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審決分類 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 H02K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1364492
審判番号 不服2019-6826  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-09 
確定日 2020-07-20 
事件の表示 特願2017- 82377「クリーンエネルギージェネレイタ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月27日出願公開、特開2018-153066〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成29年3月10日の出願であって、平成30年6月12日に拒絶の理由が通知され(発送日:平成30年6月26日)、これに対し、平成30年8月27日付で意見書が提出されたが、平成31年1月31日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成31年2月12日)、これに対し、令和元年5月9日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。


2.特許請求の範囲
本願の特許請求の範囲は以下のとおりである。
「【請求項1】
本件は天秤型状をしておりアーム・400,400′の両端に円筒状の落下片・300,300′が夫々ぶら下っており交互に落下する事でシャフト・700を左右に揺動し駆動軸・800を作動し負荷〔エネルギー発生装置・801(省略)〕を作動するものである。
なお落下片・300,300′の先端には夫々強力なネオジム磁石のN極・301,301′が取付られており,その円筒状の胴体には夫々つば・302,302′が取付られており,そのつばには夫々リム・303,303′
がついており反発(審決注:「発」は「てへん」に「発」)ばね・200、200′を夫々圧縮
する様になっているのである。
これに対応する様に円筒状をした落下片受止台・100,100′があり強力なネオジム磁石S極・101,101′が夫々取付られており更にその上面にはゴムパッキン102,102′が夫々リング状に張り付られておりN・Sのドッキングをブロックする様になっているのである
【請求項2】
またアーム・400,400′の中心のリブ・500の中は空洞になっておりブースタ液・600が入っており間仕切・501,502,502′で仕切られており,ブースタ液・600の注入口・601,エアードレーンのパイプ・602が取付られており,ブースタ液が勢よく落下側に流入する様になっているのである。」


3.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「1.(発明該当性)この出願の下記の請求項に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



●理由1(発明該当性)について
・請求項1
請求項1の発明の動作を示した段落0005の「今,落下片のつば・302を紐等で強力に引下げると(起動)、反撥ばね・200は落下エネルギーとネオジム磁石の強力な吸引力で圧縮され,ドッキング寸前でゴムパッキン・102でブロックされ,ひるんだ瞬間猛烈な勢いで落下片つば302を,はね飛ばす様になっているのである。
すると今度は落下片・300′が猛烈な勢いで落下し反撥ばね・200’を圧縮し、同様に,はね飛ばされる・・・・このくり返しとなるのである。」(下線部は審査官が付与)の記載に照らせば、本願請求項1に係る発明は、外部からエネルギーを追加することなく運動を継続する、いわゆる「永久機関」であることを主張するものと解される。
永久機関は、一般的なエネルギー保存の法則に反しており、こうした自然法則に反する発明は、特許法上の「発明」ということはできず、特許を受けることはできない(特許法では保護の対象外)。

なお、請求項1に記載されたものは特許法第29条第1項柱書でいう発明に該当しないことが明らかであるから、当該請求項に記載のものについては新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。

●理由2(サポート要件)について
請求項2の「アーム・400,400′の中心のリブ・500の中は空洞になっておりブースタ液・600が入っており間仕切・501,502,502′で仕切られており,ブースタ液・600の注入口・601,エアードレーンのパイプ・602が取付られており,ブータ液が勢よく落下側に流入する様になっているのである。」という記載は、発明の詳細な説明に記載されていない。

●理由3(明確性)について
(1)請求項1の記載からでは、本願発明のカテゴリー(「物の発明」、「方法の発明」、「物を生産する方法の発明」)が不明である。このため、請求項1に係る発明は不明確である。
(2)請求項2は、冒頭に「またアーム・400・400’の中心に・・・」(下線部は審査官が付与)という記載があるため、請求項2に係る発明が請求項1を引用する発明なのか、独立した発明なのか不明確である。」


