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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1364574
審判番号 不服2018-15880  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-29 
確定日 2020-07-30 
事件の表示 特願2016-256684「ゲームシステム、サーバシステム及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月12日出願公開、特開2018-108169〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年12月28日を出願日とする特願2016-256684号であって、平成30年1月19日付けで拒絶理由が通知され、同年3月26日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月16日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年7月20日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月21日付けで前記平成30年7月20日提出の手続補正書による手続補正が補正却下されるとともに拒絶査定がなされ、同査定の謄本は同年8月29日に出願人に送達された。これに対して、同年11月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当該請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成30年11月29日提出の手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成30年11月29日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

1.本件補正の内容について
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の【請求項1】、【請求項7】、【請求項8】を、それぞれ下記(2)に示す本件補正後の【請求項1】、【請求項7】、【請求項8】へと補正することを含むものである。

(1)本件補正前の各請求項
「 【請求項1】
キャラクタを用いたゲームを実行させるプログラムであって、
コンピュータを、
プレーヤに前記ゲームに用いるキャラクタをゲーム空間に配置された所与のオブジェクトに関連付けて付与する付与手段と、
前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを前記第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて前記キャラクタの前記第1のゲームにおいて用いるパラメータを更新する、前記第1のゲームとは異なる第2のゲームを実行する第2ゲーム実行手段として機能させ、
前記第1ゲーム実行手段が、
前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理し、
前記設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行し、当該第1のゲームのゲーム状況に基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変更し、
前記第2ゲーム実行手段が、
前記受け付けられたプレーヤの入力と前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記キャラクタのパラメータの更新を制御することを特徴とするプログラム。
【請求項7】
プレーヤの端末装置とネットワークを介して接続され、当該端末装置にキャラクタを用いたゲームを実行させるためのサーバシステムであって、
プレーヤに前記ゲームに用いるキャラクタをゲーム空間に配置された所与のオブジェトに関連付けて付与する付与手段と、
前記端末装置から送信された前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを前記第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記端末装置に第1のゲームを実行させる第1ゲーム実行手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて前記キャラクタの前記第1のゲームにおいて用いるパラメータを更新する、前記第1のゲームとは異なる第2のゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
を備え、
前記第1ゲーム実行手段が、
前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理し、
前記設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行し、当該第1のゲームのゲーム状況に基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変更し、
前記第2ゲーム実行手段が、
前記受け付けられたプレーヤの入力と前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記キャラクタのパラメータの更新を制御することを特徴とするサーバシステム。
【請求項8】
キャラクタを用いたゲームを実行させるゲームシステムであって、
プレーヤに前記ゲームに用いるキャラクタをゲーム空間に配置された所与のオブジェクトに関連付けて付与する付与手段と、
前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを前記第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて前記キャラクタの前記第1のゲームにおいて用いるパラメータを更新する、前記第1のゲームとは異なる第2のゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
を備え、
前記第1ゲーム実行手段が、
前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理し、
前記設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行し、当該第1のゲームのゲーム状況に基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変更し、
前記第2ゲーム実行手段が、
前記受け付けられたプレーヤの入力と前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記キャラクタのパラメータの更新を制御することを特徴とするゲームシステム。」

(2)本件補正後の各請求項

「 【請求項1】
キャラクタを用いたゲームを実行させるプログラムであって、
コンピュータを、
プレーヤに前記ゲームに用いるキャラクタをゲーム空間に配置された所与のオブジェクトに関連付けて付与する付与手段と、
前記ゲームを開始する際に当該ゲームにログインするためのログイン入力を含む前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記第1のゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて前記キャラクタの前記第1のゲームにおいて用いるパラメータを更新する、前記第1のゲームとは異なる第2のゲームを実行する第2ゲーム実行手段として機能させ、
前記第1ゲーム実行手段が、
前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理し、
前記設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行し、当該第1のゲームのゲーム状況に基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変更し、
前記第2ゲーム実行手段が、
予め定められたタイミングから所与の条件を具備するタイミングまでの期間中に、少なくとも、前記受け付けられたプレーヤのログイン入力のタイミングと前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記第1のゲームでの使用が禁止されたキャラクタのパラメータの更新を制御することを特徴とするプログラム。
【請求項7】
プレーヤの端末装置とネットワークを介して接続され、当該端末装置にキャラクタを用いたゲームを実行させるためのサーバシステムであって、
プレーヤに前記ゲームに用いるキャラクタをゲーム空間に配置された所与のオブジェクトに関連付けて付与する付与手段と、
前記端末装置から送信された、前記ゲームを開始する際に当該ゲームにログインするためのログイン入力を含む前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記端末装置に前記第1のゲームを実行させる第1ゲーム実行手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて前記キャラクタの前記第1のゲームにおいて用いるパラメータを更新する、前記第1のゲームとは異なる第2のゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
を備え、
前記第1ゲーム実行手段が、
前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理し、
前記設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行し、当該第1のゲームのゲーム状況に基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変更し、
前記第2ゲーム実行手段が、
予め定められたタイミングから所与の条件を具備するタイミングまでの期間中に、少なくとも、前記受け付けられたプレーヤのログイン入力のタイミングと前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記第1のゲームでの使用が禁止されたキャラクタのパラメータの更新を制御することを特徴とするサーバシステム。
【請求項8】
キャラクタを用いたゲームを実行させるゲームシステムであって、
プレーヤに前記ゲームに用いるキャラクタをゲーム空間に配置された所与のオブジェクトに関連付けて付与する付与手段と、
前記ゲームを開始する際に当該ゲームにログインするためのログイン入力を含む前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記第1のゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて前記キャラクタの前記第1のゲームにおいて用いるパラメータを更新する、前記第1のゲームとは異なる第2のゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
を備え、
前記第1ゲーム実行手段が、
前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理し、
前記設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行し、当該第1のゲームのゲーム状況に基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変更し、
前記第2ゲーム実行手段が、
予め定められたタイミングから所与の条件を具備するタイミングまでの期間中に、少なくとも、前記受け付けられたプレーヤのログイン入力のタイミングと前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記第1のゲームでの使用が禁止されたキャラクタのパラメータの更新を制御することを特徴とするゲームシステム。」(下線は強調のために当審で付した。以下同じ。)

