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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H02N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02N
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H02N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H02N
管理番号 1362008
審判番号 不服2019-2810  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-28 
確定日 2020-04-30 
事件の表示 特願2014- 65909「振動アクチュエータのステータ及び振動アクチュエータ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 2日出願公開,特開2015-192468〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯の概略
本願は,平成26年3月27日に出願され,平成29年12月14日付けで拒絶理由が通知され,平成30年5月11日(受付日)に意見書及び手続補正書が提出されたが,平成30年11月19日付けで拒絶査定がなされた。これに対し,平成31年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出された。
なお,平成30年5月11日(受付日)の手続補正書は特許法17条の2第1項ただし書きに規定する要件を満たしていない不適法な手続きであるとして,手続却下の処分がなされている。

第2 平成31年2月28日付けの手続補正書による補正についての却下の決定
[補正の却下の結論]
平成31年2月28日付けの手続補正書による補正を却下する。

[理由]
1 本件補正後の特許請求の範囲
平成31年2月28日付けの手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)により,特許請求の範囲の請求項1?8の記載は,次のとおり補正された(下線部は,補正箇所である。)。
「【請求項1】
ステータに生じる進行波によって,前記ステータに圧接する移動体を駆動する振動アクチュエータのステータであって,
前記ステータは,
一方の面が圧電振動子の取り付け部となる基部と,
前記基部の他方の面に一体形成され,前記基部の延在方向に設けられた複数の山部と,
隣接する前記山部の間に設けられた谷部と,
を備え,
前記山部は,前記圧電振動子の取り付け部側が開口した中空状であって,
頂部と,
前記頂部と前記基部との間に,かつ,当該山部の全周にわたって設けられた周壁部と,
を備え,
前記基部側よりも前記頂部が狭い台形状に形成されていることを特徴とする振動アクチュエータのステータ。
【請求項2】
前記山部は,角錐台形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項3】
前記山部は,円錐台形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項4】
前記山部は,平面視が,円環状に形成された前記ステータの外周面と同心の外周円弧と,前記ステータの内周面と同心の内周円弧と,前記ステータの中心点を通る2つの径方向線とに囲まれた,中心部位を切除した扇形であることを特徴とする請求項2に記載の振動アクチュエータ。
【請求項5】
前記山部は,前記ステータの内周側の前記周壁部が傾斜面,前記ステータの外周側の前記周壁部が垂直面,に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項6】
前記基部と前記圧電振動子との間には金属板を介在させたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項7】
前記山部のうちの少なくとも一つの山部の中空部に充填物を設けることにより,前記ステータの動剛性を部分的に不均一としたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一に記載のステータを有することを特徴とする振動アクチュエータ。」

2 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
ステータに生じる進行波によって,前記ステータに圧接する移動体を駆動する振動アクチュエータのステータであって,
前記ステータは,
一方の面が圧電振動子の取り付け部となる基部と,
前記基部の他方の面に一体形成され,前記基部の延在方向に設けられた複数の山部と,
隣接する前記山部の間に設けられた谷部と,
を備え,
前記山部は,前記圧電振動子の取り付け部側が開口した中空状であって,
頂部と,
前記頂部と前記基部との間に,かつ,当該山部の全周にわたって設けられた周壁部と,
を備えていることを特徴とする振動アクチュエータのステータ。
【請求項2】
少なくとも前記山部は,塑性加工で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項3】
前記山部は,絞り加工で形成されたことを特徴とする請求項2に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項4】
前記ステータは,板状体で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項5】
前記板状体は,板金であることを特徴とする請求項4に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項6】
前記山部のうちの少なくとも一つの山部の中空部に充填物を設けることにより,前記ステータの動剛性を部分的に不均一としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の振動アクチュエータのステータ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載のステータを有することを特徴とする振動アクチュエータ。」

