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審決分類 |
審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 A61K 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A61K 審判 一部申し立て 2項進歩性 A61K |
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管理番号 | 1364008 |
異議申立番号 | 異議2020-700157 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-03-05 |
確定日 | 2020-07-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6577470号発明「トリアデノウイルスワクチン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6577470号の請求項1、2、14、15に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6577470号の請求項1?24に係る特許についての出願は、平成26年8月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年8月19日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和1年8月30日にその特許権の設定登録がされ、同年9月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和2年3月5日に特許異議申立人山田 宏基(以下、「申立人」ともいう。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件特許発明 特許第6577470号の請求項1、2、14、15の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2、14、15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 鳥類における肝炎心膜水腫症候群(HHS)、封入体肝炎(IBH)、および筋胃びらん(GE)の予防において使用するためのワクチンであって、トリアデノウイルスA(FAdV-A)のファイバー2タンパク質、トリアデノウイルスB、D、およびE(FAdV-B、FAdV-D、およびFAdV-E)のファイバータンパク質、またはその免疫原性断片を含む前記ワクチン。 【請求項2】 鳥類における封入体肝炎(IBH)および筋胃びらん(GE)の予防において使用するためのワクチンであって、トリアデノウイルスC(FAdV-C)のファイバー2タンパク質またはその免疫原性断片を含む前記ワクチン。 ・・・ 【請求項14】 鳥類におけるHHS、IBH、およびGEを予防するための方法であって、 前記方法は、家禽に、FAdV-Aのファイバー2タンパク質、またはFAdV-B、FAdV-D、もしくはFAdV-Eのファイバータンパク質、あるいはその免疫原性断片を含むワクチンを投与することを含む方法。 【請求項15】 鳥類におけるIBHおよびGEを予防するための方法であって、 前記方法は、家禽に、トリアデノウイルス血清型C(FAdV-C)のファイバー2タンパク質を含むワクチンを投与することを含む方法。」 (以下、特許第6577470号の請求項1、2、14、15に係る発明を、その請求項に付された番号にしたがって、「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明14」、「本件特許発明15」のように記載し、また、これらをまとめて「本件特許発明」という。) 第3 申立理由の概要及び提出した証拠 1 申立理由の概要 申立人は、以下の理由により、本件特許を取り消すべきものである旨主張する。 (1)申立理由1(進歩性) ア 申立理由1-1 本件特許発明1、2および14は、甲第11号証に記載された発明および甲第1?10号証の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない発明であるから、本件特許発明1、2および14に係る特許は、同法第113条第2号に該当する。 イ 申立理由1-2 本件特許発明15は、甲第11号証に記載された発明および甲第1?5号証の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない発明であるから、本件特許発明15に係る特許は、同法第113条第2号に該当する。 (2)申立理由2(実施可能要件) 本件特許発明1、2および14は、発明の詳細な説明の記載が特許法36条4項1号に適合するものではないから、本件特許発明1、2および14に係る特許は、同法113条4号に該当する。 (3)申立理由3(サポート要件) 本件特許発明1、2および14は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に適合するものではないから、本件特許発明1、2および14に係る特許は、同法113条4号に該当する。 (4)申立理由4(明確性要件) 本件特許発明1、2および14は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に適合するものではないから、本件特許発明1、2および14に係る特許は、同法113条4号に該当する。 2 証拠方法 (1)甲第1号証:戸田新細菌学、第31版、1997年、777?786(以下、「甲1」という。) (2)甲第2号証:Journal of Virology, Vol.71, No.9, 1997, p.6576-6581、及び抄訳(以下、「甲2」という。) (3)甲第3号証:Virology, 378, 2008,169-176、及び抄訳(以下、「甲3」という。) (4)甲第4号証:Vaccine, 21, 2003, 2761-2766、及び抄訳(以下、「甲4」という。) (5)甲第5号証:黎明、19、2010、51?60(以下、「甲5」という。) (6)甲第6号証:Virology, 238, 1997, 145-156、及び抄訳(以下、「甲6」という。) (7)甲第7号証:DISEASES OF POULTRY,12TH EDITION, 2008, 252-266、及び抄訳(以下、「甲7」という。) (8)甲第8号証:Viruses, 2017, 9, 216、及び抄訳(以下、「甲8」という。) (9)甲第9号証:J. theor. Biol.,2001, 211, 419-432、及び抄訳(以下、「甲9」という。) (10)甲第10号証:Virology, 214, 1995, 110-117、及び抄訳(以下、「甲10」という。) (11)甲第11号証:米国特許出願公開第2011/0165224号明細書、及び抄訳(以下、「甲11」という。) なお、甲8は、本件特許の国際出願日より後に公知になった文献である。 第4 甲号証に記載された事項 申立人が提出した甲1?11には、それぞれ以下の事項が記載されている。なお、甲2?4、6?11は外国語で記載されているので、甲2、4、11は合議体による日本語訳文にて記載し、甲3、6?10は申立人による日本語訳文にて記載する。 1.甲1に記載された事項 (1)記載事項1-1(777頁の左欄6?9行) 「アデノウイルスAdenoviridaeは、哺乳動物のアデノウイルス(Mastadenovirus属)とトリアデノウイルス(Aviadenovirus属)に分類される。」 (2)記載事項1-2(779頁の右欄8?25行) 「4.抗原性 ペントン線維の抗原γに対する抗血清は、ウイルス血清型特異的なHI抗体であり、また中和抗体である。・・・ヒトアデノウイルス12型トランスフォーム(癌)細胞に腫瘍特異的移植抗原が出現する。」 2.甲2に記載された事項 (1)記載事項2-1(6576頁の要旨の1?3行) 「ファイバーノブには、赤血球凝集抑制試験で実証され得る型特異的γ抗原が含まれている。γ決定因子を明らかにするために、我々は、ノブドメインに29アミノ酸交換を示す、亜属DIアデノウイルス血清型9および19(Ad9およびAd19)を選択した。」 3.甲3に記載された事項 (1)記載事項3-1(169頁の要旨) 「要旨 50のヒト血清型を含む100を超える既知のアデノウイルス血清型が存在する。それらは5つの主要な脊椎動物クラスすべてを感染させることができるが、トリに感染するアビアデノウイルスと哺乳類に感染するマストアデノウイルスのみがよく研究されている。CELO(ニワトリ胚致死性オーファン)アデノウイルスは、トリの軽度の呼吸器疾患の原因である。CELOウイルスに関する多くの研究は、そのゲノム配列と組織に焦点を当てているが、CELOタンパク質の構造研究は最近始まったばかりである。多くのアデノウイルスとは異なり、CELOウイルスの頂点部は、長さが異なる2本のファイバーを有するペントンを有する。これらのファイバーの先端部(または頭部)は、細胞受容体の結合に関与している。本論文において、CELOの短ファイバー頭部(アミノ酸201?410番目)の原子構造を2.0Åの解像度で決定した。配列同一性が低いにもかかわらず、他のアデノウイルスファイバー頭部と比較してこの構造は保存されている。既知のCELOの長ファイバー頭部構造及び短ファイバー頭部構造を、11個の既知のアデノウイルスファイバー頭部構造ベースのアライメントに使用した。これを次に進化ツリーの構築に使用した。ファイバー頭部配列および構造的アライメントから、腸内ヒトFアデノウイルス41(短ファイバー)は、イヌCAdV-2ファイバー頭部よりもCELOファイバー頭部に近い。即ち、CELOファイバー頭部がヒトウイルスファイバー頭部に近いことが示唆される。」 4.甲4に記載された事項 (1)記載事項4-1(2761頁の要旨) 「要旨 本研究において、ウイルスを中和する際の、トリアデノウイルス産卵低下症候群(EDS)のヘキソン、ファイバーまたはファイバー断片に対する抗体の有効性を試験した。ファイバータンパク質は、ウイルスを標的細胞に結合させる役割を果たす。ファイバー断片ノブ-S(knob-s)は、アデノウイルスファイバータンパク質のカルボキシ末端のノブドメインと、すぐ隣のシャフトドメインの34個のアミノ酸を含む。ヘキソン、ファイバーキャプシドタンパク質およびknob-sを大腸菌で産生させ、ニワトリに注射した。ファイバータンパク質全体に対して産生された抗体は、赤血球凝集抑制(HI)活性を示した。knob-sタンパク質に対して産生された抗体は、陽性対照である全粒子ウイルスワクチンと同様のHI活性および血清中和(SN)活性を示した。ファイバーの一部のみの産生によって、大腸菌で産生されたタンパク質が正しい折りたたみ構造をとることができると考えられる。ヘキソンタンパク質に対して産生された抗体は、SN活性を示さなかった。要約すると、knob-sは、EDSウイルスに対するSNおよびHI抗体を全粒子ウイルスと同様の割合で誘導し、完全長のファイバーよりも著しく効率的だった。組換えknob-sタンパク質は、病原性アデノウイルス感染に対するワクチンとして使用し得る。」 (2)記載事項4-2(2765頁右欄6?13行) 「本研究で、我々は組換えknob-sタンパク質が確かに特定のウイルス性病原体に対する中和能を惹起できることを見出した。ワクチン接種する配列の同定により、他の手法(DNAワクチン、ウイルスベクター等)を用いた、他のベクターにおける当該ポリペプチドの更なる研究が可能となるだろう。 このアプローチは、他のアデノウイルスに対するサブユニットワクチンを将来開発する際に用いられる可能性がある。」 5.甲5に記載された事項 (1)記載事項5-1(51頁左欄1行?同右欄8行) 「 はじめに 鶏の産卵低下症候群(EDS) は産卵低下及び異常卵の産出を主徴とする鶏の疾病である^(1)2))。病因であるEDSウイルス(EDSV)は、グループIIIトリアデノウイルスに分類され、赤血球凝集活性を有し、鶏の卵管で増殖することを特徴とする^(2))。EDSの臨床症状は皆無あるいは軽い下痢がみられる程度であるが、産卵最盛期の30?40週齢に多く発生し、感染した鶏群では3?8週間にわたる卵殻異常卵の産出や産卵低下を引き起こす^(2))ことから、経済的被害は非常に大きい。予防にはワクチンが有効である^(1)3)) ため、不活化ワクチンが採卵用鶏のワクチネーションプログラムに広く組み込まれており、日本における発生は散発的である。」 (2)記載事項5-2(52頁の図1) 「 ![]() 」 (3)記載事項5-3(57頁の「2.免疫試験」の欄) 「2. 免疫試験 免疫試験1では、PBS(-)に懸濁した封入体画分を用いてオイルワクチンを調製し、試験に供した。また、S18とS34は可溶性画分についても同様にワクチンを調製し、供試した。 免疫5週後のHI抗体価は、S18及びS34の可溶性画分、並びにS100及びS134の封入体画分でOEDSと同レベルにまで上昇した(表3)。一方、S18、S34、SHA及びFIBの封入体画分では低いレベルであった。中和抗体価は、HI抗体価の高い群で同様に高いレベルにあったが、いずれにおいてもOEDSよりは低値であった。 S18及びS34の成績より、封入体をそのまま乳化したワクチンでは抗体上昇が悪かったことから、免疫試験2では封入体画分を尿素で可溶化した抗原を用いてワクチンを調製し供試した。その結果、いずれのコンストラクトにおいても封入体画分をそのまま乳化したワクチンと比較して、抗体価は大きく上昇した(表4)。中でもS100及びS134群において抗体応答は良好であり、免疫後5週目においてはOEDSよりも5倍ほど高くHI抗体が誘導された。中和抗体価についてはOEDSには及ばないものの、Sl34で高い値を示した。以上の結果を受け、次の攻撃試験においてはSl34 (ノプ+シャフトのC末端134アミノ酸)をワクチン抗原として評価した。 なお、いずれのコンストラクトにおいても中和抗体価/HI抗体価の比はOEDSよりも低値であった。これは、ウイルス粒子中にはファイバー以外にもヘキソンあるいはペントンベースといった中和エピトープを有する抗原が存在することに起因しているものと推察された。」 (4)記載事項5-4(57頁の表3および表4) 「 ![]() 」 (5)記載事項5-5(58頁の右欄5行?59頁の左欄4行) 「 まとめ EDSVのファイバー蛋白質発現について検討を行った結果、Sl34 (ノブ+シャフトのC末端134アミノ酸)で最も高くHI抗体及び中和抗体が誘導され、かつ現行ワクチンと同等以上の発症防御効果と免疫持続が確認された。以上の成績より、ファイバー蛋白質の一部であるS134は、現在アヒル卵で製造されているウイルス抗原の代替となり得ることが示された。」 6.甲6に記載された事項 (1)記載事項6-1(145頁の要旨の9?10行) 「我々の結果は、トリEDSウイルスは哺乳類アデノウイルスとトリアデノウイルスの中間に位置することを示している。」 7.甲7に記載された事項 (1)記載事項7-1(260頁右欄下から5行目?261頁左欄12行) 「不活性化ワクチンにより誘導される中和抗体は、糞便中へのウイルス排出に対しては効果を示さなかったが、おそらく腸から咽頭へのウイルスの血行性伝播を阻害することにより、咽頭排出は抑制した。したがって、感染後に認められるチャレンジへの耐性は短期の局所免疫により、血液中の抗体は内臓器官への浸潤に対して主に保護している可能性がある。