2.補正目的について

(1)本件補正により、本件補正前の請求項1の「前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段」を、本件補正後の請求項1の「前記ゲームを開始する際に当該ゲームにログインするためのログイン入力を含む前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段」とする補正は、「前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段」を具体的に特定したものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

(2)本件補正により、本件補正前の請求項1の「前記キャラクタを前記第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行する第1ゲーム実行手段」を「前記キャラクタを第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記第1のゲームを実行する第1ゲーム実行手段」とする補正は、補正前の「前記第1のゲーム」との発明特定事項より前に「第1のゲーム」の記載がなかった記載不備を訂正するものであるから、前記補正事項2は、特許法第17条の2第5項第3号に係る「誤記の訂正」を目的とするものに該当する。

(3)本件補正により、本件補正前の請求項1の「前記第2ゲーム実行手段が、前記受け付けられたプレーヤの入力と前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記キャラクタのパラメータの更新を制御する」を、「前記第2ゲーム実行手段が、予め定められたタイミングから所与の条件を具備するタイミングまでの期間中に、少なくとも、前記受け付けられたプレーヤのログイン入力のタイミングと前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記第1のゲームでの使用が禁止されたキャラクタのパラメータの更新を制御する」とする補正は、「第2ゲーム実行手段」が、「前記キャラクタのパラメータの更新を制御する」ことについて、その期間を「予め定められたタイミングから所与の条件を具備するタイミングまでの期間中」と限定するとともに、さらに、「キャラクタのパラメータの更新」の条件の一つとして特定されている「受け付けられたプレーヤの入力」を「受け付けられたプレーヤのログイン入力のタイミング」と限定し、「パラメータ」を更新する対象である「キャラクタ」を「第1のゲームでの使用が禁止された」ものに、それぞれ具体的に特定したものであるから、これらの補正事項は、いずれも、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。なお、当該補正事項において、「少なくとも」との語句を新たに追加する補正をしているところ、「少なくとも」との語句を新たに追加する補正は特許法第17条の2第5項各号に規定するいずれかを目的とするものとはいえないものの、当該「少なくとも」との語句を追加する補正前後において、「第2ゲーム実行手段」が「プレーヤの入力」と「オブジェクトに設定されたパラメータ」とに基づいて、「キャラクタのパラメータの更新を制御する」ものである点において変わりはないことからすれば、当該補正事項は、全体として特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するものといえる。

(4)前記(1)ないし(3)の各補正事項は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

(5)請求項7、8についての本件補正については、請求項1についての補正事項と実質的に変わるところはないので、前記(1)ないし(4)の検討のとおり、その目的は、特許法第17条の2第2項第2号又は第3号に該当し、同条第3項及び第4項に違反するところはない。

3.独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明1」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本件補正発明1
本件補正発明1は、本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであって、前記1.(2)に記載したとおりのものと認める。

(2)引用例の記載

ア.引用例1
原査定の拒絶の理由において引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2015-54234号公報(以下、「引用例1」という。)には、つぎの事項が記載されている。

(ア)「【0026】本実施形態で対象とされるゲームは、通常は、各プレイヤが自分のプレイヤキャラクタにゲーム空間内でクエスト探索、攻撃、ボス撃破等のアクションを行わせることによりポイントを獲得でき、獲得したポイントに応じてプレイヤキャラクタが育成されてレベルアップしていくものとすることができる。さらに、このゲームのイベントとして、同一チームに含まれる複数のプレイヤに共有される共有キャラクタを育成する育成ステージと、一のチームが他のチームとチーム戦バトルを行うチーム戦ステージとが、例えば1週間等所定期間開催されるものとすることができる。このイベントにおいて、複数のプレイヤは所定人数ずつチームに割り当てられる。」

