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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 E02D 審判 全部申し立て 2項進歩性 E02D 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 E02D 審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) E02D 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 E02D 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 E02D |
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管理番号 | 1362315 |
異議申立番号 | 異議2019-700647 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-08-13 |
確定日 | 2020-03-23 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6480818号発明「新設建物の基礎構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6480818号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第6480818号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6480818号は、平成27年6月24日に出願され、平成31年2月15日にその特許権の設定登録がされ、平成31年3月13日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許について、令和1年8月13日に特許異議申立人 岡林 茂(以下、「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし3に対して特許異議の申立てがされた。 その後の経緯は、以下のとおりである。 令和 1年11月 1日(発送日): 取消理由通知 令和 1年12月27日: 意見書の提出及び訂正の請求 令和 2年 2月13日: 申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和1年12月27日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記コンクリートがらは、所定の粒度以下となるように粒度調整されているとともに前記コンクリートがらの含水率及び所定量が前記セメント固化材に合わせて現場で調整されており、前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを攪拌した後に転圧して形成されている」と記載されているのを、「前記コンクリートがらは、最大径が40?80mmとなるように粒度調整されているとともに前記コンクリートがらの含水率が17.5?20.0%であり、前記セメント固化材が粉体であって前記コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲であるように現場で調整されており、前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを現場で攪拌した後に転圧して形成されている」に訂正する(請求項1の記載を引用する訂正後請求項2?3も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 願書に添付した明細書の段落【0005】に、 「 このような課題を解決する本発明は、既設建物の地下躯体と、前記地下躯体の上方又は側方に設けられ、前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント固化材とで構成された改良体と、前記改良体の上に形成された新設建物の基礎部と、を有し、前記コンクリートがらは、所定の粒度以下となるように粒度調整されているとともに前記コンクリートがらの含水率及び所定量が前記セメント固化材に合わせて現場で調整されており、前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを攪拌した後に転圧して形成されていることを特徴とする。 かかる構成によれば、コンクリートがらとセメント固化材とを攪拌した後に転圧して改良体を構築するため鉛直支持力を高めることができるとともに、鉛直支持力のバラツキを小さくすることができる。また、既設建物の解体時に発生したコンクリートがらを用いて改良体を構築するため、材料コスト及び廃棄コストを低減することができる。また、コンクリートがらの未水和成分の硬化作用によって、少ないセメント固化材で所定の鉛直支持力を発現することができるため、より材料コストを低減することができる。」と記載されているのを、 「 このような課題を解決する本発明は、既設建物の地下躯体と、前記地下躯体の上方又は側方に設けられ、前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント固化材とで構成された改良体と、前記改良体の上に形成された新設建物の基礎部と、を有し、前記コンクリートがらは、最大径が40?80mmとなるように粒度調整されているとともに前記コンクリートがらの含水率が17.5?20.0%であり、前記セメント固化材が粉体であって前記コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲であるように現場で調整されており、 前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを現場で攪拌した後に転圧して形成されていることを特徴とする。 かかる構成によれば、コンクリートがらとセメント固化材とを攪拌した後に転圧して改良体を構築するため鉛直支持力を高めることができるとともに、鉛直支持力のバラツキを小さくすることができる。また、既設建物の解体時に発生したコンクリートがらを用いて改良体を構築するため、材料コスト及び廃棄コストを低減することができる。また、コンクリートがらの未水和成分の硬化作用によって、少ないセメント固化材で所定の鉛直支持力を発現することができるため、より材料コストを低減することができる。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1のうち、(ア)請求項1における「コンクリートがら」の「粒度調整」について、訂正前における「所定の粒度以下となるように」から、「最大径が40?80mmとなるように」と訂正した点は、訂正前の請求項1に係る発明を限定したものと認めることができる。 訂正事項1のうち、(イ)請求項1における「前記コンクリートがらの含水率」及び「所定量」について、訂正前に「前記セメント固化材に合わせて現場で調整されており」と記載されていたのを、「前記コンクリートがらの含水率」が「17.5?20.0%」であり、「前記セメント固化材」が「粉体」であって「前記コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲」であるように「現場で調整されており」と訂正した点は、訂正前においては、各成分の配合比が「調整」されることに加えて、「セメント固化材」を基準とした「調整」が行われることも併せて特定する趣旨であるのか、それとも各成分の配合比が「調整」されることを特定する趣旨であるのか明瞭でなかったのを、後者の趣旨であることを釈明するとともに、各成分の具体的な配合比、及び「セメント固化材」が「粉体」であることを限定したものと、認めることができる。 訂正事項1のうち、(ウ)請求項1における「当該コンクリートがら」と「前記セメント固化材」との「攪拌」について、「現場で」との記載を追加した点は、訂正前にも「前記コンクリートがらの含水率」及び「所定量」が「前記セメント固化材に合わせて現場で調整されて」いたから、所定の含水率を有した所定量の「コンクリートがら」と「セメント固化材」との「攪拌」も現場で行われていたと解されるところ、その点を明記して減縮したものと認めることができる。 そして、訂正事項1は、訂正前の請求項1における上記(イ)の十分に明瞭でなかった記載を明瞭とするとともに、コンクリートがらの粒度及び含水率、並びにセメント固化材が粉体であること及びコンクリートがらに対するセメント固化材の配合について限定をするものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同条同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1に関して、明細書の段落【0018】には、「混合攪拌工程では、図5の(c)に示すように、攪拌ヤードY上でコンクリートがらFに所定量の粉状のセメント固化材Jを投入し攪拌混合する。」と記載され、段落【0021】には、「また、コンクリートがらを場外に搬出せずに現場で粒度調整工程、含水率調整工程及び攪拌工程を行うので、現場以外の場所で形成されたモルタルを打設する場合に比べて、モルタルの製造・運搬工程が不要になり、工期を短縮することができるとともに施工コストを低減することができる。」と記載され、明細書の段落【0042】には、「以上の各試験の結果をまとめると、コンクリートがらFの含水率は17.5?20.0%、コンリートがらの最大径は40?80mm、改良体単層の厚さは500mm程度、転圧回数は層ごとに4回、攪拌混合時間はコンクリートがらF1m^(3)につき30秒以上とすることが好ましい。また、セメント固化材Jの添加量は、改良体の必要強度に応じて、コンクリートがらFに対して50?100kg/m^(3)の範囲で設定することが好ましい。」と記載されている。 これらの記載から、「コンクリートがら」を「最大径が40?80mmとなるよう」に粒度調整する発明、「コンクリートがらの含水率」を「17.5?20.0%」とする発明、「セメント固化材」を「粉体」とし「コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲である」ように配合し攪拌する発明、並びに、粒度調整工程、含水率調整工程及び攪拌工程を「現場で」行う発明は、明細書又は図面に記載されていたものと認められる。 したがって、訂正事項1は、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で、訂正前の請求項1に係る発明の明瞭化及び限定を行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の請求項1、及び請求項1を引用する請求項2ないし3の記載と、明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。この訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定にも適合するものである。 (3)一群の請求項、及び独立特許要件について 訂正前の請求項1?3について、請求項2?3はそれぞれ請求項1を引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正がされるものである。そのため、請求項1?3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。 訂正事項1は、一群の請求項である訂正前の請求項1?3について、明瞭でない記載の釈明を行うとともに限定を行い、訂正後の請求項1?3とするものである。 また、訂正事項2は、訂正事項1による訂正がなされた請求項1?3について、明細書の記載を特許請求の範囲の記載と整合させるものである。 すなわち、訂正事項1ないし2の訂正は、一群の請求項[1?3]に対して請求されたものである。 