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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1364288
審判番号 不服2019-4243  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-02 
確定日 2020-07-16 
事件の表示 特願2016-127237「ゲーム制御方法、コンピュータ、制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月27日出願公開、特開2016-185373〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成25年3月29日に出願した特願2013-72139号(以下,「原出願」という。)の一部を,平成28年6月28日に特願2016-127237号として新たに特許出願したものであって,平成29年3月31日付けで拒絶理由が通知され,同年5月25付けで意見書が提出され,同年11月21日付けで拒絶理由が通知され,平成30年1月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され,さらに,同年6月14日付けで拒絶理由が通知されたが,これに対して意見書及び手続補正書が提出されず,同年12月27日付けで,同年6月14日付けの拒絶理由により通知された理由(以下,「原査定の理由」という。)による拒絶査定がなされ,その謄本は平成31年1月8日に請求人に送達された。
これに対し,同年4月2日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,当該請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成31年4月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年4月2日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正について
本件補正は,特許請求の範囲を補正するものであり,本件補正前の特許請求の範囲の記載(平成30年1月18日付けの手続補正書による補正後のもの)を,本件補正後の特許請求の範囲のとおりに補正するものである以下,「本件補正事項」という。)。
(1)本件補正前の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】
記憶部を備え,オブジェクトを選択するゲームを実行するコンピュータにおけるゲーム制御方法であって,
複数のオブジェクトからなる選択対象を前記記憶部に記憶し,
前記選択対象に含まれるオブジェクトを複数のグループに分類し,
ユーザからの要求に従って,前記選択対象に含まれる全てのオブジェクトの中から,ユーザに付与するオブジェクトをランダムに選択し,
前記選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて前記記憶部に記憶し,
前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する,
ことを含むことを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項2】
前記決定において,前記選択対象に含まれるオブジェクトから,前記選択されたオブジェクトが属するグループと同じグループに属するオブジェクトを削除するように,前記次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する,請求項1に記載のゲーム制御方法。
【請求項3】
前記分類において,
前記複数のオブジェクトを,各オブジェクトの価値に応じて複数のグループに分類し,
前記複数のグループのそれぞれに対応する価値に応じて,各グループに属するオブジェクトの数を変更する,請求項1又は2に記載のゲーム制御方法。
【請求項4】
オブジェクトを選択するゲームを実行するコンピュータであって,
複数のオブジェクトからなる選択対象を記憶する記憶部と,
前記選択対象に含まれるオブジェクトを複数のグループに分類する分類部と,
ユーザからの要求に従って,前記選択対象に含まれる全てのオブジェクトの中から,ユーザに付与するオブジェクトをランダムに選択する選択部と,
前記選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて前記記憶部に記憶する関連付け部と,
前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する決定部と,
を備えることを特徴とするコンピュータ。
【請求項5】
記憶部を備え,オブジェクトを選択するゲームを実行するコンピュータの制御プログラムであって,
複数のオブジェクトからなる選択対象を前記記憶部に記憶し,
前記選択対象に含まれるオブジェクトを複数のグループに分類し,
ユーザからの要求に従って,前記選択対象に含まれる全てのオブジェクトの中から,ユーザに付与するオブジェクトをランダムに選択し,
前記選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて前記記憶部に記憶し,
前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する,
ことを前記コンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】
記憶部を備え,オブジェクトを選択するゲームを実行するコンピュータにおけるゲーム制御方法であって,
複数のオブジェクトからなる選択対象を前記記憶部に記憶し,
前記選択対象に含まれるオブジェクトを複数のグループに分類し,
ユーザからの要求に従って,前記選択対象に含まれる全てのオブジェクトの中から,ユーザに付与するオブジェクトをランダムに選択し,
前記選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて前記記憶部に記憶し,
前記選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外し,かつ前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する,
ことを含むことを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項2】
前記決定において,前記選択対象に含まれるオブジェクトから,前記選択されたオブジェクトが属するグループと同じグループに属するオブジェクトを削除するように,前記次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する,請求項1に記載のゲーム制御方法。
【請求項3】
前記分類において,
前記複数のオブジェクトを,各オブジェクトの価値に応じて複数のグループに分類し,
前記複数のグループのそれぞれに対応する価値に応じて,各グループに属するオブジェクトの数を変更する,請求項1又は2に記載のゲーム制御方法。
【請求項4】
オブジェクトを選択するゲームを実行するコンピュータであって,
複数のオブジェクトからなる選択対象を記憶する記憶部と,
前記選択対象に含まれるオブジェクトを複数のグループに分類する分類部と,
ユーザからの要求に従って,前記選択対象に含まれる全てのオブジェクトの中から,ユーザに付与するオブジェクトをランダムに選択する選択部と,
前記選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて前記記憶部に記憶する関連付け部と,
前記選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外し,かつ前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する決定部と,
を備えることを特徴とするコンピュータ。
【請求項5】
記憶部を備え,オブジェクトを選択するゲームを実行するコンピュータの制御プログラムであって,
複数のオブジェクトからなる選択対象を前記記憶部に記憶し,
前記選択対象に含まれるオブジェクトを複数のグループに分類し,
ユーザからの要求に従って,前記選択対象に含まれる全てのオブジェクトの中から,ユーザに付与するオブジェクトをランダムに選択し,
前記選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて前記記憶部に記憶し,
前記選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外し,かつ前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する,
ことを前記コンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。」(下線は,当審で付加したものである。下線については,以下同じである。)