(イ)「【0028】各チームで育成される共有キャラクタのレベルや能力等の能力パラメータは、当該チームの各複数のプレイヤが、育成ステージにおいて行った、例えばクエスト探索、攻撃、ボス撃破等のアクションに基づき決定される。チーム戦ステージにおいて、プレイヤからの当該チームの共有キャラクタの召喚指示に基づき、共有キャラクタをチーム戦バトルに登場させることができる。このとき、共有キャラクタは、育成ステージで決定された能力パラメータに設定される。」

(ウ)「【0056】「発動までの時間( 分) 」は、当該共有キャラクタが召喚されてから発動するまでに要する時間である。発動とは、その共有キャラクタが威力を発揮することである。共有キャラクタの召喚から発動までの間に、そのチームのプレイヤが応援クリックをすると、応援クリックの数に応じて、共有キャラクタの能力が向上する。」

(エ)「【0071】いずれかのプレイヤがゲームにログインし、端末装置1から育成する共有キャラクタの指定を行うと、育成ステージ管理部44は共有キャラクタの指定を受け付ける(ステップS120)。育成ステージ管理部44は、指定を受け付けた共有キャラクタの共有キャラクタIDをプレイヤ情報記憶部66(図5参照)の指定共有キャラクタIDとして記憶する(ステップS122)。
【0072】この後、育成ステージ管理部44は、プレイヤが育成ステージで行うアクションを監視し、当該アクションに応じて、当該プレイヤが指定した共有キャラクタへポイントが加算されるか否かを判断する(ステップS124)。ポイントが加算される場合(ステップS124のYES)、育成ステージ管理部44は、ポイント加算処理を行う(ステップS126)。具体的には、共有キャラクタパラメータ記憶部64(図6参照)に共有キャラクタID、加算ポイント及び加算プレイヤIDを記憶する。」

(オ)「【0075】この後、チーム戦バトルが開始されるか否かを判断し(ステップS132)、チーム戦バトルが開始される場合(ステップS132のYES)、育成ステージを終了して図8のステップS106に進む。」

(カ)「【0085】ステップS146の後、チーム戦ステージ管理部46は、共有キャラクタが召喚されたチームの他のプレイヤからの応援クリックの有無を監視し(ステップS148)、応援クリックを受け付けると(ステップS148のYES)、チーム戦ステージ管理部46の応援効果の設定に従い、当該共有キャラクタの威力をアップさせる(ステップS150)。ステップS148及びステップS150の処理を、当該共有キャラクタの発動タイミングまで繰り返し、発動タイミングとなると(ステップS152のYES)、その時点での共有キャラクタの威力に応じて共有キャラクタを発動させる(ステップS154)。従って、共有キャラクタは、育成ステージで決定された能力パラメータをベースとして、チーム戦バトルでの応援クリックによりアップされた威力を有する状態で発動することになる。」

(キ)「【0094】また、ゲームの実行方式としては、「ブラウザタイプ」と「アプリタイプ」のいずれとすることもできる。ブラウザタイプは、ゲーム管理サーバ装置4側でゲーム進行に伴う一連の画面の表示制御内容を記述した画面遷移情報(View情報)を管理し、端末装置1からの入力操作に伴うデータ取得リクエストに応じて、HTMLデータ文書やこれに関連付けされた画像等のデータを端末装置に送信し、端末装置1上のウェブブラウザで表示する処理を行うものである。一方、アプリタイプは、予めゲーム管理サーバ装置4等からゲームアプリケーションソフトウェア(アプリケーションプログラム)を端末装置1にダウンロードし、端末装置1上でゲームアプリケーションソフトウェアを実行し、ダウンロードを通じて端末装置1に記憶されたゲームアプリケーションソフトウェアに含まれる画面遷移情報と、入力操作を契機にサーバから取得されるデータとに基づいて画面情報を生成して表示するものである。」

(ク)前記(ウ)に、「発動とは、その共有キャラクタが威力を発揮することである」と記載されていることに照らせば、前記(カ)の「共有キャラクタは、育成ステージで決定された能力パラメータをベースとして、チーム戦バトルでの応援クリックによりアップされた威力を有する状態で発動する」とは、「共有キャラクタは、育成ステージで決定された能力パラメータをベースとして、チーム戦バトルでの応援クリックによりアップされた威力を発揮する」ことといえる。

(ケ)前記(ア)ないし(ク)によれば、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「プレイヤがログインするゲームであって、当該ゲームは、同一チームに含まれる複数のプレイヤに共有される共有キャラクタを育成する育成ステージと、一のチームが他のチームとチーム戦バトルを行うチーム戦ステージとが所定期間開催されるものであり、各チームで育成される共有キャラクタの能力パラメータは、当該チームの各複数のプレイヤが、育成ステージにおいて行ったアクションに基づき決定され、プレイヤからの共有キャラクタの召喚指示に基づきチーム戦バトルに登場し、このとき共有キャラクタは、育成ステージで決定された能力パラメータをベースとして、チーム戦バトルでの応援クリックによりアップされた威力を発揮するように構成されたゲームを実行するゲームアプリケーションソフトウェア(アプリケーションプログラム)。」