4.当審の判断
理由1
特許法第2条第1項には「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定義されているので、請求項1に記載された事項が当該定義を満たすか否か検討する。
本願段落【0005】には「今,落下片のつば・302を紐等で強力に引下げると(起動)、反発(審決注:「発」は「てへん」に「発」)ばね・200は落下エネルギーとネオジム磁石の強力な吸引力で圧縮され,ドッキング寸前でゴムパッキン・102でブロックされ,ひるんだ瞬間猛烈な勢いで落下片つば302を,はね飛ばす様になっているのである。すると今度は落下片・300′が猛烈な勢いで落下し反発(審決注:「発」は「てへん」に「発」)ばね・200’を圧縮し、同様に,はね飛ばされる・・・・このくり返しとなるのである。」とあり、くり返しとあるから当該運動は停止するための作用が働かなければ継続されることとなる。
請求項1に記載された事項は、初期状態においては天秤は静止状態にあって、当該天秤は引き下げ力によって運動エネルギーを付与することにより揺動が開始されるから、天秤に与えられる運動エネルギーはこの引き下げ力で付与されるもののみである。仮に揺動が開始されるとしても、外部から他にエネルギーを与えられることなく、駆動軸800に結合された負荷、及び摩擦等による損失により運動エネルギーが失われることにより天秤の動作は停止し、揺動を継続することはできない。
更に、請求項1に記載された事項では、落下片への引き下げ力、ネオジム磁石の吸引力、落下片の位置エネルギーに関わる重力、反発ばねの反発力が作用する。このうち、ネオジム磁石、重力、反発ばねは、それ自体でエネルギーを発するものではないから、外部から加えられるのは落下片への引き下げ力による運動エネルギーだけであり、仮に揺動が開始されるとしても、外部から加えられる運動エネルギーは外部負荷、摩擦等の損失により消費され、左右に設けられたネオジム磁石の吸引力のバランスがとれた箇所で落下片は停止し、揺動を継続することはできない。
なお、ネオジム磁石の磁力について特定はないが、通常ネオジム磁石のNS間には強力な吸引力が働き、落下片への引き下げ力による天秤の最初の回動で、ゴムパッキン、反発ばねに関わらず、ネオジム磁石の吸引力が勝って、落下片が受止台に近接して天秤が停止し、以降揺動が継続することはない。
そうすると、請求項1に記載された事項は、揺動が繰り返されるということは発生し得ないので自然法則に反するものであり、自然法則を利用した「発明」であるとは認められない。

理由2
特許法第36条第6項第1号は、特許請求の範囲の記載が「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」を求めている。
請求項2に「アーム・400,400′の中心のリブ・500の中は空洞になっておりブースタ液・600が入っており間仕切・501,502,502′で仕切られており,ブースタ液・600の注入口・601,エアードレーンのパイプ・602が取付られており,ブースタ液が勢よく落下側に流入する様になっているのである。」とあるが、当該記載に対応する記載は発明の詳細な説明に記載されていない。
したがって、請求項2の記載は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由3
特許法第36条第6項第2号は、特許請求の範囲の記載が「特許を受けようとする発明が明確であること」を求めている。
請求項1の記載では、請求項1に記載された事項のカテゴリーが、物を対象としたものか、方法を対象としたものか、物を生産する方法を対象としたものか特定できず不明である。
請求項2には、冒頭に「またアーム・400・400’の中心に」と「また」との記載があるため、請求項2は請求項1を引用するものか、請求項1を引用せずに独立項であるのか特定できず不明である。
したがって、請求項1、2に記載された事項は、明確ではないから、特許法第36条第6項第2に規定する要件を満たしていない。


5.むすび
したがって、特許請求の範囲の記載は発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許請求の範囲の記載された事項は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、また、請求項1に記載された事項は、自然法則を利用した「発明」とは認められないから、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-05-01 
結審通知日 2020-05-12 
審決日 2020-05-29 
出願番号 特願2017-82377(P2017-82377)
審決分類 P 1 8・ 14- Z (H02K)
P 1 8・ 537- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 聡遠藤 秀明  
特許庁審判長 佐々木 芳枝
特許庁審判官 堀川 一郎
柿崎 拓
発明の名称 クリーンエネルギージェネレイタ  
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