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審決分類 審判 全部無効 利害関係、当事者適格、請求の利益  A41D
管理番号 1364539
審判番号 無効2019-800012  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-02-13 
確定日 2020-06-29 
事件の表示 上記当事者間の特許第6188984号発明「抗ウイルス性衛生マスク」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6188984号(以下「本件特許」という。)に係る主な手続の経緯は、以下のとおりである。

平成28年 10月27日 本件特許出願の原出願(特願2017-513167号)(パリ条約による優先権主張平成27年10月30日(特願2015-214479号)、日本国)
平成29年 3月10日 本件特許出願(特願2017-46177号)
平成29年 8月10日 設定登録(特許第6188984号)
平成31年 2月13日 審判請求書(請求人)
平成31年 3月25日付け 手続補正指令
平成31年 4月26日 手続補正書(請求人)
証拠説明書(1)(請求人)
証人尋問申出書、尋問事項書(請求人、本人:善林隆充)
証人尋問申出書、尋問事項書(請求人、証人:寺内徳樹)
証人尋問申出書、尋問事項書(請求人、本人:長竹一郎)
証人尋問申出書、尋問事項書(請求人、証人:蜷川博生)
令和 元年 7月 31日 審判事件答弁書(被請求人)
証拠説明書(1)(被請求人)
本人尋問申出書、尋問事項書(被請求人、本人:長竹一郎)
令和 元年 10月 3日付け 審理事項通知
令和 元年 10月23日 口頭審理陳述要領書(請求人)
令和 元年 11月 6日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
証拠説明書(2)(被請求人)
証人尋問申出書、尋問事項書(被請求人、証人:平山俊夫)
令和 元年 11月12日 応対記録(口頭審理当日進行メモのFAX送付)
令和 元年 11月14日 第1回口頭審理及び証拠調べ(本人尋問、証人尋問)
上申書(被請求人)
証拠説明書(3)(被請求人)
令和 2年 1月20日付け 審理事項通知
令和 2年 1月29日 口頭審理陳述要領書(2)(被請求人)
令和 2年 2月 3日 第2回口頭審理及び証拠調べ(証人尋問)

以下、「甲第1号証」、「乙第1号証」等を、「甲1」、「乙1」等と略記する。
平成31年4月26日付け手続補正書で補正された審判請求書を、「請求書」と略記し、令和元年7月31日付け審判事件答弁書を「答弁書」と略記する。
また、請求人又は被請求人が提出した「口頭審理陳述要領書」又は「口頭審理陳述要領書(2)」を、「請求人陳述要領書」、「被請求人陳述要領書」又は「被請求人陳述要領書(2)」という。
摘記事項における「・・・・・・」は、記載の省略を表す。丸数字は、「丸1」等と表記する。

第2 本件発明及び本件特許明細書の記載事項
本件特許の請求項1?5に係る発明は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された次のとおりのものである。
以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件発明1」といい、本件特許の請求項1?5に係る発明をまとめて「本件発明」という。

「【請求項1】
抗ウイルス剤を施したニット布地と、抗ウイルス剤を施さないニット布地との2層以上の布地から成り、
鼻部、下顎部、左右の両耳介部を覆う形態で、表側に前記抗ウイルス剤を施したニット布地を、前記鼻部及び前記下顎部と接する内側には前記抗ウイルス剤を施さないニット布地を重ねてマスク本体を形成し、
該マスク本体には、
鼻頂部、左耳介部の外側、下顎部、右耳介部の外側を結ぶ周縁に沿ってニット布地で一定厚みの縁取を形づくる枠体を形成し、
中央部には、前記鼻部の鼻下及び唇部を覆って空間を形づくる非伸縮性の接合部を形成した、
ことを特徴とする抗ウイルス性衛生マスク。
【請求項2】
前記ニット布地をポリエステル繊維とし、接合剤として糊性を備えたアクリル樹脂を付着させたことを特徴とする請求項1記載の抗ウイルス性衛生マスク。
【請求項3】
前記縁取を形成する前記枠体を、帯体のニット布地をバインダー仕上げとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の抗ウイルス性衛生マスク。
【請求項4】
前記マスク本体において、前記左右の両耳介部の内側に前記枠体を形成したことを特徴とする請求項1?3のうちいずれか記載の抗ウイルス性衛生マスク。
【請求項5】
前記接合部を、外膨らみの扇形に裁断した二つのニット布地を合わせ、その合わせ部を本縫いし、左右に開いた端部をステッチ縫いで割縫2本ステッチとして非伸縮性に縫合したことを特徴とする請求項1?4のうちいずれか記載の抗ウイルス性衛生マスク。」

第3 当事者の主張の要旨及び証拠
1 請求人の主張の要旨及び証拠
(1)請求人は、「特許第6188984号の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された発明についての特許を無効にする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めている(請求書の「6」)。

(2)請求人が主張する無効理由は、以下のとおりである(請求書の「7の(3)」)。
[無効理由]
本件特許の特許権者である被請求人は、発明者から特許を受ける権利を承継していない者であって、本件特許は、前記特許を受ける権利を承継していない者による特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第6号に該当し、無効とすべきである。

(3)請求人が提出した証拠は以下のとおりである。
甲1:特許第6188984号公報
甲2:ウェブページ印刷物(会社案内 さわやか保険プラン(株))
甲3:経営革新計画に係る承認申請書,平成27年8月31日
甲4:電子メール(件名:Re:海外販売のマスク)印刷物
甲5:電子メール(件名:連絡)印刷物
甲6:電子メール(件名:Re:マスクサンプル)印刷物
甲7:電子メール(件名:Fw:パッチテスト最終報告書草案について)印刷物
甲8:最終報告書草案 K-125-100後加工靴下の皮膚貼付試験,作成日2015年9月,株式会社生活科学研究所
甲9:電子メール(件名:Fw:パッチテスト最終報告書草案について)印刷物
甲10:FAX印刷物
甲11:訴状(特許権侵害差止等請求事件),平成29年12月22日付
甲12:原告第1準備書面(平成29年(ワ)第43269号 特許権侵害差止等請求事件)
甲13:認証書(抗ウイルス加工),発行日:平成28年2月2日,一般社団法人繊維評価技術協議会
甲14:SEKマーク繊維製品認証基準 改訂日:平成29年4月1日,一般社団法人繊維評価技術協議会
甲15:ウェブページ印刷物(各種試験データ|facewear<フェイスウェア>)
甲16:特開2017-133137号公報
甲17:陳述書,令和元年10月21日,寺内徳樹
甲18:判決(知的財産高等裁判所 平成27年(行ケ)第10230号 審決取消請求事件)

甲1?16は請求書に添付して提出されたものであり、甲17及び18は請求人陳述要領書に添付して提出されたものである。
甲1?18の成立につき当事者間に争いはない(第1回口頭審理及び証拠調べ調書の「被請求人」欄の「2」)。

2 被請求人の主張の要旨及び証拠
(1)被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、無効理由は存在しないと主張している(答弁書の「第6」)。

(2)被請求人は、請求人は、特許を受ける権利を有しておらず、請求人適格を有するとはいえないから、本件無効審判請求は、審決をもって却下すべきである旨を主張している(被請求人陳述要領書(2)の第6)。