イ.引用例2
原査定の拒絶の理由において引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2014-198185号公報(以下、「引用例2」という。)には、つぎの事項が記載されている。

(ア)「【0007】また本発明は、上記各部を含むサーバ、または、上記各部を含むサーバと上記端末を含むネットワークシステム、または、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム、または、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラムを記憶(記録)した情報記憶媒体などに関する。」

(イ)「【0135 】
4 . 本実施形態の処理
4-1. グループ
本実施形態のゲーム処理は、ゲームプレイ要素としてのカード( すなわち、ゲーム内で使用する仮想カード)を用いてユーザキャラクタと敵キャラクタとの対戦処理及びロールプレイングにおけるゲーム進行に関する種々の処理を実行する。」

(ウ)「【0143】本実施の形態では、図6に示すようにユーザが、グループのメンバーを集める仮想的な空間演出として仮想の「道場」を作り、複数のユーザを所属させることができる。「道場」に所属するとは、ユーザがグループに加入すること、すなわち、ユーザ識別情報とグループ識別情報とを関連付けて登録する処理を実行することである。例えば、図6の「道場」は図5におけるグループAであり、図6の「道場主」であるユーザ1は図5におけるリーダーであり、図6のユーザ2、ユーザ3は、図5におけるグループAのメンバーユーザ2、ユーザ3である。「道場」に所属するユーザがバトルで勝利すると「道場」に対応づけられたレベルがアップし、「道場」に所属できるユーザの許容人数を増やしてもよい。
【0144】ユーザは「道場」に、自己が使用可能なカードに示されるキャラクタを預けて育成(ゲームプレイ要素の育成に相当)させることができる。すなわちグループに所属するユーザは、所持しているキャラクタをグループの「道場」に預ける(グループに育成対象として登録することに相当)ことで、預けたキャラクタが仮想の「道場生」となり、「道場」において育成される(ゲームプレイ要素の育成に相当)。
【0145】ユーザがキャラクタを「道場」に預けると、預けたキャラクタは一定時間(グループの育成対象として登録してから、登録を解除するまでの間に相当)はバトルで使用できなくなるが、キャラクタの成長率やスキルレベル(所定のパラメータに相当)を挙げることができる。なお成長率や、スキルレベルが上がる確率は道場のレベル(グループのレベルに相当)が上がるほど、高くなるようにしてもよい。」(ここで前記「挙げること」の語句は、文脈からみて「上げること」の誤記であると解される。)

(エ)「【0146】なお、本実施の形態のゲームプレイにおいては、キャラクタを「道場」に預け育成することとしているが、キャラクタは一例であり、育成(変化)させることが可能なコンテンツであればよい。また、ユーザが「道場」に所属することと、キャラクタを「道場」に預けることを別々の指示を受けて実行しているが、ユーザが「道場」に所属することと、キャラクタを「道場」に預けることを、何れか一方の指示のみで実行するようにしてもよい。」

(オ)前記の記載を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が開示されていると認められる。
「ゲームプレイ要素としてのカードを用いてユーザキャラクタと敵キャラクタとの対戦処理及びロールプレイングにおけるゲーム進行に関する種々の処理をコンピュータにより実行するゲームプログラムであって、
仮想的な空間演出として作られた仮想の道場に、所属するユーザがバトルで勝利すると道場に対応づけられたレベルがアップし、ユーザが道場に所属することによりキャラクタが道場に預けられ、預けられたキャラクタは、グループの育成対象として登録してから、登録を解除するまでの間はバトルで使用できなくなるが、キャラクタの成長率やスキルレベルを上げることができ、成長率やスキルレベルが上がる確率は道場のレベルが上がるほど、高くなるようにコンピュータを機能させるゲームプログラム。」

ウ.引用例4
本願出願前に頒布された刊行物である特開2015-93159号公報(以下、「引用例4」という。)には、つぎの事項が記載されている。

(ア)「【0007】本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、実ユーザがゲームに継続的にログインするよう誘導することが可能なゲームサーバ、ゲームサーバで提供するゲームの進行を制御するゲーム制御方法、ゲームプログラム、ゲームプログラムを記録した記録媒体及びゲームシステムを提供することを目的とする。」

(イ)「【0009】(1)通信ネットワークを介して接続された端末から、仮想空間内に形成された仮想ユーザを操作する操作データを受信する操作データ受信部と、成長度を示すパラメータが付された第1の仮想アイテムを、前記仮想ユーザの所有アイテムとして設定するアイテム設定部と、前記操作データに基づいて、前記第1の仮想アイテムの成長度を変更する成長度変更部と、前記所有アイテムとして設定してから所定期間が経過した後、当該期間経過時の前記第1の仮想アイテムの成長度に基づいて、第2の仮想アイテムを前記仮想ユーザの所有アイテムとして設定するボーナスアイテム設定部と、を備え、前記アイテム設定部は、前記所定期間の経過後に、前記第1の仮想アイテムを前記仮想ユーザの所有アイテムから削除し、前記成長度変更部は、前記成長度の変更を、前記操作データのうちログインの継続性に関するデータに基づいて決定することを特徴とする。」

