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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A63F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A63F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A63F |
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管理番号 | 1362351 |
異議申立番号 | 異議2018-701038 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-12-20 |
確定日 | 2020-04-02 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6347377号発明「ゲーム装置、及び、ゲーム装置のプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6347377号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-15〕、16について訂正することを認める。 特許第6347377号の請求項1、2、4乃至16に係る特許を維持する。 特許第6347377号の請求項3に係る特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第6347377号の請求項1乃至16に係る特許についての出願は、平成29年6月9日(優先権主張平成29年5月8日)に出願され、平成30年6月8日にその特許権の設定登録がされ、同年6月27日に特許掲載公報が発行され、その後、同年12月20日付けで特許異議申立人中村光代(以下「異議申立人」という。)より請求項1乃至16に対して特許異議の申立てがされ、令和1年5月13日付けで取消理由が通知され、同年7月16日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年9月20日付けで訂正拒絶理由が通知され、令和1年10月25日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年12月27日に意見書の提出及び訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、令和2年2月10日に異議申立人より意見書が提出された。 2 本件訂正請求による訂正の適否についての判断 (1)本件訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。(注:下線部分は訂正箇所を示す。) (1-1)一群の請求項1乃至15に係る訂正 ア 訂正事項1 請求項1に「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる、」と記載されているのを、「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、」と訂正する。 請求項1を引用する請求項2乃至15も同様に訂正する。 イ 訂正事項2 請求項3を削除する。 ウ 訂正事項3 請求項4に「請求項1乃至3のうち何れか1項に」と記載されているのを、「請求項1または2に」と訂正する。 エ 訂正事項4 請求項6に「請求項1乃至5のうち何れか1項に」と記載されているのを、「請求項1、2、4または5に」と訂正する。 オ 訂正事項5 請求項8に「請求項1乃至5のうち何れか1項に」と記載されているのを、「請求項1、2、4または5に」と訂正する。 カ 訂正事項6 請求項11に「請求項1乃至10のうち何れか1項に」と記載されているのを、「請求項1、2、4乃至10のうち何れか1項に」と訂正する。 キ 訂正事項7 請求項12に「請求項1乃至11のうち何れか1項に」と記載されているのを、「請求項1、2、4乃至11のうち何れか1項に」と訂正する。 ク 訂正事項8 請求項15に「請求項1乃至14に」と記載されているのを、「請求項1、2、4乃至14のうち何れか1項に」と訂正する。 (1-2)請求項16に係る訂正 ア 訂正事項9 請求項16に「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる、」と記載されているのを、「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、及び一群の請求項について (2-1)一群の請求項1乃至15に係る訂正について ア 訂正事項1について (ア)訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、」との記載を、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3に記載された「前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、」との記載に基づき、「第1上限値が、パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、」と具体的に特定し、また、訂正前の請求項1の「前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる、」との記載を、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3に記載された「前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、」との記載に基づき、「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、訂正後の請求項2乃至15は、訂正後の請求項1を引用することにより、請求項2乃至15に係る発明を、具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記(ア)のとおり、訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないことは明らかである。 そして、訂正事項1の「第1上限値が、パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ」るとは、訂正前の請求項1の「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、」との記載を、具体的に特定するものであるから、その内容を拡張し、又は変更するものでない。 ここで、訂正前の請求項1の「前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる、」とは、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の【0113】、【0169】?【0172】の記載に基づけば、「第1上限値を、パラメータ値とは無関係に、所定の下限値(例えば「0」)を目標として、減少させる。」ことと解される。 してみると、訂正事項1の「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる」とは、訂正前の請求項1に「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ」と特定されていたことからすれば、第1上限値を、時間の経過に応じて上昇するパラメータ値とは無関係に、所定の下限値(例えば「0」)を目標として、減少させていたところ、第1上限値がパラメータ値を下回った場合に、パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、と具体的に限定するものであるから、その内容を拡張し、又は変更するものでない。 そして、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3に、「前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、」と特定されていたことに鑑みれば、訂正事項1は、その内容を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 そうすると、訂正事項1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3に記載された「前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、」との記載に基づくものである。 また、本件特許明細書等の【0172】における「図20は、本変形例に係るヒットポイント画像PHの変化の一例を示す図である。この図では、時刻T0?T3の間に、ヒットポイント回復基準値H1が、時間の経過とともに、ヒットポイント基準値減少量ΔH1dずつ減少していく場合を想定する。図20の例において、時刻T0?T1では、ヒットポイントHP及びヒットポイント回復基準値H1が、「HP≦H1」という関係である。このため、本変形例に係る状態管理部113は、ヒットポイントHPを、時間の経過に応じて、ヒットポイント回復量ΔHPuだけ増加させる。他方、時刻T1?T3では、ヒットポイントHP及びヒットポイント回復基準値H1が、「HP>H1」という関係になる。しかし、本変形例において、ヒットポイント回復基準値H1の減少は、ヒットポイントHPの更新に影響を与えない。このため、本変形例に係る状態管理部113は、時刻T1?T3において、ヒットポイントHPを変化させず、ヒットポイントHPがヒットポイント回復基準値H1を上回った状態を維持する一方で、ヒットポイント回復基準値H1をヒットポイント基準値減少量ΔH1dずつ減少させる。」との記載、【0194】における「前記管理部は、前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、ことを特徴とする。この態様によれば、パラメータ値と第1上限値との大小関係に応じて、パラメータ値の挙動を変化させるため、キャラクタの状態の変動が単調となる可能性を低く抑えることが可能となる。」との記載に基づくものである。 