(3)被請求人が提出した証拠は以下のとおりである。
乙1:判決(東京地方裁判所 平成29年(ワ)第43269号 特許権侵害差止等請求事件)
乙2の1:被告ら準備書面(2)(平成29年(ワ)第43269号 特許権侵害差止等請求事件)
乙2の2:被告ら証拠説明書(2)(平成29年(ワ)第43269号 特許権侵害差止等請求事件)
乙3:被告ら準備書面(1)(平成29年(ワ)第43269号 特許権侵害差止等請求事件)
乙4:履歴事項全部証明書(被請求人),平成29年11月1日,宇都宮地方法務局足利支局登記官五月女進
乙5:特願2015-214479号願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、図面
乙6:電子メール(件名:Re:ちらし、パッケージ案)印刷物
乙7:下野新聞 「ニットで抗菌性マスク」,2016年3月25日
乙8:栃木南部よみうりタイムス 「繊維のまち足利発! 抗ウイルスニットマスク誕生「フェイスウェア」」,2017年
乙9:読売新聞 「足利発高性能マスク人気」,2017年1月30日
乙10:「とちぎテレビ」の「インフルエンザが流行 予防対策は」と題する番組の静止画,URL:https://www.youtube.com/watch?v=kXcW_awGrR0&feature=youtu.be
乙11:「確認事項」と題する書面,平成28年6月28日
乙12:足利商工会議所会報「友愛」第765号,平成29年1月1日
乙13:足利商工会議所会報「友愛」第769号,平成29年4月20日
乙14:下野新聞 「抗ウイルス繊維製品化 マルゼン、SEK認証取得」,2017年3月23日
乙15:電子メール(件名:FW:使用対価の件)印刷物
乙16:履歴事項全部証明書(株式会社グローバルリサーチラボラトリーズジャパン),平成26年10月3日,宇都宮地方法務局足利支局登記官和田孝雄
乙17の1:「ラジュニールシリーズは肌本来の免疫力に着目しました」と題する書面,株式会社グローバルリサーチラボラトリーズジャパン
乙17の2:請求書,平成17年8月29日,クロスオーバープロジェクト 松井和義
乙17の3:請求書,平成17年9月5日,クロスオーバープロジェクト 松井和義
乙18:分析試験成績書,平成16年6月15日,財団法人日本食品分析センター
乙19:試験報告書,平成16年6月25日,財団法人日本食品分析センター
乙20:試験報告書,平成17年12月20日,株式会社ニコダームリサーチ
乙21:光毒性試験に関する報告書翻訳,2006年1月31日,アルゴInc.
乙22:連続皮膚刺激性試験に関する報告書翻訳,2006年1月31日,アルゴInc.
乙23:皮膚一次刺激性試験に関する報告書翻訳,2006年1月31日,アルゴInc.
乙24:皮膚感作性試験に関する報告書翻訳,2006年1月31日,アルゴInc.
乙25:ウサギ眼刺激性試験に関する報告書翻訳,2006年1月31日,アルゴInc.
乙26:光感作性試験に関する報告書翻訳,2006年1月31日,アルゴInc.
乙27:経口毒性試験に関する報告書翻訳,2006年1月31日,アルゴInc.
乙28:製品安全データシート,2006/02/25,株式会社グローバルリサーチラボラトリーズジャパン
乙29:陳述書,令和1年10月29日,弁理士平山俊夫
乙30:意匠登録第1558559号公報
乙31:「とちぎテレビ」の「インフルエンザが流行 予防対策は」と題する番組の静止画,URL:https://www.youtube.com/watch?v=kXcW_awGrR0&feature=youtu.be
乙32:電子メール(件名:マスク単価の件)印刷物
乙33:判決(知的財産高等裁判所 平成21年(行ケ)第10379号 審決取消請求事件)
乙34:領収書,平成27年10月13日,平山特許事務所
乙35:領収書,平成27年10月29日,平山特許事務所

乙1?28は答弁書に添付して提出されたものであり、乙29?33は請求人陳述要領書に添付して提出されたものであり、乙34及び35は令和元年11月14日付け上申書に添付して提出されたものである。
乙1?35の成立につき当事者間に争いはない(第1回口頭審理及び証拠調べ調書の「請求人」欄の「2」)。

第4 本案前の主張(請求人適格)について
被請求人は、本案前の主張として請求人が請求人適格を欠く旨主張しているので、まず、請求人適格について検討する。

1 当事者の主張
(1)被請求人の主張
被請求人は、請求人適格について、以下の主張をしている。
「請求人代表者善林氏は、本件発明の技術的特徴部分を創作しておらず、本件発明の発明者ではないから、請求人である株式会社マルゼンは、本件発明の特許を受ける権利を有していないことが明らかである。
そうすると、本件特許が法123条1項6号に該当することを無効理由として請求された本件審判において、請求人は請求人適格を有するとはいえず、本件審判の請求は、法123条2項の要件を欠く不適法なものである。
よって、本件審判の請求は不適法であって、その補正をすることができないものであるから、法135条の規定により、審決をもってこれを却下すべきである。」(被請求人陳述要領書(2)の「第6」)

(2)請求人の主張
請求人は、請求人が本件発明の特許を受ける権利を有していることに関して、概ね、以下ア.?エ.の主張をしている。
なお、当審合議体は、請求人に対し、請求人が本件発明の特許を受ける権利を有していることのさらなる立証を促した(令和元年11月12日付け応対記録に添付の口頭審理当日進行メモの「3.」及び令和2年1月20日付け審理事項通知の「第1」)が、請求人は、第2回口頭審理における陳述要領書を提出せず、その後の書面の提出は行わない旨を述べた(第2回口頭審理及び証拠調べ調書の「審判長」欄の「1」)。

ア.請求人代表善林氏は、株式会社CSL(蜷川博生氏)及びハラダ株式会社とともに、遅くとも平成27年7月の時点で、抗ウイルス剤(薬剤K-125)の研究開発、並びに、該抗ウイルス剤を用いた繊維製品の開発を行っており(甲3?9)、その繊維製品の中には、本件発明に係る「抗ウイルス性衛生マスク」も含まれていた(甲4)(請求書の「7(4)丸3(a)?(j)」)。

イ.抗ウイルス剤(K-125)並びにそれを使用した繊維製品に関する発明について、請求人は、株式会社CSL及びハラダ株式会社との共願で、特許出願を行っており(甲16)、その初稿原案については、平成27年8月31日の時点で完成していたところ、請求人代表善林氏は、当該初稿原案を印刷し、本件特許の出願日以前に株式会社徳光の寺内社長に手渡しており、被請求人代表長竹氏は、寺内社長を介して当該初稿原案の内容を取得し、本件特許の内容として反映させたことも疑われる(請求書の「7(4)丸4(b)」)。

ウ.本件特許の発明者として長竹氏と共に名を連ねる寺内氏は、株式会社徳光の代表であって、被請求人に係る会社設立当時の役員であったが、現在は被請求人会社を辞めている。当該寺内氏からは、「マスクの縫製を行うことで、抗ウイルス性衛生マスクの製造に携わっているという意味では、自身が発明者の一人になり得ることはあっても、被請求人に特許を受ける権利を譲渡した覚えは一切ない。しかも、マスクの縫製は、被請求人の立場ではなく、株式会社徳光の立場で行われたものである。」との証言を得ている(甲17)(請求書の「7(4)丸4(h)」)。

エ.寺内氏は、本件特許の請求項1に記載された構成のうち抗ウイルスに係る事項以外の構成、即ち「2層以上の布地から成り、鼻部、下顎部、左右の両耳介部を覆う形態で、表側と内側にニット布地を重ねてマスク本体を形成し、該マスク本体には、鼻頂部、左耳介部の外側、下顎部、右耳介部の外側を結ぶ周縁に沿ってニット布地で一定厚みの縁取を形づくる枠体を形成し、中央部には、前記鼻部の鼻下及び唇部を覆って空間を形づくる非伸縮性の接合部を形成したマスク」との構成は、その全てが過去に多くのマスク製造に携わったことによる株式会社徳光としてのノウハウであって、株式会社徳光が開発・製造した構成態様をそのまま被請求人代表長竹氏が請求項として記載したにすぎないものであり、被請求人代表長竹氏の様なマスクの製造に一切携わったことのない者が独自で想到し得る構成態様では決してない、と述べている(請求書の「7(4)丸4(j)」)。

2 甲3?甲9、甲16、甲17の記載事項
上記1(2)で示した請求人の主張で言及されている甲3?甲9、甲16、甲17の主な記載事項は以下のとおりである。
(1)甲3記載事項
ア.「申請者名:株式会社マルゼン」、「実施体制 丸ホームテキスタイル株式会社・ハラダ株式会社・株式会社CSLと共同開発により抗ウィルスと消臭を併せ持った生地を開発して、その生地で繊維製品開発を実施します。・・・」、「経営革新計画のテーマ:抗ウィルス性・消臭性生地、超撥水制菌加工生地による繊維製品の開発」、「抗ウィルス性と消臭性を併せ持つ生地による繊維製品の開発と、超撥水制菌加工生地による繊維製品の開発により、介護・医療業界に高付加価値製品を提供することが、当社の経営革新です。」(2頁(別表1))