(ウ)「【0011】本態様では、第1の仮想アイテムには、成長度を示すパラメータが付されており、第1の仮想アイテムの成長度は端末からの操作データに基づいて変更される。具体的に、成長度の変更は、ログインの継続性によって決定される。ログインの継続性は、例えば、実ユーザが毎日連続してログインを行っているか否かによって判断される。実ユーザがゲームにログインしたか否かは、例えば1日の間に、端末からログインに係る操作データを受信したか否かによって判断される。成長度変更部は、端末からログインに係るデータを受信すると、仮想ユーザの所有する第1の仮想アイテムの成長度を増加させる。ログインが毎日連続して行われていた場合には、成長度を大きく増加させる。」

(エ)前記の記載を総合すると、引用例4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が開示されていると認められる。
「実ユーザがゲームに継続的にログインするよう誘導することが可能なゲームであって、成長度を示すパラメータが付された第1の仮想アイテムを、前記仮想ユーザの所有アイテムとして設定し、実ユーザが毎日連続してログインを行っているか否かによってログインの継続性が判断され、ログインが毎日連続して行われていた場合には、実ユーザが操作する仮想ユーザの所有する第1の仮想アイテムの成長度を大きく増加させる成長度変更部を備えたゲームプログラム。」

(3)対比
本件補正発明1と引用発明1とを対比する。

ア.引用発明1の「プレイヤ」は、本件補正発明1の「プレーヤ」に相当し、以下同様に「共有キャラクタ」は「キャラクタ」に、「育成ステージ」は「第2のゲーム」に、「チーム戦バトル」は「第1ゲーム」に、「能力パラメータ」は「パラメータ」に、「ゲームアプリケーションソフトウェア(アプリケーションプログラム)」は「プログラム」に、それぞれ相当する。

イ.引用発明はゲームアプリケーションソフトウェア(アプリケーションプログラム)であるので、コンピュータを機能させることは明らかである。

ウ.引用発明1の「共有キャラクタ」は、「育成ステージ」で育成され、「チーム戦バトルに登場」するものであるから、前記「育成ステージ」および「チーム戦バトル」は「共有キャラクタ」を用いるものであることは明らかであり、引用発明1の「育成ステージ」および「チーム戦バトル」は、本件補正発明1の「キャラクタを用いたゲーム」に相当し、引用発明1の「ゲームアプリケーションソフトウェア(アプリケーションプログラム)」は、本件補正発明1の「キャラクタを用いたゲームを実行させるプログラム」に相当するといえる。

エ.引用発明1は「プレイヤがログインするゲーム」を実行するゲームアプリケーションソフトウェアであるところ、プレイヤのログインがゲーム開始に先だって行われることや、ログインのためには、プレーヤ入力を受け付けることが必要であることは、技術常識であることに照らせば、引用発明1が、本件補正発明1の「ゲームを開始する際に当該ゲームにログインするためのログイン入力を含む前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段」を備えるものであることは明らかである。

オ.引用発明1の「プレイヤからの共有キャラクタの召喚指示に基づき」、「共有キャラクタ」が「チーム戦バトルに登場」することは、本件補正発明1の「前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記第1のゲームを実行する」ことに相当する。
そして、引用発明1が「チーム戦バトル」を実行するものであることに照らせば、引用発明1は、本件補正発明1の「第1ゲーム実行手段」を備えるものとも言い得ることになる。

カ.引用発明1の「共有キャラクタの能力パラメータ」は、「各複数のプレイヤが、育成ステージにおいて行った、アクションに基づき決定され」るところ、ここでの「各複数のプレイヤが行うアクション」を実行するに際して、プレイヤの入力を必要とすることは、技術常識に照らせば、明らかである。
また、引用発明1の「共有キャラクタは、能力パラメータをベースとして、チーム戦バトル・・・で威力を発揮する」ものであるから、ここでの「共通キャラクタ」の「能力パラメータ」は「チーム戦バトル」で用いられるパラメータであるといえる。
よって、引用発明1の「共有キャラクタの能力パラメータは、当該チームの各複数のプレイヤが、育成ステージにおいて行ったアクションに基づき決定され」ることは、本件補正発明1の「前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて前記キャラクタの前記第1のゲームにおいて用いるパラメータを更新する」ことに相当する。

キ.引用発明1において、「育成ステージ」と「チーム戦バトル」は、異なるゲームであるから、引用発明の「育成ステージ」は、本件補正発明1の「前記第1のゲームとは異なる第2のゲーム」である点においても相当するものといえる。