そうすると、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 イ 訂正事項2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(ア)のとおり、訂正事項2は、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 訂正事項3について (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項4が本件訂正前の請求項1乃至3のうち何れか1項を引用するものであったところ、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(ア)のとおり、訂正事項3は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 エ 訂正事項4について (ア)訂正の目的について 訂正事項4は、本件訂正前の請求項6が本件訂正前の請求項1乃至5のうち何れか1項を引用するものであったところ、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項4は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(ア)のとおり、訂正事項4は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 オ 訂正事項5について (ア)訂正の目的について 訂正事項5は、本件訂正前の請求項8が本件訂正前の請求項1乃至5のうち何れか1項を引用するものであったところ、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項5は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(ア)のとおり、訂正事項5は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 カ 訂正事項6について (ア)訂正の目的について 訂正事項6は、本件訂正前の請求項11が本件訂正前の請求項1乃至10のうち何れか1項を引用するものであったところ、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項6は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(ア)のとおり、訂正事項6は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 キ 訂正事項7について (ア)訂正の目的について 訂正事項7は、本件訂正前の請求項12が本件訂正前の請求項1乃至11のうち何れか1項を引用するものであったところ、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項7は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(ア)のとおり、訂正事項7は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ク 訂正事項8について (ア)訂正の目的について 訂正事項8は、本件訂正前の請求項15が本件訂正前の請求項1乃至14のうち何れか1項を引用するものであったところ、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項8は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(ア)のとおり、訂正事項8は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い、引用する請求項を削除するものであるから、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ケ.一群の請求項について 訂正前の請求項1乃至15について、請求項2乃至15は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1乃至15に対応する訂正後の請求項1乃至15は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2-2)請求項16に係る訂正について ア 訂正事項9について (ア)訂正の目的について 訂正事項9は、訂正前の請求項16の「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、」との記載を、訂正前の請求項3に記載された「前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、」との記載に基づき、「第1上限値が、パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、」と具体的に特定し、また、訂正前の請求項16の「前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる、」との記載を、訂正前の請求項3に記載された「前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、」との記載に基づき、「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる」と具体的に限定するものであるから、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記(ア)のとおり、訂正事項9は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないことは明らかである。 そして、訂正事項9の「第1上限値が、パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ」るとは、訂正前の請求項16の「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、」との記載を、具体的に特定するものであるから、その内容を拡張し、又は変更するものでない。 ここで、訂正前の請求項16の「前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる、」とは、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の【0113】、【0169】?【0172】の記載に基づけば、「第1上限値を、パラメータ値とは無関係に、所定の下限値(例えば「0」)を目標として、減少させる。」ことと解される。 してみると、訂正事項9の「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる」とは、訂正前の請求項16に「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ」と特定されていたことからすれば、第1上限値を、時間の経過に応じて上昇するパラメータ値とは無関係に、所定の下限値(例えば「0」)を目標として、減少させていたところ、第1上限値がパラメータ値を下回った場合に、パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、と具体的に限定するものであるから、その内容を拡張し、又は変更するものでない。 そして、訂正前の請求項16のカテゴリー違いの訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3に、「前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、」と特定されていたことに鑑みれば、訂正事項9は、その内容を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 そうすると、訂正事項9は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項9は、訂正前の請求項3に記載された「前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、」との記載に基づくものである。 また、本件特許明細書等の【0172】における「図20は、本変形例に係るヒットポイント画像PHの変化の一例を示す図である。この図では、時刻T0?T3の間に、ヒットポイント回復基準値H1が、時間の経過とともに、ヒットポイント基準値減少量ΔH1dずつ減少していく場合を想定する。図20の例において、時刻T0?T1では、ヒットポイントHP及びヒットポイント回復基準値H1が、「HP≦H1」という関係である。このため、本変形例に係る状態管理部113は、ヒットポイントHPを、時間の経過に応じて、ヒットポイント回復量ΔHPuだけ増加させる。他方、時刻T1?T3では、ヒットポイントHP及びヒットポイント回復基準値H1が、「HP>H1」という関係になる。しかし、本変形例において、ヒットポイント回復基準値H1の減少は、ヒットポイントHPの更新に影響を与えない。このため、本変形例に係る状態管理部113は、時刻T1?T3において、ヒットポイントHPを変化させず、ヒットポイントHPがヒットポイント回復基準値H1を上回った状態を維持する一方で、ヒットポイント回復基準値H1をヒットポイント基準値減少量ΔH1dずつ減少させる。」との記載、【0194】における「前記管理部は、前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、ことを特徴とする。この態様によれば、パラメータ値と第1上限値との大小関係に応じて、パラメータ値の挙動を変化させるため、キャラクタの状態の変動が単調となる可能性を低く抑えることが可能となる。」との記載に基づくものである。 そうすると、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて 本件特許についての特許異議の申立て事件では、訂正前の請求項1乃至16について特許異議の申立ての対象とされているから、本件訂正における訂正前の請求項1乃至16に係る訂正事項1乃至9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、特許第号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-15〕、16について訂正することを認める。 3 訂正後の本件特許発明 本件訂正請求により訂正された請求項1、2、4乃至16に係る発明(以下「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明4」乃至「本件特許発明16」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、2、4乃至16に記載された次の事項により特定されるものであると認める。 「【請求項1】 プロセッサを具備するゲーム装置のプログラムであって、 前記プロセッサを、 ユーザの操作に応じてゲームのキャラクタを動作させる動作実行部と、 前記キャラクタの状態を管理する管理部と、 して機能させ、 前記管理部は、 前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、 前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、 前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、 前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、 ことを特徴とする、ゲーム装置のプログラム。 