血中抗体の出現とウイルス排出の停止の間の明確な相関は、一過性の局所免疫及び持続性の液性免疫の両者が同時に進行することに基づいている可能性がより高い。この仮説は、母親由来抗体は通常ルートの感染を防御しないが(30)、腹腔内感染を防御する(53、66)という知見により支持される。アビアデノウイルスの幾つかの株による感染は、滑液包、胸腺及び脾臓におけるリンパ球の重度の枯渇をもたらし、免疫抑制の原因になる(136)との証拠が存在する。」 8.甲8に記載された事項 (1)記載事項8-1(要旨の10?13行) 「したがって、本研究において、新規遺伝子型ウイルスを配合した不活化オイルエマルションFAdV-4ワクチンを開発した。ワクチンによって、高レベルの抗体、Th1(インターフェロン-γ分泌)ではなくTヘルパー2(Th2)(インターロイキン-4分泌)による優先的応答、および致死量の新規超毒性FAdV-4に対する完全な保護がもたらされた。」 9.甲9に記載された事項 (1)記載事項9-1(419頁の要旨の2?3行) 「マウスモデルによって、効果的かつ持続的なCD8細胞応答の進行にはCD4T細胞によるヘルプが必要であることが示されている。」 10.甲10に記載された事項 (1)記載事項10-1(110頁の要旨) 「アデノウイルス2型(Ad2)の三量体ファイバーはウイルスが細胞に付着する第1段階を仲介し、ファイバーの遠位頭部領域は受容体結合ドメインとして関与している。ウイルスと細胞の相互作用に関与している可能性のあるファイバーの一次ポリペプチド配列上の領域を特定するために、ペプチドベースのエピトープマッピングが、(1)大腸菌で発現したネイティブAd2ファイバーとAd2頭部タンパク質の両方に対して調製されたポリクローナル抗体、および(2)バキュロウイルスで発現した三量体Ad2頭部タンパク質に対して調製された18モノクローナル抗体を使用して行われた。ポリクローナル抗体を使用したアプローチにより、1つ以上の連続したエピトープを含む頭部の一次配列上の8つのドメインが明らかになった。これらの領域の少なくとも2つは、単量体ファイバーと三量体ファイバーの両方の頭部タンパク質に対して反応するモノクローナル抗体によって認識された。ELISAでAd2頭部特異的ペプチドを認識しなかったモノクローナル抗体の大部分は、ウェスタンブロットにおいて単量体型のタンパク質に対しても非反応性であった。この結果から、三量体の認識は、まだ確立されていない不連続エピトープの存在またはモノマー構成の変化によると示唆される。鎖状エピトープを含む抗原決定基の多くは構造の外側のループまたは最上位のβシートにマッピングされ、本結果は最近公開になったAd5ファイバー頭部のX線結晶モデルとよく一致する(D. Xia, L.J. Henry, R.D. Gerard, and J. Deisenhofer, Structure 2, 1259-1270, 1994)。5つの中和モノクローナル抗体のうち4つは三量体のみを認識し、鎖状ペプチドを認識するものはなかった。これは、三量体型のファイバーが受容体との接触に必要であり、頭部ドメイン上の不連続エピトープがファイバーと細胞との相互作用に関与している可能性があることを示唆し得る。」 11.甲11に記載された事項 (1)記載事項11-1([0012]?[0013]) 「[0012] 本開示の態様は、単離された、生きたおよび/または殺処理したトリアデノウイルス(FAdV)および/またはそのタンパク質サブユニットを含む組成物を提供し、ここでFAdVはFAdV-2、FAdV-7、FAdv-8a、FAdV-8b、FAdV-8a/8bまたはFAdV-11血清型株から選択される株である。 [0013] 一実施形態では、サブユニットは、ヘキソンおよび/またはファイバータンパク質である。」 (2)記載事項11-2([0084]) 「国際ウイルス分類委員会(ICTV)は、DNA配列データに基づく分類を開発している。特に明記しない限り、本明細書での血清型への言及は、ICTV分類名称を指す。」 (3)記載事項11-3([0086]の表1) 「 ![]() 」 (4)記載事項11-4([0214]?[0221]) 「 実施例2 死菌ワクチン 材料及び方法 ・・・ [0216] この実験の目的は、不活性化アデノウイルスワクチンで親をワクチン接種することによる、IBHに対するブロイラーの防御を実証することにあった。 ・・・ 各群5匹の雌及び1匹の雄を含む9群のブロイラ種鶏を、12及び15週目に、アジュバントとしてのエマルシゲンまたはCpG-ODN含有オリゴヌクレオチドを配合した、不活性化した1×10^(5)pfu(低用量)または1×10^(8)pfu(高用量)のFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7でワクチン接種した(表2)(CpG-ODNTCGTCGTTGTCGTTTTGTCGTT (SEQ IDNO:22) エマルシゲン^(R))(ラルストン、ネブラスカ)。これらのブロイラ種鶏の子孫は、14日目にチャレンジされた。簡潔にいえば、60羽のブロイラーを含む群らに、筋肉注射で1×10^(7)pfuのFAdV-8a/8bを接種した。チャレンジ後、10日間、臨床的症状を記録した。 表2 ![]() 実験に使用した分離株は、以下の表6に記載されている。 結果: ・・・ [0218] CpG-ODNをアジュバントとした、高用量のFAdV-8a/8bの不活性化抗原をブロイラ種鶏の親にワクチン接種することで、IBHに対するブロイラーの有意な防御が得られた(p<0.05)[同種チャレンジに対する防御](図7)。 [0219] さらに、CpG-ODNをアジュバントとした、高用量のFAdV-7の不活性化抗原をブロイラ種鶏の親にワクチン接種することで、IBHに対するブロイラーの有意な防御が得られる(p<0.05)[異種チャレンジに対する防御](図8)。 ・・・ [0221] IBHに対するブロイラーの有意なレベルでの防御が、ブロイラ種鶏の親にFAdV-8a/8bまたはFAdV-7をワクチン接種することで得られることが実証された。」 (5)記載事項11-5(請求項1、21、22、24) 「1.単離された生きたおよび/または死滅したトリアデノウイルス(FAdV)を含む組成物またはワクチン組成物であって、上記FAdVは、FAdV-2、FAdV-7、FAdv-8a、FAdV-8b、FAdV-8a/8bおよび/またはFAdV-11血清型株から選択される株である、組成物またはワクチン組成物。 ・・・ 21.対象及び/又はその子孫において抗体を産生するために、あるいは対象及び/又はその子孫においてFAdV関連疾患または症候群に対する防御免疫を誘導するために、対象において免疫応答を惹起する方法であって、請求項1に記載の組成物または前記組成物を含むワクチンの有効量を被験体に投与する工程を備える、方法。 22.以下のための請求項21に記載の方法: (a)免疫学的有効量の、単離された生きたFAdV-2、FAdV-7、FAdV-8a、FAdV-8a/8b及び/又はFAdV-11血清型株を含む組成物またはワクチンを投与することを含む、対象及び/又はその子孫における、FAdV-2、FAdV-7、FAdV-8a、FAdV-8a/8b及び/又はFAdV-11感染に対する防御免疫の誘導、 (b)免疫学的有効量の、単離された生きたFAdV-7、FAdV-8a及び/又はFAdV-8a/8b血清型株を含む組成物またはワクチンを投与することを含む、対象及び/又はその子孫における、FAdV-7、FAdV-8a及び/又はFAdV-8a/8b感染に対する防御免疫の誘導、 (c)免疫学的有効量の、単離された生きたFAdV-8a及び/又はFAdV-8a/8b株を含む組成物またはワクチンを投与することを含む、対象及び/又はその子孫における、FAdV-7、FAdV-8a、FAdV-8a/8b及び/又はFAdV-11感染に対する防御免疫の誘導。 ・・・ 24.請求項22に記載の方法であって、上記FAdV関連疾患または症候群が、・・・封入体肝炎(IBH)・・・心膜水腫症候群、筋胃びらん・・・の1つ以上である、方法。」 第5 特許異議申立理由についての合議体の判断 1 申立理由1(進歩性)について (1)本件特許発明1について ア 甲11に記載の発明 甲11には、記載事項11-1、11-4、11-5の記載、特に記載事項11-4の記載からみて、 「ブロイラーにおける封入体肝炎(IBH)の予防において使用するためのワクチンであって、不活性化したFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7を含む前記ワクチン。」 の発明(以下、「甲11-1発明」という。)が記載されていると認められる。 イ 本件特許発明1と甲11-1発明の対比 甲11-1発明の「ブロイラー」は、本件特許発明1の「鳥類」に相当する。 そうすると、両発明は、 「鳥類における封入体肝炎(IBH)の予防において使用するためのワクチン。」 の発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本件特許発明1が、トリアデノウイルスA(FAdV-A)のファイバー2タンパク質、トリアデノウイルスB、D、およびE(FAdV-B、FAdV-D、およびFAdV-E)のファイバータンパク質、またはその免疫原性断片を含むものであるのに対し、甲11-1発明は、不活性化したFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7を含むものである点。 (相違点2) 本件特許発明1が、封入体肝炎(IBH)のみならず、肝炎心膜水腫症候群(HHS)および筋胃びらん(GE)の予防にも使用されるものであるのに対し、甲11-1発明は、肝炎心膜水腫症候群(HHS)および筋胃びらん(GE)の予防には使用されていない点。 ウ 判断 (ア)相違点1について 記載事項11-1には 「本開示の態様は、単離された、生きたおよび/または殺処理したトリアデノウイルス(FAdV)および/またはそのタンパク質サブユニットを含む組成物を提供し、ここでFAdVはFAdV-2、FAdV-7、FAdv-8a、FAdV-8b、FAdV-8a/8bまたはFAdV-11血清型株から選択される株である。・・・サブユニットは、ヘキソンおよび/またはファイバータンパク質である。」 との記載があり、記載事項11-2、11-3の記載と、本件特許明細書段落【0095】の表4の記載とから、「FAdV-8a/8bあるいはFAdV-7」は、本件特許発明1の「FAdV-E」である。しかしながら、甲11には、不活化したウイルス自体ではなく、そのタンパク質サブユニットがワクチンとして機能することを示す実施例等の具体的な記載はなされておらず、ファイバータンパク質は、記載事項11-1のとおり、他のタンパク質サブユニットであるヘキソンと併記されるものにすぎない。 また、甲1?7、9、10のいずれにも、FAdVのファイバータンパク質がワクチンとして機能することは示されていないし、甲8は本件特許の国際出願日よりも後に公知になった文献であるから、進歩性の判断に用いることはできない。そして、これらの文献の記載をもって、トリアデノウイルスにおいて、ファイバータンパク質がワクチンとして機能することが、本件特許の優先日当時の技術常識であったとはいえない。 そうすると、記載事項11-1の記載及び甲1?7、9、10の記載を参酌しても、甲11-1発明において、実際にワクチンとして機能することが確認されている不活性化したFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7(記載事項11-4参照)に代えて、トリアデノウイルスA(FAdV-A)のファイバー2タンパク質、トリアデノウイルスB、D、およびE(FAdV-B、FAdV-D、およびFAdV-E)のファイバータンパク質、またはその免疫原性断片を用いることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 (イ)本件特許発明1の効果について 本件特許明細書には、FAdV-Cのファイバー2を筋肉内投与したニワトリが、FAdV-Cのファイバー1やヘキソンループ-1を筋肉内投与したニワトリに比して、病原性FAdV-Cウイルスチャレンジ後の生存率が顕著に高い旨示されており(実施例1及び【図1】等参照)、同じFAdVウイルスであるFAdV-Aのファイバー2や共通の免疫原を有するそれらの免疫原性断片についても、同様の効果が推認できる。 また、本件特許明細書の実施例2(特に、【表6-1】、【表6-2】等参照)では、体重への影響、形態学的・組織学的病変の存在、肝臓試料におけるウイルス量、加えて、糞便中のウイルス排出により、FAdV-DおよびFAdV-Eファイバータンパク質の組換えワクチンとしての利点が実証されており、段落【0114】には「FAdV-DおよびFAdV-Eのファイバータンパク質はFAdV-Cのファイバー2タンパク質と若干高い系統発生的関係を示すこと考慮すると[4]、FAdV-DおよびFAdV-Eのファイバータンパク質もまた、トリを各疾患から保護するのに適していると推定される。」との記載もある。さらに、同じFAdVウイルスであるFAdV-Bのファイバータンパク質や共通の免疫原を有するそれらの免疫原性断片についても、同様の効果が推認できる。 一方、甲1?7、9?10のいずれにも、FAdVのファイバータンパク質をワクチンとして用いる旨の記載はない。また、甲11には、FAdVのファイバータンパク質をワクチンとして用いた試験結果等は開示されていないし、記載事項11-1において、ヘキソンとファイバータンパク質とが同等の選択肢として併記されていることから、甲11においては、ファイバータンパク質を選択することによる顕著な効果は認識されていなかったといえる。 そうすると、本件特許明細書に示されている上記の効果は、甲1?7、9?11の記載及び本件特許の優先日当時の技術常識を参酌しても、当業者が予測できない格別顕著なものであると認められる。 (ウ)申立人の主張について a 申立人は、特許異議申立書(以下、「申立書」ともいう。)の13頁下から2行目?14頁2行目において、記載事項1-1、1-2、2-1の記載を根拠に、「ファイバータンパク質がワクチン抗原として重要であることは明らかである。また、これらの記載中、トリアデノウイルスの場合はその限りではないという記載もない。」と主張している。 しかしながら、記載事項1-2中の「ヒトアデノウイルス」なる記載および記載事項2-1中の「亜属DIアデノウイルス血清型9および19(Ad9およびAd19)」なる記載を参酌すると、甲1、2におけるファイバー(線維)の抗原に関する記載は、ヒトアデノウイルスに対するものと解釈するのが自然である。そして、ヒトアデノウイルスとFAdVとでは属が異なるから、記載事項1-1、1-2、2-1の記載をもって、FAdVにおいてもファイバータンパク質がワクチン抗原として重要であることが明らかであるとまではいえない。 b 申立人は、申立書の14頁3?7行において、記載事項3-1の記載を根拠に、「トリアデノウイルス1型において、ファイバー1タンパク質はファイバー2タンパク質とアミノ酸配列の相同性は低い一方、ファイバー2タンパク質の立体構造が、ファイバー1タンパク質や既知の11種のファイバータンパク質の立体構造と類似していることは公知であることが明らかである。」と主張している。 しかしながら、記載事項3-1にはワクチンについての記載はないから、記載事項3-1の記載をもって、甲11-1発明において、不活性化したFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7に代えて、ファイバータンパク質を用いることが、容易であるとはいえない。 