ク.引用発明1は「育成ステージ」を実行する以上、本件補正発明1の「第2ゲーム実行手段」を備えるものといえる。

ケ.してみると、本件補正発明1と引用発明1とは、つぎの一致点で一致し、各相違点において相違する。

<一致点>
「キャラクタを用いたゲームを実行させるプログラムであって、
コンピュータを、
前記ゲームを開始する際に当該ゲームにログインするためのログイン入力を含む前記プレーヤの入力を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記第1のゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて前記キャラクタの前記第1のゲームにおいて用いるパラメータを更新する、前記第1のゲームとは異なる第2のゲームを実行する第2ゲーム実行手段として機能させ、
前記第1ゲーム実行手段が、
前記設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行する、ことを特徴とするプログラム」である点。

<相違点1>
本件補正発明1においては、「コンピュータ」を「プレーヤに前記ゲームに用いるキャラクタをゲーム空間に配置された所与のオブジェクトに関連付けて付与する付与手段」として機能させるのに対して、引用発明1は、「コンピュータ」をそのように機能させることはしていない点。

<相違点2>
本件補正発明1の「第1ゲーム実行手段」が、「前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理」するのに対して、引用発明1は「前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記第1のゲームを実行」する手段を備えているとはいえるものの、その手段が「前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理」するものとはいえない点。

<相違点3>
本件補正発明1の「第1ゲーム実行手段」が「設定したキャラクタを用いて第1のゲームを実行し、当該第1のゲームのゲーム状況に基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変更」するのに対して、引用発明1には「前記受け付けられたプレーヤの入力に基づいて、前記キャラクタを第1のゲームに設定し、当該設定したキャラクタを用いて前記第1のゲームを実行」する手段を備えているとはいえるものの、その手段が「第1のゲームのゲーム状況に基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変更」するものとはいえない点。

<相違点4>
本件補正発明1の「第2ゲーム実行手段」が、「予め定められたタイミングから所与の条件を具備するタイミングまでの期間中に、少なくとも、前記受け付けられたプレーヤのログイン入力のタイミングと前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、前記第1のゲームでの使用が禁止されたキャラクタのパラメータの更新を制御する」ものであるのに対して、引用発明1の「育成ステージ」では、そのような制御が行われない点。

(4)各相違点についての当審の判断

ア.相違点1について
引用例2には、前記(2)のイ(オ)のとおりの引用発明2が記載されているところ、当該引用発明2の「道場」は、本件補正発明1の「所与のオブジェクト」に相当する。
そして、引用発明2においては、「プレーヤが道場に所属することにより、キャラクタが道場に預けられることになる」のであるから、「道場に所属するプレーヤ」に「付与される」「キャラクタ」は、「道場」に関連づけられているものといえ、引用発明2の「キャラクタを道場に預ける」ことは、本件補正発明1の「プレーヤ」に「ゲームで用いる」「キャラクタを」「所与のオブジェクトに関連付けて付与する」点に限り共通することになる。
また、引用発明2の「道場」は、「仮想的な空間演出として作られた」ものであるから、当該「道場」は、ゲーム空間に配置されることは明らかである。(なお、図6にも道場が配置されたものが図示されている。)
そして、引用発明1と引用発明2とは、ゲームという共通する技術分野に属するものであり、引用発明2の「道場」は、引用発明1の「育成ステージ」と同様に、ゲームで用いるキャラクタを、別のゲームにより育成するものである点で共通するものであるから、引用発明1の「育成ステージ」に引用発明2の「道場」を適用することに、困難性はなく、また、当業者が適用しようとすることには動機付けがあるといえる。
したがって、引用発明1において、引用発明2を適用することにより、前記相違点1に係る本件補正発明1の発明特定事項のごとく構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ.相違点2について
引用発明2の「ユーザが道場に所属することによりキャラクタが道場に預けられると、預けられたキャラクタは、グループの育成対象として登録してから、登録を解除するまでの間はバトルで使用できなくなる」のであるから、引用発明2においては、「道場」に「預けられたキャラクタ」は、「グループの育成対象として」の「登録を解除」した後は、「バトルに使用できる」ことになるものといえるところ、ここでの「登録を解除」することは、相違点2に係る本件補正発明1の構成の「所与の条件を満たす」ことといえる。
してみると、引用発明2の「ユーザが道場に所属することによりキャラクタが道場に預けられると、預けられたキャラクタは、グループの育成対象として登録してから、登録を解除するまでの間はバトルで使用できなくなる」ことは、本件補正発明1の「前記第1ゲーム実行手段が、前記第2のゲームにおいて所与の条件を満たしたキャラクタを、前記第1のゲームに設定可能に管理」することに相当するものといえるから、引用発明2は相違点2に係る本願補正発明1の発明特定事項を備えているといえる。
してみると、前記ア.で述べた構成の変更を行った引用発明1は、相違点2に係る本願補正発明1の発明特定事項を備えることになるから、相違点2も当業者が容易に想到し得ることである。