3 新規事項の追加について
(1) 本件補正により,特許請求の範囲の請求項4の記載は,前記1のとおり補正された。

(2) これに対し,本願の願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には,以下の事項が記載されているのみである。
・「【0032】
図5は,ステータ5の他の実施形態,詳しくは山部8の他の外観形態についての実施形態について示す。なお,山部8の外観形態以外は上述した実施形態と同じである。
図5(a)はステータ5の山部8を部分的に拡大して示す平面図,(b)は(a)のb-b線断面図である。
【0033】
本実施形態においてステータ5の山部8は,平面視が略扇形であり,かつ,断面視が台形状の略角錐台状である。
具体的には,隣り合う山部8及び8の周方向で対向する基端8g及び8gと,頂部8eにおいて,隣り合う山部8及び8の周方向で対向する側辺8h及び8hは,それぞれ略平行な直線である。内周16と外周17に沿う基端(径方向の基端)8g及び8gと,内周16に沿う頂部8eの側辺8h,及び外周17に沿う頂部8eの側辺8hは,R状の曲線である。(図5(a)(b))。 また,内周16に沿う基端8gは,外周17に沿う基端8gよりも短く,かつ,内周16に沿う頂部8eの側辺8hは,外周17に沿う側辺8hよりも短い(図5(a)(b))。
また,周壁部8a及び8cは平坦面であるが,周壁部8b及び8dはそれぞれ曲面である(図5(a)(b))。
さらに,周壁部8a,8c,8dは,それぞれ基部8gから頂部8に向けて傾斜面であるが,周壁部8bは,基端8gから頂部8に向けて垂直面である(図5(b))。
また,本実施形態において,内周16に沿う基端8gと内周16との間の面部と,外周17に沿う基端8gと外周17との間の面部は,それぞれ径方向で略同一幅である(図5(a))。」
・「

」(図5)
このように,当初明細書等には,「隣り合う山部8及び8の周方向で対向する基端8g及び8gと,頂部8eにおいて,隣り合う山部8及び8の周方向で対向する側辺8h及び8hは,それぞれ略平行な直線である。」(【0033】)ことまでは記載があるが,本件補正により追加された,「前記山部」は「前記ステータの中心点を通る2つの径方向線とに囲まれた,中心部位を切除した扇形であること」について,当初明細書等には記載も示唆もない。

(3) そして,上記補正により追加された事項は,当初明細書等には記載がなく,当初明細書等から自明でもないから,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。
したがって,本件補正は,当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

4 本件補正の目的について
(1) 特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するか否かについて
ア 特許法17条の2第5項2号の規定は,請求項の発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」という。)を限定して減縮補正する態様により,補正前の請求項と補正後の請求項とは,実質上一対一の対応関係に立つ補正を定めたものである。
本件補正後の請求項1?8についてみるに,その記載振りからすると,本件補正後の請求項1,7,8は,それぞれ,本件補正前の請求項1,6,7に対応していると認められる。
ところで,本件補正前において,請求項1を直接又は間接的に引用する請求項は請求項2?7であったのに対し,本件補正後においては,それが請求項2?8となり,請求項が増加している。本件補正後の請求項7,8は,本件補正前の請求項6,7に対応していると認められるところ,本件補正後の請求項2?6に関しては,補正前の請求項と補正後の請求項とが,実質上一対一の対応関係に立つものとは解されない。発明特定事項が択一なものとして記載された一つの請求項について,その択一的な発明特定事項をそれぞれ限定して複数の請求項に変更した関係にあるものとも解されない。
一つの請求項に記載された発明を複数の請求項に分割し,新たな請求項を追加する態様による補正は,同号の定める「特許請求の範囲の減縮」に当たらないと解すべきであるから,請求項を増加しようとする本件補正の目的は同号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当するとは認められない。
イ 請求項1
既に述べたとおり,本件補正後の請求項1の記載振りからすると,本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項1に対応していると解される。
そして,本件補正により,「山部」に関し,本件補正前の請求項1に「前記圧電振動子の取り付け部側が開口した中空状であって」,「頂部」と,「前記頂部と前記基部との間に,かつ,当該山部の全周にわたって設けられた周壁部」とを備えているとの事項によって特定されているにすぎなかったことに加えて,本件補正により新たに,「前記基部側よりも前記頂部が狭い台形状に形成されていること」との事項によっても特定されることになった。
そうすると,請求項1についての本件補正は,本件補正前の請求項には存在しなかった発明特定事項を付加するものというべきで,補正前の請求項1に記載した発明特定事項を限定するものではない。
ウ 請求項2?6
(ア) 既に述べたように,本件補正後の請求項2?6に関して,実質上一対一の対応関係に立つ補正前の請求項が,明らかではないが,本件補正後の請求項2?5が,それぞれ,本件補正前の請求項2?5に対応しているとしてみるに,本件補正前の請求項2?5に前記2のとおり特定されていたものを,本件補正により,それぞれ,前記1のとおり特定されることになった。請求項4については,発明の対象も「ステータ」から「振動アクチュエータ」に変更された。
そうすると,請求項2?5についての本件補正は,それぞれ,本件補正前の請求項2?5に記載した発明特定事項を変更するものというべきで,補正前の請求項2?5に記載した発明特定事項を限定するものではない。
(イ) 本件補正後の請求項6についてみるに,本件補正前に対応する請求項はなく(本件補正前に,基部と圧電素子の間に金属板を介在させることに対応する発明特定事項が記載された請求項はない。),請求項6についての本件補正は,新たな請求項を追加するものである。
このように,一つの請求項に記載された発明を複数の請求項に分割し,新たな請求項を追加する態様による補正は,同号の定める「特許請求の範囲の減縮」に当たらないと解すべきであるから,請求項を増加しようとする本件補正の目的は同号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当するとは認められない。
(ウ) また,本件補正前の請求項1との関係でみたとしても,本件補正により新たに,「山部」に関し,「前記基部側よりも前記頂部が狭い台形状に形成されていること」(本件補正後の請求項1)との発明特定事項に加え,本件補正後の請求項2?5に記載された各発明特定事項によっても特定されることになった。
更に,請求項4については新たに「振動アクチュエータ」,請求項6については新たに「前記基部と前記圧電振動子との間には金属板を介在させたこと」との発明特定事項によっても特定されることになった。
そうすると,請求項2?6についての本件補正は,本件補正前の請求項1には存在しなかった発明特定事項を付加するものというべきで,補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定するものではない。
エ 以上のとおりであるから,本件補正の目的は特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当するとは認められない。