【請求項2】 前記管理部は、 前記キャラクタが所定のゲーム要素を消費した場合に、 前記第1上限値を、第2上限値を限度として上昇させる、 ことを特徴とする、請求項1に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項4】 前記管理部は、 前記キャラクタの動作が、所定の動作条件を充足する場合に、 前記パラメータ値を、時間の経過に応じて前記第1上限値を限度として上昇させる、 ことを特徴とする、請求項1または2に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項5】 前記第2上限値は、 前記ユーザのプレイする前記ゲームにおいて所定のゲーム条件が充足された場合に、上昇する、 ことを特徴とする、請求項2に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項6】 前記管理部は、 前記ゲームにおいて前記キャラクタが受けた損害に応じて、前記パラメータ値を減少させる、 ことを特徴とする、請求項1、2、4または5に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項7】 前記パラメータ値が、所定の下限値になった場合に、前記ユーザによる前記ゲームの継続が不可能になる、 ことを特徴とする、請求項6に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項8】 前記管理部は、 前記動作実行部が前記キャラクタに所定の動作をさせた場合に、前記パラメータ値を減少させる、 ことを特徴とする、請求項1、2、4または5に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項9】 前記キャラクタは、 前記パラメータ値が、所定の下限値になった場合に、動作不能になる、 ことを特徴とする、請求項8に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項10】 前記キャラクタは、 前記パラメータ値が、所定の閾値以下になった場合に、前記所定の動作が制限される、 ことを特徴とする、請求項8または9に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項11】 前記キャラクタは、 前記キャラクタが所定の損害を受けた場合に、異常状態となり、 前記管理部は、 前記キャラクタが異常状態である場合、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を制限する、 ことを特徴とする、請求項1、2、4乃至10のうち何れか1項に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項12】 前記キャラクタは、 前記キャラクタが所定の損害を受けた場合に、異常状態となり、 前記管理部は、 前記キャラクタが異常状態である場合、 前記キャラクタが異常状態でない場合と比較して、 前記第1上限値の、単位時間あたりの減少量を増加させる、 ことを特徴とする、請求項1、2、4乃至11のうち何れか1項に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項13】 前記キャラクタを示すキャラクタ画像と前記キャラクタの状態を示す状態表示画像とを、表示部に表示させる表示制御部、 を備え、 前記表示制御部は、 前記キャラクタが異常状態である場合における前記状態表示画像と、 前記キャラクタが異常状態でない場合における前記状態表示画像とを、 異なる画像として表示する、 ことを特徴とする、請求項11または12に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項14】 前記管理部は、 前記第1上限値を、前記第2上限値まで上昇させた場合、 前記第1上限値の、時間の経過に応じた減少を、所定時間だけ停止させる、 ことを特徴とする、請求項2または5に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項15】 前記管理部は、 前記ユーザのプレイする前記ゲームにおける所定のゲーム条件の充足状況に基づいて、 前記パラメータ値の、単位時間あたりの上昇量を決定する、 ことを特徴とする、請求項1、2、4乃至14に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項16】 ユーザの操作に応じてゲームのキャラクタを動作させる動作実行部と、 前記キャラクタの状態を管理する管理部と、 を備え、 前記管理部は、 前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、 前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、 前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、 前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、 ことを特徴とする、ゲーム装置。」 4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 本件特許の訂正前の請求項1乃至16に係る特許に対して、令和1年10月25日付けで特許権者に対して通知した取消理由の概要は次のとおりである。 ア [取消理由1](サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1乃至16の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (ア)[取消理由1-1] 訂正前の請求項1及び16において、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」は、「時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇」すると特定されている。 一方、「第1上限値」は、「時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるよう減少」すると特定されている。 そうすると、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」は、「第1上限値を限度として上昇」する一方で、「第1上限値」は、「パラメータ値よりも小さい値となるよう減少」するという変動をするものであるから、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」は、何を基準として上昇及び減少するのかが不明であって、そうすると、本願発明の課題である「キャラクタの状態の変動が単調となる」ことをどの様に解決するのか、その手段が明らかでない。 (イ)[取消理由1-2] 訂正前の請求項2には「第1上限値を、第2上限値を限度として上昇させる」と記載されているが、当該請求項が引用する訂正前の請求項1には「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」は、「時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇」すると特定されており、パラメータ値と第1上限値の両者が共に上昇していることとなり、結局、パラメータ値は第2上限値(固定されたものを包含する)まで上昇するものとなり、上記(ア)と同様に課題解決手段を記載したものではない。 (ウ)[取消理由1-3] 訂正前の請求項3には「第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる」と記載され、本件特許明細書の訂正前の請求項3の対応箇所には「パラメータ値と第1上限値との大小関係に応じて、パラメータ値の挙動を変化させるため、キャラクタの状態の変動が単調となる可能性を低く抑えることが可能となる。」(【0194】)と記載されているが、本件特許明細書全体を参酌しても、上記訂正前の請求項3の発明特定事項と、上記本件特許明細書の記載との因果関係が不明であるから、訂正前の請求項3は、課題解決手段が記載されたものとはいえない。 (エ)[取消理由1-4] 訂正前の請求項14には「第1上限値の、時間の経過に応じた減少を、所定時間だけ停止させる」と記載されているが、当該請求項が引用する訂正前の請求項1の「第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる」と矛盾するものであり、そのようなものは発明の詳細な説明に記載されていない。 イ [取消理由2](明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1乃至16の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (ア)[取消理由2-1] 訂正前の請求項1及び16において、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」は、「時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇」すると特定されている。 一方、「第1上限値」は、「時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるよう減少」すると特定されている。 また、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項3において、「前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合」と特定されている。 そうすると、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」は、「第1上限値を限度として上昇」する一方で、「第1上限値」は、「パラメータ値よりも小さい値となるよう減少」するという変動をするもの(訂正前の請求項1)、及び「パラメータ値を下回る」もの(訂正前の請求項3)であるから、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」は、何を基準として上昇及び減少するのかが不明である。 (イ)[取消理由2-2] 訂正前の請求項1及び16の「前記パラメータ値よりも小さい値」における「前記パラメータ値」とは、時間が経過する中で、どの時点での「パラメータ値」を指すのか不明である。 (ウ)[取消理由2-3] 訂正前の請求項5には「ユーザのプレイする前記ゲームにおいて所定のゲーム条件が充足された場合」と記載されているが、この「場合」とは、訂正前の請求項5が引用する訂正前の請求項2の「キャラクタが所定のゲーム要素を消費した場合」とアンド条件であるのか、オア条件であるのか定かでない。 ウ [取消理由3](新規性)本件特許の請求項1乃至6、8乃至16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、公然実施された発明であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができない。 エ [取消理由4](進歩性)本件特許の請求項1乃至16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、公然実施された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (2)各甲号証及び引用文献の記載 ア 甲第1号証 甲第1号証(“0110.MOV”)は、ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」のゲーム機におけるプレイ画面を録画した動画である。 