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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H02K
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H02K
管理番号 1364899
異議申立番号 異議2019-700616  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-05 
確定日 2020-07-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6465133号発明「回転電機、固定子巻線」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6465133号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-5〕、6について訂正することを認める。 特許第6465133号の請求項〔1-2〕、6に係る特許を維持する。 特許第6465133号の請求項3及び4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第6465133号の請求項1-6に係る特許についての出願は、平成29年3月17日の出願であって、平成31年1月18日にその特許権の設定登録がなされ、平成31年2月6日に特許掲載公報が発行された。
これに対して、特許異議申立人増淵貞夫より、令和元年8月5日に、本件請求項1-4、6に係る発明の特許について特許異議の申立てがなされ、令和元年10月16日付で取消理由が通知され(発送日:令和元年10月23日)、これに対し特許権者より令和元年12月11日付で意見書及び訂正請求書が提出され、特許権者より令和2年2月4日に訂正請求書及び訂正特許請求の範囲を補正した補正書が提出され、令和2年2月12日付で訂正請求があった旨を通知したが(発送日:令和2年2月17日)、特許異議申立人から意見書は提出されなかったものである。


第2.訂正請求書による訂正の適否についての判断
1.一群の請求項1?5に係る訂正
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「固定子鉄心と、を有し、」とあるのを、「固定子鉄心と、複数の磁極を備えた回転子と、を有し、」に訂正するとともに、「前記層が変更されるように、構成されている」とあるのを、「前記層が変更され、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される、ように、構成されている」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「前記固定子巻き線は、」とあるのを、「各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線と、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心と、を有し、前記固定子巻線は、前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更されるように、構成されており、かつ、前記固定子巻線は、」に訂正するとともに、「ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機。」とあるのを、「ことを特徴とする回転電機。」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 一群の請求項について
訂正前の請求項1?5について、訂正事項1を含む請求項1の記載を、請求項2?請求項5がそれぞれ引用しているものであるから、訂正後の請求項1?5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

イ 訂正の適否
(ア)訂正事項1
a 訂正の目的
訂正前の請求項1には、「複数の磁極を備えた回転子」、「前記層が変更され、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される」が記載されていないが、訂正後の請求項1は、「複数の磁極を備えた回転子」、「前記層が変更され、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される」との記載により、回転電機は、回転子が複数の磁極を備えることが特定され、同相の並列回路を構成する2以上のコイルが、周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容され、かつ、それぞれの層が変更される部位が固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ各スロットに収容されることが特定されている。
そうであれば、訂正後の請求項1の、「複数の磁極を備えた回転子」、「前記層が変更され、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される」とする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1は、回転電機の発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、訂正前の請求項3、4に記載された事項である。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1-4、6について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(イ)訂正事項2
a 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲外の内容を追加するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1-4、6について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項3に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(ウ)訂正事項3
a 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除するものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲外の内容を追加するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1-4、6について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項4に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(エ)訂正事項4
a 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項1乃至4のいずれか1項を引用する形式であったものを、請求項間の引用関係を解消し、訂正前の請求項2-4の内容を取り込まず、訂正前の請求項1の内容のみを取り込んで、独立形式へ書き改めるための訂正であって、訂正前の請求項5の「前記固定子巻線は、」を、「各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線と、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心と、を有し、前記固定子巻線は、前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更されるように、構成されており、かつ、前記固定子巻線は、」へと訂正するとともに、「ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機。」を、「ことを特徴とする回転電機。」へと訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であるととともに、請求項1に従属していた内容のみに限定したものであるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項4は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記aの理由から明らかなように、訂正事項4は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであるから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正後の請求項5に記載された発明は、特許異議申立において提出された甲第1号証(特開2003-134711号公報)及び甲第2号証(特開2015-159629号公報)のいずれにも記載も示唆もない「U相、V相、W相に4つの並列回路をそれぞれ有するように複数のコイルが並列に接続されて構成され、各相において、同相の並列回路を構成する4つのコイルが回転子の磁極ごとに対応して固定子鉄心の周方向に連続して配置された2つのスロットに2つずつ収容され、一のスロットに収容される、同相の並列回路を構成する2つのコイルのそれぞれの巻き始め位置が固定子鉄心の周方向において180°間隔に配置され、一のスロットに収容される、同相の並列回路を構成する2つのコイルのうち、一方の並列回路を構成するコイルが他方の並列回路を構成するコイルの巻き始め位置で当該コイルと固定子鉄心の径方向に重なるように層が変更されるように構成されている」点に関して発明特定事項を訂正前の請求項1に追加したものであるから、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証に記載された事項からは、当業者が本件特許出願前に容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものには該当しない(第3 3.(4)参照)。
よって、訂正後の請求項5に記載された発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合するものである。