(2) その他,特許法17条の2第5項各号のいずれかを目的とするものとも認められない。

5 まとめ
本件補正は,特許法17条の2第3項に規定に違反するものであり,同法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであるから,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

6 なお,前記4(1)のとおり,請求項1,4についての本件補正は,補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定するものではないが,仮に,限定するものであるとして,本件補正後の請求項1,4に係る発明(以下,それぞれ「本願補正発明1」,「本願補正発明4」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について,以下に,予備的に検討する。

(1) 本願補正発明1について
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明
(ア) 原査定の拒絶の理由に示され,本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1である,特開2011-234608号公報には,以下の事項が記載されている(下線は当審にて付与した。)。
・「【請求項1】
電気-機械エネルギ変換素子と前記電気-機械エネルギ変換素子が固定された弾性体と前記弾性体に設けられた突起部とを備え,前記突起部に楕円運動を生成する振動子と,前記突起部に接触し前記振動子に対して相対的に移動する被駆動体と,を有する振動型アクチュエータであって,
前記突起部は,前記被駆動体と接触する接触面を有する接触部と,前記弾性体の一端面に対して突出し中空構造を形成する連続した側壁部と,前記接触部と前記側壁部を連結し前記接触面の法線方向に可撓性を有する連結部と,を有することを特徴とする振動型アクチュエータ。」
・「【請求項7】
前記振動子は,前記弾性体に進行波を励起することにより前記突起部に楕円運動を生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。」
・「【0001】
本発明は振動子に振動を発生させて被駆動体を相対的に移動させる振動型アクチュエータと,振動型アクチュエータの振動子及びその製造方法に関する。」
・「【0006】
特許文献1のリニア型の振動型アクチュエータは,被駆動体の移動速度を速くするためには,振動子110の被駆動体との接触面114を高くして,送り方向(X方向)の振動振幅を拡大する必要がある。しかし,接触面114を高くすると連結部116のX方向の剛性が弱くなり,振動速度は出ても被駆動体に駆動力を効率良く伝達できなくなる。また,突起部119が振動する振動モードの共振周波数が下がるため,不要な振動が発生しやすくなり良好なアクチュエータ性能が得られない場合がある。特許文献2の回転型の振動型アクチュエータに関しても同様に,接触面を高くすると周方向や径方向の剛性が弱くなったり,不要な振動が発生しやすくなったりする。」
・「【0010】
本発明によれば,振動型アクチュエータの突起部の接触面にZ方向のバネ性を有しつつ,突起部の側面は連続して繋がっているため,X,Y方向の剛性を確保することができ,良好なアクチュエータ性能を得ることが可能となる。」
・「【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態では,リニア型の振動型アクチュエータに適用できる振動子について説明する。まずは,その駆動原理について図9,図10を用いて説明する。図9はリニア型の振動型アクチュエータの概観斜視図である。図9において,リニア型の振動型アクチュエータ200は振動子100および被駆動体であるスライダ106によって構成されている。振動子100は矩形の薄板状に形成された電気-機械エネルギ変換素子である圧電素子105と,圧電素子105の一端面に接合された弾性体102と,弾性体102に対して凸状に形成された2つの突起部103と,を有している。図10は図9に示した振動子に励振される2つの振動モード(MODE-A,MODE-B)の変形形状を示す図である。ここで,2つの振動モードは,どちらも振動子100の面外方向の曲げ振動モードであり,共振周波数が略一致するように振動子100の形状は選択されている。」