甲第1号証の動画から、以下の事項が看取できる。(動画開始からの時間を、例えば0時間13分25秒を[0:13:25]と表す。なお、動画において撮影されているゲーム機は上下に2つの画面を有し、下の画面の左右には操作ボタンが設けられたものであるところ、ゲームのプレイヤキャラクタを含む動画は、ゲーム機の上の画面にのみ表示されていることから、上の画面に表示された動画から看取できる事項については、特段の断りなく記載する。) ・[0:00:00] ゲームタイトル「モンスターハンタークロス MONSTER HUNTER ○R XCROSS」が表示されていること。(当審注:「○R」は登録商標を示す「R」を○囲みした記号を当審が代用表記したものである。以下、登録商標を意味する「○R」及び「TM」は省略する。) ・[0:00:39] 上の画面には、「ロアルドロスを狩猟せよ!」と表示されていること。 下の画面には、「依頼主 中年の漁師 依頼内容 奴に妙な液体を浴びせられたら、 急にスタミナが切れやすくなって 逃げるのも大変だった。たまたま アイルーに助けてもらえたが…。 いまだに黄色いものを見ると ロアルドロスを思い出して 震えが止まらんよ…!」と表示されていること。 ・[0:00:50]乃至[0:00:55] 画面上部には、上下2本のゲージが画面の左右にわたって表示されており(以下、ゲージの左端を「原点」、右端を「上限」という。)、上のゲージ内には、原点から上限まで緑色のゲージが延びていることが表示されており、また、下のゲージ内には、原点から上限まで黄色のゲージが延びていることが表示されていること。 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:00:50]にプレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュを開始すると、[0:00:55]まで下のゲージ内の黄色のゲージが徐々に減少すること。 ・[0:01:07]乃至[0:06:51] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:01:07]にプレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュを開始すると、下のゲージ内の上限にあった黄色のゲージが減少しはじめ、[0:01:10]にプレイヤキャラクタ「たいしょ」が立ち止まると、下のゲージ内の黄色のゲージが時間の経過に応じて上昇して上限に達し、その後、プレイヤキャラクタ「たいしょ」は止まったままで、下のゲージ内の黄色のゲージも上限に達したままで動かず、時間経過後([0:06:51])に下のゲージの上限と共に黄色のゲージが減少すること。 ・[0:07:12]乃至[0:07:18] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:07:12]にプレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュを開始し、下のゲージ内の黄色のゲージが減少し、[0:07:18]に立ち止まると、下のゲージ内の黄色のゲージが上昇すること。 ・[0:07:20]乃至[0:07:37] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:07:20]にプレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュを開始し、[0:07:30](10秒後)に下のゲージ内の黄色のゲージが上限の1/3程度に減少すると、ゲージの色が黄色から赤色に変わってプレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュできなくなること。 [0:07:35](さらに5秒後)に下のゲージ内の赤色のゲージが原点まで減少すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が歩行を止め、肩で息をしていると、赤色のゲージが上昇しはじめ、原点から上限までの1/3程度になると赤色のゲージが黄色のゲージに変わって、上昇を続け、[0:07:37](さらに2秒後)に黄色のゲージが上限に達すること。 ・[0:08:31]乃至[0:08:44] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:08:31]に敵キャラクタの攻撃を受けると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」は走って逃げ、画面左上の「たいしょ」の文字の右横に水滴のマークが表示され、下のゲージ内の黄色のゲージが青色のゲージに変わって減少し、[0:08:39](8秒後)にプレイヤキャラクタ「たいしょ」の逃げはゆっくりとなり、青色のゲージが原点から上限までの1/3程度に減少すると、赤色のゲージに変わり、[0:08:44](さらに5秒後)に赤色のゲージが原点まで減少すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」はよたよた歩きになること。 ・[0:08:50]乃至[0:08:54] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:08:50]に下のゲージ内の赤色のゲージが原点から上昇しはじめると共に、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が歩きはじめ、赤色のゲージが原点から上限までの1/3程度になると青色のゲージに変わって、上昇を続け、[0:08:52]にプレイヤキャラクタ「たいしょ」が立ち止まるが、青色のゲージは上昇し続け、[0:08:54](4秒後)に青色のゲージが上限に達すること。 ・[0:10:12]乃至[0:10:20] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:10:12]に敵キャラクタの攻撃を受けると、上のゲージ内の緑色のゲージが減少するとともに、一部が赤色のゲージに変わり、さらに攻撃を受けると、[0:10:20]に上のゲージ内の緑色のゲージはなくなり、赤色のゲージのみとなること。 ・[0:10:39] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、上のゲージ内の緑色のゲージが原点から上昇するが、[0:10:39]に敵キャラクタの攻撃を受けると、上のゲージ内の緑色のゲージ及び赤色のゲージは共に原点まで減少し、「力尽きました」と表示され、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が倒れること。 ・[0:11:05]乃至[0:11:16] 画面右下が、「アイテム非選択」との表示から「携帯食料」との表示に変わると、上限に達している下のゲージ内の黄色のゲージが上限と共に上昇し、[0:11:16]に画面の右端に達すること。 ・[0:12:48] ユーザがメニューを開き、発動スキル「スタミナ急速回復」に対応するセットを選択すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」の装具が変わること。 ・[0:13:35] 上の画面には、「雪のちウルクスス」と表示されていること。 下の画面には、「依頼主 職務に勤勉な観測者 依頼内容 雪山より報告します。 白兎獣ウルクススが現れました。 狩猟可能な実力を持つハンターは すぐに向かってください。 雪まみれで身動きできませんが、 観測所よりお伝えしました。」と表示されていること。 ・[0:14:35]乃至[0:14:38] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:14:35]からプレイヤキャラクタ「たいしょ」が歩き回り、[0:14:36]に下のゲージ内の赤色のゲージが原点まで減少すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」はよろめきながら停止し、その間に、下のゲージ内で赤色のゲージが上昇し、赤色のゲージが黄色のゲージに変わり、黄色のゲージがさらに上昇し、[0:14:38](2秒後)に上限に達すること。 ・[0:15:01] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、プレイヤキャラクタ「たいしょ」は身震いの動作をし、下のゲージ内の黄色のゲージが、黄色のゲージと青色のゲージとに、交互に切り替わり表示されること。 ・[0:17:07] 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、[0:17:07]に交互に切り替わり表示される黄色のゲージと青色のゲージがゲージの上限と共に瞬間的に減少したこと。 ・[0:23:00]乃至[0:29:13] 下のゲージ内で黄色のゲージと青色のゲージとが交互に切り替わり表示される中、[0:23:00]に、ユーザが、「こんがり肉」との表示から「強走薬グレート」との表示に選択変更すると、画面右下は、「こんがり肉」から「強走薬グレート」との表示に変わり、[0:23:06]に「スタミナが減らなくなった!」と表示されると共に、下のゲージの上限が瞬間的に画面の右端まで上昇し、下のゲージ内の黄色のゲージも上昇しはじめ、[0:23:07]に黄色のゲージは上限に達すると共に、上限を維持し、[0:29:13](6分6秒後)に「強走薬効果が切れた!」と表示されると、下のゲージ内の黄色のゲージは減りはじめること。 以上の事項から、甲第1号証には、以下の事項が示されていると認められる。(以下「甲第1号証表示事項」という。) 「上下に2つの画面を有し、下の画面の左右には操作ボタンが設けられたゲーム機を用いて行うゲームプログラム「モンスターハンタークロス MONSTER HUNTER ○R XCROSS」であって、上の画面上部には、上下2本のゲージが画面の左右にわたって表示されており(以下、ゲージの左端を「原点」、右端を「上限」という。)