そして、本件においては、訂正前の請求項1?3について特許異議の申立てがされているから、訂正事項1ないし2の訂正は、いずれも特許異議の申立てがされている請求項に係る訂正であり、訂正事項1により特許請求の範囲の限定的減縮が行われていても、訂正後の請求項1ないし3に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (4)申立人の意見書における主張について 申立人は、令和2年2月13日付け意見書において、訂正事項1に関して、限定された数値範囲の技術的意義を理解することができないから、請求項1?3に係る発明は不明確であるという新たな取消理由を生じている旨を主張している。 しかしながら、上記(3)に示したとおり、本件においては、訂正前の請求項1?3について特許異議の申立てがされているから、訂正事項1ないし2の訂正は、いずれも特許異議の申立てがされている請求項に係る訂正であり、訂正事項1により特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1ないし3に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。そのため、申立人が主張する新たな取消理由については、当該新たな取消理由が取消理由として妥当であるか否かによらず、本件訂正請求による訂正は認められるべきものである。 なお、申立人が主張する当該新たな取消理由により、本件訂正請求による訂正後の請求項1ないし3に係る発明が取り消されるべきものか否かについては、後記第5の3において、別途判断することとする。 3 小括 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5ただし書第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1?3]について訂正を認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし3に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等といい、請求項1ないし3に係る発明をまとめて「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 本件訂正発明1 「【請求項1】 既設建物の地下躯体と、 前記地下躯体の上方又は側方に設けられ、前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント固化材とで構成された改良体と、 前記改良体の上に形成された新設建物の基礎部と、を有し、 前記コンクリートがらは、最大径が40?80mmとなるように粒度調整されているとともに前記コンクリートがらの含水率が17.5?20.0%であり、前記セメント固化材が粉体であって前記コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲であるように現場で調整されており、 前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを現場で攪拌した後に転圧して形成されていることを特徴とする新設建物の基礎構造。」 本件訂正発明2 「【請求項2】 前記既設建物の地下躯体は、地下底板と当該地下底板から立ち上る基礎梁及び/又は地下山留壁とを含んで形成されており、 前記改良体は、前記地下底板と隣り合う前記基礎梁同士とで構成された空間、前記地下底板と隣り合う地下山留壁同士とで構成された空間、及び、前記地下底板と隣り合う前記基礎梁と前記地下山留壁とで構成された空間の少なくともいずれかに密実に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の新設建物の基礎構造。」 本件訂正発明3 「【請求項3】 前記既設建物の地下躯体は、地下底板と当該地下底板から立ち上る複数の基礎梁とを含んで形成されており、前記改良体の設計圧縮強度は、前記セメント固化材の量を調整することにより、当該改良体の上に構築された新設建物の単位面積当りの質量に応じて、前記基礎梁を境に部分的に異なるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の新設建物の基礎構造。」 第4 証拠一覧、異議申立理由の概要、取消理由の概要、及び証拠の記載 1 証拠一覧 申立書とともに提出された証拠は、以下のとおりである。 甲第1号証: 特開平11-350746号公報 甲第2号証: 特開2007-131805号公報 甲第3号証: 大西智晴他、「解体コンクリート塊を骨材として有効利 用した流動化処理工法 その1 事前確認試験」、 日本建築学会大会学術講演梗概集(近畿)、 2005年9月、第785-786頁 2 異議申立理由、取消理由、及び本件訂正により申立人が主張する新たな取消理由の要旨 (1)申立人による異議申立理由 申立人による異議申立理由の要旨は、次のとおりである。 ア(進歩性) 本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証,甲第2号証,甲第3号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 イ(記載不備) 本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、物の発明であるが「改良体」の特定に製造方法の記載があるからプロダクトバイプロセスクレームであって、「改良体」をその構造又は特性により特定することは可能かつ実際的であるから、発明が明確でない。そのため、本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)令和1年11月1日発送の取消理由 当審が令和1年11月1日(発送日)に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ア(明確性) 本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、請求項1における「既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント固化材とで構成された改良体」について、「コンクリートがらの含水率及び所定量」が「セメント固化材に合わせて現場で調整されて」いるという記載が、「改良体」が含む「コンクリートがら」と「セメント固化材」及び「水」が所定の調整された比率であることを特定する趣旨であるのか、「セメント固化材」を基準とした調整が行われることにより「改良体」の構造をさらに何らか特定する趣旨であるのか明確でないから、発明が明確でない。そのため、本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 イ(新規事項) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1、及び明細書の段落【0005】には、「既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント固化材とで構成された改良体」について、平成31年1月15日付け手続補正書による補正により、「コンクリートがらの含水率及び所定量」が「セメント固化材に合わせて現場で調整されて」いるという記載が加えられているところ、当該記載が、「セメント固化材」を基準とした調整を行うことにより、「改良体」の構造を各成分の比率以外についても何らか具体的に特定する趣旨とすれば、そのようなことは願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではない。そのため、平成31年1月15日付け手続補正書による補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではなく、本件特許の請求項1ないし3に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである。 ウ(進歩性) 本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)申立人が、本件訂正により新たに主張する取消理由 申立人が、令和2年2月13日提出の意見書において、本件訂正により新たに生じたと主張する取消理由の要旨は、次のとおりである。 (明確性) 本件訂正後の請求項1ないし3に係る発明は、請求項1に特定される数値範囲の技術的意義が不明確であるから、発明が明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 3 証拠の記載 (1)甲第1号証 ア 甲第1号証の記載 甲第1号証には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】建物支持地盤上に建物を形成してある建造物の地下構造に関する。 ・・・・(中略)・・・・ 【0010】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。 【0011】本実施形態の建造物Kは、図1に示すように、建物支持地盤(以後、単に支持地盤という)Hと、その上に位置させた建物Bとから構成してある。そして、前記建物Bは、旧建物A(図2参照)を解体してその場所に建て替えられたものである。建物の建て替え方法は、旧建物Aを解体しながら、その旧建物Aの地下構造部A1に充填材Gを充填して新建物Bに対する支持地盤Hに形成し、その支持地盤H上に、前記新建物Bの地下構造部B1、及び、地上構造部B2を形成するものである。 【0012】前記旧建物Aは、図2に示すように、地下構造部A1と地上構造部A2とから構成されている。そして、既存の前記地下構造部A1・地上構造部A2とも、複数階のフロアを備えた構成である。各フロアは、側面の側壁部6、床構造部7、及び、上下階の床構造部7にわたる柱構造部8を設けて構成してある。そして、地下構造部A1の最下部には、基礎構造部3が形成してある。因みに、前記床構造部7は、スラブ7aや梁7bによって構成してある。また、前記基礎構造部3は、基礎スラブ3aや地中梁3bによって構成してあり、各地中梁3b間の空間はピット部9に形成してある。また、最上階から最下階にわたってエレベータシャフトや、パイプスペース等の縦穴部4が形成してある。 【0013】前記新建物Bは、図1・3に示すように、地下構造部B1と地上構造部B2とから構成されている。そして、地下構造部B1は、免震装置Dを設置するスペースとして構成してあり、地上構造部B2は、複数階のフロアを備えた構成である。また、建物平面は、旧建物Aより小さく設定してあると共に、地下構造部B1の深さも、旧建物Aよりも小さく設定してある。各フロアは、側面の側壁部10、床構造部11、及び、上下階の床構造部11にわたる柱構造部12を設けて構成してある。一方、地下構造部B1の最下部には、基礎構造部(底板構造部に相当)13が形成してあり、前記複数の免震装置Dを介して基礎構造部13と、他の地下構造部B1とが連結されている。 【0014】また、基礎構造部13の下面に位置する前記支持地盤Hは、旧建物Aの地下構造部A1を、その外周部分(側壁部6・基礎構造部3)を残した状態に解体してその内空部に、旧建物Aの解体コンクリートガラ(解体ガラに相当)G1と、モルタル(セメント混和物の一例)G2とを主成分とした充填材Gを充填・撹拌して一体的に固めて構成してある。因みに、前記解体コンクリートガラG1は、最大径が200mm程度になるように砕いてあり、充填時や撹拌時の取扱性を向上させ、且つ、支持地盤H全体とした品質の安定化を図ることが可能となる。また、前記モルタルG2の配合の一例を示すと、表1に示すとおりであり、前記解体コンクリートガラG1の容量に対して約33%の充填量でモルタル充填を実施し支持地盤Hを形成してある。モルタル充填して固化させた支持地盤Hの一軸圧縮強度は、5kg/cm^(2)を目標値とした。 【0015】 【表1】 【0016】次に、旧建物Aから新建物Bへの具体的な建て替え手順について説明する(図3参照)。 [1] 旧建物Aの解体を実施する。解体は、地上構造部A2においては、上層から実施し、地下構造部A1においては、二重スラブや二重壁を解体して空間をまとめる。また、エレベータシャフトや、ダクトスペース等の前記縦穴部4は、地下構造部A1への解体コンクリートガラG1の投入シュートとして利用できるように開口させておく。 [2] 解体によって生じた解体コンクリートガラG1の一部を、図3(イ)に示すように、前記縦穴部4を通して上層階から地下構造部A1へ落下させ、前記ピット部9に充填すると共に、ピット部9内の空隙にモルタル(セメント混和物に相当)G2を充填して、バックホウで撹拌し、一体化を図る。そして、同様の工程の繰り返しによって、前記新建物Bの底面位置まで順次、解体コンクリートガラG1・モルタルG2を充填すると共に撹拌して前記支持地盤Hを形成する。因みに、解体コンクリートガラG1とモルタルG2との撹拌は、バックホウに取り付けたアタッチメント14(図4参照)を使用して実施する。このアタッチメント14を巾方向に沿って往復移動させることによって効率よく撹拌することができる。 [3] 前記支持地盤Hの養生の後、新建物の地下構造部B1、及び、地上構造部B2を順次建ち上げる。 【0017】〔別実施形態〕以下に他の実施の形態を説明する。 【0018】〈1〉 前記縦穴部は、先の実施形態で説明したエレベータシャフトや、パイプスペースで構成されたもの以外にも、上下階に重なるスラブを解体して形成するものであってもよい。 〈2〉 新建物、及び、旧建物は、先の実施形態で説明したものに限るものではなく、要するに、新建物の支持地盤として、旧建物の外殻部を有効に利用しながら解体部分に充填材を充填して形成できるものであればよい。従って、新建物、及び、旧建物の構造は、自由に採用することが可能である。 〈3〉 充填材は、先の実施形態で説明した旧建物の解体ガラと、セメント混和物を主成分にした構成に限るものではなく、解体ガラについては、他の建物から発生した解体ガラであってもよく、セメント混和物に関しては、モルタル以外にも、コンクリートやセメントペーストであってもよい。また、解体ガラとセメント混和物との組み合わせに替えて、天然骨材や人造骨材とセメント混和物との組み合わせも可能である。 〈4〉 新建物は、その地下構造部が、先の実施形態で説明したようにフラットな底板構造部を備えた構成に限るものではなく、例えば、図5・6に示すように、底板構造部13に前記建物支持地盤Hに対する凸凹部1を形成したものであってもよく、この場合、凸凹部1と、その凸凹部1に対応した建物支持地盤Hとの物理的な係合強度の増加を見込むことが可能となり、例えば、地震による横揺れが発生しても、建物支持地盤Hと前記底板構造部13との係合強度の向上によって安定的な建物支持を叶えることが可能となる。また、前記凹凸部1の形状は、図6に示すように、建物Bの地下構造部B1そのものの構造によって、大きな凹凸を形成するように構成してあってもよい。」 イ 記載された発明 上記アより、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 「旧建物Aの地下構造部A1の外周部分である、最下部の基礎スラブ3aや地中梁3bを有する基礎構造部3、及び側壁部6と、 旧建物Aの地下構造部A1の各地中梁3b間の空間であるピット部9に、旧建物Aの解体コンクリートガラG1と、セメント混和物G2とを主成分とした充填材Gを充填して形成された、新建物Bに対する支持地盤Hと、 支持地盤H上に形成された、新建物Bの地下構造部B1の最下部の基礎構造部13と、を有し、 旧建物Aの解体コンクリートガラG1は、最大径が200mm程度になるように砕いてあり、充填時や撹拌時の取扱性を向上させ、且つ、支持地盤H全体とした品質の安定化を図ることが可能となっており、 セメント混和物G2として、モルタルを用いる場合には、モルタル1m^(3)当たりセメント300kg、水300kg、砂1386kg、石灰石微粉末200kg及びAE減水剤をセメントの2%含むモルタルを、解体コンクリートガラG1の容量に対して約33%の充填量で充填し、固化させた支持地盤Hの一軸圧縮強度として5kg/m^(2)を目標とし、 セメント混和物G2として、モルタルに代えてセメントペーストとしてもよく、 支持地盤Hは、旧建物Aの解体によって生じた解体コンクリートガラG1の一部をピット部9に充填すると共に、セメント混和物G2を充填して、撹拌し、一体的に固める工程の繰り返しによって、形成し、 新建物Bの構造は、自由に採用することが可能である、 新建物Bの地下構造。」 (2)甲第2号証 ア 記載事項 甲第2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0010】 このように、今まで建設工事の地盤改良は恒久地盤としてOne-Wayな材料と考えられていたが、今後は再活用を考慮した「循環型材料」としての材料特性を有することが求められる。 【0011】 そこで、本発明の目的は上述した従来の技術を踏まえ、以上の問題点を解消すべく、粗粒材料あるいは再生砕石を利用して構築した改良地盤体を解体した場合等において、そのときの使用地盤材料を、ほぼもとの粗粒材料近くまで再生できる改良地盤材料を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0012】 上記目的を達成するために、本発明は粗粒材料と、水硬性固化材と、水とを混合してなり、改良対象範囲に充填された前記粗粒材料の噛み合い部を前記水硬性固化材で、ほぼ点ないしごく小範囲の接触部位の結合部で接着させて構築した前記改良地盤体を構成する改良地盤材料であって、前記改良地盤体が解体される際に、前記粗粒材料の結合部での接着が切断され、前記粗粒材料とほぼ近い寸法からなる再生粗粒材料が得られるようにしたことを特徴とする。 【0013】 前記水硬性固化材は、セメントまたはセメント系固化材を用いることが好ましい。 【0014】 このとき、前記粗粒材料は、粒径2mm以上とすることが好ましい。 【0015】 また、前記(W)と粗粒材料(G)との乾燥質量比W/Gが3?7%であり、前記固化材(C)と粗粒材料(G)との乾燥質量比C/Gが1?5%となるようにすることが好ましい。 【発明の効果】 【0016】 本発明によれば、粗粒材料あるいは再生砕石を利用した改良地盤材料を用いて改良地盤体を構築し、その改良地盤体を解体した場合等において、そのときの使用地盤材料を、もとの粒度の材料程度まで比較的容易に破砕して、もとの粗粒材料にほぼ近い再生粗粒材料を生産することができるため、資源循環型材料を提供できるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、本発明の改良地盤材料の実施するための最良の形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。 【実施例】 【0018】 (改良地盤材料の特徴) 本発明の改良地盤材料は、細粒分を除いた粗粒材料に所定配合からなる水およびセメント系固化材等の結合材を混合して製造した、粗粒材料間に比較的弱い結合力を付与した混合材料である。この混合材料は、たとえば図1(a)に示したように、粒状の粗粒材料10間に分布する点接触1ないし小範囲2での各接触部分の一体化が図られ、埋め戻し締固め作業によって粗粒材料間のかみ合いと固化材11によるかみ合い部の接着作用によって地盤体としての一体化が図られている。このため、所定の地盤強度を発揮できる程度に改良された改良地盤体が提供できる。このとき粗粒材料10は砕石表面の固化材11により粗粒材料間の点接触部1あるいは小範囲2での接触部分のみが一体化され、また粒径2mm以下の細粒分を含んでいないため、後に粗粒材料間を分離させるのが困難となるモルタル状体(セメントと細粒分の混合体)が形成されていない。 【0019】 本発明の改良地盤材料は、このような構成からなるため、改良地盤材料を再掘削するような場合、粗粒材料間の結合が比較的弱く、掘削重機等により再掘削する際、塊状体を押しつぶす程度の軽い押圧を付与することで、図1(b)に示したように、固化材11部分が切断され、容易に小径の塊状ないしはもとの粗粒材料10(図1(a))の粒径にほぼ等しい再生粗粒材料10Rとして分離された状態で回収される。 【0020】 [使用材料] (粗粒材料) 粗粒材料としては、バージン砕石の他、再生砕石(解体コンクリートを破砕して製造した砕石)、現場発生土や焼却灰等にセメント系固化材などの固化材を混合し造粒した人工造粒物、高炉スラグ砕石、鉱滓スラグ砕石等を使用することができる。これらのうち、砕石の規格としては砕石、高炉スラグに関してはJIS A5005,A5011に準拠し、再生砕石に関しては、JIS規格の再生骨材Mないし再生骨材Lを想定し、また再生クラッシャーラン(再生路盤材)(RC-40)程度の材料を用いる。その際、粒径分布として2?40mmの範囲とし、粒径2mm以下の粉粒状体を取り除くことで、セメント系固化材と一体化して得られるモルタル分の形成を押さえ、点接触した状態の砕石間の接着強度を低くにおさえるようにしている。 【0021】 (固化材) 固化材としては基本的に水硬性固化材としてのポルトランドセメント、高炉セメントあるいは、改良地盤材として製品化された各種セメント系固化材を使用することができる。セメント系固化材は、添加材の効果による土中の余剰水の固定、有機物の影響を受けない水和物の生成等が期待できるので、対象地盤に応じた製品を適用することが好ましい。 【0022】 (配合・製造) 粗粒材料(G:粒径2?40mm)に、水(W)、セメント系固化材(C)を添加する。このとき、水(W)は乾燥質量比(W/G)=3?7%で、セメント系固化材(C)は粗粒材料(G)に対して乾燥質量比(C/G)=1?5%とすることが好ましい。W/Gが3%を下回ると、セメント系固化材の有効な水和反応が行えず、加水量が7%より多いと、セメント系固化材の粘性が小さくなり、粗粒材料の空隙に均等に滞留できず、改良地盤材の強度にバラツキが出るおそれがある。また、C/Gの範囲は、所定の養生期間後の試験体の一軸圧縮強さq_(u)が200?1000kN/m^(2)程度となるように想定しており、この範囲において、改良地盤の目的に応じて原地盤程度から硬質地盤までの強度発現が期待できる。この改良地盤材料は湿潤セメント膜の点接点で結合されているものの、改良地盤としての強度と剛性は、粘性土や砂質土などの一般の原地盤に比べ、十分な補強性能を発揮することができる。 【0023】 水とセメント系固化材の添加手順としては、加水して湿潤状態とした粗粒材料にセメント系固化材を粉体で添加しても、セメントに加水、混練りして製造したスラリーを粗粒材料に添加混合しても良い。これらの材料混合は地盤改良範囲の設置形状に応じて、粗粒材料を充填した空隙に、固化材スラリーを充填したり、充填された粗粒材料にセメント系固化材を粉体添加してもよい。 【0024】 (改良地盤体の撤去) 上述した改良地盤材料による改良地盤体は、所期の目的を達した後、通常の掘削機械で掘削でき、かつ粗粒材料間の結合状態を容易に破砕、切断でき、これにより解体作業現場で直接、40mm以下の新たな再生砕石、RC-40材等を再生産することができる。 【0025】 [改良地盤体例] この改良地盤材料を用いて構築する仮設や本設の改良地盤体の例としては、軟弱地盤のに設けた路床(たとえばCBR値が2%程度以下)補強や、クレーン車、杭打ち機等の重機の走行する仮設道路、作業領域でのトラフィカビリティの向上のために所定の層厚の路盤構築、盛土工の法尻位置での円弧すべり防止のコラム状構造体の構築、建築基礎の床付け整地面の形成、山留め空間の床付け部のヒービング防止層構築、山留め空間の埋戻し材の切梁に相当する補強層の構築等、仮設及び本設構造において十分な地盤補強効果を奏し、その後、仮設解体時や増設工事等による改良地盤体の撤去時に、通常の掘削機械で容易にこの改良地盤体を破砕でき、その際、破砕片は所定径(<40mm)の砕石を再生産することができる。」 イ 記載された発明 上記アより、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 「再生砕石を用いた粗粒材料(G)に、水(W)、水硬性固化材としてのポルトランドセメント、高炉セメントであるセメント系固化材(C)を添加し、水(W)は粗粒材料(G)に対する乾燥質量比(W/G)を3?7%、セメント系固化材(C)は粗粒材料(G)に対して乾燥質量比(C/G)を1?5%とした、改良地盤材料を用いて構築する、本設の改良地盤体であって、 水(W)とセメント系固化材(C)の添加手順としては、加水して湿潤状態とした粗粒材料(G)にセメント系固化材(C)を粉体で添加しても、セメントに加水、混練りして製造したスラリーを粗粒材料(G)に添加混合しても良く、地盤改良範囲の設置形状に応じて、粗粒材料(G)を充填した空隙に、固化材スラリーを充填したり、充填された粗粒材料(G)にセメント系固化材(C)を粉体添加してもよく、 埋め戻し締固め作業によって地盤体としての一体化が図られている、 本設の改良地盤体。」 (3)甲第3号証 甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 第785頁左欄第9行-第18行 「一方、筆者らは、規定量の建設発生土と水を混ぜ合わせた泥水に固化材を添加して製造する流動化処理土を超高層建築物の支持地盤として適用した事例をとおして、建設発生土が建築基礎地業の一原料として有効利用できることを既に確認している。 このような中、筆者らは、東京都内に計画された建替え工事において、既設躯体の解体に伴い発生するコンクリート塊を流動化処理土の骨材として有効利用することを提案し、建設副産物の有効利用と流動化処理土の強度増加を試みた。」 イ 第785頁右欄第19行-第20行 「ここで、施工性の指標は、CON塊を混入しない流動化処理土のフロー値と同じ120mmを目標とした。」 ウ 第786頁左欄第8行-第12行 「一方、図2に示す、泥水密度1.5g/cm^(3)の場合のCON塊混入率とフロー値の関係から、CON塊の状態が絶乾状態では、混入率50%であってもフロー値が80mm程度となってしまうことから、流動化処理土と混練するCON塊は、湿潤状態の方がよいと判断した。」 第5 判断 上記第3のとおり、本件訂正請求による訂正は全て認められたので、以下では、本件訂正発明1ないし3について、判断する。 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1)明確性 本件訂正前の請求項1に存在した、「コンクリートがらの含水率及び所定量」が「前記セメント固化材に合わせて」調整される、という記載は、本件訂正により改められ、本件訂正発明1ないし3においては、「コンクリートがら」の「含水率」、及び、当該含水率の「コンクリートがら」と攪拌される「粉体」である「セメント固化材」の配合比が、それぞれ具体的に特定された。 そのため、本件訂正発明1ないし3においては、具体的に特定された「コンクリートがら」の「含水率」及び「コンクリートがら」に対する「粉体」の「セメント固化材」の配合比により、形成される「改良体」自体の構成が明確となっている。 また、本件訂正発明1ないし3においては、上述のとおり形成される「改良体」自体の構成が明確となったから、本件訂正前の請求項1に存在した、「コンクリートがらの含水率及び所定量」の「調整」が「前記セメント固化材に合わせて」行われるとの記載に依拠した、「セメント固化材」を基準として調整を行うことを特定する趣旨であるのか否かが不明瞭であった点、及び、仮に「セメント固化材」を基準とした調整を行うことを特定する趣旨とすれば、そのことにより「形成」される「改良体」の構造をどのように特定する趣旨であるのかが不明瞭であった点についても、明瞭となった。 したがって、本件訂正発明1ないし3は、先の取消理由通知において指摘した点で不明確なものではない。 (2)新規事項 本件訂正前の請求項1及び段落【0005】における、「前記コンクリートがらの含水率及び所定量が前記セメント固化材に合わせて現場で調整されており、」という記載は、平成31年1月15日付け手続補正書による補正により導入されていたものであるところ、本件訂正により、「コンクリートがら」の「含水率」、及び、当該含水率の「コンクリートがら」と攪拌される「粉体」である「セメント固化材」の配合比を、それぞれ具体的に特定する記載へと改められた。 そして、本件訂正による請求項1及び段落【0005】の訂正内容が、明細書の段落【0018】、【0021】及び【0042】に記載されていたことは、上記第2の2(1)イ及び同(2)に示したとおりであり、当該段落【0018】、【0021】及び【0042】の記載内容は出願当初から補正がされていないから、本件訂正後の請求項1及び段落【0005】の内容は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入していないものである。 したがって、本件訂正発明1ないし3及び本件訂正後の明細書の段落【0005】は、先の取消理由通知において指摘した点で、新規事項が追加されているものではない。 (3)進歩性 ア 本件訂正発明1 (ア)対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明における「旧建物A」は、本件訂正発明1における「既設建物」に相当する。また、甲1発明における「旧建物Aの地下構造部A1の外周部である、最下部の基礎スラブ3aや地中梁3bを有する基礎構造部3、及び側壁部6」は、本件訂正発明1における「既設建物の地下躯体」に相当する。 甲1発明において、「充填材G」を充填することにより「新建物Bに対する支持地盤H」が形成される、「旧建物Aの地下構造部A1の各地中梁3b間の空間であるピット部9」は、「旧建物Aの地下構造部A1」のうち「最下部」である「基礎スラブ3a」より上と言い得るから、本件訂正発明1における「改良体」が設けられる、「前記地下躯体の上方又は側方」に相当する。 甲1発明における「旧建物Aの解体コンクリートガラG1」は、本件訂正発明1における「前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがら」に相当する。 甲1発明における「セメント混和物G2」と、本件発明1における「セメント固化材」とは、「セメント系物質」という点で共通する。 また、甲1発明における「旧建物Aの解体コンクリートガラG1と、セメント混和物G2とを主成分とした充填材Gを充填して形成された、新建物Bに対する支持地盤H」は、充填材Gを充填しない場合に比べて地盤が改良されているから、「改良体」と言うことができ、本件訂正発明1における「前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント固化材とで構成された改良体」とは、「前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント系物質とで構成された改良体」という点で共通する。 甲1発明において、「支持地盤H上に形成された、新建物Bの地下構造部B1の最下部の基礎構造部13」は、本件訂正発明1において、「前記改良体の上に形成された新設建物の基礎部」に相当する。 甲1発明において、「旧建物Aの解体コンクリートガラG1は、最大径が200mm程度になるように砕いてあり、充填時や撹拌時の取扱性を向上させ、且つ、支持地盤H全体とした品質の安定化を図ることが可能となって」いる構成は、最大径について粒の大きさの度合いが調整されているということができるから、本件訂正発明1における「前記コンクリートがらは、最大径が40?80mmとなるように粒度調整されている」構成とは、「前記コンクリートがらは、最大径が粒度調整されている」という点で共通する。 甲1発明において、「セメント混和物G2」として用いられる「モルタル」が「1m^(3)当たりセメント300kg、水300kg、砂1386kg、石灰石微粉末200kg及びAE減水剤をセメントの2%」含み、当該モルタルを「解体コンクリートがらG1の容量に対して約33%の充填量で充填」して「支持地盤H」とする構成と、本件訂正発明1において、「前記コンクリートがらの含水率が17.5?20.0%であり、前記セメント固化材が粉体であって前記コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲であるように現場で調整」されて「改良体」が形成される構成とは、いずれの構成においても形成物に含めるコンクリートがら、水及び水以外のセメント系物質の比率が調整されることを勘案すると、「改良体に含めるコンクリートがら、水及び水以外のセメント系物質の比率が調整」されるという点で、共通する。 甲1発明において、「支持地盤Hは、旧建物Aの解体によって生じた解体コンクリートガラG1の一部をピット部9に充填すると共に、セメント混和物G2を充填して、撹拌し、一体的に固める工程の繰り返しによって、形成」している構成と、本件訂正発明1において、「前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを現場で攪拌した後に転圧して形成されている」構成とは、「前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント系物質とを攪拌して形成されている」という点で共通する。 甲1発明において、「旧建物Aの地下構造部A1の外周部」である「基礎構造部3」等、「支持地盤H」、及び「基礎構造部13」を有する「新建物Bの地下構造」は、本件訂正発明1における「新設建物の基礎構造」に相当する。 以上より、甲1発明と本件発明1とは、 「既設建物の地下躯体と、 前記地下躯体の上方又は側方に設けられ、前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント系物質とで構成された改良体と、 前記改良体の上に形成された新設建物の基礎部と、を有し、 前記コンクリートがらは、最大径が粒度調整されており、前記改良体に含めるコンクリートがら、水及び水以外のセメント系物質の比率は調整されており、 前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント系物質とを攪拌して形成されている、 新設建物の基礎構造。」 という点で一致し、以下の点で相違、または形式的に相違する。 <相違点1> 「改良体」の材料、及び調整に関して、 本件発明1では、 (1a)「コンクリートがら」の「最大径」が「40?80mm」となるように粒度調整されているとともに、 (1b)水分をコンクリートがらに含ませるとともに「セメント固化材」として「粉体」を用いており、 (1c)水分の量は、「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」と特定され、 (1d)「セメント固化材」の量は、「セメント固化材が粉体であって前記コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲である」と特定され、 (1e)上記1a?1dの調整が「現場で」行われると特定されている、 のに対し、 甲1発明では、 (1a’)「解体コンクリートガラG1」の「最大径」は「200mm程度」であり、 (1b’)水分は「解体コンクリートガラG1」の側ではなく、「セメント混和物G2」側に含ませ、「セメント混和物G2」として「セメント」及び「水」を含む「モルタル」を用いており、 (1c’)水分の量は、モルタル中で約300kg/(300kg+300kg+1386kg+200kg)=約13.7%であり、当該水分を含むモルタルは解体コンクリートガラG1の容量に対して約33%の充填量で充填されるものであり、 (1d’)セメントの量は、モルタル1m^(3)当たりセメント300kgであり、 (1e’)上記1a’?1d’の調整が現場で行われるとは特定されていない、 という点。 <相違点2> 「改良体」の形成に際し、 本件発明1では、「改良体」を構成する材料として、水分を含んだ「コンクリートがら」と粉体である「セメント固化材」とを「現場で攪拌した後に転圧して形成されている」と特定されているのに対し、 甲1発明では、支持地盤Hをなす材料を「攪拌」しているものの、「解体コンクリートガラG1」と水分を含む「モルタル」との攪拌であるから、水分を含んだコンクリートがらと粉体であるセメント固化材とが「現場で攪拌」されてはいないとともに、当該攪拌の後に「転圧」して形成するとは特定されていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記相違点1のうち、水分の量の相違について、検討する。 a 甲第1号証に基く検討 甲1発明において、支持地盤Hをなす材料に含める水分は、モルタルに対し約13.7%であり、モルタルは「解体コンクリートガラG1の容量に対して約33%の充填量で充填」するから、甲1発明における水分量は、「解体コンクリートガラG1」を基準として換算すると、多くとも10%未満となると解される。 そして、甲1発明において、水分を解体コンクリートガラG1の側に含ませるとともに、水分量を解体コンクリートガラの含水率で「17.5?20.0%」まで増加させることは、甲第1号証中には記載も示唆もされていない。