・「【0015】
圧電素子105に設けられた2つの電極(不図示)に時間位相が略π/2異なる交流信号を入力すると,振動子100に上述したMODE-AとMODE-Bの振動が時間的位相差が略±π/2となるように励起される。この2つの振動モードの振動が合成されることにより,突起部103の接触面104には,図9のXZ面内の楕円運動が生成される。この楕円運動により接触面104に加圧接触するスライダ106は振動子100に対して相対的に移動する。」
・「【0017】
次に第1の実施形態の振動子の具体的な構成について説明する。図1(a)は本発明の第1の実施形態が適用できる振動子の斜視図であり,図1(b)はその突起部の断面斜視図である。本実施形態はリニア型振動型アクチュエータであり,駆動原理は上述した従来のリニア型の振動型アクチュエータの駆動方式が適用できる。
【0018】
図1(a)に示すように,振動子10は,矩形の薄板状に形成された圧電素子15と,この圧電素子15に固定された弾性体12と,弾性体12の一端面(例えば,圧電素子15が接合された面とは反対側の面)に凸状に設けられた2つの突起部19と,を有する。また,本発明において,突起部は1つでもよく,本実施形態のように複数設けても良い。また,突起部19は圧電素子15が接合された面と同じ側の面に設けてもよい。
【0019】
突起部19は,図1(b)に示すように弾性体12に対して突出した中空構造の矩形状の側壁部14と,不図示のスライダ(被駆動体)との接触面17を有する接触部16と,側壁部14と接触部16とを連結する連結部11と,を有する。また,本実施形態のように,突起部19を弾性体12に固定する場合は,弾性体12上面にレーザー溶接などで固着される固定部13を有する。側壁部14は連続している(つまり,突起部19の全周に渡って筒状につながっている)ため,突起部19はXY面内の方向に対して所定の剛性が確保されている。連結部11と接触部16とでは段差が設けられており,連結部11の上面は接触部16の接触面17よりも低くなっている。つまり,接触面17は,連結部11の被駆動体側の面(弾性体側とは反対側の面)よりも被駆動体側(弾性体側とは反対側)に突出している。このような構造とすることにより,スライダが連結部11と接触しないようになっている。また連結部11は,接触部16に比べて薄くなっており,さらに,穴部18により2つに分割されて幅が狭くなっているため,Z方向の剛性を下げてバネ性(可撓性)を持たせている。なお連結部11は,厚さを減じるだけで所定のバネ性が得られる場合は,穴部18によって複数に分割する必要はない。」
・「【0021】
(第2の実施形態)
本実施形態の振動子は,突起部が円筒形状をしている点が第1の実施形態と異なる。図2(a)は本発明の第2の実施形態が適用できる振動子の斜視図であり,図2(b)は振動子の突起部の断面斜視図である。本実施形態もリニア型の振動型アクチュエータであり,駆動原理は従来のリニア型の振動型アクチュエータと同様であるため,その説明を省略する。
【0022】
図2(a)に示すように,振動子20は,圧電素子25と,圧電素子25に固定された弾性体22と,弾性体22の一端面に凸状に設けられた2つの突起部29と,を有する。突起部29は,図2(b)に示すように弾性体22から突出するように設けられた円筒状の側壁部24と,不図示のスライダとの接触面27を有する接触部26と,側壁部24と接触部26とを連結する連結部21と,を有する。また,側壁部24は,固定部23を介してレーザー溶接などで弾性体22と固着されている。側壁部24は突起部29の全周に渡って連続しているため,突起部29はXY面内の方向に対して所定の剛性が確保されている。連結部21と接触部26は段差が設けられており,連結部21の上面は接触部26の接触面27よりも低くなっているため,スライダが連結部21と接触しないようになっている。また連結部21は,接触部26に比べて厚さが接触部26に比べて薄くなっており,さらに,穴部28により4つに分割されて幅が狭くなっているため,Z方向の剛性を下げて所定のバネ性を持たせている。なお連結部21は,厚さを減じるだけで所定のバネ性が得られる場合は,穴部28によって分割する必要はない。」
・「【0026】
(第4の実施形態)
本実施形態の振動子は,回転型の振動型アクチュエータの振動子に関する。回転型の振動型アクチュエータは,主に進行波を振動子に励起して振動子の突起部に楕円運動を生成するものであり,振動子の構成及び駆動原理は,特許文献2などで数多く開示されているので,ここでは説明を省略する。