ウ.相違点3について
引用発明2は「道場に、所属するユーザがバトルで勝利すると道場に対応づけられたレベルがアップ」するものであり、前記ア.の検討のとおり、当該引用発明2の「道場」は、本件補正発明1の「所与のオブジェクト」に相当する。
引用発明2の「バトルで勝利する」こと、および「道場に対応づけられたレベルがアップ」することは、それぞれ、本件補正発明1の「第1のゲームのゲーム状況」および「オブジェクトに設定されたパラメータを変更」することに相当するから、引用発明2は相違点3に係る本願補正発明1の発明特定事項を備えているといえる。
してみると、前記ア.で述べた構成の変更を行った引用発明1は、相違点3に係る本願補正発明1の発明特定事項を備えることになるから、相違点3も当業者が容易に想到し得ることである。

エ 相違点4について

(ア)前記(2)ウ(エ)において認定した引用発明4は、「実ユーザが操作する仮想ユーザに第1の仮想アイテムを所有アイテムとして設定してから所定期間の間、実ユーザのログインが毎日行われていた場合に、第1の仮想アイテムの成長度を大きく増加させるようにして、実ユーザがゲームに継続的にログインするよう誘導するものである。

(イ)そして、引用発明1においてもユーザが継続的にログインするようにすることが好ましいことは、ゲームの技術分野の技術常識に照らして、当該技術分野の当業者にとって自明のことであるから、ユーザが継続的にログインするよう誘導すべく、引用発明3を適用するようにすることには、動機付けがあるといえる。

(ウ)してみると、引用発明4の技術を引用発明1の「所定期間開催される」ところの「育成ステージ」に適用して、「育成ステージ」で育成される「共有キャラクタ」の能力パラメータの決定において、当該所定期間の間にユーザのログインが毎日行われていた場合に成長度を大きく増加させるようにすることにより、本件補正発明1の前記相違点4に係る構成の「予め定められたタイミングから所与の条件を具備するタイミングまでの期間中」に「少なくとも、前記受け付けられたプレーヤのログイン入力のタイミングと前記オブジェクトに設定されたパラメータとに基づいて、キャラクタのパラメータの更新を制御する」ように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、引用発明1の「育成ステージ」で育成される「共有キャラクタ」が、引用発明2の「キャラクタが道場に預けられると、預けられたキャラクタは、グループの育成対象として登録してから、登録を解除するまでの間はバトルで使用できなくなる」との技術的事項を引用発明1の「育成ステージ」に適用することに伴い本件補正発明1の「第1のゲームでの使用が禁止されたキャラクタ」となることは前記イの相違点2の検討において既に検討したとおりである。

(エ)さらに,引用発明2の「道場」は、「道場のレベルが上がるほど」,「キャラクタの成長率やスキルレベルが上がる確率が高くなる」ものであって,本件補正発明1の「オブジェクトに設定されたパラメータ」に基づいて、「キャラクタのパラメータの更新」を行うものといえる。

(オ)以上のとおりであるから、相違点4は、当業者が容易に想到し得る程度のことである。

オ.小括
前記で検討したとおり、本件補正発明1は、引用発明1に引用発明2及び4を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件補正発明1の効果は、引用例1、2及び4に基づいて当業者が予測し得る程度のものであって格別のものとは認められないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであって、独立して特許を受けることができないものである。

4.独立特許要件についてのまとめ
前記において検討したように、本件補正発明1は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第127条第7項に規定する要件を満たさない。

5.まとめ
前記のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
上述のとおり、本件補正は、却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載されたとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2 1.(1)に摘示したとおりである。

2.原査定の理由の概要
本願発明についての原査定の拒絶の理由は、本願発明は、引用文献1ないし3に記載された発明から容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができないものであるというものである。
なお,引用文献1及び2は,補正却下の決定において引用した引用例1及び2と同じである。

3.特許法第29条第2項に係る原査定の理由の検討

(1)引用文献

ア.原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項並びに引用発明1及び2は、それぞれ前記第2 3.(2)のア.及びイ.において示したとおりである(なお,以下,引用文献1及び2をそれぞれ,引用例1及び2という。)。

イ.原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2013-242798号公報(以下、「引用例3」という。)には、つぎの事項が記載されている。

(ア)「【0040】(8)本発明の他の一局面によるプログラムは、コンピュータを、ゲームの管理を行うゲーム管理装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、複数のユーザから構成されるグループを管理するグループ管理手段、前記グループの共有物の情報を記憶装置に記憶する共有物情報記憶制御手段、前記共有物に対して、前記グループ内の各ユーザによって仮想的に投入された被投入物の情報を記憶装置に記憶する投入情報記憶制御手段、前記グループ内の各ユーザによって投入された前記被投入物の投入量を当該グループ内で累積する被投入物累積手段、前記被投入物のグループ内の累積量に基づいて、前記共有物のレベルを変更する共有物レベル変更手段、前記共有物のレベルが高いほど、前記グループ内のユーザが当該共有物を適用したゲームの条件がより有利になるように管理するゲーム条件管理手段、として機能させるためのプログラムである。」