2.請求項6に係る訂正
(1)訂正の内容
訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「回転電機の固定子鉄心」とあるのを、「複数の磁極を備えた回転子を有する回転電機の固定子鉄心」に訂正するとともに、「前記層が変更されるように、構成されている」とあるのを、「前記層が変更され、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容されるように、構成されている」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
a 訂正の目的
訂正前の請求項6には、「複数の磁極を備えた回転子を有する回転電機の固定子鉄心」、「前記層が変更され、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容されるように、構成されている」が記載されていないが、訂正後の請求項6は、「複数の磁極を備えた回転子を有する回転電機の固定子鉄心」、「前記層が変更され、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容されるように、構成されている」との記載により、回転電機は回転子が複数の磁極を備えることが特定され、固定子巻線は同相の並列回路を構成する2以上のコイルが、回転子の磁極ごとに対応して周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容され、かつ、同相の並列回路を構成する2以上のコイルそれぞれは、層が変更される部位が固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ各スロットに収容されることが特定されている。
そうであれば、訂正後の請求項6の「複数の磁極を備えた回転子を有する回転電機の固定子鉄心」、「前記層が変更され、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容されるように、構成されている」とする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項5は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書、図面には、回転電機が複数の磁極を備えた回転子に関し、段落【0052】に、「回転電機10が複数の磁極を備えた回転子20を有し、固定子巻線41は、同相の並列回路を構成する2以上のコイルが、回転子20の磁極ごとに対応して周方向に連続して配置された2以上のスロット31にそれぞれ収容されるように、構成されている。」と記載され、又、同相の並列回路を構成する2以上のコイルのスロットへの配置に関し、段落【0054】には、「固定子巻線41は、同相の並列回路を構成する2以上のコイルが固定子鉄心32の径方向に沿って順に代わりつつ各スロット31に収容されるように、構成されている。」と記載されるとともに、図4において「周方向に連続する複数のスロットにコイルU1,U2及びU3,U4が収容され、かつ、それらコイルU1,U2及びU3,U4の層が変更される位置が、固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ各スロットに収容されている」構成が開示されている。
そうであれば、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1-4、6について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項6に係る訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。


3.むすび
したがって、本件訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項?第7項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕、6について訂正することを認める。


第3.特許異議の申立について
1.本件発明
本件訂正により訂正された請求項1-6に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」等といい、請求項1-6に係る発明を「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1-6に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線と、
同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心と、
複数の磁極を備えた回転子と、
を有し、
前記固定子巻線は、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更され、
前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、
前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される、
ように、構成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記固定子巻線は、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのそれぞれの前記巻き始め位置が前記固定子鉄心の周方向において等間隔に配置されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】
各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線と、
同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心と、を有し、
前記固定子巻線は、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更されるように、構成されており、かつ、
前記固定子巻線は、
U相、V相、W相に4つの前記並列回路をそれぞれ有するように前記複数のコイルが並列に接続されて構成され、
各相において、同相の前記並列回路を構成する4つの前記コイルが回転子の磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2つの前記スロットに2つずつ収容され、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2つの前記コイルのそれぞれの巻き始め位置が前記固定子鉄心の周方向において180°間隔に配置され、
前記一のスロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2つの前記コイルのうち、一方の前記並列回路を構成する前記コイルが他方の前記並列回路を構成する前記コイルの前記巻き始め位置で当該コイルと前記固定子鉄心の径方向に重なるように層が変更されるように構成されている
ことを特徴とする回転電機。
【請求項6】
複数の磁極を備えた回転子を有する回転電機の固定子鉄心に装着される固定子巻線であって、
各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成され、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルが前記固定子鉄心の各スロットに各々収容されるように構成されると共に、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更され、
前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容されるように、構成されている
ことを特徴とする固定子巻線。」


2.取消理由
訂正前の請求項1ないし6に係る特許に対して令和元年10月16日付で通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
「I 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用例に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