【0027】
図4は本発明の第4の実施形態が適用できる振動子の模式図であり,図2,図3に示した突起部29,39を回転型の振動型アクチュエータの振動子に適用したものである。図4に示すように,振動子40はリング状の圧電素子45と,圧電素子45が固定された弾性体42と,弾性体42の一端面に設けられた凸状の多数の突起部49と,を有する。」
・「【0029】
(第5の実施形態)
本実施形態の振動子は,弾性体と突起部とが同じ弾性部材により一体的に形成されている。それ以外の構成は第2の実施形態と同様であり,駆動原理も従来のリニア型の振動型アクチュエータと同様である。
【0030】
図5(a)は第5の実施形態が適用できる振動子の斜視図であり,図5(b)は突起部の断面斜視図である。図5(a)に示すように,振動子50は圧電素子55と,圧電素子55が固定された弾性体52と,弾性体52の一端面に設けられた凸状の2つの突起部59と,を有する。弾性体52と突起部59とは一体的に連続して形成されている。突起部59は,図5(b)に示すように円筒状の側壁部54と,不図示のスライダとの接触面57を有する接触部56と,側壁部54と接触部56とを連結する連結部51とを有し,連結部51は穴部58により4つに分割されている。連結部51の上面は接触面57より低くなるよう段差が設けられており,スライダが連結部51と接触しないようになっている。また,弾性体52は,突起部59との接続部(薄肉部53)において,Z方向の厚みが薄くなっている。なお,連結部51は厚さを減じるだけで所定のバネ性が得られる場合は,穴部58によって分割する必要はない。
【0031】
図12(a)は穴部58がない第5の実施形態の変形例を示す振動子の斜視図であり,図12(b)は突起部の断面斜視図である。振動子501は圧電素子551と,圧電素子551が固定された弾性体521と,弾性体521の一端面に設けられた凸状の2つの突起部591と,を有する。弾性体521と突起部591とは一体的に連続して形成されている。突起部591は,図5(b)に示すように円筒状の側壁部541と,不図示のスライダとの接触面571を有する接触部561と,側壁部541と接触部561とを連結する連結部511とを有する。連結部511には穴部はない。連結部511の上面は接触面571より低くなるよう段差が設けられており,スライダが連結部511と接触しないようになっている。連結部511の下面(スライダとは反対側の面)と接触部561の下面の高さは同じである。また,弾性体521は,突起部591との接続部(薄肉部531)において,Z方向の厚みが薄くなっている。」
・「【0033】
次に,弾性体52と突起部59の製造方法を説明する。図6に弾性部材の板材から最終形状にプレス成形する工程を示す。以下,各工程について説明する。
【0034】
第1工程は,図6(a)に示す弾性部材であるステンレス等の金属の板材52aに絞り加工により2つの中空の凸状部(後に突起部となる)を形成する。絞り加工は板材52aが割れないように,何段階かに分けて少しずつ行うとよい。図6(b)はその途中段階の状態を示し,円筒状の連続した側壁部54bと,後に連結部と接触部になる先端部51b(56b)と,からなる凸状部59bが形成される。なお,絞り加工によって凸状部59bを設けるために,側壁部54bの周囲をつぶして薄肉部53bとし,その減肉分を側壁部54bに流動させている。通常は,側壁部54bの肉厚は板材52a(52b)より薄くなる。
【0035】
図6(c)は絞り加工の最終段階の状態を示し,円筒状の連続した側壁部54c,連結部51cおよび接触部56cからなる突起部59cが形成される。連結部51cは,絞り加工とともに,図6(b)の先端部51bの外周部分を凸状部を突出させた向きとは反対側に加圧するつぶし加工を行うことで,先端部中央の接触部56cと段差を有する板厚の薄い薄肉部(連結部51c)を設けている。これによって接触面57cに接触する不図示のスライダは,連結部51cとは接触しない。また,連結部51cは板厚が薄いのでバネ性を有することになる。なお,接触部56cと連結部51cとの段差は,図3(b)のように先端部51bにさらに絞り加工を行い,接触部となる先端部51bの中央を連結部となる先端部51bの外周よりもさらに突出させることにより設けてもよい。
【0036】