イ.「今回開発しています生地を使用して、抗ウィルス及び消臭性を併せ持つ生地を使用した高付加価値の寝具・寝装類の製造・販売をいたします。
この抗ウィルス性と消臭性を併せ持つ生地の開発にあたり、薬剤を開発しました蜷川先生は・・・、この薬剤の特許申請を、3社で共同で出しましょうと提案をいただきました。そして、ハラダ株式会社の原田社長、株式会社CSLの蜷川先生、株式会社マルゼン善林の3社で協同出願することとなりました。また、この蜷川先生の作りました「ヴィステッド」という薬剤自体の特許も出願することになりました。そのため、この薬剤の関連商品も今後当社で実用新案特許出願することになります。」(8頁下から5行?9頁4行)

(2)甲4記載事項
ア.「差出人:“(株)マルゼン 善林隆充”・・・
件名:Re:海外販売のマスク
寺内社長様
下記の件
ニットマスクのOKが出ましたので、商品開発をしなければなりません。
薄手のニット生地を加工する方法を検討します。・・・」(1/5頁)

イ.「From:吉井 稔
・・・
善林様
ニットのマスク、OKです。・・・」(1/5頁)

ウ.「2015/07/13 18:41、(株)マルゼン 善林隆充・・・のメッセージ:
吉井様
・・・
実は急な話ですが、当社取引先でこのウィルスデッドでニット生地を加工して海外向け(中国)でマスクを作りたい旨の話が持ち上がっております。
もし、マスクは不織布ではなくニット生地です。
場合によりニット生地ですので、カットしてからスプレーで薬剤とバインダーで付着させ後加工でマスクを縫製することが可能ならこれを輸出したいと考えています。
販売は可能でしょうか。?」(1/5頁?2/5頁)

(3)甲5記載事項
「差出人:“(株)マルゼン 善林隆充”・・・
蜷川先生
・・・
追伸
当社の取引もある会社でマフラーを販売している会社が・・・名前は株式会社徳光といいます。
・・・
実は海外はこの会社が以前から知り合いの中国の会社が中国国内でネット販売をしており、そこでマスクの販売をしているとのことから日本で作って輸出できるなら、買いたいとのことでした。
・・・
当社が扱いたい商品

寝具 羽毛布団・肌掛け・パッド・枕など
カバー関係 布団カバー・シーツ・ピロケースなど
生地の加工先 シキボウの予定

マスク ニット系生地にヴィスデッド加工
国内作業」(1/2頁)

(4)甲6記載事項
「From:(株)マルゼン 善林隆充
・・・
藤原様
毎々お世話になります。
本日マスクのサンプルを出荷しました。
生地はSEK 赤マークの生地で縫製しました。
この生地は当社のオリジナル生地で当社が在庫している生地ですので生地リスクはありません。
・・・
当社も例のヴィスデッドのニット生地でマスクを作るように昨日データを出しました。」(1/2頁)

(5)甲7記載事項
「差出人:“ハラダ(株) 瓦谷”・・・
(株)CSL蜷川様 (株)マルゼン 善林社長様
いつもお世話になります。
k-125-100のパッチテスト検査報告書になります。
ご確認をお願い致します。」(1/4頁)

(6)甲8記載事項
「表 題:k-125-100 後加工靴下の皮膚貼付試験

要 約:k-125-100 後加工靴下について、ヒト皮膚に対する48時間の閉塞貼付を実施した結果、被験者20名全員に皮膚反応は認められなかったため、「安全品」と分類された。」(2頁)

(7)甲9記載事項
「差出人:“(株)マルゼン 善林隆充”・・・
パッチテスト合格しました。」(1/1頁)

(8)甲16記載事項
ア.「(71)【出願人】
【識別番号】511190018
【氏名又は名称】株式会社CSL
【住所又は居所】愛知県名古屋市名東区明が丘113サン季世401
(71)【出願人】
【識別番号】504446180
【氏名又は名称】ハラダ株式会社
【住所又は居所】奈良県桜井市大字大福934?1
(71)【出願人】
【識別番号】594025069
【氏名又は名称】株式会社マルゼン
【住所又は居所】栃木県宇都宮市問屋町3413-51
(74)・・・
(72)【発明者】
【氏名】蜷川博生」

イ.「【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸銀、アミノ酸亜鉛および銅イオンを含むことを特徴とする繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項2】
アミノ酸銀およびアミノ酸亜鉛のアミノ酸は、L-ピロリドンカルボン酸であることを特徴とする請求項1の繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項3】
銅イオンは、ピロリドンカルボン酸銅によるものであることを特徴とする請求項1または2の繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項4】
さらに、硫酸を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかの繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項5】
さらに、N-長鎖アシルアミノ酸カリウムを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかの繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項6】
さらに、グルタミン酸を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかの繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項7】
さらに、クエン酸を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかの繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項8】
繊維に、請求項1から7のいずれかの繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物が塗布または含浸されていることを特徴とする繊維製品。」

ウ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物および繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、微粒子状の銀や亜鉛などの金属を含む抗菌・抗ウイルス性組成物が知られている(例えば特許文献1?6など)。
【0003】
また、例えば、抗菌・抗ウイルス性を有する繊維製品も提案されている(特許文献7、8)。」

エ.「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1?6の抗菌・抗ウイルス性組成物を繊維に塗布などした場合、抗菌・抗ウイルス性成分が繊維から脱落しやすく、抗菌・抗ウイルス性を長期間に亘って維持することは難しい。また、抗菌・抗ウイルス性組成物に銀などの金属が含まれる場合、変色が生じる恐れがある。
【0006】
また、特許文献7、8の繊維製品の場合も、抗菌・抗ウイルス性成分が繊維から脱落しやすく、また、抗菌・抗ウイルス性効果も次第に低下していくという問題がある。さらに、特許文献7、8の繊維製品の場合、染料や顔料を用いての染色や、柔軟化、加工溶剤の使用などによっても抗菌・抗ウイルス性効果が阻害される恐れがあるため、使用可能な材料が大きく制限されてしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、抗菌・抗ウイルス性成分の繊維からの脱落や変色が抑制され、優れた抗菌・抗ウイルス効果を長期間維持することができ、使用可能な材料の制限も少ない繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物と、この繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物が塗布または含浸された繊維製品を提供することを課題としている。」

オ.「【0029】
本発明の繊維製品は、上記の通りの抗菌・抗ウイルス性組成物が、繊維に塗布または含浸されている。
【0030】
繊維製品は、抗菌・抗ウイルス性組成物が塗布または含浸された繊維を少なくとも一部に含み、糸、織編物、ウェブ、不織布、紙、ネット等に成形されたものを材料とすることができる。具体的には、例えば、繊維製品としては、例えば、衣類(帽子、手袋、ハンカチを含む)、寝具(布団、枕を含む)、カーテン、壁紙、カーペット、マット、シーツ、フィルター、マスク、ワイパー、タオル、防護衣類、防護ネットなどを例示することができ、日常の生活に供され、生活空間に飛散浮遊する菌やウイルスを不活化させることができる。」

(9)甲17記載事項
「陳述書

特許第6188984号にかかる発明「抗ウイルス性衛生マスク」に関し、自らの技術多経験を活かし、抗ウイルス性衛生マスクの製造(縫製)を行いました。
マスクの縫製を行うことで、抗ウイルス性衛生マスクの製造に携わっているという意味では、自身が発明者の一人になり得ることはあっても、株式会社ジムウェイに特許を受ける権利を譲渡した覚えは一切ありません。
尚、株式会社ジムウェイは、マスクの販売を行う、いわゆる販売代理店の様な会社として、長竹一郎氏と共同して設立しました。
私は、株式会社ジムウェイの設立当初からの役員として在籍しておりましたが、そもそもは生地縫製を主たる業務とする株式会社徳光の代表であり、そちらが専門であります。したがいまして、マスクの縫製は、株式会社ジムウェイの役員としての立場ではなく、株式会社徳光の代表としての立場で、専門的知識を駆使して行われたものであり、その結果、本件発明が完成したものと考えております。

以上、陳述いたします。

令和 元年10月21日

住所(居所) ・・・
氏名(名称) 株式会社 徳光
(代表者) 代表取締役 寺内徳樹」

3 当事者及び証人の証言
請求人が本件発明の特許を受ける権利を有しているかに関する当事者及び証人の証言は以下のとおりである。なお、当事者及び証人は、いずれも、特許庁審判廷において宣誓の上、以下のとおり証言した。証言中の番号は反訳書面による。
(1)当事者(被請求人代表者):長竹一郎
ア.「被請求人代理人弁護士 平田 慎二
・・・
008 それでは、本件発明のマスクの開発の経緯について伺っていきます。まず、本件発明のマスクの構造の特徴として、鼻部、下顎部、左右の両耳介部を覆う形態というものがありますけれども、これはどのようにして考えたんでしょうか。