II 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由I、II
記 (引用例等については引用例等一覧参照)
・請求項1、2、4、6
・引用例等 1
・備考
引用例1には、
「各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線(【0012】、【0015】参照)と、
同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心(【0012】参照)と、を有し、
前記固定子巻線は、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し(【0015】、図3参照)、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置(「図3(b)12時の方向」が相当)及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置(「図3(b)6時の方向」が相当)のみで前記層が変更(「列替接合」が相当)され(【0015】、図2、図3参照)、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのそれぞれの前記巻き始め位置が前記固定子鉄心の周方向において等間隔に配置され(【0015】、図3参照)、
同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルが前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ各スロットに収容される(【0015】、図3参照)ように
、構成されている回転電機。」
との発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
本件明細書記載の従来例(特開平11-155270号公報)は、導体セグメントを用いて波巻固定子巻線を形成するものであり、本件特許は当該技術を改良するものであるから、引用例1のコイルの巻き始め、巻き終わりは、コイルの外部接続端(本件図3のU、V、W、N参照)が相当するものとした。

また、引用例1には、
「回転電機の固定子鉄心に装着される固定子巻線(【0012】参照)であって、
各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成され、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルが前記固定子鉄心の各スロットに各々収容されるように構成される(【0012】、【0015】、図3参照)と共に、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し(【0015】、図3参照)、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置(「図3(b)12時の方向」が相当)及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置(「図3(b)6時の方向」が相当)のみで前記層が変更(「列替接合」が相当)される(【0015】、図2、図3参照)ように
、構成されている固定子巻線。」との発明が記載されている。


理由 II
記 (引用例等については引用例等一覧参照)
・請求項3
・引用例等 1-2
・備考
引用例1には甲1発明が記載されている。
回転電機であれば、当然に複数の磁極を備えた回転子を有している。
引用例2には、「同相の回路を構成する2以上のコイルが、回転子の磁極ごとに対応して固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容された固定子巻線。」(【0014】-【0017】)との事項が記載されている。
三相巻線の各相を並列回路とすることは回転電機において周知の事項である。