第2工程は,連結部51cに所定のバネ性を持たせるための打抜き加工であり,図6(d),図6(e)にその様子を示す。本実施形態では,連結部は4ヶ所に分割されて幅が小さくなっているため,一度に打抜き加工を行うと割れや変形の可能性がある。そのため,打抜き加工を2段階に分けている。図6(d)は4ヶ所のうち対向する2ヶ所を打抜き加工し,穴部58dを形成する。その後,図6(e)に示すように残りの2ヶ所を打抜き加工し,穴部58eにより所定のバネ性を有する複数の連結部51eを形成する。なお本工程は,連結部が分割されなくても所定のバネ性が得られる場合は不要となる。
【0037】
最後の第3工程は,図6(e)の弾性部材52eを振動型アクチュエータとして機能する振動子の形状にするための外形打抜き加工であり,弾性体の最終形状を図6(f)に示す。弾性体52fは,図5(a)に示すようにXY面内における矩形状の弾性体の形状に打抜き加工されてもよく,図6(f)に示すように,弾性体を台座(不図示)に固定する支持部521を弾性体の側面に設ける場合は,弾性体と支持部とからなる形状に打抜くとよい。本発明において「振動子の形状」とは,圧電素子が接合される面内(XY面内)における弾性体の形状,又は,圧電素子が接合される面内における弾性体と支持部とからなる形状,を示す。支持部521は,図6(f)に示すように弾性体の長手方向両側等,弾性体52fの振動を阻害しない位置に設けるとよく,また形状も弾性体52fの振動を阻害しないような形状にするとよい。
【0038】
以上示したように,第1から第3の工程で説明した一体プレス加工により,突起部59fが一体になった弾性体52fが形成される。そして,この弾性体52fに圧電素子を接合することにより振動子が形成される。」
(イ) 引用文献1に記載された振動子は,「前記弾性体に進行波を励起することにより前記突起部に楕円運動を生成する」(【請求項7】)もので,「この楕円運動により接触面104に加圧接触するスライダ106は振動子100に対して相対的に移動する。」(【0015】)ものであるから,振動子に生じる進行波によって,前記振動子に加圧接触する被駆動体を相対的に移動させる振動型アクチュエータの振動子であるといえる。
また,振動子は,圧電素子を有し「振動子50は圧電素子55と,圧電素子55が固定された弾性体52と,弾性体52の一端面に設けられた凸状の2つの突起部59と,を有する。…振動子は,弾性体と突起部とが同じ弾性部材により一体的に形成されている。突起部59は,図5(b)に示すように円筒状の側壁部54と,不図示のスライダとの接触面57を有する接触部56と,側壁部54と接触部56とを連結する連結部51とを有し,…」(【0029】),「振動子501は圧電素子551と,圧電素子551が固定された弾性体521と,弾性体521の一端面に設けられた凸状の2つの突起部591と,を有する。弾性体521と突起部591とは一体的に連続して形成されている。突起部591は,図5(b)に示すように円筒状の側壁部541と,不図示のスライダとの接触面571を有する接触部561と,側壁部541と接触部561とを連結する連結部511とを有する。」(【0031】)ものであり,図5,12において隣接する突起部の間に谷部が存在することが見て取れる。
そうすると,振動子が,一方の面が圧電素子の取り付け部となる弾性体と,前記弾性体の他方の面に一体的に連続して形成され,前記弾性体の延在方向に設けられた複数の突起部と,隣接する前記突起部の間に設けられた谷部と,を備えているといえるとともに,前記突起部は,前記圧電素子の取り付け部側が開口した中空状であって,接触部と,前記接触部と前記弾性体との間に,かつ,当該突起部の全周にわたって設けられた側壁部と,を備えているといえる。
よって,上記の記載及び図面の記載からみて,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「振動子に生じる進行波によって,前記振動子に加圧接触する被駆動体を相対的に移動させる振動型アクチュエータの振動子であって,
前記振動子は,
一方の面が圧電素子の取り付け部となる弾性体と,
前記弾性体の他方の面に一体的に連続して形成され,前記弾性体の延在方向に設けられた複数の突起部と,
隣接する前記突起部の間に設けられた谷部と,
を備え,
前記突起部は,前記圧電素子の取り付け部側が開口した中空状であって,
接触部と,
前記接触部と前記弾性体との間に,かつ,当該突起部の全周にわたって設けられた側壁部と,
を備える振動型アクチュエータの振動子。」