(3)本件補正の目的について
本件補正事項は,本件補正前の請求項1,4及び5において「選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する」という発明特定事項に,「選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外」することを追加して限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって,請求項1ないし5に係る本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号を目的とするものに該当するから,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について,以下検討する。
なお,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについては,請求項1,4及び5に係る本件補正の内容が実質的に同じであるから,請求項1に係る発明(以下,「本件補正発明」という。)について具体的な検討を行うこととする。

2 独立特許要件についての検討
(1)本件補正に係る請求項1の記載が,特許法第36条第6項第1号に規定される要件,いわゆるサポート要件を満たしているかについて。
ア 本願の発明が解決しようとする課題について
本願の明細書の段落【0005】及び【0006】には,以下の記載がある。
「【0005】
従来のソーシャルゲームの中には,例えばゲーム上のキャラクタやアイテム等の抽選機能が設けられているものがある。この抽選機能では,キャラクタやアイテム等の抽選対象が複数含まれる抽選の母集団は一定であり,ユーザが何度抽選を行ったとしても,同一の母集団の中から無作為に抽選が行われる。抽選の母集団を限定することも従来行われており,例えば,ゲーム上で希少価値が高いレアアイテム(レア度が高いアイテム)の抽選については,レアアイテムを抽選の母集団として抽選が行われるが,母集団そのものがユーザの抽選行為によって変化することはない。そのため,定められた抽選対象の母集団の中から,ユーザが所望の抽選対象を得ることができる確率は,基本的に一定である。
上述した従来の抽選機能では,ユーザが何度抽選を実行してもユーザ所望のキャラクタやアイテム等の抽選対象を得られないことがあり,ユーザが抽選機能を実行することに面白みを感じられない場合があった。
【0006】
一方,抽選によってユーザに付与されたオブジェクトとしてのアイテム(付与アイテム)を抽選の母集団から除外する抽選機能が設けられているものもある。この抽選方法では,抽選により仮にユーザが所望するアイテム以外のアイテムが付与された場合でも,付与アイテムが抽選の母集団から除外されることで,次回以降の抽選においてユーザが所望するアイテムが付与される確率が高まる。しかし,この抽選方法でも,1回の操作毎に1つのアイテムが抽選の母集団から除外されるという単調な仕組みのため,充分な面白みを感じられないユーザが抽選機能を実行する動機を維持することが困難であった。」
つまり,本願において認識される本願の発明が解決しようとする課題とは,「定められた抽選対象の母集団の中から,ユーザが所望の抽選対象を得ることができる確率は,基本的に一定であって,従来の抽選機能では,ユーザが何度抽選を実行してもユーザ所望のキャラクタやアイテム等の抽選対象を得られないことがあり,ユーザが抽選機能を実行することに面白みを感じられず,また,抽選によってユーザに付与されたオブジェクトとしてのアイテム(付与アイテム)を抽選の母集団から除外する抽選機能が設けられているものであっても,1回の操作毎に1つのアイテムが抽選の母集団から除外されるという単調な仕組みのため,充分な面白みを感じられないユーザが抽選機能を実行する動機を維持することが困難であった」というものであると理解できる。
ここで,本件補正発明において,「選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外」することが限定されたことにより,(今回)選択(されてユーザに付与)されたオブジェクトが,次の選択対象となるオブジェクトに含まれないことは特定されたものの,「選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する」と特定されているにとどまる本件補正発明においては,次の選択対象に含まれるオブジェクトが,「選択されたオブジェクトが属するグループ」に基づいて,どのように決定されるのかについては具体的に特定されていないから,次の選択対象に含まれる「オブジェクト」が,「選択されたオブジェクトが属するグループ」のオブジェクトを「除外」するだけでなく,「追加」するものや「変更しない」態様のものが含まれるものと解される。