製品名にもついているんですけども、「フェイスウェア」という名前がうちで商標もとっているんですが、マスクを使おうと思ったときに、顔をすっぽり覆うようなものがいいなというふうに考えました
フェイスウェアという名前は、顔に着る服というふうに考えたんですけども、通常、例えば一般的にマスクというのは不織布のマスクで、こういう形でちょっとつける形なんですが、こちらのマスクは、例えば一般的に人間て下着とかシャツとかパンツとか着るんですけども、顔につける下着というのがないんです。顔って非常に大切なものだと思ったので、顔につける下着をつくればマスクとして非常に有効であるなというふうに考えまして、その下着をつくるという発想から開発を始めました。
その下着についてなんですけど、もともとフェイスウェアという名前をつけたときも、初めは中国で販売するということもあったんですが、最終的には世界中で売りたいと、特に欧米に売りたいという希望がありまして。もともとマスクは欧米ではほとんどつけるものではなかったので、最終的に欧米で売れればビジネス的に成功するなというふうに考えました。
そのときに、欧米で売るためにどういうマスクがいいかというふうに考えたときに、まず形とかそういったものなんですけども、欧米のマスクっていうと鉄仮面っていうイメージがあるので、鉄火面というとちょっと変だなと思ってたんですけど。これご存じないかもしれませんけど、漫画に「コブラ」っていう漫画があって、ちょっと古い漫画なんですけど、そこにレディという鉄火面をつけたような女性が出てくるんですけど、そのマスクの形状が非常に顔をすっぽり覆ってて快適に見えまして、そのレディというのを参考にして開発を始めたので、そういった覆うような形のものができました。

009 それでは、本件発明のマスクの特徴である、表側に抗ウイルス剤を施したニット布地を使って、鼻部、下顎部と接する内側には抗ウイルス剤を施さないニット布地を重ねるという構造を考えたのはなぜでしょうか。

抗ウイルスマスクが直接肌に触れると、肌が荒れてしまったりとか、何かトラブルが発生してしまう可能性がありますので、肌に触れる面は抗ウイルス剤がつかないような構造にするために、表側には抗ウイルス剤が加工された生地を使って、裏側には普通の生地を使うと、普通のパンツとかシャツとかを着るような感覚で使ったということです。そういう理由です。

010 続いて伺います。本件発明のマスクはニットを採用しているんですけれども、ニットを採用した理由っていうの何かあるんでしょうか。

最初に中国で販売するということでしたので、中国ではニットマスクが主流でしたので、ニットを使いました。

011 ほかに何か理由はありますか。

ニット製ですと、先ほど言いました顔に着る服というイメージでしたから、伸びたり縮んだりしてフィットするというふうに思ったからです。

012 フィットするために伸縮性のあるニットを使ったということでしょうか。

はい、そうです。

013 それでは、続いて、本件発明のマスクの中央部には、鼻部の鼻下及び唇を覆って、空間を形づくる非伸縮性の接合部が設けられていますが、これの開発のきっかけを教えてもらえますか。

息苦しくないようにするためです。

014 それはどのようなことがあるから息苦しくならないというふうに考えたんでしょうか。

例えば普通のニットのマスクをつけますと、何もないとぴちっとなっちゃって、ぴったりしてしまって、要するに会話ができないとか呼吸しづらいので、やはり口元に空間があったほうが、当然、呼吸もしやすいですし、会話もしやすいです。ですから、そのために、口元に空間があるためにどういう構造がいいかということでこちらのほうに、そういう形にしました。

015 では、続いて、次の質問ですけれども、本件発明のマスクの構造として、外周円が枠体になっているという構造があるんですけども、枠体を採用した理由っていうのは何でしょうか。

ぴったりフィットするためには枠体といいますか、そうですね、枠体というものが必要だったからです。

016 ぴったりフィットっていうのは、枠体によって隙間がなくなるということでしょうか。

はい、そうです。鼻のここの部分、マスクをすると、一般的なマスクもそうですけど、そのマスクも、試作をしたときにやっぱりここの部分とここの鼻の……。

被請求人代理人弁護士 弓削田 博

017 ここの部分じゃわからない。

鼻と?の部分ですね、この空間と、耳の部分の空間がどうしてもあいてしまうので、そこを絞るというか、閉じるためには枠体を使ったほうがぴしっとくるということで考えました。」

イ.「被請求人代理人弁護士 平田 慎二
・・・
022 では、次の質問に移ります。
長竹さんが被請求人の会社であるジムウェイを設立した理由というのは何でしょうか。

ニットマスクを事業としていくためです。

023 そのニットマスクというのは、先ほどおっしゃっていたフェイスウェアという商品のことですね。

はい、そうです。

024 ジムウェイの設立時の取締役は長竹さんともう一人、寺内さんという方が入っているんですけども、寺内さんが役員に入った理由というのは何でしょうか。

もともとこのニットマスクをする前に、以前もともと善林さんのほうから生地を提供していただけるという話があって、じゃマスクを開発しようということで少し進めてたんですけども、実際に設立したのは10月1日なんですが、そのときに、もともと寺内さんというのは株式会社徳光の代表者でしたので、繊維関係の仕事をしてました。
それで、繊維関係の仕事をしているので、徳光さんがやるんだったらば別に私は手を引きますよと。別に繊維関係の仕事、私は違う仕事もやってますので、しなくてもいいんですよと。ただ、寺内さんのほうが私に手伝ってほしいんだったらば、じゃ一緒にやる、条件て変なんですけど、条件として新しい新会社をつくって、そこに2人で出資をして半分ずつ株を持って、出資をして、取締役として2人で入って、そこで会社に権利を持たせて、それで事業をしていきましょうと、そういう形であれば私もお手伝いしますよということがきっかけです。

025 要はフェイスウェアという商品を売っていく際に、権利を一元化してジムウェイに保有させるという目的があったということでしょうか。

はい、そうです。」

ウ.「026 それでは、乙第5号証の特許出願の件について伺いますけれども、まず、この出願の代理人は平山弁理士という方ですけれども、平山弁理士の事務所を選んだ理由は何ですか。

株式会社マルゼンの善林さんから、普段使ってる弁理士さんは平山先生ということでご紹介いただきまして、もともとジムウェイがニットマスクを使用するのに、いろんな権利を出願するので、どこでやってるんですかということでご紹介いただいて、平山先生のところに訪ねていきました。

027 平山弁理士のところに訪ねた時期はいつごろでしょうか。

27年の10月13日です。

028 そのときにはどのような話をしましたか。

特許とか意匠を出願してほしいということで、私と寺内さんと2人で行って、株式会社ジムウェイを出願人として特許出願してほしいというふうに依頼をしました。

029 長竹さんと寺内さんが一緒に行ったということでしょうか。

はい、一緒に行きました。

030 寺内さんはじゃどのような話をしていましたか。

株式会社ジムウェイを特許出願人として特許を出願してほしいと話しました。

031 そのときにはお二人で本件発明のマスクの内容を平山弁理士に説明していたんでしょうか。

はい、そうです。

032 どのように説明したか具体的にご説明いただけますか。

今言ったようなことを、その物、実物を持っていってお話をさせていただいて、実際このマスクはこういうふうにつくりましたっていうのを、いろんなつくった工程をお話ししてご説明さしあげました。それから、縫製の仕方とか、どんな番手の糸を使ったのか、そういう生地については寺内さんのほうで説明していただきました。
その特許をとにかく急いで出してほしいと、私もお願いしたんですけど、寺内さんのほうがすごく急いでいたので、とにかく急いで急いでということだったんで、とにかく特急でやってほしいというのはすごく覚えてまして、私も何でそんなに急ぐんだろうぐらいな気持ちはあったんですが、とにかくそこに行って話をしたときに、もう1人、男性の方がいて、その話をもとにして、針金みたいなものを持ってきていただいて、マスクを針金に当てて、こうだね、ああだね、こうだね、ここはこうなってるね、ここはこうなっているね、ここは何でこうしたのっていうのをずっと説明をしながら、特許の文書を書いていったという記憶があります。