c 申立人は、申立書の14頁8?14行において、記載事項4-1の記載を根拠に、「全長のファイバータンパク質を用いるよりも、「ノブ領域+34アミノ酸」の方がアヒルアデノウイルスであるEDSVに対するワクチン効果が高いことは公知である。」と主張し、記載事項6-1の記載を根拠に、「アヒルアデノウイルスが、ヒトアデノウイルスと比較して、トリアデノウイルスに近縁であることも公知である。」と主張し、記載事項5-1?5-5の記載を根拠に、「SHA(シャフト全長+ノブ領域)よりも、一部のシャフト+ノブ領域である、S34またはS134の方が、中和抗体価が優れていることが公知である。」と主張している。 しかしながら、記載事項4-1、5-1?5-5はいずれもEDSVに関する記載であって、FAdVに関する記載ではない。また、EDSVはヒトアデノウイルスに比べれば、FAdVに近縁であるかもしれないが、アビアデノウイルス属(グループIトリアデノウイルス)に属するFAdVと、アタデノウイルス属(グループIIIトリアデノウイルス)に属するEDSVとでは属が異なるから、EDSVについての知見をただちにFAdVに適用できるともいえない。 d 申立人は、申立書の14頁15?19行において、記載事項4-1、4-2及び記載事項5-1?5-5の記載を根拠に、「アデノウイルスのワクチンとしてファイバータンパク質が重要であることは明らかである。さらに、全長のファイバータンパク質よりも、N末端側を削除した短縮型のファイバータンパク質(ファイバータンパク質のペプチド断片)がワクチンとして有用であることは明らかである。」と主張している。 しかしながら、記載事項4-1、4-2及び記載事項5-1?5-5の記載はいずれもEDSVに関する記載であって、FAdVに関する記載ではない。また、FAdVとEDSVとでは属が異なるから、EDSVについての知見をただちにFAdVに適用できるともいえない。 e 申立人は、申立書の15頁5?10行において、「本件特許明細書の実施例において、ファイバー1タンパク質接種による中和抗体量が上昇していない。このことは、本件特許明細書の実施例において、ワクチン抗原及び/又はワクチンの調製が適切には行われていないか、または、中和抗体の測定が適切に行われていないことを示していることは明らかである。したがって、ファイバー2タンパク質による効果が顕著な効果であるとは言えない。」と主張している。 しかしながら、本件特許明細書の段落【0086】に 「SNTから得られた結果は、Fib-2に対する抗体は中和能を有していないことを示唆しており、これは、単離ウイルス成分として投与される場合、ファイバーによって誘発される血清中和活性が弱いまたは欠くという以前に報告された観察事項と一致する。」 との記載があることから、中和抗体量が上昇していないことをもって、ただちにワクチン抗原及び/又はワクチンの調製が適切には行われていないか、または、中和抗体の測定が適切に行われていない、ということはできない。 また、本件特許明細書の段落【0081】に「組換えタンパク質の投与後21日目にI?III群のそれぞれの3羽のトリから得た血清を用いたイムノブロットにより、Fib-1、Fib-2、およびHex L1それぞれに対する抗体の存在が確認された(図4)。」と記載されていること、【図3】bの血清中和試験(SNT)で、21日目以降は陽性対照と陰性対照以外において中和抗体量が上昇していること、及び【図1】において、FAdV-Cのファイバー2を筋肉内投与したニワトリとFAdV-Cのファイバー1を筋肉内投与したニワトリの双方において、病原性FAdV-Cウイルスチャレンジ後の生存率が陰性対照よりも向上していることからも、ワクチン抗原及び/又はワクチンの調製が適切には行われていないか、または、中和抗体の測定が適切に行われていないとは考えがたい。 さらに、本件特許明細書の【図1】で、FAdV-Cのファイバー2を筋肉内投与したニワトリは、病原性FAdV-Cウイルスチャレンジ後の生存率において、100%に近い極めて高い値を示しているから、本件特許明細書には、ファイバー2タンパク質による効果が顕著な効果であることが示されているといわざるを得ない。 f 申立人は、申立書の15頁11行?18頁5行において、甲第6?10号証に記載の周知技術から、タンパク質の部分断片が免疫原性を示すか否かは実験により確認しないことには予測することが困難である一方、本件明細書にはファイバータンパク質の免疫原性断片がワクチン抗原として機能することが示されていないから、本件発明において、ファイバータンパク質の免疫原性断片がワクチン抗原として機能することは全く不明であり、相違点1は当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎないという旨主張している。 しかしながら、本件特許発明1はワクチンの発明であるから、免疫原性断片としてワクチン抗原として機能しないものを選択する態様、すなわち、ワクチンとして機能しない態様は、そもそも本件特許発明1に包含されない。 また、甲8は本件特許の国際出願日より後に公知になった文献であるから、周知技術を示す文献として採用できない。 g したがって、申立人の上記の主張は採用できない。 エ まとめ 以上のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲11、1?10の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明2について ア 本件特許発明2と甲11-1発明の対比 甲11-1発明の「ブロイラー」は、本件特許発明2の「鳥類」に相当する。 そうすると、両発明は、 「鳥類における封入体肝炎(IBH)の予防において使用するためのワクチン。」 の発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点3) 本件特許発明2が、トリアデノウイルスC(FAdV-C)のファイバー2タンパク質またはその免疫原性断片を含むものであるのに対し、甲11-1発明は、不活性化したFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7を含むものである点。 (相違点4) 本件特許発明2が、封入体肝炎(IBH)のみならず、筋胃びらん(GE)の予防にも使用されるものであるのに対し、甲11-1発明は、筋胃びらん(GE)の予防には使用されていない点。 イ 判断 (ア)相違点3について 甲11には、ワクチンにトリアデノウイルスC(FAdV-C)のファイバー2タンパク質またはその免疫原性断片を用いることはおろか、ワクチンにFAdV-Cを用いることすら記載も示唆もされていない。 また、甲1?7、9、10のいずれにも、FAdV-Cのファイバー2タンパク質がワクチンとして機能することは示されていないし、甲8は本件特許の国際出願日よりも後に公知になった文献であるから、進歩性の判断に用いることはできない。 (イ)本件特許発明2の効果について FAdV-Cのファイバー2タンパク質を用いることで、顕著な効果が奏されることは、上記(1)ウ(イ)で説示したとおりである。 (ウ)申立人の主張について a 申立人は、申立書の11頁下から8?3行目において、「甲第11号証の[0012]?[0013]およびTABLE1には、生ウイルスまたは不活性化ウイルスであるトリアデノウイルス(FAdV)および/またはそのタンパク質サブユニットを含むワクチン組成物が記載されている。また、FAdVが、FAdV-2(FAdV-D)、FAdV-7(FAdV-E)、FAdV-8a(FAdV-E)、FAdV-8b(FAdV-E)、FAdV-8a/8b(FAdV-E)またはFAdV-11(FAdV-C)から選択される株であることが記載されている。」 