なお,「選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外」することが特定されていることから,次回以降の抽選においてユーザが所望するアイテムが付与される確率が高まるという効果を奏するものであることを勘案しても,その効果は,上記の段落【0006】にある「1回の操作毎に1つのアイテムが抽選の母集団から除外されるという単調な仕組み」と同等のものでしかない。
してみると,請求項1に記載の発明特定事項には,発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決するための手段が反映されていないため,出願時の技術常識を考慮しても,発明の課題が解決できるものとない態様を含むものであることが明らかであるため,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものと言わざるを得ない。
したがって,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は,発明の詳細な説明に記載されたものとはいえず,その結果,当該請求項1の記載は,特許法第36条第6項第1号に規定される要件を満たすものではないから,本件補正発明は,特許出願の際に,独立して特許を受けることができない。

(2)本件補正発明が特許法第29条第1項第3号の規定に該当するか,いわゆる新規性を欠如するか否かについて
上記(1)で検討したとおり,本件補正発明は,本願の発明の詳細な説明に記載されたものではないところ,それと同じ内容である原出願の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえず,また,原出願の特許請求の範囲,図面等にも,本件補正発明については記載されていない。
つまり,原出願は,本件補正発明を包含していたものではないから,本願は特許法第44条第1項に規定する適法な分割出願であると認めることができず,同条第2項の規定により本願を原出願の出願の時にしたものとみなすことはできない。
したがって,本願の出願日は原出願の出願日に遡及するものではないから,その現実の出願日である,平成28年6月28日(以下,「本願出願日」という。)である。

ア 引用文献に記載された事項
原審の平成30年6月14日付けの拒絶理由通知において引用され,本願出願日前である平成28年1月13日に発行された特許第5841276号の特掲載許公報(以下「引用文献」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「【0007】
本発明に係るゲーム制御方法は,記憶部を備え,ゲーム媒体を選択するゲームを実行するコンピュータにおけるゲーム制御方法であって,複数のゲーム媒体からなる選択対象を記憶部に記憶し,選択対象に含まれるゲーム媒体を複数のグループに分類し,プレイヤからの要求に従って,選択対象の中からゲーム媒体を選択し,選択されたゲーム媒体をプレイヤと関連付けて記憶部に記憶し,選択されたゲーム媒体が属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるゲーム媒体を決定する,ことを含む。
なお,コンピュータは,上記の手順を実行可能であればよく,例えば,携帯端末や据置端末,サーバ等である。」

(イ)「【0027】
サーバは,抽選ゲームとして,携帯端末を操作するプレイヤからの要求に従って,抽選対象として設定された複数のキャラクタカードの中からキャラクタカードを選択する抽選を実行し,選択されたキャラクタカードをプレイヤと関連付けて記憶することにより,プレイヤに付与する。抽選対象として設定されたキャラクタカードは,複数のグループに分類される。各グループは,キャラクタカードのレア度によって分類される。なお,各グループは,キャラクタの属性,キャラクタカードが発行された時期もしくはイベント,又はキャラクタが装着するアイテム等によって分類されてもよい。なお,プレイヤからの要求は,サーバに抽選を実行する指示に関する抽選要求であり,サーバは,プレイヤから抽選要求を受信すると,抽選対象のキャラクタカードから,等確率でランダムにキャラクタカードを選択する。」