引 用 例 等 一 覧
1.特開2003-134711号公報(甲第1号証)
2.特開2015-159629号公報(甲第2号証)」


3.当審の判断
(1)引用例
引用例1(特開2003-134711号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
a「【請求項1】 複数のセグメント化された略U字状の電気導体が環状に整列してなる偶数組の導体セットが径方向に層をなすように配置されると共に該配置された各電気導体を接合してなる相コイルを複数備える回転電機であって、
前記相コイルは、複数の直列コイルが形成されるように前記各電気導体を接合すると共に該複数の直列コイルを並列結線してなる回転電機。」
b「【発明の属する技術分野】本発明は、回転電機および相コイルの結線方法に関し、複数のセグメント化された略U字状の電気導体が環状に整列してなる偶数組の導体セットが径方向に層をなすように配置されると共に該配置された各電気導体を接合してなる相コイルを複数備える回転電機および相コイルの結線方法に関する。」(【0001】)
c「本発明の回転電機は、複数のセグメント化された略U字状の電気導体が環状に整列してなる偶数組の導体セットが径方向に層をなすように配置されると共に該配置された各電気導体を接合してなる相コイルを複数備える回転電機であって、前記相コイルは、複数の直列コイルが形成されるように前記各電気導体を接合すると共に該複数の直列コイルを並列結線してなることを要旨とする。
この本発明の回転電機では、複数の直列コイルが形成されるように各電気導体を接合し、この接合により得られた複数の直列コイルを並列結線して一相分のコイルが形成される。即ち、複数の電気導体の接合に応じて所望の並列コイルを形成でき、これにより渦電流損をより低減させることができる。
こうした本発明の回転電機において、前記複数の直列コイルは、一の導体セットの電気導体と他の導体セットの電気導体との接合により形成されてなるものとすることもできる。こうすれば、異なる導体セット間にある電気導体同士の接合により、容易に複数の直列コイルを形成することができ、これを並列結線して並列コイルを形成することができる。この態様の本発明の回転電機において、前記他の導体セットは、前記一の導体セットに隣接する導体セットであるものとすることもできる。こうすれば、加工し難い電気導体からなるコイルの並列化をより容易に行なうことができる。」(【0007】-【0009】)
d「【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、実施例の回転電機のステータ20のスロット22に一相分のコイルが取り付けられている様子を説明する説明図である。一相分のコイルは、図1に示すように、個々の形状が略U字状で環状に整列した導体セグメント群30a,30b,30c・・からなる導体セット30と、同じく個々の形状が略U字状で環状に整列した導体セグメント群40a,40b,40c・・からなる導体セット40とがステータ20のスロット22内に径方向に層をなすように配置されている。なお、このときの層数は偶数であれば、例えば4層、6層などでも構わない。こうした一相分のコイルを複数備えて形成される回転電機は、例えば、外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと、上記一相分のコイルが120度位相をずらして三つ形成されたステータとを組み込んだ同期発電電動機として構成することができる。
一相分のコイルには、図1に示すように同一導体セット内の隣接する導体セグメント同士を両者が向かい合う位置まで屈曲させてその位置で導体セグメントの端部同士を接合した接合部50が形成されている。例えば、この場合の接合部50は、図2(a)に示すように導体セット30の導体セグメント30a,30bの端部同士および導体セット40の導体セグメント40a,40bの端部同士を接合(以下、この接合を同列接合と呼ぶ)することにより形成される。そして、径方向に隣接する導体セットに列替えする際の接合部50は、径方向に隣接する導体セットの各導体セグメントの端部同士を接合することにより形成される。例えば、この場合の接合部50は、図2(b)に示すように第1導体セット30の導体セグメント30bの端部と第2導体セット40の導体セグメント40aの端部とを接合(以下、この接合を列替接合と呼ぶ)することにより形成される。