033 マスクに関する縫製の技術は寺内さんが説明したということですけれども、アイデア自体は誰が説明したんですが。

私が説明しました。

034 長竹社長が、この構造のアイデアはこういう意味ですというふうな形で説明したということでしょうか。

はい、そうです。」

エ.「被請求人代理人弁護士 神田 秀斗

135 2点だけお伺いします。
先ほど針金を使って、平山弁理士の事務所の方がマスクの形態というものをやってたということをおっしゃってましたけれども、そのときに、その前提としてですけれども、長竹さんと寺内さんとが、マスクの構造について平山先生の事務所の方に説明したということでよろしいですか。

はい。

乙第34号証を示す。

136 株式会社ジムウェイ様宛てになっていますね。

はい。

137 で、料金として30万円。これ、現金をお持ちしたということですね。

はい。

138 これは株式会社ジムウェイとして出願を依頼したから、ジムウェイ様宛てになっていると、そういう理解でよろしいですか。

はい。

139 それで10月13日に特許出願の内金として持っていったと、そういうことですね。

はい。

140 乙34号証に「特許出願内金」として書いてありますけど。

そのとおりだと思います。」

オ.「審判長 高山芳之

141 本件発明の一番のポイントはどこだというふうに思っていらっしゃいますか。

顔にぴったりするニット製のマスクって、まだそんなに日本でありませんでしたので、もちろん中国に販売するという形もありましたけども、使っていただいて物すごく心地がいいんですね。ですから、心地がいいマスクというところが一番のポイントかなというふうに考えていました。

142 そのポイントを考えたのはどなたですか。

私です。

143 特許明細書を拝見すると、本件発明は、先ほどからも出てますけども、ニットの布地を使っていると。

はい。

144 これも二層以上の布地を使っていると。

はい。

145 一番表側に抗ウイルス剤を施してあって、内側にはそういうものを施していないという構造になっているとなってますが、このアイデアを出したのはどなたですか。

私です。」

カ.「154 それから、長竹さんが発明をされたというこの特許発明、これについて特許を受ける権利を株式会社マルゼンさんにお渡ししたというようなことはありますか。

ありません。」

(2)証人:寺内徳樹
ア.「請求人代理人弁護士 松本 直樹
・・・
010 ジムウェイは、平成27年10月1日に設立されましたね。

はい。

011 どうしてだかご存じですか。

今回の事業をするに当たり、共同で販売をしましょうということで立ち上げました。

012 その設立時前後において、特許に関する権利関係をどうするかなど、長竹さんから説明がありましたか。

記憶では、特にそういうのはありません。

013 あなたは、ジムウェイの役員にも就任していますね。

はい。

014 理由を教えてください。

2人で設立ということで、代表者と専務ということでなったと思います。

015 あなたが名前を連ねるっていう理由は何ですか。

まあ製造する部門もあるのかなと思います。」

イ.「023 最終的に特許出願に出したマスクの構造というのは、どなたが考案したものですか。

形的には、つくる際、そういったもとがあってつくりましたが、その書類を提出するに当たって、長竹氏はいろんなものを見て、一緒にこの形を多分申請するに出したと思います。

024 あなたの陳述書を見ると、自らの技術や経験を生かしという記載があるんですが、具体的にどのような技術と経験が生かされていますか。

まず、縫製する作業、企画する作業、型をつくる作業、そういったものを自分の範囲内の親戚や外注先でつくれるものを持っているので、当社で全部企画、形をして、製品をつくり上げた、そういう技術を持っていると思います。」

ウ.「025 では、次に特許を受ける権利について伺っていきます。
端的に伺いますが、特許を受ける権利をジムウェイに譲渡したことはありましたか。

譲渡っていうことは頭にないんですが、特許や……特許を譲渡っていうことはありません。そういった譲渡した覚えはありません。」

エ.「030 平成27年10月13日、平山弁理士の事務所に行っていますね。

はい。

031 それは、長竹さんと2人で行ったということでよろしいですか。

はい。
・・・
035 なぜ平山先生の事務所に一緒に行くことになったんですか。

これは、マスクをつくるに当たり、まず商標登録と意匠登録とらないと周りにお話しすることもできない。まずはそれをとるために平山先生をマルゼンさんからのご紹介で、2人で急いでそれを申請しましょうということで私は行ったと記憶しております。

036 その申請の依頼は、意匠と商標だけなんですか。

と自分は自負してます。

・・・

039 その平山弁理士にいろいろな説明をするわけですが、それはどなたが、どういった説明をしましたか。

主に長竹氏のほうがそのデザイン性、間に私の話しすることがあっても、ほとんど長竹氏のほうが先生とのお話だと記憶しております。

・・・

乙第34号証を示す。

041 日付が平成27年10月13日、株式会社ジムウェイ様宛て。金額が30万円と書かれているんですが、この10月13日当日、30万円の支払いがあったということはよろしいですか。

はい。内金として持っているのをわかっていましたから、払ったのは記憶しております。」

オ.「被請求人代理人弁護士 平田 慎二
・・・
056 要は、特許出願に記載されているようなマスクの構造のアイデアは、長竹さんが考えたということでよろしいですか。

アイデアっていうより、記載したのは彼であって、図面をつくったのは、申請を、デザイン的には2人で考えてつくったと思ってます。

057 2人でデザインを考えたときには、どこで考えていたんですか。

会社、私の会社で考えていました。

058 考えたときには、サンプルを作製してたんですか。

はい。

059 そのサンプルを作製するときには、誰がアイデアを出していたんですか。

まず、自分でもとになる型を持ってましたから、その型をもって自分でまず最初のデザインはつくり上げました。」

カ.「乙第30号証を示す。

063 これは、あなたが平山弁理士に対して依頼した意匠出願の内容が記載されているということでよろしいですか。

はい。

064 この創作者は、長竹さんと寺内さん、そして権利者はジムウェイっていうことで間違いないですね。

はい。

065 つまり、あなたはこの意匠権に関してはジムウェイに権利を譲渡したということで間違いないですね。

そうですね。

066 では、乙30号証の意匠に係る物品の説明を読み上げます。「本願意匠は、表側布地には抗ウイルス剤が施され、内側にはこれが施されない抗ウイルス性の衛生マスクに関するものである。布地にニット布地を用い、外縁全体及び耳介部内側に同ニット布地の帯体をブリッジ縫いした枠体が形成され、中央部には本縫と左右にステッチ縫いした3本の縦線が形成される。」、この構造は現在問題になっている本件特許発明と同じ構造のマスクということでよろしいですね。

はい。」

キ.「審判長

121 ちょっと合議体のほうから質問をさせていただきます。
寺内さんは本件特許の公報によると、発明者として名前が載っております。したがって、本件発明に何らかの貢献をされて発明者として出ているんだと思いますが、発明をした後、この特許を受ける権利を株式会社マルゼンさんに譲渡をしたというような記憶はありますか。

ないですね。」

(3)当事者(請求人代表者):善林隆充
ア.「被請求人代理人弁護士 平田 慎二

028 あなたは、先ほど本件発明に関して、抗ウイルス剤を施したニット布地と抗ウイルス剤を施さないニット布地の2層以上のからなりっていう点と、表側にはウイルス剤を施したニット布状、鼻部、下顎が接する内側にはウイルス剤を施さないニット布地を重ねたということを発明したというふうにおっしゃいましたよね。

発明はしてません。これは周知の事実で、もうホームページ、SEKのホームページに出ています。

029 あなたはその発明をしたわけじゃなくて、ただホームページを見て……

そうです。

030 そうしただけだと。

はい。」

ウ.「審判長

甲第1号証を示す。

032 甲第1号証にあります、今回対象になっている特許権、特許請求の範囲は先ほども幾つか指示をされておりますけども、この中で本件発明のポイントになっているところはどこだというふうにお考えですか。

私は抗ウイルスだと思っていました。

033 抗ウイルスだと思ってらっしゃる。

はい。

034 その抗ウイルス剤について、善林さんはずっと研究をされてきたと。

抗ウイルス剤のもとをやっているのは蜷川先生と、それを生地に貼付して、それが10回、洗濯しても落ちちゃだめなんで、10回洗濯しても落ちないようにつくり上げるのが僕の役目だと。