イ 対比及び判断
(ア) 対比
本願補正発明1と引用発明とを,その有する機能に照らして対比してみるに,引用発明の「振動子」,「被駆動体」,「振動型アクチュエータ」は,それぞれ,本願補正発明1における「ステータ」,「移動体」,「振動アクチュエータ」に相当する。
また,引用発明の「圧電素子」,「弾性体」,「突起部」は,それぞれ,本願補正発明1の「圧電振動子」,「基部」,「山部」に相当する。
そして,引用発明の「接触部」,「側壁部」は,それぞれ,本願補正発明1の「頂部」,「周壁部」に相当する。
そうすると,本願補正発明1と引用発明とは,次の点で一致し,相違するといえる。
(一致点)
ステータに生じる進行波によって,前記ステータに圧接する移動体を駆動する振動アクチュエータのステータであって,
前記ステータは,
一方の面が圧電振動子の取り付け部となる基部と,
前記基部の他方の面に一体形成され,前記基部の延在方向に設けられた複数の山部と,
隣接する前記山部の間に設けられた谷部と,
を備え,
前記山部は,前記圧電振動子の取り付け部側が開口した中空状であって,
頂部と,
前記頂部と前記基部との間に,かつ,当該山部の全周にわたって設けられた周壁部と,
を備える振動アクチュエータのステータ。」
(相違点)
本願補正発明1は,「山部」が「前記基部側よりも前記頂部が狭い台形状に形成されている」のに対し,引用発明は,「突起部」がそのように構成されていない点。
(イ) 判断
引用文献1の記載からすると,引用発明は,突起部の側面は連続して繋がっているため,X,Y方向の剛性を確保することができるもので(引用文献1【0010】),突起部が,被駆動体と接触する接触面を有する接触部と,弾性体の一端面に対して突出し中空構造を形成する連続した側壁部と,接触部と側壁部を連結し接触面の法線方向に可撓性を有する連結部と,を有していれば,課題を解決できるものであって,矩形状(第1の実施形態(図1))や円筒状(第2の実施形態(図2),第4の実施形態(図4),第5の実施形態(図5,12))のものが例示されているように,突起部の具体的な形状としては,各種のものを採用し得ることは,当業者が容易に理解できるものである。
また,剛性の観点から突起部の形状を検討することは,当業者にとって格別困難なことではない。
そして,山部が基部側よりも頂部が狭い台形状に形成されているものは,振動アクチュエータの振動子の形状として周知の技術である(例えば,特開昭63-11073号公報,特開平1-255484号公報,特開平2-26278号公報,特開平3-230774号公報,特開平11-346487号公報,特開2009-136068号公報,特開2011-200051号公報参照。)。
そうすると,引用発明において,突起部に関し,弾性体側よりも接触部が狭い台形状に形成し,相違点1に係る本願補正発明1の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到できたものである。
本願補正発明1の奏する効果をみても,当業者が予測の範囲内のものであって,格別ではない。
この点に関し,請求人は,山部を台形状とすることで,山部は,中空構造であるにもかかわらず,剛性を高くすることができる,この結果,圧電振動子による振動が基部側から付与されても山部の傾きや倒れを生起することなく安定的に前記振動を山部の周壁部を介して頂部に伝達することができる,などと主張している(審判請求書3.3))。
しかしながら,本願明細書には,山部を台形状とすることで,山部は,中空構造であるにもかかわらず,剛性を高くすることができることについて特段記載はなく,山部の形状として,略円柱状や略ドーム状の山部も例示され,形状は特に限定されず任意である旨記載されていること(【0034】,図6),山部が略矩形状である実施形態も開示されていること(【0039】,図7)からしても,山部を台形状とすることで,剛性に関し,格別顕著な効果を奏するものとは解されない。
そして,既に述べたとおり,引用発明において,剛性の観点から突起部の形状を検討することは,当業者にとって格別困難なことではなく,台形状の山部は周知の技術であるから,引用発明の突起部を台形状とすることは,当業者が容易に想到できた事項と認められる。
また,請求人は,取付部側が開口した単純な中空部を有する山部で引用文献1の突起部19を形成しているので,側壁部14と接触部16とを分割して両者を連結部11で連結するという複雑な構造を採用する必要がなく,単純にプレス等の工程により,簡単に一体成型することができる,などと主張している(審判請求書3.3))。
しかしながら,引用発明は,弾性体と突起部とが一体的に連続して形成されたものであるし,連結部に穴部がないものも想定されており(引用文献1【0031】,図12(第5の実施形態の変形例)),格別複雑な構造を採用しているものではない。板材から最終形状にプレス成形するものであるから(同【0033】?【0038】,図6),製造工程に関しても格別複雑とは解されない。
よって,請求人の上記主張は採用することができない。
(ウ) そうすると,本願補正発明1は,引用発明及び周知の技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 以上のとおりであるから,本願補正発明1は,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(2) 本願補正発明4について
本件補正後の請求項4は前記1のとおりであるが,その記載には明瞭でないところがあるから,本願補正発明4を明確に特定することができない。
まず,請求項4には,「山部」は,「平面視が,…,中心部位を切除した扇形である」と記載されているが,「中心部位」とはいずれの部位を指しているのか判然とせず,どのような形状の「扇形」であるのか明確でない。
そして,請求項4には,「…請求項2に記載の振動アクチュエータ」と記載されているが,引用する請求項2には「…請求項1に記載の振動アクチュエータのステータ」,間接的に引用する請求項1には「…ことを特徴とする振動アクチュエータのステータ」と記載されるように発明の対象が「ステータ」であるから,本願補正発明4が「ステータ」の発明であると解する余地もあり(請求項4を引用する請求項5?7に「…ステータ」と記載されていることからも窺える。),本願補正発明4が「ステータ」の発明であるのか,「振動アクチュエータ」の発明であるのか明確に特定することができない。
このように,本件補正後の請求項4の記載では,本願補正発明4を明確に特定することができない。
よって,本件補正後の請求項4は,本願補正発明4が明確に記載されているものとは認められない。
以上のとおり,本件補正後の請求項4の記載は,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないから,本願補正発明4は特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3) 請求項1,4についての本件補正が,補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定するものであるとしても,本願補正発明1,4は,特許出願の際独立して特許を受けることができないから,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,前記第2のとおり却下されたので,本願の請求項1?7に係る発明は,明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された,前記第2・2に記載のとおりのものであると認められる。以下,請求項1に係る発明について,「本願発明」という。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,本願発明は,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,又は,下記の引用文献1に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない,というものである。
(引用文献)
引用文献1:特開2011-234608号公報