(ウ)「【0064】
2.2.サーバ3の構成
図6は,サーバ3の概略構成の一例を示す図である。また,図7(a)?(c)は,サーバ記憶部32が記憶する各種テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0065】
サーバ3は,サーバ通信部31と,サーバ記憶部32と,サーバ処理部33とを備える。サーバ3は,携帯端末2からの要求に応じてゲームを進行させる。また,サーバ3は,ゲームの進行に係る表示データを作成して携帯端末2に送信する。
【0066】
サーバ通信部31は,出力部の一例であり,サーバ3をインターネット7に接続するための通信インターフェース回路を備え,インターネット7との間で通信を行う。そして,サーバ通信部31は,携帯端末2等から受信したデータをサーバ処理部33に供給する。また,サーバ通信部31は,サーバ処理部33から供給されたデータを携帯端末2等に送信する。
【0067】
サーバ記憶部32は,例えば,磁気テープ装置,磁気ディスク装置,又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。サーバ記憶部32は,サーバ処理部33での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム,ドライバプログラム,アプリケーションプログラム,データ等を記憶する。例えば,サーバ記憶部32は,アプリケーションプログラムとして,ゲームを進行させ,その結果に係る表示データを作成するゲームプログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは,例えばCD-ROM,DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から,公知のセットアッププログラム等を用いて端末記憶部22にインストールされてもよい。
【0068】
また,サーバ記憶部32は,データとして,図7(a)に示すプレイヤテーブル,図7(b)に示すカードテーブル,図7(c)に示す抽選対象グループテーブル,各プレイヤの画像データ,ゲームの進行に係る様々な画像データ等を記憶する。さらに,サーバ記憶部32は,所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0069】
図7(a)は,プレイヤを管理するプレイヤテーブルを示す。プレイヤテーブルには,各プレイヤについて,当該プレイヤの識別番号(プレイヤID),パスワード,名前,画像データのファイル名,所有カード情報,抽選を実行した抽選回数,抽選対象グループ,バトルに使用される使用カード情報,ゲームポイント,プレイヤレベル及び関連プレイヤのプレイヤID等の情報が関連付けて記憶される。
【0070】
所有カード情報には,プレイヤが所有する,ゲームで使用されるキャラクタカード毎に,所有するキャラクタカードを管理するための識別番号(所有ID)及び当該カードの識別番号(カードID)等が関連付けて記憶される。所有IDは,プレイヤが所有するキャラクタカードのそれぞれを一意に識別するための識別情報の一例である。カードIDは,後述するカードテーブルにおいて記憶されるキャラクタカードのカードIDである。
【0071】
抽選対象グループは,各プレイヤが実行する抽選ゲームにおいて,抽選の対象となるキャラクタカードが属するグループである。抽選対象グループは,複数の分類(第1分類,第2分類,第3分類,・・・)毎に設定される。各分類は,例えばレア度,キャラクタの属性,キャラクタカードが発行された時期もしくはイベント,又はキャラクタが装着するアイテムの種類又は属性等によって規定される。」

(エ)「【0078】
2.2.1.サーバ処理部33の構成
サーバ処理部33は,分類部331,進行制御部332,表示データ出力部333,メインゲーム実行部334,選択部335,関連付け部336及び決定部337を備える。これらの各部は,サーバ処理部33が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは,これらの各部は,ファームウェアとしてサーバ3に実装されてもよい。
【0079】
分類部331は,抽選ゲームが実行される前に,抽選対象に含まれるキャラクタカードを複数のグループに分類する。分類部331は,抽選対象となる各キャラクタカードを,複数の分類毎に,複数のグループに分類し,グループIDを設定し,抽選カードテーブルに記憶する。」