、上のゲージ内には、原点から上限に向かって緑色のゲージが延びていることが表示されており、また、下のゲージ内には、原点から上限に向かって黄色のゲージが延びていることが表示されており、ユーザが操作ボタンを操作することにより、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が動作を行うものであって、 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、プレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュを開始すると、下のゲージ内の黄色のゲージが徐々に減少し、 プレイヤキャラクタ「たいしょ」が立ち止まると、それ以降、下のゲージ内の黄色のゲージが時間の経過に応じて上限に達し、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が止まったままでいると、下のゲージ内の黄色のゲージも上限に達したままで動かず、時間経過後、下のゲージの上限と共に黄色のゲージが減少し、プレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュを開始すると、下のゲージ内の黄色のゲージが減少し、10秒後に下のゲージ内の黄色のゲージが上限の1/3程度になると、ゲージの色が黄色から赤色に変わってプレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュができなくなり、さらに5秒後に下のゲージ内の赤色のゲージが原点まで減少すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が歩行を止め、肩で息をしていると、赤色のゲージが上昇しはじめ、上限の1/3程度になると赤色のゲージが黄色のゲージに変わって、上昇を続け、2秒後に上限まで達し、 敵キャラクタの攻撃を受けると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」は走って逃げ、画面左上の「たいしょ」の文字の右横に水滴のマークが表示され、下のゲージ内の黄色のゲージが青色のゲージに変わって減少し、8秒後にプレイヤキャラクタ「たいしょ」の逃げはゆっくりとなり、青色のゲージが上限の1/3程度に減少すると、赤色のゲージに変わり、さらに5秒後に赤色のゲージが原点まで減少すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」はよたよた歩きになり、 下のゲージ内の赤色のゲージが原点から上昇しはじめ、上限の1/3程度になると赤色のゲージが青色のゲージに変わって、上昇を続け、4秒後に上限まで達し、 敵キャラクタの攻撃を受けると、上のゲージ内の緑色のゲージが減少するとともに、一部が赤色のゲージに変わり、さらに攻撃を受けると、緑色のゲージは0となり、赤色のゲージのみとなり、上のゲージ内の緑色のゲージが原点から上昇するが、敵キャラクタの攻撃をさらに受け、上のゲージ内の緑色のゲージ及び赤色のゲージは共に原点まで減少し、「力尽きました」と表示され、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が倒れ、 画面右下に、「アイテム非選択」から「携帯食料」との表示に変わると、上限に達している下のゲージ内の黄色のゲージが上限と共に上昇し、 ユーザがメニューを開き、発動スキル「スタミナ急速回復」に対応するセットを選択すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」の装具が変わり、 クエスト「雪のちウルクスス」に変わり、 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が歩き回ると、下のゲージ内の赤色のゲージが原点まで減少し、プレイヤキャラクタ「たいしょ」はよろめきながら停止し、その間に、下のゲージ内で赤色のゲージが上昇し、赤色のゲージが黄色のゲージに変わり、黄色のゲージがさらに上昇し、2秒で上限まで達し、プレイヤキャラクタ「たいしょ」は身震いの動作をすると、下のゲージ内の黄色のゲージが、黄色のゲージと青色のゲージとに、交互に切り替わり表示され、下のゲージの上限が瞬間的に減少し、 ユーザが「こんがり肉」から「強走薬グレート」に選択変更すると、画面右下は、「こんがり肉」から「強走薬グレート」との表示に変わり、「スタミナが減らなくなった!」と表示され、下のゲージの上限が瞬間的に画面の端まで上昇し、下のゲージ内の黄色のゲージ表示が上昇しはじめ、上限まで達し、「強走薬効果が切れた!」と表示されるまでの6分6秒間、下のゲージ内の黄色のゲージは上限を維持し、「強走薬効果が切れた!」と表示されて、減りはじめること。」 イ 甲第2号証について 甲第2号証(株式会社カプコン、「「モンスターハンタークロス」プロモーション映像」、[online]、公知日:2015年7月20日、[2018年12月12日出力]、インターネット:<URL:https://www.youtube.com/watch?v=gZxzjDEo2WQ>)に表示された動画から以下の事項が看取できる。 ・「モンスターハンタークロス MONSTER HUNTER ○R XCROSS」(2:17/2:37) ・「NINTENDO3DSCAPCOM モンスターハンタークロス 2015年11月28日(土)発売 http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/X/」(2:32/2:37) ウ 引用文献3について 引用文献3(ゲーム攻略&情報データベース「モンハンクロスニンテンドー3DS拡張スライドパッドの使用とは?」、[online]、2015年12月5日保存、[2019年4月12日検索]、インターネット<https://web.archive.org/web/20151205133625/https://tvgamedb.com/3ds/monhan-x/op-kakuchou/>)には、以下の記載がある。 ・「2015年11月28日[モンスターハンタークロス] 2015年11月28日に待望のモンハン新作、 モンスターハンタークロスが発売開始になりました。 さぁ、楽しみにしていたモンハンクロス。 早速電源を入れてみると……」 エ 引用文献4について 引用文献4(CAPCOM:モンスターハンタークロス|公式サイト|更新情報一覧」、[online]、公知日:2016年8月4日、[2019年10月25日検索]、インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20160804013756/http://www1.capcom.co.jp/monsterhunter/X/update/>)には、以下の記載がある。 ・各頁左欄には、 「UPDATE 西暦年月日(例えば、2016/7/29)」 と記載された長方形の右肩が欠けた五角形が西暦年月日降順に記載されている。 ・各頁右欄には、左欄の各五角形に対応して、「更新情報(例えば、ダウンロードコンテンツダウンロードコンテンツを更新!「USJ」とのコラボクエストやダウンロード特典を配信!)」が記載された長方形が記載されている。 オ 引用文献5について 引用文献5(CAPCOM:モンスターハンタークロス|公式Webマニュアル「クエスト中の上画面」、[online]、[2019年10月25日検索]、インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20180914103103/http://game.capcom.com/manual/MHX/ja/page-24.html>)には、以下の記載がある。 ・「ハンターの上画面」 ・「○2体力ゲージ 緑色の部分が無くなると力尽きてしまいます。ダメージを受けた際に残る赤い部分は、時間経過で徐々に回復していきます。」(1/4頁6乃至8行) ・「○3スタミナゲージ ダッシュや特定の攻撃アクションなど、スタミナを必要とする行動をとると消耗します。スタミナは時間経過で回復しますが、更に長い時間が経つとゲージの最大値が減少していきます。 ゲージの最大値は「こんがり肉」などのアイテムで増加できます。」(1/4頁9乃至12行) カ 引用文献6について 引用文献6(CAPCOM:モンスターハンタークロス|公式Webマニュアル「能力に関する変化」、[online]、[2019年10月25日検索]、インターネット:<URL:http://game.capcom.com/manual/MHX/ja/page-61.html>)には、以下の記載がある。 ・「能力に関する変化 食事やアイテム、スキルなどの効果でプレイヤーの能力が向上したり、逆に低下したりすることがあります。 どちらの場合も効果が続いている間はプレイヤー名の横にマークが表示されます。」(1/2頁2乃至4行) ・「状態変化マーク 攻撃力UP 」 ・「属性やられマーク モンスターの攻撃などにより起こる、属性に関する状態異常です。 … 水属性やられ小、大 スタミナが回復する速度が遅くなります。」(1/2頁9行、右欄12乃至14行右欄) キ 引用文献7について 引用文献7(CAPCOM:モンスターハンタークロス|公式Webマニュアル「クエストルール」、[online]、[2019年10月25日検索]、インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20180613054813/http://game.capcom.com/manual/MHX/ja/page-42.html>)には、以下の記載がある。 ・「支給品ボックス ギルドから届く支給品が入っています。 支給品には、クエスト開始時からあるものと、時間の経過や条件を満たすと追加されるものがあります。 また、支給品専用のアイテムはクエスト終了時に回収されるので、持ち帰れません。」(1/3頁下から4乃至1行) ク 引用文献8について 引用文献8(ニコニコ大百科(仮)「NINTENDO3DS」、[online]、2017年4月16日保存、[2019年4月4日検索]、インターネット<https://web.archive.org/web/20170416011210/http://dic.nicovideo.jp:80/a/ニンテンドー3ds>)には、以下の記載がある。 ・「任天堂が発売する第6世代の携帯ゲーム機である。 商品名ニンテンドー3DS 発売日2011年2月26日」(1/10頁) ・「CPUが強化され、グラフィックなどが向上。」(6/10頁「新型」項目) ・「入力 ・A/B/X/Yボタン、十字ボタン、L/Rボタン、スタート/セレクトボタン ・スライドパッド(360度のアナログ入力可能) ・タッチスクリーン」(6/10頁「本体仕様」項目) 以上の記載から、「2011年2月26日に発売された携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」は、CPU、入力ボタン及びタッチスクリーンを備えるものであるといえる。 ケ 引用文献9について 引用文献9(ゲーム攻略&情報データベース「モンハンクロス村クエスト攻略おいしい卵は誰のため?(星3)」、[online]、2016年1月16日保存、[2019年4月5日検索]、インターネット<https://web.archive.org/web/20160116203432/https://tvgamedb.com/3ds/monhan-x/oishiitamagohadarenotame/>)には、以下の記載がある。 「おすすめアイテム・スキル: ●携帯食料・元気ドリンコ・こんがり肉 ●強走薬 … クエスト攻略の詳細解説 … スタミナ消費もなくなる強走薬もオススメ。」(2/4頁) コ ニンテンドー3DS用ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」について 上記イとウとで、「モンスターハンタークロス」との表記及び発売日の日付である2015年11月28日のいずれもが共通することから、引用文献3の「モンスターハンタークロス」とは、甲第2号証の動画に表示されたカプコンが販売するニンテンドー3DS用ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」であると認められる。 そして、上記ウの「モンスターハンタークロスが発売になりました。」