と主張している。 しかしながら、甲第11号証の[0012]?[0013]には、FAdV-Cなる記載はない(記載事項11-1参照)。 一方、甲第11号証の表1には、欧州分類においてFAdV-11がFAdV-Cに分類され、ICTV分類においてFAdV-11がFAdV-Dに分類される旨記載されているところ(記載事項11-3の表1中の「欧州FAdV血清型/株」欄及び「ICTV FAdV血清型/株」欄参照)、記載事項11-2の「特に明記しない限り、本明細書での血清型への言及は、ICTV分類名称を指す。」との記載を参酌すると、甲11ではFAdV-11は、ICTV分類に沿ったFAdV-Dとして記載されているといわざるを得ない。また、本件特許明細書段落【0095】の表4において、トリアデノウイルス11がトリアデノウイルスDに分類されていることからも、該FAdV-11は、本件特許発明2の「トリアデノウイルスC(FAdV-C)」には該当しないといえる。 b 申立書18?19頁の「(い)相違点2の検討」欄における主張については、上記(1)ウ(ウ)で説示したのと同様の理由により採用できない。 c したがって、申立人の上記の主張は採用できない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、相違点4について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲11、1?10の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件特許発明14について ア 甲11に記載の発明 甲11には、記載事項11-1、11-4、11-5の記載、特に記載事項11-4の記載からみて、 「ブロイラーにおける封入体肝炎(IBH)を予防するための方法であって、 前記方法は、ブロイラーに、FAdV-8a/8bあるいはFAdV-7を含むワクチンを投与することを含む方法。」 の発明(以下、「甲11-2発明」という。)も記載されていると認められる。 イ 本件特許発明14と甲11-2発明の対比 甲11-2発明の「ブロイラー」は、本件特許発明14の「鳥類」及び「家禽」に相当する。 そうすると、両発明は、 「鳥類におけるIBHを予防するための方法であって、前記方法は、家禽に、ワクチンを投与することを含む方法。」 の発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点5) 本件特許発明14のワクチンが、FAdV-Aのファイバー2タンパク質、またはFAdV-B、FAdV-D、もしくはFAdV-Eのファイバータンパク質、あるいはその免疫原性断片を含むものであるのに対し、甲11-2発明のワクチンは、不活性化したFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7を含むものである点。 (相違点6) 本件特許発明14が、IBHのみならず、HHSおよびGEを予防するためにも使用されるのに対し、甲11-2発明は、HHSおよびGEを予防するためには使用されていない点。 ウ 判断 (ア)相違点5について 上記(1)ウ(ア)で説示したのと同様の理由により、甲11-2発明において、実際にワクチンとして機能することが確認されている不活性化したFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7に代えて、FAdV-Aのファイバー2タンパク質、またはFAdV-B、FAdV-D、もしくはFAdV-Eのファイバータンパク質、あるいはその免疫原性断片を用いることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 (イ)本件特許発明14の効果について 上記(1)ウ(イ)で説示したのと同様の理由により、本件特許発明14の効果は、甲1?7、9?11の記載及び本件特許の優先日当時の技術常識を参酌しても、当業者が予測できない格別顕著なものであるといえる。 (ウ)申立人の主張について 上記(1)ウ(ウ)で説示したのと同様の理由により、申立人の主張は採用できない。 エ まとめ 以上のとおりであるから、相違点6について検討するまでもなく、本件特許発明14は、甲11、1?10の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件特許発明15について ア 本件特許発明15と甲11-2発明の対比 甲11-2発明の「ブロイラー」は、本件特許発明15の「鳥類」及び「家禽」に相当する。 そうすると、両発明は、 「鳥類におけるIBHを予防するための方法であって、前記方法は、家禽に、ワクチンを投与することを含む方法。」 の発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点7) 本件特許発明15が、トリアデノウイルス血清型C(FAdV-C)のファイバー2タンパク質を含むものであるのに対し、甲11-2発明は、不活性化したFAdV-8a/8bあるいはFAdV-7を含むものである点。 (相違点8) 本件特許発明15が、IBHのみならず、GEを予防するためにも使用されるのに対し、甲11-2発明は、GEを予防するためには使用されていない点。 イ 判断 (ア)相違点7について 甲11には、ワクチンにトリアデノウイルス血清型C(FAdV-C)のファイバー2タンパク質を用いることはおろか、ワクチンにFAdV-Cを用いることすら記載も示唆もされていない。 また、甲1?7、9、10のいずれにも、FAdV-Cのファイバー2タンパク質がワクチンとして機能することは示されていないし、甲8は本件特許の国際出願日よりも後に公知になった文献であるから、進歩性の判断に用いることはできない。 (イ)本件特許発明15の効果について FAdV-Cのファイバー2タンパク質を用いることで、顕著な効果が奏されることは、上記(1)ウ(イ)で説示したとおりである。 (ウ)申立人の主張について 上記(1)ウ(ウ)及び(2)イ(ウ)で説示したのと同様の理由により、申立人の主張は採用できない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、相違点8について検討するまでもなく、本件特許発明15は、甲11、1?10の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)小括 よって、本件特許発明1、2、14、15に係る特許が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるとする、申立理由1(進歩性)には理由がない。 2 申立理由2(実施可能要件)について 物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから、物の発明について、発明の詳細な説明の記載が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである(実施可能要件を満たす)というためには、発明の詳細な説明には、当業者がその物を製造することができ、かつ、その物を使用することができる程度に明確かつ十分に記載されている必要がある。 以下、検討する。 (1)本件特許発明1、14について 本件特許発明1は、「鳥類における肝炎心膜水腫症候群(HHS)、封入体肝炎(IBH)、および筋胃びらん(GE)の予防において使用するための」、「トリアデノウイルスA(FAdV-A)のファイバー2タンパク質、トリアデノウイルスB、D、およびE(FAdV-B、FAdV-D、およびFAdV-E)のファイバータンパク質、またはその免疫原性断片を含む」ワクチンに関するものである。 本件特許明細書の実施例1(段落【0054】?