(オ)「【0095】
選択部335は,進行制御部332から抽選処理の実行が指示された場合,プレイヤテーブルの抽選対象グループを参照し,抽選要求に含まれるプレイヤIDに基づいて,そのプレイヤに対応する第1分類の各グループIDを抽出する。次に,選択部335は,抽選対象グループテーブルを参照して,抽出した全てのグループIDに属する抽選対象のキャラクタカードIDを読み出す。選択部335は,読み出したキャラクタカードIDの中から,1つのキャラクタカードIDを等確率でランダムに選択し,関連付け部336にキャラクタカードのプレイヤへの付与を指示する。
【0096】
関連付け部336は,選択部335からキャラクタカードのプレイヤへの付与が指示された場合,選択部335によって選択されたキャラクタカードをプレイヤと関連付けて記憶することにより,プレイヤに付与する。関連付け部336は,プレイヤテーブルにおいて,キャラクタカードのカードIDをプレイヤの所有カード情報に追加することにより,そのキャラクタカードをプレイヤに付与する。関連付け部336は,決定部337に,抽選対象に含まれるキャラクタカードの変更を指示する。
【0097】
決定部337は,関連付け部336から,抽選対象に含まれるキャラクタカードの変更が指示された場合,プレイヤテーブルの抽選対象グループから,選択部335によって決定されたキャラクタカードが属する第1分類のグループIDを削除する。これにより,次の抽選ゲームでは,削除したグループに関連付けられたキャラクタカードは抽選対象に含まれず,削除したグループ以外のグループに関連付けられたキャラクタカードのみが抽選対象として選択される。したがって,この抽選ゲームでは,次の抽選ゲームにおける抽選対象のキャラクタカードを大幅に変更することが可能となる。」

引用文献の上記記載事項によれば,引用文献には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ゲーム媒体を選択するゲームを実行するコンピュータにおけるゲーム制御方法であって,
コンピュータは,サーバ記憶部32と,サーバ処理部33とを備えるサーバ3であり,
該サーバは,プレイヤからサーバに抽選を実行する指示に関する抽選要求を受信すると,抽選対象のキャラクタカードから,等確率でランダムにキャラクタカードを選択するものであって,
サーバ記憶部32は,データとして,プレイヤテーブル,カードテーブル,抽選対象グループテーブル,各プレイヤの画像データ,ゲームの進行に係る様々な画像データ等を記憶し,
プレイヤテーブルには,各プレイヤについて,当該プレイヤの識別番号(プレイヤID),所有カード情報,抽選対象グループ等の情報が関連付けて記憶され,
サーバ処理部33は,分類部331,進行制御部332,選択部335,関連付け部336及び決定部337を備え,
分類部331は,抽選ゲームが実行される前に,抽選対象に含まれるキャラクタカードを複数のグループに分類し,
選択部335は,進行制御部332から抽選処理の実行が指示された場合,プレイヤテーブルの抽選対象グループを参照し,抽選要求に含まれるプレイヤIDに基づいて,そのプレイヤに対応する第1分類の各グループIDを抽出し,抽選対象グループテーブルを参照して,抽出した全てのグループIDに属する抽選対象のキャラクタカードIDを読み出し,読み出したキャラクタカードIDの中から,1つのキャラクタカードIDを等確率でランダムに選択し,関連付け部336にキャラクタカードのプレイヤへの付与を指示するものであって,
関連付け部336は,選択部335からキャラクタカードのプレイヤへの付与が指示された場合,選択部335によって選択されたキャラクタカードをプレイヤと関連付けて記憶し,プレイヤテーブルにおいて,キャラクタカードのカードIDをプレイヤの所有カード情報に追加することにより,そのキャラクタカードをプレイヤに付与するものであり,
決定部337は,関連付け部336から,抽選対象に含まれるキャラクタカードの変更が指示された場合,プレイヤテーブルの抽選対象グループから,選択部335によって決定されたキャラクタカードが属する第1分類のグループIDを削除し,次の抽選ゲームでは,削除したグループに関連付けられたキャラクタカードは抽選対象に含まれず,削除したグループ以外のグループに関連付けられたキャラクタカードのみが抽選対象として選択されるゲーム制御方法。」