こうした一相分のコイルは直列コイルを形成するが、一相分のコイルを並列コイルとすれば、磁束の方向から導体セグメントをみたときにその断面を小さくできるから、渦電流損を低減することができる。以下、一相分のコイルを並列コイルとする手法について説明する。一相分のコイルを並列コイルとするには、まず、設計した並列数に応じた数の直列コイルを形成する必要がある。複数の直列コイルの形成は、上述の同列接合と列替接合とを組み合わせることにより行なうことができる。
図3は、導体セグメントの接合の一例を示す図である。この例では、4つの導体セグメントからなる導体セットを4層配置して8極のコイルを形成した。従って、接合部50は、互いに90度位相をずらした位置に1つの導体セットあたりに4箇所形成されることになる。図3(a)では、一相分のコイルを直列コイルとした場合の例を示している。この場合では、4つの接合部50は、1つの導体セットあたりに1箇所の列替接合と3箇所の同列接合とにより形成されている。図3(b)では、一相分のコイルを2並列のコイルとするために2つの直列コイルを形成した場合の例を示している。この場合では、4つの接合部50は、1つの導体セットあたりに互いに180度位相をずらした2箇所の列替接合とその他の2箇所の同列接合とにより形成されている。図3(c)では、一相分のコイルを4並列コイルとするために4つの直列コイルを形成した場合の例を示している。この場合では、4つの接合部50は、1つの導体セットあたりに4箇所の列替接合により形成されている。このように、1つの導体セットあたりの列替接合の数を調整すれば、この数に応じた数の直列コイルを形成することができる。したがって、これら直列コイルを並列結線することにより所望の並列数の並列コイルを形成することができるのである。」(【0012】-【0015】)

上記記載を参照すると、回転電機は三相の固定子巻線を有している。
上記記載及び図1を参照すると、「導体セグメント群30a,30b,30c・・からなる導体セット30と、導体セグメント群40a,40b,40c・・からなる導体セット40とがステータ20のスロット22内に径方向に層をなすように配置されている」こと、および「導体セット30及び導体セット40を含むコイルは波巻きのコイルである」ことが示されている。
上記記載及び図2(b)を参照すると、「列替接合の接合部50により、一の層の導体セット30と別の層の導体セット40とが接続される」ことが示されている。
上記記載及び図3(b)を参照すると、「図で上側の最外層を一端とするコイル(「コイルA」とする)と、図で下側の最外層を一端とするコイル(「コイルB」とする)とが示され、コイルAとコイルBにはそれぞれ、互いに90度位相をずらした位置に1つの導体セットあたりに4箇所接合部50が形成され、コイルAとコイルBはともに、図で上側と下側の、180度位相をずらした2箇所で列替接合され、図で右側と左側の、残りの2箇所で同列接合(段落0013参照)されている」ことが示されている。
上記記載及び図3(b)を参照すると、「コイルAとコイルBはともに、コイルAの巻き始め位置及びコイルBの巻き始め位置のみで列替接合されている」ことが示されているから、一のスロットに収容される、相コイルを所望の並列数の並列コイルで形成するコイルのうち、前記並列コイルを構成する一の前記コイルが当該コイルの巻き始め位置及び前記並列コイルを構成する他の前記コイルの巻き始め位置のみで列替接合が行われるように構成されていることが示されている。
上記記載及び図3(b)を参照すると、「コイルAは、図で上側の最外層を一端とし、ステータ20を2周して図で上側の最内層を他端とする一方、コイルBは、図で下側の最外層を一端とし、ステータ20を2周して図で下側の最内層を他端とし、コイルA,Bの巻き始め位置は180°間隔の等間隔である」から、コイルの巻き始め位置がスロットの径方向一端の層に位置すると共に、コイルの巻き終わり位置がスロットの径方向他端の層に位置していることとなる。
上記記載及び図3(b)を参照すると、「スロット内スロット外に関わらず、ステータ20の全周に亘って、コイルAとコイルBが径方向に沿って、コイルA、コイルB、コイルA、コイルBのように、順に代わりつつ配置されており(図の右半分ではコイルAが最外周に、左半分ではコイルBが最外周に位置する)、各スロットにおいても、コイルAとコイルBが径方向に沿って順に代わりつつ収容されている」から、相コイルを所望の並列数の並列コイルで形成するコイルは、列替接合が行われる部位がステータの径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容されることが示されている。