【0096】、【図1】?【図4】)には、FAdV-Cのファイバー2タンパク質を含むワクチンの具体的な製造方法が記載され、該ワクチンを投与したニワトリが、病原性FAdV-Cウイルスチャレンジ後に高い生存率を示すことや明白な臨床症状を示さないことも開示されている。また、実施例2(段落【0097】?【0129】、【図6】?【図8】)では、FAdV-DまたはFAdV-Eファイバータンパク質を含むワクチンの具体的な製造方法が示され、FAdV-DまたはFAdV-Eウイルスチャレンジ後の体重への影響、形態学的・組織学的病変の存在、肝臓試料におけるウイルス量、加えて、糞便中のウイルス排出から、FAdV-DまたはFAdV-Eファイバータンパク質のワクチンとしての利点が実証されている。そして、FAdVに対するワクチンを、FAdVによる疾病である、HHS、IBH及びGEの予防に使用できることは当業者にとって自明である。 また、トリアデノウイルスA(FAdV-A)のファイバー2タンパク質を含むワクチンについても、実施例1においてFAdVの種類を変更することで同様に製造できることは自明であるし、FAdV-AもFAdV-CもFAdVウイルスであるから、両者のファイバー2タンパク質は同じように使用できると推認される。トリアデノウイルスB(FAdV-B)のファイバータンパク質を含むワクチンについても、実施例2においてFAdVの種類を変更することで、同様に製造できることは自明であるし、FAdV-B 、FAdV-D及びFAdV-EのいずれもFAdVウイルスであるから、これらのファイバータンパク質は同じように使用できると推認される。 さらに、免疫原性断片を含むワクチンについては、本件特許明細書の段落【0023】に、 「適切なモチーフは、実験的にまたはコンピューターによる予測を通じて確認できる(例えば、Wallny et al., PNAS 103 (2006), 1434-1439 ; Huo et al., PLoS ONE 7(2012) : e39344. doi:10.1371参照)。・・・例えば、本発明に係る免疫原性断片は、B4、B12、B15、およびB19ハプロタイプに属するニワトリMHCクラスI分子のペプチド結合モチーフベースのオクタペプチドまたはノナペプチド(Wallny et al., 2006 ; Huo et al., 2012)を含み得る。」 との記載があり、段落【0024】?【0026】には具体的な免疫原性断片も示されているところ、当業者であれば、ファイバータンパク質において、ワクチンとして機能する免疫原性断片を同定して製造すること、及び、当該断片を含むワクチンを使用することはできるといえる。 以上によれば、当業者は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件特許の国際出願日当時の技術常識に基づいて、本件特許発明1に係るワクチンを製造し、使用することができるといえる。 また、本件特許発明1と同様の発明特定事項を有する本件特許発明14についても同様である。 上記のとおりであるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明1、14について、実施可能要件を満たすものである。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2は、「鳥類における封入体肝炎(IBH)および筋胃びらん(GE)の予防において使用するための」、「トリアデノウイルスC(FAdV-C)のファイバー2タンパク質またはその免疫原性断片を含む」ワクチンに関するものである。 本件特許明細書の実施例1(段落【0054】?【0096】、【図1】?【図4】)には、FAdV-Cのファイバー2タンパク質を含むワクチンの具体的な製造方法が記載され、該ワクチンを投与したニワトリが、病原性FAdV-Cウイルスチャレンジ後に高い生存率を示すことや明白な臨床症状を示さないことも開示されている。そして、FAdVに対するワクチンを、FAdVによる疾病である、IBH及びGEの予防に使用できることは当業者にとって自明である。 また、免疫原性断片を含むワクチンについては、本件特許明細書の段落【0023】に、 「適切なモチーフは、実験的にまたはコンピューターによる予測を通じて確認できる(例えば、Wallny et al., PNAS 103 (2006), 1434-1439 ; Huo et al., PLoS ONE 7(2012) : e39344. doi:10.1371参照)。・・・例えば、本発明に係る免疫原性断片は、B4、B12、B15、およびB19ハプロタイプに属するニワトリMHCクラスI分子のペプチド結合モチーフベースのオクタペプチドまたはノナペプチド(Wallny et al., 2006 ; Huo et al., 2012)を含み得る。」 との記載があり、段落【0024】?【0026】には具体的な免疫原性断片も示されているところ、当業者であれば、ファイバータンパク質において、ワクチンとして機能する免疫原性断片を同定して製造すること、及び、当該断片を含むワクチンを使用することはできるといえる。 以上によれば、当業者は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件特許の国際出願日当時の技術常識に基づいて、本件特許発明2に係るワクチンを製造し、使用することができるといえる。 上記のとおりであるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明2について、実施可能要件を満たすものである。 (3)申立人の主張について ア 申立人は、申立書21?22頁の(イ)の欄において 「本件明細書の段落【0023】以降に示されているペプチド断片は、コンピューターのシミュレーションによって得られた、特定の遺伝子型を有するニワトリのMHC-Iと結合する可能性のあるペプチド断片である。しかしながら、本件明細書には当該アミノ酸配列がワクチン効果を示すことの根拠が一切記載されていない。繰り返しとなるが、特定の免疫原性断片がワクチン抗原として機能することは、その配列のみから予測することは困難であり、実験的に検証する必要があることは、甲第6号証?甲第10号証より、当業者に広く知られた事項である。」 と主張している。 しかしながら、甲第6号証?甲第10号証のいずれにも、特定の免疫原性断片がワクチン抗原として機能することは、その配列のみから予測することは困難であり、実験的に検証する必要があるという旨の明記はないし、甲8は本件特許の国際出願日より後に公知になった文献である。 また、本件特許明細書の実施例1、2において、ファイバー2タンパク質やファイバータンパク質のワクチンとしての利点が実証されているから、それらと共通する免疫原を有するそれらの免疫原性断片がワクチン効果を示すことの根拠が一切ないとはいえない。 さらに、本件特許明細書の実施例1、2では、実際にワクチンの効果が検証されているのだから、同様の手法を用いて、ペプチド断片についても、ワクチンとしての効果を検証する程度のことは、当業者が適宜なし得ることである。 イ 申立人は、申立書22頁の(ウ)の欄において 「MHC-Iに結合するアミノ酸配列であれば、それが直ちにウイルス防御に働く中和抗体を惹起するわけではないことは明らかである。さらに、本件明細書には、ウイルス粒子上と同様の立体構造を発現(保持)するための手段について何ら記載が無い。」 と主張している。 しかしながら、本件特許明細書の段落【0086】に 「SNTから得られた結果は、Fib-2に対する抗体は中和能を有していないことを示唆しており、これは、単離ウイルス成分として投与される場合、ファイバーによって誘発される血清中和活性が弱いまたは欠くという以前に報告された観察事項と一致する。」 