そのため、甲1発明において、上記相違点1のうち、水分の量を「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」とする本件訂正発明1の構成をとる動機付けは、甲第1号証中には見いだせない。 b 甲2発明に基く検討 甲第2号証には、上記第4の3(2)イに認定した甲2発明が記載されており、甲2発明は、「再生砕石を用いた粗粒材料(G)」、「水(W)」及び「セメント系固化材(C)」を所定の成分比率として「改良地盤体」を形成する際に、三成分の添加手順として、「加水して湿潤状態とした粗粒材料(G)にセメント系固化材(C)を粉体で添加」する選択肢と、「セメントに加水、混練りして製造したスラリーを粗粒材料(G)に添加混合」する選択肢とを有している。甲2発明において、「加水して湿潤状態とした粗粒材料(G)にセメント系固化材(C)を粉体で添加」する選択肢をとる場合の、「粉体」の「セメント系固化材(C)」は、相違点1に係る本件訂正発明1における「セメント固化材」に、また「加水して湿潤状態とした粗粒材料(G)」は、相違点1に係る本件訂正発明1における「含水率」が「調整」された「コンクリートがら」に相当する。 しかしながら、甲2発明においては、「再生砕石を用いた粗粒材料(G)」と「水(W)」との比率は、いずれの添加順序をとる場合にも「水(W)は粗粒材料(G)に対する乾燥質量比(W/G)を3?7%」であるから、甲2発明における水分の量は、「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」とする本件訂正発明1とは、大きく異なる。なお、甲2発明における水分量は、本件訂正発明1より少ないという点で、先に見た甲1発明と共通している。 そのため、甲1発明は「セメント混和物G2」として「モルタルに代えてセメントペースト」を用いる選択肢を有し、また甲2発明は、「セメントに加水、混練りして製造したスラリーを粗粒材料(G)に添加混合」する添加順序の選択肢に代えて、「加水して湿潤状態とした粗粒材料(G)にセメント系固化材(C)を粉体で添加」する選択肢を採る構成を有するものの、たとえ甲1発明において甲2発明が有する材料の添加手順を採用しても、添加する水分の量は、上記相違点1に係る本件訂正発明1における「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」という量には至らない。 そして、甲1発明に甲2発明を組み合わせたうえで、さらに水分の量を、甲1発明及び甲2発明のいずれにおける好適な水分量からも離れた、より多い水分量へと改変することは、甲第1号証及び甲第2号証の記載に反する改変を重ねる必要があるから、阻害要因があるというべきである。 したがって、甲1発明において甲2発明を考慮したとしても、上記相違点1に係る本件訂正発明1における水分量である、「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」という水分量に想到することは、たとえ当業者であっても、容易であったと言うことができない。 c さらに甲第3号証の記載を考慮した検討 甲第3号証には、上記第4の3(3)に摘記した事項が記載されているが、甲第3号証の記載は、泥水に固化材を添加した流動化処理土の骨材として、既設躯体の解体に伴い発生するコンクリート塊を混入させる際に、コンクリート塊を混入しない流動化処理土のフロー値と同じフロー値とするために、泥水に混入させるコンクリート塊も湿潤状態としておく、というものである。 そのため、甲第3号証の上記記載も、添加する水分の量を「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」とする、上記相違点1に係る本件訂正発明1における構成を示すものではなく、甲1発明において水分量を「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」とすることを示唆するものでもない。 また、上記bに示したとおり、甲1発明に甲2発明を組み合わせた場合には、甲第1号証及び甲第2号証に記載される好適な水分量を離れた改変をさらに重ねることについて阻害要因があるから、甲第1号証及び甲第2号証に加えてさらに甲第3号証の記載を考慮した場合にも、甲1発明を出発点として、水分の量を「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」とする上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成における水分量とすることは、当業者にとって容易に想到できたということができない。 d 小括 以上のとおり、甲1発明において、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成のうち、水分の量を「コンクリートがらの含水率」で「17.5%?20.0%」とする構成について、甲第2号証及び甲第3号証の記載を考慮しても、当業者が容易に想到することができたものではないから、その余の構成について検討するまでもなく、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成は、当業者が容易に想到できたものではない。 そして、甲1発明において、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成に至ることが、たとえ当業者といえども、甲2発明及び/又は甲第3号証に記載された事項に基いて、容易に想到できたものではないから、その余の相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲2発明並びに甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件訂正発明2ないし3 本件訂正発明2ないし3は、本件訂正発明1の構成を全て有したうえで、さらに限定を加えたものであるところ、上記アで判断したとおり、甲1発明を主引用発明として、本件訂正発明1が有する相違点1に係る構成に至ることは、当業者が容易に想到できたものではない。 したがって、本件訂正発明2ないし3における限定事項について検討することを要さず、本件訂正発明2ないし3は、甲1発明を主引用発明として、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は申立書において、本件訂正前の本件発明1ないし3は、物の発明であるが特許請求の範囲に「前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを攪拌した後に転圧して形成されている」という製造方法の記載があり、プロダクトバイプロセスクレームであるから不明確である旨を主張している(申立書第15頁第19行-第16頁第4行)。 上記第3に示したとおり、本件訂正は認められたところ、本件訂正発明1ないし3も「前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを現場で攪拌した後に転圧して形成されている」との構成を有しているので、この構成について本件訂正発明1ないし3が不明確であるか否かを判断する。 改良体を形成する際に、コンクリートがらとセメント固化材とを攪拌した後に転圧した場合、攪拌によってコンクリートがらとセメント固化材との分布が均一化した改良体の構造が特定されると理解できる。また、攪拌後の転圧により、均一化した材料からなる改良体の強固な構造が特定されると理解できる。 そのため、本件訂正発明1ないし3について、申立人が主張する「攪拌」及び「転圧」の順序に関する記載が存在するからといって、形成される改良体の構造が第三者に不測の不利益を生じさせる程に不明確となるものではない。そして、本件訂正により「攪拌」についても「現場で」との記載が加わっているが、既設建物の解体時に発生したコンクリートがらを用いる本件訂正発明1ないし3において、コンクリートがらとセメント固化材との攪拌に関して「現場で」との記載が存在することによって、改良体の構造が不明確となるような事情はない。 なお、申立人は申立書において、本件訂正前の本件発明1ないし3における「前記コンクリートがらの含水率及び所定量が前記セメント固化材に合わせて現場で調整されており」という構成についても、不明確である旨を主張しているが(申立書第16頁第5行-第8行)、当該構成については本件訂正により訂正されており、訂正後の本件訂正発明1ないし3について当該構成に依拠した不明確がないことは、上記1(1)に示したとおりである。 したがって、本件訂正発明1ないし3は、申立人が申立てる点で不明確なものではない。 3 申立人による意見書における主張について (1)本件訂正により新たに生じたと主張する取消理由について 申立人は、令和2年2月13日提出の意見書において、本件訂正発明1における数値範囲の技術的意義が不明確であるから、本件訂正発明1ないし3は本件訂正により新たな取消理由が生じていると主張している。 しかしながら、本件訂正発明1において特定される数値範囲自体は、コンクリートがらの最大径の「40?80mm」、コンクリートがらの含水率の「17.5?20.0%」、粉体のセメント固化材の量である「コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)」のいずれについても、発明の構成として明確である。また、これらの数値範囲が試験の結果好適であったことも、本件明細書の段落【0042】に「以上の各試験の結果をまとめると、コンクリートがらFの含水率は17.5?20.0%、コンリートがらの最大径は40?80mm、改良体単層の厚さは500mm程度、転圧回数は層ごとに4回、攪拌混合時間はコンクリートがらF1m^(3)につき30秒以上とすることが好ましい。また、セメント固化材Jの添加量は、改良体の必要強度に応じて、コンクリートがらFに対して50?100kg/m^(3)の範囲で設定することが好ましい。」と記載されるとおりであるから、本件訂正発明1における数値範囲について、技術的意義の観点から発明が不明確となる程に、当該数値範囲と明細書に記載される効果との関係に顕著な矛盾や乖離があるという事情もない。 したがって、本件訂正発明1ないし3は、申立人が意見書で主張する点で、新たに発明が不明確となっているものではない。 (2)進歩性について 申立人は、令和2年2月13日提出の意見書において、本件訂正発明1における数値範囲の技術的意義が不明確であるとの主張を行うのみで、本件訂正発明1ないし3の進歩性に関する主張は行っていない。 そして、本件訂正発明1ないし3の進歩性については、上記1(3)に判断したとおりである。また、本件訂正により特定された数値範囲の技術的意義が不明確であるという申立人の主張を考慮しても、進歩性について上記1(3)と異なる判断をすべき事情は見いだせない。 第6 むすび 以上のとおり、本件訂正は全て認められるとともに、本件訂正発明1ないし3に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件訂正発明1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 新設建物の基礎構造 【技術分野】 【0001】 本発明は、既設建物の解体時に発生するコンクリートがらを再利用した新設建物の基礎構造に関する。 【背景技術】 【0002】 例えば、特許文献1には、既設建物の解体時に発生したコンクリートがらを既設建物の地下躯体の上に埋め戻して締固め層を構築した後、当該締固め層の上に新設建物を構築する技術が開示されている。また、特許文献2には、既設建物の地下躯体の上に埋め戻したコンクリートがらにモルタルを打設し、混合攪拌することにより改良体層を形成する技術が開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開2006-124962号公報 【特許文献2】特開平11-336335号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1に記載されているように、コンクリートがらのみを使用して締固め層を構築すると、新設建物を支持する地盤支持力を確保することが困難になるという問題がある。また、コンクリートがらのみの締固め層であると締固め層の強度のバラツキが大きくなるという問題がある。