(イ)「【0053】また、本実施の形態のゲームでは、各チームには、共有物としての「スタジアム」が存在する。ユーザはゲーム内の所定のゲームモードで運営ポイントを獲得し、当該運営ポイントをスタジアムに投資(投入)することができる。ゲームサーバ1は、チーム内の各ユーザによって投資された運営ポイントをチーム内で累積し、その累積量に応じてスタジアムのレベルを変更する。すなわち、チーム内の各ユーザが協力して投資すれば、スタジアムのレベルを向上させる(仮想的にスタジアムを豪華にし、設備を充実させる)ことができるようになっている。
【0054】そして、チームのスタジアムのレベルが向上すれば、チーム内のユーザ(メンバ)が当該スタジアムを適用したゲームの条件が有利になるというメリットが発生する。本実施の形態では、スタジアムのレベルが高いほど、そのスタジアムでユーザのマイ選手キャラクタが仮想的に練習をするときに、練習効率が向上する(その結果、効率的にキャラクタの能力アップが図れるようになる)というメリットが発生する。すなわち、チーム内のメンバが協力してスタジアムのレベルを向上させることにより、メンバがスタジアムで練習する場合のゲーム条件が向上するというメリットがチーム全体に発生するというフィードバック構成となっている。これにより、グループのメンバが互いに積極的に協力してゲームをプレイするゲーム環境が構築される。これを実現する本実施の形態に係るゲーム管理装置等の構成の詳細を、以下に説明する。」

(ウ)「【0107】また、運営ポイントは、他のユーザと対戦する対戦モードで獲得することができる。ユーザが対戦に勝利した場合、対戦に引き分け又は負けた場合よりも多くの運営ポイントを獲得できる。また、対戦スコアによっても獲得できる運営ポイントの量を変えてもよい(例えば、自分のチームの得点が大きいほど多くの運営ポイントを獲得できる)。」

(エ)前記の記載を総合すると、引用例3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が開示されていると認められる。
「各チームには、共有物としての「スタジアム」が存在し、ユーザはゲーム内の所定のゲームモードで運営ポイントを獲得し、当該運営ポイントをスタジアムに投資し、その累積量に応じてスタジアムのレベルを変更し、スタジアムのレベルが高いほど、そのスタジアムでユーザのマイ選手キャラクタが仮想的に練習をするときに、キャラクタの能力アップが図れるようになり、運営ポイントは、対戦モードで獲得するゲーム」

(2)対比・判断
本願発明と引用発明1とを対比すると、両者は,上記前記第2 2.(3)ク.において検討したことに照らし,上記相違点1ないし3及びつぎの相違点5において相違し、その余の点で一致する。

<相違点5>
本願発明の「前記第2ゲーム実行手段が、前記オブジェクトに設定されたパラメータに基づいて、前記キャラクタのパラメータの更新を制御するものであるのに対して,引用発明1はそのような制御を行わない点。

(3)判断
相違点1ないし3については前記第2 3.(4)のア.ないしウ.で検討したとおりである。
相違点5について検討すると、引用発明3は「スタジアムのレベルが高いほど、そのスタジアムでユーザのマイ選手キャラクタが仮想的に練習をするときに、キャラクタの能力アップが図れるようにな」るものであり、引用発明3の「スタジアムのレベル」、「キャラクタの能力アップ」は、それぞれ、本願発明の「オブジェクトに設定されたパラメータ」、「キャラクタのパラメータの更新」に相当するから、引用発明3は相違点5に係る本願発明の発明特定事項を備えているといえる。
そして、引用発明1と引用発明3とは、ゲームという共通する技術分野に属するものであり、引用発明3の「スタジアム」は、引用発明1の「育成ステージ」と同様に、ゲームで用いるキャラクタを、別のゲームにより育成するものである点で共通するものであるから、引用発明1の「育成ステージ」に引用発明3の「スタジアム」を適用することに、困難性はなく、また、当業者が適用しようとすることには動機付けがあるといえる。
以上のとおりであるから,引用発明1において、引用発明3を適用することにより、前記相違点5に係る本願発明の発明特定事項のごとく構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。
また,上記第2の3(4)エ.(エ)において検討したように、本願発明の「オブジェクトに設定されたパラメータ」に基づいて「キャラクタのパラメータの更新」を制御するは、引用発明2においても記載されているように、本願出願前に周知の技術といえるものである。
そして、本願発明の効果は、引用例1、2及び3に基づいて当業者が予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。

4.小括
以上検討したように、本願発明は、引用発明1、2及び3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、前記結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-06-01 
結審通知日 2020-06-02 
審決日 2020-06-15 
出願番号 特願2016-256684(P2016-256684)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金田 理香  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 清水 康司
畑井 順一
発明の名称 ゲームシステム、サーバシステム及びプログラム  
代理人 大渕 美千栄  
代理人 布施 行夫  
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