〔参考図〕
(甲第1号証の図3(b)を拡大しコイルAのみを太線にした図。コイルBはコイルAに比べ細い線で表れている。)

上記記載事項からみて、引用例1には、
「相コイルを所望の並列数の並列コイルで形成し波巻のコイルとなる三相の固定子巻線と、
前記相コイルを所望の並列数の前記並列コイルで形成する前記コイルをスロット内に配置されるステータと、を有し、
前記固定子巻線は、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、
一の前記スロットに収容される、前記相コイルを所望の並列数の前記並列コイルで形成する前記コイルのうち、前記並列コイルを構成する一の前記コイルが当該コイルの巻き始め位置及び前記並列コイルを構成する他の前記コイルの巻き始め位置のみで列替接合が行われ、
前記相コイルを所望の並列数の前記並列コイルで形成する前記コイルは、前記列替接合が行われる部位が前記ステータの径方向に沿って順に代わりつつ、前記各スロットに収容されるように、構成されている回転電機。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

引用例2(特開2015-159629号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
e「【請求項1】
周方向に配列された複数対の磁極を有する回転子(14)と、周方向に配列された複数のスロット(31)を有し前記回転子と径方向に対向して配置された固定子鉄心(30)、及び前記スロットに挿入されて前記固定子鉄心に巻装された複数の相巻線(41)よりなる固定子巻線(40)を有する固定子(20)と、を備えた回転電機において、
前記固定子鉄心は、同一相の前記相巻線が収容される同相スロット(U1,U2)を前記磁極毎に周方向に連続してn(nは2以上の自然数)個ずつ有し、
各前記相巻線は、延伸方向一端から他端までを2n個に分割されて、前記延伸方向一端から順に配置された第1部分巻線(a)、第2部分巻線(b)、・・・、第2n部分巻線(d)により構成され、
前記第1部分巻線と前記第2n部分巻線が前記固定子鉄心の異なる前記同相スロットに収容されているとともに、
前記延伸方向一端側から偶数番目に位置する第2m(mは1≦m≦nを満たす全ての自然数)部分巻線と第(2m-1)部分巻線が前記固定子鉄心の異なる前記同相スロットに収容されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機において、
前記固定子鉄心は、前記同相スロットを前記磁極毎に周方向に連続して2個ずつ有し、
各前記相巻線は、延伸方向一端から他端までを4個に分割されて、前記延伸方向一端側から順に配置された前記第1部分巻線、前記第2部分巻線、第3部分巻線(c)、第4部分巻線(d)により構成され、
前記第1及び第3部分巻線が連続する2個のうちの一方の同相スロット(U1)に収容され、前記第2及び第4部分巻線が連続する2個のうちの他方の同相スロット(U2)に収容されていることを特徴とする回転電機。」
f「従来の回転電機として、周方向に配列された複数対の磁極を有する回転子と、周方向に配列された複数のスロットを有し回転子と径方向に対向して配置された固定子鉄心、及び、スロットに挿入されて固定子鉄心に巻装された複数の相巻線よりなる固定子巻線を有する固定子と、を備えた回転電機が知られている。このような回転電機においては、高出力化の要請から、固定子鉄心は、同一相の相巻線が収容される同相スロットを磁極ごとに周方向に連続してn(nは2以上の自然数)個ずつ有するように構成されている。」(【0002】)
g「上記課題を解決するためになされた本発明は、周方向に配列された複数対の磁極を有する回転子(14)と、周方向に配列された複数のスロット(31)を有し前記回転子と径方向に対向して配置された固定子鉄心(30)、及び前記スロットに挿入されて前記固定子鉄心に巻装された複数の相巻線(41)よりなる固定子巻線(40)を有する固定子(20)と、を備えた回転電機において、前記固定子鉄心は、同一相の前記相巻線が収容される同相スロット(U1,U2)を前記磁極毎に周方向に連続してn(nは2以上の自然数)個ずつ有し、各前記相巻線は、延伸方向一端から他端までを2n個に分割されて、前記延伸方向一端側から順に配置された第1部分巻線(a)、第2部分巻線(b)、・・・、第2n部分巻線(d)により構成され、前記第1部分巻線と前記第2n部分巻線が前記固定子鉄心の異なる前記同相スロットに収容されているとともに、前記延伸方向一端側から偶数番目に位置する第2m(mは1≦m≦nを満たす全ての自然数)部分巻線と第(2m-1)部分巻線が前記固定子鉄心の異なる前記同相スロットに収容されていることを特徴とする。」
h「〔実施形態1〕
本実施形態に係る回転電機1は、車両用モータ(電動機)として使用されるものであって、図1に示すように、有底筒状の一対のハウジング部材10a,10bが開口部同士で接合されてなるハウジング10と、ハウジング10に軸受け11,12を介して回転自在に支承される回転軸13に固定された回転子14と、ハウジング10内の回転子14を包囲する位置でハウジング10に固定された固定子20と、を備えている。
回転子14は、固定子20の内周側と径方向に向き合う外周側に、周方向に所定距離を隔てて極性が交互に異なるように配置された複数対の磁極を有する。これらの磁極は、回転子14の所定位置に埋設された複数の永久磁石により形成されている。回転子14の磁極の数は、回転電機により異なるため限定されるものではない。本実施形態においては、8極(N極:4、S極:4)の回転子が用いられている。
次に、図2?図5を参照して固定子20について説明する。固定子20は、図2に示すように、周方向に配列された複数のスロット31を有し回転子14と径方向に対向して配置された円環状の固定子鉄心30と、スロット31に挿通配置されたU字形状の複数の導体セグメント50の開放端部の端末部同士が固定子鉄心30の軸方向一方側で溶接により接続されて固定子鉄心30に巻装された三相(U相、V相、W相)の固定子巻線40と、を備えている。
固定子鉄心30は、複数枚のコアシート(鋼板)を軸方向に積層して構成されている。固定子鉄心30の内周面には、固定子巻線40を収容できるように、固定子鉄心30を軸方向に貫通し断面矩形状の複数のスロット31が周方向に等ピッチに、且つ径方向に放射状に設けられている。固定子鉄心30に形成されたスロット31の数は、回転子14の磁極数(8磁極)に対し、固定子巻線40の1相あたり2個の割合で形成されており、スロット倍数n(nは2以上の自然数)が2とされている。即ち、固定子鉄心30には、同一相の相巻線41を収容する同相スロットが前記磁極毎に周方向に連続して2個ずつ設けられている。よって、本実施形態では、8×3×2=48より、スロット数は48個とされている。」(【0014】-【0017】)
i「なお、固定子巻線40の各相について、基本となるU字形状の導体セグメント50により、固定子鉄心30の周りを6周する巻線(コイル)が形成される。しかし、固定子巻線40の各相について、出力用引き出し線及び中性点用引き出し線を一体に有するセグメント、並びに1周目と2周目とを接続するターン部を有するセグメントは、基本となる導体セグメント50とは異なる異形セグメント(図示せず)で構成される。これら異形セグメントを用いて、図5(a)に示すように、固定子巻線40の各相の巻線端が星型結線により結線される。」(【0023】)
j「固定子巻線40を構成する3本の相巻線(U相、V相、W相)41は、図5(a)に示すように、延伸方向一端側の出力端子43から他端側の中性点44までを2n個(本実施形態ではn=2から4個)に分割されて、延伸方向一端側から順に配置された第1部分巻線a、第2部分巻線b、第3部分巻線c、第4部分巻線dにより構成されている。これら第1?第4部分巻線a?dの巻線方式は、全て波巻きである。
本実施形態では、各相巻線41は、図5(b)に示すように、第1部分巻線aと第4部分巻線dが固定子鉄心30の異なる同相スロットに収容されている。即ち、第1部分巻線aは、連続する2個の同相スロットU1,U2のうちの一方の同相スロットU1に収容され、第4部分巻線dは他方の同相スロットU2に収容されている。なお、図5(b)には、代表としてU相の2個の同相スロットU1、U2が示されており、V相及びW相の場合も、U相と同様である。」(【0025】-【0026】)