乙第5号証を示す。

035 なるほど。先ほど来出ているように、乙の5号証とか、平山先生のつくった明細書とかを見ると、発明者は長竹さんと寺内さんだということになっていますが、善林さんも何かこの特許について貢献をしてらっしゃるというふうにお考えですか。

貢献とすれば、お手伝いといえば抗ウイルスの生地を提供しているというところだと思います。

036 発明者として何かかかわったということではないということでよろしいですか。

形については、私は縫製はしてませんので、うちの縫製の仕事をしてるのは、徳光さんはうちの下請企業なんですね。だから基本的には縫製は徳光に任せておりました。

037 本件甲1号証にある特許公報にあるこの特許権の発明者ではないということでよろしいですね。

全部を見たら発明者じゃないけども、私が言いたかったのは抗ウイルスの発明ではあるという。

審判官 渡邊豊英

038 先ほど抗ウイルス剤が特徴だというふうにおっしゃいました。それで、その抗ウイルス剤に関する表裏の関係ですとか、そういったものはもう知られている話で、私が発明したんじゃないというふうにもおっしゃいました。そうするとあなたは発明者ですか。

抗ウイルスの生地をつくる発明者ではある。

039 じゃ、本件発明ではないということ。

本件発明ではありません。」

(4)証人:蜷川博生
ア.「請求人代理人弁護士 松本 直樹
・・・
甲第1号証を示す。

002 これはごらんになったことありますか。

いえ、ありません。

003 本件で問題になっている特許ですが、この請求項の中で先生が関与されている部分てございますか。

ありません。」

イ.「審判長

019 先ほどごらんいただいた甲第1号証、初めて見たというふうにおっしゃっていた特許公報ですが、本件のこの特許について蜷川さんは発明者ではないということでよろしいですか。

この商品に対しての発明者じゃなくて、この液に関しては私自身が発明したもので、マスク自体は以前から販売してるんで、このマスクとして発明したものではありません。

020 本件特許について発明者ではないということでよろしいですね。

はい。」

(5)証人:平山俊夫
ア.「被請求人代理人弁護士 平田 慎二
・・・
乙第5号証を示す。

007 この特許出願書類は、平山さんがジムウェイの代理人として作成した書類ということで間違いないでしょうか。

はい。間違いありません。

008 それでは、この出願について伺っていきます。
この特許出願の依頼を受けた時期というのはいつごろでしょうか。

はっきり確定は今のところできませんが、この提出日、平成20年10月30日の10月の初旬だったと思います。

009 初旬ということでしょうか。それでは、依頼は誰から受けて出願することになりましたか。

依頼はジムウェイの社長さんと、社長の長竹さんと、専務の寺内さんが2人で来られまして、このお二人から依頼を受けております。

010 その長竹さんと寺内さんという人が来られたということですけれども、発明の内容は誰から聞きましたか。

発明の内容は、お二人から伺いましたが、主に寺内さんから伺ったと記憶しております。

011 では、長竹さんはどのような話をしていましたか。

マスクに詳しいのは寺内さんだったと思っております。長竹さんは、ほかに別の職業を持っていて、新たにこのマスクを立ち上げるのに、会社を興したという方だったので、マスクの詳しいことについては、寺内さんのほうが、だけども、アイデア的なものがたくさん出てきますから、それに対する一部のアイデアは長竹さんもあったというふうに記憶しております。

012 それでは、特許出願の時期なんですけれども、10月の初旬に依頼を受けて、提出が10月30日ということですけれども、その時期についてはどういうことを聞きましたか。

一刻も早くこのマスクを製造販売したいということなので、出願もできるだけ早くしていただきたいということで、10月初旬に来られて、10月の最後に出願しておりますので、かなりの特急でやったと思います。

013 それでは、10月の初旬の打合せの際に、代理することも決められたということでしょうか。

そうですね。来られたときに。代理するということで。

014 その際に、特許出願の出願人は誰にするように言われましたか。

記憶ですが、せっかく会社を立ち上げましたので、株式会社ジムウェイでやるということを、お二人から伺ったと私は記憶しておるんですが。

015 それでは、発明者の欄には誰を記載するように言われましたか。

発明をお二人から伺いましたので、発明者は長竹さんと寺内さんのお二人でということで決めたと思います。

016 出願人の名義と発明者の名義については、長竹さんと寺内さんから、そのように言われたということで。

お二人の合意だったと記憶しております。」

イ.「乙第34号証を示す。

017 この領収書は、平山さんが発行したもので間違いないでしょうか。

間違いありません。

018 では、その領収書の発行した趣旨を教えてください。

来られたときに、書類での出願をお願いしたいということで、アレンジしたら仕事に入る準備を整えないといけませんので、内金として30万、これは私からの要求か、長竹さんがお金を持ってこられていましたので、お支払いしたいということで、両者の合意で内金ということになったと思います。

乙第35号証を示す。

019 この領収者は、平山さんが発行したもので間違いないでしょうか。

そうです。間違いないです。

020 では、この領収書の発行趣旨も教えてください。

これは10月29日になっておりますので、出願日かな、これは、近い日ですから、仕事が終わって、意匠出願もやるよという準備で、でも、完全な領収金額ではないので、ここでも内金ということになっております。ただ、ほぼ内容的なお金は頂いたと思っております。

021 それで、10月29日に特許出願の料金をまたもらって、10月30日に特許出願をされているんですけれども、その出願書類を提出する前に、長竹さんと寺内さんに事前に書類は見せましたか。

見せたという書類はないんですが、私は、出願をする前には、必ず出願人、発明者の方に書類を見せて、それから出願というふうにしておりますから、見せたことは間違いない。ただ、それを証明しろと言われると、書類はちょっと今のところない。」

ウ.「請求人代理人弁護士 松本 直樹
・・・
乙第29号証を示す。

038 この陳述書、1番です。発明者を長竹氏及び寺内氏とし、特許出願人をジムウェイとすることに関し、そのことに対する特別な最終確認を両者からとったという記憶はありませんと書かれていますね。

はい。

039 これは先ほどのお話ですと、最終的な書類をお二人に見せたとおっしゃっていましたか。そのこととの関係はどうなりますか。

書類は、会社のほうに郵送したか、ファックスしたかだと思います。

040 その会社というのはジムウェイ宛てに。

そうです、そうです。

041 それは最終確認という理解になるんですか。

私としては最終確認で、それでオーケーですという返事が来たと思いますから。来なければ出願しませんので。したと思っております。

042 ただ、陳述書の1には、特別な最終確認をとったという記憶はありませんと書いてありますけれども。

これは、お二人を呼んで、発明者の2人に並んでもらって、出願人ジムウェイでよろしいですかという確認はしておりませんという意味でやりました。ただし、その後に書いていますが、最初に、お二人から会社、ジムウェイで出願したいという趣旨の内容は受けたと記憶しております。であるが故に、さっきの領収書も株式会社ジムウェイで発行しております。

・・・

046 ちょっと繰り返しになってしまうんですが、書類として最終確認をとったのは、先生からファクスか郵送でジムウェイ宛てに送ったということですね。

ジムウェイさん宛てにファクスもしくは郵送、どちらかだと思います。

047 それに対する返事というのは、電話だったんですか。

きっと電話だったと思います。

048 それはどなたからですか。

長竹さんだったと思います。

049 寺内さんからは。

聞いていないと思います。」

エ.「審判長

054 それでは、ちょっと合議体のほうからご質問させていただこうと思います。
先ほどお話ししていただいたように、本件特許の明細書を作ったときに、その発明者としてお名前を書かれている長竹さんと寺内さんから、いろいろアイデアの面であったりとか、マスクの実際の作り方であったりとかというところを、お二人からいろいろ聞いて、明細書をお作りになったということでよろしいですね。

そうです。

055 この明細書には、出願人として、株式会社ジムウェイと書かれている。ジムウェイさんは法人ですので、ジムウェイ自身が発明をするということはあり得なくて、誰か、先ほどの話ですと、長竹さん、寺内さんから、ジムウェイに特許を受ける権利を承継しているということになるんじゃないかなと思いますけれども、実は、この特許を受ける権利、ジムウェイじゃなくて、マルゼンが持っていたというようなことは何かありますか。

私には、なぜそういう理由になるのかが分からない。
出願の当時は、私は全く意識しておりません。

056 それで、ジムウェイだという名刺を持ってこられて、ジムウェイさんに対して領収書も書かれて、で、出願人としてはジムウェイだという認識をされて、この明細書を作られたということですね。