イ 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ゲーム媒体」もしくは「キャラクタカード」は,本件の発明の詳細な説明の段落【0010】の「本発明において「オブジェクト」とは,例えば,仮想的なキャラクタ,カードやアイテム等を含む。キャラクタは,例えばゲーム上の仮想的な人物や生物,若しくはモンスター等であり,それらがカードに表示されているものをも含む」との記載を踏まえれば,本件補正発明の「オブジェクト」に相当する。
(イ)引用発明の「サーバ3」は「コンピュータ」であるから,本件補正発明の「コンピュータ」に相当する。
(ウ)引用発明における「抽選」は,「抽選対象のキャラクタカードから,等確率でランダムにキャラクタカードを選択」することであり,該選択されたキャラクタカードは「プレイヤへの付与」となることから,本件補正発明の「選択」に相当する。
(エ)引用発明の「抽選対象」には,複数枚のキャラクタカードが含まれることが明らかであって,上記(ウ)で検討したとおり,引用発明の「抽選」が,本件補正発明の「選択」に相当することに照らせば,引用発明の「抽選対象」は,本件補正発明の「複数のオブジェクトからなる選択対象」に相当する。
(オ)引用発明の「サーバ記憶部32」は,各プレイヤについて,所有カード情報,抽選対象グループ等の情報が関連付けて記憶されるプレイヤテーブルを記憶するものである。また,プレイヤテーブルには,「(選択された)キャラクタカードのカードIDをプレイヤの所有カード情報に追加」される。したがって,引用発明の「サーバ記憶部32」は,選択対象,及び,選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて記憶しているといえるから,本件補正発明の「記憶部」に相当する。
(カ)引用発明において「分類部331」は,「抽選ゲームが実行される前に,抽選対象に含まれるキャラクタカードを複数のグループに分類」しているから,引用発明の抽選対象に含まれる「キャラクタカード」は,本件補正発明の選択対象に含まれる「オブジェクト」と同じく「複数のグループに分類」されていることになる。
(キ)引用発明において「プレイヤからサーバに抽選を実行する指示に関する抽選要求を受信すると,抽選対象のキャラクタカードから,等確率でランダムにキャラクタカードを選択」しているから,引用発明の「選択」は,本件補正発明と同じく「ユーザからの要求に従って」行われるものである。
(ク)引用発明の「決定部337」は,「関連付け部336から,抽選対象に含まれるキャラクタカードの変更が指示された場合,プレイヤテーブルの抽選対象グループから,選択部335によって決定されたキャラクタカードが属する第1分類のグループIDを削除」しており,その結果「次の抽選ゲームでは,削除したグループに関連付けられたキャラクタカードは抽選対象に含ま」れないこととなるから,引用発明には,選択部335によって決定された,つまりプレイヤに付与されたキャラクタカードと該キャラクタカードを含むグループが,抽選対象から削除され,次の抽選の抽選対象とはならないことが記載されている。したがって,引用発明は,本願発明と同じく「選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外し,かつ前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定」しているといえる。
以上のことから,両者は,
〈一致点〉
「記憶部を備え,オブジェクトを選択するゲームを実行するコンピュータにおけるゲーム制御方法であって,
複数のオブジェクトからなる選択対象を前記記憶部に記憶し,
前記選択対象に含まれるオブジェクトを複数のグループに分類し,
ユーザからの要求に従って,前記選択対象に含まれる全てのオブジェクトの中から,ユーザに付与するオブジェクトをランダムに選択し,
前記選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて前記記憶部に記憶し,
前記選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外し,かつ前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する,
ことを含むことを特徴とするゲーム制御方法。」
である点で一致し,相違点はない。

ウ 判断
上記で検討したとおり,本願発明と引用発明との間に差異は見出せないから,本件補正発明は,特許法第29条第1項第3号に該当し,その特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

3 補正の却下の決定のまとめ
上記で検討したとおり,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号を目的とするものであって,同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定との結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の特許請求の範囲の請求項1ないし5は,上記第2の1(1)に説示したとおりの平成30年1月18日付け手続補正により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。
そして,その請求項1により特定される発明(以下「本願発明」という。)は,再掲すると次のとおりのものである。
「【請求項1】
記憶部を備え,オブジェクトを選択するゲームを実行するコンピュータにおけるゲーム制御方法であって,
複数のオブジェクトからなる選択対象を前記記憶部に記憶し,
前記選択対象に含まれるオブジェクトを複数のグループに分類し,
ユーザからの要求に従って,前記選択対象に含まれる全てのオブジェクトの中から,ユーザに付与するオブジェクトをランダムに選択し,
前記選択されたオブジェクトをユーザと関連付けて前記記憶部に記憶し,
前記選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する,
ことを含むことを特徴とするゲーム制御方法。」