一方、特許文献2に記載されているように、埋め戻したコンクリートがらにモルタル又はセメントミルク等を打設し、混合攪拌して改良体層を構築すると、モルタル等を製造する工程が生じたり、地下躯体上に滞留する雨水等が混入して改良体層の強度が低下することが懸念される。 このような観点から、本発明は、鉛直支持力を高めることができるとともに、鉛直支持力のバラツキを小さくすることができ、さらには経済性に優れた新設建物の基礎構造を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 このような課題を解決する本発明は、既設建物の地下躯体と、 前記地下躯体の上方又は側方に設けられ、前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント固化材とで構成された改良体と、前記改良体の上に形成された新設建物の基礎部と、を有し、前記コンクリートがらは、最大径が40?80mmとなるように粒度調整されているとともに前記コンクリートがらの含水率が17.5?20.0%であり、前記セメント固化材が粉体であって前記コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲であるように現場で調整されており、前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを現場で攪拌した後に転圧して形成されていることを特徴とする。 かかる構成によれば、コンクリートがらとセメント固化材とを攪拌した後に転圧して改良体を構築するため鉛直支持力を高めることができるとともに、鉛直支持力のバラツキを小さくすることができる。また、既設建物の解体時に発生したコンクリートがらを用いて改良体を構築するため、材料コスト及び廃棄コストを低減することができる。また、コンクリートがらの未水和成分の硬化作用によって、少ないセメント固化材で所定の鉛直支持力を発現することができるため、より材料コストを低減することができる。 【0006】 また、前記既設建物の地下躯体は、地下底板と当該地下底板から立ち上る基礎梁及び/又は地下山留壁とを含んで形成されており、前記改良体は、前記地下底板と隣り合う前記基礎梁同士とで構成された空間、前記地下底板と隣り合う地下山留壁同士とで構成された空間、及び、前記地下底板と隣り合う前記基礎梁と前記地下山留壁とで構成された空間の少なくともいずれかに密実に形成されていることが好ましい。 かかる構成によれば、地下躯体の一部を改良体と一体に利用できるため、新設建物の基礎構造の安定性を高めることができる。また、地下躯体の一部を止水壁、山留壁等に利用できるため、滞留水の混入防止と施工地盤の安定を図ることができ、改良体の品質の安定性も高めつつ、施工コストをより低減することができる。 【0007】 また、前記既設建物の地下躯体は、地下底板と当該地下底板から立ち上る複数の基礎梁とを含んで形成されており、前記改良体の設計圧縮強度は、前記セメント固化材の量を調整することにより、当該改良体の上に構築された新設建物の単位面積当りの質量に応じて、前記基礎梁を境に部分的に異なるように形成されていることが好ましい。 かかる構成によれば、基礎梁を利用して改良体の鉛直支持力を容易に変更することができる。また、改良体の上に構築された新設建物の単位面積当りの質量が小さい箇所では、改良体のセメント固化材を少なくすることができるため、材料コストを一層低減することができる。 【発明の効果】 【0008】 本発明の新設建物の基礎構造によれば、鉛直支持力を高めることができるとともに、鉛直支持力のバラツキを小さくすることができ、さらには経済性に優れる。 【図面の簡単な説明】 【0009】 【図1】本発明の第一実施形態に係る新設建物の基礎構造を示す側断面図である。 【図2】(a)は第一実施形態に係る解体工程を示す側断面図であり、(b)は粒度調整工程を示す概略図である。 【図3】第一実施形態に係る埋戻し工程を示す側断面図である。 【図4】第一実施形態に係る新設建物の基礎構造の構築方法を示す側断面図であって、(a)、(b)は掘削工程を示す。 【図5】(a)は第一実施形態に係る計量部材を示す斜視図であり、(b)、(c)は攪拌工程を示す概略図である。 【図6】(a)は第一実施形態に係る敷均し工程を示す側断面図であり、(b)は積層工程を示す側断面図である。 【図7】(a)は第一実施形態に係る積層工程を示す側断面図であり、(b)は改良体の完成状態を示す側断面図である。 【図8】本発明の第二実施形態に係る新設建物の基礎構造を示す側断面図である。 【図9】本発明の第三実施形態に係る新設建物の基礎構造の構築方法を示す図であって、(a)は試験用型枠を示す斜視図であり、(b)は敷均し工程を示す側断面図であり、(c)は積層工程を示す側断面図である。 【図10】(a)は、室内試験における改良体の材齢7日一軸圧縮強度試験の結果を示す表であり、(b)は含水率と改良体の材齢7日一軸圧縮強度との関係を示すグラフである。 【図11】現場施工試験Aにおける改良体の材齢28日一軸圧縮強度を示す表である。 【図12】(a)は、現場施工試験Bにおける改良体の材齢28日一軸圧縮強度試験の結果を示す表であり、(b)は、現場施工試験Bにおける平板載荷試験の結果を示すグラフである。 【発明を実施するための形態】 【0010】 本発明は、建物解体時のコンクリートがらの再利用方法に関するもので、建物解体時のコンクリートがらと、セメント固化材とを攪拌し、複数層に亘って転圧を行って改良体(がら改良体)を構築し、その改良体上に設ける新設建物の基礎構造である。 具体的には、新設建物の基礎構造として、新設建物の基礎部の下方に、一様に改良体を設けた場合(第1実施形態)と、部分的に異なる鉛直支持力を備えた改良体を設けた場合(第2実施形態)である。また、第3実施形態は、本発明の新設建物の基礎構造を実現するための改良体の構築方法と性能確認方法である。 [第一実施形態] 本発明の第一実施形態に係る新設建物の基礎構造について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る新設建物の基礎構造1は、既設建物の地下躯体2と、改良体3と、新設建物の基礎部4とで主に構成されている。 地下躯体2は、既設建物の地下部の構造躯体である。地下躯体2は、地下底板11と、複数の基礎梁12と、地下山留壁13とで主に構成されている。地下躯体2は、例えば、RC造又はSRC造である。基礎梁12は、地下底板11から所定の間隔をあけて複数本立ち上がっている。地下山留壁13は、地下底板11の周縁から立ち上る壁である。 改良体3は、基礎部4を支持する部位であり、後記するコンクリートがらFとセメント固化材Jとで主に構成されている。 基礎部4は、新設建物Mの基礎に相当する部位である。基礎部4は、地面Gよりも上側に構築されていてもよいが、本実施形態ではその全体が地面Gよりも下側に構築されている。基礎部4は、底板31と、底板31から間隔をあけて複数本立ち上る基礎梁32とで主に構成されている。基礎部4の上側には地上部33が構築されている。本実施形態では、地上部33の荷重が基礎部4に略均等に作用する。 【0011】 次に、本実施形態に係る新設建物の基礎構造の構築方法について説明する。本実施形態に係る新設建物の基礎構造の構築方法は、解体工程と、破砕工程と、粒度調整工程と、埋戻し工程と、掘削工程と、含水率調整工程と、攪拌工程と、敷均し工程と、積層工程とを行う方法である。なお、当該新設建物の基礎構造の構築方法は、例示であって本発明を限定するものではない。 【0012】 解体工程は、図2の(a)に示すように、地下躯体2の一部を残して既設建物Nを解体する工程である。既設建物Nは、RC造又はSRC造の建物であって、地下躯体(地下部)2と、地上部16とで構成されている。既設建物Nの地下躯体2は、地下底板11と、複数の基礎梁12と、地下山留壁13と、スラブ14と、柱15等で構成されている。解体工程では、地下躯体2の地下底板11、基礎梁12及び地下山留壁13を残して、既設建物Nを解体する。本実施形態では、地下底板11、基礎梁12及び地下山留壁13を残して他を解体したが、少なくとも地下底板11又は地下山留壁13を残して解体するようにしてもよい。 破砕工程は、既設建物Nを解体することによって発生したコンクリート体(図示省略)を破砕する工程である。また、破砕工程では、既設建物Nを解体することによって発生するコンクリート体以外のもの(鉄骨、鉄筋及び設備部材等)を除去する。 【0013】 粒度調整工程は、コンクリート体の粒度を調整して所定の粒度のコンクリートがらFを形成する工程である。コンクリートがらFは、複数のコンクリート片で構成された再生砕石である。コンクリートがらFの粒径(コンクリート片の粒径)は、粒径が大きくなると分離しやすくなることから、例えば、100mm以下に設定し、好ましくは80mm以下に設定する。ここで、粒径が小さいコンクリートがらFは、粒径が大きなコンクリートがらF間の空隙を充填し、改良体を密実化する役割を果たす。 コンクリートがらFの粒度調整は、例えば、図2の(b)に示すように、掘削機Kのアームの先端に設けられた粒度調整部K1で篩分けして行われる。粒度調整部K1は、掘削機Kのバケットに換えて取り付けられるアタッチメント部材である。粒度調整部K1には、所定の間隔で形成された網状の篩部K2が形成されている。篩部K2を通過したコンクリート片はコンクリートがらFとなる。篩部K2を通過しなかったコンクリート片については再度破砕して粒度調整を行う。 なお、粒度調整工程は、例えば、破砕部と篩部とを両方備えたアタッチメント部材を掘削機Kのアームの先端に取り付けて粒度調整を行ってもよい。また、人力で篩分けをして粒度調整を行ってもよい。 【0014】 埋戻し工程は、図3に示すように、粒度調整されたコンクリートがらFを地下躯体2の内部に埋め戻す工程である。コンクリートがらFが埋め戻されることにより、地下躯体2の内部に埋戻し部20が形成される。埋戻し部20の上面20aは、後記する攪拌工程で使用するため、平坦に均すことが好ましい。 【0015】 掘削工程は、図4の(a)に示すように、埋戻し部20の一部の領域のコンクリートがらFを掘り出して、埋戻し部20の上面20aに山部21を形成する工程である。ここで、地下躯体2を隣り合う基礎梁12,12ごとに区切って形成された領域を領域A,B,C,Dとする。本実施形態では、領域Bの埋戻し部20を掘削して、山部21を形成している。ここで、基礎梁12を山留に利用することで施工地盤となる埋戻し部20の安定性を高めている。さらに領域Bにコンクリートがらが残存しないことを目視にて確認することができ、改良体3内にセメント固化材と混合されていないコンクリートがらFが残存するおそれがない。 また、掘削工程では、図4の(b)に示すように、地下躯体2の底部に雨水又は地下水等(以下滞留水と称する)が溜まった場合は、ポンプ等を用いて当該滞留水Wを排出する。このとき基礎梁12を利用して当該領域外からの滞留水の流入を防ぐことにより、滞留水の排出量を抑制することができる。 【0016】 含水率調整工程は、図4の(b)に示すように、山部21のコンクリートがらFの含水率を調整する工程である。コンクリートがらFの含水率は、改良体3の設計圧縮強度に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは15?22%となるように調整し、より好ましくは17.5?20.0%となるように調整する。含水率調整工程では、埋戻し部20の上面20aにおいて、散水、シート養生、通気等を適宜行ってコンクリートがらFの含水率を調整する。コンクリートがらFの含水率は、山部21より採取した少量のコンクリートがらを、電子レンジを用いて乾燥させ、乾燥により減少した重量(含水量)を乾燥前重量で除して算定する。このとき電子レンジの代わりに恒温乾燥炉を用いてもよい。 攪拌工程は、図5の(a)?(c)に示すように、改良体3(図1参照)の材料となる混合材料を埋戻し部20の上面20aで形成する工程である。攪拌工程では、所定量のコンクリートがらFと所定量のセメント固化材Jとを攪拌して、混合材料を形成する。攪拌工程には、本実施形態では、計量工程と、混合攪拌工程が含まれている。 【0017】 計量工程は、コンクリートがらFを計量する工程である。コンクリートがらFの計量は、どのような方法で行ってもよいが、本実施形態では図5の(a)に示す計量部材41を用いる。