及び「早速電源を入れてみると」との記載から、引用文献3のゲーム攻略&情報データベースの作者は、2015年11月28日にニンテンドー3DS用ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」を入手し、使用しているものと認められる。 以上のことから、ニンテンドー3DS用ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」は、2015年11月28日に公然実施されたといえる。 また、甲第1号証の動画の[0:00:00]のゲームタイトル、甲第2号証の動画の(2:17/2:37)の表示及び引用文献4乃至引用文献7の各1頁左上部の表示は同一のものと推認でき、また、甲第2号証、引用文献4乃至引用文献7は、ニンテンドー3DS用ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」を販売するゲームメーカー株式会社カプコンの公式動画及び公式サイトであることから、甲第1号証表示事項及び甲第2号証の動画から看取できる事項、並びに引用文献4乃至引用文献7に記載された事項は、いずれも、本件特許出願前の2015年11月28日に発売されたニンテンドー3DS用ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」についてのものと認められる。 そうすると、甲第1号証で使用されているゲーム機はニンテンドー3DSであるといえる。 また、引用文献9のタイトル、記載内容、及び保存日時から、引用文献9は、上記ニンテンドー3DS用ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」の攻略法を記事にした電気通信回線を通じて公衆利用可能となった情報であると認められる。 そして、甲第1号証表示事項の「上のゲージ」及び「下のゲージ」は、それぞれ、引用文献5の「なくなると力尽きる体力ゲージ」及び「スタミナを必要とする行動をとると消耗するスタミナゲージ」に対応する。 また、甲第1号証表示事項の「水滴のマーク」は、引用文献6の「水属性やられ小」マークに対応する。 また、甲第1号証表示事項の「こんがり肉」及び「強走薬」は、引用文献9の記載事項から、スタミナ消費がなくなるアイテムといえる。 また、引用文献8から、ゲームプログラム「モンスターハンタークロス」に使用するゲーム機「ニンテンドー3DS」は、CPUを備えるものであるから、「ニンテンドー3DS」は、プロセッサを具備するといえる。 以上のことから、ニンテンドー3DSで実行される2015年11月28日に公然実施されたゲームプログラムである「モンスターハンタークロス」は、以下のものであると認められる。 「上下に2つの画面を有し、下の画面の左右には操作ボタンが設けられ、プロセッサを具備するニンテンドー3DSを用いて行うゲームプログラム「モンスターハンタークロス MONSTER HUNTER ○R XCROSS」であって、上の画面上部には、上に「なくなると力尽きる体力ゲージ」、下に「スタミナを必要とする行動をとると消耗するスタミナゲージ」(以下、「なくなると力尽きる体力ゲージ」を「体力ゲージ」、「スタミナを必要とする行動をとると消耗するスタミナゲージ」を「スタミナゲージ」という。)が画面の左右にわたって表示されており(以下、ゲージの左端を「原点」、右端を「上限」という。)、体力ゲージ内には、原点から上限に向かって緑色のゲージが延びていることが表示されており、また、スタミナゲージ内には、原点から上限に向かって黄色のゲージが延びていることが表示されており、ユーザが操作ボタンを操作することにより、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が動作を行うものであって、 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、プレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュを開始すると、スタミナゲージ内の黄色のゲージが徐々に減少し、 プレイヤキャラクタ「たいしょ」が立ち止まると、それ以降、スタミナゲージ内の黄色のゲージが時間の経過に応じて上限に達し、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が止まったままでいると、スタミナゲージ内の黄色のゲージも上限に達したままで動かず、時間経過後、スタミナゲージの上限と共に黄色のゲージが減少し、 プレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュを開始すると、スタミナゲージ内の黄色のゲージが減少し、10秒後にスタミナゲージ内の黄色のゲージが上限の1/3程度になると、ゲージの色が黄色から赤色に変わってプレイヤキャラクタ「たいしょ」がダッシュができなくなり、さらに5秒後にスタミナゲージ内の赤色のゲージが原点まで減少すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が歩行を止め、肩で息をしていると、赤色のゲージが上昇しはじめ、上限の1/3程度になると赤色のゲージが黄色のゲージに変わって、上昇を続け、2秒後に上限まで達し、 敵キャラクタの攻撃を受けると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」は走って逃げ、画面左上の「たいしょ」の文字の右横に水滴のマークが表示され、スタミナゲージ内の黄色のゲージが青色のゲージに変わって減少し、8秒後にプレイヤキャラクタ「たいしょ」の逃げはゆっくりとなり、青色のゲージが上限の1/3程度に減少すると、赤色のゲージに変わり、さらに5秒後に赤色のゲージが原点まで減少すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」はよたよた歩きになり、スタミナゲージ内の赤色のゲージが原点から上昇しはじめ、上限の1/3程度になると赤色のゲージが青色のゲージに変わって、上昇を続け、4秒後に上限まで達し、 敵キャラクタの攻撃を受けると、体力ゲージ内の緑色のゲージが減少すると共に、一部が赤色のゲージに変わり、さらに攻撃を受けると、緑色のゲージは0となり、赤色のゲージのみとなり、体力ゲージ内の緑色のゲージが原点から上昇するが、敵キャラクタの攻撃をさらに受け、体力ゲージ内の緑色のゲージ及び赤色のゲージは共に原点まで減少し、「力尽きました」と表示され、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が倒れ、 画面右下に、「アイテム非選択」から「携帯食料」との表示に変わると、上限に達しているスタミナゲージ内の黄色のゲージが上限と共に上昇し、 ユーザがメニューを開き、発動スキル「スタミナ急速回復」に対応するセットを選択すると、プレイヤキャラクタ「たいしょ」の装具が変わり、 クエスト「雪のちウルクスス」に変わり、 画面右下には、「アイテム非選択」と表示されており、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が歩き回ると、スタミナゲージ内の赤色のゲージが原点まで減少し、プレイヤキャラクタ「たいしょ」はよろめきながら停止し、その間に、スタミナゲージ内で赤色のゲージが上昇し、赤色のゲージが黄色のゲージに変わり、黄色のゲージがさらに上昇し、2秒で上限まで達し、 プレイヤキャラクタ「たいしょ」は身震いの動作をすると、スタミナゲージ内の黄色のゲージが、黄色のゲージと青色のゲージとに、交互に切り替わり表示され、スタミナゲージの上限が瞬間的に減少し、 ユーザがアイテムを「こんがり肉」から「強走薬グレート」に選択変更すると、画面右下は、「こんがり肉」から「強走薬グレート」との表示に変わり、「スタミナが減らなくなった!」と表示され、スタミナゲージの上限が瞬間的に画面の端まで上昇し、スタミナゲージ内の黄色のゲージ表示が上昇しはじめ、上限まで達し、「強走薬効果が切れた!」と表示されるまでの6分6秒間、スタミナゲージ内の黄色のゲージは上限を維持し、「強走薬効果が切れた!」と表示されて、減りはじめる、 という内容のゲーム進行を実行するゲームプログラム「モンスターハンタークロス MONSTER HUNTER ○R XCROSS」。」(以下「公然実施発明1」という。) (3)当審の判断 ア [取消理由1](サポート要件)について (ア)[取消理由1-1]について 本件特許発明1の「前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ」及び「前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ」との記載から、第1上限値が、キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させるものと認められる。 また、本件特許発明1の「前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる、」とは、本件特許明細書等の【0113】、【0169】?【0172】の記載に基づけば、「第1上限値を、パラメータ値とは無関係に、所定の下限値(例えば「0」)を目標として、減少させる」ことと解される。 さらに、本件特許発明1には、「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる」と記載され、第1上限値を、時間の経過に応じて上昇するパラメータ値とは無関係に、所定の下限値(例えば「0」)を目標として、減少させていたところ、第1上限値が、パラメータ値を下回った場合に、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させていたパラメータ値の時間の経過に応じた上昇が停止するものと認められる。 してみると、本件特許発明1には、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」は、第1上限値との関係で、「第1上限値が、パラメータ値を上回る場合」には、「時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇」し、「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合」には、「時間の経過に応じた上昇を停止」することが特定されているものと認められる。 そして、本件特許発明1の記載は、第1上限値と、パラメータ値との関係により、パラメータ値の時間の経過に応じた上昇の態様が異なることとなり、以て、キャラクタの状態の変動が単調となるという本願発明の課題が解決されると認められ、特許法第36条第6項第1号が規定する要件を満たす。 本件特許発明16も、上記と同様の理由により、特許法第36条第6項第1号が規定する要件を満たす。 (イ)[取消理由1-2]について 上記(ア)のとおり、「第1上限値が、パラメータ値を上回る場合」には、「パラメータ値」は、「時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇」するものと認められ、本件特許発明2の「前記第1上限値を、第2上限値を限度として上昇させる」との記載により、「パラメータ値」は、「第1上限値が、パラメータ値を上回る場合」には、第2上限値まで上昇するもの認められる。 