2 本願発明が特許法第36条第6項第1号に規定される要件,いわゆるサポート要件を満たしているかについて
(1)原査定の理由の概要について
平成30年6月14日付け拒絶理由通知書の理由1の概要は,以下のとおりである。
ア 請求項1には,発明の詳細な説明に記載されない,全ユーザ共通の選択対象から付与するオブジェクトを選択するような態様や,選択対象の母集団の数が常に一定の態様が含まれるから,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなる。
よって,請求項1に係る発明は,発明の詳細な説明に記載したものでない。
イ 請求項1には,抽選対象となる母集団の数が一定の態様や増加する態様のような上記課題を解決しない態様も含み得るため,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなる
よって,請求項1に係る発明は,発明の詳細な説明に記載したものでない。

(2)本願発明の解決しようとする課題
本願発明の解決しようとする課題は,上記「第2 2 (1)」で検討したとおり,「定められた抽選対象の母集団の中から,ユーザが所望の抽選対象を得ることができる確率は,基本的に一定であって,従来の抽選機能では,ユーザが何度抽選を実行してもユーザ所望のキャラクタやアイテム等の抽選対象を得られないことがあり,ユーザが抽選機能を実行することに面白みを感じられず,また,抽選によってユーザに付与されたオブジェクトとしてのアイテム(付与アイテム)を抽選の母集団から除外する抽選機能が設けられているものであっても,1回の操作毎に1つのアイテムが抽選の母集団から除外されるという単調な仕組みのため,充分な面白みを感じられないユーザが抽選機能を実行する動機を維持することが困難であった」というものである。

(3)判断
本願発明は,本件補正発明と比較して「選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外」するという発明特定事項を限定しないものであって,「選択されたオブジェクトが属するグループに基づいて次の選択対象に含まれるオブジェクトを決定する」と特定するにとどまるものであるから,次の選択対象に含まれるオブジェクトが,「選択されたオブジェクトが属するグループ」に基づいて,どのように決定されるのかについては具体的に特定されておらず,次の選択対象に含まれる「オブジェクト」が,「選択されたオブジェクトが属するグループ」のオブジェクトを「追加」するものや「変更しない」態様のものが含まれるものと解され,特に「(今回)選択されたオブジェクト」が,次の選択対象から削除されないものをも含むものである。
なお,平成30年1月18日付け意見書(原査定の対象となった本願発明を記載した手続補正書と同時に提出されたもの)において出願人は以下のように主張しているので,念のため検討する。
「本発明は,母集団として抽選対象が複数含まれるネットワークゲームにおいてユーザが何度も当該母集団の中から行う抽選に関するものであり(段落[0005]参照),かかる抽選は所謂ボックスガチャ(ボックス抽選)として出願当時,広く知られていた抽選方式である。ボックスガチャは,本願同様,有限個数の抽選対象を母集団として,ユーザが抽選(ガチャ)を行う度に残りの抽選対象の内容と個数とをユーザに提示するというものである。ネットワークを利用して不特定多数のユーザがボックスガチャを利用することから,すべてのユーザに対してボックスガチャにおける初期状態の母集団が常に同一であることはあり得ず,ユーザがボックスを選択する度に母集団がコンピュータにより決定されることは,明細書に記載するまでもなくネットワークゲームにおける当業者であれば自明な事項である。」
しかしながら,本願発明において「所謂ボックスガチャ(ボックス抽選)」に係る発明であるとする発明特定事項は,何ら記載されておらず,本願発明が「初期状態の母集団が常に同一である」ものを含むことは上述したとおりであるから,「所謂ボックスガチャ(ボックス抽選)」が,「出願当時,広く知られていた抽選方式」であったとしても,本願発明が「所謂ボックスガチャ(ボックス抽選)」であることが特定されない以上,出願人の上記主張を認めることはできない。

してみると,本願発明は,請求項1において,発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決するための手段が反映されていないため,出願時の技術常識を考慮しても,発明の課題が解決できないことが明らかであるため,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになっている。
したがって,原査定の理由に説示したとおり,本願発明は,発明の詳細な説明に記載されたものではなく,特許法第36条第6項第1号に規定される要件を満たすものではない。