と記載されている一方で、該Fib-2は【図1】においてワクチンとして機能しているから、中和抗体を惹起しないとしても、ワクチンとして機能しないということにはならない。 また、線状エピトープを有する免疫原でもワクチンとして機能し得るから、立体構造が保持されていないとしても、ワクチンとして機能しないということにはならない。 ウ 申立人は、申立書22頁の(エ)の欄において 「本件明細書には、トリアデノウイルスに対する防御として細胞性免疫が重要であると示しているが、効果的な細胞性免疫を惹起するためのワクチンの構成の記載がない。況してや、ニワトリ用ワクチンとして効果的な細胞性免疫を実現するための手段が何ら記載されていない。」 と主張している。 当該主張について、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「細胞性免疫が重要である」との記載はなされていないため、上記申立人の主張が本件特許明細書の発明の詳細な説明のいずれの記載に基づくものか、不明である。 そして、本件特許発明1、2又は14は、ワクチン又はワクチンを投与することを含む方法に係る発明であるところ、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、当該ワクチンを製造し使用できる程度に明確かつ十分に記載されていることは、上記(1)及び(2)で述べたとおりであるから、申立人の上記主張は当を得たものではない。 エ 申立人は、申立書22頁の(オ)の欄において 「本件明細書には、トリアデノウイルスワクチンを構築する上で重要な発現領域の特定に関する情報が何ら開示されていない。また、特定の免疫原性断片がワクチン抗原として機能することを証明する必要があるにもかかわらず、本件明細書に記載されている免疫原性断片何れについてもワクチン抗原として機能することが示されていない。」 と主張している。 しかしながら、本件特許明細書の実施例1、2は、トリアデノウイルスワクチンを構築する上で重要な発現領域が、ファイバー2タンパク質やファイバータンパク質中にあることを示しているし、本件特許明細書の段落【0023】には、MHCクラスIに結合する領域が重要であることも示唆されている。 また、本件特許明細書の実施例1、2において、ファイバー2タンパク質やファイバータンパク質のワクチンとしての利点が実証されていることから、それらと共通する免疫原を有するそれらの免疫原性断片もワクチン効果を示すことは、当業者であれば推認できるといえる。 さらに、本件特許明細書の実施例1、2では、実際にワクチンの効果が検証されているのだから、同様の手法を用いて、免疫原性断片についても、ワクチンとしての効果を検証する程度のことは、当業者が適宜なし得ることである。 オ したがって、申立人の上記の主張は採用できない。 (4)小括 したがって、申立理由2(実施可能要件)によっては、本件特許発明1、2、14に係る特許を取り消すことはできない。 3 申立理由3(サポート要件)について 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下、検討する。 (1)本件発明の課題について 本件特許明細書の段落【0019】に、 「本発明の目的は、鳥類、特に家禽におけるHHSおよび/またはIBDおよび/ またはGEの効率的な予防のための安全かつ特異的なワクチンを提供することである。」 と記載されているところ、IBDがIBHの誤記であることは明らかであるから、本件特許発明1、2、14の解決すべき課題は、 「鳥類におけるHHSおよび/またはIBDおよび/またはGEの効率的な予防のための安全かつ特異的なワクチンを提供すること」 であると認められる。 そこで、上記の課題を解決できると当業者が認識できるか否かという観点から、以下、検討する。 (2)本件特許発明1、2、14 本件特許明細書の実施例1(段落【0054】?【0096】、【図1】?【図4】)には、FAdV-Cのファイバー2タンパク質を含むワクチンを投与したニワトリが、病原性FAdV-Cウイルスチャレンジ後に高い生存率を示すことや明白な臨床症状を示さないことが開示されているところ、同じFAdVウイルスであるFAdV-Aのファイバー2タンパク質や共通の免疫原を有するそれらの免疫原性断片を用いた場合にも、同様の効果が奏されることは当業者であれば推認し得る。 また、実施例2(段落【0097】?【0129】、【図6】?【図8】)では、FAdV-DまたはFAdV-Eファイバータンパク質のワクチンとしての利点が実証されているところ、同じFAdVウイルスであるFAdV-Bのファイバータンパク質や共通の免疫原を有するそれらの免疫原性断片を用いた場合に、同様の効果が奏されることも当業者であれば推認し得る。 さらに、FAdVに対するワクチンが、FAdVによる疾病である、HHS、IBH及びGEを予防できることは当業者にとって自明である。 したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件特許の国際出願日当時の技術常識に照らし、当業者は、本件発明1、2、14の課題を解決できると認識できるといえる。 (3)申立人の主張について 申立人の主張は、上記2(3)で説示したのと同様の理由により採用できない。 (4)小括 したがって、申立理由3(サポート要件)によっては、本件特許発明1、2、14に係る特許を取り消すことはできない。 4 申立理由4(明確性要件)について (1)本件特許発明1、2、14及び申立人の主張について 申立人は、申立書の23頁6?7行において、「ワクチン抗原として機能しない免疫原性断片が含まれている本件特許発明1、2および14は不明確である。」と主張している。 しかしながら、本件特許発明1、2はワクチンの発明であり、本件特許発明14はワクチンを投与する方法の発明であるから、本件特許発明1、2及び14には、ワクチン抗原として機能しない免疫原性断片を用いる態様、すなわち、ワクチンとして機能しないものを用いる態様は、そもそも包含されていない。 したがって、申立人の上記主張は、採用できない。 また、他に不明確な記載は見当たらない。 (2)小括 したがって、申立理由4(明確性要件)によっては、本件特許発明1、2、14に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2、14、15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、2、14、15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、特許法第114条第4項の規定により、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2020-06-24 |
出願番号 | 特願2016-535459(P2016-535459) |
審決分類 |
P
1
652・
536-
Y
(A61K)
P 1 652・ 121- Y (A61K) P 1 652・ 537- Y (A61K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小堀 麻子 |
特許庁審判長 |
光本 美奈子 |
特許庁審判官 |
大久保 元浩 山内 達人 |
登録日 | 2019-08-30 |
登録番号 | 特許第6577470号(P6577470) |
権利者 | フェテリネールメディツィニシュ ウニベルジテート ウィーン |
発明の名称 | トリアデノウイルスワクチン |
代理人 | 上原 路子 |
代理人 | 三橋 真二 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 渡辺 陽一 |
代理人 | 中島 勝 |
代理人 | 武居 良太郎 |