3 引用文献に記載された事項
引用文献1に記載された事項は,前記第2・4(1)アのとおりである。

4 対比及び判断
本願補正発明1は,本願発明の「山部」に関し,「前記基部側よりも前記頂部が狭い台形状に形成されていること」との発明特定事項を付加するものであるから,本願発明はそのような発明特定事項を省くものである(前記第2・2)。
そして,この点は,本願補正発明1と引用発明に係る前記相違点に相当するから,本願発明と引用発明とは,本願補正発明1と引用発明に係る前記一致点で一致し,格別相違するところはない(前記第2・6(1)イ)。
そうすると,本願発明は,引用発明である。
仮に,相違するところがあるとしても,本願発明は,引用発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 まとめ
以上のとおり,本願発明は,引用発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,又は,引用発明及び周知の技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。

第4 むすび
以上第3のとおり,本願発明(請求項1に係る発明)は,特許法29条1項3号に該当し,又は同条2項の規定により,特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-02-26 
結審通知日 2020-03-03 
審決日 2020-03-16 
出願番号 特願2014-65909(P2014-65909)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H02N)
P 1 8・ 561- Z (H02N)
P 1 8・ 575- Z (H02N)
P 1 8・ 113- Z (H02N)
P 1 8・ 121- Z (H02N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三島木 英宏  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 窪田 治彦
佐々木 芳枝
発明の名称 振動アクチュエータのステータ及び振動アクチュエータ  
代理人 小林 義美  

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