そうです。」

4 当審の判断
特許無効審判は、「利害関係人(前項第二号(特許が第三十8条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)」に限り請求することができる(特許法第123条第2項)。
本件特許無効審判請求は、特許法第123条第1項第6号に該当することを理由としているから、請求人は、本件発明についての特許を受ける権利を有する者でなければならない。
そして、特許を受ける権利は、産業上利用できる発明をした者(以下、「発明者」という。)が原始的に有する権利である(特許法第29条柱書き)ところ、本件における請求人は、法人である株式会社マルゼンであるから、請求人は、本件発明の発明者から、特許を受ける権利を譲渡されていなければならない。
しかしながら、請求人は、以下(1)及び(2)に示すように、本件発明とは別の発明について、特許を受ける権利を譲渡されたものと認められるものの、本件発明について、特許を受ける権利を譲渡されたことについては、証拠に基づいて主張するが、十分に立証しておらず、本件発明についての特許を受ける権利を有する者であるとは認められない。
したがって、本件特許無効審判請求は、特許法123条第2項の規定に違反してなされた不適法なものであって、その補正ができないものであるから、特許法第135条の規定により、却下すべきものである。

(1)本件発明の内容について
本件発明は、上記第2で示したように、「抗ウイルス剤を施したニット布地と、抗ウイルス剤を施さないニット布地との2層以上の布地から成り」、「鼻部、下顎部、左右の両耳介部を覆う形態で、表側に前記抗ウイルス剤を施したニット布地を、前記鼻部及び前記下顎部と接する内側には前記抗ウイルス剤を施さないニット布地を重ねてマスク本体を形成し」、「該マスク本体には、鼻頂部、左耳介部の外側、下顎部、右耳介部の外側を結ぶ周縁に沿ってニット布地で一定厚みの縁取を形づくる枠体を形成し」、「中央部には、前記鼻部の鼻下及び唇部を覆って空間を形づくる非伸縮性の接合部を形成した」(特許請求の範囲の【請求項1】)という、マスクの構造に係る事項を共通の発明特定事項とした「抗ウイルス性衛生マスク」の発明である。
そして、本件発明は、従来、抗ウイルス活性を備えた衛生マスクが開示されていたが、充分な感染防止効果を備えた衛生マスクは得られていなかったという背景(本件特許明細書の段落【0002】及び【0003】)の下、「上記マスクにあっては、マスクの周縁部を形成する鼻部、耳介部との間に比較的大きな隙間が生じ易いことが観察され、もし、上記不織布マスクに抗ウイルス加工を施したとしても、この隙間からウイルスが侵入してしまい、マスクの抗ウイルス効果が半減されてしまうのではないかという結論を得るに至」たり(同【0004】)、「抗ウイルス剤による衛生マスクの感染防止機能を満足させんとするもので、同時に、そのニット布地から生じるマスクとしての使用上の諸課題を解消せんとする」ことを解決すべき課題とし(同【0007】)したものであって、上記共通の発明特定事項により、上記課題を解決し、マスク本体を顔面に装着すると、枠体が若干伸ばされて鼻部、下顎部、左右の両耳介部に掛かり、その伸張に対するニット布地の反力として縮み方向(内側方向)に力が働き、これが枠体を顔面に密着させる効果を生み、ウイルスの侵入を可及的に防止することが可能となり(同【0016】)、端部となる耳介部の内側とマスク本体との間に隙間が生じるおそれがあっても、両耳介の内側に亘って、ニット布地で一定厚みの縁取による枠体が形成されるので、その収縮力に伴う密着性によりウイルス侵入を防止でき(同【0017】)、同時に上記枠体による顔面との密着作用が促されるとき、頬部と顎部に掛けては伸縮性のニット布地そのものがその部位と密接状態となり、上記枠体によるウイルス侵入防止効果に加え、二重の意味での侵入防止効果が促され(同【0018】)、一方、マスク本体をニット布地としたとき、その伸縮性ゆえに密着性が過ぎて、呼吸や口の動きを抑制してしまうおそれがあるが、マスク布地の中央部には、鼻下及び唇部を覆って空間を形づくる非伸縮性の接合部を形成したので、会話等で唇を動かしても、又、呼吸をしても、ニット布地による拡大、縮小といった変化を生じることがなく、安定してこれを行うことができ(同【0020】)、内側本体には抗ウイルス剤が施されることがないので、上記会話、呼吸等を一層円滑なものとすることができる(同【0011】)という、作用効果が奏されるものである。