上記記載及び図5を参照すると、回転子が8極で固定子が48スロットであるから、1極1相当たりのスロット数が2となるので、「同相の直列回路を構成する2以上のコイルが、回転子の磁極ごとに対応して固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容された回転電機。」が記載されている。


(2)本件発明1と引用発明の対比
そこで、本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「ステータ」は、本件発明1の「固定子鉄心」に相当する。
引用発明の「相コイルを所望の並列数の並列コイルで形成し波巻のコイルとなる三相の固定子巻線」は、本件発明1の「各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線」に相当する。
引用発明の「前記相コイルを所望の並列数の前記並列コイルで形成する前記コイルをスロット内に配置されるステータ」は、本件発明1の「同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心」に相当する。
列替接合は層を変更するものであるから、引用発明の「一の前記スロットに収容される、前記相コイルを所望の並列数の前記並列コイルで形成する前記コイルのうち、前記並列コイルを構成する一の前記コイルが当該コイルの巻き始め位置及び前記並列コイルを構成する他の前記コイルの巻き始め位置のみで列替接合が行われ」は、本件発明1の「一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更され」に相当する。
引用発明の「前記相コイルを所望の並列数の前記並列コイルで形成する前記コイルは、前記列替接合が行われる部位が前記ステータの径方向に沿って順に代わりつつ、前記各スロットに収容される」は、本件発明1の「前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される」に相当する。

したがって、両者は、
「各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線と、
同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心と、
を有し、
前記固定子巻線は、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更され、
かつ、
前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される、
ように、構成されている回転電機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
本件発明1は、複数の磁極を備えた回転子を有するのに対して、引用発明は、回転子に関し特定がない点。
〔相違点2〕
本件発明1は、同相の並列回路を構成する2以上のコイルが、回転子の磁極ごとに対応して固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、層が変更される部位が固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容されるのに対し、引用発明は、同相の並列回路を構成する2以上のコイルそれぞれは、層が変更される部位が固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される点。


(3)本件発明1、2と引用発明についての判断
相違点1について
回転電機は当然に回転子を有し、通常当該回転子は複数の磁極を備えるから、回転電機は複数の磁極を備えた回転子を有するものと認められる。

相違点2について
引用例1には、同相の並列回路を構成する2以上のコイルが、回転子の磁極ごとに対応して固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容される点は記載も示唆も無い。
また、引用例2には、同相の直列回路を構成する2以上のコイルが、回転子の磁極ごとに対応して固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容される点は記載されているが、同相の並列回路を構成する2以上のコイルが、回転子の磁極ごとに対応して固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容される点は記載も示唆も無い。
本件発明1は、相違点2に係る構成を採用することにより、「これにより、並列回路数を増やすことができるので、回転電機10のさらなる小型化を図ることができる。また、固定子巻線41のターン数の選択の幅が広がるので、設計の自由度をさらに向上できる。」(【0053】)、「本実施形態によれば、スロット31内で2つの並列回路を構成するコイルが交互に代わりながら積層されるので、上記の並列回路同士の定数アンバランスを解消できる。したがって、回転電機10の特性の低下や振動、騒音の発生等を防止できる。」(【0056】)という作用効果を奏するが、引用例1、2にはこの様な作用効果について記載も示唆も無い。
そうすると、相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明1は引用発明であるとすることはできず、引用例1には相違点2に係る発明特定事項は記載も示唆も無いから、引用発明から当業者が容易に考えられたとすることもできない。
また、引用発明に引用例2に記載された事項を適用したとしても、引用例1、2には相違点2に係る発明特定事項は記載も示唆も無いから、引用発明において相違点2にかかる構成を採用して本件発明1のようにすることは当業者が容易に考えられたとすることはできない。
したがって、本件発明1は引用発明と同一ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないとすることはできず、又、本件発明1は引用発明に基づいて当業者が容易に考えられたものとも引用発明及び引用例2記載の事項から当業者が容易に考えられたとすることもできないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできないとすることはできない。
また、本件発明1と同様に、請求項1を引用する請求項2に係る本件発明2は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないとすることはできず、又、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできないとすることはできない。