そして、上記(ア)のとおり、「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合」には、「パラメータ値」は、「時間の経過に応じた上昇を停止」するのであるから、上記(ア)と同様の理由により、第1上限値と、パラメータ値との関係により、パラメータ値の時間の経過に応じた上昇の態様が異なることとなり、以て、キャラクタの状態の変動が単調となるという本願発明の課題が解決されると認められるから、本件特許発明2の記載は、特許法第36条第6項第1号が規定する要件を満たす。 (ウ)[取消理由1-3]について 本件訂正請求による訂正により、訂正前の請求項3は削除された。 よって、[取消理由1-3]に係る特許異議申立は却下されるべきものである。 (エ)[取消理由1-4]について 本件特許発明14が直接的及び/または間接的に引用する本件特許発明2には「前記キャラクタが所定のゲーム要素を消費した場合に、前記第1上限値を、第2上限値を限度として上昇させる、」と特定されており、本件特許発明14の「前記第1上限値を、前記第2上限値まで上昇させた場合」とは、「キャラクタが所定のゲーム要素を消費した場合」であって、その際、「第1上限値を、第2上限値を限度として上昇させ」ているのであるから、「前記第1上限値の、時間の経過に応じた減少を、所定時間だけ停止させ」ることと何ら矛盾するものではない。 よって、本件特許発明14の記載は、特許法第36条第6項第1号が規定する要件を満たす。 (オ)小括 したがって、取消理由1によって、本件特許発明1、2、4乃至16に係る発明を取り消すことができない。 イ [取消理由2](明確性要件)について (ア)[取消理由2-1] 上記ア(ア)のとおり、本件特許発明1及び16には、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値」が、第1上限値との関係で、「第1上限値が、パラメータ値を上回る場合」には、「時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇」し、「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合」には、「時間の経過に応じた上昇を停止」することが記載されていると認められるから、本件特許発明1及び16には、第1上限値と、パラメータ値との関係により、パラメータ値の時間の経過に応じた上昇及び上昇の停止の態様が異なることが明確に記載されているといえる。 (イ)[取消理由2-2] 上記ア(ア)のとおり、本件特許発明1の「パラメータ値よりも小さい値」とは、本件特許明細書等の【0113】、【0169】?【0172】の記載を参酌すれば、「パラメータ値とは無関係に、第1上限値が目標として、減少する、所定の下限値(例えば「0」)」であると認められる。 してみると、本件特許発明1及び16の「パラメータ値よりも小さい値」は不明確とはいえない。 (ウ)[取消理由2-3] 本件特許発明2の「第1上限値を、第2上限値を限度として上昇させる」とは、第1上限値を上昇させる作用を表現したものであり、また、本件特許発明5の「『第2上限値』は、『上昇する」」とは、第2上限値を上昇させる作用を表現したものであるから、本件特許発明2と本件特許発明5とは、その作用を生じさせる対象が「第1上限値」と「第2上限値」というように、異なるものである。 そうすると、本件特許発明2の第1上限値を上昇させるという作用を生じさせるための条件である「キャラクタが所定のゲーム要素を消費した場合」は、本件特許発明5の第2上限値を上昇させるという作用になんら影響しないものである。 してみると、それぞれの作用を生じさせるための条件である、本件特許発明2の「キャラクタが所定のゲーム要素を消費した場合」と、本件特許発明5の「ユーザのプレイするゲームにおいて所定のゲーム条件が充足された場合」とは、独立した条件であると認められる。 よって、本件特許発明5は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たす。 (エ)小括 したがって、取消理由2によって、本件特許発明1、2、4乃至16に係る発明を取り消すことができない。 ウ [取消理由3](新規性)について (ア)本件特許発明1について 本件特許発明1と公然実施発明1とを対比すると、 後者の「プロセッサ」、「ニンテンドー3DS」、「ゲームプログラム」、「ユーザが操作ボタンを操作すること」、「プレイヤキャラクタ「たいしょ」」及び「『動作』、『ダッシュ』、『歩行』、『歩き』」は、それぞれ、前者の「プロセッサ」、「ゲーム装置」、「プログラム」、「ユーザの操作」、「ゲームのキャラクタ」及び「動作」に相当する。 後者の「スタミナゲージ」は、「スタミナを必要とする行動をとると消耗する」ものであるから、「キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ」といえる。そして、本件特許明細書の記載「図5に示すように、ヒットポイント画像PHは、ヒットポイントHP(「パラメータ値」の一例)」(【0039】)及び図5を参酌すれば、後者の「スタミナゲージ」の「黄色のゲージ」、「青色のゲージ」及び「赤色のゲージ」は、前者の「パラメータ値」に相当する。 後者は、「画面右下には、「アイテム非選択」と表示され」た状態で、「スタミナゲージ内の黄色のゲージが時間の経過に応じて上限に達」するものであるから、画面右下に、「アイテム非選択」と表示され」た状態での「スタミナゲージ」の「上限」は、前者の「第1上限値」に相当する。 後者は、ユーザがニンテンドー3DSの操作ボタンを操作することにより、プレイヤキャラクタ「たいしょ」が動作を行うものであるから、後者がニンテンドー3DSを、「ユーザの操作に応じてゲームのキャラクタを動作させる動作実行部」を有するものとして動作させていることは明らかである。 後者のニンテンドー3DSにおいて、上の画面上部には、「スタミナゲージ」が表示されるものであって、スタミナはキャラクタの状態といえるから、後者は、ニンテンドー3DSを、キャラクタの状態を管理する管理部を有するものとして動作させていることは明らかである。 後者のニンテンドー3DSがプロセッサを備えるものであるから、ニンテンドー3DSで実行されるプログラムがプロセッサを機能させるものであることは、技術常識に照らせば、明らかである。 後者は、「スタミナゲージ内の黄色のゲージが時間の経過に応じて上限に達」するものであって、スタミナゲージの上限が黄色のゲージを上回っている状態から、黄色のゲージがスタミナゲージの上限に向かって上昇していくものであることは明らかであるから、後者の「スタミナゲージ内の黄色のゲージが時間の経過に応じて上限に達」するとは、前者の「第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ」ることに相当する。 したがって、両者は、 「プロセッサを具備するゲーム装置のプログラムであって、 前記プロセッサを、 ユーザの操作に応じてゲームのキャラクタを動作させる動作実行部と、 前記キャラクタの状態を管理する管理部と、 して機能させ、 前記管理部は、 前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、 前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させる、ゲーム装置のプログラム。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件特許発明1が、「前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる」ものであるのに対し、公然実施発明1は、スタミナゲージの上限と黄色のゲージは減少するものの、スタミナゲージの上限が黄色ゲージより小さくなることはない点。 [相違点2] 本件特許発明1が「前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる」ものであるのに対し、公然実施発明1は、スタミナゲージの上限と黄色のゲージは減少するものの、スタミナゲージの上限が黄色ゲージより小さくなることはない点。 異議申立人は、令和2年2月10日付け意見書において、「請求項1における『前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる』および『前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合』は、甲第1号証の[0:06:51]に相当する。」と主張する。 そこで、上記相違点2について検討する。 上記のとおり、公然実施発明1の「スタミナゲージ」の「黄色のゲージ」及び「スタミナゲージ」の「上限」は、本件特許発明1の「パラメータ値」及び「第1上限値」に相当する。 そして、公然実施発明1において、「スタミナゲージ」の「黄色のゲージ」は、[0:06:51]以降、と「スタミナゲージ」の「上限」と共に減少しているのであるから、「第1上限値を、時間の経過に応じて、パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる」ともいえないし、「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合」ともいえない。 よって、上記異議申立人の主張は採用できない。 そうすると、公然実施発明1は、少なくとも、上記相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えていない。 よって、本件特許発明1と公然実施発明1との間には、相違点が存在するから、本件特許発明1は公然実施発明1ではない。 したがって、本件特許発明1が、公然実施発明1であるとすることはできない。 (イ)本件特許発明2、4乃至6、8乃至16について 本件特許発明2、4乃至6、8乃至15は、本件特許発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、本件特許発明16は、本件特許発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから、本件特許発明2、4乃至6、8乃至16が、公然実施発明1であるとすることはできない。 (ウ)小括 したがって、取消理由3によって、本件特許発明1、2、4乃至6、8乃至16に係る発明を取り消すことができない。 エ [取消理由4](進歩性)について (ア)本件特許発明1について 本件特許発明1と公然実施発明1とを対比すると、上記ウ(ア)より、両者は、 「プロセッサを具備するゲーム装置のプログラムであって、 前記プロセッサを、 ユーザの操作に応じてゲームのキャラクタを動作させる動作実行部と、 前記キャラクタの状態を管理する管理部と、 して機能させ、 前記管理部は、 前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、 前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させる、ゲーム装置のプログラム。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件特許発明1が、「前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させる」ものであるのに対し、公然実施発明1は、スタミナゲージの上限と黄色のゲージは減少するものの、スタミナゲージの上限が黄色ゲージより小さくなることはない点。 [相違点2] 本件特許発明1が「前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる」ものであるのに対し、公然実施発明1は、スタミナゲージの上限と黄色のゲージは減少するものの、スタミナゲージの上限が黄色ゲージより小さくなることはない点。 そこで、上記相違点2について検討すると、上記ウ(ア)のとおり、公然実施発明1には、「第1上限値が、パラメータ値を下回る場合」に相当するスタミナゲージの上限が黄色ゲージより小さくなることについての表示はない。 また、引用文献2乃至9のいずれにも、上記相違点2に係る発明特定事項は示されていないし、設計的事項といえる理由もない。 してみると、相違点2を当業者が容易に想到し得るものということはできない。 よって、本件特許発明1は、公然実施発明1から、当業者が容易に想到し得たものではない。 (イ)本件特許発明2、4乃至16について 本件特許発明2、4乃至15は、本件特許発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、本件特許発明16は、本件特許発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから、本件特許発明2、4乃至6、8乃至16が、公然実施発明1から、当業者が容易に想到し得たものではない。 (ウ)小括 したがって、取消理由4によって、本件特許発明1、2、4乃至16に係る発明を取り消すことができない。 5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由 (申立理由1-1)本件特許の請求項7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、公然実施された発明であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができない。 (申立理由1-2)本件特許の請求項1?16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、公然知られた発明であるから、特許法第29条第1項第1号に該当し、特許を受けることができない。 (2)当審の判断 (2-1)申立理由1-1について 本件特許発明7は、本件特許発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明7が、公然実施発明1であるとすることはできない。 (2-2)申立理由1-2について 上記申立理由1-2については、上記「4 取消理由通知に記載した取消理由について」及び上記「(2-1)申立理由1-1について」において、実質的に判断している。 よって、本件特許発明1?16が、公知発明であるとすることはできない。 6 むすび 上記2のとおり、本件訂正請求は認められるから、特許第6347377号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正後の請求項[1-15]、16について訂正することを認める。 そして、本件訂正請求により、本件特許請求の範囲の請求項3に係る発明は、削除されたから、本件特許異議申立のうち、本件特許請求の範囲の請求項3に係る特許についての申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 そして、上記4及び5のとおり、本件特許の訂正請求書による取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1、2、4乃至16に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1、2、4乃至16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、上記結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 プロセッサを具備するゲーム装置のプログラムであって、 前記プロセッサを、 ユーザの操作に応じてゲームのキャラクタを動作させる動作実行部と、 前記キャラクタの状態を管理する管理部と、 して機能させ、 前記管理部は、 前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、 前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、 前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、 前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、 ことを特徴とする、ゲーム装置のプログラム。 【請求項2】 前記管理部は、 前記キャラクタが所定のゲーム要素を消費した場合に、 前記第1上限値を、第2上限値を限度として上昇させる、 ことを特徴とする、請求項1に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項3】(削除) 【請求項4】 前記管理部は、 前記キャラクタの動作が、所定の動作条件を充足する場合に、 前記パラメータ値を、時間の経過に応じて前記第1上限値を限度として上昇させる、 ことを特徴とする、請求項1または2に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項5】 前記第2上限値は、 前記ユーザのプレイする前記ゲームにおいて所定のゲーム条件が充足された場合に、上昇する、 ことを特徴とする、請求項2に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項6】 前記管理部は、 前記ゲームにおいて前記キャラクタが受けた損害に応じて、前記パラメータ値を減少させる、 ことを特徴とする、請求項1、2、4または5に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項7】 前記パラメータ値が、所定の下限値になった場合に、前記ユーザによる前記ゲームの継続が不可能になる、 ことを特徴とする、請求項6に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項8】 前記管理部は、 前記動作実行部が前記キャラクタに所定の動作をさせた場合に、前記パラメータ値を減少させる、 ことを特徴とする、請求項1、2、4または5に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項9】 前記キャラクタは、 前記パラメータ値が、所定の下限値になった場合に、動作不能になる、 ことを特徴とする、請求項8に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項10】 前記キャラクタは、 前記パラメータ値が、所定の閾値以下になった場合に、前記所定の動作が制限される、 ことを特徴とする、請求項8または9に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項11】 前記キャラクタは、 前記キャラクタが所定の損害を受けた場合に、異常状態となり、 前記管理部は、 前記キャラクタが異常状態である場合、前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を制限する、 ことを特徴とする、請求項1、2、4乃至10のうち何れか1項に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項12】 前記キャラクタは、 前記キャラクタが所定の損害を受けた場合に、異常状態となり、 前記管理部は、 前記キャラクタが異常状態である場合、 前記キャラクタが異常状態でない場合と比較して、 前記第1上限値の、単位時間あたりの減少量を増加させる、 ことを特徴とする、請求項1、2、4乃至11のうち何れか1項に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項13】 前記キャラクタを示すキャラクタ画像と前記キャラクタの状態を示す状態表示画像とを、表示部に表示させる表示制御部、 を備え、 前記表示制御部は、 前記キャラクタが異常状態である場合における前記状態表示画像と、 前記キャラクタが異常状態でない場合における前記状態表示画像とを、 異なる画像として表示する、 ことを特徴とする、請求項11または12に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項14】 前記管理部は、 前記第1上限値を、前記第2上限値まで上昇させた場合、 前記第1上限値の、時間の経過に応じた減少を、所定時間だけ停止させる、 ことを特徴とする、請求項2または5に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項15】 前記管理部は、 前記ユーザのプレイする前記ゲームにおける所定のゲーム条件の充足状況に基づいて、 前記パラメータ値の、単位時間あたりの上昇量を決定する、 ことを特徴とする、請求項1、2、4乃至14のうち何れか1項に記載のゲーム装置のプログラム。 【請求項16】 ユーザの操作に応じてゲームのキャラクタを動作させる動作実行部と、 前記キャラクタの状態を管理する管理部と、 を備え、 前記管理部は、 前記キャラクタの状態の良好さを示すパラメータ値を、時間の経過に応じて第1上限値を限度として上昇させ、 前記第1上限値を、時間の経過に応じて、前記パラメータ値よりも小さい値となるように減少させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を上回る場合に、 前記パラメータ値を時間の経過に応じて上昇させ、 前記第1上限値が、前記パラメータ値を下回る場合に、 前記パラメータ値の時間の経過に応じた上昇を停止させる、 ことを特徴とする、ゲーム装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-03-25 |
出願番号 | 特願2017-114220(P2017-114220) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(A63F)
P 1 651・ 121- YAA (A63F) P 1 651・ 113- YAA (A63F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 目黒 大地、東 芳隆、上田 泰 |
特許庁審判長 |
尾崎 淳史 |
特許庁審判官 |
藤本 義仁 清水 康司 |
登録日 | 2018-06-08 |
登録番号 | 特許第6347377号(P6347377) |
権利者 | 株式会社コナミデジタルエンタテインメント |
発明の名称 | ゲーム装置、及び、ゲーム装置のプログラム |
代理人 | 大林 章 |
復代理人 | 吉田 正芳 |
代理人 | 高田 聖一 |
代理人 | 高田 聖一 |
復代理人 | 吉田 正芳 |
代理人 | 高橋 太朗 |
代理人 | 大林 章 |
代理人 | 高橋 太朗 |