計量部材41は、平面視矩形状の枠部42と、枠部42の隣り合う壁部を連結する4つの連結部材43とで構成されている。計量部材41は上下が開口する筒状に形成されている。連結部材43は、枠部42の角部を補強する部位である。枠部42の上部には、計量部材41を吊持するための4つの係止部44が形成されている。なお、計量部材41に底板を設けてもよい。 【0018】 計量工程では、図5の(b)に示すように、まず、埋戻し部20の上面20aに設定した攪拌ヤードYに計量部材41を載置する。そして、計量部材41の所定の高さまで、つまり、予め設定した量となるまでコンクリートがらFを投入する。コンクリートがらFの投入が完了したら、計量部材41を吊持して攪拌ヤードY以外の場所まで計量部材41を移動させる。計量部材41は無底の部材であるため、計量されたコンクリートがらFは攪拌ヤードY上に残存する。 混合攪拌工程では、図5の(c)に示すように、攪拌ヤードY上でコンクリートがらFに所定量の粉状のセメント固化材Jを投入し攪拌混合する。セメント固化材Jの種類は特に制限されないが、例えば、高炉セメント又は普通ポルトランドセメント等を用いる。混合攪拌工程では、本実施形態では、掘削機Kのアームの先端に攪拌部材K3を取り付けて、コンクリートがらFとセメント固化材Jとを混ぜ合わせ、混合材料を形成する。攪拌混合時間はコンクリートがらF 1m^(3)に対して0.5分以上とすることが好ましい。混合攪拌工程は混合材料が少量の場合には人力で行ってもよい。なお、混合攪拌工程後に、フェノールフタレイン溶液を散布して、コンクリートがらFとセメント固化材Jとの混合状態を確認することが好ましい。 【0019】 敷均し工程は、図6の(a)及び(b)に示すように、混合材料を地下躯体2の上に敷き均して転圧し、改良体層3B_(n)を構築する工程である。敷均し工程では、掘削機K等で掘削を行った領域Bに混合材料を投入(打設)した後、転圧機T等を用いて転圧し、締固める。つまり、敷均し工程では、地下底板11と隣り合う基礎梁12とで構成された空間に混合材料を密実に敷き均す。これにより改良体層3B_(1)が形成される。改良体層3B_(1)の厚さは特に制限されないが、例えば、30?75cmの間で適宜設定する。敷均し工程は改良体層が少量の場合には人力で行ってもよい。 積層工程は、図6の(b)に示すように、攪拌工程及び敷均し工程を複数回繰り返し行って、複数の改良体層3B_(n)を積層して改良体3Bを形成する工程である。本実施形態では、改良体層3B_(n)を7層(n=7)積層させているが、積層数を限定するものではない。 【0020】 さらに、図7の(a)に示すように、掘削工程、含水率調整工程、攪拌工程、敷均し工程及び積層工程を行って、領域Cに改良体3Cを形成する。同様に、領域A及び領域Dにも同じ工程を行って、図7の(b)に示すように、改良体3が形成される。最後に、図1に示すように、改良体3の上に新設建物Mの基礎部4を構築して新設建物の基礎構造1が完成する。このとき、既に形成された改良体3の一部を施工地盤として利用してもよい。 【0021】 以上説明した新設建物の基礎構造1及び新設建物の基礎構造の構築方法によれば、コンクリートがらFとセメント固化材Jとを攪拌した後に転圧して改良体3を構築するため鉛直支持力を高めることができるとともに、改良体3の鉛直支持力のバラツキを小さくすることができる。また、既設建物Nの解体時に発生したコンクリートがらFを用いて改良体3を構築するため、材料コスト及び廃棄コストを低減することができる。また、コンクリートがらFの未水和成分の硬化作用によって、少ないセメント固化材Jで所定の鉛直支持力を発現することができるため、材料コストをより低減することができる。 また、本実施形態によれば、地下躯体2の地下底板11、基礎梁12及び地下山留壁13を改良体3と一体に利用できるため新設建物の基礎構造1の安定性を高めることができる。また、これらを山留め及び止水等に利用できるため施工性がよく、攪拌工程及び敷均し工程において滞留水の混入を防ぐことで改良体3の品質の安定性も高めることができる。 また、本実施形態に係る新設建物の基礎構造の構築方法によれば、攪拌工程と敷均し工程とを複数回繰り返し行い、混合材料を層状に目視にて確認しながら敷き均していくため、改良体3の水平方向及び深さ方向の鉛直支持力のバラツキをより小さくすることができる。 また、コンクリートがらを場外に搬出せずに現場で粒度調整工程、含水率調整工程及び攪拌工程を行うので、現場以外の場所で形成されたモルタルを打設する場合に比べて、モルタルの製造・運搬工程が不要になり、工期を短縮することができるとともに施工コストを低減することができる。 【0022】 また、コンクリートがらFの粒径を80mm以下に設定すれば、改良体3の均一性をより高めることができる。 また、本実施形態に係る解体工程では、既設建物Nの地下躯体2のうち、地下底板11及び複数の基礎梁12を残して解体するとともに、敷均し工程では、露出した地下底板11と隣り合う基礎梁12とで構成された空間に混合材料を敷き均して密実に転圧する。このため、地下底板11及び基礎梁12に改良体3を確実に定着させることができるため、鉛直支持力をより高めることができる。また、掘削工程を省略し、埋戻し部20にセメント固化材又はモルタル等を直接投入して混合攪拌する場合に比べて、例えば地下底板11と基礎梁12の接合部付近の狭隘部の状態を目視にて確認してから作業が行えるので、改良体3を均一に形成することがより確実になる。 【0023】 また、コンクリートがらFを地下躯体2に埋め戻して、地下躯体2に埋戻し部20を形成し、当該埋戻し部20上で含水率調整工程、攪拌工程等を行うことができる。また、埋戻し部20上の攪拌ヤードYで混合材料を形成することができるため、現場のスペースを有効利用して作業を行うことができる。 【0024】 また、本実施形態では、コンクリートがらFを計量する計量工程を計量部材41(図5の(a)、(b)参照)を用いて行うため、コンクリートがらFを容易に計量することができる。また、計量後は計量部材41を上方に引き上げるだけで、攪拌ヤードYにコンクリートがらFを集めることができる。これにより、混合材料を形成する作業時間を短くすることができる。 また、粒度調整工程、埋戻し工程、攪拌工程及び敷均し工程では、掘削機Kを用いるとともに、各工程に応じてアームの先端のアタッチメントを交換するだけであるため、使用する機械を少なくすることができる。 【0025】 [第二実施形態] 次に、図8に示すように、本発明の第二実施形態に係る新設建物の基礎構造1Aについて説明する。本実施形態に係る新設建物の基礎構造1Aは、地下躯体2と、改良体3と、基礎部4とで構成されている。第二実施形態では新設建物NAの単位面積当りの荷重が均一ではなく、かつ、改良体3の設計圧縮強度が部分的に異なる点で第一実施形態と相違する。なお、第二実施形態の説明においては、第一実施形態と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。 本実施形態の新設建物NAは、中央部NA1と、側部NA2,NA2とで構成されている。中央部NA1は、側部NA2に比べて単位面積当りの荷重が大きくなっている。改良体3は、地下躯体2の領域A,B,C,Dに対応して、改良体3A,3B,3C,3Dで形成されている。改良体3B,3Cの設計圧縮強度は、改良体3A,3Dの設計圧縮強度に比べて大きくなるように形成されている。つまり、本実施形態に係る改良体3では、新設建物NAのように荷重が部分的に異なる場合、当該荷重に応じて改良体3の設計圧縮強度を変更している。 【0026】 言い換えると、新設建物NAは、単位面積当りの質量が大きい一の部分(中央部NA1)と、一の部分(中央部NA1)よりも単位面積当りの質量が小さい他の部分(側部NA2)とを有している。改良体3は、新設建物NAの一の部分(中央部NA1)に応じて改良体3の一の部位(改良体3B,3C)が形成されるとともに、他の部分(側部NA2)に応じて改良体3の他の部位(改良体3A,3D)が形成されている。改良体3の一の部位(改良体3B,3C)の設計圧縮強度は、改良体3の他の部位(改良体3A,3D)の設計圧縮強度よりも大きく形成されている。 【0027】 以上説明した第二実施形態に係る新設建物の基礎構造1Aによれば、改良体3の上に構築された新設建物NAの質量が小さい領域A,Dでは、改良体3A,3Dのセメント固化材Jの量を、改良体3B,3Cよりも少なくすることができるため、材料コストをより低減することができる。また、基礎梁12を利用して各改良体の設計圧縮強度を変更することで、改良体3の設計圧縮強度を部分的に容易に変更することができる。 【0028】 [第三実施形態] 次に、図9の(a)、(b)及び(c)を用いて新設建物の基礎構造の性能試験方法について説明する。新設建物の基礎構造の性能試験方法は、解体工程と、破砕工程と、粒度調整工程と、攪拌工程と、敷均し工程と、積層工程とを少なくとも含み、混合材料を打設する箇所に試験用型枠Pを予め配置して改良体層3B_(n)ごとに供試体を採取して圧縮強度(鉛直支持力)を確認するものである。 図9の(a)に示すように、試験用型枠Pは、供試体を採取するための型枠である。試験用型枠Pは、枠部材P1,P2で構成されている。枠部材P1,P2は結合又は分離可能になっている。試験用型枠Pは、内部が中空になっており、円柱状の供試体が得られるようになっている。試験用型枠Pの内径はコンクリートがらFの最大径の2.5?3.0倍以上で、高さは内径の2倍程度が好ましい。コンクリートがらFの最大径を80mmとする場合には、試験用型枠Pの高さは400?480mm以上とすればよい。 【0029】 本実施形態に係る新設建物の基礎構造の性能試験方法では、解体工程と、破砕工程と、粒度調整工程と、埋戻し工程と、掘削工程と、含水率調整工程と、攪拌工程と、敷均し工程と、積層工程とを行う。このうち、解体工程から攪拌工程までは、第一実施形態と同一なので説明を省略する。 敷均し工程では、図9の(b)に示すように、まず、地下底板11の上に複数の試験用型枠Pを配置する。そして、領域Bに混合材料を投入(打設)して、転圧機Tを用いて転圧し、改良体層3B_(1)を形成する。試験用型枠Pの内部にも混合材料を投入する。改良体層3B_(1)の厚さは、試験用型枠Pが転圧中に覆われるように、転圧による圧縮分を見込んで試験用型枠Pの高さと同等以上に設定する。 所定回数の転圧を行った後、クレーン又は人力で試験用型枠Pを改良体層3B_(1)から取り出す。試験用型枠Pを取り出した際に形成された抜き穴には、改めて混合材料を投入して転圧する。 【0030】 次に、積層工程では、図9の(c)に示すように、改良体層3B_(1)の上に改良体層3B_(2)を構築する。つまり、改良体層3B_(1)の上面に、複数の新たな試験用型枠Pを配置するとともに、混合材料を投入し、転圧機Tで転圧する。転圧を所定回数行った後、試験用型枠Pを改良体層3B_(2)から取り出す。試験用型枠Pを取り除いた後に形成された抜き穴には、改めて混合材料を投入して転圧する。このように、積層工程では、攪拌工程及び敷均し工程を所定回数繰り返し、改良体層3B_(n)ごとの供試体を採取する。 【0031】 以上説明した新設建物の基礎構造の性能試験方法では、得られた供試体を用いて外観検査、圧縮試験等を行うことで、改良体層3B_(n)ごとの均一性、性能を確認することができる。 また、第二実施形態のように、改良体3の部位(改良体3A?3D)ごとに設計圧縮強度を変更する場合は、部位ごとに改良体3の性能を正確に確認できるため有効である。また、改良体層3B_(n)の水平方向及び深さ方向の両方の性能を確認することができる。 また、試験用型枠Pを用いることにより、混合材料のコンクリートがらFの粒径が大きい場合でも、コアボーリングのようにカッターが接触するときの振動によって乱されて供試体が崩れるのを防ぐことができる。また、試験用型枠Pを用いることにより、コアボーリングに比べて供試体を容易に採取できるとともに、試験費用も平板載荷試験に比べて安くすることができる。また、試験用型枠Pを取り出したら次の改良体層を形成するため、平板載荷試験のように新設建物の基礎構造が強度発現するのを待つ必要が無い。そのため、本実施形態によれば、平板載荷試験に比べて短期間で改良体各層の性能試験を行うことができる。 【0032】 また、本実施形態では、供試体の高さ及び改良体単層の高さはいずれも500mm程度以下で済むため、一体の供試体の採取が、単層の敷均し工程で可能となる。