発明に対する周知の技術の採用に伴って予測し得ない格別顕著なものがあるとは認められない。

(エ)まとめ
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

エ むすび
上記「イ」、「ウ」で検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項8に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2」の「[理由]1」の〈本件補正前の請求項8〉の欄に記載されたとおりのものである。

2 引用文献の記載事項、引用発明等
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載事項、引用発明等は、上記「第2」の「[理由]2(2)ウ(ア)」の欄に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2」の「[理由]2(2)」で検討した本願補正発明の「前記塞ぎ部材に重ねるようにして、排熱部を有する」との構成を「その上に(塞ぎ部材の上に)」との構成にしたもの、すなわち、相違点2に係る構成である「排熱部を有する」との構成を省くものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「[理由]2(2)ウ」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項8に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-02-18 
結審通知日 2020-02-25 
審決日 2020-03-09 
出願番号 特願2015-52526(P2015-52526)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02M)
P 1 8・ 575- Z (H02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 秀和  
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 酒井 朋広
山田 正文
発明の名称 太陽光発電システムを備えた建物におけるパワーコンディショナ装置の交換方法、及びパワーコンディショナ装置の取付構造  
代理人 弁護士法人クレオ国際法律特許事務所  

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