(4)本件発明6と引用発明についての判断
本件発明1は請求項末尾が回転電機であり、本件発明6は請求項末尾が固定子巻線であるが、この点を除けば記載内容は実質的に同一であるから、本件発明1が引用発明に基づいて当業者が容易に考えられたとすることができないものであるので、本件発明6は引用発明であるとすることはできず、また引用発明に基づいて当業者が容易に考えることができたものとすることはできないものである。
したがって、本件発明1と同様に、本件発明6は引用発明と同一ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないとすることはできず、又、引用発明から当業者が容易に考えられたとすることはできないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできないとすることはできない。


(5)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立の証拠
特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項3に対して、引用例1、2に加え、複数の磁極を備えた回転子の周知例として甲第3号証(特開2016-152751号公報)を挙げ、回転電機の固定子巻線において、コイルを構成する部分巻線間の接続関係として直列接続と並列接続とを任意に選択可能である点の周知例として甲第4号証(特開2017-17838号公報)を挙げて、訂正前の請求項3に係る発明は当業者が容易に発明をすることができたものとしている。
甲第3号証に係る複数の磁極を備えた回転子については、上述の(3)のように採用している。一方、甲第4号証に記載の「回転電機の固定子巻線において、コイルを構成する部分巻線間の接続関係として直列接続と並列接続とを任意に選択可能であること」が周知であるとしても、甲第3、4号証には「同相の並列回路を構成する2以上のコイルが、回転子の磁極ごとに対応して固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上のスロットにそれぞれ収容され」る点が記載も示唆も無いから、引用発明と甲第3、4号証記載の事項を組み合わせても、訂正前の請求項3記載の事項を構成として有する本件発明1とすることはできない。


4.まとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項3、4に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除されたので、請求項3、4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線と、
同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心と、
複数の磁極を備えた回転子と、
を有し、
前記固定子巻線は、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更され、
前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、
前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容される、ように、構成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記固定子巻線は、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのそれぞれの前記巻き始め位置が前記固定子鉄心の周方向において等間隔に配置されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】
各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成された三相の固定子巻線と、
同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルを各々収容する複数のスロットを備えた固定子鉄心と、を有し、
前記固定子巻線は、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更されるように、構成されており、かつ、
前記固定子巻線は、
U相、V相、W相に4つの前記並列回路をそれぞれ有するように前記複数のコイルが並列に接続されて構成され、
各相において、同相の前記並列回路を構成する4つの前記コイルが回転子の磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2つの前記スロットに2つずつ収容され、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2つの前記コイルのそれぞれの巻き始め位置が前記固定子鉄心の周方向において180°間隔に配置され、
前記一のスロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2つの前記コイルのうち、一方の前記並列回路を構成する前記コイルが他方の前記並列回路を構成する前記コイルの前記巻き始め位置で当該コイルと前記固定子鉄心の径方向に重なるように層が変更されるように構成されている
ことを特徴とする回転電機。
【請求項6】
複数の磁極を備えた回転子を有する回転電機の固定子鉄心に装着される固定子巻線であって、
各相に2以上の並列回路を有するように複数のコイルが並列に接続されて波巻方式となるように構成され、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルが前記固定子鉄心の各スロットに各々収容されるように構成されると共に、
前記コイルの巻き始め位置が前記スロットの径方向一端の層に位置すると共に、前記コイルの巻き終わり位置が前記スロットの径方向他端の層に位置し、
一の前記スロットに収容される、同相の前記並列回路を構成する2以上の前記コイルのうち、前記並列回路を構成する一の前記コイルが当該コイルの前記巻き始め位置及び前記並列回路を構成する他の前記コイルの前記巻き始め位置のみで前記層が変更され、
前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルが、前記回転子の前記磁極ごとに対応して前記固定子鉄心の周方向に連続して配置された2以上の前記スロットにそれぞれ収容され、かつ、前記同相の並列回路を構成する前記2以上のコイルそれぞれは、前記層が変更される部位が前記固定子鉄心の径方向に沿って順に代わりつつ、各スロットに収容されるように、構成されている
ことを特徴とする固定子巻線。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-06-19 
出願番号 特願2017-53651(P2017-53651)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (H02K)
P 1 652・ 121- YAA (H02K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 紀和  
特許庁審判長 久保 竜一
特許庁審判官 窪田 治彦
堀川 一郎
登録日 2019-01-18 
登録番号 特許第6465133号(P6465133)
権利者 株式会社安川電機
発明の名称 回転電機、固定子巻線  
代理人 益田 博文  
代理人 益田 弘之  
代理人 特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所  
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