したがって、試験用型枠Pが改良体層を転圧する際の支障とならない。また、本実施形態では、供試体の採取、運搬、試験等の手間を少なくすることができる。なお、新設建物の基礎構造の性能試験方法においては、必要に応じて改良体層ごと又は改良体3に対して六価クロム溶出試験を行ってもよい。 【0033】 以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では積層工程を行って改良体層を複数層積層させて改良体を構築したが、改良体層を積層させずに、混合材料を一度に投入するとともに転圧して改良体3を構築してもよい。 【0034】 また、解体工程では、地下躯体2の地下底板11と地下山留壁13の両方を残して解体するようにしたが、地下底板11及び地下山留壁13の少なくとも一方を残して解体してもよい。地下山留壁13のみを残して既設建物Nを解体した場合は、露出した地盤の上であり、かつ、地下山留壁13の側方に混合材料を敷き均して、改良体を構築する。 【実施例】 【0035】 実施例では、下記の室内試験、現場施工試験A、現場施工試験Bを行って、新設建物の基礎構造の構築方法における好ましいコンクリートがらFの含水率や各種条件等を確認した。コンクリートがらの既設建物での設計基準強度は24N/mm^(2)、セメント固化材には高炉セメントB種を用いた。 【0036】 [試験1:室内試験] 室内試験では、第一実施形態と略同等の方法にて、含水率を調整した少量のコンクリートがらFに所定量のセメント固化材Jを添加し、人力にて攪拌したものを試験用型枠内に投入した後、突き固めて改良体(供試体)を作製した。このとき、コンクリートがらFの含水率を17.5%?30.0%に変化させて好ましい含水率の範囲を確認した。コンクリートがらFの最大径は40mm、供試体の形状は直径が125mm、高さが250mm、セメント固化材Jの添加量は(コンクリートがらF 1m^(3)あたり)50,60,70,100kg/m^(3)とした。作製した供試体について標準養生を行い、材齢7日時に一軸圧縮強度試験を行った。図10の(a)は、室内試験における改良体の材齢7日一軸圧縮強度試験の結果を示す表であり、(b)は含水率と改良体の材齢7日一軸圧縮強度との関係を示すグラフである。 【0037】 図10の(a)に示すように、セメント固化材Jの添加量が50kg/m^(3)の場合、コンクリートがらFの含水率が17.5%、20.0%、25.0%、30.0%に増加すると、改良体の材齢7日一軸圧縮強度は1.50N/mm^(2)、1.16N/mm^(2)、0.42N/mm^(2)、0.24N/mm^(2)に減少した。この傾向はセメント固化材Jの添加量が60,70kg/m^(3)の場合も同様であり、改良体の水セメント比が関係していると考えられる。また、図10の(b)に示すように、セメント固化材Jの添加量が50kg/m^(3)の場合(図中□印)にコンクリートがらFの含水率が20.0%から25.0%に増加すると改良体の一軸圧縮強度は0.36倍と大幅に低下したのに対し、含水率が20.0%から17.5%に減少するとセメント固化材Jの添加量によらず強度増加は1.13?1.33倍に留まることが分かった。 【0038】 [試験2:現場施工試験A] 現場施工試験Aでは、第一実施形態と略同等の方法にて、層厚約2mの改良体をセメント固化材Jの添加量を変えて4体構築し、改良体の均一性,一軸圧縮強度とともに、施工条件の妥当性を確認した。ここで、コンクリートがらFの含水率は20%、最大径は40mm、セメント固化材Jの添加量は50,60,70,100kg/m^(3)、改良体単層の層厚は約500mm、転圧回数は4回とした。計量部材41(図5の(a)参照)の寸法は縦2.0m×横2.5m×高さ1.0mとした。敷き均し工程では、第三実施形態と同じ要領で複数本の試験用型枠P(図9の(a)参照)を予め設置して転圧した後に掘り出し、硬化後に脱型して、直径125mm、高さ250mmの供試体を作製した。この供試体に湿空養生を行うことによって硬化後にコアボーリングによって採取する場合と施工条件と養生条件が概ね同等の供試体を作製した。 【0039】 図11は、現場施工試験Aにおける改良体の材齢28日一軸圧縮強度(湿空養生)を示す表である。材齢28日一軸圧縮強度の3体の平均値は、セメント固化材Jの添加量が50kg/m^(3)で1.57N/mm^(2)、60kg/m^(3)で1.86N/mm^(2)、70kg/m^(3)で2.95N/mm^(2)、100kg/m^(3)で4.95N/mm^(2)となり、セメント固化材の添加量Jに応じて増加することが分かった。また全ての試験結果は平均値の0.93?1.06倍の範囲内に収まっており、コンクリートがらの含水率を20%に調整したこともあり、改良体の強度のバラツキはかなり小さくできていた。 なお、現場施工試験Aでは、改良体を形成するためのセメント固化材量として50?100kg/m^(3)をパラメータ量として性能確認を行ったが、一般に、コンクリート体に投入される最小セメント量は270kg/m^(3)程度(非特許文献1:日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解説5 鉄筋コンクリート工事、第12版第2刷、2003年6月30日)であり、コンクリートがらと僅かなセメント固化材とを攪拌して、改良体を形成した。 一方、砂質土にセメント固化材を混合攪拌して地盤改良体を形成する場合がある。改良厚さが厚い(例えば2m以上)場合の現場コア強度の目安として、セメント固化材の添加量200?300kg/m^(3)に対して1.5?4.0N/mm^(2)が示されている(非特許文献2:日本建築学会:建築基礎のための地盤改良設計指針案、表4.1.3)。現場施工試験Aの結果より、本発明によれば地盤改良体の半分以下のセメント固化材の添加量にて、強度が同程度の改良体を形成できることが分かった。 【0040】 [試験3:現場施工試験B] 現場施工試験Bでは、第一実施形態と略同等の方法にて、層厚約4mの改良体を、高さ約2mの基礎梁に囲まれた幅7m×奥行3m内外の3つの領域に構築し、改良体の必要強度2.2N/mm^(2)(長期設計地耐力は300kN/m^(2))を施工性とともに確保できるか等を確認した。ここで、セメント固化材Jの添加量は70kg/m^(3)、コンクリートがらFの最大径は80mm、含水率は17.8?19.6%、攪拌混合時間はコンクリートがらF 1m^(3)につき30秒以上とした。改良体単層の層厚、転圧回数は現場施工試験Aと同様である。また、第三実施形態と同じ要領にて、各領域の改良体から3深度(計9体)の供試体(直径250mm、高さ500mm)を採取し、湿空養生を行って、一軸圧縮強度試験を行った。また、改良体層の上面にて平板載荷試験を行い、支持力を確認した。 【0041】 図12(a)は、現場施工試験Bにおける改良体の材齢28日一軸圧縮強度試験の結果を示す表である。改良体9体の一軸圧縮強度は2.91?3.89(平均3.37N/mm^(2))を示し、必要強度を満足していた。いずれも平均値の0.86?1.15倍の範囲内にあり、変動係数は0.10であった。 図12(b)は、現場施工試験Bにおける平板載荷試験の結果を示すグラフである。想定する設計極限支持力度(900kN/m^(2))を超える荷重度1103kN/m^(2)を載荷しても、変位は4.1mm^(2)と限界値30mmより小さく、剛性低下を示さなかった。改良体層の支持力度は1103kN/m^(2)以上と必要値を満足し、かなり余力があることが分かった。ここで、砂質土にセメント固化材を混合攪拌(混合時間1分/m^(3))して敷き均し、振動ローラーにて転圧することによって(転圧回数8、仕上り厚さ25cm)層厚1mの改良体を形成した後、その一軸圧縮強度を調べた報告がある。(非特許文献3:日本建築センター:改訂版建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針、第1版第1刷、平成14年11月30日、図資3.2.2)これによると、二重管式サンプラーにて採取した21体の改良体の材齢28日一軸圧縮強度の平均値が0.367N/mm^(2)、標準偏差が0.140N/mm^(2)が得られており、これより変動係数は0.37となる。現場施工試験Bの結果より、適切な配合と施工条件等を採用することによって、一般的な地盤改良(浅層混合)に比べて、一軸圧縮強度のバラツキが小さな改良体を形成できることが分かった。 【0042】 以上の各試験の結果をまとめると、コンクリートがらFの含水率は17.5?20.0%、コンリートがらの最大径は40?80mm、改良体単層の厚さは500mm程度、転圧回数は層ごとに4回、攪拌混合時間はコンクリートがらF 1m^(3)につき30秒以上とすることが好ましい。また、セメント固化材Jの添加量は、改良体の必要強度に応じて、コンクリートがらFに対して50?100kg/m^(3)の範囲で設定することが好ましい。 【符号の説明】 【0043】 1 新設建物の基礎構造 2 地下躯体 3 改良体 3Bn 改良体層 4 基礎部 11 地下底板 12 基礎梁 13 地下山留壁 F コンクリートがら J セメント固化材 P 試験用型枠 T 転圧機 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 既設建物の地下躯体と、 前記地下躯体の上方又は側方に設けられ、前記既設建物の解体時に発生したコンクリートがらとセメント固化材とで構成された改良体と、 前記改良体の上に形成された新設建物の基礎部と、を有し、 前記コンクリートがらは、最大径が40?80mmとなるように粒度調整されているとともに前記コンクリートがらの含水率が17.5?20.0%であり、前記セメント固化材が粉体であって前記コンクリートがら1m^(3)に対して50?100kg/m^(3)の範囲であるように現場で調整されており、 前記改良体は、当該コンクリートがらと前記セメント固化材とを現場で攪拌した後に転圧して形成されていることを特徴とする新設建物の基礎構造。 【請求項2】 前記既設建物の地下躯体は、地下底板と当該地下底板から立ち上る基礎梁及び/又は地下山留壁とを含んで形成されており、 前記改良体は、前記地下底板と隣り合う前記基礎梁同士とで構成された空間、前記地下底板と隣り合う地下山留壁同士とで構成された空間、及び、前記地下底板と隣り合う前記基礎梁と前記地下山留壁とで構成された空間の少なくともいずれかに密実に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の新設建物の基礎構造。 【請求項3】 前記既設建物の地下躯体は、地下底板と当該地下底板から立ち上る複数の基礎梁とを含んで形成されており、前記改良体の設計圧縮強度は、前記セメント固化材の量を調整することにより、当該改良体の上に構築された新設建物の単位面積当りの質量に応じて、前記基礎梁を境に部分的に異なるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の新設建物の基礎構造。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-03-09 |
出願番号 | 特願2015-126474(P2015-126474) |
審決分類 |
P
1
651・
851-
YAA
(E02D)
P 1 651・ 853- YAA (E02D) P 1 651・ 536- YAA (E02D) P 1 651・ 121- YAA (E02D) P 1 651・ 841- YAA (E02D) P 1 651・ 537- YAA (E02D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 湯本 照基 |
特許庁審判長 |
森次 顕 |
特許庁審判官 |
秋田 将行 有家 秀郎 |
登録日 | 2019-02-15 |
登録番号 | 特許第6480818号(P6480818) |
権利者 | 大成建設株式会社 |
発明の名称 | 新設建物の基礎構造 |
代理人 | 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 |
代理人 | 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 |