3 本願発明が特許法第29条第1項第3号の規定に該当するか,いわゆる新規性を有するか否かについて
(1 原査定の理由の概要について
平成30年6月14日付け拒絶理由通知書の理由2の概要は,以下のとおりである。
「本件の分割出願は適式なものであるとはいえない。したがって,本願の出願日は,現実の出願日である平成28年6月28日であるものとして取り扱う」,つまり,上記 2 で検討したとおり,本願発明は,本願の発明の詳細な説明に記載されたものではないところ,それと同じ内容である原出願の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえず,また,原出願の特許請求の範囲,図面等にも,本願発明については記載されていない。
つまり,原出願は,本願発明を包含していたものではないから,本願は特許法第44条第1項に規定する適法な分割出願であると認めることができず,同条第2項の規定により本願を原出願の出願の時にしたものとみなすことはできない。
したがって,本願の出願日は原出願の出願日に遡及するものではないから,その現実の出願日である,平成28年6月28日である,とした上で,
「本願発明は,引用文献1(特許第5841276号公報)に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない」というものである。

(2)引用文献1に記載された事項
上記引用文献1(特許第5841276号公報)は,上記「第2 2 (2)」で検討した引用文献に同じであり,上記「第2 2 (2)」で検討したとおり,引用文献1には以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ゲーム媒体を選択するゲームを実行するコンピュータにおけるゲーム制御方法であって,
コンピュータは,サーバ記憶部32と,サーバ処理部33とを備えるサーバ3であり,
該サーバは,プレイヤからサーバに抽選を実行する指示に関する抽選要求を受信すると,抽選対象のキャラクタカードから,等確率でランダムにキャラクタカードを選択するものであって,
サーバ記憶部32は,データとして,プレイヤテーブル,カードテーブル,抽選対象グループテーブル,各プレイヤの画像データ,ゲームの進行に係る様々な画像データ等を記憶し,
プレイヤテーブルには,各プレイヤについて,当該プレイヤの識別番号(プレイヤID),所有カード情報,抽選対象グループ等の情報が関連付けて記憶され,
サーバ処理部33は,分類部331,進行制御部332,選択部335,関連付け部336及び決定部337を備え,
分類部331は,抽選ゲームが実行される前に,抽選対象に含まれるキャラクタカードを複数のグループに分類し,
選択部335は,進行制御部332から抽選処理の実行が指示された場合,プレイヤテーブルの抽選対象グループを参照し,抽選要求に含まれるプレイヤIDに基づいて,そのプレイヤに対応する第1分類の各グループIDを抽出し,抽選対象グループテーブルを参照して,抽出した全てのグループIDに属する抽選対象のキャラクタカードIDを読み出し,読み出したキャラクタカードIDの中から,1つのキャラクタカードIDを等確率でランダムに選択し,関連付け部336にキャラクタカードのプレイヤへの付与を指示するものであって,
関連付け部336は,選択部335からキャラクタカードのプレイヤへの付与が指示された場合,選択部335によって選択されたキャラクタカードをプレイヤと関連付けて記憶し,プレイヤテーブルにおいて,キャラクタカードのカードIDをプレイヤの所有カード情報に追加することにより,そのキャラクタカードをプレイヤに付与するものであり,
決定部337は,関連付け部336から,抽選対象に含まれるキャラクタカードの変更が指示された場合,プレイヤテーブルの抽選対象グループから,選択部335によって決定されたキャラクタカードが属する第1分類のグループIDを削除し,次の抽選ゲームでは,削除したグループに関連付けられたキャラクタカードは抽選対象に含まれず,削除したグループ以外のグループに関連付けられたキャラクタカードのみが抽選対象として選択されるゲーム制御方法。」

(3)対比,判断
上記「第2 2 (2)」で検討したとおり,本願発明の発明特定事項をすべて含み,さらに他の発明特定事項を含む本件補正発明が,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないのであるから,本件補正発明から「選択されたオブジェクトを次の選択対象に含まれるオブジェクトから除外」するという発明特定事項を削除した本願発明も同様の理由により,原査定の理由に説示したとおり,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおりであるから,原査定の理由に説示したとおり,本願は,特許法第36条第6項第1号に規定される要件を満たすものではなく,また,本願発明は,特許法第29条第1項第3号に該当するものであって特許を受けることができないものである。
したがって,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-05-08 
結審通知日 2020-05-12 
審決日 2020-06-01 
出願番号 特願2016-127237(P2016-127237)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 537- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前地 純一郎  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 畑井 順一
吉村 尚
発明の名称 ゲーム制御方法、コンピュータ、制御プログラム  
代理人 グローバル・アイピー東京特許業務法人  

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