(2)請求人が、特許を受ける権利を譲渡された発明について
請求人は、本件特許の優先日(平成27年10月30日)前の平成27年7月時点で、抗ウイルス剤(薬剤K-125)の研究開発、並びに、該抗ウイルス剤を用いた、本件特許発明に係る「抗ウイルス性衛生マスク」を含む繊維製品の開発を行っており、その後、「抗ウイルス剤(K-125)並びにそれを使用した繊維製品に関する発明」について、特許出願(甲16)を行っていた旨を主張している(上記1.(2)ア.及びイ.)。
ここで、前記特許出願された「抗ウイルス剤(K-125)並びにそれを使用した繊維製品に関する発明」は、上記2(8)に摘記した甲16記載事項からみて、「アミノ酸銀、アミノ酸亜鉛および銅イオンを含むことを特徴とする繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物」を共通の発明特定事項とする抗ウイルス剤の発明及び「繊維に、前記繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物が塗布または含浸されていることを特徴とする繊維製品」の発明であって、「抗ウイルス性衛生マスク」に関しては、「繊維製品は、抗菌・抗ウイルス性組成物が塗布または含浸された繊維を少なくとも一部に含み、糸、織編物、ウェブ、不織布、紙、ネット等に成形されたものを材料とすることができる。具体的には、例えば、繊維製品としては、例えば、衣類(帽子、手袋、ハンカチを含む)、寝具(布団、枕を含む)、カーテン、壁紙、カーペット、マット、シーツ、フィルター、マスク、ワイパー、タオル、防護衣類、防護ネットなどを例示することができ、日常の生活に供され、生活空間に飛散浮遊する菌やウイルスを不活化させることができる。」(甲16の段落【0030】)と記載されているのみであることからも明らかなように、マスクの構造に係る事項を発明特定事項の全部または一部とする発明ではない。
このことは、甲16に発明者として記載されている(上記2(8)ア.)「蜷川博生」による、自身が本件発明に関与した部分はない旨の証言(上記3(4)ア.)及び、自身は本件発明の発明者ではない旨の証言(上記3(4)イ.)によっても裏付けられている。
そして、甲16の記載(上記2(8)ア.)からみて、請求人は、上記本件発明とは異なる「抗ウイルス剤(K-125)並びにそれを使用した繊維製品に関する発明」についての特許を受ける権利を、その発明者である「蜷川博生」から、株式会社CSL及びハラダ株式会社と共に、譲渡されたものと認められる。
一方、甲1?甲18は、請求人が、上記(1)に示したことを内容とする本件発明についての特許を受ける権利を譲渡されたことを、直接的に、または間接的に示すものではない。
他方、本件特許公報(甲1)の発明者の欄に記載されており、被請求人の元役員である「寺内徳樹」の反対尋問における、本件発明のマスクの構造についての「056・・・アイデアっていうより、記載したのは彼(審決注:本件特許公報(甲1)の発明者の欄に記載されており、被請求人の代表者である「長竹一郎」)であって、図面をつくったのは、申請を、デザイン的には2人(審決注:上記「長竹一郎」及び上記「寺内徳樹」)で考えてつくったと思ってます。」との証言、本件発明をする過程でのマスクのサンプル作成についての「まず、自分でもとになる型を持ってましたから、その型をもって自分でまず最初のデザインはつくり上げました。」との証言、及び、本件特許の優先基礎出願である乙5を作成した弁理士「平山俊夫」を代理人として、上記乙5の出願と同日で、「創作者」を上記「長竹一郎」及び上記「寺内徳樹」として、意匠登録出願された乙30の「意匠に係る物品の説明」に記載されたマスクの構造は本件発明と同じ構造という理解でよいかという旨の問いに対する「066・・・はい」との証言は、上記「長竹一郎」及び上記「寺内徳樹」が本件発明の発明者であることを裏付けるものである。
ここで、上記「長竹一郎」は、主尋問において「008・・・製品名にもついているんですけども、「フェイスウェア」という名前がうちで商標もとっているんですが、マスクを使おうと思ったときに、顔をすっぽり覆うようなものがいいなというふうに考えました・・・顔につける下着をつくればマスクとして非常に有効であるなというふうに考えまして、その下着をつくるという発想から開発を始めました。・・・そのときに、欧米で売るためにどういうマスクがいいかというふうに考えたときに、まず形とかそういったものなんですけども、欧米のマスクっていうと鉄仮面っていうイメージがあるので・・・そこにレディという鉄火面をつけたような女性が出てくるんですけど、そのマスクの形状が非常に顔をすっぽり覆ってて快適に見えまして、そのレディというのを参考にして開発を始めたので、そういった覆うような形のものができました。」、「009・・・抗ウイルスマスクが直接肌に触れると、肌が荒れてしまったりとか、何かトラブルが発生してしまう可能性がありますので、肌に触れる面は抗ウイルス剤がつかないような構造にするために、表側には抗ウイルス剤が加工された生地を使って、裏側には普通の生地を使うと、普通のパンツとかシャツとかを着るような感覚で使ったということです。・・・」、「011・・・ニット製ですと、先ほど言いました顔に着る服というイメージでしたから、伸びたり縮んだりしてフィットするというふうに思ったからです。」、「014・・・例えば普通のニットのマスクをつけますと、何もないとぴちっとなっちゃって、ぴったりしてしまって、要するに会話ができないとか呼吸しづらいので、やはり口元に空間があったほうが、当然、呼吸もしやすいですし、会話もしやすいです。ですから、そのために、口元に空間があるためにどういう構造がいいかということでこちらのほうに、そういう形にしました。」、「017・・・鼻と?の部分ですね、この空間と、耳の部分の空間がどうしてもあいてしまうので、そこを絞るというか、閉じるためには枠体を使ったほうがぴしっとくるということで考えました。」と証言するが、当該証言は、具体的かつ上記(1)に示した本件発明の内容とも合致しており、上記証言は信用できるというべきである。
そして、上記「長竹一郎」による、被請求人であるジムウェイは、ニットマスクを事業とし、上記「寺内徳樹」とともに出資をし、取締役として2人が入って、会社に権利を持たせるため設立された旨の証言(上記3(1)イ.)、上記乙5(本件特許の優先基礎出願)は、上記「寺内徳樹」とともに、上記弁理士「平山俊夫」を訪ね、被請求人を出願人として特許出願を依頼し作成されたものであり、マスクの縫製に関する説明は上記「寺内徳樹」が行い、マスクに関するアイデアは自身が説明した旨の証言(上記3(1)ウ.)、「特許出願内金」と記載されている乙34は、被請求人が、平成27年10月13日に持って行った現金30万円を、特許出願の内金として、被請求人宛に平山特許事務所が発行してものである旨の証言(上記3(1)エ.)、上記「寺内徳樹」による、平成27年10月13日に、請求人(マルゼン)からの紹介で、商標登録と意匠登録の申請のためという認識で、上記「長竹一郎」とともに、平山弁理士の事務所に行き、上記「長竹一郎」が、主に、商品のデザイン性について説明した旨の証言(上記3(2)エ.)、上記弁理士「平山俊夫」による、乙5は、被請求人の社長である上記「長竹一郎」及び専務であった上記「寺内徳樹」から依頼を受け、二人から発明の内容を伺い、被請求人であるジムウェイを出願人とし、上記「長竹一郎」及び上記「寺内徳樹」を発明者としとすることで合意の上作成されたと記憶している旨の証言(上記3(5)ア.)、乙34及び35は、内金としていただいたお金について自身が発行した領収書である旨の証言(上記3(5)イ.)、乙29(自身の陳述書)における「発明者を長竹氏及び寺内氏とし、特許出願人をジムウェイとすることに関し、そのことに対する特別な最終確認を両者からとったという記憶はありません」との記載は、上記「長竹一郎」及び上記「寺内徳樹」を呼んで、発明者を前記二人とし、出願人をジムウェイとすることでよいかという確認をしていないという意味であり、最終的な書類を被請求人宛てにファックスもしくは郵送し、上記「長竹一郎」から電話でオーケーですという返事が来たと思っている旨の証言(上記3(5)ウ.)、本件特許の明細書を作ったときに、その発明者として名前が書かれている上記「長竹一郎」及び上記「寺内徳樹」から、アイデア面や、マスクの実際の作り方を聞いて、明細書を作ったということでよい旨の証言(上記3(5)エ.)を踏まえると、上記乙5は、上記「長竹一郎」及び上記「寺内徳樹」の説明に基づき、上記「長竹一郎」及び「寺内徳樹」を本件発明の発明者とし、被請求人を、本件発明についての特許を受ける権利を有する者である出願人として、上記弁理士「平山俊夫」が作成したものであると解すべきものである。
してみると、上記「長竹一郎」及び上記「寺内徳樹」による、本件発明についての特許を受ける権利を請求人に譲渡したことはない旨の証言(上記3(1)カ.及び3(2)ク.)は、請求人が、本件発明についての特許を受ける権利を譲渡されていないことを裏付けるものである。
さらに、請求人の代表者である「善林隆充」の証言(上記3(3)ウ.)及び、上記弁理士「平山俊夫」の証言(上記3(5)エ.)も、請求人が、上記(1)に示したことを内容とする本件発明についての特許を受ける権利を譲渡されたことを裏付けるものではない。
したがって、請求人が、特許を受ける権利を譲渡された発明は、上記「抗ウイルス剤(K-125)並びにそれを使用した繊維製品」の発明であって、マスクの構造に係る事項を発明特定事項の一部とする本件発明ではないといわざるを得ない。

なお、請求人の代表者である「善林隆充」は、補充尋問における、本件発明のポイントはどこだと考えるかとの問いに対し、「032・・・私は抗ウイルスだと思っていました。」と証言し、その抗ウイルス剤について、「034・・・抗ウイルス剤のもとをやっているのは蜷川先生と、それを生地に貼付して、それが10回、洗濯しても落ちちゃだめなんで、10回洗濯しても落ちないようにつくり上げるのが僕の役目だと。」と証言し、本件発明との関わりについて、「035・・・貢献とすれば、お手伝いといえば抗ウイルスの生地を提供しているというところだと思います。 」、「036・・・形については、私は縫製はしてませんので、うちの縫製の仕事をしてるのは、徳光さんはうちの下請企業なんですね。だから基本的には縫製は徳光に任せておりました。」と証言している(上記3(3)ウ.)
しかし、本件発明は、上記第2で示したとおり、「抗ウイルス剤を施したニット布地と、抗ウイルス剤を施さないニット布地との2層以上の布地」を発明特定事項の一部とするものの、請求人が譲渡された特許を受ける権利の発明に係る「抗ウイルス剤(K-125)」、すなわち、「アミノ酸銀、アミノ酸亜鉛および銅イオンを含むことを特徴とする繊維用抗菌・抗ウイルス性組成物」を発明特定事項とはしておらず、本件特許明細書においても、段落【0029】に、「抗ウイルス剤は、後述するニット布地に付着したウイルスを減少させる目的で使用するもので、例えばアミノ基に銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等が付加されたものを用いることができる。具体的には、(株)CLS社K125を挙げることができ、該製品によれば、2014年 ISO・18184に規定される抗ウイルス試験の認証を得ることができる。」と例示されているのみである。
ゆえに、これらの証言も、請求人が、上記(1)に示したことを内容とする本件発明についての特許を受ける権利を譲渡されていないことを裏付けるものである。

第5 むすび
以上のとおり、本件特許無効審判請求は、特許法第123条第2項の規定に違反するものであって、その補正をすることができないものであるから、同法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-04-22 
結審通知日 2020-04-28 
審決日 2020-05-19 
出願番号 特願2017-46177(P2017-46177)
審決分類 P 1 113・ 02- X (A41D)
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 一ノ瀬 薫  
特許庁審判長 高山 芳之
特許庁審判官 石井 孝明
渡邊 豊英
登録日 2017-08-10 
登録番号 特許第6188984号(P6188984)
発明の名称 抗ウイルス性衛生マスク  
代理人 弓削田 博  
代理人 松本 直樹  
代理人 平田 慎二  
代理人 福田 信雄  
代理人 神田 秀斗  
代理人 小林 幸夫  
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